JP2002047429A - π共役高分子/無機微粒子複合体およびそれを用いたゴム組成物 - Google Patents

π共役高分子/無機微粒子複合体およびそれを用いたゴム組成物

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JP2002047429A
JP2002047429A JP2000238888A JP2000238888A JP2002047429A JP 2002047429 A JP2002047429 A JP 2002047429A JP 2000238888 A JP2000238888 A JP 2000238888A JP 2000238888 A JP2000238888 A JP 2000238888A JP 2002047429 A JP2002047429 A JP 2002047429A
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silica
inorganic fine
conjugated polymer
composite
fine particle
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JP2000238888A
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Tsukasa Maruyama
司 丸山
Yoshiaki Kirino
美昭 桐野
Kazunori Ishikawa
和憲 石川
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Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Yokohama Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱的安定性と導電性能に優れたπ共役高分子
/無機微粒子複合体を提供する。 【解決手段】 無機微粒子、ドーピング剤として有機酸
を含有した共役高分子および下記(1)〜(3)から選
ばれるシラン化合物とから構成されるπ共役高分子/無
機微粒子複合体。 【化1】 (式中、R1 :メチル基、エチル基;R2 :ヘテロ原子
を含んでよいアルキル基、アリール基;R3 :H、ヘテ
ロ原子を含んでよいアルキル基、アリール基;X:ヘテ
ロ原子を含んでよいアルキレン基;n=1〜3,a=2
〜6,b=1〜6;b=1のときR4 :H、b=2〜6
のときR4 :ヘテロ原子を含んでよいアルキル基、アリ
ール基)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い導電性を示す
と共に、熱的安定性に優れたπ共役高分子/無機微粒子
複合体に関する。更に、本発明は、π共役高分子/無機
微粒子複合体を含むゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の高性能化、高機能化に伴い、タ
イヤへの要求性能は年々、高度になってきている。その
一つとして、湿潤路面でのグリップ力すなわち「ウェッ
トグリップ」を維持しながらも、低燃費性も兼ね備えた
タイヤの開発が強く望まれている。従来、タイヤトレッ
ドに用いられてきた補強充填剤は、カーボンブラックで
あったが、最近では上記の要望からカーボンブラックと
比較して良好な低ロス性と耐ウェットスキッド性をもつ
超微粒子シリカがタイヤトレッド用の補強充填剤として
用いられ始めてきた。しかしながら、シリカはそれ自体
導電性を有していないので、ゴム等の絶縁物に配合した
場合、カーボンブラックのように帯電防止性を付与させ
ることが困難であり、様々な問題が生じることがわかっ
てきた。例えば、自動車で発生した静電気が路面に逃げ
ずに帯電し、給油中などにスパーク引火する危険性や、
発生する静電気の影響でラジオノイズ等の電波障害を生
じる等の問題点がある。
【0003】この問題点を解決するために様々な試みが
行われている。例えば、シリカとカーボンブラックとを
併用することによりゴム組成物に帯電防止能を持たせる
方法が行われている。しかしながら、ゴム組成物に帯電
防止能を持たせるためには電気伝導度を10-8Scm-1
上にする必要があり、ゴム組成物中に配合するカーボン
ブラックの比率をゴム100重量部あたり40重量部以
上にする必要がある。また、高導電性のカーボンブラッ
クを併用することによりカーボンブラック量を低減する
試みも行われている(特開平10−298356)。し
かしながら、いずれの場合もカーボンブラック含有量の
違いはあるものの、カーボンブラックをシリカと併用さ
せることには変わりはなく、低ロス性と耐ウェットスキ
ッド性というシリカの特性が発現されにくいという問題
が生じる。さらに、後者では高価な高導電性カーボンブ
ラックを用いることからコスト面においても問題があ
る。
【0004】また、導電性層を有するシリカを用いるこ
とにより、カーボンブラックを併用せずにゴム組成物に
帯電防止能を持たせることが可能であることが報告され
ている(特開平10−316802)。シリカ表面上の
導電性層はカーボン層およびアンチモンを含有した酸化
スズ層である。カーボン層は、プロパンガス、トルエン
ガス等の脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素のガス成
分をシリカとともに加熱焼成炉中で酸素非存在下窒素ガ
ス気流下において1000℃程度に加熱させ、ガス成分
の熱分解によりシリカ表面上に形成させている。一方、
アンチモンを含有した酸化スズ層は、シリカ分散水溶液
中においてスズ化合物およびアンチモン化合物を加水分
解し、シリカ表面上に不溶性水酸化物を付着させ700
℃程度で焼成することにより形成させている。シリカ表
面上にカーボン層および酸化スズ層を形成させるいずれ
の手法も700〜1000℃程度の加熱処理が必要であ
り、生産に際して多大なエネルギーを必要とする。ま
た、カーボン層を形成させる場合、プロパンガス、トル
エンガス等の燃焼性ガスを用いて1000℃で加熱処理
することは、安全面を考えた場合決して大量生産に適し
た手法とは言えない。また、シリカ表面上に導電性の酸
化スズ層を均一に形成させることは容易ではなく、上記
の手法は一般的な手法とは言えない。
【0005】一方、最近になってポリアニリン、ポリピ
ロール、ポリチオフェン等のπ共役高分子が、帯電防止
材料、各種電子デバイス、表示素子材料等に使用可能で
あることが報告され、π共役高分子の応用研究が広く行
われている。しかしながら、π共役高分子が他の高分子
材料ほど応用面で展開されていない大きな要因として
は、π共役高分子が不溶不融であることが挙げられる。
そこで、π共役高分子を他の物質と複合化させることに
より、π共役高分子の加工面の改良、機械的強度の改
良、さらなる高機能性の付与を目指した研究が行われて
いる。このようなπ共役高分子の複合化技術は、導電性
接着剤、導電性塗料、導電性コーティング剤、導電性フ
ィルム等への応用を目的としたものであり、本発明のよ
うにゴム組成物へと応用した報告例はない。
【0006】π共役高分子の複合化技術としては、無機
微粒子表面上においてπ共役高分子を化学重合させるこ
とによりπ共役高分子の導電層を形成させる手法が報告
されている(S.P. Armes, et al., Polymer, 32, 2325
(1991); S. Miyauchi, et al., J. Appl. Polym. Sci.,
37, 289 (1989) 、特開平11−241021)。例え
ば、粒径1μm程度のシリカが分散している水溶液中に
おいてピロールあるいはアニリンを化学酸化重合するこ
とにより、シリカ表面上にポリアニリン層あるいはポリ
ピロール層を形成させている(S.P. Armes, et al., Po
lymer, 32,2325 (1991)) 。また、この手法を様々な無
機微粒子に応用しπ共役高分子複合体を形成させている
(特開平11−241021)。このようなπ共役高分
子層は、シリカ表面上に吸着したモノマーが酸化重合す
ることにより形成されるものと考えられる。したがっ
て、π共役高分子層とシリカとの間には強固な結合は存
在しなく、物理吸着のみで複合体は形成されており、シ
リカ表面上のπ共役高分子層は剥離しやすいものと考え
られる。さらに、この手法では、シリカ粒子の粒径が1
μmを越えるものでは、シリカ粒子上にπ共役高分子層
を均一に形成させることは困難であり、シリカ粒子とπ
共役高分子粉末の混合物が形成されやすい。したがっ
て、添加されるモノマー量に対してシリカ表面上に形成
されるπ共役高分子の量が少なく、有効性、経済性に問
題があるとともに、形成される複合体の電気伝導度が本
発明で要求される値(10-5Scm-1以上)よりも低くな
る可能性が高い。
【0007】そこで、ビニル、アリル、(メタ)アクロ
イル、グリシドキシ基を有するシランカップリング剤で
表面処理された球状シリカ粒子を用いることにより、シ
リカ表面上でモノマーを重合させ、シリカとπ共役高分
子が結合した状態で複合体を形成させる手法が報告され
ている(特開平8−297295)。しかしながら、上
記手法はシランカップリング剤によるシリカの表面処理
方法が煩雑であるうえに、シリカの表面処理に用いるシ
ランカップリング剤量が大量であるので製造工程、経済
性で問題がある。また、上記手法で表面処理されている
シリカは、球状形態かつ単一の粒径分布をもつ単分散シ
リカ微粒子であり、一般的に用いられている粒径分布が
広く、凝集形態をとっているシリカ粒子に上記手法を適
用した場合、シリカ表面上にπ共役高分子層は均一に被
覆されにくくなる。また、粒径分布が広く、凝集形態を
とっているシリカ粒子を用い、その表面処理に用いるシ
ランカップリング剤量を低減させてしまうと、上記手法
ではシリカ表面上にπ共役高分子層を形成させることが
できない。したがって、一般的に用いられている粒径分
布が広く、凝集形態をとっているシリカ粒子から上記手
法によって得られたπ共役高分子/無機微粒子複合体の
電気伝導度は高いものとはならない。また、表面処理剤
として(メタ)アクロイル基を有するシランカップリン
グ剤を用いた場合、シリカ表面とπ共役高分子との間に
エステル結合を介することとなるので、シリカとπ共役
高分子間の結合は必ずしも強固なものであるとは言えな
い。したがって、このシランカップリング剤で表面処理
されたシリカ粒子から得られた複合体を配合したゴム組
成物では、π共役高分子がシリカ表面上から剥離してし
まう可能性が高く、本発明の目的である導電性を有する
ゴム組成物とはなりにくい。
【0008】また、従来技術では、π共役高分子のドー
パントとして主として塩酸のような無機酸および三塩化
鉄のような遷移金属化合物を用いていることから、得ら
れたシリカ複合体の洗浄および乾燥等の後処理工程中に
おいて、ドーパントが脱離しやすく、複合体の電気伝導
度が低減しやすい。さらに、これらドーパント類でドー
プされたπ共役高分子の電気伝導度は加熱処理により電
気伝導度が激減しやすく、熱的安定性に劣る。通常、π
共役高分子/無機微粒子複合体をゴム用充填剤として用
いる場合、100℃〜200℃の範囲内の温度での加硫
工程を経て加硫ゴムを形成させる。したがって、上記手
法で形成された共役高分子/無機微粒子複合体の電気伝
導度は、加硫工程中において低減してしまい、加硫工程
を経て得られた加硫ゴムは絶縁体となってしまう。ま
た、従来の手法で得られたπ共役高分子/無機微粒子複
合体は、導電性接着剤、導電性塗料、導電性コーティン
グ剤、導電性フィルム等への応用を目的としたものであ
り、本発明のようにπ共役高分子/無機微粒子複合体を
ゴム組成物へと応用した報告例はない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、無機微粒子の表面処理に用いるシランカップリ
ング剤量を低減させても、無機微粒子の粒径および粒径
分布に依存せずに、無機微粒子表面上にπ共役高分子層
を容易かつ簡便に、そして均一かつ強固に形成させて、
加熱等の処理においても電気伝導度が低減しない導電性
能の優れたπ共役高分子/無機微粒子複合体を提供する
ことにある。また、本発明の別の目的は、上記手法で得
られた導電性の優れたπ共役高分子/無機微粒子複合体
をゴム中に含有させることにより、良好な機械的強度、
耐摩耗性、粘弾性特性を示すとともに、優れた帯電防止
能も兼ね備えたゴム組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば無機微粒
子、ドーピング剤として有機酸を含有したπ共役高分子
および下記式(1)〜(3)から選ばれるシラン化合物
とから構成されるπ共役高分子/無機微粒子複合体が提
供される。
【化2】 (式中、R1 は、メチル基またはエチル基を表わし、R
2 は、ヘテロ原子を含んでもよいアルキル基またはアリ
ール基を表わし、R3 は、水素原子またはヘテロ原子を
含んでもよいアルキル基もしくはアリール基を表わす。
Xは、ヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基を表わ
す。nは、1〜3の整数であり、aは、2〜6の整数で
あり、bは、1〜6の整数である。そして、bが1の場
合、R4 は水素原子を表わし、bが2〜6の整数である
場合、R4 はヘテロ原子を含んでもよいアルキル基また
はアリール基を表わす。)
【0011】また、本発明によれば、前記のπ共役高分
子/無機微粒子複合体における無機微粒子が、金属酸化
物、更には、酸化ケイ素および/または酸化チタンであ
り、また、ドーピング剤である有機酸が、有機スルホン
酸および/またはその塩類であるπ共役高分子/無機微
粒子複合体が提供される。
【0012】また、本発明によれば、前記の共役高分子
/無機微粒子複合体を、ゴム100重量部当り10〜1
50重量部含んでなるゴム組成物が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明では、無機微粒子とπ共役
高分子からなる複合体を形成させる際に、特定のシラン
カップリング剤を併用し、そのシランカップリング剤で
表面処理した無機微粒子の存在下においてπ共役高分子
の重合を行なうことによって、その添加されたモノマー
が効率良く無機微粒子表面上で重合し、均一かつ強固な
π共役高分子層が粒子表面上に形成されることを見出し
たものである。
【0014】本発明におけるπ共役高分子/無機微粒子
複合体は、アミノ基、メルカプト基、ジスルフィド結合
またはポリスルフィド結合等の重合性官能基を有するシ
ラン系カップリング剤で表面処理された無機微粒子から
なる粒子表面にドーピング剤として有機酸を含有したπ
共役高分子からなるポリマー層が被覆されたものであ
る。
【0015】本発明のπ共役高分子/無機微粒子複合体
は以下の手法で合成できる。例えば、(1)π共役高分
子を形成できるモノマーおよびドーピング剤を含有し、
シラン化合物で表面処理された無機微粒子を分散させた
溶液中に、酸化剤を添加する方法、(2)酸化剤および
ドーピング剤を含有し、シラン化合物で表面処理された
無機微粒子を分散させた溶液中に、π共役高分子を形成
できるモノマーを添加する方法、(4)π共役高分子を
形成できるモノマーを含有し、シラン化合物で表面処理
された無機微粒子を分散させた溶液中に、酸化剤および
ドーピング剤を添加する方法、(5)π共役高分子を形
成できるモノマー、ドーピング剤、酸化剤を含有した溶
液中に、実質的にモノマーが化学酸化重合する前にシラ
ン化合物で表面処理された無機微粒子を添加する方法等
が挙げられる。
【0016】本発明で用いる無機微粒子としては、酸化
物、炭化物、金属、合金、有機金属、あるいはこれらの
複合物であってよく、チタン、ジルコニウム、ハフニウ
ム、バナジウム、ニオブ、タンタル、スズ、インジウ
ム、アルミニウム、鉄、シリコン、銅、バリウム、マグ
ネシウム等の各種元素の化合物、カーボン等がその例と
して示される。好ましくは、金属酸化物であり、酸化ケ
イ素および/または酸化チタン等を例示できるが、好適
には酸化ケイ素、特にシリカである。
【0017】本発明で用いられるシリカとしては、代表
的なものとして、含水ケイ酸および無水ケイ酸を挙げる
ことができる。ただし、シリカ成分を主としている物質
であれば、シリカ成分が100%である必要はない。ま
た、シリカの合成方法についても特に限定されるもので
はなく、シリカを含む天然物、人工合成品を改質処理し
たものも含まれる。さらに、適切なシリカの窒素ガスを
使用して測定されたBET表面積は、約40〜約600
2 /g、好ましくは約50〜約300m2 /gであ
る。また、DBP(フタル酸ジブチル)吸収値が約10
0〜約400ml/100g、好ましくは約150〜約3
00ml/100gの範囲である。また、シリカの平均粒
子径としては、0.01〜250μm程度のものが好ま
しい。シリカの形状としては、粒状、不定形、板状、針
状、繊維状など種々の形状をとるものを用いることがで
きる。本発明では、シリカの粒径、形態(例えばルース
品、造粒品)にとらわれることなくπ共役高分子/無機
微粒子複合体を形成できる特徴を有する。
【0018】上記無機微粒子を表面処理するための本発
明におけるシラン化合物としては、アミノ基、メルカプ
ト基、ジスルフィド結合、ポリスルフィド結合を含有す
るシラン化合物が用いられる。その具体例としては、3
−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメ
トキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピ
ルメチルジメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)
アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシ
ラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ビ
ス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミン、3
−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリエトキシ
シラン等のアミノシラン類、ビス(3−(トリエトキシ
シリル)プロピル)テトラスルフィド、ビス(3−(ト
リメトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、ビス
(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィ
ド、ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)ジス
ルフィド等のポリスルフィド系シラン類、3−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピ
ルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類、等があ
る。上記のシラン化合物は単独で用いてもよいし、2種
以上を混合して用いてもよい。上記無機微粒子を表面処
理する際に用いるシラン化合物の量は、無機微粒子10
0g当り0.02g〜50g、好ましくは0.1g〜3
0gの上記シラン化合物で無機微粒子を表面処理する。
【0019】本発明において、上記無機微粒子をシラン
化合物で表面処理する方法としては、無機微粒子を分散
させた有機溶媒中にシラン化合物を添加した後、溶媒を
加熱除去する手法が挙げられる。また、上記無機微粒子
粉末にシラン化合物の溶液を直接噴霧させた後、加熱乾
燥させることによっても無機微粒子表面をシランカップ
リング剤で処理することができる。この反応に用いる溶
媒としては、上記シラン化合物を均一に溶解するもので
あれば、特に限定するものではなく、例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブ
タノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸プロピ
ル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テト
ラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテ
ル等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化
水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪
族炭化水素類が挙げられる。好ましくは、メタノール、
エタノール、プロパノール、イソプロパノールである。
また、溶媒の非存在下においても行うことが可能であ
る。溶媒の使用量は、無機微粒子に対して1〜50倍
量、好ましくは3〜25倍量である。
【0020】上記の無機微粒子をシラン化合物で表面処
理する際、塩基性触媒を添加しても良い。塩基性触媒と
しては、3級アミンを使用することが可能であり、モノ
アミン類、ジアミン類、トリアミン類、ポリアミン類、
環状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類
等がある。例えば、トリエチルアミン、トリプロピルア
ミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、N,
N,N′,N′テトラメチルエチレンジアミン、N,
N,N′,N′テトラメチルプロパン−1,3−ジアミ
ン、テトラメチルグアニジン、N,N′ジメチルピペラ
ジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウ
ンデセン(DBU)、1,4−ジアザビシクロ[2,
2,2]オクタン(DABCO)、ビス(2−ジメチル
アミノエチル)エーテル、ピリジン等が挙げられる。好
適には、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ピリ
ジンが挙げられる。これら3級アミンは、2種類以上を
用いてもよい。触媒の使用量は、無機微粒子100重量
部に対して0.005〜5重量部が好ましく、より好ま
しくは0.01〜1重量部である。加熱処理温度は、特
に限定されるものではないが、好ましくは30℃〜20
0℃であり、好適には50℃〜120℃である。加熱処
理は、減圧下で行ってもよい。処理時間は、溶媒が除去
される時間であれば特に限定されないが、好ましくは3
−20時間である。
【0021】本発明において、上記π共役高分子を形成
できるモノマーとしては、分子構造中に共役二重結合を
有する化合物である。このようなモノマーとしては、ア
ニリン、ナフチルアミン、フェニレンジアミン、ナフチ
レンジアミン、トリアミノベンゼン、トリアミノナフタ
レン、ピロール、チオフェン、フランおよびこれらの誘
導体等を挙げることができる。誘導体としては、例えば
炭素数1〜30のアルキル基は、アルコキシ基、アルキ
レンオキシド基、スルフォン酸基、アルキレンスルフォ
ン酸基等の置換基が芳香環上に一つ以上導入された化合
物が挙げられる。また、上記モノマーは、単独または二
種以上混合して使用してもよい。モノマーの添加量は、
無機微粒子100重量部に対して0.01〜50重量
部、好ましくは0.1〜30重量部である。
【0022】本発明に用いられる酸化剤としては、上記
モノマーに対して重合性を有するものであれば特に限定
されないが、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウ
ム等の過硫酸塩、塩化鉄(III )、硫酸鉄(III )、硝
酸鉄(III )等の3価鉄塩、塩化銅(II)等の2価銅
塩、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等
の過マンガン酸塩、重クロム酸カリウム、重クロム酸ナ
トリウム等の重クロム酸塩、過酸化水素、過酢酸等の過
酸化物等を挙げることができる。また、鉄(II)塩と過
酸化水素で構成されているようなレドックス系開始剤も
用いることができる。上記酸化剤は、単独または二種以
上混合して使用してもよい。酸化剤の添加量は、モノマ
ーに対してのモル比(酸化剤/モノマー)で、0.01
から20であり、好ましくは0.1から10である。
【0023】本発明のπ共役高分子/無機微粒子複合体
を形成させる際にドーピング剤を添加することにより導
電性を発現するπ共役高分子が形成される。添加される
ドーピング剤(ドーパント)は、有機酸単独および有機
酸と無機酸を併用したものである。有機酸としては、酢
酸、ギ酸、安息香酸等のカルボン酸およびこれらの塩
類、フェノール、ニトロフェノール、シアノフェノール
等のフェノール類およびこれらの塩類、ベンゼンスルホ
ン酸、p−トルエンスルホン酸、p−ドデシルベンゼン
スルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アントラ
キノンスルホン酸、アルキルスルホン酸、ドデシルスル
ホン酸、樟脳スルホン酸、ジオクチルスルホコハク酸、
銅フタロシアニンテトラスルホン酸、ポルフィリンテト
ラスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルス
ルホン酸、ナフタレンスルホン酸縮合物等の有機スルホ
ン酸およびこれらの塩類、プロピルリン酸エステル、ブ
チルリン酸エステル、ヘキシルリン酸エステル、ポリエ
チレンオキシドドデシルエーテルリン酸エステル、ポリ
エチレンオキシドアルキルエーテルリン酸エステル等の
リン酸エステルおよびこれらの塩類、ラウリル硫酸エス
テル、セチル硫酸エステル、ステアリル硫酸エステル、
ラウリルエーテル硫酸エステル等の硫酸エステルおよび
これらの塩類が挙げられる。好ましくは、ベンゼンスル
ホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−ドデシルベンゼ
ンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキ
ルスルホン酸、ドデシルスルホン酸、樟脳スルホン酸、
ジオクチルスルホコハク酸、ポリスチレンスルホン酸、
ポリビニルスルホン酸、ナフタレンスルホン酸縮合物等
の有機スルホン酸およびこれらの塩類である。これら有
機酸は、単独または二種以上混合して使用してもよい。
また、有機酸と併用させる無機酸としては、塩酸、硝
酸、硫酸、リン酸、フルオロ硫酸、過塩素酸等が挙げら
れる。好ましくは、塩酸および硫酸である。無機酸は単
独または混合されて用いられても良い。ドーピング剤の
添加量は、モノマーに対するモル比(ドーピング剤/モ
ノマー)で0.01〜15である。好ましくは、0.1
から10である。
【0024】また、本発明のπ共役高分子/無機微粒子
複合体は、熱、湿度に対して十分安定性を有するが、よ
り安定性の向上をはかることを目的として、上記複合体
を形成させる際に、ドーピング剤に加えて安定剤を添加
させることも可能である。安定剤としては、フェノール
類が挙げられ、具体的にはニトロフェノール、シアノフ
ェノール、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシアセトフェ
ノンが例示できるが、好ましくはニトロフェノールであ
る。これらフェノール類の添加量は、モノマーに対する
モル比(フェノール類/モノマー)で0.005〜0.
3であり、好ましくは0.01〜0.2である。ドーピ
ング剤としてフェノール類およびその塩類が用いられる
場合には、新たに上記安定剤を添加する必要はない。
【0025】無機微粒子表面上にπ共役高分子層を形成
させる際に用いる溶媒としては、上記モノマー類を酸化
重合させることが可能な溶媒であれば特に限定されない
が、具体的には、水、メタノール、エタノール、プロパ
ノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケト
ン等のケトン類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等の
ニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルホオキシド、N−メチルピロリドン、プロピレンカ
ーボネート等の溶媒を挙げることができる。好ましく
は、水または水を含有した溶媒である。重合温度は、−
20℃から30℃の範囲内であり、好ましくは20℃以
下である。重合温度が30℃を越えると、π共役高分子
中に分岐構造や酸化構造を多く含有させる副反応が進行
して、電気伝導度の低下をもたらす可能性があるため、
好ましくない。得られたπ共役高分子/無機微粒子複合
体は、室温下で乾燥しても良いし、加熱下で乾燥してよ
い。乾燥温度は、25℃〜250℃であり、好ましくは
60℃〜200℃である。
【0026】次に、上記手法で得られたπ共役高分子/
無機微粒子複合体を含有したゴム組成物について説明す
る。本発明のゴム組成物におけるゴムとしては、天然ゴ
ムおよび合成ゴムを挙げることができる。これらを単独
で用いてもよいし、二種以上のブレンドで用いてもよ
い。天然ゴムとしては、エポキシ化天然ゴムのような改
質化された天然ゴムも用いることができる。合成ゴムと
しては、例えばイソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチ
レンブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロブチルゴム、
クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコー
ンゴム、ウレタンゴム等を挙げることができる。上記の
ゴムは、あくまでも例示であり、本発明は上記のゴムに
限定されるものではない。
【0027】本発明のゴム組成物において補強性充填剤
として使用される充填剤は、上記手法で作製されたπ共
役高分子/無機微粒子複合体であるが、従来補強性充填
剤として使用される充填剤を併用してもよい。π共役高
分子/無機微粒子複合体の配合量は、ゴム100重量部
に対して10〜150重量部、好ましくは20〜80重
量部である。
【0028】本発明のゴム組成物においては、更に、通
常のシリカとゴムをカップリングさせるシランカップリ
ング剤、加硫剤、加硫促進剤、軟化剤、可塑剤、老化防
止剤等を適宜配合することができる。これら添加剤の配
合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な
配合量とすることができる。本発明のゴム組成物は、上
記各配合剤を公知の混合機、ゴム用混練機械、例えばロ
ール、インターナルミキサー、バンバリーミキサー等を
用いて混合することによって製造される。
【0029】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではな
い。
【0030】調製例:シラン化合物によるシリカ表面処
理−表面処理シリカA〜Fの調製− シリカとして日本シリカ工業株式会社製、商品名ニップ
シールVN3(平均粒子径10μm、一次粒子径16n
m、BET比表面積180〜230m2 /g)を用い
た。メタノール300mL中に上記シリカ100gを分散
させた後、攪拌しながらシラン化合物3−(N−フェニ
ル)アミノプロピルトリメトキシシランを1g添加し
た。30分間攪拌した後、メタノールを80℃で加熱除
去することにより、3−(N−フェニル)アミノプロピ
ルトリメトキシシランで表面処理された表面処理シリカ
Aを得た。また、シラン化合物として3−(2−アミノ
エチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(3
−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィ
ド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリ
メトキシビニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシランを用いてシリカの表面処理を同様に行う
ことにより、対応する表面処理シリカB,C,D,E,
Fをそれぞれ調製した。
【0031】合成例 π共役高分子/無機微粒子複合体
の調製 合成例1 水500mLにアニリン5g(53.7mmol)、塩酸5.
6g(53.7mmol)、ドデシルベンゼンスルホン酸1
7.5g(53.7mmol)を添加した。得られた水溶液
に表面処理シリカA100gを良く攪拌しながら添加し
た。この溶液を、5℃まで冷却した後、過硫酸アンモニ
ウム14.7g(64.4mmol)を添加した。反応温度
が5℃を越えないようにして5時間攪拌を行った。反応
終了後、反応溶液中の緑色粉末をろ過し、水およびメタ
ノールで洗浄した。ポリアニリン−シリカ複合体を反応
溶液中からろ別する際のろ液および洗浄液には、緑色の
着色が観測されず、定量的にポリアニリンがシリカ表面
上に被覆されていることがわかった。そして、得られた
緑色粉末を80℃、8時間乾燥することによりポリアニ
リン/シリカ複合体を得た。また、ポリアニリン/シリ
カ複合体は、洗浄中および80℃オーブンによる乾燥中
においても変色が認められず、緑色のままであった。得
られたポリアニリン/シリカ複合体を加圧成型し、試験
片の電気伝導度を2端子法により測定した。以下に示す
π共役高分子/シリカ複合体の電気伝導度も同様に測定
した。得られたポリアニリン/シリカ複合体の電気伝導
度はσ=0.1Scm-1であった。
【0032】合成例2 合成例1で用いたアニリン、塩酸、ドデシルベンゼンス
ルホン酸、過硫酸アンモニウムの量をそれぞれ10g
(0.11mol )、11.2g(0.11mol )、35
g(0.11mol )、29.4g(0.13mol )へと
替える以外は、合成例1と同様な方法によりポリアニリ
ン/シリカ複合体を得た。ポリアニリン/シリカ複合体
を反応溶液中からろ別する際のろ液および洗浄液には、
緑色の着色が観測されず、定量的にポリアニリンがシリ
カ表面上に被覆されていることがわかった。また、ポリ
アニリン/シリカ複合体は、洗浄中および80℃オーブ
ンによる乾燥中においても変色が認められず、緑色のま
まであった。得られたポリアニリン/シリカ複合体の電
気伝導度はσ=0.30Scm-1であった。
【0033】合成例3 合成例2で用いた表面処理シリカAの替わりに表面処理
シリカBを用いる以外は、合成例2と同様な方法により
ポリアニリン/シリカ複合体を得た。ポリアニリン/シ
リカ複合体を反応溶液中からろ別する際のろ液および洗
浄液には、緑色の着色が観測されず、定量的にポリアニ
リンがシリカ表面上に被覆されていることがわかった。
また、ポリアニリン/シリカ複合体は、洗浄中および8
0℃オーブンによる乾燥中においても変色が認められ
ず、緑色のままであった。得られたポリアニリン/シリ
カ複合体の電気伝導度はσ=0.22Scm-1であった。
【0034】合成例4 合成例2で用いた表面処理シリカAの替わりに表面処理
シリカCを用いる以外は、合成例2と同様な方法により
ポリアニリン/シリカ複合体を得た。ポリアニリン/シ
リカ複合体を反応溶液中からろ別する際のろ液および洗
浄液には、緑色の着色が観測されず、定量的にポリアニ
リンがシリカ表面上に被覆されていることがわかった。
また、ポリアニリン/シリカ複合体は、洗浄中および8
0℃オーブンによる乾燥中においても変色が認められ
ず、緑色のままであった。得られたポリアニリン/シリ
カ複合体の電気伝導度はσ=0.27Scm-1であった。
【0035】合成例5 合成例2で用いた表面処理シリカAの替わりに表面処理
シリカDを用いる以外は、合成例2と同様な方法により
ポリアニリン/シリカ複合体を得た。ポリアニリン/シ
リカ複合体を反応溶液中からろ別する際のろ液および洗
浄液には、緑色の着色が観測されず、定量的にポリアニ
リンがシリカ表面上に被覆されていることがわかった。
また、ポリアニリン/シリカ複合体は、洗浄中および8
0℃オーブンによる乾燥中においても変色が認められ
ず、緑色のままであった。得られたポリアニリン/シリ
カ複合体の電気伝導度はσ=0.18Scm-1であった。
【0036】合成例6 水500mLにピロール5g(74.5mmol)、ドデシル
ベンゼンスルホン酸24.3g(74.5mmol)を添加
した。得られた水溶液に表面処理シリカA100gを良
く攪拌しながら添加した。この溶液を、5℃まで冷却し
た後、過硫酸アンモニウム20.4g(89.4mmol)
を添加した。反応温度が5℃を越えないようにして5時
間攪拌を行った。反応終了後、反応溶液中の灰色粉末を
ろ過し、水およびメタノールで洗浄した。ポリピロール
/シリカ複合体を反応溶液中からろ別する際のろ液およ
び洗浄液には、着色が観測されず、定量的にポリピロー
ルがシリカ表面上に被覆されていることがわかった。そ
して、得られた灰色粉末を80℃、8時間乾燥すること
によりポリピロール/シリカ複合体を得た。また、ポリ
ピロール/シリカ複合体は、洗浄中および80℃オーブ
ンによる乾燥中においても変色が認められず、灰色のま
まであった。得られたポリピロール/シリカ複合体の電
気伝導度はσ=0.08Scm-1であった。
【0037】合成例7 合成例6で用いたピロール、ドデシルベンゼンスルホン
酸、過硫酸アンモニウムの量をそれぞれ10g(0.1
5mol )、49.0g(0.15mol )、40.8g
(0.18mol )へと替えた以外は、合成例6と同様な
方法によりポリピロール/シリカ複合体を得た。ポリピ
ロール/シリカ複合体を反応溶液中からろ別する際のろ
液および洗浄液には、着色が観測されず、定量的にポリ
ピロールがシリカ表面上に被覆されていることがわかっ
た。また、ポリピロール/シリカ複合体は、洗浄中およ
び80℃オーブンによる乾燥中においても変色が認めら
れず、灰色のままであった。得られたポリピロール/シ
リカ複合体の電気伝導度はσ=0.35Scm-1であっ
た。
【0038】合成例8 合成例6で用いたピロール、ドデシルベンゼンスルホン
酸、過硫酸アンモニウムの量をそれぞれ10g(0.1
5mol )、49.0g(0.15mol )、40.8g
(0.18mol )へと替え、表面処理シリカとして表面
処理シリカAの替わりに表面処理シリカCを用いる以外
は、合成例6と同様な方法によりポリピロール/シリカ
複合体を得た。ポリピロール/シリカ複合体を反応溶液
中からろ別する際のろ液および洗浄液には、着色が観測
されず、定量的にポリピロールがシリカ表面上に被覆さ
れていることがわかった。また、ポリピロール/シリカ
複合体は、洗浄中および80℃オーブンによる乾燥中に
おいても変色が認められず、灰色のままであった。得ら
れたポリピロール/シリカ複合体の電気伝導度はσ=
0.32Scm-1であった。
【0039】合成例9 合成例7で用いた過硫酸アンモニウムを硫酸鉄(III )
(約70%含有)71.5g(0.18mol )へと替え
た以外は、合成例7と同様な方法によりポリピロール/
シリカ複合体を得た。ポリピロール/シリカ複合体を反
応溶液中からろ別する際のろ液および洗浄液には、着色
が観測されず、定量的にポリピロールがシリカ表面上に
被覆されていることがわかった。また、ポリピロール/
シリカ複合体は、洗浄中および80℃オーブンによる乾
燥中においても変色が認められず、灰色のままであっ
た。得られたポリピロール/シリカ複合体の電気伝導度
はσ=0.27Scm-1であった。
【0040】合成例10 合成例9で用いた表面処理シリカAを表面処理シリカB
へと替えた以外は、合成例9と同様な方法によりポリピ
ロール/シリカ複合体を得た。ポリピロール/シリカ複
合体を反応溶液中からろ別する際のろ液および洗浄液に
は、着色が観測されず、定量的にポリピロールがシリカ
表面上に被覆されていることがわかった。また、ポリピ
ロール/シリカ複合体は、洗浄中および80℃オーブン
による乾燥中においても変色が認められず、灰色のまま
であった。得られたポリピロール/シリカ複合体の電気
伝導度はσ=0.28Scm-1であった。
【0041】合成例11 表面処理シリカAの替わりに表面処理シリカEを用いる
以外は、合成例2と同様な方法によりポリアニリン/シ
リカ複合体を調製した。ポリアニリン/シリカ複合体を
反応溶液中からろ別する際のろ液および洗浄液には、緑
色の着色が観測され、シリカ表面上に被覆されていない
低分子量体のポリアニリンが一部溶出することがわかっ
た。ポリアニリン/シリカ複合体は、洗浄中および80
℃オーブンによる乾燥中においても変色が認められず、
緑色のままであった。得られたポリアニリン/シリカ複
合体の電気伝導度は、複合体をろ過洗浄する際にポリア
ニリンの一部が溶出してしまうため、合成例1〜5と比
較して低い値をとり、σ=3.2×10-5Scm-1であっ
た。
【0042】合成例12 表面処理シリカAの替わりに表面処理シリカFを用いる
以外は、合成例2と同様な方法によりポリアニリン/シ
リカ複合体を調製した。ポリアニリン/シリカ複合体を
反応溶液中からろ別する際のろ液および洗浄液には、緑
色の着色が観測され、シリカ表面上に被覆されていない
低分子量体のポリアニリンが一部溶出することがわかっ
た。ポリアニリン/シリカ複合体は、洗浄中および80
℃オーブンによる乾燥中においても変色が認められず、
緑色のままであった。得られたポリアニリン/シリカ複
合体の電気伝導度は、複合体をろ過洗浄する際にポリア
ニリンの一部が溶出してしまうため、合成例1〜5と比
較して低い値をとり、σ=2.1×10-5Scm-1であっ
た。
【0043】合成例13 表面処理シリカAの替わりに表面処理シリカEを用いる
以外は、合成例7と同様な方法によりポリピロール/シ
リカ複合体を得た。ポリピロール/シリカ複合体を反応
溶液中からろ別する際のろ液および洗浄液には、灰褐色
の着色が観測され、シリカ表面上に被覆されていない低
分子量体のポリピロールが一部溶出することがわかっ
た。ポリピロール/シリカ複合体は、洗浄中および80
℃オーブンによる乾燥中においても変色が認められず、
灰色のままであった。得られたポリピロール/シリカ複
合体の電気伝導度は、複合体をろ過洗浄する際にポリピ
ロールの一部が溶出してしまうため、合成例6〜10と
比較して低い値をとり、σ=5.2×10-5Scm-1であ
った。
【0044】合成例14 シリカとして日本シリカ工業株式会社製、商品名ニップ
シールVN3(平均粒子径10μm、一次粒子径16n
m、BET比表面積180〜230m2 /g)を用い
た。水900gにアニリン10g(0.11mol )、濃
塩酸11.2g(0.11mol )、ニップシールVN3
100gを加え、温度を0℃に保ちながら、過硫酸ア
ンモニウム29.4g(0.13mol )を添加した後、
3時間攪拌した。反応終了後、反応溶液中の緑色粉末を
ろ過した。ろ過操作は、合成例1〜13とは異なり、ろ
紙の目詰まりが激しく困難であった。また、ろ液は緑色
であった。ろ別された粉末を水およびメタノールで洗浄
したところ、ろ液が緑色に着色し、シリカ表面上に被覆
されていない低分子量体のポリアニリンが溶出すること
がわかった。ろ別された粉末は、目視でポリアニリン粉
末、シリカ、ポリアニリン/シリカ複合体の混合物であ
ることが容易に判別できた。さらに、得られたポリアニ
リン/シリカ複合体は、洗浄とともに緑色から青緑色へ
と変色し、80℃の加熱乾燥によって青色へと変色し
た。この変色は、ドーピング剤である塩酸が脱離し、導
電状態であったポリアニリンが絶縁体へと変化している
ことを示している。得られたポリアニリン/シリカ複合
体の電気伝導度はσ=2.6×10-13 Scm-1であっ
た。
【0045】以上述べた合成例1〜14までの結果を表
1にまとめて示す。
【表1】
【0046】(註)シリカ;日本シリカ工業株式会社製
ニップシールVN3ろ過操作性 : ○;π共役高分子/シリカ複合体のろ別が容易なもの。 ×;ろ紙の目詰まりによりπ共役高分子/シリカ複合体
のろ別が困難なもの。熱安定性 : ○;80℃の加熱乾燥中、π共役高分子/シリカ複合体
が変色しないもの。 ×;80℃の加熱乾燥中、π共役高分子/シリカ複合体
が変色するもの。
【0047】合成例1〜10で示したように、本発明の
表面処理シリカは、合成例11〜13で示した従来のシ
ランカップリング剤で表面処理されたものよりも、少な
い処理量において効率的にπ共役高分子をシリカ表面上
に被覆することができる。そして、合成例1〜10で示
した本発明品のπ共役高分子/シリカ複合体は、合成例
11〜13の複合体、合成例14のシランカップリング
剤で表面処理されていないシリカから調製された複合体
よりも高い電気電導度を示す。
【0048】ゴム組成物 合成例1〜4,7〜9で得られたπ共役高分子/シリカ
複合体を、下記表2で示した配合比(重量部)で混合し
たゴム組成物を作製後、160℃、20分間の条件でゴ
ムの加硫を行い、以下の各試験に供し、その結果を表2
に示した。また、比較例としてシリカ、カーボンブラッ
ク、合成例11のポリアニリン/シリカ複合体を、下記
表2に示した配合比(重量部)で混合したゴム組成物も
作製した。
【0049】ムーニー粘度:JIS K 6300に基
づき100℃にて測定した。数値が小さいほど加工性が
改善し、良好である。引張特性 :JIS K 6251に準拠して、100%
モジュラス(MPa )、300%モジュラス(MPa )、破
断強度(MPa )、破断伸度(%)を測定した。tanδ :(株)東洋精機製作所製、粘弾性スペクトロ
メーターを用いて、初期歪10%、振幅±2%、周波数
20Hzの条件で、0℃および60℃の粘弾性特性を測定
した。耐摩耗性 :ランボーン摩耗試験機(岩本製作所(株)
製)を使用して荷重5kg、スリップ率25%、時間4
分、室温の条件で測定し摩耗減量を比較例1を100と
した指数として示した。なお、数字が大きい程耐摩耗性
が良好であることを示す。電気伝導度 :加硫ゴムを切り出し、その試験片の電気伝
導度を2端子法により測定した。表面抵抗値 :加硫ゴムの表面抵抗値は、三菱化学(株)
製高抵抗率計Hiresta−UPを用いて測定を行っ
た。
【0050】
【表2】
【0051】(註)表2の各成分は、以下のものを使用
した。 1)SBR:乳化重合SBR,Nipol 1712、
日本ゼオン社製 2)シリカ:ニップシールVN3、日本シリカ工業社製 3)シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシ
リルプロピル)テトラスルフィド 4)老化防止剤:(N−フェニル−N′−(1,3−ジ
メチルブチル)−p−フェニレンジアミン)、バイエル
社製 5)加硫促進剤CZ:N−シクロヘキシル−2−ベンゾ
チアゾリルスルフェンアミド、トーヨーカガク社製 6)加硫促進剤DPG:1,3−ジフェニルグアニジ
ン、バイエル社製
【0052】上記表2から、合成例1〜4,7〜9で得
られたπ共役高分子/シリカ複合体を含む実施例1〜7
のゴム組成物は、比較例1に示すカーボンブラック配合
ゴムの特徴である良好な加工性、耐摩耗性、帯電防止性
を示すとともに、比較例2に示すシリカ配合ゴムの特徴
である良好な粘弾性特性をも示す。また、実施例1〜7
は、比較例3に示すカーボンブラックとシリカを併用し
たゴム組成物よりも、機械的強度、耐摩耗性、粘弾性特
性、帯電防止性の点で優れていることがわかる。さら
に、実施例1〜7は、比較例4に示す従来のシランカッ
プリング剤で表面処理されたシリカから調製された複合
体が配合されたゴム組成物よりも帯電防止能の点で優れ
ていることがわかる。
【0053】
【発明の効果】本発明によると、安易、簡便かつ安価な
方法で、無機微粒子表面上にπ共役高分子を均一かつ強
固に形成させることが可能となった。さらに、本発明に
よると、熱的安定性が極めて高く、高い導電性を示すπ
共役高分子/無機微粒子複合体を得ることが可能となっ
た。また、本発明のπ共役高分子/無機微粒子複合体を
含むゴム組成物は、加工性、耐摩耗性、粘弾性特性に加
えて帯電防止能も優れているゴム組成物である。本発明
のπ共役高分子/無機微粒子複合体は、優れた安定性お
よび高い導電性を有する材料であるため、ゴム用配合剤
としてばかりではなく塗料、接着剤、コーティング剤、
エレクトロレオロジー流体等の分散剤として用いること
も可能である。さらに、本発明は、球状、不定形状、繊
維状、ウィスカー状等の粉体、板状、棒状等またはより
複雑な形状に成形加工したもの等の幅広い形状の材料に
適用して、対応するπ共役高分子/無機微粒子複合体を
得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 和憲 神奈川県平塚市追分2番1号 横浜ゴム株 式会社平塚製造所内 Fターム(参考) 4J002 AC01X AC03X AC06X AC08X AC09X BB15X BB18X BB24X CE00W CM01W DE136 DJ016 EV237 FB096 FB146 FD11W FD117

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機微粒子、ドーピング剤として有機酸
    を含有したπ共役高分子および下記式(1)〜(3)か
    ら選ばれるシラン化合物とから構成されるπ共役高分子
    /無機微粒子複合体。 【化1】 (式中、R1 は、メチル基またはエチル基を表わし、R
    2 は、ヘテロ原子を含んでもよいアルキル基またはアリ
    ール基を表わし、R3 は、水素原子またはヘテロ原子を
    含んでもよいアルキル基もしくはアリール基を表わす。
    Xは、ヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基を表わ
    す。nは、1〜3の整数であり、aは、2〜6の整数で
    あり、bは、1〜6の整数である。そして、bが1の場
    合、R4 は水素原子を表わし、bが2〜6の整数の場
    合、R4 はヘテロ原子を含んでもよいアルキル基または
    アリール基を表わす。)
  2. 【請求項2】 無機微粒子が金属酸化物である、請求項
    1に記載のπ共役高分子/無機微粒子複合体。
  3. 【請求項3】 無機微粒子が酸化ケイ素および/または
    酸化チタンである、請求項1に記載のπ共役高分子/無
    機微粒子複合体。
  4. 【請求項4】 ドーピング剤である有機酸が有機スルホ
    ン酸および/またはその塩類である、請求項1に記載の
    π共役高分子/無機微粒子複合体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4に記載のπ共役高分子/無
    機微粒子複合体を、ゴム100重量部当り10〜150
    重量部含んでなるゴム組成物。
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