JP2014100738A - 粉末成形用金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】ボス部の一端外周に鍔を備え、その鍔に密度差を生じさせる凹部などが設けられている焼結部品の前記鍔の焼結による傾きと端面の歪を減少させて製品の精度を向上させることを課題としている。
【解決手段】ボス部の一端外周に鍔を有し、その鍔の周方向途中に凹部や溝や孔が偏在して設けられた焼結部品の粉末の成形体を成形する粉末成形用金型であって、成形体の鍔を成形するパンチの成形面を、前記鍔の焼結に起因した傾きと歪を吸収する方向に傾斜させた。
【選択図】図1
【解決手段】ボス部の一端外周に鍔を有し、その鍔の周方向途中に凹部や溝や孔が偏在して設けられた焼結部品の粉末の成形体を成形する粉末成形用金型であって、成形体の鍔を成形するパンチの成形面を、前記鍔の焼結に起因した傾きと歪を吸収する方向に傾斜させた。
【選択図】図1
Description
この発明は、ボス部の一端外周に鍔を有する焼結部品、詳しくは、鍔に凹部や溝などが偏在して設けられている焼結部品の製造に利用する粉末成形用金型に関する。
粉末冶金法で製造される鍔付き焼結部品の一例を図9に示す。図示の焼結部品10は、空調機器などに利用されるコンプレッサ用の軸受であって、ボス部11の一端外周に鍔12を有する。その鍔12のボス部側の端面には凹部13が偏在して設けられている。
このような焼結部品は、粉末の成形体を焼結して作られ、図9に示す形状の焼結部品10は、ダイ1、上パンチ2、下パンチ3及びコアロッド4を組み合わせた金型を用い、キャビティに投入した粉末を図10のように、上下のパンチで圧縮して粉末の成形体Aを作り、その成形体を焼結して製造される。成形体を成形する金型は、例えば、鍔12の反ボス部側の端面f1が軸直角な平面である場合には、その端面f1を成形する上パンチ2の成形面(下面)を軸直角な面にしたものが使用されている。
下パンチ3も同様である。例えば、図9の形状の成形体を作る際には、下1〜下3の3つの下パンチ3−1,3−2,3−3が用いられ、焼結部品のボス部側の端面f2が軸直角な平面である場合には、その面を成形する下1パンチ3−1の成形面(上面)を軸直角な面にしたものが使用されている(例えば、下記特許文献1参照)。
図9に示したような焼結部品10は、ボス部11と鍔12の密度に不可避の差が生じる。また、鍔に局部的な肉厚変化を生じる凹部が偏在して設けられているため、鍔12の各部の密度にも差が生じる。ボス部11の軸方向長さが長い製品は特に、ボス部用の粉末が成形時に鍔側に流れる傾向があるが、凹部設置側と他部側では粉末の流れ方に差があり、それが原因で鍔の各部の密度差が大きくなり易い。
その密度差や特殊な鍔形状などが原因で成形体を焼結したときに製品に歪が生じて軸方向の振れ(鍔の傾き)や鍔の平坦度の悪化(反り)を招く。
なお、前掲の特許文献2は、鍔の下面(反ボス部側の端面)の平坦度の悪化を抑えるために、粉末を成形するときに鍔の下面を外径側で鍔の厚みが増す方向にテーパ状に傾斜させ、その下面が上を向く姿勢にして成形体の焼結を行うことを提案している。
しかしながら、図9に示したような焼結部品は、偏在している凹部などの影響によって鍔の歪が周方向の各部において一定せず、そのために、前掲の特許文献2の方法では、歪の効果的な抑制を期待することができない。
この発明は、ボス部の一端外周に鍔を備え、その鍔に密度差を生じさせる凹部などが設けられている焼結部品の前記鍔の焼結による傾きと端面の歪を減少させて製品の精度を向上させることを課題としている。
上記の課題を解決するため、この発明においては、ボス部の一端外周に鍔を有し、その鍔の周方向途中に凹部や溝や孔が偏在して設けられた焼結部品の粉末の成形体を成形する粉末成形用金型のパンチに以下の工夫を施した。
即ち、前記パンチの成形体の鍔を成形する成形面の一部又は全域を、前記鍔の焼結に起因した傾きと歪を吸収する方向に傾斜させた。
即ち、前記パンチの成形体の鍔を成形する成形面の一部又は全域を、前記鍔の焼結に起因した傾きと歪を吸収する方向に傾斜させた。
パンチの成形面は、平面の成形面にしてそれを傾斜させたものと、外径側が軸方向に後退する円錐面にして成形面の円錐の中心の軸をパンチの軸心に対して鍔の焼結による傾きと歪を吸収する方向に傾けたものの2通りが考えられる。
どちらの形態の成形面も、その面を傾斜させたことによって生じる成形面の高低差が鍔の寸法公差よりも小さく収まる範囲においてその成形面を傾斜させる。
なお、この発明は主に上パンチに適用するが、下パンチに成形される側の鍔の端面も焼結による傾きや歪を生じることがあるので、下パンチの成形面を傾斜させ、或いは、軸の傾いた円錐面となすこともあり得る。
この発明の粉末成形用金型は、焼結する前の成形体の鍔に対して、焼結によって生じる歪の方向とは反対向きの傾きをパンチの成形面を傾けることで付与する。これにより、焼結によって生じる鍔の傾きや鍔面の歪が吸収され、精度の向上した製品(焼結部品)が得られる。
以下、この発明の粉末成形用金型の実施の形態を添付図面の図1〜図8に基づいて説明する。例示の粉末成形用金型は、図9に示した焼結部品用成形体の製造に利用されるものであって、ダイ1と、上パンチ2と、下1パンチ3−1、下2パンチ3−2、下3パンチ3−3の3つからなる下パンチ3と、コアロッド4を組み合わせて構成されている。
この図1の粉末成形用金型は、上パンチ2に工夫を施しており、ダイ1、下パンチ3、コアロッド4は、図10に示した従来の金型と同様の構成となっている。
上パンチ2は、図2の線A−O−Aに沿った断面を表した図4からわかるように、先端の成形面2aを平面の面で構成して一方向に傾斜させている。図3は、図2の線B−O−Bに沿った断面であり、この図には成形面2aの傾きは現われていない。
その成形面2aの図4に示した傾斜角αは、その図1の金型を使用して製造される焼結部品の鍔の厚みが寸法公差内に収まる範囲に(成形面を傾斜させることによって生じる鍔の厚み変動量が寸法公差内に収まるように)設定される。
例えば、鍔の直径がφ60mm程度の製品の場合、勾配が5/100mm〜15/100mm程度であれば成形面2aを図4のように傾けても鍔の厚み変動量を寸法公差内に収めることができる。
このように構成された図1の粉末成形用金型は、ダイ1と下1〜下3の各下パンチ3−1〜3−3とコアロッド4との間に形成されるキャビティ5に原料粉末Pを投入し、上パンチ2を駆動してその原料粉末Pを図5のように圧縮成形する。
このとき、上パンチ2の成形面2aに付与する傾きは、製造される焼結部品の焼結に起因した鍔の傾きと歪を吸収する方向となっている。そのために、焼結に起因した鍔の傾きと歪が打ち消されて製品の鍔の傾きと歪が小さくなる。
図6〜図8は、上パンチの他の形態を示している。この上パンチ2は、図8に示すように、成形面2aを外径側が軸方向に後退する円錐面にして円錐の中心の軸Lを、上パンチ2の軸心Cに対して製造する焼結部品の鍔の厚みが寸法公差内に収まる角度範囲で傾斜させている。
この上パンチ2は、図6の線C−O−Cに沿った断面を表した図7では、成形面2aが上パンチ2の軸心CLを基準にして左右対称に傾いている。一方、図6の線D−O−Dに沿った図8の断面では、成形面2aが上パンチ2の軸心CLに対してβ傾いた軸Lを基準にして対称をなすように傾いており、これにより、成形面の傾きによって補正される鍔の傾き量や歪量が上パンチの中心を境にした反対側で異なったものになる。
焼結部品の鍔に設ける凹部や溝や偏在した孔の大きさや設置数、或いは配置状態などによっては、焼結した製品の鍔の全域がボス部を支点にして反り、しかも、鍔のボス部を境にして相反する側でその反りの程度に差がつくことがある。
そのようなときに、上パンチ2の成形面2aを図6〜図8で説明したような形状にすることが有効になる。
成形面2aを円錐面にしてその円錐面の中心の軸を傾ける金型も、成形面2aを軸の傾いた円錐面にしたことによる焼結部品の鍔の厚み変動量が鍔の寸法公差内に収まる範囲で成形面に傾きを付与する。
なお、例示の粉末成形用金型は、上パンチの成形面を傾けたが、下パンチの成形面や上下のパンチの成形面を上記同様に傾けることもできる。
1 ダイ
2 上パンチ
2a 成形面
3 下パンチ
3−1 下1パンチ
3−2 下2パンチ
3−3 下3パンチ
4 コアロッド
5 キャビティ
P 原料粉末
α 上パンチの成形面の傾斜角
CL 上パンチの軸心
L 円錐の成形面の円錐の中心の軸
β 軸Lの軸心Cに対する傾き角
10 焼結部品
11 ボス部
12 鍔
13 凹部
f1 鍔の反ボス部側の端面
f2 鍔のボス部側の端面
2 上パンチ
2a 成形面
3 下パンチ
3−1 下1パンチ
3−2 下2パンチ
3−3 下3パンチ
4 コアロッド
5 キャビティ
P 原料粉末
α 上パンチの成形面の傾斜角
CL 上パンチの軸心
L 円錐の成形面の円錐の中心の軸
β 軸Lの軸心Cに対する傾き角
10 焼結部品
11 ボス部
12 鍔
13 凹部
f1 鍔の反ボス部側の端面
f2 鍔のボス部側の端面
Claims (3)
- ボス部(11)の一端外周に鍔(12)を有し、その鍔の周方向途中に凹部(13)や溝や孔が偏在して設けられた焼結部品(10)の粉末の成形体を成形する粉末成形用金型であって、ダイ(1)と、上下のパンチ(2,3)を有し、前記パンチの前記成形体の鍔を成形する成形面(2a)の一部又は全域を、焼結に起因した前記鍔の傾きと歪を吸収する方向に傾斜させた粉末成形用金型。
- パンチの成形面(2a)を平面の成形面にしてその成形面を前記焼結部品の鍔(12)の厚みが寸法公差内に収まる角度範囲で傾斜させた請求項1に記載の粉末成形用金型。
- パンチの成形面(2a)を外径側が軸方向に後退する円錐面にして円錐の中心の軸(L)を、パンチの軸心(CL)に対して前記焼結部品の鍔の厚みが寸法公差内に収まる角度範囲で傾斜させた請求項1に記載の粉末成形用金型。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012256252A JP2014100738A (ja) | 2012-11-22 | 2012-11-22 | 粉末成形用金型 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012256252A JP2014100738A (ja) | 2012-11-22 | 2012-11-22 | 粉末成形用金型 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2014100738A true JP2014100738A (ja) | 2014-06-05 |
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Family Applications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2012
- 2012-11-22 JP JP2012256252A patent/JP2014100738A/ja active Pending
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