JP2013221143A - 熱硬化性樹脂組成物及びこれを用いた導電性ペースト - Google Patents
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Abstract
【課題】はんだ粒子を良好に溶融させることが可能であり、これを用いて導電性ペーストとすることで、高い部品接合強度が得られる熱硬化性樹脂組成物の提供。
【解決手段】炭素数が8以上でありかつ室温(25℃)で液体である液状モノカルボン酸を含む有機酸、熱硬化性樹脂、及び硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物。該熱硬化性樹脂組成物中に金属粒子を含む導電性ペースト。
【選択図】なし
【解決手段】炭素数が8以上でありかつ室温(25℃)で液体である液状モノカルボン酸を含む有機酸、熱硬化性樹脂、及び硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物。該熱硬化性樹脂組成物中に金属粒子を含む導電性ペースト。
【選択図】なし
Description
本発明は、熱硬化性樹脂組成物、及びこれを用いた導電性ペーストに関する。より詳しくは、本発明は、炭素数が8以上でありかつ室温(25℃)で液体である液状モノカルボン酸を含む有機酸、熱硬化性樹脂、及び硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物、及びこれを用いた導電性ペーストに関する。
一般的に、電子部品等の実装に用いられる鉛フリーはんだペーストは、はんだ粒子とフラックスから成り、熱処理過程においてフラックス成分がはんだ粒子表面の酸化皮膜を清浄化し、再酸化を抑制することによって、はんだ粒子の濡れ性を向上させ、良好な部品実装を可能としている。
上記フラックス中には、はんだ粒子表面の酸化皮膜を清浄化するために、熱可塑性樹脂のロジンや、その他有機酸、アミン化合物、ハロゲン化合物等が添加されている。前記有機酸は、主に融点が室温以上のジカルボン酸を使用するのが一般的であり、具体的には、アジピン酸やグルタル酸、マロン酸等が例示できる。これらは2価のカルボン酸であるため、はんだ粒子表面の酸化膜を清浄化する性能が高く、モノカルボン酸を用いた場合と比較して、良好な濡れ性が得られる。
ところで、近年の電子機器の高性能化に伴い、昨今の高密度実装技術の発展は目覚しい。そのため、搭載される電子部品のサイズは著しく小型化しているため、各々の部品接合強度は低くなってきており、より接続強度の高い接合材料が求められている。
例えば、抵抗、コンデンサー等の受動部品に関しては、従来の1005(1.0mm×0.50mm)サイズや、0603(0.60mm×0.30mm)サイズの部品に代わり、近年0402(0.40mm×0.20mm)サイズの部品が多数搭載されるようになり、今後、更に0201(0.20mm×0.10mm)サイズへの小型化が進むことが予想される。従って、各々の小型部品の接合強度は弱くなるため、特に表面実装における小型部品の接合強度の補強は重要な課題である。
例えば、抵抗、コンデンサー等の受動部品に関しては、従来の1005(1.0mm×0.50mm)サイズや、0603(0.60mm×0.30mm)サイズの部品に代わり、近年0402(0.40mm×0.20mm)サイズの部品が多数搭載されるようになり、今後、更に0201(0.20mm×0.10mm)サイズへの小型化が進むことが予想される。従って、各々の小型部品の接合強度は弱くなるため、特に表面実装における小型部品の接合強度の補強は重要な課題である。
かかる課題に対して、以下の特許文献1には、部品接合強度の補強をするために、熱硬化性樹脂組成物中に有機酸としてジカルボン酸を添加した熱硬化性樹脂組成物と、はんだ粒子とをペースト化した、導電性ペーストを用いて部品実装する手法が提案されている。該ペーストを用いて部品実装することにより、熱硬化性樹脂による接合部と、はんだによる接合部を一度の熱処理で同時に形成し、部品接合強度を向上させる技術である。
また、以下の特許文献2には、熱硬化性樹脂組成物とCu粒子等の高融点金属粒子からなる導電性ペースト中に、はんだ粒子を所定量添加することによって、従来の導電性ペーストより導電性を高める技術が報告されている。
また、以下の特許文献2には、熱硬化性樹脂組成物とCu粒子等の高融点金属粒子からなる導電性ペースト中に、はんだ粒子を所定量添加することによって、従来の導電性ペーストより導電性を高める技術が報告されている。
しかしながら、上述したような導電性ペーストは、はんだ等の金属結合による接合強度と比較して弱いため、導電性ペーストの接着強度を高めることは極めて重要な課題である。
また、導電性ペースト中にはんだ粒子を添加する場合、はんだ粒子表面の酸化膜を効率的に除去するために、熱硬化性樹脂組成物中に有機酸を加えることが好ましい。但し、その場合には、熱処理過程において、添加した有機酸と熱硬化性樹脂との間でも化学反応を起こすため、従来の鉛フリーはんだペーストのフラックスに用いられている、一般的なジカルボン酸を用いてはんだの濡れ性を上げることが、必ずしも高い部品接合強度を得る上で最適な手法であるとは言い難い。例えば、ジカルボン酸は2価のカルボン酸が熱硬化性樹脂との間で直接的に架橋構造を形成し得るのに対して、モノカルボン酸は1価のカルボン酸であるためこのような架橋構造の直接の形成には寄与しない。このように添加する有機酸の価数によって、熱処理後に得られる高分子の3次元構造が大きく異なることが予想されるため、熱硬化性樹脂組成物硬化部の金属に対する接着強度は添加する有機酸種によって異なると言える。
また、導電性ペースト中にはんだ粒子を添加する場合、はんだ粒子表面の酸化膜を効率的に除去するために、熱硬化性樹脂組成物中に有機酸を加えることが好ましい。但し、その場合には、熱処理過程において、添加した有機酸と熱硬化性樹脂との間でも化学反応を起こすため、従来の鉛フリーはんだペーストのフラックスに用いられている、一般的なジカルボン酸を用いてはんだの濡れ性を上げることが、必ずしも高い部品接合強度を得る上で最適な手法であるとは言い難い。例えば、ジカルボン酸は2価のカルボン酸が熱硬化性樹脂との間で直接的に架橋構造を形成し得るのに対して、モノカルボン酸は1価のカルボン酸であるためこのような架橋構造の直接の形成には寄与しない。このように添加する有機酸の価数によって、熱処理後に得られる高分子の3次元構造が大きく異なることが予想されるため、熱硬化性樹脂組成物硬化部の金属に対する接着強度は添加する有機酸種によって異なると言える。
さらに、上述の熱硬化性樹脂組成物中への有機酸の分散性を考えた場合、従来の鉛フリーはんだペーストのフラックスに使用されているアジピン酸やグルタル酸等の有機酸は、はんだ粒子表面の酸化膜清浄化作用は優れている一方で、融点は室温(25℃)より高く、熱硬化性樹脂への親和性または分散性が低いため、微粉末にして使用したり、予め熱硬化性樹脂中に加熱溶解させて使用したりする必要がある。
したがって、熱硬化性樹脂組成物中に含まれる有機酸に関して、以下の特性を有することが好ましい:
(1)はんだ粒子の酸化膜を清浄化して良好にはんだを溶融させる;
(2)熱硬化性樹脂への親和性又は分散性に優れている;
(3)熱硬化性樹脂組成物硬化部が、強い接着強度を有する。
したがって、熱硬化性樹脂組成物中に含まれる有機酸に関して、以下の特性を有することが好ましい:
(1)はんだ粒子の酸化膜を清浄化して良好にはんだを溶融させる;
(2)熱硬化性樹脂への親和性又は分散性に優れている;
(3)熱硬化性樹脂組成物硬化部が、強い接着強度を有する。
上記(1)〜(3)の特性に関して総合的にバランスのとれた有機酸を選定することで、極めて強い部品接合強度が得られるが、そのような知見は未だ十分に知られていない。
そこで、本発明の解決しようとする課題は、硬化部が金属に対する高い接着強度を付与し、かつはんだを良好に溶融させることができる熱硬化性樹脂組成物、及びこれを用いた導電性ペーストを提供することである。
そこで、本発明の解決しようとする課題は、硬化部が金属に対する高い接着強度を付与し、かつはんだを良好に溶融させることができる熱硬化性樹脂組成物、及びこれを用いた導電性ペーストを提供することである。
本発明者らは、かかる課題を解決すべく、鋭意検討し実験を重ねた結果、特定の有機酸を用いることにより、予想外にかかる課題が解決しうることをも発見し、かかる発見に基づき、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]炭素数が8以上でありかつ室温(25℃)で液体である液状モノカルボン酸を含む有機酸、熱硬化性樹脂、及び硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]炭素数が8以上でありかつ室温(25℃)で液体である液状モノカルボン酸を含む有機酸、熱硬化性樹脂、及び硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物。
[2]前記熱硬化性樹脂組成物が、前記硬化剤を0.50〜60wt%含み、かつ、前記有機酸を0.50〜12wt%含み、さらに該有機酸全体に占める前記液状モノカルボン酸の割合が5wt%以上である、前記[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[3]前記液状モノカルボン酸が、リシノレイン酸を含む液状有機酸、オレイン酸、リノール酸、オクタン酸、及びデカン酸の内の少なくともいずれか1種である、前記[1]又は[2]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[4]前記有機酸は、ジカルボン酸をさらに含む、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[5]前記硬化剤として、イミダゾール系硬化剤を含有する、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[6]前記硬化剤として、アミン化合物を含有する、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[7]前記熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂を含む、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[8]前記[1]〜[7]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物中に金属粒子を含む導電性ペースト。
[9]前記金属粒子は、融点240℃以下のはんだ粒子を含み、該はんだ粒子は、Sn粒子、又はAg、Au、Bi、Cu、Ge、In、Sb、Ni、Zn、及びPbの内の少なくとも1種を含むSn合金粒子である、前記[8]に記載の導電性ペースト。
[10]前記はんだ粒子は、Bi、In、及びZnの内の少なくとも1種を含む融点180℃以下のSn合金粒子である、前記[9]に記載の導電性ペースト。
[11]前記金属粒子は、融点300℃以上の高融点金属粒子を少なくとも1種含む、前記[9]又は[10]に記載の導電性ペースト。
[12]前記高融点金属粒子は、Cu粒子、Ag粒子、又はCu若しくはAg合金粒子である、前記[11]に記載の導電性ペースト。
[13]基板電極と電子部品電極、又は電子部品電極と電子部品電極、又は基板電極と基板電極の間のいずれかが、前記[8]〜[12]のいずれかに記載の導電性ペーストを熱処理することによって接合されている、電子部品搭載基板、又は電子部品、又は積層基板。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、炭素数が8以上でありかつ室温(25℃)で液体である液状モノカルボン酸を含む有機酸を用いることにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化部は金属に対する高い接着強度を有するに至り、また、該有機酸は、はんだ粒子を良好に溶融させることができることから、これを該導電性ペーストとして用いれば、高い部品接合強度が期待できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<熱硬化性樹脂組成物>
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂、硬化剤、及び有機酸を含む熱硬化性樹脂組成物であり、該有機酸として、炭素数が8以上かつ室温(25℃)で液体である液状モノカルボン酸を含むことを特徴とする。本発明に係る熱硬化性樹脂組成物には、ペースト特性を改善するために、チクソ剤、消泡剤、酸化防止剤、溶剤、ハロゲン化合物の活性剤、無機フィラー等、公知のものを更に添加することができる。
<熱硬化性樹脂組成物>
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂、硬化剤、及び有機酸を含む熱硬化性樹脂組成物であり、該有機酸として、炭素数が8以上かつ室温(25℃)で液体である液状モノカルボン酸を含むことを特徴とする。本発明に係る熱硬化性樹脂組成物には、ペースト特性を改善するために、チクソ剤、消泡剤、酸化防止剤、溶剤、ハロゲン化合物の活性剤、無機フィラー等、公知のものを更に添加することができる。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアン酸エステル樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ビニルエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等を使用することができるが、低温での樹脂硬化特性と密着性の観点から、本発明で使用する熱硬化性樹脂は、好ましくはエポキシ樹脂である。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ヒンダート型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂及びこれらをハロゲン化したエポキシ樹脂;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のジグリシジルエーテル等を用いることができる。さらに、分子内にエポキシ基を3個以上有する多官能エポキシ樹脂から選ぶ場合、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスAノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン/フェノールエポキシ樹脂、脂環式アミンエポキシ樹脂、脂肪族アミンエポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ペースト化の観点から、比較的低粘度のビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアン酸エステル樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ビニルエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等を使用することができるが、低温での樹脂硬化特性と密着性の観点から、本発明で使用する熱硬化性樹脂は、好ましくはエポキシ樹脂である。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ヒンダート型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂及びこれらをハロゲン化したエポキシ樹脂;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のジグリシジルエーテル等を用いることができる。さらに、分子内にエポキシ基を3個以上有する多官能エポキシ樹脂から選ぶ場合、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスAノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン/フェノールエポキシ樹脂、脂環式アミンエポキシ樹脂、脂肪族アミンエポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ペースト化の観点から、比較的低粘度のビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
(硬化剤)
硬化剤としては、一般的なアミン化合物、有機酸ジヒドラジド、りん系化合物、フェノール樹脂、酸無水物、イミダゾール系硬化剤等公知のものを使用できるが、硬化速度や接着力の観点から、イミダゾール系硬化剤又はアミン化合物が好ましい。硬化剤の種類や添加量は、導電性ペーストに添加するはんだ粒子の融点によって調整することができる。すなわち、はんだ粒子の融点付近の温度帯で、熱硬化性樹脂組成物に一定の流動性が確保されていれば、硬化剤及びはんだ粒子組成は、特定の種類に限定されるものではない。
硬化剤としては、一般的なアミン化合物、有機酸ジヒドラジド、りん系化合物、フェノール樹脂、酸無水物、イミダゾール系硬化剤等公知のものを使用できるが、硬化速度や接着力の観点から、イミダゾール系硬化剤又はアミン化合物が好ましい。硬化剤の種類や添加量は、導電性ペーストに添加するはんだ粒子の融点によって調整することができる。すなわち、はんだ粒子の融点付近の温度帯で、熱硬化性樹脂組成物に一定の流動性が確保されていれば、硬化剤及びはんだ粒子組成は、特定の種類に限定されるものではない。
本発明においては、硬化剤の種類は限定されるものではないが、イミダゾール系硬化剤の例として、四国化成社製の製品名(2MZ、C11Z、C17Z、2E4MZ、2PZ、2P4MZ、1B2MZ、1B2PZ、1.2DMZ、2MZ−A、C11Z−A、2E4MZ−A、2MA−OK、2PZ−OK、2MZ−OK、2PHZ、2P4MHZ、TBZ、2E4MZ・BIS、SFZ)等が例示できる。
また、短時間のリフローで熱硬化性樹脂を硬化させる観点から、硬化剤はアミン化合物を含むことが好ましい。上記イミダゾール系硬化剤は、広義の意味ではアミン化合物に含まれるが、本明細書においてイミダゾール系硬化剤は、アミン化合物には含めない。本発明におけるアミン化合物としては、1級アミン、2級アミン、3級アミン等公知のものが使用できる。具体的には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコール性アミン類や、ブチルアミン、ジエチレントリアミン、キシリレンジジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン、メタフェニレンジアミン、アミノ基を有するトリアジン系硬化剤、ジフェニルグアニジン等の非アルコール性アミン類、およびこれらの塩化物塩や臭化物塩等のアミン塩類が挙げられる。中でも、はんだ粒子表面の酸化膜清浄化作用の高い、トリエタノールアミン等のアルコール性アミン類が好ましい。
また、短時間のリフローで熱硬化性樹脂を硬化させる観点から、硬化剤はアミン化合物を含むことが好ましい。上記イミダゾール系硬化剤は、広義の意味ではアミン化合物に含まれるが、本明細書においてイミダゾール系硬化剤は、アミン化合物には含めない。本発明におけるアミン化合物としては、1級アミン、2級アミン、3級アミン等公知のものが使用できる。具体的には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコール性アミン類や、ブチルアミン、ジエチレントリアミン、キシリレンジジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン、メタフェニレンジアミン、アミノ基を有するトリアジン系硬化剤、ジフェニルグアニジン等の非アルコール性アミン類、およびこれらの塩化物塩や臭化物塩等のアミン塩類が挙げられる。中でも、はんだ粒子表面の酸化膜清浄化作用の高い、トリエタノールアミン等のアルコール性アミン類が好ましい。
また、熱硬化性樹脂組成物中に含まれる硬化剤の割合は、硬化特性及び保存安定性の観点から、0.10〜60wt%が好ましく、より好ましくは0.50〜30.0wt%であり、さらに好ましくは1.0〜14.0wt%、最も好ましくは5.0〜12wt%である。
例として、硬化剤に酸無水物を使用する場合には、熱硬化性樹脂組成物中に含まれる硬化剤の割合が20〜60wt%であることが好ましく、硬化剤にイミダゾール硬化剤を使用する場合には、熱硬化性樹脂組成物中に含まれる硬化剤の割合が1.0〜12wt%であることが好ましい。また、熱硬化性樹脂組成物中に添加するアミン化合物の割合は、熱硬化性樹脂組成物の保存安定性の観点から、20wt%以下が好ましく、短時間硬化性と保存安定性の観点から、より好ましくは0.10〜14wt%、さらに好ましくは0.20〜7.0wt%、最も好ましくは0.50〜5.0wt%である。
例として、硬化剤に酸無水物を使用する場合には、熱硬化性樹脂組成物中に含まれる硬化剤の割合が20〜60wt%であることが好ましく、硬化剤にイミダゾール硬化剤を使用する場合には、熱硬化性樹脂組成物中に含まれる硬化剤の割合が1.0〜12wt%であることが好ましい。また、熱硬化性樹脂組成物中に添加するアミン化合物の割合は、熱硬化性樹脂組成物の保存安定性の観点から、20wt%以下が好ましく、短時間硬化性と保存安定性の観点から、より好ましくは0.10〜14wt%、さらに好ましくは0.20〜7.0wt%、最も好ましくは0.50〜5.0wt%である。
(有機酸)
有機酸は、はんだ表面の酸化皮膜の清浄化や再酸化防止以外に、熱硬化性樹脂との硬化反応にも寄与するため、熱処理後の熱硬化性樹脂硬化部の接着強度に大きな影響を与える。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、有機酸として、一般的な鉛フリーはんだペーストのフラックスに使用されている公知の有機酸を使用することができるが、炭素数が8以上かつ室温(25℃)で液体である液状モノカルボン酸を含むことを特徴とする。
本発明者らは、有機酸として、炭素数が8以上かつ室温(25℃)で液体である液状モノカルボン酸を含むことにより、導電性ペーストに高い接着強度を付与することができることを、予想外に発見した。詳細な作用機構は不明であるが、その理由として、アジピン酸やグルタル酸等のジカルボン酸は、熱硬化性樹脂との間で直接架橋構造を形成するのに対して、モノカルボン酸は、熱硬化性樹脂との間で直接架橋構造を形成しないため、接着強度の高い熱硬化性樹脂組成物硬化部を形成するためであると考えている。
有機酸は、はんだ表面の酸化皮膜の清浄化や再酸化防止以外に、熱硬化性樹脂との硬化反応にも寄与するため、熱処理後の熱硬化性樹脂硬化部の接着強度に大きな影響を与える。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、有機酸として、一般的な鉛フリーはんだペーストのフラックスに使用されている公知の有機酸を使用することができるが、炭素数が8以上かつ室温(25℃)で液体である液状モノカルボン酸を含むことを特徴とする。
本発明者らは、有機酸として、炭素数が8以上かつ室温(25℃)で液体である液状モノカルボン酸を含むことにより、導電性ペーストに高い接着強度を付与することができることを、予想外に発見した。詳細な作用機構は不明であるが、その理由として、アジピン酸やグルタル酸等のジカルボン酸は、熱硬化性樹脂との間で直接架橋構造を形成するのに対して、モノカルボン酸は、熱硬化性樹脂との間で直接架橋構造を形成しないため、接着強度の高い熱硬化性樹脂組成物硬化部を形成するためであると考えている。
しかしながら、モノカルボン酸はジカルボン酸に比べて、はんだ粒子表面の酸化膜清浄化作用が弱いため、有機酸としてモノカルボン酸を熱硬化性樹脂組成物に添加する場合には、はんだの濡れ性を向上させる必要がある。その際、はんだ粒子表面にできるだけ均一に分散・溶解していることが好ましく、液状モノカルボン酸であることが好ましい。中でも、炭素数の少ない液状モノカルボン酸は、カルボキシル基由来の極性の高い分子構造になるため、熱硬化性樹脂との親和性が低く、炭素数8以上の液状モノカルボン酸が好ましい。
炭素数8以上の液状モノカルボン酸としては、オクタン酸(8)、ノナン酸(9)、デカン酸(10)、ミリストレイン酸(14)、パルミトレイン酸(16)、オレイン酸(18)、リノール酸(18)、α−リノレン酸(18)、アラキドン酸(20)、ドコサヘキサエン酸(22)等が例示でき、熱硬化性樹脂との親和性が高く、熱硬化性樹脂組成物の硬化部に金属に対する高い接着強度を付与する観点から、アルキルカルボン酸であるオクタン酸や、デカン酸が特に好ましい。ここで、()内の数字は炭素数を表す。また、CO−FA−S(伊藤製油社製)のように複数の有機酸(主成分は炭素数18のリシノレイン酸)が混合することで液体として存在する液状有機酸に関しても、本発明における液状モノカルボン酸に含まれ、その際の炭素数に関しては、主成分の有機酸(リシノレイン酸)の炭素数を液状モノカルボン酸の炭素数として扱う。上記液状モノカルボン酸の中でも、はんだ粒子表面の酸化膜を良好に清浄化する観点から、炭素数8〜25の液状モノカルボン酸が好ましく、より好ましくは炭素数8〜20のものである。
炭素数8以上の液状モノカルボン酸としては、オクタン酸(8)、ノナン酸(9)、デカン酸(10)、ミリストレイン酸(14)、パルミトレイン酸(16)、オレイン酸(18)、リノール酸(18)、α−リノレン酸(18)、アラキドン酸(20)、ドコサヘキサエン酸(22)等が例示でき、熱硬化性樹脂との親和性が高く、熱硬化性樹脂組成物の硬化部に金属に対する高い接着強度を付与する観点から、アルキルカルボン酸であるオクタン酸や、デカン酸が特に好ましい。ここで、()内の数字は炭素数を表す。また、CO−FA−S(伊藤製油社製)のように複数の有機酸(主成分は炭素数18のリシノレイン酸)が混合することで液体として存在する液状有機酸に関しても、本発明における液状モノカルボン酸に含まれ、その際の炭素数に関しては、主成分の有機酸(リシノレイン酸)の炭素数を液状モノカルボン酸の炭素数として扱う。上記液状モノカルボン酸の中でも、はんだ粒子表面の酸化膜を良好に清浄化する観点から、炭素数8〜25の液状モノカルボン酸が好ましく、より好ましくは炭素数8〜20のものである。
また、アジピン酸やグルタル酸等のジカルボン酸は、融点が室温(25℃)より高く極性が高いため、熱硬化性樹脂への親和性又は分散性が低いのに対して、炭素数8以上の上記液状モノカルボン酸は熱硬化性樹脂への親和性又は分散性が極めて高いため、上記液状モノカルボン酸を少量添加することによって本発明の効果を発揮することができる。詳細な機構は不明であるが、例えば、ジカルボン酸に少量の液状モノカルボン酸を添加することによって導電性ペーストに高い接着力を付与することができる。その際に、導電性ペーストに高い接着強度を付与する観点から、有機酸全体に占める炭素数8以上の上記液状モノカルボン酸の割合が5.0wt%以上であることが好ましく、更に好ましくは10wt%以上、最も好ましくは15wt%以上である。ジカルボン酸と炭素数8以上の上記液状モノカルボン酸の両方を添加することによって、はんだ粒子の溶融特性と、導電性ペーストの接着強度の両方に優れた熱硬化性樹脂組成物が得られる。
熱硬化性樹脂組成物中に含有する有機酸の割合は、硬化特性及び保存安定性の観点から、0.50〜12wt%が好ましく、より好ましくは4.0〜9.0wt%である。
熱硬化性樹脂組成物中に含有する有機酸の割合は、硬化特性及び保存安定性の観点から、0.50〜12wt%が好ましく、より好ましくは4.0〜9.0wt%である。
(チクソ剤)
チクソ剤は、従来からクリームはんだのフラックスに使用されているチクソ剤を使用することができ、例として、ヒマシ油、水添ヒマシ油、ソルビトール系のチクソ剤等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物中に含まれるチクソ剤の割合は、0.10〜10wt%が好ましく、さらに好ましくは、1.0〜5.0wt%である。
チクソ剤は、従来からクリームはんだのフラックスに使用されているチクソ剤を使用することができ、例として、ヒマシ油、水添ヒマシ油、ソルビトール系のチクソ剤等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物中に含まれるチクソ剤の割合は、0.10〜10wt%が好ましく、さらに好ましくは、1.0〜5.0wt%である。
(無機フィラー)
本発明の効果を損なわない範囲で、熱硬化性樹脂組成物中に無機フィラーを添加してもよい。無機フィラーとしては、シリカ粒子等のセラミック粒子が挙げられる。無機フィラーを添加することによって、電子部品と接合部の間の線膨張係数の差異を低減できる。
本発明の効果を損なわない範囲で、熱硬化性樹脂組成物中に無機フィラーを添加してもよい。無機フィラーとしては、シリカ粒子等のセラミック粒子が挙げられる。無機フィラーを添加することによって、電子部品と接合部の間の線膨張係数の差異を低減できる。
(熱硬化性樹脂組成物を用いた部品実装)
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、はんだを良好に溶融させることが可能であり、かつ、熱硬化性樹脂組成物の硬化部は金属に対する高い接着強度を有することから、電子部品等の接続に直接使用することが可能である。例えば、基板電極上(電極周辺まで印刷しても可)に、上記熱硬化性樹脂組成物をスクリーン印刷し、その後、基板電極上の熱硬化性樹脂組成物の塗布部分に対して、はんだバンプや、はんだめっきを電極に有する電子部品を搭載して、リフロー処理することにより、はんだ粒子を用いずに部品実装をすることが可能となる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、はんだを良好に溶融させることが可能であり、かつ、熱硬化性樹脂組成物の硬化部は金属に対する高い接着強度を有することから、電子部品等の接続に直接使用することが可能である。例えば、基板電極上(電極周辺まで印刷しても可)に、上記熱硬化性樹脂組成物をスクリーン印刷し、その後、基板電極上の熱硬化性樹脂組成物の塗布部分に対して、はんだバンプや、はんだめっきを電極に有する電子部品を搭載して、リフロー処理することにより、はんだ粒子を用いずに部品実装をすることが可能となる。
<導電性ペースト>
本発明は、前記熱硬化性樹脂組成物に金属粒子を含む導電性ペーストにも関する。該導電性ペースト中に含まれる金属粒子の含有率が高くなり過ぎると、ペーストの粘度が非常に高くなるためスクリーン印刷等での印刷性が悪化し、逆に、金属粒子の含有率が低すぎると、金属粒子が沈降し易く、接続抵抗が高くなるため、上記金属粒子の含有率は60〜95質量%の範囲が好ましく、80〜94質量%の含有率がさらに好ましい。
該金属粒子の平均粒子径は、2〜40μmであることが好ましく、導電性ペーストの使用用途に応じて定めることができる。例えば、スクリーン印刷用途では、版抜け性を重視して、粒度分布はブロードにするのが好ましく、ディスペンス用途、ビア充填用途では、吐出流動性及び穴埋め性を重視して、粒度分布はシャープにするのが好ましい。
本発明は、前記熱硬化性樹脂組成物に金属粒子を含む導電性ペーストにも関する。該導電性ペースト中に含まれる金属粒子の含有率が高くなり過ぎると、ペーストの粘度が非常に高くなるためスクリーン印刷等での印刷性が悪化し、逆に、金属粒子の含有率が低すぎると、金属粒子が沈降し易く、接続抵抗が高くなるため、上記金属粒子の含有率は60〜95質量%の範囲が好ましく、80〜94質量%の含有率がさらに好ましい。
該金属粒子の平均粒子径は、2〜40μmであることが好ましく、導電性ペーストの使用用途に応じて定めることができる。例えば、スクリーン印刷用途では、版抜け性を重視して、粒度分布はブロードにするのが好ましく、ディスペンス用途、ビア充填用途では、吐出流動性及び穴埋め性を重視して、粒度分布はシャープにするのが好ましい。
ビア充填用途では、基板やプリプレグ等にレーザー等でビアを開けておき、ビア充填用のはんだペーストとしてビアに埋めて熱処理する方法等がある。尚、充填方法としては、例えば印刷機が例示でき、より好ましくは、真空印刷機である。ビア充填用に用いる場合、はんだペースと中に前期高融点金属を添加して、はんだ粒子の溶融時の表面張力を抑制することが好ましい。また、はんだペースト中に含まれる金属粒子の平均粒子径は、前記ビア径の1/3以下であることが好ましい。
本明細書で規定する、金属の元素組成は、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析等で確認することができる。また、本明細書中の金属組成に関して、不可避的不純物が含有されてもよい。
本明細書で規定する、金属の元素組成は、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析等で確認することができる。また、本明細書中の金属組成に関して、不可避的不純物が含有されてもよい。
(はんだ粒子)
本発明の導電性ペーストに使用する金属粒子は、融点240℃以下のはんだ粒子を含み、該はんだ粒子は、Sn粒子、又はAg、Au、Bi、Cu、Ge、In、Sb、Ni、Zn、及びPbからなる群から選ばれる金属の少なくとも1種を含むSn合金粒子であることが好ましい。尚、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、特定の有機酸を添加することで導電性ペーストの接着強度が向上する技術であり、上記はんだ粒子の金属組成は限定されるものではない。すなわち、導電性ペーストに使用するはんだ粒子の融点に合わせて、硬化剤の添加量及び種類を最適化し、炭素数8以上の液状モノカルボン酸を加えることによって、本発明の効果が得られるものである。低温の熱処理で前記はんだ粒子を溶融させる観点から、前記はんだ粒子は、少なくともBi又はIn又はZnのいずれかを含むSn合金粒子であることが好ましく、さらに好ましくは、前記はんだ粒子が融点200℃以下のSn合金粒子である時である。例えば、Sn−Bi系、Sn−In系、Sn−Zn系、Sn−Bi−Ag系、Sn−Bi−Cu系、Sn−Bi−In系、Sn−Ag−In系のはんだ粒子が例示でき、具体的には、42Sn/58Biや42Sn/57Bi/1Agがより好ましい。
本発明の導電性ペーストに使用する金属粒子は、融点240℃以下のはんだ粒子を含み、該はんだ粒子は、Sn粒子、又はAg、Au、Bi、Cu、Ge、In、Sb、Ni、Zn、及びPbからなる群から選ばれる金属の少なくとも1種を含むSn合金粒子であることが好ましい。尚、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、特定の有機酸を添加することで導電性ペーストの接着強度が向上する技術であり、上記はんだ粒子の金属組成は限定されるものではない。すなわち、導電性ペーストに使用するはんだ粒子の融点に合わせて、硬化剤の添加量及び種類を最適化し、炭素数8以上の液状モノカルボン酸を加えることによって、本発明の効果が得られるものである。低温の熱処理で前記はんだ粒子を溶融させる観点から、前記はんだ粒子は、少なくともBi又はIn又はZnのいずれかを含むSn合金粒子であることが好ましく、さらに好ましくは、前記はんだ粒子が融点200℃以下のSn合金粒子である時である。例えば、Sn−Bi系、Sn−In系、Sn−Zn系、Sn−Bi−Ag系、Sn−Bi−Cu系、Sn−Bi−In系、Sn−Ag−In系のはんだ粒子が例示でき、具体的には、42Sn/58Biや42Sn/57Bi/1Agがより好ましい。
尚、熱硬化性樹脂組成物に添加するはんだ粒子は1種に限定されるものではない。第2種目以降のはんだ粒子として、Sn粒子、又はAg、Au、Bi、Cu、Ge、In、Sb、Ni、Zn、及びPbからなる群から選ばれる金属の少なくとも1種を含むSn合金粒子が挙げられる。例えば、42Sn/58Biのはんだ粒子に、第2のはんだ粒子としてSn粒子を添加することによって、リフロー後の接合部のBi組成を低減させることが可能である。一般的に、Biは機械的に脆い特性を示すため、前記Sn粒子及びSn合金粒子を添加することによってリフロー後のBi組成を低減させることが可能となり、脆性改善に繋がる。
(高融点金属粒子)
一般的な導電性ペーストに用いられる金属粒子は、Ag粒子又はCu粒子である。しかしながら、これら導電性ペーストは、熱処理時の熱硬化性樹脂の硬化収縮を利用して、金属粒子同士を点接触させることで導電性を付与するものである。これに対して、特許文献2のように、熱硬化性樹脂組成物に、Cu粒子等の高融点金属粒子と、はんだ粒子とを添加することによって、溶融したはんだと高融点金属粒子との間で金属結合を形成し導電性を向上させる技術が報告されている。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、はんだを良好に溶融させることが可能であり、かつ、熱処理後の熱硬化性樹脂組成物硬化部は、高い接着強度を有することから、上述した熱硬化性樹脂組成物に高融点金属粒子とはんだ粒子とを添加する導電性ペーストに関しても、本発明の熱硬化性樹脂組成物を適用することができる。
一般的な導電性ペーストに用いられる金属粒子は、Ag粒子又はCu粒子である。しかしながら、これら導電性ペーストは、熱処理時の熱硬化性樹脂の硬化収縮を利用して、金属粒子同士を点接触させることで導電性を付与するものである。これに対して、特許文献2のように、熱硬化性樹脂組成物に、Cu粒子等の高融点金属粒子と、はんだ粒子とを添加することによって、溶融したはんだと高融点金属粒子との間で金属結合を形成し導電性を向上させる技術が報告されている。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、はんだを良好に溶融させることが可能であり、かつ、熱処理後の熱硬化性樹脂組成物硬化部は、高い接着強度を有することから、上述した熱硬化性樹脂組成物に高融点金属粒子とはんだ粒子とを添加する導電性ペーストに関しても、本発明の熱硬化性樹脂組成物を適用することができる。
該高融点金属粒子は、Ag、Bi、Cu、Ge、In、Sn、Sb、Ni、Zn、Pb、及びAuからなる群から選ばれる金属の少なくとも1種を含み、融点が300℃以上であることが好ましい。溶融したはんだ粒子と高融点金属粒子との金属拡散性の観点から、高融点金属粒子としては、Cu粒子、Cu合金粒子、Ag粒子、Ag合金粒子が好ましい。
Cu合金粒子としては、Cuに、In、Ni、Sn、Bi、Ag、又はGeの金属のいずれかを含む合金粒子であることが好ましい。In又はNiは、溶融したはんだとCu合金粒子との界面で形成するCu−Sn系の金属間化合物の結晶粒を微細化する効果を有することから、Cu合金粒子にIn又はNiが含まれることが好ましい。これらIn、Ni等のCu合金中の成分比は、安定した合金相を形成する観点から、0.10〜10wt%が好ましく、より好ましくは0.50〜8.0wt%以下、さらに好ましくは1.0〜6.0wt%以下である。Sn又はBiは、溶融したはんだとの濡れ性が良いため、Cu合金粒子に50wt%以下のSn又はBiを添加することが好ましい。また、Agは溶融したはんだのSn成分と融点の高い金属間化合物を形成し易いので、耐熱性を有する接合部を形成する。さらに、はんだ接合部の抵抗を低くし電気特性を向上させる観点から、観点からCu合金粒子に95wt%以下のAgを添加することが好ましく、コスト面から50wt%以下であることが好ましい。Geは、はんだ溶融時に優先的に酸化して、Sn等の他のはんだ成分の酸化を抑制する効果を有するため、Cu合金粒子中に0.10wt%以上含まれていることが好ましく、酸化物がはんだ流動を阻害し、接合性に悪影響を与えることを防ぐ観点から、5.0wt%以下が好ましい。さらに好ましい態様においては、Cu合金粒子は、Ag5〜15wt%、Bi2〜8wt%、Cu49〜81wt%、In2〜8wt%、及びSn10〜20wt%からなるものであることができる。
また、Ag合金粒子としては、溶融したはんだとの濡れ性を向上させる観点から、Snを含むことが好ましい。さらに、低温での接合性を向上させる観点から、In又はBiとの合金粒子であることが好ましい。
Cu合金粒子としては、Cuに、In、Ni、Sn、Bi、Ag、又はGeの金属のいずれかを含む合金粒子であることが好ましい。In又はNiは、溶融したはんだとCu合金粒子との界面で形成するCu−Sn系の金属間化合物の結晶粒を微細化する効果を有することから、Cu合金粒子にIn又はNiが含まれることが好ましい。これらIn、Ni等のCu合金中の成分比は、安定した合金相を形成する観点から、0.10〜10wt%が好ましく、より好ましくは0.50〜8.0wt%以下、さらに好ましくは1.0〜6.0wt%以下である。Sn又はBiは、溶融したはんだとの濡れ性が良いため、Cu合金粒子に50wt%以下のSn又はBiを添加することが好ましい。また、Agは溶融したはんだのSn成分と融点の高い金属間化合物を形成し易いので、耐熱性を有する接合部を形成する。さらに、はんだ接合部の抵抗を低くし電気特性を向上させる観点から、観点からCu合金粒子に95wt%以下のAgを添加することが好ましく、コスト面から50wt%以下であることが好ましい。Geは、はんだ溶融時に優先的に酸化して、Sn等の他のはんだ成分の酸化を抑制する効果を有するため、Cu合金粒子中に0.10wt%以上含まれていることが好ましく、酸化物がはんだ流動を阻害し、接合性に悪影響を与えることを防ぐ観点から、5.0wt%以下が好ましい。さらに好ましい態様においては、Cu合金粒子は、Ag5〜15wt%、Bi2〜8wt%、Cu49〜81wt%、In2〜8wt%、及びSn10〜20wt%からなるものであることができる。
また、Ag合金粒子としては、溶融したはんだとの濡れ性を向上させる観点から、Snを含むことが好ましい。さらに、低温での接合性を向上させる観点から、In又はBiとの合金粒子であることが好ましい。
<導電性ペーストを用いた部品搭載基板、電子部品、積層基板>
本発明においては、基板電極と電子部品電極、又は電子部品電極と電子部品電極、又は基板電極と基板電極のいずれかの間が、本発明の導電性ペーストを熱処理することによって接合された部品搭載基板、又は電子部品、又は積層基板にも関する。
上記電極間に、本発明の熱硬化性樹脂型はんだペーストを介在させ、導電性ペースト中に含まれるはんだ粒子の融点以上で熱処理することで、溶融したはんだ粒子を介した金属結合による接合と、熱硬化性樹脂組成物硬化部による接合部による接合が一度の熱処理で得られる。導電性ペーストの電極上への塗布方法としては、スクリーン印刷、ディスペンス、転写等の一般的な公知の技術を用いることができる。
本発明においては、基板電極と電子部品電極、又は電子部品電極と電子部品電極、又は基板電極と基板電極のいずれかの間が、本発明の導電性ペーストを熱処理することによって接合された部品搭載基板、又は電子部品、又は積層基板にも関する。
上記電極間に、本発明の熱硬化性樹脂型はんだペーストを介在させ、導電性ペースト中に含まれるはんだ粒子の融点以上で熱処理することで、溶融したはんだ粒子を介した金属結合による接合と、熱硬化性樹脂組成物硬化部による接合部による接合が一度の熱処理で得られる。導電性ペーストの電極上への塗布方法としては、スクリーン印刷、ディスペンス、転写等の一般的な公知の技術を用いることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)金属粒子
金属粒子として、山石金属(株)社製の粒度25μm〜45μmのはんだ粒子Bi−42Sn(元素組成は、Bi:58質量%、Sn:42質量%)を用いた。該はんだ粒子の平均粒子径をレーザー回折式粒子径分布測定装置(HELOS&RODOS)で測定したところ平均粒径は35μmであった。また、上記はんだ粒子を、示差走査熱量計(島津製作所:DSC−50)で、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で、40〜200℃の範囲において測定したところ、138℃に吸熱ピーク(融点)が検出された。尚、本明細書におけるはんだの融点とは、上記DSCによる吸熱ピークの測定結果に基づくものであった。
〔実施例1〕
(1)金属粒子
金属粒子として、山石金属(株)社製の粒度25μm〜45μmのはんだ粒子Bi−42Sn(元素組成は、Bi:58質量%、Sn:42質量%)を用いた。該はんだ粒子の平均粒子径をレーザー回折式粒子径分布測定装置(HELOS&RODOS)で測定したところ平均粒径は35μmであった。また、上記はんだ粒子を、示差走査熱量計(島津製作所:DSC−50)で、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で、40〜200℃の範囲において測定したところ、138℃に吸熱ピーク(融点)が検出された。尚、本明細書におけるはんだの融点とは、上記DSCによる吸熱ピークの測定結果に基づくものであった。
(2)熱硬化性樹脂組成物
熱硬化性樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂である旭化成社製のエポキシ樹脂(AER260)と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂である三菱化学社製エポキシ樹脂(YL983U)を、硬化剤として四国化成社製のイミダゾール系硬化剤である2MZ−A及び2P4MHZ、及びトリエタノールアミンを、有機酸としてオレイン酸を、チクソ剤としてゲルオールD(新日本理科社製)を、以下の表1に示す混合比で配合し、自転・公転ミキサー(THINKY社製 あわとり練太郎)を用いて室温(25℃)で5分混練した後、3分間脱泡し熱硬化性樹脂組成物を作製した。
熱硬化性樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂である旭化成社製のエポキシ樹脂(AER260)と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂である三菱化学社製エポキシ樹脂(YL983U)を、硬化剤として四国化成社製のイミダゾール系硬化剤である2MZ−A及び2P4MHZ、及びトリエタノールアミンを、有機酸としてオレイン酸を、チクソ剤としてゲルオールD(新日本理科社製)を、以下の表1に示す混合比で配合し、自転・公転ミキサー(THINKY社製 あわとり練太郎)を用いて室温(25℃)で5分混練した後、3分間脱泡し熱硬化性樹脂組成物を作製した。
(3)導電性ペーストの作製
上記金属粒子85質量部と、熱硬化性樹脂組成物15質量部を、ソルダーソフナー(マルコム:SPS−1)にて混練し、脱泡混練機(松尾産業:SNB−350)にかけて導電性ペーストを作製した。
上記金属粒子85質量部と、熱硬化性樹脂組成物15質量部を、ソルダーソフナー(マルコム:SPS−1)にて混練し、脱泡混練機(松尾産業:SNB−350)にかけて導電性ペーストを作製した。
(4)はんだ粒子溶融特性の測定
高耐熱エポキシ樹脂ガラス布からなるプリント基板(ソルダーレジスト有り)のAuメッキ電極上(電極サイズ:1mm×1mm)に、前記(3)で作製した導電性ペーストを印刷塗布し、N2リフロー(O2濃度:1000ppm以下)して評価サンプルを得た。熱処理装置は、リフローシミュレータ(マルコム:SRS−1C)を使用した。温度プロファイルは、熱処理開始(常温)から160℃までを2.0℃/秒で昇温し、160℃で360秒間保持した。ペースト印刷パターン形成には、スクリーン印刷機(マイクロテック:MT−320TV)を用いた。印刷マスク及びスキージはメタル製のものを採用した。印刷マスクは、開口サイズ1.0mm×0.60mm、厚み0.08mmであった。印刷条件は、速度10mm/秒、印圧0.1MPa、スキージ圧0.2MPa、背圧0.1MPa、アタック角度20°、クリアランス0mm、印刷回数1回とした。リフロー後、異なる電極10箇所を、光学顕微鏡で観察して、はんだ粒子が良好に溶融しており全て一体化しているかを確認した。尚、実施例2〜7、及び比較例1〜4に関して、全てはんだ粒子が良好に溶融し一体化していた場合、以下の表1に良好と記載し、未溶融粒子が残っていた場合に、未溶融と表記する。
高耐熱エポキシ樹脂ガラス布からなるプリント基板(ソルダーレジスト有り)のAuメッキ電極上(電極サイズ:1mm×1mm)に、前記(3)で作製した導電性ペーストを印刷塗布し、N2リフロー(O2濃度:1000ppm以下)して評価サンプルを得た。熱処理装置は、リフローシミュレータ(マルコム:SRS−1C)を使用した。温度プロファイルは、熱処理開始(常温)から160℃までを2.0℃/秒で昇温し、160℃で360秒間保持した。ペースト印刷パターン形成には、スクリーン印刷機(マイクロテック:MT−320TV)を用いた。印刷マスク及びスキージはメタル製のものを採用した。印刷マスクは、開口サイズ1.0mm×0.60mm、厚み0.08mmであった。印刷条件は、速度10mm/秒、印圧0.1MPa、スキージ圧0.2MPa、背圧0.1MPa、アタック角度20°、クリアランス0mm、印刷回数1回とした。リフロー後、異なる電極10箇所を、光学顕微鏡で観察して、はんだ粒子が良好に溶融しており全て一体化しているかを確認した。尚、実施例2〜7、及び比較例1〜4に関して、全てはんだ粒子が良好に溶融し一体化していた場合、以下の表1に良好と記載し、未溶融粒子が残っていた場合に、未溶融と表記する。
(5)部品接合強度の測定
高耐熱エポキシ樹脂ガラス布からなるプリント基板(ソルダーレジスト有り)のAuメッキ電極上(電極サイズ:1mm×1mm)に、前記(3)で作製した導電性ペーストを印刷塗布し、その後、1005(1mm×0.5mm)サイズの抵抗部品(以後、1005Rと表記する)を直列に45個搭載し、N2リフロー(O2濃度:1000ppm以下)して評価サンプルを得た。熱処理装置は、リフローシミュレータ(マルコム:SRS−1C)を使用した。温度プロファイルは、熱処理開始(常温)から160℃までを2.0℃/秒で昇温し、160℃で360秒間保持した。ペースト印刷パターン形成には、スクリーン印刷機(マイクロテック:MT−320TV)を用いた。印刷マスク及びスキージはメタル製のものを採用した。印刷マスクは、開口サイズ1.0mm×0.60mm、厚み0.08mmであった。印刷条件は、速度10mm/秒、印圧0.1MPa、スキージ圧0.2MPa、背圧0.1MPa、アタック角度20°、クリアランス0mm、印刷回数1回とした。リフロー後、横型荷重測定機(AIKOH ENGINEERING社製:MODEL−2252RDH)にて、部品接合強度を20個測定し、平均値が10.1Nの高い接合強度が得られた。本評価結果を、以下の表1に示す。尚、本実施例における高い接合強度とは、1005Rの部品接合強度が9.5N以上とした。
高耐熱エポキシ樹脂ガラス布からなるプリント基板(ソルダーレジスト有り)のAuメッキ電極上(電極サイズ:1mm×1mm)に、前記(3)で作製した導電性ペーストを印刷塗布し、その後、1005(1mm×0.5mm)サイズの抵抗部品(以後、1005Rと表記する)を直列に45個搭載し、N2リフロー(O2濃度:1000ppm以下)して評価サンプルを得た。熱処理装置は、リフローシミュレータ(マルコム:SRS−1C)を使用した。温度プロファイルは、熱処理開始(常温)から160℃までを2.0℃/秒で昇温し、160℃で360秒間保持した。ペースト印刷パターン形成には、スクリーン印刷機(マイクロテック:MT−320TV)を用いた。印刷マスク及びスキージはメタル製のものを採用した。印刷マスクは、開口サイズ1.0mm×0.60mm、厚み0.08mmであった。印刷条件は、速度10mm/秒、印圧0.1MPa、スキージ圧0.2MPa、背圧0.1MPa、アタック角度20°、クリアランス0mm、印刷回数1回とした。リフロー後、横型荷重測定機(AIKOH ENGINEERING社製:MODEL−2252RDH)にて、部品接合強度を20個測定し、平均値が10.1Nの高い接合強度が得られた。本評価結果を、以下の表1に示す。尚、本実施例における高い接合強度とは、1005Rの部品接合強度が9.5N以上とした。
(6)Cu板接着力の測定
標準試験片CP1100Pの銅板と銅板との間に、上記(2)において作製した熱硬化性樹脂組成物を、接着面積が25mm×5mmとなるように、厚み100μmのテフロン(登録商標)製耐熱テープで形成したスペーサー間に介在させ、180℃で1時間硬化させて銅板サンプルを得た。得られた銅板サンプルの接着強度を測定したところ18N/mm2の高い接着力が観察された。本明細書で高い接着力を有するとは、10N/mm2以上の値を示すものとする。尚、Cu板接着力測定結果を以下の表1に示す。
標準試験片CP1100Pの銅板と銅板との間に、上記(2)において作製した熱硬化性樹脂組成物を、接着面積が25mm×5mmとなるように、厚み100μmのテフロン(登録商標)製耐熱テープで形成したスペーサー間に介在させ、180℃で1時間硬化させて銅板サンプルを得た。得られた銅板サンプルの接着強度を測定したところ18N/mm2の高い接着力が観察された。本明細書で高い接着力を有するとは、10N/mm2以上の値を示すものとする。尚、Cu板接着力測定結果を以下の表1に示す。
〔実施例2〜6、比較例1〜4〕
実施例2〜6、及び比較例1〜4において、以下の表1に示す混合比の熱硬化性樹脂組成物を、実施例1と同様に作製した。実施例1に使用していない添加剤としては、有機酸としてアジピン酸、グルタル酸、ステアリン酸、DL−乳酸、CO−FA−S(伊藤製油社製液状有機酸)、リノール酸、オクタン酸、デカン酸を使用した。尚、アジピン酸は、平均粒子径3.4μmのものを使用した。また、グルタル酸は、熱硬化性樹脂組成物を混練する前に、YL983Uにグルタル酸を所定量添加し、150℃で加熱融解させて冷却した後に、実施例1の(2)と同様に熱硬化性樹脂組成物を作製した。これら作製した熱硬化性樹脂組成物に関して、実施例1の(4)〜(6)と同様の評価を行った結果を、以下の表1に示す。
実施例2〜6、及び比較例1〜4において、以下の表1に示す混合比の熱硬化性樹脂組成物を、実施例1と同様に作製した。実施例1に使用していない添加剤としては、有機酸としてアジピン酸、グルタル酸、ステアリン酸、DL−乳酸、CO−FA−S(伊藤製油社製液状有機酸)、リノール酸、オクタン酸、デカン酸を使用した。尚、アジピン酸は、平均粒子径3.4μmのものを使用した。また、グルタル酸は、熱硬化性樹脂組成物を混練する前に、YL983Uにグルタル酸を所定量添加し、150℃で加熱融解させて冷却した後に、実施例1の(2)と同様に熱硬化性樹脂組成物を作製した。これら作製した熱硬化性樹脂組成物に関して、実施例1の(4)〜(6)と同様の評価を行った結果を、以下の表1に示す。
〔参考例〕
導電性ペーストの代わりに、従来の代表的な鉛フリーはんだ(Sn−3.0Ag−0.5Cu)ペーストを用いて、実施例1の(5)と同様の手法で部品接合強度を測定した。但し、該はんだ材のリフロー温度プロファイルは、熱処理開始(常温)から140℃までを1.5℃/秒で昇温し、140℃から170℃までを110秒かけて徐々に昇温後、170℃から250℃までを2.0℃/秒で昇温し、ピーク温度250℃で15秒間保持する条件を採用した。得られた部品実装基板の1005Rの部品接合強度を、実施例1と同様に20個測定したところ、平均8.6Nの接合強度が得られた。
導電性ペーストの代わりに、従来の代表的な鉛フリーはんだ(Sn−3.0Ag−0.5Cu)ペーストを用いて、実施例1の(5)と同様の手法で部品接合強度を測定した。但し、該はんだ材のリフロー温度プロファイルは、熱処理開始(常温)から140℃までを1.5℃/秒で昇温し、140℃から170℃までを110秒かけて徐々に昇温後、170℃から250℃までを2.0℃/秒で昇温し、ピーク温度250℃で15秒間保持する条件を採用した。得られた部品実装基板の1005Rの部品接合強度を、実施例1と同様に20個測定したところ、平均8.6Nの接合強度が得られた。
〔表1の評価結果についての説明〕
実施例1〜4の熱硬化性樹脂組成物は、有機酸として炭素数8以上の液状モノカルボン酸を使用しており、これら樹脂は、いずれもはんだ粒子溶融特性が良好であり、かつ、Cu板接着力は10N/mm2以上値を示した。また、部品接合強度も、10N以上の高い接合強度が得られた。
これに反し、有機酸として、従来の鉛フリーはんだペースト一般的に使用されているグルタル酸又はアジピン酸を用いた比較例1と比較例2においては、はんだ粒子溶融特性は良好であるものの、Cu板接着力および部品接合強度は低い値を示した。
また、比較例1のグルタル酸の一部を、僅かにリノール酸に置き換えた実施例5、又は比較例2のアジピン酸の一部をCO−FA−Sに置き換えた実施例6においては、はんだ粒子溶融特性が良好であり、Cu板接着力及び部品接合強度が高い値を示した。
また、比較例3においては、室温(25℃)で液体状態である液状モノカルボン酸として、DL−乳酸を微量添加したが、DL−乳酸は炭素数が3の液状モノカルボン酸であり極性が高いためか、高いCu板接着力及び部品接合強度は得られなかった。
比較例4においては、有機酸に固体のモノカルボン酸としてステアリン酸を使用しており、Cu板接着力及び部品接合強度は高い値を示したが、モノカルボン酸自身は、はんだ粒子表面の酸化膜清浄化作用が弱いため、ステアリン酸のような固体有機酸では熱硬化性樹脂中への親和性及び分散性が悪いため、はんだ粒子溶融特性が悪い結果となった。
実施例1〜4の熱硬化性樹脂組成物は、有機酸として炭素数8以上の液状モノカルボン酸を使用しており、これら樹脂は、いずれもはんだ粒子溶融特性が良好であり、かつ、Cu板接着力は10N/mm2以上値を示した。また、部品接合強度も、10N以上の高い接合強度が得られた。
これに反し、有機酸として、従来の鉛フリーはんだペースト一般的に使用されているグルタル酸又はアジピン酸を用いた比較例1と比較例2においては、はんだ粒子溶融特性は良好であるものの、Cu板接着力および部品接合強度は低い値を示した。
また、比較例1のグルタル酸の一部を、僅かにリノール酸に置き換えた実施例5、又は比較例2のアジピン酸の一部をCO−FA−Sに置き換えた実施例6においては、はんだ粒子溶融特性が良好であり、Cu板接着力及び部品接合強度が高い値を示した。
また、比較例3においては、室温(25℃)で液体状態である液状モノカルボン酸として、DL−乳酸を微量添加したが、DL−乳酸は炭素数が3の液状モノカルボン酸であり極性が高いためか、高いCu板接着力及び部品接合強度は得られなかった。
比較例4においては、有機酸に固体のモノカルボン酸としてステアリン酸を使用しており、Cu板接着力及び部品接合強度は高い値を示したが、モノカルボン酸自身は、はんだ粒子表面の酸化膜清浄化作用が弱いため、ステアリン酸のような固体有機酸では熱硬化性樹脂中への親和性及び分散性が悪いため、はんだ粒子溶融特性が悪い結果となった。
本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化部は、金属に対する高い接着力を有する。また、該熱硬化性樹脂組成物は、はんだ粒子を良好に溶融させることが可能であり、該熱硬化性樹脂組成物を用いた導電性ペーストを用いることで、高い部品接合強度が得られる。そのため電極間の接続信頼性を向上させることができる。よって、本発明は電子部品等の実装に好適に利用可能である。
Claims (13)
- 炭素数が8以上でありかつ室温(25℃)で液体である液状モノカルボン酸を含む有機酸、熱硬化性樹脂、及び硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物。
- 前記熱硬化性樹脂組成物が、前記硬化剤を0.50〜60wt%含み、かつ、前記有機酸を0.50〜12wt%含み、さらに該有機酸全体に占める前記液状モノカルボン酸の割合が5wt%以上である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記液状モノカルボン酸が、リシノレイン酸を含む液状有機酸、オレイン酸、リノール酸、オクタン酸、及びデカン酸の内の少なくともいずれか1種である、請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記有機酸は、ジカルボン酸をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記硬化剤として、イミダゾール系硬化剤を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記硬化剤として、アミン化合物を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物中に金属粒子を含む導電性ペースト。
- 前記金属粒子は、融点240℃以下のはんだ粒子を含み、該はんだ粒子は、Sn粒子、又はAg、Au、Bi、Cu、Ge、In、Sb、Ni、Zn、及びPbの内の少なくとも1種を含むSn合金粒子である、請求項8に記載の導電性ペースト。
- 前記はんだ粒子は、Bi、In、及びZnの内の少なくとも1種を含む融点180℃以下のSn合金粒子である、請求項9に記載の導電性ペースト。
- 前記金属粒子は、融点300℃以上の高融点金属粒子を少なくとも1種含む、請求項9又は10に記載の導電性ペースト。
- 前記高融点金属粒子は、Cu粒子、Ag粒子、又はCu若しくはAg合金粒子である、請求項11に記載の導電性ペースト。
- 基板電極と電子部品電極、又は電子部品電極と電子部品電極、又は基板電極と基板電極の間のいずれかが、請求項8〜12のいずれか1項に記載の導電性ペーストを熱処理することによって接合されている、電子部品搭載基板、又は電子部品、又は積層基板。
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2012
- 2012-04-19 JP JP2012095448A patent/JP2013221143A/ja active Pending
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