JP2009235541A - 酸化亜鉛系焼結ターゲットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 安定的な成膜が可能な高密度化した酸化亜鉛系焼結ターゲットを得るための製造方法を提供する。
【解決手段】 B、AlおよびGaからなる群から選ばれる少なくとも1種の添加元素を含有する酸化亜鉛系焼結ターゲットの製造方法であって、酸化亜鉛粉末と、前記添加元素を金属、酸化物もしくは亜鉛との複合酸化物として調整した添加元素を含有する粉末との混合粉末を雰囲気焼結によって相対密度90%以上の仮焼結体を作製した後、該仮焼結体を金属容器に密閉せずに、温度900℃以上かつ圧力80MPa以上の条件の熱間静水圧プレスで相対密度99%以上の焼結体を製造する酸化亜鉛系焼結ターゲットの製造方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】 B、AlおよびGaからなる群から選ばれる少なくとも1種の添加元素を含有する酸化亜鉛系焼結ターゲットの製造方法であって、酸化亜鉛粉末と、前記添加元素を金属、酸化物もしくは亜鉛との複合酸化物として調整した添加元素を含有する粉末との混合粉末を雰囲気焼結によって相対密度90%以上の仮焼結体を作製した後、該仮焼結体を金属容器に密閉せずに、温度900℃以上かつ圧力80MPa以上の条件の熱間静水圧プレスで相対密度99%以上の焼結体を製造する酸化亜鉛系焼結ターゲットの製造方法である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、透明導電膜をスパッタリング法で形成するための酸化亜鉛系焼結ターゲットの製造方法に関するものである。
液晶ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ、太陽電池、タッチパネルなどには、透明導電膜が必要とされる。例えば、液晶ディスプレイでは液晶の前後に透明導電膜が形成されており、透明導電膜から電場を付加することによって液晶の配勾性を制御し、バックライトからの光の透過量を調整することによって表示を行う。このために、液晶ディスプレイ用透明導電膜には、可視光域での平均透過率が90%以上、かつ抵抗率が10−4Ωcm台であることが求められる。このような条件を満たす透明導電膜として、現在は錫を添加した酸化インジウム(ITO)が一般的に利用されている。
ITOは、可視光域での平均透過率が高く、低抵抗率の薄膜が形成できるが、主成分であるインジウムが高価であり、また資源上の問題もあるため、最近では低コストで資源的な問題もない酸化亜鉛系導電膜がITOの代替として注目されている。
酸化亜鉛系透明導電膜は、化学蒸着法や直流マグネトロンスパッタ法などで形成される。化学蒸着法は成膜速度が速く、比較的に厚い膜を形成する場合には生産性が高いという特徴を有している。一方、直流マグネトロンスパッタ法は、低い基板温度で成膜しても低い抵抗率の薄膜が得られるという特徴を有している。
そして、酸化亜鉛系透明導電膜を直流マグネトロンスパッタ法で形成する際には、一般的に酸化亜鉛系ターゲットが使用されるが、直流マグネトロンスパッタ法に酸化亜鉛系ターゲットを使用する場合には、投入可能な電力が著しく低い上に放電が不安定になることが指摘されている。そのため、これらの課題を解決するために、焼結密度5g/cm3以上、比抵抗1Ωcm以下の酸化亜鉛系ターゲットを使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平2−149459号公報
そして、酸化亜鉛系透明導電膜を直流マグネトロンスパッタ法で形成する際には、一般的に酸化亜鉛系ターゲットが使用されるが、直流マグネトロンスパッタ法に酸化亜鉛系ターゲットを使用する場合には、投入可能な電力が著しく低い上に放電が不安定になることが指摘されている。そのため、これらの課題を解決するために、焼結密度5g/cm3以上、比抵抗1Ωcm以下の酸化亜鉛系ターゲットを使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
直流マグネトロンスパッタ法で形成する酸化亜鉛系透明導電膜の研究には長い歴史があるにもかかわらず、工業的な量産に適用するためには技術的な課題も多く残っている。問題の1つは、酸化亜鉛系ターゲットの高密度化である。上述の特許文献1には、酸化亜鉛系焼結体の焼結密度と焼結体の導電性を向上させるために、1300℃を超える高温で焼結を行うことが提案されているが、上記の方法によっても直流マグネトロンスパッタ法によって酸化亜鉛系透明電極膜を安定的に成膜するには、未だ十分ではない。
本発明の目的は、上記の課題を解決し、安定的な成膜が可能な高密度化した酸化亜鉛系焼結ターゲットを得るための製造方法を提供することである。
本発明の目的は、上記の課題を解決し、安定的な成膜が可能な高密度化した酸化亜鉛系焼結ターゲットを得るための製造方法を提供することである。
本発明者は、主に透明導電膜の作製に使用される酸化亜鉛系ターゲットにおいて、焼結密度の向上方法を検討した結果、酸化亜鉛系の粉末を、一度、雰囲気焼結で相対密度90%以上の仮焼結体を作製した後、熱間静水圧プレスで再度焼結することで、酸化亜鉛系の焼結体の相対密度を大きく改善できることを見いだし本発明に到達した。
すなわち、本発明は、B、AlおよびGaからなる群から選ばれる少なくとも1種の添加元素を含有する酸化亜鉛系焼結ターゲットの製造方法であって、酸化亜鉛粉末と、前記添加元素を金属、酸化物もしくは亜鉛との複合酸化物として調整した添加元素を含有する粉末との混合粉末を雰囲気焼結によって相対密度90%以上の仮焼結体を作製した後、該仮焼結体を金属容器に密閉せずに、温度900℃以上かつ圧力80MPa以上の条件の熱間静水圧プレスで相対密度99%以上の焼結体を製造する酸化亜鉛系焼結ターゲットの製造方法である。
好ましくは、添加元素の原子数/(亜鉛の原子数+添加元素の原子数)×100で定義される原子比が0.1〜10%の酸化亜鉛系焼結ターゲットである酸化亜鉛系焼結ターゲットの製造方法である。
好ましくは、添加元素の原子数/(亜鉛の原子数+添加元素の原子数)×100で定義される原子比が0.1〜10%の酸化亜鉛系焼結ターゲットである酸化亜鉛系焼結ターゲットの製造方法である。
本発明のによれば、高密度化した酸化亜鉛系焼結ターゲットの製造が可能となるため、酸化亜鉛系焼結ターゲットの製造方法として工業的に非常に重要である。
本発明の重要な特徴は、雰囲気焼結によって得られる所定の仮焼結体を、金属容器に密閉せずに熱間静水圧プレスによる焼結処理を行うことで、非常に高密度の酸化亜鉛系焼結ターゲットを製造することが可能になる点にある。
本発明は、B、Al、Gaからなる群から選ばれる少なくとも1種の添加元素を含有する酸化亜鉛系焼結ターゲットの製造方法である。酸化亜鉛に添加元素としてB、Al、Gaを含有するのは、酸化亜鉛の透明導電膜にB、Al、Gaが含有されることによって、ホール移動度をあまり低下させることなく、キャリア密度を向上させ、抵抗率の低い透明導電膜が得られるためである。これらの元素は、酸化亜鉛薄膜に1種類のみを添加しても酸化亜鉛薄膜の抵抗率を低くする効果が得られる。また、2種類以上を同時に添加しても酸化亜鉛薄膜の抵抗率を低くする効果が得られる。
以下、本発明の製造工程について説明する。
まず、酸化亜鉛粉末と添加元素を金属、酸化物もしくは亜鉛との複合酸化物として調整した添加元素を含有する粉末との混合粉末を準備する。なお、添加元素を含有する粉末は、酸化物とすることによって、後工程の雰囲気焼結の焼結温度を高くすることなどが容易になる。
また、混合粉末は、上記の酸化亜鉛粉末と添加元素を含有する粉末を、ボールミルなどの装置を用いて混合することが可能である。この混合は、乾式あるいは湿式のいずれでも良い。また、湿式混合を行った場合は、必要に応じて、スプレードライヤーなどの工程を適用しても良い。
まず、酸化亜鉛粉末と添加元素を金属、酸化物もしくは亜鉛との複合酸化物として調整した添加元素を含有する粉末との混合粉末を準備する。なお、添加元素を含有する粉末は、酸化物とすることによって、後工程の雰囲気焼結の焼結温度を高くすることなどが容易になる。
また、混合粉末は、上記の酸化亜鉛粉末と添加元素を含有する粉末を、ボールミルなどの装置を用いて混合することが可能である。この混合は、乾式あるいは湿式のいずれでも良い。また、湿式混合を行った場合は、必要に応じて、スプレードライヤーなどの工程を適用しても良い。
続いて、上記の混合粉末を雰囲気焼結によって相対密度90%以上の仮焼結体を作製する。
雰囲気焼結は、大気雰囲気、減圧雰囲気、不活性ガス雰囲気のいずれでも、相対密度90%以上の仮焼結体を作製できる雰囲気であれば可能である。
また、相対密度90%以上の焼結体を得るためには、雰囲気焼結における温度を1000℃以上とすることが好ましい。また、1600℃以上の雰囲気で焼結を行うと、焼結中に酸化亜鉛の重量減少が著しくなるので、焼結時の温度の上限は1600℃であることが好ましい。
なお、ターゲットとしての抵抗率を低減するためには、焼結体中の酸素含有量を低減することが望ましいと考えられている。雰囲気焼結を大気雰囲気で行っても、次工程の熱間静水圧プレスで酸素含有量の低減は十分可能であるが、より酸素含有量を低減したい場合には、不活性ガス雰囲気や0.1MPa以下への減圧雰囲気で雰囲気焼結を行うことも可能である。
雰囲気焼結は、大気雰囲気、減圧雰囲気、不活性ガス雰囲気のいずれでも、相対密度90%以上の仮焼結体を作製できる雰囲気であれば可能である。
また、相対密度90%以上の焼結体を得るためには、雰囲気焼結における温度を1000℃以上とすることが好ましい。また、1600℃以上の雰囲気で焼結を行うと、焼結中に酸化亜鉛の重量減少が著しくなるので、焼結時の温度の上限は1600℃であることが好ましい。
なお、ターゲットとしての抵抗率を低減するためには、焼結体中の酸素含有量を低減することが望ましいと考えられている。雰囲気焼結を大気雰囲気で行っても、次工程の熱間静水圧プレスで酸素含有量の低減は十分可能であるが、より酸素含有量を低減したい場合には、不活性ガス雰囲気や0.1MPa以下への減圧雰囲気で雰囲気焼結を行うことも可能である。
また、仮焼結体の相対密度は90%以上にすることが必要である。相対密度を90%以上にすることによって、仮焼結体の多くの空隙がクローズドポアとなり、熱間静水圧プレス工程で空隙を潰すことができると考えられる。相対密度が90%に満たない場合には、仮焼結体内に空隙が多く存在するため、熱間静水圧プレスで焼結体を作製する際に残存する空隙を十分に潰すことが困難になる。また、仮焼結体の相対密度を90%以上とすることで、仮焼結体中の気孔状態は閉気孔となるため、仮焼結体を容器に密閉することなく熱間静水圧プレスでより相対密度を向上させた焼結体を得ることが可能となる。
次に、仮焼結体を金属容器に密閉せずに、温度900℃以上かつ圧力80MPa以上の条件の熱間静水圧プレスで相対密度99%以上の焼結体を製造する。
本発明では、熱間静水圧プレスを実施する際に、仮焼結体を金属容器に密閉しないことも重要な特徴である。一般に、熱間静水圧プレスの際には、金属等の容器に原料を密閉して行われるが、酸化亜鉛系焼結体には延性がほとんどないために、金属容器に密閉した上で熱間静水圧プレスを行うと、焼結後の冷却の際などに酸化亜鉛系焼結体と金属容器の熱膨張の違いなどが原因で酸化亜鉛焼結体が割れるなどの問題がある。また、金属容器から酸化亜鉛系焼結体を取り出す際にも、この焼結体に衝撃が加わらないように細心の注意が必要であり、生産性が悪い。そこで、仮焼結体の相対密度を90%以上に高めておく必要はあるが、仮焼結体を金属容器などに密閉せずに熱間静水圧プレスを実施することによって割れなどの不良が著しく低減でき、かつ熱間静水圧プレスの条件の選択範囲を広げることが可能となる。
本発明では、熱間静水圧プレスを実施する際に、仮焼結体を金属容器に密閉しないことも重要な特徴である。一般に、熱間静水圧プレスの際には、金属等の容器に原料を密閉して行われるが、酸化亜鉛系焼結体には延性がほとんどないために、金属容器に密閉した上で熱間静水圧プレスを行うと、焼結後の冷却の際などに酸化亜鉛系焼結体と金属容器の熱膨張の違いなどが原因で酸化亜鉛焼結体が割れるなどの問題がある。また、金属容器から酸化亜鉛系焼結体を取り出す際にも、この焼結体に衝撃が加わらないように細心の注意が必要であり、生産性が悪い。そこで、仮焼結体の相対密度を90%以上に高めておく必要はあるが、仮焼結体を金属容器などに密閉せずに熱間静水圧プレスを実施することによって割れなどの不良が著しく低減でき、かつ熱間静水圧プレスの条件の選択範囲を広げることが可能となる。
雰囲気焼結によって得られる相対密度90%以上の仮焼結体は、上記の温度と圧力の付加によりさらに高密度の相対密度99%以上の焼結体を得ることが可能となる。さらに、熱間静水圧プレスで一般的なアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中で、金属容器に密閉しない仮焼結体を焼結する場合には、酸化亜鉛系の仮焼結体中の酸素含有量を低減しつつ、亜鉛の質量減少は抑制可能である。このため、酸素含有量の低減を伴いつつ、高密度化を実現できるため、ターゲット素材である焼結体の低抵抗率化とスパッタにおける異常放電の低減が可能となる。
また、金属容器に密閉せずに、熱間静水圧プレスで焼結を行う場合には、焼結温度が高くなりすぎると、酸化亜鉛系焼結体の質量減少や熱間静水圧プレス装置内の損傷などの問題が顕著になることから、熱間静水圧プレスにおける温度の上限は、1400℃以下とすることが好ましい。また、圧力条件はより高い圧力の付加が望ましいが、現在実用化される装置の最大圧力は、250MPa程度である。
また、金属容器に密閉せずに、熱間静水圧プレスで焼結を行う場合には、焼結温度が高くなりすぎると、酸化亜鉛系焼結体の質量減少や熱間静水圧プレス装置内の損傷などの問題が顕著になることから、熱間静水圧プレスにおける温度の上限は、1400℃以下とすることが好ましい。また、圧力条件はより高い圧力の付加が望ましいが、現在実用化される装置の最大圧力は、250MPa程度である。
また、本発明の酸化亜鉛系焼結ターゲットは、添加元素の原子数/(亜鉛の原子数+添加元素の原子数)×100で定義される原子比が0.1〜10%であることが望ましい。B、Al、Gaを添加した酸化亜鉛系薄膜は、ホール移動度をあまり低下させることなく、キャリア密度が高くなるので、抵抗率を低減できる。抵抗率の低減効果は、原子比で0.1%の添加元素の添加から効果があるが、10%を超えて添加すると酸化亜鉛薄膜の抵抗率が顕著に高くなると考えられる。
なお、酸化亜鉛系薄膜を液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイの透明導電膜に使用する場合には、抵抗率の低減がより重要視されるため、添加元素の含有量は、原子比2〜7%とすることが好ましい。それは、原子比2〜7%の範囲の添加によって、最低値に近い抵抗率が得られるためである。
また、酸化亜鉛系薄膜をCIGSなどの太陽電池の透明導電膜に使用する場合には、発電効率のために、抵抗率もさることながら、赤外光域の吸収を低くすることも求められる。このような場合には、B、Al、Gaの添加量を0.1〜1%とすることが好ましい。
なお、酸化亜鉛系薄膜を液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイの透明導電膜に使用する場合には、抵抗率の低減がより重要視されるため、添加元素の含有量は、原子比2〜7%とすることが好ましい。それは、原子比2〜7%の範囲の添加によって、最低値に近い抵抗率が得られるためである。
また、酸化亜鉛系薄膜をCIGSなどの太陽電池の透明導電膜に使用する場合には、発電効率のために、抵抗率もさることながら、赤外光域の吸収を低くすることも求められる。このような場合には、B、Al、Gaの添加量を0.1〜1%とすることが好ましい。
なお、本発明で用いる原子比とは、添加元素の原子数/(添加元素の原子数+亜鉛の原子数)と定義する。酸素を含めて分析を行うと、誤差が大きいのでこのように定義した。
また、酸化亜鉛系ターゲット中の添加元素の含有量と、マグネトロンスパッタ法で形成された酸化亜鉛系薄膜の添加元素の含有量はほぼ一致する。すなわち、酸化亜鉛系ターゲットの添加元素の含有量をコントロールすることによって、酸化亜鉛系薄膜の添加元素の含有量をコントロールすることが可能である。
また、酸化亜鉛系ターゲット中の添加元素の含有量と、マグネトロンスパッタ法で形成された酸化亜鉛系薄膜の添加元素の含有量はほぼ一致する。すなわち、酸化亜鉛系ターゲットの添加元素の含有量をコントロールすることによって、酸化亜鉛系薄膜の添加元素の含有量をコントロールすることが可能である。
以下の実施例で本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
Alを原子比で3%添加した酸化亜鉛系焼結ターゲットを以下の通り、作製した。
原料粉末として、平均1次粒径0.2μm酸化亜鉛(ZnO)粉末と平均1次粒径0.2μmの酸化アルミニウム(Al2O3)粉末を用いて、Alが原子比で3%含有されるように調合した粉末に純水を適量添加してボールミルで20時間混合した。ボールミル混合の後、乾燥させた混合粉末にバインダーを適量添加した後、プレス成形し、300MPaの圧力で冷間等方圧加圧を行い、成形体を得た。この成形体を大気圧(0.1MPa)の焼結炉内において大気雰囲気中で1400℃、2時間の雰囲気焼結を行って仮焼結体を作製した。続いて、得られた仮焼結体を金属容器に密閉せずにそのまま熱間静水圧プレス装置に装入して、温度1150℃、圧力100MPa、1時間の熱間静水圧プレスによって焼結体を得た。得られた焼結体に機械加工を施して、Φ150mm×10mmの酸化亜鉛系焼結ターゲットを得た。
なお、上記の仮焼結体および焼結体から試料を採取して、アルキメデス法により相対密度を測定したところ、それぞれ、98.7%(密度:5.56g/cm3)、99.8%(密度:5.62g/cm3)であった。
Alを原子比で3%添加した酸化亜鉛系焼結ターゲットを以下の通り、作製した。
原料粉末として、平均1次粒径0.2μm酸化亜鉛(ZnO)粉末と平均1次粒径0.2μmの酸化アルミニウム(Al2O3)粉末を用いて、Alが原子比で3%含有されるように調合した粉末に純水を適量添加してボールミルで20時間混合した。ボールミル混合の後、乾燥させた混合粉末にバインダーを適量添加した後、プレス成形し、300MPaの圧力で冷間等方圧加圧を行い、成形体を得た。この成形体を大気圧(0.1MPa)の焼結炉内において大気雰囲気中で1400℃、2時間の雰囲気焼結を行って仮焼結体を作製した。続いて、得られた仮焼結体を金属容器に密閉せずにそのまま熱間静水圧プレス装置に装入して、温度1150℃、圧力100MPa、1時間の熱間静水圧プレスによって焼結体を得た。得られた焼結体に機械加工を施して、Φ150mm×10mmの酸化亜鉛系焼結ターゲットを得た。
なお、上記の仮焼結体および焼結体から試料を採取して、アルキメデス法により相対密度を測定したところ、それぞれ、98.7%(密度:5.56g/cm3)、99.8%(密度:5.62g/cm3)であった。
以上から、本発明によって、熱間静水圧プレスを適用すると、仮焼結温度の1400℃よりも低い1150℃で焼結しても焼結体の密度を高くすることができ、かつ99%以上の相対密度を得ることができた。
また、上記で得られた酸化亜鉛系焼結ターゲットを用いて、直流マグネトロンスパッタ法による成膜の可否を評価した所、投入電力:直流200W、ガス圧:0.4Pa、スパッタガス:Ar、基板温度:200℃の条件で安定した成膜が可能であった。
本発明は酸化亜鉛系ターゲットを高密度化する製造方法として優れているため、液晶ディスプレイや太陽電池の生産において求められる高い生産性が不可欠な用途に適用できる。
Claims (2)
- B、AlおよびGaからなる群から選ばれる少なくとも1種の添加元素を含有する酸化亜鉛系焼結ターゲットの製造方法であって、酸化亜鉛粉末と、前記添加元素を金属、酸化物もしくは亜鉛との複合酸化物として調整した添加元素を含有する粉末との混合粉末を雰囲気焼結によって相対密度90%以上の仮焼結体を作製した後、該仮焼結体を金属容器に密閉せずに、温度900℃以上かつ圧力80MPa以上の条件の熱間静水圧プレスで相対密度99%以上の焼結体を製造することを特徴とする酸化亜鉛系焼結ターゲットの製造方法。
- 添加元素の原子数/(亜鉛の原子数+添加元素の原子数)×100で定義される原子比が0.1〜10%の酸化亜鉛系焼結ターゲットであることを特徴とする請求項1に記載の酸化亜鉛系焼結ターゲットの製造方法。
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