JP2009524004A - 多管式熱交換器 - Google Patents

Abstract

本発明は、多数の管（２）を持つ多管式熱交換器であって、これらの管（２）が両端で管板（３，４）又は楕円管−管寄せ管板（５，６）に保持されて、これらとそれぞれ溶接継目（７）により結合され、管（２）と入口側管板（３）又は楕円管−管寄せ管板（５）との結合部が、円錐状及び／又はトランペット状移行片（１０）により形成され、移行片（１０）の断面がガス流の方向に見て減少し、ガス流の方向に見た移行片（１０）の入口側端部（１６）が、管板（３）又は楕円管−管寄せ管板（５）に突合わせ継手状に結合され、管板（３）又は楕円管−管寄せ管板（５）へ至る移行片（１０）及び溶接結合範囲（１３）の内側輪郭（１１）及び外側輪郭（１２）が、間隙や稜なしにまっすぐにかつ／又は外側輪郭（１２）で測って少なくとも５ｍｍの半径（Ｒ）を持つように形成されている。

Description

本発明は、多数の管を持つ多管式熱交換器であって、これらの管が両端で管板又は楕円管−管寄せ管板に保持されて、これらとそれぞれ溶接継目により結合され、管を包囲する冷媒により、管を通って導かれる高温のガス流を冷却するため、少なくとも１つのガス入口室及び少なくとも１つのガス出口室を持ち、ガス入口室から高温のガス流が個々の管へ導入され、ガス入口室が一方の側で入口側管板又は楕円管−管寄せ管板により区画され、ガス出口室において、管を通して導かれるガス流が集められて排出され、ガス出口室が一方の側で出口側管板又は楕円管−管寄せ管板により区画されているものに関する。

例えばガス化装置、熱及び触媒分解装置、蒸気リホーミング装置等のような多数の処理技術装置におけるガスの冷却のため、一般に熱交換器特に多管式熱交換器（冷却器）が使用され、冷却すべきガスがまっすぐな管を通って流れ、その際管壁を通して高温ガスの潜熱を、管を包囲する媒体特に冷媒へ放出する。このような熱交換器の特徴は、冷却すべきガスがしばしば高い圧力及び高い温度を受けており、熱交換器のまっすぐな管へ高い速度で流入することである。それにより管入口又は最初の管区域に高い熱流密度が現れて、熱交換器の管又は管板と管との結合部に高い温度及び高い熱応力を生じる。

従来技術による熱交換器では、ガスを導く管は管板に溶接され、管板と管との溶接継目が管板の外壁又は内壁あるいは管板開口に設けられている。ドイツ連邦共和国特許第３７１５７１３号明細書は、例えば管と管板又は楕円管−管寄せ管板の外壁との溶接結合部を示している。

この公知の構造の欠点は、管から管板または楕円管−管寄せ管板への移行部のガスに面する輪郭又は表面が、正確な空気力学的形状を持っていないことである。差込まれるスリーブの使用は、一般に複数の異なる理由、特にガス側断面の縮小及びスリーブの不充分な冷却から、望ましくない。更に管板−管結合部の冷媒側に間隙が生じて、水側腐食を生じるか、又は管板−管結合部が角を持ち、この角に望ましくない応力集中が起こる可能性がある。

欧州特許出願公開第１１５４１４３号明細書により冷却器が公知になっており、入口側管板と出口側管板との間にある熱交換器内で、廃ガスが冷却水により冷却される。廃ガスの冷却により、腐食成分を持つ凝縮物が生じて、それぞれの管と出口側管板との結合部に腐食をひき起こす。この腐食の結果、この結合部に冷却水の漏れが起こり、それにより後に接続される機械が損傷する。この漏れを防止するため、管が管板に円錐状に通され、管の円錐状部分が管板と完全にレーザ溶 接され、それにより深くまで達する溶接結合を得られるように、それぞれの管と出口側管板との結合部を形成することが提案される。

本発明の課題は、前記の欠点が回避されるか、又は管板あるいは楕円管−管寄せ管板から管への移行部がガス側に流れに有利な輪郭を持ち、冷媒側及びガス側に邪魔する要素が存在しないような、多管式熱交換器を提供することである。

前記の課題は、請求項１の特徴によって解決される。この解決策によれば、管と入口側管板又は楕円管−管寄せ管板との結合部が、円錐状及び／又はトランペット状移行片により形成され、移行片の断面がガス流の方向に見て減少し、ガス流の方向に見た移行片の入口側端部が、管板又は楕円管−管寄せ管板に突合わせ継手状に結合され、管板又は楕円管−管寄せ管板へ至る移行片及び溶接結合範囲の内側輪郭及び外側輪郭が、間隙や稜なしにまっすぐにかつ／又は外側輪郭で測って少なくとも５ｍｍの半径を持つように形成されている。

本発明の有利な構成は従属請求項からわかる。

本発明による解決策によって、次の利点を持つ多管式熱交換器が提供される。
管と管板または楕円管−管寄せ管板との結合個所における突出する稜及び間隙の回避により、一方ではガス及び冷媒の乱流が回避され、他方では腐食が阻止される。
管板又は楕円管−管寄せ管板から管への移行部が空気力学的に形成されるので、管へのガスの入口が最高の程度に乱流なしに延び、入口範囲における温度ピークが減少可能である。

有利な構成では、管板または楕円管−管寄せ管板から管への最適な空気力学的 移行を行うため、移行部の長さが、管の内径の少なくとも１．５倍であり、かつ／又は入口の所における移行片の内径が、管の内径の少なくとも１．２倍である。

移行片を、ガスの流れ方向に見て管の入口側端部において機械的に拡張するのが適切である。この手段により、１つの部分即ち管のみが製造され、本発明による移行片を製造する工程が簡単にされかつ短縮される。

本発明の有利な構成では、移行片が別個の管部分から形成され、ガス流の方向に見て移行片の出口側端部が、溶接継目により管と突合わせ継手状に結合されている。別個の管部分を使用することにより、その形状が複雑な移行片（例えば複数の異なる移行半径）も、著しく簡単かつ安価に製造することができる。本発明のこの構成では、移行片と管との間の溶接結合範囲の内側輪郭及び外側輪郭を、間隙や稜なしにかつまっすぐに、かつ／又は外側輪郭で測って少なくとも５ｍｍの半径を持つように形成するのが適切である。この手段により、管へのガスの入口において空気力学的な形状が得られる。

管板又は楕円管−管寄せ管板へ至る移行片及び溶接結合範囲の内側輪郭及び外側輪郭が間隙や稜なしにかつまっすぐに、かつ／又は外側輪郭で測って少なくとも２ｍｍの半径を持つように形成されていると、特に有利である。

好都合なように、移行片として使用される管部分が鍛造片として構成されている。

本発明の実施例が、図面により以下に詳細に説明される。

図１は、多管式熱交換器１を縦断面図で概略的に示す。このような多管式熱交換器１は、例えばガス化装置、熱及び触媒分解装置、蒸気リホーミング装置等のように、プロセスガス、廃ガス等が生成される多数の処理技術装置において必要 とされる。多管式熱交換器１は、一般に高温ガス１８の冷却に用いられ、この高温ガスは、図示しない導管により熱交換器１のガス入口室８へ導入され、ここから多数のまっすぐな管２を通って導かれ、続いて熱交換器１のガス出口室９に集められ、図示しない導管により熱交換器１から排出される。管２を包囲する冷媒１９との間接熱交換を行う管２は、それぞれ互いに間隔をおいて２つの管板３，４又は楕円管−管寄せ管板５，６の間に設けられ、これと固定的にかつ気密に、一般に溶接されて結合されている。

ガス入口室８からそれぞれの熱交換管２への高温ガス１８の入口において、ガス流の方向に見て入口側の管板３，５と管２の入口側端部１６との間に生じる熱応力をできるだけ小さく保つため、本発明によれば、管２と入り口側管板３（図２〜４参照）又は楕円管−管寄せ管板５（図５参照）との結合部は、それぞれ円錐状及び／又はトランペット状移行片１０により形成され、その断面はガス流の方向（矢印参照）に減少している。更にガス流の方向に見て移行片１０の入口側端部１６は、管板３又は楕円管−管寄せ管板５と突合わせ継手状に結合され、移行片１０及び管板３又は楕円管−管寄せ管板５への溶接結合範囲１３の内側輪郭１１及び外側輪郭１２は、間隙や稜なしにまっすぐにかつ／又は外側輪郭１２で測って少なくとも５ｍｍの半径を持つように形成されている。

これは次のことを意味する。即ち管板３又は楕円管−管寄せ管板５から管２への移行部の本発明による構成が、管２、移行片１０及び管板３又は楕円管−管寄せ管板５のガス及び冷媒に接触する側に、どこにも間隙、稜又は角ばった移行部を持たない空気力学的輪郭１１，１２を形成する。従って溶接結合範囲１３を含めて内側輪郭１１及び外側輪郭１２にあるすべての移行部は、本発明によれば、まっすぐに又は平らにかつ／又は半径を持つように構成されている。

図２及び５によれば、移行片１０は、例えば機械的に拡張される管２の端部１６である。この構成では、管２と管板３又は５との間の溶接継目７のみが必要であり、管２と管板３，５との間の溶接結合範囲１３を形成している。図３及び４は、 別個の管部分１５から成る移行片１０を示し、この移行片１０は簡単に製造可能である。なぜならば、管部分１５は管２全体に対して著しく短く、従って容易に加工可能だからである。ガス流の方向に見て管部分１５の出口側端部１７の頭部側結合のため、管２と管部分１５との間に溶接結合範囲１４を形成する別の溶接継目２２が必要である。この溶接継目２２は、内側輪郭１１及び外側輪郭１３において、まっすぐ又は平らにかつ／又は半径を持つように形成され、即ちこの範囲１４は稜や間隙のないように構成されている。

図２〜５による移行片１０は、その入口側端部１６に、移行片１０の外側輪郭１２に関して、例えば５ｍｍの半径Ｒ _１ を持っている。図２、３及び５によれば、それに例えば６０ｍｍの別の半径Ｒ _２ が続き、これに反し図４による移行片１０では、第１の半径Ｒ _１ に例えば２０ｍｍの半径を持つ円錐状収縮部が続いている。その場合図２及び５による移行片１０の内側輪郭１１は、移行片１０の壁厚ｓだけ大きい半径を持っている。管板３，５の壁厚ｔが管２の壁厚ｓに等しくない場合、溶接継目範囲１３内における両方の壁厚 _ｓ とｔの間の移行部は、本発明によれば、まっすぐ又は平らにかつ／又は半径を持つように形成されている。管２の壁厚ｓに対して管板３，５の異なる壁厚ｔは、図３及び４によれば、管部分１５として構成される移行片１０により保証され、その際管部分１５の両方の管端部におけるそれぞれの壁厚が管板３，５及び管２の壁厚ｔ及びｓに合わされる。即ちガス流の方向に見て、管片１５内で壁厚ｔが連続的に壁厚ｓに減少又は増大する。その際管部分１５は、鍛造片として有利に構成可能である。

への入口の所における移行片１０の内径Ｄｉは、有利に管２の内径ｄｉの１．２倍である。

図４は、例えばトランペット状移行範囲１０の代わりに、再び別個の管部分１５から形成される円錐状移行片１０を示している。ここでも管部分１５は、２つの溶接継目７，２２により管板３及び管２に結合されている。

図５は、二重管２，２１を持つ多管式熱交換器１を示し、内側管２と外側管２１との間の円環状断面内を冷媒が循環する。冷媒１９を導く外側管２１により、そうでない場合図１に示すように必要な熱交換器外筒は不要である。図１に示す熱交換器１では、冷媒１９は外筒２３と管板３，５及び４，６内の空間へ供給されかつこれから排出されるが、図５によれば冷媒１９は楕円管−管寄せ２０により供給又は排出される。本発明による移行片１０の結合は、この場合楕円管−管寄せ管板５と行われる。

冷媒として、熱の供給により一部又は前部蒸発せしめられる水を使用することができる。

多管式熱交換器の縦断面図を示す。 図１の細部“Ａ”による管板から管への移行部の詳細断面図を示す。 別の構成を図２と同様な断面図で示す。 更に別の構成を図２と同様な断面図で示す。 楕円管−管寄せ管板から管への移行部の詳細断面図を示す。

１ 多管式熱交換器
２ 管
３ 管板、入口側
４ 管板、出口側
５ 楕円管−管寄せ管板、入口側
６ 楕円管−管寄せ管板、出口側
７，２２ 溶接継目
８ ガス入口室
９ ガス出口室
１０ 移行片
１１ 内側輪郭
１２ 外側輪郭
１３，１４ 溶接継目範囲
１５ 管部分
１６ 移行片又は管の入口側端部
１７ 移行片又は管部分の出口側端部
１８ ガス
１９ 冷媒
２０ 楕円管−管寄せ
２１ 外側管
２３ 外筒

Claims (8)

1. 多数の管（２）を持つ多管式熱交換器であって、これらの管（２）が両端で管板（３，４）又は楕円管−管寄せ管板（５，６）に保持されて、これらとそれぞれ溶接継目（７）により結合され、管（２）を包囲する冷媒（１９）により、管（２）を通って導かれる高温のガス流（１８）を冷却するため、
   少なくとも１つのガス入口室（８）及び少なくとも１つのガス出口室（９）を持ち、
   ガス入口室（８）から高温のガス流（１８）が個々の管（２）へ導入され、ガス入口室（８）が一方の側で入口側管板（３）又は楕円管−管寄せ管板（５）により区画され、
   ガス出口室（９）において、管（２）を通して導かれるガス流（１８）が集められて排出され、ガス出口室（９）が一方の側で出口側管板（４）又は楕円管−管寄せ管板（６）により区画されている
   ものにおいて、
   管（２）と入口側管板（３）又は楕円管−管寄せ管板（５）との結合部が、円錐状及び／又はトランペット状移行片（１０）により形成され、移行片（１０）の断面がガス流の方向に見て減少し、
   ガス流の方向に見た移行片（１０）の入口側端部（１６）が、管板（３）又は楕円管−管寄せ管板（５）に突合わせ継手状に結合され、
   管板（３）又は楕円管−管寄せ管板（５）へ至る移行片（１０）及び溶接結合範囲（１３）の内側輪郭（１１）及び外側輪郭（１２）が、間隙や稜なしにまっすぐにかつ／又は外側輪郭（１２）で測って少なくとも５ｍｍの半径（Ｒ）を持つように形成されていることを特徴とする、多管式熱交換器。
2. 

   ることを特徴とする、請求項１に記載の多管式熱交換器。
3. 流れの方向にみて入口の所における移行片（１０）の内径（Ｄｉ）が、管（２）の内径（ｄｉ）の少なくとも１．２倍であることを特徴とする、請求項１に記載の多管式熱交換器。
4. 移行片（１０）が、流れ方向に見て管（２）の入口側端部（１６）における機械的拡張により形成されていることを特徴とする、請求項１に記載の多管式熱交換器。
5. 移行片（１０）が別個の管部分（１５）から形成され、ガス流の方向に見て移行片（１０）の出口側端部（１７）が、溶接継目（２２）により管（２）と突合わせ継手状に結合されていることを特徴とする、請求項１に記載の多管式熱交換器。
6. 移行片（１０）と管（２）との間の溶接結合範囲（１４）の内側輪郭（１１）及び外側輪郭（１２）が、間隙や稜なしにかつまっすぐに、かつ／又は外側輪郭（１２）で測って少なくとも５ｍｍの半径（Ｒ）を持つように形成されていることを特徴とする、請求項５に記載の多管式熱交換器。
7. 管板（３）又は楕円管−管寄せ管板（５）へ至る移行片（１０）及び溶接結合範囲（１３，１４）の内側輪郭（１１）及び外側輪郭（１２）が間隙や稜なしにかつまっすぐに、かつ／又は外側輪郭（１２）で測って少なくとも２ｍｍの半径（Ｒ）を持つように形成されていることを特徴とする、先行する請求項の１つに記載の多管式熱交換器。
8. 移行片として使用される管部分（１５）が鍛造片として構成されていることを特徴とする、先行する請求項の１つに記載の多管式熱交換器。

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