JP2011042166A - 画像データ生成装置、記録装置および画像データ生成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】誤差拡散処理を間引き記録に適用したときに、そのドット記録パターンを損なわずに間引き記録を実施できるとともに、誤差拡散処理による分散したドット配置によってグレインの発生を抑制するようにドットデータを生成する。
【解決手段】2値データは、ノズル列の分割パターンが示す許容位置を考慮し誤差拡散される。すなわち、2値データは、ノズル列の分割パターンにおいて黒で示される画素位置にのみ配置することが許容される。次に、多値データから2値データを引いた結果を多値の補正データとし、この補正データを第2番目のプレーン生成にかかるシアンの1パス目のノズル列の多値データに加える。
【選択図】図8
【解決手段】2値データは、ノズル列の分割パターンが示す許容位置を考慮し誤差拡散される。すなわち、2値データは、ノズル列の分割パターンにおいて黒で示される画素位置にのみ配置することが許容される。次に、多値データから2値データを引いた結果を多値の補正データとし、この補正データを第2番目のプレーン生成にかかるシアンの1パス目のノズル列の多値データに加える。
【選択図】図8
Description
本発明は、画像データ生成装置、記録装置および画像データ生成方法に関し、詳しくは、インクを吐出するノズルに関して記録解像度よりも低い解像度で記録を行う場合の各ノズルへの記録データの振り分けに関するものである。
記録装置の分野では、近年、高解像度の画像を高速に記録することが求められている。高解像度で高速の記録を可能とする一構成として、いわゆる間引き記録が知られている。例えば、インクを吐出するノズルを配列した記録ヘッドを走査して記録するときの主走査方向の記録解像度が1200dpiの場合、1200dpi相当の間隔を有した画素に対してそれぞれインクを吐出することになる。
この場合に、例えば、同じ色のインクについて2列のノズル列を備えた記録ヘッドを用いることにより、2つのノズル列から上記1200dpi相当の間隔を有した画素に対して交互にインクを吐出するようにすることができる。このとき、1つのノズル列からは600dpi相当の間隔を有した画素にインクを吐出することになる。これにより、ノズル列について1200dpiの解像度の記録をするときの周波数でインクを吐出する場合には、1つのノズル列を用いて1回の走査で1200dpiの解像度の画像を記録する場合に較べて、記録ヘッドの走査速度を2倍にすることができる。すなわち、記録速度を2倍にすることができる。これは3列以上のノズル列としたときも同様に説明することができる。
以上のような2列あるいは3列以上の複数のノズル列に吐出(ドット)データを分配する処理は、例えば、2つのノズル列それぞれが主走査方向と直交する方向に1200dpi相当の間隔で16個のノズルを配置したものであるとするとき、次のようなものである。上記直交する方向のある画素列(以下、カラムとも言う)を記録する際に、一方のノズル列では、1、2、5、6、7、9、10、14番目のノズルを用い、他方のノズル列では、3、4、8、11、12、13、15、16番目のノズルを用いる。そして、走査において次のカラムを記録するときは、2つのノズル列はそれぞれ上記カラムで用いるノズルに対して排他的な(補完の)関係にあるノズル、すなわち、上記とは逆の関係のノズルを用いる。以降、2つのノズル列において交互に用いるノズルを変えることにより、2つのノズル列に対するドットデータの分配を行うことができる。
高解像度かつ高速の記録を可能とする間引き記録の他の構成として、1つのインク色について1つのノズル列を用いて複数回の走査で記録を完成する構成に係わるものが知られている。例えば、走査方向における解像度が1200dpiの画像を2回の走査で完成させる場合に、1回目の走査では奇数番目のカラムを記録し、2回目の走査では偶数番目のカラムを記録するようにする。すなわち、それぞれの走査では、カラムを1つおきに、つまり600dpi相当の間隔で1回吐出して記録を行う(以下、この方式をカラム間引きとも言う)。これにより、1200dpiの解像度の画像を記録するときの周波数でインクを吐出する場合には、上記と同様、1つのノズル列を用いて1回の走査で1200dpiの解像度の画像を記録する場合に較べて2倍の走査速度で記録することができる。その結果、2回の走査で記録を完成する場合でも、全体の記録速度を低下させずに1200dpiの解像度の画像を記録することが可能となる。この方式は、特に、記録媒体の搬送を介在させた複数回の走査で記録媒体の所定領域の記録を完成するマルチパス記録に適用したときに有効となる。すなわち、このマルチパス記録によってノズル列を構成する複数のノズル間における吐出特性のばらつきによる画質の低下を軽減するとともに、複数回の走査による記録速度の低下を防止することができる。
上述したカラム間引きを実行する際の、各ノズル列へのデータ分配は次のように行われる。先ず、マスク処理によって複数回の走査それぞれのドットデータに分割される。そして、走査ごとに上述したカラム間引きが行われる。すなわち、各ノズル列に対してn−1(nはノズル列数)おきのカラムのドットデータが割り当てられる。
ところで、一般的に、記録の高速化が行われると記録媒体上で浸透する前のインクが結合することによる画質劣化の問題を生じやすくなる。すなわち、記録の高速化は、単位時間当たりに記録媒体に付与されるインクの量を増大させる。この場合、記録媒体によっては、たとえそれが付与される全てのインクを最終的には吸収可能であったとしても、その付与速度に対応できずに記録の途中で記録媒体の表面でまだ吸収されていないインク滴同士が接触することがある。そして、この接触によって結合し比較的大きくなったインクが最終的に得られる画像において目立ち画像品位を低下させることがある。
例えば、高速記録では、異なる色のインクを吐出するそれぞれのノズル列から、同じ走査で比較的短い時間差でインクが吐出される。そして、それぞれのインクが同じ画素または隣接する画素に付与される場合、互いの表面張力によって引き合い、2つ分の(あるいはそれ以上の)大きなインクの塊(以下、グレインとも言う)が形成されることがある。また、1つの色のインクを用いて記録する場合でも、同様に同じ走査で同じ画素または隣接する画素にインクが付与されてインクの結合を生じることがある。さらには、記録媒体の相対的はインク吸収特性が劣る場合には異なる走査で付与されるインク同士が結合してグレインを生じる場合がある。一度このようなグレインが形成されると、次に隣接した位置に付与されたインクはそのグレインに引き寄せられやすくなる。すなわち、最初に発生したグレインが核となって徐々に成長し、やがて大きなグレインが形成される。そして、このようなグレインそのもの、あるいはそれらが不規則に散らばった状態で存在する、いわゆるビーディングという画像弊害を生じさせる。
このような問題に対し、特許文献1には、記録されるドットが分散して配置されるようにドットデータを生成することが記載されている。そして、ドットが分散して配置されることにより、ドットを形成するインクが記録媒体上で結合する可能性を小さくし、上記のようなグレインの発生を防止している。具体的には、多値画像データを誤差拡散処理して2値データ(ドットデータ)を生成する場合に、例えば、ある色のドットデータを生成する誤差拡散処理の結果によって他の色の多値画像データを補正する。そして、この補正は、上記ある色のドットデータが配置された画素に対応する他の色の多値データを、これに対する誤差拡散処理によってドットデータが生成されないような値とするものである。これにより、補正された多値画像データの誤差拡散処理の結果であるドットの配置は、上記ある色のドットに対して近接しない分散された配置となる。
しかしながら、特許文献1に開示される方法を上述した間引き記録にそのまま適用しようとすると、間引き記録を有効に実施できないことになる。例えば、複数のノズル列を用いる間引き記録は、上述したように、それぞれのノズル列で記録する画素のパターンが決まっている。このため、このパターンによる画素配置と、特許文献1に開示された誤差拡散処理によって定まるドットが配置される画素との間に齟齬を生じることがある。換言すれば、特許文献1に開示される誤差拡散処理によるドット配置は、上記画素パターンの制限を受けることになる。間引き記録の他の構成である、カラム間引きの場合も同様であり、特許文献1に開示される誤差拡散処理によるドット配置は、走査ごとに記録するカラムのパターンによって制限を受ける。
本発明の目的は、上記誤差拡散処理を間引き記録に適用したときに、そのドット記録パターンを損なわずに間引き記録を実施でき、また、グレインの発生を抑制することを可能とする画像データ生成装置、記録装置および画像データ生成方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、画像データ生成装置であって、記録媒体の単位領域に記録すべき多値の画像データを、第1の多値データと第2の多値データとを含む複数の多値データに分割する分割手段と、前記複数の多値データと、前記単位領域の各画素において記録を示すデータの配置を許容するかどうかを示す複数の配置許容データとに従って、前記単位領域の各画素の記録または非記録を示す2値データを生成する生成手段と、を具え、前記生成手段が前記第1の多値データに対して用いる配置許容データにおける、記録を示すデータの配置を許容することを示すデータの配置は、第2の多値データに対して用いる配置許容データにおける、記録を示すデータの配置を許容することを示すデータの配置と異なることを特徴とする。
以上の構成によれば、誤差拡散処理を間引き記録に適用したときに、その間引き記録のドット記録パターンを損なわずに間引き記録を実施することができる。また、これとともに、上記誤差拡散処理による分散したドット配置によってグレインの発生を抑制することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1の実施形態は、インクジェット記録装置で用いる記録ヘッドは、シアン(C)、マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)それぞれのインクを吐出するノズル列を2列備え、これにより、間引き記録を行う構成に関するものである。また、上記間引き記録を、2回の走査(2パス)で記録を完成するマルチパス記録方式によって行う。そして、これら2パスのマルチパス記録方式による間引き記録の2値データ(ドットデータあるいは吐出データとも言う)を、間引き記録に適合した誤差拡散処理によって生成する。なお、以下の説明では、これらのインク色および走査で区別される画像データ(2値データ、多値データ)の集合を、「プレーン」と呼ぶ。
本発明の第1の実施形態は、インクジェット記録装置で用いる記録ヘッドは、シアン(C)、マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)それぞれのインクを吐出するノズル列を2列備え、これにより、間引き記録を行う構成に関するものである。また、上記間引き記録を、2回の走査(2パス)で記録を完成するマルチパス記録方式によって行う。そして、これら2パスのマルチパス記録方式による間引き記録の2値データ(ドットデータあるいは吐出データとも言う)を、間引き記録に適合した誤差拡散処理によって生成する。なお、以下の説明では、これらのインク色および走査で区別される画像データ(2値データ、多値データ)の集合を、「プレーン」と呼ぶ。
図1は、本実施形態のある1つの色のインクを吐出するノズル列の構成および間引き記録のための分割パターンを示す図である。図1に示すように、本実施形態は、同色のインクについて2つのノズル列A、Bを用いて記録を行う。各ノズル列は512個のノズルを1200dpiの密度で配列するものであるが、図1では図示および説明の簡略化のためにそれぞれ16個のノズルを配列したものとして示されている。2つのノズル列A、B相互において、各ノズルのノズル配列方向における位置は同じ位置である。
図1に示す分割パターンは、各画素の記録をノズル列A、Bのいずれのノズルを用いて行うかを示したものである。すなわち、黒で示された画素をノズル列Aのノズルを用いて記録し、斜線で示された画素を他方のノズル列Bで記録する記録制御を行う。ここで、黒で示された画素と斜線で示された画素は互いに排他の関係にある。
後述されるように、本実施形態のドットデータ生成に係る誤差拡散処理では、誤差拡散処理の結果としてのドット配置は、上記分割パターンの画素ごとのノズル割り当てによって制限を受ける。例えば、ノズル列Aに割り当てるドットデータの生成において、誤差拡散処理の結果としてドットが配置される画素が上記パターンにおいてノズル列Bが割り当てられる画素のときは、そのドットデータは生成しないようにするものである。すなわち、同図に示すように、ノズル列A、Bのパターンは互いに補完関係となる、ドット配置を許容する位置を示す配置許容データである。
図2は、本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタを示す斜視図である。キャリッジM4000は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)それぞれのインクを吐出する記録ヘッドおよびこれに対応するインクを供給するインクタンクH1900を搭載して図のX方向(主走査方向)に移動することができる。C、M、Y、Kの各記録ヘッドはそれぞれ、図1にて上述したように2つのノズル列を備え、また、2つのノズル列に対応した分割パターンが定められている。キャリッジの移動による記録ヘッドの記録媒体に対する相対走査の間に各色のノズル列のノズルから、後述のように生成されるドットデータに基づき所定のタイミングでインクが吐出される。このような記録ヘッドの1回の主走査が終了すると、記録媒体は図のY方向(副走査方向)に所定量だけ搬送される。以上の記録主走査と副走査とを交互に繰り返すことにより画像が順次形成されていく。以上の各ノズル列における吐出口の配列密度は、上述したように1200dpiであり、それぞれの吐出口から4.0ピコリットルのインクが吐出される。
図3は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置(画像データ生成装置)としてのパーソナルコンピュータ(以下、単にPCとも言う)のハードウェアおよびソフトウェアの構成を主に示すブロック図である。図3において、ホストコンピュータであるPC100は、オペレーティングシステム(OS)102によって、アプリケーションソフトウェア101、プリンタドライバ103、モニタドライバ105の各ソフトウェアを動作させる。アプリケーションソフトウェア101は、ワープロ、表計算、インターネットブラウザなどに関する処理を行う。モニタドライバ104は、モニタ106に表示する画像データを作成するなどの処理を実行する。
プリンタドライバ103は、アプリケーションソフトウェア101からOS102へ発行される画像データ等を画像処理して、最終的にプリンタ104で用いる2値の吐出データを生成する。詳しくは、図6などで後述される画像処理を実行することにより、シアン、マゼンタイエローの多値の画像データから、プリンタ104で用いるシアン、マゼンタイエローの2値の画像データ(ドットデータ)を生成する。こうして生成した2値の画像データは、プリンタ104へ転送される。
ホストコンピュータ100は、以上のソフトウェアを動作させるための各種ハードウェアとして、CPU108、ハードディスクドライブ(HD)107、RAM109、ROM110などを備える。すなわち、CPU108は、ハードディスク107やROM110に格納されている上記のソフトウェアプログラムに従ってその処理を実行し、RAM109はその処理実行の際にワークエリアとして用いられる。
プリンタ104は、不図示のCPU、メモリ等を備えている。ホストコンピュータ100から転送されてきた2値の画像データは、プリンタ104のメモリに格納される。そして、プリンタのCPUの制御の下、メモリに格納されている2値の画像データが読み出され、記録ヘッドの駆動回路へ送られる。そして、駆動回路は、送られてきた2値の画像データに基づいて記録ヘッドの記録素子を駆動し、吐出口からインクを吐出させる。
図4は、以上説明した本実施形態のプリンタ(インクジェット記録装置)104で実行することができる2パスのマルチパス記録を模式的に示す図である。なお、この図では、図示および説明の簡略化のため、シアン1色で2パス記録を行う場合について示している。以下で説明するように、2パス記録の場合、記録ヘッドの2回の走査によって記録媒体の単位領域に記録すべき画像を完成させる。
2つのノズル列A、Bはそれぞれ第1グループおよび第2グループの2つのグループに分割され、これにより、各グループには256個ずつのノズルが含まれる。ノズル列A、Bを備えた記録ヘッドは、ノズル配列方向と略直交する方向(図の矢印で示した「ヘッド走査方向;主走査方向」)へ走査しながら記録媒体の単位領域A、Bにインクを吐出する。この例では、Cのノズル列A、Bの2値の画像データに基づいて、単位領域Aに対してCのインク吐出が行われる(C1)。また、走査が終了するたびに、記録媒体は走査方向と直交する方向(図の矢印で示した「記録媒体搬送方向」)に1つのブループの幅分(ここでは、単位領域の幅と同じ256画素分)づつ搬送される。これにより、記録媒体の各グループの幅に対応する大きさの単位領域Aは2回の走査によって画像(C1+C2)が完成する。
図5(a)および(b)は、図4にて説明した、Cインクを用いて2パスのマルチパス記録を行う場合の、単位領域に対する記録順を説明する図である。
図5(a)は、往走査、復走査の順で記録される領域(図4の領域A)の画像が完成していく様子を示したものである。1回目の走査である往走査(1パス目)では、最初に、図6にて後述されるデータ分割並びに2値化処理よって生成したシアンのノズル列A、Bそれぞれのドットデータに基づいてノズル列A、ノズル列Bの順でシアン画像を記録する。記録媒体を所定量搬送した後の、2パス目の復走査では、同様に、順次、後述のデータ分割によって生成したシアンのノズル列A、Bそれぞれのドットデータに基づいてノズル列B、ノズル列Aの順で、それより前に記録した画像に重ねて記録する。
一方、図5(b)は、復走査、往走査の順で記録される領域(図4の領域B)の画像が完成していく様子を示したものである。1回目の走査である復走査(1パス目)では、同じく後述のデータ分割並びに2値化処理によって生成したシアンのノズル列A、Bそれぞれのドットデータに基づいてノズル列B、ノズル列Aの順でシアン画像を記録する。記録媒体を所定量搬送した後の、2回目の走査である往走査(2パス目)では、同様に、順次、同様に生成したシアンのノズル列A、Bそれぞれのドットデータに基づいてノズル列A、ノズル列Bの順でシアン画像を、それより前に記録した画像に重ねて順次記録する。
本実施形態は、上記の往復走査で記録に用いるノズル列A、Bのそれぞれのドットデータのプレーンを重ねて得られるドット配置が良好に分散したドットデータを生成する。これとともに、そのドット配置が、図1に示したノズル列A、Bに割り当てられるそれぞれの分割パターンを満たすドットデータを生成する。ドット配置が分散することにより、量子化前の多値画像データに存在しないような低周波成分の発生を可能な限り少なくすることができる。ここで、量子化前のデータに存在しないような低周波成分とは、従来行われているマスクパターンを用いた画像の分割におけるそのマスクパターンと画像データのパターンとの干渉により発生するものなどを指す。本実施形態によれば、図5(a)に示す順序で記録が行われる各走査(以下、パスとも言う)のノズル列の吐出順序である、シアンの1パス目のノズル列A、シアンの1パス目のノズル列B、シアンの2パス目のノズル列B、シアンの2パス目のノズル列Aの順でそれぞれ重ねたときに得られる、「シアンの1パス目のノズル列A+シアンの1パス目のノズル列B」、「シアンの1パス目ノズル列A+シアンの1パス目ノズル列B+シアンの2パス目ノズル列B」、「シアンの1パス目ノズル列A+シアンの1パス目ノズル列B+シアンの2パス目のノズル列B+シアンの2パス目ノズル列A」それぞれのプレーンの重なりにおけるドット分布が、低周波成分が少なくなるよう、上記の各プレーンの2値データを生成する。特に、最終の重なりである「シアンの1パス目ノズル列A+シアンの1パス目ノズル列B+シアンの2パス目ノズル列B+シアンの2パス目ノズル列A」のドット分布はもちろんのこと、それ以外の、プレーンの中間の重なりにおけるドットの分布も、低周波成分が少なくするような2値データ生成を行う。また、図5(b)に示す順序で記録される領域は、シアンの1パス目ノズル列B、シアンの1パス目ノズル列A、シアンの2パス目ノズル列A、シアンの2パス目のノズル列Bの順でそれぞれ重ねたときに得られる同様の中間画像のドットの分布が上記高分散性の分布になるようにデータ生成を行う。また、本実施形態において処理対象とする各プレーンの画素数は、256画素(ノズル配列方向)×記録幅に相当する画素数(主走査方向)となっている。なお、ブラック(K)を加えた4色のインクを用いる場合、また、濃度の低い淡インクやレッド、ブルー、グリーンなどの特色インクをさらに加えて用いる場合についても、同様に本発明を適用できることは、以下の説明からも明らかである。
図6は、本発明の第一の実施形態に係る画像処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、図3に示したホスト装置100において主にプリンタドライバ103によって実行されるものである。
先ず、ステップS401で、アプリケーションなどによって得られた画像のR、G、Bデータについて入力γ補正などの色調整処理を行う。次に、ステップS402で、RGBの画像データについて、R、G、Bによる色域からプリンタで用いるインクの色成分C、M、Yによる色域への変換、ならびに変換した色域における色を表現する色成分データC、M、Yの生成を行う。これらの処理は、ルックアップテーブルに補間演算を併用して行う。この処理によって、R、G、Bの各8ビットの画像データは、C、M、Yの各8ビットデータ(多値の画像データ)に変換される。次に、ステップS403で出力γ補正を行い、プリンタ104で用いられる記録ヘッドの入出力階調特性を調整する。
次に、ステップS404で2値化処理に先立って、多値の画像データの段階でパス分割を行う。さらに、パス分割を行った後、ステップS405でさらに2つのノズル列それぞれのデータに分割する。具体的には、C、M、Yそれぞれの8ビットデータ(多値の画像データ)の画素値を1/2とし、それぞれを2パスのマルチパス記録の2回の走査それぞれのデータとする。さらに、上記のように得られたパスごとの1/2とされた8ビットデータの画素値を1/2とし、それぞれをノズル列A、Bそれぞれのデータとする。
以上の処理の後、ステップS406では、図1に示したノズル列A、Bごとの分割パターンで示される画素のみにそのノズル列のノズルを用いて記録するドットデータを配置できるという条件ないし制限の下、2値化処理(誤差拡散処理)を行う。すなわち、1回の走査でノズル列A、Bの両方を用いて総ての画素にドットを配置可能な条件の下でノズル列ごとに誤差拡散処理を行う。
以上説明したステップS404のパス分割、ステップS405のノズル列分割およびステップS406の分割された多値画像データを2値化してドットデータを生成する処理の詳細を以下に説明する。以下では、説明を簡略化するためシアンのみの処理について説明する。
ステップS404のパス分割は、シアンの8ビット多値画像データを2分割する。本実施形態では、0〜255で表される8ビットデータにおいて、「255」は最も濃度が高いことを意味し、0は最も濃度が低いことを意味している。従って、「100」の濃度の半分の濃度は「50」となる。例えば、8ビットデータがC=200であるとき、1パス目と2パス目の濃度が略均等となるようにデータ値200を単純に1/2として、C=100とする。このようにして、シアンの1パス目、シアンの2パス目の2プレーンそれぞれについて8ビットデータを得る。なお、ここでは、多値画像データの値を均等に2分割しているが、均等に分割することは必ずしも必要ではなく、不均等に分割する形態であってもよい。例えば、1パス目に画素値の3/5を振分け、2パス目に画素値の2/5を振分けるようにしてもよい。この場合、C=200の3/5に相当するC=120が1パス目の多値データとなり、2/5に相当するC=80が2パス目の多値データとなる。
ステップS405のノズル列分割では、上記のように2回のパスに分割して得られるパスごとのシアンの8ビット多値画像データを2分割する。たとえば、シアンの1パス目、シアンの2パス目の多値データがそれぞれC=100のときノズル列Aとノズル列Bに対しそれぞれ半分のC=50にする。このようにしてシアンの1パス目のノズル列A、シアンの1パス目のノズル列B、シアンの2パス目のノズル列A、シアンの2パス目のノズル列Bの4プレーンの8ビットデータを得る。
ステップS406では、上記4プレーンそれぞれについて、本実施形態による誤差拡散法によって2値化処理を行う。この2値化処理は、各走査、各ノズル列に対応した多値画像データ(プレーン)毎に誤差拡散を順次行い、その際に、先行して行われた誤差拡散処理の結果に基づいて後続の誤差拡散処理を行うものである。また、これとともに、図1に関して上述したように、配置許容データを用いてノズル列ごとにドットの配置を許容する画素(位置)を考慮して誤差拡散処理を行う。
図7は、ステップS404、S405およびS406のパス分割、ノズル列分割および2値化処理の詳細を示す図である。本発明の第一の実施形態では、シアンについてノズル列ごとに2パス分の、例えば合計4プレーンのドットデータを生成するとき、誤差拡散法を用い、記録ヘッドの走査においてドットを形成する順序で1プレーンずつ順次2値化処理を行うものである。この際、各プレーン処理でドット配置が可能な画素(位置)を、図1に示すノズル列ごとの分割パターンとして設定している。つまり誤差拡散した結果としてのドット配置が上記ノズル列ごとの複数の配置許容データによって制限されることになる。これとともに、既に生成されたプレーンの2値化処理の結果を、これから生成するプレーンの2値化処理に反映させる。なお、図7に示す2値化処理は、図5(a)に示したドットの形成順序に従った処理を示している。本実施形態の2値化処理によって生成される各プレーンのサイズは、単位領域である、主走査方向(横方向)×ノズル配列方向(縦方向)=記録幅×256画素のサイズである。記録すべき画像データは、このサイズのプレーンを単位としてデータ分割および2値化処理が行われることによって、画像データ全体に対するデータ分割および2値化処理が行われる。以下の説明では、説明の簡略化のため1画素のデータに対する処理として説明するが、実際には、プレーンにおける画素ごとに順次処理が行われる。特に、本実施形態では後述のように2値化の手法として誤差拡散法を用いるが、この処理は周知のとおり処理対象とする画素を順次移動させて行うものである。
図7において、ステップS403で得られた1画素あたりシアンの8ビットの多値データD8cは、パス分割によってその画素値が1/2であるデータD8c/2に分割される。さらに、ノズル列分割によって画素値がさらに1/2、すなわち最初画素値の1/4であるD8c/4に分割される。このように分割された多値データは、それぞれシアンの1パス目のノズル列A用の多値データ、シアンの1パス目のノズル列B用の多値データ、シアンの2パス目のノズル列A用の多値データ、シアンの2パス目のノズル列B用の多値データとなる。
次の2値化処理では、先ず、シアンの1パス目のノズル列Aの多値データD8c/4について誤差拡散処理がなされシアンの1パス目のノズル列用の2値データD2c1Aが求められる。この誤差拡散処理の際に、図1に示したノズル列Aの分割パターンが示す配置許容位置(画素)にドット(2値)データを配置することが許容される。次に、シアンの1パス目のノズル列Bの多値データD8c/4について2値化処理が行われる。このとき、本実施形態では、シアンの1パス目のノズル列Bの多値データD8c/4について、Kc1Ac1B(D8c/4−D2c1A)なる項を加える補正が行われる。ここで補正項Kc1Ac1B(D8c/4−D2c1A)は、処理範囲エリアを広く考えた場合、その平均値は0に近づいていく。誤差拡散処理による2値データは、誤差拡散処理の特徴とする濃度保存の機能により、2値化前と2値化後で近傍での濃度平均が変わらないからである。従って、(D8c/4−D2c1A)を十分広い処理エリアで求めることにより、Kc1Ac1Bを乗じた補正項も0となる。そして、この補正された多値データ[D8c/4+Kc1Ac1B(D8c/4−D2c1A)]に対して誤差拡散処理が行われてシアンの1パス目のノズル列B用の2値データD2c1Bが求められる。このとき、誤差拡散処理では先に行われたノズル列Aの1パス目用の2値データの結果を反映させており、また、ノズル列Bの分割パターンが示す配置許容位置にのみ2値データを配置することが許容される。
このように本実施形態では、先に行われる誤差拡散処理の結果を後続の誤差拡散処理に反映させるとともに、各誤差拡散処理の結果としてのドットの配置に制限が設けられる。また、上記補正項において、D8c/4は上記のとおり、シアンの多値データであり、また、D2c1Aはその2値化処理の結果である。また、Kc1Ac1Bは重み係数であり、プレーン間にどの程度の関連を持たせるかに応じて定められる。
3番目のシアンの2パス目のノズル列Bのプレーンの生成では、分割多値データD8c/4に対して、1、2番目の誤差拡散の結果による補正項(Kc1Ac2B(D8c/4−D2c1A)+Kc1Bc2B(D8c/4−D2c1B))を加える補正をする。そして、補正された多値データ[D8c/4+(Kc1Ac2B(D8c/4−D2c1A)+Kc1Bc2B(D8c/4−D2c1B))]に対して2値化が行われ、シアンの2パス目のノズル列Bの2値データD2c2Bが求められる。このとき、ノズル列Bの分割パターンが示す配置許容位置のみに2値データが配置される。このように、3番目のプレーンの生成では、それまで処理された1、2番目のプレーンそれぞれの2値化処理の結果を反映する補正を行い、その補正されたデータに対して誤差拡散処理を行う。さらにノズル列Bの分割パターンが示す配置許容位置のみに2値データを配置することが許容される。
以降同様に、4番目のシアンの2パス目ノズル列Aのプレーンの生成では、多値データD8c/4に対して、1、2、3番目の誤差拡散の結果による補正項(Kc1Ac2B(D8c/4−D2c1A)+Kc1Bc2A(D8c/4−D2c1B)+Kc2Bc2A(D8c/4−D2c2B))を加える補正をする。そして、補正された多値データ[D8c/4+((Kc1Ac2B(D8c/4−D2c1A)+Kc1Bc2A(D8c/4−D2c1B)+Kc2Bc2A(D8c/4−D2c2B)))]に対して2値化が行われ、シアンの2パス目のノズル列Aの2値データD2c2Aが求められる。このときの誤差拡散処理ではノズル列Bの分割パターンが示す配置許容位置のみに2値データを配置することが許される。
なお、上記の例では、シアンの2パスに対する多値データの分割について均等に2分割したが、この分割の割合は不均等であってもよい。例えば、シアンの1パス目をD8c/3と、2パス目を(D8c/3)×2とすることもできる。もちろん2パス以外のとき、例えば4パスについても同様であり、1パス目、4パス目に対して2パス目、3パス目の濃度比率を上げることもできる。また、シアンの多値データの分割に関してパス分割してからノズル列分割を行っているが一度に1/4の比率に分割することもできる。
本実施形態の4つのプレーンの生成を、N個のプレーンの生成として一般化すると、次のようになる。なお、上記のとおりパス数と分割の割合は必ずしも一致しないので、分割データを、上記の例えばD8c/4のように「/4」を用いて表さずに、j番目の分割データを、単に「D8j」と表記する。
1番目からN番目までのプレーンにおけるj番目のプレーン生成に係る補正項は、1番目からj‐1番目目での2値化処理の結果を反映して、
K[1][j](D81−D21)+・・・+K[j‐1][j](D8(j−1)−D2(j−1))
と表される。そして、この補正項を加えることによって補正されたj番目のデータは、
D2j=D8j+(K[1][j](D81−D21)+・・・+K[j‐1][j](D8(j−1)−D2(j−1)))
ここで、K[i][j]は、i番目のデータがj番目のデータに与える補正項の重み係数である。
と表される。この補正されたデータに対して誤差拡散処理を行い、それぞれの処理の際にはノズル列ごとの分割パターンで制限された許容位置へ配置するようドットデータD2jを求める。
K[1][j](D81−D21)+・・・+K[j‐1][j](D8(j−1)−D2(j−1))
と表される。そして、この補正項を加えることによって補正されたj番目のデータは、
D2j=D8j+(K[1][j](D81−D21)+・・・+K[j‐1][j](D8(j−1)−D2(j−1)))
ここで、K[i][j]は、i番目のデータがj番目のデータに与える補正項の重み係数である。
と表される。この補正されたデータに対して誤差拡散処理を行い、それぞれの処理の際にはノズル列ごとの分割パターンで制限された許容位置へ配置するようドットデータD2jを求める。
図8(a)〜(e)は、図7にて説明した2値化処理をデータの内容で説明する図である。なお、同図では、プレーンのサイズを説明および図示および説明の簡略化のため10画素×4画素として示している。
図8(a)は、シアンの1パス目のノズル列Aの8ビットの多値データD8c/4を示している。図8(b)は、シアンの1パス目のノズル列Aにおける配置許容位置を示す分割パターンを示し、図中黒で示される画素位置が配置許容位置を表している。ここでは、説明を簡単にするため、多値画像データの画素値が50の場合を示している。そして、図8(k)は多値画像データD8c/4に対する誤差拡散処理によって得られる2値データD2c1Aを示している。なお、この2値データは8ビットの「0」または「255」のいずれかの値を有した2値データであり、以下の説明でも同様である。
以下に誤差拡散で2値データを生成する際に、図8(b)で示すノズル列Aの分割パターンにおいて黒で示される画素位置にのみ配置する処理について詳細に説明する。
図8(c)は公知の誤差拡散処理で用いる拡散係数の配分について一例を示した図である。このように周辺の4画素に対し図示された比率で誤差の分配を行っているものが一般的である。本実施形態では、図示および説明の簡略化のため、図8(d)で示すように誤差の拡散を右隣の画素へ総て分配するような拡散係数を用いる場合の処理について説明する。また、2値化の閾値は128とする。
先ず、図8(a)に示す画素1601を2値化する。画素1601は画素値が50であり、閾値128より小さいため、図8(e)に示すように2値データ「0」が画素1601に配置される。これとともに、誤差の計算を行う。画素1601への出力値を0としたことで、図8(a)に示す画素1601の階調値50との差分50(=50‐0)を、誤差として図8(d)に示す拡散係数に従い右隣の画素1602へ拡散する。これにより、画素1602の階調値は誤差50が加算されて100に更新され、図8(e)に示すものとなる。次に、図8(e)に示す画素1602を2値化する。画素1602は、画素値が100であり、閾値128より小さいため、図8(f)に示すように2値データ「0」が画素1602に配置される。同様に、誤差を計算し、図8(e)に示す画素1602の階調値100との差分100(=100‐0)を誤差として画素1603へ拡散する。この結果、画素1603の階調値は誤差100が加算されて150に更新され、図8(f)に示すものとなる。
次に、図8(f)に示す画素1603を2値化する。画素1603は、画素値が150であり、閾値128より大きいため、2値データ「255」が配置される候補となる。この場合、本実施形態の2値化処理では、図8(b)に示すノズル列Aの分割パターンにおいて、画素1603は配置が許容された画素か否かが判別される。図8(b)に示す画素1603は配置が許容されている(黒で示されている)ため、図8(g)に示すように画素1603に2値データ「255」が配置される。そして、誤差の計算を行う。画素1603の値を255としたことにより、元の階調値150(図8(f))との差分‐105(=150‐255)を誤差として画素1604へ拡散し、画素1604の階調値は誤差‐105が加算されて‐55に更新される(図8(g))。
同様に画素1604から画素1607に対して、順に2値化および誤差の拡散を行い、画素1608の更新された階調値135を得る(図8(h))。
次に、画素1608を2値化する。図8(h)に示すように画素1608は、画素値が135であり、閾値128より大きいため、2値データ「255」が配置される候補となる。そして、図8(b)に示すノズル列Aの分割パターンにおいて画素1608が配置が許容された画素か否かを判別する。図8(b)に示すように、画素1608は配置が許容されていないため、図8(i)に示す画素1608に2値データ「0」が配置される。このときの誤差は画素1608の値が0とされたので、前述の計算同様に元の階調値135との差分135(=135‐0)をそのまま誤差として画素1609へ拡散する。この結果、画素1609の階調値は、誤差135が加算されて185に更新される(図8(i))。
次に、図8(i)に示す画素1609を2値化する。画素1609は画素値が185であり、閾値128より大きいため、2値データ「255」が配置される候補となる。そして、図8(b)に示すノズル列Aの分割パターンにおいて、画素1609が配置が許容された画素か否かを判別する。図8(b)に示すように、画素1609は配置が許容されているため、図8(j)に示すように、画素1609に2値データ「255」が配置される。そして、誤差の計算を行う。画素1609の値を255としたので、元の階調値185との差分‐70(=185‐255)を誤差として画素1610へ拡散し、画素1610の階調値は誤差‐70が加算されて‐20に更新される(図8(j))。
以下、同様に2値化を行って、図8(b)に示すノズル列Aの分割パターンにおいて黒で示される画素位置にのみ「255」が配置された、図8(k)に示す2値データが生成される。
次に、図9(l)は、多値データD8c/4と2値データD2c1Aを用いて生成される補正データを示している。具体的には、図8(a)に示す多値データD8c/4から図8(k)に示す2値データD2c1Aを引いた結果を多値の補正データとする。そして、この補正データを第2番目のプレーン生成にかかるシアンの1パス目のノズル列Bの多値データD8m/4に加える。このとき、補正データの重み係数としてKc1Ac1Bを用いる。Kc1Ac1B=1のときは、補正データはそのままシアンの1パス目のノズル列Bの多値データに加えられ、Kc1Ac1B=0.5の場合、補正データはその値の半分がシアンの1パス目のノズル列Bの多値データに加えられる。図に示す例では、Kc1Ac1B=0.5としている。図9(m)は、このときの補正データを示す。そして、この図9(m)に示す補正データによって、図9(n)に示すシアンの1パス目のノズル列Bの多値データD8c/4を補正する。
図9(o)は、この補正後の多値データを示し、図9(m)に示すデータと図9(n)に示すデータの和として表される。次に、図9(o)に示す多値データに対して誤差拡散を行う場合について同様に説明する。図9(p)はノズル列Bの分割パターンにおいて配置が許容される位置を黒で示した図である。
先ず、図9(o)に示す画素1601を2値化する。画素1601は画素値が75であり、閾値128より小さいため、図9(q)に示すように2値データ「0」が画素1601に配置される。ここで誤差の計算を行う。画素1601の値を0としたことによって、元の階調値75との差分75(=75‐0)を誤差とし、図8(d)に示す拡散係数に従い右隣の画素1602へ拡散する。画素1602の階調値は誤差75が加算されて150に更新される(図9(q))。
次に、図9(q)に示す画素1602を2値化する。画素1602は画素値が150であり、閾値128より大きいため、2値データ「255」が配置される候補となる。そして、図9(p)に示すノズル列Bの分割パターンにおいて、画素1602が配置が許容された画素か否かを判別する。図9(p)に示す画素1602は配置が許容されている(黒で示されている)ため、図9(r)に示す画素1602に2値データ「255」が配置される。そして、誤差の計算を行う。画素1602の値を255としたことにより、元の階調値150との差分‐105(=150‐255)を誤差として画素1603へ拡散し、画素1603の階調値は誤差‐105が加算されて‐55に更新される(図9(r))。
以下、同様に2値化を行って、図9(p)に示すノズル列Bの分割パターンにおいて黒で示される画素位置にのみ「255」が配置された、図9(s)に示す2値データが生成され、第2番目のプレーンに係るシアンの1パス目のノズル列Bの2値データを得る。
以降、第3番目、第4番目までのプレーンの生成も同様に行われる。このように、先の誤差拡散処理の結果(図8(k))を利用して後続の誤差拡散処理を行っているため、先の誤差拡散処理により決定されたドット配置との重なりおよび近接が少ないドット配置を得られるように後続の誤差拡散処理を行うことができる。さらにプレーンごとにノズル列の分割パターンが示す配置許容位置にのみ2値データが配置される。
すなわち、以上の処理において、補正データは、図9(o)に示すように、図8(k)に示すプレーンでドットが配置される画素(例えば、画素1603)の値が小さくなる(‐53)ものである。これにより、補正されたシアンの1パス目のノズル列Bのプレーンにおけるドット配置(図9(s))で、このような画素(画素1603)の近傍にドットが配置されないようにすることができる。より詳細には、図9(o)に示す補正されたデータにおいて、図8(k)に示すシアンの1パス目のノズル列Aのプレーンでドットが配置される画素(例えば、255の値の画素1603)の値は小さくなる。一方、図8(k)に示すシアンの1パス目のノズル列Aのプレーンでドットが配置されない画素(0の値の画素)の値は大きくなる。これにより、次の誤差拡散処理によって、既に生成されたプレーンのドット(図8(k))と、ドットが近接して配置されることがなくなり、ドットが重なることもなくなる(図9(s))。このように、本実施形態で生成される4プレーンのドット配置は、相互に重なる確率が小さい配置とすることができる。この結果、4プレーンのどのような組み合わせであっても、それらのドット配置を重ねたものが良好に分散したものとなる。換言すれば、プレーンを重ねて得られるドット配置の周波数スペクトルは低周波数成分が少ないものとなる。ここで、「低周波数成分」とは、本明細書では、周波数成分(パワースペクトル)が存在する空間周波数領域のうち、半分より低周波側にある成分を指す。
以上のように、あるプレーンおいてドット形成を示す「225」の2値データがどの画素に配置されているかという情報は、次のプレーンのデータに対して、2値データが配置された画素に対応する(同じ位置の)画素のデータ値を小さくするように反映される。なお、この場合、図8および図9に示したように補正後のデータが小さくされる場合の他、対応する画素に対応した閾値を大きくするように構成することもできる。すなわち、2値データの配置情報は次のプレーンのデータに対して、対応する画素のデータ値を相対的に小さくするように反映される。
また、本実施形態では図8(b)および図9(p)に示すような配置を許容するか否かを示す分割パターンを用いたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、誤差拡散を行う際の閾値を画素ごとに異ならせる方法を用いることにより、分割パターンと同様の結果を得ることができる。すなわち、配置を許容する位置の閾値を128、配置を許容しない位置の閾値を最大値である255とすることで、許容する位置のみに画素が配置されるようにすることができる。
以上説明した本実施形態のドットデータ生成の比較例として、2列のノズル列A、Bに図1に示す分割パターンに従ったドットデータの割り振りが行われるが、特許文献1に開示される誤差拡散処理を実施しない例について説明すると次のとおりである。図10(a)に示すドットデータ(記録比率約50%)を記録する場合、ノズル列A、Bそれぞれで記録するドットデータは、図10(b)および(c)に示すように一部にドットが集中してしまい、低周波成分を有した偏りが生じる。この状態で高速記録を行うと、上述したようにグレインが形成され、いわゆるビーディングという画像弊害を生じさせることがある。
また、ノズル列ごとに図10(b)および(c)のような低周波成分を有した偏りが生じていると、ノズル列間の位置ズレに対して画像劣化が発生することがある。図11(a)はノズル列A、B間に位置ズレがない場合、図11(b)はノズル列Bがノズル列Aに対して3画素主走査方向にずれた場合の記録画像を表している。これから明らかなように、ノズル列ごとに低周波成分の偏りが生じていると、仮に、ノズル列がずれたときに低周波な偏りが発生し、画質が大きく劣化する。
図12(a)は、上述した本実施形態の誤差拡散処理によって得られたシアンノズル列Aの1パス目のプレーンのドット配置を示す図である。同図は、図示のわかりやすさのため、黒ドットが少ない比較的低濃度の階調を表しており、総ての画素の値が8ビットで12/255の多値データを誤差拡散することで得られた2値データを示している。なお、ここでも、「255」が最も高い濃度を表し、0が最も低い濃度を表す。また、図12(b)は、シアンノズル列Aの1パス目の2値化の結果(図12(a))をシアンノズル列Bの1パス目の2値化に反映させた結果得られる、シアンノズル列Bの1パス目のプレーンのドット配置を示す図である。このとき、Kc1Ac1Bは0.5である。これらの図は、記録幅×256画素のサイズの単位で上記図7および図8(a)〜(k)および図9(l)〜(s)で説明したデータ処理により得られた2値画像データのパターンのうち、そのある部分の256画素×256画素の範囲を示している。
図12(a)に示しように、ドットは図1に示すノズル分割パターンAで制限された許容位置にのみ配置されているが、分散性よく配置されている。同様に図12(b)に示すように、シアンの1パス目のノズル列Aの2値化の結果(図12(a))を反映させて、さらにノズル分割パターンBで制限された許容位置にのみ配置されているが、それ単独でも分散よく配置されていくことがわかる。つまりプレーン単独でも元の8ビットのデータに存在しないような低周波成分の偏りが生じ難くなる。
また、図13(a)は、図12(a)と図12(b)に示すドット配置の論理和のドット配置を示す図である。図13(a)に示すように、シアンノズル列Aの1パス目の2値化の結果をシアンノズル列Bの1パス目の2値化に反映させていることから、論理和のドット配置の分散性も高くすることができる。さらに、図13(a)に示される、本実施形態の処理により得られたドット配置は横方向の解像度が高い状態で分散良く配置されているため2値データのドット配置自体の分散性はより高くなっている。
図13(b)は、シアンノズル列Aの1パス目の2値化の結果(図12(a))とシアンノズル列Bの1パス目の2値化の結果(図12(b))をシアンノズル列Bの2パス目の2値化に反映させた場合の、シアンノズル列Bの2パス目のドット配置を示す図である。このドット配置は、シアンノズル列Aの1パス目およびシアンノズル列Bの1パス目の結果を反映させる際の重み付け係数Kc1Ac2B、Kc1Bc2Bをともに0.5とし、それぞれの2値化の結果を反映させたものである。また、図13(c)は、図13(b)に示すシアンノズル列Bの2パス目のドット配置と、図12(a)、図12(b)に示すシアンノズル列Aの1パス目およびシアンノズル列Bの1パス目それぞれのドット配置との論理和のドット配置を示す図である。このように3つのプレーンを重ねたドット配置にもドット配置の偏りがないことがわかる。
図13(d)は、同様に、シアンノズル列Aの1パス目の2値化の結果(図12(a))とシアンノズル列Bの1パス目の2値化の結果(図12(b))とシアンノズル列Bの2パス目の2値化の結果(図13(b))を、シアンノズル列Aの2パス目の誤差拡散処理に反映させた結果である、シアンノズル列Aの2パス目のプレーンにおけるドット配置を示す図である。そして、図13(e)は、図13(d)に示すシアンの2パス目のノズル列Aのドット配置と、図12(a)、図12(b)、図13(b)に示すシアンノズル列Aの1パス目、シアンノズル列Bの1パス目、シアンノズル列Bの2パス目それぞれのドット配置の論理和のドット配置を示す図である。このように4つのプレーンを重ねたドット配置にも偏りがないことがわかる。
以上のように、本実施形態の誤差拡散処理によれば、それぞれのプレーンの2値データ(ドットデータ)が良好に分散されて配置される。さらに、それぞれのプレーンの2値化処理の際に、例えば高い記録解像度を維持しつつ、ノズル列A、Bに関して配置許容される位置にドットデータを配置させることにより、ノズル列あたりのドット配置は横方向の連続データの存在をなくすことが可能になる。このように、ノズル列A、Bそれぞれのノズルの吐出周波数をそのままで2倍の走査速度で記録することが可能となる。あるいは、逆に、ノズル列A、Bそれぞれのノズルの吐出周波数を1/2とすることにより、記録解像度の高い画像を走査速度を低下させることなく記録することが可能となる。
なお、重み付け係数に関して、シアンノズル列Bの2パス目のプレーンの生成に係る重み付け係数は、上述のようにKc1Ac2B、Kc1Bc2Bをともに0.5とすることができる。しかし、他の形態として次のようにすることもできる。
シアンノズル列Bの2パス目のプレーン生成のときの重み付け係数Kは、シアンノズル列Aの1パス目のドット配置に対して、Kc1Ac2B=0.2、シアンノズル列Bの1パス目のドット配置に対してKc1Bc2B=0.5とすることができる。これは、シアンノズル列Bの1パス目でインクを吐出してからシアンノズル列Bの2パス目でインクを吐出するまでの時間よりもシアンノズル列Aの1パス目でインクを吐出してからシアンノズル列Bの2パス目でインクを吐出するまでの時間の方が長いからである。すなわち、シアンノズル列Aの1パス目のドット配置の影響をその分小さくするためである。この場合、1パス目のプレーンのドット配置に対する関連は、1パス目のプレーン同士の関連より弱くなる。
このように、重み付け係数を、各プレーン間のインク吐出タイミングの間隔の大小に応じて定め、この間隔が長いほど重み付け係数の値を小さくしてプレーン間相互の影響を小さくする。これは、上記間隔が長いほど吐出されたインクは記録媒体に吸収されている可能性が高くなるため、記録媒体上で接してグレインが形成される確率が小さくなるからである。また、異なるパス間では、同一ノズル列のプレーン間では重み付け係数を比較的大きくする。これは、同一ノズル列のプレーン間相互の影響を大きくすることによって、同じ同一ノズル列同士の分散性を高めるためである。
上記の実施形態では、各プレーンのドット形成順に、その前に形成される総てのプレーンのドット配置結果を参照し、次のプレーンのドット配置化を決定するものとした。しかし、必要に応じて特定のプレーンのドット配置結果のみを参照してもよい。例えば、シアンノズル列Aの2パス目のプレーンのドット配置を決定する場合に、比較的重なりを避けたいプレーン(シアンノズル列Bの2パス目のプレーン)の結果だけを考慮し、それ以外のプレーン(シアンノズル列Aの1パス目のプレーン、シアンノズル列Bの1パス目のプレーン)の結果は考慮しない形態でもよい。
すなわち、N(Nは2以上の整数)回の走査、K(Kは2以上の整数)色のノズル列に対応したN×K種類の多値の画像データ夫々に対して1番目からNK番目まで順次誤差拡散を行う場合を考える。この場合、1番目からX−1番目までに行われたX−1種類の誤差拡散処理のうち、X−1種類よりも少ない種類の誤差拡散処理の結果に基づいて、X(1<X<NK)番目の誤差拡散処理を行う構成としてもよい。
また、上記の実施形態では、総てのパスを関連付けてドット配置を定めているが、総てのパスを関連付けてドット配置を定める必要はなく、ある特定のパスについてのみ関連付けることも可能である。例えば、ノズル列同士の1パス目についてだけ、上述した特徴的な誤差拡散処理を行う形態であってもよい。更に、ある特定のノズル列を選びだし、その中である特定のパスを関連付けてもよい。
以上のとおり、本実施形態の画像データ生成装置は、記録媒体の単位領域に記録すべき多値の画像データを、第1の多値データと第2の多値データとを含む複数の多値データに分割する。そして、複数の多値データと、単位領域の各画素において記録を示すデータの配置を許容するかどうかを示す複数の配置許容データとに従って、単位領域の各画素の記録または非記録を示す2値データを生成する。このデータ生成において、第1の多値データに対して用いる配置許容データにおける、記録を示すデータの配置を許容することを示すデータの配置は、第2の多値データに対して用いる配置許容データにおける、記録を示すデータの配置を許容することを示すデータの配置と異なる。
さらに、上記データ生成において、誤差拡散処理において、単位領域における注目画素の濃度値が閾値よりも大きい場合、且つ、配置許容データにおいて注目画素に記録を示すデータの配置が許容される場合に、注目画素に記録を示す2値データを生成する。一方、注目画素の濃度値が上記閾値以下の場合、もしくは、配置許容データにおいて注目画素に記録を示すデータの配置が許容されない場合に、前記注目画素に非記録を示す2値データを生成する。
さらに、上記データ生成において、誤差拡散処理において、注目画素の濃度値が閾値よりも大きい場合、且つ、配置許容データにおいて注目画素に記録を示すデータの配置が許容される場合に、注目画素の濃度値と前記閾値との差を前記注目画素の周辺画素に拡散させる。また、注目画素の濃度値が上記閾値以下の場合、もしくは、配置許容データにおいて注目画素に記録を示すデータの配置が許容されない場合には、注目画素の濃度値を前記周辺画素に拡散させる。
以上説明しように、本発明の第一の実施形態によれば、各プレーンのドットが十分に分散して形成される。その結果、インクと記録媒体との相対的な関係から、記録画像が完成されない中間画像の段階でインクの浸透が十分に行われなくても浸透が不十分なインク同士が接触して塊を作る確率は低いものとなり、いわゆるビーディングの発生を抑制することができる。また、仮に、上記の塊が存在し、ノズル列同士でずれて重なることによってビーディングが発生しても、これらの塊やビーディングについても低周波成分が少ない良好に分散した分布となるので、それらが記録画像の品位に及ぼす影響を少なくすることができる。
そして、このように、結果として中間画像の段階でインク浸透が必ずしも十分に行われなくてもよいことを考慮すると、プリンタ104において、各プレーン間の記録時間差、つまり吐出時間差を短くすることが可能となる。マルチパス記録におけるパス数を、例えばインクが十分に浸透することを考慮して4パスとしているところ、より少ない2パスにした記録を実行することができる。さらに、上述したとおり、各プレーンの処理の際にノズル列に関する分割パターンによって配置許容される位置にのみ2値データを配置することにより、ノズル列ごとのドット配置に走査方向の連続データの存在をなくすことが可能になる。
なお、インクと無色透明の液体またはインク同士が混合して、不溶化物を生成する反応系のインク等を用いる記録システムについても、上記と同様の構成を適用することができる。すなわち、反応系インクまたは液体の2値データのプレーンについて、上記と同様の誤差拡散処理を行うことにより、複数のプレーンが重なったもののドット分布を低周波成分の少ない分散性の良好なものとすることができる。これにより、中間画像の段階で、例えば浸透が不十分な隣接するインク等同士が不必要に反応して不溶化物の塊が形成される確率を小さくでき、また、そのような塊ができてもそれを目立たなくすることができる。
(第2実施形態)
上述した第一の実施形態では、2パスで記録する際の記録順序として双方向記録する場合について示したが、記録方向としては片方向記録を用いることもできる。本発明の第二の実施形態は片方向記録に関するものである。
上述した第一の実施形態では、2パスで記録する際の記録順序として双方向記録する場合について示したが、記録方向としては片方向記録を用いることもできる。本発明の第二の実施形態は片方向記録に関するものである。
図14は、図6に示したステップS404、S405およびS406のパス分割、ブロック分割および2値化処理の第二の実施形態の内容を説明する図である。特に、走査ごとの処理順序が同一であり2パス目のドットデータ生成順序が異なっている以外は第一の実施形態と同様に処理を行うものである。
図14において、ステップS403で得られた1画素ごとのシアンの8ビット多値データD8cは、パス分割によってその画素値が1/2であるデータD8c/2に分割される。さらにノズル列分割によって画素値がさらに1/2、すなわち元の1/4であるD8c/4に分割される。これにより、それぞれシアンノズル列Aの1パス目、シアンノズル列Bの1パス目、シアンノズル列Aの2パス目、およびシアンノズル列Bの2パス目それぞれの多値データが生成される。
そして、第一の実施形態と同様の処理によって、シアンノズル列Aの1パス目およびシアンノズル列Bの1パス目の2値データD2c1A、D2c1Bが求められる。
続いて、3番目のシアンノズル列Aの2パス目のプレーン生成では、多値データD8c/4に対して、1、2番目の誤差拡散の結果による補正項(Kc1Ac2A(D8c/4−D2c1A)+Kc1Bc2A(D8c/4−D2c1B))を加える補正をする。そして、補正された多値データ[D8c/4+(Kc1Ac2A(D8c/4−D2c1A)+Kc1Bc2A(D8c/4−D2c1B))]に対して2値化が行われ、シアンノズル列Aの2パス目の2値データD2c2Aが求められる。このときの誤差拡散では図1に示した分割パターンAで示された配置許容位置のみに2値データが配置される。
同様に、4番目のシアンノズル列Bの2パス目のプレーン生成では、多値データD8c/4に対して、1、2、3番目の誤差拡散の結果による補正項(Kc1Ac2B(D8c/4−D2c1A)+Kc1Bc2B(D8c/4−D2c1B)+Kc2Bc2B(D8c/4−D2c2B))を加える補正をする。そして、補正された多値データ[D8c/4+(Kc1Ac2B(D8c/4−D2c1A)+Kc1Bc2B(D8c/4−D2c1B)+Kc2Bc2B(D8c/4−D2c2B))]に対して2値化が行われ、シアンノズル列Aの2パス目の2値データD2c2Bが求められる。同じく、この誤差拡散処理では分割パターンBで示された配置許容位置のみに2値データが配置される。
図15(a)および(b)は、シアンノズル列Aの1パス目およびシアンノズル列Bの1パス目それぞれのプレーンのドット配置を示す図である。これらのドット配置は、上述したように、第一の実施形態と同様に処理される。図15(c)は、図15(a)および(b)に示すドット配置の論理和のドット配置を示す図である。これらの図に示すように、単独のプレーンのドット配置およびそれらの論理和のドット配置のいずれも分散性が高いことがわかる。
図16(a)は、上述した第二の実施形態にかかるシアンノズル列Aの1パス目の2値化の結果(図15(a))とシアンノズル列Bの1パス目の2値化の結果(図15(b))をシアンの2パス目のノズル列Aの2値化に反映させた場合の、シアンノズル列Aの2パス目のプレーンにおけるドット配置を示す図である。このドット配置は、シアンノズル列Aの1パス目およびシアンノズル列Bの1パス目に関する重み付け係数Kc1Ac2B、Kc1Bc2Bをともに0.5とし、図15(a)および(b)の2値化の結果を反映させたものである。また、図16(b)は、図16(a)に示すシアンノズル列Aの2パス目のドット配置と、図15(a)および(b)に示すシアンズル列A、Bそれぞれの1パス目のドット配置の論理和のドット配置を示す図である。このように、3つのプレーンを重ねたドット配置に偏りがないことがわかる。
図16(c)は、シアンノズル列Aの1パス目の2値化の結果(図15(a))とシアンノズル列Bの1パス目の2値化の結果(図15(b))とシアンノズル列Aの2パス目の2値化の結果(図16(a))を、シアンノズル列Bの2パス目の2値化処理に反映させた場合の、シアンノズル列Bの2パス目のプレーンにおけるドット配置を示す図である。また、図16(d)は、図16(c)に示すシアンノズル列Bの2パス目のドット配置と、図15(a)、(b)および図16(a)に示すシアンノズル列Aの1パス目、シアンノズル列Bの1パス目、シアンノズル列Aの2パス目それぞれのドット配置の論理和のドット配置を示す図である。このように4つのプレーンを重ねたドット配置にも偏りがないことがわかる。
なお、第一の実施形態で得られた4つのプレーンを重ねたときのドット配置(図13(e))と第二の実施形態で得られたドット配置(図16(d))はどちらも分散よく配置される。しかし、片方向記録に係る第二の実施形態において、双方向記録に係る第一の実施形態で得られたドット配置を使用して記録を行ったところビーディングが発生することがある。
(第3実施形態)
本発明の第三の実施形態は、間引き記録を上述したカラム間引きによって行うものに関する。図17は、このカラム間引きを説明する図である。図17に示す例のカラム間引きは、1つのインク色について1つのノズル列を用いるともに、2回の走査で異なる画素列(ノズル配列方向の画素列;カラム)を記録するものである。すなわち、それぞれの走査では、ノズル列の各ノズルは1つおきのカラムにおける対応する画素を記録する。このように図17に示す分割パターンは、記録ヘッドの複数回の走査によって記録を行う場合において、複数の走査のうち分割した画像を記録する走査を定めるパターンであり、分割パターンに従った配置許容位置は複数の走査間で排他の関係にあるものである。そして、特許文献1に開示される誤差拡散処理によってドットデータ(2値データ)を生成する際、図17に示すカラム間引きのパターンがドット配置に関して各走査の配置許容位置となる。
本発明の第三の実施形態は、間引き記録を上述したカラム間引きによって行うものに関する。図17は、このカラム間引きを説明する図である。図17に示す例のカラム間引きは、1つのインク色について1つのノズル列を用いるともに、2回の走査で異なる画素列(ノズル配列方向の画素列;カラム)を記録するものである。すなわち、それぞれの走査では、ノズル列の各ノズルは1つおきのカラムにおける対応する画素を記録する。このように図17に示す分割パターンは、記録ヘッドの複数回の走査によって記録を行う場合において、複数の走査のうち分割した画像を記録する走査を定めるパターンであり、分割パターンに従った配置許容位置は複数の走査間で排他の関係にあるものである。そして、特許文献1に開示される誤差拡散処理によってドットデータ(2値データ)を生成する際、図17に示すカラム間引きのパターンがドット配置に関して各走査の配置許容位置となる。
図18は、本発明の第三の実施形態に係わる画像処理の手順を示すフローチャートである。同図に示す処理のうち、ステップS501〜S503は図6にて上述したステップS401〜S403の処理と同様である。図19は、ステップS504およびS505のそれぞれカラム分割および2値化処理の概念を説明する図である。これらの処理が上述した各実施形態と実質的に異なる点は、2値化を行う誤差拡散処理における配置許容位置のパターンの内容である。すなわち、本実施形態は、図17に示したパターンが各走査のプレーンの誤差拡散処理を行うときの配置許容位置となる。詳しくは、黒で示されるカラムは1回目の走査(1パス目)で記録されることから、このカラムの画素は、1パス目のドットデータを生成するときにドットの配置が許容される。一方、斜線で示されるカラムは2回目の走査(2パス目)で記録されることから、このカラムの画素は、2パス目のドットデータを生成するときにドットの配置が許容される。逆に言えば、2値化のための誤差拡散処理では、該当しない走査のドットデータを生成するときに、これらのカラムのパターンがドット配置を制限することになる。
図19に示すように、ステップS503で得られた1画素あたりシアンの8ビット多値データD8cは、カラム分割によってD8c/2の2つのデータに分割される。そして、それぞれシアンの1パス目(カラム0)用の多値データと、シアンの2パス目(カラム1)用の多値データになる。
次に、図7などで上述したのと同様の誤差拡散処理により、シアンの1パス目の2値データ(ドットデータ)D2c1Aが求められる。このときの誤差拡散では、図17における黒で示されるカラムの画素が配置許容位置になり、この位置のみにドットデータが配置される。
次に2番目のシアンの2パス目(カラム1)のプレーンのドットデータ生成では、分割多値データD8c/2に対して、1番目の誤差拡散の結果による補正項(Kc1Ac2B(D8c/2−D2c1A))を加える補正をする。そして、補正された多値データ[D8c/2+(Kc1Ac2B(D8c/2−D2c1A))]に対して誤差拡散処理が行われ、シアンの2パス目の2値データD2c2Bが求められる。このときの誤差拡散処理では、図17における斜線で示されるカラムの画素が配置許容位置になり、この位置のみにドットデータが配置される。
図20(a)〜(i)は、図19にて説明した2値化処理をデータの内容で説明する図である。
図20(a)は、シアンの1パス目の8ビットの多値データD8c/2を示している。図20(b)は、シアンの1パス目の誤差拡散処理における配置許容位置を示す分割パターンを示し黒く塗られている位置が配置許容位置を表している。ここでは、説明を簡単にするため、画素値が100の場合を示している。図20(c)は多値データD8c/2に対する誤差拡散処理によって得られる2値データD2c1Aを示している。図20(c)の2値データは、第1実施形態にて説明したのと同様、図20(b)に示す許容位置を考慮した誤差拡散処理によって求められる。すなわち、図20(c)に示すドットデータは図20(b)の分割パターンAで黒で示される画素(位置)にのみ配置される。
次に、図20(d)は、多値データD8c/2と2値データD2c1Aを用いて生成される補正データを示している。そして、この補正データを第2番目のプレーン生成にかかるシアンの2パス目の多値データD8m/2に加える。このとき、補正データの重み係数としてKc1Ac2Bを用いる。ここで、Kc1Ac1B=1のときは、補正データはそのままシアンの1パス目の多値データに加えられ、Kc1Ac2B=0.5の場合は、補正データはその値の半分がシアンの2パス目の多値データに加えられる。図に示す例では、Kc1Ac2B=0.5としている。図20(e)は、このときの補正データを示す。そして、この図20(e)に示す補正データによって、図20(f)に示すシアンの2パス目の多値データD8c/2を補正する。図20(g)は、この補正後の多値データを示し、図20(e)と図20(f)に示すデータの和として表される。
そして、図20(g)の多値データに対して誤差拡散処理を行うことにより、第2番目のプレーンに係る、図20(i)に示すシアンの2パス目の2値データD2c2Bを得る。このとき、図20(i)に示す2値データは図20(h)に示す分割パターンの許容位置を考慮した誤差拡散処理によって得られる。すなわち、図20(h)の分割パターンにおいて黒で示される位置にのみドットデータが配置される。
以上の第三の実施形態では、高解像度の画像を1回の走査では半分の解像度で高速に記録することがきるとともに、ビーディングの発生を抑制することができる。
なお、上記の第3実施形態では、2パスのドットデータを生成する場合について説明したが、3パス、4パスを始めどのようなパス数でも本発明を適用できる。この場合、上記の実施形態で説明したのと同様に、各インク色および各走査に対応した複数のプレーンの生成において、あるプレーンの処理結果を順次補正項によって別のプレーンに反映させて行く。
さらに、上記の実施形態は、Cインクを用いたマルチパス記録を例にとり説明したが、C、M、Y、Kインクを用い場合のマルチパス記録における、走査回数に応じた複数のプレーンのドットデータ生成についても本発明を適用できることは明らかである。
(他の実施形態)
上記各実施形態では、誤差拡散処理をホスト装置で行うものとして説明したが、本発明の適用はこの形態に限られないことはもちろんである。例えば、図2、図3などで説明した記録装置において実行してもよい。
上記各実施形態では、誤差拡散処理をホスト装置で行うものとして説明したが、本発明の適用はこの形態に限られないことはもちろんである。例えば、図2、図3などで説明した記録装置において実行してもよい。
(さらに他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
100 ホスト装置
103 プリンタドライバ
104 プリンタ
107 HD
108 CPU
109 RAM
110 ROM
103 プリンタドライバ
104 プリンタ
107 HD
108 CPU
109 RAM
110 ROM
Claims (11)
- 画像データ生成装置であって、
記録媒体の単位領域に記録すべき多値の画像データを、第1の多値データと第2の多値データとを含む複数の多値データに分割する分割手段と、
前記複数の多値データと、前記単位領域の各画素において記録を示すデータの配置を許容するかどうかを示す複数の配置許容データとに従って、前記単位領域の各画素の記録または非記録を示す2値データを生成する生成手段と、
を具え、前記生成手段が前記第1の多値データに対して用いる配置許容データにおける、記録を示すデータの配置を許容することを示すデータの配置は、第2の多値データに対して用いる配置許容データにおける、記録を示すデータの配置を許容することを示すデータの配置と異なることを特徴とする画像データ生成装置。 - 前記生成手段は、誤差拡散処理を用いて2値データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像データ生成装置。
- 前記生成手段は、前記誤差拡散処理において、前記単位領域における注目画素の濃度値が閾値よりも大きい場合、且つ、前記配置許容データにおいて前記注目画素に記録を示すデータの配置が許容される場合に、前記注目画素に記録を示す2値データを生成し、前記注目画素の濃度値が前記閾値以下の場合、もしくは、前記配置許容データにおいて前記注目画素に記録を示すデータの配置が許容されない場合に、前記注目画素に非記録を示す2値データを生成することを特徴とする請求項2に記載の画像データ生成装置。
- 前記生成手段は、前記誤差拡散処理において、前記注目画素の濃度値が閾値よりも大きい場合、且つ、前記配置許容データにおいて前記注目画素に記録を示すデータの配置が許容される場合に、前記注目画素の濃度値と前記閾値との差を前記注目画素の周辺画素に拡散させ、前記注目画素の濃度値が前記閾値以下の場合、もしくは、前記配置許容データにおいて前記注目画素に記録を示すデータの配置が許容されない場合には、前記注目画素の濃度値を前記周辺画素に拡散させることを特徴とする請求項3に記載の画像データ生成装置。
- 前記第1の多値データに対して用いる前記配置許容データと、前記第2の多値データに対して用いる前記配置許容データは、それぞれ排他の関係であることを特徴とする請求項1に記載の画像データ生成装置。
- 前記生成手段は、前記複数の多値データから2値データの生成を順次行い、先行して生成された2値データに基づいて後続の2値データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像データ生成装置。
- 前記複数の配置許容データを記憶する記憶手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像データ生成装置。
- 複数のノズル列を備えた記録ヘッドと記録媒体の相対走査により画像を記録するインクジェット記録装置であって、
記録媒体の単位領域に記録すべき多値の画像データを、第1の多値データと第2の多値データとを含む複数の多値データに分割する分割手段と、
前記複数の多値データと、前記単位領域の各画素において記録を示すデータの配置を許容するかどうかを示す複数の配置許容データとに従って、前記単位領域の各画素の記録または非記録を示す2値データを生成する生成手段と、
前記単位領域に対して前記第1の多値データに基づく記録と、前記第2の多値データに基づく記録とを行うように記録を制御する記録制御手段と、
を具え、前記生成手段が前記第1の多値データに対して用いる配置許容データにおける記録を示すデータの配置を許容することを示すデータの配置は、第2の多値データに対して用いる配置許容データにおける記録を示すデータの配置を許容することを示すデータの配置と異なることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記複数のノズル列は、同色のインクを吐出する2列のノズル列を含み、
前記記録制御手段は、前記第1の多値データに基づく記録は前記2列のノズル列のうち一方のノズル列を用いて行い、前記第2の多値データに基づく記録は前記2列のノズル列のうち他方のノズル列を用いて行うように制御することを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。 - 前記記録ヘッドの複数回の相対走査により前記単位領域への記録を行い、
前記記録制御手段は、前記複数回の相対走査のうち、前記第1の多値データに基づく記録は、前記第2の多値データに基づく記録と異なる走査で行うように制御することを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。 - 画像データ生成方法であって、
記録媒体の単位領域に記録すべき多値の画像データを、第1の多値データと第2の多値データとを含む複数の多値データに分割する分割工程と、
前記複数の多値データと、前記単位領域の各画素において記録を示すデータの配置を許容するかどうかを示す複数の配置許容データとに従って、前記単位領域の各画素の記録または非記録を示す2値データを生成する生成工程と、
を有し、前記生成工程において、前記第1の多値データに対して用いる配置許容データにおける記録を示すデータの配置を許容することを示すデータの配置は、第2の多値データに対して用いる配置許容データの記録を示すデータの配置を許容することを示すデータの配置と異なることを特徴とする画像データ生成方法。
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