JP2013249494A - 複合酸化物を経由する貴金属の回収方法および装置 - Google Patents

複合酸化物を経由する貴金属の回収方法および装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2013249494A
JP2013249494A JP2012123604A JP2012123604A JP2013249494A JP 2013249494 A JP2013249494 A JP 2013249494A JP 2012123604 A JP2012123604 A JP 2012123604A JP 2012123604 A JP2012123604 A JP 2012123604A JP 2013249494 A JP2013249494 A JP 2013249494A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
noble metal
metal
acid
composite oxide
dissolution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012123604A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5999478B2 (ja
Inventor
Ryo Kasuya
亮 粕谷
Takeshi Miki
健 三木
Yutaka Oi
豊 多井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2012123604A priority Critical patent/JP5999478B2/ja
Publication of JP2013249494A publication Critical patent/JP2013249494A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5999478B2 publication Critical patent/JP5999478B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Abstract

【課題】 貴金属を含む材料から、銅製錬などの工程や王水などの酸化力の強い酸を用いることなく効率よく貴金属を回収することができる貴金属の回収方法および装置を提供する
【解決手段】 貴金属とその化合物のいずれか一方、または双方を含む材料から前記貴金属を回収する方法であって、前記貴金属含有材料中の貴金属および、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方とを混合、加熱して貴金属および、アルカリ金属とアルカリ土類金属のいずれか一方、または双方からなる複合酸化物を形成する工程と、得られた前記複合酸化物を含む材料と酸とを接触させ、前記酸中に金属成分を溶解する工程を有することを特徴とする
【選択図】図1

Description

本発明は複合酸化物を経由する貴金属の回収方法および装置に関するものである。
Ptをはじめとする貴金属は、イオン化傾向が最も小さい金属元素グループであり酸化が困難であることから、空気中の酸素や水蒸気による腐食を受けず、非常に安定な金属であることはよく知られている。そのため宝飾品のみならず工業的にも利用価値が高く、産出量の大部分が自動車排ガス浄化触媒や電子機器部品などに利用されている。
また近年、新興国の工業振興に伴う経済成長により、自動車や電子機器が急速に普及しており、これらの用途に使われる貴金属の需要は急激に増加している。一方、貴金属が産出される地域は極わずかに限られており、貴金属の生産量はほぼ毎年横ばいの状態であるため、貴金属の供給不安は増大しつつある。
これらの事情を考慮すると、貴金属を含む製品、あるいはその廃棄物などから効率よく貴金属を回収、再資源化でき、かつ、環境負荷の低減と経済性とを両立できる新たな回収技術の確立が必要不可欠であり喫緊の課題である。
従来の貴金属回収技術の多くは、最終的には酸溶液を使用して貴金属を溶解・分離する工程が含まれている。しかし、貴金属は水素よりもイオン化傾向が小さい金属元素であり、貴金属原子が金属状態では、水素イオン濃度が高いというだけの単純な酸溶液には溶解しない。したがって、従来技術においては、貴金属を分離・回収するために、酸による溶解の前段階で貴金属原子を金属状態から酸化状態にすることが肝要であり、貴金属を酸化するために種々の工夫がなされている。しかし、環境負荷と経済性の観点からは、従来技術は十分とは言えず、さらに貴金属の回収量増加を促進するためには、広く一般に普及可能な新技術開発が必要である。
従来の貴金属回収方法、例えば乾式銅製錬プロセスを利用する場合では、一般的に酸化力の強い王水を用いて貴金属を溶解した後、貴金属を分離・回収する。王水は濃塩酸と濃硝酸とを体積比3:1で混合した混酸であり、下記反応式(1)の反応で塩化ニトロシル(NOCl)と塩素とを発生し、Ptをはじめとする貴金属を溶解させる。
3HCl+HNO → Cl+NOCl+2HO (1)
王水を用いる溶解工程では、前記反応式(1)で生じる塩化ニトロシルや塩素とは別に、塩化水素ガスやNOxガスといった有害ガスも発生する。王水を例えば80℃に加熱することで貴金属の溶解効率は向上する一方、単位時間あたりの有害ガスの発生量はさらに増加する。また、王水の揮発が著しい場合は工程の途中で酸を適宜補充する必要があり、処理コストだけでなく環境負荷の増大を招く。これに加えて、貴金属を含む材料の組成によっては、材料中に含まれる他の物質も王水により溶解してしまう場合がある。この場合は王水中に目的外の金属などが混入するため、後の分離・回収工程が煩雑になるといった問題がある。
貴金属を溶解した後の溶解液から貴金属を分離・回収するためには、溶媒間での物質の分配を利用する溶媒抽出法が広く用いられる。このとき、溶解液中に王水に由来する硝酸が残留していると貴金属の抽出剤が酸化され、貴金属の回収率および貴金属の分離効率が低下してしまう。これを抑制するため、王水溶解液の加熱と塩酸の添加を繰り返して硝酸の除去(脱硝)が行われる。この脱硝工程は長時間にわたり、回収工程全体では溶解工程にかかる時間とあわせて数日間に及ぶ場合もある。このように王水を用いる回収方法には有害ガスの発生や脱硝工程といった問題が付随し、これに伴って貴金属回収のための時間やコストが増加する。
これに対して、貴金属あるいは貴金属を含む材料を前処理することであらかじめ貴金属を金属状態から酸化させておき、溶解工程で王水を使用しない貴金属の回収方法が発明されている。例えば貴金属を担持した酸化物を貴金属の揮発を促進するアルカリ金属源とともに塩素ガス中で加熱し、貴金属の塩化物として揮発分離させる方法(例えば特許文献1参照)、貴金属、または貴金属とCaやMgなどの金属蒸気とを接触させて得られる合金を塩化処理して貴金属の塩化物とする方法(例えば特許文献2参照)、前記合金に対して塩化処理と酸化処理のいずれか一方、または双方を実施する方法(例えば特許文献3,特許文献4参照)が開示されている。
これらの前処理方法は、いずれも貴金属の塩化物を経由するなどして貴金属を金属状態から酸化する点で共通している。これにより、本来は酸化力の強い王水にしか溶解しない貴金属であっても、塩酸などの酸化力のない酸へと溶解できるようになる。そのため王水を用いるよりも安全、かつ迅速に貴金属を回収できる。さらに、条件によってはNaCl水溶液のような酸を含まない水溶液に対しても貴金属が溶出するため、溶解工程における環境負荷を劇的に低減できる。その一方、塩化処理や合金化処理において塩素ガスや金属蒸気といった有害ガスを用いるため、これらの処理工程に対する安全対策および設備が必要となり、安全設備の導入コストがかかるなどの問題があった。
このような課題を解消するために、最近、「特定のペロブスカイト型複合酸化物を用いた金属の回収方法」が提案されている(特許文献5参照)。
この金属回収方法は、貴金属・希少金属等の金属を含む材料(廃棄材料)を直接、湿式法や乾式法で処理するのではなく、いったん、廃棄材料中に含有される貴金属や希少金属等の金属のみを、気相を介してペロブスカイト型複合酸化物へと濃縮的に吸収させることにより、これらの材料に含まれる金属を効率的に回収できるといった多くの利点を有するものである。
しかしながら、この方法は、ペロブスカイト型複合酸化物への貴金属の吸収工程を気相下で行う必要があり、また、該貴金属の分離・回収工程では、目的とする貴金属だけでなくペロブスカイト型複合酸化物を構成する金属元素も溶出する場合等もあるため、更なる改良が強く望まれていた。
特開平2−301529号公報 特開2009−256744号公報 特許第3741275号 特開2011−252217号公報 国際公開第2009/107647号
本発明は、貴金属をアルカリ金属塩等の酸化誘導剤を用いて温和な条件下で酸化状態とすることにより、貴金属を含む材料から、銅製錬などの工程や王水などの酸化力の強い酸を用いることなく、より簡便に効率よく貴金属を回収することができる貴金属の回収方法および装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、LiOHなどのLi塩をPtるつぼ中で加熱した際、LiとPtが固相反応するとともに大気中の酸素を吸収して複合酸化物が形成されることを見出した。さらに、得られた複合酸化物を塩酸などの酸化力のない酸に浸漬することで、複合酸化物が溶解し、貴金属成分を含む溶解液が容易に得られることを見出した。
このPtとLi塩が直接反応するとともに酸素を吸収し、Ptが酸化された状態である複合酸化物が形成された事実から、本発明者らは貴金属回収技術において、アルカリ金属塩が複合酸化物形成に伴う貴金属の酸化を誘導する酸化誘導剤として使用でき、また、複合酸化物形成により貴金属が酸化されることにより貴金属の溶解を容易にできるとの発想に至り、鋭意検討を重ねた。この結果、Pt黒とLiCOとの組み合わせでは、LiとPtとを含有する複合酸化物が600℃以上で形成されることを見出し、さらに低い温度で形成された複合酸化物ほど塩酸に対しての溶解性が高いことを見出した。
以上の知見により、貴金属を含む材料から貴金属を回収する方法において、銅製錬などの工程や高温で長時間にわたる加熱処理、王水などの酸化力の強い酸を用いることなく、また処理困難な廃液の発生や塩化ニトロシルおよび塩素ガス等の発生や、金属蒸気などの取り扱いが困難な有害ガスの使用、発生を回避することができる本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は以下のことを特徴としている。
第1に、貴金属とその化合物のいずれか一方、または双方を含む材料(以下、単に「貴金属含有材料」と表記することがある)から前記貴金属を回収する方法であって、前記貴金属含有材料中の貴金属および、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方(以下、単に「金属源」と表記することがある)とを混合、加熱して貴金属および、アルカリ金属とアルカリ土類金属のいずれか一方、または双方からなる複合酸化物(以下、単に「複合酸化物」と表記することがある)を形成する工程と、得られた前記複合酸化物を含む材料と酸とを接触させ、前記酸中に金属成分を溶解する工程を有することを特徴とする。
第2に、上記第1の発明の貴金属の回収方法において、前記複合酸化物を形成する工程が、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方からなる溶融塩(融液)に前記貴金属含有材料を浸漬する工程である。
第3に、上記第1の発明の貴金属の回収方法において、前記複合酸化物を形成する工程が、前記金属源を含む溶液または懸濁液、またはスラリーに前記貴金属含有材料を加えて混合した後に加熱する工程である。
第4に、上記第1の発明の貴金属の回収方法において、前記酸が、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ギ酸、および酢酸から選ばれた少なくとも1種の酸である。
第5に、上記第1の発明の貴金属の回収方法において、前記複合酸化物を形成する工程において、Li,Na,K,Rb,Csから選ばれる1種、または2種以上のアルカリ金属を含む金属源を用いる。
第6に、上記第1の発明の貴金属の回収方法において、前記複合酸化物を形成する工程において、Be,Mg,Ca,Sr,Baから選ばれる1種、または2種以上のアルカリ土類金属を含む金属源を用いる。
第7に、上記第1の発明の貴金属の回収方法において、前記貴金属が、Pt,Pd,Rh,Ru,Ir,Osのいずれか、または2種以上である。
第8に、上記第1から第7の発明の貴金属の回収方法に用いられる貴金属回収のための装置であって、少なくとも前記貴金属含有材料および金属源を混合、加熱して前記複合酸化物を形成させる加熱処理部と、前記複合酸化物と前記酸とを接触させて貴金属を溶解する溶解部と、溶解後の貴金属を分離回収するための回収手段とを備えたことを特徴とする貴金属回収のための装置である。
第9に、上記第8の発明の貴金属回収のための装置において、前記貴金属含有材料を粉砕する粉砕機と、前記貴金属含有材料および金属源を混合する混練機と、前記混練物と酸素含有ガスとを接触させながら加熱する加熱処理装置と、加熱後に得られた複合酸化物を含む材料と前記酸とを接触させて貴金属を溶解する溶解槽と、前記溶解液から貴金属を分離回収するための回収手段とを備えたことを特徴とする。
第10に、上記第8の発明の貴金属回収のための装置において、前記貴金属含有材料を粉砕する粉砕機と、粉砕後の前記貴金属含有材料および金属源を含む懸濁液を収容する含浸槽と、前記懸濁液を乾燥させる手段と、前記乾燥後に得られた粉砕後の前記貴金属含有材料および金属源からなる混合物を酸素含有ガスと接触させながら加熱する加熱処理装置と、加熱後に得られた複合酸化物を含む材料と前記酸とを接触させて貴金属を溶解する溶解槽と、前記溶解液から貴金属を分離回収するための回収手段とを備えたことを特徴とする。
第11に、上記第8の発明の貴金属回収のための装置において、前記貴金属含有材料を粉砕する粉砕機と、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方からなる溶融塩(融液)を収容する溶融塩(融液)槽と、前記溶融塩(融液)槽を加熱する加熱機と、前記溶融塩(融液)中に酸素含有ガスを通気する吹込管と、前記溶融塩(融液)と前記酸素含有ガスとを撹拌する撹拌機と、前記溶融塩(融液)槽中で得られた複合酸化物を含む材料と溶融塩(融液)とを固液分離する分離手段と、前記固液分離手段によって分離された溶融塩(融液)を前記溶融塩(融液)槽に戻す戻しラインと、前記複合酸化物を含む材料と前記酸とを接触させて貴金属を溶解する溶解槽と、前記溶解液から貴金属を分離回収する貴金属回収手段からなることを特徴とする貴金属回収のための装置である。
本発明の貴金属の回収方法は、貴金属とその化合物のいずれか一方、または双方を含有する材料から前記貴金属を回収する方法であって、前記貴金属含有材料および、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方を混合、加熱して貴金属を含む複合酸化物を形成する工程と、得られた前記複合酸化物を含む材料と塩酸などの酸化力のない酸とを接触させて貴金属が溶解した溶解液を作製する工程とを含む貴金属の回収方法としたことで、貴金属の溶解工程を安全かつ短時間で終了させることができ、また処理困難な廃液の発生や塩化ニトロシルおよび塩素ガス等の発生や、金属蒸気等の取り扱いが困難な有害ガスの使用を回避することができる。
また、本発明に係る貴金属の回収方法において、前記複合酸化物を生成する工程が、前記金属源のうち一種、あるいは複数を混合、加熱して得られる溶融塩(融液)中での反応工程とした場合には、自動車用触媒などの複雑な形状を有する材料から貴金属の回収を行う場合にも、材料を溶融塩(融液)に浸漬させるなどの方法で反応させることが可能であり、回収効率を高めることができる。
本発明に係る貴金属の回収方法の工程を示すフロー図である。第一の態様(a)、第二の態様(b)。 本発明の貴金属含有材料からの貴金属の回収方法のための装置の第一の態様を図示する模式図である。 本発明の貴金属含有材料からの貴金属の回収方法のための装置の第二の態様を図示する模式図である。 本発明の貴金属含有材料からの貴金属の回収方法のための装置の第三の態様を図示する模式図である。 実施例1−1で得たLi−Pt複合酸化物のXRDプロファイルである。500℃加熱試料(a)、600℃加熱試料(b)、700℃加熱試料(c)、800℃加熱試料(d) 。 Ptを含有する溶液試料のUV−visスペクトルである。実施例1−2で得たLiPtOの塩酸溶解液(a)、塩化白金(IV)酸水溶液(b)。 実施例2−1で得たNa−Pt複合酸化物のXRDプロファイルである。600℃加熱試料(a)、700℃加熱試料(b)、800℃加熱試料(c)。 実施例3−1で得たLi,Na複合型Pt複合酸化物のXRDプロファイルである。600℃で1時間加熱した試料(a)、600℃で合計5時間加熱した試料(b)。 Li−Pt複合酸化物とNa−Pt複合酸化物、Li,Na複合型Pt複合酸化物、Pt黒の溶解率を示すグラフである。 実施例4−1で得たLi−Rh複合酸化物のXRDプロファイルである。 実施例5−1で得たNa−Rh複合酸化物のXRDプロファイルである。 Li−Rh複合酸化物とNa−Rh複合酸化物、Rh黒の溶解率を示すグラフである。 実施例6−1で得たLi−Pd複合酸化物のXRDプロファイルである。 実施例7−1で得たNa,Pd含有試料のXRDプロファイルである。 Li−Pd複合酸化物とNa,Pd含有試料、Pd黒の溶解率を示すグラフである。 実施例8−1で得たLi−Ru複合酸化物のXRDプロファイルである。 Li−Ru複合酸化物とRu黒の溶解率を示すグラフである。 実施例9−1で得たLi−Ir複合酸化物のXRDプロファイルである。 Li−Ir複合酸化物とIr黒の溶解率を示すグラフである。 実施例10で得たK−Rh複合酸化物(a)および、実施例10で原料として用いたRh黒(b)、KCO(c)のXRDプロファイルである。 実施例11で得たK−Ru複合酸化物(a)および、実施例11で原料として用いたRu黒(b)、KCO(c)のXRDプロファイルである。 実施例12で得たK−Ir複合酸化物(a)および、実施例12で原料として用いたIr黒(b)、KCO(c)のXRDプロファイルである。 実施例13−1で得たCa−Pt複合酸化物のXRDプロファイルである。 実施例14−1で得たSr−Pt複合酸化物のXRDプロファイルである。 Ca−Pt複合酸化物とSr−Pt複合酸化物、Pt黒の溶解率を示すグラフである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、LiCO、NaCO等のようなアルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか、または双方を貴金属の酸化誘導剤として用いることによって、貴金属の溶解工程を安全かつ短時間で終了させることができ、また処理困難な廃液の発生や塩化ニトロシルおよび塩素ガス等の発生や、金属蒸気等の取り扱いが困難な有害ガスの使用を回避することができることを知見し、本発明を完成するに到った。
本発明の貴金属の回収方法は、前記貴金属含有材料から前記貴金属を回収する方法において、前記貴金属含有材料と前記金属源とを混合、加熱して前記複合酸化物を形成する工程と、得られた前記複合酸化物を含む材料と塩酸などの酸化力のない酸とを接触させて貴金属が溶解した溶解液を作製する工程とを有することを特徴とする。
前記貴金属含有材料の組成は、特に限定されず、例えば酸化物や水酸化物などの無機材料をはじめ、プラスチックをはじめとする有機物、あるいはケッチェンブラックなどの炭素からなる材料などで構成されていてよい。また、これらの複合材料であってもよい。
これらの貴金属含有材料としては、具体的には自動車排気ガス浄化用触媒、化学工業用触媒、電気・電子機器類に用いられる基板などの部品、るつぼ、装飾品、あるいはこれらの廃材、貴金属含有鉱石、乾式銅製錬で生じる貴金属含有スライムなどを例示することができる。
前記貴金属含有材料中で貴金属が存在する部位については、金属源と貴金属とを接触、加熱して複合酸化物を形成させることから貴金属が貴金属含有材料の表面に露出していることが好ましい。貴金属が他の材料中に完全に埋め込まれている状態では、貴金属と金属源とが接触できず複合酸化物の形成が困難になる。そのため、複合酸化物の形成工程に先立って粉砕処理や焼成処理を行うなどして貴金属を貴金属含有材料の表面に露出させておくことが好ましい。
貴金属含有材料の形状については、固体であれば特に限定されないが、特に粉末や薄膜といった金属源と貴金属とを効率よく接触させることができる形状が好ましい。
また、貴金属含有材料中での貴金属の存在状態については、単独または複数の貴金属からなる混合物、あるいはそれらの合金、化合物など、固体の状態であれば幅広く処理の対象とすることができる。より具体的な処理対象としては、例えば、アルミナなどの酸化物に貴金属の微粒子を担持した触媒や、貴金属酸化物の薄膜などを挙げることができるが、対象物はこれらに限定されるものではない。
本発明における貴金属とは、白金族金属であるPt,Pd,Rh,Ru,Ir,Osの総称であり、本回収法により効果的に回収できる貴金属元素としては、上記貴金属のいずれかまたは2種以上を含む混合物、あるいはそれらの合金である。
前記アルカリ金属源として用いることのできる元素としては、Li,Na,K,Rb,Csから選ばれる1種または2種以上の元素である。アルカリ金属のイオン半径が小さいほど反応性が高く、貴金属内部へのイオンの拡散が速くなり、このため複合酸化物を形成するために必要な温度を低く抑えることができる。この観点から、Li,Na,Kがより好ましい。
前記アルカリ土類金属源として用いることのできる元素としては、Be,Mg,Ca,Sr,Baから選ばれる1種または2種以上の元素である。アルカリ金属の場合と同様に、アルカリ土類金属のイオン半径が小さいほど、貴金属内部へのイオンの拡散が速くなり、このため複合酸化物を形成するために必要な温度を低く抑えることができる。この観点から、Be,Mg,Ca,Srがより好ましい。
前記金属源のうち、好ましく用いられる金属源の種類としては、炭酸塩、炭酸水素塩、酸化物、水酸化物、硝酸塩、塩化物、フッ化物、硫酸塩、ホウ酸塩などであって、これらを単独、または数種を混合して使用する。金属源は、ドロマイト(CaMg(CO)のように、複数の金属を含んでいてもよい。また、トロナ(Na(CO)Na(HCO)・2HO)のように複数のアニオン種を含む複塩であってもよい。加熱に伴う有害ガスの発生を回避する観点からは、炭酸塩、酸化物、水酸化物のいずれかを使用することがより好ましい。
前記アルカリ金属源は、前記貴金属と反応することによって、前記複合酸化物を形成するものである。また、複合酸化物の組成比はアルカリ金属源の添加量だけでなく、加熱温度や加熱時間などの反応条件にも左右される。そのため、以下に述べる値に限定されるものではないが、アルカリ金属源の添加量は、貴金属がPtの場合はPtのモル数に対して1/3当量から8当量の範囲で存在することが好ましい。これは、複合酸化物の組成が元素比や加熱条件などに応じてAPtからAPtO(A=アルカリ金属)の範囲で変化するためである。
貴金属がRhの場合はRhのモル数に対して1当量から2当量の範囲で存在することが好ましい。これは、複合酸化物の組成が元素比や加熱条件などに応じてARhOからA2RhO(A=アルカリ金属)の範囲で変化するためである。
貴金属がPdの場合はPdのモル数に対して2/3当量から6当量の範囲で存在することが好ましい。これは、複合酸化物の組成が元素比や加熱条件などに応じてAPd34からAPdO(A=アルカリ金属)の範囲で変化するためである。
貴金属がRuの場合はRuのモル数に対して1/4当量から8当量の範囲で存在することが好ましい。これは、複合酸化物の組成が元素比や加熱条件などに応じてARuからARuO(A=アルカリ金属)の範囲で変化するためである。
貴金属がIrの場合はIrのモル数に対して1当量から8当量の範囲で存在することが好ましい。これは、複合酸化物の組成が元素比や加熱条件などに応じてAIrO3からAIrO6(A=アルカリ金属)の範囲で変化するためである。
貴金属がOsの場合はOsのモル数に対して5当量以上存在することが好ましい。これは、複合酸化物の組成がAOsO(A=アルカリ金属)となるためである。アルカリ金属源の添加量が形成される複合酸化物の化学量論組成よりも少ない場合、貴金属が未反応のまま残存し、酸による溶解工程において貴金属の溶解効率が低下する。
前記アルカリ土類金属源は、前記貴金属と反応することによって、前記複合酸化物を形成するものである。また、複合酸化物の組成比はアルカリ土類金属源の添加量だけでなく、加熱温度や加熱時間などの反応条件にも左右される。そのため、以下に述べる値に限定されるものではないが、アルカリ土類金属源の添加量は、貴金属がPtの場合はPtのモル数に対して1/3当量から4当量の範囲で存在することが好ましい。これは、複合酸化物の組成が元素比や加熱条件などに応じてAPtからAPtO(A=アルカリ土類金属)の範囲で変化するためである。
貴金属がRhの場合はRhのモル数に対して1/6当量から2当量の範囲で存在することが好ましい。これは、複合酸化物の組成が元素比や加熱条件などに応じてARh612からA2RhO4(A=アルカリ土類金属)の範囲で変化するためである。
貴金属がPdの場合はPdのモル数に対して1/3当量から2当量の範囲で存在することが好ましい。これは、複合酸化物の組成が元素比や加熱条件などに応じてAPd34からA2PdO3(A=アルカリ土類金属)の範囲で変化するためである。
貴金属がRuの場合はRuのモル数に対して1/6当量から9当量の範囲で存在することが好ましい。これは、複合酸化物の組成が元素比や加熱条件などに応じてARu612からA9RuO11(A=アルカリ土類金属)の範囲で変化するためである。
貴金属がIrの場合はIrのモル数に対して1当量から4当量の範囲で存在することが好ましい。これは、複合酸化物の組成が元素比や加熱条件などに応じてAIrO3からA4IrO6(A=アルカリ土類金属)の範囲で変化するためである。
貴金属がOsの場合はOsのモル数に対して1/2当量から4当量の範囲で存在することが好ましい。これは、複合酸化物の組成が元素比や加熱条件などに応じてAOs3からA4OsO6(A=アルカリ土類金属)の範囲で変化するためである。アルカリ土類金属源の添加量がこれよりも少ない場合、貴金属が未反応のまま残存し、酸による溶解工程において貴金属の溶解効率が低下する。
金属源と貴金属とを混合する工程では、前記金属源のうち一種、あるいは複数を加熱して得られる溶融塩(融液)と貴金属とを接触させてもよい。特に貴金属含有材料を溶融塩(融液)中に浸漬させる方法とすれば、金属源の粉末を用いるよりも貴金属との接触面積を増大することができ、効率よく複合酸化物を形成できる。
溶融塩(融液)を形成するための化合物としては、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素塩、酸化物、水酸化物、硝酸塩、塩化物、フッ化物、硫酸塩、ホウ酸塩などの中から単独、あるいは複数を用いることができる。溶融塩(融液)が形成される温度は用いる化合物の種類や混合比によって変化するため、目的とする複合酸化物の組成や反応温度に応じてこれらを決めればよい。
また、貴金属含有材料を溶融塩(融液)に浸漬させて複合酸化物を形成させる工程は、必要に応じて、融剤や酸化剤などの共存下に行ってもよい。融剤を用いることで溶融塩(融液)が形成される温度を低くできる。一方、酸化剤は貴金属の酸化に寄与することで複合酸化物の形成を促進することができる。
前記溶融塩(融液)は常温で固体の金属源を溶融塩(融液)槽などに加えた後、金属源の融点以上に加熱することで形成される。溶融塩(融液)の加熱温度としては安定して溶融状態を保持できればよく、例えば、約200℃〜約1000℃の範囲で設定できる。
本発明では、前記溶融塩(融液)を溶媒とし、その中に貴金属含有材料を浸漬させるなどの方法で接触、加熱することにより、複合酸化物を得ることができる。
溶融塩中において複合酸化物を形成する工程では、空気や純酸素ガスなどの酸素を含有するガスを反応系内に吹き込むことが好ましい。酸素の供給により、複合酸化物の形成をより促進できる。反応系内に吹き込むガスは、加熱されたものであってもよい。また、ガス中の酸素濃度や系内へのガス供給量は、適宜最適な値を選択することができる。
貴金属含有材料と金属源とを混合する工程では、金属源を溶解させた水溶液や、金属源が溶媒中に分散した懸濁液、あるいはスラリー中に貴金属含有材料を加えた後、撹拌などの方法によって混合してもよい。このような方法とすれば、金属源と貴金属とをより均一に混合することができ、効率よく複合酸化物を形成できる。貴金属含有材料を混合した後の溶液、懸濁液、あるいはスラリーはるつぼなどの容器中で直接加熱してもよいし、加熱乾燥や減圧乾燥などの乾燥工程を経た後に加熱してもよい。
複合酸化物を形成する具体的な方法としては、例えばLiCOとPt黒とを混合して600℃以上で1時間加熱することで、下記反応式(2)に示す反応にともない大気中の酸素が取り込まれ、LiとPtとの複合酸化物であるLiPtOが形成される。
LiCO+Pt+O → LiPtO+CO (2)
加熱温度が600℃以上であれば、複合酸化物が形成されるが、加熱温度の上昇に伴い、複合酸化物の塩酸に対する溶解率が減少した。これは、加熱温度の上昇が複合酸化物の結晶子径、および粒子径の増加を招き、複合酸化物と酸との接触面積が減少することに起因すると考えられる。したがって、加熱温度は複合酸化物が形成される温度であるならば、できる限り低い方がよい。
一方、NaとPtとの複合酸化物であるNaPtOを形成させるためにNaCOとPt黒とを用いた場合は、800℃で加熱した後もなお未反応のPtが残存する。これに対して、Li源とNa源とを組み合わせた場合、例えばLiCOおよびNaCOをPt黒とともに混合して600℃で加熱することで、LiPtOとNaPtOの混合物、あるいはそれらの固溶体を形成させることができる。
Li源とNa源とを組み合わせることでNaPtOが形成される温度が800℃から600℃へと低減する理由は、加熱に伴って、最初にイオン半径の小さいLiがPtの格子内部に拡散するとともに酸素を吸収してLiPtOが形成され、次にイオン半径の大きなNaがLiPtO中のLiと置換することでNaPtOを形成するためである。
また、このようにして得られた試料は他の複合酸化物、例えばLiPtOやNaPtOなどと同様に、塩酸などの酸化力のない酸に対して容易に溶解することができる。このような金属源の複合化により、二次電池の分野などで需要増加が予想されるLiの使用量を低減しつつ、酸への溶解が容易な複合酸化物をより低温で得ることができる。
溶融塩中で複合酸化物を形成する際の加熱処理は、例えば約200℃〜約1000℃の温度範囲で行うことができる。複合酸化物における貴金属の溶解率を高くできるという点から、加熱温度は複合酸化物の形成が進む範囲内で、できるだけ低温であることが好ましい。また、加熱処理は、加熱されたガスを反応系内へと導入することにより温度が維持されるものであってもよい。
複合酸化物を形成する際の加熱時間としては、回収対象である貴金属と金属源とが十分に反応し、その複合酸化物へと転換するように設定できる。また、必要に応じて一部が反応して複合酸化物になるよう設定することもできる。具体的な処理時間としては、例えば、約1時間の処理時間とすることができる。また、前記加熱処理は、通常は常圧下で行われるが、適宜、加圧下あるいは減圧下で行ってもよい。
得られた複合酸化物を乳鉢やボールミルなどを用いて粉砕するなどして、粒度を適宜調節してもよい。粉砕処理を経ることで溶解工程における複合酸化物と酸との接触面積を増やすことができ、これにより貴金属を迅速に溶解できる。
複合酸化物を含む貴金属含有材料を溶融塩中で形成したならば、次にろ過工程などを経て貴金属含有材料と溶融塩(融液)とを固液分離することが好ましい。固液分離後の溶融塩(融液)を再利用することで、処理コストを低減できる。また、ろ過の方法としては、例えば溶融塩(融液)の温度に耐えうるガラス製またはセラミックス製のフィルターなどを用いた重力ろ過、あるいは減圧ろ過などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
溶解工程で用いる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ギ酸および酢酸のうちのいずれか一種、または二種以上の酸、またはこれらの酸の混合物を挙げることができる。貴金属の溶解には一般に塩酸と硝酸とを所定の割合で混合した王水が用いられるが、貴金属の溶解液中に硝酸が残留していると溶媒抽出法における貴金属の回収率や分離効率が低下する。また、環境負荷を考慮すると塩酸のような酸化力のない酸、または酢酸のような弱酸を用いることが好ましい。
さらに、溶解に用いる酸を変えるなどして多段階の溶解工程とすることもできる。これにより、酸に溶解しやすい貴金属を前段で優先的に溶解させるなど、貴金属の溶解効率の差を利用した分離・回収工程とすることができる。
複合酸化物と酸との接触工程では、例えば塩酸などの酸に複合酸化物を浸漬するなどの方法とすることができる。また、溶解工程では、撹拌子や撹拌翼などを用いて酸および複合酸化物を撹拌することが好ましい。撹拌によって複合酸化物と酸とが効率よく接触でき、これにより貴金属の溶解を効率よく進めることができる。
また、前記複合酸化物から貴金属を回収する方法としては、公知の乾式法、例えば、山元還元法、またはローズ法などの回収方法を適用することもできる。
貴金属は通常、王水のような酸化力の強い酸を用いてもなお溶解には長時間を必要とする。そのため王水を100℃以上の高温に加熱して溶解を促進する(特開昭63−185434)、あるいは王水に塩素ガスを通気する手法がとられる。これらの工程を経ることで、
表面の貴金属原子から電子が失われるとともに塩化物イオン(Cl)のようなアニオンと結合した状態へと変化する。例えば王水によるPtの溶解は、下記反応式(3)に示すように王水中の塩化ニトロシル(NOCl)と塩素ガスによってPtが金属状態から酸化されるとともに、塩酸が作用することで水溶性の塩化白金(IV)酸(HPtCl)が生成することで進むと考えられている。
Pt+2NOCl+Cl+2HCl → HPtCl+2NO (3)
一方、本発明において、貴金属は複合酸化物を形成することによって既に酸化された状態となっているため、溶解の際に塩化ニトロシルや塩素ガスといった酸化力を有する化合物を用いる必要がなく、かつ、塩酸のように酸化力のない酸に対しても溶解が進む。例えばLiとPtの複合酸化物であるLiPtOを塩酸に溶解させる場合では、下記反応式(4)のように水溶性の塩化白金(IV)酸(HPtCl)とLiCl、水が生成する。
LiPtO+8HCl → HPtCl+2LiCl+3HO (4)
また、LiとPtとの複合酸化物であるLiPtOは層状化合物であり、Pt原子と酸素原子からなる層(−Pt−O−Pt−O−)と、Li原子と酸素原子からなる層(−Li−O−Li−O−)とが互いに積層した層状構造をとる。LiPtOを塩酸で溶解した後の残渣について粉末X線回折法(XRD)で調べたところ、LiPtOであることが確認されたが、Li原子と酸素原子からなる層(−Li−O−Li−O−)に由来する回折ピーク強度が選択的に減少していることが分かった。このことから、酸による溶解工程においては、Li原子と酸素原子からなる層から優先的に溶解する機構が推察される。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係る貴金属の回収方法の工程を示すフロー図である。
本発明の貴金属の回収方法は、図1(a)に示す第一の態様と、図1(b)に示す第二の態様とを含む。図1(a)に示す第一の態様は、貴金属含有材料1と金属源3とを混合(S10)、加熱して複合酸化物11aを形成する工程と、得られた複合酸化物11aを酸により溶解する工程(S20)とを有する回収方法である。
一方、図1(b)に示す第二の態様は、金属源3を含む溶融塩(融液)3aに貴金属含有材料1を浸漬して前記複合酸化物11aを形成する工程と、得られた前記複合酸化物を酸により溶解する工程(S20)とを有する回収方法である。
まず、本発明に係る回収方法のうち、図1(a)に示す第一の態様の回収方法により、材料中に含まれる貴金属を回収する手順について説明する。
本発明に係る回収方法により貴金属含有材料1から貴金属11を回収するには、まず、図1(a)に示すように、貴金属含有材料1と金属源3とを混合する(S10)。
混合工程(S10)により得られた金属源と貴金属の混合物を電気炉などの加熱設備へ導入し、500℃〜900℃程度とすることで、貴金属含有材料1に含まれる貴金属粒子と金属源3とが反応して複合酸化物11aが形成される。
なお、混合工程(S10)としては、例えば乳鉢やボールミルなどを用いる混合方法とすることができる。また、液相を利用した混合方法としては、例えば金属源3を溶解させた溶液に貴金属含有材料1を加えて撹拌した後に蒸発乾固などの工程を経て溶媒を除去する方法や、溶媒に金属源3を加えて懸濁液、あるいはスラリーとした後に貴金属含有材料1を加えて撹拌した後に蒸発乾固などの工程を経て溶媒を除去する方法などを例示することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
また、図1(b)に示す第二の態様では、金属源3を加熱融解することで得られる溶融塩(融液)3aとした後に貴金属含有材料1と溶融塩(融液)3aとを接触させることで、貴金属含有材料1に含まれる貴金属粒子と溶融塩(融液)3aに含まれる金属源3とが反応して複合酸化物11aの形成が進む。そのため、ここでは貴金属含有材料1と金属源3との混合工程(S10)を省略することができる。
また、複数の金属源を用いることや金属源の混合比を変えることで金属源3が溶融塩(融液)3aとなる温度を変えることができる。例えば、LiCOの融液、NaCOの融液はそれぞれの融点である723℃、851℃以上に加熱することで得られる。また、融液の組成がLiCO:NaCO=51mol%程度:49mol%程度の場合は約498℃以上で溶融塩(融液)3aとなる。
前記溶融塩(融液)3aを構成する金属源としては、上に述べた炭酸塩以外にも、炭酸水素塩、酸化物、水酸化物、硝酸塩、塩化物、フッ化物、硫酸塩、ホウ酸塩などを用いることができる。これらは必要に応じて混合してもよい。
以上の工程により複合酸化物11aが形成されたならば、次に酸による溶解工程(S20)に供することで、貴金属を溶解させる。溶解工程(S20)としては、例えば貴金属含有材料1中に含まれる複合酸化物11aと酸とを接触させて貴金属含有材料1から貴金属を溶解する工程とすることができる。本発明では、溶解工程(S20)に先立って貴金属粒子を複合酸化物11aとすることで、貴金属が複合酸化物中で酸化された状態となっているため、塩酸のような酸化力のない酸であっても貴金属を溶解することができる。
溶解に用いる酸の濃度および酸の液量については、例えば前記反応式(4)に示すように、LiとPtとの複合酸化物であるLiPtOを塩酸により溶解させる場合では、Ptのモル数に対して8当量の塩酸が必要となる。このように溶解工程では処理対象となる貴金属の量や使用する酸の種類などを考慮し、適宜酸の濃度および酸の液量を決めればよい。
また、必要に応じて酸を加熱することもできる。通常、酸の温度としては室温から酸の沸点未満の範囲であることが好ましい。特に高濃度の塩酸は高温では共沸し、濃度が低下するため25〜80℃程度とすることが好ましい。例えば12Nの塩酸(濃度35〜38%)を80℃に加熱すると、水よりも塩化水素が優先的に揮発するため規定度は約10N(濃度約32%)に低下する。
溶解工程を経て酸中に溶解した貴金属は、次に分離・回収工程を経て再資源化される。貴金属の分離・回収方法としては、溶媒抽出法(例えば特開平9−241768参照)のほかにも沈殿分離法、Znなどの貴金属よりも卑な金属を貴金属の溶解液に加えて貴金属を金属状態へと還元、析出させる(セメンテーション)方法、イオン交換法、電解析出法などの従来公知の分離・回収方法を用いることができる。これらの分離・回収工程は、貴金属含有材料における貴金属の含有量や貴金属の組成などに応じて適宜組み合わせてもよい。以上の工程を経た後、貴金属の単体、または貴金属の塩などとして貴金属を回収する。
特に溶媒抽出法を用いて貴金属を回収する場合は、通常、NaOHなどのアルカリを用いて貴金属の溶解液に含まれる酸を中和した後、貴金属の抽出剤や有機溶媒などを用いて貴金属を分離・回収する。中和に用いるアルカリと同じアルカリ金属源を用いて複合酸化物を形成させることで、溶解、中和工程後に存在する金属の種類を増やすことなく貴金属を回収でき、分離・回収工程が煩雑になるのを回避できる。また、回収後の貴金属の純度をさらに高める場合は、目的とする純度に到達するまで精製工程を繰り返すなどの手法がとられる。
次に、本発明の貴金属の回収装置について、図面を用いて詳細に説明する。
図2に図示する態様の装置は、貴金属含有材料1を粉砕する粉砕機2と、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方3を混練機4へと供給する供給ライン5と、粉砕後の貴金属含有材料1および、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方3とを混合する混練機4と、混練物を加熱処理装置6へと供給する投入部7と、前記混練物と酸素含有ガスとを接触させながら加熱する加熱処理装置6と、酸槽8から酸を供給して複合酸化物を含む材料から貴金属を溶解する溶解槽9および前記溶解液から貴金属を分離回収する手段10からなる。
図2に図示する態様によれば、個々に粉砕された貴金属含有材料1および、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方3は、混練機4により混合された後に加熱処理装置6により加熱される。前記加熱は、例えば600℃で1時間行われる。加熱により貴金属および、アルカリ金属とアルカリ土類金属のいずれか一方、または双方からなる複合酸化物を形成させる。
加熱後の複合酸化物を含む材料は、酸槽8から供給される酸により溶解槽9で貴金属が溶解される。貴金属イオンを含む溶解液は溶媒抽出法や沈殿分離法などの分離回収手段10によって元素ごとに分離された後、貴金属11としてそれぞれ回収される。一方、貴金属を含まない溶解処理後の残渣12は廃棄される。
このように、図2に示す回収装置では、溶解槽9における貴金属の溶解工程の前段において、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方と貴金属含有材料を混合、加熱することで酸による貴金属の溶解が容易な複合酸化物を形成する。そのため、従来の前処理工程で必要だった有害な金属蒸気や塩素ガスの導入設備や加圧設備、有害ガスに耐えうる反応室などを省略できる。
また、ロータリーキルンのような加熱機構と回転機構とを備える加熱処理装置6を用いることで、混練物が撹拌されながら加熱されるため、混練物は常に空気や純酸素ガスなどの酸素含有ガスと接触した状態とすることができる。これにより酸素の供給が進み、複合酸化物の形成を促進できる。これと同時に、被処理物を連続処理できることから、プロセスの大規模化にも容易に対応できる。
図3に図示する態様の装置は、貴金属含有材料1を粉砕する粉砕機2と、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方3を含浸槽41へと供給する供給ラインと、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方を含む溶液、あるいは懸濁液を収容する含浸槽41と、前記懸濁液を乾燥させる手段44と、前記乾燥後に得られた粉砕後の前記貴金属含有材料および、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方からなる混合物を加熱処理装置6へと供給する投入部7と、前記混合物と酸素含有ガスとを接触させながら加熱する加熱処理装置6と、酸槽8から酸を供給して複合酸化物を含む材料から貴金属を溶解する溶解槽9および前記溶解液から貴金属を分離回収する手段10からなる。
図3に図示する態様によれば、個々に粉砕された貴金属含有材料1はアルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方3を含む溶液、あるいは懸濁液中に含浸される。含浸工程により得られる懸濁液を、噴霧乾燥工程などの懸濁液を乾燥させる乾燥手段44を経て溶媒を除去し、粉砕後の前記貴金属含有材料および、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方からなる混合物を得る。前記混合物は加熱処理装置6により加熱されることで複合酸化物が形成される。前記加熱は、例えば600℃で1時間行われる。
加熱後の複合酸化物を含む材料は、酸槽8から供給される酸により溶解槽9で貴金属が溶解される。貴金属イオンを含む溶解液は溶媒抽出法や沈殿分離法などの分離回収手段10によって元素ごとに分離された後、貴金属11として回収される。一方、貴金属を含まない溶解処理後の残渣12は廃棄される。
このように、図3に示す回収装置では、溶解槽9における貴金属の溶解工程の前段において、粉砕後の前記貴金属含有材料を、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方を含む溶液、あるいは懸濁液に含浸させることで、乾式混合よりも貴金属と金属源との混合状態を改善できる。また、乾燥手段44を経た後の混合物における前記貴金属含有材料と金属源との密着を促進することができる。これにより、加熱工程において複合酸化物を効率よく形成させることができる。
また、乾燥手段44を噴霧乾燥工程とすることで、前記混合物同士の凝集を抑制でき、このため溶解工程における前記混合物中で反応生成した複合酸化物と酸との接触効率を向上することができる。噴霧温度などの条件によっては噴霧乾燥工程で複合酸化物を直接得ることができ、この場合は加熱処理装置6による加熱工程を短時間で終了、ないし省略できる。このように含浸と乾燥工程を経る回収方法は、ハニカム触媒など、比重が比較的小さい材料に好適である。
図4に図示する態様の装置は、貴金属含有材料1を粉砕する粉砕機2と、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方からなる溶融塩(融液)3aを収容する溶融塩(融液)槽61と、溶融塩(融液)槽61中で貴金属含有材料1および、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方からなる溶融塩(融液)3aとを加熱する加熱機63と、加熱中に溶融塩(融液)中に酸素含有ガスを通気する酸素含有ガス吹込管64と、溶融塩(融液)と酸素含有ガスとを撹拌する攪拌機62と、溶融塩(融液)槽61中で得られた複合酸化物を含む材料と溶融塩(融液)3aとを固液分離する分離手段65と、酸槽8から酸を供給して複合酸化物から貴金属を溶解する溶解槽9および前記溶解液から貴金属を分離回収する手段10からなる。
図4に図示する態様によれば、粉砕された貴金属含有材料1は、溶融塩(融液)槽61に収容されたアルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方からなる溶融塩(融液)3a中で加熱される。前記加熱は、例えば600℃で1時間行われる。加熱により、貴金属含有材料1中の貴金属および、アルカリ金属とアルカリ土類金属のいずれか一方、または双方からなる複合酸化物が形成される。
加熱後の複合酸化物を含む材料と溶融塩(融液)3aとを固液分離する分離手段65を経た後、加熱後の複合酸化物を含む材料は、酸槽8から供給される酸により溶解槽9で貴金属が溶解される。貴金属イオンを含む溶解液は後段の分離回収手段10によって元素ごとに分離された後、貴金属11として回収される。一方、貴金属を含まない溶解処理後の残渣12は廃棄される。
前記溶融塩(融液)3aに空気や純酸素ガスなどの酸素含有ガスを酸素含有ガス吹込管64を通じてバブリングすることで、溶融塩(融液)3aへの酸素の溶解を促進でき、これにより複合酸化物の形成を促進することができる。また、撹拌機62により溶融塩(融液)3aと酸素含有ガスとを撹拌することで、粘度が比較的高い溶融塩(融液)3aであっても通気された酸素含有ガスを溶融塩(融液)3a全体へと行き渡らせることができ、酸素の溶解効率を向上できる。
固液分離後の溶融塩(融液)3aを溶融塩(融液)槽61に戻す戻しライン66を備えると、溶解槽9への溶融塩(融液)3aの流入を防ぐことができるので、溶融塩(融液)3aと酸との反応による酸の消費を防ぐことができ、処理コストをいっそう低減することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本実施例は、金属源と貴金属とを混合、加熱することで得られる複合酸化物が、特に塩酸などの酸化力のない酸に対して容易に溶解できることにより、想到されたものである。
(実施例1−1)
(Li−Pt複合酸化物の固相合成)
Li源としてLiCO(37.9mg)、貴金属としてPt黒(50.0mg)をメノウ乳鉢で混合した。ここではLi源とPtとの反応率をより高めるため、Ptに対してLiがモル比で4倍となるよう過剰に加えた。次に混合後の試料をアルミナ製のボートに載せて電気管状炉の炉芯管に挿入し、所定温度で1時間加熱した。
図5(a)〜(d)は500℃、600℃、700℃、800℃でそれぞれ加熱した試料のXRDプロファイルであり、600℃以上で加熱した試料では、いずれもLiPtOと過剰に加えたLiCOに由来する回折ピークが確認できた。これに対して、500℃で加熱した試料ではLiPtOはほとんど形成されず、未反応のPtとLiCOに由来する回折ピークを示した。
(実施例1−2)
(600℃で作製したLi−Pt複合酸化物の塩酸溶解)
実施例1−1で得られた600℃加熱試料41.4mgに12Nの塩酸20mLを加えて撹拌子による撹拌を行いながら60℃で9時間保持した後、得られた黄色の懸濁液を減圧濾過により固液分離した。回収した残渣の乾燥重量は5.8mgであった。
また、XRDプロファイルから塩酸溶解後の残渣はLiPtOに同定された。Ptの溶解率を以下の式(5)から求めたところ、図9に示すように82.5%であった。
貴金属の溶解率=(溶解処理に供した試料に含まれる貴金属の重量−残渣に含まれる貴金属の重量)/(溶解処理に供した試料に含まれる貴金属の重量)×100(%)(5)
(UV−visスペクトル測定による溶解液中のPtの存在状態の検証)
LiPtOの塩酸溶解液におけるPtの存在状態を検証するため、溶液試料の紫外−可視吸収スペクトル(UV−visスペクトル)を測定した。実施例1−2で得た塩酸溶解液を超純水で200倍に希釈した溶液試料のUV−visスペクトルを図6(a)に示す。比較のため、塩化白金(IV)酸水溶液(Pt濃度:2.3×10−5mol/L)のUV−visスペクトルを図6(b)に併記してある。両者のスペクトル形状はよく類似しており、また、両試料ともに吸光度が最大となる波長は262nmであった。以上のことから、LiPtOの塩酸溶解液において、Ptは塩化白金(IV)酸として存在していることがわかった。
(実施例1−3)
(600℃で作製したLi−Pt複合酸化物の王水溶解)
実施例1−1で得られた600℃加熱試料41.6mgに王水20mLを加えて撹拌子での撹拌を行いながら60℃で9時間保持した後、得られた黄色の懸濁液を減圧濾過により固液分離した。回収した残渣の乾燥重量は27.4mgであった。
また、XRDプロファイルから王水溶解後の残渣はLiPtOに同定された。前記式(5)から求めたPtの溶解率は、図9に示すように16.9%であった。
(実施例1−4)
(700℃で作製したLi−Pt複合酸化物の塩酸溶解)
実施例1−1で得られた700℃加熱試料40.2mgを、実施例1−2と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は24.0mgであった。また、XRDプロファイルから塩酸溶解後の残渣はLiPtOに同定された。前記式(5)から求めたPtの溶解率は、図9に示すように27.1%であった。
(実施例1−5)
(700℃で作製したLi−Pt複合酸化物の王水溶解)
実施例1−1で得られた700℃加熱試料40.3mgを、実施例1−3と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は28.5mgであった。また、XRDプロファイルから王水溶解後の残渣はLiPtOに同定された。前記式(5)から求めたPtの溶解率は、図9に示すように13.5%であった。
(実施例1−6)
(800℃で作製したLi−Pt複合酸化物の塩酸溶解)
実施例1−1で得られた800℃加熱試料36.5mgを、実施例1−2と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は26.2mgであった。また、XRDプロファイルから塩酸溶解後の残渣はLiPtOに同定された。前記式(5)から求めたPtの溶解率は、図9に示すように20.2%であった。
(実施例1−7)
(800℃で作製したLi−Pt複合酸化物の王水溶解)
実施例1−1で得られた800℃加熱試料36.9mgを、実施例1−3と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は26.3mgであった。また、XRDプロファイルから王水溶解後の残渣はLiPtOに同定された。前記式(5)から求めたPtの溶解率は、図9に示すように20.5%であった。
(実施例2−1)
(Na−Pt複合酸化物の固相合成)
Na源としてNaCO(54.3mg)、貴金属としてPt黒(50.0mg)をメノウ乳鉢で混合した。ここではNa源とPtとの反応率をより高めるため、Ptに対してNaがモル比で4倍となるよう過剰に加えた。次に混合後の試料を実施例1−1と同様の条件で加熱し、粉末試料を回収した。図7(a)〜(c)は600℃、700℃、800℃でそれぞれ加熱した試料のXRDプロファイルであり、600℃加熱試料ではNa−Pt複合酸化物はほとんど形成されず、主として未反応のPtとNaCOに由来する回折ピークを示した。また、700℃加熱試料では未反応のPtとNaCOに加えて、NaPtOおよびNaPtに由来する回折ピークが新たに出現した。これに対して、800℃加熱試料ではNaPtOおよび未反応のPtと過剰量加えたNaCOに由来する回折ピークが示された。一方、NaPtに由来する回折ピークは明瞭には現れなかった。
(実施例2−2)
(Na−Pt複合酸化物の塩酸溶解)
実施例2−1で得られた800℃加熱試料44.5mgを、実施例1−2と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は5.9mgであった。また、XRDプロファイルから塩酸溶解後の残渣はPtに同定された。このことから、塩酸によって反応生成したNaPtOと未反応のNaCOが溶解したことがわかった。前記式(5)から求めたPtの溶解率は、図9に示すように76.3%であった。
(実施例2−3)
(Na−Pt複合酸化物の王水溶解)
実施例2−1で得られた800℃加熱試料44.5mgを、実施例1−3と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は11.9mgであった。また、XRDプロファイルから王水溶解後の残渣はα−PtOに同定された。前記式(5)から求めたPtの溶解率は、図9に示すように59.0%であった。
(実施例3−1)
(Li,Na複合型Pt複合酸化物の固相合成)
Li源としてLiCO(18.9mg)、Na源としてNaCO(81.5mg)、貴金属としてPt黒(50.0mg)をメノウ乳鉢で混合した。ここではアルカリ金属源とPtとの反応率をより高めるため、Ptに対してLiがモル比で2倍、Naがモル比で6倍となるようそれぞれ過剰に加えた。次に混合後の試料を実施例1−1と同様の条件で600℃で加熱した。得られた塊状試料をメノウ乳鉢で解砕し、再び600℃で4時間、合計5時間加熱した。
図8(a)は600℃で1時間加熱した試料、図8(b)は合計5時間加熱した試料のXRDプロファイルであり、600℃で1時間加熱した試料では、LiPtOおよび未反応のPtと過剰量加えたNaCOに由来する回折ピークが確認できた。一方、600℃で合計5時間加熱した試料では、LiPtOに加えてNaPtOに由来するピークが新たに出現した。また、若干ではあるが未反応のPtとNaCOも残存していた。
(実施例3−2)
(Li,Na複合型Pt複合酸化物の塩酸溶解)
実施例3−1で得られた600℃で合計5時間加熱後の試料69.5mgを、実施例1−2と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は6.9mgであった。また、XRDプロファイルから塩酸溶解後の残渣はLiPtOとPtに同定された。残渣組成をLiPtOと仮定した場合のPtの溶解率は、図9に示すように79.1%であった。
(実施例3−3)
(Li,Na複合型Pt複合酸化物の王水溶解)
実施例3−1で得られた600℃で合計5時間加熱後の試料69.5mgを、実施例1−3と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は30.3mgであった。また、XRDプロファイルから王水溶解後の残渣はLiPtOに同定された。前記式(5)から求めたPtの溶解率は、図9に示すように8.1%であった。
(実施例4−1)
(Li−Rh複合酸化物の固相合成)
Li源としてLiCO(71.8mg)、貴金属としてRh黒(50.0mg)をメノウ乳鉢で混合した。ここではLi源とRhとの反応率をより高めるため、Rhに対してLiが4倍となるよう過剰に加えた。次に混合後の試料を実施例1−1と同様の条件で加熱し、粉末試料を回収した。図10は得られた試料のXRDプロファイルであり、800℃で加熱した試料ではLiRhOと過剰量加えたLiCOに由来する回折ピークが確認できた。
(実施例4−2)
(Li−Rh複合酸化物の塩酸溶解)
実施例4−1で得られた試料53.9mgを、実施例1−2と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は26.9mgであった。また、XRDプロファイルから塩酸溶解後の残渣はLiRhOに同定された。前記式(5)から求めたRhの溶解率は、図12に示すように21.9%であった。
(実施例4−3)
(Li−Rh複合酸化物の王水溶解)
実施例4−1で得られた試料53.9mgを、実施例1−3と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は27.1mgであった。また、XRDプロファイルから王水溶解後の残渣はLiRhOに由来する回折ピークに加え、相対的な強度は低いもののRhに帰属される回折ピークを示した。残渣組成をLiRhOと仮定した場合のRhの溶解率は、図12に示すように21.2%であった。
(実施例5−1)
(Na−Rh複合酸化物の固相合成)
Na源としてNaCO(103.0mg)、貴金属としてRh黒(50.0mg)をメノウ乳鉢で混合した。ここではNa源とRhとの反応率をより高めるため、Rhに対してNaがモル比で4倍となるよう過剰に加えた。次に混合後の試料を実施例1−1と同様の条件で加熱し、粉末試料を回収した。図11は得られた試料のXRDプロファイルであり、800℃で加熱した試料ではNaRhOと過剰量加えたNaCOに由来する回折ピークが確認できた。これに加えて、2θ=12.84°、および2θ=18.56°では、相対的な強度は低いものの未同定の回折ピークが確認された。
(実施例5−2)
(Na−Rh複合酸化物の塩酸溶解)
実施例5−1で得られた試料76.7mgを、実施例1−2と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は30.0mgであった。また、XRDプロファイルから塩酸溶解後の残渣はNaRhOに同定された。これに加えて、2θ=38.4°付近、および2θ=50.4°付近では、相対的な強度は低いものの未同定の回折ピークが示された。残渣組成をNaRhOと仮定した場合のRhの溶解率は、図12に示すように21.7%であった。
(実施例5−3)
(Na−Rh複合酸化物の王水溶解)
実施例5−1で得られた試料76.7mgを、実施例1−3と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は31.8mgであった。また、XRDプロファイルから王水溶解後の残渣はNaRhOに同定された。これに加えて、2θ=16.2°付近では、相対的な強度は低いものの未同定の回折ピークが確認された。残渣組成をNaRhOと仮定した場合のRhの溶解率は、図12に示すように17.1%であった。
(実施例6−1)
(Li−Pd複合酸化物の固相合成)
Li源としてLiCO(69.4mg)、貴金属としてPd黒(50.0mg)をメノウ乳鉢で混合した。ここではLi源とPdとの反応率をより高めるため、Pdに対してLiがモル比で4倍となるよう過剰に加えた。次に混合後の試料を実施例1−1と同様の条件で加熱し、粉末試料を回収した。図13は得られた試料のXRDプロファイルであり、800℃で加熱した試料ではLiPdOと過剰量加えたLiCOに由来する回折ピークが確認できた。
(実施例6−2)
(Li−Pd複合酸化物の塩酸溶解)
実施例6−1で得られた試料48.7mgを、実施例1−2と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は0.1mgであった。残渣組成をLiPdOと仮定した場合のPdの溶解率は、図15に示すように99.6%であった。
(実施例6−3)
(Li−Pd複合酸化物の王水溶解)
実施例6−1で得られた試料48.5mgを、実施例1−3と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は0.1mgであった。残渣組成をLiPdOと仮定した場合のPdの溶解率は、図15に示すように99.7%であった。
(実施例7−1)
(Na,Pd含有試料の固相合成)
Na源としてNaCO(99.6mg)、貴金属としてPd黒(50.0mg)をメノウ乳鉢で混合した。ここではNa源とPdとの反応率をより高めるため、Pdに対してNaがモル比で4倍となるよう過剰に加えた。次に混合後の試料を実施例1−1と同様の条件で加熱し、粉末試料を回収した。図14は得られた試料のXRDプロファイルであり、800℃で加熱した試料ではPdOと未反応のNaCOに由来する回折ピークが示された一方、Na−Pd複合酸化物に由来する回折ピークは明瞭には確認できなかった。
(実施例7−2)
(Na,Pd含有試料の塩酸溶解)
実施例7−1で得られた試料65.1mgを、実施例1−2と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は16.5mgであった。また、XRDプロファイルから塩酸溶解後の残渣はPdOに同定された。前記式(5)から求めたPdの溶解率は、図15に示すように42.6%であった。
(実施例7−3)
(Na,Pd含有試料の王水溶解)
実施例7−1で得られた試料65.0mgを、実施例1−3と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は13.8mgであった。また、XRDプロファイルから王水溶解後の残渣はPdOに同定された。前記式(5)から求めたPdの溶解率は、図15に示すように52.0%であった。
(実施例8−1)
(Li−Ru複合酸化物の固相合成)
Li源としてLiCO(73.1mg)、貴金属としてRu黒(50.0mg)をメノウ乳鉢で混合した。ここではLi源とRuとの反応率をより高めるため、Ruに対してLiがモル比で4倍となるよう過剰に加えた。次に混合後の試料を実施例1−1と同様の条件で加熱し、粉末試料を回収した。図16は得られた試料のXRDプロファイルであり、800℃で加熱した試料ではLiRuOに由来する回折ピークが確認できた。これに加えて、2θ=30.68°、34.14°、59.6°付近、および2θ=69.42°では、相対的な強度は低いものの未同定の回折ピークが示された。
(実施例8−2)
(Li−Ru複合酸化物の塩酸溶解)
実施例8−1で得られた試料43.5mgを、実施例1−2と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は22.6mgであった。また、XRDプロファイルから塩酸溶解後の残渣はLiRuOに同定された。前記式(5)から求めたRuの溶解率は、図17に示すように44.0%であった。
(実施例8−3)
(Li−Ru複合酸化物の王水溶解)
実施例8−1で得られた試料43.5mgを、実施例1−3と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は25.2mgであった。また、XRDプロファイルから王水溶解後の残渣はLiRuOに同定された。前記式(5)から求めたRuの溶解率は、図17に示すように37.4%であった。
(実施例9−1)
(Li−Ir複合酸化物の固相合成)
Li源としてLiCO(38.4mg)、貴金属としてIr黒(50.0mg)をメノウ乳鉢で混合した。ここではLi源とIrとの反応率をより高めるため、Irに対してLiがモル比で4倍となるよう過剰に加えた。次に混合後の試料を実施例1−1と同様の条件で加熱し、粉末試料を回収した。図18は得られた試料のXRDプロファイルであり、800℃で加熱した試料ではLiIrOと過剰量加えたLiCOに由来する回折ピークが確認できた。
(実施例9−2)
(Li−Ir複合酸化物の塩酸溶解)
実施例9−1で得られた試料34.8mgを、実施例1−2と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は21.1mgであった。また、XRDプロファイルから塩酸溶解後の残渣はLiIrOに同定された。前記式(5)から求めたIrの溶解率は、図19に示すように33.6%であった。
(実施例9−3)
(Li−Ir複合酸化物の王水溶解)
実施例9−1で得られた試料35.5mgを、実施例1−3と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は21.5mgであった。また、XRDプロファイルから王水溶解後の残渣はLiIrOに同定された。前記式(5)から求めたIrの溶解率は、図19に示すように33.9%であった。
(実施例10)
(K−Rh複合酸化物の固相合成)
K源としてKCO(134.3mg)、貴金属としてRh黒(50.0mg)をメノウ乳鉢で混合した。ここではK源とRhとの反応率をより高めるため、Rhに対してKがモル比で4倍となるよう過剰に加えた。次に混合後の試料を実施例1−1と同様の条件で加熱し、粉末試料を回収した。
900℃加熱試料のXRDプロファイル(図20(a)参照)はJCPDS(Joint Committee for Powder Diffraction Standards)カードに登録されているレファレンスデータと一致せず、結晶相の同定を行うことはできなかった。しかし、原料に用いたRh黒、およびKCOの回折ピーク(図20(b)、(c)参照)と異なる位置に新たな回折ピークが出現したことから、KとRhとの複合酸化物、あるいは水酸化物などが生成したことが示唆された。
(実施例11)
(K−Ru複合酸化物の固相合成)
K源としてKCO(136.8mg)、貴金属としてRu黒(50.0mg)をメノウ乳鉢で混合した。ここではK源とRuとの反応率をより高めるため、Ruに対してKがモル比で4倍となるよう過剰に加えた。次に混合後の試料を実施例1−1と同様の条件で加熱し、粉末試料を回収した。
900℃加熱試料のXRDプロファイル(図21(a)参照)はJCPDSカードのレファレンスデータと一致せず、結晶相を同定できなかった。しかし、原料に用いたRu黒、およびKCOの回折ピーク(図21(b)、(c)参照)と異なる位置に新たな回折ピークが出現したことから、KとRuとの複合酸化物、あるいは水酸化物などが生成したことが示唆された。
(実施例12)
(K−Ir複合酸化物の固相合成)
K源としてKCO(71.9mg)、貴金属としてIr黒(50.0mg)をメノウ乳鉢で混合した。ここではK源とIrとの反応率をより高めるため、Irに対してKがモル比で4倍となるよう過剰に加えた。次に混合後の試料を実施例1−1と同様の条件で加熱し、粉末試料を回収した。
900℃加熱試料のXRDプロファイル(図22(a)参照)はJCPDSカードのレファレンスデータと一致せず、結晶相を同定できなかった。しかし、原料に用いたIr黒、およびKCOの回折ピーク(図22(b)、(c)参照)と異なる位置に新たな回折ピークが出現したことから、KとIrとの複合酸化物、あるいは水酸化物などが生成したことが示唆された。
(実施例13−1)
(Ca−Pt複合酸化物の固相合成)
Ca源としてCaCO(102.6mg)、貴金属としてPt黒(50.0mg)をメノウ乳鉢で混合した。ここではCa源とPtとの反応率をより高めるため、Ptに対してCaがモル比で4倍となるよう過剰に加えた。次に混合後の試料を実施例1−1と同様の条件で900℃で1時間加熱し、粉末試料を回収した。得られた粉末試料をメノウ乳鉢で混合し、再び900℃で9時間、合計10時間加熱した。図23は得られた試料のXRDプロファイルであり、900℃で合計10時間加熱した試料ではCaPtおよびCaPtOに由来する回折ピークが確認できた。また、CaOと未反応のPtに由来する回折ピークに加えて、未同定の回折ピークも確認された。
(実施例13−2)
(900℃で作製したCa−Pt複合酸化物の塩酸溶解)
実施例13−1で得られた900℃で合計10時間加熱後の試料56.7mgを、実施例1−2と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は12.5mgであった。また、XRDプロファイルから塩酸溶解後の残渣はPtとCaPtであった。残渣組成をPtと仮定した場合のPtの溶解率は、図25に示すように50.2%であった。
(実施例13−3)
(900℃で作製したCa−Pt複合酸化物の王水溶解)
実施例13−1で得られた900℃で合計10時間加熱後の試料56.6mgを、実施例1−3と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は3.3mgであった。また、XRDプロファイルから王水溶解後の残渣はCaPtに同定された。前記式(5)から求めたPtの溶解率は、図25に示すように89.6%であった。
(実施例14−1)
(Sr−Pt複合酸化物の固相合成)
Sr源としてSrCO(151.4mg)、貴金属としてPt黒(50.0mg)をメノウ乳鉢で混合した。ここではSr源とPtとの反応率をより高めるため、Ptに対してSrがモル比で4倍となるよう過剰に加えた。次に混合後の試料を実施例1−1と同様の条件で900℃で1時間加熱し、粉末試料を回収した。得られた粉末試料をメノウ乳鉢で混合し、再び900℃で9時間、合計10時間加熱した。図24は900℃で合計10時間加熱した試料のXRDプロファイルであり、SrPtOに由来する回折ピークが確認できた。また、未反応のSrCOとPtに由来する回折ピークに加えて、相対的な強度は低いものの未同定の回折ピークも確認された。
(実施例14−2)
(Sr−Pt複合酸化物の塩酸溶解)
実施例14−1で得られた900℃で合計10時間加熱後の試料57.6mgを、実施例1−2と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は7.3mgであった。また、XRDプロファイルから塩酸溶解後の残渣はPtに同定され、残存するSrPtOは存在しないことが確認された。このことから、反応生成したSrPtOは全て塩酸に溶解したことがわかった。前記式(5)から求めたPtの溶解率は、図25に示すように70.9%であった。
(実施例14−3)
(Sr−Pt複合酸化物の王水溶解)
実施例14−1で得られた900℃で合計10時間加熱後の試料57.3mgを、実施例1−3と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。王水溶解後の残渣の乾燥重量は0.1mgであった。残渣組成をSrPtOと仮定した場合のPtの溶解率は、図25に示すように99.9%であった。
(比較例1−1)
(Pt黒の塩酸溶解)
Pt黒(25.0mg)を、実施例1−2と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は17.6mgであった。また、XRDプロファイルから塩酸溶解後の残渣はPtに同定された。Ptの溶解率は、図9に示すように29.8%であった。
(比較例1−2)
(Pt黒の王水溶解)
Pt黒(25.1mg)を、実施例1−3と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は0.1mgであった。残渣組成をPtと仮定した場合のPtの溶解率は、図9に示すように99.8%であった。
(比較例2−1)
(Rh黒の塩酸溶解)
Rh黒(25.0mg)を、実施例1−2と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は20.3mgであった。また、XRDプロファイルから塩酸溶解後の残渣はRhに同定された。Rhの溶解率は、図12に示すように18.8%であった。
(比較例2−2)
(Rh黒の王水溶解)
Rh黒(25.0mg)を、実施例1−3と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は20.3mgであった。また、XRDプロファイルから王水溶解後の残渣はRhに同定された。Rhの溶解率は、図12に示すように18.7%であった。
(比較例3−1)
(Pd黒の塩酸溶解)
Pd黒(25.0mg)を、実施例1−2と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は15.8mgであった。また、XRDプロファイルから塩酸溶解後の残渣はPdに同定された。Pdの溶解率は、図15に示すように36.9%であった。
(比較例3−2)
(Pd黒の王水溶解)
Pd黒25.0mgを、実施例1−3と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は0.0mgであった。残渣組成をPdと仮定した場合のPdの溶解率は、図15に示すように100.0%であった。
(比較例4−1)
(Ru黒の塩酸溶解)
Ru黒(25.0mg)を、実施例1−2と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は20.7mgであった。また、XRDプロファイルから塩酸溶解後の残渣はRuに同定された。Ruの溶解率は、図17に示すように17.2%であった。
(比較例4−2)
(Ru黒の王水溶解)
Ru黒(25.0mg)を、実施例1−3と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は18.4mgであった。また、XRDプロファイルから王水溶解後の残渣はRuに同定された。Ruの溶解率は、図17に示すように26.5%であった。
(比較例5−1)
(Ir黒の塩酸溶解)
Ir黒(25.0mg)を、実施例1−2と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は20.6mgであった。また、XRDプロファイルから塩酸溶解後の残渣はIrに同定された。Irの溶解率は、図19に示すように17.7%であった。
(比較例5−2)
(Ir黒の王水溶解)
Ir黒(25.0mg)を、実施例1−3と同様の方法で溶解処理と固液分離を行った。残渣の乾燥重量は20.2mgであった。また、XRDプロファイルから王水溶解後の残渣はIrに同定された。Irの溶解率は、図19に示すように19.3%であった。
<複合酸化物の合成と溶解処理の結果>
(Li−Pt複合酸化物)
実施例1−1で得た加熱試料のXRDプロファイル(図5参照)から、LiとPtとの複合酸化物であるLiPtOは600℃以上で形成できた。また、実施例1−2で600℃加熱試料を塩酸溶解したところ、Ptの溶解率は約80%に達することがわかった(図9参照)。これに対して、比較例1−1で実施したPt黒の塩酸溶解では、Ptの溶解率は約30%に留まった。このことから、複合酸化物を形成させることで塩酸への溶解率を飛躍的に増大できることがわかった。これは、複合酸化物を用いる本発明の優位性を示す重要な結果である。
また、実施例1−2、実施例1−4、および実施例1−6で述べた塩酸溶解の結果から、Ptの溶解率は複合酸化物の形成温度が高くなるとともに減少した(図9参照)。この理由について検討するため、加熱試料のXRDプロファイル(図5参照)からシェラーの式によってLiPtOの結晶子径を算出した。この結果、複合酸化物の形成温度が600℃、700℃、800℃と高くなるとともに試料の結晶子径がそれぞれ14.5nm、16.2nm、27.1nmと増大した。一方、走査型電子顕微鏡で加熱試料を観察したところ、加熱温度が高くなるとともに粒子径が約30〜50nm(600℃加熱試料)、約50〜80nm(700℃加熱試料)、約100〜150nm(800℃加熱試料)と大きくなることがわかった。以上の結果から、複合酸化物の結晶子径、および粒子径が増大することで塩酸との接触面積が減少し、Ptの溶解率が低下したと考えられる。
これに加えて、実施例1−2で測定したPt含有試料のUV−visスペクトル(図6参照)から、LiPtOの塩酸溶解液において、Ptは塩化白金(IV)酸として存在していることがわかった。これは複合酸化物からPtが溶解したことを直接示す重要な結果である。
一方、実施例1−3、実施例1−5、および実施例1−7で述べた王水溶解の結果から、貴金属の溶解率は複合酸化物の形成温度に関わらずあまり大きくは変化せず、また、塩酸溶解と比較すると貴金属の溶解率は低い値に留まった(図9参照)。このことから、複合酸化物の溶解に王水が適さないことがわかった。これに対して、比較例1−2で実施したPt黒の王水溶解では、Ptの溶解率はほぼ100%に達した。
(Na−Pt複合酸化物)
実施例2−1で得た試料のXRDプロファイルから、NaCOとPt黒とを600℃、または700℃で加熱してもNaPtOはほとんど形成されなかった(図7(a)、(b)参照)。これに対して、800℃加熱試料ではNaPtOが形成できたが、未反応のPtも残存していた(図7(c)参照)。一方、実施例1−1においてLiPtOは600℃以上の加熱で形成できた(図5(b)参照)。このことから、金属源のイオン半径が小さいほど、複合酸化物を低温で形成できることがわかった。
実施例2−2で行った塩酸溶解の結果、800℃で得たNaPtOは600℃で得たLiPtOと同様の高い溶解率を示した(図9参照)。このことから、アルカリ金属の種類を変えた場合であっても、得られる複合酸化物は塩酸などの酸化力のない酸に対して容易に溶解できることがわかった。また、ここで得た800℃加熱試料はNaPtOだけでなく未反応のPtも含んでいた。そのため、未反応のPtをすべて複合酸化物とすることで、塩酸に対する溶解率をさらに向上できる。
(Li,Na複合型Pt複合酸化物)
NaPtOは、LiPtOと同様に塩酸に対して容易に溶解した(図9参照)。Na源は安価に利用できる一方、複合酸化物の形成に必要な温度はLi源を用いる場合よりも高い。そこで実施例3−1では、Na−Pt複合酸化物をより低い温度で形成する試みを行った。
実施例3−1で600℃で得た試料は、1時間の加熱後ではLiPtOが形成されたのに対して、合計5時間の加熱後ではLiPtOに加えてNaPtOに由来する回折ピークが確認された(図8参照)。また、合計5時間加熱した試料の塩酸に対する溶解率は、600℃で得たLiPtOとほぼ同等の値を維持できた。このことから、イオン半径の小さいLi源を添加することで複合酸化物の形成温度を低減した場合であっても、塩酸への溶解が容易な複合酸化物を形成できることがわかった。さらに、本実施例で用いたLiCOの使用量は、LiPtOを得た実施例1−1と比較して半分に低減できた。以上の結果は、資源リスク対策や環境負荷、経済性などの観点において本発明の優位性を示す重要な事例の一つである。
(Pt以外の貴金属−アルカリ金属複合酸化物)
Rhについては、LiRhO、NaRhOの複合酸化物が形成されたことを確認した(実施例4−1および実施例5−1参照)。また、これらの複合酸化物はともに溶解率が約20%前後と低いが塩酸および王水に溶解できた(図12参照)。Rh黒と比較して高い溶解率ではないが、複合酸化物形成が酸溶解に対する阻害因子にはならないことが確認できた。
Pdについては、Li源を用いた場合、800℃でLiPdOが形成された(実施例6−1参照)。LiPdOは、塩酸だけでなく王水に対してもほぼ100%溶解した(図15参照)。特に塩酸に対する溶解率は、比較例3−1で述べたPd黒の溶解率、約40%を大きく上回った。一方、Na源を用いた場合、800℃加熱でも複合酸化物が形成されず、Pdが酸化されPdOが生成し、Na源は未反応のまま残存していた(実施例7−1参照)。このNa,Pd含有試料を塩酸と王水にそれぞれ溶解したところ、Pdの溶解率は複合酸化物であるLiPdOよりも低いことがわかった(図15参照)。このことから、Pdについても複合酸化物を経由することで酸に容易に溶解できることがわかった。
Ruについては、LiRuOの複合酸化物が形成され、その溶解率は塩酸、王水ともに比較例4−1、および比較例4−2で述べたRu黒の溶解率を上回った(実施例8−1および図17参照)。特に塩酸溶解の場合、Ru黒の溶解率は17.2%であるのに対してLiRuOの溶解率は40%を超えており、2倍以上に向上できた。金属状態のRuは王水に対しても溶解しにくいことが知られているが、複合酸化物を形成させることで、特に酸化力のない塩酸に対して溶解率を大幅に向上できた。
Irについては、LiIrOの複合酸化物が形成され、溶解率は塩酸、王水ともにIr黒の溶解率を約10%上回る値だった(実施例9−1および図19参照)。IrはRuと同様、金属状態では王水を用いても溶解が進みにくい。これに対して、複合酸化物を用いることで塩酸のみならず王水に対しても溶解率を向上できることがわかった。
Kの場合、他のアルカリ金属とは異なる傾向を示した。まず、K源と貴金属と反応させるには、他の実施例よりも高い900℃の加熱を必要とした(実施例10、実施例11および実施例12参照)。これはKのイオン半径が大きいためである。しかしながら、反応生成物は、いずれもJCPDSカードのレファレンスデータとは一致せず、また、原料に用いた貴金属やKCOとも異なっていた(図20、図21および図22参照)。以上のことから、Kと貴金属との複合酸化物、あるいは水酸化物などが生成したことが示唆された。
(Pt−アルカリ土類金属複合酸化物)
アルカリ土類金属であるCaとPtの場合、900℃の加熱でCaとPtとの複合酸化物であるCaPt、およびCaPtOが形成された(実施例13−1および図23参照)。900℃で10時間加熱した試料は塩酸に対して約50%の溶解率を示し、比較例1−1で述べたPt黒の溶解率を約20%上回った(図25参照)。また、ここで得た900℃加熱試料は王水に対して80%を超える溶解率を示した。これは、試料に含まれるCa−Pt複合酸化物だけでなく、未反応のPtも溶解したためと考えられる。
実施例14−1で得た試料のXRDプロファイルから、SrとPtとの複合酸化物であるSrPtOが900℃の加熱で形成できた(図24参照)。900℃で10時間加熱した試料の塩酸に対する溶解率は約70%と、Pt黒と比べて2倍以上の高い値を示した(図25参照)。また、塩酸溶解後の残渣は未反応のPtのみであることから、Sr源とPt黒の反応生成率を高めることで、塩酸に対する溶解率をさらに向上できる。これに加えて、王水が反応生成した複合酸化物のみならず未反応のPtも溶解したため、900℃加熱試料の王水溶解後にはほとんど残渣が無く、王水に対して高い溶解率を示した。以上の結果から、アルカリ土類金属を用いて複合酸化物を形成させた場合は、特に酸化力のない塩酸に対して溶解率を向上できるだけでなく、王水に対しても容易に溶解することがわかった。
本発明は、使用済みの貴金属を含有する材料、例えば自動車排気ガス浄化用廃触媒、化学工業用廃触媒、廃棄電子部品から、これに含まれる貴金属を回収するリサイクル分野への利用が見込まれる。
1 貴金属含有材料
11a 複合酸化物
2 粉砕機
3 アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方
3a 溶融塩(融液)
4 混練機
41 含浸槽
42 懸濁液供給ライン
43 酸素含有ガス供給ライン
44 乾燥機
5 アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方の供給ライン
6 加熱処理装置
61 溶融塩(融液)槽
62 撹拌機
63 加熱機
64 酸素含有ガス吹込管
65 固液分離手段
66 溶融塩(融液)戻しライン
7 投入部
8 酸槽
9 溶解槽
10 分離回収手段
11 貴金属
12 残渣

Claims (11)

  1. 貴金属とその化合物のいずれか一方、または双方を含む材料から前記貴金属を回収する方法であって、前記貴金属含有材料中の貴金属および、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方を混合、加熱して貴金属および、アルカリ金属とアルカリ土類金属のいずれか一方、または双方からなる複合酸化物を形成する工程と、得られた前記複合酸化物を含む材料と酸とを接触させ、前記酸中に金属成分を溶解する工程を有することを特徴とする貴金属の回収方法。
  2. 前記複合酸化物を形成する工程が、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方からなる溶融塩(融液)に前記貴金属含有材料を浸漬する工程であることを特徴とする請求項1に記載の貴金属の回収方法。
  3. 前記複合酸化物を形成する工程が、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方を含む溶液、懸濁液、スラリーのいずれかに前記貴金属含有材料を加えて混合した後に加熱する工程であることを特徴とする請求項1に記載の貴金属の回収方法。
  4. 前記酸が、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ギ酸、および酢酸から選ばれた少なくとも1種の酸であることを特徴とする請求項1に記載の貴金属の回収方法。
  5. 前記複合酸化物を形成する工程において、Li,Na,K,Rb,Csから選ばれる1種、または2種以上のアルカリ金属を含む金属源を用いることを特徴とする請求項1に記載の貴金属の回収方法。
  6. 前記複合酸化物を形成する工程において、Be,Mg,Ca,Sr,Baから選ばれる1種、または2種以上のアルカリ土類金属を含む金属源を用いることを特徴とする請求項1に記載の貴金属の回収方法。
  7. 前記貴金属が、Pt,Pd,Rh,Ru,Ir,Osのいずれか、または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の貴金属の回収方法。
  8. 請求項1から7に記載の貴金属の回収方法に用いられる貴金属回収のための装置であって、少なくとも前記貴金属含有材料および、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方を混合、加熱して前記複合酸化物を形成させる加熱処理部と、前記複合酸化物と前記酸とを接触させて貴金属を溶解する溶解部と、溶解後の貴金属を分離回収するための回収手段とを備えたことを特徴とする貴金属回収のための装置。
  9. 前記貴金属含有材料を粉砕する粉砕機と、
    前記貴金属含有材料および、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方を混合する混練機と、
    前記混練物と酸素含有ガスとを接触させながら加熱する加熱処理装置と、
    加熱後に得られた複合酸化物を含む材料と前記酸とを接触させて貴金属を溶解する溶解槽と、
    前記溶解液から貴金属を分離回収するための回収手段とを備えたことを特徴とする、請求項8に記載の貴金属回収のための装置。
  10. 前記貴金属含有材料を粉砕する粉砕機と、
    粉砕後の前記貴金属含有材料および、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方を含む懸濁液を収容する含浸槽と、
    前記懸濁液を乾燥させる手段と、
    前記乾燥後に得られた粉砕後の前記貴金属含有材料および、アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方からなる混合物を酸素含有ガスとを接触させながら加熱する加熱処理装置と、
    加熱後に得られた複合酸化物を含む材料と前記酸とを接触させて貴金属を溶解する溶解槽と、
    前記溶解液から貴金属を分離回収するための回収手段とを備えたことを特徴とする、請求項8に記載の貴金属回収のための装置。
  11. 前記貴金属含有材料を粉砕する粉砕機と、
    アルカリ金属源とアルカリ土類金属源のいずれか一方、または双方からなる溶融塩(融液)を収容する溶融塩(融液)槽と、
    前記溶融塩(融液)槽を加熱する加熱機と、
    前記溶融塩(融液)中に酸素含有ガスを通気する吹込管と、
    前記溶融塩(融液)と前記酸素含有ガスとを撹拌する撹拌機と、
    前記溶融塩(融液)槽中で得られた複合酸化物を含む材料と溶融塩(融液)とを固液分離する分離手段と、
    前記固液分離手段によって分離された溶融塩(融液)を前記溶融塩(融液)槽に戻す戻しラインと、
    前記複合酸化物を含む材料と前記酸とを接触させて貴金属を溶解する溶解槽と、
    前記溶解液から貴金属を分離回収する貴金属回収手段からなることを特徴とする、請求項8に記載の貴金属回収のための装置。
JP2012123604A 2012-05-30 2012-05-30 複合酸化物を経由する貴金属の回収方法および装置 Active JP5999478B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012123604A JP5999478B2 (ja) 2012-05-30 2012-05-30 複合酸化物を経由する貴金属の回収方法および装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012123604A JP5999478B2 (ja) 2012-05-30 2012-05-30 複合酸化物を経由する貴金属の回収方法および装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013249494A true JP2013249494A (ja) 2013-12-12
JP5999478B2 JP5999478B2 (ja) 2016-09-28

Family

ID=49848486

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012123604A Active JP5999478B2 (ja) 2012-05-30 2012-05-30 複合酸化物を経由する貴金属の回収方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5999478B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016186110A (ja) * 2015-03-27 2016-10-27 Jx金属株式会社 パラジウムの回収方法
CN107502739A (zh) * 2017-08-03 2017-12-22 泸西县扩铂贵金属有限公司 一种提取锇、铱、钌直接加工成对应化合物的方法
CN108330287A (zh) * 2018-01-31 2018-07-27 北京三聚环保新材料股份有限公司 一种以碱金属钌酸盐形式回收催化剂废剂中钌的方法
JP2018162473A (ja) * 2017-03-24 2018-10-18 国立研究開発法人産業技術総合研究所 貴金属の回収方法
JP2019031699A (ja) * 2017-08-04 2019-02-28 国立研究開発法人産業技術総合研究所 貴金属等の回収方法
JP2020105632A (ja) * 2018-12-27 2020-07-09 国立大学法人福井大学 前処理方法、白金族金属の抽出方法、および白金族金属の抽出システム
WO2023119786A1 (ja) * 2021-12-21 2023-06-29 国立大学法人琉球大学 層状白金酸塩、層状白金酸、白金酸ナノシート、白金ナノシート及びそれらの製造方法
JP7410361B2 (ja) 2020-02-13 2024-01-10 国立大学法人福井大学 分離方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5168493A (en) * 1974-12-10 1976-06-14 Japan Carlit Co Ltd Ruteniumu mataha sonokagobutsuofukumu nanyoseibutsushitsuno kayokaho
US4132569A (en) * 1977-10-25 1979-01-02 Diamond Shamrock Corporation Ruthenium recovery process
JPS58199832A (ja) * 1982-05-18 1983-11-21 Kiyataraa Kogyo Kk ロジウムの回収方法
KR20110029494A (ko) * 2009-09-15 2011-03-23 강원대학교산학협력단 백금족원소의 회수방법
JP2015513614A (ja) * 2012-03-05 2015-05-14 ▲陽▼光▲凱▼迪新能源集▲団▼有限公司 フィッシャー・トロプシュ合成のCo−Ru/Al2O3廃触媒からの金属コバルト、ルテニウムおよびアルミニウムの包括的回収方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5168493A (en) * 1974-12-10 1976-06-14 Japan Carlit Co Ltd Ruteniumu mataha sonokagobutsuofukumu nanyoseibutsushitsuno kayokaho
US4132569A (en) * 1977-10-25 1979-01-02 Diamond Shamrock Corporation Ruthenium recovery process
JPS58199832A (ja) * 1982-05-18 1983-11-21 Kiyataraa Kogyo Kk ロジウムの回収方法
KR20110029494A (ko) * 2009-09-15 2011-03-23 강원대학교산학협력단 백금족원소의 회수방법
JP2015513614A (ja) * 2012-03-05 2015-05-14 ▲陽▼光▲凱▼迪新能源集▲団▼有限公司 フィッシャー・トロプシュ合成のCo−Ru/Al2O3廃触媒からの金属コバルト、ルテニウムおよびアルミニウムの包括的回収方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016186110A (ja) * 2015-03-27 2016-10-27 Jx金属株式会社 パラジウムの回収方法
JP2018162473A (ja) * 2017-03-24 2018-10-18 国立研究開発法人産業技術総合研究所 貴金属の回収方法
CN107502739A (zh) * 2017-08-03 2017-12-22 泸西县扩铂贵金属有限公司 一种提取锇、铱、钌直接加工成对应化合物的方法
JP2019031699A (ja) * 2017-08-04 2019-02-28 国立研究開発法人産業技術総合研究所 貴金属等の回収方法
CN108330287A (zh) * 2018-01-31 2018-07-27 北京三聚环保新材料股份有限公司 一种以碱金属钌酸盐形式回收催化剂废剂中钌的方法
CN108330287B (zh) * 2018-01-31 2019-11-08 北京三聚环保新材料股份有限公司 一种以碱金属钌酸盐形式回收催化剂废剂中钌的方法
JP2020105632A (ja) * 2018-12-27 2020-07-09 国立大学法人福井大学 前処理方法、白金族金属の抽出方法、および白金族金属の抽出システム
JP7386519B2 (ja) 2018-12-27 2023-11-27 国立大学法人福井大学 前処理方法、白金族金属の抽出方法、および白金族金属の抽出システム
JP7410361B2 (ja) 2020-02-13 2024-01-10 国立大学法人福井大学 分離方法
WO2023119786A1 (ja) * 2021-12-21 2023-06-29 国立大学法人琉球大学 層状白金酸塩、層状白金酸、白金酸ナノシート、白金ナノシート及びそれらの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5999478B2 (ja) 2016-09-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5999478B2 (ja) 複合酸化物を経由する貴金属の回収方法および装置
KR101226946B1 (ko) 백금계 촉매로부터 백금의 회수방법
CN101476044B (zh) 一种从二元王水不溶渣中回收铂铑的方法
Spooren et al. Combined microwave assisted roasting and leaching to recover platinum group metals from spent automotive catalysts
US8979974B2 (en) Composition for collecting metal component
CN106536766A (zh) 用于从废催化剂中回收铂族金属的方法
Kasuya et al. Preparation of Li2PtO3 and its dissolution properties in hydrochloric acid
Atia et al. Fast microwave leaching of platinum, rhodium and cerium from spent non-milled autocatalyst monolith
US8623113B2 (en) Metal component collection agent and method for collecting metal component
Ahn et al. Nitric acid leaching of base metals from waste PDP electrode scrap and recovery of ruthenium content from leached residues
US20110017022A1 (en) Method of recovering metal
Hu et al. Efficient vanadium extraction from shale with high silicon content using a short flow process by roasting-water leaching: laboratory and industrial scale research
Tang et al. A simple green method for in-situ selective extraction of Li from spent LiFePO4 batteries by synergistic effect of deep-eutectic solvent and ozone
JP6940089B2 (ja) 貴金属の回収方法
Wang et al. Effective recycling of critical metals from LiCoO2 batteries by hydrated deep eutectic solvents: Performance, kinetic and mechanism
JP5376558B2 (ja) 貴金属の回収方法
TWI518041B (zh) 自氫氟酸廢液回收氟鋁酸鈉之方法
JP7386519B2 (ja) 前処理方法、白金族金属の抽出方法、および白金族金属の抽出システム
KR20100131238A (ko) 루테늄 함유 폐스크랩으로부터 루테늄의 회수 방법
ES2806207T3 (es) Procedimiento de recuperación y reciclaje de materiales que constituyen membranas para la separación de hidrógeno
CN110036122B (zh) 用于从废催化剂回收铂族金属的方法
CN106186090A (zh) 从废炭载钌催化剂中回收三氯化钌的方法
JP7410361B2 (ja) 分離方法
KR20090132672A (ko) 자동차 폐촉매로부터 백금 금속의 재활용 기술
Cheng et al. H2o2-Assisted Recovery of Co from Licoo2 Cathodes of Spent Lithium-Ion Batteries in the Tartaric Acid Leaching Solution: Recovery Process and Mechanism

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141211

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160119

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160301

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160405

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160629

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20160706

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160809

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160818

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5999478

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250