JP2012010518A - 駆動部の固定ユニット、駆動部の固定方法、モータ装置、及びロボット装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】位置調整可能な駆動部を安定して固定することができる駆動部の固定ユニット、駆動部の固定方法、モータ装置、及びロボット装置を提供すること。
【解決手段】駆動部を保持するとともに外部機構に接続される保持部材と、保持部材を固定するベース部と、外部機構に対する駆動部の位置を調整可能な調整部と、を備えた駆動部の固定ユニットである。保持部材は、ベース部に固定される固定部を有し、調整部は、固定部に当接することで駆動部の位置を調整可能に構成される。
【選択図】図2
【解決手段】駆動部を保持するとともに外部機構に接続される保持部材と、保持部材を固定するベース部と、外部機構に対する駆動部の位置を調整可能な調整部と、を備えた駆動部の固定ユニットである。保持部材は、ベース部に固定される固定部を有し、調整部は、固定部に当接することで駆動部の位置を調整可能に構成される。
【選択図】図2
Description
本発明は、駆動部の固定ユニット、駆動部の固定方法、モータ装置、及びロボット装置に関する。
例えば旋回系機械を駆動させるアクチュエータとして、モータ装置が用いられている。このようなモータ装置として、例えば電動モータや超音波モータなど、高トルクを発生させることが可能なモータ装置が広く知られている。近年では、ヒューマノイドロボットの関節部分など、より精密な部分を駆動させるモータ装置が求められている。このようなモータ装置として、回転子を駆動するための駆動部として電気機械変換素子を用いたものがある(例えば、特許文献1参照)。
ところで、上述のような精密な駆動を行う場合、電気機械変換素子をモータ装置内の所定位置に位置決めした状態で組み込む必要がある。例えば、特許文献1,2には、インチワーム構造において、電気機械変換素子の位置調整を行う方法が開示されている。そこで、モータ装置において、このように電気機械変換素子の取付位置を調整可能とする調整部を設ける構成が考えられる。
しかしながら、調整部は構造的にガタが存在する場合があるため、結果的に電気機械変換素子をモータ装置内で安定して固定することができず、精密にモータを駆動させることができないおそれがある。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、位置調整可能な駆動部を安定して固定することができる駆動部の固定ユニット、駆動部の固定方法、モータ装置、及びロボット装置を提供することにある。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、位置調整可能な駆動部を安定して固定することができる駆動部の固定ユニット、駆動部の固定方法、モータ装置、及びロボット装置を提供することにある。
本発明の第1の態様に従えば、駆動部を保持するとともに外部機構に接続される保持部材と、前記保持部材を固定するベース部と、前記外部機構に対する前記駆動部の位置を調整可能な調整部と、を備え、前記保持部材は、前記ベース部に固定される固定部を有し、前記調整部は、前記固定部に当接することで前記駆動部の位置を調整可能に構成される駆動部の固定ユニットが提供される。
本発明の第2の態様に従えば、保持部材に保持されており、該保持部材を介して外部機構に駆動力を伝達する駆動部を前記外部機構に対して位置合わせした状態でベース部に固定する駆動部の固定方法であって、前記保持部材を前記ベース部に対して仮固定する仮固定工程と、位置調整ねじを用いて前記保持部材に保持される前記駆動部の前記外部機構に対する位置を調整する位置調整工程と、前記位置調整工程の後、前記保持部材を前記ベース部に本固定する本固定工程と、を備える駆動部の固定方法が提供される。
本発明の第3の態様に従えば、回転子と、前記回転子の外周の少なくとも一部に掛けられる伝達部と、前記回転子と前記伝達部との間を回転力伝達状態として前記伝達部を一定距離移動させると共に前記回転力伝達状態を解消した状態で前記伝達部を所定の位置に復帰させる駆動部と、を備え、前記駆動部は、上記第1の態様の固定ユニットに配置されるモータ装置が提供される。
本発明の第4の態様に従えば、回転軸部材と、前記回転軸部材を回転させるモータ装置と、を備え、前記モータ装置として、第3の態様のモータ装置が用いられているロボット装置が提供される。
本発明によれば、位置調整可能な駆動部を安定して固定することができる駆動部の固定ユニットを提供することができる。
(第1実施形態)
以下、図面に基づき、本発明の一実施形態を説明する。
図1(a)は、本実施形態に係るモータ装置MTRの一例を示す概略構成図である。図1(b)は、図1(a)におけるA−A´断面に沿った構成を示す図である。図2はモータ装置MTRに含まれる駆動部固定ユニット100の要部構成を示す図である。
以下、図面に基づき、本発明の一実施形態を説明する。
図1(a)は、本実施形態に係るモータ装置MTRの一例を示す概略構成図である。図1(b)は、図1(a)におけるA−A´断面に沿った構成を示す図である。図2はモータ装置MTRに含まれる駆動部固定ユニット100の要部構成を示す図である。
以下、各図の説明においてはXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。回転子SFの円筒軸方向をZ軸方向とし、当該Z軸方向に垂直な平面上の直交方向をそれぞれX軸方向及びY軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸周りの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
図1(a)及び図1(b)に示すように、モータ装置MTRは、駆動部ACと、該駆動部ACを所定位置に固定保持する駆動部固定ユニット100と、回転子SFと、接触部材BTと、制御部CONTとを有している。当該モータ装置MTRは、制御部CONTの制御によって駆動部固定ユニット100により所定位置に固定保持された駆動部AC及び該駆動部ACが接続される接触部材BTを用いて回転子SFを回転させると共に、当該回転子SFの回転を調整する構成である。
回転子SFは、例えば円柱状に形成されており、例えば不図示のベアリング装置などによって回転可能に支持されている。当該ベアリング装置は、例えばベース部BSなどに支持されている。回転子SFは、中心軸Cを回転軸としてθZ方向に回転するようになっている。
駆動部ACは、駆動素子31,32を含む。駆動素子31及び32としては、例えばピエゾ素子などの電気機械変換素子が用いられている。駆動素子31及び駆動素子32は、電気機械変換素子に電圧が印加されることにより、X方向に伸縮する構成である。制御部CONTは駆動部ACに接続されており、当該駆動部ACに対して制御信号を供給可能になっている。
図2に示されるように、駆動部固定ユニット100は、ベース部BSと、ベース部BSに固定され、駆動部ACを保持する保持部材130と、位置調整部140と、を含む。ベース部BSは、例えばステンレス等の材料を用いて板状に形成された部分であり、保持部材130の他、回転子SF、駆動部ACと、接触部材BTと、制御部CONTを支持している。本実施形態では板状に形成された例を説明するが、例えば筐体など、他の形状であっても構わない。
保持部材130は、駆動素子31,32を保持する本体部131と固定部132とを有し、該固定部132を介してベース部BSに例えば螺子止め固定されている。固定部132には螺子135を挿通するための固定螺子穴136が形成されており、該固定螺子穴136は長孔形状となっている。
位置調整部140は、接触部材BTに対する駆動部ACの位置を調整するためのものである。位置調整部140は固定部132に当接する位置調整螺子137を主体として構成されている。この位置調整螺子137は、固定部132に対して着脱可能とされている。ベース部BSには、例えば保持部材130を保持するための開口部130Aが形成されており、該開口部130Aを介して位置調整螺子137が固定部132に当接可能とされている。
また、本体部131と駆動素子31,32との間には隙間Sが設けられており、この隙間Sに楔部材138が挿入されている。これにより、駆動素子31,32は高い与圧が付与された状態で本体部131に挟みこまれた構成となっている。これにより、駆動素子31,32は本体部131に対してガタのない状態で保持されたものとなっている。
また、本体部131は駆動素子31,32の伸縮時に一定の与圧を付与する与圧バネ部134を有している。これにより、駆動素子31,32は一定の伸縮幅となり、後述するように接触部材BTに一定の駆動力を伝達可能になっている。
保持部材130は、後述する接触部材BTに接続される接続部133を有し、接続部133と本体部131との間に第1揺動部141を有している。第1揺動部141は、他の部分よりも例えばY方向の厚さが薄くなるように形成されており、保持部材130の本体部131が接触部材BTに対して揺動可能となっている。また、保持部材130は、本体部131と固定部132との間に設けられる第2揺動部142を有している。第2揺動部142は、他の部分よりも例えばY方向の厚さが薄くなるように形成されており、本体部131が固定部132に対して揺動可能となっている。
これにより、保持部材130は接触部材BTに対して、保持部材130は接触部材BTに対して柔軟性を有しつつ、且つガタのない状態で接続されたものとなる。したがって、駆動素子31,32の駆動力を良好に接触部材BTに伝達可能となっている。また、例えば、少なくとも保持部材130と与圧バネ部134とは、一体化された構造である。
以上のようにして、駆動素子31及び32は、保持部材130を介してベース部BSにより+X側の位置が所定の位置に固定されている。このため、駆動素子31及び32は、X方向に伸縮した場合、当該伸縮に伴って−X側の端部のX方向における位置が変化することになる。このように本実施形態においては、固定部132と駆動素子31、32との間に構造的にガタを持った位置調整部140が配置されないため、駆動素子31及び32を安定的に精度良く固定することができる。
接触部材BTは、第一端部21、第二端部22及びベルト部23を有している。第一端部21は、駆動素子31を保持する上記保持部材130の−X側の端部に設けられた第1揺動部141に接続されている。同様に、第二端部22は、駆動素子32を保持する保持部材130の−X側の端部に設けられた第1揺動部141に接続されている。
第一端部21及び第二端部22は、回転子SFの外周上の基準位置F(図1(b)参照)を挟んで配置されている。本実施形態では、回転子SFの+X側端部を基準位置Fとした場合を例に挙げて説明する。第一端部21及び第二端部22は、基準位置Fについて対称な位置に配置されている。
ベルト部23は、例えば帯状に形成され、回転子SFの少なくとも一部に掛けられる部分である。ベルト部23は、例えば第一端部21及び第二端部22に接続されており、例えば回転子SFの−X側に掛け回されている。
上記の駆動素子31及び32が縮むと、第一端部21及び第二端部22が+X方向に移動する。このため、ベルト部23が回転子SFに巻きつき、当該ベルト部23に張力が加わる。駆動素子31及び32が伸びると、第一端部21及び第二端部22が−X方向に移動する。このため、ベルト部23が回転子SFから離れて弛緩する。
次に、モータ装置MTRの動作を説明する。
本実施形態に係るモータ装置MTRにおいて、回転子SFにトルクを作用させる原理を説明する。回転子SFを駆動させる際には、回転子SFに巻き掛けられた接触部材BTに有効張力を生じさせ、当該有効張力によって回転子SFにトルクを伝達する。
本実施形態に係るモータ装置MTRにおいて、回転子SFにトルクを作用させる原理を説明する。回転子SFを駆動させる際には、回転子SFに巻き掛けられた接触部材BTに有効張力を生じさせ、当該有効張力によって回転子SFにトルクを伝達する。
オイラーの摩擦ベルト理論により、回転子SFに巻き掛けられた接触部材BTの第一端部21側の張力(T1)及び第二端部22側の張力(T2)が下記[数1]を満たすとき、接触部材BTと回転子SFとの間で摩擦力が生じ、接触部材BTが回転子SFに対して滑りを生じることの無い状態(接触状態)で回転子SFと共に移動する。この移動により、回転子SFにトルクが伝達される。ただし、[数1]において、μは接触部材BTと回転子SFとの間の見かけ上の摩擦係数であり、θは接触部材BTの有効巻き付き角である。
このとき、トルクの伝達に寄与する有効張力は、(T1−T2)によって表される。上記[数1]に基づいて有効張力(T1−T2)を求めると、[数2]のようになる。[数2]は、T1を用いて有効張力を表す式である。
上記[数2]より、回転子SFに伝達されるトルクは駆動素子31の張力T1によって一意に決定されることがわかる。[数2]の右辺のT1の係数部分は、接触部材BTと回転子SFとの間の摩擦係数μ及び接触部材BTの有効巻き付き角θにそれぞれ依存する。
図3は、摩擦係数μを変化させたときの有効巻き付き角θと係数部分の値との関係を示すグラフである。グラフの横軸は有効巻き付き角θを示しており、グラフの縦軸は係数部分の値を示している。
図3は、摩擦係数μを変化させたときの有効巻き付き角θと係数部分の値との関係を示すグラフである。グラフの横軸は有効巻き付き角θを示しており、グラフの縦軸は係数部分の値を示している。
図3に示すように、例えば摩擦係数μが0.3の場合には、有効巻き付き角θが300°以上のときに係数部分の値が0.8以上となっている。このことから、摩擦係数μが0.3の場合には、有効巻き付き角θを300°以上とすることにより、駆動素子31による張力T1の80%以上の力が回転子SFのトルクに寄与することがわかる。この巻き付き角の他、図3のグラフから、例えば接触部材BTと回転子SFとの間の摩擦係数を大きくするほど、係数部分の値が大きくなることが推定される。
このように、トルクの大きさは駆動素子31の張力T1によって一意に決定されることになり、例えば接触部材BTの移動距離などには無関係であることがわかる。したがって、例えば駆動素子31及び駆動素子32に用いられるピエゾ素子などは、数ミリ程度の小型素子であっても、数百ニュートン以上の力を出すことができるので非常に大きな回転力を付与することができる。
このような原理に基づいて、制御部CONTは、図4に示すように、まず、第一端部21及び第二端部22がそれぞれ+X方向に移動するように駆動素子31及び駆動素子32を変形させる。この動作により、接触部材BTの第一端部21側には張力T1が発生し、接触部材BTの第二端部22側には張力T2が発生する。したがって、接触部材BTに有効張力(T1−T2)が発生する。
制御部CONTは、接触部材BTに有効張力を発生させた状態を保持しつつ、図5に示すように、接触部材BTの第一端部21が−X方向に移動するように、かつ、第二端部22が+X方向に移動するように駆動素子31及び駆動素子32を変形させる(駆動動作)。この動作において、制御部CONTは、第一端部21の移動距離と第二端部22の移動距離とを等しくさせる。この動作により、接触部材BTと回転子SFとの間に摩擦力が発生した状態で接触部材BTが移動し、当該移動と共に回転子SFがθZ方向に回転する。
制御部CONTは、第一端部21及び第二端部22を所定距離だけ移動させた後、図6に示すように、第一端部21が移動しないように、かつ、第二端部22が駆動の開始位置(所定位置)へ戻るように、駆動素子32だけを変形させる。この動作により、第二端部22が−X方向へ移動し、接触部材BTの巻き掛けが緩んだ状態になる。つまり、接触部材BTに付加されていた有効張力が解除された状態になる。この状態においては、接触部材BTと回転子SFとの間に摩擦力は発生せず、回転子SFは慣性によって回転し続けることになる。
制御部CONTは、接触部材BTの巻き掛けを緩ませた後、図7に示すように、第一端部21が駆動の開始位置(所定位置)へ戻るように駆動素子31を変形させる。この動作により、接触部材BTの巻き掛けが緩んだまま、すなわち、有効張力が発生しないまま、接触部材BTの第一端部21が駆動の開始位置(所定位置)へ戻っていく(復帰動作)。
第一端部21が駆動開始位置に戻される直前になったら、制御部CONTは、駆動素子31を変形させて第一端部21を+X方向に移動させる。この動作により、第一端部21が駆動開始位置に戻されるのとほぼ同時に、第一端部21側に張力T1が発生し、第二端部22側に張力T2が発生する。これにより、駆動開始時に接触部材BTに有効張力を付加させた状態(図4の状態)と同様の状態となる。
接触部材BTに有効張力が付加された後、制御部CONTは、接触部材BTの第一端部21が+X方向に移動するように駆動素子31を変形させ、第二端部22が+X方向に移動するように駆動素子32を変形させる(駆動動作)。このとき、第一端部21の移動距離と第二端部22の移動距離とを等しくさせる。この動作により、接触部材BTと回転子SFとの間に摩擦力が発生した状態で接触部材BTが移動し、当該移動と共に回転子SFがθ方向に回転する。
この後、制御部CONTは、接触部材BTに付加されていた有効張力を再度解除させる。制御部CONTは、有効張力を解除させた後、接触部材BTの第一端部21及び第二端部22が開始位置に戻るように移動させる(復帰動作)。このように制御部CONTが上記駆動動作と復帰動作とを駆動部ACに繰り返し行わせることにより、回転子SFがθZ方向に回転し続けることになる。
次に、モータ装置MTRを用いて回転子SFの回転を調整する動作を説明する。
制御部CONTは、上記駆動動作及び復帰動作によって回転子SFがθZ方向に回転している状態で、例えば図8に示すように、第一端部21及び第二端部22がそれぞれ+X方向に移動するように駆動素子31及び駆動素子32を変形させる。
制御部CONTは、上記駆動動作及び復帰動作によって回転子SFがθZ方向に回転している状態で、例えば図8に示すように、第一端部21及び第二端部22がそれぞれ+X方向に移動するように駆動素子31及び駆動素子32を変形させる。
この動作により、接触部材BTのベルト部23が回転子SFに接触すると共に、ベルト部23の第一端部21側には張力T1が発生し、接触部材BTの第二端部22側には張力T2が発生する。したがって、接触部材BTに有効張力(T1−T2)が発生する。この状態において、ベルト部23と回転子SFとの間には、回転子SFの回転方向とは逆向きに摩擦力が生じている。当該摩擦力により、回転子SFの回転が規制される。
この状態で、制御部CONTは、接触部材BTに有効張力を発生させた状態を保持しつつ、図9に示すように、接触部材BTの第一端部21が+X方向に移動するように、かつ、第二端部22が−X方向に移動するように駆動素子31及び駆動素子32を変形させる。
この動作において、制御部CONTは、例えば第一端部21の移動距離と第二端部22の移動距離とを等しくさせる。この動作により、接触部材BTと回転子SFとの間に摩擦力が発生した状態で接触部材BTが回転子SFの回転方向とは逆の方向に移動する。このため、回転子SFの回転は更に規制される。
その後、制御部CONTは、第二端部22が移動しないように、かつ、第一端部21が開始位置(所定位置)へ戻るように、駆動素子31だけを変形させる。この動作により、第一端部21が−X方向へ移動し、接触部材BTの巻き掛けが緩んだ状態になる。つまり、接触部材BTに付加されていた有効張力が解除された状態になる。この状態においては、接触部材BTと回転子SFとの間に摩擦力は発生せず、回転子SFの回転は規制されない。このため、回転子SFは、慣性によって回転し続けることになる。
制御部CONTは、接触部材BTの巻き掛けを緩ませた後、第二端部22が駆動の開始位置(所定位置)へ戻るように駆動素子32を変形させる。この動作により、接触部材BTの巻き掛けが緩んだまま、すなわち、有効張力が発生しないまま、接触部材BTの第二端部22が駆動の開始位置(所定位置)へ戻っていく(復帰動作)。
第二端部22が駆動開始位置に戻される直前になったら、制御部CONTは、駆動素子32を変形させて第二端部22を+X方向に移動させる。この動作により、第二端部22が駆動開始位置に戻されるのとほぼ同時に、第一端部21側に張力T1が発生し、第二端部22側に張力T2が発生する。これにより、駆動開始時に接触部材BTに有効張力を付加させた状態(図4の状態)と同様の状態となる。この動作を繰り返すことにより、回転子SFの回転を調整する。
また、図10に示すように、回転子SFの回転が停止している場合には、制御部CONTは、ベルト部23と回転子SFとの間を接触状態にさせ、当該接触状態を維持するように駆動素子31及び駆動素子32を変形させる。この場合、回転子SFは、ベルト部23との間に働く静摩擦力によって回転が規制された状態となる。回転子SFを回転させる場合、制御部CONTは、接触状態が解消されるように駆動素子31、32を変形させる。この動作により、回転子SFの回転の規制が解消される。その後、制御部CONTは、モータ装置MTRによる駆動動作が行われる。
このように、本実施形態によれば、接触部材BTが回転子SFの少なくとも一部に掛けられた状態で駆動部ACに駆動動作及び復帰動作を行わせることとしたので、オイラーの摩擦ベルト理論により、接触部材BTに付加する一方の張力によってトルクが一意に決定されることになる。したがって、小型の駆動部ACであっても高いトルクを回転子SFに付加させることが可能となる。これにより、高トルクを発生させることができる小型のモータ装置MTRを得ることができる。また、小型の駆動部ACであっても高効率で回転子SFを回転させることが可能となる。
また、本実施形態によれば、回転子SFを回転させる時には回転子SFと接触部材BTとの間を回転力伝達状態として接触部材BTを一定距離移動させると共に回転力伝達状態を解消した状態で接触部材BTを所定の位置に復帰させ、回転子SFを回転させない時には回転子SFと接触部材BTとの間を接触させた接触状態で接触部材BTの移動を調整する駆動部ACを備えることとしたので、ブレーキ機構を別途設けることなく、回転子SFの回転を停止させたり、停止状態を維持したりさせることができる(ブレーキ手段)。これにより、モータ装置MTRの大型化を回避することができる。
また、本実施形態によれば、固定部132と駆動素子31、32との間に構造的にガタを持った位置調整部140が配置されない構造を採用することで、上述したように駆動素子31、32がガタのない状態(又はガタの低減された状態)でベース部BSに安定して取り付けられることとなり、回転子SFに対して駆動素子31、32の伸縮力を良好に伝達することができ、回転子SFを効率的に回転させることができる。
(第二実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
本実施形態では、モータ装置MTRの駆動動作及び回転調整動作の際、接触部材BT及び接触部材BTの弾性変形を利用する点で、第1実施形態とは異なっている。したがって、モータ装置MTRの構成については、モータ装置MTRの接触部材BTが弾性変形可能になっている点以外は、第1実施形態と同一の構成を用いることができる。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
本実施形態では、モータ装置MTRの駆動動作及び回転調整動作の際、接触部材BT及び接触部材BTの弾性変形を利用する点で、第1実施形態とは異なっている。したがって、モータ装置MTRの構成については、モータ装置MTRの接触部材BTが弾性変形可能になっている点以外は、第1実施形態と同一の構成を用いることができる。
本実施形態では、接触部材BTのばね定数をkとする。ここで、オイラーの摩擦ベルト理論により、回転子SFの保持力TCを下記[数3]のように設定する。この保持力TCとは、静止している回転子SFを動き出させるために必要な力である。また、第一端部21側の目標張力をT1e、第二端部22側の目標張力をT2e、目標有効張力をTgoalとすると、以下の[数4]及び[数5]を満たす。
以下、図11〜図16に基づいて、回転子SFの駆動動作を中心に説明する。本実施形態では、説明をわかりやすくするため、モータ装置の構成を模式的に示している。以下の説明においては、接触部材BTに張力が付加されることなく当該接触部材BTが回転子SFに1回転巻き掛けられた状態となるような接触部材BTの第一端部21及び第二端部22のそれぞれの位置を原点位置0とする。したがって、接触部材BTの第一端部21及び第二端部22が共に原点位置0に配置されている状態においては、接触部材BTと回転子SFとの間に摩擦力は発生しない。
<駆動動作>
まず、制御部CONTは、図11に示すように、接触部材BTの第一端部21が原点位置0からX1だけ+X方向(例えば、ベース部BSに近づく方向)に移動するように駆動素子31を変形させる。また、制御部CONTは、接触部材BTの第二端部22が原点位置0からX2だけ+X方向(例えば、ベース部BSに近づく方向)に移動するように駆動素子32を変形させる。この状態を駆動動作の初期状態とする。このとき、X1及びX2については、下記[数6]を満たす。
まず、制御部CONTは、図11に示すように、接触部材BTの第一端部21が原点位置0からX1だけ+X方向(例えば、ベース部BSに近づく方向)に移動するように駆動素子31を変形させる。また、制御部CONTは、接触部材BTの第二端部22が原点位置0からX2だけ+X方向(例えば、ベース部BSに近づく方向)に移動するように駆動素子32を変形させる。この状態を駆動動作の初期状態とする。このとき、X1及びX2については、下記[数6]を満たす。
この状態から、図12に示すように、制御部CONTは、駆動素子31を変形させて、接触部材BTの第一端部21側の張力T1が目標張力T1eとなるように第一端部21をΔX1だけ+X方向(例えば、ベース部BSに近づく方向)に移動させる。また、制御部CONTは、駆動素子32を変形させて、第二端部22側の張力T2が目標張力T2eとなるように第二端部22をΔX2だけ−X方向(例えば、ベース部BSから遠ざかる方向)に移動させる。この動作により、接触部材BTから回転子SFにトルクが伝達される。このとき、ΔX1とΔX2との間には、[数7]の関係が成立する。
接触部材BTから回転子SFにトルクが伝達されると、回転子SFが回転し、接触部材BTの弾性変形が初期状態と同一の状態になる。図13に示すように、このため接触部材BTの第一端部21側の張力T1と第二端部22側の張力T2とが保持力TCとなってつり合う。このとき有効張力については、Tgoalからゼロへと近似的に線形に変化するため、接触部材BTに付加されている実効的な有効張力は、Tgoal/2となる。また、接触部材BTによって回転子SFに伝達するトルクはゼロになる。
<復帰動作>
次に、図15に示すように、制御部CONTは、第一端部21が原点位置0まで移動すると共に第二端部22が原点位置0よりも−X側(例えば、ベース部BSから遠ざかる方向)へ移動するように、駆動素子31と駆動素子32とを同時に変形させる。駆動素子31と駆動素子32とを例えば同時に等しい変形量で変形させることにより、接触部材BTが2ΔX1だけ緩むこととなる。この結果、接触部材BTと回転子SFとの間に隙間が生じる。回転子SFは、接触部材BTによって摩擦力を受けることなく、慣性回転している状態となる。
次に、図15に示すように、制御部CONTは、第一端部21が原点位置0まで移動すると共に第二端部22が原点位置0よりも−X側(例えば、ベース部BSから遠ざかる方向)へ移動するように、駆動素子31と駆動素子32とを同時に変形させる。駆動素子31と駆動素子32とを例えば同時に等しい変形量で変形させることにより、接触部材BTが2ΔX1だけ緩むこととなる。この結果、接触部材BTと回転子SFとの間に隙間が生じる。回転子SFは、接触部材BTによって摩擦力を受けることなく、慣性回転している状態となる。
接触部材BTと回転子SFとの間に隙間が生じている間に、図15に示すように、制御部CONTは、第一端部21を移動させること無く第二端部22のみが原点位置0に戻るように駆動素子32を変形させる。この動作により、第一端部21及び第二端部22が共に原点位置0に戻ることになる。この状態においても、回転子SFは接触部材BTによって摩擦力を受けることなく、慣性回転している状態となる。このように、復帰動作では、回転子SFに摩擦力による抵抗を与えることなく、当該回転子SFを回転させた状態で第一端部21及び第二端部22を原点位置0まで移動させる。
<駆動動作(慣性回転状態)>
制御部CONTは、回転子SFに設けられた検出器により、回転子SFの外周速度vを検出する。制御部CONTは、検出結果に基づき、第一端部21及び第二端部22の移動距離を決定する。回転子SFが静止している状態の上記駆動動作では、第一端部21の初期位置をX1、第二端部22の初期位置をX2(=X1)とした。回転子SFが慣性回転している状態で、上記同様の目標有効張力を接触部材BTに付加するには、回転子SFの静止状態と同一の環境が必要である。すなわち、回転子SFの外周と接触部材BTとの相対速度をゼロにする必要がある。このため、第一端部21の初期位置及び第二端部22の初期位置を決定するに当たり、回転子SFの外周の所定時間当たりの移動距離を考慮する必要がある。一例として、第一端部21の初期位置をX1+vΔt、第二端部22の初期位置をX2−vΔtとして設定する。ここで、Δtとしては、例えば制御部CONTのサンプリングタイムなどが挙げられる。
制御部CONTは、回転子SFに設けられた検出器により、回転子SFの外周速度vを検出する。制御部CONTは、検出結果に基づき、第一端部21及び第二端部22の移動距離を決定する。回転子SFが静止している状態の上記駆動動作では、第一端部21の初期位置をX1、第二端部22の初期位置をX2(=X1)とした。回転子SFが慣性回転している状態で、上記同様の目標有効張力を接触部材BTに付加するには、回転子SFの静止状態と同一の環境が必要である。すなわち、回転子SFの外周と接触部材BTとの相対速度をゼロにする必要がある。このため、第一端部21の初期位置及び第二端部22の初期位置を決定するに当たり、回転子SFの外周の所定時間当たりの移動距離を考慮する必要がある。一例として、第一端部21の初期位置をX1+vΔt、第二端部22の初期位置をX2−vΔtとして設定する。ここで、Δtとしては、例えば制御部CONTのサンプリングタイムなどが挙げられる。
この状態から、図16に示すように、制御部CONTは、駆動素子31を変形させて、接触部材BTの第一端部21側の張力T1が目標張力T1eとなるように第一端部21をΔX1だけ+X方向(例えば、ベース部BSに近づく方向)に移動させる。また、制御部CONTは、駆動素子32を変形させて、第二端部22側の張力T2が目標張力T2eとなるように第二端部22をΔX2だけ+X方向(例えば、ベース部BSに近づく方向)に移動させる。この動作により、接触部材BTから回転子SFにトルクが伝達される。このときの第一端部21は原点位置0に対してX1+vΔt+ΔX1だけ+X方向(例えば、ベース部BSに近づく方向)へ移動した状態となる。また、このときの第二端部22は原点位置に対してX2−vΔt−ΔX1だけ−X方向(例えば、ベース部BSから遠ざかる方向)へ移動した状態となる。
<復帰動作>
この後、制御部CONTは、第一端部21が原点位置0まで移動すると共に第二端部22が原点位置0よりも+X方向(例えば、ベース部BSに近づく方向)へ移動するように駆動素子31と駆動素子32とを同時に変形させ、接触部材BTと回転子SFとの間に隙間が生じている間に、第一端部21を移動させること無く第二端部22のみが原点位置0に戻るように駆動素子32を変形させる。この動作により、第一端部21及び第二端部22が共に原点位置0に戻ることになる。復帰動作は、回転子SFの回転速度によらず同一の動作として行うことができる。
この後、制御部CONTは、第一端部21が原点位置0まで移動すると共に第二端部22が原点位置0よりも+X方向(例えば、ベース部BSに近づく方向)へ移動するように駆動素子31と駆動素子32とを同時に変形させ、接触部材BTと回転子SFとの間に隙間が生じている間に、第一端部21を移動させること無く第二端部22のみが原点位置0に戻るように駆動素子32を変形させる。この動作により、第一端部21及び第二端部22が共に原点位置0に戻ることになる。復帰動作は、回転子SFの回転速度によらず同一の動作として行うことができる。
以下、駆動動作と復帰動作とを繰り返すことにより、回転子SFをさせることができる。回転子SFが慣性回転状態になっている場合において、上記X1+vΔt+ΔX1の値が駆動素子31の最大変形量を超えない限り、駆動動作及び復帰動作を繰り返すことで、回転子SFにトルクを伝達させ続けることができる。
次に、本実施形態におけるモータ装置MTRの回転調整動作を説明する。
例えば駆動動作によって回転子SFが回転している状態で、制御部CONTは、図17に示すように、接触部材BTの第一端部21が原点位置0からX1だけ+X方向(例えば、ベース部BSに近づく方向)に移動するように駆動素子31を変形させる。また、制御部CONTは、接触部材BTの第二端部22が原点位置0からX2だけ+X方向(例えば、ベース部BSに近づく方向)に移動するように駆動素子32を変形させる。このとき、接触部材BTのベルト部23が回転子SFに接触されることになるため、回転子SFとベルト部23との間に摩擦力が生じる。当該摩擦力により、回転子SFの回転が規制されることになる。
例えば駆動動作によって回転子SFが回転している状態で、制御部CONTは、図17に示すように、接触部材BTの第一端部21が原点位置0からX1だけ+X方向(例えば、ベース部BSに近づく方向)に移動するように駆動素子31を変形させる。また、制御部CONTは、接触部材BTの第二端部22が原点位置0からX2だけ+X方向(例えば、ベース部BSに近づく方向)に移動するように駆動素子32を変形させる。このとき、接触部材BTのベルト部23が回転子SFに接触されることになるため、回転子SFとベルト部23との間に摩擦力が生じる。当該摩擦力により、回転子SFの回転が規制されることになる。
この状態から、例えば図18に示すように、制御部CONTは、駆動素子31を変形させて、接触部材BTの第一端部21側の張力T1が目標張力T1eとなるように第一端部21をΔX1だけ−X方向(例えば、ベース部BSから遠ざかる方向)に移動させる。また、制御部CONTは、駆動素子32を変形させて、第二端部22側の張力T2が目標張力T2eとなるように第二端部22をΔX2だけ+X方向(例えば、ベース部BSに近づく方向)に移動させる。この動作により、接触部材BTから回転子SFにトルクが伝達される。回転子SFの回転方向とは逆方向にトルクが伝達されるため、回転子SFの回転が規制されることになる。また、制御部CONTは、復帰動作については、上記の復帰動作と同様の動作を行わせるようにする。
次に、本実施形態の回転子SFの駆動動作におけるトルク制御について説明する。
本実施形態における実効トルクNeは、駆動動作と復帰動作とを1サイクル行うのに要する時間tall、有効張力の伝達開始から回転子SFが慣性状態になるまでの時間te、目標有効張力Tgoal、回転子SFの半径Rに依存する。一例として、下記[数8]によって示される。
本実施形態における実効トルクNeは、駆動動作と復帰動作とを1サイクル行うのに要する時間tall、有効張力の伝達開始から回転子SFが慣性状態になるまでの時間te、目標有効張力Tgoal、回転子SFの半径Rに依存する。一例として、下記[数8]によって示される。
[数8]に示すように、実効トルクNeを制御するパラメータとしては、tall、te、Tgoalの3つが挙げられる。駆動動作と復帰動作の1サイクルの時間tallについては回転子SFの駆動制御を行う上で一定に設定される場合があるため、te、Tgoalの2つの値を変化させることで実効トルクNeの制御を行っても良い。
このように、本実施形態によれば、接触部材BTの弾性変形を利用し、回転子SFの外周と接触部材BTとの相対速度をゼロにして接触部材BTの有効張力を回転子SFに伝達する駆動動作と、第一端部21及び第二端部22を同時に内側へ移動させる復帰動作とを繰り返し行うことにより、回転子SFを加速あるいは減速させながらダイナミックに回転させることができる。また、小型の駆動部ACであっても高効率で回転子SFを回転させることが可能となる。
また、本実施形態によれば、小型の駆動部ACであっても高いブレーキトルクを生じさせることができる(ブレーキ手段)。また、接触部材BTの弾性変形を利用しつつ駆動動作と復帰動作とを繰り返し行うことにより、回転子SFに対してブレーキトルクをダイナミックに作用させることができる(ブレーキ手段)。
また、本実施形態によれば、上述したように固定部132と駆動素子31、32との間に構造的にガタを持つ位置調整部140が配置されないため、駆動素子31、32がガタのない状態(又はガタの低減された状態)でベース部BSに安定して取り付けられる。よって、回転子SFに対して駆動素子31、32の伸縮力を良好に伝達することができ、回転子SFを効率的に回転させることができる。
(第三実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
図19は、本実施形態に係るモータ装置MTRの構成を示す図である。本実施形態に係るモータ装置MTRは、駆動部固定ユニット100の保持部材130の構成が上記実施形態とは異なっている。本実施形態では、保持部材130が変位拡大機構50を含む構成になっている。他の構成については、例えば第一実施形態に示すモータ装置MTRと同一の構成となっている。
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
図19は、本実施形態に係るモータ装置MTRの構成を示す図である。本実施形態に係るモータ装置MTRは、駆動部固定ユニット100の保持部材130の構成が上記実施形態とは異なっている。本実施形態では、保持部材130が変位拡大機構50を含む構成になっている。他の構成については、例えば第一実施形態に示すモータ装置MTRと同一の構成となっている。
図20は、変位拡大機構50の構成を示す図である。なお、図20では接触部材BTの第二端部22側に設けられた変位拡大機構50について示しているが、接触部材BTの第一端部21側にも同一の構成の変位拡大機構50が設けられている。
図20に示すように、変位拡大機構50は取付部52及び変位伝達部53を有している。取付部52は、ベース部BSの−X側の表面に取り付けられている。また、変位伝達部53には保持部材130に保持された駆動素子32が接続されている。保持部材130は変位伝達部53に接続されており、保持部材130の固定部132はベース部BSに固定されている。また、例えば、少なくとも保持部材130と与圧バネ部134と変位伝達部53とは、一体化された構造である。
変位伝達部53は、ベース部BSとの間で駆動素子32を挟むようにそれぞれ配置されている。変位伝達部53は、第1揺動部141を介して保持部材130のそれぞれの−X側の端部に接続されている。変位伝達部53は、例えばY方向の一の端部53bが取付部52に連結されている。変位伝達部53のY方向の他の端部53aには、例えば接触部材BTの第一端部21、第二端部22が接続されている。
取付部52と変位伝達部53との接続部分54は、第1揺動部141および第2揺動部142と同様、他の部分よりも例えばY方向の厚さが薄くなるように形成されている。例えば駆動素子32が伸縮して−X方向の先端部56がX方向に変位すると、変位伝達部53は、接続部分54を支点としてθZ方向に回転するようになっている。
このため、図20に示すように、接続部分54と先端部56との距離をS1とし、接続部分54と端部53aとの距離をS2とし、先端部56のX方向の変位をL1とすると、端部53aのX方向の変位L2は、
L2=L1・(S2/S1)
となる。
L2=L1・(S2/S1)
となる。
本実施形態では、S2>S1であるため、端部53aにおける変位L2は、先端部56の変位L1に対して拡大されていることになる。先端部56の変位が拡大されて端部53aに伝達される結果、当該端部53aに接続される第一端部21、第二端部22の移動量が拡大されることになる。本実施形態における変位拡大機構50は、駆動素子32の駆動量(伸縮量)に基づく接触部材BTの移動量を拡大して接触部材BTに伝達する。
先端部56の変位は、駆動素子32のX方向の寸法に対して例えば0.1%程度となる場合があり、この値は例えば数ミクロンとなる場合がある。本実施形態によれば、てこの原理によって駆動素子32の変位を拡大することで、回転子SFを精度良く回転させることができる。また、駆動素子31についても、同様の変位拡大機構50を介して接触部材BTの第一端部21側に接続されており、てこの原理によって変位を拡大することで回転子SFを精度良く回転させることができる。
本実施形態によれば、上述したように駆動素子31、32がガタのない状態(又はガタの低減された状態)でベース部BSに安定して取り付けられているので、回転子SFに対して駆動素子31、32の伸縮力を良好に伝達することができ、回転子SFを効率的に回転させることができる。
(第四実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を説明する。
図21は、上記実施形態のいずれかに記載のモータ装置MTRを備えるロボット装置RBTの一部(例、指部分の関節)の構成を示す図である。
次に、本発明の第4実施形態を説明する。
図21は、上記実施形態のいずれかに記載のモータ装置MTRを備えるロボット装置RBTの一部(例、指部分の関節)の構成を示す図である。
同図に示すように、ロボット装置RBTは、末節部101、中節部102及び関節部103を有しており、末節部101と中節部102とが関節部103を介して接続された構成になっている。関節部103には軸支持部103a及び軸部103bが設けられている。軸支持部103aは中節部102に固定されている。軸部103bは、軸支持部103aによって固定された状態で支持されている。
末節部101は、接続部101a及び歯車101bを有している。接続部101aには、関節部103の軸部103bが貫通した状態になっており、当該軸部103bを回転軸として末節部101が回転可能になっている。この歯車101bは、接続部101aに固定されたベベルギアである。接続部101aは、歯車101bと一体的に回転するようになっている。
中節部102は、筐体102a及び駆動装置ACTを有している。駆動装置ACTは、上記実施形態に記載のモータ装置MTRを用いることができる。駆動装置ACTは、筐体102a内に設けられている。駆動装置ACTには、回転軸部材104aが取り付けられている。回転軸部材104aの先端には、歯車104bが設けられている。この歯車104bは、回転軸部材104aに固定されたベベルギアである。歯車104bは、上記の歯車101bとの間で噛み合った状態になっている。
上記のように構成されたロボット装置RBTは、駆動装置ACTの駆動によって回転軸部材104aが回転し、当該回転軸部材104aと一体的に歯車104bが回転する。
歯車104bの回転は、当該歯車104bと噛み合った歯車101bに伝達され、歯車101bが回転する。当該歯車101bが回転することで接続部101aも回転し、これにより末節部101が軸部103bを中心に回転する。
歯車104bの回転は、当該歯車104bと噛み合った歯車101bに伝達され、歯車101bが回転する。当該歯車101bが回転することで接続部101aも回転し、これにより末節部101が軸部103bを中心に回転する。
このように、本実施形態によれば、低速高トルクの回転を出力することができる駆動装置ACTを搭載することにより、例えば減速器を用いることなく直接末節部101を回転させることができる。さらに本実施形態では、駆動装置ACTが非共振に駆動される構成になっているため、樹脂など軽量な材料で大部分を構成することが可能になる。また、駆動装置ACTとして用いるモータ装置MTRが、駆動素子31、32がガタのない状態(又はガタの低減された状態)でベース部BSに安定して取り付けられた構成を有するので、回転軸部材104aに対して駆動素子31、32の伸縮力を良好に伝達することができ、回転軸部材104aを効率的に回転させることができる。
また、上記実施形態では、ベース部BSに形成した開口部130A内に駆動部固定ユニット100の固定部132を固定する構成を例にあげて説明したが、これに限られることは無く、他の形状であっても構わない。例えば、ベース部BSの表面から突出した状態に形成されている台座部分に固定部132を固定する構成や、保持部材130に保持された駆動素子31,32がベース部BSに対して傾斜した状態となるように固定部132をベース部BSに固定する構成であっても構わない。
また、上記実施形態では、ベース部BSが正面視で矩形に形成された構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、他の形状であっても構わない。例えば、円形、楕円形としても構わないし、台形、平行四辺形、ひし形、三角形、五角形、六角形など、他の多角形としても構わない。
また、ベルト部23の形状として、上記実施形態では、帯状に形成されたベルト部23を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、例えば線状や鎖状など、他の形状であっても構わない。
MTR…モータ装置、BS…ベース部、BT…接触部材、AC…駆動部、CONT…制御部、SF…回転子、C…中心軸、F…基準位置、RBT…ロボット装置、ACT…駆動装置、21…第一端部、22…第二端部、23…ベルト部、31…駆動素子、32…駆動素子、50…変位拡大機構、100…駆動部固定ユニット、130…保持部材、132…固定部、134…与圧バネ部、137…位置調整螺子、138…楔部材、140…調整部、141…第1揺動部、142…第2揺動部
Claims (11)
- 駆動部を保持するとともに外部機構に接続される保持部材と、
前記保持部材を固定するベース部と、
前記外部機構に対する前記駆動部の位置を調整可能な調整部と、を備え、
前記保持部材は、前記ベース部に固定される固定部を有し、
前記調整部は、前記固定部に当接することで前記駆動部の位置を調整可能に構成される駆動部の固定ユニット。 - 前記保持部材は、前記外部機構と接続され該保持部材を揺動可能にさせる第1揺動部を有する請求項1に記載の駆動部の固定ユニット。
- 前記保持部材は、前記固定部と接続され該保持部材を揺動可能にさせる第2揺動部を有する請求項1又は2に記載の駆動部の固定ユニット。
- 前記調整部は前記保持部材に対して着脱可能な位置調整部材を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の駆動部の固定ユニット。
- 前記保持部材は、前記駆動部の伸縮時に当該駆動部に与圧を与える与圧部を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の駆動部の固定ユニット。
- 前記保持部材は、前記駆動部の移動量を拡大して前記外部機構に伝達する拡大機構を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の駆動部の固定ユニット。
- 前記駆動部は、電気機械変換素子を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の駆動部の固定ユニット。
- 前記電気機械変換素子と前記保持部材との間隙間に配置された楔部材を備える請求項7に記載の駆動部の固定ユニット。
- 保持部材に保持されており、該保持部材を介して外部機構に駆動力を伝達する駆動部を前記外部機構に対して位置合わせした状態でベース部に固定する駆動部の固定方法であって、
前記保持部材を前記ベース部に対して仮固定する仮固定工程と、
位置調整ねじを用いて前記保持部材に保持される前記駆動部の前記外部機構に対する位置を調整する位置調整工程と、
前記位置調整工程の後、前記保持部材を前記ベース部に本固定する本固定工程と、を備える駆動部の固定方法。 - 回転子と、
前記回転子の外周の少なくとも一部に掛けられる伝達部と、
前記回転子と前記伝達部との間を回転力伝達状態として前記伝達部を一定距離移動させると共に前記回転力伝達状態を解消した状態で前記伝達部を所定の位置に復帰させる駆動部と、を備え、
前記駆動部は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の固定ユニットに配置されるモータ装置。 - 回転軸部材と、
前記回転軸部材を回転させるモータ装置と、を備え、
前記モータ装置として、請求項10に記載のモータ装置が用いられているロボット装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010145269A JP2012010518A (ja) | 2010-06-25 | 2010-06-25 | 駆動部の固定ユニット、駆動部の固定方法、モータ装置、及びロボット装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2012010518A true JP2012010518A (ja) | 2012-01-12 |
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ID=45540406
Family Applications (1)
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JP2010145269A Pending JP2012010518A (ja) | 2010-06-25 | 2010-06-25 | 駆動部の固定ユニット、駆動部の固定方法、モータ装置、及びロボット装置 |
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2010
- 2010-06-25 JP JP2010145269A patent/JP2012010518A/ja active Pending
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