JPH11174663A - 平版印刷版用支持体とその製造方法 - Google Patents

平版印刷版用支持体とその製造方法

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JPH11174663A
JPH11174663A JP34770597A JP34770597A JPH11174663A JP H11174663 A JPH11174663 A JP H11174663A JP 34770597 A JP34770597 A JP 34770597A JP 34770597 A JP34770597 A JP 34770597A JP H11174663 A JPH11174663 A JP H11174663A
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JP
Japan
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oxide film
treatment
aluminum
printing plate
lithographic printing
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JP34770597A
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Takahiro Mori
孝博 森
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化皮膜が薄膜でも物理的強度に優れ、ボー
ルペン描画による画像部の脱落や非画像部のキズ付きや
インキの残りが抑えられ、現像時に酸化被膜の溶出、感
光層の残色が抑えられた平版印刷版用支持体とその製造
方法を提供する。 【解決手段】 粗面化され陽極酸化されたアルミニウム
支持体において、酸化被膜表面の孔数が400〜700
個/μm2であり、酸化皮膜とアルミとの界面の孔数が
700〜1500個/μm2であることを特徴とする平
版印刷版用支持体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版用支持
体と平版印刷版用支持体の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、平版印刷版は、アルミニウム板上
に感光性組成物を薄層状に塗設した感光性平版印刷版を
画像露光後、現像して得られる。上記アルミニウム板は
通常ブラシグレイン法やボールグレイン法のごとき機械
的粗面化方法や電解グレイン法のごとき電気化学的方法
あるいは両者を組み合わせた方法により粗面化された
後、酸、アルカリによってエッチングされ、更に陽極酸
化処理を経たのちに所望により親水化処理が施されて平
版印刷版用支持体とされる。この支持体上に感光層が設
けられて感光性平版印刷版(いわゆるPS版)とされ
る。このPS版は、通常、画像露光、現像、修正、ガム
引き、工程を施して平版印刷版とされ、これを印刷機に
取り付けて印刷する。
【0003】上記、陽極酸化処理は、平版印刷版用支持
体の分野では、従来、硫酸、燐酸、クロム酸、蓚酸、ス
ルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、等あるいはこれら
2種以上を組み合わせた水溶液でアルミニウム板に直流
または交流の電流を流すことにより行われる。以上のよ
うに種種の電解液によって陽極酸化処理は行われている
が、なかでも硫酸、燐酸などが広く用いられている。
【0004】平版印刷版は、製版時に描画するボールペ
ンの筆圧の影響や、搬送時、または印刷中の版面のゴミ
取り作業の際にキズを生じたり、印刷中に紙粉やインキ
粒子の影響やブランケットやローラーの接触圧や摩擦の
影響によって摩耗する。特にボールペン描画による筆圧
が高いと、画像部の場合には、その部分の感光層が脱落
したり、非画像部の場合には、キズになりインキが付着
して、一般的に汚れといわれる現象が発生し、印刷物と
して品質が低下し不都合が生じる。支持体表面が陽極酸
化処理が施されている場合には、アルミニウム板表面に
は、多孔質の酸化アルミ(アルミナ)皮膜が形成され
る。この酸化アルミは、その性質が硬く、キズつき難
く、摩耗しにくい為、これらの影響による汚れの発生を
抑制できる。
【0005】この酸化アルミ皮膜は、その膜厚が厚いほ
どこの効果は一層強くなることが従来より知られている
が、陽極酸化被膜を厚くすると、ボールペン描画部が非
画像部の場合、現像後でもボールペンインキが除去され
ず残ってしまい、印刷中に汚れが発生したり、また、画
像露光時に酸化被膜内のハレーションが増大するため、
網点の太りや細りが発生するため原稿に対して忠実に再
現しない問題点があった。
【0006】一方、多孔質酸化アルミ皮膜の膜厚が同一
でも、その孔数を減らすことによって、より硬質の被膜
が得られることが従来より知られている。しかし、孔数
を減らす為には、陽極酸化処理時の電圧をより高く設定
する必要があり、通常は、電流密度を上げたり、処理液
の濃度を低下させて行うが、反応時の発熱の問題などの
影響により、局所的に反応が進み“やけ”といわれる問
題が発生し、連続的に生産する事は難しかった。
【0007】更に、陽極酸化被膜は、現像後の非画像部
に感光層が不可逆的吸着する汚染(残膜)が発生し、非
画像部と画像部の識別が困難であったり、消去作業を行
うと修正跡が明瞭に残り、その程度がひどくなると汚れ
が発生する問題点、及びpH12.5以上の現像液に
は、溶解してしまう為、溶解物が現像液中に蓄積し、カ
スやヘドロとなって配管を詰まらせたり、平版印刷版表
面に付着し、汚れの発生や画像品質を劣化させる問題点
があった。
【0008】従来は、この対策として、陽極酸化処理が
施された後に、所望により親水化処理が行われる。親水
性処理には、米国特許第3,181,461号明細書に
記載のアルカリ金属珪酸塩、米国特許第1,860,4
26号明細書に記載の親水性セルロース、英国特許第
2,098,627号公報に記載のアリールスルホン酸
ナトリウム、特公昭46−35685号公報に記載のポ
リビニルホスホン酸、特公平6−94234号公報、特
公平6−2436号公報に記載のアミノ酸およびその
塩、特公平5−32238号公報に記載の水酸基を有す
るアミン類およびその塩、特開昭62−19494号公
報に記載の燐酸塩、特開昭59−101651号公報に
記載のスルホ基を有するモノマー単位を含む高分子化合
物、特開昭63−165183号公報に記載のアミノ基
及びホスホン酸基有する化合物またはその塩等を用い
て、現像後の残色を低減させたり、現像後の非画像部の
親水性を向上させる技術が提案されている。しかしなが
ら、これら親水化処理は、感光性組成物との接着性が不
十分になり、耐刷性を劣化させるため、処理条件の管理
には充分注意する必要があった。
【0009】また、陽極酸化処理した後に、米国特許第
3,181,461号明細書に記載のアルカリ金属珪酸
塩処理やベーマイト化処理といわれる、熱水処理、沸騰
水処理、水蒸気処理、金属塩、等により細孔中に結晶性
の水和酸化物を生成させる処理を行う事によって、現像
液に対する溶解を抑制させる方法が提案されている。し
かし、アルカリ金属珪酸塩の場合には、上記で説明した
とおり、感光層との接着が低下し、またベーマイト化処
理は、現像後の残色は改善されるものの、親水性が低下
し汚れが発生しやすいという問題点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、酸化
皮膜が薄膜でも物理的強度に優れ、ボールペン描画によ
る画像部の脱落や非画像部のキズ付きやインキの残りが
抑えられ、現像時に酸化被膜の溶出、感光層の残色が抑
えられた平版印刷版用支持体とその製造方法を提供する
ことである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記構
成を採ることにより達成される。
【0012】(1) 粗面化され陽極酸化されたアルミ
ニウム支持体において、酸化被膜表面の孔数が400〜
700個/μm2であり、酸化皮膜とアルミニウムとの
界面の孔数が700〜1500個/μm2であることを
特徴とする平版印刷版用支持体。
【0013】(2) (1)記載の平版印刷版用支持体
の製造方法において、粗面化されたアルミニウム支持体
を陽極酸化処理を行う際に複数に分割して処理すること
を特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法。
【0014】(3) 粗面化されたアルミニウム支持体
を陽極酸化処理を行う際に複数に分割して処理する場合
に、各陽極酸化処理条件の中に、異なった条件が含まれ
ることを特徴とする(2)記載の平版印刷版用支持体の
製造方法。
【0015】(4) 陽極酸化処理の分割数が2〜20
の範囲であることを特徴とする(2)または(3)記載
の平版印刷版用支持体の製造方法。
【0016】(5) 分割回数nとした場合、陽極酸化
処理時の電圧EがE1≧E2…・≧Enであり、E1は
20〜40Vであり、Enが10〜20Vになるよう
に、1から順にn回陽極酸化処理することを特徴とする
(2)、(3)または(4)記載の平版印刷版用支持体
の製造方法。
【0017】(6) 表面の酸化被膜の孔数が400〜
700個/μm2であり、酸化皮膜とアルミとの界面の
孔数が700〜1500個/μm2であることを特徴と
する(2)、(3)、(4)または(5)記載の平版印
刷版用支持体の製造方法。
【0018】(7) 陽極酸化処理を複数に分割して処
理する場合に、分割途中に親水化処理を行うことを特徴
とする(2)〜(6)いずれか1項記載の平版印刷版用
支持体の製造方法。
【0019】(8) 陽極酸化処理を複数に分割して処
理する場合に、分割途中にベーマイト化処理を行うこと
を特徴とする(2)〜(7)いずれか1項記載の平版印
刷版用支持体の製造方法。
【0020】本発明者らは、陽極酸化被膜の孔数に着目
し鋭意検討を行った結果、多孔質酸化被膜表面の孔数が
400〜700個/μm2であり、多孔質酸化皮膜とア
ルミとの界面の孔数が700〜1500個/μm2にす
ることで、上記目的が達成されることを見いだした。
【0021】多孔質酸化被膜を400〜700個/μm
2の低密度で形成させる方法としては、陽極酸化処理の
処理槽を複数に分割し、電解反応を途中で中断させる方
法によって温度の上昇が抑制され、比較的高電圧でも
“やけ”が発生しないことを見いだした。また、槽を分
割する事によって、目的に合わせて、孔数を調整でき、
かつ液温度も各処理槽毎に調整が可能になるため安定に
提供する事が可能になる事が判明した。
【0022】また、親水化処理、ベーマイト化処理を、
分割処理の途中に行うことによって、汚れと接着性に優
れた支持体をより安定に提供出来ることが判明した。
【0023】本発明に使用される支持体には、純アルミ
ニウムおよびアルミニウム合金よりなる支持体が含まれ
る。アルミニウム合金としては種々のものが使用でき、
例えば珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜
鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄
等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。
【0024】アルミニウム支持体は粗面化に先立ってア
ルミニウム表面の油脂、錆、ごみなどを除去するために
脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、ト
リクレン、シンナー等による溶剤脱脂、ケロシン、トリ
エタノールアミン等のエマルジョンを用いたエマルジョ
ン脱脂処理等が用いられる。また、上記脱脂処理のみで
は除去されない汚れや自然酸化皮膜を除去するために、
苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いることもできる。
【0025】脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液
を用いた場合、支持体の表面にはスマットが生成するの
で、この場合には燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、
あるいはそれらの混酸に浸漬してデスマット処理を施す
ことが好ましい。
【0026】粗面化方法としては、機械的に表面を粗面
化する方法、電気化学的に粗面化する方法、アルカリま
たは酸あるいはそれらの混合物からなるエッチング剤で
表面を粗面化する化学的粗面化方法がある。また、これ
らを組み合わせた方法も利用することができる。
【0027】機械的粗面化法には、例えばボール研磨、
ブラシ研磨、ブラスト研磨、バフ研磨、ホーニング研磨
等の方法がある。この中でも、ブラシ研磨、ホーニング
研磨が好ましい。さらに、あらかじめ粗面化されたシー
トを支持体表面に張り合わせ、圧力をかけて粗面パター
ンを転写することにより粗面化を行うこともできる。
【0028】また電気化学的粗面化法には、例えば塩酸
または硝酸等を含む酸性電解液中で交流または直流によ
って表面を電解処理する方法がある。
【0029】電解粗面化処理については、例えば、特公
昭48−28123号公報、英国特許第896,563
号明細書、特開昭53−67507号公報に記載されて
おり、本発明においては、これらの方法を用いることが
できる。
【0030】電気化学的粗面化において印加される電圧
は、1〜50Vが好ましく、2〜30Vが更に好まし
い。また、陽極時電気量(以下Qaと記す)が,陰極時
電気量(以下Qcと記す)よりも大となるような交番波
形電流を加えて、陽極時電流密度が、10〜150A/
dm2、好ましくは20〜100A/dm2の条件で電解
粗面化するのがよい。
【0031】本発明に使用される交番波形電流とは、正
負の極性を交互に交換させて得られる波形であって、Q
cよりQaが大きくなるようなものであればいかなる形
の波形でも使用することができる。
【0032】QaおよびQcは、100〜1000クー
ロン/dm2が好ましい。温度は、10〜50℃が好ま
しく、15〜45℃が更に好ましい。塩酸または硝酸濃
度は0.01〜15重量%が好ましい。
【0033】電解溶液には、必要に応じて硝酸塩、塩化
物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ
酸、酢酸、蓚酸等を加えることが出来る。
【0034】機械的に粗面化した後、電気化学的に粗面
化を行う場合には、各処理の間に酸またはアルカリの水
溶液に浸漬する化学的エッチング処理を行うことが好ま
しい。酸としては、例えば硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、
硝酸、塩酸等が含まれ、塩基としては、例えば、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム等が含まれる。これらの中
でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。これらの
酸またはアルカリの0.05〜40重量%水溶液を用い
40〜100℃の液温において5〜300秒処理する。
上記をアルカリの水溶液で浸漬処理を行った場合、支持
体の表面にはスマットが生成するので、この場合には、
燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいはそれらの
混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。
【0035】多孔質酸化被膜の孔数の測定方法陽極酸化
処理が施されたアルミニウム支持体より、酸化アルミ
(アルミナ)のみを剥離する方法としては、アルミニウ
ムのみを溶解する溶液、例えばヨウ素のメタノール飽和
溶液に浸漬して得る方法と、逆電剥離方法により得る方
法がある。
【0036】逆電剥離方法は、アルミニウム支持体をカ
ソードとして(アノードは、白金あるいはカーボン電極
が好ましい)、電解処理を施す事によって、アルミニウ
ム表面より酸化アルミを剥離することができる。
【0037】剥離した酸化アルミを高分解能SEM(H
ITACHI S−500)により、表面金属コートを
施さないで観察倍率20万倍で撮影した写真より、0.
5×0.4μmの範囲の個数をn=5で測定し、1μm
2当たりの個数に変換して測定する。
【0038】親水化処理、ベーマイト化処理 本発明のアルミニウム支持体は、陽極酸化処理の途中ま
たは陽極酸化処理後にで親水化処理を施してもよい。
【0039】親水性処理には、米国特許第3,181,
461号明細書に記載のアルカリ金属珪酸塩、米国特許
第1,860,426号明細書に記載の親水性セルロー
ス、英国特許第2,098,627号公報に記載のアリ
ールスルホン酸ナトリウム、特公昭46−35685号
公報に記載のポリビニルホスホン酸、特公平6−942
34号公報、特公平6−2436号公報に記載のアミノ
酸およびその塩、特公平5−32238号公報に記載の
水酸基を有するアミン類およびその塩、特開昭62−1
9494号公報に記載の燐酸塩、特開昭59−1016
51号公報に記載のスルホ基を有するモノマー単位を含
む高分子化合物、特開昭63−165183号公報に記
載のアミノ基及びホスホン酸基有する化合物またはその
塩等を用いることができる。
【0040】一方、ベーマイト化処理とは、熱水処理、
沸騰水処理、水蒸気処理、金属塩、等により細孔中に結
晶性の水和酸化物を生成させる処理をいう。
【0041】これらの処理は、2種以上組み合わせても
よい。
【0042】また、本発明においては、陽極酸化処理の
途中にこれら処理を行うことが好ましい。
【0043】陽極酸化 本発明の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多
孔性酸化被膜を形成するものならば如何なるものも使用
することができ、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロ
ム酸あるいはそれらの混合水溶液を用いて、直流電解に
より行われる。
【0044】本発明で特に好ましい電解質は硫酸で直流
電解で形成させる。
【0045】電解時に、かかる電圧は40V以下が好ま
しく、より好ましくは10〜40Vの範囲で陽極酸化を
行うように、濃度、温度、電流密度を調整する。
【0046】電解質の濃度としては、1〜80重量%、
より好ましくは5〜50重量%である。
【0047】液温度としては、1〜70℃より好ましく
は5〜40℃がよい。
【0048】電流密度としては、1〜60A/dm2
り好ましくは、1〜20A/dm2がよい。
【0049】多孔質酸化被膜の孔数陽極酸化皮膜厚とし
ては1〜10g/m2が好ましく、1.5〜3.5g/
dm2がさらに好ましい。
【0050】本発明の多孔質酸化被膜の孔数は、表面か
ら観察した場合に400〜700個/μm2であり、4
00〜600個/μm2が特に好ましい。また、酸化被
膜とアルミニウム支持体の界面の孔数は700〜150
0個/μm2以下であり、800〜1200個/μm2
より好ましい。
【0051】本発明の多孔質酸化被膜を形成させる為に
は、陽極酸化処理を複数に分割して処理する事が好まし
い。分割数は、2〜20の範囲が好ましく、2〜12が
より好ましく、2〜6が更に好ましい。
【0052】分割する方法としては、処理槽を複数設置
する方法が好ましく、また分割処理条件を変動させる為
に各処理槽毎に電源を設置する事がより好ましい。
【0053】本発明の平版印刷版用支持体に感光性組成
物の層を設けることにより、平版印刷版あるいは感光性
平版印刷版を作ることができる。感光性組成物として
は、特願平8−151036号、特願平7−23144
4号に記載のものが好ましい。
【0054】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。尚、本文中
「部」とは「重量部」を表す。
【0055】(支持体1の作製)厚さ0.24mmのア
ルミニウム板(JIS1050、調質H16)の表面を
50℃10重量%水酸化ナトリウム水溶液に20秒間浸
漬して脱脂処理を行った後水洗を行い、10%硫酸で中
和し更に水洗した。
【0056】次いでこのアルミニウム板を、研磨剤(ア
ルミナ#800)を20重量%水に懸濁し、供給量20
l/min、ブラシ回転速度240rpm、搬送速度
2.0m/minで、ブラシ研磨により、機械的粗面化
を行い、水洗した後、85℃に保たれた6%水酸化ナト
リウム水溶液中に20秒間浸漬した後水洗し、25℃に
保たれた10%硫酸水溶液中に5秒間浸漬し、デスマッ
ト処理した後水洗した。このアルミニウム板を、10g
/リットル塩酸水溶液中で、温度30℃、極間距離9m
mにおいて、正弦波交流を用いて、電流密度25A/d
2、電気量150C/dm2で電気化学的粗面化を行
い、水洗した後、50℃に保たれた1%水酸化ナトリウ
ム水溶液中に20秒間浸漬した後水洗し、25℃に保た
れた10%硫酸水溶液中に5秒間浸漬し、デスマット処
理した後水洗し乾燥した。
【0057】ついで、25℃に保たれた20%硫酸水溶
液中で、電圧10Vで、酸化皮膜が25mg/m2にな
るように陽極酸化処理を施して、支持体1を作製した。
【0058】(支持体2〜9の作製)陽極酸化処理を表
1に示す条件で処理した以外は、支持体1と同様に作製
した。陽極酸化を複数に分割した場合の個々の電圧をE
1〜Enとして示した。
【0059】このときの陽極酸化処理装置の概要断面図
を図1に示す。ここにおいて1はアルミニウム板、2は
電極、3は陽極酸化処理槽、E1〜Enは陽極酸化を複
数に分割した場合の個々の電圧である。尚、陽極酸化処
理槽を複数に分割した場合には、点線内のユニットを分
割数設置する。
【0060】
【表1】
【0061】(支持体10〜12作製)支持体1を0.
1%カルボキシメチルセルロース水溶液に、70℃で3
0秒間浸漬し、親水化処理を施して、支持体10を作製
した。
【0062】支持体1を1.0%3号珪酸ソーダ水溶液
に、70℃で30秒間浸漬し、珪酸塩処理を施して、支
持体11を作製した。
【0063】支持体1を100℃純水中に、2分間浸漬
し、ベーマイト化処理を施して、支持体12を作製し
た。
【0064】(支持体13〜15の作製)支持体6の分
割陽極酸化処理の分割途中(分割4と5の間)に、支持
体10〜12と同様の親水化処理、ベーマイト化処理を
施して、支持体13〜15を作製した。
【0065】(支持体16〜17の作製)支持体7の分
割陽極酸化処理の分割途中(分割6と7の間及び9と1
0の間)に支持体10〜12と同様の親水化処理、ベー
マイト化処理を組み合わして施して、支持体16〜17
を作製した。
【0066】次いで、これらの支持体に下記組成の感光
性組成物塗布液をワイヤーバーを用いて塗布し、80℃
で乾燥し感光性平版印刷版を得た。この時、感光性組成
物の乾燥後の塗布重量は1.8g/m2であった。
【0067】 [感光性組成物] 1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリドと2,3,4−トリ ヒドロキシベンゾフェノンとのエステル化反応物 0.5g フェノールホルムアルデヒド樹脂(重量平均分子量:2300)2.0g 2−(p−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−ト リアジン 0.02g ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸クロライド0.03g クリスタルバイオレット 0.01g オイルブルー#603(オリエント化学工業(株)製) 0.015g エチレンジクロリド 18g 2−メトキシエチルアセテート 12g このようにして得られた感光性平版印刷版に加重100
gでボールペンにて描画後、真空焼枠中で、透明ポジテ
ィブフィルムを通して1mの距離から3kWのメタルハ
ライドランプを用いて50秒間露光を行った後、以下の
現像液で現像した。
【0068】 A珪酸カリウム(SiO2:26wt%、K20:13wt%) 100部 水酸化カリウム(50%水溶液) 86部 フタル酸 18部 ベータオキシナフトエ酸 18部 水 1513部 酸化皮膜表面の孔数 作製した支持体1〜14を高分解能SEM(HITAC
HI S−500)により、表面金属コートを施さない
で観察倍率20万倍で撮影した写真より、0.5×0.
4μmの範囲の個数をn=5で測定し、1μm2当たり
の個数に変換して測定した。
【0069】酸化皮膜とアルミニウム界面の孔数 作製した支持体1〜14を、カソードとして、20%硫
酸水溶液中で、逆電剥離方法によって、酸化皮膜をアル
ミニウム板より剥離して、アルミニウムと酸化皮膜との
界面の孔数を高分解能SEM(HITACHI S−5
00)により、表面金属コートを施さないで観察倍率2
0万倍で撮影した写真より、0.5×0.4μmの範囲
の個数をn=5で測定し、1μm2当たりの個数に変換
して測定した。
【0070】現像液浸漬による酸化皮膜(酸化アルミ)
の溶解量 作製した支持体1〜14の裏面側に耐アルカリ性を有す
るシール材でシールを施して、30℃に保たれた上記組
成の現像液中に10秒間浸漬して、浸漬前後の重量差か
ら溶解した酸化皮膜(酸化アルミ)量を測定した。
【0071】但し、現像液浸漬後の支持体表面には、現
像液中に含まれる酸化珪素が吸着して重量が増加するた
め、酸化皮膜(酸化アルミ)の溶解量を正確に測定する
ために、吸着した酸化珪素重量を蛍光X線分析装置で支
持体表面の酸化珪素強度を測定し、測定試料と同じ条件
で作成したアルミニウム版支持体表面側に所定量の酸化
珪素を塗布して作成した検量線に基づき酸化珪素重量の
定量を行った。従って現像液浸漬による、酸化皮膜(酸
化アルミ)の溶解量は、以下の式から算出する。
【0072】酸化皮膜(酸化アルミ)溶解重量[mg/
2]=C−D ここで記号CとDは、 C:浸漬現像処理により支持体表面側に形成された酸化
珪素の重量[mg/m2] D:浸漬現像処理後の支持体表面側の重量変化量[mg
/m2] を意味する。
【0073】Cにおいて、アルカリ金属ケイ酸塩処理な
どによりあらかじめ支持体表面に珪素が存在する時は、
あらかじめ存在する珪素重量を基準とした増加重量を用
いる。
【0074】現像後の残膜 現像後の非画像部の残膜については、現像後の非画像部
を分光光度計において、280nmの吸光度を測定し、
感光層を塗布する前の支持体の280nmの吸光度との
差を測定した。
【0075】ボールペン描画による画像部の感光層の脱
落、非画像部のインキの付着及び汚れ感光層を塗布した
後に、荷重100gでボールペン描画を行い、現像した
後、非画像部のボールペンインキの付着を評価した。
【0076】現像後の非画像部のボールペンインキの付
着は、 ○:インキが付着してない △:少しインキが付着している ×:インキが付着している。
【0077】次いでガム引きを施した後、印刷機(三菱
DAIYA 1F−1)で、10000枚印刷後の画線
部の感光層の脱落の有無と非画像部の汚れの付着を評価
した。
【0078】 画像部の脱落 非画像部の汚れ ○:画像部が全く脱落していない ○:描画部が汚れていない △:少し画像部が脱落している △:少しインキが付着している ×:画像部が脱落している ×:インキが付着している 耐刷力、放置後の汚し回復性、耐摩耗性 現像した後に、ガム引きを施した後、印刷機(三菱DA
IYA 1F−1)で、10000枚印刷後、印刷を停
止し24時間放置する。その後再度印刷を開始し、非画
像部にインキの付着が無く正常な印刷物が得られるまで
の枚数を評価して放置後の回復性を評価した。
【0079】耐刷力は、画像部がやられて着肉不良を起
こすまでの枚数を評価した。
【0080】また耐摩耗性は、10万枚印刷した後の非
画像部を高分解能SEM(HITACHI S−50
0)により、観察倍率5000倍で観察した。
【0081】 ○:ほとんど摩耗していない △:少し摩耗している ×:摩耗している。
【0082】以上の測定及び評価を行った結果を表2及
び3に表す。
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】本発明内の実施例1〜11は、何れの特性
も問題ないが、本発明外の比較例1〜6は少くとも何れ
かの特性に問題が出ることがわかる。
【0086】
【発明の効果】本発明により、酸化皮膜が薄膜でも物理
的強度に優れ、ボールペン描画による画像部の脱落や非
画像部のキズ付きやインキの残りが抑えられ、現像時に
酸化被膜の溶出、感光層の残色が抑えられた平版印刷版
用支持体とその製造方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】陽極酸化処理装置の概要断面図。
【符号の説明】
1 アルミニウム板 2 電極 3 陽極酸化処理槽 E1〜En 陽極酸化を複数に分割した場合の個々の電

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粗面化され陽極酸化されたアルミニウム
    支持体において、酸化被膜表面の孔数が400〜700
    個/μm2であり、酸化皮膜とアルミニウムとの界面の
    孔数が700〜1500個/μm2であることを特徴と
    する平版印刷版用支持体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の平版印刷版用支持体の製
    造方法において、粗面化されたアルミニウム支持体を陽
    極酸化処理を行う際に複数に分割して処理することを特
    徴とする平版印刷版用支持体の製造方法。
  3. 【請求項3】 粗面化されたアルミニウム支持体を陽極
    酸化処理を行う際に複数に分割して処理する場合に、各
    陽極酸化処理条件の中に、異なった条件が含まれること
    を特徴とする請求項2記載の平版印刷版用支持体の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 陽極酸化処理の分割数が2〜20の範囲
    であることを特徴とする請求項2または3記載の平版印
    刷版用支持体の製造方法。
  5. 【請求項5】 分割回数nとした場合、陽極酸化処理時
    の電圧EがE1≧E2…・≧Enであり、E1は20〜
    40Vであり、Enが10〜20Vになるように、1か
    ら順にn回陽極酸化処理することを特徴とする請求項
    2、3または4記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
  6. 【請求項6】 表面の酸化被膜の孔数が400〜700
    個/μm2であり、酸化皮膜とアルミとの界面の孔数が
    700〜1500個/μm2であることを特徴とする請
    求項2、3、4または5記載の平版印刷版用支持体の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 陽極酸化処理を複数に分割して処理する
    場合に、分割途中に親水化処理を行うことを特徴とする
    請求項2〜6いずれか1項記載の平版印刷版用支持体の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 陽極酸化処理を複数に分割して処理する
    場合に、分割途中にベーマイト化処理を行うことを特徴
    とする請求項2〜7いずれか1項記載の平版印刷版用支
    持体の製造方法。
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