JP2013173353A - 平版印刷版用支持体、平版印刷版用支持体の製造方法、および平版印刷版原版 - Google Patents

平版印刷版用支持体、平版印刷版用支持体の製造方法、および平版印刷版原版 Download PDF

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Abstract

【課題】平版印刷版としたときに耐刷性に優れ、かつ、優れた機上現像性を示し、長期間保存してもポツ状汚れが生じることのない平版印刷版用原版を得ることができる、耐傷性に優れた平版印刷版用支持体、およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】アルミニウム板と、その上にアルミニウムの陽極酸化皮膜とを備え、上記陽極酸化皮膜中に上記アルミニウム板とは反対側の表面から深さ方向にのびるマイクロポアを有する平版印刷版用支持体であって、上記マイクロポアが、特定の形状を有する大径孔部と、上記大径孔部の底部と連通し、特定の形状を有する小径孔部とから構成され、上記小径孔部の内部の少なくとも一部がベーマイトからなる突起状物によって封孔され、上記大径孔部の上記陽極酸化皮膜表面における平均径に対する、上記大径孔部の内部のベーマイトからなる突起状物の平均高さの比が所定値以下である、平版印刷版用支持体。
【選択図】なし

Description

本発明は、平版印刷版用支持体、平版印刷版用支持体の製造方法、および平版印刷版原版に関する。
平版印刷は、インキ受容部である親油性の領域(以下、画像部とも称する)と、インキ非受容部である親水性の領域(以下、非画像部とも称する)とを有する平版印刷版を用いて、画像部のみにインキを着肉させ、紙などの被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
平版印刷版は、通常、平版印刷版用アルミニウム支持体(以下、平版印刷版用支持体とも称する)に親油性の画像記録層を設けた平版印刷版原版を、リスフィルムなどの原画を通して露光した後、画像記録層のうち画像部となる部分のみを残存させ、それ以外の不要な画像記録層を溶解除去することによって製造される。
ここで、平版印刷版には繰り返し印字に対する画像安定性(耐刷性)が要求される。耐刷性は、通常、平版印刷版用支持体と画像記録層との密着性等に影響される。
また、平版印刷版原版にしたときの巻き取り時および積層中における画像記録層へのキズの転写を抑制でき、非画像部の汚れを抑制することができる点から、平版印刷版用支持体には耐傷性も要求される。
一方、上記のとおり平版印刷版を製造するためには幾つもの工程が必要であるが、工程を合理化する方法として、機上現像と呼ばれる方法がある。機上現像とは、露光済みの平版印刷版原版を印刷機の版胴に装着し、版胴を回転しながら湿し水とインキを供給することによって、平版印刷版原版の非画像部を除去する方法である。印刷過程の中で現像するため、実質的に現像工程が省略され、合理化を図ることができる。
このような機上現像を適用するためには、非画像部の画像記録層が湿し水やインキ溶剤によって完全に除去されること(機上現像性)が要求される。
なお、以下では、未露光部の印刷機上での機上現像が完了し、非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を機上現像性として評価し、損紙の枚数が少ないことを機上現像性が良好であるという。
このようななか、上記種々要求に応えるために様々な検討がなされている。例えば、特許文献1には、アルミニウム板の表面を第一段階として陽極酸化処理した後、第二段階として第一段階の陽極酸化皮膜のマイクロポアよりもポア径が小さくなる条件にて再び陽極酸化処理することにより得られる平版印刷版用支持体およびその平版印刷版用支持体を用いて得られる平版印刷版原版が開示されている。
国際公開第2011/081064号
本発明者らが、特許文献1に記載される平版印刷版用支持体、並びに、その支持体を用いて得られる平版印刷版原版および平版印刷版について検討を行ったところ、耐傷性、機上現像性および耐刷性は確かに昨今の要求レベルを満たすものであったが、得られた平版印刷版原版を長期間保存すると、非画像部表面の一部にインキが付着しやすい箇所が発生し、印刷された紙等に点状または円環状の汚れ(以下、「ポツ状汚れ」とも称する。)が生じるという問題があることが分かった。
つまり、従来技術の平版印刷版用支持体においては、平版印刷版としたときの耐刷性、平版印刷版用原版としたときの機上現像性および耐ポツ状汚れ性、並びに、耐傷性をバランスよくすべて満たすことはできなかった。
そこで、本発明者らは、このポツ状汚れが発生する原因について検討したところ、陽極酸化皮膜上に形成された画像記録層中に含有される水分やイオン(特にハロゲン化物イオン)が陽極酸化皮膜中に滲入し、さらに陽極酸化皮膜の下のアルミニウム板に滲入することが主な原因であることが分かった。水分やイオンがアルミニウムイオンに滲入することで、アルミニウム板中に存在する金属間化合物(特にAl−Fe系化合物)と反応し、平版印刷版用支持体が腐食されて、ポツ状汚れが生じる。
本発明は、上記実情を鑑みて、平版印刷版としたときに耐刷性に優れ、かつ、優れた機上現像性を示し、長期間保存してもポツ状汚れが生じることのない平版印刷版用原版を得ることができる、耐傷性に優れた平版印刷版用支持体、およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、陽極酸化皮膜中のマイクロポアが、特定の形状を有する大径孔部および小径孔部から構成され、かつ、上記小径孔部の内部の少なくとも一部がベーマイトからなる突起状物によって封孔され、さらに、上記大径孔部の上記陽極酸化皮膜表面における平均径に対する、上記大径孔部の内部のベーマイトからなる突起状物の平均高さの比が所定値以下である平版印刷版用支持体とすることによって、上記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(11)を提供する。
(1) アルミニウム板と、その上にアルミニウムの陽極酸化皮膜とを備え、上記陽極酸化皮膜中に上記アルミニウム板とは反対側の表面から深さ方向にのびるマイクロポアを有する平版印刷版用支持体であって、
上記マイクロポアが、上記陽極酸化皮膜表面から深さ5〜60nm(深さA)の位置までのびる大径孔部と、上記大径孔部の底部と連通し、連通位置から深さ890〜2000nmの位置までのびる小径孔部とから構成され、
上記大径孔部の上記陽極酸化皮膜表面における平均径Bが10〜60nmであり、
上記大径孔部の上記陽極酸化皮膜表面における平均径Bに対する、上記小径孔部の上記連通位置における平均径Cの比(C/B)が0.85以下であり、
上記小径孔部の内部の少なくとも一部がベーマイトからなる突起状物によって封孔され、
上記大径孔部の平均径Bに対する、上記大径孔部の内部のベーマイトからなる突起状物の平均高さkの比(k/B)が0.27以下である、平版印刷版用支持体。
(2) 上記小径孔部の平均径Cに対する、上記小径孔部の内部の上記突起状物の平均高さhの比(h/C)が0.5〜1.0である、上記(1)に記載の平版印刷版用支持体。
(3) 上記小径孔部の封孔率が30%以上である、上記(1)または(2)に記載の平版印刷版用支持体。
(4) 上記小径孔部の平均径Cが15nm以下である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の平版印刷版用支持体。
(5) 上記小径孔部の底部から上記アルミニウム板表面までの陽極酸化皮膜の厚みが30nm以上である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の平版印刷版用支持体。
(6) 上記アルミニウム板中における金属間化合物の含有量が0.060質量%以下である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の平版印刷版用支持体。
(7) 上記大径孔部の平均径Bが10〜50nmである、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の平版印刷版用支持体。
(8) 上記大径孔部の深さAが10〜55nmである、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の平版印刷版用支持体。
(9) アルミニウム板を陽極酸化する第1陽極酸化処理工程と、
上記第1陽極酸化処理工程で得られた陽極酸化皮膜を有するアルミニウム板を、酸水溶液またはアルカリ水溶液に接触させ、上記陽極酸化皮膜中のマイクロポアの径を拡大させるポアワイド処理工程と、
上記ポアワイド処理工程で得られたアルミニウム板を陽極酸化する第2陽極酸化処理工程と、
上記第2陽極酸化処理工程で得られたアルミニウム板を150℃以上300℃未満の水蒸気に接触させる水蒸気処理工程とを備え、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の平版印刷版用支持体を製造する、平版印刷版用支持体の製造方法。
(10) アルミニウム板を陽極酸化する第1陽極酸化処理工程と、
上記第1陽極酸化処理工程で得られたアルミニウム板を陽極酸化する第2陽極酸化処理工程と、
上記第2陽極酸化処理工程で得られたアルミニウム板を150℃以上300℃未満の水蒸気に接触させる水蒸気処理工程とを備え、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の平版印刷版用支持体を製造する、平版印刷版用支持体の製造方法。
(11) 上記(1)〜(8)のいずれかに記載の平版印刷版用支持体上に、画像記録層を積層してなる平版印刷版原版。
本発明によれば、平版印刷版としたときに耐刷性に優れ、かつ、優れた機上現像性を示し、長期間保存してもポツ状汚れが生じることのない平版印刷版用原版を得ることができる、耐傷性に優れた平版印刷版用支持体、およびその製造方法を提供することができる。
本発明の平版印刷版用支持体の一実施形態の模式的断面図である。 本発明の平版印刷版用支持体の一実施形態の別態様の模式的断面図である。 本発明の平版印刷版用支持体の一実施形態の別態様の模式的断面図である。 本発明の平版印刷版用支持体の一実施形態の別態様の模式的断面図である。 本発明の平版印刷版用支持体の製造方法を工程順に示すアルミニウム板および陽極酸化皮膜の模式的断面図である。 本発明の平版印刷版用支持体の製造方法における電気化学的粗面化処理に用いられる交番波形電流波形図の一例を示すグラフである。 本発明の平版印刷版用支持体の製造方法における交流を用いた電気化学的粗面化処理におけるラジアル型セルの一例を示す側面図である。 本発明の平版印刷版用支持体の作製における機械粗面化処理に用いられるブラシグレイニングの工程の概念を示す側面図である。 本発明の平版印刷版用支持体の作製における陽極酸化処理に用いられる陽極酸化処理装置の概略図である。
以下、本発明の平版印刷版用支持体、およびその製造方法の好適実施態様について説明する。
まず、本発明の従来技術と比較した特徴点について説明する。
本発明の平版印刷版用支持体は、アルミニウム板とその上に形成される陽極酸化皮膜とを備え、上記陽極酸化皮膜中のマイクロポアが、所定の大きさの開口径を有する大径孔部と、所定の大きさの開口径を有する小径孔部とが深さ方向に沿って連結したものであり、上記小径孔部の内部の少なくとも一部がベーマイト(Al23・H2O、または、AlO(OH))からなる突起状物(以下、ベーマイト突起状物とも称する)によって封孔され、上記大径孔部の上記陽極酸化皮膜表面における平均径に対する、上記大径孔部の内部のベーマイトからなる突起状物の平均高さの比が所定値以下である点に特徴がある。
本発明の平版印刷版用支持体は、上記のとおり、その陽極酸化皮膜中に、所定の大きさの開口径を有する大径孔部を有するため、画像部との密着性、および機上現像時の非画像部の溶解除去性とのバランスが高く、結果として、上記支持体を用いて得られる平版印刷版は優れた耐刷性を示すとともに、上記支持体を用いて得られる平版印刷版原版は優れた機上現像性を示す。また、上記大径孔部に所定の大きさの開口径を有する小径孔部が深さ方向に沿って連結しているため、陽極酸化皮膜は特定の厚みを有し、耐傷性が担保されている。さらに、上記小径孔部の内部の少なくとも一部がベーマイト突起状物によって封孔されているため、上記支持体を用いて得られる平版印刷版原版を長期間保存したとしても、画像記録層中の水やイオンが陽極酸化皮膜中に滲入しにくく、アルミニウム板中に存在する金属間化合物との反応が抑制され、結果として、平版印刷版用支持体の腐食が抑制されて、優れた耐ポツ状汚れ性を示す。また、大径孔部の開口径に対する大径孔部内部のベーマイト突起状物の平均高さの比が所定値以下であるため、画像部との間に過剰のアンカー効果を有することなく、平版印刷版原版としたときに優れた機上現像性を示す。
図1は、本発明の平版印刷版用支持体の一実施形態の模式的断面図である。
同図に示す平版印刷版用支持体10は、アルミニウム板12とアルミニウムの陽極酸化皮膜14とをこの順で積層した積層構造を有する。陽極酸化皮膜14は、その表面からアルミニウム板12側に向かってのびるマイクロポア16を有し、マイクロポア16は大径孔部18と小径孔部20とから構成される。また、小径孔部20の内部の少なくとも一部は、ベーマイト突起状物100によって封孔されている。また、上記大径孔部の上記陽極酸化皮膜表面における平均径に対する、上記大径孔部の内部のベーマイト突起状物の平均高さの比が所定値以下である。
まず、アルミニウム板12および陽極酸化皮膜14について詳述する。
<アルミニウム板>
アルミニウム板12は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属であり、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。純アルミニウム板の他、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、またはアルミニウム(合金)がラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムもしくは紙の中から選ばれる。更に、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートでもかまわない。
以下の説明において、上記に挙げたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる板をアルミニウム板12と総称する。上記アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがあり、合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。
アルミニウム板12に含まれる金属間化合物の量は特に制限されないが、耐ポツ状汚れ性がより優れる理由から、0.500質量%以下が好ましく、0.100質量%以下がより好ましく、0.060質量%以下がさらに好ましく、0.050質量%以下がよりさらに好ましく、0.030質量%以下が特に好ましい。
なお、金属間化合物とは、アルミニウム中の合金成分の中で、アルミニウム中に固溶しないものが化合物(例えば、FeAl3、FeAl6、α−AlFeSi、TiAl3、CuAl2等)として、アルミニウム合金中に共晶の形で晶出したものをいう(「アルミニウム材料の基礎と工業技術」,社団法人軽金属協会発行、32頁等より)。また、通常、2種以上の金属元素から形成される化合物であって、成分原子比は必ずしも化学量論比にはならないことが知られている。
金属元素の2種以上からなる金属間化合物としては、例えば、Al3Fe、Al6Fe、Mg2Si、MnAl6、TiAl3、CuAl2等の2種の元素からなる金属間化合物;α−AlFeSi、β−AlFeSi等の3種の元素からなる金属間化合物;α−AlFeMnSi、β−AlFeMnSi等の4種の元素からなる金属間化合物が挙げられる。
<陽極酸化皮膜>
陽極酸化皮膜14は、陽極酸化処理によってアルミニウム板12の表面に形成される、皮膜表面に略垂直であり、個々が均一に分布した極微細なマイクロポア16を有する、陽極酸化アルミニウム皮膜を指す。
上記マイクロポア16は、アルミニウム板12とは反対側の陽極酸化皮膜表面から厚み方向(アルミニウム板12側)に沿ってのびる。
陽極酸化皮膜14中のマイクロポア16は、陽極酸化皮膜表面から深さ5〜60nm(深さA:図1参照)の位置までのびる大径孔部18と、上記大径孔部18の底部と連通し、連通位置からさらに深さ890〜2000nmの位置までのびる小径孔部20とから構成される。
以下に、大径孔部18と小径孔部20について詳述する。
(大径孔部)
大径孔部18の陽極酸化皮膜表面における平均径B(平均開口径)(以下、大径孔部18の平均径B、または単に平均径Bとも称する)は、10〜60nmである。平均径Bが上記範囲であると、平版印刷版としたときに耐刷性に優れ、かつ、優れた機上現像性を示す平版印刷版用原版を得ることができる平版印刷版用支持体となる。
平均径Bは、本発明の平版印刷版用支持体を用いて得られる平版印刷版原版の耐ポツ状汚れ性および機上現像性がより優れる理由から、10〜50nmであることが好ましく、15〜50nmであることがより好ましく、20〜50nmであることがさらに好ましい。
平均径Bが10nm未満の場合、アンカー効果が小さく、平版印刷版としたときに十分な耐刷性が得られない。また、平均径Bが60nmを超える場合、平版印刷版原版としたときに十分な機上現像性が得られない。
平均径Bは、陽極酸化皮膜14の表面を倍率15万倍のFE−SEMでN=4枚観察し、得られた4枚の画像において400×600nm2の範囲に存在するマイクロポア(大径孔部)の径を測定し、算術平均した値である。
なお、大径孔部18の陽極酸化皮膜表面における形状が円状でない場合は、円相当径を用いる。「円相当径」とは、開口部の形状を、開口部の投影面積と同じ投影面積をもつ円と想定したときの当該円の直径である。
大径孔部18の底部は、陽極酸化皮膜表面から深さ5〜60nm(深さA)に位置する。つまり、大径孔部18は、陽極酸化皮膜表面から深さ方向(厚み方向)に5〜60nmのびる孔部である。深さAが上記範囲であると、優れた機上現像性を示す平版印刷版用原版を得ることができる平版印刷版用支持体となる。深さAは、本発明の平版印刷版用支持体を用いて得られる平版印刷版原版の機上現像性がより優れる理由から、10〜55nmであることが好ましい。
深さAが5nm未満の場合、アンカー効果が小さく、平版印刷版としたときに十分な耐刷性が得られない。また、深さAが60nmを超える場合、平版印刷版原版としたときに十分な機上現像性が得られない。
深さAは、陽極酸化皮膜14の断面を倍率50万倍のFE−TEMで観察して、大径孔部の深さ(陽極酸化皮膜表面から連通位置までの距離)を25個以上(例えば、60個(N=60))測定し、それらを算術平均した値である。なお、陽極酸化皮膜の断面の観察方法は、公知の方法を適用できる(例えば、陽極酸化皮膜をFIB切削加工して、薄膜(約50nm)を作製し、陽極酸化皮膜の断面の観察を行う。)
大径孔部18の形状は特に限定されず、図1に示す略直管状(略円柱状)や、陽極酸化皮膜表面からアルミニウム板12側に向かって径が小さくなる逆円錐状(テーパー状)、陽極酸化皮膜表面からアルミニウム板12側に向かって径が大きくなる略円錐状(逆テーパー状)などが挙げられる。好ましくは、略直管状である。
大径孔部18の内径は特に制限されないが、通常、陽極酸化皮膜表面における開口径と同程度の大きさか、または開口径よりも小さい。なお、大径孔部18の内径は、通常、開口径と比較して1〜10nm程度の差があってもよい。
なお、大径孔部18の内部にベーマイト突起状物が存在する場合(図示せず)、大径孔部の平均径Bに対する、ベーマイト突起状物の平均高さkの比(k/B)は0.27以下である。本発明の平版印刷版用支持体はk/Bが上記範囲にあるため、平版印刷版原版としたときに優れた機上現像性を有する。なかでも、0.20以下が好ましく、0.12以下がより好ましく、実質的にベーマイト突起状物によって封孔されていないことがさらに好ましい。
すなわち、大径孔部18の内部にはベーマイト突起状物が存在しない(k/Bが0であること)か、または、存在する場合でもk/Bが0.27以下であることが必要である。
ここで、上記平均高さkとは、大径孔部の内部に存在するベーマイト突起状物の大径孔部18表面からの高さkの平均値をいう。なお、高さkは、突起状物の先端から基端までの最大長さに該当する。
大径孔部の内部のベーマイト突起状物の平均高さの測定方法は、後述する小径孔部の内部のベーマイト突起状物の平均高さの測定方法と同じである。
(小径孔部)
小径孔部20は、図1に示すように、大径孔部18の底部と連通して、連通位置よりさらに深さ方向(厚み方向)に延びる孔部である。ひとつの小径孔部20は、通常ひとつの大径孔部18と連通するが、2つ以上の小径孔部20がひとつの大径孔部18の底部と連通していてもよい。
小径孔部20の連通位置における平均径C(以下、小径孔部20の平均径C、または単に平均径Cとも称する)は、上記大径孔部18の平均径Bよりも小さく、大径孔部18の平均径Bに対する小径孔部20の連通位置における平均径Cの比(C/B)は0.85以下である。上記範囲であると、優れた機上現像性を示す平版印刷版用原版を得ることができる平版印刷版用支持体となる。
上記の比(C/B)は、本発明の平版印刷版用支持体を用いて得られる平版印刷版原版の耐ポツ状汚れ性がより優れる理由から、0.70以下であることが好ましく、0.40以下であることがより好ましい。下限は特に制限されないが、製造のしやすさの点で、0.02以上が好ましく、0.10以上がより好ましい。
平均径Cは、本発明の平版印刷版用支持体を用いて得られる平版印刷版原版の耐ポツ状汚れ性がより優れる理由から、20nm未満であることが好ましく、15nm以下であることがより好ましく、5〜10nmであることがさらに好ましい。
なお、大径孔部のみが存在し、小径孔部が存在しない場合、得られる平版印刷版用支持体の耐傷性は不十分となる。
平均径Cは、陽極酸化皮膜14の断面を倍率50万倍のFE−TEMで観察して、マイクロポア(小径孔部)の径(大径孔部18との連通位置における径(直径))を60個(N=60)測定し、それらを算術平均した値である。なお、陽極酸化皮膜の断面の観察方法は、公知の方法を適用できる(例えば、陽極酸化皮膜をFIB切削加工して、薄膜(約50nm)を作製し、陽極酸化皮膜の断面の観察を行う。)
なお、小径孔部20の連通位置における形状が円状でない場合は、円相当径を用いる。「円相当径」とは、連通位置における開口部の形状を、開口部の投影面積と同じ投影面積をもつ円と想定したときの当該円の直径である。
小径孔部20の底部は、上記大径孔部18との連通位置(上述した深さAに該当)からさらに深さ方向に890〜2000nmのびた場所に位置する。言い換えると、小径孔部20は、上記大径孔部18との連通位置からさらに深さ方向(厚み方向)に890〜2000nmのびる孔部である。本発明の平版印刷版用支持体を用いて得られる平版印刷版原版の機上現像性がより優れる理由から、底部は連通位置から900〜1500nmのびた場所に位置することが好ましい。
深さが890nm未満の場合、平版印刷版用原版としたときに機上現像性または耐傷性が劣る。深さが2000nmを超える場合、処理時間が長期化し、生産性および経済性に劣る。
なお、上記深さは、陽極酸化皮膜14の断面の写真(5万倍)をとり、25個以上の小径孔部の深さを測定し、算術平均した値である。
図1に示すように、本発明の平版印刷版用支持体においては、小径孔部20の内部の少なくとも一部がベーマイト突起状物100によって封孔されている。より詳細に見ると、小径孔部20の内部では、ベーマイト突起状物100は、酸化アルミニウムと水との水和反応によって、側面から生成して、側面に対して略垂直の方向に成長している。なお、図1中では、ベーマイト突起状物100の、先端から基端までの最大長さを高さhで示している。
小径孔部20がベーマイト突起状物100によって封孔された状態では、水分やイオンが陽極酸化皮膜14を透過しづらくなっている。
つまり、陽極酸化皮膜14上に画像記録層を形成することで平版印刷版原版とし、これを長期間保存したとしても、画像記録層中に含まれる水分やイオンがアルミニウム板12に到達しないため、アルミニウム板12は腐食されず、ポツ状汚れの発生が抑制される。
小径孔部20の平均径Cに対する、ベーマイト突起状物100の平均高さhの比(h/C)は、本発明の平版印刷版用支持体を用いて得られる平版印刷版原版の耐ポツ状汚れ性がより優れる理由から、0.2〜1.0が好ましく、0.5〜1.0がより好ましく、0.7〜1.0がさらに好ましく、0.9〜1.0が特に好ましい。
ここで、上記平均高さhとは、小径孔部20を封孔するベーマイト突起状物100の先端から基端までの最大長さ(高さh)の平均値をいう。
なお、ベーマイト突起状物100の平均高さhは、FIBを用いて平版印刷版用支持体の超薄切片を作製した後、得られた切片をFE−TEMで観察(80万倍)し、25個以上の小径孔部についてベーマイト突起状物の高さhを測定して算術平均することで求めることができる。
小径孔部20の内部のベーマイト突起状物による封孔率は、本発明の平版印刷版用支持体を用いて得られる平版印刷版原版の耐ポツ状汚れ性がより優れる理由から、3%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ましく、75%以上がよりさらに好ましい。
ここで、小径孔部の封孔率とは、小径孔部がベーマイト突起状物によって封孔されることによる、小径孔部の比表面積の減少率を表す。
具体的には、封孔率は下記の方法により求めることができる。
まず、大径孔部と小径孔部とから構成されるマイクロポアを有する支持体に封孔処理を施し、封孔前の比表面積p1と封孔後の比表面積p2を測定する。
次に、上記大径孔部のみから構成されるマイクロポアを有する支持体を作製し、上記と同条件の封孔処理を行い、上記支持体の封孔前の比表面積q1と封孔後の比表面積q2を測定する。
封孔前の小径孔部の比表面積はp1−q1で表される。また、封孔後の小径孔部の比表面積はp2−q2で表される。
得られた比表面積から、下記式により封孔率が求められる。
(封孔率(%))=[{(p1−q1)−(p2−q2)}/(p1−q1)]×100
なお、比表面積は、窒素吸着量を測定して、BET法により求めた値である。
小径孔部20の形状は特に限定されず、略直管状(略円柱状)や、深さ方向に向かって径が小さくなる円錐状、または、深さ方向(厚み方向)に分岐しながらのびる樹枝状などが挙げられ、好ましくは略直管状である。また、小径孔部20の底部の形状は特に限定されず、曲面状(凸状)であっても、平面状であってもよい。
小径孔部20の内径は特に制限されないが、通常、連通位置における径と同程度の大きさか、またはそれよりも小さくても大きくてもよい。なお、小径孔部20の内径は、通常、連通位置における径と比較して1〜10nm程度の差があってもよい。
(バリア層)
小径孔部20の底部からアルミニウム板12表面までの陽極酸化皮膜の厚み(図1中、厚みXに該当)は特に制限されないが、本発明の平版印刷版用支持体を用いて得られる平版印刷版原版の耐ポツ状汚れ性がより優れる理由から、5nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましく、100nm以下が好ましく、80nm以下がより好ましい。厚みXに位置する陽極酸化皮膜部分は、バリア層と呼ばれることもある。
なお、上記バリア層の厚みは、陽極酸化皮膜14の断面のSEM写真(15万倍)を撮り、バリア層の厚みを25箇所以上測定し、算術平均した値である。
(他の実施形態)
本発明の平版印刷版用支持体の実施形態は図1に示した態様に限定されない。例えば、他の態様として、図2で示すように、小径孔部20aが樹枝状である態様が挙げられる。該態様であれば、機上現像性の点で優れる。
この場合、小径孔部20aは、深さ方向に沿って、1つまたは複数の分岐点を有している。小径孔部20aに含まれる分岐点の数は特に制限されず、適宜調整される。なお、図2においては、分岐点は3つある。
図2において、小径孔部20aが分岐点において二股に分岐しているが、分岐枝数は特に制限されない。例えば、分岐点から3つに分岐していてもよい。
陽極酸化皮膜の深さ方向(厚み方向)における分岐点間の距離は特に制限されず、適宜調整可能である。
また、他の態様として、図3に示すように、大径孔部18bが陽極酸化皮膜表面からアルミニウム板12側に向かって径が大きくなる略円錐状(逆テーパー状)であってもよい。言い換えれば、大径孔部18bの径は、陽極酸化皮膜表面からアルミニウム板側に向かって漸増する。大径孔部18bが上記構造をとることにより、耐刷性の点で優れる。
大径孔部18bの陽極酸化皮膜表面における平均径(表層平均径)と、小径孔部20との連通位置における平均径(底部平均径)との差は1nm以上であることが好ましい。上記範囲内であれば、小径孔部の選択的封孔の観点で優れる。なかでも、耐刷性がより優れる点で、1nm以上であることが好ましく、10〜30nmであることがより好ましい。
また、大径孔部18bの底部の形状は特に限定されず、曲面状(凸状)であっても、平面状であってもよい。
なお、他の態様として、図4に示すように、大径孔部18cが逆テーパー状、小径孔部20cが樹枝状であってもよい。
<平版印刷版用支持体の製造方法>
以下に本発明の平版印刷版用支持体の製造方法について説明する。
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法は特に限定されないが、以下の工程を順番に実施する製造方法が好ましい。
(粗面化処理工程)アルミニウム板に粗面化処理を施す工程
(第1陽極酸化処理工程)粗面化処理されたアルミニウム板を陽極酸化する工程
(ポアワイド処理工程)第1陽極酸化処理工程で得られた陽極酸化皮膜を有するアルミニウム板を、酸水溶液またはアルカリ水溶液に接触させ、上記陽極酸化皮膜中のマイクロポアの径を拡大させる工程
(第2陽極酸化処理工程)ポアワイド処理工程で得られたアルミニウム板を陽極酸化する工程
(第3陽極酸化処理工程)第2陽極酸化処理工程で得られたアルミニウム板を陽極酸化する工程
(水蒸気処理工程)第3陽極酸化処理工程で得られたアルミニウム板に水蒸気処理を施す工程
(親水化処理工程)水蒸気処理工程後のアルミニウム板に親水化処理を施す工程
以下に上記各工程について詳述する。なお、粗面化処理工程、ポアワイド処理工程、第3陽極酸化処理工程および親水化処理工程は、発明の効果上、必要がなければ実施しなくてもよい。また、図5において、第1陽極酸化処理工程から水蒸気処理工程までを工程順に示す基板および陽極酸化皮膜の模式的断面図を示す。
<粗面化処理工程>
粗面化処理工程は、上述したアルミニウム板の表面に、電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を施す工程である。粗面化処理工程は、後述する第1陽極酸化処理工程の前に実施されることが好ましいが、アルミニウム板の表面がすでに好ましい表面形状を有していれば、特に実施しなくてもよい。
粗面化処理は、電気化学的粗面化処理のみを施してもよいが、電気化学的粗面化処理と機械的粗面化処理および/または化学的粗面化処理とを組み合わせて施してもよい。
機械的粗面化処理と電気化学的粗面化処理とを組み合わせる場合には、機械的粗面化処理の後に、電気化学的粗面化処理を施すのが好ましい。
本発明においては、電気化学的粗面化処理は、硝酸や塩酸の水溶液中で施すのが好ましい。
機械的粗面化処理は、一般的には、アルミニウム板の表面を表面粗さRa:0.35〜1.0μmとする目的で施される。
本発明においては、機械的粗面化処理の諸条件は特に限定されないが、例えば、特公昭50−40047号公報に記載されている方法に従って施すことができる。機械的粗面化処理は、パミストン懸濁液を使用したブラシグレイン処理により施したり、転写方式で施したりすることができる。
また、化学的粗面化処理も特に限定されず、公知の方法に従って施すことができる。
機械的粗面化処理の後には、以下の化学エッチング処理を施すのが好ましい。
機械的粗面化処理の後に施される化学エッチング処理は、アルミニウム板の表面の凹凸形状のエッジ部分をなだらかにし、印刷時のインキの引っかかりを防止し、平版印刷版の耐汚れ性を向上させるとともに、表面に残った研磨材粒子等の不要物を除去するために行われる。
化学エッチング処理としては、酸によるエッチングやアルカリによるエッチングが知られているが、エッチング効率の点で特に優れている方法として、アルカリ溶液を用いる化学エッチング処理(以下、「アルカリエッチング処理」ともいう。)が挙げられる。
アルカリ溶液に用いられるアルカリ剤は、特に限定されないが、例えば、カセイソーダ、カセイカリ、メタケイ酸ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、グルコン酸ソーダ等が好適に挙げられる。
また、各アルカリ剤は、アルミニウムイオンを含有してもよい。アルカリ溶液の濃度は、0.01質量%以上であるのが好ましく、3質量%以上であるのがより好ましく、また、30質量%以下であるのが好ましく、25質量%以下であるのがより好ましい。
更に、アルカリ溶液の温度は室温以上であるのが好ましく、30℃以上であるのがより好ましく、80℃以下であるのが好ましく、75℃以下であるのがより好ましい。
エッチング量は、0.1g/m2以上であるのが好ましく、1g/m2以上であるのがより好ましく、また、20g/m2以下であるのが好ましく、10g/m2以下であるのがより好ましい。
また、処理時間は、エッチング量に対応して2秒〜5分であるのが好ましく、生産性向上の点から2〜10秒であるのがより好ましい。
本発明においては、機械的粗面化処理後にアルカリエッチング処理を施した場合、アルカリエッチング処理により生じる生成物を除去するために、低温の酸性溶液を用いて化学エッチング処理(以下、「デスマット処理」ともいう。)を施すのが好ましい。
酸性溶液に用いられる酸は、特に限定されないが、例えば、硫酸、硝酸、塩酸が挙げられる。酸性溶液の濃度は、1〜50質量%であるのが好ましい。また、酸性溶液の温度は、20〜80℃であるのが好ましい。酸性溶液の濃度および温度がこの範囲であると、本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版の耐ポツ状汚れ性がより向上する。
本発明においては、上記粗面化処理は、所望により機械的粗面化処理および化学エッチング処理を施した後に、電気化学的粗面化処理を施す処理であるが、機械的粗面化処理を行わずに電気化学的粗面化処理を施す場合にも、電気化学的粗面化処理の前に、カセイソーダ等のアルカリ水溶液を用いて化学エッチング処理を施すことができる。これにより、アルミニウム板の表面近傍に存在する不純物等を除去することができる。
電気化学的粗面化処理は、アルミニウム板の表面に微細な凹凸(ピット)を付与することが容易であるため、印刷性の優れた平版印刷版を作るのに適している。
電気化学的粗面化処理は、硝酸または塩酸を主体とする水溶液中で、直流または交流を用いて行われる。
また、電気化学的粗面化処理の後には、以下の化学エッチング処理を行うのが好ましい。電気化学的粗面化処理後のアルミニウム板の表面には、スマットや金属間化合物が存在する。電気化学的粗面化処理の後に行われる化学エッチング処理においては、特にスマットを効率よく除去するため、まず、アルカリ溶液を用いて化学エッチング処理(アルカリエッチング処理)をするのが好ましい。アルカリ溶液を用いた化学エッチング処理の諸条件は、処理温度は20〜80℃であるのが好ましく、また、処理時間は1〜60秒であるのが好ましい。また、アルカリ溶液中にアルミニウムイオンを含有するのが好ましい。
更に、電気化学的粗面化処理後にアルカリ溶液を用いる化学エッチング処理を行った後、それにより生じる生成物を除去するために、低温の酸性溶液を用いて化学エッチング処理(デスマット処理)を行うのが好ましい。
また、電気化学的粗面化処理後にアルカリエッチング処理を行わない場合においても、スマットを効率よく除去するため、デスマット処理を行うのが好ましい。
本発明においては、上述した化学エッチング処理は、いずれも浸せき法、シャワー法、塗布法等により行うことができ、特に限定されない。
<第1陽極酸化処理工程>
第1陽極酸化処理工程は、上述した粗面化処理が施されたアルミニウム板に陽極酸化処理を施すことにより、アルミニウム板表面に深さ方向(厚み方向)にのびるマイクロポアを有するアルミニウムの酸化皮膜を形成する工程である。この第1陽極酸化処理により、図5(A)に示されるように、アルミニウム板12の表面に、マイクロポア16aを有するアルミニウムの陽極酸化皮膜14aが形成される。
第1陽極酸化処理は、この分野で従来から行われている方法で行うことができるが、上述したマイクロポア16を最終的に形成できるように適宜製造条件が設定される。
具体的には、第1陽極酸化処理工程において形成されるマイクロポア16aの平均径(平均開口径)は、通常、4〜14nm程度であり、好ましくは5〜10nmである。上記範囲内であれば、上述した所定の形状を有するマイクロポア16が形成しやすく、得られる平版印刷版および平版印刷版原版の性能もより優れる。
また、マイクロポア16aの深さは、通常、10nm以上100nm未満程度であり、好ましくは20〜60nmである。上記範囲内であれば、上述した所定の形状を有するマイクロポア16が形成しやすく、得られる平版印刷版および平版印刷版原版の性能もより優れる。
第1陽極酸化処理工程においては、硫酸、リン酸、シュウ酸、等の水溶液を主に電解浴として用いることができる。場合によっては、クロム酸、スルファミン酸、ベンゼンスルフォン酸等またはこれらの二種以上を組み合わせた水溶液または非水溶液を用いることもできる。上記のような電解浴中でアルミニウム板に直流または交流を流すと、アルミニウム板表面に陽極酸化皮膜を形成することができる。
なお、電解浴にはアルミニウムイオンが含まれていてもよい。アルミニウムイオンの含有量は特に限定されないが、1〜10g/Lが好ましい。
陽極酸化処理の条件は使用される電解液によって適宜設定されるが、一般的には、電解液の濃度が1〜80質量%(好ましくは5〜20質量%)、液温5〜70℃(好ましくは10〜60℃)、電流密度0.5〜60A/dm2(好ましくは5〜50A/dm2)、電圧1〜100V(好ましくは5〜50V)、電解時間1〜100秒(好ましくは5〜60秒)の範囲が適当である。
これらの陽極酸化処理のうちでも特に、英国特許第1,412,768号明細書に記載されている、硫酸中にて高電流密度で陽極酸化する方法が好ましい。
<ポアワイド処理工程>
ポアワイド処理工程は、上述した第1陽極酸化処理工程により形成された陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの径(ポア径)を拡大させる処理(孔径拡大処理)である。このポアワイド処理により、図5(B)に示されるように、マイクロポア16aの径が拡大され、より大きな平均径を有するマイクロポア16bを有する陽極酸化皮膜14bが形成される。
このポアワイド処理により、マイクロポア16bの平均径は、10〜60nm(好ましくは、10〜50nm)の範囲まで拡大される。なお、このマイクロポア16bは、上述した大径孔部18に該当する部分となる。
また、該処理により、マイクロポア16bの表面からの深さは、上述した深さAと同程度となるように調整することが好ましい。
ポアワイド処理は、上述した第1陽極酸化処理工程により得られたアルミニウム板を、酸水溶液またはアルカリ水溶液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。
ポアワイド処理工程においてアルカリ水溶液を使用する場合、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリ水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1〜5質量%であるのが好ましい。
なお、アルカリ水溶液のpHを11〜13に調整した後、10〜70℃(好ましくは20〜50℃)の条件下で、アルミニウム板をアルカリ水溶液に1〜300秒(好ましくは1〜50秒)接触させることが適当である。
この際、アルカリ処理液中に炭酸塩、硼酸塩、燐酸塩等の多価弱酸の金属塩を含んでもよい。
ポアワイド処理工程において酸水溶液を使用する場合、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。酸水溶液の濃度は、1〜80質量%が好ましく、より好ましくは5〜50質量%である。
なお、酸水溶液の液温5〜70℃(好ましくは10〜60℃)の条件下で、アルミニウム板を酸水溶液に1〜300秒(好ましくは1〜150秒)接触させることが適当である。
なお、アルカリ水溶液または酸水溶液中にはアルミニウムイオンが含まれていてもよい。アルミニウムイオンの含有量は特に限定されないが、1〜10g/Lが好ましい。
<第2陽極酸化処理工程>
第2陽極酸化処理工程は、上述したポアワイド処理が施されたアルミニウム板に陽極酸化処理を施すことにより、より深さ方向(厚み方向)にのびたマイクロポアを形成する工程である。この第2陽極酸化処理工程により、図5(C)に示されるように、深さ方向にのびたマイクロポア16cを有する陽極酸化皮膜14cが形成される。
この第2陽極酸化処理工程によって、平均径が拡大されたマイクロポア16bの底部に連通し、平均径がマイクロポア16b(大径孔部18に該当)の平均径より小さく、連通位置から深さ方向にのびる新たな孔部が形成される。新たに形成される孔部が、上述した小径孔部20に該当する。
第2陽極酸化処理工程においては、ポアワイド処理後の大径孔部の平均径Bに対して、新たに形成される小径孔部の連通位置における平均径Cの比(C/B)が0.85以下で、大径孔部18との連通位置からの深さが上述した所定範囲になるように処理が実施される。なお、処理に使用される電解浴は上記の第1陽極酸化処理工程と同じであり、処理条件としては使用される材料に応じて適宜設定される。
陽極酸化処理の条件は使用される電解液によって適宜設定されるが、一般的には、電解液の濃度が1〜80質量%(好ましくは5〜20質量%)、液温5〜70℃(好ましくは10〜60℃)、電流密度0.5〜60A/dm2(好ましくは1〜30A/dm2)、電圧1〜100V(好ましくは5〜50V)、電解時間1〜100秒(好ましくは5〜60秒)の範囲が適当である。
なお、図2で示したような樹枝状の小径孔部を製造する際には、第2陽極酸化処理工程において電流密度を漸減させながら処理を行う方法が挙げられる。この処理では、走査波形は単純減少のパターンを示す。なお、その際の初期電流密度は使用される電解液の種類によっても異なるが、10〜30A/dm2程度の場合が多い。
また、電流密度の漸減の程度は特に制限されないが、小径孔部の分岐点がより多くなる点より、初期電流密度の25〜95%程度(30〜60%程度が好ましい)になるまで電流密度を漸減させることが好ましい。
また、走査時間は使用される電解液の種類などによって異なるが、0.1〜30秒程度であることが好ましい。
第2陽極酸化処理工程により得られる陽極酸化皮膜の膜厚は、通常、890〜2000nmであり、好ましくは900〜1500nmである。上記範囲内であれば、得られる平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版原版の機上現像性に優れる。
また、第2陽極酸化処理工程により得られる陽極酸化皮膜の皮膜量は、通常、2.2〜5.4g/m2であり、好ましくは2.2〜4.0g/m2である。上記範囲内であれば、得られる平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版の耐刷性および平版印刷版原版の機上現像性に優れる。
第1陽極酸化処理工程により得られる陽極酸化皮膜の厚み(皮膜厚み1)と、第2陽極酸化処理工程により得られる陽極酸化皮膜の厚み(皮膜厚み2)との比(皮膜厚み1/皮膜厚み2)は、0.01〜0.15が好ましく、0.02〜0.10がより好ましい。上記範囲内であれば、平版印刷版用支持体の耐傷性に優れる。
<第3陽極酸化処理工程>
第3陽極酸化処理工程は、上述した第2陽極酸化処理が施されたアルミニウム板にさらに陽極酸化処理を施すことにより、主に、小径孔部の底部とアルミニウム板との間に位置する陽極酸化皮膜の厚み(バリア層の厚み)を大きくする工程である。この第3陽極酸化処理工程において、第2陽極酸化処理の電流密度よりも高い電流密度で処理することによりバリア層が厚膜化し、図5(D)に示されるように、厚みXが所定の大きさになる。
また、第2陽極酸化処理の電流密度と同じか、または第2陽極酸化処理の電流密度よりも低い電流密度で処理した場合、第2陽極酸化処理により形成されたマイクロポアから分岐して、樹岐状のマイクロポアが形成される。
なお、上述したように、第2陽極酸化処理工程において、すでに所望の形状のマイクロポアが得られている場合は、第3陽極酸化処理工程は実施しなくてもよい。
また、使用される電解液の種類も特に限定されず、上述した電解液を使用することができる。例えば、ホウ酸を含む水溶液を電解浴として用いることにより、第2陽極酸化処理で得られた小径孔部の形状を変えることなく、効率よく厚みXを大きくすることができる。
また、第3陽極酸化処理工程により得られる陽極酸化皮膜の皮膜量は、通常、0.13〜0.65g/m2であり、好ましくは0.26〜0.52g/m2である。上記範囲内であれば、該工程を経て得られる平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版の耐刷性、放置払い性、および、耐ポツ汚れ性、並びに、平版印刷版原版の機上現像性に優れる。
なお、第3陽極酸化処理工程を実施することにより、マイクロポアがよりアルミニウム板側にのびてもよい。
<水蒸気処理工程>
水蒸気処理工程は、第2陽極酸化処理工程後のアルミニウム板を水蒸気に接触させる工程である。
ここで、上記水蒸気処理工程における水蒸気の温度は、150℃以上300℃未満である。
上記水蒸気処理工程により、小径孔部を形成する酸化アルミニウムと水が反応し、図5(E)に示されるように、小径孔部の側面から、ベーマイト突起状物100が小径孔部の平均径Cの方向に成長して、ベーマイト突起状物により封孔されたマイクロポア16eを有する陽極酸化皮膜14eが形成される。
水蒸気の温度が150℃未満の場合、大径孔部の内部に生じるベーマイト突起状物の平均高さkと大径孔部の平均径Bとの比(k/B)が0.27超となり、このような平版印刷版用支持体を用いて得られる平版印刷版原版は機上現像性に劣る。
また、水蒸気の温度が300℃以上の場合、小径孔部の内部が乾燥することで、小径孔部の内部にベーマイトが生成せず、本発明の平版印刷版用支持体を得ることができない。
水蒸気処理における水蒸気の温度は、耐ポツ状汚れ性がより優れる理由から、150〜240℃であることが好ましく、170〜230℃であることがより好ましい。
水蒸気処理における水蒸気の圧力は、耐ポツ状汚れ性がより優れる理由から、0.3〜1atmであることが好ましく、0.5〜1atmであることがより好ましい。
水蒸気処理の処理時間は、耐ポツ状汚れ性がより優れる理由から、1秒以上であることが好ましく、3秒以上であることがより好ましく、7秒以上であることがさらに好ましく、15秒以上であることがよりさらに好ましい。上限は特に制限されないが、生産性の点から、1分以下が好ましく、30秒以下がより好ましい。
上記水蒸気処理において、上記アルミニウム板に水蒸気を接触させる方法としては、特に限定されないが、例えば、湯沸し方式で発生させた水蒸気をボックス内に充填し、上記アルミニウム板を走らせる方法;蒸気ノズルから水蒸気を上記アルミニウム板に直接吹きかける方法;等が挙げられる。
<親水化処理工程>
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法は、上述した水蒸気処理工程の後、親水化処理を施す親水化処理工程を有していてもよい。なお、親水化処理としては、特開2005−254638号公報の段落[0109]〜[0114]に開示される公知の方法が使用できる。
なお、ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液に浸漬させる方法、親水性ビニルポリマーまたは親水性化合物を塗布して親水性の下塗層を形成させる方法等により、親水化処理を行うのが好ましい。
ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液による親水化処理は、米国特許第2,714,066号明細書および米国特許第3,181,461号明細書に記載されている方法および手順に従って行うことができる。
<乾燥工程>
上述した工程により得られた平版印刷版用支持体を得た後、後述する画像記録層を設ける前に、平版印刷版用支持体の表面を乾燥させる処理(乾燥工程)を施すのが好ましい。
乾燥は、表面処理の最後の処理の後、水洗処理およびニップローラーで液切りしてから行うのが好ましい。具体的な条件としては特に制限されないが、熱風(50〜200℃)、または、冷風自然乾燥法等で乾燥することが好ましい。
<平版印刷版原版>
本発明の平版印刷版用支持体には、以下に例示する感光層、感熱層等の画像記録層を設けて本発明の平版印刷版原版とすることができる。画像記録層は、特に限定されないが、例えば、特開2003−1956号公報の段落[0042]〜[0198]に記載される、コンベンショナルポジタイプ、コンベンショナルネガタイプ、フォトポリマータイプ、サーマルポジタイプ、サーマルネガタイプ、機上現像可能な無処理タイプが好適に挙げられる。
以下、好適な画像記録層について、詳細に説明する。
<画像記録層>
本発明の平版印刷版原版に用いることができる好ましい画像記録層としては、印刷インキおよび/または湿し水により除去可能なものであり、具体的には、赤外線吸収剤と、重合開始剤と、重合性化合物を有し、赤外線の照射により記録可能な画像記録層であるのが好ましい。
本発明の平版印刷版原版においては、赤外線の照射により画像記録層の露光部が硬化して疎水性(親油性)領域を形成し、かつ、印刷開始時に未露光部が湿し水、インキまたは湿し水とインキとの乳化物によって支持体上から速やかに除去される。
以下、画像記録層の各構成成分について説明する。
(赤外線吸収剤)
本発明の平版印刷版原版を、760〜1200nmの赤外線を発するレーザーを光源として画像形成する場合には、通常、赤外線吸収剤を用いる。
赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能と赤外線により励起して後述する重合開始剤(ラジカル発生剤)に電子移動/エネルギー移動する機能を有する。
本発明において使用することができる赤外線吸収剤は、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料または顔料である。
染料としては、市販の染料や、例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。
具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。例えば、特開2009-255434号公報の段落[0096]〜[0107]に開示される染料を好適に使用することができる。
一方、顔料としては、例えば、特開2009-255434号公報の段落[0108]〜[0112]に記載される顔料が利用できる。
(重合開始剤)
上記重合開始剤は、光、熱あるいはその両方のエネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進する化合物であり、本発明においては、熱によりラジカルを発生する化合物(熱ラジカル発生剤)を使用するのが好ましい。
上記重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などを使用することができる。
重合開始剤としては、例えば、特開2009-255434号公報の段落[0115]〜[0141]に記載される重合開始剤などが利用できる。
なお、重合開始剤としてオニウム塩などが使用でき、反応性、安定性の面から上記オキシムエステル化合物あるいはジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩が好適なものとして挙げられる。
これらの重合開始剤は、画像記録層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%の割合で添加することができる。この範囲で、良好な感度と印刷時の非画像部の良好な汚れ難さが得られる。
(重合性化合物)
重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選択される。本発明においては、このような化合物は本発明の技術分野において広く知られるものを特に限定無く用いることができる。
重合性化合物としては、例えば、特開2009-255434号公報の段落[0142]〜[0163]に例示される重合性化合物などが使用できる。
また、イソシアネートとヒドロキシル基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適である。その具体例としては、特公昭48−41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(A)で示されるヒドロキシル基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R4)COOCH2CH(R5)OH (A)
(ただし、R4およびR5は、HまたはCH3を示す。)
重合性化合物は、画像記録層中の不揮発性成分に対して、好ましくは5〜80質量%、さらに好ましくは25〜75質量%の範囲で使用される。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。
(バインダーポリマー)
本発明においては、画像記録層には、画像記録層の皮膜形成性を向上させるためバインダーポリマーを用いることができる。
バインダーポリマーは従来公知のものを制限なく使用でき、皮膜性を有するポリマーが好ましい。このようなバインダーポリマーとしては、具体的には、例えば、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴム等が挙げられる。
バインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性を有していてもよい。バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の主鎖中または側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよい。
バインダーポリマーとしては、例えば、特開2009-255434号公報の段落[0165]〜[0172]に開示されるバインダーポリマーを使用することもできる。
バインダーポリマーの含有量は、画像記録層の全固形分に対して、5〜90質量%であり、5〜80質量%であるのが好ましく、10〜70質量%であるのがより好ましい。この範囲で、良好な画像部の強度と画像形成性が得られる。
また、重合性化合物とバインダーポリマーは、質量比で0.5/1〜4/1となる量で用いるのが好ましい。
(界面活性剤)
画像記録層には、印刷開始時の機上現像性を促進させるため、および、塗布面状を向上させるために界面活性剤を用いるのが好ましい。
界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、特開2009-255434号公報の段落[0175]〜[0179]に開示される界面活性剤などを使用できる。
界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
界面活性剤の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、0.001〜10質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましい。
画像記録層には、さらに必要に応じてこれら以外に種々の化合物を添加してもよい。例えば、特開2009-255434号公報の段落[0181]〜[0190]に開示される着色剤、焼き出し剤、重合禁止剤、高級脂肪酸誘導体、可塑剤、無機微粒子、低分子親水性化合物などが挙げられる。
<画像記録層の形成>
画像記録層は、必要な上記各成分を溶剤に分散または溶かして塗布液を調製した後、該塗布液を支持体上に塗布することにより形成される。ここで、使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
これらの溶剤は、単独または混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
また、塗布、乾燥後に得られる平版印刷版用支持体上の画像記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/m2が好ましい。この範囲で、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性が得られる。
塗布する方法としては、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
<下塗り層>
本発明の平版印刷版原版においては、上述した画像記録層と平版印刷版用支持体との間に下塗り層を設けることが望ましい。
下塗り層は、基板吸着性基、重合性基および親水性基を有するポリマーを含有することが好ましい。
基板吸着性基、重合性基および親水性基を有するポリマーとしては、吸着性基を有するモノマー、親水性基を有するモノマー、および、重合性反応基(架橋性基)を有するモノマーを共重合した下塗り層用高分子樹脂を挙げることができる。
下塗り層用高分子樹脂に使用できるモノマーとしては、例えば、特開2009-255434号公報の段落[0197]〜[0210]などに記載されるモノマーが挙げられる。
下塗り層の構成材料を含む下塗り層塗布液を支持体に塗布する方法としては、公知の種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2であるのが好ましく、1〜50mg/m2であるのがより好ましい。
<保護層>
本発明の平版印刷版原版においては、画像記録層における傷等の発生防止、酸素遮断、高照度レーザー露光時のアブレーション防止のため、必要に応じて、画像記録層の上に保護層を設けることができる。
保護層については、以前より種々検討がなされており、例えば、米国特許第3、458、311号明細書および特公昭55−49729号公報に詳細に記載されている。
また、保護層に用いられる材料としては、例えば、特開2009-255434号公報の段落[0213]〜[02227]などに記載される材料(水溶性高分子化合物、無機質の層状化合物など)を用いることができる。
調製された保護層塗布液を、支持体上に備えられた画像記録層の上に塗布し、乾燥して保護層を形成する。塗布溶剤はバインダーとの関連において適宜選択することができるが、水溶性ポリマーを用いる場合には、蒸留水、精製水を用いることが好ましい。保護層の塗布方法は、特に制限されるものではなく、例えば、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等が挙げられる。
保護層の塗布量としては、乾燥後の塗布量で、0.01〜10g/m2の範囲であることが好ましく、0.02〜3g/m2の範囲がより好ましく、最も好ましくは0.02〜1g/m2の範囲である。
上記のような画像記録層を有する本発明の平版印刷版原版は、平版印刷版としたときに優れた耐刷性を示しつつ、機上現像型の場合は機上現像性が向上した平版印刷版原版となる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<平版印刷版用支持体の製造>
厚さ0.3mmの材質1Sのアルミニウム合金板に対し、下記(A)から(O)の処理を施し、平版印刷版用支持体を製造した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施し、水洗処理の後にはニップローラーで液切りを行った。
(A)機械的粗面化処理(ブラシグレイン法)
図8に示したような装置を使って、パミストンの懸濁液(比重1.1g/cm3)を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転する束植ブラシにより機械的粗面化処理を行った。図8において、1はアルミニウム板、2および4はローラ状ブラシ(本実施例において、束植ブラシ)、3は研磨スラリー液、5、6、7および8は支持ローラである。
機械的粗面化処理は、研磨材のメジアン径(μm)を30μm、ブラシ本数を4本、ブラシの回転数(rpm)を250rpmとした。束植ブラシの材質は6・10ナイロンで、ブラシ毛の直径0.3mm、毛長50mmであった。ブラシは、φ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。束植ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。束植ブラシはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、束植ブラシをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して10kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。
(B)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレー管により吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。アルミニウム溶解量は、10g/m2であった。
(C)酸性水溶液中でのデスマット処理
次に、硝酸水溶液中でデスマット処理を行った。デスマット処理に用いる硝酸水溶液は、次工程の電気化学的な粗面化に用いた硝酸の廃液を用いた。その液温は35℃であった。デスマット液はスプレーにて吹き付けて3秒間デスマット処理を行った。
(D)電気化学的粗面化処理
硝酸電解60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、温度35℃、硝酸10.4g/Lの水溶液に硝酸アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した電解液を用いた。交流電源波形は図6に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図7に示すものを使用した。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。電気量(C/dm2)はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で185C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
(E)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%、アルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度50℃でスプレー管により吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。アルミニウム溶解量は、0.5g/m2であった。
(F)酸性水溶液中でのデスマット処理
次に、硫酸水溶液中でデスマット処理を行った。デスマット処理に用いる硫酸水溶液は、硫酸濃度170g/L、アルミニウムイオン濃度5g/Lの液を用いた。その液温は、60℃であった。デスマット液はスプレーにて吹き付けて3秒間デスマット処理を行った。
(G)電気化学的粗面化処理
塩酸電解60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。電解液は、液温35℃、塩酸6.2g/Lの水溶液に塩化アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した電解液を用いた。交流電源波形は図6に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図7に示すものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2であり、塩酸電解における電気量(C/dm2)はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で63C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
(H)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%、アルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度50℃でスプレー管により吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。アルミニウム溶解量は、0.1g/m2であった。
(I)酸性水溶液中でのデスマット処理
次に、硫酸水溶液中でデスマット処理を行った。具体的には、陽極酸化処理工程で発生した廃液(硫酸170g/L水溶液中にアルミニウムイオン5g/Lを溶解)を用い、液温35℃で4秒間デスマット処理を行った。デスマット液はスプレーにて吹き付けて3秒間デスマット処理を行った。
(J)第1段階の陽極酸化処理
図9に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第1段階の陽極酸化処理を行った。表1に示す条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜厚の陽極酸化皮膜を形成した。
なお、陽極酸化処理装置610において、アルミニウム板616は、図9中矢印で示すように搬送される。電解液618が貯溜された給電槽612にてアルミニウム板616は給電電極620によって(+)に荷電される。そして、アルミニウム板616は、給電槽612においてローラ622によって上方に搬送され、ニップローラ624によって下方に方向変換された後、電解液626が貯溜された電解処理槽614に向けて搬送され、ローラ628によって水平方向に方向転換される。ついで、アルミニウム板616は、電解電極630によって(−)に荷電されることにより、その表面に陽極酸化皮膜が形成され、電解処理槽614を出たアルミニウム板616は後工程に搬送される。陽極酸化処理装置610において、ローラ622、ニップローラ624およびローラ628によって方向転換手段が構成され、アルミニウム板616は、給電槽612と電解処理槽614との槽間部において、上記ローラ622、624および628により、山型および逆U字型に搬送される。給電電極620と電解電極630とは、直流電源634に接続されている。
(K)ポアワイド処理
上記第1段階の陽極酸化処理したアルミニウム板を、カセイソーダ濃度5質量%、アルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液に表1に示す条件にて浸漬し、ポアワイド処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。
なお、実施例21では上記ポアワイド処理は行わなかった。
(L)第2段階の陽極酸化処理
図9に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第2段階の陽極酸化処理を行った。表1に示す条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜厚の陽極酸化皮膜を形成した。
(M)第3段階の陽極酸化処理
図9に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第3段階の陽極酸化処理を行った。表1に示す条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜厚の陽極酸化皮膜を形成した。
上記第3段階の陽極酸化処理は、実施例13、21および22でのみ実施した。
(N)水蒸気処理
上記第2段階の陽極酸化処理の後に、表1に示す水蒸気温度(温度[℃])、処理時間(時間[秒])、および、圧力条件(圧力[atm])で、上記で得られたアルミニウム板に水蒸気処理を施した。蒸気で満たされたボックス内にアルミニウム板を入れ、アルミニウム板と蒸気とを接触させ処理を行った。水蒸気の温度および圧力条件は、ボックス内で測定した。なお、水蒸気処理を施さなかった場合には、「温度」「時間」「圧力」のいずれにも「−」を示す。
(O)シリケート処理
非画像部の親水性を確保するため、2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液を用いて50℃で7秒間ディップしてシリケート処理を施した。Siの付着量は10mg/m2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
上記(A)〜(O)までの処理を施すことで得られた平版印刷版用支持体について、以下のとおり、大径孔部の深さA、大径孔部の平均径B、大径孔部内部の突起状部の平均高さk、k/B、小径孔部の深さ、小径孔部の平均径C、C/B、小径孔部内部のベーマイト突起状物の平均高さh、h/C、封孔率およびバリア層の厚みを表2に示す。
なお、実施例1〜20、比較例1、3〜9のマイクロポアは、図1に示すように、大径孔部、小径孔部ともに直管状であった。実施例21のマイクロポアは、図4に示すように、大径孔部は逆テーパー状(底部平均径は表層平均径のおよそ2倍)、小径孔部は樹岐状であった。実施例22のマイクロポアは、図2に示すように、大径孔部は直管状、小径孔部は樹岐状であった。比較例2のマイクロポアは大径孔部のみであり、直管状であった。
(マイクロポアの平均径)
マイクロポアの大径孔部の平均径は、大径孔部表面を倍率15万倍のFE−SEMでN=4枚観察し、得られた4枚の画像において、400×600nm2の範囲に存在するマイクロポアの大径孔部の径を測定し、算術平均した値である。
マイクロポアの小径孔部の平均径は、陽極酸化皮膜の断面を倍率50万倍のFE−TEMで観察して、マイクロポアの小径孔部の径(マイクロポアの大径孔部との連通位置における径)を60個(N=60)測定し、それらを算術平均した値である。陽極酸化皮膜の断面の観察方法は、陽極酸化皮膜をFIB切削加工して、薄膜(約50nm)を作製して行った。
(マイクロポアの深さ)
マイクロポアの大径孔部の深さは、支持体(陽極酸化皮膜)の断面を倍率50万倍のFE−TEMで観察し、得られた画像において、任意のマイクロポア25個の深さを測定し、算術平均した値である。
マイクロポアの小径孔部の深さは、支持体(陽極酸化皮膜)の断面を5万倍のFE−SEMで観察し、得られた画像において、任意のマイクロポア25個の深さを測定し、算術平均した値である。
陽極酸化皮膜の断面の観察方法は、陽極酸化皮膜をFIB切削加工して、薄膜(約50nm)を作製して行った。
(ベーマイト突起状物の平均高さh、k)
ベーマイト突起状物の平均高さhは、FIBを用いて上記平版印刷版用支持体の超薄切片を作製した後、得られた切片をFE−TEMで観察(80万倍)し、25個の小径孔部についてベーマイト突起状物の先端から基端までの最大長さ(高さh)を測定して算術平均した値である。
同様に、ベーマイト突起状物の平均高さkは、FIBを用いて上記平版印刷版用支持体の超薄切片を作製した後、得られた切片をFE−TEMで観察(80万倍)し、25個の大径孔部についてベーマイト突起状物の先端から基端までの最大長さ(高さk)を測定して算術平均した値である。
(封孔率)
封孔率は下記の方法により求めた。
まず、大径孔部と小径孔部とから構成されるマイクロポアを有する支持体に封孔処理を施し、封孔前の比表面積p1と封孔後の比表面積p2を測定した。
次に、上記大径孔部のみから構成されるマイクロポアを有する支持体を作製し、上記と同条件の封孔処理を行い、上記支持体の封孔前の比表面積q1と封孔後の比表面積q2を測定した。
封孔前の小径孔部の比表面積はp1−q1で表される。また、封孔後の小径孔部の比表面積はp2−q2で表される。
得られた比表面積から、下記式により封孔率を求めた。
(封孔率(%))=[{(p1−q1)−(p2−q2)}/(p1−q1)]×100
なお、比表面積は、窒素吸着量を測定して、BET法により求めた値である。
(バリア層の厚み)
また、小径孔部の底部からアルミニウム板表面までの陽極酸化皮膜の厚み(バリア層厚)は、陽極酸化皮膜14の断面のSEM写真(15万倍)をとり、25箇所について測定し、算術平均した値である。
<平版印刷版原版の製造>
上記で製造した各平版印刷版用支持体に対し、下記下塗り層用塗布液を乾燥塗布量が28mg/m2になるよう塗布して、下塗り層を設けた。
<下塗り層用塗布液>
・下記構造の下塗り層用化合物(1) 0.18g
・ヒドロキシエチルイミノ二酢酸 0.10g
・メタノール 55.24g
・水 6.15g
次いで、上記のようにして形成された下塗り層上に、画像記録層塗布液をバー塗布した後、100℃60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の画像記録層を形成した。
全ての画像記録層塗布液は、各感光液およびミクロゲル液を塗布直前に混合し攪拌することにより得た。
<感光液>
・バインダーポリマー(1)〔下記構造〕 0.24g
・赤外線吸収剤(1)〔下記構造〕 0.030g
・ラジカル重合開始剤(1)〔下記構造〕 0.162g
・重合性化合物 トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(NKエステルA−9300、新中村化学社製) 0.192g
・低分子親水性化合物トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート
0.062g
・低分子親水性化合物(1)〔下記構造〕 0.052g
・感脂化剤
ホスホニウム化合物(1)〔下記構造〕 0.055g
・感脂化剤
ベンジル−ジメチル−オクチルアンモニウム・PF6塩 0.018g
・ベタイン化合物(C−1)〔下記構造〕 0.010g
・フッ素系界面活性剤(1)(平均重量分子量:1万)〔下記構造〕 0.008g
・メチルエチルケトン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
<ミクロゲル液>
・ミクロゲル(1) 2.640g
・蒸留水 2.425g
上記のバインダーポリマー(1)、赤外線吸収剤(1)、ラジカル重合開始剤(1)、ホスホニウム化合物(1)、低分子親水性化合物(1)およびフッ素系界面活性剤(1)の構造は、以下に示す通りである。
上記に記載のミクロゲル(1)は、以下のようにして合成されたものである。
<ミクロゲル(1)の合成>
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(タケネートD−110N、三井武田ケミカル社製)10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(SR444、日本化薬社製)3.15g、およびパイオニンA−41C(竹本油脂社製)0.1gを酢酸エチル17gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分および水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これを上記ミクロゲル(1)とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
次いで、上記のようにして形成された画像記録層上に、さらに下記組成の保護層塗布液をバー塗布した後、120℃60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.15g/m2の保護層を形成し、平版印刷版原版を得た。
<保護層用塗布液>
・無機質層状化合物分散液(1) 1.5g
・ポリビニルアルコール(CKS50、スルホン酸変性、けん化度99モル%以上、重合度300、日本合成化学工業社製)6質量%水溶液 0.55g
・ポリビニルアルコール(PVA−405、けん化度81.5モル%、重合度500、クラレ社製)6質量%水溶液 0.03g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン社製)1質量%水溶液
8.60g
・イオン交換水 6.0g
上記に記載の無機質層状化合物分散液(1)は、以下のようにして調製されたものである。
(無機質層状化合物分散液(1)の調製)
イオン交換水193.6gに合成雲母ソマシフME−100(コープケミカル(株)製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散した。得られた分散粒子のアスペクト比は100以上であった。
<平版印刷版原板の評価>
(機上現像性)
得られた平版印刷版原版を赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製Luxel PLATESETTER T−6000IIIにて、外面ドラム回転数1000rpm、レーザー出力70%、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像にはベタ画像および20μmドットFMスクリーンの50%網点チャートを含むようにした。
得られた露光済み原版を現像処理することなく、(株)小森コーポレーション製印刷機LITHRONE26の版胴に取り付けた。Ecolity−2(富士フイルム(株)製)/水道水=2/98(容量比)の湿し水とValues−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、LITHRONE26の標準自動印刷スタート方法で湿し水とインキとを供給して機上現像した後、毎時10000枚の印刷速度で、特菱アート(76.5kg)紙に印刷を100枚行った。
50%網点チャートの未露光部の印刷機上での機上現像が完了し、網点非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を機上現像性として計測した。機上現像性のよい方から順に、A(損紙20枚以下)、B(損紙21〜40枚)、C(損紙41枚以上)で表した。結果を表3に示す。なお、実用上、Cでないことが好ましい。
(耐ポツ状汚れ性)
得られた平版印刷版原版を、25℃、70%RHの環境下で1時間、合紙と共に調湿し、アルミクラフト紙で包装した後、60℃に設定したオーブンで15日間加熱を行った。
その後、室温まで温度を下げてから、上記同様の印刷機及び手法で機上現像したのち、印刷を500枚行った。500枚目の印刷物を目視により確認し、80cm2当たりの、20μm以上の印刷汚れの個数を算出した。
ポツ状汚れが、250個以上のものをE、150個以上250個未満のものをD、100個以上150個未満のものをC、50個以上100個未満のものをB、50個未満のものをAとした。結果を表3に示す。なお、実用上、Eでないことが好ましい。
(耐刷性)
上記同様の印刷機及び手法で機上現像したのち、さらに印刷を続けた。ベタ画像の濃度が薄くなり始めたと目視で認められた時点の印刷枚数により、耐刷性を評価した。印刷枚数が2万枚未満のものをC、2万枚以上3万枚未満のものをB、3万枚以上のものをA、で表した。結果を表3に示す。なお、実用上、Cでないことが好ましい。
(耐傷性)
平版印刷版用支持体の耐傷性は、得られた平版印刷版用支持体表面の引っ掻き試験により評価した。
引っ掻き試験は、連続加重式引っ掻き強度試験器(SB−53、新東科学社製)を用いて、サファイヤ針0.4mmφ、針の移動速度10cm/秒の条件下、加重100gで行った。
その結果、針によるキズがアルミニウム合金板(素地)の表面に達していないものを耐傷性に優れるものとしてA、達しているものをBとして表した。結果を表3に示す。なお、実用上、Bでないことが好ましい。
加重値が100gで耐傷性に優れる平版印刷版用支持体は、平版印刷版原版にしたときの巻き取り時および積層中における画像記録層へのキズの転写を抑制でき、非画像部の汚れを抑制することができる。
上記表3に示すように、本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版原版は、いずれも優れた耐ポツ状汚れ性および機上現像性を示した。また、本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版はいずれも優れた耐刷性を示した。さらに、本発明の平版印刷版用支持体はいずれも優れた耐傷性を示した。
特に、実施例1〜4の比較からわかるように、封孔率が高いほど優れた耐ポツ状汚れ性を示し、特に比(h/C)が0.5以上(言い換えれば、封孔率が30%以上)であればより優れた耐ポツ状汚れ性を示した。
また、実施例3、5および16の比較から、大径孔部の平均径Bが50nmを超える実施例5(平均径B=60nm)よりも、大径孔部の平均径Bが10〜50nmである実施例3(平均径B=25nm)、実施例16(平均径B=12nm)の方がより優れた機上現像性および耐ポツ状汚れ性を示した。
また、実施例3と7の比較、実施例4と8の比較から、小径孔部の平均径Cが15nmを超える実施例7、8(平均径C=16nm)よりも、小径孔部の平均径Cが15nm以下である実施例3、4(平均径C=8nm)の方がより優れた耐ポツ状汚れ性を示した。
また、実施例3、6、17および19の比較から、大径孔部の深さAが55nmを超える実施例19(深さA=60nm)よりも、大径孔部の深さAが10〜55nmの範囲である実施例3(深さA=50nm)、実施例6(深さA=55nm)、実施例17(深さA=12nm)の方がより優れた機上現像性を示した。
また、実施例3と13の比較から、バリア層の厚みが30nm未満の実施例3(バリア層の厚み=25nm)よりも、バリア層の厚みが30nm以上である実施例13(バリア層の厚み=35nm)の方がより優れた耐ポツ状汚れ性を示した。
また、実施例3、14および15の比較から、金属間化合物の含有量が少ないほど優れた耐ポツ状汚れ性を示し、特に金属間化合物の含有量が0.060質量%以下であればより優れた耐ポツ状汚れ性を示した。
一方、小径孔部の内部がベーマイト突起状物によって封孔されていない比較例1および7は耐ポツ状汚れ性が不十分、小径孔部を有さない比較例2は耐傷性が不十分、k/Bが0.27を超える比較例3は機上現像性が不十分、大径孔部の平均径が10nm未満である比較例4は耐刷性が不十分、大径孔部の平均径が60nmを超える比較例5は機上現像性が不十分、大径孔部の深さが60nmを超える比較例6は機上現像性が不十分、大径孔部の深さが5nm未満の比較例8は耐刷性が不十分、C/Bが0.85を超える比較例9は機上現像性が不十分であった。
1、12 アルミニウム板
2、4 ローラ状ブラシ
3 研磨スラリー液
5、6、7、8 支持ローラ
ta アノード反応時間
tc カソード反応時間
tp 電流が0からピークに達するまでの時間
Ia アノードサイクル側のピーク時の電流
Ic カソードサイクル側のピーク時の電流
10 平版印刷版用支持体
14、14a、14b、14c、14d、14e アルミニウム陽極酸化皮膜
16、16a、16b、16c、16d、16e マイクロポア
18、18b、18c 大径孔部
20、20a、20c 小径孔部
50 主電解槽
51 交流電源
52 ラジアルドラムローラ
53a、53b 主極
54 電解液供給口
55 電解液
56 補助陽極
60 補助陽極槽
100 ベーマイト突起状物
W アルミニウム板
610 陽極酸化処理装置
612 給電槽
614 電解処理槽
616 アルミニウム板
618、626 電解液
620 給電電極
622、628 ローラ
624 ニップローラー
630 電解電極
632 槽壁
634 直流電源

Claims (11)

  1. アルミニウム板と、その上にアルミニウムの陽極酸化皮膜とを備え、前記陽極酸化皮膜中に前記アルミニウム板とは反対側の表面から深さ方向にのびるマイクロポアを有する平版印刷版用支持体であって、
    前記マイクロポアが、前記陽極酸化皮膜表面から深さ5〜60nm(深さA)の位置までのびる大径孔部と、前記大径孔部の底部と連通し、連通位置から深さ890〜2000nmの位置までのびる小径孔部とから構成され、
    前記大径孔部の前記陽極酸化皮膜表面における平均径Bが10〜60nmであり、
    前記大径孔部の前記陽極酸化皮膜表面における平均径Bに対する、前記小径孔部の前記連通位置における平均径Cの比(C/B)が0.85以下であり、
    前記小径孔部の内部の少なくとも一部がベーマイトからなる突起状物によって封孔され、
    前記大径孔部の平均径Bに対する、前記大径孔部の内部のベーマイトからなる突起状物の平均高さkの比(k/B)が0.27以下である、平版印刷版用支持体。
  2. 前記小径孔部の平均径Cに対する、前記小径孔部の内部の前記突起状物の平均高さhの比(h/C)が0.5〜1.0である、請求項1に記載の平版印刷版用支持体。
  3. 前記小径孔部の封孔率が30%以上である、請求項1または2に記載の平版印刷版用支持体。
  4. 前記小径孔部の平均径Cが15nm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版用支持体。
  5. 前記小径孔部の底部から前記アルミニウム板表面までの陽極酸化皮膜の厚みが30nm以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の平版印刷版用支持体。
  6. 前記アルミニウム板中における金属間化合物の含有量が0.060質量%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の平版印刷版用支持体。
  7. 前記大径孔部の平均径Bが10〜50nmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の平版印刷版用支持体。
  8. 前記大径孔部の深さAが10〜55nmである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の平版印刷版用支持体。
  9. アルミニウム板を陽極酸化する第1陽極酸化処理工程と、
    前記第1陽極酸化処理工程で得られた陽極酸化皮膜を有するアルミニウム板を、酸水溶液またはアルカリ水溶液に接触させ、前記陽極酸化皮膜中のマイクロポアの径を拡大させるポアワイド処理工程と、
    前記ポアワイド処理工程で得られたアルミニウム板を陽極酸化する第2陽極酸化処理工程と、
    前記第2陽極酸化処理工程で得られたアルミニウム板を150℃以上300℃未満の水蒸気に接触させる水蒸気処理工程とを備え、請求項1〜8のいずれか1項に記載の平版印刷版用支持体を製造する、平版印刷版用支持体の製造方法。
  10. アルミニウム板を陽極酸化する第1陽極酸化処理工程と、
    前記第1陽極酸化処理工程で得られたアルミニウム板を陽極酸化する第2陽極酸化処理工程と、
    前記第2陽極酸化処理工程で得られたアルミニウム板を150℃以上300℃未満の水蒸気に接触させる水蒸気処理工程とを備え、請求項1〜8のいずれか1項に記載の平版印刷版用支持体を製造する、平版印刷版用支持体の製造方法。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の平版印刷版用支持体上に、画像記録層を積層してなる平版印刷版原版。
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