JP2009120024A - ランフラットタイヤ - Google Patents

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JP2009120024A JP2007295957A JP2007295957A JP2009120024A JP 2009120024 A JP2009120024 A JP 2009120024A JP 2007295957 A JP2007295957 A JP 2007295957A JP 2007295957 A JP2007295957 A JP 2007295957A JP 2009120024 A JP2009120024 A JP 2009120024A
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尚彦 菊地
Yoji Imoto
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Abstract

【課題】大幅な質量増加を伴うことなく耐久性を向上させる。
【解決手段】カーカス6とトレッド補強コード層7と断面略三日月状のサイド補強ゴム層11とを具えるランフラットタイヤ1であって、サイド補強ゴム層11は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、平均繊維径が1〜100μmでかつ平均繊維長が0.1〜20mmである非金属短繊維を5〜120質量部含有するゴム組成物からなり、しかも前記非金属短繊維がタイヤ周方向に配向される。また、カーカス6は、タイヤ赤道に対して45〜90°の角度で配列したカーカスコードをトッピングゴムで被覆したカーカスプライ6Aからなるとともに、前記カーカスコードに、撚り係数Tが0.5〜0.7であるアラミド繊維を用いたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、パンク時でも一定の速度で継続した走行が可能なランフラットタイヤに関し、詳しくは大幅な質量増加を伴うことなく乗り心地及び耐久性を向上しうるランフラットタイヤに関する。
パンク等によりタイヤ内の空気が抜けた状態においても比較的長距離を比較的高速で走行しうるランフラットタイヤが知られている。このようなランフラットタイヤは、サイドウォール部のカーカス内側に、断面略三日月状のサイド補強ゴム層が設けられており、パンク時にはこのサイド補強ゴム層が荷重を支持しタイヤの縦撓みを制限する(例えば下記特許文献1など参照)。また、この種のランフラットタイヤでは、ランフラット走行時における荷重支持能力の向上及びサイドウォール部の周方向せん断変形量の抑制のために、カーカスプライの枚数の増加や、サイド補強ゴム層のゴムボリュームの増加が行われている。しかしながら、このような改善は、タイヤ質量の大幅な増加を招きやすいばかりか、ランフラット走行時のタイヤ温度、とりわけサイド補強ゴム層の発熱を加速させやすく、ひいてはランフラット耐久性の低下を招くおそれがある。また、通常走行時の乗り心地を著しく悪化させるおそれがある。
また、サイド補強ゴム層へ配合される補強用充填剤(例えばカーボンブラック等)を増量することにより、該サイド補強ゴム層を硬質化し、前記撓み量を抑える方法も考えられるが、混練りや押出し等の工程において、混練機の負荷が大きくなるという欠点がある。また、このようなゴムは、加硫後の物性において発熱が大きくなりやすいため、ランフラット耐久性の向上が十分に期待できない。
特開平2000−351307号公報
本発明は、以上のような問題に鑑み案出なされたもので、サイド補強ゴム層に、特定の平均繊維径及び平均繊維長を具えた非金属短繊維を含ませかつそれをタイヤ周方向に配向させるとともに、高弾性であるアラミド繊維コードをカーカスコードに使用することを基本として、通常走行時の乗り心地を高め、しかもタイヤ質量の大幅な増加を伴うことなくランフラット走行時における操縦安定性と耐久性とを向上しうるランフラットタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、トレッド部の内方かつ前記カーカスの半径方向外側に配されるトレッド補強コード層と、前記サイドウォール部のカーカス内側に配された断面略三日月状のサイド補強ゴム層とを具えるランフラットタイヤであって、前記サイド補強ゴム層は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、平均繊維径が1〜100μmでかつ平均繊維長が0.1〜20mmである非金属短繊維を5〜120質量部含有するゴム組成物からなり、しかも前記非金属短繊維がタイヤ周方向に配向されるとともに、前記カーカスは、タイヤ赤道に対して45〜90°の角度で配列したカーカスコードをトッピングゴムで被覆したカーカスプライからなるとともに、前記カーカスコードに、下式(1)で示される撚り係数Tが0.5〜0.7であるアラミド繊維を用いたことを特徴とする。
T=N×√{(0.125×D/2)/ρ}×10-3 …(1)
ただし、Nは上撚り数(回/10cm)、Dはコードのトータル表示デシテックス(繊度)、ρはコード材料の比重である。
また請求項2記載の発明は、前記サイド補強ゴム層は、タイヤ周方向の複素弾性率E*1、タイヤ半径方向の複素弾性率E*2、及びタイヤ半径方向の損失弾性率E”2が次の関係を満たす請求項1記載のランフラットタイヤである。
E*1≧12MPa
E*1/E*2≧1.5
E”2/(E*2)2≦7.0×10-9 [Pa-1
また請求項3記載の発明は、前記非金属短繊維は、グラスファイバー又はカーボンファイバーである請求項1又は2記載のランフラットタイヤである。
また請求項4記載の発明は、前記カーカスコードの前記撚り係数Tが0.6〜0.7である請求項1ないし3のいずれかに記載のランフラットタイヤである。
また請求項5記載の発明は、前記カーカスプライの前記トッピングゴムは、複素弾性率E*tが5〜13MPaである請求項1ないし4のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また請求項6記載の発明は、正規リムに装着されかつ正規内圧を充填した正規内圧状態におけるタイヤ軸心を含むタイヤ子午断面において、前記タイヤ外面のプロファイルは、前記タイヤ外面とタイヤ赤道面Cとの交点であるタイヤ赤道点CPから接地端側に向かって曲率半径が漸減する複数の円弧からなる曲面によって形成される請求項1ないし5のいずれかに記載のランフラットタイヤである。
また請求項7記載の発明は、前記タイヤ外面のプロファイルは、タイヤ赤道面Cからタイヤ最大断面巾SWの45%の距離SPを隔てるタイヤ外面上の点をPとするとき、タイヤ外面の曲率半径RCが、タイヤ赤道点CPから前記点Pに至るまでの間で徐々に減少するとともに、前記タイヤ赤道面Cから前記タイヤ最大断面巾SWの半巾(SW/2)の60%、75%、90%及び100%の距離X60、X75、X90及びX100 を夫々隔てるタイヤ外面上の各点と、タイヤ赤道点CPとの間の各半径方向距離をそれぞれY60、Y75、Y90及びY100 とし、かつタイヤ断面高さをSHとするとき、
0.05< Y60 /SH ≦0.1
0.1< Y75 /SH ≦0.2
0.2< Y90 /SH ≦0.4
0.4< Y100 /SH ≦0.7
の関係を満足することを特徴とする請求項6記載のランフラットタイヤである。
なお前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"を意味する。また前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" を意味するが、乗用車用タイヤの場合には180kPaとする。
また、前記損失弾性率及び複素弾性率はJIS−K6394の規定に準じて、次に示される条件で粘弾性スペクトロメータを用いて測定した値である。
初期歪:10%
振幅:±1%
周波数:10Hz
変形モード:引張
測定温度:70°C
本発明のランフラットタイヤでは、サイド補強ゴム層が、タイヤ周方向に配向された特定サイズの非金属短繊維を含有するゴム組成物から形成される。このようなサイド補強ゴム層は、非金属短繊維が配向された方向、即ち、タイヤ周方向の剛性のみが実質的に向上し、そのタイヤ半径方向の剛性は殆ど変化しない。従って、本発明のランフラットタイヤでは、通常走行時の乗り心地の著しい悪化を防止しつつ、ランフラット走行時におけるサイド補強ゴム層を含むサイドウォール部領域のタイヤ周方向のせん断変形量を効果的に抑制しうる。これにより、ランフラット走行時におけるサイドウォール部の発熱や熱劣化が長期に亘って抑制されるので、ランフラット耐久性が大幅に向上する。従って、このようなサイド補強ゴム層は、例えば従来よりも少ないボリュームでランフラット走行時に要求される荷重支持能力を発揮できるので、ランフラットタイヤの質量増加をも防止できる。
また、本発明のランフラットタイヤは、耐熱性に特に優れるアラミド繊維コードがカーカスコードとして用いられる。従って、ランフラット走行時の温度上昇によるカーカスコード損傷を抑制できる。また、アラミド繊維コードは高弾性であり荷重支持能力を高めることができるため、カーカスプライ枚数の低減(軽量化)を図りながら、ランフラット走行時のタイヤの縦撓み量を軽減でき、前述の耐熱性の向上と相乗作用によりランフラット耐久性をより一層高めうる。またランフラット走行時の操縦安定性も向上でき、ランフラット走行における高速化及び長距離化を達成しうる。
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1は、本発明のランフラットタイヤ1の正規内圧状態におけるタイヤ子午断面図である。
図1において、本実施形態のランフラットタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、トレッド部2の内方かつ前記カーカス6の半径方向外側に配されるトレッド補強コード層7とを具えるチューブレスタイプの乗用車用タイヤ1Aとして構成される。
前記カーカス6は、タイヤ赤道に対して45〜90°の角度で配列されるカーカスコードをトッピングゴムにより被覆した1枚以上のカーカスプライから形成される。本実施形態のカーカス6は、カーカスコードがタイヤ赤道に対して80〜90°の角度で配列された1枚のカーカスプライ6Aから構成されている。前記カーカスプライ6Aは、前記ビードコア5、5間を跨るトロイド状の本体部6aと、前記ビードコア5の周りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返された一対の折返し部6bとを具える。
前記本体部6aと折返し部6bとの間には、例えばゴム硬度が65〜98度の硬質のゴムからなり、前記ビードコア5から半径方向外側に先細状にのびるビード補強用のビードエーペックスゴム8が配される。本明細書においては、「ゴム硬度」は、温度23℃で測定したデュロメータータイプAによる硬さを意味する。このビードエーペックスゴム8のビードベースラインBLからのタイヤ半径方向の高さhaは、特に限定はされないが、小さすぎるとランフラット耐久性が不十分となり、逆に大きすぎるとタイヤ質量の過度の増加や乗り心地の悪化を招く恐れがある。このような観点より、ビードエーペックスゴム8の前記高さhaは、タイヤ断面高さSHの10〜60%、より好ましくは20〜50%が望ましい。
本実施形態では、前記カーカス6の折返し部6bが、前記ビードエーペックスゴム8を半径方向外側に超えて巻き上がり、その外端部6beが、本体部6aと前記トレッド補強コード層7との間に挟まれて終端するいわゆる超ハイターンアップの折り返し構造を具える。これにより、1枚のカーカスプライ6Aを用いて、サイドウォール部3を効果的に補強しうる。また前記折返し部6bの外端部6beが、ランフラット走行時に大きく撓むサイドウォール部3から離れるため、該外端部6beを起点とした損傷を好適に抑制しうる。前記折返し部6bとトレッド補強コード層7との重なり部のタイヤ軸方向巾EWは、5mm以上、さらには10mm以上が好ましく、その上限は、軽量化の観点から40mm以下、さらには30mm以下が好ましい。なお前記カーカス6が複数枚のカーカスプライから形成される場合には、少なくとも1枚のカーカスプライがこの態様をなすのが好ましい。
前記トレッド補強コード層7は、本実施形態では、前記カーカス6に重置されるベルト9と、そのさらに外側に重ねられたバンド10とから構成される。前記ベルト9は、タイヤ周方向に対して例えば10〜45°の角度で配列したベルトコードをトッピングゴムにて被覆した2枚以上、本実施形態では2枚のベルトプライ9A、9Bから形成される。各ベルトコードは、プライ間相互で交差することによりベルト剛性を高め、トレッド部2の略全巾をタガ効果を有して強固に補強する。
前記バンド10は、タイヤ赤道に対して5°以下の角度で螺旋状に巻回されるバンドコードをトッピングゴムにて被覆した1枚以上のバンドプライからなり、前記ベルト9を拘束し、操縦安定性、高速耐久性等を向上させる。前記バンドプライとしては、ベルト9のタイヤ軸方向外端部のみを被覆する左右一対のエッジバンドプライ、及びベルト9の略全巾を覆うフルバンドプライがあり、これらを単独で或いは組み合わせて使用される。本実施形態では、バンド10が1枚のフルバンドプライからなるものを例示している。なお前記トレッド補強コード層7としては、ベルト9のみで形成することも、またバンド10のみで形成することもできる。
また前記サイドウォール部3には、ランフラット機能を確保するためのサイド補強ゴム層11が配される。このサイド補強ゴム層11は、最大厚さを有する中央部分11aから、タイヤ半径方向内端11i及び外端11oに向かってそれぞれ厚さを徐々に減じてのびる断面略三日月状をなす。前記内端11iは、ビードエーペックスゴム8の外端よりもタイヤ半径方向内側に位置し、前記外端11oは、トレッド補強コード層7の外端7eよりもタイヤ軸方向内側に位置する。このとき、サイド補強ゴム層11とビードエーペックスゴム8とのタイヤ半径方向の重なり巾Wiを5〜50mm、かつサイド補強ゴム層11とトレッド補強コード層7とのタイヤ軸方向の重なり巾Woを0〜50mmとするのが好ましい。これらにより、前記外端11o及び内端11iでの剛性段差の発生を抑えることができる。
前記サイド補強ゴム層11は、本実施形態では、カーカス6の本体部6aの内側(タイヤ内腔側)に配される。そのため、サイドウォール部3の曲げ変形時には、サイド補強ゴム層11には主として圧縮応力が、またコード材を有するカーカスプライ6Aには主として引張応力が作用する。ゴムは圧縮に強く、かつコード材は引張に強いため、上記のようなサイド補強ゴム層11の配設構造は、サイドウォール部3の曲げ剛性を効率良く高め、ランフラット走行時のタイヤの縦撓みを効果的に低減しうる。
前記サイド補強ゴム層11のゴム硬度は、好ましくは60度以上、さらに好ましくは65度以上が望ましい。前記ゴム硬度が60度未満であると、ランフラット走行時の圧縮歪が大きくなって、ランフラット性能が不十分となる。逆にゴム硬度が高すぎても、タイヤの縦バネ定数が過度に上昇して乗り心地性を低下させる。このような観点より、前記サイド補強ゴム層11のゴム硬度の上限は、好ましくは90度以下、さらに好ましくは80度以下が望ましい。またサイド補強ゴム層11の最大厚さtは、タイヤサイズや、タイヤのカテゴリ等によって適宜設定されるが、乗用車用タイヤの場合、好ましくは3mm以上、より好ましくは4mm以上、さらに好ましくは5mm以上が望ましく、また、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下、さらに好ましくは12mm以下が望ましい。
また、本発明では、サイド補強ゴム層11は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、平均繊維径が1〜100μmでかつ平均繊維長が0.1〜20mmである非金属短繊維を5〜120質量部含有するゴム組成物からなり、しかも前記非金属短繊維がタイヤ周方向に配向される。なお、図2(a)には、非金属短繊維fの一例の拡大斜視図を示し、同図(b)には、該非金属短繊維fがタイヤ周方向に沿って配向されたサイド補強ゴム層11の側面図を示す。
このようなサイド補強ゴム層11は、非金属短繊維fが配向された方向、即ち、タイヤ周方向の剛性のみが実質的に向上し、そのタイヤ半径方向の剛性は殆ど変化しない。従って、本発明のランフラットタイヤ1では、通常走行時の乗り心地の著しい悪化を防止しつつ、ランフラット走行時におけるサイド補強ゴム層11を含むサイドウォール部領域のタイヤ周方向のせん断変形量を効果的に抑制する。これにより、サイドウォール部3の発熱や熱劣化が長期に亘って抑制されるので、ランフラット耐久性が大幅に向上し得る。また、このようなサイド補強ゴム層11は、例えば従来よりも少ないボリュームでランフラット走行時に要求される荷重支持能力を発揮できるので、ランフラットタイヤの質量増加をも防止できる。
なお、非金属短繊維fがタイヤ周方向に配向されるとは、非金属短繊維fの長手方向が実質的にタイヤ周方向と平行であれば良い。より具体的には、80%以上の非金属短繊維fの長手方向が、タイヤ周方向に対して20°以下の角度で配向されていれば良い。
前記ジエン系ゴム成分としては、たとえば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、スチレンイソプレンゴム、イソプレンブタジエンゴムなどを挙げることができ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、低発熱性に優れるという理由から、NR及び/又はBRが好ましい。
また、十分なゴム強度を確保するために、前記ジエン系ゴム成分のNRの含有率は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上が望ましい。他方、サイド補強ゴム層11の低発熱性を確保するためには、前記NRの含有率は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下が望ましい。
また、サイド補強ゴム層11として十分な硬度のゴムを得るために、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン結晶を含有するBR(以下、単に「SPB含有BR」という。)を含有することが望ましい。SPB含有BRとしては、特に制限されるわけではないが、宇部興産(株)製のVCR412やVCR617などが好適である。
SPB含有BR中のSPBの含有率は、サイド補強ゴム層11に十分なゴム硬さを与えるために、好ましくは1質量%、より好ましくは5質量%が望ましい。他方、SPBの含有率が大きくなると、シンジオタクチック成分がポリブタジエン中で凝集塊をつくるため、耐久性が低下する傾向があるので、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下が望ましい。
また、サイド補強ゴム層11の低発熱性を向上させるために、ジエン系ゴム成分中のBRの含有率は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上が望ましい。他方、加工性の低下を防止するためには、BRの含有率は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下が望ましい。
前記非金属短繊維fとしては、非金属無機短繊維や非金属有機短繊維を挙げることができる。非金属無機短繊維としては、例えば、グラスファイバー又はカーボンファイバーなどが好ましい。また、非金属有機短繊維としては、レーヨン繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、芳香族ポリアミド繊維、ウレタン繊維又はアラミド繊維などが望ましい。これらの各非金属繊維は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられても良い。とりわけ、引張方向及び圧縮方向の双方で剛性が大きい非金属無機短繊維、中でもグラスファイバーが特に望ましい。
本発明において、前記非金属短繊維fの平均繊維径a’は1μm以上に限定されるが、好ましくは10μm以上が望ましい。非金属短繊維fの平均繊維径a’が1μm未満では、サイド補強ゴム層11の複素弾性率が十分に高めることができず、ひいてはランフラット耐久性の向上が期待できない。逆に、非金属短繊維fの平均繊維径a’が大きくなると、ゴム中での分散性が悪化してゴムとの接着力が低下し、クラック等が生じやすくなり好ましくない。従って、非金属短繊維fの平均繊維径a’は、100μm以下に限定されるが、好ましくは50μm以下である。
また、本発明において、前記非金属短繊維fの平均繊維長b’は0.1mm以上に限定されるが、好ましくは0.2mm以上が望ましい。非金属短繊維fの平均繊維長b’が0.1mm未満の場合、サイド補強ゴム層11のタイヤ周方向の剛性向上効果が十分に期待できない。逆に、非金属短繊維fの平均繊維長b’が大きくなると、ゴム中での分散性が悪化してゴムとの接着力が低下し、クラック等が生じやすくなる。従って、非金属短繊維fの平均繊維長b’は、20mm以下、好ましくは10mm以下である。
なお、上記平均繊維径a’及び平均繊維長b’は、いずれもサイド補強ゴム層11内で維持されている必要がある。また、これらの各値a’、b’は、サイド補強ゴム層11から無作為に非金属短繊維fを少なくとも100本抽出し、各繊維から測定された繊維径a及び繊維長bの平均値として得られる。
また、非金属短繊維fは、前記ジエン系ゴム成分100質量部に対して5質量部以上配合される必要があるが、好ましくは10質量部以上が望ましい。非金属短繊維fの配合量5質量部未満では、それによる配向方向の剛性向上効果が十分に期待できない。逆に、非金属短繊維fの配合量が増えると、ゴム加工性が著しく悪化してタイヤの生産性を低下させる。このような観点より、非金属短繊維fの前記配合量は、120質量部以下、より好ましくは100質量部以下が望ましい。
また、サイド補強ゴム層11を構成する前記ゴム組成物には、前記ゴム成分および非金属短繊維f以外にも、各種の配合剤、例えばカーボンブラックなどの補強剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、各種老化防止剤、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などを必要に応じて適宜配合することができるのは言うまでもない。
また、前記ゴム組成物は、他のゴムと同様、常法に従って製造できる。すなわち、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなどで前記ゴム成分、非金属短繊維f、充填剤及び必要に応じてその他の配合剤を混練りし、カレンダーロールやゴム押出機によって連続的に押出し成形すれば良い。この際、ゴム中の非金属短繊維fは、ゴム流れによってその押出し方向に配向される。従って、このゴム部材を、その非金属短繊維fの配向方向がタイヤ周方向に沿うように用いて生タイヤを成型し、これを加硫することにより、本実施形態のランフラットタイヤ1を製造することができる。
また、前記サイド補強ゴム層11は、上述のような一体押出品以外にも、例えば図3に示されるように、小幅のリボン状をなす未加硫のゴムストリップGを用いて作ることもできる。該ゴムストリップGは、非金属短繊維fが配合された未加硫のゴム組成物からなり、所定サイズで連続して押出機又はその下流側に設けられたカレンダーロールから連続して供給される。従って、このようなゴムストリップGも、その長手方向に沿って非金属短繊維fを配向させることができる。
そして、図4に示されるように、ゴムストリップGをタイヤ周方向に沿って螺旋状又は渦巻き状に巻き重ねることにより、非金属短繊維fがタイヤ周方向に配向されたサイド補強ゴム層11を形成できる。なお、図4には加硫前の生タイヤ1Lを示し、符号2G、3G及び4Gは、それぞれトレッドゴム、サイドウォールゴム及びビードゴムを示す。
なお、前記ゴムストリップGの幅Ws及び厚さtsは、特に限定されないが、幅Wsは5〜50mm及び厚さtsは0.5〜3mm程度が望ましい。ゴムストリップGの幅Wsが5mm未満の場合又は厚さtsが0.5mm未満の場合、螺旋状に巻き付ける際に破断し易くなる他、巻回数が著しく増加して生産性が低下するおそれがある。逆に、ゴムストリップGの幅Wsが50mmを超える場合又は厚さtsが3mmを超える場合、螺旋状に巻き重ねて正確な断面形状を作るのが困難な傾向がある。
また、サイド補強ゴム層11のタイヤ周方向の複素弾性率E*1は、好ましくは12MPa以上、より好ましくは15MPa以上、さらに好ましくは20MPa以上が望ましい。前記複素弾性率E*1が12MPa未満になると、ランフラット耐久性能の改善効果が十分に期待できないおそれがある。他方、前記複素弾性率E*1が過度に大きくなると、サイドウォール部3のタイヤ周方向の柔軟性が著しく低下して乗り心地を悪化させる傾向があるので、好ましくは150MPa以下、より好ましくは120MPa以下が望ましい。
また、前記サイド補強ゴム層11のタイヤ半径方向の複素弾性率E*2は、好ましくは8MPa以上、より好ましくは10MPa以上が望ましい。前記複素弾性率E*2が8MPa未満になると、ランフラット走行時に必要なタイヤ半径方向剛性が不足しがちとなり、ひいてはランフラット耐久性が低下する傾向がある。逆に、前記複素弾性率E*2が大きくなると、サイドウォール部3のタイヤ半径方向の柔軟性が著しく低下して、乗り心地を悪化させる傾向があるので、好ましくは100MPa以下、より好ましくは80MPa以下が望ましい。
また、サイド補強ゴム層11は、次の関係を満たすことが望ましい。
E*1/E*2≧1.5
即ち、サイド補強ゴム層11は、タイヤ周方向の複素弾性率E*1とタイヤ半径方向の複素弾性率E*2との比(E*1/E*2)が1.5以上、より好ましくは1.8以上が望ましい。前記複素弾性率の比(E*1/E*2)が1.5未満の場合、ランフラット耐久性と乗り心地とを同時に向上させることが困難な傾向がある。前記比(E*1/E*2)
また、サイド補強ゴム層11は、タイヤ半径方向の複素弾性率E*2と、タイヤ半径方向の損失弾性率E”2は、下記式を満たすことが好ましい。
E”2/(E*2)2≦7.0×10-9 [Pa-1
前記比(E”2/(E*2)2は、半径方向のロスコンプライアンスとも呼ばれるが、この値を7.0×10-9Pa-1以下に限定することにより、ランフラット走行時にサイド補強ゴム層11に繰り返し圧縮応力が作用した場合であっても、その発熱量は僅少になり、ひいてはゴムの熱劣化を長期に亘って抑制できる。とりわけ、前記ロスコンプライアンスは、6.0×10-9 [Pa-1]以下が望ましい。なお、ロスコンプライアンスの下限値は特に設定しないが、通常1.0×10-9 [Pa-1]以上が好ましい。
次に、本実施形態のビード部4には、リムプロテクトリブ12が凸設される場合が例示される。このリムプロテクトリブ12は、図5に示されるように、リムフランジJFを覆うように基準輪郭線jから突出してタイヤ周方向に連続してのびるリブ体であり、前記リムフランジJFの先端を越えてタイヤ軸方向外側に最も突出する突出面部12cと、この突出面部12cからビード外側面に滑らかに連なる半径方向内側の斜面部12iと、前記突出面部12cからタイヤ最大巾点M近傍位置で前記基準輪郭線jに滑らかに連なる半径方向外側の斜面部12oとで囲まれる断面台形状をなす。なお前記内側の斜面部12iは、リムフランジJFの円弧部よりも大きい曲率半径rで形成された凹円弧面で形成され、通常走行時においては、縁石等からリムフランジJFを保護する。またランフラット走行時には、内側の斜面部12iがリムフランジJFの円弧部に寄りかかって接触するため、ビード変形量を軽減でき、ランフラット時の操縦安定性及びランフラット耐久性の向上に役立つ。
また、本発明では、ランフラット走行時の操縦安定性及び耐久性を向上するために、前記カーカスコードにアラミド繊維が採用される。
前記アラミド繊維は、高弾性繊維として知られ、ランフラットタイヤ1のカーカスコードに使用することにより、タイヤの荷重支持能力を高めることができる。従って、例えばカーカスプライ枚数の低減、カーカスコードの細径化、及び/またはコード配列密度(コードエンド数)の低下などによるタイヤの軽量化を図りながら、ランフラット時のタイヤ変形を低減できる。しかも、アラミド繊維は、100〜150℃の高温下においても弾性率の低下が、他の有機繊維コード材料に比べて小さく、耐熱性に優れるという特性を有する。従って、ランフラット走行時のタイヤ温度上昇によっても、カーカスコードが強度低下して損傷を招いたり、また弾性率の低下によるタイヤ変形量の増加や、それに伴うさらなるタイヤ温度上昇を招くことを防止できる。その結果、ランフラット耐久性を向上できる。さらにタイヤ温度上昇によっても、高弾性率を維持してタイヤ剛性を高めうるため、ランフラット時の操縦安定性を向上することもできる。これによりランフラット走行における高速化、長距離化が達成される。
他方、アラミド繊維は、弾性率が高いゆえに耐疲労性に劣る傾向がある。そのため本実施形態では、カーカスコード20に、図6に略示するように、下撚りしたアラミド繊維のフィラメント束21(即ちストランド21)の2本を、さらに上撚りにて互いに撚り合わせた2本撚り構造が採用されるとともに、このときの撚り合わせを、従来よりも高い撚り係数Tで行っている。
ここで、前記「撚り係数T」は、コードの上撚り数をN(単位:回/10cm)、コード1本のトータル表示デシテックス(トータル繊度)をD(単位:dtex)、コード材料の比重をρとしたとき、次式(1)で示される。
T=N×√{(0.125×D/2)/ρ}×10-3 …(1)
そして、この撚り係数Tを0.5〜0.7の範囲まで高めることにより、アラミド繊維コードの欠点である耐疲労性を改善することができ、従来のレーヨンコードの場合に比して、ランフラット耐久性を大幅に向上することが可能となる。なお前記カーカスコード20の撚り係数Tが0.5を下回ると、耐疲労性の向上効果が少なく、ランフラット耐久性を十分に高めることができない。逆に、撚り係数Tが0.7を上回ると、コードの撚り加工が難しくなり生産性に不利となる。特に撚り係数Tの下限は0.6以上が好ましく、これによりコードの耐疲労性がさらに改善され、ランフラット耐久性をより向上しうる。
なおカーカスコード20では、アラミド繊維の重要な特性である高弾性を活かして優れた補強効果を発揮させるために、2本撚り構造が採用されている。そのとき、下撚り数と、上撚り数とが等しい所謂バランス撚りが好ましいが、撚り数の比(下撚り数/上撚り数)が0.2〜2.0の範囲内、好ましくは0.5〜1.5の範囲内で、下撚り数と上撚り数とを相違させても良い。
また前記トータル表示デシテックスD(繊度)は、特に限定されるものではないが、ランフラットタイヤの場合、1500〜5000dtexの範囲が好ましい。またカーカスプライ6Aにおけるコードエンド数n(本/5cm)と前記トータル表示デシテックスDとの積は、70000〜150000の範囲が好ましく、70000未満では、アラミド繊維コードとはいえ、ランフラット耐久性や操縦安定性が不十分となり、逆に150000を越えると、カーカス剛性が過大となって乗り心地性を損ねるとともに、質量やコストの不必要な増加を招く。このような観点から前記積D×nの下限は100000以上がさらに好ましく、上限は120000以下がさらに好ましい。
また耐疲労性に原因するカーカスコード20の損傷は、タイヤ変形時に圧縮歪みを受ける部位、即ち図5に示すように、折返し部6bのうちのビード側部分6b1にて発生しやすい。しかしながら、本実施形態では、前述の如くビード部4にリムプロテクトリブ12を凸設しているいため、ランフラット走行時におけるビード変形が軽減され、カーカスコード20に圧縮歪みが作用しにくくなる。その結果、アラミド繊維を採用した場合のカーカスコード20の疲労損傷をさらに抑えることができ、ランフラット耐久性の一層の向上が図れる。言い換えると、アラミド繊維のカーカスコード20を用いたタイヤでは、リムプロテクトリブ12を用いることが、コードの疲労損傷抑制の観点から好ましい。
さらに、本実施形態では、前記カーカスプライ6Aのトッピングゴムとして、複素弾性率E*tが、5〜13MPaの範囲と、従来のカーカストッピングゴムに比して高弾性のゴムを採用している。なお従来のカーカストッピングゴムの複素弾性率E*tは3.8MPa程度である。このように高弾性のゴムをトッピングゴムに採用することで、タイヤ変形時、カーカスコード20に掛かる歪みを低減でき、ランフラット耐久性のさらなる向上を達成しうる。なお複素弾性率E*tが5MPaを下回ると前記効果が期待できず、逆に13MPaを上回ると、ゴムが硬くなり過ぎ、乗り心地性が一気に悪化してしまう。このような観点から、複素弾性率E*tの下限値は、5.5MPa以上、さらには6MPa以上が好ましく、また上限値は11MPa以下、さらに9MPa以下が好ましい。
次に、図7に示されるように、前記正規内圧状態のタイヤ子午断面において、タイヤ外面2Aのプロファイルは、曲率半径が異なる複数の円弧からなる曲面によって形成されている。特に、ランフラットタイヤ1の場合、前記タイヤ外面2Aとタイヤ赤道面Cとの交点であるタイヤ赤道点CPから、接地端側に向かって曲率半径Rが漸減する複数の円弧からなる曲面によって、前記プロファイルを形成する好ましい。これにより、前記サイド補強ゴム層11のゴムボリュームを最小限に抑え、タイヤの軽量化、及び乗り心地性の向上を図ることができる。
詳しく説明すると、タイヤ赤道面Cから前記タイヤ最大断面巾SWの45%の距離SPを隔てるタイヤ外面2A上の点をPとするとき、タイヤ外面2Aの曲率半径RCは、前記タイヤ赤道点CPから前記点Pに至るまでの間で徐々に減少するように設定される。なお前記「タイヤ最大断面巾SW」とは、タイヤ外面2Aの基準輪郭線jにおける最大巾であり、この基準輪郭線jは、タイヤ外面2Aに局部的に形成される例えば文字、図形、記号等を示す装飾用、情報用等の微細なリブや溝、リム外れ防止用のリムプロテクトリブ12、カット傷防止用のサイドプロテクトリブなどの局部的凹凸部を除外した滑らかな輪郭線を意味する。
また前記タイヤ赤道面Cからタイヤ最大断面巾SWの半巾(SW/2)の60%、75%、90%及び100%の距離X60、X75、X90及びX100 を夫々隔てる各タイヤ外面2A上の点をP60、P75、P90及びP100 とする。またこの各タイヤ外面2A上の点P60、P75、P90及びP100 と、前記タイヤ赤道点CPとの間の半径方向の距離をY60、Y75、Y90及びY100 とする。
そして、前記正規内圧状態においてビードベースラインBLから前記タイヤ赤道点CPまでの半径方向高さであるタイヤ断面高さをSHとするとき、前記半径方向距離Y60、Y75、Y90及びY100 は、それぞれ以下の関係を満足することを特徴としている。
0.05< Y60 /SH ≦0.1
0.1< Y75 /SH ≦0.2
0.2< Y90 /SH ≦0.4
0.4< Y100 /SH ≦0.7
ここで、RY60=Y60/SH
RY75=Y75/SH
RY90=Y90/SH
RY100 =Y100 /SH
として前記関係を満足する範囲RYiを図8に例示する。図7及び図8のように、前記関係を満足するプロファイルは、トレッドが非常に丸くなるため、フットプリントが、接地巾が小かつ接地長さを大とした縦長楕円形状となり、騒音性能とハイドロプレーニング性能とを向上しうる。なお前記RY60、RY75、RY90及びRY100 の値が、各下限値を下回ると、トレッド部2を中心としてタイヤ外面2Aが平坦化するため、従来タイヤとのプロファイルの差が少なくなる。逆に各上限値を上回ると、トレッド部2を中心としてタイヤ外面2Aが著しく凸状をなすため、接地巾が過小となり、通常走行において必要な走行性能を確保することができなくなる。
なおタイヤでは、予めタイヤサイズを定めることにより、JATMA、ETRTOなどのタイヤの規格から、タイヤ偏平率、タイヤ最大断面巾、タイヤ最大高さなどを概ね定め得るため、前記RY60、RY75、RY90及びRY100 の範囲を容易に算出できる。従って、前記タイヤ外面2Aは、前記各位置におけるRY60、RY75、RY90及びRY100 の範囲を満たすように、かつ曲率半径RCが徐々に減少するように、前記タイヤ赤道点CPから前記点Pまで滑らかな曲線で描くことにより適宜定めうる。
また前記タイヤは、図9に示されるように、前記正規内圧状態のタイヤに正規荷重の80%の荷重を負荷した状態において、前記タイヤ外面2Aが接地するタイヤ軸方向最外端2e間のタイヤ軸方向距離である接地巾CWを、前記タイヤ最大断面巾SWの50%〜65%の範囲とするのが好ましい。これは、前記接地巾CWが、前記タイヤ最大断面巾SWの50%未満の場合、通常走行において轍でふらつきやすくなるなどワンダリング性能が低下し、かつ接地圧の不均一化により偏摩耗しやすくなるからである。なお前記接地巾CWが、タイヤ最大断面巾SWの65%を超える場合には、接地巾が過大となって前述の通過騒音とハイドロプレーニング性能との両立が難しくなる。
このようなプロファイルでは、サイドウォール部3の領域が短いという特徴を有するため、ランフラットタイヤに採用することにより、サイド補強ゴム層11のゴムボリュームを低減でき、ランフラットタイヤにおける質量低下と乗り心地性の向上とを達成しうる。しかし、ゴムボリューウムが大なトレッド部2での変形量が通常プロファイルのタイヤに比して大きくなる。そのため耐熱性を高めたアラミド繊維のカーカスコードは、このプロファイルのタイヤにとってもより有利となりうる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1に示す構造をなすタイヤサイズ245/40R18のランフラットタイヤが表1の仕様で試作され、それらについて各種の性能がテストされた。サイド補強ゴム層については、表1に示す配合1ないし3とした。
また、サイド補強ゴム層の製造方法は、次の通りである。先ず、表1に示す配合処方に従い、バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を160℃で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を添加し、バンバリーミキサーを用いて、120℃の条件下で2分間混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。さらに、未加硫ゴム組成物を、幅30mm×厚さ1mmのリボン状に連続して押出し、サイド補強ゴム層の断面形状に螺旋状に巻き付け、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫の生タイヤを成型し、165℃の条件下で20分間加硫することで、各テスト用のランフラットタイヤが試作された。
また、表1中の配合の詳細は、次の通りである。
天然ゴム(NR):RSS♯3
ブタジエンゴム(BR):宇部興産(株)製のVCR412(SPB含有BR、SPBの含有率:12質量%、SPBの平均粒子径:250nm)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックE(N550)
グラスファイバー:エヌエスジー・ヴェトロテックス(株)製のマイクログラスチョップドストラント(平均繊維径:33μm、平均繊維長:6mm)
カーボンファイバー:(株)クレハ製のクレカチョップC−106T(平均繊維径:18μm、平均繊維長:6mm)
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6CN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
不溶性硫黄:四国化成工業(株)製のミュークロンOT
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
さらに、各タイヤは、表1に記載のパラメータ以外は同一の仕様とした。共通仕様は次の通りである。
カーカス:プライ枚数1、コード角度90°(対タイヤ赤道)
ベルト層:ベルトプライ枚数2、コード角度±24°(対タイヤ赤道)
サイド補強ゴム層:最大厚さ10.0mm又は8.0mm
レーヨン繊維コードの比重:1.51
アラミド繊維コードの比重:1.44
またトレッドプロファイルは、各タイヤとも、RY60=0.05〜0.1、RY75=0.1〜0.2、RY90=0.2〜0.4、RY100=0.4〜0.7の範囲で実質的に同じプロファイルのものを使用している。
テスト方法は、次の通りである。
<サイド補強ゴム層の粘弾性特性>
ランフラットタイヤのサイド補強ゴム層から所定の方向で厚さ2mmの試験片を切り出し、これらの試験片を用いて、JIS−K6394に準拠し、(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータを用いて前記条件下で、70℃におけるサイド補強ゴム層のタイヤ周方向の複素弾性率E*1、タイヤ半径方向の複素弾性率E*2および損失弾性率E”2が測定された。また、比E”2/(E*2)2が計算された。
<タイヤ質量>
1本当たりの質量であり、比較例1を100とする指数により評価した。数値が大きいほど軽量である。
<ランフラット耐久性>
各供試タイヤをバルブコアを取り去ったリム(18×8.5J)にリム組し、デフレート状態でドラム試験機上を速度(80km/h)、縦荷重(4.14kN)の条件にて走行させ、タイヤが破壊するまでの走行距離を測定し、比較例1を100とする指数により評価した。数値が大きいほど良好である。
<乗り心地>
排気量4300ccの国産FF自動車の4輪に、内圧230kPa及びリム18×8.5Jの条件で装着し、ドライアスファルト路面の段差路、ベルジャン路(石畳の路面)、ビッツマン路(小石を敷き詰めた路面)を走行させた。そして、ドライバーの官能により、ゴツゴツ感、突き上げ及びダンピングを総合評価し、比較例1を100とする評点(n=3の平均値)で表示した。数値が大きいほど良好である。
テストの結果を表1及び表2に示す。
Figure 2009120024
Figure 2009120024
Figure 2009120024
テストの結果、実施例のランフラットタイヤは、比較例に比べて、タイヤ質量の増加を伴うことなくランフラット耐久性及び乗り心地を向上していることが確認できた。
本発明のランフラットタイヤの一実施形態を示す断面図である。 (a)は非金属短繊維の斜視図、(b)はサイド補強ゴム層の部分側面図である。 ゴムストリップの斜視図である。 ゴムストリップでサイド補強ゴム層が形成された生タイヤの断面図である。 ビード部を拡大して示す断面図である。 カーカスコードを説明する側面図である。 タイヤ外面のプロファイルを示す線図である。 タイヤ外面の各位置におけるRYiの範囲を示す線図である。 そのトレッド部を拡大して示す断面図である。
符号の説明

1 ランフラットタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
6A カーカスプライ
7 トレッド補強コード層
11 サイド補強ゴム層

Claims (7)

  1. トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、トレッド部の内方かつ前記カーカスの半径方向外側に配されるトレッド補強コード層と、前記サイドウォール部のカーカス内側に配された断面略三日月状のサイド補強ゴム層とを具えるランフラットタイヤであって、
    前記サイド補強ゴム層は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、平均繊維径が1〜100μmでかつ平均繊維長が0.1〜20mmである非金属短繊維を5〜120質量部含有するゴム組成物からなり、しかも前記非金属短繊維がタイヤ周方向に配向されるとともに、
    前記カーカスは、タイヤ赤道に対して45〜90°の角度で配列したカーカスコードをトッピングゴムで被覆したカーカスプライからなるとともに、前記カーカスコードに、下式(1)で示される撚り係数Tが0.5〜0.7であるアラミド繊維を用いたことを特徴とするランフラットタイヤ。
    T=N×√{(0.125×D/2)/ρ}×10-3 …(1)
    ただし、Nは上撚り数(回/10cm)、Dはコードのトータル表示デシテックス(繊度)、ρはコード材料の比重である。
  2. 前記サイド補強ゴム層は、タイヤ周方向の複素弾性率E*1、タイヤ半径方向の複素弾性率E*2、及びタイヤ半径方向の損失弾性率E”2が次の関係を満たす請求項1記載のランフラットタイヤ。
    E*1≧12MPa
    E*1/E*2≧1.5
    E”2/(E*2)2≦7.0×10-9 [Pa-1
  3. 前記非金属短繊維は、グラスファイバー又はカーボンファイバーである請求項1又は2記載のランフラットタイヤ。
  4. 前記カーカスコードの前記撚り係数Tが0.6〜0.7である請求項1ないし3のいずれかに記載のランフラットタイヤ。
  5. 前記カーカスプライの前記トッピングゴムは、複素弾性率E*tが5〜13MPaである請求項1ないし4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 正規リムに装着されかつ正規内圧を充填した正規内圧状態におけるタイヤ軸心を含むタイヤ子午断面において、
    前記タイヤ外面のプロファイルは、前記タイヤ外面とタイヤ赤道面Cとの交点であるタイヤ赤道点CPから接地端側に向かって曲率半径が漸減する複数の円弧からなる曲面によって形成される請求項1ないし5のいずれかに記載のランフラットタイヤ。
  7. 前記タイヤ外面のプロファイルは、タイヤ赤道面Cからタイヤ最大断面巾SWの45%の距離SPを隔てるタイヤ外面上の点をPとするとき、
    タイヤ外面の曲率半径RCが、タイヤ赤道点CPから前記点Pに至るまでの間で徐々に減少するとともに、
    前記タイヤ赤道面Cから前記タイヤ最大断面巾SWの半巾(SW/2)の60%、75%、90%及び100%の距離X60、X75、X90及びX100 を夫々隔てるタイヤ外面上の各点と、タイヤ赤道点CPとの間の各半径方向距離をそれぞれY60、Y75、Y90及びY100 とし、かつタイヤ断面高さをSHとするとき、
    0.05< Y60 /SH ≦0.1
    0.1< Y75 /SH ≦0.2
    0.2< Y90 /SH ≦0.4
    0.4< Y100 /SH ≦0.7
    の関係を満足することを特徴とする請求項6記載のランフラットタイヤ。
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