JP2013042094A - ウェハの洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面に凹凸パターンを有するウェハの該表面の洗浄において、前記凹凸パターンに働く毛細管力の影響を低減し、パターン倒れを低減する、ウェハの洗浄方法を提供すること。
【解決手段】表面に凹凸パターンを形成したウェハの該表面を洗浄液で洗浄する、洗浄工程、
洗浄工程後の前記ウェハの凹部に残留する洗浄液を、昇華性物質を含む充填用処理剤を加熱により融解した充填用融液で置換し、充填する、融液充填工程、
前記凹部に充填された前記融液を冷却することにより固体の昇華性物質を析出させる、冷却析出工程、
前記凹部に析出した固体の昇華性物質を昇華により除去する、昇華除去工程
を有するウェハの洗浄方法であって、前記充填用融液が、含有する昇華性物質の融点以上、融点+25℃以下の温度範囲内で充填用処理剤を融解させた融液であることを特徴とする、ウェハの洗浄方法。
【選択図】なし
【解決手段】表面に凹凸パターンを形成したウェハの該表面を洗浄液で洗浄する、洗浄工程、
洗浄工程後の前記ウェハの凹部に残留する洗浄液を、昇華性物質を含む充填用処理剤を加熱により融解した充填用融液で置換し、充填する、融液充填工程、
前記凹部に充填された前記融液を冷却することにより固体の昇華性物質を析出させる、冷却析出工程、
前記凹部に析出した固体の昇華性物質を昇華により除去する、昇華除去工程
を有するウェハの洗浄方法であって、前記充填用融液が、含有する昇華性物質の融点以上、融点+25℃以下の温度範囲内で充填用処理剤を融解させた融液であることを特徴とする、ウェハの洗浄方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、半導体デバイス製造などにおける基板(ウェハ)の洗浄技術に関する。
半導体チップの製造では、成膜、リソグラフィやエッチングなどを経てウェハ表面に微細な凹凸パターンが形成され、その後、ウェハ表面を清浄なものとするために、水(純水)や有機溶媒を用いて洗浄がなされる。素子は微細化される方向にあり、凹凸パターンの間隔は益々狭くなってきている。このため、水(純水)を用いて洗浄し、凹凸パターンの凹部に残留した水をウェハ表面から乾燥させて除去する際、凹部に残留した水と外部の空気との圧力差によって生じる毛細管現象により働く曲げの力により、凹凸パターンが倒れるという問題が生じやすくなってきている。この問題は、特に凹凸のパターン間隔がより狭くなった、例えばラインアンドスペース形状のパターンの場合、線幅(凹部の幅)が20nm台、10nm台世代の半導体チップにおいてより顕著になってきている。また、ウェハのパターン形状の多様化に伴って、凸部の中に脆弱な箇所を有するものもあり、当該箇所においても前記毛細管力が作用してパターン倒れが発生する問題が顕著になってきている。
特許文献1には、回路パターンを形成した基板表面を洗浄、リンス後、凹凸パターンの凹部に残留したリンス液を充填剤で置換し、該充填剤を固化し、固化後の充填剤を除去する、基板処理システムが開示されている。
特許文献2には、溶剤中に溶解させた昇華性材料を半導体装置の凹凸部や可動部に流し込み、その後、溶剤を蒸発させて昇華性材料を析出させ、固着を防止する技術が開示されている。この昇華性材料は、後に昇華させて取り除かれる。
特許文献3、4には、薄膜と基材との間の微小間隙の洗浄後に、洗浄溶液が乾燥する前に溶融状態の昇華性物質を微小間隙に付着させ、該昇華性物質を凝固させ、後に該昇華性物質を昇華させることにより、凹凸パターンの凹部に残留した洗浄液の乾燥時に前記微小間隙において薄膜と基板あるいは薄膜と薄膜とが洗浄液の表面張力により密着しないようにする方法等が開示されている。
また、超臨界二酸化炭素を用いる方法(特許文献5)や、凍結乾燥を用いる方法(特許文献6、7)なども開示されているが、いずれも特殊な装置や条件を必要とするものであり、操作が煩雑で結果的にコストが高くなってしまう問題がある。
パターン倒れは、ウェハの乾燥時に、パターンに毛細管力が作用することによって生じる。また、ウェハのパターン形状の多様化に伴って、凸部の中に脆弱な箇所を有するものもあり、当該箇所に前記毛細管力が作用してパターン倒れが発生する恐れがある。
このため、パターンの凹部に残留した液体を、乾燥により直接除去する代わりに、後工程で除去可能な固体で置き換え、該固体を除去することで、パターン倒れが解消すると期待できる。特許文献1には充填剤を回路パターンの間の凹部に充填し、パターンの倒壊を防止する技術が記載されているが、充填剤として開示されているポリマーやフォトレジストは、そのものが高価であることや、充填後に固化するには特別な条件下で反応させる必要があり、そのための装置や処理方法が煩雑となり、結果として高コストとなる問題がある。また、固化させた充填剤をプラズマ処理や現像処理により除去する方法においても、除去によりウェハ表面が損傷を受ける恐れがあることや、除去のための装置や処理方法が煩雑となり、結果として高コストとなる問題がある。
特許文献2〜4には昇華性材料を析出させる方法が記載されているが、開示されている構造物や微小間隙に、毛細管力が作用することによるパターン倒れを低減することについて想定されていないため、本目的に適用するためには改善の余地があった。
本発明は、表面に凹凸パターンを有するウェハの該表面の洗浄において、前記凹凸パターンに働く毛細管力の影響を低減し、パターン倒れを低減する、ウェハの洗浄方法を提供することを課題とする。
本発明は、
表面に凹凸パターンを形成したウェハの該表面を洗浄液で洗浄する、洗浄工程、
洗浄工程後の前記ウェハの凹部に残留する洗浄液を、昇華性物質を含む充填用処理剤を加熱により融解した充填用融液で置換し、充填する、融液充填工程、
前記凹部に充填された前記融液を冷却することにより固体の昇華性物質を析出させる、冷却析出工程、
前記凹部に析出した固体の昇華性物質を昇華により除去する、昇華除去工程
を有するウェハの洗浄方法であって、前記充填用融液が、含有する昇華性物質の融点以上、融点+25℃以下の温度範囲内で充填用処理剤を融解させた融液であることを特徴とする、ウェハの洗浄方法である。
表面に凹凸パターンを形成したウェハの該表面を洗浄液で洗浄する、洗浄工程、
洗浄工程後の前記ウェハの凹部に残留する洗浄液を、昇華性物質を含む充填用処理剤を加熱により融解した充填用融液で置換し、充填する、融液充填工程、
前記凹部に充填された前記融液を冷却することにより固体の昇華性物質を析出させる、冷却析出工程、
前記凹部に析出した固体の昇華性物質を昇華により除去する、昇華除去工程
を有するウェハの洗浄方法であって、前記充填用融液が、含有する昇華性物質の融点以上、融点+25℃以下の温度範囲内で充填用処理剤を融解させた融液であることを特徴とする、ウェハの洗浄方法である。
前記充填用融液が、含有する昇華性物質の融点以上、融点+25℃以下の温度範囲内で充填用処理剤を融解させた融液であると、融液中での昇華性物質の蒸発に伴う気泡の発生が低減される。そのため、前記融液充填工程において、ウェハの凹部に前記融液を流入させる場合、前記凹部に気泡が発生し難くなり、その結果、毛細管力の作用を抑制しつつ充填することができる。融点未満の温度では前記昇華性物質が融解しないため、すなわち融液とならないため、前記洗浄液を置換することができない。融点+25℃を超える温度では、前記昇華性物質を含む融液となるものの、該昇華性物質の蒸発が早すぎるため、ウェハの凹部に残留する洗浄液を該融液で置換できたとしても、融液から昇華性物質が蒸発することにより前記凹部を充分に充填することができない。また、融液内で気泡の発生が多くなることから、凹部においても気泡が発生し易くなり、該気泡により凹部に毛細管力が作用してしまうため、パターンの倒壊に繋がる。前記融液が、含有する昇華性物質の融点以上、融点+15℃以下の温度範囲内で充填用処理剤を融解させた融液であると、冷却析出工程時に融液の温度をより早く冷却できるため、冷却析出工程時に昇華性物質が蒸発し減少する量を低減でき、その結果、ウェハ全面の凹部をより充填しやすいため、さらに好ましい。
また、前記充填用処理剤は、昇華性物質を60質量%以上、有機溶媒を40質量%以下含有するものであってもよい。昇華性物質が60質量%未満で有機溶媒が40質量%超の場合、冷却析出工程で析出する固体がポーラスとなったり析出する固体が少なくなったりし易く、ウェハの凹部を昇華性物質で充分に充填し難い恐れがあることや、含有する有機溶媒によってウェハの凹部に毛細管力が作用してしまう恐れがあることから、好ましくない。ウェハの凹部を昇華性物質で充分に充填する観点や、含有する有機溶媒によりウェハの凹部に作用する恐れがある毛細管力を低減する観点から、前記充填用処理剤は、昇華性物質を95質量%以上、有機溶媒を5質量%以下含有するものであることがより好ましい。
また、ウェハの凹部を昇華性物質で充分に充填する観点や、ウェハの凹部に毛細管力を作用させない観点から、前記充填用処理剤は昇華性物質からなるものであってもよい。
また、前記有機溶媒が、充填用融液の温度よりも沸点が高い有機溶媒であることが好ましい。
また、洗浄工程後の前記ウェハの凹部に残留する洗浄液が充填用融液の温度よりも沸点が高い有機溶媒であることが好ましい。
また、洗浄工程後の前記ウェハの凹部に残留する洗浄液が充填用融液に対して溶解性を有することが好ましい。
また、前記融液充填工程において、スピン方式によりウェハの凹凸パターンに充填用融液を供給することか、充填用融液槽内にウェハを浸漬することによって、凹部に残留する洗浄液を充填用融液で置換することが好ましい。
また、前記充填用処理剤中の液相での光散乱式液中粒子検出器によるパーティクル測定における0.5μmより大きい粒子の数は該処理剤を加熱により融解させて充填用融液とした際に該融液1mL当たり100個以下であることが好ましい。前記0.5μmより大きい粒子の数が該融液1mL当たり100個超であると、パーティクルによりパターンにダメージを誘発する恐れがありデバイスの歩留まり低下及び信頼性の低下を引き起こす恐れがある。なお、前記0.5μmより大きい粒子の数は該融液1mL当たり1個以上あってもよい。なお、融液中のパーティクルの数を直接測定することは困難なので、本発明における融液中のパーティクル測定は、例えば、予め前記融液1mLをイソプロピルアルコール等の有機溶媒に溶解し、該溶液に対して、レーザを光源とした光散乱式液中粒子測定方式における市販の測定装置を利用して測定するものであり、パーティクルの粒径とは、PSL(ポリスチレン製ラテックス)標準粒子基準の光散乱相当径を意味する。
また、前記充填用処理剤中の、Na、Mg、K、Ca、Mn、Fe及びCuの各元素の金属不純物含有量は、該処理剤総量に対し各100質量ppb以下であることが好ましい。前記の各元素の金属不純物としては、金属微粒子、イオン、コロイド、錯体、酸化物や窒化物といった形で、溶解、未溶解に係らず処理剤中に存在するもの全てが対象となる。前記金属不純物含有量が、該処理剤総量に対し100質量ppb超であると、ウェハを用いたデバイスの接合リーク電流が増大する恐れがあり、デバイスの歩留まり低下及び信頼性の低下を引き起こす恐れがある。なお、前記金属不純物含有量は、該処理剤総量に対し各0.01質量ppb以上であってもよい。なお、充填用処理剤中の金属不純物含有量は、所定量の充填用処理剤から、揮発成分及び蒸発成分をすべて揮発及び蒸発させて、残った残渣をフッ硝酸に溶解させて、該溶液中の金属不純物含有量を、市販の誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて測定し、そこから充填用処理剤中の金属不純物含有量を算出することで求めることができる。
特許文献1〜4では、ウェハの凹部に固体を固化するにあたって、または凹部に昇華性物質を析出するにあたって、パターンにダメージを誘発する恐れがあり、当該ウェハを用いたデバイスの歩留まり低下及び信頼性の低下を引き起こす原因となるパーティクルや、当該ウェハを用いたデバイスの接合リーク電流を増大させる恐れがある金属不純物の該凹部表面への混入を考慮されていないが、本発明では、前記処理剤中のパーティクルや金属不純物の含有量を上述した範囲内とすることで、それらに起因した不具合を改善することができる。
また、前記充填用処理剤は、昇華性物質を昇華精製または蒸留精製したもの、昇華性物質と有機溶媒の混合物を昇華精製または蒸留精製したもの、及び、予め昇華精製または蒸留精製した昇華性物質と予め蒸留精製した有機溶媒とを混合したもの、からなる群から選ばれる少なくとも1つであると、前記処理剤中の液相での光散乱式液中粒子検出器によるパーティクル測定における0.5μmより大きい粒子の数を、該処理剤を加熱により融解させて充填用融液とした際に該融液1mL当たり100個以下に、前記処理剤中のNa、Mg、K、Ca、Mn、Fe及びCuの各元素の金属不純物含有量を、該処理剤総量に対し各100質量ppb以下にしやすいため好ましい。昇華精製とは、昇華性を有する物質の昇華及び堆積温度の差異を用いて精製する方法である。
また、前記昇華性物質は、ナフタレン、パラジクロロベンゼン、テトラクロロジフルオロエタン、樟脳、及びアルキルアミンの炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の物質であることが好ましい。
また、前記冷却析出工程において、融液を、大気圧下で放冷すること、加圧下で放冷すること、及び、前記ウェハにおいて凹凸パターンを形成していない部分に冷却剤を接触させること、からなる群から選ばれる少なくとも1つの方法により冷却することが好ましい。
なお、前記冷却析出工程において、凹部に固体の昇華性物質を析出させた際に、該凹部に固体の昇華性物質とともに有機溶媒が存在する場合は、該有機溶媒を蒸発させてから昇華除去工程を行うことが好ましい。凹部が固体の昇華性物質で充填されて保護されているので、前記有機溶媒が蒸発する際の毛細管力の影響が抑制されるためである。
また、前記昇華除去工程において、固体の昇華性物質を、大気圧下で室温〜昇華性物質の融点未満の温度で昇華させること、または、減圧下で室温〜昇華性物質の融点未満の温度で昇華させることが好ましい。
また、本発明は、上記のいずれかに記載のウェハの洗浄方法で用いる昇華性物質を含む充填用処理剤である。
前記充填用処理剤は、昇華性物質を60質量%以上、有機溶媒を40質量%以下含有するものであってもよい。ウェハの凹部を昇華性物質で充分に充填する観点や、含有する有機溶媒によりウェハの凹部に作用する恐れがある毛細管力を低減する観点から、前記充填用処理剤は、昇華性物質を95質量%以上、有機溶媒を5質量%以下含有するものであることがより好ましい。また、ウェハの凹部を昇華性物質で充分に充填する観点や、ウェハの凹部に毛細管力を作用させない観点から、前記充填用処理剤は昇華性物質からなるものであってもよい。
また、前記充填用処理剤中の前記有機溶媒は、前記充填用融液の温度よりも沸点が高い有機溶媒であることが好ましい。
また、前記充填用処理剤中の、液相での光散乱式液中粒子検出器によるパーティクル測定における0.5μmより大きい粒子の数は該処理剤を加熱により融解させて充填用融液とした際に該融液1mL当たり100個以下であり、Na、Mg、K、Ca、Mn、Fe及びCuの各元素の金属不純物含有量は、該充填用処理剤総量に対し各100質量ppb以下であることが好ましい。
また、前記充填用処理剤は、昇華性物質を昇華精製または蒸留精製したもの、昇華性物質と有機溶媒の混合物を昇華精製または蒸留精製したもの、及び、予め昇華精製または蒸留精製した昇華性物質と予め蒸留精製した有機溶媒とを混合したもの、からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
また、前記昇華性物質は、ナフタレン、パラジクロロベンゼン、テトラクロロジフルオロエタン、樟脳、及びアルキルアミンの炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の物質であることが好ましい。
本発明のウェハの洗浄方法は、表面に凹凸パターンを有するウェハの凹部に残留する洗浄液を、昇華性物質を含む充填用処理剤を加熱により融解した充填用融液で置換し、充填した後、冷却により固体の昇華性物質を析出させ、固体の昇華性物質を昇華により除去する方法であり、特別な装置や特殊な条件を必要とすることなしに、凹部から洗浄液等の液体を乾燥除去する際に作用するような毛細管力の影響を抑制することができ、ひいては、パターン倒れを低減する効果を奏する。また、前記充填用融液が、含有する昇華性物質の融点以上、融点+25℃以下の温度範囲内で充填用処理剤を融解させた融液であることにより、融液中で気泡が発生し難くなり、その結果、毛細管力の作用を抑制しつつ充填することができる。
以下、本発明について詳しく説明する。本発明の実施形態に係るウェハの好適な洗浄方法は、
表面に凹凸パターンを形成したウェハの該表面を洗浄液で洗浄する、洗浄工程、
洗浄工程後の前記ウェハの凹部に残留する洗浄液を、昇華性物質を含む充填用処理剤を加熱により融解した充填用融液で置換し、充填する、融液充填工程、
前記凹部に充填された前記融液を冷却することにより固体の昇華性物質を析出させる、冷却析出工程、
前記凹部に析出した固体の昇華性物質を昇華により除去する、昇華除去工程
を有する。
表面に凹凸パターンを形成したウェハの該表面を洗浄液で洗浄する、洗浄工程、
洗浄工程後の前記ウェハの凹部に残留する洗浄液を、昇華性物質を含む充填用処理剤を加熱により融解した充填用融液で置換し、充填する、融液充填工程、
前記凹部に充填された前記融液を冷却することにより固体の昇華性物質を析出させる、冷却析出工程、
前記凹部に析出した固体の昇華性物質を昇華により除去する、昇華除去工程
を有する。
ウェハ表面に形成される凹凸パターンを、図1及び図2に模式的に示す。図1は、表面が凹凸パターン2を有する面とされたウェハ1を斜視したときの模式図を示し、図2は、図1中のa−a’断面の一部のパターンの凸部3と凹部4を示したものである。パターンの凹部の幅5は、図2に示すようにパターンの凸部3と凸部3の間隔で示され、「線幅」ともいう。凸部3のアスペクト比は、凸部3の高さ6を凸部の幅7で割ったもので表される。さらには、凹凸パターンの形状はDRAM等に使用されるシリンダータイプのものであってもよい。
本発明の洗浄方法のようなパターン倒れを考慮した洗浄方法がなされていない場合、洗浄工程でのパターン倒れは、凹部4の幅5が70nm以下、特には45nm以下、アスペクト比が4以上、特には6以上のときに生じやすくなる。また、上記の範囲から外れるものであっても、凸部の中に脆弱な箇所を有するようなパターン形状の場合、当該箇所に毛細管力が作用してパターン倒れが発生する恐れがある。
ウェハ表面に凹凸パターンを形成する方法の一例を以下に示す。まず、ウェハ表面にレジストを塗布したのち、レジストマスクを介してレジストに露光し、露光されたレジスト、または、露光されなかったレジストをエッチング除去することによって所望の凹凸パターンを有するレジストを作製する。また、レジストにパターンを有するモールドを押し当てることでも、凹凸パターンを有するレジストを得ることができる。次に、ウェハをエッチングする。このとき、レジストパターンの凹の部分が選択的にエッチングされる。最後に、レジストを剥離すると、表面に凹凸パターンを有するウェハが得られる。
本発明の洗浄方法で用いる凹凸パターンが形成されたウェハ、及び凹凸パターンの材質については特に問わず、ウェハとしては、シリコンウェハ、シリコンカーバイドウェハ、シリコン元素を含む複数の成分から構成されたウェハ、サファイアウェハ、各種化合物半導体ウェハ、プラスチックウェハなど各種のウェハを用いることができる。また、凹凸パターンの材質についても、酸化ケイ素、窒化ケイ素、多結晶シリコン、単結晶シリコンなどのシリコン系材料、窒化チタン、タングステン、ルテニウム、窒化タンタル、スズなどメタル系材料、及びそれぞれを組み合わせた材料を用いることができる。
洗浄工程においてウェハの洗浄方式は特に限定されない。ウェハの洗浄方式としては、ウェハをほぼ水平に保持して回転させながら回転中心付近に洗浄液を供給してウェハを1枚ずつ洗浄するスピン洗浄に代表される枚葉方式や、洗浄槽内で複数枚のウェハを浸漬し洗浄するバッチ方式が挙げられる。なお、ウェハの凹凸パターン表面に洗浄液を供給するときの該洗浄液の形態としては、該凹凸パターン表面に保持された時に液体になるものであれば特に限定されず、たとえば、液体、蒸気などがある。
洗浄工程における洗浄液とは、水を主成分とする水系洗浄液又は水系洗浄液とは異なる洗浄液Aの少なくとも1つである。前記洗浄液Aとは、有機溶媒又は水系洗浄液と有機溶媒の混合物である。また、凹凸パターンを形成したウェハ表面を、水系洗浄液で洗浄した後に、水系洗浄液を洗浄液Aで置換してもよい。特に、後工程における充填用融液との置換性を考慮すると、有機溶媒からなる洗浄液Aを用いることが特に好ましい。
前記水系洗浄液の例としては、純水、又は水に有機溶媒、酸、アルカリ、界面活性剤、過酸化水素、オゾンのうち少なくとも1種が混合された水を主成分(例えば、水の含有率が50質量%以上)とする液体が挙げられる。
前記洗浄液Aとして用いられることのある有機溶媒は特に限定されないが、炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、含ハロゲン溶媒、スルホキシド系溶媒、アルコール類、多価アルコール類、多価アルコールの誘導体、含窒素化合物溶媒等が挙げられる。
前記炭化水素類の例としては、トルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどがあり、前記エステル類の例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセト酢酸エチルなどがあり、前記エーテル類の例としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどがあり、前記ケトン類の例としては、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどがあり、前記含ハロゲン溶媒の例としては、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロシクロペンタン、パーフルオロシクロヘキサン、ヘキサフルオロベンゼンなどのパーフルオロカーボン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、オクタフルオロシクロペンタン、2,3−ジハイドロデカフルオロペンタン、ゼオローラH(日本ゼオン製)などのハイドロフルオロカーボン、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロイソブチルエーテル、アサヒクリンAE−3000(旭硝子製)、Novec HFE−7100、Novec HFE−7200、Novec7300、Novec7600(いずれも3M製)などのハイドロフルオロエーテル、テトラクロロメタンなどのクロロカーボン、クロロホルムなどのハイドロクロロカーボン、ジクロロジフルオロメタンなどのクロロフルオロカーボン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンなどのハイドロクロロフルオロカーボン、パーフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルなどがあり、前記スルホキシド系溶媒の例としては、ジメチルスルホキシドなどがあり、アルコール類の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどがあり、多価アルコール類の例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールなどがあり、前記多価アルコールの誘導体の例としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルなどがあり、含窒素化合物溶媒の例としては、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジンなどがある。
上記の有機溶媒からなる洗浄液Aの中でも、本発明の融液充填工程における充填用融液の温度よりも沸点が高い有機溶媒であると、充填用融液との置換時に該有機溶媒の沸騰に由来する気泡が発生し難くなり、その結果、該気泡による毛細管力の作用を抑制しやすいため、特に好ましい。ただし、前記有機溶媒の沸点が特に高いものは粘度が高い傾向があり、その結果、充填用融液との置換がし難くなる傾向があるため、前記有機溶媒の沸点の上限は250℃が特に好ましい。また、後工程で用いる充填用融液に対して溶解性を有するものであると、凹部に残留した洗浄液Aが該凹部に流入してきた充填用融液と相分離することなく、該融液中に溶解し取り込まれることでより効率的に置換を行うことができるため好ましい。なお、充填用融液に対して溶解性を有するとは、融液充填工程における融液の温度において、該融液に対して洗浄液Aが任意の濃度で相分離することなく溶け合うことを意味する。上記の好適な有機溶媒は、用いる昇華性物質によって異なるが、例えば、昇華性物質としてナフタレンを用いた場合、該有機溶媒といては、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
融液充填工程においては、前記ウェハの凹部に残留する洗浄液を、昇華性物質を含む充填用処理剤を加熱により融解した充填用融液で置換し、充填する。融液充填工程においてウェハ表面に充填用融液を供給する方式は特に限定されない。充填用融液の供給方式としては、ウェハをほぼ水平に保持して回転させながら回転中心付近に充填用融液を供給してウェハの凹凸パターンを1枚ずつ置換・充填処理するスピン方式に代表される枚葉方式や、充填用融液槽内に複数枚のウェハを浸漬しウェハの凹凸パターンを置換・充填処理するバッチ方式が挙げられる。図3に、充填用融液8で凹凸パターンの凹部4が充填された様子を示す。
充填用処理剤に含まれる昇華性物質は、昇華性を持つものであれば種類については特に問われず、常圧で加熱した場合に固体から液体を経ずに気体となる昇華点をもつ物質、および常圧で加熱した場合に固体から液体を経て気体となる物質で、融点をもち、融点未満で緩やかに昇華する物質の両方を指している。しかし、本発明の充填用融液を用いる洗浄方法では、充填用融液の作製を考慮すると、固体から液体を経て気体となる物質で、融点をもち、融点未満で緩やかに昇華する物質を用いることがより好ましい。これらの特性を持つ昇華性物質としてナフタレン、パラジクロロベンゼン、テトラクロロジフルオロエタン、樟脳、及びアルキルアミンの炭酸塩などが挙げられる。昇華性物質は、それぞれの材料の融点以上で加熱することで融解した充填用融液とすることができる。昇華性物質が常圧で融点を持たず、加熱すると昇華する場合、加圧することで融液とすることが可能である。
また、充填用融液は、含有する昇華性物質の融点以上、融点+25℃以下の温度範囲内で充填用処理剤を融解させた融液である。昇華性物質の融点未満の温度では、融液、すなわち液体とすることが難しい。一方、(融点+25℃)を超える温度では、昇華性物質の蒸発により、融液内で気泡の発生が多くなる。凹部において気泡が発生すると、該凹部に毛細管力が働くため、パターンの倒壊に繋がる。さらには、(融点+25℃)を超える温度では、昇華性物質の蒸発が早すぎるため、後工程の冷却工程において、ウェハ表面の融液を冷却する間も、融液からの昇華性物質の蒸発が継続し易く、その結果、析出した固体状の昇華性物質で充填できないウェハ表面が発生する。
前記充填用処理剤は、融液にした際のレベリング性を向上する目的で有機溶媒を含んでいても良い。ただし、有機溶媒量が多すぎると、冷却析出工程において昇華性物質が析出する際に、蒸発する有機溶媒の毛細管力でパターンの倒壊が発生しやすいため好ましくない。また、有機溶媒の含有量が多いほど冷却析出工程で析出する固体がポーラスとなったり析出する固体が少なくなったりし易いため、本発明の目的であるパターンの倒れ防止効果が低くなる恐れがある。これらを考慮すると、有機溶媒量は少ないことが好ましく、充填用処理剤に含まれる昇華性物質量は60質量%以上が好ましく、さらに好ましくは95質量%以上である。
また、前記有機溶媒の種類は特に限定されないが、炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、含ハロゲン溶媒、スルホキシド系溶媒、アルコール類、多価アルコール類、多価アルコールの誘導体、含窒素化合物溶媒等が挙げられる。
前記炭化水素類の例としては、トルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどがあり、前記エステル類の例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセト酢酸エチルなどがあり、前記エーテル類の例としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどがあり、前記ケトン類の例としては、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどがあり、前記含ハロゲン溶媒の例としては、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロシクロペンタン、パーフルオロシクロヘキサン、ヘキサフルオロベンゼンなどのパーフルオロカーボン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、オクタフルオロシクロペンタン、2,3−ジハイドロデカフルオロペンタン、ゼオローラH(日本ゼオン製)などのハイドロフルオロカーボン、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロイソブチルエーテル、アサヒクリンAE−3000(旭硝子製)、Novec HFE−7100、Novec HFE−7200、Novec7300、Novec7600(いずれも3M製)などのハイドロフルオロエーテル、テトラクロロメタンなどのクロロカーボン、クロロホルムなどのハイドロクロロカーボン、ジクロロジフルオロメタンなどのクロロフルオロカーボン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンなどのハイドロクロロフルオロカーボン、パーフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルなどがあり、前記スルホキシド系溶媒の例としては、ジメチルスルホキシドなどがあり、アルコール類の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどがあり、多価アルコール類の例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールなどがあり、前記多価アルコールの誘導体の例としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルなどがあり、含窒素化合物溶媒の例としては、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジンなどがある。
上記の有機溶媒の中でも、本発明の融液充填工程における充填用融液の温度よりも沸点が高い有機溶媒であると、洗浄液との置換時及び充填時に該有機溶媒の沸騰に由来する気泡が発生し難くなり、その結果、該気泡による毛細管力の作用を抑制しやすいため、特に好ましい。
その後、冷却析出工程において、前記凹部に充填した前記融液を冷却することにより固体の昇華性物質を析出させ、凹部に固体を充填する。図4に、昇華性物質の固体9で凹部4が充填された様子を示す。この充填された固体9により、パターンの倒壊が抑えられる。この冷却は、大気圧下、あるいは加圧下で放冷してもよいし、または、前記ウェハにおいて凹凸パターンを形成していない部分に水等の冷却剤を接触させることにより冷却しても良い。
最後に、昇華除去工程において、固体の昇華性物質を昇華により除去する。この場合の除去は、大気圧下で行っても良いし、減圧下で行っても良い。常圧で加熱した場合に固体から液体を経て気体となり、融点をもち、融点未満で緩やかに昇華する物質を昇華性物質として用いた場合、昇華性物質の融点以上の温度で加熱すると、大気圧下では昇華性物質が融解して液体となり、液体が揮発する際の毛細管力でパターンの倒壊が発生する恐れがある。そのため、この場合は、室温〜昇華性物質の融点未満の温度で時間を掛けて昇華させるか、又は減圧下で昇華させることが好ましい。減圧下では、大気圧下では加熱したときに融点を持つ物質でも、昇華する場合がある。
本発明の洗浄方法は、凹凸パターンの倒壊を防止する他の既知の洗浄方法と組み合わせて、洗浄を行っても良い。特に、凹凸パターン表面に撥水性保護膜を形成する方法と組み合わせて本発明の洗浄方法を行うと、凹凸パターンの倒壊を防止する効果がより高くなるため好ましい。ウェハの凹凸パターン表面に撥水性保護膜を形成するための撥水性保護膜形成用薬液を保持することで、該凹凸パターン表面に撥水性保護膜を形成することができる。凹凸パターンの表面に撥水性の保護膜を形成した後、本発明の洗浄方法である洗浄工程を行っても良いし、洗浄工程を行った後、凹凸パターンの表面に撥水性の保護膜を形成し、その後融液充填工程に移っても良い。なお、本発明の昇華除去工程の後に、前記撥水性保護膜は、例えば、ウェハ表面を光照射すること、ウェハを加熱すること、ウェハをオゾン曝露すること、ウェハ表面にプラズマ照射すること、ウェハ表面にコロナ放電すること等の処理によって除去できる。
前記撥水性保護膜形成用薬液としては、凹凸パターンの表面に撥水性の保護膜を形成することができるものであれば、該薬液に含まれる撥水性保護膜を形成する化合物(以下、「化合物A」とも記載する)の種類は特に限定されない。化合物Aの例としては、例えば凹凸パターン表面が、酸化ケイ素、窒化ケイ素、多結晶シリコン或いは単結晶シリコンといったシリコン系材料の場合、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリメチルシリルジエチルアミン(TMSDEA)、テトラメチルジシラザン、トリメチルシリルジメチルアミン、オクチルジメチルシリルジメチルアミン、トリメチルシリルイミダゾール、トリメチルクロロシラン、プロピルジメチルクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。また、凹凸パターン表面が前記のシリコン系材料以外の場合は、該材料の表面に結合または吸着し、凹凸パターン表面に撥水性を付与するような物質を化合物Aとして用いても良い。
撥水性保護膜形成用薬液において希釈に用いられることのある溶媒としては、例えば、炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、含ハロゲン溶媒、スルホキシド系溶媒、アルコール類、多価アルコールの誘導体、含窒素化合物溶媒などの有機溶媒が好適に使用される。この中でも、炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、含ハロゲン溶媒、スルホキシド系溶媒、多価アルコールの誘導体のうちOH基を持たないものを用いると、前記凹凸パターン表面に保護膜を短時間に形成できるためより好ましい。
[充填用融液、及び、融液充填工程において充填された融液の外観評価]
充填用融液の外観を目視観察し、該融液が完全に充填用処理剤を融解できているかどうか、気泡が発生していないかどうかを確認した。また、表面に凹凸パターンを有するウェハでは、融液充填工程における気泡や相分離といった不具合の有無が確認できないため、平滑なウェハ表面上で融液充填工程と同様の操作を行って、該平滑なウェハ表面上に融液が充填された状態で外観を観察し、前記不具合の有無を確認した。
充填用融液の外観を目視観察し、該融液が完全に充填用処理剤を融解できているかどうか、気泡が発生していないかどうかを確認した。また、表面に凹凸パターンを有するウェハでは、融液充填工程における気泡や相分離といった不具合の有無が確認できないため、平滑なウェハ表面上で融液充填工程と同様の操作を行って、該平滑なウェハ表面上に融液が充填された状態で外観を観察し、前記不具合の有無を確認した。
[充填用処理剤中の0.5μmより大きい粒子の数の評価]
充填用処理剤中のパーティクルの数を直接測定することは困難なので、予め前記処理剤を加熱により融解させて充填用融液とし、該融液1mLをイソプロピルアルコールに溶解し、該溶液に対して、光散乱式液中粒子測定装置(リオン社製、KS−42AF型)を用いて0.5μmより大きい粒子の数を測定した。なお、前記イソプロピルアルコールは予め蒸留精製及び、フィルター精製を行ったものを使用した。
充填用処理剤中のパーティクルの数を直接測定することは困難なので、予め前記処理剤を加熱により融解させて充填用融液とし、該融液1mLをイソプロピルアルコールに溶解し、該溶液に対して、光散乱式液中粒子測定装置(リオン社製、KS−42AF型)を用いて0.5μmより大きい粒子の数を測定した。なお、前記イソプロピルアルコールは予め蒸留精製及び、フィルター精製を行ったものを使用した。
[充填用処理剤中の金属不純物含有量の評価]
所定量の充填用処理剤から、揮発成分及び蒸発成分をすべて揮発及び蒸発させて、残った残渣をフッ硝酸に溶解させて、該溶液中の金属不純物含有量を、誘導結合プラズマ質量分析装置(横河アナリティカルシステムズ製、Agilent 7500cs型)を用いて測定し、そこから充填用処理剤中の金属不純物含有量を算出した。
所定量の充填用処理剤から、揮発成分及び蒸発成分をすべて揮発及び蒸発させて、残った残渣をフッ硝酸に溶解させて、該溶液中の金属不純物含有量を、誘導結合プラズマ質量分析装置(横河アナリティカルシステムズ製、Agilent 7500cs型)を用いて測定し、そこから充填用処理剤中の金属不純物含有量を算出した。
[実施例1]
(I−1)充填用融液の準備
昇華性物質であるナフタレン(融点:80℃)を予め昇華精製したものを充填用処理剤とした。ビーカー中で前記充填用処理剤を85℃で融解して充填用融液槽を準備した。前記融液を目視観察したところ、発泡は見られず、均一な液体であった。なお、前記充填用処理剤中の、液相での光散乱式液中粒子検出器によるパーティクル測定における0.5μmより大きい粒子の数は、該処理剤を加熱により融解させて充填用融液とした際に該融液1mL当たり100個以下であった。また、前記処理剤中のNa、Mg、K、Ca、Mn、Fe及びCuの各元素の金属不純物含有量は、該処理剤総量に対しそれぞれ、100質量ppb以下であった。なお、本実施例以降の実施例、及び比較例においても、同様の精製を行い、0.5μmより大きい粒子の数が処理剤を加熱により融解させて充填用融液とした際に該融液1mL当たり100個以下であり、Na、Mg、K、Ca、Mn、Fe及びCuの各元素の金属不純物含有量が、該処理剤総量に対しそれぞれ100質量ppb以下であることを確認した。
(I−1)充填用融液の準備
昇華性物質であるナフタレン(融点:80℃)を予め昇華精製したものを充填用処理剤とした。ビーカー中で前記充填用処理剤を85℃で融解して充填用融液槽を準備した。前記融液を目視観察したところ、発泡は見られず、均一な液体であった。なお、前記充填用処理剤中の、液相での光散乱式液中粒子検出器によるパーティクル測定における0.5μmより大きい粒子の数は、該処理剤を加熱により融解させて充填用融液とした際に該融液1mL当たり100個以下であった。また、前記処理剤中のNa、Mg、K、Ca、Mn、Fe及びCuの各元素の金属不純物含有量は、該処理剤総量に対しそれぞれ、100質量ppb以下であった。なお、本実施例以降の実施例、及び比較例においても、同様の精製を行い、0.5μmより大きい粒子の数が処理剤を加熱により融解させて充填用融液とした際に該融液1mL当たり100個以下であり、Na、Mg、K、Ca、Mn、Fe及びCuの各元素の金属不純物含有量が、該処理剤総量に対しそれぞれ100質量ppb以下であることを確認した。
(I−2)洗浄工程
平滑な窒化チタン膜付きウェハ(表面に厚さ50nmの窒化チタン層を有するシリコンウェハ)を1質量%の過酸化水素水に室温で1分間浸漬し、次いで純水に1分間浸漬した後、イソプロピルアルコール(iPA)に室温で1分間浸漬し、次いで、沸点が146℃でナフタレンの融液に対して溶解性を有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に室温で1分間浸漬させた。
平滑な窒化チタン膜付きウェハ(表面に厚さ50nmの窒化チタン層を有するシリコンウェハ)を1質量%の過酸化水素水に室温で1分間浸漬し、次いで純水に1分間浸漬した後、イソプロピルアルコール(iPA)に室温で1分間浸漬し、次いで、沸点が146℃でナフタレンの融液に対して溶解性を有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に室温で1分間浸漬させた。
(I−3)融液充填工程
(I−2)で準備した窒化チタン膜付きウェハを、PGMEA浸漬槽から充填用融液槽に移し、充填用融液に3分間浸漬させた。この際に窒化チタン膜付きウェハの表面には気泡はなく、相分離も見られなかったことから、融液充填工程において不具合が発生しないことを確認した。
(I−2)で準備した窒化チタン膜付きウェハを、PGMEA浸漬槽から充填用融液槽に移し、充填用融液に3分間浸漬させた。この際に窒化チタン膜付きウェハの表面には気泡はなく、相分離も見られなかったことから、融液充填工程において不具合が発生しないことを確認した。
(I−4)冷却析出工程
前記ウェハを充填用融液から引き上げて、室温で該ウェハを水平にして静置し放冷した。10分後、ウェハ表面の外観を観察したところ、目視観察でウェハ全面に均一に析出した固体状のナフタレンが付着していた。
前記ウェハを充填用融液から引き上げて、室温で該ウェハを水平にして静置し放冷した。10分後、ウェハ表面の外観を観察したところ、目視観察でウェハ全面に均一に析出した固体状のナフタレンが付着していた。
(I−5)昇華除去工程
(I−4)で得られた固体状のナフタレンが付着したウェハを、真空オーブン中で1mmHgまで減圧したのち、80℃まで昇温したところ、ウェハ上の固体状のナフタレンはすべて昇華し、消失した。
(I−4)で得られた固体状のナフタレンが付着したウェハを、真空オーブン中で1mmHgまで減圧したのち、80℃まで昇温したところ、ウェハ上の固体状のナフタレンはすべて昇華し、消失した。
[実施例2]
融液充填工程における融液の温度を90℃とした以外は、実施例1と同じ条件で実施した。充填用融液を目視観察したところ、発泡は見られず、均一な液体であった。実施例1と同様に、融液充填工程で窒化チタン膜付きウェハを充填用融液に浸漬した際に、該ウェハの表面には気泡はなく、相分離も見られなかったことから、融液充填工程において不具合が発生しないことを確認した。また、実施例1と同様に冷却析出工程を行ったところ、目視観察でウェハ全面に均一に析出した固体状のナフタレンが付着していた。また、実施例1と同様の昇華除去工程によってウェハ上の固体状のナフタレンがすべて昇華し、消失することを確認した。
融液充填工程における融液の温度を90℃とした以外は、実施例1と同じ条件で実施した。充填用融液を目視観察したところ、発泡は見られず、均一な液体であった。実施例1と同様に、融液充填工程で窒化チタン膜付きウェハを充填用融液に浸漬した際に、該ウェハの表面には気泡はなく、相分離も見られなかったことから、融液充填工程において不具合が発生しないことを確認した。また、実施例1と同様に冷却析出工程を行ったところ、目視観察でウェハ全面に均一に析出した固体状のナフタレンが付着していた。また、実施例1と同様の昇華除去工程によってウェハ上の固体状のナフタレンがすべて昇華し、消失することを確認した。
[実施例3]
融液充填工程における融液の温度を100℃とした以外は、実施例1と同じ条件で実施した充填用融液を目視観察したところ、発泡は見られず、均一な液体であった。実施例1と同様に、融液充填工程で窒化チタン膜付きウェハを充填用融液に浸漬した際に、該ウェハの表面には気泡はなく、相分離も見られなかったことから、融液充填工程において不具合が発生しないことを確認した。また、実施例1と同様に冷却析出工程を行ったところ、目視観察でウェハ全面に析出した固体状のナフタレンが付着していたものの、一部に固体状のナフタレンの付着量が少なくまだらに見える部分があった。これは、融液の温度が高いことにより該融液の冷却に時間がかかった結果、冷却析出工程時に昇華性物質が蒸発し減少する量が多くなってしまったためと考えられる。また、実施例1と同様の昇華除去工程によってウェハ上の固体状のナフタレンがすべて昇華し、消失することを確認した。
融液充填工程における融液の温度を100℃とした以外は、実施例1と同じ条件で実施した充填用融液を目視観察したところ、発泡は見られず、均一な液体であった。実施例1と同様に、融液充填工程で窒化チタン膜付きウェハを充填用融液に浸漬した際に、該ウェハの表面には気泡はなく、相分離も見られなかったことから、融液充填工程において不具合が発生しないことを確認した。また、実施例1と同様に冷却析出工程を行ったところ、目視観察でウェハ全面に析出した固体状のナフタレンが付着していたものの、一部に固体状のナフタレンの付着量が少なくまだらに見える部分があった。これは、融液の温度が高いことにより該融液の冷却に時間がかかった結果、冷却析出工程時に昇華性物質が蒸発し減少する量が多くなってしまったためと考えられる。また、実施例1と同様の昇華除去工程によってウェハ上の固体状のナフタレンがすべて昇華し、消失することを確認した。
[実施例4]
予め昇華精製を行ったナフタレンと予め蒸留精製を行ったシクロヘキサノン(沸点は156℃)を、80:20(質量比)で混合したものを充填用処理剤とした。ビーカー中で前記充填用処理剤を85℃で融解した。この融液を目視観察したところ、発泡は見られず、均一な液体であった。前記融液を充填用融液とした以外は、実施例1と同じ条件で実施した。実施例1と同様に、融液充填工程で窒化チタン膜付きウェハを前記融液に浸漬した際に、該ウェハの表面には気泡はなく、相分離も見られなかったことから、融液充填工程において不具合が発生しないことを確認した。また、実施例1と同様に冷却析出工程を行ったところ、目視観察でウェハ全面に均一に析出した固体状のナフタレンが付着していた。また、実施例1と同様の昇華除去工程によってウェハ上の固体状のナフタレンがすべて昇華し、消失することを確認した。
予め昇華精製を行ったナフタレンと予め蒸留精製を行ったシクロヘキサノン(沸点は156℃)を、80:20(質量比)で混合したものを充填用処理剤とした。ビーカー中で前記充填用処理剤を85℃で融解した。この融液を目視観察したところ、発泡は見られず、均一な液体であった。前記融液を充填用融液とした以外は、実施例1と同じ条件で実施した。実施例1と同様に、融液充填工程で窒化チタン膜付きウェハを前記融液に浸漬した際に、該ウェハの表面には気泡はなく、相分離も見られなかったことから、融液充填工程において不具合が発生しないことを確認した。また、実施例1と同様に冷却析出工程を行ったところ、目視観察でウェハ全面に均一に析出した固体状のナフタレンが付着していた。また、実施例1と同様の昇華除去工程によってウェハ上の固体状のナフタレンがすべて昇華し、消失することを確認した。
[実施例5]
充填用処理剤の、ナフタレンとシクロヘキサノンの質量比を、55:45とした以外は、実施例4と同じ条件で実施した。充填用融液を目視観察したところ、発泡は見られず、均一な液体であった。実施例4と同様に、融液充填工程で窒化チタン膜付きウェハを前記融液に浸漬した際に、該ウェハの表面には気泡はなく、相分離も見られなかったことから、融液充填工程において不具合が発生しないことを確認した。また、実施例4と同様に冷却析出工程を行ったところ、目視観察でウェハ全面に析出した固体状のナフタレンが付着していたものの、一部に固体状のナフタレンの付着量が少なくまだらに見える部分があった。これは、充填用処理剤中の昇華性物質の含有量が少ないことにより、冷却析出工程時に融液から析出する昇華性物質が少なかったためと考えられる。また、実施例4と同様の昇華除去工程によってウェハ上の固体状のナフタレンがすべて昇華し、消失することを確認した。
充填用処理剤の、ナフタレンとシクロヘキサノンの質量比を、55:45とした以外は、実施例4と同じ条件で実施した。充填用融液を目視観察したところ、発泡は見られず、均一な液体であった。実施例4と同様に、融液充填工程で窒化チタン膜付きウェハを前記融液に浸漬した際に、該ウェハの表面には気泡はなく、相分離も見られなかったことから、融液充填工程において不具合が発生しないことを確認した。また、実施例4と同様に冷却析出工程を行ったところ、目視観察でウェハ全面に析出した固体状のナフタレンが付着していたものの、一部に固体状のナフタレンの付着量が少なくまだらに見える部分があった。これは、充填用処理剤中の昇華性物質の含有量が少ないことにより、冷却析出工程時に融液から析出する昇華性物質が少なかったためと考えられる。また、実施例4と同様の昇華除去工程によってウェハ上の固体状のナフタレンがすべて昇華し、消失することを確認した。
[実施例6]
洗浄工程として、平滑な窒化チタン膜付きウェハ(表面に厚さ50nmの窒化チタン層を有するシリコンウェハ)を1質量%の過酸化水素水に室温で1分間浸漬し、次いで純水に1分間浸漬した後、イソプロピルアルコール(iPA)に室温で1分間浸漬し、次いで、沸点が156℃でナフタレンの融液に対して溶解性を有するシクロヘキサノンに室温で1分間浸漬させた。それ以外は、実施例1と同じ条件で実施した。実施例1と同様に、融液充填工程で窒化チタン膜付きウェハを前記融液に浸漬した際に、該ウェハの表面には気泡はなく、相分離も見られなかったことから、融液充填工程において不具合が発生しないことを確認した。また、実施例1と同様に冷却析出工程を行ったところ、目視観察でウェハ全面に均一に析出した固体状のナフタレンが付着していた。また、実施例1と同様の昇華除去工程によってウェハ上の固体状のナフタレンがすべて昇華し、消失することを確認した。
洗浄工程として、平滑な窒化チタン膜付きウェハ(表面に厚さ50nmの窒化チタン層を有するシリコンウェハ)を1質量%の過酸化水素水に室温で1分間浸漬し、次いで純水に1分間浸漬した後、イソプロピルアルコール(iPA)に室温で1分間浸漬し、次いで、沸点が156℃でナフタレンの融液に対して溶解性を有するシクロヘキサノンに室温で1分間浸漬させた。それ以外は、実施例1と同じ条件で実施した。実施例1と同様に、融液充填工程で窒化チタン膜付きウェハを前記融液に浸漬した際に、該ウェハの表面には気泡はなく、相分離も見られなかったことから、融液充填工程において不具合が発生しないことを確認した。また、実施例1と同様に冷却析出工程を行ったところ、目視観察でウェハ全面に均一に析出した固体状のナフタレンが付着していた。また、実施例1と同様の昇華除去工程によってウェハ上の固体状のナフタレンがすべて昇華し、消失することを確認した。
[実施例7]
洗浄工程として、平滑な窒化チタン膜付きウェハ(表面に厚さ50nmの窒化チタン層を有するシリコンウェハ)を1質量%の過酸化水素水に室温で1分間浸漬し、次いで純水に1分間浸漬した後、イソプロピルアルコール(iPA)に室温で1分間浸漬し、次いで、沸点が61℃でナフタレンの融液に対して溶解性を有する住友3M製Novec HFE−7100に室温で1分間浸漬させた。それ以外は、実施例1と同じ条件で実施した。実施例1と同様に、融液充填工程で窒化チタン膜付きウェハを前記融液に浸漬した際に、該ウェハの表面には相分離は見られなかったものの気泡が見られた。また、実施例1と同様に冷却析出工程を行ったところ、目視観察でウェハ全面に均一に析出した固体状のナフタレンが付着していた。また、実施例1と同様の昇華除去工程によってウェハ上の固体状のナフタレンがすべて昇華し、消失することを確認した。
洗浄工程として、平滑な窒化チタン膜付きウェハ(表面に厚さ50nmの窒化チタン層を有するシリコンウェハ)を1質量%の過酸化水素水に室温で1分間浸漬し、次いで純水に1分間浸漬した後、イソプロピルアルコール(iPA)に室温で1分間浸漬し、次いで、沸点が61℃でナフタレンの融液に対して溶解性を有する住友3M製Novec HFE−7100に室温で1分間浸漬させた。それ以外は、実施例1と同じ条件で実施した。実施例1と同様に、融液充填工程で窒化チタン膜付きウェハを前記融液に浸漬した際に、該ウェハの表面には相分離は見られなかったものの気泡が見られた。また、実施例1と同様に冷却析出工程を行ったところ、目視観察でウェハ全面に均一に析出した固体状のナフタレンが付着していた。また、実施例1と同様の昇華除去工程によってウェハ上の固体状のナフタレンがすべて昇華し、消失することを確認した。
[実施例8]
予め昇華精製を行ったナフタレンと予め蒸留精製を行った住友3M製Novec HFE−7100(沸点は61℃)を、80:20(質量比)で混合したものを充填用処理剤とした。ビーカー中で前記充填用処理剤を85℃で融解した。この融液を目視観察したところ、均一な液体であったものの、発泡が見られた。前記融液を充填用融液とした以外は、実施例1と同じ条件で実施した。実施例1と同様に、融液充填工程で窒化チタン膜付きウェハを前記融液に浸漬した際に、該ウェハの表面には相分離は見られなかったものの気泡が見られた。また、実施例1と同様に冷却析出工程を行ったところ、目視観察でウェハ全面に均一に析出した固体状のナフタレンが付着していた。また、実施例1と同様の昇華除去工程によってウェハ上の固体状のナフタレンがすべて昇華し、消失することを確認した。
予め昇華精製を行ったナフタレンと予め蒸留精製を行った住友3M製Novec HFE−7100(沸点は61℃)を、80:20(質量比)で混合したものを充填用処理剤とした。ビーカー中で前記充填用処理剤を85℃で融解した。この融液を目視観察したところ、均一な液体であったものの、発泡が見られた。前記融液を充填用融液とした以外は、実施例1と同じ条件で実施した。実施例1と同様に、融液充填工程で窒化チタン膜付きウェハを前記融液に浸漬した際に、該ウェハの表面には相分離は見られなかったものの気泡が見られた。また、実施例1と同様に冷却析出工程を行ったところ、目視観察でウェハ全面に均一に析出した固体状のナフタレンが付着していた。また、実施例1と同様の昇華除去工程によってウェハ上の固体状のナフタレンがすべて昇華し、消失することを確認した。
[実施例9]
洗浄工程として、平滑な窒化チタン膜付きウェハ(表面に厚さ50nmの窒化チタン層を有するシリコンウェハ)を1質量%の過酸化水素水に室温で1分間浸漬し、次いで純水に1分間浸漬した後、イソプロピルアルコール(iPA)に室温で1分間浸漬し、次いで、沸点が100℃でナフタレンの融液に対して溶解性を有さない純水に室温で1分間浸漬させた。それ以外は、実施例1と同じ条件で実施した。実施例1と同様に、融液充填工程で窒化チタン膜付きウェハを前記融液に浸漬した際に、該ウェハの表面には気泡は見られなかったものの一部に相分離が見られた。また、実施例1と同様に冷却析出工程を行ったところ、目視観察でウェハ表面に不均一に析出した固体状のナフタレンが付着していた。また、実施例1と同様の昇華除去工程によってウェハ上の固体状のナフタレンがすべて昇華し、消失することを確認した。
洗浄工程として、平滑な窒化チタン膜付きウェハ(表面に厚さ50nmの窒化チタン層を有するシリコンウェハ)を1質量%の過酸化水素水に室温で1分間浸漬し、次いで純水に1分間浸漬した後、イソプロピルアルコール(iPA)に室温で1分間浸漬し、次いで、沸点が100℃でナフタレンの融液に対して溶解性を有さない純水に室温で1分間浸漬させた。それ以外は、実施例1と同じ条件で実施した。実施例1と同様に、融液充填工程で窒化チタン膜付きウェハを前記融液に浸漬した際に、該ウェハの表面には気泡は見られなかったものの一部に相分離が見られた。また、実施例1と同様に冷却析出工程を行ったところ、目視観察でウェハ表面に不均一に析出した固体状のナフタレンが付着していた。また、実施例1と同様の昇華除去工程によってウェハ上の固体状のナフタレンがすべて昇華し、消失することを確認した。
[比較例1]
予め昇華精製を行ったナフタレンを充填用処理剤とし、該処理剤をナフタレンの融点未満の温度である75℃で加熱し充填用融液としようとしたが、処理剤が融解せず融液とならなかった。
予め昇華精製を行ったナフタレンを充填用処理剤とし、該処理剤をナフタレンの融点未満の温度である75℃で加熱し充填用融液としようとしたが、処理剤が融解せず融液とならなかった。
[比較例2]
融液充填工程における融液の温度を110℃とした以外は、実施例1と同じ条件で実施した。充填用融液を目視観察したところ、均一な液体であったものの、発泡が見られた。実施例1と同様に、融液充填工程で窒化チタン膜付きウェハを充填用融液に浸漬した際に、該ウェハの表面には相分離が見られなかったものの、気泡が存在することを確認した。また、実施例1と同様に冷却析出工程を行ったところ、目視観察でウェハ表面積のうち、析出した固体状のナフタレンが付着していたのは50%程度であり、充分に充填できないことが確認された。これは、融液の温度が高すぎることにより該融液の冷却に時間がかかった結果、冷却析出工程時に昇華性物質が蒸発し減少する量が多くなってしまったためと考えられる。
融液充填工程における融液の温度を110℃とした以外は、実施例1と同じ条件で実施した。充填用融液を目視観察したところ、均一な液体であったものの、発泡が見られた。実施例1と同様に、融液充填工程で窒化チタン膜付きウェハを充填用融液に浸漬した際に、該ウェハの表面には相分離が見られなかったものの、気泡が存在することを確認した。また、実施例1と同様に冷却析出工程を行ったところ、目視観察でウェハ表面積のうち、析出した固体状のナフタレンが付着していたのは50%程度であり、充分に充填できないことが確認された。これは、融液の温度が高すぎることにより該融液の冷却に時間がかかった結果、冷却析出工程時に昇華性物質が蒸発し減少する量が多くなってしまったためと考えられる。
1 ウェハ
2 ウェハ表面の微細な凹凸パターン
3 パターンの凸部
4 パターンの凹部
5 凹部の幅
6 凸部の高さ
7 凸部の幅
8 充填用融液
9 析出した固体の昇華性物質
2 ウェハ表面の微細な凹凸パターン
3 パターンの凸部
4 パターンの凹部
5 凹部の幅
6 凸部の高さ
7 凸部の幅
8 充填用融液
9 析出した固体の昇華性物質
Claims (17)
- 表面に凹凸パターンを形成したウェハの該表面を洗浄液で洗浄する、洗浄工程、
洗浄工程後の前記ウェハの凹部に残留する洗浄液を、昇華性物質を含む充填用処理剤を加熱により融解した充填用融液で置換し、充填する、融液充填工程、
前記凹部に充填された前記融液を冷却することにより固体の昇華性物質を析出させる、冷却析出工程、
前記凹部に析出した固体の昇華性物質を昇華により除去する、昇華除去工程
を有するウェハの洗浄方法であって、
前記充填用融液が、含有する昇華性物質の融点以上、融点+25℃以下の温度範囲内で充填用処理剤を融解させた融液であることを特徴とする、ウェハの洗浄方法。 - 前記充填用処理剤が、昇華性物質を60質量%以上、有機溶媒を40質量%以下含有するものであることを特徴とする、請求項1に記載のウェハの洗浄方法。
- 前記有機溶媒が、充填用融液の温度よりも沸点が高い有機溶媒であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のウェハの洗浄方法。
- 洗浄工程後の前記ウェハの凹部に残留する洗浄液が充填用融液の温度よりも沸点が高い有機溶媒であることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のウェハの洗浄方法。
- 洗浄工程後の前記ウェハの凹部に残留する洗浄液が充填用融液に対して溶解性を有することを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のウェハの洗浄方法。
- 前記融液充填工程において、スピン方式によりウェハの凹凸パターンに充填用融液を供給することか、充填用融液槽内にウェハを浸漬することによって、凹部に残留する洗浄液を充填用融液で置換することを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のウェハの洗浄方法。
- 前記充填用処理剤中の、液相での光散乱式液中粒子検出器によるパーティクル測定における0.5μmより大きい粒子の数が該処理剤を加熱により融解させて充填用融液とした際に該融液1mL当たり100個以下であり、前記処理剤中のNa、Mg、K、Ca、Mn、Fe及びCuの各元素の金属不純物含有量が、該処理剤総量に対し各100質量ppb以下であることを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のウェハの洗浄方法。
- 前記充填用処理剤が、昇華性物質を昇華精製または蒸留精製したもの、昇華性物質と有機溶媒の混合物を昇華精製または蒸留精製したもの、及び、予め昇華精製または蒸留精製した昇華性物質と予め蒸留精製した有機溶媒とを混合したもの、からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のウェハの洗浄方法。
- 前記昇華性物質が、ナフタレン、パラジクロロベンゼン、テトラクロロジフルオロエタン、樟脳、及びアルキルアミンの炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の物質であることを特徴とする、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のウェハの洗浄方法。
- 前記冷却析出工程において、融液を、大気圧下で放冷すること、加圧下で放冷すること、及び、前記ウェハにおいて凹凸パターンを形成していない部分に冷却剤を接触させること、からなる群から選ばれる少なくとも1つの方法により冷却することを特徴とする、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のウェハの洗浄方法。
- 前記昇華除去工程において、固体の昇華性物質を、大気圧下で室温〜昇華性物質の融点未満の温度で昇華させること、または、減圧下で室温〜昇華性物質の融点未満の温度で昇華させることを特徴とする、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のウェハの洗浄方法。
- 請求項1乃至請求項11のいずれかに記載のウェハの洗浄方法で用いる、昇華性物質を含む充填用処理剤。
- 前記充填用処理剤が、昇華性物質を60質量%以上、有機溶媒を40質量%以下含有するものであることを特徴とする、請求項12に記載の充填用処理剤。
- 前記充填用処理剤中の前記有機溶媒が、前記充填用融液の温度よりも沸点が高い有機溶媒であることを特徴とする、請求項12または請求項13に記載の充填用処理剤。
- 前記充填用処理剤中の、液相での光散乱式液中粒子検出器によるパーティクル測定における0.5μmより大きい粒子の数が該処理剤を加熱により融解させて充填用融液とした際に該融液1mL当たり100個以下であり、Na、Mg、K、Ca、Mn、Fe及びCuの各元素の金属不純物含有量が、該充填用処理剤総量に対し各100質量ppb以下であることを特徴とする、請求項12乃至請求項14のいずれかに記載の充填用処理剤。
- 前記充填用処理剤が、昇華性物質を昇華精製または蒸留精製したもの、昇華性物質と有機溶媒の混合物を昇華精製または蒸留精製したもの、及び、予め昇華精製または蒸留精製した昇華性物質と予め蒸留精製した有機溶媒とを混合したもの、からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項12乃至請求項15のいずれかに記載の充填用処理剤。
- 前記昇華性物質が、ナフタレン、パラジクロロベンゼン、テトラクロロジフルオロエタン、樟脳、及びアルキルアミンの炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の物質であることを特徴とする、請求項12乃至請求項16のいずれかに記載の充填用処理剤。
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