JPH07150160A - 潤滑油 - Google Patents

潤滑油

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Publication number
JPH07150160A
JPH07150160A JP5329753A JP32975393A JPH07150160A JP H07150160 A JPH07150160 A JP H07150160A JP 5329753 A JP5329753 A JP 5329753A JP 32975393 A JP32975393 A JP 32975393A JP H07150160 A JPH07150160 A JP H07150160A
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JP
Japan
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oil
acid
group
ester
refrigerating machine
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Application number
JP5329753A
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English (en)
Inventor
Kazuharu Suyama
和晴 須山
Yoshihisa Inomata
佳久 猪俣
Hideki Nomura
英樹 野村
Yasuo Matsumura
泰男 松村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 水素含有フロンとの相溶性に優れ、高い電気
絶縁性を有し、加水分解安定性に優れた合成潤滑油を提
供する。 【構成】 一般式1の分岐型アルキル基およびアシル基
を有する環状炭化水素を基油とし、かつ40℃における
動粘度が10mm2/s以上である潤滑油。 (R,RおよびRは同一でも異なってもよく、そ
れぞれ水素原子またはアルキル基を示す。ただしその中
の1つ以上は分岐型アルキル基である。Rは炭化水素
基を示す。Aは芳香族環および脂環式炭化水素環から選
ばれる基を示す。nは1〜20、mは1〜20の整数で
ある。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は潤滑油に関し、さらに詳
しくは空気調節装置、電気冷蔵庫等の圧縮式冷凍機等に
用いる冷凍機油に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、冷凍機用潤滑油(冷凍機油)とし
ては、ナフテン系鉱油、パラフィン系鉱油、アルキルベ
ンゼン、ポリグリコール系油およびこれらの混合物、ま
たはこれらの基油に各種添加剤を配合したものが一般に
使用されている。また、冷凍機に用いるフロン系冷媒と
しては、CFC−11、CFC−12、CFC−115
などのCFC(クロロフルオロカーボン)やHCFC−
22などのHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボ
ン)が使用されている。これらの炭化水素の水素を塩素
を含むハロゲンで置換した形のフロンは、オゾン層の破
壊を引き起こすとして規制の対象となっている。したが
って、HFC−134a、HFC−152a、HFC−
32、HFC−125などのHFC(ハイドロフルオロ
カーボン)がCFCやHCFCの代替として検討されつ
つある。特に、HFC−134aは、従来家庭用冷蔵
庫、空気調節装置、自動車用空気調節装置など多くの冷
凍機に使用されているCFC−12と熱力学的物性が類
似しており、代替冷媒として使用されつつある。
【0003】冷凍機油には種々の性能が要求されるが、
冷凍機油は冷媒と接触することがあるため、冷媒との相
溶性は冷凍機の潤滑およびシステム効率の面から極めて
重要である。しかしながら、ナフテン系鉱油、パラフィ
ン系鉱油、アルキルベンゼンなどを基油とした冷凍機油
は、HFC−134aなどのHFCとの相溶性をほとん
ど有していない。このHFC冷媒用の冷凍機油として
は、HFCと相溶するPAG(ポリアルキレングリコー
ル)、エステル等が検討され、あるいは使用されてい
る。例えば、PAGについては米国特許4,755,31
6号、特開平1−256594号公報および特開平1−
274191号公報に記載されており、エステルについ
ては特開平3−217493号公報に記載されている。
【0004】さらに、家庭用冷蔵庫、室内空気調節装置
などの圧縮機に用いられる冷凍機油は、油と電極が接触
する構造を持つ密閉型コンプレッサ(圧縮機)に使用さ
れるため、高い電気絶縁性が要求される。従来の冷凍機
油のうち、最も高い電気絶縁性を有するものはアルキル
ベンゼンや鉱油であるが、前述のようにアルキルベンゼ
ンや鉱油はHFC−134aなどの非塩素系フロンとの
相溶性をほとんど有していない。またPAGは吸湿性が
高く、電気特性(体積抵抗率)が良好でないため、密閉
型コンプレッサに使用すると漏電を起こす懸念がある。
このため、HFC冷媒用密閉型コンプレッサ油として
は、HFC−134aと相溶し、吸湿性がPAGに比べ
て低く、かつ電気特性に優れたエステル油が有力であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、エステ
ル油はその構造上、加水分解を起こして酸を生成する可
能性があり、種々の不都合を生ずることが予測されるた
め、冷蔵庫、空気調節装置などのように長期間にわたっ
て高い信頼性を維持しなければならない設備の冷凍機に
は必ずしも適当でない。したがって、HFC−134a
などの水素含有フロンとの高い相溶性、高い電気絶縁
性、および加水分解安定性を兼ね備えた冷凍機油の出現
が望まれていた。本発明は、HFC−134aなどの水
素含有フロンとの相溶性に優れ、高い電気絶縁性を有
し、加水分解安定性に優れた合成潤滑油を提供すること
を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
に沿って鋭意検討を行った結果、特定の構造を有する合
成油が、HFC−134aなどの水素含有フロンとの相
溶性に優れ、高い電気絶縁性を有し、加水分解安定性に
優れたものであることを見出し、本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明の第1は、下記一般式化2で示
される化合物を基油とし、かつ40℃における動粘度が
10mm2/s以上である潤滑油に関するものである。
【化2】 式中、R1、R2およびR3は同一でも異なっていてもよ
く、それぞれ水素原子またはアルキル基を示す。ただ
し、その中の少なくとも1つは分岐型アルキル基であ
る。R4は炭化水素基を示す。Aは芳香族環および脂環
式炭化水素環の中から選ばれる基を示す。nは1〜20
の整数であり、mは1〜20の整数である。また、本発
明の第2は、前記一般式化2で示される化合物を基油と
し、かつ40℃における動粘度が10mm2/s以上である
冷凍機油に関するものである。さらに本発明の第3は、
上記冷凍機油およびハロゲン化アルカンからなる冷凍機
油組成物に関するものである。
【0007】以下、本発明の内容をさらに詳細に説明す
る。本発明の潤滑油、特に冷凍機油は、上記式化2で表
される化合物を基油とする。ここで、式化2におけるR
1、R2およびR3はそれぞれ水素原子またはアルキル基
を示す。アルキル基の炭素数は1〜200、好ましくは
1〜30の範囲である。各アルキル基は同一でも異なっ
ていてもよく、またこれら3つの基の内少なくとも1つ
は分岐型アルキル基であることが必須である。R1、R2
およびR3で表される具体的なアルキル基としては、メ
チル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、
n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−
ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペ
ンチル基、ヘキシル基(C6分岐飽和炭化水素から誘導
される1価の基を含む。)、シクロヘキシル基、ヘプチ
ル基(C7分岐飽和炭化水素から誘導される1価の基を
含む。以下同様)、オクチル基、ノニル基、デシル基、
ウンデシル基、ドデシル基。トリデシル基、テトラデシ
ル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル
基、オクタデシル基、ノナデシル基などが例示される。
【0008】またR4は炭化水素基である。R4の炭素数
は1〜50、好ましくは1〜20の範囲である。R4
表される具体的な炭化水素基としては、メチル基、エチ
ル基、n−プロピル基、i−プロピル基,n−ブチル
基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、
n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、
n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、i
−ヘプチル基、n−オクチル基、i−オクチル基などの
アルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル
基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基などが例
示される。
【0009】式化2におけるAは、芳香族環または脂環
式炭化水素環から水素原子が2個引き抜かれた2価の炭
化水素残基を示す。Aの炭素数は1〜200、好ましく
は1〜50の範囲である。Aを具体的に例示すると、ベ
ンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ビフェニル
環、テトラリン環、シクロヘキサン環などが挙げられ
る。また、nは1〜20の整数を示し、mは1〜20の
整数を示す。mおよびnの合計は2〜20の整数であ
る。
【0010】式化2で表される化合物のうち好ましいも
のは、アルキル基が分岐型アルキル基であり、炭素数が
10〜30の範囲にあるアセチルアルキルベンゼンであ
る。前記条件を満たさない化合物からなる基油では、フ
ロン冷媒、特に水素含有フロン(ハイドロフロオロカー
ボン)冷媒との相溶性、加水分解安定性、耐熱性などに
おいて優れた性能が得られない。本発明の式化2で表さ
れる化合物は、1種または2種以上の混合物の態様で潤
滑油、特に冷凍基油の基油として使用される。
【0011】さらに、本発明で用いる式化2で表される
化合物の動粘度は、40℃において10mm2/s以上であ
ることが肝要である。動粘度が10mm2/s未満の場合に
は、基本的な物性である潤滑性能が不十分となるので、
潤滑油として適当でない。好ましくは40℃において1
0〜2000mm2/s、さらに好ましくは10〜1500m
m2/sである。100℃における動粘度は1.5mm2/s以上
であることが肝要であり、好ましくは1.5〜100mm2
/s、さらに好ましくは2〜50mm2/sである。
【0012】前記式化2で表される化合物の分子量は特
に限定されるものではないが、圧縮機の密封性をより向
上させる点から、数平均分子量が100〜3000のも
のが好ましく、200〜2000のものがより好ましく
使用される。
【0013】本発明の化合物の製造法としては、従来公
知のいずれの方法も採用することができる。例えば、好
ましい方法としては、分岐型アルキルベンゼンをAlCl
3、BF3、BF3エーテル錯体、FeCl3、HF等のフリ
ーデルクラフツ触媒の存在下に、塩化アセチル、塩化ブ
チリル、塩化i−ブチリル、塩化2−エチルヘキサノイ
ル等のハロゲン化アシルでアシル化することにより合成
することができる。アシル化反応条件としては、温度−
50〜250℃で、アルキルベンゼンに対しハロゲン化
アシルを0.01〜100当量、触媒を0.001〜10
0重量倍用い、圧力を0.1〜200kg/cm2とすること
が好ましい。また反応溶媒はニトロベンゼン、四塩化炭
素、ヘキサン、シクロヘキサン、キシレン、二硫化炭素
等が好ましく用いられるが、他の溶媒を用いず基質を反
応溶媒としてもよい。
【0014】上記において使用する分岐型アルキルベン
ゼンとしては、プロピレン、ブテン等のオレフィンをポ
リリン酸、リン酸、BF3等の酸触媒でオリゴマー化す
ることにより得られた分岐オレフィンにより、ベンゼ
ン、またはトルエン、キシレンなどの低級アルキルベン
ゼンを、HF、AlCl3等の酸触媒でアルキル化して得
られるものをが好ましい。用いる分岐型アルキルベンゼ
ンの好ましい動粘度は、40℃において2〜150mm2/
s、好ましくは3〜100mm2/sである。洗剤原料として
大規模に製造されるハード型アルキルベンゼンが、安価
に入手できるので好ましい。
【0015】なお、直鎖型アルキルベンゼンを用いて同
様にアシル化したものは、同じ炭素数であってもHFC
との溶解性が悪く、粘度も低いため、冷凍機の潤滑油と
しては使用に耐えない。アルキルベンゼンのアルキル基
が直鎖型であるか分岐型であるかは、本発明においてき
わめて重要である。分岐型アルキルベンゼンの場合に
は、オリゴマー化工程およびアルキル化工程において、
アルキル基の開裂、再結合などの反応が生じ、その結果
上記製法による分岐型アルキルベンゼンは多くの同族体
および異性体の混合物となる。これをそのまま使用する
ために、上記分岐型アルキルベンゼンのアシル化生成物
も同様に混合物であって、これら複数の成分の相乗効果
により優れた冷凍機油としての物性が発現する。
【0016】また、アセトフェノンなどの芳香族ケトン
の芳香族環を、前記分岐オレフィンによりアルキル化す
ることにより、分岐型アルキル基を有する芳香族ケトン
を製造することもできる。前記分岐型アルキルベンゼン
の側鎖アルキル基を酸化することにより芳香族ケトンと
することもできる。さらに、上述のいずれかの方法によ
り得られたアルキル基置換芳香族ケトンを核水素添加し
て飽和ケトンとすることができる。
【0017】得られた化合物を精製して副生成物や未反
応物を除去してもよいが、少量の副生成物や未反応物
は、本発明の潤滑油の優れた性能を損なわない限り、存
在していても支障はない。本発明の潤滑油、特に冷凍機
油には、他の潤滑油用基油、特に冷凍機油用基油を混合
して用いることもできる。このような基油として好まし
いものは、含酸素化合物を主成分とするものであって、
具体的には、エステル、ポリグリコール、ポリフェニル
エーテル、ポリシロキサン、パーフルオロエーテルなど
が例示される。これらの中でも、エステル系基油あるい
はポリグリコール系基油が好ましく用いられる。エステ
ル系基油としては、例えば、(1)二塩基酸エステル、
(2)ポリオールエステル、(3)コンプレックスエス
テル、(4)ポリオール炭酸エステルなどが例示され
る。
【0018】上記(1)二塩基酸エステルとしては、グ
ルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸等の炭素数5〜10の二塩基酸
と、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オク
タノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、
ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペ
ンタデカノールなどの直鎖または分枝アルキル基を有す
る炭素数1〜15の一価アルコールとのエステルが好ま
しく用いられる。具体的には例えば、ジトリデシルグル
タレート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソ
デシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ(3−
エチルヘキシル)セバケートなどが挙げられる。
【0019】上記(2)ポリオールエステルとしては、
ジオールあるいは水酸基を3〜20個有するポリオール
と、炭素数6〜20の脂肪酸とのエステルが好ましく用
いられる。ここで、ジオールとしては、具体的には例え
ば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、
プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2
−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオ
ール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メ
チル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオ
ール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジ
オール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、
1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、
1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオー
ル、1,12−ドデカンジオールなどが挙げられる。
【0020】またポリオールとしては、具体的には例え
ば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、
トリメチロールブタン、ジ(トリメチロールプロパ
ン)、トリ(トリメチロールプロパン)、ペンタエリス
リトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリス
リトール、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの
2〜20量体)、1,3,5−ペンタントリオール、ソル
ビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合
物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マン
ニトールなどの多価アルコール、キシロース、アラビノ
ース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトー
ス、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオ
ース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、ス
クロース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトー
スなどの糖類、ならびにこれらの部分エーテル化物、お
よびメチルグルコシド(配糖体)などが挙げられる。
【0021】上記ポリオールエステルの成分である脂肪
酸としては、具体的には例えば、ヘキサン酸、ヘプタン
酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、
ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデ
カン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカ
ン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、オレイン酸などの
直鎖または分枝のもの、あるいはα−炭素原子が第四級
であるいわゆるネオ酸などが挙げられる。ポリオールエ
ステルは、遊離の水酸基を有していてもよい。
【0022】なお、ポリオールエステルの中で特に好ま
しいものは、ネオペンチルグリコール、トリメチロール
エタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタ
ン、ジ(トリメチロールプロパン)、トリ(トリメチロー
ルプロパン)、ペンタエリスリトール、ジペンタエリス
リトール、トリペンタエリスリトールなどのヒンダード
アルコールのエステルである。具体的には、例えば、ト
リメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプ
ロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール・2−エ
チルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネ
ートなどが挙げられる。
【0023】前記(3)コンプレックスエステルとは、
脂肪酸および二塩基酸と、一価アルコールおよびポリオ
ールとのエステルである。脂肪酸、二塩基酸、一価アル
コールおよびポリオールとしては、上記二塩基酸エステ
ルおよびポリオールエステルの説明において例示したも
のを同様に使用することができる。
【0024】前記(4)ポリオール炭酸エステルとは、
炭酸とポリオールとのエステルであり、ポリオールとし
ては、上記ポリオールエステルの説明において例示した
もの、ジオールを単独重合あるいは共重合したポリグリ
コール、あるいは先に例示したポリオールにポリグリコ
ールを付加したものなどを使用することができる。ここ
で、ポリグリコールとしては、ポリアルキレングリコー
ル、そのエーテル化物、およびそれらの変性化合物等な
どが好ましく使用される。
【0025】ポリアルキレングリコールとしては、ジオ
ールを単独重合あるいは共重合したものが用いられ、ジ
オールとしては、ポリオールエステルの説明において例
示したものを同様に使用することができる。また、ポリ
アルキレングリコールの水酸基をエーテル化したものも
使用できる。ポリアルキレングリコールのエーテル化物
の具体例としては、モノメチルエーテル、モノエチルエ
ーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル、
モノペンチルエーテル、モノヘキシルエーテル、モノヘ
プチルエーテル、モノオクチルエーテル、モノノニルエ
ーテル、モノデシルエーテル、ジメチルエーテル、ジエ
チルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテ
ル、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプ
チルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテ
ル、ジデシルエーテルなどが挙げられる。 ポリグリコ
ールの変性化合物としては、ポリオールのポリアルキレ
ングリコール付加物、あるいはそのエーテル化物などが
挙げられる。ここでいうポリオールとしては、ポリオー
ルエステルの説明において例示したものを同様に使用す
ることができる。なお、上記ポリアルキレングリコール
において、構造の異なったジオールが共重合している場
合、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、
ランダム共重合であっても、ブロック共重合であっても
よい。
【0026】本発明の潤滑油、特に冷凍機油に、他の潤
滑油用基油、特に冷凍機油用基油を混合して用いる場
合、式化2で表される化合物が、潤滑油全量に対し50
重量%以上以上含まれていることが好ましい。望ましく
は70重量%以上である。
【0027】さらに、必要に応じて鉱油や炭化水素系合
成油等を混合しても差し支えない。混合する鉱油として
は、例えば、原油を常圧蒸留および減圧蒸留して得られ
た潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、
溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土
処理等の精製処理を適宜組み合わせて精製したパラフィ
ン系あるいはナフテン系などの基油を使用することがで
きる。また、合成油としては、例えば、ポリα−オレフ
ィン(ポリブテン、1−オクテンオリゴマー、1−デセ
ンオリゴマーなど)、アルキルベンゼン、アルキルナフ
タレン、またはこれらの2種以上の混合物などを使用す
ることができる。ただし、これらの油は水素含有フロン
冷媒との相溶性が悪いので、混合量は潤滑油、特に冷凍
機油全量に対し、50重量%以下であるのが好ましい。
望ましくは30重量%以下である。
【0028】本発明の潤滑油、特に冷凍機油において、
その耐摩耗性や耐荷重性をさらに改良するために、リン
酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステル
のアミン塩、塩素化リン酸エステルおよび亜リン酸エス
テルからなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合
物を配合することができる。これらのリン化合物は、リ
ン酸または亜リン酸と、アルカノールまたはポリエーテ
ル型アルコールとのエステルあるいはこれらの誘導体で
ある。
【0029】上記リン酸エステルとしては、トリブチル
ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジ
ルホスフェートなどが挙げられる。また、酸性リン酸エ
ステルとしては、ジテトラデシルアシッドホスフェー
ト、ジペンタデシルアシッドホスフェート、ジヘキサデ
シルアシッドホスフェート、ジヘプタデシルアシッドホ
スフェート、ジオクタデシルアシッドホスフェートなど
が挙げられる。
【0030】酸性リン酸エステルのアミン塩としては、
前記酸性リン酸エステルと、メチルアミン、エチルアミ
ン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、
ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジ
メチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ
ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、
ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチ
ルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、
トリヘプチルアミン、トリオクチルアミンなどのアミン
との塩が挙げられる。
【0031】塩素化リン酸エステルとしては、トリスジ
クロロプロピルホスフェート、トリスクロロエチルホス
フェート、トリスクロロフェニルホスフェート、ポリオ
キシアルキレン・ビス〔ジ(クロロアルキル)〕ホスフェ
ートなどが挙げられる。
【0032】亜リン酸エステルとしては、ジブチルホス
ファイト、ジペンチルホスファイト、ジヘキシルホスフ
ァイト、ジヘプチルホスファイト、ジオクチルホスファ
イト、ジノニルホスファイト、ジデシルホスファイト、
ジウンデシルホスファイト、ジドデシルホスファイト、
ジオレイルホスファイト、ジフェニルホスファイト、ジ
クレジルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリ
ペンチルホスファイト、トリヘキシルホスファイト、ト
リヘプチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、
トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、ト
リウンデシルホスファイト、トリドデシルホスファイ
ト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファ
イトなどが挙げられる。
【0033】上記のリン化合物は、1種または2種以上
の混合物として使用することができる。これらのリン化
合物を配合する場合には、潤滑油、特に冷凍機油の全量
に対し、0.005〜5.0重量%の割合とし、望ましく
は0.01〜3.0重量%の範囲とする。
【0034】また、本発明の潤滑油、特に冷凍機油にお
いて、その安定性をさらに改良するために、(5)フェ
ニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、(6)アル
キルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、(7)グリ
シジルエステル型エポキシ化合物、(8)アルキルオキ
シラン、(9)アリルオキシラン、(10)エポキシ化
脂肪酸モノエステルおよびエポキシ化植物油からなる群
より選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物を配合す
ることができる。
【0035】上記(5)フェニルグリシジルエーテル型
エポキシ化合物としては、フェニルグリシジルエーテル
またはアルキルフェニルグリシジルエーテルを例示する
ことができる。ここでいうアルキルフェニルグリシジル
エーテルとは、炭素数1〜13のアルキル基を1〜3個
有するものであり、中でも炭素数4〜10のアルキル基
を1個有するもの、例えば、n−ブチルフェニルグリシ
ジルエーテル、i−ブチルフェニルグリシジルエーテ
ル、sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、tert−
ブチルフェニルグリシジルエーテル、ペンチルフェニル
グリシジルエーテル、ヘキシルフェニルグリシジルエー
テル、ヘプチルフェニルグリシジルエーテル、オクチル
フェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジ
ルエーテル、デシルフェニルグリシジルエーテルが好ま
しい。
【0036】また、上記(6)アルキルグリシジルエー
テル型エポキシ化合物としては、2−エチルヘキシルグ
リシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジ
ルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエ
ーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリア
ルキレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリアル
キレングリコールジグリシジルエーテル等が好ましい。
【0037】上記(7)グリシジルエステル型エポキシ
化合物としては、フェニルグリシジルエステル、アルキ
ルグリシジルエステル、アルケニルグリシジルエステル
などが挙げられ、好ましいものとしては、グリシジル
2,2−ジメチルオクタノエート、グリシジルベンゾエ
ート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレ
ートなどを例示することができる。
【0038】また、上記(8)アルキルオキシランとし
ては1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ
シクロペンタン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチ
ル、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレー
ト、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジ
ペート、エキソ−2,3−エポキシノルボルナン、ビス
(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)
アジペート、2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘ
プト−3−イル)−スピロ(1,3−ジオキサン−5,3'
−[7]オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、4−
(1'−メチルエポキシエチル)−1,2−エポキシ−2−
メチルシクロヘキサン、4−エポキシエチル−1,2−
エポキシシクロヘキサン等が好ましい。
【0039】また、上記(9)アリルオキシランとして
は、1,2−エポキシスチレン、アルキル−1,2−エポ
キシスチレン等が好ましい。
【0040】さらに上記(10)エポキシ化脂肪酸モノ
エステルとしては、エポキシ化された炭素数12〜20
の脂肪酸と炭素数1〜8のアルコールまたはフェノール
もしくはアルキルフェノールとのエステルを例示するこ
とができる。特にエポキシステアリン酸のブチル、ヘキ
シル、ベンジル、シクロヘキシル、メトキシエチル、オ
クチル、フェニルおよびブチルフェニル各種エステルが
好ましく用いられる。また、エポキシ化植物油として
は、大豆油、あまに油、綿実油等の植物油のエポキシ化
合物を例示することができる。
【0041】これらのエポキシ化合物の中で好ましいも
のは、フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、
フェニルグリシジルエステル型エポキシ化合物およびエ
ポキシ化脂肪酸モノエステルである。中でもフェニルグ
リシジルエーテル型エポキシ化合物およびフェニルグリ
シジルエステル型エポキシ化合物がより好ましく、また
フェニルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジ
ルエーテルもしくはアルキルグリシジルエステルまたは
これらの混合物が特に好ましい。
【0042】これらのエポキシ化合物を配合する場合に
は、潤滑油、特に冷凍機油全量に対し、0.1〜5.0重
量%の割合とし、望ましくは0.2〜2.0重量%とす
る。
【0043】さらに、本発明の潤滑油において、その耐
摩耗性、耐荷重性を改良するために、一般式R5−CH
(COOH)2、またはR6−CH2−COOH(式中、R5
および R6は同一でも異なっていてもよく、それぞれ
炭素数8〜18の直鎖または分岐アルキル基を示す。)
で表されるカルボン酸を1種または2種以上の混合物と
して配合することができる。
【0044】上記のカルボン酸としては、具体的には例
えば、オクチルマロン酸、ノニルマロン酸、デシルマロ
ン酸、ウンデシルマロン酸、ドデシルマロン酸、トリデ
シルマロン酸、テトラデシルマロン酸、ペンタデシルマ
ロン酸、ヘキサデシルマロン酸、ヘプタデシルマロン
酸、オクタデシルマロン酸、デカン酸、ウンデカン酸、
ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカ
ン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、
ノナデカン酸、エイコサン酸およびこれらの2種以上の
混合物などが挙げられる。これらのカルボン酸を配合す
る場合には、潤滑油、特に冷凍機油全量に対し、0.0
1〜3重量%の割合とし、望ましくは0.05〜2重量
%とする。
【0045】さらに本発明における潤滑油に対して、必
要に応じて潤滑油、特に冷凍機油用の添加剤として、従
来公知の添加剤、例えば、ジ−tert−ブチル−p−クレ
ゾール、ビスフェノールA等のフェノール系、またはフ
ェニル−α−ナフチルアミン、N,N−ジ(2−ナフチ
ル)−p−フェニレンジアミン等のアミン系などの酸化
防止剤;ジチオリン酸亜鉛などの摩耗防止剤;塩素化パ
ラフィン、硫黄化合物等の極圧剤;脂肪酸等の油性剤;
シリコーン系等の消泡剤;ベンゾトリアゾール等の金属
不活性化剤;粘度指数向上剤;流動点降下剤;清浄分散
剤等の添加剤を単独で、または2種以上組み合わせて配
合することも可能である。これらの添加剤の合計配合量
は、通常、潤滑油、特に冷凍機油全量に対し、10重量
%以下、好ましくは5重量%以下である。
【0046】本発明の冷凍機油は、通常、冷凍機油とし
て使用されている程度の流動点を有していればよいが、
低温時の油の固化を防ぐためには流動点が−10℃以
下、好ましくは−20℃〜−80℃である。
【0047】本発明の冷凍機油を用いる冷凍機におい
て、冷媒として使用するハロゲン化アルカンは、具体的
には、ジフルオロメタン(HFC−32)、トリフルオ
ロメタン(HFC−23)、ペンタフルオロエタン(H
FC−125)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン
(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエ
タン(HFC−134a)、1,1−ジフルオロエタン
(HFC−152a)、モノクロロジフルオロメタン
(HCFC−22)、1−クロロ−1,1−ジフルオロ
エタン(HCFC−142b)、ジクロロトリフルオロ
エタン(HCFC−123)、モノクロロテトラフルオ
ロエタン(HCFC−124)、またはこれらの混合物
等の水素含有フロン;トリクロロモノフルオロメタン
(CFC−11)、ジクロロジフルオロメタン(CFC
−12)、モノクロロトリフルオロメタン(CFC−1
3)、モノクロロペンタフルオロエタン(CFC−11
5)またはこれらの混合物等の水素非含有フロン;また
はこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。しかしな
がら、環境問題の観点からハイドロフルオロカーボンで
ある水素含有フロン、特にHFC−32、HFC−2
3、HFC−125、HFC−134、HFC−134
a、HFC−152a等の非塩素系フロンを用いること
が好ましい。これらの冷媒は用途や要求性能に応じて適
宜選択されるが、例えばHFC−134a単独、あるい
はHFC−134aを60〜80重量%およびHFC−
3を240〜20重量%配合した混合物が挙げられる。
本発明の前記式化2で表される化合物は、フロン冷媒、
特に水素含有フロン(ハイドロフロオロカーボン)冷媒
との相溶性に優れ、加水分解安定性、耐熱性なども優れ
たものである。
【0048】本発明の冷凍機用潤滑油は、その優れた電
気特性や低い吸湿性のために、往復動式や回転式の密閉
型圧縮機を有する空気調節装置や冷蔵庫に特に好ましく
用いられる。また自動車用空気調節装置や除湿機、冷凍
庫、冷凍冷蔵倉庫、自動販売機、ショーケース、化学プ
ラント等の冷却装置等に特に好ましく用いられる。さら
に、遠心式の圧縮機を有する設備にも好ましく用いられ
る。また、本発明の潤滑油は、冷凍機油のほか、エンジ
ン油、ギヤ油、油圧作動油、金属加工油、タービン油、
その他工業用潤滑油としても好ましく使用することがで
きる。
【0049】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明する。最初に試験法について述べる。 <試験法> (1)二層分離温度 冷媒としてのHFC−134aに対する試料油の相溶性
を調べるための試験である。 a.高温二層分離温度 容量10mlの耐圧ガラス管に、試料油を0.12g採
取し、さらに冷媒(HFC−134a)を3.88g採
取する(試料油3重量%)。このガラス管を室温以上の
各種温度の恒温槽に入れ、冷媒と試料油とが相互に溶解
するか、分離または白濁するをかを観察して、溶解する
最高温度を求める。最高70℃まで測定を行った。 b.低温二層分離温度 JIS K2211に準じ、試料油を5g採取し、さら
に冷媒(HFC−134a)を45gを採取し(試料油
10重量%)、室温以下において、冷媒と試料油が相互
に溶解するか、分離または白濁するかを観察して、溶解
する最低温度を求める。 (2)動粘度 試料油の40℃および100℃における動粘度を測定す
る。 (3)高圧摩擦試験 金属性高圧容器の下部に設けた荷重軸の上に、円盤状固
定試験片(鋳鉄FC30、表面硬度HRC40)をセッ
トし、その上に幅2mm×長さ20mm×高さ10mm
のベーン(SKH51、4R形状)3枚を接触させる。
試料油420gを容器に採取し、冷媒としてHFC−1
34aを加え、15kgf/cm2の圧力に保持しながら11
0℃に加熱する。試験片を混合物中に浸漬させた状態で
回転数500rpm、荷重250kgfで3時間摩擦試験を行
う。試験終了後、円盤状試験片およびベーンの摩耗量お
よび粗さ(平均粗度:Ra)を測定する。
【0050】<製造例> 分岐型アルキルベンゼンの調
製 1リットルのオートクレーブにポリリン酸100gを入
れ、プロピレンを圧力50kg/cm2で供給した。これを撹
拌しながら120℃で4時間反応させた。脱圧して生成
物を分離し、水洗した後、減圧蒸留を行ってプロピレン
オリゴマー110gを得た。得られたプロピレンオリゴ
マー(炭素数12)70gを、500mlのテフロンラ
イニングを施したオートクレーブ中で、ベンゼン100
mlと無水フッ化水素48gと共に15℃で8時間撹拌
した。脱圧して生成物を分離し、水洗した後、減圧蒸留
を行って分岐型アルキルベンゼン80gを得た。
【0051】<実施例1>10リットルのセパラブルフ
ラスコに、窒素気流中で無水塩化アルミニウム1200
gを入れた。氷浴で冷却しながら四塩化炭素2リットル
を入れ、よく攪拌しながらこれに塩化アセチル700g
を加えた。この中へ、製造例で得た分岐型アルキルベン
ゼン2000gを、15℃で、5時間を費やして滴下し
た。さらに2時間反応させた後、氷水中に流入し、分離
した有機層を水洗して乾燥した後、蒸留を行った。その
結果、アセチルアルキルベンゼン(分岐型側鎖)224
0g(収率95.3%)が得られた。試験結果を表1
(二層分離温度)、表2(動粘度)および表3(高圧摩
擦試験)に示す。
【0052】<比較例1>実施例1の分岐型アルキルベ
ンゼンの代わりに直鎖型アルキルベンゼン(ソフト型)
を用いて、同様の方法でアセチルアルキルベンゼン(直
鎖型側鎖)を得た。なお、この直鎖アルキルベンゼン
は、C12のn−パラフィンを白金触媒により脱水素して
得た直鎖型オレフィンを用いてアルキル化することによ
り得られたものである。試験結果を表1および表2に示
す。
【0053】<比較例2〜6>以下の試料油を用いて試
験を行った。結果を下記の通り表1から表3に示す。 比較例2:直鎖ドデシルベンゼン(表1) 比較例3:1−アセチル−4−イソブチルベンゼン(表
2および表3) 比較例4:1−(2−エチルヘキサノイル)−4−イソプ
ロピルベンゼン(表2および表3) 比較例5:現行品であるペンタエリスリトールのエステ
ル(表3) 比較例6:現行品であるトリメチロールプロパンのエス
テル(表3)
【0054】
【表1】
【0055】表1からわかるように、実施例1の潤滑油
(分岐型側鎖)はHFC134aと高い相溶性を示す。
しかし比較例1(直鎖型側鎖)の試料油は溶解性が低
く、潤滑油として使用することができない。比較例2の
直鎖ドデシルベンゼンは、相溶性の点でさらに劣るもの
である。
【0056】
【表2】
【0057】表2の結果から、比較例3および比較例4
の試料油は動粘度がきわめて低く、基本的に潤滑油に適
していないことが明かである。
【0058】
【表3】
【0059】表3の結果から、実施例1の潤滑油は比較
例5および比較例6の現行エステル油に比べて、摩耗量
および表面荒れがいずれも少なく、きわめて高い潤滑性
を有し、摩擦特性に優れていることが明かである。
【0060】
【発明の効果】本発明のケトン系化合物を基油とする潤
滑油は、フロン雰囲気下の高圧摩擦試験において、エス
テル油より摩耗量、表面荒れが共に少なく、極めて高い
潤滑性を有している。またケトンはエステルと異なり、
加水分解して酸を発生することはないため、高い安定性
を有するものである。すなわち、本発明の潤滑油は、代
替フロン冷媒に対し高い相溶性を示すと共に、優れた潤
滑性および高い安定性を有し、冷凍機油としてきわめて
有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 30:00 D 40:30

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式化1で示される化合物を基油
    とし、かつ40℃における動粘度が10mm2/s以上であ
    る潤滑油。 【化1】 (式中、R1、R2およびR3は同一でも異なっていても
    よく、それぞれ水素原子またはアルキル基を示す。ただ
    し、その中の少なくとも1つは分岐型アルキル基であ
    る。R4は炭化水素基を示す。Aは芳香族環および脂環
    式炭化水素環の中から選ばれる基を示す。nは1〜20
    の整数であり、mは1〜20の整数である。)
  2. 【請求項2】 前記一般式化1で示される化合物を基油
    とし、かつ40℃における動粘度が10mm2/s以上であ
    る冷凍機油。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の冷凍機油およびハロゲ
    ン化アルカンからなる冷凍機油組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015014395A (ja) * 2013-07-04 2015-01-22 日立アプライアンス株式会社 空気調和機
CN112430453A (zh) * 2019-08-26 2021-03-02 丰田自动车株式会社 冷却液组合物和冷却***

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