JP2014173050A - ゴム組成物および空気入りタイヤ - Google Patents

ゴム組成物および空気入りタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】スコーチ性、加工性、低転がり性に優れるゴム組成物の提供。
【解決手段】ジエン系ゴム100質量部に対し、シリカ5〜150質量部、メルカプト基を有するメルカプト系シランカップリング剤、及び、1分子中に下記式(I)で表される繰り返し単位を2個以上有するアニリン重合物を配合し、前記メルカプト系シランカップリング剤の量が、前記シリカの量の0.5〜20質量%であり、前記繰り返し単位の全モル数が、前記メルカプト基のモル数の0.1〜400%である、ゴム組成物、並びに、これをタイヤ用トレッドに用いた空気入りタイヤ。

【選択図】なし

Description

本発明はゴム組成物および空気入りタイヤに関する。
近年、タイヤの低転がり化や高いウェットグリップ化が求められている。これらの性能は二律背反であり両立することが難しい。
一方、タイヤの性能を向上させるために例えば、ゴム組成物にメルカプト基を有するシランカップリング剤(メルカプト系シランカップリング剤)を配合する手法等が知られている。本願出願人はこれまでに高反応性のメルカプト系シランカップリング剤を配合するゴム組成物の製造方法を提案している(例えば特許文献1)。
特開2010−270247号公報
しかしながら、このようなメルカプト系シランカップリング剤はゴム成分に対して高反応性であるが故、加工性が著しく悪化してしまい、押出肌が悪くなったり、スコーチが早くヤケが出てしまうなどの問題を抱えている。
これらの問題に対して、本願発明者は、未加硫ゴム中のラジカル量に着目して問題解決に取り組んできた。メルカプト系シランカップリング剤を配合したコンパウンドはポリサルファイド系シランカップリング剤のものと比較して、加硫前の段階において(例えば貯蔵中)、ラジカルが多く発生しやすく、その結果ポリマーのゲル化に起因する粘度増/押出肌の悪化やスコーチの要因になっていると推察される。このためラジカル捕捉能のある化合物をゴム組成物に配合したところ、スコーチ性が抑制可能である事を見出し、これまで種々の化合物において検討を行ってきた。
しかしながら、これらの捕捉剤は、自らが安定なラジカルになることでラジカルの反応性(反応速度)を下げているだけで、ラジカル量自体は変化せず、捕捉剤に捕捉されたラジカルはいずれはポリマー等と反応してしまうものと思われる。
例えば、従来、老化防止剤として使用されている、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンのようなp−フェニレンジアミン系老化防止剤は、一般的に、各種ポリマーラジカルに水素を与えて自動酸化の連鎖反応を停止させることが知られているが、上述のとおり、ラジカル量自体は変化せず、p−フェニレンジアミン系老化防止剤に捕捉されたラジカルはいずれはポリマー等と反応してしまうものと思われる。
そこで本発明では、ラジカル(特にメルカプト系シランカップリング剤から発生するラジカル)をクエンチ(消失)させることが可能であり、このことによって、スコーチ性、加工性、低転がり性に優れるゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、広いπ共役系を持つ導電性高分子が分子内でラジカルの捕捉、クエンチを同時に行うことを見出し、これによって、メルカプト系シランカップリング剤を含有するゴム組成物に関しそのスコーチ性を改善するだけでなく、加工性や低転がり性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記のゴム組成物及び空気入りタイヤを提供する。
1. ジエン系ゴム100質量部に対し、シリカ5〜150質量部、メルカプト基を有するメルカプト系シランカップリング剤、及び、1分子中に下記式(I)で表される繰り返し単位を2個以上有するアニリン重合物を配合し、
前記メルカプト系シランカップリング剤の量が、前記シリカの量の0.5〜20質量%であり、
前記繰り返し単位の全モル数が、前記メルカプト基のモル数の1〜400%である、ゴム組成物。
2. 前記アニリン重合物が下記式(1)で表される化合物である上記1に記載のゴム組成物。
[式(1)中、mは2以上の整数であり、nは0又は自然数を表す。]
3. 前記メルカプト系シランカップリング剤が、下記式(2)で表されるメルカプトシラン化合物及び/又は下記式(3)で表される繰り返し単位と下記式(4)で表される繰り返し単位とを有する共重合物である上記1又は2に記載のゴム組成物。
(式(2)中、R21は、炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。R22は、炭素数4〜30の直鎖状のポリエーテル基を表す。R23は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。R24は炭素数1〜30のアルキレン基を表す。lは1〜2の整数を表し、mは1〜2の整数を表し、nは0〜1の整数を表し、l、mおよびnはl+m+n=3の関係式を満たす。lが2である場合の複数あるR21はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、mが2である場合の複数あるR22はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
(式(3)および式(4)中、R31およびR41は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。
32およびR42は、それぞれ独立に、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜30のアルキレン基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルケニレン基、または、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルキニレン基を表す。R32が末端である場合、R32は、水素原子、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、または、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルキニル基を表す。R42が末端である場合、R42は、水素原子、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、または、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルキニル基を表す。
33およびR43は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルキニル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜30のアルキル基であって末端に水酸基もしくはカルボキシル基を有するもの、または、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基であって末端に水酸基もしくはカルボキシル基を有するもの、を表す。
32およびR33は、R32とR33とで環を形成していてもよい。
42およびR43は、R42とR43とで環を形成していてもよい。
34は、炭素数1〜13のアルキル基を表す。
複数あるR31、R32、R33、R34、R41、R42およびR43はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
4. 上記1〜3のいずれかに記載のゴム組成物をタイヤ用トレッドに用いた空気入りタイヤ。
本発明のゴム組成物は、スコーチ性、加工性、低転がり抵抗性に優れる。
本発明の空気入りタイヤは、スコーチ性、加工性、低転がり抵抗性に優れる。
図1は、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図である。
本発明について以下詳細に説明する。
本発明のゴム組成物は、
ジエン系ゴム100質量部に対し、シリカ5〜150質量部、メルカプト基を有するメルカプト系シランカップリング剤、及び、1分子中に下記式(I)で表される繰り返し単位を2個以上有するアニリン重合物を配合し、
前記メルカプト系シランカップリング剤の量が、前記シリカの量の0.5〜20質量%であり、
前記繰り返し単位の全モル数が、前記メルカプト基のモル数の1〜400%の範囲である、ゴム組成物である。
本発明のゴム組成物は、1分子中に式(I)で表される繰り返し単位を2個以上有するアニリン重合物を含有することによって、メルカプト系シランカップリング剤から発生するラジカルトを捕捉しかつクエンチさせることができる。
アニリン重合物のこのような機能について本願発明者は以下のように考える。以下、下記式(I)〜式(V)を用いて説明をするが、これらの式はアニリン重合物が有する繰り返し単位を表す。
下記式(I)で表される繰り返し単位を有するアニリン重合物において、式(I)中のベンゼン環に結合するアミン部位は電子供与性のため、アミンに結合している水素が活性化し、これがラジカル:R.(例えば、メルカプト系シランカップリング剤から発生するラジカル)との反応点になり、ラジカルを捕捉し、アニリン重合物は式(II)で表される繰り返し単位を有するものとなる。式(I)から式(II)への反応と同様に式(II)で表される繰り返し単位はラジカル(R.)と反応して式(III)で表される繰り返し単位となる。そして、このように水素引き抜きによって窒素上に生成した、式(III)中の2つのラジカルは、それぞれ式(IV)で表されるように共役系を介して非局在化し安定化し、会合し、消失し、よって式(IV)で表される繰り返し単位は式(V)で表される繰り返し単位となると考えられる。
このように、式(I)で表される繰り返し単位を有するアニリン重合物は、ラジカル捕捉能があるだけでなく、発生したラジカルを分子内でクエンチすることが可能である。またアニリン重合物はポリマー(特にゴム)と高い相溶性を示し、アニリン重合物が高分子である場合ゴムとの相溶性はより高くなる。式(I)で表される繰り返し単位を有するアニリン重合物は、これまでの捕捉剤にはないクエンチ機能を有するので、ゴム組成物中において発生するラジカル(特にメルカプト系シランカップリング剤から発生するラジカル)を消失させ、ゴム組成物のスコーチ(早期加硫)を抑制し、加工性を改善し、さらに低転がり抵抗性を優れたものとすることができると考えられる。
なお上記のメカニズムは本願発明者の推測であり、仮にメカニズムが異なるものであったとしても本願発明の範囲内である。
<ジエン系ゴム>
本発明のゴム組成物に用いられるジエン系ゴムは特に限定されない。例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。上記ジエン系ゴムは、1種のジエン系ゴムを単独で用いても、2種以上のジエン系ゴムを併用してもよい。
本発明において、上記ジエン系ゴムとしては、低転がり抵抗性により優れウェット性能に優れるタイヤが得られる理由から、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴムを用いることが好ましく、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体とともにブタジエンゴム(BR)を併用することがより好ましい。
また、上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴムとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴムなどが挙げられる。なかでも、低転がり抵抗性により優れウェット性能に優れるタイヤが得られる理由から、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)であることが好ましい。
上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体の芳香族ビニル含有量(例えば、スチレン含有量)は、タイヤにしたときのウェット性能および低転がり抵抗性を両立できる理由から、20〜45質量%であることが好ましく、23〜42質量%であることがより好ましい。
また、上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体のビニル結合量は、本発明の組成物の押出加工性およびシリカ分散性が優れる理由から、10〜50%であることが好ましく、25〜48%であることがより好ましい。ここで、ビニル結合量とは、共役ジエンの結合様式であるシス−1,4−結合、トランス−1,4−結合および1,2−ビニル結合のうち、1,2−ビニル結合の割合をいう。ビニル結合量は、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体を構成する共役ジエン全体の、ビニル結合の量である。
さらに、上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体の重量平均分子量は、本発明の組成物の押出加工性およびタイヤにしたときの低転がり抵抗性を両立できる理由から、100,000〜1,500,000であることが好ましく、600,000〜1,300,000であることがより好ましい。芳香族ビニル−共役ジエン共重合体の重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算により測定するものとする。
上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体は、その製造方法について特に限定されず、従来公知の方法で製造することができる。
また、上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体を製造する際に使用される単量体としての、芳香族ビニル、共役ジエンは特に限定されない。
ここで、上記共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。
一方、上記芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、tert−ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4−ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
本発明において、上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体を用いる場合の含有量は、低転がり抵抗性により優れたタイヤが得られる理由から、上記ジエン系ゴムの50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。
また、上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体とともに上記ブタジエンゴム(BR)を併用する場合、上記ブタジエンゴム(BR)の含有量は、低転がり抵抗性により優れウェット性能、耐摩耗性に優れるタイヤが得られる理由から、上記ジエン系ゴムの50質量%未満であることが好ましく、45質量%未満であることがより好ましく、40質量%未満であることがさらに好ましい。
<シリカ>
本発明のゴム組成物に用いられるシリカは特に限定されず、タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意のシリカを用いることができる。
上記シリカとしては、例えば、湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ、珪藻土などが挙げられる。上記シリカは、1種のシリカを単独で用いても、2種以上のシリカを併用してもよい。
本発明において、上記シリカは、ゴムの補強性の観点から、湿式シリカを含むことが好ましい。
本発明において、上記シリカは、本発明の組成物の混合加工性、並びに、タイヤにしたときのウェット性能および耐摩耗性に優れる理由から、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積が100〜300m2/gであることが好ましく、140〜200m2/gであることがより好ましい。
ここで、CTAB吸着比表面積は、シリカがシランカップリング剤との吸着に利用できる表面積の代用特性であり、シリカ表面へのCTAB吸着量をJIS K6217−3:2001「第3部:比表面積の求め方−CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
本発明のゴム組成物において、上記シリカの含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、5〜150質量部であり、スコーチ性、加工性、低転がり抵抗性により優れたタイヤが得られ、タイヤの耐摩耗性およびウェット性能も向上する理由から、20〜140質量部であることが好ましく、35〜130質量部であることがより好ましい。
<シランカップリング剤>
本発明のゴム組成物に含有されるシランカップリング剤は、メルカプト基を有するメルカプト系シランカップリング剤である。メルカプト系シランカップリング剤は、メルカプト基および加水分解性基を有する。
本発明のゴム組成物はメルカプト系シランカップリング剤を含有し、当該シランカップリング剤が有するメルカプト基がゴム成分及び/又はシリカと相互作用及び/又は反応することによって、また、加水分解性基がシリカと相互作用及び/又は反応することによって、ゴム成分とシリカとの親和性を向上させ、ゴム組成物中のシリカの分散性が向上し、優れた低転がり抵抗性が担保されると考えられる。
加水分解性基としては、例えば、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。なかでも、低転がり抵抗性により優れたタイヤが得られる理由から、アルコキシ基であることが好ましい。加水分解性基がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素数は、1〜16であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
加水分解性基はケイ素原子に結合していればよい。
メルカプト基とケイ素原子とは直接又は有機基を介して結合することができる。有機基は特に制限されない。例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有してもよい、2価以上の炭化水素基とすることができる。
メルカプト系シランカップリング剤は、本発明のゴム組成物のスコーチ性がより優れ、また、低転がり抵抗性により優れたタイヤが得られる理由から、ポリエーテル鎖を有するメルカプト系シランカップリング剤、および/または、ポリシロキサン構造(−Si−O−)を有するメルカプト系シランカップリング剤であることが好ましい。
ここで、ポリエーテル鎖とは、エーテル結合を2以上有する側鎖であり、その具体例としては、例えば、構造単位−Ra−O−Rb−を合計して2個以上有する側鎖が挙げられる。ここで、上記構造単位中、RaおよびRbは、それぞれ独立して、直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、直鎖状もしくは分岐状のアルケニレン基、直鎖状もしくは分岐状のアルキニレン基、または、置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。なかでも、低転がり抵抗性により優れたタイヤが得られる理由から、直鎖状のアルキレン基であることが好ましい。
上記ポリエーテル鎖を有するメルカプト系シランカップリング剤の好適な態様としては、例えば、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
上記式(2)中、R21は、炭素数1〜8のアルコキシ基を表し、なかでも、低転がり抵抗性により優れたタイヤが得られる理由から、炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましい。炭素数1〜3のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。なお、lが2である場合の複数あるR21はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記式(2)中、R22は、炭素数4〜30の直鎖状のポリエーテル基を表す。ポリエーテル基とは、エーテル結合を2以上有する基であり、その具体例としては、例えば、構造単位−Ra−O−Rb−を合計して2個以上有する基が挙げられる。RaおよびRbの定義および好適な態様は、上述したRaおよびRbと同じである。なお、mが2である場合の複数あるR22はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
炭素数4〜30の直鎖状のポリエーテル基の好適な態様としては、下記式(5)で表される基が挙げられる。
上記式(5)中、R51は、直鎖状のアルキル基、直鎖状のアルケニル基、または、直鎖状のアルキニル基を表し、なかでも直鎖状のアルキル基が好ましい。上記直鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数8〜15の直鎖状のアルキル基がより好ましい。炭素数8〜15の直鎖状のアルキル基の具体例としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基などが挙げられ、なかでもトリデシル基が好ましい。
上記式(5)中、R52は、直鎖状のアルキレン基、直鎖状のアルケニレン基、または、直鎖状のアルキニレン基を表し、なかでも直鎖状のアルキレン基が好ましい。上記直鎖状のアルキレン基としては、炭素数1〜2の直鎖状のアルキレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
上記式(5)中、pは、1〜10の整数を表し、3〜7であることが好ましい。
上記式(5)中、*は、結合位置を示す。
上記式(2)中、R23は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。
上記式(2)中、R24は炭素数1〜30のアルキレン基を表し、なかでも炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましい。炭素数1〜5のアルキレン基の具体例としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基などが挙げられる。
上記式(2)中、lは1〜2の整数を表し、1であることが好ましい。上記式(2)中、mは1〜2の整数を表し、2であることが好ましい。nは0〜1の整数を表し、0であることが好ましい。l、mおよびnはl+m+n=3の関係式を満たす。
一方、上記ポリシロキサン構造を有するメルカプト系シランカップリング剤の好適な態様としては、例えば、下記式(3)で表される繰り返し単位および下記式(4)で表される繰り返し単位を有する共重合物が挙げられる。
上記式(3)および式(4)中、R31およびR41は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキレン基を表し、その具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などが挙げられる。なかでも、プロピレン基が好ましい。複数あるR31およびR41はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記式(3)および式(4)中、R32およびR42は、それぞれ独立に、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜30のアルキレン基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルケニレン基、または、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルキニレン基を表し、なかでも、炭素数3〜20のものが好ましい。R32が末端である場合、R32は、水素原子、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、または、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルキニル基を表し、なかでも、炭素数3〜20のものが好ましい。R42が末端である場合、R42の定義、具体例および好適な態様は、上記R32と同じである。複数あるR32およびR42はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記式(3)および式(4)中、R33およびR43は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルキニル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜30のアルキル基であって末端に水酸基もしくはカルボキシル基を有するもの、または、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基であって末端に水酸基もしくはカルボキシル基を有するものを表す。R43は、末端に水酸基を有する基であることが好ましい。R32およびR33は、R32とR33とで環を形成していてもよい。R42およびR43は、R42とR43とで環を形成していてもよい。複数あるR33およびR43はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
34は、炭素数1〜13のアルキル基を表し、なかでも、炭素数3〜10のアルキル基が好ましい。炭素数3〜10のアルキル基の具体例としては、たとえばヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。複数あるR34はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
メルカプト系シランカップリング剤は、本発明の組成物のシリカ分散性がより優れ、また、低転がり抵抗性により優れたタイヤが得られる理由から、上記ポリエーテル鎖を有するメルカプト系シランカップリング剤であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
メルカプト系シランカップリング剤が、ポリエーテル鎖を有するメルカプト系シランカップリング剤である場合、ポリエーテル鎖がシリカ表面を保護するためシリカ表面にアニリン重合物が吸着されにくくなり、アニリン重合物のラジカル捕捉能低下が抑制でき、シリカ分散性により優れたゴム組成物が得られ、また、低転がり抵抗性により優れたタイヤが得られると考えられる。
本発明のゴム組成物において、メルカプト系シランカップリング剤の量は、シリカの量の0.5〜20質量%であり、低転がり抵抗性により優れたタイヤが得られる理由から、1〜18質量%であることが好ましく、2〜15質量%であることがより好ましい。
アニリン重合物について以下に説明する。
本発明のゴム組成物に含まれるアニリン重合物は、1分子中に下記式(I)で表される繰り返し単位を2個以上有する化合物である。
本発明のゴム組成物は当該アニリン重合物を含むことによって、ラジカル(特にメルカプト系シランカップリング剤から多量に発生するラジカル)を捕捉しかつこれを消失させ、これによって本発明のゴム組成物はスコーチ性、加工性、低転がり抵抗性に優れる。
本発明において、アニリン重合物1分子が有する式(I)で表される繰り返し単位の繰り返し単位数は2以上であり、当該繰り返し単位数は、スコーチ性、加工性、低転がり抵抗性により優れ、ラジカル捕捉能に優れるという観点から、1〜1000であるのが好ましく、1〜500であるのがより好ましい。
本発明において、式(I)で表される繰り返し単位の全モル数(本発明のゴム組成物に含有される式(I)で表される繰り返し単位の全モル数)は、メルカプト系シランカップリング剤が有するメルカプト基のモル数の1〜400%である。式(I)で表される繰り返し単位の全モル数は、スコーチ性、加工性、低転がり抵抗性により優れ、ラジカル捕捉能に優れるという観点から、上記メルカプト基のモル数の10〜300%であるのが好ましく、20〜200%であるのがより好ましい。
アニリン重合物が下記の式(1)で表されるアニリン重合物である場合、式(I)で表される繰り返し単位の全モル数は、スコーチ性、加工性、低転がり抵抗性により優れ、ラジカル捕捉能に優れるという観点から、メルカプト系シランカップリング剤が有するメルカプト基のモル数の2〜399%であるのが好ましく、11〜299%であるのがより好ましく、21〜199%であるのがさらに好ましい。
アニリン重合物は、スコーチ性、加工性、低転がり抵抗性により優れ、ラジカル捕捉能に優れるという観点から、下記式(1)で表される化合物であるのが好ましい。
[式(1)中、mは2以上の整数であり、nは0又は自然数を表す。]
mは式(I)で表される繰り返し単位の繰り返し単位数である。mは、スコーチ性、加工性、低転がり抵抗性により優れ、ラジカル捕捉能に優れるという観点から、1〜1,000であるのが好ましく、1〜500であるのがより好ましい。
nは、スコーチ性、加工性、低転がり抵抗性により優れ、ラジカル捕捉能に優れるという観点から、0〜100であるのが好ましく、0〜15であるのがより好ましく、0〜10であるのがさらに好ましい。
mは、上記と同様の理由からn以上であることが好ましく、nより大きいことがより好ましい。
mは、mとnの合計中、50〜100%であるのが好ましく、75〜100%であるのがより好ましい。
アニリン重合物は、スコーチ性、加工性、低転がり抵抗性により優れ、ゴムとの相溶性に優れるという観点から、その重量平均分子量が、1,000〜500,000であるのが好ましく、10,000〜100,000であるのがより好ましい。本発明において、アニリン重合物の重量平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により平均ポリスチレン換算により測定されたものとする。
アニリン重合物は重合体であればよい。アニリン重合物が共重合体である場合、その形態は特に制限されない。例えば、ブロック、ランダム、テーパーのいずれであってもよい。
本発明において、アニリン重合物は、式(I)で表される繰り返し単位において、2つの窒素原子にそれぞれ結合する2つの水素原子のうちの片方または両方が炭化水素基で置換されているものを含まないのが好ましい態様の1つとして挙げられる。ラジカル消失性に劣るからである。アニリン重合物が式(I)で表される繰り返し単位において、2つの窒素原子にそれぞれ結合する2つの水素原子のうちの片方または両方が炭化水素基で置換されているものを含まないとは、アニリン重合物が、式(I)で表される繰り返し単位において、当該2つの水素原子のうちの片方または両方が炭化水素基で置換されている繰り返し単位を、アニリン重合物を構成する繰り返し単位の合計中、0〜1モル%以下の量で含むことをいう。
また、本発明において、アニリン重合物は下記式(VI)又は式(VII)で表される繰り返し単位を有さないのが好ましい態様の1つとして挙げられる。ラジカル消失性に劣るからである。
アニリン重合物が式(VI)又は式(VII)で表される繰り返し単位を含まないとは、アニリン重合物が、式(VI)又は式(VII)で表される繰り返し単位を、アニリン重合物を構成する繰り返し単位の合計中、0〜1モル%以下の量で含むことをいう。
アニリン重合物はその製造方法について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。アニリン重合物はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
<任意成分>
本発明のゴム組成物には、必要に応じて、その効果や目的を損なわない範囲でさらに添加剤を含有することができる。
上記添加剤としては、例えば、本発明のゴム組成物に含有されるメルカプト系シランカップリング剤以外のシランカップリング剤、シリカ以外の充填剤(例えば、カーボンブラック)、アニリン重合物以外のアニリン化合物、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、加工助剤、アロマオイル、液状ポリマー、テルペン系樹脂、熱硬化性樹脂、加硫剤、加硫促進剤などのゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤が挙げられる。
本発明のゴム組成物は、さらに、アニリン重合物以外のアニリン化合物を含有することができる。アニリン重合物以外のアニリン化合物は、例えば、老化防止剤として使用することができる。本発明のゴム組成物がさらにアニリン重合物以外のアニリン化合物を含有する場合、当該アニリン化合物としては、例えば、式(I)で表される構造を1個有する化合物が挙げられる。末端の構造は特に制限されない。具体的には例えば、式(VIII)で表される化合物が挙げられる。
式(VIII)中、R1、R2はそれぞれ、水素原子;例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有してもよい炭化水素基である。炭化水素基は特に制限されない。例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。炭化水素基は直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、不飽和結合を有することができる。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、1,3−ジメチルブチル基、イソプロピル基が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
アニリン化合物としては、例えば、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミンのようなp−フェニレンジアミン系老化防止剤が挙げられる。
アニリン化合物はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明のゴム組成物がさらにアニリン重合物以外のアニリン化合物を含有する場合、アニリン化合物の量は、例えば老化防止剤として一般的に使用可能な量とすることができる。なぜなら、アニリン化合物(例えば式(I)で表される構造を1個しか有さない化合物)は、ラジカルを捕捉することはできても、ラジカルをクエンチすることはできないと考えられるからである。
<ゴム組成物の製造方法>
本発明のゴム組成物の製造方法は特に限定されず、その具体例としては、例えば、上述した各成分を、公知の方法、装置(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど)を用いて、混練する方法などが挙げられる。
また、本発明のゴム組成物は、従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
本発明のゴム組成物はその用途として、例えば、タイヤ用が挙げられる。本発明のゴム組成物をタイヤ用として使用する場合、例えば、トレッド、サイドウオール部、ビード部を本発明のゴム組成物で製造することができる。
〔空気入りタイヤ〕
本発明の空気入りタイヤは、本発明のゴム組成物をタイヤ用トレッドに用いた空気入りタイヤである。
本発明の空気入りタイヤのタイヤトレッドに使用されるゴム組成物は本発明のゴム組成物であれば特に制限されない。
図1に、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図である。本発明の空気入りタイヤは添付の図面に限定されない。
図1において、符号1はビード部を表し、符号2はサイドウォール部を表し、符号3はタイヤトレッド部を表す。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
本発明の空気入りタイヤは、本発明のゴム組成物を空気入りタイヤのトレッドに用いる以外は特に制限はなく、例えば従来公知の方法に従って製造することができる。また、タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
下記第1表に示す成分を、下記第1表に示す割合(質量部)で配合した。
具体的には、まず、下記第1表に示す成分のうち硫黄および加硫促進剤を除く成分を、1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーを用いて5分間混合し、150±5℃に達したときに放出し、室温まで冷却してマスターバッチを得た。さらに、上記バンバリーミキサーを用いて、得られたマスターバッチに硫黄および加硫促進剤を混合し、ゴム組成物を得た。
第1表中、SBRの量について、上段の値はSBR(油展品)の量(単位:質量部)であり、下段の値は、SBRに含まれるSBRの正味の量(単位:質量部)である。
<ムーニースコーチ>(スコーチ性の指標)
調製したゴム組成物(未加硫)について、JIS K6300−1:2001に準じて、L形ロータを使用し、試験温度125℃の条件で、スコーチタイムを測定した。
結果を第1表に示す。結果は比較例2のスコーチタイムを100とする指数で表した。指数が大きいほどスコーチが起こりにくいことを示す。
<ムーニービス>(加工性の指標)
上記のとおり製造したゴム組成物(未加硫)について、JIS K6300−1:2001に準じて、L形ロータを使用し、予熱時間1分、ロータの回転時間4分、試験温度100℃の条件で、ムーニービス(ムーニー粘度)を測定した。
結果は比較例2の値を100とする指数で表した。指数が小さいほど粘度(=加工性)が良いことを示す。
<tanδ(60℃)>(低転がり抵抗性の指標)
調製したゴム組成物(未加硫)を金型(15cm×15cm×0.2cm)中で、160℃で20分間プレス加硫して加硫ゴムを作製した。
作製した加硫ゴムについて、JIS K6394:2007に準じて、粘弾性スペクトロメーター(岩本製作所社製)を用いて、伸張変形歪率10%±2%、振動数20Hz、温度60℃の条件で、tanδ(60℃)を測定した。
結果を第1表に示す。結果は比較例2のtanδ(60℃)を100とする指数で表した。指数が小さいほど正弦損失(=発熱性)が良く、タイヤにしたときに低転がり抵抗性に優れる。
<フリーラジカル濃度>(ラジカル消失性の指標)
上記のとおり製造したゴム組成物を100℃の条件下に24時間置いてラジカルを発生させ、その後ゴム組成物を用いて電子スピン共鳴法(ESR:Electron Spin Resonance)による測定方法で固体中のフリーラジカルの濃度を測定した。結果を第1表に示す。結果は比較例2のフリーラジカル濃度を100とする指数で表した。指数が小さいほどラジカルの消失性に優れる。
第1表に示す各成分の詳細は以下のとおりである。
・ジエン系ゴム1(SBR):スチレンブタジエンゴム、E581(油展品(SBR100質量部に対して油展オイル37.5質量部を含む。SBR中のSBRの正味は72.7質量%)、スチレン含有量:40質量%、ビニル結合量:44%、重量平均分子量:1,260,000、旭化成社製)
・ジエン系ゴム2(BR):ブタジエンゴム、Nipol BR1200(日本ゼオン社製)
・シリカ:Zeosil 1165GR(CTAB吸着比表面積=165m2/g、ローディア社製)
・カーボンブラック:ショウブラックN399(CTAB吸着比表面積=90m2/g、キャボットジャパン社製)
・シランカップリング剤1:VP Si363(エボニックデグッサ社製)(上記式(2)で表される化合物。ここで、R21:−OC25、R22:−O(C24O)5−C1327、R24:−(CH23−、l=1、m=2、n=0。)、分子量988、1分子当たりメルカプト基を1個有する。
・シランカップリング剤2:NXT−Z45(Momentive社製)(上記式(3)で表される繰り返し単位および上記式(4)で表される繰り返し単位を有する共重合物。ここで、上記式(3)で表される繰り返し単位の割合が55モル%、上記式(4)で表される繰り返し単位の割合が45モル%である。分子量約500のユニット内にメルカプト基を1個有する。)
・酸化亜鉛:酸化亜鉛3種(正同化学工業社製)
・ステアリン酸:ステアリン酸YR(NOFコーポレーション社製)
・老化防止剤(6PPD):下記式で表されるN−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、Santoflex6PPD(Solutia Europe社製)
・プロセスオイル:エキストラクト4号S(昭和シェル石油社製)
・アニリン重合物1:アニリン重合物1の製造を以下に示す。
トルエン200gにアニリン6.0g、ドデシルベンスルホン酸13.0gおよび分子量調整剤(末端封止剤)として2,4,6−トリメチルアニリン1.3g(アニリンに対して0.15当量)を溶解させた後、6N塩酸11mLを溶解した蒸留水100gを加えた。
この混合溶液にテトラブチルアンモニウムブロマイド1.8gを添加し、5℃以下に冷却した後、過硫酸アンモニウム17.6gを溶解させた蒸留水80gを加えた。
5℃以下の状態で6時間酸化重合を行なった後、トルエン100g、ついでメタノール水混合溶媒(水/メタノール=2/3(質量比))を加え撹拌を行なった。
撹拌終了後、トルエン層を水層に分離した反応溶液のうち、水層のみを除去することによりポリアニリン分散液1(ドープポリアニリンを含有する)を得た。
ポリアニリン分散液1を一部採取し、トルエンを真空留去したところ分散液中に固形分6質量%(ポリアニリン含有量:2質量%)が含まれていた。
元素分析からドデシルベンゼンスルホン酸のアニリンモノマーユニット当りのモル比は0.45であった。得られたポリアニリンの収率は95%であった。
上記のとおりにして得られたポリアニリン分散液1:100gをメタノールに沈殿させてポリアニリン粉末(ドープポリアニリン)2gを得た。
ポリアニリン分散液1をトリエチルアミンで塩基処理し、ろ過することで、脱ドープし、脱ドープしたポリアニリンを得た。
得られたポリアニリンをアニリン重合物1とする。アニリン重合物1をGPCを用いて解析した結果、アニリン重合物1のMwは10,000であり、上記式(1)におけるm及びnがそれぞれ30であった。
・アニリン重合物2:上記のとおり得られたアニリン重合物1に対して、過剰量のトリエチルアミンで還元反応を行い、アニリン重合物2を得た。アニリン重合物2をアニリン重合物1と同様に解析した結果、アニリン重合物2は上記式(1)におけるm=45、n=15であった。アニリン重合物2のMwは10,000であった。
・硫黄:油処理イオウ(軽井沢精錬所社製)
・加硫促進剤1(CZ):ノクセラーCZ−G(大内新興化学工業社製)
・加硫促進剤2(DPG):Perkacit DPG(Flexsys社製)
第1表に示す結果から明らかなように、式(I)で表される構造を1つしか有さないアニリン化合物を含む比較例1は、フリーラジカル濃度が高く、スコーチ性、加工性、低転がり抵抗性に全く効果がない。これは、式(I)で表される構造を1つしか有さないアニリン化合物は、ラジカルを捕捉することはできてもこれをクエンチすることはできないためであると考えられる。また、アニリン重合物の量が0.1質量部未満の比較例2は、フリーラジカル濃度が高く、スコーチ性、加工性、低転がり抵抗性に全く効果がない。アニリン重合物の量が10質量部を超える比較例3は、当該物性の改善効果が低い。
これに対して、実施例1〜5は、より、未加硫ゴム組成物中のフリーラジカル濃度が低く、スコーチ性(ムーニースコーチ)、加工性(ムーニービス)、低転がり抵抗性(tanδ60℃)に優れる。
上記のとおり、本発明の組成物は、メルカプト系シランカップリング剤由来のラジカルを捕捉しこれを消失させることができ、よってスコーチ性を改善し、加工性に優れ、発熱性を抑制し転がり抵抗を低くすることが可能である。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション

Claims (4)

  1. ジエン系ゴム100質量部に対し、シリカ5〜150質量部、メルカプト基を有するメルカプト系シランカップリング剤、及び、1分子中に下記式(I)で表される繰り返し単位を2個以上有するアニリン重合物を配合し、
    前記メルカプト系シランカップリング剤の量が、前記シリカの量の0.5〜20質量%であり、
    前記繰り返し単位の全モル数が、前記メルカプト基のモル数の1〜400%である、ゴム組成物。
  2. 前記アニリン重合物が下記式(1)で表される化合物である請求項1に記載のゴム組成物。
    [式(1)中、mは2以上の整数であり、nは0又は自然数を表す。]
  3. 前記メルカプト系シランカップリング剤が、下記式(2)で表されるメルカプトシラン化合物及び/又は下記式(3)で表される繰り返し単位と下記式(4)で表される繰り返し単位とを有する共重合物である請求項1又は2に記載のゴム組成物。
    (式(2)中、R21は、炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。R22は、炭素数4〜30の直鎖状のポリエーテル基を表す。R23は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。R24は炭素数1〜30のアルキレン基を表す。lは1〜2の整数を表し、mは1〜2の整数を表し、nは0〜1の整数を表し、l、mおよびnはl+m+n=3の関係式を満たす。lが2である場合の複数あるR21はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、mが2である場合の複数あるR22はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
    (式(3)および式(4)中、R31およびR41は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。
    32およびR42は、それぞれ独立に、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜30のアルキレン基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルケニレン基、または、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルキニレン基を表す。R32が末端である場合、R32は、水素原子、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、または、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルキニル基を表す。R42が末端である場合、R42は、水素原子、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、または、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルキニル基を表す。
    33およびR43は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルキニル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜30のアルキル基であって末端に水酸基もしくはカルボキシル基を有するもの、または、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基であって末端に水酸基もしくはカルボキシル基を有するもの、を表す。
    32およびR33は、R32とR33とで環を形成していてもよい。
    42およびR43は、R42とR43とで環を形成していてもよい。
    34は、炭素数1〜13のアルキル基を表す。
    複数あるR31、R32、R33、R34、R41、R42およびR43はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物をタイヤ用トレッドに用いた空気入りタイヤ。
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