JP2010236617A - 車両用ディスクブレーキ - Google Patents
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Abstract
【課題】パッドリテーナによって制動解除時に摩擦パッドをディスクロータから離間させることができると共に、摩擦パッドを安定した状態で、簡単に組み付けることができる車両用ディスクブレーキを提供する。
【解決手段】パッドリテーナ10のリテーナ部10aの反ディスクロータ側からディスクロータ方向へ曲げ戻して延出する細長片の先端部を、反ディスクロータ側方向に向けて傾斜させると共に、延出方向に沿って湾曲状に反り返らせてパッド戻し部10cを形成する。パッド戻し部10cの長手方向中間部に、摩擦パッド6の耳片6bを一時的に保持可能な平面部10kを形成する。
【選択図】図1
【解決手段】パッドリテーナ10のリテーナ部10aの反ディスクロータ側からディスクロータ方向へ曲げ戻して延出する細長片の先端部を、反ディスクロータ側方向に向けて傾斜させると共に、延出方向に沿って湾曲状に反り返らせてパッド戻し部10cを形成する。パッド戻し部10cの長手方向中間部に、摩擦パッド6の耳片6bを一時的に保持可能な平面部10kを形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車や自動二輪等の車両に用いられる車両用ディスクブレーキに係り、詳しくは、キャリパ支持腕のパッドガイド溝で、摩擦パッドの裏板耳片を支承するパッドリテーナの構造に関する。
従来、摩擦パッドの裏板の両側部にそれぞれ突設している耳片を、一対のキャリパ支持腕に対向形成されたパッドガイド溝に支承させて、摩擦パッドをディスク軸方向へ移動可能に支持するディスクブレーキでは、一般に、パッドガイド溝と耳片との間に金属製の薄板で形成したパッドリテーナを介装している。このパッドリテーナには、耳片を反ディスクロータ方向に付勢するパッド戻し部を備えたものがあり、このパッド戻し部によって制動解除時の摩擦パッドをディスクロータから離間させるようにしていた(例えば、特許文献1及び2参照。)。また、パッドリテーナに前記パッド戻し部を備えると共に、仮組み状態の摩擦パッドの耳片の反ディスクロータ側に突出し、耳片がパッドガイド溝から脱落することを防止する弾性ループ部を設けたものがあった(例えば、特許文献3参照。)。
しかし、上述の特許文献1及び2のものでは、摩擦パッドを組み付ける際に、パッドガイド溝に挿入した耳片がパッド戻し部に付勢されて、反ディスクロータ側に跳ね返されることがあり、摩擦パッドを安定した状態で組み付けることが難しかった。
また、特許文献3のものでは、摩擦パッドの脱落を防止する弾性ループ部がパッドガイド溝の反ディスクロータ側で且つディスク半径方向外側に突出して設けられることから、摩擦パッドを組み付ける際に、弾性ループ部を避けて耳片をパッドガイド溝に挿入しなくてはならず、組み付け性が良くなかった。
そこで本発明は、パッドリテーナによって制動解除時に摩擦パッドをディスクロータから離間させることができると共に、摩擦パッドを安定した状態で、簡単に組み付けることができる車両用ディスクブレーキを提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の車両用ディスクブレーキは、車体に固設されるキャリパブラケットに、ディスクロータの外縁をディスク軸方向に跨ぐ一対のキャリパ支持腕を延設し、該キャリパ支持腕に、ディスク半径方向外側面とディスク半径方向内側面と当該両側面を結ぶ対向面とを有するコ字状のパッドガイド溝を対向して設け、前記ディスクロータを挟んで配置される摩擦パッドの裏板両側部に耳片をそれぞれ突設し、該耳片を前記パッドガイド溝にパッドリテーナを介して支承し、前記パッドリテーナは、前記ディスクロータ両側のパッドガイド溝に敷設される一対のリテーナ部と、前記ディスクロータの外縁を跨いで、前記一対のリテーナ部を繋ぐ連結片と、前記摩擦パッドを反ディスクロータ方向に付勢するパッド戻し部とを備えた車両用ディスクブレーキにおいて、前記リテーナ部は、前記ディスク半径方向内側面に当接する内側片と、前記ディスク半径方向外側面に敷設される外側片と、該外側片と内側片とを繋いで前記対向面に敷設される奥側片とを有し、前記パッド戻し部は、リテーナ部の反ディスクロータ側からディスクロータ方向へ曲げ戻して延出する細長片の先端部を、反ディスクロータ側方向に向けて傾斜させると共に、延出方向に沿って湾曲状に反り返らせて形成され、前記パッド戻し部の長手方向中間部に、前記耳片を一時的に保持可能な平面部を形成したことを特徴としている。
また、前記平面部は、前記細長片の長手方向中間部を屈曲させた屈曲部の先端側に形成され、前記平面部の先端側に、延出方向に沿って湾曲状に反り返らせた先端側湾曲部を備えているものでもよい。さらに、前記パッド戻し部は、基端側に、前記奥側片の反ディスクロータ側から延設され、前記奥側片から延出した細長片をディスクロータ側に円弧状に曲げ戻して形成した弾性ループ部を備えているものでもよい。
本発明の車両用ディスクブレーキによれば、パッド戻し部の長手方向中間部に、摩擦パッドの耳片を一時的に保持可能な平面部を形成したことにより、摩擦パッドを組み付ける際に、パッドガイド溝に挿入した耳片がパッド戻し部によって反ディスクロータ側に付勢されても、耳片は一時的に平面部に保持され、反ディスクロータ側に跳ね返されてパッドガイド溝から脱落することを防止でき、摩擦パッドを安定した状態で組み付けることができる。
また、前記平面部を、前記細長片の長手方向中間部を屈曲させた屈曲部の先端側に形成することにより、平面部を簡単に形成することができ、コストが嵩む虞がない。さらに、パッド戻し部の基端側に、パッドリテーナの奥側片の反ディスクロータ側から延設した細長片をディスクロータ側に円弧状に曲げ戻して形成した弾性ループ部を設けることにより、制動解除時の摩擦パッドを反ディスクロータ側に良好に付勢することができ、また、この弾性ループ部により、仮組み状態の摩擦パッドの脱落防止を図ることができる。
図1乃至図6は本発明の車両用ディスクブレーキの一形態例を示す図で、矢印Aは車両前進時に前輪と一体に回転するディスクロータの回転方向であり、以下で述べるディスク回出側及びディスク回入側とは車両前進時におけるものとする。
この車両用ディスクブレーキ1は、車輪と一体に回転するディスクロータ2と該ディスクロータ2の一側部で車体に固設されるキャリパブラケット3と、該キャリパブラケット3のキャリパ支持腕3a,3aに、一対のスライドピン4,4を介してディスク軸方向へ移動可能に支持されるキャリパボディ5と、該キャリパボディ5の作用部5aと反作用部5bとの内側で、ディスクロータ2を挟んで対向配置される一対の摩擦パッド6,6とからなっている。
キャリパボディ5は、ディスクロータ2の両側に配設される上述の作用部5a及び反作用部5bと、これらをディスクロータ2の外縁を跨いで連結するブリッジ部5cとからなっていて、作用部5aには、ディスクロータ2側を開口したシリンダ孔7が設けられている。シリンダ孔7には、有底円筒状のピストン8が収容され、ピストン8は、シリンダ孔底部の液圧室9に供給される圧液によって、シリンダ孔7をディスクロータ方向へ移動するようになっている。また、作用部5aの側部には、車体取付け腕5d,5dが突設されており、各車体取付け腕5dの先端には、それぞれ上述のスライドピン4が、取付けボルトにて突設されている。
キャリパ支持腕3a,3aは、キャリパブラケット3の両側部から、ブリッジ部5cの両側を挟みながらディスクロータ2の外縁をディスク軸方向に跨ぎ、さらにディスクロータ2の他側部で、反作用部5bの側壁に沿ってディスク中心方向へ延びる形状となっている。キャリパ支持腕3a,3aの先端部は、タイロッド3bにて連結されていて、制動トルクのかかる両支持腕3a,3aの剛性力を高めている。
各キャリパ支持腕3aには、上述のスライドピン4を収容するガイド孔3cが穿設され、また双方のキャリパ支持腕3a,3aには、ディスクロータ2のそれぞれの側部で互いに向き合う4つのパッドガイド溝3dが設けられている。各パッドガイド溝3dは、ディスク半径方向外側面3eとディスク半径方向内側面3fと両側面3e,3fを結ぶ対向面3gとを有するコ字状に形成されている。また、パッドガイド溝3d,3dのディスク半径方向外側には、前記ディスク半径方向外側面3eと平行方向の取付面3hを有するパッドリテーナ取付部3i,3iが設けられている。
各摩擦パッド6は、裏板6aの両側部に耳片6b,6bが突設され、また、裏板6aの一側面にはライニング6cが貼着されている。耳片6b,6bは、双方のディスク回転方向端面6d,6dを、ディスク半径方向外側の突出長さが、ディスク半径方向内側の突出長さよりも短くなる段付き形状に形成し、ディスク回入側と回出側のパッドガイド溝3d,3dに、それぞれパッドリテーナ10を介して支承される。
上記パッドリテーナ10は、ディスク回入側又はディスク回出側で、ディスクロータ両側のパッドガイド溝3d,3dに敷設される一対のリテーナ部10a,10aと、リテーナ部10a,10aの反ディスクロータ側に設けられた弾性ループ部10b,10bを介してディスクロータ側に延出したパッド戻し部10c,10cと、キャリパ支持腕3aのパッドリテーナ取付部3i,3iの取付面3h,3hに当接する取付片10d,10dと、ディスクロータ2の外縁を跨いで、取付片10d,10dの上部を繋ぐ連結片10eとからなっている。
各リテーナ部10aは、摩擦パッド6の耳片6bを挟んでディスク半径方向の内外に向き合う内側片10f及び外側片10gと、これら両片10f,10gをパッドガイド溝3d,3dの奥部で繋ぐ奥側片10hとからなっている。
各弾性ループ部10bは、奥側片10hのディスク半径方向外側部分から、反ディスクロータ側に延出した細長片を、ディスクロータ側に円弧状に曲げ戻して形成され、パッド戻し部10cは、弾性ループ部10bの曲げ戻し端から、さらにディスクロータ方向へ延出させた前記細長片の先端部を反奥側片方向に向けて傾斜させると共に、延出方向に沿って湾曲状に反り返らせて形成されている。このパッド戻し部10cは、摩擦パッド6の耳片6bが、ライニング6cの新品時からフル摩耗するまでを移動する距離に足りる長さを有している。さらに、パッド戻し部10cの長手方向中間部には、前記細長片を屈曲させた屈曲部10iを介して平面部10kが形成され、該平面部10kの先端側には、延出方向に沿って湾曲状に反り返らせた先端側湾曲部10mを備えている。
前記平面部10kは、パッドガイド溝3dに摩擦パッド6の耳片6bを挿入したときに、耳片6bのディスク回転方向端面6dによってパッド戻し部10cが奥側片10hの方向に押圧されて弾性変形したときに、ディスク回転方向端面6dと略平行な方向になり、平面部10kの全面がディスク回転方向端面6dに面接触した状態、あるいは、平面部10kの弾性ループ部10b側端部となる屈曲部10iの頂部がディスク回転方向端面6dに線接触した状態になり、パッド戻し部10cの弾発力によって摩擦パッド6の両耳片6b,6bを両平面部10k,10kによって両側から挟んで、両平面部10k,10k間に摩擦パッド6を保持した状態になるように形成されている。さらに、各弾性ループ部10bは、両平面部10k,10k間に摩擦パッド6を保持した状態で、耳片6bの反ディスクロータ側に突出し、仮組み状態の摩擦パッド6がパッドガイド溝3dから脱落することを防止できるように形成されている。
各外側片10gは、先端部をパッドリテーナ取付部3iの先端面に沿って曲げ戻し、パッドリテーナ取付部3iのディスク半径方向外側面方向へ延出させて前記取付片10dを弾性変形可能に形成し、外側に向かって弾性変形した状態の取付片10dと外側片10gとでパッドリテーナ取付部3iを挟持するようにしている。また、各内側片10fの反ディスクロータ側と外側片10gの反ディスクロータ側とには、差込みガイド片10nがそれぞれ外開きに設けられており、摩擦パッド6の耳片6bを容易に差し込めるようにしている。
各内側片10fは、先端側がディスク半径方向外側に向けて漸次傾斜して形成されると共に、先端部のディスクロータ側が、摩擦パッド6をディスクロータ2の側面から離間させる方向に向けて漸次傾斜して形成され、耳片6bをディスク半径方向外側と、反ディスクロータ側とに付勢する構造となっている。
各外側片10gは、先端部をパッドリテーナ取付部3iの先端面に沿って曲げ戻し、パッドリテーナ取付部3iのディスク半径方向外側面方向へ延出させて前記取付片10dを弾性変形可能に形成し、外側に向かって弾性変形した状態の取付片10dと外側片10gとでパッドリテーナ取付部3iを挟持するようにしている。また、各内側片10fの反ディスクロータ側と外側片10gの反ディスクロータ側とには、差込みガイド片10nがそれぞれ外開きに設けられており、摩擦パッド6の耳片6bを容易に差し込めるようにしている。
各内側片10fは、先端側がディスク半径方向外側に向けて漸次傾斜して形成されると共に、先端部のディスクロータ側が、摩擦パッド6をディスクロータ2の側面から離間させる方向に向けて漸次傾斜して形成され、耳片6bをディスク半径方向外側と、反ディスクロータ側とに付勢する構造となっている。
このように形成されたパッドリテーナ10は、取付片10d,10dと外側片10g,10gとでパッドリテーナ取付部3iを挟持してキャリパ支持腕3aに取り付けられ、各リテーナ部10aの内側片10fと外側片10gとが、各パッドガイド溝3dのディスク半径方向外側面3eとディスク半径方向内側面3fとにそれぞれ当接させて敷設され、奧側片10hが対向面3gに当接させて敷設される。この取り付けにより、各弾性ループ部10bがキャリパ支持腕3aの反ディスクロータ側にそれぞれ配設されると共に、各パッド戻し部10cが、弾性ループ部10bよりディスクロータ方向に、漸次パッドガイド溝3dの反ディスクロータ側に向けて湾曲しながら傾斜してそれぞれ配設される。
各摩擦パッド6は、裏板6aの耳片6b,6bがディスク回入・回出側のパッドガイド溝3d,3dの反ディスクロータ側から、弾性ループ部10b,10bとパッド戻し部10c,10cとを弾性変形させながらパッドガイド溝3d,3dにそれぞれ挿入される。このように、耳片6b,6bをディスク回入・回出側のパッドガイド溝3d,3dにそれぞれ挿入する際、耳片6b,6bは、弾性ループ部10b,10bとパッド戻し部10c,10cとを弾性変形させることで、これらの弾発力によって反ディスクロータ側に付勢されるが、図1に示されるように、パッド戻し部10c,10cに設けた平面部10k,10kとディスク回転方向端面6d,6dとが当接した位置になると、前述のように、耳片6b,6bを平面部10k,10kによって両側から挟んだ状態になり、摩擦パッド6にディスク軸方向へ移動する力が作用せず、耳片6b,6bを介して摩擦パッド6が一時的に保持されると共に、弾性ループ部10b,10bが耳片6b,6bの反ディスクロータ側に突出する。これにより、パッド戻し部10cの弾発力で摩擦パッド6が反ディスクロータ側に跳ね返されてパッドガイド溝3d,3dから脱落することを防止でき、摩擦パッド6,6を安定した状態で組み付けることができる。さらに、耳片6b,6bをパッドガイド溝3d,3dに挿入した後の状態では、耳片6b,6bのディスク回転方向外側面6f,6fがパッド戻し部10c,10cと当接し、該パッド戻し部10cを奥側片10h側へ押圧した状態となり、また、耳片6b,6bのディスク回転方向端面6d,6dのディスク半径方向外側と奥側片10hとの間には空間部Eが形成される。
本形態例は上述のように形成されており、運転者の制動操作によって、昇圧した作動液が液圧室9に供給されると、ピストン8がシリンダ孔7を前進して、作用部5a側の摩擦パッド6を、矢印A方向に回転するディスクロータ2の一側面に押圧する。次にこの反力によって、キャリパボディ5がスライドピン4,4に案内されながら、作用部5a方向へ移動し、反力爪5eが反作用部5b側の摩擦パッド6を、ディスクロータ2の他側面へ押圧する。
本形態例は上述のように形成されており、運転者の制動操作によって、昇圧した作動液が液圧室9に供給されると、ピストン8がシリンダ孔7を前進して、作用部5a側の摩擦パッド6を、矢印A方向に回転するディスクロータ2の一側面に押圧する。次にこの反力によって、キャリパボディ5がスライドピン4,4に案内されながら、作用部5a方向へ移動し、反力爪5eが反作用部5b側の摩擦パッド6を、ディスクロータ2の他側面へ押圧する。
このとき、各摩擦パッド6の耳片6b,6bは、ディスク半径方向外側面6f,6fがリテーナ部10a,10aの外側片10g,10gに案内され、耳片6b,6bのディスク半径方向内側面6e,6eが、内側片10f,10fをディスク半径方向内側面3f側に押し付けながら、パッドガイド溝3d,3d内を円滑に移動する。内側片10f,10fは、耳片6b,6bによって、ディスク半径方向内側面3f側に押し付けられながらも、内側片10f,10fの弾発力によって、耳片6b,6bのディスク半径方向外側面6f,6fを前記パッドガイド溝3d,3dのディスク半径方向外側面3e,3e側に押圧すると共に、耳片6b,6bを反ディスクロータ側に押圧する。また、耳片6b,6bのディスク回転方向端面6dは、前記平面部10kからディスクロータ側の先端側湾曲部10mの部分に移動する。
これにより、耳片6b,6bのディスク半径方向外側面6f,6fがパッドガイド溝3d,3dのディスク半径方向外側面3e,3eに常時押し付けられるため、制動時に耳片6b,6bがパッドガイド溝3d,3d内でガタつくことがなく、ガタつきによる各摩擦パッド6の打音を抑え、ブレーキ鳴きを有効に抑制することができる。
一方、上述の制動操作を解除して、ピストン8と反力爪5eとが制動開始前の位置へ後退すると、弾性ループ部10b,10bとパッド戻し部10c,10cにおける先端側湾曲部10m,10mの弾発力により、先端側湾曲部10m,10mに当接している耳片6b,6bを反ディスクロータ側へ押圧し、各摩擦パッド6をディスクロータ2の側面から強制的に離間させる。これにより、各摩擦パッド6の引き摺りを防止し、ディスクロータ2の摩耗により発生するジャダの抑制や、ブレーキ鳴きの抑制を有効に図ることができる。
さらに、摩擦パッド6のライニング6cが摩耗してくると、摩擦パッド6は、徐々にディスクロータ2側へ進出し、耳片6b,6bが、パッド戻し部10c,10cの先端側に当接するため、弾性ループ部10b,10bからの弾発力は低下するものの、パッド戻し部10c,10cの先端側湾曲部10m,10mが、延出方向に沿って湾曲状に反り返らせて形成されていることから、この低下した弾発力を補うことができ、ライニング6cの摩耗状態に関わらず、摩擦パッド6を確実にディスクロータ2の側面から離間させ、摩擦パッド6のガタつきを抑えることができる。
また、耳片6b,6bのディスク回転方向両端面6d,6dは、ディスク半径方向外側の突出長さを、ディスク半径方向内側の突出長さよりも短くして段付き形状に形成していることから、対向面3g,3g及び奥側片10h,10hと前記ディスク回転方向両端面6d,6dのディスク半径方向外側との間に空間部Eがそれぞれ形成され、この空間部Eによって、パッド戻し部10c,10cを良好に作動させることができる。さらに、この構造により、制動時に各耳片6bのディスク半径方向外側は、パッドガイド溝3dの対向面3gと当接せず、各耳片6bのディスク半径方向内側のみがパッドガイド溝3dの対向面3gと当接して制動トルクを伝達することから、特に、負荷の小さいブレーキ操作を行う際に、ディスク回入側の摩擦パッドの浮き上がりを抑制することができ、ブレーキ鳴きの発生を抑制することができる。また、摩擦パッド6を仮組みした状態で、弾性ループ部10bが耳片6bの反ディスクロータ側に突出することから、仮組み状態の摩擦パッド6がパッドガイド溝3dから脱落することを防止し、組み付け性の向上を図ることができる。
なお、本発明は上述の各形態例に限るものではなく、連結片や取付片の形状や、差込みガイド片の形状及び形成箇所は任意である。また、パッド戻し片を、内側片の反ディスクロータ側からディスクロータ方向へ曲げ戻して形成したものにも適用することができる。さらに、摩擦パッドの耳片のディスク回転方向端面を段付き形状にしてパッドガイド溝の対向面との間に空間部を設けるもの限らず、耳片のディスク回転方向端面を平面状に形成し、パッドガイド溝の対向面を段付き形状にするとともに、パッドリテーナの奥側片も対向面に沿うように段付き形状にして、パッド戻し部が作動できる空間部を設けることもできる。また、内側片は、ディスクロータ側に向けて漸次ディスク半径方向外側に傾斜させていなくてもよい。
1…車両用ディスクブレーキ、2…ディスクロータ、3…キャリパブラケット、3a…キャリパ支持腕、3b…タイロッド、3c…ガイド孔、3d…パッドガイド溝、3e…ディスク半径方向外側面、3f…ディスク半径方向内側面、3g…対向面、3h…取付面、3i…パッドリテーナ取付部、4…スライドピン、5…キャリパボディ、5a…作用部、5b…反作用部、5c…ブリッジ部、5d…車体取付け腕、5e…反力爪、6…摩擦パッド、6a…裏板、6b…耳片、6c…ライニング、6d…ディスク回転方向端面、6e…ディスク半径方向内側面、6f…ディスク半径方向外側面、7…シリンダ孔、8…ピストン、9…液圧室、10…パッドリテーナ、10a…リテーナ部、10b…弾性ループ部、10c…パッド戻し部、10d…取付片、10e…連結片、10f…内側片、10g…外側片、10h…奥側片、10i…屈曲部、10k…平面部、10m…先端側湾曲部、10n…差込みガイド片
Claims (3)
- 車体に固設されるキャリパブラケットに、ディスクロータの外縁をディスク軸方向に跨ぐ一対のキャリパ支持腕を延設し、該キャリパ支持腕に、ディスク半径方向外側面とディスク半径方向内側面と当該両側面を結ぶ対向面とを有するコ字状のパッドガイド溝を対向して設け、前記ディスクロータを挟んで配置される摩擦パッドの裏板両側部に耳片をそれぞれ突設し、該耳片を前記パッドガイド溝にパッドリテーナを介して支承し、前記パッドリテーナは、前記ディスクロータ両側のパッドガイド溝に敷設される一対のリテーナ部と、前記ディスクロータの外縁を跨いで、前記一対のリテーナ部を繋ぐ連結片と、前記摩擦パッドを反ディスクロータ方向に付勢するパッド戻し部とを備えた車両用ディスクブレーキにおいて、前記リテーナ部は、前記ディスク半径方向内側面に当接する内側片と、前記ディスク半径方向外側面に敷設される外側片と、該外側片と内側片とを繋いで前記対向面に敷設される奥側片とを有し、前記パッド戻し部は、リテーナ部の反ディスクロータ側からディスクロータ方向へ曲げ戻して延出する細長片の先端部を、反ディスクロータ側方向に向けて傾斜させると共に、延出方向に沿って湾曲状に反り返らせて形成され、前記パッド戻し部の長手方向中間部に、前記耳片を一時的に保持可能な平面部を形成したことを特徴とする車両用ディスクブレーキ。
- 前記平面部は、前記細長片の長手方向中間部を屈曲させた屈曲部の先端側に形成され、前記平面部の先端側に、延出方向に沿って湾曲状に反り返らせた先端側湾曲部を備えていることを特徴とする請求項1記載の車両用ディスクブレーキ。
- 前記パッド戻し部は、基端側に、前記奥側片の反ディスクロータ側から延設され、前記奥側片から延出した細長片をディスクロータ側に円弧状に曲げ戻して形成した弾性ループ部を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用ディスクブレーキ。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015197138A (ja) * | 2014-03-31 | 2015-11-09 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | ディスクブレーキ |
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2009
- 2009-03-31 JP JP2009085460A patent/JP2010236617A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015197138A (ja) * | 2014-03-31 | 2015-11-09 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | ディスクブレーキ |
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