JP2007175867A - 平版印刷版用支持体の製造方法、並びに平版印刷版用支持体及び平版印刷版原版 - Google Patents
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Abstract
【課題】原材料となるアルミニウム合金板の組成に特に限定されることなく安定的に粗面化処理することができるため、原材料コストを大幅に低減することができ、かつ、印刷性能と面質に優れた平版印刷版原版を得ることができる。
【解決手段】
アルミニウム合金板に電気化学的粗面化処理を含む表面処理を施して平版印刷版用支持体を製造する方法であって、電気化学的粗面化処理を、アルミニウム合金板の腐食を防止する腐食抑制剤を含有する酸性電解液中で行う。
【選択図】 図1
【解決手段】
アルミニウム合金板に電気化学的粗面化処理を含む表面処理を施して平版印刷版用支持体を製造する方法であって、電気化学的粗面化処理を、アルミニウム合金板の腐食を防止する腐食抑制剤を含有する酸性電解液中で行う。
【選択図】 図1
Description
本発明は、平版印刷版用支持体の製造方法に関し、特に、原材料コストを大幅に低減することができ、かつ、印刷性能と面質に優れる平版印刷版用支持体が得られる平版印刷版用支持体の製造方法、その平版印刷版用支持体及び平版印刷版原版に関する。
アルミニウム合金板を支持体とする感光性平版印刷版はオフセット印刷に幅広く使用されている。この平版印刷版は平版印刷版原版を製版して得られる。平版印刷版原版は、一般に、アルミニウム合金板の表面の一方または両方に粗面化処理を行い、感光液を塗布し乾燥して感光層を形成することによって得られる。なお、平版印刷版の印刷時の耐摩耗性を向上させるため、一般的に、粗面化処理後に陽極酸化処理が施される。また、製版時の真空密着時間を短くするため、感光層の表面にマット層といわれる表面に微小な凹凸を有する層が形成されることもある。
平版印刷版原版は画像露光、現像、水洗等の処理を経て平版印刷版とされる。画像露光の方法としては、画像を焼き付けたリスフィルムを平版印刷版原版に密着させて光を当てることで画像部と非画像部との違いを設ける方法、レーザを用いたり画像を投影したりすることにより平版印刷版原版に直接画像部または非画像部を書き込み画像部と非画像部との違いを設ける方法等が挙げられる。現像においては、ポジ型の平版印刷版原版では露光部の感光層が除去され、ネガ型の平版印刷版原版では非露光部の感光層が除去される。ここで、感光層が除去され、平版印刷版原版(以下、平版印刷版用支持体と記す)の表面、即ち、アルミニウム合金板表面または陽極酸化皮膜表面が露出した部分は親水性を示す非画像部となり、感光層が除去されずに残った部分は親インキ性(親油性)を示す画像部となる。現像後、必要に応じて、親水化処理、ガム引き、バーニング処理等が行われる。
このようにして得られた平版印刷版は、印刷機の版胴に取り付けられ、印刷に供される。印刷においては、平版印刷版の表面にインキと湿し水とが供給される。親油性である平版印刷版の画像部にはインキが付着し、親水性である平版印刷版の非画像部には水が付着する。画像部のインキはブランケット胴に転写された後、更に、紙等の被印刷材に転写され、印刷が完了する。
上記の如く用いられる平版印刷版用支持体は、保水性、耐刷性、調子再現性等を向上させることを目的として、表面に均一な凹凸を形成すべく、粗面化処理される。アルミニウム合金板の粗面化方法としては、従来、硝酸や塩酸を主体とする電解液を用いて電解エッチングする電気化学的粗面化(以下「電解粗面化」ともいう)法、機械的粗面化法、化学的粗面化法、又は各種粗面化方法の組み合わせが一般的に用いられている。特に、塩酸を主体とする電解液を用いた電解粗面化法は、均一な凹凸の粗面化形状が得られ、印刷性能に優れる点で好適に用いられている。
ところで、平版印刷版用支持体の原料としては、近年、資源の有効利用等の観点から、原材料として合金成分の調整を行っていないアルミニウム材料、例えば、種々の不純物を含有するスクラップ材や、新地金に比べて市場価格が安く、多くの不純物元素を含有する二次地金又は再生地金等の地金を用いることが強く要望されるようになった。
また、平版印刷版原版の使用態様はユーザごとに異なるため、その強度等の要求特性も異なる。これに対して、従来、主にアルミニウム合金板の合金成分の調整と、アルミニウム合金板の圧延条件の調整とにより、強度等を調整しているが、特に、アルミニウム合金板の合金成分の調整によるところが大きい。
このような背景から、原材料であるアルミニウム合金板の組成に特に限定されることなく安定的に粗面化処理する方法が検討されている。たとえば、特許文献1では、塩酸を主体とする水溶液中で交流を用いた電解粗面化処理が開示されている。これによれば、均一な凹凸の粗面化形状を形成することができると記載されている。
また、特許文献2では、Cu含有量が0.001〜1質量%であるアルミニウム合金板を用いた電解粗面化処理を、Cuと錯体を形成しうる化合物を含有する酸性水溶液中で行う方法が開示されており、これにより、粗面化形状が改善されると記載されている。
特開2002−339098号公報
特開2002−362046号公報
しかしながら、特許文献1及び2のような従来の方法によっては、粗面化形状をある程度均一化させることはできるが、印刷性能を満足するほどの均一な粗面化形状は得られないといった問題があった。
また、従来、均一な粗面化形状が得られるとされてきた塩酸を主体とする水溶液や硝酸を主体とする水溶液を用いた電解粗面化法においても、合金成分の組成が振れると粗面化形状が大きく変化するため、粗面化処理の条件を一定とした場合に、種々のアルミニウム材料からなるアルミニウム合金板、特に不純物元素の含有量の多いアルミニウム合金板に対し、均一な凹凸の粗面化形状を形成することができないという問題があった。中でも、飲料缶をスクラップし、リサイクルして得られるアルミニウム合金板は、電解粗面化処理において好ましい均一な粗面化形状を形成することが難しかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、原材料コストを大幅に低減することができ、かつ、印刷性能と面質に優れる平版印刷版原版を得ることができる平版印刷版用支持体の製造方法、その平版印刷版用支持体及び平版印刷版原版を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、アルミニウム合金板に電気化学的粗面化処理を含む表面処理を施して平版印刷版用支持体を製造する方法であって、前記電気化学的粗面化処理を、前記アルミニウム合金板の腐食を防止する腐食抑制剤を含有する酸性電解液中で行うことを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法を提供する。
本発明者は、電解粗面化処理中に、アルミニウム合金板の腐食を防止すること、すなわち、腐食抑制剤により不純物元素の不均一な溶解を抑制し、これにより、不純物元素を多く含有するアルミニウム合金板においても、均一な凹凸状に粗面化できることを見出した。
また、上述の電解粗面化方法により均一な粗面化形状を有するアルミニウム合金板を、コンベンショナルタイプのポジ型またはネガ型の可視光露光型製版層を有する平版印刷版原版の平版印刷版用支持体として好適に使用できるだけでなく、ポジ型またはネガ型のレーザ製版層を有する平版印刷版原版の平版印刷版用支持体としても好適に使用することができることを見出し、本発明に至った。
本発明によれば、原材料となるアルミニウム合金板の組成に特に限定されることなく安定的に粗面化処理することができるため、原材料コストを大幅に低減することができ、かつ、印刷性能と面質に優れた平版印刷版原版を得ることができる。なお、上記腐食抑制剤としては、不働態皮膜形成型腐食抑制剤、皮膜形成型腐食抑制剤、吸着型腐食抑制剤、気化性腐食抑制剤、沈殿形成型腐食抑制剤に分けることができるが、中でも不働態皮膜形成型腐食抑制剤を用いることが好ましい。
請求項2は請求項1において、前記腐食抑制剤が、リンを含有する化合物であることを特徴とする。
請求項2によれば、リンを含む化合物は金属表面を不働態化させるので、アルミニウム合金板(不純物元素を含む)の腐食を効果的に抑制し、これにより、原材料となるアルミニウム合金板の組成に特に限定されることなく安定的に粗面化処理することができる。したがって、原材料コストを大幅に低減することができ、かつ、印刷性能と面質に優れた平版印刷版原版を得ることができる。
請求項3は請求項2において、前記腐食抑制剤が、リン酸であることを特徴とする。
請求項3は請求項2のリンを含む化合物を具体的に示したものである。
請求項4は請求項1〜3の何れか1において、前記酸性電解液に含まれる前記腐食抑制剤の添加量が、0.001〜100g/Lであることを特徴とする。
請求項4によれば、酸性電解液に含まれる腐食抑制剤の添加量を、0.001g/L〜100g/Lとしたので、原材料となるアルミニウム合金板の組成に特に限定されることなく安定的に粗面化処理することができる。したがって、原材料コストを大幅に低減することができ、かつ、印刷性能と面質に優れた平版印刷版原版を得ることができる。
請求項5は請求項1〜4の何れか1において、前記アルミニウム合金板のアルミニウムの含有率が、95.0〜99.4質量%であることを特徴とする。
請求項5によれば、アルミニウムの含有率が、95.0〜99.4質量%であるアルミニウム合金板を電解粗面化する場合であっても、腐食抑制剤により、不均一な溶解が生じるのを抑制し、アルミニウム合金板の組成に特に限定されることなく安定的に粗面化処理することができる。したがって、原材料コストを大幅に低減することができ、かつ、印刷性能と面質に優れた平版印刷版原版を得ることができる。
請求項6は請求項1〜5の何れか1において、前記アルミニウム合金板が、Fe、Si、Cu、Mg、Mn、Zn、Cr、Tiからなる群から選ばれる3種類以上の元素を以下の範囲で含有することを特徴とする。Fe:0.2〜1.0質量%、Si:0.1〜1.0質量%、Cu:0.03〜1.0質量%、Mg:0.1〜1.5質量%、Mn:0.1〜1.5質量%、Zn:0.03〜0.5質量%、Cr:0.005〜0.1質量%、Ti:0.01〜0.5質量%。
請求項6は、アルミニウム合金板に含まれる不純物元素の種類及びその含有量について具体的に示したものである。
請求項7の平版印刷版用支持体は、請求項1〜6の何れか1の平版印刷版用支持体の製造方法を適用して製造したことを特徴とする。
請求項8の平版印刷版原版は、請求項7の平版印刷版用支持体を用いて製造したことを特徴とする。
請求項7及び8によれば、本発明の平版印刷版用支持体の製造方法を適用することにより、低コスト、かつ印刷性能と面質に優れた平版印刷版用支持体及び平版印刷版原版を得ることができる。
本発明によれば、原材料となるアルミニウム合金板の組成に特に限定されることなく安定的に粗面化処理することができるため、原材料コストを大幅に低減することができ、かつ、印刷性能と面質に優れた平版印刷版原版を得ることができる。
以下、添付図面に従って、本発明に係る平版印刷版用支持体の製造方法、その平版印刷版用支持体及び平版印刷版原版の好ましい実施の形態について説明する。
<アルミニウム合金板(圧延アルミ)>
本発明に使用されるアルミニウム合金板は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属である。本発明において、アルミニウム合金板としては、アルミニウム合金がラミネートされまたは蒸着されたプラスチックフィルムまたは紙を用いることもできる。更に、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートを用いることもできる。
<アルミニウム合金板(圧延アルミ)>
本発明に使用されるアルミニウム合金板は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属である。本発明において、アルミニウム合金板としては、アルミニウム合金がラミネートされまたは蒸着されたプラスチックフィルムまたは紙を用いることもできる。更に、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートを用いることもできる。
アルミニウム合金板のアルミニウム含有率は、特に限定されないが、アルミニウム含有率が95〜99.4質量%であっても、好ましい粗面が得られるので、アルミニウム含有率が95〜99.4質量%であるのは、本発明の好適な態様の一つである。
また、アルミニウム合金板が、Fe、Si、Cu、Mg、Mn、Zn、CrおよびTiからなる群から選ばれる3種以上の元素を以下の範囲で含有するのが好ましい態様の一つである。そのようにすると、アルミニウムの結晶粒が微細になるためである。
Fe:0.20〜1.0質量%、Si:0.10〜1.0質量%、Cu:0.03〜1.0質量%、Mg:0.1〜1.5質量%、Mn:0.1〜1.5質量%、Zn:0.03〜0.5質量%、Cr:0.005〜0.1質量%、Ti:0.01〜0.5質量%
また、アルミニウム合金板は、本発明の効果を損なわない範囲で、Bi、Ni等の元素や不可避不純物を含有することができる。
また、アルミニウム合金板は、本発明の効果を損なわない範囲で、Bi、Ni等の元素や不可避不純物を含有することができる。
本発明に用いられるアルミニウム合金板は、従来より公知公用の素材のもの、例えば、JIS A1050、JIS A1100、JIS A3003、JIS A3004、JIS A3005、国際登録合金3103A等のアルミニウム合金板を適宜利用することができる。
また、アルミニウム合金板の製造方法は、連続鋳造方式およびDC鋳造方式のいずれでもよく、DC鋳造方式の中間焼鈍や、均熱処理を省略したアルミニウム合金板も用いることができる。最終圧延においては、積層圧延や転写等により凹凸を付けたアルミニウム合金板を用いることもできる。本発明に用いられるアルミニウム合金板は、連続した帯状のシート材または板材である、アルミニウムウエブであってもよく、製品として出荷される平版印刷版原版に対応する大きさ等に裁断された枚葉状シートであってもよい。
また、本発明に用いられるアルミニウム合金板の厚みは、通常、0.05〜1mm程度であり、0.1mm〜0.5mmであるのが好ましい。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさおよびユーザの希望により適宜変更することができる。
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法においては、上記アルミニウム合金板に、腐食抑制剤を含有する酸性水溶液の中での電解粗面化処理を含む表面処理を施して平版印刷版用支持体を得るが、この表面処理には、更に各種の処理が含まれていてもよい。なお、本発明に用いられる各種の工程においては、その工程に用いられる処理液の中に使用するアルミニウム合金板の合金成分が溶出するので、処理液はアルミニウム合金板の合金成分を含有していてもよく、特に、処理前にそれらの合金成分を添加して処理液を定常状態にして用いるのが好ましい。
本発明においては、電解粗面化処理の前には、アルカリエッチング処理またはデスマット処理を施すのが好ましく、また、アルカリエッチング処理とデスマット処理とをこの順に施すのも好ましい。また、電解粗面化処理の後には、アルカリエッチング処理またはデスマット処理を施すのが好ましく、また、アルカリエッチング処理とデスマット処理とをこの順に施すのも好ましい。また、電解粗面化処理後のアルカリエッチング処理は、省略することもできる。本発明においては、これらの処理の前に機械的粗面化処理を施すのも好ましい。また、電解粗面化処理を2回以上行ってもよい。また、これらの後に、陽極酸化処理、封孔処理、親水化処理等を施すのも好ましい。
特に、表面処理が、アルカリエッチング処理、デスマット処理、腐食抑制剤を含有する水溶液の中での電解粗面化処理、アルカリエッチング処理および/またはデスマット処理、陽極酸化処理をこの順に含むのは、本発明の好ましい態様の一つである。この場合、表面処理が、陽極酸化処理の後に、封孔処理および/または親水化処理を含むのは、本発明の好ましい態様の一つである。また、この場合、表面処理が、最初のアルカリエッチング処理の前に、機械的粗面化処理を含むのは、本発明の好ましい態様の一つである。
以下、機械的粗面化処理、第1アルカリエッチング処理、第1デスマット処理、電解粗面化処理、第2アルカリエッチング処理、第2デスマット処理、陽極酸化処理、封孔処理および親水化処理のそれぞれについて、詳細に説明する。なお、本明細書においては、電解粗面化処理の前に行う処理に「第1」という序数をつけて呼び、電解粗面化処理の後に行う処理に「第2」という序数をつけて呼ぶ場合がある。
<機械的粗面化処理>
機械的粗面化処理は、電解粗面化処理の前に行うのが好ましい。機械的粗面化処理は、一般に、円柱状の胴の表面に、ナイロン(商標名)、プロピレン、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂からなる合成樹脂毛等のブラシ毛を多数植設したローラ状ブラシを用い、回転するローラ状ブラシに研磨剤を含有するスラリー液を噴きかけながら、上記アルミニウム合金板の表面の一方または両方を擦ることにより行う。上記ローラ状ブラシおよびスラリー液の代わりに、表面に研磨層を設けたローラである研磨ローラを用いることもできる。ローラ状ブラシにおけるブラシ毛の長さは、ローラ状ブラシの外径および胴の直径に応じて適宜決定することができるが、一般的には、10〜100mmである。
機械的粗面化処理は、電解粗面化処理の前に行うのが好ましい。機械的粗面化処理は、一般に、円柱状の胴の表面に、ナイロン(商標名)、プロピレン、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂からなる合成樹脂毛等のブラシ毛を多数植設したローラ状ブラシを用い、回転するローラ状ブラシに研磨剤を含有するスラリー液を噴きかけながら、上記アルミニウム合金板の表面の一方または両方を擦ることにより行う。上記ローラ状ブラシおよびスラリー液の代わりに、表面に研磨層を設けたローラである研磨ローラを用いることもできる。ローラ状ブラシにおけるブラシ毛の長さは、ローラ状ブラシの外径および胴の直径に応じて適宜決定することができるが、一般的には、10〜100mmである。
本発明に用いられる研磨剤は公知の物が使用できる。例えば、パミストン、ケイ砂、水酸化アルミニウム、アルミナ粉、火山灰、カーボランダム、金剛砂等の研磨剤、またはこれらの混合物を用いることができる。中でも、パミストン、ケイ砂が好ましいが、特にケイ砂はパミストンに比べて硬く、壊れにくいので、粗面化効率が優れる点で好ましい。研磨剤の平均粒径は、粗面化効率に優れ、かつ、砂目立てピッチを狭くすることができる点で、3〜50μmであるのが好ましく、6〜45μmであるのがより好ましい。研磨剤としてパミストンを用いる場合、平均粒径が40〜45μmであるのが特に好ましく、また、研磨剤としてケイ砂を用いる場合、平均粒径が20〜25μmであるのが特に好ましい。研磨剤は、例えば、水中に懸濁させて、研磨スラリー液として用いる。研磨スラリー液には、研磨剤のほかに、増粘剤、分散剤(例えば、界面活性剤)、防腐剤等を含有させることができる。平均粒径とは、研磨スラリー液中に含有される全研磨剤の体積に対し、各粒径の研磨剤粒子の占める割合の累積分布をとったとき、累積割合が50%となる粒径をいう。
また、機械的粗面化処理においては、まず、ブラシグレイニングを行うに先立ち、所望により、アルミニウム合金板の表面の圧延油を除去するための脱脂処理、例えば、界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われてもよい。
<第1アルカリエッチング処理>
第1アルカリエッチング処理は、上記アルミニウム合金板をアルカリ溶液に接触させることにより、エッチングを行う。第1アルカリエッチング処理は、機械的粗面化処理を行っていない場合には、アルミニウム合金板(圧延アルミ)の表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜を除去することを目的として、また、機械的粗面化処理を行った場合には、機械的粗面化処理によって生成した凹凸のエッジ部分を溶解させ、滑らかなうねりを持つ表面を得ることを目的として行われる。アルミニウム合金板をアルカリ溶液に接触させる方法としては、例えば、アルカリ溶液を入れた槽の中にアルミニウム合金板を通過させる方法、アルカリ溶液を入れた槽の中にアルミニウム合金板を浸漬させる方法、アルカリ溶液をアルミニウム合金板の表面に噴き付ける方法等が挙げられる。
第1アルカリエッチング処理は、上記アルミニウム合金板をアルカリ溶液に接触させることにより、エッチングを行う。第1アルカリエッチング処理は、機械的粗面化処理を行っていない場合には、アルミニウム合金板(圧延アルミ)の表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜を除去することを目的として、また、機械的粗面化処理を行った場合には、機械的粗面化処理によって生成した凹凸のエッジ部分を溶解させ、滑らかなうねりを持つ表面を得ることを目的として行われる。アルミニウム合金板をアルカリ溶液に接触させる方法としては、例えば、アルカリ溶液を入れた槽の中にアルミニウム合金板を通過させる方法、アルカリ溶液を入れた槽の中にアルミニウム合金板を浸漬させる方法、アルカリ溶液をアルミニウム合金板の表面に噴き付ける方法等が挙げられる。
エッチング量は、次の工程で電解粗面化処理を施す面については、1〜15g/m2 であるのが好ましく、電解粗面化処理を施さない面については、0.1〜5g/m2(電解粗面化処理を施す面の約10〜40%)であるのが好ましい。エッチング量が上記の範囲であると、機械的粗面化処理を行っていない場合には、アルミニウム合金板(圧延アルミ)の表面の圧延油(油脂類)、汚れ、自然酸化皮膜が完全に除去されるため、平版印刷版としたときに、非画像部における保水性に優れ、非画像部にインキが付着して起こる、いわゆるブラン汚れ(ブランケット汚れ)等が生じないので好ましい。また、機械的粗面化処理を行った場合には、機械的粗面化処理によって生成した凹凸のエッジ部分の溶解が十分となる。
アルカリ溶液に用いられるアルカリとしては、例えば、カセイアルカリ、アルカリ金属塩が挙げられる。具体的には、カセイアルカリとしては、例えば、カセイソーダ、カセイカリが挙げられる。また、アルカリ金属塩としては、例えば、タケイ酸ソーダ、ケイ酸ソーダ、メタケイ酸カリ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩;炭酸ソーダ、炭酸カリ等のアルカリ金属炭酸塩;アルミン酸ソーダ、アルミン酸カリ等のアルカリ金属アルミン酸塩;グルコン酸ソーダ、グルコン酸カリ等のアルカリ金属アルドン酸塩;第二リン酸ソーダ、第二リン酸カリ、第三リン酸ソーダ、第三リン酸カリ等のアルカリ金属リン酸水素塩が挙げられる。中でも、エッチング速度が速い点および安価である点から、カセイアルカリの溶液、および、カセイアルカリとアルカリ金属アルミン酸塩との両者を含有する溶液が好ましい。特に、カセイソーダの水溶液が好ましい。
アルカリ溶液の濃度は、エッチング量に応じて決定することができるが、1〜50質量%であるのが好ましく、10〜35質量%であるのがより好ましい。アルカリ溶液中にアルミニウムイオンが溶解している場合には、アルミニウムイオンの濃度は、0.01〜10質量%であるのが好ましく、3〜8質量%であるのがより好ましい。アルカリ溶液の温度は20〜90℃であるのが好ましい。処理時間は1〜120秒であるのが好ましい。エッチング処理の量は、1〜15g/m2溶解するのが好ましく、3〜12g/m2溶解するのがより好ましい。第1アルカリエッチング処理は、アルミニウム板のエッチング処理に通常用いられるエッチング槽を用いて行うことができる。エッチング槽としては、バッチ式および連続式のいずれも用いることができる。また、アルカリ溶液をアルミニウム合金板の表面に噴きかけて第1アルカリエッチング処理を行う場合は、スプレー装置を用いることができる。
<第1デスマット処理>
第1デスマット処理は、例えば、上記アルミニウム合金板を塩酸、硝酸、硫酸等の濃度0.5〜30質量%の酸性溶液(アルミニウムイオン0.01〜5質量%を含有する。)に接触させることにより行う。アルミニウム合金板を酸性溶液に接触させる方法としては、例えば、酸性溶液を入れた槽の中にアルミニウム合金板を通過させる方法、酸性溶液を入れた槽の中にアルミニウム合金板を浸漬させる方法、酸性溶液をアルミニウム合金板の表面に噴き付ける方法が挙げられる。第1デスマット処理においては、酸性溶液として、後述する電解粗面化処理において排出される硝酸を主体とする水溶液もしくは塩酸を主体とする水溶液の廃液、または、後述する陽極酸化処理において排出される硫酸を主体とする水溶液の廃液を用いるのが好ましい。第1デスマット処理の液温は、25〜90℃であるのが好ましい。また、第1デスマット処理の処理時間は、1〜180秒であるのが好ましい。第1デスマット処理に用いられる酸性溶液には、アルミニウムおよびアルミニウム合金成分が溶け込んでいてもよい。
第1デスマット処理は、例えば、上記アルミニウム合金板を塩酸、硝酸、硫酸等の濃度0.5〜30質量%の酸性溶液(アルミニウムイオン0.01〜5質量%を含有する。)に接触させることにより行う。アルミニウム合金板を酸性溶液に接触させる方法としては、例えば、酸性溶液を入れた槽の中にアルミニウム合金板を通過させる方法、酸性溶液を入れた槽の中にアルミニウム合金板を浸漬させる方法、酸性溶液をアルミニウム合金板の表面に噴き付ける方法が挙げられる。第1デスマット処理においては、酸性溶液として、後述する電解粗面化処理において排出される硝酸を主体とする水溶液もしくは塩酸を主体とする水溶液の廃液、または、後述する陽極酸化処理において排出される硫酸を主体とする水溶液の廃液を用いるのが好ましい。第1デスマット処理の液温は、25〜90℃であるのが好ましい。また、第1デスマット処理の処理時間は、1〜180秒であるのが好ましい。第1デスマット処理に用いられる酸性溶液には、アルミニウムおよびアルミニウム合金成分が溶け込んでいてもよい。
<電解粗面化処理>
本発明においては、電解粗面化処理を、腐食抑制剤を含有する酸性水溶液の中で行うことを特徴とする。酸性水溶液としては、特に限定されないが、硝酸を主体とする水溶液および塩酸を主体とする水溶液が好ましい。硝酸を主体とする水溶液は、硝酸濃度が3〜20g/Lであるのが好ましく、5〜15g/Lであるのがより好ましく、また、アルミニウムイオン濃度が3〜15g/Lであるのが好ましく、3〜7g/Lであるのがより好ましい。硝酸を主体とする水溶液におけるアルミニウムイオンの濃度は、硝酸濃度の硝酸水溶液に硝酸アルミニウムを添加することにより調整することができる。塩酸を主体とする水溶液は、塩酸濃度が3〜15g/Lであるのが好ましく、5〜10g/Lであるのがより好ましく、また、アルミニウムイオン濃度が3〜15g/Lであるのが好ましく、3〜7g/Lであるのがより好ましい。塩酸を主体とする水溶液におけるアルミニウムイオンの濃度は、上記塩酸濃度の塩酸水溶液に塩化アルミニウムを添加することにより調整することができる。また、硝酸を主体とする水溶液および塩酸を主体とする水溶液は、いずれもFe、Si、Cu、Mg、Mn、Zn、Cr、Ti、不可避的不純物等のイオンを含有することができる。硝酸を主体とする水溶液の液温は、30〜70℃であるのが好ましく、35〜60℃であるのがより好ましい。塩酸を主体とする水溶液の液温は、25〜50℃であるのが好ましく、30〜45℃であるのがより好ましい。
本発明においては、電解粗面化処理を、腐食抑制剤を含有する酸性水溶液の中で行うことを特徴とする。酸性水溶液としては、特に限定されないが、硝酸を主体とする水溶液および塩酸を主体とする水溶液が好ましい。硝酸を主体とする水溶液は、硝酸濃度が3〜20g/Lであるのが好ましく、5〜15g/Lであるのがより好ましく、また、アルミニウムイオン濃度が3〜15g/Lであるのが好ましく、3〜7g/Lであるのがより好ましい。硝酸を主体とする水溶液におけるアルミニウムイオンの濃度は、硝酸濃度の硝酸水溶液に硝酸アルミニウムを添加することにより調整することができる。塩酸を主体とする水溶液は、塩酸濃度が3〜15g/Lであるのが好ましく、5〜10g/Lであるのがより好ましく、また、アルミニウムイオン濃度が3〜15g/Lであるのが好ましく、3〜7g/Lであるのがより好ましい。塩酸を主体とする水溶液におけるアルミニウムイオンの濃度は、上記塩酸濃度の塩酸水溶液に塩化アルミニウムを添加することにより調整することができる。また、硝酸を主体とする水溶液および塩酸を主体とする水溶液は、いずれもFe、Si、Cu、Mg、Mn、Zn、Cr、Ti、不可避的不純物等のイオンを含有することができる。硝酸を主体とする水溶液の液温は、30〜70℃であるのが好ましく、35〜60℃であるのがより好ましい。塩酸を主体とする水溶液の液温は、25〜50℃であるのが好ましく、30〜45℃であるのがより好ましい。
本発明に係る腐食抑制剤としては、不働態皮膜形成型腐食抑制剤、皮膜形成型腐食抑制剤、吸着型腐食抑制剤、気化性腐食抑制剤、沈殿形成型腐食抑制剤に分けることができるが、中でも不働態皮膜形成型腐食抑制剤を用いることが好ましい。不働態皮膜形成型腐食抑制剤は電解粗面化中に、酸化力を有する腐食抑制剤によって金属表面を酸化して不働態皮膜を形成することにより、アルミニウム合金板(不純物元素を含む)の不均一な腐食を抑制する。
本発明に用いられる腐食抑制剤の具体例としては、クロム酸ナトリウム、クロム酸カリウム、クロム酸銀、クロム酸コバルト、クロム酸ストロンチウム、クロム酸バリウム、クロム酸リチウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸銀、亜硝酸、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸マグネシウム、ほう酸、ほう酸カリウム、ほう酸ナトリウム、ほう酸リチウム、リン酸、ホスホン酸、ピロリン酸、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸リチウム、モリブデン酸ナトリウム、リンモリブデン酸ナトリム、タングステン酸亜鉛、タングステン酸カリウム、タングステン酸カルシウム、タングステン酸コバルト、タングステン酸銅、タングステン酸バリウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸リチウム、安息香酸亜鉛、安息香酸マグネシウム、安息香酸マンガン、安息香酸リチウム、桂皮酸等が好適に使用できる。なお、1種類の腐食抑制剤を使用してもよいし、1種類以上の腐食抑制剤を組み合わせて使用してもよい。
また、上記腐食抑制剤のうち、リンを含む化合物が好ましく、リン酸がより好ましい。
酸性電解液中における腐食抑制剤の濃度は、0.001g/L〜100g/Lが好ましく、0.01g/L〜50g/Lがより好ましく、0.1g/L〜20g/Lがさらに好ましい。
次に、本発明に係る腐食抑制剤の作用について、不働態皮膜形成型腐食抑制剤を例にとって説明する。
本発明における電解粗面化処理においては、酸性水溶液中に含有する腐食抑制剤がアルミニウムの表面を酸化し、不働態皮膜を形成するだけでなく、アルミニウム合金板表面に存在するFe、Si、Cu、Mg、Mn、Zn、Cr、Ti等の不純物元素の表面を酸化し、不働態皮膜の形成を助長する。これにより、アルミニウム合金板が不均一に溶解することを抑制できるため、均一な凸凹形状に粗面化することができる。このように、Fe、Si、Cu、Mg、Mn、Zn、CrおよびTiを含有し、かつ、アルミニウム含有率が95〜99.4質量%の比較的不純物元素の含有量が多いアルミニウム合金板においても、厳密に電解粗面化条件を調整することなく、均一な粗面化形状を得ることができる。また、このような均一な粗面化形状を有するアルミニウム合金板は、レーザ製版層を有する平版印刷版現版に用いられる平版印刷用支持体として極めて好適である。
次に、電解粗面化処理方法について説明する。電解粗面化処理としては、交流または直流を用いて行われるが、本発明においては、交流を用いるのが好ましい。電解粗面化処理に用いられる交流は、特に限定されず、例えば、正弦波(サイン波)電流、矩形波電流、三角波電流、台形波電流を用いることができる。中でも、正弦波電流および台形波電流が好ましい。本発明において、交流は、単相、二相、三相等のいずれでもよいが、二相以上とすると、粗面化効率に優れるので好ましい。また、交流と直流とを重畳した電流を用いることもできる。交流の周波数は、特に限定されないが、40〜120Hzであるのが好ましく、40〜80Hzであるのがより好ましく、50〜60Hzであるのが更に好ましい。交流の周波数が40〜120Hzであると、電源装置を製作するコストを抑制することができる。
また、アルミニウム合金板が陽極になるときの電気量、即ち、陽極時電気量Qaと、陰極になるときの電気量、即ち、陰極時電気量Qcとの比Qc/Qaが0.9〜1であると、アルミニウム合金板の表面に均一なハニカムピットを形成することができるので好ましい。より好ましくは、Qc/Qaは0.95〜0.99である。電解租面化処理を、主極のアノード電流を分流する補助電極を有する交流電解槽を用いて行う場合には、補助電極に分流するアノード電流の電流値を制御することにより、Qc/Qaを制御することができる。
交流のdutyは、特に限定されないが、アルミニウム合金板の表面に均一に粗面化処理を施す点および電源装置の製作の点からは、0.33〜0.66であるのが好ましく、0.4〜0.6であるのがより好ましく、0.5であるのが最も好ましい。なお、本発明において「duty」とは、交流の周期をT、アルミニウム合金板が陽極反応する時間(アノード反応時間)をtaとしたときのta/Tをいう。アルミニウム合金板の表面には、カソード反応時に、水酸化アルミニウムを主体とする酸化皮膜が生成し、更に、酸化皮膜の溶解や破壊が生じることがある。そして、酸化皮膜の溶解や破壊が生じると、溶解や破壊が生じた部分は、次のアルミニウム合金板のアノード反応時におけるピッティング反応の開始点となる。したがって、交流のdutyの選択は均一な電解粗面化処理を行う点で、特に重要である。
交流における電流値がゼロから正または負のピークに達するまでの時間TPは、台形波電流である場合においては、0.5〜6msecであるのが好ましく、0.6〜5msecであるのがより好ましく、0.7〜3msecであるのが更に好ましい。上記範囲であると、アルミニウム合金板の表面に、より均一なクレーター状の凹部(ピット)が形成される。電解粗面化処理における開始時から終了時までの電気量は、アルミニウム合金板が陽極のときの総和で、10〜1000C/dm2であるのが好ましく、10〜800C/dm2 であるのがより好ましく、40〜500C/dm2であるのが更に好ましい。交流におけるアノードサイクル側のピーク時の電流Iap、およびカソードサイクル側のピーク時の電流Icpは、それぞれ10〜100A/dm2であるのが好ましく、20〜80A/dm2であるのがより好ましく、30〜60A/dm2であるのが更に好ましい。また、Icp/Iapは、0.9〜1.5であるのが好ましく、0.9〜1.0であるのがより好ましい。
電解粗面化処理においては、1または2以上の交流電解槽において、アルミニウム合金板に交流が流れない休止期間を1回以上設け、前記休止期間の長さを0.001〜0.6秒とすると、ハニカムピットがアルミニウム合金板の表面全体に均一に形成されるので好ましい。より好ましくは0.005〜0.55秒、更に好ましくは0.01〜0.5秒である。直列に配置された2以上の交流電解槽を用いる場合には、一の交流電解槽と他の交流電解層との間におけるアルミニウム合金板に交流が流れない時間を0.001〜20秒とするのが好ましい。より好ましくは0.1〜15秒、更に好ましくは1〜12秒である。
次に、本発明に使用される電解粗面化処理装置10について説明する。上記電解粗面化処理装置10としては、縦型、フラット型、ラジアル型等の各種の交流電解槽を備える電解粗面化処理装置を使用することができるが、特に、フラット型またはラジアル型の交流電解槽を備えるものが好ましい。また、交流電解槽を複数台直列に配設した電解粗面化処理装置も好適に用いることができる。
図1は、本発明に好適に使用されるフラット型交流電解槽を備える電解粗面化処理装置10の一例を示す断面模式図である。電解粗面化処理装置10は、アルミニウム合金板Wを略水平方向に搬送しつつ三相の交流(以下「三相交流電流」ともいう。)を印加して電解粗面化処理を施す電解粗面化処理装置である。
電解粗面化処理装置10は、主に、アルミニウム合金板Wの搬送方向aに沿って延在し上面が開放された浅い箱状の交流電解槽2と、交流電解槽2の底面近傍に搬送方向aに沿って、アルミニウム合金板Wの搬送経路である搬送面Tに対して平行に配設された三つの板状の主極4A、4Bおよび4Cと、交流電解槽2の内部における搬送方向aに対して上流側(以下、単に「上流側」という。)および搬送方向aに対して下流側(以下、単に「下流側」という。)の端部近傍に配設され、交流電解槽2内部においてアルミニウム合金板Wを搬送する搬送ローラ6Aおよび6Bと、交流電解槽2の上方における上流側に位置し、アルミニウム合金板Wを交流電解槽2の内部に導入する導入ローラ8Aと、交流電解槽2の上方における下流側に位置し、交流電解槽2内部を通過したアルミニウム合金板Wを交流電解槽2の外部に導出する導出ローラ8Bと、を備えている。
交流電解槽2の内部には、上述した酸性水溶液が貯留されている。主極4A、4Bおよび4Cは、それぞれ三相の交流を発生させる交流電源TacのU端子、V端子およびW端子に接続されている。したがって、主極4A、4Bおよび4Cに印加される交流は、位相が120°ずつずれている。
次に、電解粗面化処理装置10の作用について以下に説明する。アルミニウム合金板Wは、導入ローラ8Aによって交流電解槽2の内部に導入され、搬送ローラ6Aおよび6Bによって搬送方向aに沿って一定速度で搬送される。交流電解槽2の内部において、アルミニウム合金板Wは、主極4A、4Bおよび4Cに対して平行に移動するとともに、主極4A、4Bおよび4Cから交流を印加される。これにより、アルミニウム合金板Wにおいて、アノード反応とカソード反応とが交互に起き、アノード反応が起きているときには主にハニカムピットが生じ、カソード反応が起きているときには主に水酸化アルミニウムの皮膜が生じて、表面が粗面化される。主極4A、4Bおよび4Cに印加される交流は、上述したように位相が120°ずつずれているから、主極4Bにおいては、主極4Aの位相(U相)よりも120°遅れた位相(V相)でアノード反応とカソード反応とが繰り返され、主極4Cにおいては、主極4Bよりも120°遅れた位相(W相)でアノード反応とカソード反応とが繰り返される。したがって、アルミニウム合金板Wにおいては、周波数の同一の単相の交番波形電流を印加した場合に比べて、3倍の頻度でアノード反応とカソード反応とが繰り返されるから、高い搬送速度および電流密度で電解粗面化処理を行う場合においても、幅方向の縞であるチャタマークが生じにくい。
図2に、本発明に好適に使用されるフラット型交流電解槽を備える電解粗面化処理装置10の他の一例の断面模式図を示す。図2において、図1と同一の符号は、図1において前記符号が示す要素と同一の要素を示す。
電解粗面化処理装置10は、主に、上述した電解粗面化処理装置10が備える交流電解槽2の後段に補助電解槽20を配設したこと以外は図1と同様に構成されている。
補助電解槽20は、上面が開放された箱型であり、底面近傍に、アルミニウム合金板Wの搬送面Tに対して平行に板状の補助電極12が設けられている。補助電解槽20の上流側壁面の近傍と下流側壁面の近傍とには、アルミニウム合金板Wを補助電極12の上方において搬送する搬送ローラ14Aおよび14Bが配設されている。また、補助電解槽20の上方における上流側には、アルミニウム合金板Wを補助電解槽20の内部に導入する導入ローラ16Aが設けられ、補助電解槽20の上方における下流側には、補助電解槽20内部を通過したアルミニクムウエブWを外部に導出する導出ローラ16Bが設けられている。補助電解槽20内部には、上述した酸性水溶液が貯留されている。
交流電源TacのU相、V相およびW相は、それぞれ補助電極12に接続され、U相、V相およびW相のそれぞれと補助電極12との間には、サイリスタTh1、Th2およびTh3が介装されている。サイリスタTh1、Th2およびTh3は、いずれも点弧時に交流電源Tacから補助電極12に向って電流が流れるように接続されている。したがって、サイリスタTh1、Th2およびTh3のいずれを点弧したときも、補助電極12にはアノード電流が流れるから、サイリスタTh1、Th2およびTh3を位相制御することにより、補助電極12に流れるアノード電流の電流値を制御することができ、したがって、Qc/Qaの値も制御することができる。
図3に、本発明に好適に用いられるラジアル型交流電解槽を備える電解粗面化処理装置10の一例の断面模式図を示す。
電解粗面化処理装置10は、酸性水溶液が貯留される交流電解槽本体22を備える交流電解槽40と、交流電解槽本体22内部に収容され、水平方向に伸びる軸線の周りに回転可能に配設され、アルミニウム合金板Wを、図3における左方から右方に向かって、搬送方向aで送る送りローラ24と、を備えている。
交流電解槽本体22内部には、上述した酸性水溶液が貯留されている。交流電解槽本体22の内壁面は、送りローラ24を囲むように略円筒状に形成されており、前記内壁面上には、半円筒状の主極26Aおよび26Bが送りローラ24を挟んで設けられている。主極26Aおよび26Bは、複数の小電極に分割され、それぞれの小電極の間には、絶縁性のスペーサーが介装されている。小電極は、例えば、グラファイトや金属を用いて形成することができ、スペーサーは、例えば、塩化ビニル樹脂により形成することができる。スペーサーの厚さは1〜10mmであるのが好ましい。また、図3においては簡略的に示したが、主極26Aおよび26Bのいずれにおいても、スペーサーにより分割された小電極のそれぞれが交流電源Tacに接続されている。
交流電解槽40の上部には、アルミニウム合金板Wを交流電解槽本体22に導入し、また、導出するための開口部22Aが形成されている。交流電解槽本体22における開口部22Aの近傍には、交流電解槽本体22に酸性水溶液を補充する給液ノズル28Aが設けられている。また、給液ノズル28Bも別途設けられている。交流電解槽40の上方における開口部22A近傍には、アルミニウム合金板Wを交流電解槽本体22内部に案内する一群の上流側案内ローラ30Aと、交流電解槽本体22内で電解粗面化処理されたアルミニウム合金板Wを外部に案内する一群の下流側案内ローラ30Bとが配設されている。
交流電解槽40においては、交流電解槽本体22の下流側に隣接して溢流槽32が設けられている。溢流槽32内部には、上述した酸性水溶液が貯留されている。溢流槽32は、交流電解槽本体22から溢流した酸性水溶液を一時貯留し、交流電解槽本体22における酸性水溶液の液面の高さを一定に保持する機能を有する。
交流電解槽本体22と溢流槽32との間には、補助電解槽34が設けられている。補助電解槽34は、交流電解槽本体22よりも浅く、底面34Aが平面状に形成されている。そして、底面34A上には、円柱状の補助電極36が複数本儲けられている。補助電解槽34内部には上述した酸性水溶液が貯留されている。補助電極36は、白金等の高耐食性の金属、フェライト等により形成されているのが好ましい。また、補助電極36は板状であってもよい。補助電極36は、交流電源Tacにおける主極26Bが接続される側に、主極26Bに対して並列に接続され、中間には、サイリスタTh4が、点弧時に交流電源Tacにおける前記側から補助電極36に向かって電流が流れるように接続されている。また、交流電源Tacにおける主極26Aが接続された側も、サイリスタTh5を介して補助電極36に接続されている。サイリスタTh5も、点弧時に交流電源Tacにおける主極26Aが接続された側から補助電極36に向かって電流が流れるように接続されている。サイリスタTh4およびTh5のいずれを点弧したときも、補助電極36にはアノード電流が流れる。したがって、サイリスタTh4およびTh5を位相制御することにより、補助電極36に流れるアノード電流の電流値を制御することができ、したがって、Qc/Qaの値も制御することができる。
図3の電解粗面化処理装置10の作用について以下に説明する。図3における左方から、交流電解槽40に案内されたアルミニウム合金板Wは、まず、上流側案内ローラ30Aによって交流電解槽本体22に案内される。そして、送りローラ24によって図3における左方から右方に向かって送られ、下流側案内ロ一ラ30Bによって補助電解槽34内に導かれる。交流電解槽本体22および補助電解槽34の内部において、アルミニウム合金板Wは、主極26Aおよび26Bに印加された交流電流と、補助電極36に印加されたアノード電流とにより、主極26Aおよび26Bに面する側の表面が粗面化され、ほぼ均一なハニカムピットが形成される。
<第2アルカリエッチング処理>
第2アルカリエッチング処理は、上記アルミニウム合金板をアルカリ溶液に接触させることにより、エッチングを行う。アルカリの種類、アルミニウム合金板をアルカリ溶液に接触させる方法およびそれに用いる装置は、第1アルカリエッチング処理の場合と同様のものが挙げられる。エッチング量は、電解粗面化処理を施した面については、0.001〜5g/m2であるのが好ましく、0.01〜3g/m2であることがより好ましく、0.05〜2g/m2であることがさらに好ましい。
<第2アルカリエッチング処理>
第2アルカリエッチング処理は、上記アルミニウム合金板をアルカリ溶液に接触させることにより、エッチングを行う。アルカリの種類、アルミニウム合金板をアルカリ溶液に接触させる方法およびそれに用いる装置は、第1アルカリエッチング処理の場合と同様のものが挙げられる。エッチング量は、電解粗面化処理を施した面については、0.001〜5g/m2であるのが好ましく、0.01〜3g/m2であることがより好ましく、0.05〜2g/m2であることがさらに好ましい。
アルカリ溶液に用いられるアルカリとしては、第1アルカリエッチング処理の場合と同様のものが挙げられる。アルカリ溶液の濃度は、エッチング量に応じて決定することができるが、0.01〜80質量%であるのが好ましい。アルカリ溶液の温度は20〜90℃であるのが好ましい。処理時間は1〜60秒であるのが好ましい。後述する第2デスマット処理において、硫酸を100g/L以上含有し、かつ、液温が60℃以上である酸性溶液を用いるときは、第2アルカリエッチング処理を省略することもできる。
<第2デスマット処理>
第2デスマット処理は、例えば、上記アルミニウム合金板をリン酸、塩酸、硝酸、硫酸等の濃度0.5〜30質量%の酸性溶液(アルミニウムイオン0.01〜5質量%を含有する。)に接触させることにより行う。アルミニウム合金板を酸性溶液に接触させる方法は、第1デスマット処理の場合と同様のものが挙げられる。第2デスマット処理においては、酸性溶液として、後述する陽極酸化処理において排出される硫酸溶液の廃液を用いるのが好ましい。また、廃液の代わりに、硫酸濃度が100〜600g/L、アルミニウムイオン濃度が1〜10g/Lであり、液温が60〜90℃である硫酸溶液を用いることもできる。第2デスマット処理の液温は、25〜90℃であるのが好ましい。また、第2デスマット処理の処理時間は、1〜180秒であるのが好ましい。第2デスマット処理に用いられる酸性溶液には、アルミニウムおよびアルミニウム合金成分が溶け込んでいてもよい。
<第2デスマット処理>
第2デスマット処理は、例えば、上記アルミニウム合金板をリン酸、塩酸、硝酸、硫酸等の濃度0.5〜30質量%の酸性溶液(アルミニウムイオン0.01〜5質量%を含有する。)に接触させることにより行う。アルミニウム合金板を酸性溶液に接触させる方法は、第1デスマット処理の場合と同様のものが挙げられる。第2デスマット処理においては、酸性溶液として、後述する陽極酸化処理において排出される硫酸溶液の廃液を用いるのが好ましい。また、廃液の代わりに、硫酸濃度が100〜600g/L、アルミニウムイオン濃度が1〜10g/Lであり、液温が60〜90℃である硫酸溶液を用いることもできる。第2デスマット処理の液温は、25〜90℃であるのが好ましい。また、第2デスマット処理の処理時間は、1〜180秒であるのが好ましい。第2デスマット処理に用いられる酸性溶液には、アルミニウムおよびアルミニウム合金成分が溶け込んでいてもよい。
<陽極酸化処理>
上記の如く処理されたアルミニウム合金板には、更に、陽極酸化処理が施されるのが好ましい。陽極酸化処理はこの分野で従来の方法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等の単独のまたは2種以上を組み合わせた水溶液または非水溶液である電解液の中で、アルミニウム合金板に直流、脈流または交流を流すとアルミニウム合金板の表面に陽極酸化皮膜を形成することができる。
上記の如く処理されたアルミニウム合金板には、更に、陽極酸化処理が施されるのが好ましい。陽極酸化処理はこの分野で従来の方法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等の単独のまたは2種以上を組み合わせた水溶液または非水溶液である電解液の中で、アルミニウム合金板に直流、脈流または交流を流すとアルミニウム合金板の表面に陽極酸化皮膜を形成することができる。
この際、少なくともアルミニウム合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分が電解液中に含まれていても構わない。更には、第2、第3の成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、第3の成分としては、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオン;アンモニウムイオン等の陽イオン;硝酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、リン酸イオン、フッ化物イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、ホウ酸イオン等の陰イオンが挙げられ、0〜10000ppm程度の濃度で含まれていてもよい。
中でも、電解液として硫酸溶液を用いるのが好ましい。電解液中の硫酸濃度は、10〜300g/L(1〜30質量%)であるのが好ましく、また、アルミニウムイオン濃度は、1〜25g/L(0.1〜2.5質量%)であるのが好ましく、2〜10g/L(0.2〜1質量%)であるのがより好ましい。このような電解液は、例えば、硫酸濃度が50〜200g/Lである希硫酸にアルミニウムを添加することにより調製することができる。
硫酸を含有する電解液中で陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム合金板に直流を印加してもよく、交流を印加してもよい。アルミニウム合金板に直流を印加する場合においては、電流密度は、1〜60A/dm2であるのが好ましく、5〜40A/dm2であるのがより好ましい。連続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム合金板の一部に電流が集中していわゆる「焼け」が生じないように、陽極酸化処理の開始当初は、5〜10A/m2の低電流密度で電流を流し、陽極酸化処理が進行するにつれ、30〜50A/dm2またはそれ以上に電流密度を増加させるのが好ましい。連続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム合金板に、電解液を介して給電する液給電方式により行うのが好ましい。
アルミニウム合金板に給電する電極としては、鉛、酸化イリジウム、白金、フェライト等により形成された電極を用いることができる。中でも、主に酸化イリジウムから形成された電極、および、基材の表面を酸化イリジウムで被覆した電極が好ましい。そのような基材としては、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム等のいわゆるバルブ金属を用いるのが好ましく、バルブ金属の中でも、チタン、ニオブが好ましい。バルブ金属は、比較的電気抵抗が大きいため、銅からなる芯材の表面にバルブ金属をクラッドして基材を形成させてもよい。銅からなる芯材の表面にバルブ金属をクラッドする場合には、複雑な形状の基材を作製することは困難であるため、基材を部品毎に分割した形態の芯材にバルブ金属をクラッドし、その後、各部品を組み合わせて基材を組み立ててもよい。
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度1〜80質量%、液温5〜70℃、電流密度1〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10〜300秒であるのが適当である。陽極酸化処埋は、陽極酸化皮膜量が1〜5g/m2になるように行うのが、平版印刷版の耐刷性の点から好ましい。また、アルミニウム合金板の中央部と縁部近傍との間の陽極酸化皮膜量の差が1g/m2以下になるように行うのが好ましい。
<封孔処理>
本発明においては、陽極酸化皮膜を形成させたアルミニウム合金板を、沸騰水、熱水または水蒸気に接触させて陽極酸化処理に存在する小孔(マイクロポア)を封じる封孔処理を行ってもよい。これらは、公知の方法に従って行うことができる。
本発明においては、陽極酸化皮膜を形成させたアルミニウム合金板を、沸騰水、熱水または水蒸気に接触させて陽極酸化処理に存在する小孔(マイクロポア)を封じる封孔処理を行ってもよい。これらは、公知の方法に従って行うことができる。
<親水化処理>
陽極酸化処理後または封孔処理後、ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液に浸せきさせる方法、親水性ビニルポリマーまたは親水性化合物を塗布して親水性の下塗り層を形成させる方法等により、親水化処理を行うのが好ましい。この方法に用いられる親水性ビニルポリマーとしては、例えば、ポリビニルスルホン酸、スルホン酸基を有するp−スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニル重合性化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の通常のビニル重合性化合物との共重合体が挙げられる。また、この方法に用いられる親水性化合物としては、例えば、−NH2基、−COOH基およびスルホ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有する化合物が挙げられる。
陽極酸化処理後または封孔処理後、ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液に浸せきさせる方法、親水性ビニルポリマーまたは親水性化合物を塗布して親水性の下塗り層を形成させる方法等により、親水化処理を行うのが好ましい。この方法に用いられる親水性ビニルポリマーとしては、例えば、ポリビニルスルホン酸、スルホン酸基を有するp−スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニル重合性化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の通常のビニル重合性化合物との共重合体が挙げられる。また、この方法に用いられる親水性化合物としては、例えば、−NH2基、−COOH基およびスルホ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有する化合物が挙げられる。
上記に詳細に説明した本発明の平版印刷版用支持体の製造方法によれば、アルミニウム含有率が低く、低価格のアルミニウム合金板を用いた場合であっても、表面の凹凸が均一な平版印刷版用支持体を得ることができる。また、本発明の平版印刷版用支持体の製造方法により得られた平版印刷版用支持体は、後述するように中間層、感光層等を設けて平版印刷版原版とすると、これを製版して平版印刷版としたときに、印刷性能に優れ、かつ、版切れが起こりにくい。
<中間層>
上記の親水化処理した平版印刷版用支持体、あるいは親水化処理後さらに酸性水溶液処理した平版印刷版用支持体の上に直接感光層を設けることができるが、必要に応じて、上記各支持体上に中間層を設け、該中間層上に感光層を設けることもできる。
(酸基とオニウム基とを有する高分子化合物の中間層)
中間層形成に用いる高分子化合物として、酸基を有する、あるいは、酸基を有する構成成分と共にオニウム基を有する構成成分をも有する高分子化合物が一層好適に用いられる。この高分子化合物の構成成分の酸基としては、酸解離指数(pKa)が7以下の酸基が好ましく、より好ましくは−COOH、−SO3H、−OSO3H、−PO3H2、−OPO3H2、−CONHSO2、−SO2NHSO2−であり、特に好ましくは−COOHである。好適なる酸基を有する構成成分は、下記の一般式(1)あるいは一般式(2)で表される重合可能な化合物である。
上記の親水化処理した平版印刷版用支持体、あるいは親水化処理後さらに酸性水溶液処理した平版印刷版用支持体の上に直接感光層を設けることができるが、必要に応じて、上記各支持体上に中間層を設け、該中間層上に感光層を設けることもできる。
(酸基とオニウム基とを有する高分子化合物の中間層)
中間層形成に用いる高分子化合物として、酸基を有する、あるいは、酸基を有する構成成分と共にオニウム基を有する構成成分をも有する高分子化合物が一層好適に用いられる。この高分子化合物の構成成分の酸基としては、酸解離指数(pKa)が7以下の酸基が好ましく、より好ましくは−COOH、−SO3H、−OSO3H、−PO3H2、−OPO3H2、−CONHSO2、−SO2NHSO2−であり、特に好ましくは−COOHである。好適なる酸基を有する構成成分は、下記の一般式(1)あるいは一般式(2)で表される重合可能な化合物である。
酸基を有する構成成分の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられ、さらに下記のものが挙げられる。
(オニウム基を有する高分子化合物の中間層)
また、上記中間層形成に用いられる高分子化合物の構成成分のオニウム基として好ましいものは、周期律表第V族あるいは第VI族の原子からなるオニウム基であり、より好ましくは窒素原子、リン原子あるいはイオウ原子からなるオニウム基であり、特に好ましくは窒素原子からなるオニウム基である。また、この高分子化合物は、その主鎖構造がアクリル樹脂やメタクリル樹脂やポリスチレンのようなビニル系ポリマーあるいはウレタン樹脂あるいはポリエステルあるいはポリアミドであるポリマーが好ましい。中でも、主鎖構造がアクリル樹脂やメタクリル樹脂やポリスチレンのようなビニル系ポリマーがさらに好ましい。特に好ましい高分子化合物は、オニウム基を有する構成成分が下記の一般式(3)、一般式(4)あるいは一般式(5)で表される重合可能な化合物であるポリマーである。
また、上記中間層形成に用いられる高分子化合物の構成成分のオニウム基として好ましいものは、周期律表第V族あるいは第VI族の原子からなるオニウム基であり、より好ましくは窒素原子、リン原子あるいはイオウ原子からなるオニウム基であり、特に好ましくは窒素原子からなるオニウム基である。また、この高分子化合物は、その主鎖構造がアクリル樹脂やメタクリル樹脂やポリスチレンのようなビニル系ポリマーあるいはウレタン樹脂あるいはポリエステルあるいはポリアミドであるポリマーが好ましい。中でも、主鎖構造がアクリル樹脂やメタクリル樹脂やポリスチレンのようなビニル系ポリマーがさらに好ましい。特に好ましい高分子化合物は、オニウム基を有する構成成分が下記の一般式(3)、一般式(4)あるいは一般式(5)で表される重合可能な化合物であるポリマーである。
<感光層>
上記中間層が形成される前の平版印刷版用支持体又は上記中間層が形成された平版印刷版用支持体に感光層を設けることにより、平版印刷版原版を得ることができる。
上記中間層が形成される前の平版印刷版用支持体又は上記中間層が形成された平版印刷版用支持体に感光層を設けることにより、平版印刷版原版を得ることができる。
感光層は、特に限定されないが、例えば、通常の可視光で露光する可視光露光型製版層、赤外線レーザ光等のレーザ光で露光するレーザ露光型製版層が挙げられる。以下、可視光露光型製版層およびレーザ露光型製版層について説明する。
(1)可視光露光型製版層可視光露光型製版層は、感光性樹脂および必要に応じて着色剤等を含有する組成物により形成することができる。感光性樹脂としては、光が当たると現像液に溶けるようになるボジ型感光性樹脂、光が当たると現像液に溶解しなくなるネガ型感光性樹脂が挙げられる。ポジ型感光性樹脂としては、例えば、キノンジアジド化合物、ナフトキノンジアジド化合物等のジアジド化合物と、フェノールノボラック樹脂、クレゾール−ノボラック樹脂等のフェノール樹脂との組み合わせが挙げられる。ネガ型感光性樹脂としては、例えば、ジアゾ樹脂(例えば、芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等のアルデヒド類との縮合物)、前記ジアゾ樹脂の無機酸塩、前記ジアゾ樹脂の有機酸塩等のジアゾ化合物と、(メタ)アクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の結合剤との組み合わせ、(メタ)アクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂等のビニルポリマーと、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン等のビニル重合性化合物と、ベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体等の光重合開始剤との組み合わせが挙げられる。
上記着色剤としては、通常の色素のほか、露光により発色する露光発色色素、露光によりほとんどまたは完全に無色になる露光消色色素等を用いることができる。露光発色色素としては、例えば、ロイコ色素が挙げられる。露光消色色素としては、例えば、トリフェニルメタン系色素、ジフェニルメタン系色素、オキザジン系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン系色素、アゾメチン系色素、アントラキノン系色素が挙げられる。
可視光露光型製版層は、例えば、上記感光性樹脂と上記着色剤とを溶剤に配合した感光性樹脂溶液を塗布し、その後、乾燥させることにより形成することができる。感光性樹脂溶液に用いられる溶剤としては、上記感光性樹脂を溶解することができ、かつ、室温である程度の揮発性を有する溶剤が挙げられる。具体的には、例えば、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、アミド系溶剤、炭酸エステル系溶剤が挙げられる。アルコール系溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノールが挙げられる。ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジエチルケトンが挙げられる。エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸メチル、ギ酸エチルが挙げられる。エーテル系溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサンが挙げられる。グリコールエーテル系溶剤としては、例えば、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブが挙げられる。アミド系溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドが挙げられる。炭酸エステル系溶剤としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、炭酸ジブチルが挙げられる。
感光性樹脂溶液の塗布方法は、特に限定されず、回転塗布法、ワイヤーバー塗布法、ディップ塗布法、エアーナイフ塗布法、ロール塗布法、ブレード塗布法等の従来公知の方法を用いることができる。
(2)レーザ露光型製版層レーザ露光型製版層としては、例えば、レーザ光を照射した部分が残存するネガ型レーザ製版層、レーザ光を照射した部分が除去されるポジ型レーザ製版層、レーザ光を照射すると光重合する光重合型レーザ製版層が主なものとして挙げられる。
(2)レーザ露光型製版層レーザ露光型製版層としては、例えば、レーザ光を照射した部分が残存するネガ型レーザ製版層、レーザ光を照射した部分が除去されるポジ型レーザ製版層、レーザ光を照射すると光重合する光重合型レーザ製版層が主なものとして挙げられる。
ネガ型レーザ製版層は、(A)熱または光により分解して酸を発生させる酸前駆体、(B)酸前駆体(A)が分解して発生した酸により架橋する酸架橋性化合物、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)赤外線吸収剤、および(E)フェノール性水酸基含有化合物を適当な溶剤に溶解させ、または懸濁させたネガ型レーザ製版層形成液を用いて形成することができる。
酸前駆体(A)としては、例えば、イミノフォスフェート化合物のように、紫外光、可視光または熱により分解してスルホン酸を発生させる化合物が挙げられる。ほかには、光カチオン重合開始剤、光ラジカル重合開始剤、光変色剤等として一般に使用されている化合物も、酸前駆体(A)として用いることができる。酸架橋性化合物(B)としては、例えば、アルコキシメチル基およびヒドロキシル基のうち少なくとも一方を有する芳香族化合物、N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基またはN−アシルオキシメチル基を有する化合物、エポキシ化合物が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂(C)としては、例えば、ノボラック樹脂、ポリ(ヒドロシスチレン)等の側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーが挙げられる。
赤外線吸収剤(D)としては、例えば、波長760〜1200nmの赤外線を吸収する染料および顔料が挙げられる。具体的には、例えば、黒色顔料、赤色顔料、金属粉顔料、フタロシアニン系顔料;前記波長の赤外線を吸収するアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、シアニン色素が挙げられる。フェノール性水酸基含有化合物(E)としては、例えば、一般式(R1−X)n−Ar−(OH)m(式中、R1は、炭素数6〜32のアルキル基またはアルケニル基であり、Xは、単結合、O、S、COOまたはCONHであり、Arは、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基または複素環基であり、nおよびmは、それぞれ1〜8の自然数である。)で表される化合物が挙げられる。そのような化合物としては、例えば、ノニルフェノール等のアルキルフェノール類が挙げられる。ネガ型レーザ製版層形成液には、上記各成分のほかに、可塑剤等を配合することもできる。
ボジ型レーザ製版層は、(F)アルカリ可溶性高分子、(G)アルカリ溶解阻害剤、および(H)赤外線吸収剤を適当な溶剤に溶解させ、または懸濁させたポジ型レーザ製版層形成液を用いて形成することができる。アルカリ可溶性高分子(F)としては、例えば、フェノール樹脂、クレゾール樹脂、ノボラック樹脂、ピロガロール樹脂、ポリ(ヒドロキシスチレン)等のフェノール性水酸基を有するフェノール系ポリマー;少なくとも一部のモノマー単位がスルホンアミド基を有するポリマーであるスルホンアミド基含有ポリマー;N−(p−トルエンスルホニル)(メタ)アクリルアミド基等の活性イミド基を有するモノマーの単独重合または共重合により得られる活性イミド基含有ポリマーが挙げられる。
アルカリ溶解阻害剤(G)としては、例えば、加熱等によりアルカリ可溶性高分子(F)と反応してアルカリ可溶性高分子(F)のアルカリ溶解性を低下させる化合物が挙げられる。具体的には、例えば、スルホン化合物、アンモニウム塩、スルホニウム塩、アミド化合物が挙げられる。アルカリ可溶性高分子(F)とアルカリ溶解阻害剤(G)の組み合わせとしては、アルカリ可溶性高分子(F)としてノボラック樹脂、アルカリ溶解阻害剤(G)としてスルホン化合物の一種であるシアニン色素の組み合わせが好適に挙げられる。赤外線吸収剤(H)としては、例えば、スクワリリウム色素、ピリリウム色素、カーボンブラック、不溶性アゾ染料、アントラキノン系染料等の波長750〜1200nmの赤外域に吸収領域があり、光/熱変換能を有する色素、染料および顔料が挙げられる。
光重合型レーザ製版層は、(I)分子末端にエチレン性不飽和結合を有するビニル重合性化合物を含有する光重合型レーザ製版層形成液を用いて形成することができる。光重合型レーザ製版層形成液には、必要に応じて、(J)光重合開始剤、(K)増感剤等を配合することができる。ビニル重合性化合物(I)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステルであるエチレン性不飽和カルボン酸多価エステル;前記エチレン性不飽和カルボン酸と多価アミンとからなるメチレンビス(メタ)アクリルアミド;キシリレン(メタ)アクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸多価アミドが挙げられる。ビニル重合性化合物(I)としては、ほかに、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等のエチレン性不飽和カルボン酸モノエステルが挙げられる。光重合開始剤(J)としては、ビニル系モノマーの光重合に通常使用される光重合開始剤を用いることができる。増感剤(K)としては、例えば、チタノセン化合物、トリアジン化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、シアニン色素、メロシアニン色素、キサンテン色素、クマリン色素が挙げられる。
上述したネガ型レーザ製版層形成液、ポジ型レーザ製版層形成液および光重合型レーザ製版層形成液に使用される溶剤、ならびに、ネガ型レーザ製版層形成液、ポジ型レーザ製版層形成液および光重合型レーザ製版層形成液の塗布方法については、上記感光性樹脂溶液について挙げた溶剤および塗布方法を用いることができる。なお、光重合型レーザ製版層を形成させる場合においては、シラン化合物を水、アルコールまたはカルボン酸で部分分解して得られる部分分解型シラン化合物等の反応性官能基を有するシリコーン化合物を用いて、平版印刷版用支持体の粗面化処理面をあらかじめ処理しておくと、支持体と光重合型レーザ製版層との接着性が向上するため好ましい。
<マット層>
上記のようにして設けられた感光層の表面には、真空焼き枠を用いた密着露光の際の真空引きの時間を短縮し、かつ、焼きボケを防止するため、マット層が設けられてもよい。具体的には、特開昭50−125805号公報、特公昭57−6582号公報、同61−28986号公報に記載されているようなマット層を設ける方法、特公昭62−62337号公報に記載されているような固体粉末を熱蒸着させる方法等が挙げられる。
上記のようにして設けられた感光層の表面には、真空焼き枠を用いた密着露光の際の真空引きの時間を短縮し、かつ、焼きボケを防止するため、マット層が設けられてもよい。具体的には、特開昭50−125805号公報、特公昭57−6582号公報、同61−28986号公報に記載されているようなマット層を設ける方法、特公昭62−62337号公報に記載されているような固体粉末を熱蒸着させる方法等が挙げられる。
<バックコート層>
上述したようにして得られる平版印刷版原版には、重ねても感光層が傷付かないように、裏面(感光層が設けられない側の面)に、有機高分子化合物からなる被覆層(以下「バックコート層」ともいう。)を必要に応じて設けてもよい。バックコート層の主成分としては、ガラス転移点が20℃以上の、飽和共重合ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂および塩化ビニリデン共重合樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を用いるのが好ましい。
上述したようにして得られる平版印刷版原版には、重ねても感光層が傷付かないように、裏面(感光層が設けられない側の面)に、有機高分子化合物からなる被覆層(以下「バックコート層」ともいう。)を必要に応じて設けてもよい。バックコート層の主成分としては、ガラス転移点が20℃以上の、飽和共重合ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂および塩化ビニリデン共重合樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を用いるのが好ましい。
飽和共重合ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸ユニットとジオールユニットとからなる。ジカルボン酸ユニットとしては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、シュウ酸、スベリン酸、セバチン酸、マロン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
バックコート層は、更に、着色のための染料や顔料、支持体との密着性を向上させるためのシランカップリング剤、ジアゾニウム塩からなるジアゾ樹脂、有機ホスホン酸、有機リン酸、カチオン性ポリマー、滑り剤として通常用いられるワックス、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、ジメチルシロキサンからなるシリコーン化合物、変性ジメチルシロキサン、ポリエチレン粉末等を適宜含有することができる。
バックコート層の厚さは、基本的には合紙がなくても、感光層を傷付けにくい程度であればよく、0.01〜8μmであるのが好ましい。厚さが0.01μm未満であると、平版印刷版原版を重ねて取り扱った場合の感光層の擦れ傷を防ぐことが困難である。また、厚さが8μmを超えると、印刷中、平版印刷版周辺で用いられる薬品によってバックコート層が膨潤して厚みが変動し、印圧が変化して印刷特性を劣化させることがある。
バックコート層を平版印刷版原版の裏面に設ける方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、上記バックコート層用成分を適当な溶媒に溶解させ溶液にして塗布し、または、乳化分散液して塗布し、乾燥する方法;あらかじめフイルム状に成形したものを接着剤や熱での平版印刷版原版に貼り合わせる方法;溶融押出機で溶融被膜を形成し、平版印刷版原版に貼り合わせる方法が挙げられる。好適な厚さを確保するうえで最も好ましいのは、バックコート層用成分を適当な溶媒に溶解させ溶液にして塗布し、乾燥する方法である。
平版印刷版原版の製造においては、裏面のバックコート層と表面の感光層のどちらを先に支持体上に設けてもよく、また、両者を同時に設けてもよい。
このようにして得られた平版印刷版原版を、必要に応じて、適当な大きさに裁断して、露光し現像して製版することにより、平版印刷版が得られる。可視光露光型製版層(感光性製版層)を設けた平版印刷版原版の場合には、印刷画像が形成された透明フイルムを重ねて通常の可視光を照射することにより露光し、その後、現像を行うことにより製版することができる。レーザ露光型製版層を設けた平版印刷版原版の場合には、各種レーザ光を照射して印刷画像を直接書き込むことにより露光し、その後、現像することにより製版することができる。
以上のように、平版印刷版用支持体の製造方法において、本発明に係る腐食抑制剤を用いた電解粗面化処理方法を適用することにより、原材料となるアルミニウム合金板の組成に特に限定されることなく安定的に粗面化処理することができる。したがって、原材料コストを大幅に低減することができ、かつ、印刷性能と面質に優れた平版印刷版用支持体及び平版印刷版原版を得ることができる。
以上、本発明に係る平版印刷版用支持体の製造方法について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
たとえば、本実施形態の電解粗面化処理においては、不働態皮膜形成型腐食抑制剤を用いる例について説明したが、皮膜形成型腐食抑制剤、吸着型腐食抑制剤、気化性腐食抑制剤、沈殿形成型腐食抑制剤等も用いることもできる。また、上記腐食抑制剤のうち、1以上を組み合わせて使用してもよい。
次に、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。平版印刷版用支持体の粗面化形状、及び平版印刷版用支持体を用いて製造した平版印刷版原版の印刷性能について、以下の手順で評価した(1〜4)。
1.平版印刷版用支持体の製造
まず、本実施例に使用される種々の組成のアルミニウム合金板について後述の表1に示す。また、表1に示される組成の各アルミニウム合金板に、後述の表2に示される各表面処理を施し、平版印刷版用支持体を得た。なお、表2における表面処理は、1)機械的粗面化処理→2)第1アルカリエッチング処理→3)第1デスマット処理→4)電解粗面化処理→5)第2アルカリエッチング処理→6)第2デスマット処理→7)陽極酸化処理→8)親水化処理、の順に行った。各処理の詳細について、以下に示す。なお、各処理の後には、スプレーによる水洗を行い、また、各処理および水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
1.平版印刷版用支持体の製造
まず、本実施例に使用される種々の組成のアルミニウム合金板について後述の表1に示す。また、表1に示される組成の各アルミニウム合金板に、後述の表2に示される各表面処理を施し、平版印刷版用支持体を得た。なお、表2における表面処理は、1)機械的粗面化処理→2)第1アルカリエッチング処理→3)第1デスマット処理→4)電解粗面化処理→5)第2アルカリエッチング処理→6)第2デスマット処理→7)陽極酸化処理→8)親水化処理、の順に行った。各処理の詳細について、以下に示す。なお、各処理の後には、スプレーによる水洗を行い、また、各処理および水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
1)機械的粗面化処理
機械的粗面化処理は図4に示される装置を使って、平均粒径20μmの研磨剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液(比重1.12)として、スプレー管でアルミニウム合金板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。図4において、Wはアルミニウム合金板、52および54はローラ状ブラシ、53は研磨スラリー液、55、56、57および58は支持ローラである。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は60mm、毛の直径は0.295mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム合金板に押さえつける前の負荷に対して管理し、その差は1.5kWであった。ブラシの回転方向はアルミニウム合金板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は250rpmであった。機械的粗面化処理後の算術平均粗さ(JIS B0601−1994に準拠してカットオフ値0.3mm、評価長さ3mmで測定した。)は、いずれも0.5μmの範囲の値であった。
機械的粗面化処理は図4に示される装置を使って、平均粒径20μmの研磨剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液(比重1.12)として、スプレー管でアルミニウム合金板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。図4において、Wはアルミニウム合金板、52および54はローラ状ブラシ、53は研磨スラリー液、55、56、57および58は支持ローラである。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は60mm、毛の直径は0.295mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム合金板に押さえつける前の負荷に対して管理し、その差は1.5kWであった。ブラシの回転方向はアルミニウム合金板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は250rpmであった。機械的粗面化処理後の算術平均粗さ(JIS B0601−1994に準拠してカットオフ値0.3mm、評価長さ3mmで測定した。)は、いずれも0.5μmの範囲の値であった。
2)第1アルカリエッチング処理
アルミニウム合金板に、カセイソーダを27質量%、アルミニウムイオンを6.5質量%含有する水溶液に液温70℃で浸せきさせて、第1アルカリエッチング処理を行い、アルミニウム合金板の処理面を表2に示す量で溶解させた。
アルミニウム合金板に、カセイソーダを27質量%、アルミニウムイオンを6.5質量%含有する水溶液に液温70℃で浸せきさせて、第1アルカリエッチング処理を行い、アルミニウム合金板の処理面を表2に示す量で溶解させた。
3)第1デスマット処理
液温35℃の酸性水溶液の中にアルミニウム合金板を20秒間浸漬させて、第1デスマット処理を行った。なお、酸性水溶液としては、次の電解粗面化処理で用いる酸性水溶液の廃液を用いた。
液温35℃の酸性水溶液の中にアルミニウム合金板を20秒間浸漬させて、第1デスマット処理を行った。なお、酸性水溶液としては、次の電解粗面化処理で用いる酸性水溶液の廃液を用いた。
4)電解粗面化処理
水1Lあたり、35質量%塩酸を20g、塩化アルミニウム6水和物を40gに調整した電解液に表2に示す種類及び量の腐食抑制剤を添加して得られる酸性水溶液50Lを用いて、液温35℃で電解粗面化処理を行った。電解粗面化処理は、周波数60Hz、duty0.5の台形波の交流電流を用い、交流における電流値がゼロから正または負のピークに達するまでの時間TPを0.8msecとし、交流におけるアノードサイクル側のピーク時の電流密度Iapを35A/dm2、カソードサイクル側のピーク時の電流密度Icpを35A/dm2とし、電解粗面化処理における開始時から終了時までの電気量をアルミニウム合金板が陽極のときの総和で表2に示す量とし、陽極時電気量Qaと陰極時電気量Qcとの比Qc/Qaを0.95として行った。
水1Lあたり、35質量%塩酸を20g、塩化アルミニウム6水和物を40gに調整した電解液に表2に示す種類及び量の腐食抑制剤を添加して得られる酸性水溶液50Lを用いて、液温35℃で電解粗面化処理を行った。電解粗面化処理は、周波数60Hz、duty0.5の台形波の交流電流を用い、交流における電流値がゼロから正または負のピークに達するまでの時間TPを0.8msecとし、交流におけるアノードサイクル側のピーク時の電流密度Iapを35A/dm2、カソードサイクル側のピーク時の電流密度Icpを35A/dm2とし、電解粗面化処理における開始時から終了時までの電気量をアルミニウム合金板が陽極のときの総和で表2に示す量とし、陽極時電気量Qaと陰極時電気量Qcとの比Qc/Qaを0.95として行った。
5)第2アルカリエッチング処理
アルミニウム合金板に、カセイソーダを5質量%、アルミニウムイオンを0.5質量%含有する水溶液に液温30℃で浸漬させて、第2アルカリエッチング処理を行い、アルミニウム合金板の処理面を表2に示す量で溶解させた。
アルミニウム合金板に、カセイソーダを5質量%、アルミニウムイオンを0.5質量%含有する水溶液に液温30℃で浸漬させて、第2アルカリエッチング処理を行い、アルミニウム合金板の処理面を表2に示す量で溶解させた。
6)第2デスマット処理
硫酸濃度170g/Lの水溶液の中にアルミニウム合金板を温度60℃に5秒間浸漬させて、第2デスマット処理を行った。
硫酸濃度170g/Lの水溶液の中にアルミニウム合金板を温度60℃に5秒間浸漬させて、第2デスマット処理を行った。
7)陽極酸化処理
硫酸濃度170g/Lの硫酸に、硫酸アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度が5g/Lとなるように調製した酸性水溶液を用い、直流電流を用いて、電流密度15A/dm2、液温45℃で、陽極酸化皮膜量が2.4g/m2になるように陽極酸化処理を行った。
硫酸濃度170g/Lの硫酸に、硫酸アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度が5g/Lとなるように調製した酸性水溶液を用い、直流電流を用いて、電流密度15A/dm2、液温45℃で、陽極酸化皮膜量が2.4g/m2になるように陽極酸化処理を行った。
8)親水化処理
1号ケイ酸ソーダの水溶液を用い、アルミニウム合金板を7秒間浸漬させて、親水化処理を行った。水溶液の濃度は4質量%、液温は20℃とした。
2.平版印刷版用支持体の表面形状
上記の如く製造された平版印刷版用支持体の表面形状を、走査型電子顕微鏡を用いて倍率2000倍で観察し、表面に生成した粗面化形状(ハニカムピット)の均一性を評価した。このときの評価結果を表2に示す。なお、表2において、表面の凹凸が極めて均一であったものをA、均一性が良好であったものをB、不均一であったものをCで表した。
3.平版印刷版原版の製造
次に、上記の如く製造された平版印刷版用支持体の表面に、下記の工程で感光層Aを形成させて、平版印刷版原版を得た。感光層Aの形成に際しては、あらかじめ下塗層を形成させた。
l)下塗層の形成
上記のようにして得られたアルカリ金属ケイ酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、下記高分子化合物Aの下塗層用塗布液を塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/m2であった。
1号ケイ酸ソーダの水溶液を用い、アルミニウム合金板を7秒間浸漬させて、親水化処理を行った。水溶液の濃度は4質量%、液温は20℃とした。
2.平版印刷版用支持体の表面形状
上記の如く製造された平版印刷版用支持体の表面形状を、走査型電子顕微鏡を用いて倍率2000倍で観察し、表面に生成した粗面化形状(ハニカムピット)の均一性を評価した。このときの評価結果を表2に示す。なお、表2において、表面の凹凸が極めて均一であったものをA、均一性が良好であったものをB、不均一であったものをCで表した。
3.平版印刷版原版の製造
次に、上記の如く製造された平版印刷版用支持体の表面に、下記の工程で感光層Aを形成させて、平版印刷版原版を得た。感光層Aの形成に際しては、あらかじめ下塗層を形成させた。
l)下塗層の形成
上記のようにして得られたアルカリ金属ケイ酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、下記高分子化合物Aの下塗層用塗布液を塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/m2であった。
〔下塗層用塗布液〕
下記式に示される高分子化合物A 0.3g
(酸基成分70%、オニウム基成分30%)
下記式に示される高分子化合物A 0.3g
(酸基成分70%、オニウム基成分30%)
得られた基板に以下の下層用塗布液を塗布量が0.85g/m2になるよう塗布した後、TABAI社製、PERFECT OVEN PH200にてWindControlを7に設定して140℃で50秒間乾燥し、その後、上部記録層用塗布液を塗布量が0.15g/m2になるよう塗布したのち、130℃で1分間乾燥し、平版印刷版原版を得た。
〔下部記録層用塗布液〕
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/アクリロニトリル
/メタクリル酸メチル共重合体(モル比36/34/30:重量平均分子量50000、酸価2.65) 1.920g
・m,p−クレゾールノボラック(m−クレゾールノボラック/p−クレゾールノボラック=6/4、重量平均分子量4000) 0.213g
・下記式で示されるシアニン染料A 0.029g
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/アクリロニトリル
/メタクリル酸メチル共重合体(モル比36/34/30:重量平均分子量50000、酸価2.65) 1.920g
・m,p−クレゾールノボラック(m−クレゾールノボラック/p−クレゾールノボラック=6/4、重量平均分子量4000) 0.213g
・下記式で示されるシアニン染料A 0.029g
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.190g
・ビス−p−ヒドロキシフェニルスルホン 0.126g
・2−メトキシ−4−(N−フェニルアミノ)ベンゼンジアゾニウム・ヘキサフルオロホスフェート 0.032g
・ビクトリアピュアブルーBOの対アニオンを1−ナフタレンスルホン酸アニオンにした染料 0.078g
・ フッ素系界面活性剤(メガファックF780、大日本インキ化学工業株式会社製)
0.020g
・γ−ブチロラクトン 13.180g
・メチルエチルケトン 25.410g
・1−メトキシ−2−プロパノール 12.970g
〔上部記録層用塗布液〕
・フェノール/m,p−クレゾールノボラック(フェノール/m−クレゾールノボラック/p−クレゾールノボラック=5/3/2、重量平均分子量4000)
0.274g
・上記式で示されるシアニン染料A(上述の[化7]と同じ) 0.0
29g
・下記式で示される構造ポリマーB/メチルエチルケトン30%溶液(構造ポリマーB/メチルエチルケトン30%溶液) 0.140g
・1−メトキシ−2−プロパノール 20.980g
4.平版印刷版原版の評価
上記の如く製造された平版印刷版原版を用いて、平版印刷版の汚れ及び耐刷性について、下記の方法により評価した。
1)汚れ(印刷汚れ)
Creo社製TrendSetterを用いて、得られた平版印刷版原版をドラム回転速度150rpm、ビーム強度10Wで画像状に描き込みを行い、FMスクリーン(Staccato20、Creo社製)で作製されたテストパターンを画像状に描き込みした。
Creo社製TrendSetterを用いて、得られた平版印刷版原版をドラム回転速度150rpm、ビーム強度10Wで画像状に描き込みを行い、FMスクリーン(Staccato20、Creo社製)で作製されたテストパターンを画像状に描き込みした。
ついで、現像液として、富士写真フイルム(株)製現像液DT−2の1:8水希釈液(電導度約43mS/cm)を仕込み、フィニッシャーとして、富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFG−1の1:1水希釈液を仕込んだ、富士写真フイルム(株)製PSプロセッサーLP940Hを用いて、現像液およびフィニッシャーの液温を30℃に維持しつつ、露光後の平版印刷版原版を12秒間現像して、平版印刷版を得た。
上記で得られた平版印刷版を三菱社製印刷機に装着して湿し水にIF102 3%、インキにDIC社製GEOS(S)紅を用いて標準の水目盛りから徐々に絞っていき、汚れ性を目視評価した。このときの評価結果を表2に示す。なお、表2において、非画像部汚れが発生しなかったものを○、非画像部汚れが若干発生したが、実用上問題ないものを△、非画像部汚れが発生しているものを×で示した。
2)耐刷性
小森コーポレーション社製のリスロン印刷機を用いて、得られた平版印刷版を大日本インキ化学工業社製のDIC−バリウス(N)墨のインキを用いて印刷し、ベタ画像の濃度が薄くなり始めたと目視で認められた時点の印刷枚数により、耐刷性を評価した。このときの評価結果を表2に示す。なお、表2において、数字が大きい程、ベタ画像の濃度が薄くなり始めるまでの印刷枚数が多い、すなわち耐刷性は良好であることを示す。
小森コーポレーション社製のリスロン印刷機を用いて、得られた平版印刷版を大日本インキ化学工業社製のDIC−バリウス(N)墨のインキを用いて印刷し、ベタ画像の濃度が薄くなり始めたと目視で認められた時点の印刷枚数により、耐刷性を評価した。このときの評価結果を表2に示す。なお、表2において、数字が大きい程、ベタ画像の濃度が薄くなり始めるまでの印刷枚数が多い、すなわち耐刷性は良好であることを示す。
しかし、腐食抑制剤を含まない酸電解液中で電解粗面化処理した比較例1の平版印刷版用支持体表面の粗面化形状(ハニカムピット)は、不均一であり、汚れ性や耐刷性も悪いことが解った。
このように、電解粗面化処理を、腐食抑制剤を含む酸電解液中で行うことにより、不純物元素を比較的多く含むアルミニウム合金板においても、均一な電解粗面化形状が得られ、印刷性能に優れた平版印刷版原版を得ることができることが解った。
また、腐食抑制剤としてリン酸を用いた場合、平版印刷版の粗面化形状は極めて均一であり、この製造方法で製造した平版印刷版原版は、汚れや耐刷性(印刷性能)にも優れていることが解った。また、ホスホン酸やピロリン酸を用いた場合においても、リン酸と同程度に均一な粗面化形状が得られた。また、この平版印刷版原版を用いて製造した平版印刷版についても、汚れや耐刷性(印刷性能)にも優れていることが解った(実施例1、5、6)。これにより、リンを含む化合物は、腐食抑制剤として好適であることが解った。
また、機械的粗面化処理を事前に施すことにより、電解粗面化処理において、より少ない電気量で均一な粗面化形状が得られることが解った(実施例8、9)。
2、40…交流電解槽、4A、4B、4C、26A、26B…主極、20、34 補助電解槽、12、36…補助電極、22…交流電解槽本体、32…溢流槽、34A…補助電解槽の底面、10…電解粗面化処理装置
Claims (8)
- アルミニウム合金板に電気化学的粗面化処理を含む表面処理を施して平版印刷版用支持体を製造する方法であって、前記電気化学的粗面化処理を、前記アルミニウム合金板の腐食を防止する腐食抑制剤を含有する酸性電解液中で行うことを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法。
- 前記腐食抑制剤が、リンを含有する化合物であることを特徴とする請求項1の平版印刷版用支持体の製造方法。
- 前記腐食抑制剤が、リン酸であることを特徴とする請求項2の平版印刷版用支持体の製造方法。
- 前記酸性電解液に含まれる前記腐食抑制剤の添加量が、0.001〜100g/Lであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1の平版印刷版用支持体の製造方法。
- 前記アルミニウム合金板のアルミニウムの含有率が、95.0〜99.4質量%であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1の平版印刷版用支持体の製造方法。
- 前記アルミニウム合金板が、Fe、Si、Cu、Mg、Mn、Zn、Cr、Tiからなる群から選ばれる3種類以上の元素を以下の範囲で含有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1の平版印刷版用支持体の製造方法。Fe:0.2〜1.0質量%、Si:0.1〜1.0質量%、Cu:0.03〜1.0質量%、Mg:0.1〜1.5質量%、Mn:0.1〜1.5質量%、Zn:0.03〜0.5質量%、Cr:0.005〜0.1質量%、Ti:0.01〜0.5質量%
- 請求項1〜6の何れか1の平版印刷版用支持体の製造方法を適用して製造したことを特徴とする平版印刷版用支持体。
- 請求項7の平版印刷版用支持体を用いて製造したことを特徴とする平版印刷版原版。
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JP2005373365A JP2007175867A (ja) | 2005-12-26 | 2005-12-26 | 平版印刷版用支持体の製造方法、並びに平版印刷版用支持体及び平版印刷版原版 |
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GB2461240A (en) * | 2008-06-24 | 2009-12-30 | Bridgnorth Aluminium Ltd | Aluminium alloy for lithographic sheet |
CN104630872A (zh) * | 2015-02-27 | 2015-05-20 | 深圳市梦之坊通信产品有限公司 | 铝合金表面纳米孔处理方法、及与塑胶结合的方法 |
-
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- 2005-12-26 JP JP2005373365A patent/JP2007175867A/ja active Pending
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