JP2014017375A - 発光素子用基板および発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂材料のポッティングにより所望形状の封止層を形成でき、かつ銀層の腐食防止により光の取り出し効率の低下が防止された発光素子用基板を提供する。
【解決手段】この発光素子用基板は、無機絶縁材料からなり、発光素子の搭載面を有する基体と、前記搭載面上に形成された素子接続端子および銀または銀合金からなる反射層と、前記搭載面上の前記素子接続端子上を除く領域に、前記反射層の表面および端縁を覆うように形成された、第1のガラスセラミックス焼結体からなる被覆層と、前記被覆層上に、前記素子接続端子を取り囲むように形成された第2のガラスセラミックス焼結体からなる堰止め層とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光素子用基板および発光装置に係り、特に、光の取り出し効率が高い発光装置を得るための発光素子用基板と、その発光素子用基板を用いた発光装置に関する。
近年、発光ダイオード(LED)素子を用いた発光装置では、基板に搭載された発光素子や配線導体を保護するために、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂からなる封止層が設けられており、封止層に蛍光材料を分散させ、発光素子の発光との組合せで白色発光を得る発光装置も実用化されている。
このような発光装置における色調むらや集光率等を改善するために、封止層を外表面が球面のレンズ形にすることが考えられている。すなわち、平板状の基体に発光素子を搭載し、この発光素子を覆うように流動性の樹脂材料をポッティングして、半球レンズ形状の透光性の封止層を形成することで、発光素子から発せられた光が封止層を透過する行路の長さを全ての方向で等しくした発光装置が開発されている。
しかしながら、流動性を有する樹脂材料をポッティングすると、樹脂材料が基体上を濡れ拡がろうとするため、樹脂材料と基体との界面の外表面に窪みが生じやすい。そして、このような形状の封止層では、透過する光が窪み部分の表面で反射して封止層の内部に閉じ込められる結果、光の取り出し効率(放射効率)が低くなりやすいという問題があった。
ポッティングされた樹脂材料の拡がりに起因する光取り出し効率の低下を改善するために、基体上に発光素子の載置部を取り囲むように環状部材を取着するとともに、この環状部材よりも高くなるように突出して形成された載置部に発光素子を搭載し、さらに環状部材の内側に発光素子を覆うように透光性部材を設けた発光装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載された発光装置においては、環状部材がFe−Ni−Co合金、Fe−Ni合金等の金属や、アルミナセラミックス等のセラミックス材料から構成されており、透光性部材を透過した光の一部を環状部材が反射または吸収するため、光の取り出し効率を十分に高くできなかった。
また近年、裏面に電極を有しフリップチップボンディングにより接続するタイプの発光素子を搭載する基板においては、発光素子搭載面に形成される、銀または銀合金からなる反射機能を有する導体層(以下、銀層ということがある。)の面積を広げることで、放熱性の向上が図られている。そして、このような基板では、銀層表面に金メッキ等を施すことで、銀の酸化や腐食を防止することが考えられているが、金はLED素子の発する光(例えば、波長460nmの青色光)を多く吸収するため、光の取り出し効率が高い発光装置が得られなかった。
銀の酸化や腐食を防止するために、銀層の表面にガラス層を被覆することで、耐腐食性等の耐候性を向上させ、反射率の低下を防止した発光素子用基板が提案されている(例えば、特許文献2参照)。以下、発光素子用基板は単に素子基板という。
しかしながら、特許文献2の素子基板では、発光素子の搭載部もガラス層で被覆されているため、前記したフリップチップボンディングタイプの発光素子を搭載するための基板には適用できない。また、ワイヤボンディングタイプの発光素子を搭載した構造においても、発光素子を覆うようにポッティングにより樹脂封止層を形成すると、樹脂材料がガラス被覆層上を拡がり、半球レンズ形状の封止層を形成できないという問題があった。
特開2005−340543号公報 特開2009−231440号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、銀層の腐食防止により反射率の低下が防止され、かつ所望形状の封止層を形成でき、光取り出し効率が向上した素子基板の提供を目的とする。また、所望の形状の封止層を有し、色調むらや集光率等が改善された高輝度の発光が可能な発光装置の提供を目的とする。
本発明の素子基板は、無機絶縁材料からなり、発光素子の搭載面を有する基体と、前記搭載面上に形成された素子接続端子と、前記搭載面上に形成された銀または銀合金からなる反射層と、前記搭載面上の前記素子接続端子上を除く領域に、前記反射層の表面および端縁を覆うように形成された、第1のガラスセラミックス焼結体からなる被覆層と、前記被覆層上に、前記素子接続端子を取り囲むように形成された第2のガラスセラミックス焼結体からなる堰止め層とを備えることを特徴とする。
本発明の素子基板において、前記堰止め層は、円環形の平面形状を有し、その幅および高さは、前記円環形の内径に対する比率でそれぞれ0.091〜0.182および0.009〜0.030の範囲にあることが好ましい。また、前記第1のガラスセラミックス焼結体は、第1のガラス粉末と第1のセラミックス粉末とを含むガラスセラミックス組成物の焼結体が好ましい。そして、前記第1のガラス粉末は、酸化物基準のモル%表示で、SiOを57〜65%、Bを13〜18%、Alを3〜8%、NaOおよびKOから選ばれる少なくとも一種を合計で0.5〜6%、CaOを9〜23%含有する組成が好ましい。
また、前記第2のガラスセラミックス焼結体は、第2のガラス粉末と第2のセラミックス粉末とを含むガラスセラミックス組成物の焼結体が好ましい。そして、前記第2のガラス粉末は、酸化物換算のモル%表示で、SiOを78〜83%、Bを16〜18%、Alを0〜0.5%、NaOおよびKOから選ばれる少なくとも1種を合計で0.9〜4%、CaO、SrOおよびBaOから選ばれる少なくとも1種を合計で0〜0.6%含有する組成が好ましい。
本発明の発光装置は、前記本発明の素子基板と、前記素子基板の前記搭載面上に搭載され、前記素子接続端子と電気的に接続された発光素子と、前記搭載面上で前記堰止め層の内側の領域に、前記発光素子を覆うように設けられた樹脂からなる封止層とを備えることを特徴とする。
本発明の素子基板によれば、銀層の腐食を防止して反射率の低下が防止され、かつレンズ形の封止層を所望の形状に形成でき、光の取り出し効率が向上する。
本発明の発光装置によれば、光の取り出し効率が高く、色調むらや集光率等が改善された高輝度の発光を得ることができる。
本発明の素子基板の実施形態を示し、(a)は上面(搭載面)側から見た平面図であり、(b)は下面(非搭載面)側から見た平面図であり、(c)は(a)におけるX−X線で切断した断面図である。 本発明の素子基板において、堰止め層の幅および高さと、堰止め層の内側の領域に形成される封止層の形状等との関係を示す拡大断面図である。 本発明の発光装置の実施形態を示し、(a)は上面(搭載面)側から見た平面図であり、(b)は(a)におけるY−Y線で切断した断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
本発明の実施形態の素子基板は、無機絶縁材料からなり、発光素子の搭載面を有する基体と、この搭載面上に形成された素子接続端子と、この搭載面上に形成された銀または銀合金からなる反射層と、この搭載面上で前記素子接続端子上を除く領域に、前記反射層の表面および端縁を覆うように形成された、第1のガラスセラミックス焼結体からなる被覆層と、この被覆層上に、前記素子接続端子を取り囲むように形成された第2のガラスセラミックス焼結体からなる堰止め層とを備える。
なお、銀または銀合金からなる反射層は、放熱層としての機能を有している。また、この層は、平面形状や形成位置によっては配線層として機能させることもでき、その場合は配線導体層ということもできるが、少なくとも反射機能を有するという意味で、反射層と示すものとする。
また、本発明の実施形態の発光装置は、前記した実施形態の素子基板と、この素子基板において、前記搭載面上に搭載され、前記素子接続端子と電気的に接続された発光素子と、前記搭載面上で前記堰止め層の内側の領域に、発光素子を覆うように設けられた樹脂からなる封止層とを備える。
実施形態の素子基板においては、基体の搭載面上の素子接続端子上を除く領域に、銀または銀合金からなる反射層の表面および端縁を覆うように、第1のガラスセラミックス焼結体からなる被覆層が形成されているので、銀等の酸化や腐食に起因する反射率の低下を防止できる。また、この被覆層は基体に搭載される発光素子からの光を吸収しないので、光の取り出し効率を低下させない。さらに、このような第1のガラスセラミックス焼結体からなる被覆層の上に、第2のガラスセラミックス焼結体からなる堰止め層が形成されているので、封止用の流動性樹脂材料の濡れ拡がりを防止し、所望の形状の封止層を形成できる。
すなわち、第2のガラスセラミックス焼結体からなる堰止め層により、封止層を構成する樹脂材料のポッティングの際の流動が堰き止められ、樹脂材料が基体の搭載面上を外側の領域まで濡れ拡がるのが抑えられるので、簡易で安価なポッティング方法により、半球レンズ形状の樹脂封止層を容易に形成でき、安定した良好な光学的特性を有する発光装置が得られる。
また、堰止め層がガラスセラミックス焼結体により構成されており、封止層を透過した光を堰止め層が反射または吸収することが少ないため、光の取り出し効率に優れ、発光輝度の高い発光装置が得られる。さらに、被覆層を構成する第1のガラスセラミックス焼結体と堰止め層を構成する第2のガラスセラミックス焼結体のガラス組成、セラミックス粉末の含有量等をそれぞれ調整することで、堰止め層の形状や高さ、濡れ拡がる方向の障壁となる幅を、封止用の樹脂材料の拡がり防止に好適するように形成できる。
またさらに、被覆層および堰止め層は、いずれも基体と同時焼成するなどの方法で形成できるので、発光装置全体としての製造も容易である。
<発光素子用基板(素子基板)>
以下、本発明の素子基板の実施形態を、図面に基づいて説明する。図1(a)は、実施形態の素子基板を上面(搭載面)側から見た平面図であり、図1(b)は下面(非搭載面)側から見た平面図である。また、図1(c)は、図1(a)のX−X線で切断した断面図である。
実施形態の素子基板1は、平面形状が正方形で略平板状の基体2を有している。基体2は無機絶縁材料からなり、発光素子を搭載する上側の面を搭載面21とする。なお、その反対側の面を非搭載面22とする。基体2の形状、厚さ、大きさ等は特に制限されず、通常、発光素子を搭載するための基体として用いられるものと同様にできる。
本明細書において、「略平板状の基体」とは、上側の主面と下側の主面、すなわち搭載面21と非搭載面22がともに目視レベルで平板形状と認識できるレベルの平坦面である基体をいう。以下同様に、略を付けた表記は、特に断らない限り、目視レベルで認識できるレベルのことをいう。
基体2を構成する無機絶縁材料としては、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス)や窒化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、ガラス粉末とセラミックス粉末とを含むガラスセラミックス組成物の焼結体(Low Temperature Co−fired Ceramics。以下、LTCCと示すことがある。)等が挙げられる。本発明においては、高反射性、製造の容易性、易加工性、経済性等の観点から、基体2を構成する無機絶縁材料はLTCCが好ましい。基体2を構成するガラスセラミックス組成物の焼結体の原料組成、焼結条件等については、後述する製造方法において説明する。
基体2は、発光素子の搭載時、およびその後の使用時における損傷等を抑制する観点から、例えば、抗折強度は250MPa以上が好ましい。そして、基体2は、搭載面21の略中央部に、発光素子を搭載するための搭載部を有する。
基体2の搭載部には、1対(アノードとカソード)の素子接続端子3が設けられている。これらの素子接続端子3は、搭載される発光素子が下面に有する1対の電極と金錫ハンダ等を介して金属間接続が可能なように、搭載面21の略中央部に対向して配置されている。そして、基体2の搭載面21上で、素子接続端子3が形成された搭載部を除く領域には、銀または銀合金からなる反射層(以下、銀反射層と示す。)4が、素子接続端子3に連接して形成されている。
なお、図1では、銀反射層4を素子接続端子3に連接して形成し、銀反射層4に配線導体層としての機能を持たせているが、銀反射層4の平面形状(パターン)や形成位置は限定されず、素子接続端子3と分離して周辺領域に形成してもよい。また、銀反射層4とは別に配線導体層を形成してもよい。
基体2の非搭載面22上には、外部回路と電気的に接続されるアノードとカソードとなる1対の外部接続端子5が設けられている。そして、前記アノード側とカソード側の素子接続端子3は、配線導体層としての銀反射層4を介して、基体2内部に埋設された1対の接続ビア6に接続され、さらにこれらの接続ビア6を介して、非搭載面22に形成された前記1対の外部接続端子5にそれぞれ電気的に接続されている。
素子接続端子3、外部接続端子5および基体2内部に埋設された接続ビア6については、これらが素子接続端子3→(配線導体層としての銀反射層4)→接続ビア6→外部接続端子5→外部回路へと、アノードとカソードが短絡することなく電気的に接続される限りは、その配設される位置や形状は限定されない。
前記したように、放熱機能を有しかつ配線導体層としても機能する銀反射層4は、銀、銀パラジウム合金または銀白金合金等の銀合金から構成される層である。反射率の観点から、銀合金は、銀を主体とする合金が好ましく、銀の含有量を90質量%以上とすることがより好ましい。具体的には、銀パラジウム合金の場合、パラジウムは10質量%まで含有でき、銀白金合金の場合、白金は3質量%まで含有できる。銀反射層4は高反射率が好ましく、特に銀層が好ましい。
銀反射層4は、銀粉末または前記銀合金の粉末に、エチルセルロース等のビヒクル、必要に応じて溶剤等を添加してペースト状としたもの(銀ペースト)を、スクリーン印刷等の方法により基板本体2の搭載面21に印刷し、焼成することにより形成できる。銀反射層4の厚さは、5〜20μmが好ましい。
素子接続端子3、外部接続端子5および接続ビア6の構成材料は、通常素子基板の配線に使用される導体と同様の構成材料であれば、特に制限なく使用できる。具体的には、銅、銀、金等を主成分とする導電性金属材料が挙げられる。このような金属材料の中でも、銀、銀パラジウム合金または銀白金合金等の銀合金が好ましく用いられ、前記銀反射層4と同じ材料がさらに好ましい。特に、素子接続端子3は銀反射層4と連接して形成されているので、銀反射層4と同じ材料で構成されることが好ましい。そして、素子接続端子3の形成は、前記導電性金属材料を含む銀ペーストを用いて銀反射層4の形成と同じ工程で行うのが好ましい。素子接続端子3および外部接続端子5の厚さは、5〜15μmの範囲が好ましい。
素子接続端子3と外部接続端子5においては、前記導電性金属材料からなる層の上に、この層を酸化や硫化から保護するための導電性保護層(図示を省略する。)が形成されることが好ましい。導電性保護層としては、前記導電性金属層を保護する機能を有する導電性材料で構成されていれば、特に限定されない。具体的には、ニッケルメッキ、クロムメッキ、銀メッキ、ニッケル/銀メッキ、金メッキ、ニッケル/金メッキ等からなる層が挙げられる。
実施形態の素子基板1においては、素子接続端子3および外部接続端子5を保護する導電性保護層として、例えば、素子接続端子3については、後述する発光素子のハンダ、金、金−錫共晶等のバンプ電極と良好な金属間接続が得られる等の点から、少なくとも最外層は金メッキ層が好ましい。導電性保護層は、金メッキ層のみで形成されていてもよいが、ニッケルメッキの上に金メッキを施したニッケル/金メッキ層がより好ましい。この場合、導電性保護層の膜厚としては、ニッケルメッキ層が2〜20μm、金メッキ層が0.1〜1μmが好ましい。
そして、基体2の搭載面21において、前記した導電性保護層で覆われた素子接続端子3上を除く領域に、第1のガラスセラミックス焼結体からなる被覆層7が形成されている。この被覆層7は、銀反射層4の端縁を含む表面全体を覆うように、基体2の搭載面21上に形成されている。被覆層7の厚さは8〜30μmが好ましい。
被覆層7を構成する第1のガラスセラミックス焼結体は、第1のガラス粉末と第1のセラミックス粉末を含む第1のガラスセラミックス組成物の焼結体が好ましい。そして、第1のガラス粉末のガラス組成は、酸化物基準のモル%表示で、SiOを57〜65%、Bを13〜18%、Alを3〜8%、NaOおよびKOから選ばれる少なくとも一方を合計で0.5〜6%、CaOを9〜23%含有することが好ましい。このような組成のガラス粉末を用いることで、後述する堰止め層の幅や高さ等を所望の値に制御できる。すなわち、封止用の樹脂材料の拡がり防止に好適する寸法の幅および高さを有する堰止め層を形成できる。
次に、第1のガラス粉末の組成について説明する。以下、ガラス組成の記載において「%」は、特に断りのない限り、酸化物換算のモル%表示を表す。
SiOは、ガラスのネットワークフォーマとなるものである。SiOの含有量が57%未満の場合には、安定なガラスを得ることが難しく、また化学的耐久性も低下するおそれがある。一方、SiOの含有量が65%を超える場合には、ガラス溶融温度(Ts)やガラス転移温度(Tg)が過度に高くなるおそれがある。SiOの含有量は、好ましくは58%以上、より好ましくは59%以上、特に好ましくは60%以上である。また、SiOの含有量は、好ましくは64%以下、より好ましくは63%以下である。
また、第1のガラス粉末と第1のセラミックス粉末を含む第1のガラスセラミックス組成物は、前記銀反射層4を構成する銀または銀合金と接触した状態で焼成されるため、銀反射層4から移行した銀イオンの拡散しやすさの観点からも、SiOの含有量は57〜65%とするのが好ましい。すなわち、第1のガラス粉末の組成において、SiOの含有量が多すぎる(65%を超える)場合には、銀反射層4から移行した銀イオンは、被覆層7を構成する第1のガラスセラミックス焼結体のガラス相中に拡散できずに、第1のガラスセラミックス焼結体に含有される第1のセラミックス粉末(例えば、アルミナ粉末)の表面を伝って、被覆層7の表面に達する。そして、被覆層7表面に到達した銀イオンは、封止層を構成するシリコーン樹脂等と接触し、シリコーン樹脂に含有される白金触媒等により還元されて銀となる。その結果、被覆層7とシリコーン樹脂封止層との界面で銀による発色が生じて、光束量が低下する。
一方、第1のガラス粉末の組成において、SiOの含有量が少なすぎる(57%未満)場合には、被覆層7を構成する第1のガラスセラミックス焼結体のガラス相中に大量の銀イオンが拡散するため、ガラスが黄色や茶色に着色して光束量が低下する。
は、ガラスのネットワークフォーマとなるものである。Bの含有量が13%未満の場合には、TsやTgが過度に高くなるおそれがある。一方、Bの含有量が18%を超える場合には、安定なガラスを得ることが難しく、また化学的耐久性も低下するおそれがある。Bの含有量は、好ましくは14%以上17%以下、より好ましくは15%以上16%以下である。
Alは、ガラスの安定性、化学的耐久性および強度を高めるために添加される。Alの含有量が3%未満の場合には、ガラスが不安定となるおそれがある。一方、Alの含有量が8%を超える場合には、TsやTgが過度に高くなるおそれがある。Alの含有量は、好ましくは4%以上7%以下、より好ましくは5%以上6%以下である。
CaOは、ガラスの安定性や結晶の析出性を高めるとともに、TsやTgを低下させるために添加される。CaOの含有量が9%未満の場合には、Tsが過度に高くなるおそれがある。一方、CaOの含有量が23%を超える場合には、ガラスが不安定になるおそれがある。CaOの含有量は、好ましくは12%以上22%以下、より好ましくは13%以上21%以下、特に好ましくは14%以上20%以下である。
NaOおよびKOは、Tgを低下させるために添加される。NaOおよびKOの合計した含有量が0.5%未満の場合には、TsやTgが過度に高くなるおそれがある。一方、NaOおよびKOの合計した含有量が6%を超える場合には、化学的耐久性、特に耐酸性が低下するおそれがあり、電気的絶縁性も低下するおそれがある。NaOおよびKOの合計した含有量は、0.8%以上5%以下が好ましい。
なお、第1のガラス粉末の組成は、必ずしも上記成分のみからなるものに限定されず、Tg等の諸特性を満たす範囲で他の成分を含有できる。この実施形態では鉛酸化物は含有していない。他の成分を含有する場合、その合計した含有量は10%以下が好ましい。
第1のガラス粉末は、上記したような組成を有するガラスを溶融法によって製造し、乾式粉砕法や湿式粉砕法によって粉砕して得られる。湿式粉砕法の場合、溶媒として水またはエチルアルコールを用いることが好ましい。粉砕機としては、例えばロールミル、ボールミル、ジェットミル等が挙げられる。
第1のガラス粉末の50%粒径(D50)は0.5μm以上4μm以下が好ましい。なお、本明細書において、D50は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した値をいう。第1のガラス粉末のD50が0.5μm未満の場合には、ガラス粉末が凝集しやすく取り扱いが困難になるばかりでなく、粉末化に要する時間が長くなりすぎるおそれもある。一方、第1のガラス粉末のD50が4μmを超えると、Tsの上昇や焼結不足が発生するおそれがある。粒径の調整は、例えば粉砕後に必要に応じて分級することで行う。第1のガラス粉末の最大粒径は20μm以下が好ましい。最大粒径が20μmを超えると、ガラス粉末の焼結性が低下し、焼結体中に未溶解成分が残留して、被覆層7の反射性を低下させるおそれがある。第1のガラス粉末の最大粒径は、より好ましくは10μm以下である。
このような第1のガラス粉末とともに第1のガラスセラミックス組成物に配合される第1のセラミックス粉末としては、例えば、アルミナ粉末、ジルコニア粉末、シリカ粉末、チタニア粉末等が挙げられる。第1のセラミックスの粉末のD50は、0.3〜5.0μmが好ましい。
第1のガラスセラミックス組成物における第1のガラス粉末と第1のセラミックス粉末との配合比率は、第1のガラス粉末が60〜80質量%、第1のセラミックス粉末が20〜40質量%となるようにすることが好ましい。第1のセラミックス粉末の配合比率が前記下限値以上である場合には、被覆層7の表面平坦度が向上し、放熱性が高められる。また、第1のセラミックス粉末の配合比率が前記上限値以下である場合には、均一な組成のガラスセラミックス焼結体を得ることができる。
被覆層7の形成方法は、前記した所定の厚さの層を平坦に形成できる方法であれば特に限定されない。例えば、第1のガラス粉末と第1のセラミックス粉末との混合物のペーストを、スクリーン印刷等により印刷し、焼成して形成できる。
基体2の搭載面21上で前記被覆層7の上には、発光素子の搭載部に形成された素子接続端子3を取り囲むように、第2のガラスセラミックス焼結体からなる堰止め層8が形成されている。堰止め層8を構成するガラスセラミックス焼結体は、第2のガラス粉末と第2のセラミックス粉末とを含む第2のガラスセラミックス組成物の焼結体が好ましい。
そして、第2のガラス粉末のガラス組成は、酸化物換算のモル%表示で、SiOを78〜83%、Bを16〜18%、Alを0〜0.5%、NaOおよびKOから選ばれる少なくとも1種を合計で0.9〜4%、CaO、SrOおよびBaOから選ばれる少なくとも1種を合計で0〜0.6%含有することが好ましい。第2のガラス粉末のガラス組成をこのようにすることで、堰止め層8の幅や高さを、封止用の樹脂材料の拡がり防止に好適する所望の値にできる。
以下、第2のガラス粉末の組成について説明する。
SiOはガラスのネットワークフォーマとなり、化学的耐久性、とくに耐酸性を高くするために必須の成分である。SiOの含有量が78%未満であると、耐酸性が不十分となるおそれがある。一方、SiOの含有量が83%を超えると、TsやTgが過度に高くなるおそれがある。
はガラスのネットワークフォーマとなる必須の成分である。Bの含有量が16%未満であると、軟化点が過度に高くなるおそれがあり、またガラスが不安定になるおそれもある。一方、Bの含有量が18%を超えると、安定なガラスを得ることが難しく、また化学的耐久性が低下するおそれもある。
Alは、ガラスの安定性、化学的耐久性を高めるために0.5%以下の範囲で添加してもよい任意の成分である。Alの含有量が0.5%を超える場合、ガラスの透明性が低下するおそれがある。
NaOおよびKOは、軟化点やTgを低下させるために、合計した含有量が0.9〜4%となる範囲で添加する必須の成分である。NaOおよびKOの含有量の合計が0.9%未満であると、軟化点やTgが高くなりすぎるおそれがある。一方、NaOおよびKOの含有量の合計が4%を超えると、化学的耐久性、特に耐酸性が低下するおそれがあり、電気絶縁性も低下するおそれがある。
NaOおよびKOは、これらから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
CaO、SrOおよびBaOは、軟化点やTgを低下させるとともに、ガラスの安定性を高めるために、これらを合計した含有量が0.6%を超えない範囲で添加してもよい任意の成分である。CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計が0.6%を超えると、耐酸性が低下するおそれがある。
なお、第2のガラス粉末は、必ずしも上記成分のみからなるものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で上記以外の成分を含有できる。この実施形態では鉛酸化物は含有していない。上記以外の成分を含有する場合、その合計した含有量は10%以下が好ましい。
第2のガラス粉末は、上記したような組成を有するガラスを、前記第1のガラス粉末と同様に溶融法によって製造し、乾式粉砕法や湿式粉砕法によって粉砕して得られる。第2のガラス粉末のD50は0.5μm以上4μm以下が好ましい。第2のガラス粉末のD50が0.5μm未満の場合には、ガラス粉末が凝集しやすく取り扱いが困難になるばかりでなく、均一分散が困難になる。一方、第2のガラス粉末のD50が4μmを超えると、Tsの上昇や焼結不足が発生するおそれがある。粒径の調整は、例えば粉砕後に必要に応じて分級することで行う。
このような第2のガラス粉末とともに第2のガラスセラミックス組成物に配合される第2のセラミックス粉末としては、例えば、アルミナ粉末、シリカ粉末、ジルコニア粉末等が挙げられる。第2のセラミックスの粉末のD50は、0.3〜5.0μmが好ましい。
第2のガラスセラミックス組成物における第2のガラス粉末と第2のセラミックス粉末との配合比率は、第2のセラミックス粉末の種類および堰止め層8の形成方法によって異なる。
堰止め層8の形成方法は、後述する所定の高さの層を平坦に形成できる方法であれば特に限定されない。例えば、第2のガラス粉末と第2のセラミックス粉末を含む混合物のペースト(以下、堰止め用ペーストと示す。)を、スクリーン印刷等により印刷し、焼成して形成できる。
堰止め層8が、第2のセラミックス粉末としてアルミナ粉末を含有するペーストの印刷層を焼成することにより形成される場合、第2のガラス粉末とアルミナ粉末との配合比率は、質量比で70:30〜85:15の範囲が好ましい。すなわち、アルミナ粉末の配合量は、第2のガラス粉末とアルミナ粉末との合計量に対して15〜30質量%が好ましい。また、堰止め層8が、シリカ粉末を含有するペーストの印刷層を焼成することにより形成される場合、第2のガラス粉末とシリカ粉末との配合比率は、質量比で85:15〜90:10の範囲が好ましい。すなわち、シリカ粉末の配合量は、第2のガラス粉末とシリカ粉末との合計量に対して10〜15質量%が好ましい。第2のセラミックス粉末の含有量が前記範囲内である場合には、均一な組成のガラスセラミックス焼結体を得ることができ、表面平坦度が高くかつ所望の形状で後述する所望の幅、高さ等を有する堰止め層8を形成できる。
堰止め層8は、前記したペースト印刷層の焼成の他に、第2のガラス粉末と第2のセラミックス粉末とを含むグリーンシートの焼成によっても形成できる。このような形成方法を採る場合、第2のセラミックス粉末としては、アルミナ粉末の使用が好ましい。そして、アルミナ粉末の含有量は、第2のガラス粉末とアルミナ粉末との合計量に対して30〜60質量%が好ましい。グリーンシートに含まれるアルミナ粉末の含有量が前記範囲内である場合には、均一な組成のガラスセラミックス焼結体を得ることができ、表面平坦度が高くかつ所望の形状で後述する所望の幅、高さ等を有する堰止め層8を形成できる。
堰止め層8の形成方法については、素子基板1の製造方法で説明する。
堰止め層8の平面形状は、所定の幅を有し、発光素子の搭載部を取り囲むような枠状または環状であれば、特に限定されない。また、一部切り欠きを有してもよい。矩形枠状または円環状が好ましく、半球レンズ形の封止層を形成する観点からは、円環形状が特に好ましい。
図2に拡大して示す堰止め層8の高さHおよび幅Wは、それぞれ以下に示す範囲が好ましい。すなわち、流動性を有する硬化性の樹脂材料をポッティングすることにより、頂部までの高さが直径の1/2に近い半球レンズ形の封止層9を形成するために、堰止め層8の高さHは、円環形の内側の直径(以下、内径と示す。)Dに対する比率で0.009〜0.03の範囲が好ましく、0.012〜0.018の範囲がより好ましい。堰止め層8の高さHの内径Dに対する比率(H/D)が0.009未満では、ポッティングの際に流動性の樹脂材料が堰止め層8の上面を超えて、外側の領域に拡がってしまい、半球レンズ形状を保つことができない。また、堰止め層8を形成するためのスクリーン印刷等の工程数の過剰な増大を抑えて、生産性を上げるために、堰止め層8の高さHの内径Dに対する比率は0.03以下が好ましい。
濡れ拡がる方向の障壁となる堰止め層8の幅Wは特に限定されないが、円環形の内径Dに対する比率(W/D)で0.091〜0.182の範囲が好ましく、0.121〜0.152の範囲がより好ましい。堰止め層8の幅Wの内径Dに対する比率が0.091未満では、スクリーン印刷による堰止め層8の形成が難しい。また、堰止め層8の幅Wの内径Dに対する比率が0.182を超えると、堰止め層8が基体2に形成されたカソードマークに接触したり、あるいは連結基板として形成する際の分割溝にガラスが流入するなどのおそれがある。なお、堰止め層8の幅Wは、図2に示すように、堰止め層8の上面の幅とする。
例えば、堰止め層8の円環形の内径Dが1.65mm(1650μm)である場合、堰止め層8の高さHは、15〜50μmの範囲が好ましく、20〜30μmがより好ましい。また、堰止め層8の幅Wは、150〜300μmの範囲が好ましく、200〜250μmがより好ましい。
実施形態の素子基板1においては、基体2の熱抵抗を低減するために、基体2の内部にさらにサーマルビア(図示を省略する。)を埋設できる。サーマルビアは、例えば、発光素子の搭載部より小さい柱状のものであり、非搭載面22から、基体2の厚さ方向の中間の位置まで配設するのが好ましい。このような配置で、搭載面21全体、特に搭載部の平坦度を向上でき、熱抵抗を低減し、また発光素子を搭載したときの傾きも抑制できる。
このような実施形態の素子基板1においては、基体2の搭載面21上に銀反射層4とそれに連接された素子接続端子3が形成され、この搭載面21上の素子接続端子3上を除く領域に、第1のガラスセラミックス焼結体からなる被覆層7が形成されているので、銀反射層4を構成する銀等の腐食に起因する反射率の低下を防止できるうえに、この被覆層7は基体2に搭載される発光素子からの光を吸収しないので、光の取り出し効率を低下させない。また、第1のガラスセラミックス焼結体からなる被覆層7の上に、第2のガラスセラミックス焼結体からなる堰止め層8が形成されているので、封止層9形成のための樹脂材料の濡れ拡がりを堰止め層8により良好に防止し、所望の形状の封止層を形成できる。さらに、被覆層7を構成する第1のガラスセラミックス焼結体と堰止め層8を構成する第2のガラスセラミックス焼結体のガラス組成、セラミックス粉末の含有量などをそれぞれ調整することで、堰止め層8の形状や高さ、濡れ拡がる方向の障壁となる幅を、封止用の樹脂材料の拡がり防止に好適するように形成できる。
以上、本発明の素子基板1について説明したが、本発明の趣旨に反しない限度において、また必要に応じて、その構成を適宜変更できる。次に、本発明の実施形態の発光装置について説明する。
<発光装置>
図3(a)は、実施形態の発光装置を上面(搭載面)側から見た平面図であり、図3(b)は図3(a)のY−Y線で切断した断面図である。なお、図3(a)は、封止層を除いた状態を示している。
実施形態の発光装置20は、前記実施形態の素子基板1を有し、この素子基板1の基体2の搭載面21に設けられた搭載部に、2個のLED素子等の発光素子10が搭載されている。各発光素子10は、それぞれ下面に1対のバンプ等の電極を有し、これらの電極がハンダ、金、金−錫共晶ハンダ等を介する金属間接続3aによって素子接続端子3に接合されている。そして、2個の発光素子10は並列に接続されている。
なお、発光素子10の接続方法は前記方法に限定されず、バンプによる接続など、フリップチップボンディングによる方法であればよい。また、接続される発光素子10の数も2個に限定されず、素子接続端子3内に配置できる個数であればよい。
そして、基体2の搭載面21上で堰止め層8の内側の領域には、発光素子10を覆うように略半球状に形成された透光性の樹脂からなる封止層9が設けられている。封止層9を構成する樹脂としては、耐光性、耐熱性の点で優れているため、シリコーン樹脂が好ましく用いられるが、シリコーン樹脂以外のエポキシ樹脂、フッ素樹脂などの使用を制限するものではない。シリコーン樹脂としては、発光装置の封止用の樹脂として公知のシリコーン樹脂が、特に制限なく用いられる。
また、このような透光性の樹脂に蛍光体等を混合または分散させることにより、発光装置20として得られる光を、所望の発光色に適宜調整できる。すなわち、封止層9を構成するシリコーン樹脂等の透光性の樹脂に蛍光体を混合、分散させることにより、発光素子10から放射される光によって励起された蛍光体が可視光を発光し、この可視光と発光素子10から放射される光とが混色して、発光装置20として所望の発光色を得ることができる。蛍光体の種類は特に限定されず、発光素子10から放射される光の種類や目的とする発光色に応じて適宜選択される。
実施形態の発光装置においては、第2のガラスセラミックス焼結体からなる堰止め層8により、封止層9を構成する樹脂材料の流動が堰き止められ、樹脂材料が基体2の搭載面21上に形成された被覆層7上を外側の領域(周辺領域)まで濡れ拡がるのが抑えられるので、半球レンズ形状の封止層9を安定して形成できる。そして、堰止め層8が透光性のガラスセラミックス焼結体により構成されており、封止層9を透過する光を堰止め層8が反射または吸収しないため、光の取り出し効率に優れ、発光輝度の高い発光装置20が得られる。
次に、本発明の実施形態の素子基板および発光装置の製造方法を、LTCCからなる基体を有する図1に示される素子基板1、および図3に示される発光装置20の製造を例にして説明する。
図1に示される素子基板1の製造方法は、例えば、以下に示す(A)基体用グリーンシート作製工程、(B)銀ペースト層および導体ペースト層形成工程、(C1)被覆用ガラスペースト層形成工程、(C2)未焼成堰止め層形成工程、(D)積層工程、および(E)焼成工程を有する。そして、こうして製造された素子基板1を使用し、(F)発光素子搭載工程、次いで(G)封止層形成工程を経て、図3に示される発光装置20を製造できる。なお、製造に用いる部材については、完成品の部材と同一の符号を付して説明する。
(A)基体用グリーンシート作製工程
ガラス粉末とセラミックス粉末とを含むガラスセラミックス組成物を用いて、基体を形成するためのグリーンシート(基体用グリーンシート)を作製する。なお、基体用グリーンシートは、上層を形成するための上層用グリーンシート、内層を形成するための内層用グリーンシート、下層を形成するための下層用グリーンシートを含む。
基体用グリーンシートは、ガラス粉末とセラミックス粉末とを含むガラスセラミックス組成物に、バインダー、必要に応じて可塑剤、分散剤、溶剤等を添加してスラリーを調製し、これをドクターブレード法等によりシート状に成形し、乾燥させることで製造できる。
基体用グリーンシートを作製するための基体用ガラス粉末としては、Tgが550℃以上700℃以下のものが好ましい。Tgが550℃未満の場合には、脱脂が困難となるおそれがあり、700℃を超える場合には、収縮開始温度が高くなり、寸法精度が低下するおそれがある。また、基体用ガラス粉末は、800℃以上930℃以下で焼成したときに結晶が析出するものが好ましい。結晶が析出しないものの場合、十分な機械的強度が得られないおそれがある。
このような基体用ガラス粉末としては、酸化物基準のモル%表示で、SiOを57〜65%、Bを13〜18%、CaOを9〜23%、Alを3〜8%、NaOおよびKOから選ばれる少なくとも一種を合計で0.5〜6%含有するものが好ましい。このような組成のものを用いることで、基体2の表面平坦度の向上が容易となる。
基体用ガラス粉末は、上記組成を有するガラスを溶融法によって製造し、乾式粉砕法や湿式粉砕法によって粉砕して得られる。湿式粉砕法の場合、溶媒として水またはエチルアルコールを用いることが好ましい。粉砕機としては、例えば、ロールミル、ボールミル、ジェットミル等が挙げられる。
基体用ガラス粉末のD50は0.5μm以上2μm以下が好ましい。基体用ガラス粉末のD50が0.5μm未満の場合、ガラス粉末が凝集しやすく取り扱いが困難になるばかりでなく、均一分散が困難になる。一方、基体用ガラス粉末のD50が2μmを超える場合には、ガラス軟化温度の上昇や焼結不足が発生するおそれがある。粒径は、例えば、粉砕後に必要に応じて分級して調整してもよい。
基体用セラミックス粉末としては、従来からLTCC基板の製造に用いられるものを使用でき、例えば、アルミナ粉末、ジルコニア粉末、またはアルミナ粉末とジルコニア粉末との混合物等を好適に使用できる。特に、アルミナ粉末とともに、アルミナよりも高い屈折率を有するセラミックスの粉末(以下、高屈折率セラミックス粉末と示す。)の使用が好ましい。
高屈折率セラミックス粉末は、焼結体である基体2の反射率を向上させるための成分であり、例えば、チタニア粉末、ジルコニア粉末、安定化ジルコニア粉末等が挙げられる。アルミナの屈折率が1.8程度であるのに対して、チタニアの屈折率は約2.7、ジルコニアの屈折率は約2.2であり、アルミナに比べて高い屈折率を有している。これら基体用セラミックス粉末のD50は、0.5μm以上4μm以下が好ましい。
このような基体用セラミックス粉末と前記基体用ガラス粉末とを、例えば、基体用ガラス粉末が30質量%以上50質量%以下、基体用セラミックス粉末が50質量%以上70質量%以下となるように配合し、混合することにより、基体用ガラスセラミックス組成物が得られる。また、この基体用ガラスセラミックス組成物に、バインダー、必要に応じて可塑剤、分散剤、溶剤等を添加することによりスラリーが得られる。
バインダーとしては、例えば、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂等を好適に使用できる。可塑剤としては、例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチルベンジル等を使用できる。溶剤としては、トルエン、キシレン、2−プロパノール、2−ブタノール等の有機溶剤を好適に使用できる。
このようにして得られたスラリーをドクターブレード法等によりシート状に成形し、乾燥させて、例えば3枚の基体用グリーンシート(上層用グリーンシート、下層用グリーンシートおよび内層用グリーンシート)を作製する。また、これらの基体用グリーンシートの所定の位置に、打ち抜き型またはパンチングマシンを使用して層間接続用のビアホールを形成し、さらに必要に応じてサーマルビア用のホールを形成する。
(B)銀ペースト層および導体ペースト層形成工程、
上層用グリーンシートの主面の所定の位置に銀ペースト層を形成することにより、未焼成銀反射層4を形成する。また、上層用グリーンシートおよび下層用グリーンシートの所定の位置に、導体ペースト層を形成することにより、未焼成素子接続端子3および未焼成外部接続端子5をそれぞれ形成する。さらに、前記したビアホール内に導体ペーストを充填することによって、未焼成接続ビア6を形成する。サーマルビア用のホールが形成されている場合は、このホール内に金属ペーストを充填することによって、未焼成サーマルビアを形成する。
銀ペースト層の形成方法としては、銀ペーストをスクリーン印刷により塗布する方法が挙げられる。また、導体ペースト層および導体ペースト充填層の形成方法としては、導体ペーストをスクリーン印刷により塗布または充填する方法が挙げられる。形成される銀ペースト層および導体ペースト層の膜厚は、最終的に得られる銀反射層4、素子接続端子3、外部接続端子5等の膜厚が所定の膜厚となるように調整される。また、金属ペースト充填層の形成方法としては、金属ペーストをスクリーン印刷により充填する方法が挙げられる。
銀ペーストとしては、前記したように、銀または銀合金(銀と白金の合金または銀とパラジウムの合金)の粉末に、エチルセルロース等のビヒクル、必要に応じて溶剤等を添加してペースト状としたものを使用できる。
また、導体ペーストとしては、例えば、銅、銀、金等を主成分とする導体金属の粉末に、エチルセルロース等のビヒクル、必要に応じて溶剤等を添加してペースト状としたものを使用できる。ここで、導体金属粉末としては、前記銀または銀合金(銀と白金の合金または銀とパラジウムの合金)粉末の使用が好ましい。すなわち、工程の簡略化の点から、未焼成銀反射層4の形成に用いる銀ペーストを使用して、未焼成素子接続端子3、未焼成外部接続端子5および未焼成接続ビア6を形成することが好ましい。
未焼成サーマルビアの形成に用いる金属ペーストとしては、銀粉末または銀を主体とする合金の粉末を、エチルセルロース等のビヒクル、および必要に応じて溶剤等を添加してペースト状としたものを使用できる。そして、工程の簡略化の点から、前記未焼成銀反射層4に用いる銀ペーストを使用して、未焼成サーマルビアの形成も行うことが好ましい。すなわち、同一組成の銀ペーストを使用して、未焼成銀反射層4、未焼成素子接続端子3、未焼成外部接続端子5、未焼成接続ビア6、および未焼成サーマルビアを形成することが好ましい。
(C1)被覆用ガラスペースト層形成工程
前記(B)工程で主面の所定の位置に未焼成銀反射層4および未焼成素子接続端子3が形成された上層用グリーンシートにおいて、未焼成素子接続端子3上を除く領域に、未焼成銀反射層4の端面を含めた全表面を覆うように、被覆用ガラスペーストをスクリーン印刷等の方法により印刷し、未焼成被覆層7である被覆用ガラスペースト層を形成する。被覆用ガラスペーストとしては、前記した第1のガラス粉末と第1のセラミックス粉末との混合物に、エチルセルロース等のビヒクルと必要に応じて溶剤等を添加して、ペースト状としたものを使用する。
(C2)未焼成堰止め層形成工程
堰止め用ガラスペースト層を形成することにより、未焼成堰止め層8を形成する。すなわち、上層用グリーンシートにおいて、前記(C1)工程で形成された未焼成被覆層7である被覆用ガラスペースト層の上に、前記(B)工程で形成された未焼成素子接続端子3を取り囲むように堰止め用ガラスペーストをスクリーン印刷し、平面視が円環形の堰止め用ガラスペースト層8を形成する。
堰止め用ガラスペーストとしては、前記した第2のガラス粉末と第2のセラミックス粉末とを含む混合物(第2のガラスセラミックス組成物)に、エチルセルロース等のビヒクルと必要に応じて溶剤等を添加してペースト状としたものが用いられる。形成される堰止め用ガラスペースト層8の厚さは、最終的に得られる堰止め層8の高さHが、円環形の内径Dに対して所定の比率となるように調整することが好ましい。なお、堰止め用ガラスペーストの流動性やスクリーン印刷の工程数を調整することで、堰止め用ガラスペースト層8の厚さおよびパターンの幅を調整できる。
また、グリーンシート(堰止め用グリーンシート)を積層することで、未焼成堰止め層8を形成することもできる。すなわち、第2のガラス粉末と第2のセラミックス粉末とを含む混合物に、バインダー、必要に応じて可塑剤、溶剤等を添加してスラリーを調整し、これをドクターブレード法等によりシート状に成形し、乾燥させて堰止め層用グリーンシートを作製する。なお、バインダー、可塑剤、溶剤等としては、基体用グリーンシートの作製工程で記載したものと同様なものを使用できる。そして、こうして作製された堰止め用グリーンシートを所定の形状に型抜き・成形したものを、前記(C1)工程で形成された被覆用ガラスペースト層の上に積層し配置することで、未焼成堰止め層8を形成する。
いずれの形成方法を採る場合も、形成される未焼成堰止め層8の厚さは、最終的に得られる堰止め層8の高さHとなるように調整することが好ましい。
(D)積層工程
前記(C2)工程で得られた被覆用ガラスペースト層7および未焼成堰止め層8付きのグリーンシートと、前記(B)工程で得られた導体ペースト層付きグリーンシートとを所定の順に重ね合わせた後、熱圧着により一体化する。こうして、未焼成基体2が得られる。
(E)焼成工程
前記(D)工程で得られた未焼成基体2について、必要に応じてバインダー等を脱脂後、ガラスセラミックス組成物等を焼結させるための焼成を行って素子基板1とする。
脱脂は、例えば、500℃以上600℃以下の温度で1時間以上10時間以下保持する条件で行う。脱脂温度が500℃未満または脱脂時間が1時間未満の場合、バインダー等を十分に除去できないおそれがある。一方、脱脂温度は600℃程度、脱脂時間は10時間程度とすれば、バインダー等を十分に除去でき、これを超えるとかえって生産性等が低下するおそれがある。
また、焼成は、基体2の緻密な構造の獲得と生産性を考慮して、800℃〜930℃の温度範囲で適宜時間を調整できる。具体的には、850℃以上900℃以下の温度で20分以上60分以下保持することが好ましく、特に860℃以上880℃以下の温度が好ましい。焼成温度が800℃未満では、基体2が緻密な構造のものとして得られないおそれがある。一方、焼成温度は930℃を超えると、基体2が変形するなど生産性等が低下するおそれがある。また、焼成温度が880℃を超えると、銀ペースト層が過度に軟化するために、所定の形状を維持できなくなるおそれがある。
このようにして素子基板1が得られるが、焼成後、必要に応じて素子接続端子3および外部接続端子5の全体を被覆するように、ニッケルメッキ、クロムメッキ、銀メッキ、ニッケル/銀メッキ、金メッキ、ニッケル/金メッキ等の、通常素子基板1において導体保護用に用いられる導電性保護層をそれぞれ形成できる。これらのうちでも、ニッケル/金メッキが好ましく用いられる。ニッケル/金メッキは、例えば、ニッケルメッキ層はスルファミン酸ニッケル浴等を使用して、金メッキ層はシアン化金カリウム浴等を使用して、それぞれ電解メッキによって形成できる。
(F)発光素子搭載工程
前記(E)工程で得られた素子基板1において、基体2の搭載面21の略中央部に、下面に1対のバンプ電極を有するLED素子等の発光素子10を配置し、ハンダ、金、金−錫共晶ハンダ等を介する金属間接続によって、発光素子10を素子接続端子3に電気的に接続する。
(G)封止層形成工程
このように基体2の搭載部に搭載された発光素子10を覆うように、流動性を有する熱硬化性シリコーン樹脂材料をポッティングして略半球状の樹脂層を形成し、加熱等により硬化させる。こうして、基体2の搭載面21に形成された第2のガラスセラミックス焼結体からなる円環形の堰止め層8の内側領域に、略半球状のレンズ形の封止層9が形成される。
以上の製造方法において、素子基板1の製造工程で用いられる基体用グリーンシートの枚数は、必ずしも3枚である必要はなく、2枚または4枚以上であってもよい。また、各部の形成順序等については、素子基板1の製造が可能な限度において適宜変更できる。さらに、素子基板1は、そのサイズにより、多数個取りの連結基板を作製し、これを分割する工程を得て個々の基板を作製する方法により作製されてもよい。その場合、分割のタイミングは、上記焼成後であれば、発光素子10を搭載する前でもよいし、発光素子10搭載後でもよい。
このような本発明の実施形態によれば、基体2の搭載面21上に形成された銀反射層4の表面および端縁を覆うように、第1のガラスセラミックス焼結体からなる被覆層7が形成されているので、銀等の酸化や腐食による反射率の低下を防止できるうえに、この被覆層7上に、第2のガラスセラミックス焼結体からなる所望形状の堰止め層8を容易に形成できる。そして、この第2のガラスセラミックス焼結体からなる堰止め層8により、封止層9を形成するための硬化性樹脂材料の流動が堰き止められる結果、樹脂材料が基体2の搭載面21上を堰止め層8の外側の領域まで濡れ拡がるのが抑えられるので、安定した半球レンズ形の封止層9が形成される。また、堰止め層8が透光性の材料により構成されており、封止層9を透過する光が堰止め層8により反射または吸収されないため、光の取り出し効率に優れ、発光輝度の高い発光装置が得られる。
以下、本発明の実施例について記載する。なお、本発明は実施例に限定されない。
例1〜11
以下に示す方法で、図1に示す素子基板1を作製し、それを用いて図3に示す発光装置20を製造した。
(被覆用ガラスペーストの調製)
まず、ガラス粉末Bを製造した。すなわち、酸化物換算のモル%表示で、SiOが60.4%、Bが16.6%、Alが6.0%、CaOが13.0%、KOが2.0%、NaOが2.0%となるように、ガラス原料を調合、混合し、この原料混合物を白金ルツボに入れて1500〜1600℃で60分間溶融させた後、溶融状態のガラスを流し出し冷却した。得られたガラスを、アルミナ製ボールミルにより20〜60時間粉砕してガラス粉末Bを得た。なお、粉砕時の溶媒にはエチルアルコールを用いた。
得られたガラス粉末BのD50(μm)を、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(島津製作所社製、商品名:SALD2100)を用いて測定したところ、2.5μmであった。次いで、得られたガラス粉末Bの70質量%とD50が2μmのアルミナ粉末30質量%とを混合した混合粉末に、樹脂成分を、混合粉末が60質量%、樹脂成分が40質量%の割合となるように配合し、磁器乳鉢中で1時間混練を行い、さらに三本ロールにて3回分散を行って、被覆用ガラスペーストを得た。なお、樹脂成分は、エチルセルロースとαテレピネオールとを85:15の質量比で調合し分散したものを使用した。
(堰止め用ガラスペーストの調製)
まず、ガラス粉末Aおよびガラス粉末Bを製造した。ガラス粉末Aの製造では、酸化物換算のモル%表示で、SiOが81.6%、Bが16.6%、KOが1.8%となるように、ガラス原料を調合、混合し、この原料混合物を白金ルツボに入れて1500〜1600℃で60分間溶融させた後、溶融状態のガラスを流し出し冷却した。得られたガラスを、アルミナ製ボールミルにより20〜60時間粉砕してガラス粉末Aを得た。なお、粉砕時の溶媒にはエチルアルコールを用いた。ガラス粉末Bは、前記した被覆用ガラスペーストの調製に使用したガラス粉末Bの製造と同様にして製造した。
得られたガラス粉末AのD50(μm)を、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(島津製作所社製、商品名:SALD2100)を用いて測定したところ、2.5μmであった。また、ガラス粉末BのD50は、前記と同様に2.5μmであった。次いで、上記で得られたガラス粉末Aあるいはガラス粉末Bと表1に示すセラミックス粉末とを、同表に示す質量比で混合した混合粉末に、樹脂成分を、混合粉末が60質量%、樹脂成分が40質量%の割合となるように配合し、磁器乳鉢中で1時間混練を行い、さらに三本ロールにて3回分散を行って、堰止め用ガラスペーストを得た。なお、樹脂成分は、エチルセルロースとαテレピネオールとを85:15の質量比で調合し分散したものを使用した。また、例6および例7では、セラミックス粉末を配合せず、ガラス粉末Aまたはガラス粉末Bに前記樹脂成分を配合して、堰止め用ガラスペーストを調製した。
(堰止め用グリーンシート成形体の作製)
例5においては、ガラス粉末Bとアルミナ粉末とを50:50の質量比で混合した混合粉末に、有機溶剤(トルエン、キシレン、2−プロパノール、2−ブタノールを質量比4:2:2:1で混合したもの)15g、可塑剤(フタル酸ジ−2−エチルヘキシル)2.5g、バインダーとしてのポリビニルブチラール(デンカ社製、商品名:PVK#3000K)5g、さらに分散剤(ビックケミー社製、商品名:BYK180)0.5gを配合し、混合してスラリーを調製した後、これをPETフィルム上にドクターブレード法により塗布し乾燥させた。次いで、得られたグリーンシートを円環状に加工し、円環の内径Dが1.65mm(1650μm))、幅が210μmで厚さが25μmの堰止め用グリーンシート成形体を作製した。
(素子基板の作製)
基体2を作製するための上層用グリーンシート、内層用グリーンシートおよび下層用グリーンシートを作製した。
まず、酸化物換算のモル%表示で、SiOを60.4%、Bを15.6%、Alを6%、CaOを15%、KOを1%、NaOを2%となるように原料を配合、混合し、この原料混合物を白金ルツボに入れて1600℃で60分溶融させた後、溶融状態のガラスを流し出し冷却した。このガラスをアルミナ製ボールミルにより40時間粉砕して基体用ガラス粉末を製造した。なお、粉砕の溶媒にはエチルアルコールを用いた。
この基体用ガラス粉末が35質量%、アルミナ粉末(昭和電工社製、商品名:AL−45H)が40質量%、ジルコニア粉末(第一稀元素化学工業社製、商品名:HSY−3F−J)が25質量%となるように配合し、混合することによりガラスセラミックス組成物を製造した。このガラスセラミックス組成物50gに、有機溶剤(トルエン、キシレン、2−プロパノール、2−ブタノールを質量比4:2:2:1で混合したもの)15g、可塑剤(フタル酸ジ−2−エチルヘキシル)2.5g、バインダーとしてのポリビニルブチラール(デンカ社製、商品名:PVK#3000K)5g、さらに分散剤(ビックケミー社製、商品名:BYK180)0.5gを配合し、混合してスラリーを調製した。
このスラリーをPETフィルム上にドクターブレード法により塗布し、乾燥させたグリーンシートを積層して、平板状であって焼成後のサイズが205mm×205mmで厚さが0.15mmとなる上層用、内層用、下層用の各グリーンシートを製造した。そして、上層用、内層用、下層用の各グリーンシートにおいて、所定の位置に孔空け機を用いて接続ビア用の貫通孔を形成した。なお、本実施例においては、素子基板を多数個取りの連結基板として製造し、後述する焼成後に、1個ずつに分割して、2.8mm×2.8mmの外寸の略正方形の素子基板1とした。以下の記載は、多数個取り連結基板のうちの、分割後、1個の素子基板となる一区画について説明する。
銀粉末(大研化学工業社製、商品名:S400−2)とビヒクルとしてのエチルセルロースとを、85:15の質量比で配合し、固形分が85質量%となるように溶剤としてのαテレピネオールに分散した後、磁器乳鉢中で1時間混練し、さらに三本ロールにて3回分散を行って銀ペーストを製造した。
前記各グリーンシートに形成された接続ビア用の貫通孔に、上記で得られた銀ペーストをスクリーン印刷法により充填して、未焼成接続ビアを形成した。また、上層用グリーンシートの上側の主面の所定の位置に、前記銀ペーストを所定のパターンでスクリーン印刷することにより、未焼成銀反射層および未焼成素子接続端子を形成した。さらに、下層用グリーンシートの下側の主面の所定の位置に、前記銀ペーストを所定のパターンでスクリーン印刷することにより、未焼成外部接続端子を形成した。
次いで、上層用グリーンシートの上主面において、未焼成素子接続端子上を除く領域に、前記した被覆用ガラスペーストを未焼成銀反射層4の全表面を覆うようにスクリーン印刷し、未焼成被覆層7である被覆用ガラスペースト層を形成した。さらに、上層用グリーンシートの上主面において、前記被覆用ガラスペースト層の上に前記した堰止め用ガラスペーストを、前記未焼成素子接続端子を取り囲むようにスクリーン印刷した。そして、平面視が円環形状(内径Dは1.65mm(1650μm))の堰止め用ガラスペースト層を形成した。
なお、例5においては、堰止め用ガラスペースト層の形成は行わず、被覆用ガラスペースト層の上に前記した堰止め用グリーンシート成形体を積層した。堰止め用グリーンシート成形体は、前記未焼成素子接続端子を取り囲むように配置した。
次に、これらの基板用グリーンシートを重ね合わせ、熱圧着により一体化し、未焼結連結基板を得た。この未焼成連結基板に、各区画が焼成後に2.8mm×2.8mmの外寸となるような分割線(カットライン)を入れた後、550℃で5時間保持して脱脂を行い、さらに870℃で30分間保持して焼成を行って、多数個取り連結基板を製造した。得られた多数個取り連結基板を分割線に沿って分割して、素子基板を製造した。
こうして得られた素子基板において、焼成後の堰止め層の幅Wおよび高さHを、接触式膜厚計(東京精密社製、商品名:サーフコム1400D)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。なお、表1においては、堰止め層の幅Wおよび高さHとともに、これらの値の堰止め層の内径Dに対する比率も示した。
例7,8および例10では、堰止め層を形成するガラスセラミックス焼結体が直下の被覆層を構成するガラスセラミックス焼結体と一体化して境界部が形成されず、幅Wが測定不能であったので、幅Wの寸法およびその直径Dに対する比率は記載しなかった。
<発光装置の製造および評価>
次に、こうして得られた素子基板の搭載部に、下面に1対の電極を有するLED素子(CREE社製、商品名:DA350)2個を配置し、前記1対の電極を素子接続端子に金錫ハンダ接着により接続した。その後、前記焼成工程で搭載面上に形成された堰止め層の内側の領域に、硬化性のシリコーン樹脂材料(信越化学工業社製、商品名:KER−6075)を、ディスペンサ(武蔵エンジニアリング社製、商品名:ML−5000XII)を用いて注入し、LED素子を覆う層を形成した。そして、この層を100℃で1時間加熱した後、150℃で3時間加熱して硬化させ、透光性の封止層を形成した。
こうして形成された封止層が所望の形状である半球レンズ形を呈しているかどうかを調べた。封止層の形状の評価は、封止層の頂部までの高さhが底部の直径dの1/2となっているかどうかで行った。封止層の頂部までの高さhは、接触式膜厚計(東京精密社製、商品名:サーフコム1400D)を用いて測定し、封止層の底部の直径dは、測長顕微鏡(オリンパス社製、商品名:STM6)を用いて測定した。評価結果を、表1に示す。なお、○は、封止層が略半球レンズ形を呈していることを示し、×は、封止層の形状が半球レンズ形からかけ離れていることを示す。
Figure 2014017375
表1からわかるように、酸化物換算のモル%表示で、SiOを81.6%、Bを16.6%、KOを1.8%含有する組成を有するガラスAの粉末と、アルミナ粉末またはシリカ粉末とを、90:10〜70:30の質量比で混合してなるガラスセラミックス組成物のペーストを焼成することにより堰止め層を形成した例1〜4においては、幅Wの円環形の内径Dに対する比率が0.091〜0.182で、かつ高さHの前記内径Dに対する比率が0.009〜0.03の範囲にある堰止め層が形成されている。
また、酸化物換算のモル%表示で、SiOを60.46%、Bを16.6%、Alを6.0%、CaOを13.0%、KOを2.0%、NaOを2.0%の割合で含有する組成を有するガラスBの粉末と、アルミナ粉末とを、50:50の質量比で混合してなるガラスセラミックス組成物のグリーンシートを焼成することにより堰止め層を形成した例5においても、幅Wの前記内径Dに対する比率が0.091〜0.182で、かつ高さHの前記内径Dに対する比率が0.009〜0.03の範囲にある堰止め層が得られている。
そして、このような堰止め層を有する例1〜例5で得られた素子基板の搭載部に、LED素子を配置して接続し、堰止め層の内側の領域に、硬化性のシリコーン樹脂材料を注入して加熱硬化させて封止層を形成してなる発光装置では、シリコーン樹脂材料が堰止め層で囲まれた領域の外側まで濡れ拡がることがなく、所望の半球レンズ形状を有する封止層が形成されている。なお、このような半球レンズ形を有する封止層の形成により、LED素子から発せられた光が封止層を透過する行路長が全方向で等しくなり、安定した良好な光学的特性を有する発光装置が得られる。
これに対して、前記ガラスAまたはガラスBの粉末を含み、セラミックス粉末を含有しないガラスペーストを焼成することにより堰止め層を形成した例6,7、あるいは前記ガラスBとアルミナ粉末またはシリカ粉末とを、90:10〜70:30の質量比で混合してなるガラスセラミックス組成物のペーストを焼成することにより堰止め層を形成した例8〜11においては、堰止め層の境界部が形成されず、あるいは堰止め層の幅Wの前記内径Dに対する比率が0.091未満となっており、所定の幅Wを有する堰止め層が得られていない。
そして、このような堰止め層を有する例6〜例11で得られた素子基板の搭載部に、LED素子を配置して接続し、堰止め層の内側の領域に、硬化性のシリコーン樹脂材料を注入して加熱硬化させた封止層では、硬化性のシリコーン樹脂材料の外側への濡れ拡がりを堰止め層が十分に抑えることができないため、透過する光の行路長が全方向で等しくなるような、安定した半球レンズ形の封止層は形成されていないことがわかる。
1…素子基板、2…基体、3…素子接続端子、4…銀反射層、5…外部電極端子、6…接続ビア、7…被覆層、8…堰止め層、9…封止層、10…発光素子、20…発光装置、21…搭載面、22…非搭載面。

Claims (7)

  1. 無機絶縁材料からなり、発光素子の搭載面を有する基体と、
    前記搭載面上に形成された素子接続端子と、
    前記搭載面上に形成された銀または銀合金からなる反射層と、
    前記搭載面上の前記素子接続端子上を除く領域に、前記反射層の表面および端縁を覆うように形成された、第1のガラスセラミックス焼結体からなる被覆層と、
    前記被覆層上に、前記素子接続端子を取り囲むように形成された第2のガラスセラミックス焼結体からなる堰止め層と
    を備えることを特徴とする発光素子用基板。
  2. 前記堰止め層は、円環形の平面形状を有し、その幅および高さは、前記円環形の内径に対する比率でそれぞれ0.091〜0.182および0.009〜0.030の範囲にある請求項1に記載の発光素子用基板。
  3. 前記第1のガラスセラミックス焼結体は、第1のガラス粉末と第1のセラミックス粉末とを含むガラスセラミックス組成物の焼結体である請求項1または2に記載の発光素子用基板。
  4. 前記第1のガラス粉末は、酸化物基準のモル%表示で、SiOを57〜65%、Bを13〜18%、Alを3〜8%、NaOおよびKOから選ばれる少なくとも一種を合計で0.5〜6%、CaOを9〜23%含有する組成を有する請求項3に記載の発光素子用基板。
  5. 前記第2のガラスセラミックス焼結体は、第2のガラス粉末と第2のセラミックス粉末とを含むガラスセラミックス組成物の焼結体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光素子用基板。
  6. 前記第2のガラス粉末は、酸化物換算のモル%表示で、SiOを78〜83%、Bを16〜18%、Alを0〜0.5%、NaOおよびKOから選ばれる少なくとも1種を合計で0.9〜4%、CaO、SrOおよびBaOから選ばれる少なくとも1種を合計で0〜0.6%含有する組成を有する、請求項5に記載の発光素子用基板。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の発光素子用基板と、
    前記発光素子用基板の前記搭載面上に搭載され、前記素子接続端子と電気的に接続された発光素子と、
    前記搭載面上で前記堰止め層の内側の領域に、前記発光素子を覆うように設けられた樹脂からなる封止層と
    を備えることを特徴とする発光装置。
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