JP2015014395A - 空気調和機 - Google Patents

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Biso Hirose
美早 廣瀬
井関 崇
Takashi Izeki
崇 井関
荒木 邦成
Kuninari Araki
邦成 荒木
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Abstract

【課題】本発明は、冷凍機油の加水分解を抑制する空気調和機を提供することを目的とする。【解決手段】圧縮機、室外熱交換器、膨張機構及び室内熱交換器と、R32冷媒又はR32が50重量%より多く含まれている混合冷媒と、ポリオールエステル油と酸捕捉剤を有する冷凍機油とを備え、酸捕捉剤はアルキルグリシジルエステル化合物及びシクログリシジルエーテル化合物を有し、酸捕捉剤におけるアルキルグリシジルエステル化合物の割合は10〜97%である空気調和機。【選択図】図3

Description

本発明は、空気調和機に関する。
ルームエアコン用の冷媒は、オゾン層保護のためR22から代替冷媒へと移行され、現在は主にR410Aが使用されている。しかし、R410Aは地球温暖化係数(以下「GWP」という。)が2088と高く、地球環境に及ぼす影響を低減するために、地球温暖化係数がR410Aの1/3程度であるジフルオロメタン(以下「R32」という。)へ移行することが検討されている。
ところで、冷媒の種類によって、相溶する冷凍機油は異なる。冷凍機油は圧縮機中に貯留され、圧縮機が起動すると各摺動部分に給油され、一部は冷媒とともに圧縮機の外へ吐出される。このとき、冷凍機油が冷媒に溶けづらいと、冷凍サイクル中の低温部で冷凍機油が冷媒から分離し、圧縮機に冷凍機油が戻らず、圧縮機内の冷凍機油の量が減少する。
このような問題を避けるため、HFC(Hydro Fluoro Carbons)系冷媒に対しては、一般に冷媒と相溶性の良いポリオールエステル油(以下「POE油」という。)やポリビニルエーテル油(以下「PVE油」という。)が冷凍機油として用いられている。
ここで、POE油を用いる場合、冷凍サイクル中に水分が混入すると、POE油は加水分解を起こし、劣化する。そのため、POE油を用いる場合、POE油の加水分解を抑制するために、エポキシ化合物などの酸捕捉剤が添加される。
特許文献1には、冷凍機油の酸捕捉剤として、グリシジルエステル、グリシジルエーテル及びα―オレフィンオキシドの中から選ばれる少なくとも1種が用いられ、又、2種以上を組み合わせて用いてもよいことが記載されている。
特開2008−266423
R32はR410Aよりも比熱比が高いため、R32を冷媒として採用すると、R410Aに比べて、圧縮機の吐出温度が高くなる。高圧チャンバ方式の圧縮機の場合、圧縮されて高温となった冷媒が圧縮機の中に充満する。
高温下ほど冷凍機油の加水分解が促進されるため、特許文献1に記載された酸捕捉剤では、冷凍機油の加水分解を十分に抑制することができない。
そこで、本発明は、冷凍機油の加水分解を抑制する空気調和機を提供することを目的とする。
本発明の空気調和機は、圧縮機、室外熱交換器、膨張機構及び室内熱交換器と、R32冷媒又はR32が50重量%より多く含まれている混合冷媒と、ポリオールエステル油と酸捕捉剤を有する冷凍機油とを備え、酸捕捉剤はアルキルグリシジルエステル化合物及びシクログリシジルエーテル化合物を有し、酸捕捉剤におけるアルキルグリシジルエステル化合物の割合は10〜97%である。
本発明によれば、冷凍機油の加水分解を抑制する空気調和機を提供することができる。
冷暖房兼用の空気調和機の概略図である。 密閉型圧縮機の概略図である。 アルキルグリシジルエステル化合物及びシクログリシジルエーテル化合物の混合比と加水分解安定性試験後の酸捕捉剤存存率及び酸価との関係について示す図である。
以下、本発明の実施例に係る空気調和機について説明する。図1は冷暖房兼用の空気調和機の概略図である。本実施例の空気調和機は、圧縮機1、室外熱交換器3、膨張機構4、室内熱交換器5を配管で接続し、冷媒が循環する。
冷房運転の場合、圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒は、四方弁2を介して室外熱交換器3に流れる。高温高圧のガス冷媒は、凝縮器として機能する室外熱交換器3で冷却され、高圧の液冷媒となる。高圧の液冷媒は、膨張機構4で膨張され、僅かにガスを含む低温低圧の液冷媒となって、室内熱交換器6に流れる。低温低圧の液冷媒は、蒸発器として機能する室内熱交換器6で加熱され、低温のガス冷媒となり、再び四方弁2を介して圧縮機1に戻る。暖房運転の場合、四方弁2によって冷媒の流れが変えられ、冷媒は冷房運転と逆方向に流れる。
なお、四方弁2を用いずに、冷房あるいは暖房のいずれか一方のみの機能を有するように構成してもよい。また、膨張機構4として、電子膨張弁、キャピラリーチューブや温度式膨張機構などを用いることができる。
図2は圧縮機の概略図である。圧縮機1は、端板7と渦巻状ラップ8を有する固定スクロール部材6と、ラップ10を有する旋回スクロール部材9をお互いにラップ8とラップ10とを向い合わせにして噛み合わせて圧縮機構部を形成し、旋回スクロール部材9をクランクシャフト11によって旋回運動させる。固定スクロール部材6及び旋回スクロール部材9によって形成される圧縮室12(12a、12b・・・)のうち、最も外側に位置している圧縮室は、旋回運動にともなって容積が次第に縮小しながら、固定スクロール部材6及び旋回スクロール部材9の中心に向かって移動していく。圧縮室12が固定スクロール部材6及び旋回スクロール部材9の中心近傍に達したとき、圧縮室12が吐出口13と連通して、圧縮室12で圧縮されたガス冷媒が吐出パイプ16を通じて圧縮機1の外に吐出される。
圧縮機1は、圧力容器15内に電動モータ17を内蔵しており、圧縮機1は一定速あるいは図示しないインバータによって制御された電圧に応じた回転速度でクランクシャフト11が回転し、圧縮動作を行う。電動モータ17は冷媒及び冷凍機油の雰囲気中で作動する。モータ17の図示しないコイルの相間や積層鋼鈑の間には、その絶縁を保持するために絶縁フィルムが配置されている。しかし、絶縁フィルムは、安価なポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のフィルムを用いている。
また、電動モータ17の下部に油溜め部が設けられており、油溜め部に溜まっている冷凍機油は圧力差によってクランクシャフト11に設けられた油孔19を通って、旋回スクロール部材9とクランクシャフト11との摺動部や滑り軸受け18等の潤滑に供される。
本実施例では、冷媒としてR32を用い、冷凍機油としてR32と相溶性があり、潤滑性に優れるPOE油を用いている。
POE油は、潤滑性能に優れるが、水分により分解し脂肪酸を生成する特性がある。脂肪酸を生成すると金属表面の腐食を引き起こし、又、生成した脂肪酸を触媒として冷凍機油の劣化が進行するおそれがある。
さらに、R32は極性が高いため、冷媒としてR32を用いると、R410Aと比較して持ち込み水分量が多くなる。また、冷媒として用いられてきたR410Aに比べて、R32はR410Aよりも比熱比が高いため、圧縮機1の吐出温度が上昇しやすく、圧縮機1の吐出温度が100℃を超える可能性がある。高圧チャンバ方式の圧縮機の場合、圧縮されて高温となった冷媒が圧縮機の中に充満する。つまり、冷媒としてR32を用いると、持ち込み水分量が多くなり、又、圧縮機の高温化により冷凍機油の加水分解が促進されるため、R410A使用時よりも冷凍機油が劣化しやすくなる。
酸捕捉剤としては、エポキシ化合物、カルボジイミド等があるが、本実施例ではエポキシ化合物を用いている。エポキシ化合物は、水分及び酸を捕捉し、安定な物質に変える特性がある。また、エポキシ化合物は冷凍機油が劣化して生成する酸のほかに、冷凍サイクル中に存在する水分を捕捉する効果があるため、モータに使用する絶縁フィルム等を保護する効果もある。
本実施例は、酸捕捉剤としてアルキルグリシジルエステル化合物とシクログリジルエーテル化合物を用いている。アルキルグリシジルエステル化合物は、化学式(1)に示す構造のもの(式中のR1は炭素数4〜9のアルキル基である)を用い、本実施例のシクログリシジルエーテル化合物は、化学式(2)に示す構造のものを用いている。
アルキルグリシジルエステル化合物は水分との反応性が高く、また低温で反応するため、冷凍サイクル中の水分と素早く反応し、冷凍機油の加水分解を抑制することが出来る。つまり、速効性であり、冷凍サイクル中の初期水分を低下させることが出来る。しかし、アルキルグリシジルエステル化合物は、速効性があるため、残存量の低下が早く、長期運転後に冷凍機油の劣化が発生する可能性がある。
一方、シクログリシジルエーテル化合物は比較的高温で反応し、アルキルグリシジルエステル化合物よりも耐熱性が高く、アルキルグリシジルエステル化合物が速効性であるのに対して遅効性である。しかし、シクログリシジルエーテル化合物は、水分との反応性がアルキルグリシジルエステル化合物よりも低く、シクログリシジルエーテル化合物のみでは水分を十分に捕捉できずに冷凍機油が加水分解を防ぐことができず、酸価が上昇してしまう。
そこで、本実施例では、アルキルグリシジルエステル化合物とシクログリシジルエーテル化合物を混合して用い、運転初期の段階で冷凍サイクル内の水分をアルキルグリシジルエステル化合物によって捕捉し、運転中に圧縮機内部が高温になるなどして冷凍機油が劣化し酸を生成した際にはシクログリシジルエーテル化合物により捕捉させている。
本実施例では、上述したとおり、冷凍機油としてR32と相溶性があり、潤滑性に優れるPOE油を用いている。ここで、相溶性とは、冷媒と冷凍機油が分離せず溶解する特性である。相溶性が悪いと、圧縮機から冷媒と共に、冷凍サイクル中に吐出された冷凍機油が、冷凍サイクルの低温部で分離し、圧縮機に戻らず給油不足となる可能性がある。ここでは相溶性の指標として、低温側臨界溶解温度を用いる。低温側臨界溶解温度が高いほど相溶性が悪く、低いほど相溶性が良いと言える。そのため。R32との低温側臨界溶解温度が10℃以下であることが望ましい。また、潤滑性としては、動粘度が40mm2/s〜100mm2/sの範囲にあるPOE油を用いることが望ましい。
このような条件を満たした冷凍機油を作製するためには、例えば、多価アルコールとしては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどがある。1価の脂肪酸としては、ブタン酸、ペンタン酸、2−メチルプロパン酸、2−メチルブタン酸等の炭素数4〜5と比較的炭素数の少ない脂肪酸などが挙げられ、基油の異常な粘度低下を防止するために、オクタン酸、2−メチルペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、3、5、5−トリメチルヘキサン酸等の炭素数8〜12の比較的炭素数の多い脂肪酸を単独で、又は混合して用いる。
特に、実際のルームエアコンのサイクルにおいて低温時の寝込み等を考慮すると使用する冷凍機油とR32の低温側臨界溶解温度は0℃以下が好ましい。R32との低温側臨界溶解温度が0℃以下となるPOE油としては下記化学式(3)〜(6)を示す構造のものを単独もしくは2つ以上組み合わせたものが好ましく(式中、R2は炭素数4〜9のアルキル基を表す)、さらに、高粘度の維持及び潤滑性の向上のため式(5)と式(6)のいずれか、若しくは、混合したものが好ましい。
次に、本実施例についてシールドチューブ試験により冷凍機油の耐加水分解性を評価した結果を説明する。耐加水分解性の試験方法は以下の通りである。外径13mm、内径10mmのガラスアンプル管に冷媒を0.5g、冷凍機油を5g封入した。実施例1〜3及び比較例1〜7は、冷媒としてR32、冷凍機油としてR32との相溶性に優れる化学式(3)及び(4)に示す構造のものを混合した基油を用い、従来例1〜2は、冷媒としてR410A、冷凍機油としてR410Aとの相溶性に優れる化学式(3)に示す構造の基油を用いた。
そして、実施例1〜3、比較例1〜7及び従来例1〜2に、酸捕捉剤として化学式(1)に示すアルキルグリシジルエステル化合物、化学式(2)に示すシクログリシジルエーテル化合物を冷凍機油に添加した。表1は、冷凍機油に対するアルキルグリシジルエステル化合物とシクログリシジルエーテル化合物の添加割合である。
アルキルグリシジルエステル化合物とシクログリシジルエーテル化合物の単位当たりの酸捕捉能力は異なる。そこで、酸捕捉能力を現行のR410A冷媒用冷凍機油の従来例1〜2の酸捕捉剤と同等になるようアルキルグリシジルエステル化合物及びシクログリシジルエーテル化合物の比率をそれぞれ変えて添加した。実施例1〜3、比較例1〜2及び7、従来例1〜2の酸捕捉剤の酸捕捉能力は同等である。
なお、酸捕捉剤の酸捕捉能力の理論値を酸価と同じ単位(mgKOH/g)で表すと、式(7)で表される。アルキルグリシジルエステル化合物の分子量は158〜228、シクログリシジルエーテル化合物の分子量は252である。
冷凍機油の水分を1,000ppmに調整し、触媒として冷凍サイクル中に多く使用される金属部材である鉄、銅、アルミ(それぞれφ1.6mm、長さ50mm)を共存させ、175℃で14日間加熱した後の冷凍機油のあわ立ちを観察し、酸価及び添加剤残存率を測定した。あわ立ちは、ガラスアンプル管を開封し冷媒を脱気する際に発生する気泡の様子を観察し、気泡が消えずガラスアンプル管からあふれてしまったものをNGとした。酸価はJIS K2501「石油及び潤滑油―中和価試験方法」に従った。添加剤残存率は、ガスクロマトグラフにて測定した。
表2は表1に示す酸捕捉剤を上述した条件で測定した耐加水分解性試験の結果を示している。
まず、従来例1及び従来例2については酸価の上昇が見られない結果になった。特に、従来例2については酸捕捉剤残存率も50%以上であり、酸捕捉剤が十分に残存している。ルームエアコンの寿命は通常10年を想定するが、実際に冷媒としてR410A、冷凍機油として従来例2を使用したルームエアコンの10年間運転後の冷凍機油を分析すると、酸価は0.01mgKOH/g以下、酸捕捉剤残存率は約50%、油中金属量はアルミ(Al)、銅(Cu)、鉄(Fe)の3元素においてそれぞれ0.1ppm以下となった。つまり、175℃で14日間加熱を継続する試験は、ルームエアコンを10年間運転した状態を再現しているといえる。
そこで、本実施例における酸捕捉剤についても、175℃で14日間加熱を継続する試験を行い、従来例2の酸捕捉剤と同等の結果が得られれば、信頼性を確保した酸捕捉剤であると判断することにした。
比較例1は、R32用冷凍機油に従来例1の酸捕捉剤を添加したものである。表2に示すように、比較例1の酸捕捉剤の酸捕捉剤残存率は0となり、冷凍機油の酸価が上昇する結果となった。従って、比較例1の酸捕捉剤では、R32用の冷凍機油の加水分解を防ぐことができないことがわかった。
比較例2は、R32用の冷凍機油に従来例2の酸捕捉剤を添加したものである。表2に示すように、比較例2の酸捕捉剤は、比較例1の酸捕捉剤と異なり、酸捕捉剤残存率50%以上を確保できているが、冷凍機油の酸価が上昇する結果となった。つまり、比較例2の酸捕捉剤も、冷凍機油の加水分解を抑制できないことがわかった。これは、シクログリシジルエーテル化合物は、水分との反応性が低く、水分を十分に捕捉できていないことが原因と考えられる。
以上の結果から、R410A用冷凍機油に添加していた添加剤では、R32用冷凍機油の加水分解を抑制できないことがわかった。
次に、R410A用冷凍機油に添加していた添加剤を用い、添加量を増やして試験を行なった結果について説明する。比較例3は、比較例1に対して、アルキルグリシジルエステル化合物の添加量を増やし、冷凍機油全重量におけるアルキルグリシジルエステル化合物の割合を2wt%にしたものである。比較例3の酸捕捉剤は、酸捕捉剤残存率が50%を下回っているが、比較例1と異なり、酸価の上昇は抑制できている。しかし、表2に示すとおり、油中金属では銅イオンの検出が認められ、銅触媒が影響を受けていることが推測される。アルキルグリシジルエステル化合物は過剰に添加すると圧縮機や、冷凍サイクル中の金属材料に影響を及ぼし、特に銅イオンなどの成分を油中に溶解させやすくなるからである。
比較例4は、比較例3に対して、アルキルグリシジルエステル化合物の添加量をさらに増やし、冷凍機油全重量におけるアルキルグリシジルエステル化合物の割合を5wt%にしたものである。比較例4の酸捕捉剤の酸捕捉残存率は比較例3よりも多いが、50%以下であり、油中金属では銅イオンの検出量も増加している。
比較例5は、比較例2に対して、シクログリシジルエーテル化合物の添加量を増やし、冷凍機油全重量におけるシクログリシジルエーテル化合物の割合を2wt%にしたものである。酸捕捉剤残存率は100%であり、全く減少していないが、酸価が上昇する結果となった。つまり、酸捕捉剤が冷凍機油の加水分解を抑制できていない。
比較例6は、比較例5に対して、さらにシクログリシジルエーテル化合物の添加量を増やし、冷凍機油全重量におけるシクログリシジルエーテル化合物の割合を5wt%にしたものである。酸捕捉剤残存率は96.9%と酸捕捉剤も十分に残存しており、酸価の上昇も抑制できている。しかし、シクログリシジルエーテル化合物の添加量が5wt%以上である場合、冷凍機油のあわ立ち性が高く摺動部への給油量が低下し、使用中に給油不足による潤滑不良を起こす可能性が考えられる。
以上の結果から、アルキルグリシジルエステル化合物またはシクログリシジルエーテル化合物の添加量を増やしても効果はなく、過剰に添加することにより金属部材や冷凍機油の他の性能に影響を及ぼすことがわかった。また、少なくともアルキルグリシジルエステル化合物の添加量は冷凍機油全重量に対して2wt%未満にする必要があることがわかった。さらに、添加剤自体の粘度が低いため冷凍機油の粘度が低下しシール性の低下につながるため、酸捕捉剤の添加量は極力増やさないほうが望ましい。
つぎに、R32冷媒用酸捕捉剤として、アルキルグリシジルエステル化合物及びシクログリシジルエーテル化合物を混合して酸捕捉剤を構成した場合について説明する。実施例1〜3及び比較例7は、アルキルグリシジルエステル化合物とシクログリシジルエーテル化合物を混合して添加したものである。添加量は従来例1及び従来例2の酸捕捉剤の酸捕捉能力に合わせ、アルキルグリシジルエステル化合物及びシクログリシジルエーテル化合物の比率をそれぞれ変化させて試験を実施した。
表2に示すとおり、実施例1〜3及び比較例7はいずれも酸価の上昇は見られないため、2種類の酸捕捉剤を混合して添加することにより、冷凍機油の劣化を抑制できていることがわかる。しかし、実施例1〜実施例3については酸捕捉剤残存率50%以上を確保しているが、比較例7については酸捕捉剤残存率が前歴に対して50%を下回る結果になった。
図3は、アルキルグリシジルエステル化合物及びシクログリシジルエーテル化合物の混合比と加水分解安定性試験後の酸捕捉剤存存率及び酸価との関係について示す図である。図3は、実施例1〜3、比較例1〜2、7についての加水分解安定性試験後の酸価と酸捕捉剤残存率をまとめた図である。
酸価を防ぐためには、酸捕捉剤をアルキルグリシジルエステル化合物及びシクログリシジルエーテル化合物を混合して構成する必要がある。しかし、アルキルグリシジルエステル化合物及びシクログリシジルエーテル化合物を混合して酸捕捉剤を構成したとしても、酸捕捉剤におけるアルキルグリシジルエステル化合物の比率が少なすぎると、冷凍機油中の水分を初期の段階で捕捉できない。図3に示すとおり、アルキルグリシジルエステル化合物の比率が10%を下回るとPOE油の加水分解を抑制することができず、冷凍機油の酸価が上昇する。
また、酸捕捉剤におけるアルキルグリシジルエステル化合物の比率が多すぎると、耐熱性の問題から消費量が多くなる。図3に示すとおり、アルキルグリシジルエステル化合物の比率が97%を超えるとPOE油の加水分解を抑制することができず、冷凍機油の酸価が上昇する。
そのため、冷凍機油の酸価を防ぐためには、アルキルグリシジルエステル化合物及びシクログリシジルエーテル化合物を混合して酸捕捉剤を構成することに加え、酸捕捉剤におけるアルキルグリシジルエステル化合物の割合を10〜97%にする必要がある。
なお、酸捕捉剤におけるアルキルグリシジルエステル化合物の割合は、式(8)を用いて計算した。
さらに、酸捕捉剤残存率50%以上を保つためには、酸捕捉剤におけるアルキルグリシジルエステル化合物の割合を10〜70%にする必要がある。酸捕捉剤残存率50%以上を保つことで、冷凍サイクル中の金属部材へ影響を与えることなく長期に渡り安定性を維持することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
本実施例の冷媒は、R32が50重量%より多く含まれている混合冷媒で構成してもよい。例えば、R32及びR125からなる冷媒や、R32及びR1234yfからなる冷媒や、R32、R1234yf及びR1234zeからなる冷媒を用いることができる。また、冷凍機油の加水分解を防ぐことが困難な他の冷媒にも用いることができる。
1…圧縮機、2…四方弁、3…室外熱交換器、4…膨張手段、5…室内熱交換機

Claims (5)

  1. 圧縮機、室外熱交換器、膨張機構及び室内熱交換器と、
    R32冷媒又はR32が50重量%より多く含まれている混合冷媒と、
    ポリオールエステル油及び酸捕捉剤を有する冷凍機油とを備え、
    前記酸捕捉剤はアルキルグリシジルエステル化合物及びシクログリシジルエーテル化合物を有し、
    前記酸捕捉剤におけるアルキルグリシジルエステル化合物の割合は10〜97%である空気調和機。
  2. 前記酸捕捉剤におけるアルキルグリシジルエステル化合物の割合は10〜70%であることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
  3. 前記冷凍機油全重量中における前記アルキルグリシジルエステル化合物の割合は2wt%未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気調和機。
  4. 前記アルキルグリシジルエステル化合物は式(1)(式中のR1は炭素数4〜9のアルキル基である)であり、
    前記シクログリシジルエーテル化合物は式(2)であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気調和機。
  5. 前記ポリオールエステル油は式(3)、(4)、(5)、または(6)の単独または混合である(式中のR1は炭素数4〜5のアルキル基又は炭素数8〜12のアルキル基であり、式中のR1の少なくとも1つは炭素数4〜5のアルキル基である)ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の空気調和機。
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