JP2014037478A - 分子認識ポリマーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複雑なテンプレートに対応した選択性の高い分子認識場を形成できる分子認識ポリマーの製造方法を提供する。
【解決手段】式(1)で示される、極性基を有する重合性基含有環状ホスファゼン化合物中に、L一フェニルアラニンナフチルアニリド等の標的物質のテンプレートを存在させる工程と、重合性基含有環状ホスファゼン化合物を重合し、マトリックスを形成する工程と、マトリックスからテンプレートを分離する工程とを含む製造方法。
Figure 2014037478

nは1から6の整数、Aは、一部が4−ビニルフェノキシ基であり、他が4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基である。
【選択図】なし

Description

本発明は、分子認識ポリマーの製造方法、特に、環状ホスファゼン化合物を用いた分子認識ポリマーの製造方法に関する。
薬学、生化学、天然物化学および有機合成化学等の分野では、光学異性体(ここでは、エナンチオマーとジアステレオマーとを総称する意味で用いる。)の分別が求められることが多い。この分別では、通常、立体選択性を有する反応経路の選択や生成物の光学分割が必要になるが、最近、分子インプリント法(Molecular Imprinting法:以下、「MI法」と称することがある。)の利用が注目されている。
MI法は、概念的には、標的物質(光学分割においてMI法を利用する場合においては、特定の光学異性体)のテンプレートの存在下において、当該テンプレートの所定部位と相互作用し得る部位を有する機能性モノマーを重合することでマトリックスを形成し、このマトリックスからテンプレートを除去することにより形成された空隙を標的物質の鋳型(分子認識場)として用いることで標的物質の選択的な製造や分離等を実現する方法である。
MI法で使用されるマトリックスは、テンプレートの存在下において、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミドまたはビニルピリジンなどの、テンプレートと相互作用可能な官能基を有する機能性モノマーと、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレートまたはトリメチロールプロパントリメタクリレートなどの架橋剤とを重合することで製造されるのが一般的である。例えば、非特許文献1には、L−フェニルアラニン誘導体の存在下でメタクリル酸と架橋剤(エチレングリコールジメタクリレート)とを重合させることでマトリックスを形成し、そのマトリックスからL−フェニルアラニン誘導体を除去することで形成された空隙(分子認識場)により、L−フェニルアラニン誘導体とD−フェニルアラニン誘導体との混合体からL−フェニルアラニン誘導体を選択的に捕捉可能なこと(D/L=1/1.54の割合でL−フェニルアラニン誘導体を選択的に認識できたこと)が報告されている。
立体構造が複雑に組み合わさった光学異性体を分割するような場合、MI法で用いられる分子認識ポリマーの分子認識場は、選択性を高めるために光学異性体の複雑な立体構造に対応した複雑で緻密な構造が求められる。しかし、上述のアクリル酸等の機能性モノマーは、それ自体の構造が比較的単純であることから、複雑なテンプレートに対応した選択性の高い分子認識場の形成が困難である。
K.Alexander,E.M.Davis,Macromolecules,Volume32,Page 4113,1999
本発明の目的は、分子認識ポリマーについて、複雑なテンプレートに対応した選択性の高い分子認識場を形成できるようにすることにある。
本発明は、分子認識ポリマーの製造方法に関するものであり、この製造方法は、下記の式(1)で示される、極性基を有する重合性基含有環状ホスファゼン化合物中に当該極性基と相互作用可能な作用部位を有するテンプレートを存在させる工程と、重合性基含有環状ホスファゼン化合物を重合し、マトリックスを形成する工程と、マトリックスからテンプレートを分離する工程とを含む。
Figure 2014037478
式(1)中、nは1〜6の整数を示し、Aは下記のA1基、A2基、A3基、A4基およびA5基からなる群から選ばれた基を示し、少なくとも一つがA3基でありかつ少なくとも一つがA4基であるか、または、少なくとも一つがA5基である。
A1基:炭素数1〜6のアルキル基およびアリール基から選ばれる少なくとも1種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
A2基:炭素数1〜6のアルキル基およびアリール基から選ばれる少なくとも1種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
A3基:A5基とは異なる、重合性基を有する置換基。
A4基:A3基およびA5基とは異なる、極性基を有する置換基。
A5基:重合性基および極性基の両方を有する置換基。
ここで、A3基およびA5基の重合性基は、例えば、炭素数2〜6の不飽和アルキル基、不飽和カルボニルオキシ基および環状エーテル基からなる群から選ばれた基である。
また、A4基およびA5基の極性基は、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子およびハロゲン原子からなる群から選ばれた少なくとも一つの原子を含む官能基である。
本発明の製造方法の一形態では、架橋剤の存在下で重合性基含有環状ホスファゼン化合物を重合する。
他の観点に係る本発明は、新規な環状ホスファゼン化合物に関するものであり、この環状ホスファゼン化合物は、上記式(1)で示される重合性基含有環状ホスファゼン化合物である。
さらに他の観点に係る本発明は、分子認識ポリマー製造用材料に関するものであり、この材料は、本発明の重合性基含有環状ホスファゼン化合物を含む。この分子認識ポリマー製造用材料は、架橋剤をさらに含んでいてもよい。
さらに他の観点に係る本発明は、分子認識ポリマーに関するものであり、この分子認識ポリマーは、本発明に係る分子認識ポリマーの製造方法により得られるものである。また、他の観点に係る本発明の分子認識ポリマーは、本発明の分子認識ポリマー製造用材料を用いて得られるものである。
本発明の分子認識ポリマーは、例えば、欠陥構造を有する分子認識場がブロッカーにより不活性化されている。
さらに他の観点に係る本発明は、光学分割材料に関するものであり、この光学分割材料は、本発明の分子認識ポリマーからなる。
本発明に係る分子認識ポリマーの製造方法は、テンプレートの存在下において上記式(1)で示される重合性基含有環状ホスファゼン化合物を重合しているため、この製造方法により得られる分子認識ポリマーは、複雑なテンプレートに対応した選択性の高い分子認識場が形成されやすい。
本発明に係る重合性基含有環状ホスファゼン化合物は、上記式(1)で示される特定の構造を有するものであることから、複雑なテンプレートに対応した選択性の高い分子認識場を有する分子認識ポリマーの製造用材料として適している。
本発明の分子認識ポリマー製造用材料は、本発明の重合性基含有環状ホスファゼン化合物を含むため、複雑なテンプレートに対応した選択性の高い分子認識場を有する分子認識ポリマーを製造することができる。
本発明の分子認識ポリマーは、本発明に係る分子認識ポリマーの製造方法により得られるもの、または、本発明の分子認識ポリマー製造用材料を用いて得られるものであるため、複雑なテンプレートに対応した選択性の高い分子認識場を具備することができる。
本発明の光学分割材料は、本発明の分子認識ポリマーからなるため、光学異性体の選択性に優れている。
重合性基含有環状ホスファゼン化合物
本発明に係る分子認識ポリマーの製造方法は、下記の式(1)で示される、新規な重合性基含有環状ホスファゼン化合物を用いる。
Figure 2014037478
式(1)において、nは1から6の整数を示している。したがって、式(1)で示される重合性基含有環状ホスファゼン化合物は、重合性基含有シクロトリホスファゼン化合物(nが1の場合)、重合性基含有シクロテトラホスファゼン化合物(nが2の場合)、重合性基含有シクロペンタホスファゼン化合物(nが3の場合)、重合性基含有シクロヘキサホスファゼン化合物(nが4の場合)、重合性基含有シクロヘプタホスファゼン化合物(nが5の場合)または重合性基含有シクロオクタホスファゼン化合物(nが6の場合)である。
なお、nは、1から3の整数が好ましく、1若しくは2がより好ましく、1が特に好ましい。
また、重合性基含有環状ホスファゼン化合物は、nが異なる2種以上のものの混合物であってもよい。
式(1)において、Aは、下記のA1基、A2基、A3基、A4基およびA5基からなる群から選ばれた基を示している。但し、Aは、少なくとも一つがA3基でありかつ少なくとも一つがA4基であるか、または、少なくとも一つがA5基である。したがって、式(1)は、AとしてA3基およびA4基をそれぞれ少なくとも一つ有するか、或いは、AとしてA5基を少なくとも一つ有する必要があるが、A1基若しくはA2基またはA1基およびA2基の両方を有しないものであってもよい。
A1基は、炭素数1〜6のアルキル基およびアリール基から選ばれる少なくとも1種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基である。
このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基および2−フェニルエトキシ基等を挙げることができる。このうち、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基およびベンジルオキシ基が好ましく、n−プロポキシ基が特に好ましい。
重合性基含有環状ホスファゼン化合物は、2種類以上のA1基を有するものであってもよい。
A2基は、炭素数1〜6のアルキル基およびアリール基から選ばれる少なくとも1種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基である。
このようなアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、エチルメチルフェノキシ基、ジエチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、イソプロピルメチルフェノキシ基、イソプロピルエチルフェノキシ基、ジイソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ペンチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、フェニルフェノキシ基、ナフチルオキシ基およびアントリルオキシ基等を挙げることができる。このうち、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ジエチルフェノキシ基およびフェニルフェノキシ基が好ましく、フェノキシ基、メチルフェノキシ基およびジメチルフェノキシ基が特に好ましい。
重合性基含有環状ホスファゼン化合物は、2種類以上のA2基を有するものであってもよい。
A3基は、重合性基を有する置換基である。但し、A3基は、A5基とは異なるものである。A3基が有する重合性基は、重合性基含有環状ホスファゼン化合物を重合させることができるものであれば特に限定されるものではないが、通常、炭素数2〜6の不飽和アルキル基、不飽和カルボニルオキシ基または環状エーテル基である。A3基は、2種以上の重合性基を有していてもよい。
重合性基である炭素数2〜6の不飽和アルキル基は、1つ以上の二重結合または三重結合を有するものであればよく、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、sec−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−(ブタジエニル)基、2,4−ペンタジエニル基、3−(1,4−ペンタジエニル)基、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、3−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基および1−ヘキシニル基等が挙げられる。
炭素数2〜6の不飽和アルキル基を重合性基として有する置換基としては、例えば、アリールオキシ基、アルキル基置換アリールオキシ基またはアルコキシ基に当該重合性基または当該重合性基を含む基が置換したものが挙げられる。具体的には、例えば、2−エテニルフェノキシ基、3−エテニルフェノキシ基、4−エテニルフェノキシ基、2−エテニル−3−メチルフェノキシ基、2−エテニル−4−メチルフェノキシ基、2−エテニル−5−メチルフェノキシ基、2−エテニル−6−メチルフェノキシ基、3−エテニル−2−メチルフェノキシ基、3−エテニル−4−メチルフェノキシ基、3−エテニル−5−メチルフェノキシ基、3−エテニル−6−メチルフェノキシ基、4−エテニル−2−メチルフェノキシ基、4−エテニル−3−メチルフェノキシ基、2−エテニル−3−エチルフェノキシ基、2−エテニル−4−エチルフェノキシ基、2−エテニル−5−エチルフェノキシ基、2−エテニル−6−エチルフェノキシ基、3−エテニル−2−エチルフェノキシ基、3−エテニル−4−エチルフェノキシ基、3−エテニル−5−エチルフェノキシ基、3−エテニル−6−エチルフェノキシ基、4−エテニル−2−エチルフェノキシ基、4−エテニル−3−エチルフェノキシ基、2−アリルフェノキシ基、3−アリルフェノキシ基、4−アリルフェノキシ基、2−アリル−3−メチルフェノキシ基、2−アリル−4−メチルフェノキシ基、2−アリル−5−メチルフェノキシ基、2−アリル−6−メチルフェノキシ基、3−アリル−2−メチルフェノキシ基、3−アリル−4−メチルフェノキシ基、3−アリル−5−メチルフェノキシ基、3−アリル−6−メチルフェノキシ基、4−アリル−2−メチルフェノキシ基、4−アリル−3−メチルフェノキシ基、2−アリル−3−エチルフェノキシ基、2−アリル−4−エチルフェノキシ基、2−アリル−5−エチルフェノキシ基、2−アリル−6−エチルフェノキシ基、3−アリル−2−エチルフェノキシ基、3−アリル−4−エチルフェノキシ基、3−アリル−5−エチルフェノキシ基、3−アリル−6−エチルフェノキシ基、4−アリル−2−エチルフェノキシ基、4−アリル−3−エチルフェノキシ基、2−(3−ブテニル)フェノキシ基、3−(3−ブテニル)フェノキシ基、4−(3−ブテニル)フェノキシ基、2−(3−ブテニル)−3−メチルフェノキシ基、2−(3−ブテニル)−4−メチルフェノキシ基、2−(3−ブテニル)−5−メチルフェノキシ基、2−(3−ブテニル)−6−メチルフェノキシ基、3−(3−ブテニル)−2−メチルフェノキシ基、3−(3−ブテニル)−4−メチルフェノキシ基、3−(3−ブテニル)−5−メチルフェノキシ基、3−(3−ブテニル)−6−メチルフェノキシ基、4−(3−ブテニル)−2−メチルフェノキシ基、4−(3−ブテニル)−3−メチルフェノキシ基、2−(3−ブテニル)−3−エチルフェノキシ基、2−(3−ブテニル)−4−エチルフェノキシ基、2−(3−ブテニル)−5−エチルフェノキシ基、2−(3−ブテニル)−6−エチルフェノキシ基、3−(3−ブテニル)−2−エチルフェノキシ基、3−(3−ブテニル)−4−エチルフェノキシ基、3−(3−ブテニル)−5−エチルフェノキシ基、3−(3−ブテニル)−6−エチルフェノキシ基、4−(3−ブテニル)−2−エチルフェノキシ基、4−(3−ブテニル)−3−エチルフェノキシ基、2−エチニルフェノキシ基、3−エチニルフェノキシ基、4−エチニルフェノキシ基、2−エチニル−3−メチルフェノキシ基、2−エチニル−4−メチルフェノキシ基、2−エチニル−5−メチルフェノキシ基、2−エチニル−6−メチルフェノキシ基、3−エチニル−2−メチルフェノキシ基、3−エチニル−4−メチルフェノキシ基、3−エチニル−5−メチルフェノキシ基、3−エチニル−6−メチルフェノキシ基、4−エチニル−2−メチルフェノキシ基、4−エチニル−3−メチルフェノキシ基、2−エチニル−3−エチルフェノキシ基、2−エチニル−4−エチルフェノキシ基、2−エチニル−5−エチルフェノキシ基、2−エチニル−6−エチルフェノキシ基、3−エチニル−2−エチルフェノキシ基、3−エチニル−4−エチルフェノキシ基、3−エチニル−5−エチルフェノキシ基、3−エチニル−6−エチルフェノキシ基、4−エチニル−2−エチルフェノキシ基、4−エチニル−3−エチルフェノキシ基、2−(2−エテニルフェニル)メチレンオキシ基、2−(2−エテニルフェニル)エトキシ基、2−(2−エテニルフェニル)プロポキシ基、2−(2−エテニルフェニル)ブトキシ基、2−(3−エテニルフェニル)メチレンオキシ基、2−(3−エテニルフェニル)エトキシ基、2−(3−エテニルフェニル)プロポキシ基、2−(3−エテニルフェニル)ブトキシ基、2−(4−エテニルフェニル)メチレンオキシ基、2−(4−エテニルフェニル)エトキシ基、2−(4−エテニルフェニル)プロポキシ基および2−(4−エテニルフェニル)ブトキシ基等を挙げることができる。このうち、2−エテニルフェノキシ基、4−エテニルフェノキシ基、2−エテニル−3−メチルフェノキシ基、2−エテニル−4−メチルフェノキシ基および2−(4−エテニルフェニル)メチレンオキシ基が好ましく、4−エテニルフェノキシ基および2−(4−エテニルフェニル)メチレンオキシ基が特に好ましい。
重合性基である不飽和カルボニルオキシ基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、チグロイルオキシ基およびクロトイルオキシ基等が挙げられる。
不飽和カルボニルオキシ基を重合性基として有する置換基としては、例えば、アリールオキシ基またはアルキル基置換アリールオキシ基に当該重合性基または当該重合性基を含む基が置換したものが挙げられる。具体的には、例えば、2−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基、3−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基、4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基、2−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−3−メチルフェノキシ基、2−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−4−メチルフェノキシ基、2−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−5−メチルフェノキシ基、2−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−6−メチルフェノキシ基、3−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−2−メチルフェノキシ基、3−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−4−メチルフェノキシ基、3−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−5−メチルフェノキシ基、3−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−6−メチルフェノキシ基、4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−2−メチルフェノキシ基、4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−3−メチルフェノキシ基、2−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−3−エチルフェノキシ基、2−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−4−エチルフェノキシ基、2−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−5−エチルフェノキシ基、2−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−6−エチルフェノキシ基、3−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−2−エチルフェノキシ基、3−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−4−エチルフェノキシ基、3−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−5−エチルフェノキシ基、3−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−6−エチルフェノキシ基、4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−2−エチルフェノキシ基、4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−3−エチルフェノキシ基、2−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基、3−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基、4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基、2−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−3−メチルフェノキシ基、2−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−4−メチルフェノキシ基、2−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−5−メチルフェノキシ基、2−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−6−メチルフェノキシ基、3−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−2−メチルフェノキシ基、3−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−4−メチルフェノキシ基、3−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−5−メチルフェノキシ基、3−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−6−メチルフェノキシ基、4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−2−メチルフェノキシ基、4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−3−メチルフェノキシ基、2−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−3−エチルフェノキシ基、2−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−4−エチルフェノキシ基、2−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−5−エチルフェノキシ基、2−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−6−エチルフェノキシ基、3−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−2−エチルフェノキシ基、3−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−4−エチルフェノキシ基、3−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−5−エチルフェノキシ基、3−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−6−エチルフェノキシ基、4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−2−エチルフェノキシ基および4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−3−エチルフェノキシ基等を挙げることができる。このうち、2−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基、4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基、2−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基および4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基が好ましく、4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基および4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基が特に好ましい。
重合性基である環状エーテル基としては、例えば、エポキシ基、オキセタン基およびオキソラン基等が挙げられる。
環状エーテル基を重合性基として有する置換基としては、例えば、アリールオキシ基またはアルキル基置換アリールオキシ基に当該重合性基または当該重合性基を含む基が置換したものが挙げられる。具体的には、例えば、2−エポキシフェノキシ基、3−エポキシフェノキシ基、4−エポキシフェノキシ基、2−エポキシ−3−メチルフェノキシ基、2−エポキシ−4−メチルフェノキシ基、2−エポキシ−5−メチルフェノキシ基、2−エポキシ−6−メチルフェノキシ基、3−エポキシ−2−メチルフェノキシ基、3−エポキシ−4−メチルフェノキシ基、3−エポキシ−5−メチルフェノキシ基、3−エポキシ−6−メチルフェノキシ基、4−エポキシ−2−メチルフェノキシ基、4−エポキシ−3−メチルフェノキシ基、2−グリシジルオキシフェノキシ基、3−グリシジルオキシフェノキシ基、4−グリシジルオキシフェノキシ基、2−グリシジルオキシ−3−メチルフェノキシ基、2−グリシジルオキシ−4−メチルフェノキシ基、2−グリシジルオキシ−5−メチルフェノキシ基、2−グリシジルオキシ−6−メチルフェノキシ基、3−グリシジルオキシ−2−メチルフェノキシ基、3−グリシジルオキシ−4−メチルフェノキシ基、3−グリシジルオキシ−5−メチルフェノキシ基、3−グリシジルオキシ−6−メチルフェノキシ基、4−グリシジルオキシ−2−メチルフェノキシ基および4−グリシジルオキシ−3−メチルフェノキシ基等を挙げることができる。このうち、2−エポキシフェノキシ基、4−エポキシフェノキシ基、2−グリシジルオキシフェノキシ基および4−グリシジルオキシフェノキシ基が好ましく、4−エポキシフェノキシ基および4−グリシジルオキシフェノキシ基が特に好ましい。
重合性基含有環状ホスファゼン化合物は、2種類以上のA3基を有するものであってもよい。
A4基は、極性基を有する置換基である。但し、A4基は、A3基および後記するA5基とは異なるものである。
A4基が有する極性基は、後記するテンプレートが有する官能基と相互作用可能であって、分子認識ポリマーの分子認識場を形成可能なものであれば特に限定されるものではないが、通常、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子およびハロゲン原子からなる群から選ばれた少なくとも一つの原子を含む官能基である。
このような極性基は、例えば、ヒドロキシ基、カルボニル基、カルボキシ基、アルデヒド基、ニトリル基、チオール基、スルホ基、スルホン酸基、スルフィン酸基、スルホキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基、4級アンモニウム塩基、リン酸基、ボロン酸基、ハロゲン基、ニトロ基、ジアゾ基、アジド基および遷移金属錯体等を挙げることができる。このうち、ヒドロキシ基、カルボキシ基およびアミノ基が好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。A4基の置換基は、このような極性基を2種以上有していてもよい。
上記のような極性基を有する置換基としては、例えば、フェノキシ基またはアルキル基置換フェノキシ基に当該極性基または当該極性基を含む基が置換したものが挙げられる。具体的には、例えば、2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基、4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基、2−ヒドロキシフェノキシ基、4−ヒドロキシフェノキシ基、2−アセチルフェノキシ基、4−アセチルフェノキシ基、2−ホルミルフェノキシ基、4−ホルミルフェノキシ基、2−シアノフェノキシ基、4−シアノフェノキシ基、2−メルカプトフェノキシ基、4−メルカプトフェノキシ基、2−スルホフェノキシ基、4−スルホフェノキシ基、2−スルフィノフェノキシ基、4−スルフィノフェノキシ基、2−アミノフェノキシ基、4−アミノフェノキシ基、2−アセトアミドフェノキシ基、4−アセトアミドフェノキシ基および4−N−フタルイミドフェノキシ基等を挙げることができる。このうち、2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基、4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基および4−シアノフェノキシ基が好ましく、4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基が特に好ましい。
重合性基含有環状ホスファゼン化合物は、2種類以上のA4基を有するものであってもよい。
A5基は、重合性基および極性基の両方を有する置換基である。
A5基の置換基が有する重合性基および極性基は、それぞれ、A3基の置換基が有する重合性基およびA4基が有する極性基と同様のものである。A5基は、2種以上の重合性基を有していてもよいし、2種以上の極性基を有していてもよい。
重合性基および極性基の両方を有する置換基としては、例えば、アリールオキシ基またはアルコキシ基に重合性基および極性基の両方または重合性基および極性基の両方を含む基が置換したものが挙げられる。具体的には、4−エテニル−2−ヒドロキシフェノキシ基、4−エテニル−2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基、4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェノキシ基、4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシカルボニルプロポキシ)フェノキシ基、4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェノキシ基、4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシカルボニルプロポキシ)フェノキシ基、2−ヒドロキシ−3−(4−{1−メチル−1−[4−(グリシジルオキシ)フェニル]エチル}フェノキシ)プロポキシ基および2−ヒドロキシカルボニル−3−(4−{1−メチル−1−[4−(グリシジルオキシ)フェニル]エチル}フェノキシ)プロポキシ基等を挙げることができる。このうち、4−エテニル−2−ヒドロキシフェノキシ基および4−エテニル−2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基が好ましく、4−エテニル−2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基が特に好ましい。
重合性基含有環状ホスファゼン化合物は、2種類以上のA5基を有するものであってもよい。
式(1)で示される重合性基含有環状ホスファゼン化合物において、A1基〜A5基の組合せとして好ましいものは、例えば、次のとおりである。
A1基であるn−プロポキシ基、A3基である4−エテニルフェノキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基の組合せ。
A1基であるn−プロポキシ基、A3基である2−(4−エテニルフェニル)メチレンオキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基の組合せ。
A1基であるn−プロポキシ基、A3基である4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基の組合せ。
A1基であるn−プロポキシ基、A3基である4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基の組合せ。
A1基であるn−プロポキシ基、A3基である4−エポキシフェノキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基の組合せ。
A1基であるn−プロポキシ基、A3基である4−グリシジルオキシフェノキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基の組合せ。
A1基であるn−プロポキシ基とA5基である4−エテニル−2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A2基であるフェノキシ基、A3基である4−エテニルフェノキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基の組合せ。
A2基であるフェノキシ基、A3基である2−(4−エテニルフェニル)メチレンオキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基の組合せ。
A2基であるフェノキシ基、A3基である4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基の組合せ。
A2基であるフェノキシ基、A3基である4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基の組合せ。
A2基であるフェノキシ基、A3基である4−エポキシフェノキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基の組合せ。
A2基であるフェノキシ基、A3基である4−グリシジルオキシフェノキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基の組合せ。
A2基であるフェノキシ基、A3基である2−エテニルフェノキシ基およびA4基である2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A2基であるフェノキシ基、A3基である2−エテニルフェノキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A2基であるフェノキシ基、A3基である4−エテニルフェノキシ基およびA4基である2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A2基であるフェノキシ基、A3基である4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基およびA4基である2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A2基であるフェノキシ基、A3基である4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A2基であるフェノキシ基、A3基である4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基およびA4基である2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A2基であるフェノキシ基、A3基である4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A2基であるフェノキシ基、A3基である4−エポキシフェノキシ基およびA4基である2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A2基であるフェノキシ基、A3基である4−グリシジルオキシフェノキシ基とA4基である2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A2基であるフェノキシ基とA5基である4−エテニル−2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基の組合せ。
A1基であるn−プロポキシ基、A2基であるフェノキシ基、A3基である4−エテニルフェノキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基の組合せ。
A1基であるn−プロポキシ基、A2基であるフェノキシ基、A3基である2−(4−エテニルフェニル)メチレンオキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基の組合せ。
A1基であるn−プロポキシ基、A2基であるフェノキシ基、A3基である4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基の組合せ。
A1基であるn−プロポキシ基、A2基であるフェノキシ基、A3基である4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A1基であるn−プロポキシ基、A2基であるフェノキシ基、A3基である4−エポキシフェノキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基の組合せ。
A1基であるn−プロポキシ基、A2基であるフェノキシ基、A3基である4−グリシジルオキシフェノキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基の組合せ。
A1基であるn−プロポキシ基、A2基であるフェノキシ基およびA5基である4−エテニル−2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基の組合せ。
A3基である4−エテニルフェノキシ基とA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A3基である2−(4−エテニルフェニル)メチレンオキシ基とA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A3基である4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基とA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A3基である4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基とA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A3基である4−エポキシフェノキシ基とA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A3基である4−グリシジルオキシフェノキシ基とA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A3基である2−エテニルフェノキシ基とA4基である2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A3基である2−エテニルフェノキシ基とA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A3基である4−エテニルフェノキシ基とA4基である2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A3基である4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基とA4基である2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A3基である4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基とA4基である2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A3基である4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェノキシ基とA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A3基である4−エポキシフェノキシ基とA4基である2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A3基である4−グリシジルオキシフェノキシ基とA4基である2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A5基である4−エテニル−2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基のみを有するもの。
これらのうち、次の組合せが好ましい。
A3基である4−エテニルフェノキシ基とA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A3基である2−エテニルフェノキシ基とA4基である2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A3基である2−エテニルフェノキシ基とA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A3基である4−エテニルフェノキシ基とA4基である2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A3基である2−(4−エテニルフェニル)メチレンオキシ基とA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せ。
A2基であるフェノキシ基、A3基である2−(4−エテニルフェニル)メチレンオキシ基およびA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基の組合せ。
特に、A3基である4−エテニルフェノキシ基とA4基である4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ基との組合せが好ましい。
本発明において、式(1)で示される重合性基含有環状ホスファゼン化合物は、Aの置換基の組合せが異なる2種以上のものが併用されてもよい。
式(1)で示される重合性基含有環状ホスファゼン化合物は、通常、下記の式(2)で示される環状ホスホニトリルジハライドを原料とし、その全ハロゲン原子をA基により置換することで製造することができる。この際、ハロゲン原子のうちの少なくとも一つをA3基により置換し、かつ、ハロゲン原子のうちの少なくとも一つをA4基により置換するか、或いは、ハロゲン原子のうちの少なくとも一つをA5基により置換する必要がある。
Figure 2014037478
式(2)において、kは、1から6の整数を示している。また、Xは、ハロゲン原子を示し、好ましくはフッ素原子若しくは塩素原子である。
なお、kは、1から3の整数が好ましく、1若しくは2がより好ましく、1が特に好ましい。
また、ここで用いる環状ホスホニトリルジハライドは、kが異なる2種以上のものの混合物であってもよい。
環状ホスホニトリルジハライドのハロゲン原子を各種の置換基で置換する方法として、様々な方法が公知であり、目的の重合性基含有環状ホスファゼン化合物を製造するためにハロゲン原子を上述のA1基、A2基、A3基、A4基またはA5基で置換する場合においても、これらの公知の方法によることができる。例えば、次の非特許文献2、3に記載された方法を参照することができる。
PHOSPHORUS−NITROGEN COMPOUNDS、H.R.ALLCOCK著、1972年刊、ACADEMIC PRESS社 PHOSPHAZENES、A WORLDWIDE INSIGHT、M.GLERIA、R.DE JAEGER著、2004年刊、NOVA SCIENCE PUBLISHERS INC.社
分子認識ポリマー
本発明の分子認識ポリマーは、上述の重合性基含有環状ホスファゼン化合物を含む分子認識ポリマー製造用材料を用いて得られるものである。すなわち、本発明の分子認識ポリマーは、上述の重合性基含有環状ホスファゼン化合物を含む分子認識ポリマー製造用材料を分子インプリント法に適用することで得られるものである。
本発明の分子認識ポリマーを製造するための分子インプリント法の一例は、テンプレートと重合性基含有環状ホスファゼン化合物との複合体を調製する工程1、重合性基含有環状ホスファゼン化合物を重合することでマトリックスを調製する工程2、および、マトリックスからテンプレートを除去する工程3を主に含む。具体的には次のとおりである。
[工程1:複合体の調製工程]
この工程では、重合性基含有環状ホスファゼン化合物を含む分子認識ポリマー製造用材料中にテンプレートを存在させ、重合性基含有環状ホスファゼン化合物とテンプレートとを複合化する。
ここで用いられる分子認識ポリマー製造用材料は、実質的に重合性基含有環状ホスファゼン化合物のみからなるものであってもよいし、他の材料を含むものであってもよい。他の材料としては、架橋剤、重合性二重結合を一つ有する化合物および連鎖移動剤等を挙げることができる。連鎖移動剤としては、アルキル基および芳香環等から選ばれた少なくとも一つの疎水性基、または、水酸基およびポリエーテル鎖等から選ばれた少なくとも一つの親水性基を有する化合物を用いるのが好ましい。このような連鎖移動剤は、適宜選択することで、重合時の連鎖移動により、生成する重合体の性状を疎水性または親水性に調整することができる。このような連鎖移動剤の具体例としては、2−エチルヘキシルメルカプトアセテート、2,5−ジメチルベンゼンチオールおよび4−ヒドロキシベンゼンチオールなどが挙げられる。
架橋剤は、重合性基含有環状ホスファゼン化合物の重合体に架橋構造を付与するためのものであり、重合可能な基を複数有する化合物であれば各種のものを用いることができる。このような架橋剤の例としては、p−ジビニルベンゼン、o−ジビニルベンゼンおよびm−ジビニルベンゼン等のジビニルベンゼン系化合物の他、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、N,N’−メチレンジアクリルアミド、N,N’−1,4−フェニレンジアクリルアミド、3,5−ビス(アクリロイルアミド)安息香酸およびN,O−ビスアクリロイル−L−フェニルアラニノール等のアクリル酸系化合物およびメタクリル酸系化合物を挙げることができる。このうち、p−ジビニルベンゼンおよびエチレングリコールジメタクリレートが好ましく、エチレングリコールジメタクリレートが特に好ましい。これらの架橋剤は2種以上のものが併用されてもよい。
架橋剤は、多く用いたときの方がマトリックスに架橋点が増え、それによって複雑な構造を持つテンプレートを適切にインプリントし易い等の理由から、重合性基含有環状ホスファゼン化合物に対して過剰で用いることが好ましい。具体的には、重合性基含有環状ホスファゼン化合物の極性基に対して、架橋剤の使用量を1.5〜100倍当量に設定するのが好ましく、2〜10倍当量になるよう設定するのが特に好ましい。
重合性二重結合を一つ有する化合物は、分子認識ポリマーに不可欠の適度な空隙(すなわち、分子認識場)が構築されやすいように重合体の架橋密度を調整するとともに、分子認識ポリマーの分子認識場と標的物質とが相互作用し易くなるよう重合体を調整するためのものであり、例えば、ビニル基を1つ有する化合物やアクリロイル基若しくはメタクリロイル基を1つ有する化合物が用いられる。ビニル基を1つ有する化合物としては、例えば、塩化ビニル、スチレン、フェニルビニルスルホキシドおよびフェニルビニルスルホンが挙げられる。一方、アクリロイル基を1つだけ有する化合物としては、例えば、アクリル酸メチルやアクリル酸エチルが挙げられ、メタクリロイル基を1つだけ有する化合物としては、例えば、メタクリル酸メチルやメタクリル酸エチルが挙げられる。
なお、架橋剤および重合性二重結合を一つ有する化合物は、次の工程2での重合を実行するときに、この工程で調製される複合体に対して添加することもできる。
一方、ここで用いられるテンプレートは、目的の分子認識ポリマーに対し、標的物質を選択的に認識して捕捉するための分子認識場を形成するためのものであり、通常、原子(例えば、粒子やクラスター状の(金属)原子等)、イオン(例えば、金属イオンやオニウムイオン等)、立体構造または錯体構造等の特徴的部位を有する分子性、イオン性若しくは高分子性のアセンブリである。具体的には、例えば、光学活性化合物、糖や糖鎖およびこれらの誘導体、アミノ酸およびその誘導体、生理活性を示す生体分子並びに微生物等が挙げられる。なお、テンプレートは、標的物質と同一のものでなくてもよく、標的物質の特定の部分構造を備えたアセンブリであってもよい。
テンプレートは、重合性基含有環状ホスファゼン化合物のA4基またはA5基の極性基との相互作用により結合し得るものであれば、どのようなものであってもよい。なお、分子認識ポリマーの製造時は、使用するテンプレートに応じて重合性基含有環状ホスファゼン化合物の種類(特にAの種類や組合せ)を選択することになる。ここで、極性基との相互作用による結合は、テンプレートが重合性基含有環状ホスファゼン化合物の極性基と相互作用することで重合性基含有環状ホスファゼン化合物と実質的に一体化し得ることを意味し、具体的な結合様式は特に限定されるものではない。したがって、このような結合様式には、共有結合の他に、水素結合、静電的相互作用、イオン結合、疎水性相互作用およびπ−πスタッキング等の非共有結合が含まれる。但し、この結合様式は可逆性(結合と分離との可逆性)を有することが好ましい。これにより、工程3において、マトリックスからテンプレートを除去することが可能になる。
この工程では、通常、分子認識ポリマー製造用材料とテンプレートとを混合し、必要に応じて適宜撹拌することで重合性基含有環状ホスファゼン化合物とテンプレートとの複合体を得ることができる。
[工程2:マトリックス調製工程]
この工程では、工程1で得られた複合体において、分子認識ポリマー製造用材料を重合し、マトリックスを形成する。ここでの重合反応は、重合性基含有環状ホスファゼン化合物が有する重合性基の種類により、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合および開環重合のいずれであってもよい。また、この重合反応は、リビング重合であってもよい。
この工程では、通常、複合体を加熱するか、或いは、複合体に対して紫外線若しくは電子線などのエネルギー線を照射することにより、重合性基含有環状ホスファゼン化合物間において重合性基による重合反応が進行し、重合性基含有環状ホスファゼン化合物の重合体を含むマトリックスが形成される。この際、分子認識ポリマー製造用材料が架橋剤を含む場合、同時に架橋反応が進行し、重合性基含有環状ホスファゼン化合物の重合体に架橋構造が形成される。また、分子認識ポリマー製造用材料が重合性二重結合を一つ有する化合物を含む場合、この化合物は、重合性基含有環状ホスファゼン化合物の重合性基と反応し、標的物質の形状やサイズに応じた空隙(すなわち、分子認識場)が分子認識ポリマーに形成されるよう架橋構造を調整する。
加熱により重合する場合、重合開始剤を用いるのが好ましい。重合開始剤としては、重合性基含有環状ホスファゼン化合物の重合性基間での重合を開始可能な化合物であれば特に限定されるものではないが、通常は、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドおよびジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の過酸化物や、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキシルニトリル、アゾビスシアノ吉草酸および2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系化合物等が用いられる。
加熱により重合する場合、通常、複合体に重合開始剤を添加した後に加熱し、重合反応を進行させる。そして、反応終了後、反応系から重合開始剤を洗浄や再沈殿等の操作で除去すると、目的の重合体、すなわち、マトリックスを得ることができる。例えば、重合性基としてエテニルフェノキシ基を有する重合性基含有環状ホスファゼン化合物の重合体を得る場合は、2,2−アゾビスイソブチロニトリルを重合開始剤として使用し、50℃から120℃の温度で1〜20時間反応を行うのが好ましい。そして、反応終了後、重合開始剤を再沈殿や洗浄等の操作で除去すると、目的の重合体(マトリックス)を得ることができる。
重合開始剤を用いる加熱重合は、通常、溶媒下で実施する。溶媒としては、例えば、水、エタノール、メタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド(DMF)またはクロロホルムを用いることができ、好ましくはアセトニトリルまたはクロロホルムを用いることができる。この溶媒は、工程1で用いる分子認識ポリマー製造用材料において、一成分として含まれていてもよい。なお、加熱重合は、無溶媒下で実施することもできる。
エネルギー線の照射により重合する場合、光重合開始剤を用いるのが好ましい。また、必要に応じて増感剤を用いることもできる。ここで用いられる光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、スルホニウム系光重合開始剤およびヨードニウム系光重合開始剤等を挙げることができる。また、増感剤としては、例えば、第三級アミン等が用いられる。
エネルギー線の照射による重合では、通常、複合体に対して光重合開始剤および必要に応じて増感剤を添加し、これに対してエネルギー線を照射する。例えば、重合性基としてエテニルフェノキシ基を有する重合性基含有環状ホスファゼン化合物の重合体を得る場合は、複合体に対してベンゾフェノンを光重合開始剤として添加した後に400ワットの高圧水銀ランプで紫外線を30秒間照射すると重合反応が進行し、目的の重合体を得ることが出来る。
この工程では、複合体において重合反応を開始する前に、工程1において記載のとおり、複合体に対して架橋剤を添加することができる。この場合、添加する架橋剤は、工程1において例示したものの他、下記の式(3)で示される環状ホスファゼン化合物または下記の式(4)で示される環状ホスファゼン化合物であってもよい。また、式(3)で示される環状ホスファゼン化合物と式(4)で示される環状ホスファゼン化合物とは併用されてもよい。さらに、架橋剤としてのこれらの環状ホスファゼン化合物は、工程1において例示したものと適宜併用することもできる。
Figure 2014037478
架橋剤として用いられる環状ホスファゼン化合物を示す式(3)において、mは1から6の整数を示している。mは、1から3の整数が好ましく、1若しくは2が特に好ましい。この環状ホスファゼン化合物は、mが異なる2種以上のものの混合物であってもよい。
式(3)中、Yは下記のY1基、Y2基、Y3基およびY4基からなる群から選ばれた基を示し、少なくとも一つがY3基またはY4基である。
Y1基は、上述のA1基と同様の基、すなわち、炭素数1〜6のアルキル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基である。Y1基の例としては、A1基の例として挙げたものと同じ基を挙げることができる。式(3)で示される環状ホスファゼン化合物は、2種類以上のY1基を有するものであってもよい。
Y2基は、上述のA2基と同様の基、すなわち、炭素数1〜6のアルキル基およびアリール基から選ばれる少なくとも1種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基である。Y2基の例としては、A2基の例として挙げたものと同じ基を挙げることができる。式(3)で示される環状ホスファゼン化合物は、2種類以上のY2基を有するものであってもよい。
Y3基は、上述のA3基と同様の基、すなわち、重合性基を有する置換基である。Y3基が有する重合性基は、複合体を形成している重合性基含有環状ホスファゼン化合物の重合性基と重合可能なものであれば特に限定されるものではなく、通常、炭素数2〜6の不飽和アルキル基、不飽和カルボニルオキシ基および環状エーテル基である。また、これらの重合性基の例は、A3基が有する重合性基として例示したものと同じである。したがって、Y3基の例としては、A3基の例として挙げたものと同じ基を挙げることができる。式(3)で示される環状ホスファゼン化合物は、2種類以上のY3基を有するものであってもよい。
Y4基は、上述のA5基と同様の基、すなわち、重合性基および極性基の両方を有する置換基である。Y4基の置換基が有する重合性基および極性基は、それぞれ、上述のA3基の置換基が有する重合性基(すなわち、Y3基が有する重合性基)および上述のA4基が有する極性基と同様のものである。したがって、Y4基の例としては、A5基の例として挙げたものと同じ基を挙げることができる。式(3)で示される環状ホスファゼン化合物は、2種類以上のY4基を有するものであってもよい。
Figure 2014037478
架橋剤として用いられる環状ホスファゼン化合物を示す式(4)において、hは1から6の整数を示している。hは、1または2の整数が好ましく、1が特に好ましい。この環状ホスファゼン化合物は、hが異なる2種以上のものの混合物であってもよい。
式(4)中、Zは、下記のZ1基、Z2基およびZ3基からなる群から選ばれた基を示し、かつ、少なくとも二つがZ3基である。
Z1基は、上述したA1基と同様の基、すなわち、炭素数1〜6のアルキル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基である。Z1基の例としては、A1基の例として挙げたものと同じ基を挙げることができる。式(4)で示される環状ホスファゼン化合物は、2種類以上のZ1基を有するものであってもよい。
Z2基は、上述したA2基と同様の基、すなわち、炭素数1〜6のアルキル基およびアリール基から選ばれる少なくとも1種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基である。Z2基の例としては、A2基の例として挙げたものと同じ基を挙げることができる。式(4)で示される環状ホスファゼン化合物は、2種類以上のZ2基を有するものであってもよい。
Z3基は、上述したA4基と同様の基、すなわち、極性基を有する置換基である。Z3基が有する極性基は、テンプレートが有する官能基と結合可能なものであれば特に限定されるものではなく、通常、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子およびハロゲン原子からなる群から選ばれた少なくとも一つの原子を含む官能基である。したがって、Z3基の例としては、A4基の例として挙げたものと同じ基を挙げることができる。式(4)で示される環状ホスファゼン化合物は、2種類以上のZ3基を有するものであってもよい。
式(3)または(4)で示される環状ホスファゼン化合物は、テンプレートと複合した重合性基含有環状ホスファゼン化合物の重合性基または極性基であって、テンプレートとの相互作用に関与していない基と反応し、それによってマトリックスに架橋構造を付与することができる。
[工程3:テンプレートの除去工程]
この工程では、工程2で形成されたマトリックスからテンプレートを分離する。テンプレートの除去によりマトリックスに空隙、すなわち、重合性基含有環状ホスファゼン化合物が有する極性基を備えた所要の分子認識場が形成され、目的の分子認識ポリマーが得られる。
テンプレートの除去方法は、テンプレートと重合性基含有環状ホスファゼン化合物との相互作用による結合を分離できる方法であって、分子認識場の認識能を実質的に損なわない方法であれば、各種の方法を採用することができる。このような除去方法は、通常、テンプレートと重合性基含有環状ホスファゼン化合物との相互作用に応じ、例えば、加熱、溶媒による洗浄、溶媒による抽出、溶媒を使用した乾留、および、加溶媒分解でテンプレートの構造を変換した後、溶媒を用いて抽出する等の方法から選択することができる。このような除去方法は、必要に応じて2種以上の方法が併用されてもよい。
なお、テンプレートの除去により形成された分子認識場は、極性基の安定性を高めるための処理や、極性基の酸性度等の特性を変更するための処理がされてもよい。極性基の特性を変更するための処理をしたとき、分子認識場の分子認識性が変化するため、得られた分子認識ポリマーは、分子選択性が異なる別の分子認識ポリマーになり得る。
本発明の分子認識ポリマーは、これまでの分子認識ポリマーと同じく、テンプレートに対応した標的物質またはその誘導体(テンプレートが標的物質の部分構造を有するアセンブリである場合は、当該部分構造を有する、標的物質に類似の分子や誘導体を意味し、本明細書では、標的物質とその誘導体等を纏めて「標的物質」と称する。)の検出、分離および回収のために利用可能な他、各種の反応を促進するための触媒、創薬のスクリーニングや診断薬などの様々な分野において利用することができる。例えば、本発明の分子認識ポリマーは、標的分子の分離または回収のために用いるとき、カラムに充填しクロマトグラフィー用分離剤として使用することができる。
本発明の分子認識ポリマーは、標的物質の検出のために利用する場合、様々な形態で使用することができる。例えば、本発明の分子認識ポリマーを適当な基板に固定化して膜を形成したものは、標的物質の検出キットとして使用することができる。なお、本発明の分子認識ポリマーは、表面プラズモン共鳴(SPR)法、局在プラズモン共鳴(LSPR)法、水晶振動子センサー、電気化学的方法、蛍光法、発光法、発色法または光導波路分光法等の公知の方法を適用し、分子認識場と標的物質との相互作用状態を定量的に評価することで、標的物質を定量的に検出することもできる。
標的物質を定量的に検出する場合、使用する検出法において検出可能なシグナルを発信する物質を補因子として用いるのが好ましい。補因子としては、例えば、蛍光物質、発光物質、発色物質または電気化学的シグナルを発する物質などを用いることができる。
本発明の分子認識ポリマーは、上述の重合性基含有環状ホスファゼン化合物を用いて得られることから、その分子認識場は選択性の高い認識能を示すものと期待される。上述の重合性基含有環状ホスファゼン化合物は、各リン原子に2つの置換基が導入されたものであることから、重合性基を有する置換基と極性基を有する置換基とを要求される性能に合わせて適切に組み合わせることで、テンプレートが複雑な場合においてもそれに追従した複雑な立体形状等の重合体を形成しやすく、また、当該重合体に緻密に極性基を与えることができるため、テンプレートに対応した特異的で高精度の分子認識場を形成しやすいと考えられるためである。
このため、本発明の分子認識ポリマーは、標的物質の認識能が高く、光学分割材料として用いたり、血中等の生体試料からカテコールアミン等の微量成分を選択的に取り出したりする場合において、高い有用性を有する。また、本発明の分子認識ポリマーは、イオン類の吸着、回収および有害物質の選択的除去等の幅広い分野に応用可能である。
なお、水素結合など非共有型の分子間相互作用を利用した従来の分子認識ポリマーの多くは、クロロホルムやトルエンといった疎水性溶媒中で標的物質を認識させる必要があるが、本発明の分子認識ポリマーは、メタノールや他のアルコール類と水との混合溶媒のような親水性溶媒中においても標的物質に対する高い認識性を示す。したがって、本発明の分子認識ポリマーは、標的物質を認識する場合に疎水性溶媒の使用を回避することができ、環境面の観点からも有用性、実用性が高い。
本発明の分子認識ポリマーの認識性は、ブロッカーを用いることで高めることができる。ブロッカーとは、テンプレートに対応しない欠陥構造を有し、結果的に選択的な認識性が損なわれている分子認識場に対して選択的に作用し、当該分子認識場を不活性化する化合物である。このようなブロッカーを用いることで、分子認識ポリマーは、所望の認識性を有する分子認識場のみが機能することになり、認識性が高まる。
本発明において利用可能なブロッカーは、欠陥構造を有する分子認識場を塞ぐ作用のあるものであれば、特に限定されるものではなく、ブロッカーとして一般に使用される各種の化合物である。例えば、分子認識ポリマーの製造用材料である重合性基含有環状ホスファゼン化合物として、カルボキシ基やスルホン酸基をA4基またはA5基の極性基として含むものを用いる場合、当該カルボキシル基やスルホン酸基と相互作用可能な基、例えば、第一級〜第三級のアミノ基を有する化合物をブロッカーとして用いることができる。このようなブロッカーとしては、例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ビス(シクロヘキシルメチル)アミン、アニリン、フェニルメチルアミン、ジフェニルメチルアミン、トリフェニルメチルアミン、2−フェニルエタンアミン、2,2−ジフェニルエタンアミン、2,2,2−トリフェニルエタンアミン、1−ナフチルアミンおよび2−ナフチルアミンが挙げられる。このうち、シクロヘキシルアミンおよびトリフェニルメチルアミンが好ましく、シクロヘキシルアミンが特に好ましい。これらのブロッカーは、2種以上のものが併用されてもよい。
また、本発明の分子認識ポリマーの認識性は、他の方法で高めることもできる。例えば、本発明に係る、上述の分子認識ポリマーの製造方法の工程1において、重合性基含有環状ホスファゼン化合物とテンプレートとの複合体を形成した後、テンプレートと結合していない重合性基含有環状ホスファゼン化合物の極性基をその時点で化学的に処理等することで不活性化し、欠陥構造を有する分子認識場が形成されるのを防止する方法を採用することもできる。このような方法は、例えば、特許第4184386号公報に記載されている。
本発明の分子認識ポリマーは、光学分割材料としての使用を予定した場合において、ブロッカー等を用いる方法で認識性を高めると、通常、光学異性体の認識能を鏡像体過剰率80%ee程度まで高めることができる。
本発明の分子認識ポリマーは、所要の目的で使用した後において、分子認識場に結合した標的物質を除去することで再利用が可能である。ここで、分子認識場にブロッカーが結合している場合、本発明の分子認識ポリマーは、ブロッカーを結合した状態のままで再利用が可能である。標的物質の除去方法としては、本発明に係る、上述の分子認識ポリマーの製造方法の工程3でのテンプレートの除去方法と同様の方法を採用することができる。
以下に実施例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例等によりなんら限定されるものではない。
合成例1(p−ヒドロキシスチレンの合成)
trans p−クマル酸(6.0g,36.6mmol)およびヒドロキノン(3.2g,29.2mmol)をキノリン40mlに溶解し、銅粉末(0.46g,7.3mmol)を分散させた後に窒素を吹き込みながら200℃で約10分間脱炭酸を行った。80〜100℃で減圧蒸留してヒドロキノンのキノリン溶液を取り出し、これを冷やした2N−HCl水溶液に滴下することでキノリンを塩酸塩とした。ジエチルエーテルでヒドロキノンを抽出した後に飽和食塩水で振って中性にし、硫酸ナトリウムで乾燥後、硫酸ナトリウムをろ別し、溶媒を減圧濃縮することで目的物を得た(収率:69%)。この生成物の分析結果は次のおとりであった。
H−NMRスペクトル(DMSO−d6、δ、ppm):
5.0−5.6(d,2H),6.6(q,1H),6.7(d,2H),7.3(d,2H),9.5(s,1H)
合成例2((4一ビニルフェノキシ) 2.0 −(クロロ) 4.0 シクロトリホスファゼン(以下、「HS 2.0 Cl 4.0 」と表示する。)の合成
NaH(0.191g,7.9mmol)を乾燥THF(テトラヒドロフラン)20mlに分散させ、氷浴下で合成例1のp−ヒドロキシスチレン(0.954g,7.9mmol)の乾燥エーテル溶液を滴下した。室温で約2時間撹拌した後、これをヘキサクロロシクロトリホスファゼン(1.38g,3.97mmol)の乾燥THF溶液に氷浴下で滴下した。滴下終了後、30℃で12時間撹拌し、HS2.0Cl4.0を合成した。この生成物の分析結果は次のとおりであった。
H−NMR(CDCl、δ、ppm):
5.2−5.7(d,2H),6.6(q,1H),6,8(d,2H),7.2(t,4H)
合成例3((4一ビニルフェノキシ) 2.8 −(クロロ) 3.2 シクロトリホスファゼン(以下、「HS 2.8 Cl 3.2 」と表示する。)の合成
NaH(0.267g,11.1mmol)を乾燥THF20mlに分散させ、氷浴下で合成例1のp−ヒドロキシスチレン(1.336g,11.1mmol)の乾燥エーテル溶液を滴下した点を除いて合成例2と同様に操作し、HS2.8Cl3.2を合成した。この生成物の分析結果は次のとおりであった。
H−NMR(CDCl、δ、ppm):
5.2−5.7(d,2H),6.6(q,1H),6,8(d,2H),7.2(t,4H)
合成例4((4一ビニルフェノキシ) 3.7 −(クロロ) 2.3 シクロトリホスファゼン(以下、「HS 3.7 Cl 2.3 」と表示する。)の合成
NaH(0.352g,14.7mmol)を乾燥THF20mlに分散させ、氷浴下で合成例1のp−ヒドロキシスチレン(1.765g,14.7mmol)の乾燥エーテル溶液を滴下した点を除いて合成例2と同様に操作し、HS3.7Cl2.3を合成した。この生成物の分析結果は次のとおりであった。
H−NMR(CDCl、δ、ppm):
5.2−5.7(d,2H),6.6(q,1H),6,8(d,2H),7.2(t,4H)
合成例5((4一ビニルフェノキシ) 4.6 −(クロロ) 1.4 シクロトリホスファゼン(以下、「HS 4.6 Cl 1.4 」と表示する。)の合成
NaH(0.438g,18.3mmol)を乾燥THF20mlに分散させ、氷浴下で合成例1のp−ヒドロキシスチレン(2.194g,18.3mmol)の乾燥エーテル溶液を滴下した点を除いて合成例2と同様に操作し、HS4.6Cl1.4を合成した。この生成物の分析結果は次のとおりであった。
H−NMR(CDCl、δ、ppm):
5.2−5.7(d,2H),6.6(q,1H),6,8(d,2H),7.2(t,4H)
合成例6((4一ビニルフェノキシ) 4.8 −(クロロ) 1.2 シクロトリホスファゼン(以下、「HS 4.8 Cl 1.2 」と表示する。)の合成
NaH(0.457g,19.1mmol)を乾燥THF20mlに分散させ、氷浴下で合成例1のp−ヒドロキシスチレン(2.290g,19.1mmol)の乾燥エーテル溶液を滴下した点を除いて合成例2と同様に操作し、HS4.8Cl1.2を合成した。この生成物の分析結果は次のとおりであった。
H−NMR(CDCl、δ、ppm):
5.2−5.7(d,2H),6.6(q,1H),6,8(d,2H),7.2(t,4H)
合成例7((4一ビニルフェノキシ) 5.2 −(クロロ) 0.8 シクロトリホスファゼン(以下、「HS 5.2 Cl 0.8 」と表示する。)の合成
NaH(0.495g,20.6mmol)を乾燥THF20mlに分散させ、氷浴下で合成例1のp−ヒドロキシスチレン(2.480g,20.6mmol)の乾燥エーテル溶液を滴下した点を除いて合成例2と同様に操作し、HS5.2Cl0.8を合成した。この生成物の分析結果は次のとおりであった。
H−NMR(CDCl、δ、ppm):
5.2−5.7(d,2H),6.6(q,1H),6,8(d,2H),7.2(t,4H)
実施例1((4−ビニルフェノキシ) 2.0 −(4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ) 4.0 シクロトリホスファゼン(以下、「HS 2.0 p−C 4.0 」と表示する。)の合成
(工程A)
乾燥THFにNaH(1.143g,47.6mmol)を分散させ、p−ヒドロキシ安息香酸エチル(7.916g,47.6mmol)の乾燥THF溶液を滴下し、室温で約2時間撹拌した。この溶液を合成例2で得られたHS2.0Cl4.0を含む溶液に氷浴下で滴下し、30℃で3日間撹拌した。反応混合物に蒸留水を加え、クロロホルムで抽出した後、クロロホルム/酢酸エチル=10/1の展開溶媒を用いてシリカゲルカラム(富士シリシア化学株式会社の「フラッシュクロマトグラフィー用シリカゲルFL60D」)を備えた株式会社山善製の中圧クロマトグラフィー(ポンプ:同社製の「PUMP540」、検出器:同社製の「PREPUV−10V」、オートミキサー:同社製の「GR−202」)を用いて原料を完全に取り除き、(4−ビニルフェノキシ)2.0−(4−エトキシカルボニルフェノキシ)4.0シクロトリホスファゼン(以下、「HS2.0EHB4.0」と表示する。)を得た(収率:81%)。
(工程B)
次に、得られたHS2.0EHB4.0(3.03g,3.22mmol)をTHF20mlに溶かし、メタノール10mlに溶かしたt−BuOK(1.781g,15.44mmol)を氷浴下で滴下した。これに蒸留水を4ml加え、室温で1日撹拌した。その後、溶媒を留去し、蒸留水を加えて系を均一にした。得られた混合溶液を氷浴下で2N−HCl水溶液へゆっくり滴下し、沈殿物を遠心分離することでHS2.0p−C4.0を得た(収率:96%)。このHS2.0p−C4.0の分析結果は次のとおりであった。
H−NMRスペクトル(DMSO−d6、δ、ppm):
5.3−5.8(d,2H),6.7(q,1H),6.8(m,2H),7.0(m,2H),7.4(d,2H),7.9(d,2H)
31P−NMR(DMSO−d6、δ、ppm):
8.7
◎TOF−MS:
904,921,939
以上の分析結果から、得られたHS2.0p−C4.0は[N(OCCH=CH(OCCOOH)]、[N(OCCH=CH(OCCOOH)]、[N(OCCH=CH(OCCOOH)]の混合物であり、その平均組成が[NP(OCCH=CH2.0(OCCOOH)4.0]であることを確認した。
実施例2((4−ビニルフェノキシ) 2.8 −(4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ) 3.2 シクロトリホスファゼン(以下、「HS 2.8 p−C 3.2 」と表示する。)の合成
NaH(0.914g,38.1mmol)、p−ヒドロキシ安息香酸エチル(6.333g,38.1mmol)および合成例3で得られたHS2.8Cl3.2を含む溶液を用いた点を除いて実施例1の工程Aと同様に操作し、(4−ビニルフェノキシ)2.8−(4−エトキシカルボニルフェノキシ)3.2シクロトリホスファゼンを得た(収率:85%)。
次に、得られた化合物(3.365g,3.4mmol)およびt−BuOK(1.454g,12.96mmol)を用いた点を除いて実施例1の工程Bと同様に操作し、HS2.8p−C3.2を得た(収率:94%)。このHS2.8p−C3.2の分析結果は次のとおりであった。
H−NMRスペクトル(DMSO−d6、δ、ppm):
5.3−5.8(d,2H),6.7(q,1H),6.8(m,2H),7.0(m,2H),7.4(d,2H),7.9(d,2H)
31P−NMR(DMSO−d6、δ、ppm):
8.7
◎TOF−MS:
886,904,921
以上の分析結果から、得られたHS2.8p−C3.2は[N(OCCH=CH(OCCOOH)]、[N(OCCH=CH(OCCOOH)]、[N(OCCH=CH(OCCOOH)]の混合物であり、その平均組成が[NP(OCCH=CH2.8(OCCOOH)3.2]であることを確認した。
実施例3((4−ビニルフェノキシ) 3.7 −(4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ) 2.3 シクロトリホスファゼン(以下、「HS 3.7 p−C 2.3 」と表示する。)の合成
NaH(0.657g,27.4mmol)、p−ヒドロキシ安息香酸エチル(4.552g,27.4mmol)および合成例4で得られたHS3.7Cl2.3を含む溶液を用いた点を除いて実施例1の工程Aと同様に操作し、(4−ビニルフェノキシ)3.7−(4−エトキシカルボニルフェノキシ)2.3シクロトリホスファゼンを得た(収率:79%)。
次に、得られた化合物(2.997g,3.1mmol)およびt−BuOK(0.971g,8.66mmol)を用いた点を除いて実施例1の工程Bと同様に操作し、HS3.7p−C2.3を得た(収率:96%)。このHS3.7p−C2.3の分析結果は次のとおりであった。
H−NMRスペクトル(DMSO−d6、δ、ppm):
5.3−5.8(d,2H),6.7(q,1H),6.8(m,2H),7.0(m,2H),7.4(d,2H),7.9(d,2H)
31P−NMR(DMSO−d6、δ、ppm):
8.7
◎TOF−MS:
868,886,904
以上の分析結果から、得られたHS3.7p−C2.3は[N(OCCH=CH(OCCOOH)]、[N(OCCH=CH(OCCOOH)]、[N(OCCH=CH(OCCOOH)]の混合物であり、その平均組成が[NP(OCCH=CH3.7(OCCOOH)2.3]であることを確認した。
実施例4((4−ビニルフェノキシ) 4.6 −(4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ) 1.4 シクロトリホスファゼン(以下、「HS 4.6 p−C 1.4 」と表示する。)の合成
NaH(0.400g,16.7mmol)、p−ヒドロキシ安息香酸エチル(2.771g,16.7mmol)および合成例5で得られたHS4.6Cl1.4を含む溶液を用いた点を除いて実施例1の工程Aと同様に操作し、(4−ビニルフェノキシ)4.6−(4−エトキシカルボニルフェノキシ)1.4シクロトリホスファゼンを得た(収率:75%)。
次に、得られた化合物(2.722g,3.0mmol)およびt−BuOK(0.561g,5.00mmol)を用いた点を除いて実施例1の工程Bと同様に操作し、HS4.6p−C1.4を得た(収率:97%)。このHS4.6p−C1.4の分析結果は次のとおりであった。
H−NMRスペクトル(DMSO−d6、δ、ppm):
5.3−5.8(d,2H),6.7(q,1H),6.8(m,2H),7.0(m,2H),7.4(d,2H),7.9(d,2H)
31P−NMR(DMSO−d6、δ、ppm):
8.7
◎TOF−MS:
868,886
以上の分析結果から、得られたHS4.6p−C1.4は[N(OCCH=CH(OCCOOH)]、[N(OCCH=CH(OCCOOH)]の混合物であり、その平均組成が[NP(OCCH=CH4.6(OCCOOH)1.4]であることを確認した。
実施例5((4−ビニルフェノキシ) 4.8 −(2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ) 1.2 シクロトリホスファゼン(以下、「HS 4.8 o−C 1.2 」と表示する。)の合成
NaH(0.343g,14.3mmol)、サリチル酸エチル(2.375g,14.3mmol)および合成例6で得られたHS4.8Cl1.2を含む溶液を用いた点を除いて実施例1の工程Aと同様に操作し、(4−ビニルフェノキシ)4.8−(2−エトキシカルボニルフェノキシ)1.2シクロトリホスファゼンを得た(収率:67%)。
次に、得られた化合物(2.407g,2.7mmol)およびt−BuOK(0.430g,3.83mmol)を用いた点を除いて実施例1の工程Bと同様に操作し、HS4.8o−C1.2を得た(収率:94%)。このHS4.8o−C1.2の分析結果は次のとおりであった。
H−NMRスペクトル(DMSO−d6、δ、ppm):
5.3−5.8(d,2H),6.7(q,1H),6.8(m,2H),7.0(m,2H),7.4(d,2H),7.9(d,2H)
31P−NMR(DMSO−d6、δ、ppm):
9.0
◎TOF−MS:
868,886
以上の分析結果から、得られたHS4.8o−C1.2は[N(OCCH=CH(OCCOOH)]、[N(OCCH=CH(OCCOOH)]の混合物であり、その平均組成が[NP(OCCH=CH4.8(OCCOOH)1.2]であることを確認した。
実施例6((4−ビニルフェノキシ) 5.2 −(4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ) 0.8 シクロトリホスファゼン(以下、「HS 5.2 p−C 0.8 」と表示する。)の合成
NaH(0.229g,9.5mmol)、p−ヒドロキシ安息香酸エチル(1.583g,9.5mmol)および合成例7で得られたHS5.2Cl0.8を含む溶液を用いた点を除いて実施例1の工程Aと同様に操作し、(4−ビニルフェノキシ)5.2−(4−エトキシカルボニルフェノキシ)0.8シクロトリホスファゼンを得た(収率:73%)。
次に、得られた化合物(2.569g,2.9mmol)およびt−BuOK(0.312g,2.78mmol)を用いた点を除いて実施例1の工程Bと同様に操作し、HS5.2p−C0.8を得た(収率:94%)。このHS5.2p−C0.8の分析結果は次のとおりであった。
H−NMRスペクトル(DMSO−d6、δ、ppm):
5.3−5.8(d,2H),6.7(q,1H),6.8(m,2H),7.0(m,2H),7.4(d,2H),7.9(d,2H)
31P−NMR(DMSO−d6、δ、ppm):
8.7
◎TOF−MS:
850,868
以上の分析結果から、得られたHS5.2p−C0.8は[N(OCCH=CH]、[N(OCCH=CH(OCCOOH)]の混合物であり、その平均組成が[NP(OCCH=CH5.2(OCCOOH)0.8]であることを確認した。
実施例7(ペンタキス−(4−ビニルフェノキシ)−(4−ヒドロキシカルボニルフエノキシ)シクロトリホスファゼン(以下、「HS 5.0 p−C 1.0 」と表示する。)の合成
(工程A)
ヘキサクロロシクロトリホスファゼン(10.0g,28.9mmol)の乾燥THF溶液80mlに対し、p−ヒドロキシ安息香酸エチル(4.8g,28.9mmol)とトリエチルアミン(8.8g,86.6mmol)との乾燥THF溶液100mlを氷浴下で滴下した。窒素雰囲気下、40℃で12時間反応させた後、生成した塩をろ過し、減圧濃縮でTHFとトリエチルアミンとを除去した。反応混合物をヘキサンで洗浄し、実施例1の工程Aで用いたものと同条件の中圧カラムクロマトグラフィー(但し、使用した展開溶媒は酢酸エチル/ヘキサン=1/3である。)により4−エトキシカルボニルフェノキシモノ置換体(以下、「EHB1.0Cl5.0」と表示する。)のみを分離した(収率:47%)。その分析結果は次のとおりであった。
H−NMR(CDCl、δ、ppm):
1.4(t,3H),4.4(d,2H),7.3(d,2H),8.1(d,2H)
31P−NMR(CDCl、δ、ppm):
12.0(t),22.2(d)
合成例1で得られたp−ヒドロキシスチレン(4.1g,33.8mmol)、トリエチルアミン(9.8g,96.6mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(0.29g,2.4mmol)の乾燥THF溶液60mlに対し、得られたEHB1.0Cl5.0(2.3g,4.8mmol)の乾燥THF溶液40mlを氷浴下で滴下した。窒素雰囲気下、30℃で48時間反応させた後、塩をろ過し、減圧濃縮でTHFとトリエチルアミンとを除去した。反応混合物をシリカゲルに吸着させ、クロロホルム/ヘキサン=1/9の溶媒で副生成物を除去した後、実施例1の工程Aで用いたものと同条件の中圧カラムクロマトグラフィー(但し、使用した展開溶媒はクロロホルム/ヘキサン=2/3である。)によりペンタキス−(4−ビニルフェノキシ)−(4−エトキシカルボニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン(以下、「HS5.0EHB1.0」と表示する。)のみを分離した(収率:84%)。
(工程B)
次に、得られたHS5.0EHB1.04.0mmolをTHF20mlに溶かし、これにメタノール30mlに溶かしたt−BuOK(1.51g,13.4mmol)を氷浴下で滴下した。これに蒸留水を4ml加え、室温で1日撹拌した。その後、溶媒を留去し、蒸留水を加えて系を均一にした。得られた混合溶液を氷浴下で2N−HCl水溶液にゆっくり滴下した後、目的のHS5.0p−C1.0をジエチルエーテルで抽出した(収率:95%)。このHS5.0p−C1.0の分析結果は次のとおりであった。
H−NMR(CDCl、δ、ppm):
5.2−5.7(d,10H),6.7(q,5H),6.8(d,10H),6.9(d,2H),7.2(d.10H),7.9(d,2H),12.7(broad,1H)
31P−NMR(CDCl、δ、ppm):
9.0
実施例8(ペンタキス−(4−ビニルフェノキシ)−(2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン(以下、「HS 5.0 o−C 1.0 」と表示する。)の合成
p−ヒドロキシ安息香酸エチルの代わりにサリチル酸エチルを用いた点を除いて実施例7の工程Aと同様に操作し、得られた反応混合物から実施例1の工程Aで用いたものと同条件の中圧カラムクロマトグラフィー(但し、使用した展開溶媒は酢酸エチル/ヘキサン=1/6である。)により2−エトキシカルボニルフェノキシモノ置換体(以下、「Cl5.0ES1.0」と表示する。)のみを分離した(収率:44%)。その分析結果は次のとおりであった。
H−NMR(CDCl、δ、ppm):
1.4(t,3H),4.4(q,2H),7.4(q,4H),7.6(t,1H),8.0(d,1H)
31P−NMR(CDCl、δ、ppm):
22.2(t),12.1(d)
次に、Cl5.0EHB1.0の代わりに得られたCl5.0ES1.0を用いた点を除いて実施例7の工程Bと同様に操作し、得られた反応混合物をシリカゲルに吸着させ、酢酸エチル/ヘキサン=1/3の溶媒で副生成物を除去した後、実施例1の工程Aで用いたものと同条件の中圧カラムクロマトグラフィー(但し、使用した展開溶媒は酢酸エチル/ヘキサン=1/7である。)によりペンタキス−(4−ビニルフエノキシ)−(2−エトキシカルボニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン(以下、「HS5.0ES1.0」と表示する。)のみを分離した(収率:76%)。このHS5.0o−C1.0の分析結果は次のとおりであった。
H−NMR(CDCl、δ、ppm):
5.2−5.7(d,10H),6.7(q,5H),6.8(d,10H),7.2(d,2H),7.4(q,10H),7.6(t,1H),8.0(d,1H),12.5(broad,1H)
31P−NMR(CDCl、δ、ppm):
8.7
実施例9((4−ビニルフェノキシ) 2.0 −(4−ヒドロキシカルボニルフェノキシ) 2.0 ベンジルオキシ 2.0 シクロトリホスファゼン(以下、「HS 2.0 p−C 2.0 BnO 2.0 」と表示する。)の合成
乾燥THFにNaH(0.190g,7.9mmol)を分散させ、これにp−ヒドロキシ安息香酸エチル(1.319g,7.9mmol)の乾燥THF溶液を滴下し、室温で約2時間撹拌した。この溶液を合成例2で得られたHS2.0Cl4.0を含む溶液に氷浴下で滴下し、30℃で2日間撹拌して反応混合液を得た。
次に、乾燥THFにNaH(0.571g,23.8mmol)を分散させ、これにベンジルアルコール(2.576g,23.8mmol)の乾燥THF溶液を滴下し、室温で約2時間撹拌した。この溶液を上記反応混合液に氷浴下で滴下し、30℃で3日間撹拌した。
得られた反応混合物に蒸留水を加え、クロロホルムで抽出した後、実施例1の工程Aで用いたものと同条件の中圧カラムクロマトグラフィー(但し、使用した展開溶媒はクロロホルム/酢酸エチル=10/1である。)により原料を完全に除き、(4−ビニルフェノキシ)2.0−(4−エトキシカルボニルフェノキシ)2.0ベンジルオキシ2.0シクロトリホスファゼン(以下、「HS2.0EHB2.0BnO2.0」と表示する。)を得た(収率:81%)。
次に、得られたHS2.0EHB2.0BnO2.0(2.951g,3.2mmol)およびt−BuOK(0.866g,7.72mmol)を用いた点を除いて実施例1の工程Bと同様の操作し、目的のHS2.0p−C2.0BnO2.0を得た(収率:93%)。このHS2.0p−C2.0BnO2.0の分析結果は次のとおりであった。
H−NMRスペクトル(DMSO−d6、δ、ppm):
4.8(d,2H),5.3−5.8(d,2H),6.7(q,1H),6.8(m,2H),7.0(m,2H),7.4(d,2H),7.9(d,2H)
31P−NMR(DMSO−d6、δ、ppm):
8.7
◎TOF−MS:
820,832,844,850,862,874,879,891
以上の分析結果から、得られたHS2.0p−C2.0BnO2.0は[N(OCCH=CH(OCCOOH)(OCH]、[N(OCCH=CH(OCCOOH)(OCH]、[N(OCCH=CH(OCCOOH)(OCH]、[N(OCCH=CH(OCCOOH)(OCH]、[N(OCCH=CH(OCCOOH)(OCH]、[N(OCCH=CH(OCCOOH)(OCH]、[N(OCCH=CH(OCCOOH)(OCH]および[N(OCCH=CH(OCCOOH)(OCH]の混合物であり、その平均組成が[N(OCCH=CH(OCCOOH)(OCH]であることを確認した。
実施例10((フェノキシ) 2.0 −(4−エテニル−2−ヒドロキシカルボニルフェノキシ) 4.0 シクロトリホスファゼン(以下、「Phe 2.0 HS−p−C 4.0 」と表示する。)の合成
NaH(0.191g,7.9mmol)を乾燥THF20mlに分散させ、これにフェノール(0.75 g,7.9mmol)をTHF10mLに溶解した溶液を氷浴下で滴下した。これを室温で約2時間撹拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン(1.38g,3.97mmol)の乾燥THF溶液に対して氷浴下で滴下した。滴下終了後、30℃で12時間撹拌し、(フェノキシ)2.0−(クロロ)4.0シクロトリホスファゼン(以下、「Phe2.0Cl4.0」と表示する。)を合成した。このPhe2.0Cl4.0の分析結果は次のとおりである。
H−NMR(CDCl、δ、ppm):
6.5−7.5(6H)
乾燥THFにNaH(1.143g,47.6mmol)を分散させ、これに2−ヒドロキシ−5−エテニル安息香酸エチル(9.157g,47.6mmol)の乾燥THF溶液を滴下し、室温で約2時間撹拌した。この溶液を得られたPhe2.0Cl4.0の反応混合液に氷浴下で滴下し、30℃で3日間撹拌した。
得られた反応混合物に蒸留水を加え、クロロホルムで抽出した後、実施例1の工程Aで用いたものと同条件の中圧カラムクロマトグラフィー(但し、使用した展開溶媒はクロロホルム/酢酸エチル=10/1である。)により原料を完全に除き、(フェノキシ)2.0−(4−エテニル−2−エトキシカルボニルフェノキシ)4.0シクロトリホスファゼン(以下、「Phe2.0HS−EHB4.0」と表示する。)を得た(収率:82%)。
次に、得られたPhe2.0HS−EHB4.0(3.535g,3.3mmol)およびt−BuOK(0.877g,7.81mmol)を用いた点を除いて実施例1の工程Bと同様の操作し、目的のPhe2.0HS−p−C4.0を得た(収率:93%)。このPhe2.0HS−p−C4.0の分析結果は次のとおりであった。
H−NMRスペクトル(DMSO−d6、δ、ppm):
4.8(d,2H),5.3−5.8(d,2H),6.7(q,1H),6.8(m,2H),7.0(m,2H),7.4(d,2H),7.9(d,2H)
31P−NMR(DMSO−d6、δ、ppm):
8.7
◎TOF−MS:
904,974,1044
以上の分析結果から、この生成物は[N(OC(OC(CH=CH)COOH)]、[N(OC(OC(CH=CH)COOH)]および[N(OC(OC(CH=CH)COOH)]の混合物であり、その平均組成が[N(OC(OC(CH=CH)COOH)]であることを確認した。
参考例1(L一フェニルアラニンナフチルアニリド(以下、「L−PheNHNaph」と表示する。)の合成)
(工程A)
ジオキサンとNaOH水溶液(1mol/L)の混合溶液24mlにL−フェニルアラニン(4g,24mmol)を溶解させ、それに二炭酸ジ−tert−ブチル(6.3g,29mmol)のジオキサン溶液24mlを氷浴下でゆっくりと滴下した。この反応液をクロロホルム/メタノール/酢酸エチル=95/5/3の展開溶媒を用いた薄層クロマトグラフィーに適用することで反応を追跡し、ニンヒドリン試薬により残存するアミノ基の消失を確認した。その後、反応液をエバボレータで濃縮し、クエン酸溶液で酸性にした後、酢酸エチルで数回抽出を行った。有機層を水洗いした後、硫酸ナトリウムで脱水し、N−t−Boc−L一フェニルアラニン(以下、「N−t−Boc−L−Phe」と表示する。)を得た(収率:96%)。得られたN−t−Boc−L−Pheの分析結果は次のとおりである。
H−NMR(CDCl、δ、ppm):
1.3(s,9H),2.8−3.0(m,2H),4.1(m,1H),7.1(d,1H),7.2(m,5H),13.0(broad,1H)
(工程B)
得られたN−t−Boc−L−Phe(6.5g,24mmol)と、添加剤である1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(3.3g,24mmol)とのジオキサン溶液60mlの懸濁液を調製し、この懸濁液に対してN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(6g,29mmol)のジオキサン溶液20mlを氷浴下でゆっくりと滴下した。そして、1−ナフチルアミン(4.2g,29mmol)のジオキサン溶液10mlをさらに滴下し、この反応液をクロロホルム/メタノール=9/1の展開溶媒を用いた薄層クロマトグラフィーに適用することで反応を追跡した。反応終了後、反応液をろ過して塩を除き、エバボレータで濃縮後、クロロホルムに再溶解させた。2N−HCl水溶液、飽和重曹水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。そして、カラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/3)により、生成物であるN−t−Boc−L一フェニルアラニンナフチルアニリド(以下、「N−t−Boc−L−PheNHNaph」と表示する。)のみを分離した(収率:80%)。得られたN−t−Boc−L−PheNHNaphの分析結果は次のとおりである。
H−NMR(CDCl、δ、ppm):
1.4(s,9H),2.9−3.1(m,2H),4.5(m,1H),7.3−7.9(m,12H),10.0(broad,1H)
(工程C)
得られたN−t−Boc−L一PheNHNaph(6.6g,19mmol)をよく冷やしながら、そこにトリフルオロ酢酸をゆっくり加えた。3時間ほど室温で反応させた後、蒸留でトリフルオロ酢酸を除去し、残留物をNaOH水溶液でアルカリ性にした。これをクロロホルムで抽出し、水洗いした後、硫酸ナトリウムで乾燥した。そして、溶媒を留去したところ、結晶状の目的物(L−PheNHNaph)が得られた(収率:83%)。得られたL−PheNHNaphの分析結果は次のとおりである。
H−NMR(CDCl、δ、ppm):
1.7(broad,2H),2.9−3.4(m,1H),3.8(m,1H),7.3−8.2(m,12H),10.2(broad,1H)
参考例2(L一フェニルアラニンアニリド(以下、「L−PheNHph」と表示する。)の合成)
1−ナフチルアミン(4.2g,29.0mmol)に替えてアニリン(2.701g,29.0mmol)を用いた点を除いて参考例1の工程A、Bと同様に操作し、N−t−Boc−L−フェニルアラニンアニリド(以下、「N−t−Boc−L−PheNHph」と表示する。)を得た(収率:95%)。得られたN−t−Boc−L−PheNHphの分析結果は次のとおりである。
H−NMR(CDCl、δ、ppm):
1.2(s,9H),2.8−3.0(m,2H),4.33(m,1H),7.05−7.59(m,10H),10.0(broad,1H)
得られたN−t−Boc−L−PheNHph(9.379g,27.6mmol)を参考例1の工程Cと同様に処理したところ、結晶状の目的物(L−PheNHph)が得られた(収率:84%)。得られたL−PheNHphの分析結果は次のとおりである。
H−NMR(CDCl、δ、ppm):
1.5(broad,2H),2.7−3.3(m,2H),3.7(m,1H),7.1−7.6(m,10H),9.4(broad,1H)
参考例3(D−フェニルアラニンナフチルアニリド(以下、「D−PheNHNaph」と表示する。)の合成
L−フェニルアラニンに替えてD−フェニルアラニンを用いた点を除き、参考例1と同様に操作することでD−PheNHNaphを得た(収率:61%)。
参考例4(D一フェニルアラニンアニリド(以下、「D−PheNHph」と表示する。)の合成)
L−フェニルアラニンに替えてD−フェニルアラニンを用いた点を除き、参考例2と同様に操作することでD−PheNHphを得た(収率:65%)。
実施例11〜20(分子認識ポリマーの製造)
(工程1:複合体の調製)
表1に示す組合せにより、実施例1〜10で合成した重合性基含有環状ホスファゼン化合物のそれぞれに対して参考例1で調製したL−PheNHNaphをテンプレートとして加え、1時間撹拌することでCHClに溶解性のある複合体を形成した。なお、テンプレートの添加量は、重合性基含有環状ホスファゼン化合物のCOOH量に対して当量に設定した。ここで得られた各複合体の分析結果は次のとおりである。
FT−lR(KBr法,cm−1
1700(C=O),1600,1500(aroma),1200−1160(P=N ring)
(工程2:マトリックスの形成)
得られた各複合体(0.88mmol)のCHCl溶液2mLを重合管に入れ、そこに架橋剤と重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(2.9mg,0.018mmol)とのCHCl溶液lmLを加えた。真空ラインで凍結、脱気および溶解の処理を繰り返した後に重合管を封管し、70℃で20時間重合反応させ、さらに80℃で4時間重合反応させることでマトリックスを形成した。
なお、実施例11〜14および16〜20においては、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)を用い、実施例15においては、架橋剤としてp−ジビニルベンゼン(DVB)を用いた。架橋剤の使用量は、表1に記載のとおりである。なお、表1に示した架橋剤添加割合は、次の式で求めたものである。
Figure 2014037478
(工程3:テンプレートの除去)
得られたマトリックスを細粉し、これをMeOH/CHCOOH(95/5v/v%)混合溶媒を用いて24時間ソックスレー抽出した後、CHClを用いてさらに12時間ソックスレー抽出した。これによりマトリックスからテンプレートを除去し、分子認識ポリマーを得た。
実施例21(分子認識ポリマーの製造)
(工程1:複合体の調製)
実施例7で合成した重合性基含有環状ホスファゼン化合物に対して参考例1で調製したL−PheNHNaphをテンプレートとして加え、1時間撹拌することでCHClに溶解性のある複合体を形成した。なお、テンプレートの添加量は、重合性基含有環状ホスファゼン化合物のCOOH量に対して当量に設定した。ここで得られた各複合体の分析結果は、実施例11〜20の工程1での分析結果と同じである。
(工程2:マトリックスの形成)
得られた各複合体(1.1g,0.88mmol)のCHCl溶液2mLを重合管に入れ、そこに重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(2.9mg,0.018mmol)のCHCl溶液lmLを加えた。真空ラインで凍結、脱気および溶解の処理を繰り返した後に重合管を封管し、70℃で20時間重合反応させ、さらに80℃で4時間重合反応させることでマトリックスを形成した。
(工程3:テンプレートの除去)
得られたマトリックスを細粉し、これをMeOH/CHCOOH(95/5v/v%)混合溶媒を用いて24時間ソックスレー抽出した後、CHClを用いてさらに12時間ソックスレー抽出した。これによりマトリックスからテンプレートを除去し、分子認識ポリマーを得た。
Figure 2014037478
比較例
参考例1で合成したL−PheNHNaph0.5807gをCHCl4.4mLに溶解し、これをメタクリル酸0.678mLおよび架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)0.3964gとともに重合管に入れた。下記の式で表される架橋剤添加割合は5である。これに重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル1.3mgをCHCl3.5mLに溶解した溶液を投入し、真空ラインで凍結、脱気および溶解の処理を繰り返した後に重合管を封管し、70℃で20時間重合反応させ、さらに80℃で4時間重合させることでマトリックスを形成した。
Figure 2014037478
得られたマトリックスを粉砕し、MeOH/CHCOOH(95/5v/v%)混合溶媒を用いて24時間ソックスレー抽出した後、CHClを用いてさらに12時間ソックスレー抽出した。これによりマトリックスからテンプレートを除去し、分子認識ポリマーを得た。
評価1
表2に示す溶媒に参考例1で合成したL−PheNHNaphを濃度が1.5×10−4mol/Lになるよう溶解し、溶液Aを調製した。また、表2に示す溶媒に参考例3で合成したD−PheNHNaphを濃度が1.5×10−4mol/Lになるよう溶解し、溶液Bを調製した。
溶液Aおよび溶液Bのそれぞれ5mLに対し、表2に示す実施例または比較例の分子認識ポリマーを添加し、4時間室温で撹拌した。なお、分子認識ポリマーの添加量は、溶液Aについては分子認識ポリマー中のCOOH量(mol)/L−PheNHNaph量(mol)が30になるよう、また、溶液Bについては分子認識ポリマー中のCOOH量(mol)/D−PheNHNaph量(mol)が30になるよう設定した。
撹拌終了後、溶液Aの分子認識ポリマーをフィルターでろ過し、溶液Aのろ液の紫外可視吸収スペクトルを測定した。そして、測定した吸光度と溶液Aの吸光度(分子認識ポリマーの添加前の吸光度)との差(△Abs)から、分子認識ポリマーによるL−PheNHNaphの吸着量(λmax:289nm、ε:7860)を求めた。溶液Bについても同様の操作をし、分子認識ポリマーによるD−PheNHNaphの吸着量(λmax:289nm、ε:7860)を求めた。そして、この結果から、分子認識ポリマーによるL−PheNHNaphの吸着量(L)と分子認識ポリマーによるD−PheNHNaphの吸着量(D)との比(D/L)を算出した。結果を表2に示す。
表2によると、実施例の分子認識ポリマーはL−PheNHNaphの認識性(選択性)が高いことがわかる。分子認識ポリマーの分子認識場の影響をより精密に評価するため、重合性基含有環状ホスファゼン化合物のユニット当りにカルボキシ基を一つだけ導入した、HS置換分布をもたない重合性基含有環状ホスファゼン化合物(HSが5でp−Cまたはo−Cが1のもの(表1参照))を用いて合成した分子認識ポリマー(実施例17、18)もL−PheNHNaphの認識性(選択性)が高い。
なお、L−PheNHNaphの認識性(選択性)は、CHClを溶媒に用いた場合において特に高い。これは、MeOHとHOとの混合溶媒中では必ずしも分子認識に有利に作用しない芳香環による疎水性相互作用が働いているのに対し、CHCl中では疎水性相互作用が抑制されて水素結合が主に働き、L−PheNHNaphの認識性(選択性)が増幅されたためと考えられる。
評価2
L−PheNHNaphおよびD−PheNHNaphに替えて、それぞれ参考例2で合成したL−PheNHphおよび参考例4で合成したD−PheNHphを用い、評価1と同様にして実施例17の分子認識ポリマー(HS置換分布をもたない重合性基含有環状ホスファゼン化合物(HSが5でp−Cが1)を用いて合成したもの)によるL−PheNHphの吸着量およびD−PheNHphの吸着量を求め、当該分子認識ポリマーによるL−PheNHphの吸着量(L)と当該分子認識ポリマーによるD−PheNHphの吸着量(D)との比(D/L)を算出した。結果を表2に示す。
CHCl中において、良好なD/L=1/1.45を示した。したがって、実施例17の分子認識ポリマーは、L−PheNHNaphに類似のL−PheNHphに対しても高い認識性(選択性)を有していたことがわかる。
Figure 2014037478
評価3
実施例17の分子認識ポリマー(HS置換分布をもたない重合性基含有環状ホスファゼン化合物(HSが5でp−Cが1)を用いて合成したもの)の粉末と、当該分子認識ポリマーのブロッカーであるシクロヘキシルアミン(CHA)のCHCl溶液2.5mLとをサンプル瓶に加え、2時間撹拌した。続いて、濃度を3.0×10−4Mに調整したL−PheNHNaph溶液2.5mL(参考例1で調製したものを用いて調製したもの)と、同濃度に調整したD−PheNHNaph溶液2.5mL(参考例3で調製したものを用いて調製したもの)とを加え、さらに2時間撹拌した。撹拌完了後、サンプル瓶の内容物をフィルターでろ過し、評価1と同様の方法でL−PheNHNaphおよびD−PheNHNaphの吸着量を測定した。
CHA濃度が異なるCHCl溶液を用いて上述の測定をした結果を表3に示す。L−PheNHNaphおよびD−PheNHNaphは、CHA濃度が高まるに従って吸着量が減少していることがわかる。また、D−PheNHNaphの吸着量(D)に対するL−PheNHNaphの吸着量(L)の比(L/D)は、CHA濃度が高まるに従って上昇し、CHA濃度が236×10−5mmolの場合において47に達した。この値は、鏡像体過剰率に換算すると96%eeとなる。このことから、実施例17の分子認識ポリマーは、ブロッカーを用いた場合、光学異性体の認識能が顕著に高まることがわかる。
Figure 2014037478

Claims (13)

  1. 下記の式(1)で示される、極性基を有する重合性基含有環状ホスファゼン化合物中に前記極性基と相互作用可能な作用部位を有するテンプレートを存在させる工程と、
    前記重合性基含有環状ホスファゼン化合物を重合し、マトリックスを形成する工程と、
    前記マトリックスから前記テンプレートを分離する工程と、
    を含む分子認識ポリマーの製造方法。
    Figure 2014037478
    (式(1)中、nは1〜6の整数を示し、Aは、下記のA1基、A2基、A3基、A4基およびA5基からなる群から選ばれた基を示し、少なくとも一つがA3基でありかつ少なくとも一つがA4基であるか、または、少なくとも一つがA5基である。
    A1基:炭素数1〜6のアルキル基およびアリール基から選ばれる少なくとも1種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
    A2基:炭素数1〜6のアルキル基およびアリール基から選ばれる少なくとも1種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
    A3基:A5基とは異なる、重合性基を有する置換基。
    A4基:A3基およびA5基とは異なる、極性基を有する置換基。
    A5基:重合性基および極性基の両方を有する置換基。)
  2. A3基およびA5基の前記重合性基は、炭素数2〜6の不飽和アルキル基、不飽和カルボニルオキシ基および環状エーテル基からなる群から選ばれた基である、請求項1に記載の分子認識ポリマーの製造方法。
  3. A4基およびA5基の前記極性基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子およびハロゲン原子からなる群から選ばれた少なくとも一つの原子を含む官能基である、請求項1または2に記載の分子認識ポリマーの製造方法。
  4. 架橋剤の存在下で前記重合性基含有環状ホスファゼン化合物を重合する、請求項1から3のいずれかに記載の分子認識ポリマーの製造方法。
  5. 下記の式(1)で示される重合性基含有環状ホスファゼン化合物。
    Figure 2014037478
    (式(1)中、nは1〜6の整数を示し、Aは、下記のA1基、A2基、A3基、A4基およびA5基からなる群から選ばれた基を示し、少なくとも一つがA3基でありかつ少なくとも一つがA4基であるか、または、少なくとも一つがA5基である。
    A1基:炭素数1〜6のアルキル基およびアリール基から選ばれる少なくとも1種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
    A2基:炭素数1〜6のアルキル基およびアリール基から選ばれる少なくとも1種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
    A3基:A5基とは異なる、重合性基を有する置換基。
    A4基:A3基およびA5基とは異なる、極性基を有する置換基。
    A5基:重合性基および極性基の両方を有する置換基。)
  6. A3基およびA5基の前記重合性基は、炭素数2〜6の不飽和アルキル基、不飽和カルボニルオキシ基および環状エーテル基からなる群から選ばれた基である、請求項5に記載の重合性基含有環状ホスファゼン化合物。
  7. A4基およびA5基の前記極性基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子およびハロゲン原子からなる群から選ばれた少なくとも一つの原子を含む官能基である、請求項5または6に記載の重合性基含有環状ホスファゼン化合物。
  8. 請求項5から7のいずれかに記載の重合性基含有環状ホスファゼン化合物を含む、分子認識ポリマー製造用材料。
  9. 架橋剤をさらに含む、請求項8に記載の分子認識ポリマー製造用材料。
  10. 請求項1から4のいずれかに記載の分子認識ポリマーの製造方法により得られる分子認識ポリマー。
  11. 請求項8または9に記載の分子認識ポリマー製造用材料を用いて得られる分子認識ポリマー。
  12. 欠陥構造を有する分子認識場がブロッカーにより不活性化されている、請求項10または11に記載の分子認識ポリマー。
  13. 請求項10から12のいずれかに記載の分子認識ポリマーからなる光学分割材料。
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