JP5204577B2 - ランフラットタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、パンク時でも一定の速度で継続した走行が可能なランフラットタイヤに関し、詳しくはランフラット走行時における低発熱性及び耐久性を向上しうるランフラットタイヤに関する。
パンク等によりタイヤ内の空気が抜けた状態においても、比較的長距離を高速で走行しうるランフラットタイヤが知られている。このようなランフラットタイヤは、サイドウォール部のカーカス内側に、断面略三日月状のサイド補強ゴム層が設けられており、パンク時にはこのサイド補強ゴム層が荷重を支持しタイヤの縦撓みを制限する(例えば特許文献1など参照)。また、このようなランフラットタイヤは、荷重支持能力をより高めるために、カーカスプライの枚数の増加や、サイド補強ゴム層のゴムボリュームの増加が行われている。
特開平2000−351307号公報
しかしながら、このような改善は、ランフラット走行時のタイヤ温度、とりわけサイド補強ゴム層の発熱を加速させやすく、ひいてはランフラット耐久性の低下を招くおそれがある。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、サイド補強ゴム層に、カーボンブラック、硫黄若しくは硫黄化合物及び薄板状アルミナ粉体若しくはフッ素含有マイカを含有するゴム組成物を用いるとともに、高弾性であるアラミド繊維コードをカーカスコードに使用することを基本として、ランフラット走行時における低発熱性及び耐久性を向上しうるランフラットタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、前記サイドウォール部のカーカス内側に配された断面略三日月状のサイド補強ゴム層とを具えるランフラットタイヤであって、前記サイド補強ゴム層は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、チッ素吸着比表面積が30〜100m/gかつジブチルフタレート吸油量が50ml/100g以上であるカーボンブラックを10〜100質量部、硫黄若しくは硫黄化合物を2質量部以上及びアスペクト比が3〜50である薄板状アルミナ粉体若しくはフッ素含有マイカを5〜120質量部含有するゴム組成物からなり、 前記カーカスは、タイヤ赤道に対して45〜90°の角度で配列したカーカスコードをトッピングゴムで被覆したカーカスプライからなるとともに、前記カーカスコードに、下式(1)で示される撚り係数Tが0.50〜0.70であるアラミド繊維を用いたことを特徴とする。
T=N×√{(0.125×D/2)/ρ}×10−3 …(1)
ただし、Nは上撚り数(回/10cm)、Dはコードのトータル表示デシテックス(繊度)、ρはコード材料の比重である。
また請求項2記載の発明は、前記フッ素含有マイカは、下式(2)からなる請求項1に記載のランフラットタイヤである。
1/3〜12〜3(Z10)F1.5〜2 …(2)
ただし、上記式(2)において、XはNa、K、Li、Ca2+、Rb2+及びSr2+からなる群から選ばれる1種のイオン、YはMg2+、Fe2+、Ni2+、Mn2+、Al3+、Fe3+及びLiからなる群から選ばれる1種のイオン、ZはAl3+、Si4+、Ce4+、Fe3+及びB3+からなる群から選ばれる1種のイオンをそれぞれ表す。
また請求項3記載の発明は、前記フッ素含有マイカは、KMgAlSiO10、KMg2.5Si10、NaMG2.5Si10、NaMgLiSi10又はLiMgLiSi10である請求項2に記載のランフラットタイヤである。
また請求項4の発明は、前記カーカスコードは、前記撚り係数Tが0.60〜0.70である請求項1乃至3のいずれかに記載のランフラットタイヤである。
また請求項5の発明は、前記カーカスプライの前記トッピングゴムは、複素弾性率Eが5〜13MPaである請求項1乃至4のいずれかに記載のランフラットタイヤである。
また請求項6の発明は、正規リムに装着されかつ正規内圧を充填した正規内圧状態におけるタイヤ軸心を含むタイヤ子午断面において、タイヤ外面のプロファイルは、前記タイヤ外面とタイヤ赤道面Cとの交点であるタイヤ赤道点CPから接地端側に向かって曲率半径が漸減する複数の円弧からなる曲面によって形成される請求項1乃至5のいずれかに記載のランフラットタイヤである。
また請求項7の発明は、前記タイヤ外面のプロファイルは、タイヤ赤道面Cからタイヤ最大断面巾SWの45%の距離SPを隔てるタイヤ外面上の点をPとするとき、タイヤ外面の曲率半径RCが、タイヤ赤道点CPから前記点Pに至るまでの間で徐々に減少するとともに、前記タイヤ赤道面Cから前記タイヤ最大断面巾SWの半巾(SW/2)の60%、75%、90%及び100%の距離X60、X75、X90及びX100 を夫々隔てるタイヤ外面上の各点と、タイヤ赤道点CPとの間の各半径方向距離をそれぞれY60、Y75、Y90及びY100 とし、かつタイヤ断面高さをSHとするとき、
0.05< Y60 /SH ≦0.1
0.1< Y75 /SH ≦0.2
0.2< Y90 /SH ≦0.4
0.4< Y100 /SH ≦0.7
の関係を満足する請求項6に記載のランフラットタイヤである。
なお前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば"標準リム"、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"を意味する。
また前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば"最高空気圧"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" を意味するが、乗用車用タイヤの場合には180kPaとする。
また、前記複素弾性率Eや後述の損失弾性率E”などの粘弾性特性は、JIS−K6394の規定に準じて、次に示される条件で(株)岩本製作所製の「粘弾性スペクトロメータ」を用いて測定した値である。
初期歪み:10%
振幅:±1%
周波数:10Hz
変形モード:引張
測定温度:70°C
本発明のランフラットタイヤでは、サイド補強ゴム層が、カーボンブラック、硫黄若しくは硫黄化合物及び所定のアスペクト比を有する薄板状アルミナ粉体若しくはフッ素含有マイカを所定量含有するゴム組成物からなる。各含有成分は、ゴム組成物中で分散しそのゴム硬度を高めるとともに破壊強度を向上させる。さらに、薄板状アルミナ粉体又はフッ素含有マイカは、ゴムに比してエネルギーロスが少ないため、サイド補強ゴム層の低発熱化に役立つ。従って、このようなゴム組成物をサイド補強ゴム層に用いたランフラットタイヤは、ランフラット走行時における低発熱性及び耐久性を向上しうる。
また、本発明のランフラットタイヤは、耐熱性に特に優れるアラミド繊維コードがカーカスコードとして用いられる。従って、ランフラット走行時の温度上昇によるカーカスコード損傷を抑制できる。また、アラミド繊維コードは高弾性であるため優れた荷重支持能力を有する。このため、カーカスプライ枚数の低減(軽量化)を図りながら、ランフラット走行時のタイヤの縦撓み量を軽減でき、前述の低発熱性の向上との相乗作用により耐久性をさらに高めうる。また、本発明のランフラットタイヤは、ランフラット走行時における操縦安定性、高速化及び長距離化を達成しうる。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態のランフラットタイヤ1の正規内圧状態におけるタイヤ子午断面図である。
図1において、本実施形態のランフラットタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6の半径方向外側かつトレッド部2の内方に配されたトレッド補強コード層7と、サイドウォール部3のカーカス6の内側に配された断面略三日月状のサイド補強ゴム層11とを含んで構成される。
前記カーカス6は、タイヤ赤道Cに対して45〜90°の角度で配列されるカーカスコードをトッピングゴムにより被覆した1枚以上のカーカスプライから形成される。本実施形態のカーカス6は、カーカスコードがタイヤ赤道に対して80〜90°の角度で配列された1枚のカーカスプライ6Aから構成されている。前記カーカスプライ6Aは、前記ビードコア5、5間を跨るトロイド状の本体部6aと、前記ビードコア5の周りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返された一対の折返し部6bとを具える。
前記本体部6aと折返し部6bとの間には、例えばゴム硬度が65〜98度の硬質のゴムからなり、前記ビードコア5から半径方向外側に先細状でのびるビード補強用のビードエーペックスゴム8が配される。本明細書においては、「ゴム硬度」は、JIS−K6253に準拠し、温度23℃で測定したデュロメータータイプAによる硬さを意味する。ビードエーペックスゴム8のビードベースラインBLからのタイヤ半径方向の高さhaは、特に限定はされないが、小さすぎるとランフラット耐久性が不十分となり、逆に大きすぎるとタイヤ質量の過度の増加や乗り心地の悪化を招く恐れがある。このような観点より、ビードエーペックスゴム8の前記高さhaは、タイヤ断面高さSHの10〜60%、より好ましくは20〜50%が望ましい。
本実施形態では、前記カーカス6の折返し部6bが、前記ビードエーペックスゴム8の外端を半径方向外側に超えてのびており、該折返し部6bの外端部6beが、カーカスプライ6Aの本体部6aとトレッド補強コード層7との間に挟まれて終端するいわゆる超ハイターンアップの折り返し構造を具える。これにより、1枚のカーカスプライ6Aを用いて、サイドウォール部3が効果的に補強される。
また、前記折返し部6bの外端部6beが、ランフラット走行時に大きく撓むサイドウォール部3から離れるため、該外端部6beを起点とした損傷を好適に抑制しうる点で望ましい。前記折返し部6bとトレッド補強コード層7との重なり部のタイヤ軸方向巾EWは、好ましくは5mm以上、さらに好ましくは10mm以上が好ましく、その上限は、軽量化の観点から好ましくは40mm以下、さらに好ましくは30mm以下が好ましい。なお前記カーカス6が複数枚のカーカスプライから形成される場合には、少なくとも1枚のカーカスプライがこの態様をなすのが好ましい。
前記トレッド補強コード層7は、本実施形態では、前記カーカス6に重置されるベルト層9と、そのさらに外側に重ねられたバンド層10とから構成される。前記ベルト層9は、タイヤ赤道Cに対して例えば10〜45°の角度で配列したベルトコードをトッピングゴムにて被覆した2枚以上、本実施形態では2枚のベルトプライ9A、9Bから形成される。各ベルトコード9A、9Bは、プライ間相互で交差することによりベルト剛性を高め、トレッド部2の略全巾をタガ効果を有して強固に補強する。
前記バンド層10は、タイヤ赤道に対して5°以下の角度で螺旋状に巻回されるバンドコードをトッピングゴムにて被覆した1枚以上のバンドプライからなり、前記ベルト層9を拘束し、操縦安定性や高速耐久性等を向上させる。前記バンドプライとしては、ベルト9のタイヤ軸方向外端部のみを被覆する左右一対のエッジバンドプライ、及びベルト9の略全巾を覆うフルバンドプライがあり、これらを単独で又は組み合わせて使用される。本実施形態では、バンド10が1枚のフルバンドプライからなるものを例示している。なお前記トレッド補強コード層7としては、ベルト9層のみで形成することもできる。
前記サイド補強ゴム層11は、最大厚さを有する中央部分11aから、タイヤ半径方向内端11i及び外端11oに向かってそれぞれ厚さを徐々に減じてのびる断面略三日月状をなす。前記内端11iは、ビードエーペックスゴム8の外端よりもタイヤ半径方向内側に位置し、前記外端11oは、トレッド補強コード層7の外端7eよりもタイヤ軸方向内側に位置する。このとき、サイド補強ゴム層11とビードエーペックスゴム8とのタイヤ半径方向の重なり巾Wiを5〜50mm、かつサイド補強ゴム層11とトレッド補強コード層7とのタイヤ軸方向の重なり巾Woを5〜50mm以下とするのが好ましい。これらにより、前記外端11o及び内端11iでの剛性段差の発生を抑えることができる。
前記サイド補強ゴム層11は、本実施形態では、カーカス6の本体部6aの内側(タイヤ内腔側)に配される。そのため、サイドウォール部3の曲げ変形時には、サイド補強ゴム層11には主として圧縮応力が、またコード材を有するカーカスプライ6Aには主として引張応力が作用する。ゴムは圧縮に強く、かつコード材は引張に強いため、上記のようなサイド補強ゴム層11の配設構造は、サイドウォール部3の曲げ剛性を効率良く高め、ランフラット走行時のタイヤの縦撓みを効果的に低減しうる。
前記サイド補強ゴム層11のゴム硬度は、好ましくは60度以上、さらに好ましくは65度以上が望ましい。前記ゴム硬度が60度未満であると、ランフラット走行時の歪が大きくなって、耐久性が低下するおそれがある。逆にゴム硬度が高すぎても、タイヤの縦バネ定数が過度に上昇して通常走行時の乗り心地性を低下させるおそれがある。このような観点より、前記サイド補強ゴム層11のゴム硬度の上限は、好ましくは90度以下、さらに好ましくは80度以下が望ましい。またサイド補強ゴム層11の最大厚さtは、タイヤサイズや、タイヤのカテゴリ等によって適宜設定されるが、乗用車用タイヤの場合5〜20mmが好適である。
本発明のサイド補強ゴム層11は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、カーボンブラックを10〜100質量部、硫黄若しくは硫黄化合物を2質量部以上及び薄板状アルミナ粉体若しくはフッ素含有マイカを5〜120質量部含有するゴム組成物から構成される。
前記ジエン系ゴム成分としては、例えば天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、スチレンイソプレンゴム又はイソプレンブタジエンゴムなどを挙げることができ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。なかでも、低発熱性に優れるという理由から、天然ゴム(NR)及び/又はブタジエンゴム(BR)が好ましい。
また、サイド補強ゴム層11の低発熱性を向上させるために、前記ジエン系ゴム成分は、ブタジエンゴムを好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上含むことが望ましい。また、サイド補強ゴム層11のゴム強度を高めるために、前記ジエン系ゴム成分のブタジエンゴムは、好ましくは80質量部以下、より好ましくは70質量部以下であることが望ましい。特に、サイド補強ゴム層11として十分なゴム硬度を得るために、ブタジエンゴムとしては、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン結晶を含有するブタジエンゴム(以下、単に「SPB含有BR」という。)が望ましい。SPB含有BRとしては、特に制限されるわけではないが、宇部興産(株)製のVCR412やVCR617などが好適である。
また、ジエン系ゴム成分は、天然ゴム(NR)を20〜80質量部含有することが好ましい。天然ゴム(NR)の含有率が20質量部未満であると、サイド補強ゴム層11のゴム強度が低下する傾向があり、逆に天然ゴム(NR)の含有率が80質量部を超えると、サイド補強ゴム層11の低発熱性の向上が十分に期待できないおそれがある。このような観点により、ジエン系ゴム成分の天然ゴム(NR)は、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上が望ましく、また好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下が望ましい。
前記カーボンブラックは、チッ素吸着比表面積が30〜100m/gに限定される。これにより、サイド補強ゴム層11を効果的に補強でき、ランフラット走行時における耐久性を向上できる。なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積が100m/gを超えると、サイド補強ゴム層11が発熱しやすくなる。逆に、前記チッ素吸着比表面積が30m/g未満であると、サイド補強ゴム層11の補強性が低下し、十分な耐久性が確保できない。このような観点により、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、好ましくは35m/g以上が望ましく、また、好ましくは80m/g以下、より好ましくは60m/g以下が望ましい。
また、カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量は、50ml/100g以上に限定され、好ましくは80ml/100g以上が望ましい。これによって、サイド補強ゴム層11を十分に補強できる。なお、カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量が大き過ぎると、ゴム組成物の破断時伸びなどの耐疲労特性が悪化するおそれがあるので、好ましくは300ml/100g以下、より好ましくは200ml/100g以下が望ましい。
また、カーボンブラックは、ジエン系ゴム成分100質量部に対して10〜100質量部配合される。カーボンブラックの配合量が10質量部未満であると、サイド補強ゴム層11のゴム強度を十分に向上できない。逆に、カーボンブラックの含有量が100質量部を超えると、混練り時の粘度が上昇して加工性が著しく悪化するおそれがある。このような観点により、カーボンブラックの含有量は、好ましくは20質量部以上、また、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下が望ましい。
また、サイド補強ゴム層11のゴム組成物には、硫黄又は硫黄化合物が配合され、とりわけ表面析出を抑えるために不溶性硫黄が好ましい。この不溶性硫黄の平均分子量は、低温でも分解が起こりにくく表面析出しにくい点から、好ましくは10000以上、より好ましくは100000以上が望ましい。逆に、不溶性硫黄の平均分子量は、ゴム中における分散性を向上させるために、好ましくは500000以下、より好ましくは300000以下が望ましい。
硫黄又は硫黄化合物の配合量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して2質量部以上必要である。硫黄又は硫黄化合物の配合量が2質量部未満であると、サイド補強ゴム層11のゴム硬度及び破壊強度を十分に向上させることができない。逆に、硫黄又は硫黄化合物の配合量が多くなると、ブルーミングや加工性の低下が生じるおそれがある。このような観点により、硫黄又は硫黄化合物の配合量は、好ましくは、3質量部以上、より好ましくは4質量部以上が望ましく、また、好ましくは、20質量部以下、より好ましくは15質量部以下であることが望ましい。
また、サイド補強ゴム層11のゴム組成物には、ジエン系ゴム成分100質量部に対してアスペクト比が3〜50である薄板状アルミナ粉体若しくはフッ素含有マイカを5〜120質量部配合される。勿論、サイド補強ゴム層11のゴム組成物には、薄板状アルミナ粉体のみ、又はフッ素含有マイカのみが配合されても良いし、これらを併用して配合することもできる。また、前記アスペクト比は、図2(a)及び(b)に示されるように、薄板状アルミナ粉体又はフッ素含有マイカの粒子Gにおいて、その厚さbに対する最大長径aの比(a/b)で表される。図2(a)に示されるように、粒子Gの直径aが一定でない場合、最も長い距離を長径aとする。なお、本実施形態のアスペクト比は、電子顕微鏡で観察し、任意の50個の粒子Gについて最大長径aおよび厚さbをそれぞれ測定し、それらの平均最大長径a’および平均厚さb’から比(a’/b’)として求められるものとする。
また、薄板状アルミナ粉体及びフッ素含有マイカのアスペクト比が3未満であると、サイド補強ゴム層11への補強効果が低下し、十分なゴム硬度を与えることができない。また、前記アスペクト比が50をこえると、これらの粒子がゴム中で分散し難くなり、ひいては、クラックなどが生じやすくなるほか、サイド補強ゴム層11の破壊強度を低下を招く。このような観点により、薄板状アルミナ粉体及びフッ素含有マイカのアスペクト比は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上であることが望ましく、また、好ましくは40以下、より好ましくは30以下が望ましい。
薄板状アルミナ粉体及びフッ素含有マイカの前記平均最大長径a’は、好ましくは2〜30μmが望ましい。平均最大長径粒子径が2μm未満であると、サイド補強ゴム層11に十分なゴム硬度を与えることができない。また、平均最大長径が30μmをこえると、サイド補強ゴム層11の耐疲労性が低下してランフラット耐久性が低下するおそれがある。このような観点により、薄板状アルミナ粉体及びフッ素含有マイカの平均最大長径は、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上が望ましく、また、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下が望ましい。
また、薄板状アルミナ粉体又はフッ素含有マイカの配合量(併用される場合にはそれらの合計配合量)が、ジエン系ゴム成分100質量部に対して5質量部未満になると、サイド補強ゴム層11のゴム硬度及び破壊強度を十分に高めることができず、ひいてはランフラット耐久性を向上効果が期待できない。逆に、薄板状アルミナ粉体又はフッ素含有マイカの含有量が120質量部をこえると、これらの粉体がゴム中で分散し難くなり、発熱しやすくなる他、耐亀裂強度を低下させるおそれがある。このような観点により、薄板状アルミナ粉体又はフッ素含有マイカの配合量は、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上が望ましく、また、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下が望ましい。
また、フッ素含有マイカとしては、下式(2)で表されるものが好ましい。
1/3〜12〜3(Z10)F1.5〜2 … (2)
ただし、式(2)において、XはNa、K、Li、Ca2+、Rb2+及びSr2+からなる群から選ばれる1種のイオン、YはMg2+、Fe2+、Ni2+、Mn2+、Al3+、Fe3+及びLiからなる群から選ばれる1種のイオン、ZはAl3+、Si4+、Ce4+、Fe3+及びB3+からなる群から選ばれる1種のイオンをそれぞれ表す。とりわけ、上記式(2)で表されるものの中でも、KMgAlSiO10、KMg2.5Si10、NaMG2.5Si10、NaMgLiSi10又はLiMgLiSi10が望ましい。また、フッ素含有マイカは、内燃式溶融法や外燃式溶融法などの製法により合成されたものが好ましい。これによって、バラツキを抑えた均一な粒子径のフッ素マイカを得ることができる。
このように、ゴム組成物は、カーボンブラック、硫黄若しくは硫黄化合物及び所定のアスペクト比を有する薄板状アルミナ粉体若しくはフッ素含有マイカを所定量含有するため、優れた強度と低発熱性とを両立でき、ひいてはランフラット耐久性を向上しうる。
なお、前記ゴム組成物には、薄板状アルミナ粉体又はフッ素含有マイカの何れかと併用して、シランカップリング材が添加されることが好ましい。シランカップリング材としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシランなどを挙げることができ、これらは単独で用いられてもよく、また2種以上を組み合わせて用いられてもよい。シランカップリング材の配合量は、薄板状アルミナ粉体又はフッ素含有マイカ(併用されるときにはその合計量)100質量部に対して2〜20質量部が好ましい。
また、前記ゴム組成物には、加硫促進剤を配合することが好ましい。加硫促進剤としては、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ)、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)、ジフェニルグアニジン(DPG)などが挙げられるが、とりわけTBBS、CBS、DZなどのスルフェンアミド系加硫促進剤が望ましい。これらは、遅延系加硫促進剤であるため、製造過程において焼けが起こりにくく、加硫特性に優れる。また、加硫後のゴムの物性においても外力による変形に対して低発熱性に優れ、ランフラットタイヤの耐久性向上に対する効果も大きい。
なお、ゴム組成物には、上記以外にも、各種の配合剤、例えばステアリン酸、酸化亜鉛、各種老化防止剤、ワックス及び/又はオイルなどを必要に応じて適宜配合することができる。また、前記ゴム組成物は、ゴム製造についての常法に従って製造できる。すなわち、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなどで、ゴム成分や含有成分を混練りし、所定の断面形状に押し出して生タイヤに組み入れられ、その後加硫することにより、サイド補強ゴム層11を形成しうる。
また、以上のような配合を具えたゴム組成物は、その加硫後の物性において、破断強度(T)が好ましくは10MPa以上、より好ましくは12MPa以上、さらに好ましくは14MPa以上であることが望ましい。これにより、サイド補強ゴム層11の荷重支持能力を高め、ランフラット耐久性をより一層向上しうる。なお、破断強度の上限値はとくに設定されないが、通常30MPa以下が好ましい。
さらに、前記ゴム組成物は、損失弾性率(E”)および複素弾性率(E)が下式(3)を満たすことが好ましい。
E”/(E≦7.0×10−9Pa−1 …(3)
E”/(Eは、ロスコンプライアンスとも呼ばれるが、この値を7.0×10−9 Pa−1以下に限定した場合には、ランフラット走行時にサイド補強ゴム層11に繰り返し圧縮応力が作用した場合であっても、その発熱量がより小さくなり、ひいてはゴムの熱劣化を長期に亘って抑制できる点で好ましい。とりわけ、前記ロスコンプライアンスは、6.0×10−9Pa−1以下が望ましい。なお、ロスコンプライアンスの下限値はとくに設定しないが、通常1.0×10−9Pa−1以上が好ましい。
また、本実施形態のランフラットタイヤ1は、前記ビード部4にリムプロテクトリブ12が凸設される。このリムプロテクトリブ12は、図3に示されるように、リムフランジJFを覆うように基準輪郭線jから突出してタイヤ周方向に連続してのびるリブ体であり、前記リムフランジJFの先端を越えてタイヤ軸方向外側に最も突出する突出面部12cと、この突出面部12cからビード外側面に滑らかに連なる半径方向内側の斜面部12iと、前記突出面部12cからタイヤ最大巾点M近傍位置で前記基準輪郭線jに滑らかに連なる半径方向外側の斜面部12oとで囲まれる断面台形状をなす。なお前記内側の斜面部12iは、リムフランジJFの円弧部よりも大きい曲率半径rの凹円弧面で形成され、通常走行時においては、縁石等からリムフランジJFを保護する。またランフラット走行時には、内側の斜面部12iがリムフランジJFの円弧部に寄りかかって接触するため、ビード変形量を軽減でき、ランフラット時の操縦安定性及びランフラット耐久性の向上に役立つ。
また、本発明では、ランフラット走行時の操縦安定性及び耐久性を向上するために、前記カーカスプライ6Aのカーカスコードにアラミド繊維が採用される。
前記アラミド繊維は、高弾性繊維として知られ、ランフラットタイヤ1のカーカスコードに使用することにより、タイヤの荷重支持能力を高める。従って、例えばカーカスプライ枚数の低減、カーカスコードの細径化、及び/またはコード配列密度(コードエンド数)の低下などによるタイヤの軽量化を図りながら、ランフラット走行時のタイヤ変形量を低減できる。しかも、アラミド繊維は、100〜150℃の高温下での弾性率の低下が、他の有機繊維コード材料に比べて小さい優れた耐熱性を有する。従って、ランフラット走行時のタイヤ温度上昇によっても、カーカスコードが強度低下して損傷したり、また弾性率の低下によるタイヤ変形量の増加や、それに伴うさらなるタイヤ温度上昇を招くことを防止できる。その結果、ランフラット耐久性を向上できる。さらにタイヤ温度上昇によっても、高弾性率を維持してタイヤ剛性を高めうるため、ランフラット時の操縦安定性をも向上できる。これによりランフラット走行における高速化、長距離化が達成される。
他方、アラミド繊維は、弾性率が高いゆえに耐疲労性に劣る傾向がある。そのため本実施形態のカーカスコード20は、図4に示されるように、下撚りしたアラミド繊維のフィラメント束21(即ちストランド21)の2本を、さらに上撚りにて互いに撚り合わせた2本撚り構造が採用されるとともに、このときの撚り合わせを従来よりも高い撚り係数Tで行っている。
ここで、前記「撚り係数T」は、コードの上撚り数をN(単位:回/10cm)、コード1本のトータル表示デシテックス(トータル繊度)をD(単位:dtex)、コード材料の比重をρとしたときに次式(1)で示される。
T=N×√{(0.125×D/2)/ρ}×10−3 …(1)
そして、この撚り係数Tを0.50〜0.70の範囲まで高めることにより、アラミド繊維コードの欠点である耐疲労性を改善でき、従来のレーヨンコードの場合に比して、ランフラット耐久性を大幅に向上することが可能になる。なお前記カーカスコード20の撚り係数Tが0.50を下回ると、耐疲労性の向上効果が少なく、ランフラット耐久性を十分に高めることができない。逆に、撚り係数Tが0.70を上回ると、コードの撚り加工が難しくなり生産性に不利となる。特に撚り係数Tの下限は0.60以上が好ましく、これによりコードの耐疲労性がさらに改善され、ランフラット耐久性をより向上しうる。
なおカーカスコード20では、アラミド繊維の重要な特性である高弾性を活かして優れた補強効果を発揮させるために、2本撚り構造が採用されている。そのとき、下撚り数と、上撚り数とが等しい所謂バランス撚りが好ましいが、撚り数の比(下撚り数/上撚り数)が0.2〜2.0の範囲内、好ましくは0.5〜1.5の範囲内で、下撚り数と上撚り数とを相違させても良い。
また前記トータル表示デシテックスD(繊度)は、特に限定されるものではないが、ランフラットタイヤの場合、1500〜5000dtexの範囲が好ましい。またカーカスプライ6Aにおけるコードエンド数n(本/5cm)と前記トータル表示デシテックスDとの積は、70000〜150000の範囲が好ましい。前記積が70000未満の場合、アラミド繊維コードとはいえ、ランフラット耐久性や操縦安定性が不十分となり、逆に150000を超えると、カーカス6の剛性が過大となって乗り心地を損ねるとともに、タイヤ質量やコストの不必要な増加を招くおそれがある。このような観点より、前記積D×nの下限は100000以上がさらに好ましく、上限は120000以下がさらに好ましい。
また耐疲労性に原因するカーカスコード20の損傷は、タイヤ変形時に圧縮歪を受ける部位、即ち、図3に示されるように、折返し部6bのうちのビード側部分6b1にて発生しやすい。しかしながら、本実施形態のようにリムプロテクトリブ12が凸設されている場合には、ランフラット走行時におけるビード変形が軽減され、カーカスコード20に圧縮歪みが作用しにくくなる。その結果、アラミド繊維を採用した場合のカーカスコード20の疲労損傷をさらに効果的に抑えることができ、ランフラット耐久性のより一層の向上を図ることができる。このように、アラミド繊維のカーカスコード20を用いたタイヤにおいて、リムプロテクトリブ12を設けることは、コードの疲労損傷抑制の観点から好ましい。
さらに、前記カーカスプライ6Aのトッピングゴムには、複素弾性率Eが5〜13MPaのい高弾性ゴムが用いられるのが望ましい。このように高弾性ゴムをトッピングゴムに採用することで、タイヤ変形時、カーカスコード20に作用する歪を低減でき、ランフラット耐久性のさらなる向上が達成される。なお複素弾性率Eが5MPaを下回ると前記効果が十分に期待できず、逆に13MPaを超えると、ゴムが硬くなり過ぎて乗り心地の低下を招くおそれがある。このような観点から、複素弾性率Eの下限値は、5.5MPa以上、さらには6MPa以上が好ましく、また上限値は11MPa以下、さらに9MPa以下が好ましい。
また、図5に示されるように、前記正規内圧状態のタイヤ子午断面において、タイヤ外面2Aのプロファイルは、曲率半径が異なる複数の円弧からなる曲面によって形成されている。特に、ランフラットタイヤ1の場合、前記タイヤ外面2Aとタイヤ赤道面Cとの交点であるタイヤ赤道点CPから、接地端側に向かって曲率半径Rが漸減する複数の円弧からなる曲面によって、前記プロファイルを形成することが望ましい。これにより、前記サイド補強ゴム層11のゴムボリュームを最小限に抑え、タイヤの軽量化及び乗り心地の向上を図ることができる。
詳しく説明すると、タイヤ赤道面Cから前記タイヤ最大断面巾SWの45%の距離SPを隔てるタイヤ外面2A上の点をPとするとき、タイヤ外面2Aの曲率半径RCは、前記タイヤ赤道点CPから前記点Pに至るまでの間で徐々に減少するように設定されるのが望ましい。なお前記「タイヤ最大断面巾SW」とは、タイヤ外面2Aの基準輪郭線jにおける最大巾であり、この基準輪郭線jは、タイヤ外面2Aに局部的に形成される例えば文字、図形、記号やリムプロテクトリブ12などの局部的凹凸部を除外した滑らかな輪郭線を意味する。
また前記タイヤ赤道面Cからタイヤ最大断面巾SWの半巾(SW/2)の60%、75%、90%及び100%の距離X60、X75、X90及びX100 を夫々隔てる各タイヤ外面2A上の点をP60、P75、P90及びP100 とし、各タイヤ外面2A上の点P60、P75、P90及びP100 と、前記タイヤ赤道点CPとの間の半径方向の距離をY60、Y75、Y90及びY100 とし、しかもタイヤ断面高さをSHとするとき、前記半径方向距離Y60、Y75、Y90及びY100 は、それぞれ以下の関係を満足することを特徴としている。
0.05< Y60 /SH ≦0.1
0.1< Y75 /SH ≦0.2
0.2< Y90 /SH ≦0.4
0.4< Y100 /SH ≦0.7
ここで、RY60=Y60/SH
RY75=Y75/SH
RY90=Y90/SH
RY100 =Y100 /SH
として前記関係を満足する範囲RYiが図6に例示される。図5及び図6のように、 このようなプロファイルでは、サイドウォール部の領域が短いという特徴を有するため、ランフラットタイヤに採用することにより、サイド補強ゴム層11のゴムボリュームを低減でき、ランフラットタイヤにおける質量低下と乗り心地性の向上とを達成しうる。また、上記関係を満足するプロファイルは、トレッドが非常に丸くなるため、フットプリントが、接地幅が小かつ接地長さを大とした縦長楕円形状となり、騒音性能やハイドロプレーニング性能の向上にも役立つ(その作用については、例えば特許第2994989号公報参照)。なお前記RY60、RY75、RY90及びRY100 の値が、各下限値を下回ると、トレッド部2を中心としてタイヤ外面2Aが平坦化するため、従来タイヤとのプロファイルの差が少なくなる。逆に各上限値を上回ると、トレッド部2を中心としてタイヤ外面2Aが著しく凸状をなすため、接地巾が過小となり通常走行において必要な走行性能を確保することができなくなる。
なおタイヤでは、予めタイヤサイズを定めることにより、JATMA、ETRTOなどのタイヤの規格から、タイヤ偏平率、タイヤ最大断面巾、タイヤ最大高さなどを概ね定め得るため、前記RY60、RY75、RY90及びRY100 の範囲を容易に算出できる。従って、前記タイヤ外面2Aは、前記各位置におけるRY60、RY75、RY90及びRY100 の範囲を満たすように、かつ曲率半径RCが徐々に減少するように、前記タイヤ赤道点CPから前記点Pまで滑らかな曲線で描くことにより適宜定めうる。
また前記タイヤは、図7に示されるように、前記正規内圧状態のタイヤに正規荷重の80%の荷重を負荷した状態において、前記タイヤ外面2Aが接地するタイヤ軸方向最外端間のタイヤ軸方向距離である接地巾CWが、前記タイヤ最大断面巾SWの50〜65%であることが好ましい。前記接地巾CWが、タイヤ最大断面巾SWの50%未満の場合、通常走行において轍でふらつきやすくなるなどワンダリング性能が低下し、かつ接地圧の不均一化により偏摩耗しやすくなるからである。なお前記接地巾CWが、タイヤ最大断面巾SWの65%を超える場合、接地幅が過度に大きくなって通過騒音とハイドロプレーニング性能の両立が難しくなる傾向がある。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1に示す構造をなすランフラットタイヤが表1の仕様で試作され、それらについて各種の性能がテストされた。なお、サイド補強ゴム層については、表2に示す配合1乃至9とした。
また、サイド補強ゴム層の製造方法は、次の通りである。先ず、表2に示す配合処方に従い、(株)神戸製鋼所製のバンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を150℃で4分間混練りし、混練り物を得た。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を添加し、80℃の条件下で3分間混練りし、未加硫ゴム組成物を押出し成形された。そして、このゴム組成物を含む各種タイヤ部材を常法に従って貼り合わせて生タイヤを成型し、これを加硫することにより、ランフラットタイヤが製造された。
また、表2中の配合の詳細は次の通りである。
天然ゴム(NR):RSS#3
ブタジエンゴム(BR):宇部興産(株)製のVCR412(SPBの平均粒子径:250nm、SPBの含有率:12質量部)
カーボンブラック(FEF):三菱化学(株)製のダイヤブラックE(N2SA:41m2/g、DBP吸油量:115ml/100g)
薄板状アルミナ粉体:キンセイマテック(株)製のセラフYFA10030(アスペクト比30、平均粒子径10μm)
フッ素含有マイカ:トピー工業(株)製のPDM−8W(KMgAlSiO10、アスペクト比35、平均粒子径12μm)
ステアリン酸:日本油脂(株)製の椿
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
シランカップリング剤:デグサジャパン(株)製Si−75
硫黄:不溶性硫黄(四国化成工業(株)製のミュークロンOT)
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
さらに、各タイヤは、表1に記載のパラメータ以外は同一の仕様とした。共通仕様は次の通りである。
タイヤサイズ:245/40ZR18
カーカス:プライ枚数1、コード角度90°(対タイヤ赤道)
ベルト層:ベルトプライ枚数2、コード角度±24°(対タイヤ赤道)
サイド補強ゴム層:最大厚さ10.0mm又は8.0mm
またトレッドプロファイルは、各タイヤとも、RY60=0.05〜0.1、RY75=0.1〜0.2、RY90=0.2〜0.4、RY100=0.4〜0.7の範囲で実質的に同じプロファイルのものを使用した。
テスト方法は、次の通りである。
<サイド補強ゴム層の破断強度>
ランフラットタイヤのサイド補強ゴム層から厚さ2mmの試験片を切り出し、JIS −K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―引張特性の求め方」に準じ、3号ダンベルを用いて引張り試験を実施し、各配合の破断強度(T)がそれぞれ測定された。数値が大きいほど良好である。
<ロスコンプライアンス>
前記試験片を用いて、複素弾性率Eおよび損失弾性率E”を測定し、E”/(Eを算出した。E”/(Eの値が小さいほど低発熱性に優れることを示す。
<ランフラット耐久性>
各供試タイヤをバルブコアを取り去ったリム(18×8.5J)にリム組みし、デフレート状態でドラム試験機上を速度(80km/h)、縦荷重(4.14kN)の条件にて走行させ、タイヤが破壊するまでの走行距離を測定し、比較例1を100とする指数により評価した。数値が大きいほど良好である。
テストの結果を表1及び表2に示す。
Figure 0005204577
Figure 0005204577
Figure 0005204577
Figure 0005204577
テストの結果、実施例のランフラットタイヤは、比較例に比べて、ランフラット走行時における低発熱性及び耐久性を向上していることが確認できた。
本発明のランフラットタイヤの一実施形態を示す断面図である。 (a)、(b)はアスペクト比を説明する粒子の拡大斜視図である。 ビード部を拡大して示す断面図である。 カーカスコードを説明する側面図である。 タイヤ外面のプロファイルを示す線図である。 タイヤ外面の各位置におけるRYiの範囲を示す線図である。 そのトレッド部を拡大して示す断面図である。
符号の説明
1 ランフラットタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
6A カーカスプライ
11 サイド補強ゴム層
20 カーカスコード

Claims (7)

  1. トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、前記サイドウォール部のカーカス内側に配された断面略三日月状のサイド補強ゴム層とを具えるランフラットタイヤであって、
    前記サイド補強ゴム層は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、チッ素吸着比表面積が30〜100m/gかつジブチルフタレート吸油量が50ml/100g以上であるカーボンブラックを10〜100質量部、硫黄若しくは硫黄化合物を2質量部以上及びアスペクト比が3〜50である薄板状アルミナ粉体若しくはフッ素含有マイカを5〜120質量部含有するゴム組成物からなり、
    前記カーカスは、タイヤ赤道に対して45〜90°の角度で配列したカーカスコードをトッピングゴムで被覆したカーカスプライからなるとともに、前記カーカスコードに、下式(1)で示される撚り係数Tが0.50〜0.70であるアラミド繊維を用いたことを特徴とするランフラットタイヤ。
    T=N×√{(0.125×D/2)/ρ}×10−3 …(1)
    ただし、Nは上撚り数(回/10cm)、Dはコードのトータル表示デシテックス(繊度)、ρはコード材料の比重である。
  2. 前記フッ素含有マイカは、下式(2)からなる請求項1に記載のランフラットタイヤ。
    1/3〜12〜3(Z10)F1.5〜2 … (2)
    (ただし、式(2)において、XはNa、K、Li、Ca2+、Rb2+及びSr2+からなる群から選ばれる1種のイオン、YはMg2+、Fe2+、Ni2+、Mn2+、Al3+、Fe3+及びLiからなる群から選ばれる1種のイオン、ZはAl3+、Si4+、Ce4+、Fe3+及びB3+からなる群から選ばれる1種のイオンをそれぞれ表す。)
  3. 前記フッ素含有マイカは、KMgAlSiO10、KMg2.5Si10、NaMG2.5Si10、NaMgLiSi10又はLiMgLiSi10のいずれかである請求項2に記載のランフラットタイヤ。
  4. 前記カーカスコードは、前記撚り係数Tが0.60〜0.70である請求項1乃至3のいずれかに記載のランフラットタイヤ。
  5. 前記カーカスプライの前記トッピングゴムは、複素弾性率Eが5〜13MPaである請求項1乃至4のいずれかに記載のランフラットタイヤ。
  6. 正規リムに装着されかつ正規内圧を充填した正規内圧状態におけるタイヤ軸心を含むタイヤ子午断面において、タイヤ外面のプロファイルは、前記タイヤ外面とタイヤ赤道面Cとの交点であるタイヤ赤道点CPから接地端側に向かって曲率半径が漸減する複数の円弧からなる曲面によって形成される請求項1乃至5のいずれかに記載のランフラットタイヤ。
  7. 前記タイヤ外面のプロファイルは、タイヤ赤道面Cからタイヤ最大断面巾SWの45%の距離SPを隔てるタイヤ外面上の点をPとするとき、
    タイヤ外面の曲率半径RCが、タイヤ赤道点CPから前記点Pに至るまでの間で徐々に減少するとともに、
    前記タイヤ赤道面Cから前記タイヤ最大断面巾SWの半巾(SW/2)の60%、75%、90%及び100%の距離X60、X75、X90及びX100 を夫々隔てるタイヤ外面上の各点と、タイヤ赤道点CPとの間の各半径方向距離をそれぞれY60、Y75、Y90及びY100 とし、かつタイヤ断面高さをSHとするとき、
    0.05< Y60 /SH ≦0.1
    0.1< Y75 /SH ≦0.2
    0.2< Y90 /SH ≦0.4
    0.4< Y100 /SH ≦0.7
    の関係を満足する請求項6に記載のランフラットタイヤ。
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