JP2011163468A - メカニカルシール用密封環とその製造方法 - Google Patents

メカニカルシール用密封環とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】摺動部に十分な潤滑液が回り込まない状況やドライ状況といった厳しい環境下においても、摩擦係数が高くなる不都合を抑制又は解消して、耐久性や信頼性に優れるSiC摺動材製のメカニカルシール用密封環を実現させる。
【解決手段】回転軸1と一体回転する回転側の密封環2と、ハウジング3に相対固定される静止側の密封環4と、回転側及び静止側の各密封環2,4の摺動面2a,4aどうしを押付け合う弾性機構5とを有して成るメカニカルシールMにおける回転密封環2又はその回転密封輪2を所定の規格寸法に加工して成る環状体の外周面2bから内周面2cに向けての単位時間当りの液体の浸透漏れ量Fが0.01ml/24hr≦F≦500ml/1hrの範囲で規定されるSiC摺動材製のメカニカルシール用密封環を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、SiC摺動材を用いたメカニカルシール用密封環とその製造方法に関するものである。
SiC(炭化珪素)はメカニカルシールや軸受等の摺動材として優れた特性を持っているが、摺動部に十分な潤滑液が回り込まない状況やドライ状況においては摩擦係数が高くなり、異常磨耗を招き易いという不利も有している。そこで対策としては、SiC摺動材にハイドロカットや溝加工を施したり、シール背面よりクエンチング等を実施する等の工夫が行われている。
特許文献1においては、相対回転摺接する2つの密封環1,3の一方又は両方が、平均気孔径10〜40μmの独立気孔が均一に配置されており且つ気孔率が3〜10%である炭化珪素焼結材で構成されるメカニカルシール用密封環が開示されている。これにより、相手密封環が炭化珪素等の硬質材製のもの又はカーボン等の軟質材製のものの何れである場合にも、相手密封環との間の潤滑性を大幅に向上させることができ、シール条件に拘わらず、耐摩耗性等の耐久性及びシール性に極めて優れたメカニカルシールの実現に寄与している。
特許文献2においては、 炭化珪素焼結部品の結晶粒平均径が0.010から0.030mmの大きさで、その結晶粒界の間に気孔が形成され、気孔の大きさが0.001から0.020の範囲に形成されて気孔率が3から10容量%のものとされるメカニカルシール用密封環が開示されている。これにより、強度に優れ、耐摩耗性、耐食性及び耐高温に優れ、メカニカルシール用密封環として好適な炭化珪素焼結部品が得られる、と記載されている。
特許文献3においては、平均粒子径が0.1以上、10μm以下のα−SiC粉末と、平均粒子径が0.1以上、10μm以下のβ−SiC粉末と、プラズマCVD法により気相合成された平均粒子径が0.1μm未満のSiC超微粉末とを所望の比率で混合してSiC混合粉末を得、このSiC混合粉末を加熱焼結して成るするメカニカルシール用密封環が開示されている。これにより、炭化珪素焼結体の比抵抗値を低くすることができ、かつ、この比抵抗を広範囲に制御できる炭化珪素焼結体の比抵抗制御方法を提供できる、と記載されている。
以上のように、メカニカルシール用密封環としてSiC摺動材を用いて耐摩耗性の向上を図ることはよく知られた技術である。しかしながら、シール対象液の多様化やシール対象液が摺動部に回り込まない条件下での使用では、SiC摺動材製のメカニカルシール用密封環としの性能が十分に発揮され難いこともあり、前述のように、ハイドロカットや溝加工を施す対策があるが、加工が難しいとか、コストや手間が掛かるという慢性的な問題がある。
一方、カーボン、黒鉛、BN、MoS2 、フッ素樹脂等の低摩擦材を含浸させる等、SiC摺動材に自己潤滑性を有する材料を配合したものによる密封環も開発されているが、製造が難しくコストも非常に高いことから、使用用途が限られるものであった。このように、種々の利点を有するSiC摺動材製の密封環を、使用条件によっては摩擦係数が高くなって摩耗が早くなるという問題が解消又は抑制されたものとするには、さらなる改善の余地が残されていた。
特許第3517711号公報 特開2002−338368号公報 特開平9−255428号公報
本発明の目的は、鋭意研究を進めることにより、基本的にSiC摺動材を用いたものとしながら、摺動部に十分な潤滑液が回り込まない状況やドライ状況といった厳しい環境下においても、摩擦係数が高くなる不都合を抑制又は解消して、耐久性や信頼性に優れるメカニカルシール用密封環、並びにその製造方法を実現して提供する点にある。
請求項1に係る発明は、メカニカルシール用密封環において、回転軸1と一体回転する回転側の密封環Wと、ハウジング3に相対固定される静止側の密封環Wと、回転側及び静止側の各前記密封環Wの摺動面Waどうしを押付け合う弾性機構5とを有して成るメカニカルシールMにおける前記密封環W又は前記密封輪Wを所定の規格寸法に加工して成る環状体の外周面Wbから内周面Wcに向けての単位時間当りの液体の浸透漏れ量Fが、
0.01ml/24hr≦F≦500ml/1hr
で規定されるSiC摺動材製であることを特徴とするものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のメカニカルシール用密封環において、前記SiC摺動材の焼結密度が2.60g/cm3 〜3.00g/cm3 に設定されていることを特徴とするものである。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載のメカニカルシール用密封環において、強度が400Mpa以上であることを特徴とするものである。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載のメカニカルシール用密封環において、硬度が1600Hv以上であることを特徴とするものである。
請求項5に係る発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載のメカニカルシール用密封環において、前記密封環Wが回転密封環2であることを特徴とするものである。
請求項6に係る発明は、メカニカルシール用密封環の製造方法において、SiC粉末とメタノールとを混ぜる混合工程a、前記混合工程aによる混合液を噴霧乾燥させて造粒材を作成する造粒工程b、前記造粒工程bによる造粒材を型に入れてプレス成形することで環状の成形体を作成する成形工程c、前記成形工程cによる成形体を所定高温のアルゴン雰囲気中で焼成させて炭化珪素焼結体を作成する焼成工程d、とを有して成ることを特徴とするものである。
請求項7に係る発明は、請求項6に記載のメカニカルシール用密封環の製造方法において、前記焼成工程による炭化珪素焼結体の一端面を表面研磨する仕上げ工程eを有することを特徴とするものである。
請求項8に係る発明は、請求項6又は7に記載のメカニカルシール用密封環の製造方法において、前記焼成工程dにおける所定高温が1850℃〜2050℃であることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、詳しくは実施形態の項にて説明するが、SiC摺動材として十分な強度と硬度を有しながら、ある程度の液体圧をかけると液体がSiC摺動材の内部まで浸透する。従って、その液体浸透によって程よく濡れている状態が維持でき、摺動面を常に液体雰囲気とすることが可能になる。その結果、基本的にSiC摺動材を用いたものとしながら、摺動部に十分な潤滑液が回り込まない状況やドライ状況といった厳しい環境下においても、摩擦係数が高くなる不都合を抑制又は解消して、耐久性や信頼性に優れるメカニカルシール用密封環を提供することができる。尚、密封輪を所定の規格寸法に加工して成る環状体の浸透漏れ量も定義することにより、製品によって異なる寸法の密封輪の漏れ量も直接又は換算して規定できる便利さがある。
そして、請求項2のように、SiC摺動材の焼結密度を2.60g/cm3 〜3.00g/cm3 の範囲に設定したり、請求項3のように強度を400Mpa以上にするとか、請求項4のように硬度を1600Hv以上にすればさらに好都合である。また、請求項5のようにメカニカルシール用密封環として回転密封環を選択することができる。
請求項6の発明は、請求項1の発明によるメカニカルシール用密封環の製造方法を規定したものであり、請求項1の発明による効果と同等の効果を得ることができる。この場合、請求項7のように、炭化珪素焼結体の一端面を表面研磨する仕上げ工程を追加すれば、製品としての密封環までの一貫した作成が可能になる。
請求項8のように、焼成工程における焼成温度を1850℃〜2050℃の範囲とすれば、より好ましいメカニカルシール用密封環の製造方法が得られる。
試験用のメカニカルシールを示す要部の断面図 メカニカルシール用密封環の浸透性測定用の実験装置を示す断面図 図2の実験装置に試験液が満たされた状態の断面図 (a)複数の実施例及び比較例の各種特性図、(b)は各実施例の気孔率と自己浸透性との表を示す図 SiC摺動材の拡大表面状況を示し、(a)は実施例1、(b)は実施例4 SiC摺動材の拡大表面状況を示し、(a)は比較例1、(b)は比較例2、(c)は比較例4 メカニカルシール用密封環の製造方法を示すブロック図
以下に、本発明によるメカニカルシール用密封環とその製造方法の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
メカニカルシールMは、図1に示すように、回転軸1に対してその軸心X方向に移動可能な状態で外嵌されて一体回転する回転密封環2(密封環Wの一例)と、ハウジング3に相対回動不能に内嵌される静止密封環4と、回転密封環2を静止密封環4(W)に押付けてシール部Sを形成するための弾性機構5とを有して構成されている。つまり、このメカニカルシールMは、内側ハウジング部3Aと回転軸1との間を含むプロセス側Pと、外側ハウジング部3Bと回転軸1との間を含む大気側Tとをシールする試験用のものであり、プロセス液(シール対象液)としては、プラント設備等における水(工業用水、水道水)、薬液、原油関係液、洗浄液等である。
回転軸1のプロセス側には、軸ビス9で軸外周1aに押圧係止される固定支持輪13が外装され、その大気側には作用輪7が軸心X方向に移動可能に遊外嵌されており、軸心X方向に沿う姿勢でそれら固定支持輪13と作用輪7とに亘って介装されるコイルばね8を軸心X回りの均等角度毎に配置することで弾性機構5が構成されている。そして、回転密封環2は、回転軸1に軸心X方向移動可能に外嵌される保持輪6の先端側に圧入保持されており、保持輪6は、その基端軸部6aが作用輪7の貫通孔7aに挿入されてその作用輪7と一体回転するように構成されている。保持輪6と回転軸1との間にはシール用のOリング12が介装されている。従って、コイルばね8の付勢力が作用輪7と保持輪6とを介して回転密封環2に作用する。
外側ハウジング部3Bには、2個のOリング10,11を介して静止密封環が、軸心X方向で大気側Tへの移動、及び軸心X回りの回動ができないように、かつ、回転軸1には遊外嵌される状態で内嵌されている。回転密封環2は弾性機構5によって大気側Tに押圧付勢されており、従ってその大気側となるシール側周面2a(摺動面Waの一例)と静止密封環4の先端周面4aとが軸心X方向で互いに圧接され、それによって環状のシール部Sが形成されている。尚、静止密封環4はカーボンによって形成されている。
回転密封環2は自己浸透性を有するSiC摺動材製で形成されている。SiC摺動材の材料であるSiCは通常の焼結体であり、焼結温度や成形面圧等で低密度化を実現させ、かつ、自己潤滑材は配合していないので、低密度でもメカニカルシールMに必要となる性能を満足する硬度や強度を有している。このSiC摺動材(メカニカルシール用摺動材)の製造方法は、図7に示すように、SiC粉末とメタノールとを混ぜる混合工程a、混合工程aによる混合液を噴霧乾燥させて造粒材を作成する造粒工程b、造粒工程bによる造粒材を型に入れてプレス成形することで環状の成形体を作成する成形工程c、成形工程cによる成形体を所定高温のアルゴン雰囲気中で焼成させて炭化珪素焼結体を作成する焼成工程d、とを有して成る。
前記メカニカルシール用摺動材の製造方法によって得られた炭化珪素焼結体、即ち焼成工程dによる炭化珪素焼結体の一端面(一方の側周面)又は両端面を表面研磨してシール用の密封環を作成する仕上げ工程eを経ることにより、前述の回転密封環2が作成される。つまり、図7に示すように、メカニカルシール用摺動材の製造方法に、焼成工程による炭化珪素焼結体の一端面を表面研磨する仕上げ工程eを追加することにより、メカニカルシール用回転密封環の製造方法として定義される。尚、メカニカルシール用回転密封環の製造方法は、メカニカルシール用摺動材の製造方法を包括する概念であり、従って、焼成工程dまでを規定したもの(請求項5)もメカニカルシール用回転密封環の製造方法である。
メカニカルシール用回転密封環2の製造方法について詳述する。まず、混合工程aは、粒子径約1.0μmのα−SiC粉末或いはβ−SiC粉末100gに、焼結助材としてのB4C粉末0.5g及びカーボン源としてのフェノール樹脂4gを添加し、さらに成形助材としてPEG(ポリエチレングリコール)29g及びステアリン酸1gを添加して、これらを溶剤であるメタノールと共にボールミルで24時間混合する、という工程である。
造粒工程bは、混合工程aで得られた混合液(流動性懸濁液)を、スプレードライヤーにより噴霧乾燥させることによって造粒し、径30〜100μmの球形状の造粒材を得る、という工程である。成形工程cは、造粒工程bで得られた硬質の造粒材を所定の金型に充填してから、冷間プレス成形(成形圧:100MPa)を行って環状形態を為す成形体を得る、という工程である。
焼成工程dは、成形工程cで得られた成形体を、加圧することなく1850〜2050℃のアルゴン雰囲気中で焼成させて炭化珪素焼結体を得る、という工程であり、この焼成工程dを経て作成される環状のものがメカニカルシール用摺動材である。そして、仕上げ工程eは、焼成工程dで得られた炭化珪素焼結体の一端面をRa=0.05〜0.25の鏡面に表面研磨(ラップ)する等により密封環を得る、という工程である。ここで言う「密封環」とは回転密封環としても、又静止密封環としても使用可能な環のことであり、本実施形態においてはその密封環を「回転密封環2」として使用している。尚、回転密封環2の鏡面部分は、これを回転密封環(回転密封環2)として使用した場合におけるシール側周面2a(密封端面)として機能する。
上記製造方法によって得られる密封環、即ち実施例1〜実施例4の密封環の密度、気孔率、曲げ強度、硬度等の各種特性表を図4に示す。密度は水置換法により計測し、炭化珪素(SiC)の理論密度を3.2g/cm3 として気孔率を計算してある。一例として実施例1の気孔率K1は、K1=1−(摺動材の測定密度)/(理論密度)=(1−2.605/3.2)×100=18.6(%)である。尚、図4の特性表に示すように、上記諸条件の範囲外である比較例1〜比較例4の密封環も作成し、その特性を確認してある。
そして、本発明による密封環、即ち回転密封環2と、カーボン製の静止密封環4とを組み込んだメカニカルシール(図1に示すメカニカルシールM)を使用して工業用水によるシール試験を行い、密封環の性能及びシール性能を確認した。また、回転密封環2として使用する密封環の自己浸透性を測定するために、図2に示すような実験装置Aを作成し、その実験装置Aによる測定値も、図4に示す特性表に記載することとした。
図1に示すメカニカルシールMを用いての摺動テストの条件は、回転密封環2と静止密封環4とによるシール部Sの径=40mm(アンバランス型)、回転速度=3600回転/分、フラッシング流量=3リットル/分、試験用液体=工業用水、運転時間=100時間、液体温度=30℃、圧力=2.5MPaである。尚、摺動テスト結果(図4の「摺動特性」※)における◎、○、△、×の意味は下記のようである。
◎:回転密封環2及び静止密封環4共に摩耗が検出できず
○:単位時間当たりの摩耗量が、回転密封環2が0.01μm/hr以下、かつ、静止密 封輪4が0.1μm/hr以下
△:単位時間当たりの摩耗量が、回転密封環2が0.01μm/hr以下、かつ、静止密 封輪4が0.1μm/hr以上
×:回転密封環2の単位時間当たりの摩耗量が0.01μm/hr以上
次に、自己浸透性の実験装置Aについて説明する。図2,図3に示すように、実験装置Aは、略ドーナツ状の回転密封環2(密封環)が装填される円形凹入部23を有する実験ケース本体21と、円形凹入部23に内嵌されてその上面をカバーする状態で実験ケース本体21の上面に複数のボルト24で固定される蓋ケース22と、から成る実験器20を有して構成されている。実験ケース本体21には、円形凹入部23に装填されている回転密封環2の外周面2bのほぼ全面に開口する環状凹入部25、及び環状凹入部25に連通する入口路26が形成されている。蓋ケース22の中央部には、漏れ出た液体を測定するための円形の大径口22Aが形成されている。尚、27、28はOリングである。
実験装置Aによる回転密封環2の実験方法は、円形凹入部23に回転密封環2を配置して蓋ケース22で蓋をした実験状態(図2参照)において、実験ケース本体21の側面21Aに開口する入口路26から正圧を有する試験液rを供給し、図3に示すように環状凹入部25に満たす。その実験液eで環状凹入部25が満たされている状態を所定時間維持し、回転密封環2の内周面2cから漏れ出た試験液rの量を測定するのである。尚、実験条件の一例は、試験液rとして、温度30℃で2.5MPaの圧が掛けられた工業用水であり、回転密封環2のサイズ例は、外径×内径×厚さがφ54×φ40×6(単位:mm)である。
図4の特性表における「自己浸透性」は、目視で漏れが確認できたとき(図3参照)から計測し始めた(回転密封環2の内周面2cから滲み出てきた液体を測定する)。また、「自己浸透性」における×とは、「24hr(時間)計測しても目視で漏れが確認できなかったこと」を意味している。図4(a)は、焼成温度を1800℃〜2200℃超の範囲で種々に変更設定した場合の各種特性を示し、図4(b)は、図4(a)における摺動特性が合格(評価が○と◎)である実施例1〜4について、気孔率と浸透漏れ量(自己浸透性)とを計測したものである。
比較例1のものは、自己浸透性はあったが、焼結密度が低いためか強度、硬度が低く、また摩耗量も多く(摺動特性は×)、メカニカルシールとしての特性は不十分である。比較例2〜4のものは、強度や硬度はあり、また摺動特性の評価が○のもの(比較例2)もあったが、いずれも自己浸透性が無かったため摺動面の面荒れが発生し、摩耗も認められた。比較例3のものは、従来の高密度化SiC製であり、SiC摺動材(メカニカルシール用密封環)として一般的に使用されているものである。試験用のメカニカルシールMはその従来品に関する選定基準をはるかに超える負荷条件であるが故に、比較例3のものには摩耗、面荒れが発生し、当然ながら不合格である。
実験結果による図4(a)の特性表から、SiC摺動材製のメカニカルシール用密封環は、焼成温度が1850℃〜2050℃で、焼結密度が2.6g/cm3 〜3.0g/cm3 で、強度が400MPa以上、硬度が1600hrv以上のSiC焼結体であることが分かる。そして、その場合のSiC焼結体においては、外周面Wbから内周面Wcに向けての単位時間当りの液体の浸透漏れ量Fは0.01ml/24hr≦F≦500ml/1hrの範囲である。このようなメカニカルシール用密封環では、図1に示すメカニカルシールMにおける前述の過負荷条件においても良好なメカニカルシール機能が発揮される。尚、参考として、実施例1〜4のSiC摺動材における気孔率と浸透漏れ量(自己浸透性)を図4(b)に示す。また、実施例1,4、及び比較例1,2,4の各SiC摺動材の表面状況写真を図5(a),(b)及び図6(a),(b),(c)に示す。
ところで、前記浸透漏れ量Fが規定の範囲(0.01ml/24hr≦F≦500ml/1hr)であることの確認を実験装置Aで行うに当り、メカニカルシール用密封環そのものでは不可のときがある。即ち、メカニカルシールが異なれば回転及び静止の各密封環の寸法(サイズ)も種々に異なることが多いので、実験装置Aの寸法に合わないことがあるからである。そのような場合には、密封環を所定の規格寸法に加工(切削等)して環状体(図示省略)を作成し、その規格寸法に加工された環状体を用いることで実験装置Aによる漏れ量測定が可能になる。規格寸法の例としては、前述の「外径×内径×厚さがφ54×φ40×6(単位:mm)」が挙げられるが、その他でも良い。尚、所定の規格寸法より密封環が小さい場合には、計算によって規格寸法に合せた換算値でも良い。
本発明による自己浸透性を有するSiC摺動材製のメカニカルシール用密封環は、数μmの不連続気孔及び連続気孔を有しており、十分な強度と硬度を有しながら、ある程度の液体圧をかけると液体が摺動材内部まで浸透する。故に、浸透によって程よく濡れている状態が維持できることから、摺動面は常に液体雰囲気になり、メカニカルシールや軸受け等の起動時に発生するドライ状況が改善され、円滑に起動することが可能になる。また、運転中においても液体が摺動面に常に内部から送り出されているので、安定した液体膜が形成され続けてシール特性を良好に保つことができる。そして、浸透した液体が大気側で溜まることでクエンチ効果が得られるという利点もある。
〔別実施例〕
静止密封環4をSiC摺動材製のもの(密封環Wの一例)としても良い。この場合、摺動面4aがWaに、そして、静止密封環4の符記されない外周面が外周面Wbに、また、静止密封環4の符記されない内周面が内周面Wcにそれぞれ相当する。
1 回転軸
2 回転密封環(密封環W)
3 ハウジング
4 静止密封環(密封環W)
5 弾性機構
M メカニカルシール
W 密封環
Wa 摺動面
Wb 外周面
Wc 内周面
a 混合工程
b 造粒工程
c 成形工程
d 焼成工程
e 仕上げ工程

Claims (8)

  1. 回転軸と一体回転する回転側の密封環と、ハウジングに相対固定される静止側の密封環と、回転側及び静止側の各前記密封環の摺動面どうしを押付け合う弾性手段とを有して成るメカニカルシールにおける前記密封環又は前記密封輪を所定の規格寸法に加工して成る環状体の外周面から内周面に向けての単位時間当りの液体の浸透漏れ量Fが、
    0.01ml/24hr≦F≦500ml/1hr
    で規定されるSiC摺動材製のメカニカルシール用密封環。
  2. 前記SiC摺動材の焼結密度が2.60g/cm3 〜3.00g/cm3 に設定されている請求項1に記載のメカニカルシール用密封環。
  3. 強度が400Mpa以上である請求項1又は2に記載のメカニカルシール用密封環。
  4. 硬度が1600Hv以上である請求項1〜3の何れか一項に記載のメカニカルシール用密封環。
  5. 前記密封環が回転密封環である請求項1〜4の何れか一項に記載のメカニカルシール用密封環。
  6. SiC粉末とメタノールとを混ぜる混合工程、前記混合工程による混合液を噴霧乾燥させて造粒材を作成する造粒工程、前記造粒工程による造粒材を型に入れてプレス成形することで環状の成形体を作成する成形工程、前記成形工程による成形体を所定高温のアルゴン雰囲気中で焼成させて炭化珪素焼結体を作成する焼成工程、とを有して成るメカニカルシール用密封環の製造方法。
  7. 前記焼成工程による炭化珪素焼結体の一端面を表面研磨する仕上げ工程を有する請求項6に記載のメカニカルシール用密封環の製造方法。
  8. 前記焼成工程における所定高温が1850℃〜2050℃である請求項6又は7に記載のメカニカルシール用密封環の製造方法。
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