JP2010249527A - タイヤの転がり抵抗評価方法、それを用いたタイヤ評価システム及びタイヤの転がり抵抗評価プログラム - Google Patents

タイヤの転がり抵抗評価方法、それを用いたタイヤ評価システム及びタイヤの転がり抵抗評価プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】動的な有限要素解析方法を用いることなく、計算時間が短く実用的な静的有限要素解析方法を用いて、粘弾性材料を含むタイヤの転がり抵抗を、その速度依存性までも含めて、精度良く、簡易に推定し、評価することができるタイヤの転がり抵抗評価方法、それを用いたタイヤ評価システム及びタイヤの転がり抵抗評価プログラムを提供する。
【解決手段】粘弾性材料を含むタイヤを再現する複数の有限要素で表現されたタイヤモデルを用いて、少なくともタイヤモデルに所定の内圧を充填するタイヤ内圧充填処理ステップ及びタイヤモデルに所定の荷重を負荷する荷重負荷ステップを含む静的有限要素解析方法において得られた応力及び歪とその要素における損失係数から転動中のタイヤの転がり抵抗を推定する際に、タイヤ内圧充填ステップ及び荷重負荷ステップに加えて、タイヤを転動させた時に発生する遠心力を計算してタイヤモデルに適用する遠心力計算ステップを行うことにより上記課題を解決する。
【選択図】図2

Description

本発明は、転動中のタイヤの転がり抵抗を評価するためのタイヤの転がり抵抗評価方法、それを用いたタイヤ評価システム及びタイヤの転がり抵抗評価方法を実行するコンピュータが実行可能なプログラムに関する。
従来より、タイヤ、すなわち空気入りタイヤを複数の有限要素に分割した有限要素(FE:Finite Element)モデルを用いてタイヤの所望の状態を再現し、この時の特性物理量を算出してタイヤ特性を評価する方法が種々提案されている。
また、車両の燃費を低減するために、タイヤの転がり抵抗を低減することが、タイヤ開発に強く求められ、上述のように、有限要素法(FEM:Finite Element Method)を用いたシミュレーションによりエネルギロスを解析する方法や、タイヤの転がり抵抗の大小を評価する方法が提案されている。
例えば、本出願人の出願に係る特許文献1には、演算時間が短く実用的な静的有限要素解析方法を用いて、忠実度の高いタイヤなどの回転体発熱エネルギ及び回転体転動抵抗の特性の調査、分析を行う方法が開示されている。
この引用文献1に開示の方法は、計算コストも比較的安価で実用的な静的な有限要素解析方法であるにもかかわらず、タイヤの転がり抵抗を比較的精度良く求めることができる方法である。
なお、引用文献1に開示の方法では、図12に示すように、ゴムなどの粘弾性体からなるタイヤ70に内圧を入れて荷重をかけ変形させ、その時の荷重と空気圧条件における応力と歪みを求めて、両者の位相差を考慮してヒステリシスループ(リサージュ波形)を求め、タイヤの転がり抵抗を推定することができる。すなわち、タイヤに周期的に変化する応力を与えると、発生する歪との間に位相差が生じ、応力との歪の変化により規定されるリサージュ波形が算出される。このリサージュ波形の面積は、タイヤ(粘弾性体)の変形による発熱、すなわち変形により失われるエネルギに相当するので、引用文献1に開示の方法では、リサージュ波形の面積を粘弾性の効果を考慮して求めることにより、忠実度の高いタイヤの発熱エネルギ及びタイヤの転がり抵抗の推定を行うことができるのである。
ここで、引用文献1に開示のタイヤの転がり抵抗の推定方法は、停止状態におけるタイヤの変形を再現しているため、図12に示すように、タイヤ70において、タイヤの接地域71aでは、荷重を受けて太い破線PLのように変形するが、非接地域71bでは、回転によって発生する遠心力を考慮していないため、細い点線PTのように、ほとんど変形しておらず、この停止状態におけるタイヤの変形を基にタイヤの転がり抵抗を推定している。
特開平11−237332号公報
ところで、タイヤの転がり抵抗は、その回転中に起こる損失(発熱によるエネルギ損失)であるので、実際のタイヤにおいては、転がり抵抗を増加させる動的な増幅要因というのが実際にはあることが知られている。
しかしながら、引用文献1に開示の静的な有限要素解析方法では、実際にタイヤを回転させて解析するわけではないので、計算コストは低いものの、動的な増幅要因が転がり抵抗の評価に加味されていないという問題点があった。
一方、実際にタイヤを回転させて行う動的な有限要素解析方法がある。この方法では、実際の使用条件と同じようにタイヤを回転させてシミュレーションするので、動的な増幅要因も再現可能であり、推定精度としては当然高くなるが、計算に数日〜数週間かかるケースが多く、計算コストが非常に高くなることから、実用性に乏しいという問題点がある。
なお、転がり抵抗の動的な増幅要因としては、速度の違いによるタイヤの変形の変化が挙げられ、転がり抵抗は、速度依存性があることが知られている。
さらに、本発明者らの検討によれば、実際のタイヤにおいては、構造の違い、例えば、ベルトカバーの有無などによって、速度依存性が異なることが分かっている。
例えば、図13は、本発明者らの計測によるもので、ベルトカバー材のある構造Fのタイヤ及びベルトカバー材のない軽量化された構造Gのタイヤについて、転がり抵抗を速度20km/h〜80km/hの範囲で測定し、測定値を、横軸に速度[km/h]、縦軸に転がり抵抗の値RR[index]を取って、プロットしたグラフである。なお、図13においては、比較を容易とするために、転がり抵抗は、構造Fのタイヤの速度20km/hの時の転がり抵抗の値RRを100として正規化した指数値として表されている。
図13に示すように、構造Fのタイヤと構造Gのタイヤとの転がり抵抗RRの差は、速度20km/hでは、軽量化による転がり抵抗の低減効果として指数値で24ポイントであるのに対し、速度80km/hでは、指数値で20ポイントとなり、軽量化による低減効果が目減りしており、タイヤの構造の違いにより、転がり抵抗の速度依存性が異なる。
しかしながら、引用文献1に開示の静的な有限要素解析方法によるタイヤの転がり抵抗の推定では、速度の違いによるタイヤの変形、特に、非接地域における変形、いわゆる遠心力によるタイヤのせり上がり(図3参照)を考慮していないために、構造Fのタイヤと構造Gのタイヤも同様な速度依存性を示すことになり、転がり抵抗の値RRの推定精度に劣るという問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、動的な有限要素解析方法を用いることなく、計算時間が短かく実用的な静的有限要素解析方法を用いて、粘弾性材料を含むタイヤの発熱エネルギ、その結果、タイヤの転がり抵抗を精度良く推定することができ、更に、タイヤの転がり抵抗の速度依存性までも精度良く、簡易に推定し、評価することができるタイヤの転がり抵抗評価方法、それを用いたタイヤ評価システム及びタイヤの転がり抵抗評価プログラムを提供するにことある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様のタイヤの転がり抵抗評価方法は、粘弾性材料を含むタイヤを再現する複数の有限要素で表現されたタイヤモデルを用いて、少なくとも、前記タイヤモデルに所定の内圧を充填するタイヤ内圧充填処理ステップ及び前記タイヤモデルに所定の荷重を負荷する荷重負荷ステップを含む静的有限要素解析方法において得られた応力及び歪とその要素における損失係数から転動中のタイヤの転がり抵抗を推定するタイヤの転がり抵抗評価方法であって、前記タイヤ内圧充填ステップ及び前記荷重負荷ステップに加えて、前記タイヤを転動させた時に発生する遠心力を計算して前記タイヤモデルに適用する遠心力計算ステップを行うことを特徴とする。
ここで、前記荷重負荷ステップより前に、前記遠心力計算ステップを行うことが好ましい。
また、前記遠心力計算ステップにて得られる変位、応力及び歪を含む物理量を初期条件として前記荷重負荷ステップを行うことが好ましい。
また、前記タイヤの転がり抵抗の推定ステップは、前記タイヤの各有限要素の応力及び歪を、局所座標系を参照した応力及び歪みに変換する演算を含むことが好ましい。
また、前記タイヤの転がり抵抗の推定ステップは、前記タイヤの各有限要素における応力及び歪とその有限要素の損失係数を用いて、各有限要素の応力及び歪のヒステリシスのリサージュ波形の面積を演算し、全要素のリサージュ波形の全面積の総和によって前記タイヤの転がり抵抗を推定することが好ましい。
また、前記遠心力計算ステップの前に、前記タイヤ内圧充填ステップを行うことが好ましい。
また、前記タイヤの転がり抵抗を推定する推定ステップは、前記タイヤ内圧充填ステップ、前記遠心力計算ステップ及び前記荷重負荷ステップを行って算出された前記タイヤの応力及び歪から前記タイヤ全体の発熱エネルギを算出すると共に、前記タイヤ内圧充填ステップ、前記遠心力計算ステップ及び前記荷重負荷ステップを行って前記タイヤが1回転したときの走行距離を算出し、算出された前記タイヤ全体の発熱エネルギと前記タイヤが1回転したときの走行距離とに基づいてタイヤの転がり抵抗を算出することが好ましい。
また、上記目的を達成するために、本発明の第2の態様のタイヤ評価システムは、上記第1の態様のタイヤの転がり抵抗評価方法を用いたことを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明の第2の態様のタイヤ評価システムは、粘弾性材料を含むタイヤを再現する複数の有限要素で表現されたタイヤモデルを生成するタイヤモデル生成部と、生成されたタイヤモデルに所定の内圧を充填する内圧充填処理部と、前記タイヤを転動させた時に発生する遠心力を計算して前記タイヤモデルに適用する遠心力計算部と、前記タイヤモデルに所定の荷重を負荷する荷重負荷処理部とを備える応力及び歪計算ユニットと、前記応力及び歪計算部において算出された応力及び歪とタイヤの構成材料における損失係数からから前記タイヤ全体の発熱エネルギを計算するタイヤ発熱エネルギ計算ユニットと、前記応力及び歪計算ユニットの計算結果から前記タイヤが1回転したときの走行距離を計算するタイヤ走行距離計算ユニットと、前記タイヤ発熱エネルギ計算ユニットによって算出された前記タイヤ全体の発熱エネルギとタイヤ走行距離計算ユニットによって算出された前記タイヤが1回転したときの走行距離とに基づいてタイヤの転がり抵抗を計算するタイヤの転がり抵抗計算部とを有することを特徴とする。
また、前記タイヤ発熱エネルギ計算ユニットは、タイヤの各有限要素の応力及び歪を、局所座標系を参照した応力及び歪みに変換して断面内の一点における応力及び歪の成分を算出する局所変換部と、この局所変換部で計算された応力及び歪の成分を用いて円周方向に隣接する諸点の応力及び歪を順次演算しタイヤ1周分の応力及び歪を得ることにより応力及び歪の変化特性の曲線を算出するタイヤ1周分の応力・歪算出部と、前記タイヤ1周分の各有限要素における応力及び歪とその有限要素の損失係数を用いて、各有限要素の応力及び歪のヒステリシスのリサージュ波形の面積を算出するリサージュ波形の面積算出部と、各有限要素の算出されたリサージュ波形の面積から発熱エネルギ密度を算出する発熱エネルギ密度算出部と、前記応力及び歪計算ユニットに計算結果から所定領域のタイヤの体積を計算するタイヤ体積計算部と、前記発熱エネルギ密度と前記所定領域のタイヤの体積とを用いて前記タイヤの発熱エネルギを算出するタイヤ発熱エネルギ算出部とを備えることが好ましい。
また、前記タイヤ走行距離計算ユニットは、前記タイヤモデル生成部または前記応力及び歪計算ユニットの前記内圧充填処理部の計算結果から荷重が負荷されていない無負荷タイヤの外半径を算出する荷重無負荷タイヤ外半径算出部と、前記応力及び歪計算ユニットの前記遠心力計算部及び前記荷重負荷処理部の計算結果から遠心力が付与され、荷重が負荷された遠心力付与・荷重負荷タイヤの外半径を算出する遠心力付与・荷重負荷タイヤ外半径算出部と、前記無負荷タイヤの外半径と前記遠心力付与・荷重負荷タイヤの外半径とを用いて前記タイヤが1回転した時の走行距離を算出するタイヤ走行距離算出部とを備えることが好ましい。
また、本発明の第3の態様のタイヤの転がり抵抗評価プログラムは、上記第1の態様のタイヤの転がり抵抗評価方法を実行することを特徴とするコンピュータが実行可能なプログラムを提供する。
本発明のタイヤの転がり抵抗評価方法、それを用いたタイヤ評価システム及びタイヤの転がり抵抗評価プログラムによれば、動的な有限要素解析方法を用いることなく、計算時間が短く実用的な静的有限要素解析方法を用いて、粘弾性材料を含むタイヤの発熱エネルギ、その結果、タイヤの転がり抵抗を精度良く推定することができ、更に、タイヤの転がり抵抗の速度依存性までも精度良く、簡易に推定し、評価することができる。
本発明のタイヤの転がり抵抗評価方法を実施する本発明のタイヤ評価システムの一実施形態を示すブロック図である。 図1に示すタイヤ評価システムのデータ計算部の一実施形態の詳細な構成を示すブロック図である。 図1に示すタイヤ評価システムの対象となる自動車用タイヤの一例の断面形状及びその変形状態の一例を模式的に示す断面図である。 図3に示すタイヤの一部を拡大して示す部分拡大断面図である。 図4に示すタイヤの一部を有限要素モデルでモデル化したタイヤモデルの一例を示す説明模式図である。 (a)及び(b)は、位置に対する粘弾性体の応力と歪の特性曲線及び応力と歪とのリサージュ波形の特性曲線を示すグラフである。 図5に示すタイヤモデルの各要素の局所座標系の局所方向について説明する説明図であり、(a)はクラウン部の要素、(b)はFRRの要素、(c)はサイド部材の要素の局所座標系を示す説明図である。 本発明のタイヤの転がり抵抗評価方法の処理のフローの一例を示すフローチャートである。 図8に示すタイヤの転がり抵抗評価方法の処理のフローを模式的に示す説明図であり、(a)、(b)、(c)及び(d)は、それぞれ内圧・遠心力計算、3D FEモデル作成、荷重計算及び発熱エネルギ演算の各工程を模式的に示す説明図である。 図8に示すタイヤの転がり抵抗評価方法のタイヤ発熱エネルギ計算過程の処理のフローの一例を示すフローチャートである。 本発明の実施例、参考例及び比較例の結果を示すグラフである。 従来のタイヤの転がり抵抗評価方法の対象となる自動車用タイヤの断面形状及びその変形状態を模式的に示す断面図である。 構造の異なるタイヤの転がり抵抗の速度依存性を示すグラフである。
以下、本発明に係るタイヤの転がり抵抗評価方法、それを用いたタイヤ評価システム及びタイヤの転がり抵抗評価プログラムを添付の図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のタイヤの転がり抵抗評価方法を実施する本発明のタイヤ評価システムの一実施形態を示すブロック図である。図2は、図1に示すタイヤ評価システムの詳細な構成、特に、そのデータ計算部の一実施形態の詳細な構成を示すブロック図である。
図1に示すタイヤ評価システム10は、転がり抵抗の動的増幅要因を考慮した静的有限要素解析方法を用いて転動中のタイヤの転がり抵抗の値を算出するタイヤの抵抗評価方法を実施するシステムであって、タイヤ評価システム10及びこのシステム10において実施されるタイヤの転がり抵抗評価方法は、タイヤの材料データや走行条件などの初期データを設定すると共に、タイヤを再現した複数の有限要素で表現されたタイヤモデルを生成し、タイヤモデルに内圧充填処理(インフレート処理とも言う)を施し、タイヤが路面に接地する際にタイヤモデルに設定された接地荷重を負荷する荷重負荷処理(接地処理とも言う)を施すと共に、タイヤが所定速度で転動する時にタイヤの接地していない部分に発生する遠心力をタイヤモデルに付与する処理を施して、タイヤの各要素の応力及び歪みを求め、求められた各要素の応力及び歪みと各要素における損失係数とからタイヤの発熱エネルギを求め、求められた発熱エネルギからタイヤの転がり抵抗を推定するものである。
同図に示すように、タイヤ評価システム10は、タイヤ評価システム10の主要部を構成し、上述した本発明のタイヤの抵抗評価方法を実施して、タイヤの転がり抵抗を算出して推定するタイヤの転がり抵抗計算装置12と、初期データや操作指示などの入力を行うためのマウスやキーボード等の入力操作系や初期データや操作指示などが記憶された記憶媒体の読取装置などの入力装置14と、転がり抵抗計算装置12のタイヤの転がり抵抗値などの計算結果をソフトコピーとして出力する、すなわち表示するLCDなどのディスプレイ、モニタや計算結果などが記録されたハードコピーを出力するプリンタや計算結果などを記憶媒体に書き込む書込装置などの出力装置16とからなる。なお、記憶媒体の読取装置及び書込装置は、読取り及び書込みの両機能を持つ記憶媒体のドライバとして構成されていても良い。
ここで、転がり抵抗計算装置12は、CPU18、メモリ20及び入出力インターフェース(I/OIF)22と、初期データ設定部24と、タイヤモデル生成部26と、データ計算部28と、転がり抵抗計算部30と、これらを相互に接続するデータバス32とを有する。
なお、転がり抵抗計算装置12は、コンピュータによって構成されるものであっても良く、この場合には、初期データ設定部24と、タイヤモデル生成部26と、データ計算部28と、転がり抵抗計算部30は、それぞれ、メモリ20に記憶されたプログラムを読み出すことにより、または、入力装置14によって記憶媒体に記憶されたプログラムを読み出すことにより、初期データ設定モジュール、モデル生成モジュール、データ計算モジュール22、及び転がり抵抗計算モジュールの各プログラムモジュール群として形成されるものであっても良い。
CPU18は、転がり抵抗計算装置12の各部、特に、初期データ設定部24、タイヤモデル生成部26、データ計算部28及び転がり抵抗計算部30の動作を制御管理するとともに、転がり抵抗計算装置12の全体を制御管理するものである。なお、CPU18は、初期データ設定部24、タイヤモデル生成部26、データ計算部28及び転がり抵抗計算部30の各部の処理内容を実質的に演算処理する部分であって良い。
メモリ20は、入力装置14によって入力された、もしくは読み取られたタイヤの材料データや走行条件などの初期データや操作指示などや、初期データ設定部24と、タイヤモデル生成部26と、データ計算部28と、転がり抵抗計算部30で実施される種々のプログラムなどを記憶しておき、または、これらの各部の結果、特に、データ計算部28及び転がり抵抗計算部30による計算結果などを記憶しておくものである。
入出力インターフェース(I/OIF)22は、入力装置14及び出力装置16と、転がり抵抗計算装置12の各部、例えば、CPU18、メモリ20、初期データ設定部24、タイヤモデル生成部26、データ計算部28及び転がり抵抗計算部30との間のデータ送受のためのデータ変換を行う部分である。
初期データ設定部24は、タイヤの転がり抵抗の計算及び評価に際し、入力装置14から入力された形状データ、材料データ、境界データ、荷重データ及び走行速度(タイヤの回転速度)データ等の初期データをI/OIF22及びデータバス32を介して、もしくは、メモリ20から上述の初期データを読み出してデータバス32を介して設定する部分である。
タイヤモデル生成部26は、初期データ設定部24によって設定されたタイヤの形状、材料、境界、荷重、回転速度等の初期データに基づいて後述するタイヤモデルを作成する部分である。
本発明において、タイヤモデル生成部26で作成されるタイヤモデルの対象とされるタイヤについて説明する。
図3は、図1に示すタイヤ評価システム及びタイヤの転がり抵抗評価方法の対象となる自動車用タイヤの一例の断面形状の構成及びその変形状態を模式的に示す断面図である。図4は、図3に示すタイヤの一部、すなわち上側半部を拡大して示す部分拡大断面図である。図5は、図4に示すタイヤの一部(上側半部)を有限要素モデルでモデル化したタイヤモデルの一例を示す説明模式図である。
図3及び図4に示すタイヤ70は、主に、スチールコード等のコード材を粘弾性材料のゴム材で被覆したタイヤ骨材としてのカーカス部材72と、このカーカス部材72の径方向への拡張を抑制し締め付ける、例えばナイロンやポリエステルなどの合成樹脂繊維製やスチール製等のベルト部材74と、ベルト部材74の上側に設けられ、ベルト部材74を被覆して保護する、有機繊維コード等からなるベルトカバー材75と、ベルトカバー材75で被覆されたベルト部材74の径方向外側に設けられ、剛体としてモデル化される路面84と接地するトレッドパターンの形成された、粘弾性材料のゴム材からなるトレッド部材76と、カーカス部材72の端部を巻き上げて、カーカス部材72を固定するとともに、剛体としてモデル化されるリム82への装着を可能とするビード部材78と、側面の表面を覆うサイド部材80とを有する。
このような図4に示すタイヤを有限要素モデルでモデル化した一例を図5に示す。
タイヤモデル生成部26において、図4に示すタイヤ70が、まず、形状データ、材料データ及び境界データを用いて、2次元有限要素(2DFE)でモデル化されて、図5にその半部を示す2次元断面モデルであるタイヤモデル90が作成される(後述の図9(a)参照)。タイヤ70は、図4に示すような同じ断面が1周つながった物であるため、図5に示すタイヤモデル(以下、2DFEモデルともいう)90は、2次元断面モデルとして表されるが、このような2DFEモデルが1周つながった3次元有限要素(3DFE)でモデル化することができる。すなわち、タイヤモデル生成部26では、タイヤ70を形状データ、材料データ及び境界データを用いて立体的にモデル化した3次元タイヤモデル(以下、3DFEモデルともいう)92も作成することができる(図9(b)参照)。
図5に示すタイヤモデル90は、少なくとも、カーカス部材72、ベルト部材74、ベルトカバー材75、トレッド部材76、ビード部材78及びサイド部材80の各構成部材を有限個の要素に分割してタイヤ70を近似したものであり、タイヤモデル90の要素は、三角形、四角形等の固体要素、膜要素あるいはシェル要素によって構成される。
なお、タイヤモデル90は、各要素(各有限要素)の幾何学形状の情報と各要素の節点位置情報とを設定することによって作成され、さらに、各要素の材料定数も設定されて計算可能な有限要素モデルとなる。なお、本発明に用いられる有限要素モデルは、図5に示す例に限定されず、タイヤの転がり抵抗の評価を行うことができれば、どのようなものでも良い。
なお、図5に示すタイヤモデル90は、タイヤ回転軸を含む径方向に沿ってタイヤ10を切断したときの断面形状(タイヤ形状)を表したものであるが、後述するようにタイヤモデル90を用いてタイヤの転がり抵抗の計算を行う場合、図4にその上側半部を示すようなタイヤ形状がタイヤ周上に形成される軸対称モデルとして計算を行う。
本発明においては、図3に実線で示すように、タイヤ70は、リム82に装着されて、タイヤ内部に空気を充填して空気入りタイヤとされ、路面84に接地される。この空気入りのタイヤ70に自動車としての荷重が負荷されると、タイヤ70は、荷重で少しつぶれて、接地側の部分71aの外形TPが、図3に太い破線PLで示すように偏平に変形する、特に、サイド部材80が変形すると共に、さらに、このタイヤ70が所定速度で回転(転動)すると、タイヤ70の非接地側の部分71bの外形TPが、図3に点線PUで示すように回転速度に応じた遠心力によって上(径方向)外側に変形する。
従来技術においては、図3の点線PUで示すような速度に依存する遠心力による変形を考慮に入れていないために、タイヤの正確な転がり抵抗の評価が精度良く出来なかったのは、上述した通りである。
次に、データ計算部28について説明する。データ計算部28は、タイヤモデル生成部26で生成されたタイヤモデル90を用いて、後述するタイヤ転がり抵抗計算部30でタイヤの正確な転がり抵抗を計算するためのタイヤ発熱エネルギを算出する部分である。
図2に示すように、データ計算部28は、タイヤ応力・歪計算ユニット34と、タイヤ発熱エネルギ計算ユニット36と、タイヤ走行距離計算ユニット38とを有する。
また、タイヤ応力・歪計算ユニット34は、タイヤモデル90を用い、空気を入れた状態を表す内圧を充填した空気入りタイヤ70に遠心力を付与しかつ荷重を負荷し、局所座標変換して、接地して転動している状態におけるタイヤ70のタイヤ1周分の応力及び歪を計算する部分であって、内圧充填処理部40と、遠心力計算部42と、荷重負荷処理部44と、局所座標変換部46と、タイヤ1周分の応力及び歪算出部48と、局所座標変換部46とを有する。
内圧充填処理部40は、リム82に装着されたタイヤ70の一部分、例えばビード部材78の周りの部分が部分的に拘束された状態で、タイヤモデル90の内周面側から一様に圧力を負荷する内圧充填処理(インフレート処理)を行う部分である。なお、内圧充填処理で負荷される圧力は、タイヤ70の使用条件としての内圧であるのが好ましいが、タイヤモデル90のモデル化に応じて、予め設定された圧力であっても良い。
遠心力計算部42は、本発明の特徴とする部分であって、内圧充填処理されたタイヤモデル90に、走行速度、すなわちタイヤ70の回転速度に応じた遠心力を計算し、計算された遠心力に応じてタイヤ70の非接地部分に発生する変形(図3に示す点線PU参照)を算出する、すなわちタイヤモデル90に付与される遠心力による応力及び変形による歪を計算する部分である。なお、タイヤモデル90に負荷される遠心力は、タイヤ70の使用条件として求められる遠心力であるのが好ましいが、タイヤ70の使用条件として測定される遠心力であっても良いし、タイヤモデル90のモデル化に応じて、予め設定された遠心力であっても良い。
遠心力計算部42において与えられる遠心力は、タイヤモデル90の各要素毎に任意の走行速度または回転速度に相当する遠心力を予め入力装置14などから初期データとして入力しておく。
例えば、速度V(mm/sec)に相当する遠心力を与える場合、任意の要素の中心点と原点からの外径方向の距離Lを(例えば、タイヤモデル作成時にCAD上などで)求め、角速度ω(rad/sec)=V(mm/sec)÷L(mm)を算出し、ωの2乗を任意の要素毎に設定することができる。また、その際、各要素の質量密度ρを予め、初期データとして入力しておくことも必要である。
こうして初期データとして入力された角速度ω及び各要素の質量密度ρを用いて、ω(ωの2乗)×ρにより、遠心力を計算することができる。なお、解析上、ω(ωの2乗)×ρで指定しても良い。
ここでは、一般的な汎用FE(有限要素)ソルバーの機能として備わっている遠心力の解析手法に準じていれば、遠心力計算は特に制限はない。なお、速度や距離や質量密度の単位系は任意であり、整合さえ取れれば、速度はkm/h、距離はkmでも良い。
本発明では、内圧充填処理部40による内圧充填処理および遠心力計算部42による遠心力計算を、直接3DFEモデルで行っても良いが、まず、後述する図9(a)に示すように、形状データ、材料データ及び境界データを用いて作成された2DFEモデル90で行い、図9(b)に示すように、2DFEモデル90での計算結果(内圧充填時および遠心力付与時の応力・歪・節点変位データ等)を、2DFEモデル90を1周つなげた3DFEモデル92上にマッピングして、3DFEモデル92上で内圧及び遠心力計算を収束させるのが好ましい。これは、2DFEモデル計算の方が、3DFEモデル計算より要素数が少ない為、計算時間が短いからである。しかも、本発明のように、同じ断面が1周つながったタイヤの場合には、内圧充填処理のような内面に均一に圧力がかかる条件や遠心力付与処理のような半径方向に遠心力として力が均一に働く条件では、タイヤ1周分の応力・歪状態は周上どこでも同じと考えられるので、これを利用して、まず始めに2DFEモデル90で計算を行い、その計算結果を3DFEモデル92にマッピングすることにより、3DFEモデル92での計算時間を大幅に短縮することができる。このように、2DFEモデル90での計算結果を3DFEモデル92にマッピングして3DFEモデル92での計算時間を短縮する解析方法は、本発明に必須ではないが、一般的な汎用FEソルバーの機能として備わっているものを用いることができ、適用は容易であるので、計算時間短縮の点からは用いるのが好ましい。
本発明では、こうして、内圧充填処理部40及び遠心力計算部42で3DFEモデル92における内圧及び遠心力の計算を終了後に、図9(c)に示すように、後述する荷重負荷処理部44で3DFEモデル92に荷重負荷処理を施して3DFEモデル92における荷重計算を行う。
なお、図示例では、内圧充填処理部40及び遠心力計算部42をそれぞれ設け、内圧計算(内圧充填処理)と遠心力計算とをそれぞれで行っているが、両者を内圧及び遠心力計算部として構成して両計算を一緒に行っても良い。
荷重負荷処理部44は、図9(c)に示す例では、内圧充填処理及び遠心力付与がなされたタイヤモデル(3DFEモデル)92に、荷重を負荷する荷重負荷処理、より具体的には、荷重を負荷して路面84に接地させる接地処理を行う部分であり、負荷された荷重に応じてタイヤ70の接地部分に発生する変形(図3に示す太い破線PL参照)を算出する、すなわちタイヤモデル92に負荷される荷重による応力及び変形による歪を計算する部分である。なお、タイヤモデル92に負荷される荷重は、タイヤ70の使用条件として求められる荷重であるのが好ましいが、タイヤ70の使用条件として測定される荷重であっても良いし、タイヤモデル92のモデル化に応じて、予め設定された荷重であっても良い。
本発明においては、遠心力計算部42による遠心力及びそれによる変形の計算は、内圧充填処理部40による内圧充填処理の後であり、荷重負荷処理部44による荷重負荷処理及びそれによる変形の計算の前であるのがより好ましいが、本発明は特に制限はなく、荷重負荷処理後に遠心力及びそれによる変形(応力及び歪)の計算を行っても良い。
局所座標変換部46は、荷重負荷処理部44で算出されたタイヤモデル92の各要素の応力及び歪を局所座標系を参照した応力及び歪に変換するよう演算を行い、タイヤ断面内の各要素における応力及び歪を求める部分である。
タイヤ断面内の各要素の局所座標の局所方向は、各要素に応じて適宜選択すれば良い。例えば、図7に斜視図で示され、タイヤモデル90でモデル化されたタイヤ70を、その中心を座標中心とし、水平なタイヤ半径方向1、タイヤ幅方向を座標軸2および垂直なタイヤ半径方向3とする3次元直交座標系に置いたとき、タイヤ70のトレッド部材76(クラウン部)の要素の局所座標系を、その拡大図である図7(a)に斜視図で示すように、タイヤの3次元直交座標系と同様に、タイヤ周(要素長さ)方向1、要素幅方向2及び要素厚さ方向3で構成し、ベルトカバー材75 (繊維強化ゴム(FRR:ファイバーレインフォースドラバー))の要素の局所座標系を、その拡大図である図7(b)に示すように、タイヤの3次元直交座標系と一致しないが、FRRコードの配向方向(要素長さ方向)1、要素幅方向2及び要素厚さ方向3で構成し、サイド部材80の要素の局所座標系は、その拡大図である図7(c)に示すように、タイヤの3次元直交座標系と幅方向と厚さ方向が逆になるが、タイヤ周(要素長さ)方向1、要素幅方向2及び要素厚さ方向3で構成するのが好ましい。
なお、図示例においては、荷重負荷処理部44による荷重計算後に、局所座標変換部46による局所座標変換を行っているが、局所座標変換部46による局所座標変換後に、荷重負荷処理部44による荷重計算を局所座標系において行っても良い(図9(c)に示す局所座標系rstにおいて、rはタイヤ周(要素長さ)方向1、sは要素幅方向2、tは要素厚さ方向3を表す)。
タイヤ1周分の応力及び歪算出部48は、局所座標変換部46で局所座標に変換されたタイヤ断面内の各要素の中心における一成分の応力及び歪を求め、順次、周方向に隣接する点の応力及び歪を求め、タイヤ1周分の応力f(θ)及び歪g(θ)を求め、タイヤ1周分の変化特性曲線を導出する部分である。
ところで、本発明において、1つの要素における歪gを求める場合に用いる変形成分としては、例えば、図7に示す要素の場合、タイヤ周方向やFRRコードの配向方向等の要素長さ方向1に垂直な面に垂直に働く応力(引張応力、圧縮応力)によって生じる11方向の変形成分11と、要素幅方向2に垂直な面に働く応力によって生じる22方向の変形成分22と、要素厚さ方向3に垂直な面に垂直に働く応力(引張応力、圧縮応力)によって生じる33方向の変形成分33と、要素長さ方向1及び要素幅方向2によって形成される面に働くずれ応力(剪断応力)によって生じる剪断方向12の変形成分12と、要素長さ方向1及び要素厚さ方向3によって形成される面に働くずれ応力(剪断応力)によって生じる剪断方向13の変形成分13と、要素幅方向2及び要素厚さ方向3によって形成される面に働くずれ応力(剪断応力)によって生じる剪断方向23の変形成分23との6つの変形成分を考慮するのが好ましい。
なお、タイヤ応力・歪計算ユニット34における内圧充填処理部40、遠心力計算部42、荷重負荷処理部44、局所座標変換部46、及びタイヤ1周分の応力及び歪算出部48による計算途中の結果や計算結果、特に応力及び歪の値は、メモリ20に記憶しておくのが好ましい。
ところで、本実施例では、遠心力計算部42による遠心力の計算は、タイヤ応力・歪計算ユニット34において、2DFEモデル90を用いた内圧充填処理部40による内圧充填処理後であって、3DFEモデル92を用いた荷重負荷処理44による荷重負荷処理の前もしくは後に行うように構成されているが、本発明は、これに限定されず、後述するタイヤ発熱エネルギ計算ユニット36のリサージュ波形面積算出部50におけるリサージュ波形面積算出の前であれば、局所座標変換部46におけるタイヤ断面内の各要素の応力及び歪の算出後であっても良い。このように、遠心力計算部42による遠心力及びそれによる変形の計算は、3DFEモデル92において行っても良いが、計算量が大きくなり、計算コストが高くなるので、2DFEモデル90において行うのが好ましいのは、上述した通りである。
タイヤ発熱エネルギ計算ユニット36は、タイヤ応力・歪計算ユニット34で算出されたタイヤモデル92のタイヤ1周分の応力及び歪の変化特性曲線から、タイヤモデル92の各要素における応力及び歪を用い、歪値について粘弾性材料の損失係数に応ずる位相遅れを与えて各要素のヒステリシスのリサージュ波形(ヒステリシスループ)の面積を演算し、タイヤ1周分の全要素のリサージュ波形(図形)の面積からタイヤ70が1回転したときの発熱エネルギを求める部分である。このタイヤ発熱エネルギ計算ユニット36は、リサージュ波形面積算出部50と、発熱エネルギ密度算出部52と、タイヤ体積算出部54と、発熱エネルギ算出部56とを有する。
リサージュ波形面積算出部50は、まず、図9(d)に示すように、タイヤ応力・歪計算ユニット34のタイヤ1周分の応力及び歪算出部48で産出されたタイヤ1周分の応力f(θ)及び歪g(θ)(特性曲線)をそれぞれ有限次のフーリエ級数に展開し、各次数毎に応力及び歪の振幅An 、応力及び歪の位相Bn を求める。この場合、フーリエ級数展開を行う次数は、10〜100とするのが良く、より好ましくは、20次〜50次が良い。ここで、10次未満であると精度の良い結果が得られず、100次より多いと、結果の精度は変わらないのに演算時間が増加するので好ましくない。なお、応力及び歪のフーリエ級数への展開、各次数毎の応力及び歪の振幅並びに位相の算出は、リサージュ波形面積算出部50で行う代わりに、上述のタイヤ応力・歪計算ユニット34のタイヤ1周分の応力及び歪算出部48で行っても良い。
次に、リサージュ波形面積算出部50は、タイヤ応力・歪計算ユニット34のタイヤ1周分の応力及び歪算出部48で得られた各要素の歪g(θ)について粘弾性材料の損失係数に応ずる位相遅れ(δ)を与えて、各フーリエ次数毎に、応力f(θ)及び歪g(θ)のヒステリシスのリサージュ波形(ヒステリシスループ)の面積(Sn )を演算し、これに基づいてフーリエ次数(n)と面積(Sn )の積の総和(Sc )を下記関係式(1−1)及び(1−2)に従って、すなわち、これらの関係式(1−1)及び(1−2)から得られる下記式(1)に従って求める部分である。
Figure 2010249527
ここで、Sc は成分cについての各有限要素の全次数のリサージュ波形の面積の総和、Sn は次数nのリサージュ波形の面積、nは次数、pはフーリエ級数展開の総次数、An f は応力の振幅、An g は歪の振幅、Bn f は応力の位相、Bn g は歪の位相、δは位相遅れである。
なお、本発明においては、タイヤ70を構成する各部材の損失係数(tanδ)は、例えば所定の測定条件で実測し、その値を物性値として初期入力データとして用いることができる。
測定条件としては、例えば、粘弾性スペクトロメータ−を使用して、温度60℃、周波数20Hz、初期歪10%、動歪2%の条件等を挙げることができる。
リサージュ波形面積算出部50におけるリサージュ波形の面積算出においては、各部材の損失係数(tanδ)の数値そのものを使用している訳では無く、tanδの位相差δを使用し、位相差δと、局所応力及び局所歪とから、リサージュ波形を求めている。
ところで、本発明においては、粘弾性体材料の損失係数に応対する位相遅れの値(位相差δ)として、少なくとも温度依存性、周波数依存性、及びひずみ振幅依存性のいずれかに対応する値を用いることができる。
ここで、本発明おける粘弾性材料を含むタイヤの発熱エネルギの算出の原理を図6(a)及び(b)に基づいて説明する。
図6(a)及び(b)は、位置を横軸座標とした粘弾性体の応力と歪の特性曲線及び歪を横軸座標、応力を縦軸座標として応力と歪のリサージュ波形(ヒステリシスループ)の特性曲線を示すグラフである。
図6(a)に示すように、タイヤなどの粘弾性体では、応力に対し歪の位相がδだけ遅れる。ここで、0<δ<π/2である。その結果、図6(b)に示すように、粘弾性体のリサージュ波形は楕円となり、楕円の面積Sは、1サイクルの変形に際して損失したエネルギであり、この損失したエネルギは、S=π・f・g・sinδで表され、発熱エネルギに相当する。ここで、fは、応力の振幅(上述のAn f)、gは、歪の振幅(上述のAn g)である。
そこで、上述したタイヤ応力・歪計算ユニット34において、タイヤモデル90を用いた静的有限要素法解析によって、タイヤの応力及び歪を求めることにより、応力振幅f、歪振幅g、位相差δを求め、発熱エネルギの算出することができるのである。
発熱エネルギ密度算出部52は、タイヤモデル90の各要素の応力及び歪の全成分について上述したリサージュ波形面積算出部50における演算の過程を反復し、各要素について各成分毎の総和Sc の総和を発熱エネルギ密度として求める部分である。
タイヤ体積算出部54は、タイヤ応力・歪計算ユニット34の遠心力計算部42及び荷重負荷処理部44の結果から遠心力が付与され、荷重が負荷されたタイヤモデル90の歪(変形(図3参照))から各要素の体積Vを求める部分である。
発熱エネルギ算出部56は、発熱エネルギ密度算出部52で算出された各要素の発熱エネルギ密度(各成分毎の総和Sc の全成分数qについての総和ΣSc)とタイヤ体積算出部54で算出された各要素の体積Vとの積(Edi)を下記式(2)に従って求め、この積(Edi)をその要素の位置における発熱エネルギとし、次いで、タイヤ全体の要素について積(Edi)を算出し、下記式(3)に従って、タイヤ全体について求められた積(Edi)の総和を算出し、タイヤ全体(全要素)の発熱エネルギEd 、すなわちタイヤが1回転したときの発熱エネルギを求める部分である。
Figure 2010249527

ここで、Ediは各有限要素の位置における発熱エネルギ、Vは各要素の体積、cは変形成分、qは全成分数(本発明では、上述したように、6変形成分)、Scは各成分毎の各有限要素の面積であり、Edはタイヤ全体の発熱エネルギ、iは要素数、rは2次元断面モデルであるタイヤモデル90(2DFEモデル)全要素数である。
こうして、タイヤ発熱エネルギ計算ユニット36は、タイヤモデル90が1回転したときの発熱エネルギEdを求めることができる。
なお、タイヤ発熱エネルギ計算ユニット36におけるリサージュ波形面積算出部50、発熱エネルギ密度算出部52、タイヤ体積算出部54及び発熱エネルギ算出部56による計算途中の結果や計算結果は、メモリ20に記憶しておくのが好ましい。
タイヤ走行距離計算ユニット38は、タイヤが1回転したときの走行距離Lを算出する部分であって、荷重無負荷タイヤの外半径算出部58と、遠心力付与・荷重負荷タイヤの外半径算出部60と、タイヤ走行距離算出部62とを有する。
荷重無負荷タイヤの外半径算出部58は、タイヤモデル90において遠心力が付与されておらず、荷重が負荷されていない時のタイヤ外半径(R0 )を有限要素法により求める部分であり、図示例では、タイヤ応力・歪計算ユニット34の内圧充填処理部40の結果を用いてタイヤ外半径(R0 )を求めることができる。なお、内圧充填処理部40による内圧充填処理をする前のタイヤモデル90自体のタイヤ半径を無負荷タイヤ外半径(R0 )としても良い。すなわち、外半径算出部58は、タイヤモデル生成部26から生成されたタイヤモデル90自体のタイヤ半径を無負荷タイヤ外半径(R0 )とすることができる。
遠心力付与・荷重負荷タイヤの外半径算出部60は、タイヤモデル90において遠心力を付与し、荷重を負荷した時のタイヤ外半径(R)を有限要素法により求める部分であり、図示例では、タイヤ応力・歪計算ユニット34の遠心力計算部42及び荷重負荷処理部44の結果を用いてタイヤ外半径(R)を求めることができる。ここで、タイヤモデル90において遠心力を付与し、荷重を負荷した時、タイヤ70は、図3に示すように、接地側の部分71aは収縮し(つぶれ)て、接地側のタイヤ半径は無負荷タイヤ外半径(R0 )より小さくなり、非接地側の部分71bは遠心力によって外側に膨張し(膨れ)て、非接地側のタイヤ半径は無負荷タイヤ外半径(R0 )より大きくなるので、両者の平均値をタイヤ外半径(R)とすれば良い。
なお、遠心力計算部42による遠心力の計算を先に行う場合には、荷重負荷処理部44の結果を用いてタイヤ外半径(R)を求めれば良く、遠心力計算部42による遠心力の計算より荷重負荷処理部44による荷重負荷処理を先に行う場合には、遠心力計算部42による遠心力の計算結果を用いてタイヤ外半径(R)を求めれば良い。また、遠心力計算部42による遠心力の計算を、タイヤ発熱エネルギ計算ユニット36の局所座標変換部46による局所座標変換後に行う場合には、遠心力計算部42による遠心力の計算結果を用いてタイヤ外半径(R)を求めれば良い。
タイヤ走行距離算出部62は、遠心力付与・荷重負荷タイヤの外半径算出部60によるタイヤ外半径(R)の値と、荷重無負荷タイヤの外半径算出部58によるタイヤ外半径(R)の値とを用いて、下記式(4)に従ってタイヤが1回転したときのタイヤ走行距離Lを求める部分である。
L=2π{K(R1 −R0 )+R0 } …(4)
ここで、R0 は荷重を負荷していないときの前記タイヤの外半径、R1 は遠心力を付与し、荷重を負荷したときのタイヤ外半径、Kは0〜1の範囲にある係数である。なお、係数Kは、タイヤモデル90の転動半径を求めるための係数であり、実験データと一致するよう0〜1の範囲で適宜選定することができる。
タイヤ走行距離計算ユニット38は、こうしてタイヤが1回転したときのタイヤ走行距離Lを求めることができる。
なお、荷重無負荷タイヤの外半径算出部58、遠心力付与・荷重負荷タイヤの外半径算出部60及びタイヤ走行距離算出部62による計算結果、特に、タイヤ外半径(R)、(R)及びタイヤ走行距離Lなどは、メモリ20に記憶しておくのが好ましい。
データ計算部28は、基本的に以上のように構成され、タイヤモデル90が1回転したときの発熱エネルギEd及びタイヤ走行距離Lを求めることができる。
タイヤ転がり抵抗計算部30は、データ計算部28のタイヤ発熱エネルギ計算ユニット36からのタイヤの1回転時の発熱エネルギ(Ed )のデータと、タイヤ走行距離計算ユニット38からのタイヤの1回転時の走行距離(L)に基づいて、下記式(5)に従ってタイヤが1回転したときのタイヤの転がり抵抗RRを求める部分である。
RR=Ed /L …(5)
ここで、Edはタイヤの1回転時の発熱エネルギ、Lはタイヤが1回転したときの走行距離である。
タイヤ転がり抵抗計算部30による計算結果、特に、タイヤの転がり抵抗RRは、メモリ20に記憶しておくのが好ましい。
本発明のタイヤ評価システム10は、基本的に以上のように構成される。
次に、本発明のタイヤ評価システムの作用及び本発明のタイヤの転がり抵抗評価方法について説明する。
図8は、本発明のタイヤの転がり抵抗評価方法の処理のフローの一例を示すフローチャートである。図9は、図8に示すタイヤの転がり抵抗評価方法の処理のフローを模式的に示す説明図であり、(a)、(b)、(c)及び(d)は、それぞれ内圧・遠心力計算、3DFEモデル作成、荷重計算及び発熱エネルギ演算の各工程を模式的に示す説明図である。図10は、図8に示すタイヤの転がり抵抗評価方法のタイヤ発熱エネルギ計算過程の処理のフローの一例を示すフローチャートである。
本発明のタイヤの転がり抵抗評価方法においては、まず、ステップS100において、形状データ、材料データ、境界データ、荷重データ及び走行速度(タイヤの回転速度)データ等の初期データが設定される。図1に示すタイヤ評価システム10においては、初期データの設定は、初期データ設定部24によって行われる。
次に、ステップS102において、設定された初期データ基づいて、特に、形状データ、材料データ及び境界データなどを用いて、2次元断面タイヤモデルである2DFEモデルが生成される。例えば、図5に示すタイヤモデル(2DFEモデル)90が図1に示すタイヤモデル生成部26によって生成される(2DFEモデル作成ステップ:図9(a)参照)。
続いて、ステップS104において、生成されたタイヤモデルに内圧充填処理が行われ、各要素の応力及び歪が計算される。この内圧充填処理は、例えば、図5に示すタイヤモデル90に図2に示すタイヤ応力・歪計算ユニット34の内圧充填処理部40によって施される(図9(a)参照)。
次に、ステップS106において、内圧充填されたタイヤモデル90に走行速度(回転速度)に応じて付与される遠心力が計算され、タイヤの非接触部分に生じる変形による各要素の応力及び歪が計算される。この遠心力の計算処理は、図2に示す遠心力計算部42によって行われる(図9(a)参照)。
なお、内圧充填処理ステップ104とステップS106の遠心力の計算処理とは、同時に行っても良い(内圧・遠心力計算ステップ:図9(a)参照)。
次に、ステップS107において、2DFEモデル90での計算結果(内圧充填時および遠心力付与時の応力・歪・節点変位データ等)が2DFEモデル90を1周つなげた3DFEモデル92上にマッピングされて、3DFEモデル92上で内圧及び遠心力計算が収束される。その結果、3DFEモデル92での各要素の応力及び歪が計算され、3DFEモデル92が生成される(3DFEモデルの作成ステップ:図9(b)参照)。
次に、ステップS108において、内圧及び遠心力が付与されたタイヤモデル(3DFEモデル)92に荷重が負荷される荷重負荷処理が行われ、タイヤの接触部分に生じる変形による各要素の応力及び歪が計算される。この荷重負荷処理は、図2に示す荷重負荷処理部44によって行われる(荷重計算ステップ:図9(c)参照)。
次に、ステップS110において、上述したステップS108において算出された、遠心力を付与し荷重を負荷したタイヤモデルの応力及び歪が、局所座標変換部46により局所座標を参照した応力及び歪に変換されてタイヤ断面内の各要素における応力及び歪が求められる。
次に、ステップS112において、タイヤ1周分の応力及び歪算出部48により、タイヤ断面(タイヤモデル90)内の各要素におけるタイヤ1周分の応力及び歪が算出される。
こうして、例えば、図2に示すタイヤ応力・歪計算ユニット34において、タイヤモデル92の各要素の応力及び歪が計算されて、タイヤモデル90の各要素におけるタイヤ1周分の応力及び歪が算出される。
図示例のように、ステップS106の遠心力の計算処理は、ステップS108の荷重負荷処理の前に行うのが好ましいが、荷重負荷処理の後に行っても良いし、後述するステップS114の発熱エネルギの計算過程のステップS126のリサージュ波形の面積算出前であれば、ステップS110の局所座標変換後であっても良いが、ステップS107の2次元タイヤ断面モデル(2DFEモデル90)における応力及び歪の計算結果を3次元タイヤモデル(2DFEモデル92)に展開する3DFEモデルを生成する前に行うのが好ましい。
次に、ステップS114において、ステップS110で局所座標変換され、ステップS112で求められたタイヤモデル92の各要素のタイヤ1周分の応力及び歪を用いて、歪値について粘弾性材料の損失係数に応ずる位相遅れを与えて各要素のヒステリシスのリサージュ波形(ヒステリシスループ)の面積を演算し、タイヤモデル(2DFEモデル)90の全要素のリサージュ波形の面積からタイヤが1回転したときの発熱エネルギを求める。このタイヤが1回転したときの発熱エネルギの計算は、例えば、図2に示すタイヤ発熱エネルギ計算ユニット36によって行われる。
図10に、このステップS114で行われる発熱エネルギ計算過程の詳細な処理のフローを示す。
図10に示すように、ステップS114の発熱エネルギ計算過程に入る前に、上述したステップS108において、遠心力を付与し、荷重を負荷したタイヤモデルの応力及び歪が算出されており、ステップS110において、局所座標変換部46により、これらの応力及び歪が局所座標を参照した応力及び歪に変換されてタイヤ断面内の各要素における応力及び歪が求められており、次に、ステップS112において、タイヤ1周分の応力及び歪算出部48により、タイヤ断面内の各要素におけるタイヤ1周分の応力及び歪のデータが算出されている。
この後、ステップS114の発熱エネルギ計算過程では、ステップS123において、タイヤ1周分の応力及び歪算出部48により算出された、タイヤ断面(2DFEモデル90)内の各要素におけるタイヤ1周分の応力及び歪のデータの取り込みが行われ、ステップS124において、取り込まれた応力及び歪がそれぞれフーリエ級数に展開され、各次数毎に応力及び歪の振幅並びに位相が演算される。
続いて、ステップS126において、リサージュ波形面積算出部50により、各要素の歪値について粘弾性材料の損失係数に応ずる位相遅れ(δ)が与えられて、各フーリエ次数毎に、上記関係式(1−1)に従って、応力及び歪のリサージュ波形(ヒステリシスループ)の面積(Sn )が演算される。
次に、ステップS128において、フーリエ級数の次数(n)がカウントされ、所定次数(p)になったか否か、すなわち面積(Sn )が所定次数(p)演算されたかどうかが判断され(所定次数(p)の演算の完了の判定が行われ)、所定次数(p)未満であれば、ステップS126に戻され、面積(Sn )の演算が繰り返され、所定次数(p)に達していれば、次のステップS130に進む。なお、ステップS128において、所定次数(p)未満の場合に、計算時間は長くなるが正確さのために、ステップS126に戻す代わりに、ステップ123に戻しても良い。
ステップS130において、発熱エネルギ密度算出部52により、フーリエ次数(n)と求められた面積(Sn )の積の総和(Sc )が上記関係式(1−2)に従って演算される。
次に、ステップS132において、応力及び歪の成分数(c)がカウントされ、全成分数(q:本発明では上述したように6成分)になったか否か、すなわち総和(Sc )が全成分数演算されたかどうかが判断され(全成分演算の完了の判定が行われ)、全成分数(q=6)未満であれば、ステップS126に戻され、面積(Sn )及びその総和(Sc )の演算が繰り返され、全成分数(q=6)に達していれば、ステップS130において総和(Sc )の全成分についての総和である発熱エネルギ密度が算出され、次のステップS134に進む。なお、ステップS132において、全成分数(q=6)未満の場合に、計算時間は長くなるが正確さのために、ステップS126に戻す代わりに、ステップ123に戻しても良い。
ステップS134において、タイヤ体積算出部54により、遠心力が付与され、荷重が負荷されたタイヤモデル92の各要素の体積Vが演算される。
次に、ステップS136において、発熱エネルギ算出部56により、ステップS130で得られた発熱エネルギ密度の(総和ΣSc)と、ステップS134で得られた体積Vとの積が上記式(2)に従って演算され、各要素の位置における発熱エネルギ(Edi)が演算される。
次に、ステップS138において、要素数(i)をカウントし、2DFEモデル90の全要素数(r)になったか否か、すなわち各要素の位置における発熱エネルギ(Edi)がタイヤ全体(2DFEモデル90の全要素数r)演算されたかどうかを判断し(タイヤ全体の演算の完了の判定を行い)、タイヤ全体に達していなければ、ステップS123に戻り、ステップS123〜ステップS136を行い、各要素の発熱エネルギ(Edi)の演算を繰り返し、タイヤモデル90(2DFEモデル)全体に達していれば、次のステップS140に進む。
最後に、ステップS140において、タイヤモデル90全体の各要素の位置における発熱エネルギ(Edi)をタイヤモデル90の全要素についての総和を求め、タイヤモデル90全体、すなわちタイヤが1回転したときの発熱エネルギ(Ed)を算出する。
こうして、ステップS114の発熱エネルギの計算過程が完了し、タイヤが1回転したときの発熱エネルギ(Ed)が算出される。
一方、図8に示されるように、ステップS116において、ステップS104の内圧充填処理の結果を受けて、またはタイヤモデル90において有限要素法を用いて、タイヤ走行距離計算ユニット38の荷重無負荷タイヤの外半径算出部58により、遠心力を付与しておらず、荷重を負荷していない時のタイヤ外半径(R0 )を算出する。なお、ステップS102で生成されたタイヤモデル90自体のタイヤ半径を無負荷タイヤ外半径(R0 )としても良い。
また、ステップS118において、ステップS108の荷重負荷処理の結果またはステップS106の遠心力計算処理の結果を受けて、またはタイヤモデル90において有限要素法を用いて、遠心力付与・荷重負荷タイヤの外半径算出部60により、遠心力を付与し、荷重を負荷した時のタイヤ外半径(R)を算出する。
続いて、ステップS120において、タイヤ走行距離算出部62により、ステップS118で算出されたタイヤ外半径(R)の値と、ステップS116で算出されたタイヤ半径(R)の値とを用いて、上記式(4)に従ってタイヤが1回転したときのタイヤ走行距離Lを算出する。
最後に、ステップS122において、タイヤ転がり抵抗計算部30により、ステップS114(ステップS140)で算出されたタイヤが1回転した時の発熱エネルギ(Ed)と、ステップS120で算出されたタイヤが1回転した時のタイヤ走行距離Lとをもちいて、上記式(5)に従ってタイヤが1回転したときのタイヤの転がり抵抗RRを算出する。
こうして、本発明のタイヤの転がり抵抗評価方法により、タイヤが1回転したときのタイヤの転がり抵抗RRを求めることができる。
なお、本発明のタイヤの転がり抵抗評価方法は、上述のタイヤ内圧充填処理ステップ、遠心力計算ステップ及び荷重負荷ステップを含むことを特徴とするものであるが、さらに、(1)前記タイヤ内圧充填ステップ、前記遠心力計算ステップ及び前記荷重負荷ステップを行って前記タイヤの応力及び歪を計算し、(2)こうして計算された応力及び歪を局所座標系を参照した応力及び歪に変換する計算を行い断面内の1点における応力及び歪の成分を計算し、(3)こうして計算された応力及び歪の成分を用いて円周方向に隣接する諸点の応力及び歪を順次演算し1周分の応力及び歪を得ることにより応力及び歪の変化特性の曲線を算出し、(4)1周分の応力及び歪の有限次数のフーリエ級数展開の演算を行い各フーリエ次数毎に曲線の振幅及び位相を計算し、(5)各有限要素の材料の損失係数に応じた位相遅れを歪み値に与えての各フーリエ級数毎のヒステリシスのリサージュ波形の面積の計算に基づきフーリエ次数とヒステリシスのリサージュ波形の面積の積の総和を計算し、(6)以上の一連の(1)〜(5)の計算過程を応力及び歪の全成分について反復実行し各成分毎の総和を計算することにより当該位置における発熱エネルギ密度を算出し、(7)当該位置の発熱エネルギ密度にて発熱エネルギ密度特性が近似される、当該位置を含む領域の体積と発熱エネルギ密度の積を計算することにより、当該領域における発熱エネルギを算出し、(8)以上の一連の(1)〜(7)の計算及び算出のステップをタイヤの全体について反復実行しタイヤ全体の発熱エネルギを算出し、(9)荷重を負荷していないタイヤの外半径、及び遠心力を付与し荷重を負荷したときの負荷半径を、有限要素法により計算し、その結果を用いてタイヤが一回転したときの走行距離を算出し、(10)こうして算出されたタイヤ1回転時の発熱エネルギとタイヤが1回転したときの走行距離に基づきタイヤの転がり抵抗を算出することを特徴とするものである。
ここで、前記粘弾性材料の損失係数に対応する位相遅れの値として、少なくとも温度依存性、周波数依存性、及び歪振幅依存性のいずれかに対応する値が用いられることが好ましい。
また、フーリエ次数とヒステリシスのリサージュ波形の面積の前記総和の算出は、上記関係式(1)に従って行われることが好ましい。
また、前記フーリエ級数展開の次数は、10〜100に選択されることが好ましい。
また、各成分毎の前記面積Sc の総和と体積Vの積Ediの算出は、上記関係式(2)に従って行われることが好ましい。
また、前記タイヤが1回転したときの走行距離Lの算出は、上記関係式(4)に従って行われることが好ましい。
また、前記タイヤが1回転したときのタイヤの転がり抵抗RRは、上記関係式(5)に従って行われることが好ましい。
本発明のタイヤの転がり抵抗評価方法は、基本的に以上のように構成される。
上述のタイヤの転がり抵抗評価方法は、プログラムを実行することによってコンピュータ上で処理することができる。
例えば 本発明のタイヤの転がり抵抗評価プログラムは、上述したタイヤの転がり抵抗評価方法の各ステップをコンピュータ、具体的にはそのCPUに行わせる手順を有するものである。これらの手順からなるプログラムは、1つまたは複数のプログラムモジュールとして構成されていても良い。
これらのコンピュータが実行する手順からなるタイヤの転がり抵抗評価プログラムは、コンピュータまたはサーバのメモリ(記憶装置)内に記憶されるものであっても良いし、記録媒体に記憶されるものであっても良く、実行時に、当該コンピュータ(CPU)または他のコンピュータによって、メモリまたは記録媒体から読み出されて実行されるものである。したがって、本発明は、上記第1の態様のタイヤの転がり抵抗評価方法をコンピュータに実行させるためのタイヤの転がり抵抗評価プログラムを記憶したコンピュータに読み取り可能なメモリもしくは記録媒体であっても良い。
また、上記の各計算を行う1つの態様として、コンピュータを使用して計算を行うことが可能である。その場合には、例えば、下記のような構成を用いることも可能である。本発明のコンピュータにより粘弾性材料を含むタイヤの転がり抵抗を求める装置は、形状データ、材料データ、境界データ、荷重データ及び走行速度データを入力する入力部、形状データ、材料データ、境界データ、荷重データ及び走行速度データを記憶する入力データ記憶部、入力データ記憶部からデータを取得して、内圧、遠心力及び荷重を加味して粘弾性材料を含むタイヤの応力及び歪を計算する応力及び歪計算部、該応力を記憶する応力記憶部、該歪を記憶する歪記憶部、該応力記憶部から応力を、歪記憶部から歪を取得し、局所座標系を参照した応力及び歪へ座標変換する局所座標応力及び局所座標歪計算部、該局所座標応力を記憶する局所座標応力記憶部、該局所座標歪を記憶する局所座標歪記憶部、該局所座標応力記憶部からタイヤ1周分の局所座標応力データを、該局所座標歪記憶部からタイヤ1周分の局所座標歪データを取得し、タイヤ1周分の局所座標応力データ及び局所座標歪データを記憶する1周分データ記憶部、1周分データ記憶部から局所座標応力データ及び局所座標歪データを取得し、1周分の局所座標応力及び局所座標歪の有限次数のフーリエ級数展開の計算を行い、各フーリエ次数毎に曲線の振幅及び位相を計算し、材料の損失係数に応じた位相遅れを歪値に与えてフーリエ次数毎のリサージュ波形(ヒステリシスループ)の面積を計算するリサージュ波形面積データ計算部、リサージュ波形面積データを記憶するリサージュ波形面積データ記憶部、該リサージュ波形面積データ記憶部から各フーリエ次数毎のリサージュ波形面積データを取得し、フーリエ次数と該リサージュ波形面積データからタイヤの発熱エネルギ密度を計算するタイヤ発熱エネルギ密度データ計算部、該タイヤ発熱エネルギ密度データを記憶するタイヤ発熱エネルギ密度データ記憶部、該タイヤ発熱エネルギ密度データ記憶部から取得した該タイヤ発熱エネルギ密度データにて発熱エネルギ密度特性が近似される、当該位置を含む領域の体積を計算する体積データ計算部、該体積データを記憶する体積データ記憶部、該タイヤ発熱エネルギ密度データ記憶部から該タイヤ発熱エネルギ密度データを、該体積データ記憶部から該体積データを取得して発熱エネルギを計算する発熱エネルギ計算部、及び計算結果を出力する出力部を具備する。
本発明による方法、システム及びプログラムにおいては、内圧および荷重のみならず、走行速度等による遠心力を加味して、タイヤ発熱及びタイヤ転がり抵抗の忠実度の高いシミュレーションを行うことが可能である。また、応力及び歪の各成分毎に材料の損失係数を変えることができ、ベルトまたはカーカス等の繊維補強材料の損失係数の異方性を取扱うことが可能である。また、タイヤの各変形周波数毎にリサージュ波形の面積が計算される為、タイヤの各部位毎に異なる変形周波数を考慮することが可能である。また、リサージュ波形の面積を計算する際、応力及び歪の振幅からタイヤの各変形周波数毎に計算が行われ、材料の損失係数の周波数依存性及び歪振幅依存性を考慮することが可能であり、その際タイヤの部位に応ずる温度を適宜求めることにより、材料損失係数の温度、周波数、歪振幅依存性を考慮した解析を行うことが可能である。
本発明による方法、システム及びプログラムによれば、粘弾性材料を含むタイヤの発熱エネルギの特性やタイヤの転がり抵抗の特性等を適切に評価することができる。
以上、本発明のタイヤの転がり抵抗評価方法、それを用いたタイヤ評価システム及びタイヤの転がり抵抗評価プログラムについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
本発明の実施例として、図1及び図2に示すタイヤ評価システム10を用いて、図8及び図10に示すタイヤの転がり抵抗評価方法を行った。
初期条件として、使用したタイヤのサイズ(カッコ内はリムサイズ)は185/65R15(15×5 1/2JJ)であり、内圧(空気圧)は200kPa、荷重は4kN、走行速度は80km/hとした。
また、本実施例においては、タイヤを構成する各部材の損失係数(tanδ)は、下記測定条件で実測し、その値を物性値として初期入力データとして用いた。測定条件としては、粘弾性スペクトロメータ−を使用して、温度60℃、周波数20Hz、初期歪10%、動歪2%の条件で測定した。
上記のサイズの乗用車用ラジアルタイヤの5種について、それぞれ、参考例として転がり抵抗の測定、及び実施例として本発明のタイヤの転がり抵抗評価方法による転がり抵抗の推定、並びに比較例として特開平11−237332号公報に開示の従来手法による転がり抵抗の推定を行った。
5種のタイヤは、図11に示すように、構造A、構造B、構造C、構造D及び構造Eのタイヤである。ここで、構造Aのタイヤは、標準タイヤ(コントロール)として用いられており、図4に示す構造のベルト部材74の上に有機繊維コードなどのベルトカバー材75でカバーされた自動車用ラジアルタイヤ(例えば、JEF:ジョイントレスフルカバー&ジョイントレスエッジカバー)70である。構造Bのタイヤは、構造Aのタイヤのトレッド部を軽量化したものである。構造Cのタイヤは、構造Aのタイヤのサイド部を軽量化したものである。構造Dのタイヤは、構造Aのタイヤに対してベルトカバー材が無い異なる構造のタイヤ(例えば、S1:ベルトカバー材無し)であって、トレッド部を軽量化したものである。構造Eのタイヤは、構造Dのタイヤで、さらにサイド部を軽量化したものであるので、トレッド部及びサイド部の両方が軽量化されているものである。
なお、参考例においては、転がり抵抗試験法として、ドラム表面が平滑な、鋼製でかつ直径が1707mmであるドラム試験機を用い、周辺温度を21±2℃に制御し、速度80km/hで走行させ、その際の転がり抵抗を測定した。
実施例及び比較例においては、2次元タイヤモデル(2DFEモデル)90の転動半径を求めるための係数Kは、1(K=1)とした。また、タイヤモデル90は、4節点要素又は3節点要素を用いて構成され、要素数rは約1080(=54000/50)、節点数は約1180(=59000/50)であるものを用いた。ここで、約5400は、3次元タイヤモデル(3DFEモデル)92の総要素数であり、50は、3DFEモデル92のタイヤ周方向の総分割数である。また、フーリエ級数展開における総次数pは、30次とし、全成分数qは6とした。
5種の各構造のタイヤについて、それぞれ参考例の転がり抵抗(RR)の実測結果、並びに本発明の実施例及び比較例の2種の転がり抵抗(RR)の推定結果とを求めた。それらの結果を図11に示す。なお、図11においては、参考例の実測結果、並びに本発明の実施例及び比較例の2種の推定結果は、構造Aの結果をコントロールとして、参考例、実施例及び比較例毎にその他の構造の結果を構造Aの結果で規格化した。したがって、図11の縦軸は、構造Aの結果を100として指数化された転がり抵抗(RR)の値を示す。
図11の結果から明らかなように、構造Bでは、構造Aに対してトレッド部が軽量化されているため、転がり抵抗(RR)の値は、参考例の実測値では82ポイントであり、構造Aに対して約20ポイント低下しているが、比較例では79ポイントとさらに低くなっているのに対し、本発明の実施例では、81ポイントであり、比較例に比べ2ポイントの改善が見られた。
また、構造Cでは、構造Aに対してサイド部が軽量化されているため、転がり抵抗(RR)の値は、参考例の実測値では91ポイントであり、構造Aに対して約10ポイント低下しているが、比較例では89ポイントと少し低くなっているが、本発明の実施例では、90ポイントであり、比較例に比べ1ポイントの改善が見られた。
これに対し、構造Dでは、構造Aに対してベルトカバー材が無い異なる構造であるがトレッド部が軽量化されているため、転がり抵抗(RR)の値は、参考例の実測値では88ポイントであり、構造Aに対して約10ポイント低下しているが、比較例では77ポイントとさらに大幅に低くなっているが、本発明の実施例では、86ポイントであり、比較例に比べ9ポイントの大幅な改善が見られた。
これに対し、構造Eでは、構造Dに対してさらにトレッド部が軽量化されているため、転がり抵抗(RR)の値は、参考例の実測値では84ポイントであり、構造Dに対して約4ポイント低下し、構造Aに対して約15ポイント低下しているが、比較例では69ポイントとさらに大幅に低くなっているが、本発明の実施例では、81ポイントであり、比較例に比べ12ポイントの大幅な改善が見られた。
以上の結果から、構造Aに対して軽量化による転がり抵抗(RR)の値の低下がある構造B及び構造Cでは、構造Aと同様にベルトカバー材があるため、いずれも遠心力によるタイヤの非接触部分の変形が小さいものと考えられ、実施例及び比較例は、参考例に対する誤差自体が小さく、略近い値を得ることができ、実施例では比較例に対して改善が見られるものの改善は小さい。
しかしながら、構造Aに対してベルトカバー材が無い異なる構造の構造D及び構造Eでは、軽量化による転がり抵抗(RR)の値の低下はもちろんあるが、構造Aに対して、ベルトカバー材が無いため、遠心力によるタイヤの非接触部分の変形が大きいと考えられ、実施例では参考例に略近い値を得ることができ、転がり抵抗(RR)の推定精度が高いのに対し、比較例では、遠心力によるタイヤの非接触部分の変形が考慮されていないため、参考例に比べ大幅に低下しており、転がり抵抗(RR)の推定精度が低く、推定が不十分であることが分かる。
以上から、本発明の効果は明らかである。
10 タイヤ評価システム
12 タイヤの転がり抵抗計算装置
14 入力装置
16 出力装置
18 CPU
20 メモリ
22 入出力インターフェース(I/OIF)
24 初期データ設定部
26 タイヤモデル生成部
28 データ計算部
30 転がり抵抗計算部
32 データバス
34 タイヤ応力・歪計算ユニット
36 タイヤ発熱エネルギ計算ユニット
38 タイヤ走行距離計算ユニット
40 内圧充填処理部
42 遠心力計算部
44 荷重負荷処理部
46 局所座標変換部
48 タイヤ1周分の応力及び歪算出部
50 リサージュ波形面積算出部
52 発熱エネルギ密度算出部
54 タイヤ体積算出部
56 発熱エネルギ算出部
58 荷重無負荷タイヤの外半径算出部
60 遠心力付与・荷重負荷タイヤの外半径算出部
62 タイヤ走行距離算出部
90 タイヤモデル(2DFEモデル)
92 タイヤモデル(3DFEモデル)

Claims (10)

  1. 粘弾性材料を含むタイヤを再現する複数の有限要素で表現されたタイヤモデルを用いて、少なくとも、前記タイヤモデルに所定の内圧を充填するタイヤ内圧充填処理ステップ及び前記タイヤモデルに所定の荷重を負荷する荷重負荷ステップを含む静的有限要素解析方法において得られた応力及び歪とその要素における損失係数から転動中のタイヤの転がり抵抗を推定するタイヤの転がり抵抗評価方法であって、
    前記タイヤ内圧充填ステップ及び前記荷重負荷ステップに加えて、前記タイヤを転動させた時に発生する遠心力を計算して前記タイヤモデルに適用する遠心力計算ステップを行うことを特徴とするタイヤの転がり抵抗評価方法。
  2. 前記荷重負荷ステップより前に前記遠心力計算ステップを行うことを特徴とする請求項1に記載のタイヤの転がり抵抗評価方法。
  3. 前記遠心力計算ステップにて得られる変位、応力及び歪を含む物理量を初期条件として前記荷重負荷ステップを行うことを特徴とする請求項2に記載のタイヤの転がり抵抗評価方法。
  4. 前記タイヤの転がり抵抗の推定ステップは、前記タイヤの各有限要素の応力及び歪を、局所座標系を参照した応力及び歪みに変換する演算を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤの転がり抵抗評価方法。
  5. 前記タイヤの転がり抵抗の推定ステップは、前記タイヤの各有限要素における応力及び歪とその有限要素の損失係数を用いて、各有限要素の応力及び歪のヒステリシスのリサージュ波形の面積を演算し、全要素のリサージュ波形の全面積の総和によって前記タイヤの転がり抵抗を推定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤの転がり抵抗評価方法。
  6. 前記遠心力計算ステップの前に、前記タイヤ内圧充填ステップを行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤの転がり抵抗評価方法。
  7. 前記タイヤの転がり抵抗を推定する推定ステップは、前記タイヤ内圧充填ステップ、前記遠心力計算ステップ及び前記荷重負荷ステップを行って算出された前記タイヤの応力及び歪から前記タイヤ全体の発熱エネルギを算出すると共に、前記タイヤ内圧充填ステップ、前記遠心力計算ステップ及び前記荷重負荷ステップを行って前記タイヤが1回転したときの走行距離を算出し、算出された前記タイヤ全体の発熱エネルギと前記タイヤが1回転したときの走行距離とに基づいてタイヤの転がり抵抗を算出することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のタイヤの転がり抵抗評価方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤの転がり抵抗評価方法を用いたことを特徴とするタイヤ評価システム。
  9. 粘弾性材料を含むタイヤを再現する複数の有限要素で表現されたタイヤモデルを生成するタイヤモデル生成部と、
    生成されたタイヤモデルに所定の内圧を充填する内圧充填処理部と、前記タイヤを転動させた時に発生する遠心力を計算して前記タイヤモデルに適用する遠心力計算部と、前記タイヤモデルに所定の荷重を負荷する荷重負荷処理部とを備える応力及び歪計算ユニットと、
    前記応力及び歪計算部において算出された応力及び歪とタイヤの構成材料における損失係数から前記タイヤ全体の発熱エネルギを計算するタイヤ発熱エネルギ計算ユニットと、
    前記応力及び歪計算ユニットの計算結果から前記タイヤが1回転したときの走行距離を算出するタイヤ走行距離算出ユニットと、
    前記タイヤ発熱エネルギ計算ユニットによって算出された前記タイヤ全体の発熱エネルギとタイヤ走行距離算出ユニットによって算出された前記タイヤが1回転したときの走行距離とに基づいてタイヤの転がり抵抗を計算するタイヤの転がり抵抗計算部とを有することを特徴とするタイヤ評価システム。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤの転がり抵抗評価方法を実行するコンピュータが実行可能なプログラム。
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