JP2010012073A - 衣類乾燥装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低外気温度の乾燥時に蒸発器の温度を高め、蒸発器の着霜等に起因する目詰まりを防止し、洗濯乾燥時間を短縮する。
【解決手段】衣類乾燥装置は、乾燥空気を循環させる送風機11に風量可変式のものを採用し、蒸発器21に取付けられた温度センサ30が所定値以下の温度を検出したときに、一定時間(△T1の時間)送風機11の送風量を減少し、蒸発器21の温度低下を抑制して蒸発器21への着霜を抑制するものであり、低外気温時における蒸発器21の温度を高め、衣類4等の乾燥時間を短縮するものである。
【選択図】図2
【解決手段】衣類乾燥装置は、乾燥空気を循環させる送風機11に風量可変式のものを採用し、蒸発器21に取付けられた温度センサ30が所定値以下の温度を検出したときに、一定時間(△T1の時間)送風機11の送風量を減少し、蒸発器21の温度低下を抑制して蒸発器21への着霜を抑制するものであり、低外気温時における蒸発器21の温度を高め、衣類4等の乾燥時間を短縮するものである。
【選択図】図2
Description
本発明は、洗濯後の非乾燥状態にある衣類、寝具等の乾燥を行う乾燥装置に関するものである。
従来のこの種乾燥装置において、乾燥手段にヒートポンプ装置を具備した乾燥装置が知られている(特許文献1参照)。
上記従来の乾燥装置の構成およびその動作を、図8に基づいて説明する。
図8は、ドラム式の衣類乾燥機を示すもので、筐体51内に水平軸52を中心軸として回転する回転ドラム53が配置されている。
回転ドラム53の前面に形成された衣類投入口54は、筐体51の前面に開口しており、扉55で開閉される。
筐体51内には、回転ドラム53の内部に設定される乾燥室56を含む空気循環路57が構成され、空気循環路57は、途中に乾燥室56、送風室58、熱交換室59等を有し、乾燥室56の空気は、その背壁の回転ドラム側排気口60から送風室58に流れ、次いで熱交換室59を通って乾燥室56の前方に設けた給気口61から再度この乾燥室56に循環する。
モータ62は、回転ドラム53、およびファン65を駆動するもので、その回転は、ベルト63、64を介して回転ドラム53およびファン65に伝達される。
送風室58にはファン65が、熱交換室59の内部には上流側に蒸発器66、下流側に凝縮器67がそれぞれ配置されている。
これら蒸発器66、凝縮器67は、圧縮機68、キャピラリチューブ等の膨張機構69と共にヒートポンプを構成している。
以上のように構成された洗濯乾燥機について、以下その動作について説明する。
まず、乾燥室56からの高湿空気が蒸発器66で冷却されて除湿され、その後乾燥空気となって凝縮器67に至り、ここで加熱され高温低湿空気となる。
そしてこの高温低湿空気は、給気口61から乾燥室56に供給され、その中の衣類Aの乾燥に供される。
特開平7−178289号公報
ヒートポンプ方式の衣類乾燥装置は、蒸発器66で湿った衣類Aの水分を除湿することで冷凍サイクルの蒸発源とし、圧縮機68を駆動するための電気入力を加え、凝縮器67で空気を加熱することでさらに衣類Aの水分を蒸発させる動作を繰り返している。
しかしながら、上記従来のヒートポンプ方式の衣類乾燥装置では、衣類Aが温まり冷凍サイクルの凝縮源として利用できるまでに時間がかかり、この間、圧縮機68の圧力が上昇しにくい状況が発生する。
衣類Aの温度が低い時、特に冬場等のように外気温度が低く、洗濯乾燥機そのものの温度が低いような場合には、冷凍サイクルを構成する蒸発器66、凝縮器67を循環する空気の温度も低くなり、この空気と熱交換するためには、蒸発器66を流れる冷媒の温度をこの空気よりも低く制御し、空気から冷媒が蒸発するエネルギーを得る必要がある。
このため、循環する空気の温度が一定温度以上になるまでは、蒸発器66を流れる冷媒の温度は0℃以下となり、このときに蒸発器66で結露した水分は蒸発器66の表面に霜、または氷となって付着することがある。かかる状態は、循環する空気の流れの抵抗となると共に、冷媒と空気の熱交換を妨げることとなる。また、凝縮器67では、循環する空気が下流側に進むにつれ冷却されるため、下流側の温度が最も低くなり、ここから霜、氷の成長が始まり、循環する空気の抵抗となると共に、冷媒と空気の熱交換を妨げることとなる。
また、循環する空気がある一定温度に上昇するまでは、蒸発器66の表面では、発生した霜が成長、溶融を繰り返し、この溶融した水分は蒸発器66の下面側に流れ落ちる間に再氷結してしまう。このため、循環する空気の抵抗となると共に、冷媒と空気の熱交換を妨げるという課題があった。
さらに、蒸発器66に霜や氷が成長し、空気と冷媒の熱交換が十分できなくなると、冷媒は完全に蒸発せずに液の状態で圧縮機68に吸入されることとなり、圧縮機68の信頼性にも影響を及ぼすという課題もあった。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、外気温度の低い状況でも蒸発器での霜や氷の成長を抑えた衣類乾燥装置を提供することを目的とするものである。
上記、従来の課題を解決するために、本発明の衣類乾燥装置は、蒸発器に温度検出手段を取付け、また乾燥用空気の循環量を制御する送風量制御手段を設け、前記温度検出手段が所定値以下の温度を検出したときに、制御装置によって前記送風量制御手段を制御し、乾燥用空気の循環量を減少させるものである。
これにより、低外気温時に衣類乾燥装置を運転した場合、循環する乾燥空気の量を減少させて蒸発器の温度低下を鈍らせ、蒸発器に霜が付着し難い条件を形成することができるものである。その結果、衣類より蒸発した水分が蒸発器に付着する際に、過冷却することを抑制して該水分を付着させることができ、乾燥効率の低下を抑制して乾燥時間の短縮化をはかり、消費電力量を削減することができるものである。
本発明は、低外気温度時等のように蒸発器が凍結し易い条件で運転された場合であっても、前記蒸発器の凍結を防止することにより、回転ドラム内の衣類の温度低下が抑制でき、その結果、乾燥時間の短縮と消費電力量の削減がはかれるものである。また、蒸発器の凍結目詰まり等に起因した冷媒の蒸発作用の阻害を抑制し、圧縮機への液冷媒の戻りを抑制して液圧縮に起因した圧縮機の破損等を抑制することができるものである。
請求項1に記載の発明は、有底筒状の水槽を具備した本体と、前記水槽内に回転可能に配置された回転ドラムと、前記本体に設けられ、前記回転ドラムへの衣類等の投入を可能とする開口部と、前記開口部を開閉する蓋体と、前記水槽内の空気を循環させる空気循環装置を具備した衣類乾燥装置であって、前記空気循環装置を、少なくとも循環空気を冷却、加熱する熱源装置と、前記熱源装置を挟んで設けられ、両端が前記本体内に開口した循環ダクトと、前記熱源装置または循環ダクトに設けられ、前記熱源装置からの空気を前記水槽内へ循環させる循環送風機より構成し、前記熱源装置を、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器を具備した冷媒循環回路より構成し、さらに、前記熱源装置に、前記蒸発器の温度を検出する温度検出手段を設け、また、前記循環ダクト内を流れる循環空気量を制御する送風量制御手段を設け、さらに前記温度検出手段が所定値以下の温度を検出したときに、前記送風量制御手段により、循環ダクト内を流れる循環空気量を減少させるものである。
かかる構成とすることにより、低外気温時等のように蒸発器が低温となり易い条件での運転開始時、あるいは衣類乾燥装置の運転時において、蒸発器の温度が所定値以下の温度となった場合に、循環する空気量を減少させて蒸発器の急激な温度低下を抑制し、蒸発器の温度が0℃以下となる時間を極力短くすることができ、これによって蒸発器への霜の付着をし難くすることができる。その結果、循環する空気の通風抵抗の増加を抑制し、冷媒と空気の熱交換効率の低下を抑制することができる。したがって、衣類より蒸発した水分は、霜となる前に蒸発器に付着し易くなり、衣類等の乾燥時間の短縮化がはかれ、乾燥に要する消費電力量を削減することができる。また、蒸発器の凍結目詰まり等に起因した冷媒の蒸発作用の阻害を抑制し、圧縮機への液冷媒の戻りを抑制して液圧縮に起因した圧縮機の破損等を抑制することができるものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記送風量制御手段を、風量制御可能な循環送風機とし、前記温度検出手段が所定値以下の温度を検出したときに、前記循環送風機の風量を減少させるようにしたものである。
かかる構成によれば、循環送風機の回転数を制御することによって循環風量が制御でき、蒸発器の温度低下の抑制が比較的簡単な構成によって行うことができるものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記循環送風機を貫流式の送風機とし、前記送風量制御手段を、前記制御装置により前記循環送風機を逆回転させる構成とし、前記温度検出手段が所定値以下の温度を検出したときに、前記循環送風機を逆回転させて風量を減少させるようにしたものである。
かかる構成とすることにより、循環送風機の回転方向を制御する簡単な制御によって循環する空気の量が減少し、蒸発器の急激な温度低下を鈍くして蒸発器への着霜を抑制することができる。その結果、水分の凍結に起因して蒸発器の熱交換作用が阻害されることが抑制でき、乾燥効率の低下を抑制して乾燥時間の長期化の抑制、および消費電力の削減をはかることができるものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記送風量制御手段を、前記循環ダクトに設けられ、かつ前記制御装置によりその開度が制御されるダンパー装置とし、前記温度検出手段が所定値以下の温度を検出したときに、前記ダンパー装置を閉塞方向に制御して循環風量を減少させるようにしたものである。
かかる構成とすることにより、蒸発器の温度が所定値以下の温度となった場合に、前記循環ダクトに設けたダンパー装置の開度制御によって乾燥空気の循環量を減少させることができ、その結果、蒸発器の温度低下を抑制して蒸発器への霜付きを抑制し、乾燥時間の短縮、および消費電力量の削減をはかることができるものである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参考にしながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における斜めドラム式洗濯乾燥機の断面図である。図2は、同斜めドラム式洗濯乾燥機のシステム構成を示す模式図である。図3は、同斜めドラム式洗濯乾燥機における低外気温時の運転開始時の制御内容を示す制御パターン図である。図4は、同斜めドラム式洗濯乾燥機における低外気温時の運転途中の制御内容を示す制御パターン図である。
図1は、本発明の実施の形態1における斜めドラム式洗濯乾燥機の断面図である。図2は、同斜めドラム式洗濯乾燥機のシステム構成を示す模式図である。図3は、同斜めドラム式洗濯乾燥機における低外気温時の運転開始時の制御内容を示す制御パターン図である。図4は、同斜めドラム式洗濯乾燥機における低外気温時の運転途中の制御内容を示す制御パターン図である。
図1に示すように、洗濯乾燥機を構成する本体1の内部には、複数のサスペンション2によって弾性的に支持された有底円筒状の水槽3が設けられ、洗濯・脱水時における水槽3の振動をサスペンション2によって吸収する構成となっている。
水槽3の内部には、周壁に多数の貫通穴5aを有し、衣類4を収容する有底円筒状で横軸型の回転ドラム5が回転可能に設けられており、駆動モータ6により回転駆動される。本体1の前面には、衣類4を出し入れする開口部1aと、これを開閉する扉7が設けられている。
水槽3および回転ドラム5の前面側にもそれぞれ同様の開口部3a、5bを有し、この水槽3の開口部3aは、ベローズ8等の適宜手段によって本体1の開口部1aと水密に連結されている。また、水槽3と回転ドラム5の間には、水槽3と回転ドラム5で形成される空間において開口部3a側と底部側を仕切るシール部材12が設けられている。このシール部材12は、回転ドラム5とは接触しないように微小な間隔を維持して配置されている。また、水槽3の底部には、水槽3内の洗濯水を排出する排水口3bが設けられ、排水弁9を有する排水ホース10に連結されている。
送風手段を構成する循環用の送風機11は、ファン11aとこれを駆動するモータ11bを具備しており、本体1の上面1bと水槽3により形成される隅部空間(本体1の上部)に位置するように設けられている。
モータ11bは、インバータ制御等の手段によって回転数が可変できるもので、これにより送風機11は、モータ11bの回転数を制御することによってその風量が制御される構成となっている。
本体1の背面1cの下部には、ヒートポンプ装置20(図2)を構成するフィンチューブ式の熱交換器からなる蒸発器(吸熱器)21と凝縮器(放熱器)23を近接して並設し、収納した熱交換風路25が配置されている。
熱交換風路25の内部には、矢印bの方向から蒸発器21へ空気を流す吸熱器風路22と、同様に凝縮器23から矢印cの方向に空気が流れる放熱器風路24が設けられている。
さらに、吸熱器風路22は、循環用の送風機11の吐出側に連通した吐出ダクト26と連結され、また放熱器風路24は、水槽3内に開口した給気ダクト27と連結されている。
そして、水槽3と循環用の送風機11の吸入側は、排気ダクト28によって連結され、排気ダクト28の途中には、乾燥に伴い飛散する洗濯屑、糸屑等を捕獲するフィルター29が着脱可能に設けられている。
ここで、熱交換風路25、吐出ダクト26、給気ダクト27、排気ダクト28は、本発明の循環ダクトに相当するものである。
したがって、循環用の送風機11で送風される乾燥用空気は、矢印aで示すように、吐出ダクト26から吸熱器風路22へ流れ、蒸発器21および凝縮器23を通過し、放熱気風路24から矢印cで示すように給気ダクト27へ流れ、矢印dで示すように給気ダクト27から水槽3に設けた給気口(図示せず)を介して水槽3内へ流れる。
そして、回転ドラム5の周壁側へ流れ、シール部材12で遮られて矢印eで示すように多数の貫通穴5aから回転ドラム5へ流れ込み、矢印fで示すように水槽3の外部に設けられた排気口(図示せず)から排気ダクト28を通り、循環用の送風機11の吸入側へと戻り、以下、上述の流れを所定時間行う。
また、熱交換回路25内に配置された蒸発器21には、該蒸発器21の温度を検出する温度検出手段である温度センサ30が設けられている。この温度センサ30は、蒸発器21が設置されている周辺の空気温度を検出するようにしてもよい。
図2に示す如く、ヒートポンプ装置20は、インバータ制御等によって回転数が制御され、能力変更が可能なように構成された圧縮機31と、凝縮器23と、減圧度合いが調整できる電動式膨張弁32と、蒸発器21を環状に連結した構成である。
制御装置33は、温度センサ30の検出温度に応じて圧縮機31、送風機11の能力と、電動式膨張弁32の減圧度合いを制御するもので、洗濯乾燥機の運転開始時において、温度センサ30が所定値以下の温度を検出した場合に、送風機11の動作を所定時間ΔT1に限り特定の動作に切換えるタイマー機能を具備している。
次に、上記構成における洗濯乾燥機の主な動作について説明する。ここで、以下に説明する動作は、外気温度(洗濯乾燥機の周辺温度)が比較的高く、蒸発器21に着霜が生じ難い条件で運転を行う場合である。
洗濯(洗浄)工程では、排水弁9を閉じた状態で給水弁(図示せず)を開放することにより、水槽3内への給水が行われる。そして水槽3内に所定の水位に達するまで給水を行い、駆動モータ6を駆動して衣類4と洗濯水の入った回転ドラム5を回転させて洗濯を行う。
そして、洗濯が終了すると、排水弁9を開いて排水ホース10より水槽3内の水を洗濯乾燥機の外へ排水する。
また、次の洗濯後の濯ぎ工程においても、前述の洗濯工程と同様に水槽3内に給水され、その後回転ドラム5を回転させて衣類4の濯ぎを行い、濯ぎが終了すると、排水弁9を開いて排水ホース10より水槽3内の水を洗濯乾燥機の外へ排水する。
さらに次の脱水工程では、排水弁9を開いて排水ホース10より水槽3内の水を洗濯乾燥機の外へ排水した後、駆動モータ6により衣類4の入った回転ドラム5を一方向に高速回転してその遠心力により脱水する。
そして、前述の脱水工程が終了すると、乾燥工程に移る。この乾燥工程では、ヒートポンプ装置20の圧縮機31を作動させる。その結果、冷媒は圧縮され、その圧力により凝縮器23、減圧手段である電動式膨張弁32、蒸発器21を循環する。凝縮器23では冷媒の圧縮で熱が放出され、蒸発器21では電動式膨張弁32で減圧されて低圧となった冷媒により熱が吸収される。これと並行して循環用の送風機11が運転され、凝縮器23の放熱により加熱された温風が給気ダクト27を通って給気口から水槽3内に送風される。このとき、回転ドラム5は駆動モータ6により回転駆動され、衣類4は上下に撹拌されている。
したがって、前記循環用の送風機11により、凝縮機23によって加熱された乾燥用空気は、前記給気口から回転ドラム5内に送風される。回転ドラム5内に供給された温風は、衣類4の隙間を通るときに水分を奪い、湿った状態で水槽3の排気口を経て排気ダクト28から循環用の送風機11を通り、吐出ダクト26から熱交換風路25へと流れ、蒸発器21に至る。
この湿った温風は、蒸発器21を通過する際に顕熱と潜熱が奪われて除湿され、乾いた空気と結露水に分離される。
乾いた空気は、続いて凝縮器23を通過する際にこの凝縮器23で再び加熱されて温風となり、再び水槽3、回転ドラム5内へ供給され、以下、前述の循環を繰り返す。
一方、結露水は蒸発器21に付着し、飽和して落下する量になると、下部に設けられた貯水室(図示せず)に貯水され、排水ポンプ(図示せず)により汲み上げられて排水ホース10より機外へ排出される。
このように、衣類4等の乾燥にヒートポンプ装置20を用いることにより、蒸発器21で吸熱した熱を冷媒で回収して再び凝縮器23で放熱して、圧縮機31の入力エネルギー以上の熱量を衣類4に与えることができるため、乾燥効率を向上させることができる。したがって、乾燥時間の短縮と省エネルギーを実現することが可能になる。
一方、外気温度が所定値以下の温度の場合、所謂低外気温時に、同様の減圧度合いでヒートポンプ装置20を運転すると、蒸発器21が過渡に低温となり、その結果、衣類4等の水分を含んだ乾燥空気は、蒸発器21を通過する際にその水分が霜となって蒸発器21に付着し、その状態で運転を連続すると、蒸発器21が凍結し、水分を結露することができなくなる。
次に、蒸発器21周辺の温度が、例えば5℃以下のように低外気温状態にある場合の乾燥動作について説明する。ここで、洗濯工程から脱水工程については上記と同じであるため、説明を省略してここでは乾燥工程について説明する。また、圧縮機31および送風機11は、インバータ制御装置(図示せず)により、その回転数(能力)が周知の如く制御されるものである。
運転開始初期は、温度センサ30が蒸発器21(あるいはその近辺)の温度を検出しており、循環用の送風機11と圧縮機31は同期して起動される(図3)。
圧縮機31を運転すると、冷媒は凝縮器23、電動式膨張弁32、蒸発器21と流れ、圧縮機31へ戻る。この冷媒流れの連続により、凝縮器23の温度は徐々に上昇し、また、蒸発器21の温度は徐々に低下する。
しかしながら、図3に示す如く、制御装置33のタイマー機能によって所定時間ΔT1の間、循環用の送風機11の回転数が低速を維持するように制御されているため、蒸発器21は循環する空気との熱交換作用が少なく、温度低下が鈍い状態にある。したがって、蒸発器21は、0℃以下の温度となる時間が抑制されるため、水分の着霜、凍結も抑制される。その結果、蒸発器21での循環空気との熱交換作用も継続され、冷媒のガス化により、液冷媒を圧縮機31へ吸入する弊害も抑制される。
換言すると、循環用の蒸発器21の温度は、循環する空気温度よりは若干低い温度で動作を続けるものの、その低下が鈍い状態にあり、一方では圧縮機31の入力エネルギーに起因して、凝縮器23の温度が徐々に高くなり、循環する乾燥空気の温度も徐々に高くなる傾向にある。
そして、時間ΔT1が経過すると、制御装置33によって、循環用の送風機11の低速維持運転が解除され、通常運転となる。かかる状態は、ヒートポンプ装置20が高い効率を発揮できる値に設定されているため、ヒートポンプ装置20による放熱量、吸熱量が共に増加し、乾燥空気の湿度を低下して乾燥効率を高めることができる。
この状態において、循環する乾燥空気の温度(蒸発器21の温度)が再び低下した場合は、図4に示す如く再び制御装置33によって循環用の送風機11の回転数(周波数)を減少するように制御することにより、循環する乾燥空気に含まれた水分の蒸発器21への着霜、凍結を抑制することができる。その結果、乾燥動作を著しく低下させることも防止することができる。この場合は、図4の圧縮機31の回転数特性において破線で示す如く圧縮機31の回転数(能力)も低下させる、あるいは圧縮機31の運転を停止することが好ましい。かかる制御は、特に能力制御可能な圧縮機31を用いた場合においては、圧縮機31への液冷媒の戻りを抑制して液圧縮に起因した圧縮機31の破損等を抑制する効果が期待できる。
また、洗濯乾燥機の使用実態においては、運転開始時から低外気温状態にあり、図3に示す如く制御を実施して通常の制御に移行する場合と、図4に示す如く運転開始から途中で蒸発器21の温度が0℃以下になる場合と、図3に示す制御以降に、図4に示す制御が伴う状況になる場合が考えられるが、いずれの場合も蒸発器21の温度を検出することにより、対応が可能であり、蒸発器21の着霜、凍結による乾燥効率の低下を抑制することができる。
なお、本実施の形態1においては、循環用の送風機11を排気ダクト28に設ける構成としたが、図2の破線で示す如く給気ダクト27に配置、あるいはヒートポンプ装置20に組み込む構成とすることもできるものである。
また、圧縮機31は、インバータ制御装置等によって回転数(能力)が制御されるものとして説明したが、一定速の圧縮機とし、送風機11の送風量のみを上述と同様に制御する構成としてもよいものである。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。図5は、本発明の実施の形態2における斜めドラム式洗濯乾燥機の低外気温時の制御内容を示す制御パターン図である。ここでは、洗濯乾燥機の構成を実施の形態1と同じとしているため、それぞれの構成要件については図1、図2を援用し、先の実施の形態1と相違する乾燥工程の制御内容を主体に説明する。また循環用の送風機11cは、クロスフローファンで代表される貫流式の送風機を用い、先の実施の形態1と同様にインバータ制御等の手段によって回転数が制御され、その風量が制御される構成となっている。
次に、実施の形態2について説明する。図5は、本発明の実施の形態2における斜めドラム式洗濯乾燥機の低外気温時の制御内容を示す制御パターン図である。ここでは、洗濯乾燥機の構成を実施の形態1と同じとしているため、それぞれの構成要件については図1、図2を援用し、先の実施の形態1と相違する乾燥工程の制御内容を主体に説明する。また循環用の送風機11cは、クロスフローファンで代表される貫流式の送風機を用い、先の実施の形態1と同様にインバータ制御等の手段によって回転数が制御され、その風量が制御される構成となっている。
乾燥運転開始操作により、圧縮機31は周波数変換動作を伴って起動され、送風機11cも風量制御の伴う起動が行われる。したがって、ヒートポンプ装置20は、所定の熱交換作用を開始する。そして、熱交換風路25を流れる空気温度が低い条件にある場合、温度センサ30が蒸発器21の温度を検出し、所定値(例えば、5℃)よりも低い温度を検知すると、制御装置33は、循環用の送風機11cの回転を制御装置33のタイマー機能による所定時間ΔT1逆回転に切換えるとともに、圧縮機31を継続して運転する。そして、前述の所定時間ΔT1が経過すると、再び循環用の送風機11cの回転を正回転に切換える。
周知の如く貫流式の送風機(ファン)は、正回転に合わせて特性が設定されており、逆回転の場合は、送風方向は変わらず、送風能力が低下する特性を具備している。
したがって、時間ΔT1が経過した以降は、通常運転となる。かかる状態は、ヒートポンプ装置20が高い効率を発揮できる値に設定されているため、ヒートポンプ装置20による放熱量、吸熱量が共に増加し、乾燥空気の湿度を低下して乾燥効率を高めることができる。
この状態において、循環する乾燥空気の温度(蒸発器21の温度)が再び低下した場合は、図5の破線で示す如く再び制御装置33によって循環用の送風機11cの回転数(周波数)を減少するように制御することにより、循環する送風量が減少し、乾燥空気に含まれた水分の蒸発器21への着霜、凍結を抑制することができる。その結果、乾燥動作を著しく低下させることを防止することができる。この場合は、図5の圧縮機31の回転数特性において破線で示す如く圧縮機31の回転数(能力)も低下させる、あるいは圧縮機31の運転を停止することが好ましい。
かかる制御によれば、循環用の送風機11cの回転方向を制御することによって循環する空気の量が減少し、蒸発器21の急激な温度低下を鈍くしてマイナス温度になり難くくし、回転ドラム5内の衣類4より蒸発した水分を水滴として蒸発器21へ付着させ易くすることができる。したがって、乾燥時間の短縮化がはかれ、消費電力量を削減することができる。また、蒸発器21の凍結目詰まり等に起因した冷媒の蒸発作用の阻害を抑制し、圧縮機31への液冷媒の戻りを抑制して液圧縮に起因した圧縮機31の破損等を抑制することができるものである。
なお、圧縮機31は、インバータ制御装置等によって回転数(能力)が制御されるものとして説明したが、一定速の圧縮機とし、送風機11の送風量のみを上述と同様に制御する構成としてもよいものである。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。図6は、本発明の実施の形態3における斜めドラム式洗濯乾燥機のシステム構成を示す模式図である。図7は、同斜めドラム式洗濯乾燥機における低外気温時の制御内容を示す制御パターン図である。ここでは、洗濯乾燥機の構成を実施の形態1と同じとしているため、それぞれの構成要件については図1を援用し、先の実施の形態1、2と相違する構成および乾燥工程の制御内容を主体に説明する。また循環用の送風機11は、風量可変ができない一定速のものとして説明するが、先の実施の形態1と同様に風量可変が行われるものを用いてもよい。
次に、実施の形態3について説明する。図6は、本発明の実施の形態3における斜めドラム式洗濯乾燥機のシステム構成を示す模式図である。図7は、同斜めドラム式洗濯乾燥機における低外気温時の制御内容を示す制御パターン図である。ここでは、洗濯乾燥機の構成を実施の形態1と同じとしているため、それぞれの構成要件については図1を援用し、先の実施の形態1、2と相違する構成および乾燥工程の制御内容を主体に説明する。また循環用の送風機11は、風量可変ができない一定速のものとして説明するが、先の実施の形態1と同様に風量可変が行われるものを用いてもよい。
本実施の形態3においては、制御装置33によって制御される電動式のダンパー装置34を給気ダクト27に設けた構成が、先の実施の形態1、2と相違している。ダンパー装置34は、通常全開状態にあり、制御装置33によってその開度が調整される。
かかる構成において、乾燥運転を開始すると、圧縮機31は周波数変換動作を伴って起動され、送風機11も駆動される。したがって、ヒートポンプ装置20は、所定の熱交換作用を開始する。
ここで、熱交換風路25を流れる乾燥用の循環空気温度が低い条件にある場合、温度センサ30が蒸発器21の温度を検出し、所定値(例えば、5℃)よりも低い温度を検知すると、制御装置33は、図7に示す如くダンパー装置34を制御装置33のタイマー機能による所定時間ΔT1閉塞方向(全閉塞ではない)に駆動制御する。その結果、給気ダクト27を流れる循環空気の量が減少し、凝縮器23と蒸発器21の圧力差も少なくなり、蒸発器21の温度低下が鈍くなる。
必要に応じてかかる制御に破線で示す如く、所定時間ΔT1の間圧縮機31の上限の回転数を規制する制御を付加することもできる(図7)。
また、前記所定時間ΔT1の間は、凝縮器23の温度も上昇し、相対的に循環空気温度が上昇する傾向にある。したがって、所定時間ΔT1経過後ダンパー装置34が全開状態に復帰した場合においては、乾燥用の循環空気は昇温された状態にあり、蒸発器21の温度低下に起因して乾燥空気に含まれた水分が蒸発器21に着霜することも抑制される。
したがって、蒸発器21は、0℃以下になる時間が短くなり、蒸発器21に付着した水分が霜となることも抑制され、乾燥効率の低下を抑制することとなり、乾燥時間の短縮化および消費電力の削減が可能となる。また、蒸発器21の凍結目詰まり等に起因した冷媒の蒸発作用の阻害を抑制し、圧縮機31への液冷媒の戻りを抑制して液圧縮に起因した圧縮機31の破損等を抑制することができるものである。
かかる制御は、乾燥工程の運転開始時に限るものではなく、乾燥運転の途中において蒸発器21の温度が所定値以下に低下する場合においても同様に制御することができるものである。
なお、本実施の形態3においては、循環用の送風機11を排気ダクト28に設ける構成としたが、図6の破線で示す如く給気ダクト27に配置、あるいはヒートポンプ装置20に組み込む構成とすることもできるものである。
また、ダンパー装置34は給気ダクト27に限らず、循環ダクトを構成する吐出ダクト26、熱交換風路25、あるいは排気ダクト28のいずれかに設けることもできるものである。
以上のように、本発明にかかる衣類乾燥装置は、低外気温度時等のように循環する乾燥空気の温度が所定値以下の場合に、蒸発器を通過する乾燥空気量を減少させて蒸発器の目詰まりを防止し、乾燥効率の低下を抑制するもので、衣類乾燥の他に、穀物等の乾燥用途にも利用できるものである。
1 本体
1a 開口部
3 水槽
4 衣類
5 回転ドラム
7 扉(蓋体)
11 送風機(循環送風機)
11c 送風機(循環送風機)
20 ヒートポンプ装置(熱源装置)
21 蒸発器
23 凝縮器
25 熱交換風路(循環ダクト)
26 吐出ダクト(循環ダクト)
27 給気ダクト(循環ダクト)
28 排気ダクト(循環ダクト)
30 温度センサ(温度検出手段)
31 圧縮機
32 電動式膨張弁
33 制御装置
34 ダンパー装置
1a 開口部
3 水槽
4 衣類
5 回転ドラム
7 扉(蓋体)
11 送風機(循環送風機)
11c 送風機(循環送風機)
20 ヒートポンプ装置(熱源装置)
21 蒸発器
23 凝縮器
25 熱交換風路(循環ダクト)
26 吐出ダクト(循環ダクト)
27 給気ダクト(循環ダクト)
28 排気ダクト(循環ダクト)
30 温度センサ(温度検出手段)
31 圧縮機
32 電動式膨張弁
33 制御装置
34 ダンパー装置
Claims (4)
- 有底筒状の水槽を具備した本体と、前記水槽内に回転可能に配置された回転ドラムと、前記本体に設けられ、前記回転ドラムへの衣類等の投入を可能とする開口部と、前記開口部を開閉する蓋体と、前記水槽内の空気を循環させる空気循環装置を具備した衣類乾燥装置であって、前記空気循環装置を、少なくとも循環空気を冷却、加熱する熱源装置と、前記熱源装置を挟んで設けられ、両端が前記本体内に開口した循環ダクトと、前記熱源装置または循環ダクトに設けられ、前記熱源装置からの空気を前記水槽内へ循環させる循環送風機より構成し、前記熱源装置を、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器を具備した冷媒循環回路より構成し、さらに、前記熱源装置に、前記蒸発器の温度を検出する温度検出手段を設け、また、前記循環ダクト内を流れる循環空気量を制御する送風量制御手段を設け、さらに前記温度検出手段が所定値以下の温度を検出したときに、前記送風量制御手段により、循環ダクト内を流れる循環空気量を減少させる制御装置を設けた衣類乾燥装置。
- 前記送風量制御手段を、風量制御可能な循環送風機とし、前記温度検出手段が所定値以下の温度を検出したときに、前記循環送風機の風量を減少させるようにした請求項1に記載の衣類乾燥装置。
- 前記循環送風機を貫流式の送風機とし、前記送風量制御手段を、前記制御装置により前記循環送風機を逆回転させる構成とし、前記温度検出手段が所定値以下の温度を検出したときに、前記循環送風機を逆回転させて風量を減少させるようにした請求項1に記載の衣類乾燥装置。
- 前記送風量制御手段を、前記循環ダクトに設けられ、かつ前記制御装置によりその開度が制御されるダンパー装置とし、前記温度検出手段が所定値以下の温度を検出したときに、前記ダンパー装置を閉塞方向に制御して循環風量を減少させるようにした請求項1に記載の衣類乾燥装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008175418A JP2010012073A (ja) | 2008-07-04 | 2008-07-04 | 衣類乾燥装置 |
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JP2010012073A true JP2010012073A (ja) | 2010-01-21 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2008
- 2008-07-04 JP JP2008175418A patent/JP2010012073A/ja active Pending
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