JP2002194369A - 空調用作動媒体組成物及び該組成物を用いた空調機 - Google Patents

空調用作動媒体組成物及び該組成物を用いた空調機

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JP2002194369A
JP2002194369A JP2000391808A JP2000391808A JP2002194369A JP 2002194369 A JP2002194369 A JP 2002194369A JP 2000391808 A JP2000391808 A JP 2000391808A JP 2000391808 A JP2000391808 A JP 2000391808A JP 2002194369 A JP2002194369 A JP 2002194369A
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Akira Ota
亮 太田
Yutaka Ito
伊藤  豊
Tadashi Iizuka
董 飯塚
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Abstract

(57)【要約】 【課題】冷媒/油混合液の潤滑性を改善し、空調機の信
頼性が大幅に向上する空調用作動媒体組成物及び空調機
を提供する。 【解決手段】プロパン(A)と、ナフテン系鉱油あるい
はパラフィン系鉱油(1)と、ポリオールエステル
(2)との混合油(B)とを含有し、混合油(B)にお
けるポリオールエステル(2)の混合割合が5重量%〜
70重量%であり、かつ混合油(B)の40℃の粘度が
40〜80mm2/s の範囲であることを特徴とする空調
用作動媒体組成物及びそれを用いた空調機。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空調用作動媒体組
成物、並びに該組成物を用いたスクロール式冷媒圧縮機
が使用されている空調機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、冷蔵庫に使用されていたCFC
(クロロフルオロカーボン)は、オゾン層保護の観点か
ら全廃された。また、ルームエアコンに使用されてお
り、オゾン破壊係数がCFCと比べて小さいHCFC2
2もオゾン破壊が深刻化しているという観点から全廃さ
れる予定である。これらの代替冷媒としては、分子中に
塩素を含まずオゾン層を破壊しないHFC(ハイドロフ
ルオロカーボン)系冷媒がある。具体的にはCFC12
(ジクロロジフルオロメタン)と近い熱力学特性を有す
るHFC134a(1,1,1,2−テトラフルオロエ
タン)が冷蔵庫に、HCFC22の代替としてはHFC
系の混合冷媒であるR410A(HFC32/125:
50/50重量%)やR407C(HFC32/125
/134a:23/25/52重量%)がルームエアコ
ンに採用されている。
【0003】しかし、これらHFCはオゾン層破壊には
寄与しないが、地球温暖化防止の観点から、HFCにつ
いても規制が進む方向にある。欧州では冷蔵庫の代替冷
媒には、地球温暖化係数が小さいHC(ハイドロカーボ
ン)系冷媒いわゆる自然冷媒を用いた冷蔵庫が製品化さ
れている。日本国内においても97年12月に開催され
た地球温暖化防止京都会議(COP3)においてHFC
が温室効果物質に指定された背景もあり、冷媒としてイ
ソブタン(R600a)を用いた冷蔵庫やプロパン(R
290)を用いたルームエアコンの開発が注目されてい
る。
【0004】一方、冷凍機油は冷媒圧縮機に使用され、
その摺動部の潤滑,密封,冷却等の役割を果たすもので
ある。近年、圧縮機は省エネルギー化,小型化,低騒音
化,高効率化が要求され、これに伴って冷凍機油の使用
条件が苛酷化している。このため、圧縮機の信頼性確保
の面から、潤滑性、特に耐摩耗性に優れた冷凍機油が要
求されている。
【0005】冷凍機油としては、ナフテン系やパラフィ
ン系鉱油およびアルキルベンゼンがCFC,HCFC系
冷媒との相溶性が良く、安価であることから広く用いら
れてきた。
【0006】プロパンはこれら冷凍機油との溶解性が高
すぎ、冷媒/油混合液の粘度低下から発生する圧縮機の
潤滑不良が懸念される。また、プロパンを用いた作動媒
体は、分子中に塩素やフッ素を含んでいるCFC系冷媒
と比べ、冷媒自身の潤滑性が期待できない。そのため特
開平8−170586号,特開平10−130685号
に開示されているように冷凍機油としてポリオールエス
テルを用いる方法が知られている。ポリオールエステル
はプロパンとの相溶性に優れ、潤滑性にも優れている。
しかし、水分が入った場合に加水分解しやすく冷凍サイ
クルの閉塞や摺動部における腐食摩耗の原因にもなる。
ルームエアコンの圧縮機として主流であるスクロール式
冷媒圧縮機の高効率化,高信頼性化を図るため、冷凍機
油には更に優れた潤滑性が必要となる。
【0007】上記問題に伴い、冷凍機油の潤滑性を向上
させるために添加剤が各メーカで検討されている。例え
ば特開平11−029766号,特開平9−15767
6号,特開平3−19926号,WO91/0909
7,特開平4−337391号などの多価アルコール部
分エステルが開示されているが、これら添加剤において
は十分な潤滑性が得られないもの、また、炭化水素系冷
媒との溶解性が劣るため低温で析出し、冷凍サイクルの
目詰まりの原因となるもの、更には冷凍機油に配合する
ことにより電気絶縁性が低下するといった問題があっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、冷媒/油混合液の潤滑性が優れる空調用作動媒体組
成物を提供することにある。
【0009】また、スクロール式冷媒圧縮機の摺動部摩
耗を大幅に抑制し、冷凍サイクルの目詰まりの心配がな
く信頼性が向上するルームエアコンを提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】課題の具体的解決手段
は、下記の通りである。 (1)プロパン(A)と、ナフテン系鉱油あるいはパラ
フィン系鉱油(1)と、ポリオールエステル(2)との
混合油(B)とを含有し、混合油(B)におけるポリオ
ールエステル(2)の混合割合が5重量%〜70重量%
であり、かつ混合油(B)の40℃の粘度が40mm2
s以上であることを特徴とする空調用作動媒体組成物。 (2)空調用作動媒体を有するスクロール式冷媒圧縮機
から吐出された冷媒ガスを凝縮手段,脱水手段,膨張手
段,蒸発手段を介し循環する冷凍サイクルを備えた空調
機において、前記空調用作動媒体がプロパン(A)、お
よび、ナフテン系鉱油あるいはパラフィン系鉱油(1)
とポリオールエステル(2)との混合油(B)を含み、
前記ポリオールエステル(2)が前記混合油(B)に対
し5重量%〜70重量%含まれており、かつ、前記混合
油(B)の40℃の粘度が40mm2/s 以上であること
を特徴とする空調機。
【0011】空調用作動媒体組成物の冷媒としてはプロ
パンが挙げられる。プロパンは分子中に塩素を含んでい
るCFC,HCFC系冷媒と比べ、冷媒自身の潤滑性が
期待できず、圧縮機の耐摩耗性を低下させる。
【0012】前記(1)に記載の空調用作動媒体組成物
を用いることで、冷媒/油混合液の潤滑性を大幅に向上
でき、かつ、熱安定性が優れた空調用作動媒体組成物を
得ることができる。
【0013】混合油はナフテン系鉱油あるいはパラフィ
ン系鉱油(1)とポリオールエステル(2)で構成され
る。ポリオールエステル(2)としては、多価アルコー
ルと1価の脂肪酸とから合成され、熱安定性に優れるヒ
ンダードタイプが好ましい。
【0014】例えば、多価アルコールとしては、ネオペ
ンチルグリコール,トリメチロールプロパン,ペンタエ
リスリトールがある。1価の脂肪酸としては、ペンタン
酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−メチル
ブタン酸、2−メチルペンタン酸、2−メチルヘキサン
酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、3,5,
5−トリメチルヘキサン酸等があり、単独で、または2
種類以上の混合脂肪酸にして用いる。
【0015】特に、冷凍機油の基油として、分子中にエ
ステル結合を少なくとも2ケ保有する式(1),(2)
または(3)で示される脂肪酸のエステル油の群から選
ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0016】
【化7】
【0017】
【化8】
【0018】
【化9】
【0019】(式中、R1は水素または炭素数1〜3の
アルキル基、R2は炭素数5〜12のアルキル基)。
【0020】本発明のルームエアコンに用いる混合油の
粘度グレードは圧縮機の種類により異なるが、スクロー
ル式冷媒圧縮機では40℃における粘度が40〜80mm
2/sの範囲が好ましい。また、混合油におけるポリオ
ールエステル(2)の混合割合は5重量%〜70重量%
であり、5重量%〜30重量%の割合で配合することが
より好ましい。
【0021】ポリオールエステルの配合割合が5重量%
未満では充分な潤滑性が得られず、70重量%を超える
と加水分解に起因する油劣化が進行し、脂肪酸及び脂肪
酸の金属石鹸等を生成して、圧縮機の腐食摩耗や冷凍サ
イクルの閉塞現象の要因となる。なお、本発明では前記
作動媒体組成物に酸化防止剤,酸捕捉剤,消泡剤,金属
不活性剤等を添加してもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】(実施例1〜2および比較例1〜
3)実施例1〜2では下記に示す化合物を用いた。 冷媒:プロパン(R290) 混合油成分1: (A)ナフテン系鉱油 40℃粘度55.3mm2/s (B)パラフィン系鉱油 40℃粘度61.16mm2/s 混合油成分2: (C)ヒンダードタイプポリオールエステル 40℃粘度62.5mm2/s (ペンタエリスリトール系の分岐鎖混合脂肪酸エステル) 実施例1〜2では冷媒にプロパンを用い、冷凍機油には
成分1の(A),(B)と成分2の(C)とを50/50
(重量比)で配合して冷媒/冷凍機油混合液の潤滑性を
評価した。
【0023】比較例1〜3では前記した(A),(B)
の化合物単独、および、(D)ポリ−α−オレフィン、
40℃粘度60.8mm2/s と(C)とを50/50
(重量比)に混合した混合油を用いた。 (潤滑性評価試験)上記した冷媒と成分1,成分2を混
合した冷凍機油、あるいは、単独のものを用い、冷媒/
冷凍機油混合液の潤滑性を評価した。冷媒と冷凍機油の
混合割合は20/80重量%とした。
【0024】評価装置には冷媒共存下において冷凍機油
の潤滑性を評価できる高圧雰囲気摩擦試験機を用いた。
本装置は摩擦部が圧力容器内に存在する。試験片の材質
には、回転試験片と固定試験片共にねずみ鋳鉄を用い、
形状は回転試験片が外径φ20×内径φ10×高さ12
mm、固定試験片が外径φ20×内径φ10×高さ8mmで
あり、固定試験片の表面には幅4mm×深さ3mmの油溝が
切ってある。
【0025】試験方法は下記の通りである。まず、圧力
容器内に治具およびロードセルをセットし、トルエンで
十分洗浄(10min ×2回)した試験片をセットする。
あらかじめ冷媒/冷凍機油混合液量が160mlとなる
ように冷媒、冷凍機油を耐圧ガラス容器に採取し、圧力
容器を装置に組み込み真空排気した後、冷媒/油混合液
を圧力容器内に導入する。
【0026】試験条件は、始めにならし運転を荷重0.
49kN ,回転速度1200min-1で15min 行った。
その後、荷重0.98kN(面圧7.16MPa)、回転
速度1200min-1(すべり速度1.0m/s)、雰囲気
温度は室温とし、摩擦時間は10hとした。
【0027】測定項目は運転前後の試験片重量,摩擦係
数である。摩耗量は回転試験片と固定試験片の総合摩耗
量とし、摩擦係数は10sec 間隔の全平均値を用いた。
試験の結果を表1に示す。表中の括弧内の数値は冷凍機
油の混合割合(重量%)を示している。また、同じ組み
合わせによる加水分解性試験を実施した。 (加水分解性試験)冷媒(プロパン)と冷凍機油を1:1
の重量比で圧力容器に封入し、オートクレーブテストを
実施した。油中の水分を100ppm に調整し、触媒には
銅,鉄,アルミを共存させ、175℃,21日間加熱し
た後の油を1/10N−KOH水溶液(イソプロパノー
ル性)で滴定し全酸価を求めた。試験の結果を表1に示
す。
【0028】空調用作動媒体組成物においては潤滑性と
熱安定性の両特性が優れることが望まれる。実施例で示
した摩耗量の目標値は摩耗量2mg以下、摩擦係数0.1
以下であり、耐加水分解性では全酸価が0.1mgKOH
/g である。以下に実施例の結果を示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1の比較例2で示したパラフィン系鉱油
は、試験の途中で試験片同士が金属接触して移着を起こ
す焼付きを生じており、摩耗量の測定ができなかった。
【0031】一方、比較例1のナフテン系鉱油単独にお
いても試験片の摩耗量が多く、摩擦係数が高いことから
潤滑性が劣る。また、比較例3で示したようにポリαオ
レフィンとポリオールエステルとの混合油においても摩
耗を抑制できていない。
【0032】これに対して、実施例1,2から明らかな
ように、本発明の空調用作動媒体組成物は、ナフテン系
鉱油及びパラフィン系鉱油にポリオールエステルを配合
することにより、試験の途中で焼付きを抑制し、摩耗量
及び摩擦係数を大幅に低減できる。また、実施例1,2
は加水分解性試験においても全酸価の増加が小さく、潤
滑性及び熱安定性に優れた空調用作動媒体組成物を得る
ことができる。 (実施例3〜7および比較例4〜6)次に上記実施例2
において潤滑性を向上させることを確かめられた空調用
作動媒体組成物を用い、混合油の濃度を変えて同様な摩
擦試験を行った結果を表1に示す。また、実施例1,2
で行った加水分解性試験をそれぞれ実施した。比較とし
て前記したポリオールエステルCを3重量%,90重量
%及び単独のものを取り上げた。試験結果を表1に併記
した。
【0033】表1から明らかなように、ポリオールエス
テルの混合割合が比較例4で示す3重量%では試験中に
焼付きを発生しており、潤滑性が劣る。これに対して、
実施例3〜7で示したようにポリオールエステルの混合
割合が5重量%以上とすることで、焼付きを抑制し、摩
耗量及び摩擦係数を大幅に低減できる。しかし、加水分
解性からポリオールエステルの混合割合が70重量%を
超えると全酸価が大幅に増加する。
【0034】上記からポリオールエステルの混合割合を
70重量%以下とすることによって、比較例5,6と比
べ全酸価の増加が小さく、耐加水分解性に優れた空調用
作動媒体組成物を得ることができる。また、金属触媒に
おいても変化はみられなかった。
【0035】上記から、ポリオールエステルの混合割合
については、5重量%未満では十分な潤滑性が得られ
ず、70重量%を超えると、加水分解性に起因する油劣
化が進行するため5重量%〜70重量%の範囲とするこ
とがよい。更に好ましくは混合油の耐加水分解性の観点
から5重量%〜30重量%の割合で配合することがより
好ましい。 (実施例8〜11および比較例7)実施例8〜11,比
較例7では下記に示す化合物を用いた。 冷媒:プロパン 混合油成分1: (E)ナフテン系鉱油 40℃粘度29.4mm2/s (F)ナフテン系鉱油 40℃粘度95.9mm2/s 混合油成分2: (G)ヒンダードタイプポリオールエステル 40℃粘度61.8mm2/s (ペンタエリスリトール系の分岐鎖混合脂肪酸エステル) (H)ヒンダードタイプポリオールエステル 40℃粘度7.0mm2/s (ネオペンチルグリコール系の直鎖単一脂肪酸エステル) (I)ヒンダードタイプポリオールエステル 40℃粘度31.8mm2/s (トリメチロールプロパン系の分岐鎖混合脂肪酸エステル) 実施例8〜11では冷凍機油である混合油の40℃にお
ける粘度を変化させた。比較例7では40℃における粘
度が40mm2/s 未満のものを用い、実施例1,2と同
様な潤滑性の試験と加水分解性試験を行った。表1に実
施例8〜11及び比較例7の結果を示す。表中の( )内
は冷凍機油の混合割合(重量%)を示している。
【0036】比較例7では混合油の粘度が低いため、摺
動面に形成される油膜が薄く、潤滑性が劣る。これに対
して、実施例8〜11に示したように、本発明の空調用
作動媒体組成物は、比較例7の潤滑性と比べ、混合油の
組み合わせに関係なく、40℃における混合油の粘度を
40mm2/s 以上とすることにより、摩耗量及び摩擦係
数を大幅に低減できる。また、実施例8〜11は全酸価
の増加も少なく、潤滑性及び熱安定性に優れた空調用作
動媒体組成物を得ることができる。
【0037】ポリオールエステルを配合するに当たり、
粘度グレードの異なるものを配合しても潤滑性を向上さ
せる効果が得られる。しかし、目的の粘度グレードに調
整する際にポリオールエステルの配合割合が決まってし
まう欠点があるため、任意の割合で配合できる同じ粘度
グレードのものを配合する方が好ましい。 (実施例12,13および比較例8〜10)図1に本実
施例の冷暖房兼用のルームエアコンの概略を示す。室内
を冷房する場合、圧縮機1の吐出パイプより断熱的に圧
縮された高温高圧の冷媒ガスは四方弁2を通り室外熱交
換器3(凝縮手段として使用される)で冷却され、高圧
の液冷媒となる。この冷媒は膨張手段4(例えば、キャ
ピラリーチューブや温度式膨張弁など)で膨張され、僅
かにガスを含む低温低圧液となって室内熱交換器5(蒸
発手段として使用される)に至り、室内の空気から熱を
得て低温ガスの状態で再び四方弁2を通って圧縮機1に
至る。室内を暖房する場合は、四方弁2によって冷媒の
流れは逆方向に変えられ、逆作用となる。
【0038】圧縮機としてはスクロール式圧縮機を用い
た。その概略構造を図2に示す。圧縮機は固定スクロー
ル部材6の端板7に直立する渦巻状ラップ8と、この固
定スクロール部材6と実質的に同一形状の端板9,ラッ
プ10からなる旋回スクロール部材9とをお互いにラッ
プ8とラップ10とを向い合わせにして噛み合わせて圧
縮機構部を形成し、旋回スクロール部材9をクランクシ
ャフト11によって旋回運動させる。固定スクロール部
材6及び旋回スクロール部材9によって形成される圧縮
室12(12a,12b……)のうち、最も外側に位置
している圧縮室は、旋回運動にともなって容積が次第に
縮小しながら、両スクロール部材6,9の中心に向かっ
て移動していく。両圧縮室12a,12bが両スクロー
ル部材6,9の中心近傍に達したとき、両圧縮室12
a,12bが吐出口13と連通して、両圧縮室内の圧縮
ガスが吐出パイプ16から圧縮機外に吐出される。
【0039】本圧縮機では、圧力容器15内に電動モー
ター17が内蔵されており、圧縮機は一定速あるいは図
示しないインバータによって制御された電圧に応じた回
転速度でクランクシャフト11が回転し、圧縮動作を行
う。また、前記モータ17の下部に油溜め部が設けられ
ており、この油は圧力差によってクランクシャフトに設
けられた油孔18を通って、旋回スクロール部材9とク
ランクシャフト11との摺動部、滑り軸受け19等の潤
滑に供される。
【0040】実施例12,13,比較例8〜10では図
1に示すルームエアコンを用い、本発明の空調用作動媒
体組成物を封入して室内機を恒温室(35℃,湿度75
%)に設置して2160時間運転する実機試験を行っ
た。冷媒,冷凍機油の組み合わせとしては実施例1,
2,比較例1〜3と同じ組合わせを取り上げた。
【0041】ルームエアコンの評価にはスクロール式圧
縮機の摩耗状態に着眼し、試験前後でのフレーム〜シャ
フト間の摩耗による隙間増加量を測定した。フレーム〜
シャフト間の隙間増加量が増えるほど摩耗量が大きいこ
とを示しており、一般に隙間増加量が増えるに伴い振動
や騒音が大きくなる。
【0042】また、試験油の全酸価を測定した。更に試
験後の蒸発器付近を開管して付着物の有無を調べた。
【0043】更に、図1に示したルームエアコンを用い
て(社)日本冷凍空調工業会規格(JRA4046:ル
ームエアコンディショナの期間消費電力量算出基準)に
基づき、消費電力量試験を行い期間消費電力量を算出し
た。ここでは比較例9の期間消費電力量を100%とし
て表示した。
【0044】本試験の目標値はフレーム〜シャフト間の
摩耗による隙間増加量が15μm以下、期間消費電力量
が比較例9を100%とした場合に100%未満となる
こと、全酸価0.1mgKOH/g 以下であり、更に蒸発
器に付着物がないことの全項目を満たすことを目標とし
た。実施例12,13及び比較例8〜10の結果を表2
に示す。表中の( )内は混合油の重量割合を示す。
【0045】表2から明らかなように、実施例12,1
3で示した本発明のルームエアコンは、比較例8〜10
のナフテン系鉱油,パラフィン系鉱油単独及びポリαオ
レフィンを用いた混合油と比べてフレーム〜シャフト間
の隙間増加量が大幅に低減でき、摩耗を抑制することか
らルームエアコンにおいて高い信頼性が得られる。ま
た、試験後の全酸価の増加も少なく、蒸発器付近に付着
物は全くみられなかった。更に、実施例11,12に示
したように本発明のルームエアコンは比較例9と比べ、
圧縮機内部の摩擦抵抗が減少するため期間消費電力量が
減少する。
【0046】
【表2】
【0047】(実施例14〜18および比較例11〜1
3)実施例14〜18では実施例12,13において性
能の向上を確かめられた空調用作動媒体組成物を用い、
混合油の濃度を変えて実施例12,13と同様なルーム
エアコンの実機試験を行った。冷媒にはプロパンを、冷
凍機油としては実施例3〜7で示した混合油を用いた。
結果を表2に示す。
【0048】表2から明らかなように、実施例14〜1
8で示した本発明のルームエアコンは、比較例11のポ
リオールエステル濃度が3重量%とした混合油と比べ
て、ポリオールエステルを5重量%以上配合することに
より、フレーム〜シャフト間の隙間増加量を低減でき、
かつ、蒸発器付近に付着物もみられず、更に、比較例9
と比べて期間消費電力量を低減できるルームエアコンが
得られる。
【0049】また、試験終了油の全酸価を測定したが、
これからポリオールエステルの混合割合が70重量%を
超える比較例12,13の組み合わせにおいては、表2
に併記したように全酸価が高いことがわかる。また、比
較例12,13については蒸発器付近に付着物が確認さ
れ閉塞する傾向がみられた。これは全酸価が高いことか
ら、加水分解によりできた脂肪酸が金属石鹸を生成した
ことに起因する。これに対して、本発明のルームエアコ
ンでは試験終了後の全酸価が低く、冷凍サイクルの蒸発
器付近に付着物がみられなかった。
【0050】また、比較例12,13では実施例17と
比べてフレーム〜シャフト間の隙間増加量が僅かに大き
くなっていることから全酸価増加による腐食摩耗が進行
したと考えられる。
【0051】上記した理由により、ポリオールエステル
の配合割合は5〜70重量%の範囲内とすることがよ
い。更に、好ましくは混合油の耐加水分解性の観点から
5重量%〜30重量%の割合で配合することがより好ま
しい。 (実施例19〜22および比較例14,15)実施例1
9〜22では冷凍機油である混合油の40℃における粘
度を変えて、実施例12,13と同様のルームエアコン
を用い実機試験を行った。実施例19〜22では冷媒と
してプロパンを、冷凍機油には実施例8〜11で用いた
混合油を取り上げ、その粘度が40〜80mm2/s の範
囲のものを用いた。なお、比較例14は40℃における
混合粘度が40mm2/s 未満、比較例15では混合粘度
が80mm2/s を超える前記した組み合わせを用いた。
【0052】また、実施例19〜22においても実施例
12,13と同様な手法で期間消費電力量を求めた。こ
こでは比較例15においても同様な試験を行い、比較例
9の期間消費電力量を100%として表示した。表2に
実施例19〜22及び比較例14,15の結果を示す。
表中の( )内は冷凍機油の混合割合(重量%)を示して
いる。
【0053】表2に示した実施例19〜22から本発明
のルームエアコンは、比較例14で示した40℃におけ
る粘度が40mm2/s 未満のものと比べて、フレーム〜
シャフト間の隙間増加量が少なく、蒸発器付近に付着物
もみられず、更に比較例9と比べて期間消費電力量を低
減できるルームエアコンが得られる。また、比較例14
ではスクロール式冷媒圧縮機の圧縮部において十分な密
封性が得られず、期間消費電力量が増大している。
【0054】次に比較例15で示したように混合油の粘
度が80mm2/s を超えるルームエアコンにおいては比
較例9と比べ粘性抵抗増大による圧縮機の効率が低下
し、期間消費電力量の増加がみられる。このことから4
0℃における混合粘度を40〜80mm2/s の範囲とす
ることで、ルームエアコン内圧縮機摺動部の摩耗を抑制
し、かつ、期間消費電力量を低減できるルームエアコン
が得られる。また、試験終了油の全酸価の増加も少な
く、蒸発器付近に付着物もみられなかった。
【0055】混合油に対してポリオールエステルを配合
するに当たり、粘度グレードの異なるものを配合しても
潤滑性を向上させる効果が得られる。しかし、目的の粘
度グレードに調整する際にポリオールエステルの配合割
合が決まってしまうため、同じ粘度グレードのものを配
合する方がより好ましい。
【0056】以上の結果から、プロパン(A)と、ナフ
テン系鉱油あるいはパラフィン系鉱油(1)と、ポリオ
ールエステル(2)との混合油(B)とを含む空調用作
動媒体組成物は、摺動部の潤滑性を向上し、かつ、熱安
定性が優れることを確認した。
【0057】また、該組成物を用いたルームエアコンに
おいては、ルームエアコン内圧縮機の摩耗を抑制して、
かつ、冷凍サイクルに付着物がなく閉塞を起こさないこ
と、更に期間消費電力量が低減することを確認した。
【0058】
【発明の効果】本発明の空調用作動媒体組成物は、潤滑
性を向上する効果を有し、かつ加水分解を抑制した空調
用作動媒体組成物を得られる効果がある。
【0059】また、本発明の空調用作動媒体組成物を用
いた空調機は、ルームエアコン内圧縮機の潤滑不良が抑
制され、加水分解に起因する冷凍サイクルの閉塞や腐食
摩耗を防止し、期間消費電力量を低減できる効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ルームエアコンを説明する概略図である。
【図2】スクロール式冷媒圧縮機を説明する断面図であ
る。
【符号の説明】
1…圧縮機、2…四方弁、3…室外熱交換器、4…膨張
手段、5…室内熱交換器、6…固定スクロール部材、7
…端板、8…渦巻状ラップ、9…旋回スクロール部材、
10…ラップ、11…クランクシャフト、12…圧縮
室、13…吐出口、14…フレーム、15…圧縮容器、
16…吐出パイプ、17…電動モータ、18…油孔、1
9…滑り軸受け。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F25B 1/04 F25B 1/04 Y // C10N 20:02 C10N 20:02 30:06 30:06 30:12 30:12 40:30 40:30 (72)発明者 飯塚 董 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立栃木テクノロジー内 Fターム(参考) 4H104 BB34A DA02A EA02A LA04 LA06 PA20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プロパン(A)、およびナフテン系鉱油あ
    るいはパラフィン系鉱油(1)とポリオールエステル
    (2)との混合油(B)を含み、 前記ポリオールエステル(2)が前記混合油(B)に対
    し5重量%〜70重量%含まれており、かつ、前記混合
    油(B)の40℃の粘度が40mm2/s 以上であること
    を特徴とする空調用作動媒体組成物。
  2. 【請求項2】前記ポリオールエステルが式(1),
    (2)または(3) 【化1】 【化2】 【化3】 (式中、R1は水素または炭素数1〜3のアルキル基、
    R2は炭素数5〜12のアルキル基)であることを特徴
    とする請求項1の空調用作動媒体組成物。
  3. 【請求項3】空調用作動媒体を有するスクロール式冷媒
    圧縮機から吐出された冷媒ガスを凝縮手段,脱水手段,
    膨張手段,蒸発手段を介し循環する冷凍サイクルを備え
    た空調機において、 前記空調用作動媒体がプロパン(A)、および、ナフテ
    ン系鉱油あるいはパラフィン系鉱油(1)とポリオール
    エステル(2)との混合油(B)を含み、前記ポリオー
    ルエステル(2)が前記混合油(B)に対し5重量%〜
    70重量%含まれており、かつ、前記混合油(B)の4
    0℃の粘度が40mm2/s 以上であることを特徴とする
    空調機。
  4. 【請求項4】前記ポリオールエステルが式(1),
    (2)または(3) 【化4】 【化5】 【化6】 (式中、R1は水素または炭素数1〜3のアルキル基、
    R2は炭素数5〜12のアルキル基)であることを特徴
    とする請求項3の空調機。
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