JP2003042305A - 摺動部品並びにそれを用いたメカニカルシール及びその製造方法 - Google Patents

摺動部品並びにそれを用いたメカニカルシール及びその製造方法

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JP2003042305A
JP2003042305A JP2001231315A JP2001231315A JP2003042305A JP 2003042305 A JP2003042305 A JP 2003042305A JP 2001231315 A JP2001231315 A JP 2001231315A JP 2001231315 A JP2001231315 A JP 2001231315A JP 2003042305 A JP2003042305 A JP 2003042305A
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carbon
silicon carbide
pores
ring
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Noriaki Takigahira
宜昭 瀧ヶ平
Masami Miyazawa
正己 宮沢
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摺動部品の摺動面の摺動抵抗を低減すること
にある。又、摺動面の偏摩耗を防止することにある。更
に、安定した品質と安価に製造することにある。 【解決手段】 平均粒径が0.001から0.080m
mの大きさで且つ気孔を有するカーボン粉末を3から3
0Vol%含有し、残部が炭化珪素と焼結助剤を含有す
る焼結体の摺動面に点在するカーボンが凹部に形成され
ているものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭化珪素とカーボ
ンの複合材の摺動部品並びにそれを用いたメカニカルシ
ール及びその部品の製造方法に関する。更に詳しくは、
炭化珪素の摺動面に気孔を有するカーボンが点在し、こ
のカーボンが凹部に形成されて高圧、高負荷条件であっ
ても低摩擦能力を有すると共に、シール能力に優れた摺
動部品と、その摺動部品を設けたメカニカルシールと、
摺動部品を造る製造方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明の炭化珪素の摺動部品に関する先
行技術として、特公平5−69066号公報(対応する
米国特許第5,080,378号明細書も存在する)が
存在する。この米国特許明細書及び図面には、図4に示
すメカニカルシールが開示されている。
【0003】図4はポンプ及び冷凍機などに用いられて
いるメカニカルシール100の半断面図である。図4に
於いて、回転軸130とケーシング140との間にはメ
カニカルシール100が配置されている。そして、この
メカニカルシール100は、ポンプ又は冷凍機などに用
いられて温水などの液体をシールするものである。
【0004】メカニカルシール100は、多孔質の炭化
珪素焼結製のシールリング101が回転軸130に嵌合
している。この回転環101には、側面にシール面10
2が設けられている。更に、回転環101における内径
面の段部103に設けられたパッキング120A、12
0Bは、押えリング105により押さえられて回転軸1
30と回転環101との間をシールする。更に、ソケッ
トねじ108により回転軸130に固定された支持リン
グ109は、ばね装置106を支持すると共に、ばね装
置106を介して押さえリング105を弾発に支持して
いる。
【0005】又、シール面102と密接摺動する対向シ
ール面111が設けられている固定リング110は、ケ
ーシング140に於ける回転軸130が貫通する孔に、
Oリング115、115を介して、固着されている。こ
の固定リング110の材質はカーボンである。
【0006】この様に構成されたメカニカルシール10
0は、シールリング101と固定リング110との密接
摺動により高圧P1側と低圧P2側とをシールする。こ
のとき圧力状態は、高圧P1−低圧P2=差圧P3との
関係式が成り立つ。そして、この差圧P3がシールリン
グ101の背面積aに背圧として作用する。一方、シー
ルリング101のシール面102には、対向シール面1
11の外周に当たるシール面102の内の正面積bにも
P3の圧力が作用する。その結果、シールリング101
には、差圧P3が背面積a−正面積bの面積に作用す
る。このために、高圧P1が高くなれば、益々シール面
102と対向シール面111との密接摺動面は圧接され
る。そして、摺動につれて密接摺動面は摩耗することに
なる。
【0007】更に、固定リング110は、カーボン材で
構成されているから、シールリング101よりヤング率
が小さく、差圧P3の圧力を受けて密接摺動面が圧接さ
れると摩耗を早めることになる。同時に、固定リング1
10は差圧P3の圧力を受けて内周側に変形する。そし
て変形に起因して密接摺動面に偏摩耗が発生し、次第に
シール能力が低下する。又、固定リング110の密接摺
動面は、この背圧力に伴う摩擦熱により火膨れ状のカー
ボンブリスタが惹起する。その結果、密接摺動面は偏摩
耗やブリスタにより、密接摺動面の平坦度が損なわれる
と共に、損傷が惹起するから、急速にシール能力が悪化
する。
【0008】又、密接摺動面に気孔を有するこのシール
リング101は、球状をした平均気孔径が0.010か
ら0.040mmの独立気孔が点在しており、この気孔
の成形は、粉末成形体に配合されているポリスチレンビ
ーズを仮焼結により分解・昇華させるものである。この
様にして形成された気孔は、内部を含めて全体に存在す
るので、固定リング110の強度に問題が生じてくる。
更には被密封流体の新党の問題も存在する。又、シール
リング101の気孔は油だめ用であり、潤滑油を必要と
する。このために高温高圧で使用するには潤滑油が気孔
から逃げ出すので問題が生じてくる。
【0009】次に、この従来の炭化珪素焼結体としての
摺動特性の改善は、焼結前にポリスチレンビーズを添加
し、仮焼結時に分解・昇華して気孔を形成するものであ
るから、ポリスチレンビーズの変形があるため高圧圧縮
成形が困難であり、成形した寸法精度に問題が惹起す
る。又、この気孔径と気孔率は、炭化珪素焼結体自身の
機能向上としての特性に基づく数字から形成されたもの
ではない。この気孔径0.010〜0.040mmの限
定は、0.010mmの下限が、摺動時に於いて気孔内
に浸透している潤滑液が外表面に短時間にはみ出す目安
であり、0.040mmの上限が、貫通気孔により漏洩
をなくす範囲から決められたものである。更に、相手の
摺動密封環がカーボンの場合には、弱いカーボンを炭化
珪素焼結体の気孔径により急速に摩耗されない範囲から
決められたものであり、その根拠が炭化珪素の配合粉末
の大きさや、材質とはあまり関係しない技術である。従
って、摺動部品特有の炭化珪素の配合割合から生起する
機能とか、焼結温度によってもたらされるとかの技術的
根拠から決められたものではないから、この気孔によっ
て過酷な使用条件に成ると異常発熱、焼き付き、カジ
リ、損傷等の問題が生じてくる。
【0010】又、気孔率についても、油溜まりとしての
作用が生起すると思われる程度の大きさであって、しか
も、連続気孔になっていない独立気孔として存在する範
囲であることが必要であるとして、この数字が決められ
ている。つまり、気孔率が3vol%未満では、油溜ま
りの潤滑効果が見られないとしており、又気孔率が13
%を越えると強度の大幅な低下を来すと共に、液漏れの
原因となる連続気孔に形成される可能性が強いとするも
のである。しかし、混合の精度、ポリスチレンビーズに
ポリスチレンビーズより硬質の炭化珪素を配合した混合
物を高圧で粉末成形するものであるから、気孔率の範囲
を設定通りに形成することは、実際問題として困難であ
る。このために単なる気孔率から初期の目的を達成する
方法は、シール能力等の点からも困難である。
【0011】更に、製法に於いても、多孔質の炭化珪素
としての気孔の形成は、粒子径が0.020mmのポリ
スチレンビーズを添加し、このポリスチレンビーズによ
り焼結中に気孔を形成するものである。このポリスチレ
ンビーズは粒子径が0.020mmと大きいのに対し、
母材の炭化珪素粒子は0.00045mmと小さい。そ
して、ポリスチレンビーズを仮焼結して気孔を形成する
方法では、このポリスチレンビーズの粒子径は大きいか
ら、微細な炭化珪素の粉末との配合による粉末成形して
ポリスチレンビーズにより気孔をある範囲内に分散形成
することは困難を伴う。又、この成型方法では、気孔率
を大きくすればするほど連続気孔が形成されることにな
るので、被密封流体の浸透に繋がる。更に、この気孔の
成型方法は、炭化珪素焼結体の強度を低下させることに
る。
【0012】尚、この先行技術の実施例に於けるメカ鳴
き防止についても気孔径及び気孔率の上述の数値限定
は、球状に形成されて油溜まりの役目をさせる技術的目
安を表すものであり、潤滑油がシール面に介在しないと
気孔のみでは「メカ鳴き」を防止する効果が発揮できな
いことを実験結果が示しているものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、先行
技術に於いては、炭化珪素焼結体の気孔の発明としての
数字限定は、摺動時の摩耗を気孔に含油させた潤滑油が
摺動時の摩擦熱で容易に滲み出て油膜を形成する径以上
であり、液が短時間で流失しない油溜まりとして継続的
に作用し、相手摺動材の摩耗、いわゆる、下ろし金の現
象を引き起こさない範囲の気孔径であり、それが0.0
10から0.040mmとするものである。更に、気孔
率は、油溜まりとしての作用が認められる程度に大き
く、連続気孔になっていない独立気孔として存在する範
囲内であることが必要とし、3から13vol%と限定
するものである。つまり、油だめとしての気孔の大きさ
と個数としての気孔率を限定するものである。この様な
数字限定は、本質的には、確率的に炭化珪素焼結体とし
て油による潤滑効果を如何に長く保持させるかを目的と
するものであって、炭化珪素焼結部品自身の技術とし
て、長期に渡り機能を維持させることは困難である。
【0014】更に、炭化珪素焼結体の気孔は、炭化珪素
の粉末にポリスチレンビーズを添加し、それを焼結時に
昇華させて形成させるものである。そして、その気孔に
潤滑剤を付着させて潤滑効果を発揮させるものであるか
ら、固定環又は回転環の密封環に背圧が作用して密封面
が圧接される摺動状態、更には高圧が密封環に作用して
摺動面が発熱し、潤滑油が早期に消滅する状態では、摺
動材料として長期に渡り耐熱性、耐摩耗性の向上を期待
することは困難である。
【0015】本発明は上述のような問題点に鑑み成され
たものであって、発明が解決しようとする課題は、ドラ
イ雰囲気中に於いても炭化珪素の摺動部品の摩擦係数を
小さくして耐摩耗性を向上させることにある。同時に、
炭化珪素材製の摺動部品の摺動面に配合した粒子の脱落
を防止して摺動面の強度を維持させることにある。更
に、メカニカルシールの回転用及び固定用密封環として
偏摩耗を防止すると共に、摺動面に於ける異常発熱、焼
き付き、カジリによる損傷を防止することにある。更
に、その炭化珪素の摺動部品の製造方法をシール能力の
向上と安定した品質と低コストで得ることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述のような
技術的課題を解決するために成されたものであって、そ
の解決するための手段は、以下のように構成されてい
る。
【0017】請求項1に係わる本発明の炭化珪素の摺動
部品は、平均粒径が0.001から0.080mmの大
きさで且つ気孔を有するカーボン粉末を3から30Vo
l%を含有し、残部が炭化珪素と焼結助剤を含有する焼
結体の摺動面に点在するカーボンが凹部に形成されてい
るものである。
【0018】請求項1に係わる本発明の炭化珪素の摺動
部品では、炭化珪素の結晶組織の中にカーボン粒子径が
0.001から0.080mmの大きさで点在するもので
ある。そして、密封摺動面は、密封接触する目的のもと
に平坦に仕上げなければならないから、研磨又はラップ
仕上げされる。一方、カーボンより炭化珪素は硬質であ
るから、この仕上げ加工中に柔らかい方のカーボンは削
り取られて微細な凹部が密封摺動面に点在するごとく形
成される。そして、カーボンが凹んだ凹部に潤滑油が介
在して摺動中に摺動面の潤滑作用をする。更に、密封摺
動面に被密封流体による潤滑作用がない場合でも、摺動
中にカーボンの気孔に含浸された液体、又は含浸された
潤滑油が吹き出るような状態でカーボンの凹部に介在し
て摺動中に摺動面の潤滑作用をする。その結果、摺動面
の摩擦係数を小さくして摺動抵抗を低減させるととも
に、摩耗を低減する。
【0019】又、ドライ雰囲気中で潤滑剤又は液体の被
密封流体が介在されない場合でも、カーボンの気孔等に
含浸された潤滑油が摺動中に摺動面にカーボン粉末と共
に介在するから、摺動面の摩擦係数を小さくすることが
可能になる。そして、摺動面の摺動抵抗を低減すること
ができる。更に、摺動部品の内部は、カーボンの外周面
と炭化珪素が反応してカーボンは一体の組織構造として
結合しているから強度が向上する。又、摺動部品の内部
には、気孔が存在しないから、被密封流体が気孔を通し
て浸透漏洩し、シール能力が低下するのを防止する。
【0020】請求項2に係わる本発明の炭化珪素の摺動
部品は、カーボン粉末が人造黒鉛又は炭素黒鉛で硬度が
HsD50から80のものを含有するものである。
【0021】請求項2に係わる本発明の炭化珪素の摺動
部品では、密封摺動面に点在する人造黒鉛又は炭素黒鉛
粉末は、硬度が高く、しかもその粉末自体に気孔が存在
する。このため、密封摺動面を研磨加工しても微少な深
さの凹部が形成されると共に、カーボンが摺動時に外力
を受けても脱落して凹部の深さが大きくなることもな
い。その結果、この凹部に潤滑剤を前もって介在させる
ことが可能であると共に、カーボンの気孔に潤滑油を介
在させることが可能になる。このため、密封摺動面の摩
擦係数を小さく保持して摺動抵抗を低減することが可能
になる。
【0022】請求項3に係わる本発明のメカニカルシー
ルは、微細な気孔を有して平均粒径が0.001から
0.080mmの大きさのカーボンの粉末を3から30
Vol%を含有し、残部が炭化珪素と焼結助剤を含有す
る前記摺動部品が固定用密封環又は/及び回転用密封環
として有するものである。
【0023】請求項3に係わる本発明のメカニカルシー
ルでは、3から30Vol%のカーボンを含有する主体
が炭化珪素の結晶体であるから、ヤング率が大きく硬質
摺動部品である。このために摺動部品は、被密封流体の
圧力を受けても簡単には変形することがなく、回転用密
封環と固定用密封環とはほぼ同一の強度を有して互いの
対面する密封摺動面は密接するから偏摩耗するのが防止
される。
【0024】又、固定用密封環と回転用密封環との密封
摺動面に於ける気孔には、液体の被密封流体が介在して
摺動抵抗を低減する。更に、ドライ雰囲気中で、液体の
被密封流体が介在しない場合でも、摺動面に点在するカ
ーボンに含浸された潤滑油が、カーボンと共に密封摺動
面に介在して摩擦係数を小さくするから、密封摺動面を
摩耗させるのが防止される。一方に炭化珪素の密封環を
配置しても、他方に本発明の摺動部品が配置されている
から、他方の潤滑作用によりメカ鳴きが防止される。そ
して、炭化珪素と、カーボンとの結晶体である密封環
は、両者が強く結合して強度を有し、且つ内部に気孔も
存在しないから被密封流体が密封環を透過して漏洩する
のも防止される。
【0025】請求項4に係わる本発明のメカニカルシー
ルは、前記摺動部品が前記固定用密封環又は前記回転用
密封環として用いられて密封接触面の面積を他方の対向
密封接触面の面積よりも小さく形成されていると共に前
記密封接触面を対向密封接触面へ突出させた凸部の先端
面に有するものである。
【0026】請求項4に係わる本発明のメカニカルシー
ルでは、一方の密封環に凸部を設けてその先端面に密封
接触面が設けられているから、密封接触面の面積との関
係から密封接触面は面圧を受けても被密封流体が介在す
ることができるので、摺動抵抗を低減する。しかも、こ
の凸部は主体が炭化珪素であるから、強度を有して被密
封流体の圧力を受けても曲げられることもないので、偏
摩耗を惹起することも防止される。しかも、凸部は被密
封流体に接して冷却され、更に接触面積も小さいから、
密封接触面の摩擦熱も小さく、摩耗による損傷や、ブリ
スタの惹起が防止される。
【0027】請求項5に係わる本発明の炭化珪素の摺動
部品の製造方法は、ショア硬度HsDが50から80の
人造黒鉛又は炭素黒鉛を粉砕して平均粒径が0.001
から0.080mmの大きさのカーボン粉末を3から3
0Vol%と、残部の炭化珪素粉末と焼結助剤を添加し
て造粒粉を形成し、この造粒粉を成形型内で加圧成形
し、この成形体を焼結し、次いでこの焼結体を研磨加工
して密封接触面を得るものである。
【0028】請求項5に係わる本発明の焼結による摺動
部品の製造方法では、ショア硬度HsD50から80の
人造黒鉛又は炭素黒鉛を粉砕して平均粒径が0.001
から0.080mmのカーボン粒子を3から30Volに
対し残部が炭化珪素と焼結助剤とを配合し、この混合物
を成形体にした後に焼結し、この焼結体を研磨して密封
接触面を得るものである。この様にして得られた摺動部
品は、研磨されたとき、密封摺動面に点在するカーボン
が炭化珪素に比較して柔らかいために0.0001から
0.0005mmの深さに削り取られて凹部に形成され
る。そして、摺動中にこの凹部に被密封流体が保持され
るので、凹部からこの被密封流体が摺動面に供給されて
潤滑作用を発揮することが可能になる。
【0029】又、摺動面のカーボンに形成された各凹部
に存在する潤滑油や被密封流体の液体は、気孔を有する
カーボンに染み込むので、摺動中長期に渡り摺動面にこ
の液体を供給して潤滑機能を発揮する。しかも、ここで
使用されるカーボンは一般のカーボンに比較して強度を
有するから、凹部の深さも深くは成らず、潤滑油等がカ
ーボンの気孔に含浸して摺動面の濡れ性を発揮し、摩擦
係数を低減する。更に、カーボンの外周面は炭化珪素の
一部と反応して炭化珪素になるから両者の結合力を高め
て強度が向上すると共に、被密封流体が摺動部品を浸透
して漏洩するのも防止される。
【0030】更に、摺動面に気孔を形成するのに困難性
が伴わないから、製造コストを低減できると共に、製造
工程に複雑な精度を必要としないから、品質も安定した
ものが得られる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の炭化
珪素の摺動部品並びにそれを用いたメカニカルシール及
びその製造方法について詳述する。
【0032】本発明の炭化珪素の摺動部品は、粒子平均
径が0.001から0.080mm、好ましくは0.0
03から0.060mmの大きさのカーボン粉末を配合す
るもので、その配合量は、3から30Vol%、好まし
くは5から15vol%である。又、粒子平均径が0.
00015から0.0020mm、好ましくは0.00
02から0.0010の大きさの炭化珪素微粉末と適度
の焼結助剤とを混合したものを70から97Vol%、
好ましくは85から95%の配合割合で配合する。これ
らの各粉末は均一になるように分散された状態に混合さ
れている。この内、カーボンは人造黒鉛又は炭素黒鉛の
粉砕粉であって、その粉砕前の硬度はショア硬度HsD
50から80の範囲のものである。
【0033】この炭化珪素粉末100重量部に対し、焼
結助剤として炭化硼素粉末を0.2から0.5重量部
と、カーボンブラック粉末を0.8から2.5重量部を
配合する。更に、結合材として、ポリビニルアルコール
を2から4重量部を添加する。
【0034】これらの配合した粉末に水を加えて35%
から45%の濃度、好ましくは40%前後の濃度のスラ
リーを造り、ボールミルの中で約10時間撹拌混合した
後に、スプレードライヤにより平均粒径0.070から
0.090mm、このましくは0.080mm前後の造
粒粉を得る。この造粒粉を成形型に充填して成形プレス
により110から180MPa、好ましくは120MP
a前後の圧力でプレス成形する。
【0035】この成形体を不活性雰囲気中、例えばアル
ゴンガス(この他、N などが利用できる )で約21
00°Cの温度で約2時間に渡り焼結する。この様にし
て得られた炭化珪素の摺動部品は、摺動面を研削加工、
又はバフ仕上げ等の仕上げ加工が成される。更に、取付
箇所に応じて他の面を機械加工する。そして、摺動面に
は、ほぼ球状又は楕円状をしたカーボンが点在してお
り、このカーボン面は仕上げ加工されたときに炭化珪素
の結晶組織に対してカーボン組織は軟質であるから、そ
の硬度の差により仕上げ加工されたときにカーボン部分
がより多く削り取られるから、凹部に形成される。その
凹部の深さは、0.0001から0.0005mmにな
る。
【0036】この炭化珪素との複合材となるカーボン粉
末は、天然黒鉛などに比較して硬質なものを使用する。
カーボン粉末を硬質にすると、摺動面に形成される凹部
の深さが0.0001から0.0005mmのように浅く
構成することができる。天然黒鉛のような柔らかいカー
ボン材を使用するとカーボンの凹部底や粒界が欠けやす
くなり、従来例のように単に油だめと同一機能になり、
長期に渡り摺動抵抗を小さく保持することが困難にな
る。
【0037】又、カーボンの配合割合は上述したが、こ
の配合割合の内、下限の3vol%より少なくすると摩
擦係数を小さくする効果が期待できない。又、上限の3
0vol%より大きくすると摺動部品の強度が低下し、
損傷に繋がることが認められる。
【0038】人造黒鉛又は炭素黒鉛の製造方法は、実施
例aとして、コークス、カーボンブラック、人造黒鉛、
及び天然黒鉛等の骨材とコールタールピッチ、合成樹脂
等の結合材を用いて造られた成形体を800から280
0℃の温度範囲で焼成して焼成体に形成し、この焼成体
を粉砕してカーボン粉末に形成する。この焼成体には微
細な気孔が形成されているから、カーボン粉末にも多数
の気孔が形成されている。
【0039】実施例bは、ピッチコークス又は石油コー
クスを600から2800℃の温度範囲で焼成して焼成
体に形成する。この焼成体を粉砕してカーボン粉末に形
成する。この焼成体にも微細な気孔が形成されている。
【0040】実施例cは、合成樹脂を加熱処理し、60
0から2000℃の温度範囲で焼成し、この焼成体を粉
砕してカーボン粉末を形成する。この焼成体にも微細な
気孔が形成されている。
【0041】実施例dは、ピッチより造られたメソフェ
ース及びバルクメソフェースを600から2800℃の
温度範囲で焼成して焼成体を得、この焼成体を粉砕して
カーボン粉末を形成する。この焼成体には微細な気孔が
形成されている。
【0042】図2は、本発明に係わる摺動部品の摺動面
の拡大写真である。この図1に於いて、白く見える全面
は炭化珪素の結晶面Bである。この炭化珪素の結晶面B
に点在する黒い斑点はカーボン結晶体Aである。このほ
ぼ円形状をしたカーボン結晶体Aは、0.0001から
0.0005mmに凹んだ深さの凹部Cに形成されてい
る。そして、カーボン結晶体には多数の気孔が形成され
ており、潤滑液体が含浸するように構成されている。こ
のカーボンの硬度はショア硬度でHsB50から80の
範囲で摺動中に破損しない強度を有する。つまり、凹部
Cの形状は摺動中に破損されない硬度に構成されてい
る。
【0043】次に、本発明に係わる実施の形態のメカニ
カルシール1を図面に基づいて詳述する。図1は、本発
明の炭化珪素の摺動部品を固定用密封環2として取り付
けたメカニカルシール1の断面図である。
【0044】図1は、ハウジング40と回転軸50との
間の中空部45に本発明に係わるメカニカルシール1を
装着した断面図である。図1に於いて、1はメカニカル
シールである。メカニカルシール1のシール部は、固定
用密封環2と、回転用密封環12から構成されている。
この両密封環2,12は、図示形状で回転用と固定用と
が逆に取り付けられることも可能である。このメカニカ
ルシール1を構成する一方の固定用密封環2は、本発明
に係わる摺動部品により構成されている。又、回転用密
封環12は、炭化珪素の摺動材により構成されている
が、この回転用密封環12を本発明の炭化珪素の摺動部
品と同材質にすることもできる。更に、必要に応じてカ
ーボン材製とすることもできる。
【0045】この固定用密封環2は、回転軸50に嵌合
する内周面6が設けられていると共に、先端にシール面
4を設けた凸部3が形成されている。そして、この固定
用密封環2には、ハウジング40の取付段部41に嵌着
状態に取り付けられる嵌着面5が設けられている。更
に、固定用密封環2には、取付段部41に設けられた支
持面42に当接してシール面4を支持する背面7が設け
られている。そして、このシール面4が対向シール面1
4に密接するように接面されている。又、ハウジング4
0の取付段部41には、Oリング用溝44が設けられて
いると共に、このOリング用溝44に第1Oリング10
を取り付けて両者嵌合間をシールしている。
【0046】回転用密封環12は、内周面が回転軸50
と摺動自在に嵌通する嵌合面13に形成されている。こ
の嵌合面13の一端側にはOリング用段部15が形成さ
れて、このOリング用段部15に第2Oリング20が装
着されて回転用密封環12と回転軸50との嵌合面間を
シールしている。又、回転用密封環12の対向シール面
14が固定用密封環2のシール面4と摺動可能に密接し
て中空部45の流体領域Aと大気領域Bとをシールす
る。
【0047】更に、回転用密封環12のOリング用段部
15に設けられた第2Oリング20を一方から保持する
断面L形状の押さえリング21が回転軸50に摺動自在
に嵌合した状態に配置されている。この押えリング21
は、支持リング24に固着されたガイドピン27に軸方
向移動自在に嵌合すると共に、周方向には係止状態に係
合している。又、押えリング21に固着された回転止め
ピン22は、回転用密封環12の溝に係合して回転用密
封環12が回動しないように係止している。更に又、押
えリング21は、回転軸50の円周方向に等配に配置さ
れた複数のばね23により押圧されている。複数のばね
23は支持リング24に設けられた各ばね用取付穴26
に着座して他端が押えリング21を介して回転用密封環
12を弾性的に押圧し、シール部を構成するシール面4
と対向シール面14とを密接状態に接合させている。支
持リング24は、止めねじ25により回転軸50に止め
られており、押さえリング21と回転用密封環12とを
回動しないようにガイドピン27及び回転止めピン22
を介して保持している。
【0048】本発明に係わる炭化珪素の摺動部品は、固
定用又は回転用密封環として用いられるものである。本
発明に係わる実施の形態では、本発明の摺動部品が固定
用密封環2として用いられ、回転用密封環12は炭化珪
素の摺動部品が設けられている。しかし、両密封環2,
12は本発明の摺動部品を用いることもできる。更に、
本発明の摺動部品と対向する摺動部品を他の種々の材質
の摺動部品を組合せることが可能である。又、摺動部品
である固定用密封環2のシール面4を凸部3に設けるこ
とによりシール面3に積極的に被密封流体の潤滑液体を
巻き込み易くして、この巻き込んだ潤滑液を凹部に保持
し、更にはカーボンの気孔に含浸させて長期に渡り摩擦
係数を小さくして摩耗を防止する効果が期待できる。更
に、凸部3は炭化珪素を主体にして構成されているか
ら、強度を有し摺動面の偏摩耗も防止する効果を奏す
る。これらは、単に強度の向上だけではなく、摺動面の
凹部とカーボンの気孔に介在する流体潤滑に起因する働
きが大きく左右することが認められる。
【0049】この様に構成されたメカニカルシール1
は、摺動部品である固定用密封環2の摺動面に形成され
たカーボンによる凹部及びカーボンに形成された気孔に
より摺動中に被密封流体の液体を巻き込んで凹部により
保有すると共に、カーボンの気孔により含有し、摺動面
を常に流体潤滑状態に構成して摺動抵抗を低減すること
が可能になる。又、摺動面がドライ状態になっても、更
に、摺動面に対して高負荷条件になってもカーボンに含
有された潤滑液により異常発熱、焼き付き、カジリ等を
防止し、摺動面の欠け、損傷を効果的に防止する。更
に、シール面4と相対シール面14との摺動時に「メカ
鳴き」が惹起するのも効果的に防止する。
【0050】次に、本発明の摺動部品の実施例について
述べる。
【実施例1】平均粒径が0.0006mmの炭化珪素部
粉末90Vol%と、平均粒径が0.030mmのカー
ボン粉末10Vol%を均一に配合し、この混合物10
0重量部に対し、焼結助剤である炭化硼素粉末0.3重
量部と、カーボンブラック粉末1.0重量部を配合し
た。これに結合材としてポリビニルアルコール3.0重
量部を添加すると共に、水を加えて撹拌し、40%濃度
のスラリーを製造した。このスラリーをスプレイドライ
ヤを用いて平均粒径が0.080mmの造粒に形成し
た。この造粒を成形型に充填してプレス成形し、成形体
に加工した。この成形圧力は120MPaである。そし
て、これらの成形体を温度2100°Cのアルゴン雰囲
気中で2時間かけて焼結した。このカーボン粉末は、コ
ークスとコールタールピッチから製造された成形体を2
000℃の温度で焼成し、焼成体を平均粒度が0.03
0mmの大きさに粉砕してカーボンに形成した。このカー
ボンには微細な気孔が多数形成されている。又、摺動部
品は、硬度がHv2400で、比重が3.1である。
【0051】この炭化珪素の摺動部品の端面を研磨して
摺動面とし、この摺動面を顕微鏡を用いて結晶組織を撮
影したのが図2の写真である。この図2の写真で黒色部
Aがカーボンである。又、白い部分は炭化珪素の結晶組
織である。そして、摺動面に於けるカーボンの断面を見
ると炭化珪素の面に対して0.0001から0.000
5mmのへこみが認められる。又、本発明に係わる摺動部
品の摺動面をアセトンで洗浄し、室温で放置する試験を
実施したところ、時間の経過により、又は温度上昇に伴
いカーボンに含浸している潤滑油(冷凍機油)が表面に
滲み出してくるのが認められた。尚、比較例1で同様な
試験をしたが、この滲み出し現象は認められなかった。
【0052】
【比較例1】比較例1として硬度Hs100、比重2.
0の高温焼成樹脂含浸カーボンを実施例1と同様な製造
方法で製造した。この焼結品の気孔率は面積比で3%以
下である。
【0053】
【比較例2】一方、比較例として、平均粒径0.000
6mmの炭化珪素微粉末100重量部に対し気孔形成用
のポリスチレンビーズを3重量部を混合して実施例と同
様な製造方法で焼結した。この焼結部品は0.002か
ら0.006mmの結晶粒径であって、面積比の気孔率
が10%、気孔平均径が0.030mmである。
【0054】次に、以上の実施例1と比較例1及び2に
ついてシール能力と摺動面の摩耗状態を試験した。その
結果は以下の通りである。一方の回転側に炭化珪素の固
定用密封環2を取付ると共に、他方の固定側に実施例
1、比較例1及び2炭化珪素の回転用密封環を取り付け
て試験したものである。その試験条件は以下の通りであ
る。 1)被密封流体は、 :冷凍機油 2)摺動面の周速度は、 :3.8m/s 3)摺動した時間は、 :100時間 4)被密封流体の温度は、 :90°C 5)被密封流体の圧力は、 :5.0MPa
【0055】この図3は、この摺動試験機の断面図であ
る。図3に於いて、ケーシング71には、試験液である
被密封流体Wが入れられるように空室に形成されてい
る。この空室内に一端側が嵌挿された回転軸73が設け
られている。回転軸73の一端にはフランジが設けられ
ており、このフランジに取り付けられたばね76を介し
て回転用密封環12が弾発に押圧されている。この回転
用密封環12の取付面から被密封流体Wが漏洩しないよ
うにパッキン75が設けられている。一方、ケーシング
11には、回転用密封環12に対向する位置に固定用密
封環2が設けられている。この固定用密封環2も取付面
から被密封流体Wが漏洩しないようにガスケット74が
設けられている。
【0056】この摺動試験機で試験した結果は、表1の
通りである。
【0057】
【表1】
【0058】表一の結果から、実施例1は被密封流体の
圧力が5.0 MPaでも摺動面からは漏れが認められ
ない。又、摺動面の状態は、偏摩耗及び異常摩耗は認め
られない。
【0059】比較例1では、被密封流体の圧力が5.0
MPaで摺動面から微量の漏れが認められる。又、固
定用密封環に偏摩耗が認められる。
【0060】比較例2では、被密封流体の圧力が5.0
MPaで摺動面から漏れが認められる。又、両摺動面
に異常摩耗が認められる。
【0061】
【発明の効果】本発明に係わる炭化珪素の摺動部品並び
にその摺動部品を用いたメカニカルシール及びその部品
の製造方法によれば、以下のような効果を奏する。
【0062】請求項1及び請求項2に係わる本発明の炭
化珪素の摺動部品によれば、炭化珪素の結晶組織の中に
気孔を有するカーボン粒子径が0.001から0.08
0mmの大きさで点在する。そして、密封摺動面には、微
細な凹部が点在するごとく形成される。そして、カーボ
ンが凹んだ凹部に潤滑油が介在して摺動中に摺動面の潤
滑作用をする。更に、密封摺動面に被密封流体による潤
滑作用がない場合でも、摺動中にカーボンの気孔に含浸
せれた液体、又は含浸された潤滑油が吹き出るような状
態でカーボンの凹部に介在して摺動中に摺動面の潤滑作
用をする。その結果、摺動面の摩擦係数を小さくして摺
動抵抗を低減させるとともに、摩耗を低減する効果を奏
する。
【0063】又、ドライ雰囲気中で潤滑剤又は液体の被
密封流体が介在されない場合でも、カーボンの気孔等に
含浸した潤滑液が摺動中に摺動面に介在するから、摺動
面の摩擦係数を小さくすることが可能になる。そして、
摺動面の摺動抵抗を低減する効果が期待できる。更に、
摺動部品の内部は、カーボンの外周面と炭化珪素が反応
してカーボンは一体の組織構造として結合しているから
強度が向上する。又、摺動部品の内部には、気孔が存在
しないから、被密封流体が気孔を通して浸透漏洩し、シ
ール能力が低下するのを防止する効果が期待できる。
【0064】請求項3及び請求項4に係わる本発明のメ
カニカルシールによれば、3から30Vol%のカーボ
ンを含有する主体が炭化珪素の結晶体であるから、ヤン
グ率が大きく硬質摺動部品である。このために摺動部品
は、被密封流体の圧力を受けても簡単には内径方向に曲
がることがなく、回転用密封環と固定用密封環とはほぼ
同一の強度を有して互いの対面する密封摺動面は密接す
るから偏摩耗するのが防止される効果を奏する。
【0065】又、固定用密封環と回転用密封環との密封
摺動面に於ける気孔には、液体の被密封流体が介在して
摺動抵抗を低減する。更に、ドライ雰囲気中で、液体の
被密封流体が介在しない場合でも、摺動面に点在するカ
ーボンに含浸された潤滑油が、カーボンの粉末と共に密
封摺動面に介在して摩擦係数を小さくするから、密封摺
動面を摩耗させるのが防止される効果を奏する。一方に
炭化珪素の密封環を配置しても、他方に本発明の摺動部
品が配置されているから、他方の潤滑作用によりメカ鳴
きが防止される。そして、炭化珪素と、カーボンとの結
晶体である密封環は、両者が強く結合して強度を有し、
且つ内部に気孔も存在しないから被密封流体が密封環を
透過して漏洩するのも防止される効果を奏する。
【0066】更に、請求項5係わる本発明の製造方法に
よれば、配合するカーボンの硬度とカーボンに形成する
気孔を設定範囲に管理すれば品質は安定するから、良品
質と共に安価に製造することが可能になる効果を奏す
る。又、摺動部品の摺動面を研磨したとき、密封摺動面
に点在するカーボンが炭化珪素に比較して柔らかく構成
されているために、0.0001から0.0005mmの
深さに削り取られて潤滑液体を保有する凹部に形成され
る。そして、摺動中にこの凹部から摺動面に潤滑液体が
供給されるので潤滑作用が発揮される効果を奏する。
【0067】このカーボンは一般の天然黒鉛等の軟質の
カーボン粉末に比較して硬度が高いから、研削しても凹
部の深さが深くは成らず、又、凹部が欠けることもなく
潤滑液体を保持して摺動面を潤滑する効果を奏する。更
に、カーボンの気孔に含浸して摺動面の濡れ性を発揮
し、摩擦係数を低減する効果を奏する。更に、カーボン
の外周面は炭化珪素の1部と反応して炭化珪素になるか
ら両者の結合力を高めて強度が向上すると共に、被密封
流体が摺動部品を浸透して漏洩するのも防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるメカニカルシールの断面図であ
る。
【図2】本発明に係わる炭化珪素焼結部品の摺動面を見
た結晶組織の顕微鏡写真である。
【図3】本発明の炭化珪素の焼結摺動部品を試験した摺
動試験機の断面図である。
【図4】従来のメカニカルシールの断面図である。
【符号の説明】
1 メカニカルシール 2 固定用密封環 3 凸部 4 シール面 5 嵌着面 6 内周面 7 背面 10 第1Oリング 12 回転用密封環 13 嵌合面 14 対向シール面 15 Oリング用段部 20 第2Oリング 21 押えリング 22 回転止めリング 23 ばね 24 支持リング 25 止めねじ 26 ばね用取付ねじ 27 ガイドピン 40 ハウジング 41 取付段部 42 支持面 44 Oリング用溝 45 中空部 50 回転軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J041 AA01 BA04 BB01 BC02 BC03 DA15 4G001 BA22 BA23 BA60 BA75 BB22 BB23 BB60 BC52 BC54 BC73 BD12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が0.001から0.080m
    mの大きさで且つ気孔を有するカーボン粉末を3から3
    0Vol%含有し、残部が炭化珪素と焼結助剤を含有す
    る焼結体に形成されて前記焼結体の摺動面に点在するカ
    ーボンが凹部に形成されていることを特徴とする摺動部
    品。
  2. 【請求項2】 前記カーボン粉末は人造黒鉛又は炭素黒
    鉛で硬度がHsD50から80であることを特徴とする
    請求項1に記載の摺動部品
  3. 【請求項3】 平均粒径が0.001から0.080m
    mの大きさで且つ気孔を有するカーボン粉末を3から3
    0Vol%を含有し、残部が炭化珪素と焼結助剤を含有
    する摺動部品が固定用密封環又は/及び回転用密封環と
    して有することを特徴とするメカニカルシール。
  4. 【請求項4】 前記摺動部品が前記固定用密封環又は前
    記回転用密封環として用いられて密封接触面の面積を他
    方の対向密封接触面の面積よりも小さく形成されている
    と共に前記密封接触面を対向密封接触面へ突出させた凸
    部の先端面に有することを特徴とする請求項3に記載の
    メカニカルシール。
  5. 【請求項5】 ショア硬度HsDが50から80の人造
    黒鉛又は炭素黒鉛を粉砕して平均粒径が0.001から
    0.080mmの大きさのカーボン粉末を3から30V
    ol%と、残部の炭化珪素粉末と焼結助剤を添加して造
    粒粉を形成し、この造粒粉を成形型内で加圧して成形体
    を成形し、この成形体を焼結して焼結体を得て、その焼
    結体を研磨加工して密封接触面を形成することを特徴と
    する摺動部品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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