JP5679360B2 - 粉末成形用金型 - Google Patents
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Description
図7に示すように、従来の粉末成形用金型100は、成形孔101aを有するダイ101と、ダイ101の成形孔101aに上方から挿入される円筒状の第1〜第3上パンチ111〜113と、ダイ101の成形孔101aに下方から挿入される円筒状の第1〜第4下パンチ121〜124と、コアロッド131とを備えている。粉末成形用金型100は、第1〜第3上パンチ111〜113の各下端部と、第1〜第4下パンチ121〜124の各上端部とで金属粉末を加圧することにより、粉末成形体200のボス部201、リム部202、外輪部203及び複数の切欠溝204(図8参照)を成形する。
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、粉末成形体の真円度が低下するのを抑制することができる粉末成形用金型を提供することを目的としている。
この場合、粉末成形体のボス部の外周面により内圧を受ける高さ範囲の全体に亘って円弧筒部が形成されるため、第2上パンチの下端部又は第2下パンチの上端部が内圧によって弾性変形したときに、その変形後の形状をより真円度の高い形状とすることができる。
図1は本発明の一実施形態に係る粉末成形用金型を示す断面図である。
図1において、粉末成形用金型1は、成形孔2aを有するダイ2と、第1〜第3上パンチ3〜5と、第1〜第4下パンチ6〜9と、コアロッド10とを備えており、例えば自動車の変速機に用いられる焼結部品であるクラッチハブの粉末成形体50を加圧成形するのに用いられる。
図2(a),(b)において、粉末成形体50は、円筒状のボス部51と、このボス部51の径方向外側に形成された円板状のリム部52と、このリム部52の径方向外側に形成された円筒状の外輪部53とによって構成されている。
リム部52の内周端は、ボス部51の大径部51aの外周面における上下方向(軸方向)中間部に接続され、リム部52の外周端は、外輪部53の内周面における上下方向(軸方向)中間部に接続されている。
第1上パンチ3は、ダイ2の成形孔2aの孔径よりも若干小さい外径を有する円筒状の部材からなり、その下面により前記外輪部53の上面を成形する。
第3上パンチ5は、第2上パンチ4の内径よりも小さい外径を有する円筒状の部材からなり、第2上パンチ4の径方向内側に配置されている。第3上パンチ5は、その下面により前記ボス部51の上面を成形する。
第2下パンチ7は、第1下パンチ6の内径よりも小さい外径を有する円筒状の部材からなり、第1下パンチ6の径方向内側に所定のクリアランスSLを設けて配置されている。本実施形態におけるクリアランスSLは、0.03〜0.004mmに設定されている。第2上パンチ4の下端部の外周面には、前記各切欠溝56の底部に対応する複数のスリット溝7d(図4参照)が周方向に所定間隔をあけて形成されている。図1に示すように、第2下パンチ7は、その上端部により、ボス部51(大径部51a)の下側の外周面、前記リム部52の下面、及び外輪部53の下側の内周面を成形する。前記リム部52の下面を成形する。
第4下パンチ9は、第3下パンチ8の内径よりも小さい外径を有する円筒状の部材からなり、第3下パンチ8の径方向内側に配置されている。第4下パンチ9は、その上面により前記ボス部51における小径部51bの下面を成形する。
図3において、第2上パンチ4の下端部は、円弧状の外周面4a1,4b1,4c1及び円弧状の内周面4a2,4b2,4c2をそれぞれ有する複数の円弧筒部4a,4b,4cが周方向に形成されてなる。各円弧筒部4a〜4cは、同一形状であるため、本実施形態では、円弧筒部4aの形状についてのみ説明する。
また、第1端点P1Uは、第1上パンチ3の内周面3aと第1直線C1との交点F1Uから径方向内側にクリアランスSUと同一長さ離れた点である。第2端点P2Uは、前記内周面3aと第2直線C2との交点F2Uから径方向内側にクリアランスSUと同一長さ離れた点である。中間点P3Uは、前記内周面3aと第3直線C3との交点である。
以上の構成により、第2上パンチ4の下端部は、複数の円弧筒部4a〜4cによって、粉末成形体50の第1端点P1Uと第2端点P2Uとの間に対応する箇所、すなわち各切欠溝56に対応する箇所以外が予め径方向外側に膨らんだ形状となっている。
図3において、第2下パンチ7の上端部は、円弧状の外周面7a1,7b1,7c1及び円弧状の内周面7a2,7b2,7c2をそれぞれ有する複数の円弧筒部7a,7b,7cが周方向に形成されてなる。各円弧筒部7a〜7cは、同一形状であるため、本実施形態では、円弧筒部7aの形状についてのみ説明する。
以上の構成により、第2下パンチ7の上端部は、複数の円弧筒部7a〜7cによって、粉末成形体50の第1端点P1Lと第2端点P2Lとの間に対応する箇所、すなわち各切欠溝56に対応する箇所以外が予め径方向外側に膨らんだ形状となっている。
また、第2上パンチ4の円弧筒部4a〜4cの外周面4a1〜4c1、及び第2下パンチ7の円弧筒部7a〜7cの外周面7a1〜7c1には、外輪部53のの内周面によって、前記内圧Paとバランスするように径方向内方へ押圧する外圧Pbが作用する。
図6に示すように、本実施形態のボス部51(大径部51a)の上側の外径d1U及び外輪部53の上側の内径d2U(図2(b)参照)の各真円度は、いずれも従来の粉末成形体の対応する外径及び内径の真円度よりも小さい値を示している。すなわち、第2上パンチ4の下端部に円弧筒部4a〜4cを形成することにより、粉末成形体50の真円度が改善されていることが分かる。
また、本実施形態のボス部51(大径部51a)の下側の外径d1L及び外輪部53の下側の内径d2L(図2(b)参照)の各真円度は、いずれも従来の粉末成形体の対応する外径及び内径の真円度よりも小さい値を示している。すなわち、第2下パンチ7の上端部に円弧筒部7a〜7cを形成することにより、粉末成形体50の真円度が改善されていることが分かる。
例えば、本実施形態における粉末成形用金型1は、焼結部品であるクラッチハブの粉末成形体50を加圧成形する場合について説明したが、前記ボス部51、リム部52及び外輪部53を有するものであれば、他の焼結部品の粉末成形体に適用することができる。
また、本実施形態における粉末成形用金型1は、第2上パンチ4の下端部及び第2下パンチ7の上端部を、円弧筒部4a〜4c,7a〜7cにより形成しているが、第2上パンチ4の下端部及び第2下パンチ7の上端部のうち、少なくとも一方を円弧筒部4a〜4cにより形成していればよい。
2 ダイ
2a 成形孔
3 第1上パンチ
4 第2上パンチ
4a,4b,4c 円弧筒部
4a1,4b1,4c1 外周面
6 第1下パンチ
7 第2下パンチ
7a,7b,7c 円弧筒部
7a1,7b1,7c1 外周面
50 粉末成形体
51 ボス部
52 リム部
53 外輪部
56 切欠溝
HU,HL 高さ範囲
P1U,P1L 第1端点
P2U,P2L 第2端点
P3U,P3L 中間点
SU,SL クリアランス
X 軸線
Claims (3)
- 円筒状のボス部と、前記ボス部の径方向外側に形成された円板状のリム部と、前記リム部の径方向外側に形成された円筒状の外輪部とを有し、前記外輪部に複数の切欠溝が周方向に所定間隔をあけて形成された粉末成形体を加圧成形する粉末成形用金型であって、
成形孔を有するダイと、
下端部を前記成形孔に上方から挿入して前記外輪部を成形する円筒状の第1上パンチと、
前記第1上パンチの径方向内側に所定のクリアランスを設けて配置され、下端部を前記成形孔に上方から挿入して前記リム部を成形する円筒状の第2上パンチと、を備え、
前記粉末成形体の軸線に対して直交する断面視において、周方向に隣接する一対の前記切欠溝のうち、一方を周方向に二等分する直線を第1直線とし、他方を周方向に二等分する直線を第2直線とし、前記第1直線と前記第2直線とがなす角度を二等分する直線を第3直線とし、
前記第1上パンチの内周面と前記第1直線との交点から径方向内側に前記クリアランスと同一長さ離れた点を第1端点とし、前記第1上パンチの内周面と前記第2直線との交点から径方向内側に前記クリアランスと同一長さ離れた点を第2端点とし、前記第1上パンチの内周面と前記第3直線との交点を中間点とした場合、
前記第2上パンチの下端部は、前記加圧成形前の状態において、前記第1端点から前記中間点を通過して前記第2端点に至る円弧軌跡上に形成された外周面を有する円弧筒部が周方向に複数形成されてなることを特徴とする粉末成形用金型。 - 円筒状のボス部と、前記ボス部の径方向外側に形成された円板状のリム部と、前記リム部の径方向外側に形成された円筒状の外輪部とを有し、前記外輪部に複数の切欠溝が周方向に所定間隔をあけて形成された粉末成形体を加圧成形する粉末成形用金型であって、
成形孔を有するダイと、
上端部を前記成形孔に下方から挿入して前記外輪部を成形する円筒状の第1下パンチと、
前記第1下パンチの径方向内側に所定のクリアランスを設けて配置され、上端部を前記成形孔に下方から挿入して前記リム部を成形する円筒状の第2下パンチと、を備え、
前記粉末成形体の軸線に対して直交する断面視において、周方向に隣接する一対の前記切欠溝のうち、一方を周方向に二等分する直線を第1直線とし、他方を周方向に二等分する直線を第2直線とし、前記第1直線と前記第2直線とがなす角度を二等分する直線を第3直線とし、
前記第1下パンチの内周面と前記第1直線との交点から径方向内側に前記クリアランスと同一長さ離れた点を第1端点とし、前記第1下パンチの内周面と前記第2直線との交点から径方向内側に前記クリアランスと同一長さ離れた点を第2端点とし、前記第1下パンチの内周面と前記第3直線との交点を中間点とした場合、
前記第2下パンチの上端部は、前記加圧成形前の状態において、前記第1端点から前記中間点を通過して前記第2端点に至る円弧軌跡上に形成された外周面を有する円弧筒部が周方向に複数形成されてなることを特徴とする粉末成形用金型。 - 前記円弧筒部は、前記ボス部の外周面と対向する高さ範囲の全体に亘って形成されている請求項1又は2に記載の粉末成形用金型。
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