JP4564979B2 - データ処理装置、記録装置およびマスクパターンの製造方法 - Google Patents

データ処理装置、記録装置およびマスクパターンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、データ処理装置、記録装置およびマスクパターンの製造方法に関する。詳しくは、画像データをドット配置パターンを用いてドットデータに変換し、そのドットデータをマスクを用いて記録ヘッドの複数回の走査それぞれで用いるドットデータに分ける処理に関するものである。
近年来のパーソナルコンピュータ等情報処理機器の普及に伴い、画像形成端末としての記録装置も急速に発展し、また、普及してきた。とりわけ、種々の記録装置の中でも、吐出口からインクを吐出させて紙、布、プラスチックシート、OHP用シートなどの記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置はパーソナルユースの主流となりつつある。これは、低騒音のノンインパクト型の記録方式であること、高密度かつ高速な記録動作が可能であること、カラー記録にも容易に対応できること、低廉であることなど、極めて優れた特長を有しているからである。
インクジェット記録技術の進歩は記録の高画質化、高速化、低廉化を促進し、それによって、パーソナルユーザーにまで記録装置を普及させることに寄与している。また、パーソナルコンピュータやデジタルカメラの普及も記録装置の普及に寄与している。このデジタルカメラには、単体でその機能を果たすもののほか、その他の装置、例えば携帯型電話に一体化されるものも含まれている。しかし、そのような広範な普及により、パーソナルユーザーからも画質のより一層の向上が求められるようになってきている。特に近年では、家庭で手軽に写真をプリントできるようなプリントシステムおよび銀塩写真に見合う画像の品位が求められて来ている。
銀塩写真と比べた場合、インクジェット記録装置では粒状感が従来問題視されていた。そして、この粒状感を低減するための様々な対策が提案されている。例えば、通常のシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの外に、より色材濃度の低いライトシアンやライトマゼンタを加えたインクシステムを備えたインクジェット記録装置が知られている。このような装置では、画像濃度の低い領域でライトシアンやライトマゼンタのインクを用いることによって粒状感を低減している。また、画像濃度の高い領域では通常のシアンインクやマゼンタインクを用いて記録を行うことにより、より広い色再現範囲や滑らかな階調性を実現することを可能としている。
また、記録媒体に形成されるドットの大きさをより小さく設計して粒状感を低減する方法もある。これは、一般には、記録ヘッドの吐出口から吐出されるインク滴を少量化することによって実現するものである。この場合、インク滴の少量化のみならず、より多くの吐出口をより高い配列密度によって構成することにより、記録速度を低下させずに高解像度の画像を記録することが可能となっている。
ところで、記録する画像を表す多値データを、インク滴を吐出して記録媒体にドットを形成するか否かを示す2値データに変換する、いわゆる2値化処理については多くの手法が提案されている。これらのうち、例えば、先ず階調数のレベルを数段階まで低減する量子化処理を行い、その量子化データについて、最終的な2値化を行うといった、2段階の構成で2値化処理を行う記録装置が近年多く提供されている。この場合、ホスト装置が出力する1画素を、複数段階の濃度レベルによって階調表現することになるので、写真画質のような階調性を重視する用途には好適な方法といえる。また、これによって、データ処理の負担を2つの工程ないし処理に分けることができ、結果として、記録解像度やインク色の種類が増すことなどによって処理すべきデータ量が増しても、処理速度の低下を抑えることも可能となる。
このような、一旦数段階レベルの多値データに量子化されたデータを2値データに変換する方法は、いくつか提案され、また、実施されている。例えば、特許文献1には、5段階の階調値を持ち得る1つの入力画素に対し、2×2の各エリアに対して4つのドットの記録・非記録を定めたドット配置パターンを用いることによって2値化する方法が記載されている。また、同文献には、2×2の各エリアに対するドット配置パターンを、同一の階調値に対して複数パターンを用意しておき、これら複数のドット配値パターンを、シーケンシャルにあるいはランダムに用いる方法も記載されている。これによれば、各階調に対するドット配置パターンが固定されず、擬似輪郭や画像のエッジ部に現れるいわゆる「はきよせ現象」などを低減することができる。また、記録ヘッドに設けられた複数の記録素子の使用を平均化することもできる。
また、特許文献2には、同一色のインク滴を吐出しながらも互いに異なる特性を持つ2列の吐出口列を持つ記録ヘッドを用いること、また、この二列の吐出口列を用いて列ごとに記録/非記録を切り替える方法(カラム間引き)を採用することによって記録時間を短縮することが記載されている。さらには、同一の階調値に対してドット配置の異なる複数のドット配置パターンを、様々な弊害のそれぞれに対応して周期的に配列することも開示されている。
ところで、インクジェット記録装置、特に、パーソナルユーザー向けのシリアル型のインクジェット記録装置では、マルチパス記録という記録方法を採用することが多い。
図1は、マルチパス記録を説明する図であり、記録ヘッドおよびその走査による記録パターンを模式的に示している。1001は記録ヘッドを示し、ここでは説明の簡略化のため16個のノズル(吐出口)を有するものとして示している。16個のノズルは、第1〜第4の4つのノズル群に分割され、各ノズル群には4つずつのノズルが含まれる。1002はマスクパターンを示し、パターンにおいて各ノズルが記録を行うことが可能な画素(記録許容画素;すなわち、吐出する旨のデータ“1”をマスクせずにそのデータを出力させるマスクデータのエリア)を黒塗りで示している。4つのノズル群に対応したパターンは互いに補完の関係にあり、これらを重ね合わせると4×4の画素に対応した領域の記録を完成することができる。
1003〜1006で示す各パターンは、記録走査を重ねていくことによって画像が完成されていく様子を示したものである。各記録走査が終了するたびに、記録媒体は図の矢印の方向にノズル群の幅分ずつ搬送される。このように、記録媒体の同一領域(各ノズル群の幅に対応する領域)は4回の記録走査によって画像の記録が完成する。
インクジェット記録ヘッドでは、その製造上、複数のノズル間でインクを吐出する方向や量に僅かなばらつきが生じることが避けがたい。また、シリアル型の記録装置では、各記録走査の間に行われる紙送り量に、構成上の誤差を含むこともある。このようなばらつきや誤差は、記録媒体にインクを吐出し記録したときに、スジや濃度ムラのような画像弊害の原因になる。しかし、上述したようなマルチパス記録を採用することによって、この画像弊害を低減させることができる。各ノズルの吐出特性や搬送量にばらつきがあったとしても、これらのばらつきが複数回の走査に分散され、スジや濃度ムラが目立たなくなる。図1は、同一の画像領域に対して4回の記録走査を行う4パス記録の例を示しているが、マルチパス記録は、これに限定されるものではない。2回の記録走査で画像を完成させる2パス記録であっても、また、5回以上の記録走査で画像を完成させる構成であってもよい。
また、マルチパス記録では、マスクパターンの配列を工夫することによって、各記録走査で記録するドット数を調整したり、問題の発生しやすいノズルの記録頻度を低減したりすることができる。すなわち、上記スジや濃度ムラの解消以外にも、様々な目的に応じた形態を採用することができる。例えば、特許文献3には、マスクにおける記録許容画素の配置パターンを分散性に優れたものが記載されている。マルチパス記録では、ある走査の記録位置が他の走査の記録位置に関して定まる正規の位置からずれると、適用しているマスクパターンの記録許容画素の模様(テクスチャー)が視認されることが知られている。特許文献3に記載のマスクパターンによれば、このような場合でも、分散性に優れ視覚的に好ましいパターンを用いるので、マスクパターンと同じテクスチャーは視覚的に目障りになり難く、すなわち目立ち難くすることができ、画像品位への影響が抑制される。
ところで、特許文献1や特許文献2に記載のドット配置パターンによって2値化されたドットデータを用いてマルチパス記録を実施すると、記録画像によっては濃度ムラが発生したり、マスクパターンの模様がテクスチャーとなって現れたりするという問題がある。
図2は、ドット配置パターンによって2値化した画像データを、マスクを用いて2回の走査それぞれのドットデータを作成する処理を示している。図において、パターン(a)は、ドット配置パターンによって2値化された4つの入力画素を、その2値化に用いたドット配置パターンそのもので示している。4×2の画素で構成される1つのドット配置パターンは、その配置されるドットの数によって1つの階調値を表している。図に示す例では、(ドットが5つの)同じ階調値の4つのドット配置パターンが示されており、それらが2種類のドット配置パターン401、402によって構成されることが示されている。
このドット配置パターンで示される記録画像に対して、2パスのマルチパス用のマスク(b)および(c)を用いてマスク処理を行うと、それぞれの走査で形成されるドットのパターンは、それぞれパターン(d)、(e)のようになる。この図からわかるように、形成されるドットが一方の走査に偏ってしまい、完成した画像に濃度ムラを生じることがある。これは記録画像を構成するドット配置パターンとマスクパターンが同期ないし干渉するからである。また、このような干渉があると、マルチパス記録によるばらつきやスジを低減する効果も十分に発揮できないことにもなる。
特許文献4には、同じような問題に対する一つの対処法が開示されている。同文献には、画像を完成する複数回の走査それぞれにほぼ均等にドットを配分するため、面積階調法によって得られる2値画像としてのドット配列の特定の階調値の配列と同期しない同じデューティーの間引きパターンを用いてドット間引くことが記載されている。これにより、画像を構成するドット配置パターンとマスクパターンの干渉を抑制して、一定の走査にドットが偏って配分されることを防止している。
特開平9−46522号公報 特開2002−29097号公報 特開2002−144552号公報 特開平5−031922号公報
しかしながら、特許文献4に記載の干渉抑制のための構成は、複数回の走査それぞれにおいて形成されるドットの数が均等になるようにすることは可能であるが、それら複数回の走査それぞれで形成されるドットの配置相互の関係を考慮したものではない。このため、例えば、形成されるドットのパターンがある種の幾何学的形状を持ったものとなり、それによって、スジなどが目立ち易くなることがある。
これに関して、特許文献3には、上述したように、マスク処理によるドット配置の分散性が高くなるマスクパターンが開示されている。すなわち、上記のようなスジなどが目立たないようにしたマスクパターンが開示されている。しかし、この特許文献3に記載のマスクパターンは、そのマスクで処理する画像データのドット配置を考慮したものではない。すなわち、そのマスクにおける記録許容画素間の分散のみを考慮したものである。このため、マスク処理する画像が、特に、特許文献1や特許文献2に記載されるような一定のドット配置パターンを有したものであるときは、そのドット配置パターンの影響が複数回の走査に現れてしまうことがある。その場合、それぞれの走査ではマスクに従った分散したドット配置を得ることができるものの、走査間でのドット数の均等配置が実現し難くなる。
さらに、特許文献4の構成では、画像のドット配列が単純な、例えば、4×4画素など比較的少ない画素数の単位で階調を表現している場合は画像のドット配列と非同期のマスクパターンを形成し易い。しかし、比較的多い画素数の単位で階調を表現している場合は、それに応じてドット配列の種類も多くなり、非同期のマスクパターンを形成するのが困難になる。また、同じデューティーを表現するのに複数種類のパターンを持っている場合は特許文献4に記載の方法では対応が困難となる。
本発明の目的は、ドット配置パターンとそれを処理するマスクパターンとの干渉を低減するとともに、そのマスクによるドット配置の分散性を良好にするデータ処理装置、記録装置およびマスク製造方法を提供することにある。
そのために本発明では、記録媒体の同一領域に記録すべき画像を表す2値の画像データに対し、前記同一領域に対する記録ヘッドの複数回の走査に対応した複数のマスクパターンを用いてマスク処理を行うことにより前記複数回走査夫々で記録すべき間引き画像を表す2値の間引き画像データを生成するデータ処理装置であって、前記複数回の走査のうちの最終の走査以外の1回の走査に対応したマスクパターンにおける記録許容画素を示すデータと前記2値の画像データを生成するための2値化処理で使用されるドット配置パターンにおける記録ドットを示すデータとの論理積によって得られる論理積パターンの特性が、下記(a)および(b)を満たすことを特徴とする。ここで、(a)は、前記論理積パターンにおける低周波数領域の周波数成分が高周波数領域の周波数成分より少ない、という特性、(b)は、前記低周波数領域の半分より低周波側にある領域において周波数成分のピークが存在しない、という特性である。
他の形態では、記録媒体の同一領域に記録すべき画像を表す2値の画像データに対し、前記同一領域に対する記録ヘッドの複数回の走査に対応した複数のマスクパターンを用いてマスク処理を行うことにより前記複数回走査夫々で記録すべき間引き画像を表す2値の間引き画像データを生成するデータ処理装置であって、前記複数回の走査のうちの最終の走査以外の1回の走査に対応したマスクパターンにおける記録許容画素を示すデータと前記2値の画像データを生成するための2値化処理で使用されるドット配置パターンにおける記録ドットを示すデータとの論理積によって得られる論理積パターンの特性が、下記(a)および(b)を満たすことを特徴とする。ここで、(a)は、前記論理積パターンにおける低周波数領域の周波数成分が高周波数領域の周波数成分より少ない、という特性、(b)は、前記低周波数領域の1/4より低周波側にある領域において周波数成分のピークが存在しない、という特性である。
さらに他の形態では、記録媒体の同一領域に記録すべき画像を表す2値の画像データに対し、前記同一領域に対する記録ヘッドの複数回の走査に対応した複数のマスクパターンを用いてマスク処理を行うことにより前記複数回走査夫々で記録すべき間引き画像を表す2値の間引き画像データを生成するデータ処理装置であって、前記複数回の走査のうちの最終の走査以外の1回の走査に対応したマスクパターンにおける記録許容画素を示すデータと前記2値の画像データを生成するための2値化処理で使用されるドット配置パターンにおける記録ドットを示すデータとの論理積によって得られる論理積パターンの特性が、下記(a)および(b)を満たすことを特徴とする。ここで、(a)は、前記論理積パターンにおける低周波数領域の周波数成分が高周波数領域の周波数成分より少ない、という特性、(b)は、前記低周波数領域において周波数成分のピークが存在しない、という特性である。
さらに他の形態では、階調値を有する多値の画像データを2値の画像データに変換する2値化処理を行うための2値化手段と、前記2値化手段により得られた2値の画像データから記録ヘッドの複数回の走査夫々で使用される2値の間引き画像データを生成するために、前記2値の画像データに対して前記複数回の走査に対応した複数のマスクパターンを用いてマスク処理を行うためのマスク処理手段と、を有し、前記複数回の走査のうちの最初の走査に対応したマスクパターンにおける記録許容画素を示すデータと、前記2値化処理で使用可能な複数の階調値にそれぞれ対応する複数のドット配置パターンのうちの1つの階調値に対応したドット配置パターンにおける記録ドットを示すデータと、の論理積によって得られる論理積パターンの特性が下記(a)および(b)を満たすことを特徴とする。ここで、(a)は、前記論理積パターンにおける低周波数領域の周波数成分が高周波数領域の周波数成分より少ない、という特性、(b)は、前記低周波数領域の1/4より低周波側にある領域において周波数成分のピークが存在しない、という特性である。
また、記録媒体の同一領域に記録すべき画像を表す2値の画像データから前記同一領域に対する記録ヘッドの複数回の走査のうちの1回の走査記録すべき間引き画像を表す2値の間引き画像データを生成するために用いられるマスクパターンの製造方法であって、前記マスクパターンにおける記録許容画素の配置を定める決定工程を有し、前記決定工程は、前記マスクパターンにおける記録許容画素を示すデータと、前記2値の画像データを生成するための2値化処理で使用可能な複数の階調レベルに対応した複数のドット配置パターンに基づき定められるドットの配置を示すデータと、の論理積により得られる論理積パターンの低周波数成分が少なくなるように、前記複数のドット配置パターンに基づいて前記マスクパターンにおける記録許容画素の配置を変化させ変化工程を含むことを特徴とする。
他の形態では、記録媒体の同一領域に記録すべき画像を表す2値の画像データから前記同一領域に対する記録ヘッドの複数回の走査のうちの1回の走査で記録すべき間引き画像を表す2値の間引き画像データを生成するために用いられるマスクパターンの製造方法であって、前記2値の画像データを生成するための2値化処理で使用可能な複数の階調レベルに対応した複数のドット配置パターンに基づいて、前記マスクパターンにおける記録許容画素の配置を定める決定工程を有し、前記決定工程は、前記記録許容画素の配置を第1の配置に定める第1工程と、前記記録許容画素の配置パターンにおける低周波数成分が少なくなるように、前記複数のドット配置パターンに基づいて前記記録許容画素の配置を前記第1の配置から第2の配置に変化させる第2工程と、を含むことを特徴とする
さらに、マスクパターンの製造方法であって、第1の色のインクを吐出するための第1のノズル群によって記録媒体の同一領域に記録されるべき画像を表す第1の2値画像データから前記同一領域に対する第1のノズル群の複数回の走査のうちの1回の走査で記録されるべき間引き画像を表す2値間引き画像データを生成するために用いられる第1のマスクパターンにおける記録許容画素の配置を定める第1決定工程と、前記第1の色とは異なる第2の色のインクを吐出するための第2のノズル群によって記録媒体の同一領域に記録されるべき画像を表す第2の2値画像データから前記同一領域に対する前記第2のノズル群の複数回の走査のうちの1回の走査で記録されるべき間引き画像を表す2値間引き画像データを生成するために用いられる第2のマスクパターンにおける記録許容画素の配置を定める第2決定工程とを有し、前記第1決定工程は、前記第1の2値画像データを生成するための2値化処理で使用可能な複数の階調値にそれぞれ対応する複数のドット配置パターンのうちの1つの階調値に対応した第1のドット配置パターンにおける記録ドットを示すデータと、前記第1のマスクパターンにおける記録許容画素を示すデータと、の論理積により得られる論理積パターンの低周波数成分が少なくなるように、前記第1のドット配置パターンおよび前記第2のマスクパターンに基づいて前記第1のマスクパターンにおける記録許容画素の配置を変化させる工程を含み、前記第2決定工程は、前記第2の2値画像データを生成するための2値化処理で使用可能な複数の階調値にそれぞれ対応する複数のドット配置パターンのうちの第2のドット配置パターンにおける記録ドットを示すデータと、前記第2のマスクパターンにおける記録許容画素を示すデータと、の論理積により得られる論理積パターンの低周波数成分が少なくなるように、前記第2のドット配置パターンおよび前記第1のマスクパターンに基づいて前記第2のマスクパターンにおける記録許容画素の配置を変化させる工程を含むことを特徴とする。
本発明のマスク処理で用いるマスクパターンの記録許容画素の配置は、ドットパターンとの重なり(論理積)を考慮して製造されたものである。すなわち、ドットパターンと重ねた場合の、マスクパターンの記録許容画素の分布は、低周波成分が少なく良好に分散したものとなる。従って、マスク処理により生成される走査毎のドットデータは、その数が特定の走査に偏ることなく、また、一定領域内で良好に分散したものとなる。そして、この良好な分散性によって、種々の要因によって生じ得るテクスチャーが視覚的に目障りになり難く画像品位への影響が抑制される。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る画像処理装置としてのパーソナルコンピュータ(以下、単にPCとも言う)のハードウェアおよびソフトウェアの構成を主に示すブロック図である。
図3において、ホストコンピュータであるPC3000は、オペレーティングシステム(OS)3002によって、アプリケーションソフトウェア3001、プリンタドライバ3003、モニタドライバ3005の各ソフトウェアを動作させる。アプリケーションソフトウェア3001は、ワープロ、表計算、インターネットブラウザなどに関する処理を行う。モニタドライバ3005は、モニタ3006に表示する画像データを作成するなどの処理を実行する。
プリンタドライバ3003は、アプリケーションソフトウェア3001からOS3002へ発行される各種描画命令群(イメージ描画命令、テキスト描画命令グラフィクス描画命令など)を描画処理して、最終的にプリンタ3004で用いる画像データを生成する。詳しくは、図4以降で後述される画像処理を実行することにより、プリンタ3004で用いるインクのシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)およびブラック(K)それぞれの色成分について5値のインデックスデータを生成する。プリンタ3004では、このインデックスデータに基づき、その5値のそれぞれの値(レベル)に応じたドット配置パターンを出力する。
ホストコンピュータ3000は、以上のソフトウェアを動作させるための各種ハードウェアとして、CPU3008、ハードディスク(HD)3007、RAM3009、ROM3010などを備える。すなわち、CPU3008は、ハードディスク3007やROM3010に格納されている上記のソフトウェアプログラムに従ってその処理を実行し、RAM3009はその処理実行の際にワークエリアとして用いられる。
記録装置としてのプリンタ3004は、インクを吐出する記録ヘッドを記録媒体に対して走査し、その間にインクを吐出して記録を行ういわゆるシリアル方式のプリンタである。記録ヘッドは、C、M、Y、Kそれぞれのインクに対応して用意され、これらがキャリッジに装着されることにより、記録用紙などの記録媒体に対して走査することができる。それぞれの記録ヘッドは、吐出口の配列密度が1200dpiであり、それぞれの吐出口から2ピコリットル(pl)のインク滴を吐出する。また、それぞれの記録ヘッドの吐出口の数は512個である。本実施形態のマルチパス記録方式は、後述される各実施形態に応じたパス数の記録を行う。
図4は、本実施形態の記録システムにおける、画像データの変換処理の流れを説明するブロック図である。図3にて上述したように、本実施形態のプリンタ(記録装置)は、C、M、Y、Kの4色のインクを吐出するためのそれぞれの記録ヘッドJ0010を備える。また、図4に示す各処理は、プリンタとホスト装置としてのパーソナルコンピュータ(PC)において実行される。
アプリケーションJ0001はプリンタで記録する画像データを作成する処理を実行する。そして、記録の際にはアプリケーションで作成された画像データがプリンタドライバに渡される。プリンタドライバはその処理として、前段処理J0002、後段処理J0003、γ補正J0004、ハーフトーニングJ0005、および印刷データ作成J0006を有する。以下に、各処理を簡単に説明する。
前段処理J0002は色域(Gamut)のマッピングを行う。この処理は、sRGB規格の画像データR、G、Bによって再現される色域を、プリンタによって再現される色域内に写像するためのデータ変換を行う。具体的には、R、G、Bのそれぞれが8bitで表現された256階調のデータを、3次元のLUT(ルックアップテーブル)を用いることにより、色域が異なるそれぞれ8bitのR、G、Bデータに変換する。
後段処理J0003は、上記色域のマッピングがなされたR、G、Bデータに基づき、このデータが表す色を再現するインクの組み合わせであるそれぞれ8bitの色分解データY、M、Cを求める。ここでは前段処理と同様に、3次元LUTに補間演算を併用して変換を行う。
γ補正J0004は、後段処理J0003によって求められた色分解データの色成分ごとに、その濃度値(階調値)変換を行う。具体的には、1次元LUTを用い上記色分解データをプリンタの階調特性に線形的に対応づけられるような変換を行う。
ハーフトーニングJ0005は、8ビットの色分解データY、M、Cのそれぞれについて、量子化処理を行い4ビットのデータに量子化する。本実施形態では、多値誤差拡散法を用いて、256階調の8ビットデータを、5階調を表す4ビットデータに変換する。この4ビットデータは、プリンタにおける2値化処理であるドット配置パターンへの変換処理のインデックスとなる階調値情報である。
印刷データ作成処理J0006は、上記4ビットのインデックスデータを内容とする印刷イメージ情報に印刷制御情報を加え印刷データを作成する。
以上のホスト装置による処理によって印刷データがプリンタに送られると、プリンタは、入力した印刷データに対して、ドット配置パターン化処理J0007およびマスクデータ変換処理J0008を行う。
ドット配置パターン化処理J0007は、5値のインデックスデータに基づいてドット配置パターンを出力することにより2値化処理を行う。これにより、プリンタが記録の際に用いる、インクを吐出するか否かの2値情報を得ることができる。
図5は、5値のインデックスデータに応じた本実施形態のドット配置パターンを示す図である。C、M、Y、Kそれぞれのインデックスデータが示す階調レベル0〜階調レベル4の5値のそれぞれについてドットの配置パターンが定められている。
同図に示す縦2画素、横2画素で構成される2×2の出力画素は、ハーフトーン処理で出力された1つの入力画素に対応するものであり、この入力画素は縦横ともに600dpi(ドット/インチ)の画素密度に対応する大きさである。1つの入力画素を構成する複数の画素夫々は、ドットの記録・非記録(インクの吐出・非吐出)が定義される領域である。「黒」で塗りつぶした領域がドットの記録が許容される画素(記録許容画素)を示し、「白」の領域がドットの記録が許容されない画素(非録許容画素)を示している。そして、インデックスデータが示すレベル0〜レベル4のいずれかの値に応じて、ドット記録が定義される記録許容画素の数が定まっている。
これらのドット配置パターンの1つの画素は、本実施形態のプリンタにおける縦が1200dpi、横が1200dpiの記録密度の大きさに対応している。すなわち、本実施形態のプリンタは、縦が約20μm、横が約10μmの1つの画素に対して、各色の記録ヘッドから2plのインク滴を1つずつ吐出して1つのドット形成する仕様となっている。ドット配置パターン化処理J0007は、以上のドット配置パターンを用いて5値データを2値化する処理を行い、各エリアに対応する吐出口や記録するカラムについての「1」または「0」の1ビットの吐出データを生成する。
なお、実際のドット配置パターン化処理を行うときは、図11などにて後述されるように、図5に示す各階調レベルのドット配置パターンにおける「黒」エリアの位置を異ならせた2×2のパターンが、入力画素の位置およびレベルに応じて適用される。
次に、マスクデータ変換処理J0008は、ドット配置パターン化処理J0007により決定された各色のドット配列に対して、互いに補完の関係にある複数のマスクパターンを用いてマスク処理を行う。これにより、C、M、Y、Kの各色についてマルチパスを構成する走査ごとの吐出データを生成する。この処理で用いられるマスクのパターンは、図6以降で詳細を後述するように、ドット配置パターン化処理J0007で用いるドット配置パターンとの干渉を低減したものであり、また、マスク自体の記録許容画素パターンの分散性を高くしたものである。さらに、後述される本発明の第2の実施形態のマスクは、上記の点に加えて、マスク間のパターンの干渉性を低減したものである。
マスク処理によって得られた吐出データは、マルチパス記録における複数回の走査夫々で、適切なタイミングでヘッド駆動回路J0009に供給される。そして、駆動回路J0009に入力した各色の1bitデータは、記録ヘッドJ0010の駆動パルスに変換され、各色の記録ヘッドJ0010から所定のタイミングでインクが吐出される。これにより、吐出データに応じたインク吐出が行われて記録媒体に画像の記録が行われる。なお、本実施形態では、複数の記録モードに対応した複数のマスクデータがプリンタのメモリに格納してある。また、プリンタにおける上述のドット配置パターン化処理やマスクデータ変換処理は、それらに専用のハードウェア回路を用い、記録装置の制御部を構成するCPUの制御の下に実行されているものとする。以上のプリンタにおける主にマスクデータ変換処理を行うプリンタは、データ処理装置を構成する。
以下では、上述の記録システムにおいて用いられあるいは製造される、マスクパターンの製造方法およびそれによるマスクパターンのいくつかの実施形態を説明するが、その前に、マスクパターン製造の基本的な方法やそこで用いる斥力計算などの概念を説明する。
(マスクの製法)
以下の基本的なマスク製造方法の説明では、説明の簡略化のため、記録許容画素が配置されているマスクや、ドットが配置されている、上記マスクと同じサイズのドット配置パターンを、共通に「プレーン」と称する。また、それらパターンに配置されている記録許容画素やドットを単に「ドット」と称する。
本発明の実施形態に係るマスクの製造方法は、このようなドット配置パターンやマスクのプレーンについて、例えば、図6(a)〜(d)に示すように、先ず、プレーンA1、A2、A3の3つのプレーンを規定する。そして、同じプレーン内のドット間や異なるプレーン間に斥力を作用させるとともに、異なるプレーンのドットの重なりを認め、そのような重なり同士の間にも斥力を作用させて、それぞれのプレーン内のドットの配置を定める。
プレーンにおけるドットの配置を定める方法は、大別して、複数のプレーンの配置を同時に定める方法(同時生成)と、プレーンごとに順次定める方法(プレーンごとの生成)の2つの方法のいずれかである。さらに、上記2つの生成方法それぞれについて、具体的にドットの配置を定める仕方として、プレーンの総てのドットを予め所定の配置としこれらを移動させながら、生成されるプレーン全体で分散性を上げて行く方法(以下、「配置移動法」)がある。また、その他に、生成されるプレーン全体で分散性を上げながらドットを1つずつ配置して行く方法(以下、「順次配置法」)も実行することができる。
配置移動法
配置移動法によるドットの配置決定処理の概略は次のとおりである。
例えばドット配置率が50%プレーンのドット配置を定める場合、プレーンA1、A2、A3それぞれについて、1ビットのデータが“1”であるドットがドット配置可能位置の50%に配された初期配置を、例えば、誤差拡散法などの2値化処理によって得る。なお、この2値化の手法を用いてドットの初期配置を得るのは、用いる2値化の手法に応じてある程度、初期状態で分散性のよい配置を得ることができるからであり、これにより、その後の最終的な配置決定までの演算時間ないし収束時間を短くできるからである。換言すれば、本発明を適用する上で初期配置を得る方法は本質ではなく、例えば、プレーンにおいて、1ビットのデータが“1”であるドットをランダムに配置した初期配置であってもよい。
次に、上記のようにして得たそれぞれのプレーンA1、A2、A3の総てのドットについて斥力ポテンシャルを計算する。具体的には、
(i)同一プレーン内のドット間に距離に応じた斥力を与える。
(ii)さらに、異なるプレーン間のドットにも斥力を与える。
(iii)同一プレーンと異なるプレーン間に異なる斥力を与える。
(iv)異なるプレーンのドットの重なりを認め、ドットの重なり(2つのドット重なり、3つのドット重なり、…)同士も組み合わせに応じた斥力を与える。
図7は、本実施形態に係る基本斥力ポテンシャルE(r)の関数を模式的に示す図である。
同図に示すように、本実施形態で規定する斥力関数は、その斥力が及ぶ範囲をr=16(16個分のドットが配置される位置)までとする。このような距離とともに減衰するポテンシャルを用いることにより、基本的に、ドットが接近して配置されるとエネルギーが高い状態、すなわち不安定な状態となり、収束計算の結果、接近した配置はできるだけ選択されないようにすることができる。なお、この斥力の形状は、マスク画素全体に対するドットの割合により決定することがより望ましい。
また、複数のドットが重なるドット配置を考えるとき、ドットを配置できる位置(解像度1200場合の場合は、1インチ四方に1200×1200個の可能位置がある)以上に重ねてドットを配置する。このため、各ドットについて斥力ポテンシャルを計算する際には、ドットの上にドットが重なることを考慮する。このため、r=0において有限の斥力ポテンシャルを持つように関数を定義する。これにより、ドットの重なりをも考慮した分散が可能となる。
本実施形態では、同一プレーンのドット同士に関してαE(r)、異なるプレーン間のドット同士に関してβE(r)、重なるドット同士に関してγs(n)E(r)の斥力ポテンシャルを与えて計算を行う。つまり、あるドットが存在することによるポテンシャルは、距離r以内の範囲にある、同プレーンのドット、異なるプレーンのドット、さらには異なるプレーンの重なるドットについての斥力ポテンシャルが加算される。
上記の斥力ポテンシャルにおいて、係数α、β、γは重み付け係数であり、例えば、α=3、β=1、γ=3の値を用いる。このα、β、γの値によってドットの分散性が影響を受ける。このα、β、γの値は、例えば、実際には実験を行い、マスクを用いて記録される記録画像を参照した最適化により求めることができる。
また、係数s(n)は、重なるドットを分散させるためにγに加えてさらに積算する係数である。この係数s(n)は、重なりが多いほどそれらのドットをより分散させるべく重なりの数に応じた値とするものである。本願発明者等の実験によれば、次の2つの式いずれかによって求められるs(n)を用いることにより、分散に関してよい結果を得ることができる。
Figure 0004564979
すなわち、nを重なりの数とするとき、組合せの数の和をs(n)とするものである。詳細には、斥力を計算する注目ドットに対して重なる(同じプレーンまたは異なるプレーンにおける同じ位置の)ドットを調べるとともに、注目ドットから距離rに位置するドットを調べる。この場合に、注目ドットおよびその画素と同じ位置で重なる他のプレーンのドットと、距離rにある各プレーンのその位置で同じように重なるドットの共通する重なりの数をnとする。そして、これら2つの位置間の重なったドット同士による斥力を考える。
この場合、例えば、ある2つの位置間で第1のプレーン、第2のプレーンおよび第3のプレーンにそれぞれ共通にドットが存在する例を考えると、n=3となる。そして、それらの位置間には3つのドットの重なりに起因する斥力を作用させる。ここで、3つのドットの重なりによる斥力を考えるとき、3つのドットの重なりとともに、2つのドットの重なり同士や1つのドット同士の斥力が多重的に作用すると考える。換言すれば、第3プレーンを考えなければ、第1プレーンと第2プレーンの2つのドットの重なりと考えることができ、また、第2プレーンを考えなければ第1プレーンと第3プレーンの2つのドットの重なりとも考えられる。第1プレーンを考えなければ第2プレーンと第3プレーンの重なりと考えられる。このようなドットが重なることの多重的な効果を計算するために、重なりの組合せによる斥力を定義し上記のようなs(n)を用いる。これによれば、分散性のよいドット配置を得ることができることが実験上確認されている。
上記のようにして、総てのドットの斥力ポテンシャルを合計した総エネルギーが求まると、この総エネルギーを減衰させる処理を行う。
この処理では、総てのドットについて、順に距離rが4以内のドット配置可能位置の中で斥力ポテンシャルが最も下がる画素にドットを移す。このような処理を繰り返していくことによって、総てのドットの斥力ポテンシャルの合計値である総エネルギーを低下させて行く。すなわち、この総エネルギーが順次減少して行く過程は、ドットの配置が順次分散性を高める過程、つまりドット配置の低周波数成分が順次少なくなって行く過程である。
そして、総エネルギーの低下率を計算し、それが所定値以下であると判断すると、エネルギー減衰処理を終了する。なお、この所定値は、例えば、実際に印刷を行った結果をもとに、低周波数成分が適切に抑えられた画像を記録できる低下率として求めることができる。最後に、上記のように総エネルギーの低下率が所定値以下となった状態の各プレーンのドット配置を最終的なドットの配置として設定する。
図6(a)〜(d)は、上述した斥力ポテンシャルの計算と総エネルギーの減衰処理を模式的に示している。詳しくは、3プレーンA1、A2、A3を斜視図で示し、また、特にドットの移動を平面図で示す図である。ここで、最小の正方形はドット配置可能位置を示し、3プレーンの重なりにおいて重なる位置がプレーン間で同じ配置可能位置に対応する。
図6(a)は、同一プレーンにドットが存在する場合にそれらドット間の斥力によってポテンシャルが加えられる(増す)ことを説明する図である。図に示す例では、プレーンA1の注目位置のドットDoと同じプレーンで距離r離れた位置にドットが1個存在する例であり、この場合、α=3が適用され、ドットDoのポテンシャルとして1×αE(r)のポテンシャルが加えられる。
図6(b)は、注目ドットDoとは異なるプレーン(プレーンA2、A3)にドットが存在する場合に、それら2個のドットとの関係で加えられる斥力ポテンシャルを説明する図である。異なるプレーン間のドットとの関係であるから、β=1が適用されドットDoのポテンシャルとしてドット2個分の2×βE(r)のポテンシャルが加えられる。
図6(c)は、上記の2つの場合に加え、異なるプレーンの同一位置にドットが存在してドットの重なりが存在する場合に、それらのドットとの関係で加えられる斥力ポテンシャルを説明する図である。この場合は、図6(a)および(b)の場合に加え、注目ドットDoのプレーンA1と異なるプレーンA3の同じ位置にドットが存在する。これによって、同プレーンの斥力ポテンシャル1×αE(r)と、同じ位置の異なるプレーンの1個のドットによる斥力ポテンシャル1×βE(0)と、異なるプレーンの2個のドットによる斥力ポテンシャル2×βE(r)と、重なる数n=2でγ=3が適用される、重なりによる斥力ポテンシャルγs(2)×E(r)のポテンシャルが加えられる。この結果、図6(c)に示すドット配置において注目ドットDoが存在することによる斥力ポテンシャルの合計は、1×βE(0)+1×αE(r)+2×βE(r)+γs(2)×E(r)となる。
図6(d)は、図6(c)に示すドット配置において、ドットDoを移動させることにより、そのドットの斥力ポテンシャルの合計が変化することを説明する図である。図6(d)に示すように、ドットDo(プレーンA1のドット)が同じプレーンの隣の画素に移ると、そのドットDoが存在することによる斥力ポテンシャルの合計は次のようになる。すなわち、距離がr2、重なり同士の数nが0となることなどにより、斥力ポテンシャルの合計はβE(1)+1×αE(r2)+2×βE(r2)に変化する。そして、図6(c)に示すドット配置の場合の斥力ポテンシャルの合計1×βE(0)+2×βE(r)+1×αE(r)+γs(2)×E(r)と、図6(d)のドットDoが移動したことによる斥力の合計とを比較し、この移動前後の斥力ポテンシャルの合計の変化を知ることができる。
なお、この斥力ポテンシャルの合計は、上記の説明では、2つの位置またはドット移動させたときは3つの位置のドットによるエネルギーの合計を求めるものとしている。しかし、これは説明を簡易にするためであり、実際は、これらのドット以外に存在し得る他の位置のドットを含めたドットとの関係に基づく斥力ポテンシャルの積分として求められるものであることはもちろんである。
図6(a)〜(c)に示したように斥力ポテンシャルの合計が計算される各ドットの中で、例えば、ドットDoが斥力ポテンシャルの合計が最も大きい場合、図6(d)で説明したようにその移動前後の斥力ポテンシャルの変化を求める。そして、移動の前後で最も斥力ポテンシャルの合計が低くなる位置にドットDoを移動させる。このような処理を繰り返すことによって3つのプレーン全体の総エネルギーを下げることができる。すなわち、3つのプレーンの重なりにおいてドット分布が、低周波数成分が少なく良好に分散された配置となる。
そして、このように3つのプレーンA1〜A3の重なりにおいてドットが良好に分散されることによって、例えば、これら3つのプレーンがそれぞれ2パスのマスクであるとき、これらのマスクとそれぞれ補完関係にあるマスクもドットが良好に分散したものとなる。また、それらの6つのプレーンのうち任意の数(2、3、4または5)のプレーンの重なりにおけるドットの分布も、低周波数成分が少ない良好に分散されたものとなる。
なお、上述の配置移動法は、3つのプレーンが2パスのマスクに該当する場合、これら2パスのマスクのうち1パス目に用いる3つのプレーンのマスクについて適用する場合に関するものである。しかし、この方法はこの態様に限られず、総てのプレーンに適用してドットの配置を決定してもよい。例えば、2パス分の6つのプレーンのマスクに配置移動法を適用してもよい。この場合は、ドットを移動させる範囲を近傍位置に限定せずに、他のプレーンのドットとの関係で配置画素を入れ替える移動を許すものとする。具体的には、例えば、あるプレーンのドットを同じプレーンのドットが配置されていない画素に移動させる。これとともに、その移動した画素に対応する他のプレーンの画素に配置されるドットをその同じプレーンの、前者のドットがあった画素に対応する画素に移動させる、といった入れ替えを行う。これにより、斥力ポテンシャルの計算に係わるプレーン総てにおけるドットの配置関係が変化し、ポテンシャルエネルギーが最小となる入れ替え移動が可能となる。
順次配置法
この方法は、上述したように、マスクのプレーンのドットが未だ配置されていない部分に順次ドットを配置して行く方法である。例えば、図6(a)〜(c)に示した3つのプレーンに対して、順次1つずつドットを配置し、それを繰り返すことによってそれぞれのプレーンで、そのプレーンのドット配置率に応じたドット配置を行う。この場合、先ず、ドットを配置しようとするときに、その位置のドットとプレーンA1、A2、A3において既に配置されているドットとの間に発生する斥力ポテンシャルを計算する。斥力ポテンシャルの計算自体は、上述の配置移動法で説明したものと同じである。異なるのは、図6(a)〜(c)に示す例では、ドットDoが同図の位置に既に置いてあるのではなく、ドットDoを新たに置くと仮定したときに既に配置され同じプレーンA1や異なるプレーンA2、A3のドットとの間で斥力ポテンシャルを計算する点である。以上からも明らかなように、未だドットが1つも配置されていない最初の段階では、ドットをどこにおいても斥力ポテンシャルは同じ値となる。
次に、それぞれのプレーン位置に置いたとしたときに計算される斥力ポテンシャルの中で、最小のポテンシャルエネルギーとなる位置を決定する。そして、その最小のエネルギーとなる位置が複数ある場合は、例えば、乱数を用いてその複数の位置の中から1つの位置を決定する。なお、本実施形態では、同じプレーンでは既にドットが配置されている位置には重ねて配置しないという条件の下で、最小エネルギーの位置を決定する。これは、重み付け係数や斥力ポテンシャル関数などのパラメータによっては、斥力ポテンシャルの計算において同じプレーンで重ねた場合の方が他のプレーンのドットとの関係などでエネルギーが最小となることがある。そして、その場合に、プレーンは1つの位置に1つのドットのみが許されるので重なりを禁ずるようにするためである。決定した最小ポテンシャルエネルギーの位置にドットを配置する。すなわち、その画素のマスクデータを“1”とする。そして、3つのプレーンA1、A2、A3について各1つずつドットが配置されたか否かを判定する。配置されていない場合には、上記の処理を繰返す。
プレーンA1、A2、A3とこの順で1つずつドットを配置すると、3つのプレーンそれぞれの全配置可能位置に対して50パーセントまでドットが配置されるまで上記処理を繰り返し、50パーセントまで配置されると本処理を終了する。
以上説明した順次配置法によっても上述した配置移動法と同様の特性を持つプレーンを得ることができる。すなわち、順次配置法による3プレーンは、それらの重なりにおいてもドットが良好に分散されたものとなる。
なお、上述したプレーン製法の他の特徴として、ドットの配置が規則的に繰り返されるような周期パターンが生成されることはない、ということがある。例えば、千鳥パターンやベイヤー型の配置が繰り返されるような周期性を持ったパターンは生成されない。万が一生成されたとしても、斥力ポテンシャルのパラメータを設定し直すことで周期パターンを避ける状態に収束させることができる。このように本実施形態のマスク製法によって生成されるプレーンは非周期のパターンとなる。
以上の説明では、説明の簡略化のため、ドット配置パターンのプレーンとマスクのプレーンを区別しないものとして説明した。しかし、以下の各実施形態で説明するように、斥力の計算では、上記プレーンのうち、ドット配置パターンに該当するプレーンもしくはそのプレーン内のドットは、ドット配置パターンとして予め定められたものである。つまり、ドット配置パターンに該当するプレーンのドットは、固定したものとして扱い、斥力ポテンシャルのエネルギーに応じたドット配置の移動またはドットの配置によって定めるものではない。すなわち、本発明の実施形態は、ドット配置を定める対象はマスクに該当するプレーンであり、その際に、ドット配置パターンに該当するプレーンないしそのドットは斥力計算の対象となる。具体的には、マスクに該当するプレーンのドット配置を定めるに当たり、斥力ポテンシャル計算の重み付け係数αの項はそのマスクに該当するプレーンに適用される。また、係数βおよびγの項は、そのマスクに該当するプレーンと、他のマスクに該当するプレーンやドット配置パターンに該当するプレーンとの間で適用される。
これにより、製造されるマスクにおける記録許容画素の配置は、ドット配置パターンとの相互の干渉を軽減したものになるとともに、マスクの記録許容画素の配置パターン自体も分散性の高いものとなる。
以上説明した、基本的なマスク製法を用いた、本発明のいくつかの実施形態にかかるマスク製造方法を次に説明する。
<実施形態1:2パス記録用100%均等マスク>
本実施形態の概要
本実施形態は、記録素子として、シアン(C)インクを吐出するノズル列を備えた1つの記録ヘッドを用いて、2回の走査で画像を完成させる2パスのマルチパス記録に関する。そして、この2パス記録に用いるマスクは、ドット配置パターンとの干渉が低減されたものであり、また、そのマスクパターン自体が良好に分散したものである。これにより、2回の走査それぞれで記録されるドットはそのドット数に偏りがないものとなる。また、各走査でドットが分散して形成されることから、例えば、記録位置のずれなどがあっても、それによって生じ得るテクスチャーが視覚的に目障りになり難く画像品位への影響が抑制される。
図8は、2パス記録を説明するために、記録ヘッド、マスクパターンおよび記録媒体の主に位置関係を模式的に示す図である。記録ヘッド801はシアンのノズル列を備え、ノズル列は1200dpiの間隔で配列された512個のノズルを含んでいる。2パス記録の場合、それぞれ256個のノズルを含む第1グループおよび第2グループに分割される。各グループには、その製法が後述されるマスク802(2つのマスクC1、C2)が対応付けられており、それぞれのマスクC1、C2の副走査方向(搬送方向)の大きさは各グループのノズル個数と同じ256画素分である。マスクC1とマスクC2は補完関係にあり、これらを重ね合わせると256(横)画素×256(縦)画素に対応した領域の記録を完成することができる。図8に示すように、第1走査において、記録媒体803の領域Aに対してマスクC1を用いて記録を行い、記録媒体が256画素分送られた後、領域Aに対してマスクC2を用いて記録を行う。この2回のパスによって画像の記録が完成する。
マスクの製法
本実施形態にかかるマスクの製造方法を、上述した順次配置法を用いて製造する場合について説明する。
図9は、本実施形態の順次配置法による記録許容画素の配置決定処理を示すフローチャートである。
図9に示す処理は、1つのプレーンに順次記録許容画素を配置して行き、50%の配置率の記録許容画素の配置を行うものである。先ず、ステップS701で、記録許容画素を配置しようとするマスクCのプレーンとドット配置パターンのプレーンを規定し、それらのプレーンにおいて記録許容画素の配置について斥力ポテンシャルを計算する。その際、前述したように、ドット配置パターンに該当するプレーンには、既にドットが配置されており、それらのドットを固定したままそれらのドットとマスクCのプレーンにおいて配置しようとする記録許容画素との間で斥力を計算する。
図10は、マスクCの記録許容画素の配置に関する斥力を計算するための概念を示す図である。斥力の計算において、考慮するドット配置パターン夫々のプレーンP1〜P4は固定パターンである。これらのプレーンP1〜P4のドット配置パターンは、インデックスデータが示すレベルごとに予め定められたものである。マスクCの記録許容画素の配置を定める処理では、マスクパターンCにおける記録許容画素同士の斥力ポテンシャルや、マスクパターンCにおける記録許容画素とプレーンP1〜P4におけるドットの間の斥力ポテンシャルを計算する。そして、前述したように斥力ポテンシャル計算の結果に基づき、マスクCの記録許容画素の配置を定める。
図11は、本実施形態にかかるドット配置パターンを示す図である。この図11に示されるドット配置パターンは、図5にて前述した2画素×2画素の最小単位パターンを縦方向に4個、横方向に4個集めてなるものである。詳しくは、同図に示すパターンは、インデックスデータのレベルごとに(レベル0は図示を省略;総ての画素が「白」)、図5に示す最小単位パターンを回転または反転した関係のパターンを所定の規則で配置したものである。ドット配置パターン化処理J0007では、この8画素×8画素の配置パターンを、記録ヘッドのノズルの数に対応させて縦方向に64回、横方向も同様に64回繰返して得られる512画素×512画素(256最小単位パターン×256最小単位パターン)のサイズのパターンを用いる。このパターンはインデックスデータの階調レベル(0〜4)ごとにメモリに格納されており、パターン化処理に際して、インデックスデータが示す階調レベルに応じて、2画素×2画素の最小単位パターンを読み出す。この際、その読み出す最小単位パターンはそのインデックスデータの位置に応じたものである。そして、この読み出された最小単位のパターンは、次のマスクデータ変換処理J0008(図4)でマスク処理が行われることになる。
上述したインデックスデータが示すレベルごとのドット配置パターンのうち、256画素×256画素のサイズ分のドット配置パターンは、マスクCの256画素×256画素に対応している。そして、マスクCの記録許容画素の配置は、階調レベルごとのドット配置パターンのプレーンP1〜P4を考慮して定められる。具体的には、上述の斥力ポテンシャルの計算を用いて記録許容画素の配置が定められる。但し、考慮するドット配置パターンは、図11に示した8画素×8画素のパターンを繰り返したものではない。これは、詳細が後述されるように斥力ポテンシャルの偏りを予め除くためである。
図12は、マスクCの記録許容画素の配置を定める際の斥力ポテンシャルの計算の対象となるプレーンP1〜P4のドット配置を示す図である。プレーンP1〜P4のドット配置パターンは、図11に示したドット配置パターンを互いに排他的になるように分解したパターンである。具体的には、図11に示す元のドット配置パターン、つまり、図4の処理J0007で用いられるドット配置パターンについて、各階調レベルのドット配置パターンの差分をとったパターン(計算用ドットパターン)である。プレーンP1は、階調レベル1のドット配置パターンのドット(L1)から階調レベル0のドット配置パターンのドット(L0)を除いたパターン(L1−L0)である。同様に、プレーンP2は階調レベル2のパターン(L2)と階調レベル1のパターン(L1)の差分のドットパターンである。また、プレーン3は階調レベル3のパターン(L3)と階調レベル2のパターン(L2)の差分のドットパターンである。さらに、プレーン4は階調レベル4のパターン(L4)と階調レベル3のパターン(L3)の差分のドットパターンである。プレーンP1〜P4は排他のパターンであることから、総てを重ねると階調レベル4と同じ100%の配置率でドットが配置されたものとになる。 ここで、斥力ポテンシャルを計算する際にドット配置パターンを排他的にしたのは、斥力ポテンシャルの値がある領域に偏り、それによって配置される記録許容画素数の偏りおよび分散性の低下を防ぐためである。すなわち、図11に示すドット配置パターンは、レベルが増すときにその前のレベルのドット配置を保存している。このため、斥力ポテンシャルの計算にドット配置パターンそのものを用いる場合は、保存されるドットが異なるプレーン間の重なるドットとしてポテンシャルが計算されることになる。しかし、マスク処理でマスクが適用されるドット配置パターンのドットは、複数のレベルのうちの1つのドットであり、上記のように多重的にマスクと関係もしくは干渉することはない。従って、斥力ポテンシャルの計算においてドット配置パターンそのものを用いる場合は、計算される斥力ポテンシャルの値が実際の関係に対して偏ったものとなり、返って、配置される記録許容画素数の偏りおよび分散性の低下を招くことになる。
なお、上記の例では、階調レベルが増すときその前の階調レベルのドット配置が保存されるドット配置パターンを用いる例を示したが、これに限らず、ドット配置が保存されないドット配置パターンを用いる場合も本発明を適用できる。
図13は、階調レベルが増すときに前の階調レベルのドット配置がそのまま保存されないドット配置パターンの一例を示す図である。図13に示すように、レベル1の配置パターンは、例えば、画素1301、1302にドットが配置されている。この配置に対し、レベルが1つ増したレベル2では、画素1301にはドットが配置されず、レベル1のときのドットが保存されない。一方、画素1302ではレベル1の配置と同様ドットが配置される。このように、前のレベルのドット配置が完全には(そのまま)保存されないドット配置パターンが存在する。
このようにレベルが増すときにドット配置がそのまま保存されないドット配置パターンを用いる場合の、斥力ポテンシャルの計算に用いるパターンは、それらのドット配置パターンとそれぞれの排他パターンを用いる。ドット(の配置)が保存されない画素(例えば、画素1301)は、斥力ポテンシャルの計算においてマスクの記録許容画素に対し、距離を考慮しなければ同等の影響を持つ。一方、ドットが保存される画素(例えば、画素1302)は、斥力計算において重なりを持ちマスクの記録許容画素と多重の関係がある。この点から、斥力計算のプレーンとしてドット配置パターンとその排他のパターンを用いる。
図14は、ドット配置パターンが図13に示すものである場合の斥力ポテンシャルの計算に用いる8つのプレーンを示している。図14において、プレーンP1は図13に示すレベル1のドット配置パターンを有し、プレーン2はそのレベル1のドット配置パターンの排他パターンを有する。同様に、プレーンP3はレベル2のドット配置パターンを、プレーン4はその排他パターンを有する。また、プレーン5はレベル3のドット配置パターンを、プレーン6はその排他パターンを有し、さらに、プレーン7はレベル4のドット配置パターンを、プレーン8はその排他パターンを有する。
図13に示すドット配置パターンを用いるとき、マスクCの記録許容画素の配置を定めるための斥力ポテンシャルの計算は、マスクCのプレーンと、それに対する上記の8つのプレーンをそれらのドット配置が固定されたプレーンに対して行われる。
再び、図9を参照すると、上記のようにして斥力ポテンシャルの計算をした後、ステップS702で、マスクCの配置位置において記録許容画素を置いたとしたときに計算される斥力ポテンシャルの中で、最小のポテンシャルエネルギーとなる位置を決定する。そして、ステップS703では、その最小のエネルギーとなる位置が複数あるか否かを判断する。複数ある場合には、ステップS707で乱数を用いてその複数の位置の中から1つの位置を決定する。そして、ステップS704では、決定した最小ポテンシャルエネルギーの位置に記録許容画素を配置する。
ステップS705では、マスクCのプレーンに配置可能位置の50%まで記録許容画素が配置されたか否かを判定する。50%まで記録許容画素の配置がなされていないときは、ステップS701からの処理を繰り返す。そして、50%の記録許容画素が配置されると本処理を終了する。
以上のようにして、2パスマスクの1パス目のマスクC1を設定すると、これに基づきマスクC1と補完関係にあるマスクC2を定めることができる。
以上のとおり、本実施形態のマスク製法によれば、上述したα、β、γの重み付けに応じて、第1に、製造されたマスクCにおける記録許容画素の配置は分散性の良いものとなる。第2に、マスクCとこのマスクの製造において考慮したドット配置パターンのプレーンP1〜P4の重なりにおいても記録許容画素とドットが良好に分散されたものとなる。すなわち、マスクCに配置される記録許容画素とプレーンP1〜P4それぞれに配置されるドットとの論理積および論理和のいずれも分散したものとなる。この論理積および論理和は、例えば、マスクの256画素×256画素とプレーンP1〜P4それぞれの256画素×256画素を対応付けたときに、それぞれに配置される記録許容画素とドットとの間で求められるものである。
上記の論理和の分散性がよいことによって、マスクC1とこれと補完の関係にあるマスクC2のいずれも、その記録許容画素の配置が図11や図13に示したドット配置パターンに対して分散性がよいことが保証される。これにより、特定の走査に偏ってドットが形成されることを抑制できる。また、上記の論理積の分散性がよいことによって、図11や図13に示したドット配置パターンによるドットデータをマスクC1(C2)を用いてマスク処理して得られるドットパターンの分散性が良いことも保証される。このような本発明の作用は、以下で説明する各実施形態においても当てはまることである。
この結果、図11や図13に示すドット配置パターンによって生成されるドットパターンを記録するときに、本実施形態によるマスクを用いることによって、走査毎に形成されるドットは、その数が特定の走査に偏ることなく、また、良好に分散したものとなる。そして、この良好な分散性によって、種々の要因によって生じ得るテクスチャーが視覚的に目障りになり難く画像品位への影響が抑制される。
マスク特性評価
・本実施形態のマスクと比較例のマスク
図15は、上述した製法によって作製された本実施形態のマスクC1(以下、パターン考慮型積層マスクともいう)の記録許容画素の配置パターンを示す図である。また、図16は、本出願人による特願2005−197873号に開示される、2パス記録用の2つのマスクのプレーン間で、同様に斥力ポテンシャルを計算してそれぞれのプレーンの記録許容画素を定めたマスク(以下、積層マスクという)の一方の配置パターンを示す図である。図15および図16に示されるマスクパターンは256×256の画素を有している。いずれのマスクも記録許容画素の配置パターンの分散性が良く、全体的に滑らかな印象を受ける。
図17、図18および図19は、図15に示した本実施形態のパターン考慮型積層マスクC1の記録許容画素の配置と、図11に示したレベル1、レベル2およびレベル3それぞれのドット配置との論理積演算の結果のドットパターンで示す図である。また、図20、図21および図21は、図16に示した積層マスクの記録許容画素の配置と、同様に、図11に示すレベル1〜レベル3それぞれのドット配置との論理積をドットパターンで示す図である。すなわち、記録の際のドットパターンに相当するレベル1〜レベル3のドットパターンを、2パスマスクのマスクC1を用いてマスク処理するときの1パス(走査)目に打ち込まれるドットパターンを表している。
図17〜図19と図20〜図22に比較して示すように、本実施形態のパターン考慮型積層マスクを用いて記録したドットパターン(図17〜図19)は、図20〜図22に比べて、形成されるドットの配置に偏りが少ないことが分かる。特に、レベルが低いほどマスクによる差が大きいことがわかる。
パワースペクトルによる評価
次に、マスクパターンの周波数特性を示すパワースペクトルによって本実施形態のマスクを評価する。以下で説明するパワースペクトルは、256画素×256画素のサイズを有するマスクパターンについてパワースペクトルを求めたものである。ここで、パワースペクトルは、2次元空間周波数を1次元として扱える、「T. Mitsa and K. J. Parker, “Digital Halftoning using a Blue Noise Mask”, Proc. SPIE 1452, pp.47-56(1991)」に記載のradially averaged power spectrum である。ここで、本願の明細書および特許請求の範囲において、「低周波数成分」とは、周波数の成分(パワースペクトル)が存在する空間周波数領域のうち、その領域の中央より低周波数側にある周波数成分をいう。一方、「高周波数成分」とは、上記領域の中央より高周波数側にある周波数成分をいう。従って、図24を例にとれば、空間周波数「90」付近を堺にして、低周波側(およそ0〜90)が「低周波数領域」、高周波側(およそ91〜180)が「高周波数領域」となる。
また、「低周波数成分が高周波数成分よりも少ない」とは、低周波数領域に存在する周波数成分(低周波数成分)の積分値が高周波数領域に存在する周波数成分(高周波数成分)の積分値よりも小さいことを指す。
図23は、本実施形態のパターン考慮型積層マスクC1と特願2005−197873号(以下、関連出願)に開示される積層マスクそれぞれの周波数特性を説明する図である。図23において、各曲線は、空間周波数に対するそれぞれのマスクパターンのパワースペクトルを示している。曲線bは、本実施形態のパターン考慮型積層マスクのマスクパターンのパワースペクトルを、曲線aは関連出願に開示される積層マスクのマスクパターンのパワースペクトルをそれぞれ示している。この二つの曲線を比較すると、どちらも低周波数領域におけるパワーが少なく、パワーのピークが高周波数領域に存在していることが分かる。このように、ドット配置パターンを考慮した本実施形態のマスクも低周波数成分が少なく低周波数領域にピークがないパターン特性を実現している。
図24は、本実施形態のパターン考慮型積層マスクC1と関連出願に開示される積層マスクを用いて、レベル1のドットパターンを記録するときの1パス目に形成されるパターン(図17および図20)の周波数特性を説明する図である。曲線aは、関連出願で示す積層マスクと図11のレベル1のドット配置パターンとの論理積パターン(つまり、図20の論理積パターン)のパワースペクトルを示している。この曲線でaは、低周波数領域にもピークが存在し低周波数成分が比較的多いものとなっている。低周波数領域にピークが存在するということは、マスクパターンとドット配置パターンが干渉することによって一走査内のドット配置に偏りが生じ、それがノイズとして知覚される可能性があることを意味する。
一方、図24の曲線bは、本実施形態のパターン考慮型積層マスクC1と図11のレベル1のドット配置パターンとの論理積パターン(つまり、図17の論理積パターン)のパワースペクトルを示している。この曲線bでは、低周波数成分が高周波数成分より少ない特性を示しており、とりわけ、低周波数領域に実質的なピークが存在せず低周波数成分が比較的少ないものとなっている。低周波数領域にピークが存在しないということは、マスクパターンとドット配置パターンとの干渉によって生じるドット偏りが殆どなく、1回の走査においてドットが良好に分散された状態で配置されることを意味する。
図24の曲線bの特徴について更に詳述する。一般に、人間の目は、低周波数成分に感度が高く、高周波になるにつれて感度が低下するといった、いわゆるローパスフィルタの特性を持っている。従って、曲線bのように、低周波数領域全域において周波数成分のピ−クが存在しないよう低周波数成分を極力低く抑えることは、ノイズ感低減に有効である。
低周波領域の中でも、とりわけ、ノイズ感知に大きく影響するのは、低周波数領域の中央(半分)より低周波側にある周波数成分、更に厳密に言えば、低周波数領域の1/4より低周波側にある周波数成分である。すなわち、人間の目の感度に関する周波数特性は、記録物と人の目の距離などに依存し、例えば、ドーリイ(Dooley)の文献(「R.P. Dooley:Prediction Brightness Appearance at Edges Using Linear and Non-Liner Visual Describing Functions, SPES annual Meeting (1975)」)などによってこれまで多く論じられている。様々な実験から、およそ9〜10cycles/mmより低い周波数領域の成分が人の目に認識しやすいと言われている。図24の例では、空間周波数「50」がおよそ10cycles/mmに相当し、低周波数領域の中央付近(空間周波数「45」)がおよそ9cycles/mmに相当する。従って、9cycles/mm以下の周波数領域(つまり、低周波数領域の中央(半分)より低周波側の領域)において周波数成分のピークが存在しないように周波数成分を低く抑えることがノイズ感低減には有効であり、この条件を曲線bは満たしている。9cycles/mmから低周波になるにつれて視覚感度は徐々に増加し、およそ4.5cycles/mm(図中の空間周波数「22.5」)付近から視覚感度は急激に増す。そして、1〜2cycles/mm(図中の空間周波数「5〜10」)付近で視覚感度は最大となる。従って、視覚感度が激増するポイントである4.5cycles/mm(図中の空間周波数「22.5」)以下の周波数領域(低周波数領域の1/4より低周波側の領域)において周波数成分のピークが存在しないように周波数成分を低く抑えることは重要である。曲線bではこの条件も満さたれている。
以上のように本実施形態によれば、図24の曲線bに示されるように、低周波数領域の1/4より低周波側の領域(およそ4.5cycles/mm以下の領域)において、低周波数成分のピークが存在しない程度に低周波数成分が低く抑えられている。従って、ノイズ感の少ない画像を得ることが可能となっている。なお、図24の曲線bでは、低周波数領域の半分付近より低周波側の領域全域(9cycles/mm以下の領域)においても、低周波数成分のピークがみられないので、ノイズ感は殆どない。
上記から明らかなように、本実施形態のマスクは、そのマスクにおける記録許容画素の配置とドット配置パターンにおけるドット配置との論理積によって得られる論理積パターンが下記特性(a)並びに(b1)〜(b3)のいずれかを満たすものである。なお、本実施形態では、(a)に加えて、少なくとも(b1)を満たす必要はあり、より好ましくは(b2)を満し、更に好ましくは(b3)を満たすものである。
(a)低周波数領域の周波数成分が高周波数領域の周波数成分より少ない。
(b1)低周波数領域の1/4より低周波側にある領域において周波数成分のピークが存在しない。
(b2)低周波数領域の半分より低周波側にある領域において周波数成分のピークが存在しない。
(b3)低周波数領域全域において周波数成分のピークが存在しない。
このようにドット配置パターン考慮型積層マスクC1は、そのマスクC1における記録許容画素の配置とドット配置パターンにおけるドット配置との論理積によって得られる論理積パターンの低周波数成分が高周波数成分より少なく且つ低周波数成分のピークが存在しない特性を有するパターンとなっている。
そして、このようなパターン考慮積層マスクを用いることにより、ドット配置パターンとの干渉を低減してドット数の偏りを小さくするとともに、分散性の高いマスク処理を行うことができる。また、低周波数成分が低く抑えられていることから、マスク周期に依存するマスクパターンのムラも低減することができる。
<実施形態2:4パス記録用100%均等マスク>
本実施形態の概要
本発明の第二の実施形態は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各インクについて4回の走査(2回の往復走査)で画像を完成させる4パスのマルチパス記録に用いる、パターン考慮型積層マスク関するものである。本実施形態のマスクは、それぞれのマスクが第一の実施形態と同様にインデックスデータによって得られるドット配置パターンとの干渉が低減されたものであるとともに、他のマスクとの干渉も低減されたものである。これによれば、特に、複数回の走査の間に吐出されたインク滴が集まってできるビーディングの発生を低減することが可能となる。
本実施形態では、記録の順番は、シアン1パス目→マゼンタ1パス目→1イエロー1パス目→イエロー2パス目→マゼンタ2パス目→シアン2パス目→シアン3パス目→・・・・・シアン4パス目である。これに従い、用いるマスクの順番としては、C1→M1→Y1→Y2→M2→C2→C3→M3→Y3→Y4→M4→C4となる。本実施形態は、上述したようにマスク間でそのパターンが分散しているので、途中の走査において形成されるドットの分散性が高い画像とし、それによってビーディングの発生を低減する。
マスクの製法
本実施形態のマスクの作成方法は、上述した、パスごとの生成法および順次配置法によってそれぞれのマスクに記録許容画素を配置して行く。
図25は、本実施形態のマスク作成処理を示すフローチャートである。基本的な処理は、図9で説明した第一の実施形態の処理と同じである。異なる点は、配置を定めるマスクが複数(C,M,Y)プレーンになったことと(S2105)、斥力ポテンシャルが最も下がる画素にその注目記録許容画素を配置する際、それまでに作成されたパスのマスクのパターンは固定であることである(S2102)。また、4パス記録のマスクであることから、それぞれの色について、3パス分のマスク(C1、C2、C3;Y1、Y2、Y3;M1、M2、M3)について上記の作成処理を繰返すことはもちろんである。
斥力を計算して配置を定めるマスクが複数の場合、図26に示すように、それぞれの色のマスクパターン生成の際には、その色に対応したドット配置パターンを考慮して斥力ポテンシャルを計算する。例えば、Yのマスクを生成するときは、Yのドット配置パターンと、MおよびCのマスクパターンとの間で斥力ポテンシャルを計算する。すなわち、マスクパターン同士の斥力も計算される。
なお、Yのマスクを生成する際に、M、CおよびYのドット配置パターンと、M、Cのマスクパターンとの間で斥力ポテンシャルを計算してYマスクの記録許容画素を決定してもよい。しかし、生成されたYマスクとYのドット配置パターンとの干渉抑制は前記の方法よりも効果が少なくなる。
各色のマスクパターン生成において考慮するパターンは、第一の実施形態と同様に各色のドット配置パターンである。従って、各色のドット配置パターンが同じでもあるいは異なる場合でも、本発明を適用できることは明らかである。
図27は、本実施形態で用いるドット配置パターンを示す図である。同図に示すように、本実施形態では、それぞれの色で異なるドット配置パターンを用いる。そして、実際の斥力ポテンシャルの計算に用いるパターンは、図28に示すものである。図28は、第一の実施形態で上述したのと同様に、図27に示す各レベルのドット配置パターンの差分をとったドット配置を示し、それぞれのプレーンのドット配置は排他的なものである。
マスクの特性評価
図29〜図31は、本実施形態の上述した製法によって作製された本実施形態の1プレーン分のパターン考慮型積層マスクC1、M1、Y1それぞれの記録許容画素の配置パターンを示す図である。各マスクパターンは、128×256画素の領域を有したものである。これらの図に示すように、どのプレーンのマスクも分散性よく記録許容画素が配置されていることがわかる。
図32〜図34は、それぞれ上記のマスクC1、M1、Y1を用いて、図27に示すレベル1のパターンを記録するときの1パス目で形成されるドットパターンを示す図である。すなわち、本実施形態のパターン考慮型積層マスクC1、M1、Y1の記録許容画素の配置と、図27に示すレベル1のドット配置との論理積をドットパターンで示している。
これら図32〜図34によれば、各マスクとそれぞれに対応したドット配置パターンとの論理積、すなわち、マスク処理によって得られるドットパターンの分散性が良いことが分かる。また、2パス目、3パス目のマスクC2、C3、Y2、Y3、M2、M3も同様に分散性が高くなる。これは、これらのマスクについても同じように対応するドット配置パターンとの間で斥力を計算しているからである。
図35は、所定のレベルのドット配置パターンとそれぞれのマスクC1との論理積のパターンの周波数特性を示す図である。この図に示すように、論理積のパターンは、低周波数成分が高周波数成分よりも少なく且つ低周波数領域の1/4より低周波側の領域においてに実質的なピークが存在しないものとなる。従って、マスクパターンとドット配置パターンとの干渉によって生じるドット偏りが殆どなく、1回の走査においてドットが良好に分散した状態で配置される。
なお、この実施形態2のマスクは、ドット配置パターンとの論理積パターンが図32〜図34のようになるマスクに限定されるわけではなく、実施形態1と同様、下記特性(a)並びに(b1)〜(b3)のいずれかを満たすものとなっていればよい。また、後述する実施形態3〜5についても同様のことがいえる。
(a)低周波数領域の周波数成分が高周波数領域の周波数成分より少ない。
(b1)低周波数領域の1/4より低周波側の領域において周波数成分のピークが存在しない。
(b2)低周波数領域の半分より低周波側の領域において周波数成分のピークが存在しない。
(b3)低周波数領域全域において周波数成分のピークが存在しない。
また、本実施形態では、マスクの記録許容画素の配置を定めるに当たって、本出願人による特願2005−197873号に開示される形態と同様、他のマスクとの干渉もしくは分散をも考慮すべくそれらのマスクとの間でも斥力ポテンシャルを計算する。これによれば、記録を完成する途中の走査において形成されるドットの分散性が高いものとなり、それによってビーディングの発生を低減することができる。
このビーディングは、近年のインクジェット記録システムにおいて、特に発生し易い状況にある。近年のインクジェット記録では、その高速化、高密度化、およびインクの種類の多様化が目覚しく進んでいる。高速化、高密度化、インクの種類の増大化は、単位時間当たりおよび記録媒体の単位面積あたりに付与されるインクの量を増大させる。この様な状況において、記録媒体によっては、たとえ付与される全てのインクを吸収可能であったとしても、吸収がその付与速度に対応しきれない場合がある。具体的には、付与された全てのインクが、結果的には全て吸収され定着性やスミアなどの問題を発生させない場合でも、複数回の走査の途中で記録媒体の表面でまだ吸収されていないインク滴同士が接触し、これが記録画像において問題を引き起こす場合がある。
例えば、表面に光沢のある記録媒体に対し、シアンインクとマゼンタインクで表現されるブルー画像を、2パスのマルチパス記録で記録する場合を考える。シリアル型のインクジェット記録装置の多くは、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの基本4色の吐出口が、並列して記録ヘッドの主走査方向に配置されている。よって、同一の記録走査では記録媒体の同一の領域に各色が付与される。すなわち、上記の場合、白紙の記録媒体に対して、画像データを1/2に間引いたシアンドットと、同じく画像データを1/2に間引いたマゼンタドットとが、同一の記録走査で極短い時間差で付与される。このとき、記録されたシアンドットとマゼンタドットは、両者が同じ記録画素あるいは隣接する画素に記録された場合に、互いの表面張力によって引き合い、2つ分の(或いはそれ以上の)大きなドット(以下、グレインと称す)を形成する。一度このようなグレインが生成されると、その後別の走査で隣接した位置に付与されたインク滴は当該グレインに引き寄せられやすくなる。すなわち、最初に発生したグレインが核となって徐々に成長し、やがて大きなグレインを生成する。このようなグレインは、主にインクの付与量が多い高濃度領域において顕著に現れる。そして、一様な画像領域においては、このようなグレインが不規則に散らばった状態で散在し、いわゆるビーディングという画像弊害となって確認される。
上記グレインの現象は、異色インク同士の表面張力によってのみ生じるものではない。例えば、互いに反応し合う記録剤が同一の記録走査で記録された場合、接触した各滴は、より強固な化学反応によって結合され、これがグレイン核を形成する場合もある。また、同一の記録走査で、同色のインクを2列のノズル列を用いて記録する構成の場合にも、これらの間でグレインが発生する。
本実施形態は、これに対して、マスク間の分散をも考慮することにより、このようなグレインの発生を抑制することが可能となる。
<実施形態3:2パス記録用100%グラデーションマスク>
本発明の第3の実施形態は、グラデーションマスクを用いる場合に、このマスクとドット配置パターンとの干渉を低減し、あるいは分散性を向上させるものに関する。具体的には、上記の各実施形態と同様、本実施形態のグラデーションマスクおよび配置パターンについて斥力ポテンシャルを計算し、記録許容画素の配置を定めるものである。
図36(a)および(b)は、本実施形態に係るグラデーションマスクのノズル配列における位置に対応させた記録率(所定の領域に配置される記録許容画素の割合)、および2パスのマスクパターンを示す図である。本実施形態では、ノズル番号に応じてそのノズルの配列方向において変化する記録率となる数の記録許容画素を配置する。斥力ポテンシャルの計算において考慮するドット配置パターンのプレーンは、第一の実施形態と同様に、図12に示す4つのプレーンP1、P2、P3、P4である。
図36(a)および(b)において、2パス記録の各走査では、番号0〜255のノズルがマスクC2に対応し、番号256〜511のノズルがマスクC1に対応する。
マスクの製法は、基本的には第一の実施形態と同じ方法である。異なる点は、最小エネルギーの画素に記録許容画素を置く際に、ノズルに対応した記録比率に応じて定まるラスターの配置数を超えるときは、配置数の制限以内であるラスターで、次にエネルギーの低い画素があるラスターのその画素に配置する点である。これにより、記録比率をラスターごとに異ならせながら、ドット配置パターンが考慮された分散性の高いグラデーションマスクを得ることができる。
<実施形態4:2パス記録用150%均等マスク>
本発明は、補完の関係にある複数のマスクの記録比率を合わせたときに100%を超える複数のマスクにも適用することができる。本発明の第四の実施形態は、2パス記録に用いられる同色の2つのプレーンがそれぞれ75%の記録比率を持ち、合わせて150%の記録比率となるマスクに関するものである。
本実施形態のマスクの製造方法は基本的に第一の実施形態と同様に行うことができる。異なるのは、1パス目の75%記録率のマスクパターンを作成した後、第一の実施形態のように排他位置に記録許容画素を配置して2パス目のマスクを作成するのではない点である。すなわち、2パス目のマスクについても、1パス目のマスク作成と同様の処理を繰り返して75%のパターンを生成する。
マスク作製の詳細について、順次配置法を用いて以下説明する。基本的には、第一の実施形態に係る図9に示した処理と同様の処理を行う。異なる点は、ステップS705と同様の判断工程で、75%まで記録許容画素が配置されたか否かを判断する。また、2パス目用のマスク作成では、図9のステップS704と同様の工程で、記録許容画素を配置する際に同じ色の異なるプレーンの記録許容画素との重なりを禁止しない。すなわち、エネルギーが最も低い位置に配置しようとしたとき、その位置で同じ色の他のプレーンの記録許容画素と重なってもそこに配置する。これにより、2つのマスクを重ねたものが100%の記録率を超えた150%の記録率のマスクを生成することができる。
図37(a)および(b)は、本実施形態における2パス150%均等マスクの各ノズルに対する記録比率および実際のマスクパターンを示している。考慮されているパターンは実施形態1と同じ図10のパターンである。
図38は、図37(b)に示すマスクC1とマスクC2の論理和を示す図である。図38において、黒で表現されている画素はドットが2つ重ねて形成されている画素、グレーで表現されている画素は1つのドットが形成されている画素である。ここで、ドットが2つ形成される画素は予め指定してマスク作製を行う。
図39は、図37(b)に示すマスクパターンと、本実施形態で用いるレベル1のドット配置パターンとの論理積のドット配置、すなわち、画像データがレベル1のとき1回のパスで形成されるドットパターンを示す図である。この図から、1回の走査で形成されるドットパターンにドットの偏りがなく、また、分散性に優れたパターンとなっていることが分かる。
<実施形態5:クラスタサイズがm×nのマスク>
本発明の第五の実施形態は、m×n個の記録許容画素を1つの単位とする、いわゆるクラスタマスクの作成に関するものである。ここで、mは主走査方向に連続する画素数を示し、nは副走査方向に連続する画素数を示す。
本実施形態では、2パス記録用100%均等マスクにおいて、クラスタサイズが2×2画素の場合について説明する。本実施形態のマスク製造方法は基本的に第一の実施形態と同様に行うことができる。
図40(a)は、本実施形態で用いるドット配置パターンを示す図である。図40(a)に示すパターンは、図11に示したドット配置パターンと同様、2×2画素を単位とした8×8画素のサイズを有するパターンを繰り返し用いるものであるが、図11に示すパターンとは2×2画素の単位の内容やその配置パターンが異なる。具体的には、レベル1〜レベル3のいずれも、図40(b)に示すように、2×2画素の単位をその中のドット配置によってA、B、C、Dと分類したとき、それらの配列順を異ならせたものである。
図41は、図40(a)に示すドット配置パターンに基づく本実施形態のマスク作製において考慮する4つのプレーン示す図である。同図に示すように、プレーンP1〜P4のいずれも、作成するマスクのクラスタサイズに対応して2画素×2画素の領域をドット単位としたものである。また、これらのプレーンのドット単位の配置は、互いに排他関係もしくは補完の関係になっている。これにより、これらプレーンとの間で斥力ポテンシャルの計算によって本実施形態のクラスタマスクにおける記録許容画素の配置を定める際に、偏りのない分散性に優れた配置を得ることができる。
図42は、4つのプレーンP1〜P4を考慮して作成されたマスクC1およびその補完関係のマスクC2を示す図である。また、図43は、図40(a)に示したレベル1のドット配置パターンを、図42に示したマスクC1を用いてマスク処理したときに形成されるドットパターンを示す図である。この図からも明らかなように、形成されるドットパターンにドット数の偏りがなく、また、分散性に優れたものとなる。
以上のように、クラスタマスクの場合もドット配置パターンを考慮することによって、走査によって形成されるドッの数に偏りがなく、また、パターンの分散性が向上する。この分散性が高いことによって、テクスチャーが仮に発生したとしても視覚的に目障りになり難く画像品位への影響が抑制される。
なお、m×n画素を1単位としたクラスタマスクとして、2×2画素を1単位としたマスクについて説明したが、本実施形態はこれに限られるものではない。例えば、1×2画素を1単位としたマスクや2×4画素を1単位としたマスク等を用いることもできる。mとnの値は、mとnがいずれも正の整数で且つmとnの少なくとも一方が2以上の整数であればよい。
<その他の実施形態>
上述の実施形態では、階調レベル1〜4の総てに対応したドット配置パターンを考慮してマスクパターンにおける記録許容画素の配置を決定しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、4レベル中、レベル1〜3、レベル1〜2あるいはレベル1に対応したドット配置パターンを考慮してマスクパターンにおける記録許容画素の配置を決定してもよい。この場合、全レベルのドット配置パターンを考慮する場合に比べて、ドットの分散性の効果は低下するが、ドット配置パターンを全く考慮しない場合よりは分散性の効果は大きい。このように、少なくとも1つの階調レベルに対応したドット配置パターンを考慮してマスクパターンにおける記録許容画素の配置を決定する形態であれば、本発明の範囲に含まれるものである。
また、上述の各実施形態では階調レベルに対応したドット配置パターンを用いる場合について説明したが、本発明の適用はこれに限られない。例えば、繰り返し周期のあるパターンによって記録データが形成される場合、この周期パターンを考慮したマスクを作成し、同様の効果を得ることができる。
また、上述の実施形態では2、4パスについて説明したが、3回以上の走査に対応した何パスでも本発明は適用可能であることは、以上の説明からも明らかである。また、2パスの記録で用いるマスクについては、1色の場合のみを例にとり説明したが、これに限られないことはもちろんである。例えば、C、M、Yそれぞれの2パス記録用のマスクの場合も本発明を適用することができる。これは、例えば、図26にて上述した第二の実施形態のマスク作成からも明らかである。
さらに、上述の各実施形態では、記録装置(プリンタ)が本発明のデータ処理装置として機能してマスク処理およびそれに関連した処理を行うものとしが、本発明の適用が、この構成に限られないことはもちろんである。例えば、マスク処理により生成した各走査用の2値データをプリンタへ供給するデータ供給装置(例えば、図3、図4のホスト装置)が本発明のデータ処理装置として機能し、上記各実施形態で説明したマスクを用いたマスク処理を行う構成であってもよい。
さらに、本発明は、上述した各実施形態の機能を実現する、図9、図25に示したフローチャートの手順を実現するプログラムコード、またはそれを記憶した記憶媒体によっても実現することができる。また、システムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読取られるプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSが実際の処理の一部または全部を行うものであってもよい。
マルチパス記録を説明するために、記録ヘッドおよび記録パターンを模式的に示した図である。 2パス記録によるドット記録パターンを表した図である。 本発明の実施形態に係る画像処理装置としてのパーソナルコンピュータのハードウェアおよびソフトウェアの構成を主に示すブロック図である。 本実施形態で適用する記録システムにおける、画像データ変換処理の流れを説明するためのブロック図である。 本実施形態におけるインデックスデータに基づくドット配値パターンを示す図である。 (a)〜(d)は、上述した斥力ポテンシャルの計算と総エネルギーの減衰処理を模式的に示す図である。 本実施形態に係る基本斥力ポテンシャルE(r)の関数を模式的に示す図である。 本発明の第一の実施形態における2パス記録を説明するための記録ヘッド、マスクパターンおよび記録媒体の位置関係を模式的に示す図である。 第一の実施形態における、順次配置法による記録許容画素の配置処理を示すフローチャートである。 第一の実施形態における、マスクCを計算するための概念図である。 第一の実施形態における、インデックスデータに基づくドット配置パターンを示す図である。 図11に示すドット配置パターンに基づいた、マスク作製の際に考慮するパターンを示す図である。 第一の実施形態における、インデックスデータに基づくドット配置パターンの他の例を示す図である。 図13に示すドット配置パターンに基づいた、マスク作製の際に考慮するパターンを示す図である。 第一の実施形態に係るパターン考慮型マスクにおける記録許容画素の配置パターンを示す図である。 本発明に関連した積層マスクにおける記録許容画素の配置パターンを示す図である。 第一の実施形態における、パターン考慮型積層マスクC1と図11に示したレベル1のドット配置との論理積パターンを示す図である。 第一の実施形態における、パターン考慮型積層マスクC1と図11に示したレベル2のドット配置との論理積パターンを示す図である。 第一の実施形態における、パターン考慮型積層マスクC1と図11に示したレベル3のドット配置との論理積パターンを示す図である。 本発明に関連した積層マスクと図11に示したレベル1のドット配置の論理積パターンを示図である。 本発明に関連した積層マスクと図11に示したレベル2のドット配置の論理積パターンを示図である。 本発明に関連した積層マスクと図11に示したレベル3のドット配置の論理積パターンを示す図である。 第一の実施形態における、パターン考慮型積層マスク(C1)および本発明に関連した積層マスクの周波数特性を説明する図である。 第一の実施形態によるマスクおよび本発明に関連した積層マスクを用いてレベル1のドット配置パターンのマスク処理をして記録するときのそれぞれ1回の走査で形成されるドットパターン(図17、図20)の周波数特性を説明する図である。 本発明の第二の実施形態における、順次配置法による記録許容画素の配置決定処理を示すフローチャートである。 第二の実施形態における、各色のマスクパターン生成を示す概念図である。 第二の実施形態におけるドット配置パターンを示す図である。 第二の実施形態においてマスク生成の際に考慮するパターンを説明する図である。 第二の実施形態によるCのマスクパターンを示す図である。 第二の実施形態によるMのマスクパターンを示す図である。 第二の実施形態によるYのマスクパターンを示す図である。 第二の実施形態における、パターン考慮型積層マスクC1とシアンのレベル1のドット配置との論理積ドットを示すパターンである。 第二の実施形態における、パターン考慮型積層マスクM1とシアンのレベル1のドット配置との論理積ドットを示すパターンである。 第二の実施形態における、パターン考慮型積層マスクY1とシアンのレベル1のドット配置との論理積ドットを示すパターンである。 第二の実施形態2によるマスクを用いてドット配置パターンのマスク処理をして記録するときのそれぞれ1回の走査で形成されるドットパターン(マスクパターンとドット配置パターンの論理積によって得られる論理積パターン)の周波数特性を説明する図である。 (a)および(b)は、本発明の第三の実施形態における、グラデーションマスクのノズル位置に対応させた記録率および2パス記録のマスクパターンを示す図である。 (a)および(b)は、本発明の第四の実施形態における、2パス150%均等マスクの各ノズルに対する記録比率および実際のマスクパターンを示す図である。 第四の実施形態にかかる、図37(b)に示すC1とC2の論理和を示す図である。 第四の実施形態における、図37に示したマスクパターンと、本実施形態で用いたレベル1のドット配置パターンとの論理積のドット配置を示す図である。 (a)および(b)は、本発明の第五の実施形態における、ドット配置パターンおよびその配列を説明する図である。 第五の実施形態における、マスク生成の際に考慮するパターンを説明する図である。 第五の実施形態によって作製した、クラスタサイズ2×2のマスクパターンを示す図である。 第五の実施形態によって作製した図42に示すマスクパターンを用いたときの、1回の走査で記録されるドットパターンを示す図である。
符号の説明
3000 パーソナルコンピュータ(PC:ホストコンピュータ)
3004 プリンタ
J0007 ドット配置パターン化処理
J0008 マスクデータ変換処理
J0009 ヘッド駆動回路
J0010 記録ヘッド

Claims (22)

  1. 記録媒体の同一領域に記録すべき画像を表す2値の画像データに対し、前記同一領域に対する記録ヘッドの複数回の走査に対応した複数のマスクパターンを用いてマスク処理を行うことにより前記複数回走査夫々で記録すべき間引き画像を表す2値の間引き画像データを生成するデータ処理装置であって、
    前記複数回の走査のうちの最終の走査以外の1回の走査に対応したマスクパターンにおける記録許容画素を示すデータと前記2値の画像データを生成するための2値化処理で使用されるドット配置パターンにおける記録ドットを示すデータとの論理積によって得られる論理積パターンの特性が、下記(a)および(b)を満たすことを特徴とするデータ処理装置。
    (a)前記論理積パターンにおける低周波数領域の周波数成分が高周波数領域の周波数成分より少ない
    (b)前記低周波数領域の半分より低周波側にある領域において周波数成分のピークが存在しない。
  2. 記録媒体の同一領域に記録すべき画像を表す2値の画像データに対し、前記同一領域に対する記録ヘッドの複数回の走査に対応した複数のマスクパターンを用いてマスク処理を行うことにより前記複数回走査夫々で記録すべき間引き画像を表す2値の間引き画像データを生成するデータ処理装置であって、
    前記複数回の走査のうちの最終の走査以外の1回の走査に対応したマスクパターンにおける記録許容画素を示すデータと前記2値の画像データを生成するための2値化処理で使用されるドット配置パターンにおける記録ドットを示すデータとの論理積によって得られる論理積パターンの特性が、下記(a)および(b)を満たすことを特徴とするデータ処理装置。
    (a)前記論理積パターンにおける低周波数領域の周波数成分が高周波数領域の周波数成分より少ない。
    (b)前記低周波数領域の1/4より低周波側にある領域において周波数成分のピークが存在しない。
  3. 記録媒体の同一領域に記録すべき画像を表す2値の画像データに対し、前記同一領域に対する記録ヘッドの複数回の走査に対応した複数のマスクパターンを用いてマスク処理を行うことにより前記複数回走査夫々で記録すべき間引き画像を表す2値の間引き画像データを生成するデータ処理装置であって、
    前記複数回の走査のうちの最終の走査以外の1回の走査に対応したマスクパターンにおける記録許容画素を示すデータと前記2値の画像データを生成するための2値化処理で使用されるドット配置パターンにおける記録ドットを示すデータとの論理積によって得られる論理積パターンの特性が、下記(a)および(b)を満たすことを特徴とするデータ処理装置。
    (a)前記論理積パターンにおける低周波数領域の周波数成分が高周波数領域の周波数成分より少ない。
    (b)前記低周波数領域において周波数成分のピークが存在しない。
  4. 階調値を有する多値の画像データを2値の画像データに変換する2値化処理を行うための2値化手段と、
    前記2値化手段により得られた2値の画像データから記録ヘッドの複数回の走査夫々で使用される2値の間引き画像データを生成するために、前記2値の画像データに対して前記複数回の走査に対応した複数のマスクパターンを用いてマスク処理を行うためのマスク処理手段と、を有し
    前記複数回の走査のうちの最初の走査に対応したマスクパターンにおける記録許容画素を示すデータと、前記2値化処理で使用可能な複数の階調値にそれぞれ対応する複数のドット配置パターンのうちの1つの階調値に対応したドット配置パターンにおける記録ドットを示すデータと、の論理積によって得られる論理積パターンの特性が下記(a)および(b)を満たすことを特徴とするデータ処理装置。
    (a)前記論理積パターンにおける低周波数領域の周波数成分が高周波数領域の周波数成分より少ない
    (b)前記低周波数領域の1/4より低周波側にある領域において周波数成分のピークが存在しない。
  5. 階調値を有する多値の画像データを2値の画像データに変換する2値化処理を行うための2値化手段と、
    前記2値化手段により得られた2値の画像データから記録ヘッドの複数回の走査夫々で使用される2値の間引き画像データを生成するために、前記2値の画像データに対して前記複数回の走査に対応した複数のマスクパターンを用いてマスク処理を行うためのマスク処理手段と、を有し、
    前記複数回の走査のうちの最初の走査に対応したマスクパターンにおける記録許容画素を示すデータと、前記2値化処理で使用可能な複数の階調値にそれぞれ対応する複数のドット配置パターンのうち1つの階調値に対応したドット配置パターンにおける記録ドットを示すデータと、の論理積によって得られる論理積パターンの特性が、下記(a)および(b)を満たすことを特徴とするデータ処理装置。
    (a)前記論理積パターンにおける低周波数領域の周波数成分が高周波数領域の周波数成分より少ない。
    (b)前記低周波数領域の半分より低周波側にある領域において周波数成分のピークが存在しない。
  6. 階調値を有する多値の画像データを2値の画像データに変換する2値化処理を行うための2値化手段と、
    前記2値化手段により得られた2値の画像データから記録ヘッドの複数回の走査夫々で使用される2値の間引き画像データを生成するために、前記2値の画像データに対して前記複数回の走査に対応した複数のマスクパターンを用いてマスク処理を行うためのマスク処理手段と、を有し、
    前記複数回の走査のうちの最初の走査に対応したマスクパターンにおける記録許容画素を示すデータと、前記2値化処理で使用可能な複数の階調値にそれぞれ対応する複数のドット配置パターンのうち1つの階調値に対応したドット配置パターンにおける記録ドットを示すデータと、の論理積によって得られる論理積パターンの特性が、下記(a)および(b)を満たすことを特徴とするデータ処理装置。
    (a)前記論理積パターンにおける低周波数領域の周波数成分が高周波数領域の周波数成分より少ない。
    (b)前記低周波数領域において周波数成分のピークが存在しない。
  7. 前記複数回の走査のうちの最初の走査に対応したマスクパターンにおける記録許容画素の配置は、前記ドット配置パターンに基づき定められたものであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のデータ処理装置
  8. 前記最初の走査に対応したマスクパターンにおける記録許容画素の配置は、前記複数の階調値にそれぞれ対応する複数のドット配置パターンに基づき定められたものであることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載のデータ処理装置
  9. 前記最初の走査に対応したマスクパターンにおける記録許容画素の配置は、前記複数の階調値にそれぞれ対応する複数のドット配置パターンに基づいて求められる計算用ドットパターンであってドット配置が相互に排他の関係にある複数の計算用ドットパターンそれぞれのドットの配置基づいて定められたものであることを特徴とする請求項に記載のデータ処理装置。
  10. 前記記録ヘッドは、前記走査の方向と交差する方向に配列された、同じ色のインクを吐出するための複数の記録素子を有し、
    前記マスクパターンは、前記走査の方向および前記記録素子の配列方向の2次元に配列される記録許容画素と非記録許容画素を有し、
    前記複数の記録素子のうちの端部の記録素子に対応した2値の画像データをマスク処理するのに使用されるマスクパターンを構成する記録許容画素の割合は、前記複数の記録素子のうちの中央部の記録素子に対応した2値の画像データのマスク処理に使用されるマスクパターンを構成する記録許容画素の割合よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のデータ処理装置
  11. 前記マスクパターンは、m×n画素を1単位として前記記録許容画素が配置されたものであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のデータ処理装置。
  12. 前記マスク処理手段は、前記複数のマスクパターンの夫々と前記2値の画像データとの論理積を行って前記複数回の走査夫々で用いられる2値の間引き画像データを生成することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のデータ処理装置。
  13. 記録媒体の同一領域に記録すべき画像を表す2値の画像データに対し、前記同一領域に対する記録ヘッドの複数回の走査に対応した複数のマスクパターンを用いてマスク処理を行うことにより、前記複数回の走査夫々で記録すべき間引き画像を表す2値の間引き画像データを生成するデータ処理装置であって、
    前記複数回の走査のうちの最終の走査以外の1回の走査に対応したマスクパターンにおける記録許容画素を示すデータと前記2値の画像データを生成するための2値化処理で使用されるドット配置パターンにおける記録ドットを示すデータとの論理積によって得られる論理積パターンの特性の低周波数領域の周波数成分が高周波数領域の周波数成分より少なく、
    前記最終の走査以外の1回の走査に対応したマスクパターンにおける記録許容画素の配置は、前記ドット配置パターンに基づき定められたものであることを特徴とするデータ処理装置。
  14. 階調値を有する多値の画像データを2値の画像データに変換する2値化処理を行うための2値化手段と、
    前記2値化手段により得られた2値の画像データから記録ヘッドの複数回の走査夫々で使用される2値の間引き画像データを生成するために、前記2値の画像データに対して前記複数回の走査に対応した複数のマスクパターンを用いてマスク処理を行うためのマスク処理手段とを有し、
    前記複数回の走査のうちの最初の走査に対応したマスクパターンにおける記録許容画素を示すデータと、前記2値化処理で使用可能な複数の階調値にそれぞれ対応する複数のドット配置パターンのうちの1つの階調値に対応したドット配置パターンにおける記録ドットを示すデータと、の論理積によって得られる論理積パターンの低周波数領域の周波数成分は高周波数領域の周波数成分より少なく、
    前記最初の走査に対応したマスクパターンにおける記録許容画素の配置は、前記ドット配置パターンに基づき定められたものであることを特徴とするデータ処理装置。
  15. コンピュータを、請求項1乃至14のいずれかに記載のデータ処理装置として機能させるこことを特徴とするプログラム。
  16. 記録媒体の同一領域に記録すべき画像を表す2値の画像データから前記同一領域に対する記録ヘッドの複数回の走査のうちの1回の走査記録すべき間引き画像を表す2値の間引き画像データを生成するために用いられるマスクパターンの製造方法であって、
    前記マスクパターンにおける記録許容画素の配置を定める決定工程を有し、
    前記決定工程は、前記マスクパターンにおける記録許容画素を示すデータと、前記2値の画像データを生成するための2値化処理で使用可能な複数の階調レベルに対応した複数のドット配置パターンに基づき定められるドットの配置を示すデータと、の論理積により得られる論理積パターンの低周波数成分が少なくなるように、前記複数のドット配置パターンに基づいて前記マスクパターンにおける記録許容画素の配置を変化させ変化工程を含むことを特徴とするマスクパターン製造方法。
  17. 前記決定工程は、前記記録許容画素の配置と、前記複数のドット配置パターンに基づいて求められる計算用ドットパターンであってドット配置が相互に排他の関係にある複数の計算用ドットパターンそれぞれのドットの配置と、に基づいて斥力ポテンシャルを計算し、当該斥力ポテンシャルの合計である総ポテンシャルを計算する計算工程を更に有し、
    前記変化工程では、前記計算工程で求められた総ポテンシャルが低下するように、前記記録許容画素の配置を変化させることを特徴とする請求項16に記載のマスクパターン製造方法。
  18. 記録媒体の同一領域に記録すべき画像を表す2値の画像データから前記同一領域に対する記録ヘッドの複数回の走査のうちの1回の走査で記録すべき間引き画像を表す2値の間引き画像データを生成するために用いられるマスクパターンの製造方法であって、
    前記2値の画像データを生成するための2値化処理で使用可能な複数の階調レベルに対応した複数のドット配置パターンに基づいて、前記マスクパターンにおける記録許容画素の配置を定める決定工程を有し、
    前記決定工程は、前記記録許容画素の配置を第1の配置に定める第1工程と、前記記録許容画素の配置パターンにおける低周波数成分が少なくなるように、前記複数のドット配置パターンに基づいて前記記録許容画素の配置を前記第1の配置から第2の配置に変化させる第2工程と、を含むことを特徴とするマスクパターン製造方法
  19. マスクパターンの製造方法であって、
    第1の色のインクを吐出するための第1のノズル群によって記録媒体の同一領域に記録されるべき画像を表す第1の2値画像データから前記同一領域に対する第1のノズル群の複数回の走査のうちの1回の走査で記録されるべき間引き画像を表す2値間引き画像データを生成するために用いられる第1のマスクパターンにおける記録許容画素の配置を定める第1決定工程と、
    前記第1の色とは異なる第2の色のインクを吐出するための第2のノズル群によって記録媒体の同一領域に記録されるべき画像を表す第2の2値画像データから前記同一領域に対する前記第2のノズル群の複数回の走査のうちの1回の走査で記録されるべき間引き画像を表す2値間引き画像データを生成するために用いられる第2のマスクパターンにおける記録許容画素の配置を定める第2決定工程とを有し、
    前記第1決定工程は、前記第1の2値画像データを生成するための2値化処理で使用可能な複数の階調値にそれぞれ対応する複数のドット配置パターンのうちの1つの階調値に対応した第1のドット配置パターンにおける記録ドットを示すデータと、前記第1のマスクパターンにおける記録許容画素を示すデータと、の論理積により得られる論理積パターンの低周波数成分が少なくなるように、前記第1のドット配置パターンおよび前記第2のマスクパターンに基づいて前記第1のマスクパターンにおける記録許容画素の配置を変化させる工程を含み、
    前記第2決定工程は、前記第2の2値画像データを生成するための2値化処理で使用可能な複数の階調値にそれぞれ対応する複数のドット配置パターンのうちの第2のドット配置パターンにおける記録ドットを示すデータと、前記第2のマスクパターンにおける記録許容画素を示すデータと、の論理積により得られる論理積パターンの低周波数成分が少なくなるように、前記第2のドット配置パターンおよび前記第1のマスクパターンに基づいて前記第2のマスクパターンにおける記録許容画素の配置を変化させる工程を含む
    ことを特徴とするマスクパターン製造方法。
  20. 前記複数回の走査のうちの1回の走査は、前記複数回の走査のうちの最終の走査以外の1回の走査であることを特徴とする請求項16乃至19のいずれかに記載のマスクパターン製造方法
  21. 前記複数回の走査のうちの1回の走査は、前記複数回の走査のうちの最初の走査であることを特徴とする請求項16乃至19いずれかに記載のマスクパターン製造方法。
  22. 請求項16乃至21のいずれかに記載のマスクパターン製造方法によって製造されたマスクパターンを用いて、記録媒体の同一領域に記録すべき画像を表す2値の画像データに対しマスク処理を行うことにより、前記同一領域に対する記録ヘッドの複数回の走査のうちの1回の走査で記録されるべき間引き画像を表す2値間引き画像データを生成可能な生成手段を備えることを特徴とするデータ処理装置。
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