以下に本発明について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明にかかる冷却庫の一例の斜視図であり、図2は図1に示す冷却庫の正面図であり、図3は図2に示す冷却庫をIII−III線で切断した断面図である。なお、本発明にかかる冷却庫Rfは、図1に示す状態で利用されるものであり、以下の説明において、上下、左右、前、後(奥)と説明する場合、図1の状態を基準としているものとする。
図1〜図3に示すように、冷却庫Rfは、断熱箱体である筐体1と、筐体1の前面に開閉可能に取り付けられたドア2と、冷却装置3とを備えている。筐体1は、前面側が開いた凹形状部を備えている。なお、この凹形状部とドア2とで囲まれる部分が食品、薬品等を低温保存するための貯蔵室Tyである。
そして、ドア2は、筐体1の前面に、凹形状部を塞ぐことができるように取り付けられている。ドア2はヒンジドアであり、ヒンジ20で筐体1に回動可能に取り付けられている。ドア2が回動することで、筐体1の前面とドア2とが接触し凹形状部を塞ぐように形成されている。また、ドア2にはパッキンPkが取り付けられており、パッキンPkが筐体1と当接することで、筐体1とドア2との接触部分が気密になり、貯蔵室Tyが密閉される。
また、筐体1は、金属製の外箱11と、各内部空間の内壁となる内箱12と、外箱11及び内箱12とを組み合わせ、外箱11と内箱12との間の空間に充填された断熱体13とを備えている。
外箱11は、金属板(たとえば、鋼板)を折り曲げて箱体に形成したものである。外箱11は、前面側が開いた箱形である。内箱12は外箱11の開口部に取り付けられるものであり、外側から見て、いわゆる、ドーム形状を有している。内箱12は、主に食品を保管する空間を囲む壁となる部分を含むため、ABS、PP、PS等の樹脂の真空成型にて製造されている。
断熱体13は、筐体1の外側と内側とで熱の移動を抑制する断熱部材であるとともに、筐体1の構造強度を保つための強度部材の役割を果たす。断熱体13は、発泡ポリウレタンが採用されている。なお、発泡ポリウレタン以外にも、発泡スチロール樹脂、発泡フェノール樹脂、発泡ユリア樹脂等を採用することも可能である。断熱体13は、外箱11と内箱12とを組み合わせて箱体を形成したときに形成される空間に発泡断熱材の原液を注入し、この空間内部で発泡充填することで形成されている。
断熱体13(発泡ポリウレタン)の成型には、ポリオールとイソシアネートの混合液に発泡剤としてシクロペンタンを加えた原液を用いている。そして、断熱体13は、この原液を外箱11と内箱12との間の空間に注入し、発泡反応(脱水反応)を生じさせることで形成される。なお、詳細は省略するが、ドア2も同様に内箱と外箱を組み合わせた箱体の内箱と外箱の間に断熱体が配置された構造を有している。冷却庫Rfは筐体1及びドア2が以上の構成を有することで、貯蔵室Tyは断熱体13に囲まれており、外部からの熱の進入が抑制されている。
また、筐体1は、後面の下部に冷却装置3の一部が配置される機械室14を備えている。ここで冷却装置について図面を参照して説明する。図4は冷却装置の概略配置を示す図である。図4に示すように、冷却装置3は、圧縮機31、壁面凝縮器32、ドライヤー33、キャピラリー管34及び蒸発器35を備えている。そして、冷却装置3はこの順番で環状に接続され、内部に冷媒を封入した冷凍サイクルを構成している。
冷却装置3についてさらに説明する。冷却装置3は、封入された冷媒を気体と液体とで相変化させることで、冷熱を取り出すためのヒートポンプである。冷却装置3では、気体である冷媒は圧縮機3で圧縮され、高温高圧のガス冷媒(気体)の状態で、壁面凝縮器32に送られる。壁面凝縮器32は 筐体1の壁面(後面、左右両側面、上面)の外壁11と内壁12との間の空間に配置されており、冷媒の熱を外部に放出し、冷媒を気体から液体に変化させる(凝縮させる)機器である。
そして、冷媒は冷却庫Rfの貯蔵室Tyの熱を外部に放出することで、貯蔵室Tyを冷却しており、壁面凝縮器32から放出される熱が貯蔵室Tyに伝わりにくく、外部に放出されることが好ましい。そのため、壁面凝縮器32は、外壁11に近接して配置されている。これにより、壁面凝縮器32と貯蔵室Tyの間には、断熱体13が配置されるため、冷媒の熱を外部に放出するとき、貯蔵室Tyの内部に伝わるのを抑制することが可能となっている。
壁面凝縮器32で凝縮された冷媒は、ドライヤー33に送られる。ドライヤー33では、冷媒に混入している水、異物等を冷媒から分離する。冷媒はドライヤー33を通過した後、キャピラリー管34に送られる。キャピラリー管34は、これまで冷媒が流れてきた配管に対し、内径が小さい細管であり冷媒の流量を絞る絞り器である。冷媒はキャピラリー管34の出口から流出し、蒸発器35に送られ、減圧された冷媒は、急激に膨張し、気化熱吸収により、周囲の熱量を吸収する。
冷媒は減圧されていることで、気化しやすくなっており、蒸発器35の内部で気化する。冷媒は気化するとき蒸発器35を冷却し、さらに蒸発器35と接触している空気を冷却する(冷却された空気を冷気と称する)。そして、冷気が貯蔵室Ty内部を循環(対流)することで、貯蔵室Tyの内部、内部に配置された物品を冷却する。なお、冷媒は物品を冷却するエネルギ(冷熱エネルギ)を有しており、冷熱エネルギを物品に渡すことで物品が冷却されていると考えることも可能である。
冷却装置3において、圧縮機31、壁面凝縮器32が外部に熱を放出する機器であり、蒸発器35が貯蔵室Tyを冷却する機器である。また、圧縮機31には、電力を供給するための装置等が必要である。そのため、図1に示すように、圧縮機31は機械室14の内部に配置されている。
冷却庫Rfは、蒸発器35で貯蔵室Tyの内部の空気を直接冷却し、冷気を発生させる直冷式の冷却庫である。直冷式の冷却庫では、蒸発器35を貯蔵室Tyの上部に配置している。これにより、蒸発器35の周囲で発生した冷気は下方に移動し、下方に移動するにつれ、外部の熱を吸収し、移動した冷気により、発生直後に比べて高温の空気が上方に移動する。冷却庫Rfは、このような自然発生する空気(冷気)の流れ(対流)を生成し、冷気を循環させている。この自然発生する空気の対流によって、冷気が貯蔵室Ty内部を隅々まで冷却することができる。
次に、冷却庫Rfの貯蔵室Tyの内部について図面を参照して説明する。図1〜図3に示すように、冷却庫Rfの貯蔵室Ty内部は、冷凍室4と、冷凍室4の下部に設けられた蓄冷部材6と、冷凍室4(蓄冷部材6)の下部に配置された棚71、72と、最下段に配置された収納箱体8とを備えている。また、ドア2の貯蔵室Ty側の面には、卵、ビン、缶等を収納するかご状ドアポケット21、22、23が備えられている。なお、ドアポケット21、22、23は3個としているが、これに限定されるものではない。
冷凍室4は、物品を冷凍温度(例えば、JISで規定されている冷凍性能(JIS C 9607)に順じてワンスターなら摂氏−6度以下、ツースターなら摂氏−12度以下、スリースターなら摂氏−18度以下)で保存するものである。冷凍室4は、前面に開口を有する本体部41と、本体部41の前面側に設けられたカバー42とを備えている。そして、カバー42は、物品を出し入れするための窓部421を備えており、カバー42に回転可能に取り付けられ窓部421の開閉を行うための扉部43を備えている。
冷凍室4について、新たな図面を参照し、さらに詳しく説明する。図5は本発明にかかる冷凍室の正面図であり、図6は図5に示す冷凍室の下面図であり、図7は図5に示す冷凍室をVII−VII線で切断した断面図である。図5、図6に示すように、冷凍室4の本体部41は冷却庫Rfの前面側から見て上下及び左右に壁体を有している。そして、本体部41は金属で形成されており、図5〜図7に示すように、冷凍室4では、本体部41の下側の壁体410に蒸発器35が含まれる構成となっている。キャピラリー管34で霧化された冷媒は蒸発器35内で気化し、壁体410を冷却する。すなわち、蒸発器35を含む壁体410が冷却器として作用する。
冷却庫Rfでは、本体部41は金属製で熱伝導率が高いことから、下側の壁体410(冷却器)が冷却されることで、本体部41の壁体410(冷却器)と連続して形成されている壁体(左右、上、後の壁体)も冷却される。蒸発器35に冷媒が流入することで本体部41の上下、左右及び後の壁体を冷却するので、冷凍室4の内部の空気と冷却された壁体との接触面積が大きく、内部の空気の冷却効率が高くなる。このとき、冷媒と熱交換した空気(冷気)を物品を冷凍できる程度の温度(例えば、摂氏−18度以下の温度)とすることで、冷凍室4の内部に収納した物品を冷凍する或いは冷凍を維持することができる。
冷凍室4の前面側に設けられたカバー42及び扉43は、樹脂で形成されている。このように樹脂は金属よりも熱伝導率が低いので、低温になりにくい。そのため、使用者が物品の出し入れするときに、カバー42及び(又は)扉43に手で接触しても、接触した部分に違和感や痛みを覚えにくくなっている。
なお、図5、図6に示すように、冷凍室4では、本体部41の下側の壁体410が蒸発器35を含む構成となっているが、これに限定されるものではなく、壁体410と冷媒配管とが接触する構成であってもよい。例えば、ロウ付け等の接合手段を利用して、冷媒配管を本体部41の壁体に固定する構成であってもよいし、板金状の本体部41で挟むように構成してもよい。
そして、図3等に示しているように、冷凍室4の本体部41の下側の壁体410(冷却器)は貯蔵室Tyの内部の空間(空気)と接触するようになっている。冷却装置3を駆動することで、貯蔵室Tyの冷凍室4内部以外の空間の空気も冷却される。上述したとおり、蒸発器35に冷媒を流通させることで、冷凍室4の本体部41を冷却するため、貯蔵室Tyの下部と対面している下側の壁体410及び蒸発器35が貯蔵室Tyの下部を冷却する冷却器として作用する。
さらに、貯蔵室Tyは、冷凍室4(蓄冷部材6)の下方に配置され、物品を載置するための棚71、72を備えている。棚71、72は、板状の部材であり、内箱12の左右の側壁より内側に突出した凸部121に支持されている。なお、棚71、72は凸部121に固定されていてもよいし、凸部121を奥に向かって延びる構成とし棚71、72の少なくとも一方が摺動可能に支持されていてもよい。また、内箱12の複数の位置(高さ)に凸部121を備えておき、棚71及び(又は)棚72を付け替えることができるようにしてもよい。これにより、載置する物品の高さに合わせて棚71、棚72を調整することが可能である。
そして、貯蔵室Tyの最下部には、収納箱体8が備えられている。収納箱体8は、例えば、野菜、果物等、安定感が悪く、棚71、72等では、収納が難しい物品を収納するものである。また、収納箱体8は、これら以外にも、高さや厚みがあり、ドアポケット21、22、23に収納できない物品を収納することができる形状及び大きさを有している。
図2に示すように、冷却庫Rfにおいて、収納箱体8の後側は、下方に向かって手前に傾斜した壁体となっており、この壁体を隔てた背後側に圧縮機31等が収納される機械室14が形成されている。
次に、蓄冷部材6の詳細について図面を参照して説明する。図5〜図7等に示すように、蓄冷部材6は、冷凍室4の本体部41の下側の壁体410(冷却器)に取り付けられた取付レール44に摺動可能に支持されている。蓄冷部材6は、平面視長方形状の板材である。図5、図7に示すように、蓄冷部材6の平面面積(水平投影面積)は蒸発器35よりも大きく、平面視において(垂直方向において)蓄冷部材6は下側の壁体410(冷却器)の下方を覆うように形成されている。そして、垂直方向において壁体410(冷却器)と蓄冷部材6とが重ならないように配置される部分がある。なお、冷却庫Rfでは、壁体410(冷却器)の周縁部分が蓄冷部材6と上下に重ならない部分が形成されている。
蓄冷部材6は、たとえば、相変化(液体/個体の相変化)による潜熱を冷熱エネルギとして蓄える潜熱蓄冷材を含んでいる。潜熱蓄冷材としては、例えば、エチレングリコールを含む水溶液、又は、エチレングリコールを含む水溶液にゲル化剤を添加したゲルを挙げることができる。なお、潜熱蓄冷材の凍結開始温度としては、例えば、摂氏-6度よりも高い温度を挙げることが可能である。この摂氏-6度は日本工業規格 C 9607(JIS C 9607)におけるワンスターの温度である。
蓄冷部材6は、長方形板状に形成された中空の容器に、上述の水溶液又はゲルを封入し、密封した構成を有している。なお、潜熱蓄冷材は冷却によって体積が膨張する。また、蓄冷部材6は、取付レール44に摺動可能に支持される構成となっている。そのため、潜熱蓄冷材の膨張によって蓄冷部材6の形状が変化しないことが好ましい。
そこで、冷却庫Rfの蓄冷部材6は、変形しにくい中空の容器に、潜熱蓄冷材が膨張するための隙間を確保して充填し、密封した構成としている。これにより、蓄冷部材6の潜熱蓄冷材が膨張しても、容器の外形の変化を抑制することができる。なお、取付レール44による支持をきっちり行うことができる場合、容器に潜熱蓄冷材の膨張に応じて変形する柔軟性を有する材料を利用することも可能である。
図5、図7に示すように、取付レール44は、蓄冷部材6の左右、後ろ及び下のそれぞれの面と接触する部材であり、冷凍室4の下側の壁体410(冷却器)の左右に配置されている。下方から見て取付レール44は、壁体410(冷却器)の中心線を挟んで鏡像関係となるように配置されている。
取付レール44は、保持部441と、保持部441の一方の端部と連結された規制部442と、保持部441の他方の端部と連結されたガイド部443と、規制部442及びガイド部443の保持部441と反対側の端部に連結された固定部444とを備えている。冷却庫Rfにおいて、取付レール44は金属板を折り曲げることで形成されている。すなわち、保持部441、規制部442、ガイド部443及び固定部444は一体的に形成されている。しかしながら、これに限定されるものではなく、一部又は全部が独立した部材で、組み立てる構成となっていてもよい。
保持部441は、下方から見て台形状の平板形状を有しており、蓄冷部材6の底面を保持している。保持部441は冷凍室4の本体部41の下側の壁体410(冷却器)と平行になるように配置されている。
保持部441は長尺状の部材であり、一方の端部の斜辺に規制部442が連結されている。規制部442は長方形状の板状の部材であり、蓄冷部材6の後面側への移動を規制する部材である。規制部442は保持部441と垂直となっている。
また、保持部441の他方の端部の斜辺にガイド部443が連結されている。ガイド部443は長方形状の板状の部材であり、蓄冷部材6の摺動方向(ここでは、冷却庫Rfの前後方向)に沿うように配置されており、蓄冷部材6を取付レール44に取り付けるとき、蓄冷部材6の摺動ガイドとして利用される。また、蓄冷部材6を取付レール44に取り付けた後は、左右方向の移動を規制する規制部材としても利用される。
規制部442及びガイド部443の保持部441と連結しているのと反対側の端部は、が保持部441と平行となるように固定部444が連結されている。固定部444は冷凍室4の本体部41の下側の壁体410(冷却器)に固定される。この固定は、ねじ、嵌め込み等で行われるものを挙げることが可能であり、ここでは、ねじで固定されるものとしている。なお、金属で形成されている取付レール44が壁体410(冷却器)と接触することで、取付レール44も壁体410(冷却器)と同等に冷却され、周囲の空気を冷却する。このような、冷却が不要な場合があり、その場合、固定部444と壁体410(冷却器)との間の熱抵抗を高める(熱抵抗の高い部材を配置する等)ようにしてもよい。
一対の取付レール44が壁体410(冷却器)を左右に分割する中心線を挟んで鏡像となるように配置されている。そして、一対の取付レール44それぞれのガイド部443が平行になっている。そして、蓄冷部材6の左右の端部(図7では、長方形の一対の短辺)をガイド部443に接触させるとともに、蓄冷部材6の長辺を規制部442に接触するまで摺動させる。これにより、蓄冷部材6を壁体410(冷却器)に対して適切な位置に位置決めできる。
そして、蓄冷部材6を取付レール44に取り付けられたとき、蓄冷部材6の後側の端部は規制部442と接触し、左右の端部はガイド部443と接触している。なお、保持部441は下側から見たとき、蓄冷部材6の左右いずれかの辺と後ろ側の辺とを繋ぐとともに、一対の取付レール44の保持部441で蓄冷部材6をしっかり保持できる形状及び大きさを有している。
また、図5、図6に示すように、取付レール44の規制部442及びガイド部443の上下方向の長さL1が、蓄冷部材6の幅W1よりも大きい。そのため、蓄冷部材6を取付レール44で保持したとき、冷凍室4の本体部41の下側の壁体410(冷却器)と蓄冷部材6との間に空間Va(空気層)が形成される。
次に、蓄冷部材6を取付レール44に取り付けた状態の冷却庫Tyについて説明する。図8は本発明にかかる冷却庫の貯蔵室の空気の流れを示す概略断面図である。図8は本発明にかかる貯蔵室を横から見た断面を示している。そして、棚71、72の後側の端部と貯蔵室Tyの後側の面との間及び棚71、72の前側の端部とドア2との間には隙間が形成されており、この隙間を空気が流れるようになっている。
冷却庫Rfにおいて、貯蔵室Tyは、前方をドア2で覆われており、ドア2の開閉による外気が流入しやすく、キャビネット1とドア2との接触部分(パッキンPk)から外部の熱が侵入しやすい。すなわち、貯蔵室Tyでは、前方が後方に比べて高温になりやすくなっている。そのため、冷却庫Rfにおいて、冷却装置3を駆動すると、貯蔵室Tyの前側に高温の空気が、後側に低温の空気が流れる。これにより、貯蔵室Tyの前側に上昇する空気の流れが発生しやすく、後側に下降する空気の流れが発生しやすい。
冷却庫Rfにおいて、冷却装置3が動作し蒸発器35で熱交換が行われることで、冷却室4の本体部41の周囲の空気が冷却され、冷気が発生する。このとき、本体部41の下側の壁体410(冷却器)と蓄冷部材6との間の空間Vaの空気も壁体410(冷却器)に冷却され、冷気が発生する。そして、壁体410(冷却器)の下面で発生した冷気は、低温であるため下方に流れる。そして、壁体410(冷却器)の下方には、蓄冷部材6が配置されているため、冷気は蓄冷部材6に接触する。蓄冷部材6と接触した冷気は、蓄冷部材6の潜熱蓄冷材から熱(潜熱)を奪いつつ、蓄冷部材6の端部に向かって流れる。
冷気は蓄冷部材6の表面を流れているとき、蓄冷部材6から熱を奪うことで昇温されるが、上方に向かって流れるほど昇温しない。そして、蓄冷部材6から熱を奪った冷気は蓄冷部材6の端部から貯蔵室Tyのさらに下方に向かって流れる。
壁体410(冷却器)のうち下方に蓄冷部材6が配置されていない領域(辺縁領域)で発生した冷気は、蓄冷部材6に接触せずに、下方に流れる。蓄冷部材6の表面に沿って流れ、昇温された冷気と壁体410(冷却器)で発生し直接流れた冷気とが、蓄冷部材6の端縁部の外側で合流し、貯蔵室Tyの下部に向かって流れる。そのため、貯蔵室Tyの下方に流下する冷気は、蓄冷部材6が取り付けられていない場合に比べて、高い温度となっている。
このように、蓄冷部材6を配置することで、貯蔵室Tyを流下する冷気の温度を高くすることが可能である。そして、壁体410から直接流下する冷気と蓄冷部材6の表面を流れる冷気との比率を変更することで、貯蔵室Tyの下方に流下する冷気の温度を調整することが可能である。
壁体410(冷却器)から直接流下する冷気と蓄冷部材6の表面を流れる冷気との比率を変更する方法として、例えば、蓄冷部材6の大きさを変更する方法を挙げることができる。
例えば、蓄冷部材6を小さくすると、壁体410(冷却器)の表面で発生した冷気が蓄冷部材6に接触することなく、流下する冷気の量(比率)が多くなり、蓄冷部材6の表面を流れて昇温された冷気の量(比率)が低くなる。
また、蓄冷部材6の潜熱蓄冷材の材質、容量を変更することで、蓄冷部材6の表面を流れる冷気の温度を調整することができ、壁体410(冷却器)から直接流下する冷気と蓄冷部材6の表面を流れる冷気とを混合した冷気の温度を変更することもできる。これにより、貯蔵室Tyの冷却速度の調整を行うことが可能である。また、壁体410(冷却器)と蓄冷部材6との間の隙間の大きさを変化させ壁体410(冷却器)から直接流下する冷気と、蓄冷部材6の表面を流れた冷気との比率を変更することでも、冷気の温度を調整し、貯蔵室Tyの冷却速度を調整できる。そして、貯蔵室Tyの内部の冷却速度を調整することで、貯蔵室Tyの内部の温度分布を調整することが可能である。なお、蓄冷部材6は、冷却装置3で貯蔵室Tyを冷却するとき、熱的な緩衝材としての役割を果たしている。
また、蓄冷部材6と貯蔵室Tyの内壁との隙間から下方に流れた冷気の一部は、棚71の上面に沿って流れ、残りは棚71の下方に向かって流れる。棚71の上面に沿って流れた冷気は、正面側に向かって流れ、棚71の上面に載置されている物品を冷却することで昇温された空気になる。昇温された空気は、前面側に発生する上昇する空気の流れに合流し、上方に流れる。棚72についても同様の冷気及び空気の流れが発生するため、詳細は省略する。
そして、棚72の後側の端部と貯蔵室Tyの内壁との隙間から下方に流れた冷気は、収納箱体8に流入する。収納箱体8は後側が、下方が前側になるように傾斜しているので、冷気はその傾斜に沿って流れる。そして、冷気は収納箱体8内を前方に向かって流れ、収納箱体8に収納されている物品を冷却することで昇温された空気になる。そして、昇温された空気は、貯蔵室Tyの前側を上方に向かって流れる。
このようにして、冷凍室4の本体部41の下側の壁体410(冷却器)から発生する冷気の対流を効果的に発生させることが可能となる。冷気の対流が発生することで、貯蔵室Tyの隅々に冷気を効率よくいきわたらせることができ、貯蔵室Tyの内部の温度むらを迅速に解消することが可能である。
なお、蓄冷部材6を壁体410(冷却器)に接触させてしまうと、蓄冷部材6を冷却した後、蓄冷部材6で覆われている部分からの冷気が貯蔵室Ty内へ流下する。そのため、蓄冷部材6への蓄冷が速くなるが、蓄冷が完了するまでは蓄冷部材6で覆われている部分からの冷気が貯蔵室Ty内へ流下せず、冷却が遅くなってしまう。
本発明の冷却庫Rfでは、壁体410(冷却器)と蓄冷部材6との間に空気の層を形成することで、蓄冷部材6が短時間で凝固してしまわない代わりに、蓄冷部材6の表面を流れた冷気が貯蔵室Ty内へ流下する。そのため、蓄冷部材6への蓄冷中であっても、冷却庫Tyの内部のに冷気が流下するため、貯蔵室Tyの内部の冷却が遅くなるのを回避できる。また、蓄冷部材6が短時間で凝固してしまわないため、長時間にわたり、蓄冷部材6による蓄冷部材6の直下の貯蔵室Ty内部が過冷却状態になるのを抑制することも可能である。
また、本体部41の下側の壁体410(冷却器)と蓄冷部材6との間に大きな隙間が形成されるように構成されている場合、壁体410(冷却器)と蓄冷部材6との隙間を調整できるようになっていてもよい。このような調整方法としては、蓄冷部材6の下面にスペーサを取り付ける方法や、規制部442及びガイド部443が伸縮可能で任意の位置で固定できるように構成された取付レール44(例えば、ねじによる締結、ウォームギヤを用いたもの等)を用いる方法がある。また、これらに限定されるものではない。
以上示しているように、冷却庫Rfは、1つの貯蔵室Tyを有する(ドア2が1つの)冷却庫において、複数の温度で物品を保管することができる。また、蓄冷部材6を配置し、貯蔵室Tyの内部を流れる冷気の温度を調整することで、貯蔵室Ty内部の上下方向の温度分布を調整することが可能である。また、貯蔵室Ty内部の冷却速度を調整することも可能であるため、貯蔵室Tyに保管する物品の冷却の速度を、その物品に適したものとすることができる。これにより、物品の冷却による品質低下を抑制することが可能である。
また、蓄冷部材6を貯蔵室Tyの運転中(冷却動作中)に着脱するようにしてもよい。例えば、冷却庫Rfの貯蔵室Ty内部を急激に冷却したい場合、蓄冷部材6を取り付けない状態で冷却を開始し、その後、一定の条件(例えば、貯蔵室Tyの内部温度が所定の温度になった等)を満たしたとき、蓄冷部材6を取り付けるようにすることで、貯蔵室Tyの冷却速度を調整することができる。また、逆に、蓄冷部材6を取り外すことで、貯蔵室Tyの冷却速度を速めることも可能である。
さらには、大きさ、材質の異なる蓄冷部材6に取り換えることで、壁体410(冷却器)の蓄冷部材6と重なっていない部分を調整し、貯蔵室Tyを適切に冷却することが可能である。また、蓄冷部材6を差し替えて用いる場合、貯蔵室Tyの邪魔にならない範囲で、貯蔵室の内部に配置するようにしてもよい。
また、このように冷却庫Rfの運転中に蓄冷部材6を着脱する構成において、予め決められた条件を満たしたとき、蓄冷部材6を着脱させることを知らせる報知部が備えられていてもよい。
また、本実施形態では、取付レール44を冷凍室4の本体部41の下側の壁体410(冷却器)に取り付けるものとしているが、これに限定されるものではない。例えば、貯蔵室Tyの内面に取り付けられたものとしてもよい。
(第2実施形態)
本発明にかかる冷却庫の他の例について図面を参照して説明する。図9は本発明にかかる冷却庫の他の例の冷凍室の拡大した正面図であり、図10は図9に示す冷凍室をX−X線で切断した断面図である。図9、図10に示す冷却室4は、冷凍室4の下方に配置する蓄冷部材6Bと蓄冷部材6Bを取り付けるための取付レール45が異なる以外は、図1等に示す冷却庫Rfと同じ構成を有している。そのため、実質上同じ部分には同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
蓄冷部材6Bは、左右方向の長さが冷凍室4の本体部41の壁体410(冷却器)の左右方向の長さとほぼ同じ長さで形成されている。そして、冷凍室4の本体部41の壁体410(冷却器)には、このような特例部材6Bを取り付けるための取付レール45を備えている。
図9、図10に示すように、取付レール45は、蓄冷部材6Bの下面を保持する保持部451と、保持部451の後側の端部に形成され、蓄冷部材6Bの後側の端部を規制する規制部452と、蓄冷部材6Bの摺動をガイドするガイド部453を備えている。また、規制部452とガイド部453の端部には、本体部41の下側の壁体410(冷却器)に取り付けるための固定部454を備えている。なお、保持部451、固定部454は大きさが異なる以外は、取付レール44の保持部441、固定部444と同じものである。また、規制部452は、取付レール45を取り付けたときの壁体410(冷却器)に対する位置が、壁体410(冷却器)の投影面積の外側に配置される以外、取付レール44の規制部442と同じものである。
そして、図10に示すように、蓄冷部材6Bの後側の端部が、冷凍室4の本体部41の下側の壁体410(冷却器)の後側の端部よりも後方に延伸して配置されている。そして、蓄冷部材6Bの後側の端部は貯蔵室Tyの内面と接触しないように取り付けられている。
図10に示すように、蓄冷部材6Bの後側の端部が冷凍室4の壁体410(冷却器)のさらに後側に回っている構成とすることで、壁体410(冷却器)の後側の端部で発生する冷気も蓄冷部材6Bに接触する。これにより、壁体410(冷却器)の後側の端部で発生する非常に低温の冷気が冷熱エネルギの一部を蓄冷部材6Bに受け渡すことで、昇温し、昇温した冷気が貯蔵室Tyの内部を流下するようになる。これにより、冷気が流下する速度を抑えることができ、棚71、72等でより多くの冷気を分岐させることが可能である。また、対流の速度がゆっくりであることから、冷気が持つ冷熱エネルギを物品に受け渡す時間が長くなり、貯蔵室Tyの内部を効率よく冷却することが可能である。
なお、本実施形態において、蓄冷部材6Bは、左右方向の長さが壁体410(冷却器)の長さとほぼ同じ長さとしているがこれに限定されるものではない。壁体410(冷却器)の後側の端部の下方を覆うことができる形状を広く採用することが可能である。
これ以外の特徴については、第1実施形態と同じである。
(第3実施形態)
本発明にかかる冷却庫のさらに他の例について図面を参照して説明する。図11は本発明にかかる冷却庫の他の例の冷凍室の拡大した正面図であり、図12は図11に示す冷却庫をXII−XII線で切断した断面図である。図11、図12に示す冷却庫Rfcは、蓄冷部材6の下方に、収納容器5を備えている以外、図1等に示す冷却庫Rfと同じ構成を有している。そして、冷却庫Rfcにおいて、冷却庫Rfと実質上同じ部分には同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図11、図12に示すように、冷却庫Rfcの貯蔵室Tyには、冷凍室4及び蓄冷部材6の下方に収納容器5が備えられている。収納容器5は、長方形状の底板部51と、底板部51の四辺より立設された側壁部52とを備えている。そして、収納容器5は、キャビネット1の内箱12の左右の側壁より内側に突出し、開口部から奥に向かって延びる凸条121に摺動可能に支持される。これにより、収納容器5は、ドア2にて開閉される開口から外側に突出した突出位置と、貯蔵室Tyの内部に収容された収容位置との間で摺動可能となっている。収納容器5は冷凍室4に近接して配置していることからもわかるように、棚71、72や収納箱体8で収容する物品に比べ、低温での保管に適したものが配置されるようになっている。
冷凍室4の本体部41の下側の壁体410(冷却器)からの冷気は蓄冷部材6の表面を流れて蓄冷部材6の端縁部から下方に流れる。また、壁体410(冷却器)の蓄冷部材6と上下方向に重なっていない部分では、壁体410(冷却器)で発生した冷気は、そのまま、蓄冷部材6の辺縁部から下方に流下する。そして、壁体410(冷却器)で発生し直接流下する冷気と、蓄冷部材6の表面を流れた冷気とが、蓄冷部材6と貯蔵庫Tyの内壁との隙間を蓄冷部材6及び収納部材5の下方に流下する。
収納容器5の底板部51は蓄冷部材6と対面していることから、底板部51に載置された物品は蓄冷部材6の下面からの輻射によって冷却される。蓄冷部材6は、壁体410(冷却器)と隙間をあけて配置されていることで過冷却の抑制がなされており、蓄冷部材6は凝固点に近い温度となっている。そのため、底板部51に載置された物品が蓄冷部材6の輻射によって冷却されることで、壁体410(冷却器)から直接冷却される場合に比べて、ゆっくり冷却される。そのため、収納容器5で保管する物品をゆっくり冷却することが可能であり、近傍に蓄冷部材6を配置しているので扉の開閉などによる急激な温度変化に対して、保管した物品への影響を低減することができる。
このような直冷式冷却庫において、収納容器5は冷凍しない程度に低温で保管する物品が収納される。このような収納容器5に外部から投入された物品を収納すると、すでに収納容器5で保管している物品との間の温度差が大きくなり、既収納物品の温度上昇の原因となる。収納容器5に蓄冷部材6が近接配置されているため、蓄冷部材6の輻射によって収納容器5の全体を冷却する。蓄冷部材6の輻射による冷却は、収納容器5の底板部51の全体を冷却することができるため、収納容器5に既収納されている既収納物品の温度上昇を抑制するとともに、外部から投入された物品を効果的に冷却することが可能である。
また、本実施形態では、取付レール44を冷凍室4の本体部41の下側の壁体410(冷却器)に取り付けるものとしているが、これに限定されるものではない。例えば、収納容器5の底板部51から突出した構成のもので、壁体410(冷却器)と蓄冷部材6との間に隙間(空気層)が形成されるように蓄冷部材6を保持できるものであってもよい。
これ以外の特徴は、第1実施形態及び第2実施形態と同じである。
(第4実施形態)
本発明にかかる冷却庫のさらに他の例について図面を参照して説明する。図13は本発明にかかる冷却庫のさらに他の例の冷凍室の拡大した正面図であり、図14は図13に示す冷却庫をXIV−XIV線で切断した断面図である。図13、図14には、説明の便宜上ドア2を不図示としているが、実際には、図1等と同様、前面側の開口を閉じるようにドア2が取り付けられている。図13、図14に示す冷却庫Rfdは、収納部材6dが異なる以外、図1等に示す冷却庫Rfと同じ構成であり、実質上同じ部分には同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図13、図14に示すように、冷却庫Rfdは、冷凍室4の下部に配置される収納容器5dの水平投影面積が、蓄冷部材6の平面面積よりも大きく形成されている。そして、収納容器5dは垂直方向に蓄冷部材6の下部を完全に覆うように貯蔵室Tyに取り付けられている。
冷却庫Rfdでは、本体部41の下側の壁体410(冷却器)からの冷気と蓄冷部材6の表面を流れた冷気とが混合された冷気の一部は収納容器5dに流入する。これにより、蓄冷部材6の端部から流れる冷気と蓄冷部材6の輻射によって、収納容器5dの底板部51dに載置された物品は冷却される。これにより、収納容器5dの底板部51dの上部に載置された物品を迅速に冷却することが可能となる。
そして、蓄冷部材6の側部から流入する冷気による冷却と蓄冷部材6の下面からの輻射による冷却の割合を調整することで、収納容器5dの底板部51dに載置された物品の冷却速度を変更することが可能である。このような、収納容器5dの底板部51dに載置された物品の冷却速度を変更する方法として、例えば、収納容器5dと蓄冷部材6の大きさを調整する方法を挙げることができる。
例えば、収納容器5dに比べて蓄冷部材6を小さくすると、壁体410(冷却器)の表面からの非常に低い温度の冷気が蓄冷部材6の側部を通過し、収納容器5dの底板部51dに流れ込みやすくなる。また、蓄冷部材6が小さくなることで、蓄冷部材6の下面からの輻射による冷却の比率を低くすることができる。収納容器5dの底板部51dに載置された物品は、低温の冷気によって冷却される割合が高くなるため冷却の速度が高くなる。
このように、収納容器5dの垂直投影面積を蓄冷部材6よりも大きく形成することで、収納容器5dの底板部51dに載置された物品の冷却速度を変更することが可能である。これ以外の特徴については、第3実施形態と同じである。
(その他の実施形態)
本発明にかかる冷却庫のその他の例について図面を参照して説明する。図15は本発明にかかる冷却庫のさらに他の例の蓄冷部材を拡大した正面図である。図15に示す冷却庫Rfeは、取付レール44eを備え、蓄冷部材6を2枚備えている以外、図1等に示す冷却庫Rfと同じ構成を有しており、実質上同じ部分には同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図15に示すように、取付レール44eは上下2段の保持部441を備えている。そして、上下2段の保持部441に下面を保持されるように、2個の蓄冷部材6が配置されている。上下2段の保持部441に蓄冷部材6を取り付けることで、蓄冷部材6同士が離れた状態配置され鵜ようになっている。これにより、下側の蓄冷部材6は、上側の蓄冷部材6からの輻射によって冷却されるものであるため、蓄冷部材6に冷熱エネルギが蓄積されるまでの時間を長くすることが可能である。これにより、蓄冷部材6の下方に配置される収納容器に配置した物品の冷却速度を低くすることが可能である。
また、蓄冷部材6を複数枚(2枚を図示しているがそれに限定されない)重ねて配置するようにしてもよい。このとき、蓄冷部材6は同じものを2個配置するようにしてもよいし、大きさ(厚さ、投影面積)が異なる蓄冷部材6を配置するようにしてもよい。また、凝固点の異なる蓄冷部材6を重ねて配置するようにしてもよい。
例えば、収納容器5、5dに近い方(図15では下側)に凝固点が高い蓄冷部材6を配置することで、収納容器5、5dに収納された物品の冷却をゆっくり行うことが可能である。また、複数個の蓄冷部材6を備える場合、蓄冷部材6の間にも空気の層が形成されるように配置するようにしてもよい。このように配置することで、複数個の蓄冷部材6の間を冷気が流れるため、冷気の温度をさらに細かく調整することが可能である。なお、以上説明した例では、蓄冷部材6を2個備えるものとしているが、これに限定されるものではなく、少なくとも蓄冷部材6と壁体410(冷却器)との間に隙間ができるように配置できるものであれば、個数は限定されない。
また、このように蓄冷部材6を複数個備えることができる構成の場合、冷却庫Rfの運転中に、蓄冷部材6の個数を変更することで、貯蔵庫Tyの内部の冷却速度、温度分布を変更するようにしてもよい。
図16は本発明にかかる冷却庫のさらに他の例の蓄冷部材を拡大した断面図である。図16に示すように、蓄冷部材6を取り付けるための取付レール44fは、保持部441fが後方に行くにしたがって下方に向かうようにθ°傾斜している。また、蓄冷部材6をしっかり保持するため、規制部442fも垂直線に対してθ°傾いている。
このような取付レール44fに蓄冷部材6を取り付けることで、蓄冷部材6自体も、後側が下方に傾く。このように傾斜が形成されていることで、蓄冷部材6の上面に接触し下方に流れようとする冷気が、傾斜下方側である冷却庫Rffの後側に向かって流れやすくなる。このように形成することで、冷気の対流が発生しやすくなる。
また、図16に示すように、蓄冷部材6の下面は上面と平行(或いは、略平行)であるため、下面は、前側に向かって上方に向かうように傾斜している。貯蔵室Ty内部で昇温された空気が上方に向かって流れ、蓄冷部材6に接触すると、空気は下面に沿って前側に流れやすくなる。このように、上昇する空気の流れを前側に送るように傾いていることで、貯蔵室Tyの内部に対流が発生しやすくなる。
なお、蓄冷部材6の傾斜角度θ°は、蓄冷部材6の前側の端部が、冷凍室4の下側の壁体410(冷却器)と接触しない角度である。
なお、蓄冷部材6を傾斜させる方法として、取付レール44fを傾斜させた形状としているが、これに限定されるものではない。例えば、上面が後側に行くほど下方に傾斜するように形成した蓄冷部材6を用いるようにしてもよい。また、このとき、下面も取付レール44に保持される部分を除いて、傾斜した面となるように形成してもよい。
また、蓄冷部材6の傾斜方向を、前側が下になるようにすることで、貯蔵室Tyの前側で冷気を降下させることも可能である。このように貯蔵室Tyの前側で冷気を硬化させることで、例えば、ドアポケット21、22、23を冷却する場合や、棚71、72の前側を素早く冷却することが可能である。さらには、蓄冷部材6の傾斜方向を左右にしてもよいし、斜め方向としてもよい。蓄冷部材6の傾斜方向を変更することで、冷気が下方に流れ出す位置を調整することができる。
また、図17は本発明にかかる冷却庫のさらに他の例に用いられる収納容器の平面図である。図17に示すように収納容器5gは、底板部51gの後側の端部冷気が抜けるための貫通孔510が形成されている。このような貫通孔510が形成されていることで、冷気が下方に流下しやすくなっており、貯蔵室での冷気の循環を円滑かつ確実に行うことができる。これにより、貯蔵室の冷却速度及び温度分布を適度に調整可能である。なお、本実施形態では、貫通孔510となっているが、摺動式の開閉部材が取り付けられ、開口面積を調整可能となっていてもよい。また、底板部51g自体伸縮可能となっており、底板部51gを伸縮させることで、冷気が流下する開口を形成する構成となっていてもよい。
なお、上述の各実施形態において、蓄冷部材6の冷熱エネルギを蓄積しておくことで、停電、故障等で冷却装置3が停止したとしても、貯蔵室Tyの内部の温度を、一定の期間低温に維持できることは言うまでもない。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではなく、本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。また、本発明の実施形態のうちいくつか或いはすべてを組み合わせてもちいてもよい。
本発明にかかる冷却庫は、周囲を断熱体13で囲まれた貯蔵室Tyと、貯蔵室Ty内の上部に配置され、貯蔵室Tyの内部を冷却する冷却器410と、空気層を挟んで冷却器410の下方に配置された蓄冷部材6とを備え、蓄冷部材6が、冷却器410の下面の一部又は全部を覆うように配置されていることを特徴とする。
この構成によると、冷却器410で冷却された空気(発生した冷気)の多くが蓄冷部材6に接触して下方に流れ、そのとき、冷気が蓄冷部材6を冷却するため、温度が低すぎる冷気が貯蔵室Ty内に循環するのを抑制し、貯蔵室Ty内の過冷却や乾燥を抑制することができる。
また、冷却器410で発生した冷気の一部を、直接(蓄冷部材に接触させず)貯蔵室Tyの内部に流下させることができるので、貯蔵室Tyに向かって流れる冷気の温度を調整し、貯蔵室Tyの冷却速度を調整することが可能である。また、流下する冷気の温度を調整することで、貯蔵室Ty内部の温度分布を調整することができる。
本発明にかかる冷却庫において、蓄冷部材6が、冷却器410の下面の貯蔵室Tyの奥側の下方を覆うとともに、端部が貯蔵室Tyの内面との間に隙間が形成されるように配置されている。
この構成によると、蓄冷部材6が、冷却器410の下面の貯蔵室Tyの奥側の下方を覆うように構成することで、冷却器410で冷却された空気(冷気)が確実に蓄冷部材6に接触させるように、通風路を形成することが可能である。これにより、蓄冷部材6に各軸に冷温エネルギを蓄積させることが可能である。また、蓄冷部材6の端部と貯蔵室Tyの奥側の内面との間に隙間を形成することで、貯蔵室Tyの内部に冷気の対流を確実に発生させることができる。これにより、貯蔵庫Tyの内部の温度分布の調整が可能である。
本発明にかかる冷却庫において、蓄冷部材6が、冷却器410に設けられた取付手段44に着脱可能に取り付けられている。
この構成によると、蓄冷部材6の取り付けを容易に行うことができるとともに、蓄冷部材6と冷却器410との空間(空気層)を確実に形成することが可能である。
本発明にかかる冷却庫において、蓄冷部材6の上面が、貯蔵室Tyの奥側が下になるように傾斜する。
この構成によると、冷却器410で冷却され流下する空気を貯蔵室Tyの奥側に集めることができる。これにより、貯蔵室Tyの内部に効率よく対流を発生させることができ、貯蔵室Tyの内部の温度分布を調整できる。
本発明にかかる冷却庫において、蓄冷部材6の下面が、貯蔵室Tyの前側が上になるように傾斜する。
このように構成することで、貯蔵室Tyの内部で昇温された空気が上昇するとき、その上昇する空気を貯蔵室Tyの前側に集めることができる。これにより、貯蔵室Tyの内部に効率よく対流を発生させることができ、貯蔵室Tyの内部の温度分布を調整できる。
本発明にかかる冷却庫において、蓄冷部材6が、冷却器Tyの下方に複数個取り付けられている。
このように構成することで、下の段の蓄冷部材6は上の蓄冷部材6からの輻射によって冷却されるため、蓄冷部材6の冷却時間を延ばす(変更することが可能である)。また、蓄冷部材6の大きさ、材料等を変更することで、貯蔵室Tyの冷却温度、冷却速度を調整することが可能である。
本発明にかかる冷却庫において、蓄冷部材6の下方に空間をあけて配置された収納容器5dを備えており、冷却器410及び蓄冷部材6が収納容器5dの投影面積内に配置されている。
このように構成されていることで、収納容器5dに配置されている物品の冷却を、蓄冷部材6の輻射による冷却と、冷却器410で冷却された空気(冷気)による冷却の両方で行うことができる。そして、蓄冷部材6の大きさを変更することで、輻射による冷却と冷気による冷却との比率を調整することができ、収納容器5dに配置されている物品の冷却速度を調整することが可能である。
本発明にかかる冷却庫において、貯蔵室Tyの上端部には、物品を冷凍保存するための冷凍室4を備えており、冷却器が冷凍室4の下側の壁体410を含んでいる。
このように構成することで、貯蔵室Tyに温度の異なる複数の空間を形成することができる。また、冷凍室4の冷却と蓄冷室Tyの冷却を共通化することができ、貯蔵室Tyの内部空間が狭くなるのを抑制することができる。