JP2008524247A - 認知の改善における使用のためのアミロイドβ抗体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、βアミロイド(Aβ)と関連する疾患の処置のための改良された剤および方法を提供する。好ましい剤は抗体、例えばAβに特異的なヒト化抗体を包含する。

Description

関連出願
本出願は、全部“Aβ Antibodies for Use in Improving Cognition(認知の改善における使用のためのAβ抗体)”と題された、第60/636,810号(2004年12月15日出願)、同第60/637,138号(2004年12月16日出願)および同第60/735,687号(2005年11月10日出願)をもつ米国仮出願に対する優先権の利益を主張する。上で参照された仮出願のそれぞれの内容全体は、引用することにより本明細書に組み込まれる。
記憶は、過去の経験から受領した情報の脳による保存および/若しくは想起を必要とする重要な認知機能である。条件付けともまた称される学習は、新たな情報が神経系により取得かつ保存されて記憶を形成する過程である。痴呆を伴う患者では、学習および/若しくは記憶のための認知経路が損なわれており、その結果、該患者は学習または新たな記憶を効果的に形成若しくは古い記憶を想起することに失敗する。痴呆を表す個体の数は急速に上昇しており、そして、該上昇速度は、一般大衆が加齢し続けかつ平均余命が延長し続ける際に増大することが期待される。痴呆を伴う患者は、彼らの症状が悪化する際にますます高価かつ集中的介護を必要とする。であるから、施設収容を遅らせる医学的介入が、痴呆を伴う被験体の苦難を軽減することに加え、医療制度に対する要求を低減させるのに役立つとみられる。
重度の痴呆の発症は、ダウン症候群、脳アミロイド血管症、血管性痴呆およびアルツハイマー病(AD)を包含する、冒された被験体の脳組織中のアミロイドタンパク質沈着物の蓄積で知られる数種のアミロイド形成障害の特徴である。ADは老人性痴呆をもたらす進行性疾患である。大まかに言って、該疾患は2つの範疇、すなわち老齢(65歳超)で発症する晩発型および老年期の十分に前すなわち35と60歳の間で発症する早発型に分けられる。
神経変性は、認知症状が加齢とともに進行性に悪化するようなアミロイド形成障害および他の痴呆障害と関連する。アミロイド形成障害の診断は、通常、脳の剖検で明らかである特徴的な細胞病理学によってのみ確認し得る。組織病理学は、神経原線維変化(NT)の存在、中枢神経系組織のシナプスおよびニューロンのびまん性喪失、ならびにアミロイド斑(老人斑ともまた呼ばれる)の存在を包含する3つの主要な特徴の最低1つよりなる。全般として、非特許文献1;特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4を参照されたい。
斑の主構成要素はAβすなわちβ−アミロイドペプチドと命名されるペプチドである。Aβペプチドは、より大きな膜貫通糖タンパク質(アミロイド前駆体タンパク質(APP)と命名された著名なタンパク質)の39〜43アミノ酸のおよそ4kDaの内的フラグメントである。多様な分泌酵素によるAPPのタンパク質分解性プロセシングの結果として、Aβは主として短い形態(長さ40アミノ酸)および長い形態(長さ42〜43アミノ酸からの範囲にわたる)の双方で見出される。APPの疎水性膜貫通ドメインの一部はAβのカルボキシ端で見出され、そしてとりわけ長い形態の場合には斑に凝集するAβの能力の原因でありうる。脳中のアミロイド斑の蓄積はついには神経細胞死に至る。この型の神経劣化と関連する身体症状がADを特徴づける。
APPタンパク質内の数種の突然変異がADの存在と相互に関連づけられている。例え
ば、非特許文献5(バリン717からイソロイシン);非特許文献6(バリン717からグリシン);非特許文献7(バリン717からフェニルアラニン);非特許文献8(リシン595−メチオニン596からアスパラギン595−ロイシン596に変化する二重突然変異)を参照されたい。こうした突然変異は、APPのAβへの増大された若しくは変えられたプロセシング、とりわけ増大された量の長い形態のAβ(すなわちAβ1−42およびAβ1−43)へのAPPのプロセシングによりADを引き起こすと考えられている。プレセニリン遺伝子PS1およびPS2のような他の遺伝子中の突然変異は、増大された量の長い形態のAβを生成させるAPPのプロセシングに間接的に影響を及ぼすと考えられている(非特許文献9を参照されたい)。
マウスモデルがADにおけるアミロイド斑の意義を決定するのに成功裏に使用された(非特許文献4、非特許文献10)。とりわけ、PDAPPトランスジェニックマウス(変異体の形態のヒトAPPを発現しかつ若齢でADの病状を発症する)に長い形態のAβを注入した場合、それらはADの病状の進行の低下およびAβペプチドに対する抗体力価の増大の双方を表す(非特許文献11)。上の知見は、とりわけその長い形態のAβをADにおける原因要素として関与させる。
Aβペプチドは溶液中に存在し得、そして中枢神経系(CNS)(例えば脳脊髄液(CSF))および血漿中で検出し得る。ある条件下では、可溶性Aβは、ADを伴う患者の老人斑および脳血管で見出される線維状の毒性のβ−シートの形態に変換される。Aβペプチドの形成を予防することを試みる数種の処置、例えばAPPの切断を予防するための化学的阻害剤の使用が開発された。免疫療法処置もまた、既存の斑の密度および大きさを低下させるための手段として検討されている。これらの戦略は、アミロイド沈着物の消失を誘導する多様な抗Aβ抗体での受動免疫、ならびに抗Aβ抗体の生成および沈着物の細胞消失を包含する体液性応答を促進するための可溶性の形態のAβペプチドでの能動免疫を包含する。能動および受動免疫双方がADのマウスモデルで試験されている。PDAPPマウスにおいて、Aβでの免疫化は、斑形成、神経炎性ジストロフィーおよびアストログリオーシスの発症を予防することが示された。より高齢の動物の処置もまた、これらのAD様神経病変の程度および進行を顕著に低下させた。非特許文献11。Aβ免疫化は、ADのTgCRND8マウスモデルにおいて斑および行動障害を低下させることもまた示された。非特許文献12。Aβ免疫化はまたTg 2576 APP/PS1変異体マウスで認知能力を改善しかつアミロイド負荷量を低下させた。非特許文献13。PDAPPトランスジェニックマウスの受動免疫もまた検討されている。例えば、末梢で投与した抗体がin vivoで中枢神経系(CNS)に進入しかつ斑消失を誘導したことが見出された。非特許文献14。該抗体はex vivoアッセイでFc受容体媒介性食作用を誘導することがさらに示された。Aβ42のN末端に特異的な抗体は、ex vivoおよびin vivo双方で斑の低下においてとりわけ有効であることが示された。特許文献2および非特許文献15を参照されたい。Aβ42の中央領域に特異的な抗体もまた有効性を示した。特許文献2。
2つの機構すなわち中枢性分解および末梢性分解が、免疫療法による効果的な斑消失に提案されている。中枢性分解の機構は、血液脳関門を横断し、斑に結合しかつ既存の斑の消失を誘導することが可能である抗体に頼る。消失はFc受容体媒介性食作用により促進されることが示されている(非特許文献14)。Aβ消失の末梢性分解の機構は、一区画から別のものへのAβの輸送に至る、抗Aβ抗体による脳、CSFおよび血漿間のAβの動的平衡の破壊に頼る。中枢で派生するAβはCSFおよび血漿に輸送され、そこでそれは分解される。最近の研究は、可溶性かつ未結合のAβが、脳中のアミロイド沈着の低下を伴わなくとも、ADと関連する記憶障害に関与していることを結論づけた。さらなる研究が、Aβ消失のためのこれらの経路の作用および/若しくは相互作用を決定するのに必要とされる(非特許文献16)。
今日までの処置の大多数はアミロイド斑形成を低下させることを目標としていた一方、アミロイド形成障害と関連するある種の認知障害(例えば海馬依存的な条件付けの欠陥)がアミロイド沈着物の前に出現し始め、かつ、全体的な神経病理学が明らかであることが最近示された(非特許文献17)。さらに、斑に凝集したアミロイドペプチドの病原性の役割は長年知られている一方、痴呆若しくは認知障害の重症度は、斑の密度といくぶん相関するのみである一方で可溶性Aβの濃度との有意の相関が存在する(例えば非特許文献18を参照されたい)。いくつかの研究は、可溶性Aβオリゴマーが、増大した酸化的ストレスおよびプログラムされた細胞死の誘導を包含する機構により、APPトランスジェニックマウスにおいてシナプス毒性および記憶障害に関与していることを示したか若しくは示唆した(例えば、非特許文献19;非特許文献20;非特許文献21;非特許文献22;非特許文献23;非特許文献24;非特許文献25を参照されたい)。これらの結果は、神経変性がアミロイド沈着前に開始することができかつ単にその結果でないことを示す。従って、ADの処置のための新たな治療法および試薬、とりわけAβ誘発性の神経毒性の多様な機構での介入を介して治療的利益を遂げることが可能な治療法および試薬に対する必要性が存在する。
Hardyら、第WO 92/13069号 米国特許第6,761,888号 Selkoe、TINS 16:403(1993) Selkoe、J.Neuropathol.Exp.Neurol.53:438(1994) Duffら、Nature 373:476(1995) Gamesら、Nature 373:523(1995) Goateら、Nature 349:704(1991) Chartier Harlanら、Nature 353:844(1991) Murrellら、Science 254:97(1991) Mullanら、Nature Genet.1:345(1992) Hardy、TINS 20:154(1997) Johnson−Woodら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:1550(1997) Schenkら、Nature 400、173(1999) Janusら(2000)Nature 408:979−982 Morganら(2000)Nature 408:982−985 Bardら(2000)Nat.Med.6:916−919 Bardら(2003)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1000:2023−2028 Dodelら、The Lancet、2003、2:215 Dineleyら、J.Biol.Chem.、2002、227:22768 McLeanら、Ann Neurol、46:860−866(1999) Lambertら、(1998)、PNAS、95:6448−53 Naslundら、(2000)、JAMA、283:1571 Muckeら、J Neurosci、20:4050−4058(2000) Morganら、Nature、408:982−985(2000) Dodartら、Nat Neurosci、5:452−457(2002) Salkoeら、(2002)、Science、298:789−91 Walshら、Nature、416:535−539(2002)
[発明の要約]
本発明は、Aβ関連疾患若しくは障害の予防および処置のための、とりわけAβ関連疾患若しくは障害を有するか若しくはその危険性がある患者での認知の改善(例えば認知の迅速な改善)を治療上遂げるための免疫学的試薬、とりわけ治療的抗体試薬を特徴とする。本発明は、少なくとも部分的に、Aβペプチド内のエピトープに特異的に結合する数種のモノクローナル抗体の同定および特徴付けに基づく。本発明は、特定の活性、とりわけ、可溶性オリゴマーAβに優先的に結合する能力、および/若しくはAβ関連の認知障害の適切な動物において測定されるところの認知を迅速に改善する能力を有するAβ抗体の選択を特徴とする。
これらの抗体の構造および機能分析は、予防的および/若しくは治療的使用のための多様なヒト化抗体の設計に至る。とりわけ、本発明は、この抗体の可変領域のヒト化を特徴とし、そして、従って、特徴とする抗体のヒト化免疫グロブリンすなわち抗体鎖、無傷のヒト化免疫グロブリンすなわち抗体、および機能的免疫グロブリンすなわち抗体フラグメント、とりわけ抗原結合フラグメントを提供する。
本明細書に記述される免疫グロブリンは、Aβ関連疾患若しくは障害またはそれに関する症状若しくは適応症の予防若しくは処置を目的とする治療方法における使用にとりわけ適する。ある態様において、本発明は、Aβ関連疾患若しくは障害を有するか若しくはその危険性がある患者で観察される痴呆および/若しくは認知障害の予防若しくは改善において有効な治療および/若しくは予防方法を特徴とする。とりわけ、本発明は、該疾患若しくは障害の発病の早期段階で妨害しかつ不可逆的な神経損傷および/若しくは痴呆を予防する治療薬の投与を含んでなる、改良された治療および/若しくは予防方法を提供する。本発明の特徴とする局面は、本発明の免疫学的試薬若しくは前記免疫学的試薬を含んでなる製薬学的組成物の投与を伴う、被験体における認知の迅速な改善方法を提供する。好ましい免疫学的試薬は、限定されるものでないが、抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、二特異性抗体、抗体フラグメント、抗体鎖、それらの抗体若しくは抗体鎖バリアント(例えばFc抗体バリアント)またはそれらの組合せを挙げることができる。
本発明の他の局面において、免疫学的試薬若しくは前記試薬を含んでなる製薬学的組成物の投与を伴う、被験体における認知の長期改善を遂げる方法を特徴とする。
例示的態様において、本発明の方法は、Aβ関連疾患若しくは障害を有するか若しくはその危険性がある被験体におけるAβ、とりわけAβオリゴマーの結合および/若しくは認知の迅速な改善で有効である免疫学的試薬の投与を伴う。
いくつかの態様において、本発明の免疫グロブリンは、ヒンジ領域、例えばEU位置234、235、236および/若しくは237に1個若しくはそれ以上の変化を含んでなる。特定の一態様において、本発明の免疫グロブリンは、ヒンジ領域の位置234および237のアミノ酸変化(すなわちL234AおよびG237A)を包含するヒト化12A11抗体である。
さらなる態様において、本発明の免疫グロブリンはペグ化抗体フラグメント、例えばFabおよびFab’を含んでなる。なお他の態様において、本発明の免疫グロブリンはアグリコシル化された定常領域を含んでなる。例示的一態様において、免疫グロブリンは位置297のアスパラギンのアラニンへのアミノ酸置換を包含し、それにより該免疫グロブリンのグリコシル化を予防する。
いくつかの態様において、本発明のヒト化免疫グロブリンは、それぞれATCC受託番号_______、_______、_______若しくは_______を有する細胞株により産生される6C6、2B1、1C2若しくは9G8抗体の相補性決定領域を含んでなる。いくつかの態様において、ヒト化免疫グロブリンは、それぞれATCC受託番号_______、_______、_______若しくは_______を有する細胞株により産生されるモノクローナル抗体6C6、2B1、1C2若しくは9G8のヒト化バージョンである。
免疫グロブリンのH鎖をコードする遺伝子中の1個若しくはそれ以上のイントロンを欠失することによる免疫グロブリンの発現の増大方法もまた本明細書で特徴とする。
加えて、本発明は、本発明の1種若しくはそれ以上の免疫グロブリンを使用する、本明細書に記述されるところの処置方法に関する。
[発明の詳細な記述]
本発明を記述する前に、下で使用されるべきある用語の定義を示すことがその理解に有用でありうる。
1)定義
本明細書で使用されるところの「Aβ関連疾患若しくは障害」という用語は、Aβペプチドの発生若しくは存在と関連するか若しくはそれらを特徴とする疾患若しくは障害を指す。一態様において、Aβ関連疾患若しくは障害は可溶性Aβの存在と関連するか若しくはそれを特徴とする。別の態様において、Aβ関連疾患若しくは障害は、不溶性Aβの存在と関連するか若しくはそれを特徴とする。別の態様において、Aβ関連疾患若しくは障害は、向神経活性Aβ種(NAβ)の存在と関連するか若しくはそれを特徴とする。別の態様において、Aβ関連疾患若しくは障害はまたアミロイド形成障害でもある。別の態様において、Aβ関連疾患若しくは障害は、Aβ関連の認知障害(deficit)若しくは障害(disorder)、例えばAβ関連痴呆障害を特徴とする。例示的Aβ関連疾患若しくは障害は、アルツハイマー病(AD)、ダウン症候群、脳アミロイド血管症、ある種の血管性痴呆および軽度認知障害(MCI)を包含する。
「βアミロイドタンパク質」、「βアミロイドペプチド」、「βアミロイド」、「Aβ」および「Aβペプチド」という用語は本明細書で互換性に使用される。Aβペプチド(例えばAβ39、Aβ40、Aβ41、Aβ42およびAβ43)は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)と命名されたより大きな膜貫通糖タンパク質の39〜43アミノ酸の約4kDaの内的フラグメントである。APPの複数のアイソフォーム、例えばAPP695、APP751およびAPP770が存在する。APP内のアミノ酸はAPP770アイソフォームの配列(例えばGenBank受託番号P05067を参照されたい)に従って割り当てられた番号である。ヒトで存在することが現在既知であるAPPの特定のアイソタイプの例は、「正常」APPと呼称されるKangら(1987)Nature 325:733−736により記述される695アミノ酸のポリペプチド;Pont
eら(1988)Nature 331:525−527(1988)およびTanziら(1988)Nature 331:528−530により記述される751アミノ酸のポリペプチド;ならびにKitaguchiら(1988)Nature 331:530−532により記述される770アミノ酸のポリペプチドである。in vivo若しくはin situでの多様な分泌酵素によるAPPのタンパク質分解性プロセシングの結果として、Aβは「短い形態」(長さ40アミノ酸)および「長い形態」(長さ32〜43アミノ酸からの範囲にわたる)双方で見出される。短い形態Aβ40はAPPの残基672−711よりなる。長い形態、例えばAβ42若しくはAβ43はそれぞれ残基672−713若しくは672−714よりなる。APPの疎水性ドメインの一部はAβのカルボキシ端で見出され、そしてとりわけ長い形態の場合にAβの凝集する能力の原因でありうる。Aβペプチドは、例えば正常個体およびアミロイド形成障害に罹患している個体双方を包含する、ヒトおよび他の哺乳動物の体液、例えば脳脊髄液中に見出し得るか、若しくはそれから精製し得る。
「βアミロイドタンパク質」、「βアミロイドペプチド」、「βアミロイド」、「Aβ」および「Aβペプチド」という用語は、APPの分泌酵素切断から生じるペプチド、および切断生成物と同一若しくは本質的に同一の配列を有する合成ペプチドを包含する。本発明のAβペプチドは多様な供給源、例えば組織、細胞株または体液(例えば血清若しくは脳脊髄液)に由来し得る。例えば、Aβは、例えばWalshら、(2002)、Nature、416、pp535−539に記述されるところのAPP717V→Fで安定にトランスフェクトしたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のようなAPP発現細胞に由来し得る。Aβ調製物は前述された方法(例えばJohnson−Woodら、(1997)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:1550を参照されたい)を使用して組織供給源に由来し得る。あるいは、Aβペプチドは当業者に公知である方法を使用して合成し得る。例えば、Fieldsら、Synthetic Peptides:A User’s Guide、Grant編、W.H.Freeman&Co.、ニューヨーク州ニューヨーク、1992、p77を参照されたい)。これ故に、ペプチドは、例えばApplied Biosystemsペプチド合成機型式430A若しくは431で側鎖を保護したアミノ酸を使用するt−Boc若しくはF−mocいずれかの化学により保護したαアミノ基を用いる固相合成の自動化Merrifield技術を使用して合成し得る。より長いペプチド抗原は公知の組換えDNA技術を使用して合成し得る。例えば、ペプチド若しくは融合ペプチドをコードするポリヌクレオチドを合成し得るか若しくは分子的にクローン化し得、そしてトランスフェクションおよび適する宿主細胞による異種発現のため適する発現ベクターに挿入し得る。Aβペプチドはまた、正常遺伝子のAβ領域の突然変異から生じる関連Aβ配列も指す。
「可溶性Aβ」若しくは「解離型Aβ」という用語は、単量体の可溶性ならびにオリゴマーの可溶性のAβポリペプチド(例えば可溶性Aβ二量体、三量体など)を包含する凝集していないすなわちばらばらのAβポリペプチドを指す。可溶性Aβはin vivoで脳脊髄液および/若しくは血清のような生物学的体液中で見出し得る。可溶性Aβは、例えばAβペプチドを適切な溶媒および/若しくは溶液中で可溶化することによりin vitroでもまた調製し得る。例えば、可溶性Aβは、凍結乾燥したペプチドをアルコール、例えばHFIPに溶解すること、次いで冷水性溶液での希釈により調製し得る。あるいは、可溶性Aβは、凍結乾燥したペプチドを希釈していないDMSOに超音波処理を用いて溶解することにより調製し得る。生じる溶液を遠心分離(例えば14,000×g、4℃で10分)していかなる不溶性の微粒子も除去し得る。
「不溶性Aβ」若しくは「凝集型Aβ」という用語は、凝集したAβペプチド、例えば非共有結合により一緒に保持され、かつ、ADを伴う患者の老人斑および脳血管中で見出される線維状の毒性のβ−シートの形態のAβペプチド中に存在し得るAβを指す。Aβ
(例えばAβ42)は、少なくとも部分的に、該ペプチドのA末端の疎水性残基(APPの膜貫通ドメインの一部)の存在により凝集すると考えられる。
本明細書で使用されるところの「向神経活性Aβ種」という句は、神経細胞の最低1種の活性若しくは物理的特徴を遂げるAβ種(例えばAβペプチド若しくはAβペプチドの1形態)を指す。向神経活性Aβ種は、例えば、神経細胞の機能、生物学的活性、生存能力、形態学および/若しくは構造を遂げる。神経細胞に対する影響は細胞性であり得る(例えば神経細胞の長期の強化(LPT)若しくは神経細胞の生存能力(神経毒性)を遂げること)。あるいは、該影響はin vivoの神経系に対してであり得る(例えば適切な動物試験(例えば認知試験)で行動の結果を遂げること)。本明細書で使用されるところの「中和する」という用語は、活性若しくは効果を中立にするか、打ち消すか若しくは無効にすることを意味している。
本明細書で使用されるところの「神経変性疾患」という用語は、ニューロンおよび/若しくは神経組織の変性を伴うか若しくはそれを特徴とする障害若しくは疾患、例えばアミロイド形成疾患を広範に指す。
「アミロイド形成疾患」若しくは「アミロイド形成障害」という用語は、不溶性アミロイド原線維の形成若しくは沈着と関連する(若しくはそれにより引き起こされる)いかなる疾患も包含する。例示的アミロイド形成疾患は、限定されるものでないが全身性アミロイドーシス、アルツハイマー病(AD)、脳アミロイド血管症(CAA)、成人発症型糖尿病、パーキンソン病、ハンチントン描、前頭側頭型痴呆、ならびにプリオン関連の伝染性海綿状脳症(ヒトにおけるクールーおよびクロイツフェルト・ヤコブ病、ならびに、ヒツジおよび畜牛におけるそれぞれスクレイピーおよびBSE)を挙げることができる。多様なアミロイド形成疾患が、沈着される原線維のポリペプチド成分の性質により定義若しくは特徴付けられる。例えば、アルツハイマー病を有する被験体若しくは患者において、βアミロイドタンパク質(例えば野性型、バリアント若しくは切断型βアミロイドタンパク質)がアミロイド沈着物の主ポリペプチド成分である。従って、アルツハイマー病は、例えば被験体若しくは患者の脳中の「Aβの沈着物を特徴とする疾患」若しくは「Aβの沈着物を伴う疾患」の一例である。Aβの沈着物を特徴とする他の疾患は、アミロイド形成性沈着物が、学習および/若しくは記憶と関連する脳の1個若しくはそれ以上の領域、例えば海馬、扁桃体、鉤状回、帯状皮質、前頭葉前皮質、鼻周囲皮質、感覚皮質および側頭葉内側部に見出される、特徴づけられていない疾患を包含し得る。
「認知」という用語は、限定されるものでないが、学習若しくは記憶(例えば短期若しくは長期の学習若しくは記憶)、知識、覚醒、注意および集中、判断、視覚的認知、抽象的思考、実行機能、言語、視覚−空間(visual−spatial)(すなわち視覚空間(visuo−spatial)見当識)技能、視覚的認知、平衡/敏捷性ならびに感覚運動活動を挙げることができる、被験体により実施される認知に関する精神過程を指す。例示的認知過程は学習および記憶を包含する。
「認知障害(disorder)」、「認知障害(deficit)」若しくは「認知障害(impairment)」という用語は本明細書で互換性に使用され、そして被験体の1種若しくはそれ以上の認知に関する精神過程の欠陥若しくは障害を指す。認知障害は多数の起源、すなわち機能的機序(不安、抑うつ)、生理学的加齢(加齢関連の記憶障害)、脳損傷、精神障害(例えば統合失調症)、薬物、感染症、毒物若しくは解剖学的病変を有しうる。例示的認知障害は、学習若しくは記憶の欠陥若しくは障害(例えば、知的能力、判断、言語、運動技能および/若しくは抽象的思考の短期若しくは長期の学習および/若しくは記憶の喪失における)を包含する。
本明細書で使用されるところの「Aβ関連認知障害(disorder)」(または「障害(deficit)」若しくは「障害(impairment)」)という用語は、Aβペプチドの発生若しくは存在と関連するか若しくはそれを特徴とする認知障害を指す。一態様において、Aβ関連疾患若しくは障害は可溶性Aβの存在を伴うか若しくはそれを特徴とする。別の態様において、Aβ関連疾患若しくは障害は不溶性Aβの存在を伴うか若しくはそれを特徴とする。別の態様において、Aβ関連疾患若しくは障害は向神経活性Aβ種(NAβ)の存在を伴うか若しくはそれを特徴とする。
本明細書で使用されるところの「痴呆障害」という用語は、痴呆(すなわち認知能力の全般的劣化若しくは進行性減退または痴呆様症状)を特徴とする障害を指す。痴呆障害は、しばしば、脳若しくは中枢神経系の1種若しくはそれ以上の異常な過程(例えば神経変性)を伴うか若しくはそれにより引き起こされる。痴呆障害は、一般に、軽度から重篤な段階まで進行し、そして日常生活で独立して機能する被験体の能力を妨害する。痴呆は、冒された脳の領域に依存して皮質若しくは皮質下に分類されうる。痴呆障害は、意識の喪失(錯乱におけるような)若しくは抑うつ、または他の機能的精神障害(偽痴呆)を特徴とする障害を包含しない。痴呆障害は、アルツハイマー病、血管性痴呆、レヴィー小体痴呆、ヤコブ・クロイツフェルト病、ピック病、進行性核上性麻痺、前頭葉痴呆、特発性大脳基底核石灰化、ハンチントン病、多発性硬化症、およびパーキンソン病のような不可逆性痴呆、ならびに外傷(外傷後脳症)、頭蓋内腫瘍(原発性若しくは転移性)、硬膜下血腫、代謝および内分泌学的状態(甲状腺機能低下症および甲状腺機能亢進症、ウィルソン病、***性脳症、透析脳症症候群、低酸素性および低酸素後痴呆、ならびに慢性の電解質異常)、欠乏状態(ビタミンB12欠乏症およびペラグラ(ビタミンB6))、感染症(AIDS、梅毒性髄膜脳炎、辺縁系脳炎、進行性多病巣性白質脳症、真菌感染症、結核)、ならびにアルコール、アルミニウム、重金属(ヒ素、鉛、水銀、マンガン)若しくは処方薬(抗コリン作動薬、鎮静剤、バルビツレートなど)への慢性曝露による可逆性痴呆を包含する。
本明細書で使用されるところの「Aβ関連痴呆障害」という用語は、Aβペプチドの発生若しくは存在を伴うか若しくはそれを特徴とする痴呆障害を指す。
本明細書で使用されるところの「認知の改善」という句は、認知技能若しくは機能の増強若しくは増大を指す。同様に、「認知を改善すること」という句は、認知技能若しくは機能の増強若しくは増大を指す。認知の改善は、例えば本発明の処置前の被験体での認知に関する。好ましくは、認知の改善は、正常被験体のもの、または標準的若しくは期待されるレベルに向く。
例えば「認知の迅速な改善」(若しくは「認知を迅速に改善すること」)という句で使用されるところの「迅速な」という用語は、相対的若しくは比較的短い時間がかかること、または比較的短い時間間隔内に発生すること;すなわちある効果(例えば改善)が臨床での適切さに関して比較的急速に遂行、観察若しくは達成されることを意味している。
例示的一「認知の迅速な改善」は1日以内(すなわち24時間以内)に遂行、観察若しくは達成される。「認知の迅速な改善」は、1日未満(すなわち24時間未満)で、例えば23、22、21、20、29、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2若しくは1時間以内に遂行、観察若しくは達成されうる。「認知の迅速な改善」は、あるいは、1日以上、しかし好ましくは1か月以内、例えば31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3若しくは2日以内に遂行、観察若しくは達成されうる。認知の迅速な改善を遂行、観察若しくは達成するための例示的時間間隔は、数週以内、例えば3週以内、2週以内若しくは1週以内、または例えば120時間、96時間、72時間、48時間、24時間、18時間、12時間および/若しくは6時間以内である。
例えば「認知の長期改善」という句で使用されるところの「長期」という用語は、適する対照より比較的若しくは相対的により長い時間間隔にわたって発生すること;すなわち、所望の効果(例えば改善)が、臨床での適切さに関して延長された若しくは長期化された時間、中断を伴わず持続されることが発生するか若しくは観察されることを意味している。
例示的一「認知の長期改善」は最低1週間遂行、観察若しくは達成される。「認知の長期改善」は、1日以上(すなわち24時間以上)、例えば36時間、48時間(すなわち2日)、72時間(すなわち3日)、96時間(すなわち4日)108時間(すなわち5日)若しくは132時間(すなわち6日)以上、遂行、観察若しくは達成されうる。「認知の長期改善」は、あるいは、1週間以上、例えば8、9、10、11、12、13若しくは14日(すなわち2週間)、3週間、4週間、5週間、6週間若しくはそれ以上、遂行、観察若しくは達成されうる。認知の長期改善が遂行、観察若しくは達成される例示的時間間隔は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19若しくは20日を包含する。
本明細書で使用されるところの「調節」という用語は、応答の上方制御すなわち刺激および下方制御すなわち抑制双方を指す。
本明細書で使用されるところの「処置」という用語は、疾患、疾患の症状若しくは疾患に対する素因を治癒、回復、軽減、解放、変化、治療、緩和、改善若しくは影響する目的を伴い、疾患、疾患の症状若しくは疾患に対する素因を有する患者への治療的試薬の適用若しくは投与、または患者からの単離した組織若しくは細胞株への治療的試薬の適用若しくは投与と定義する。
「有効用量」若しくは「有効投薬量」という用語は、所望の効果を達成若しくは少なくとも部分的に達成するのに十分な量と定義する。「治療上有効な用量」という用語は、該疾患に既に罹患している患者で該疾患およびその合併症を治癒若しくは少なくとも部分的に抑止するのに十分な量と定義する。この使用に有効な量は、疾患の重症度、患者の全般的な生理機能、例えば患者の体重、齢、性、投与経路、ならびに医師および/若しくは薬理学者に公知の他の因子に依存することができる。有効用量は、例えば、抗体の総量(例えばグラム、ミリグラム若しくはマイクログラムで)として、または体重に対する抗体の量の比として(例えば、キログラムあたりグラム(g/kg)、キログラムあたりミリグラム(mg/kg)若しくはキログラムあたりマイクログラム(μg/kg)として)表しうる。本方法で使用される抗体の有効用量は、例えば1μg/kgと500mg/kgの間の範囲にわたることができる。本発明の方法で使用される抗体の有効用量の例示的一範囲は0.1mg/kgと100mg/kgの間である。例示的有効用量は、限定されるものでないが10μg/kg、30μg/kg、100μg/kg、300μg/kg、1mg/kg、30mg/kgおよび100mg/kgを挙げることができる。
本明細書で使用されるところの「投与すること」という用語は、製薬学的剤を被験体の身体に導入する行動を指す。非経口経路での投与、例えば皮下、静脈内若しくは腹腔内投与の例示的一経路。
「患者」という用語は、本発明の1種若しくはそれ以上の剤(例えば免疫治療薬)での予防的若しくは治療的いずれかの処置を受領するヒトおよび他の哺乳動物被験体を包含する。例示的患者は、本発明の免疫治療薬での予防的若しくは治療的いずれかの処置を受領
する。
本明細書で使用されるところの「動物モデル」若しくは「モデル動物」という用語は、疾患若しくは障害のある系、例えばヒトの系、疾患若しくは状態の特徴(feature)若しくは特徴(characteristic)を表す、げっ歯類、ヒト以外の霊長類、ヒツジ、イヌおよびウシのような哺乳動物種の1メンバーを包含する。げっ歯類の族から選択される例示的なヒト以外の動物は、ウサギ、モルモット、ラットおよびマウス、最も好ましくはマウスを包含する。痴呆障害の「動物モデル」若しくはそれを有する「モデル動物」は、例えば痴呆関連障害(例えばAD)と関連する顕著な認知障害を表す。好ましくは、モデル動物は、増大する齢とともに認知障害の進行的悪化を表し、その結果、モデル動物における該疾患の進行は、痴呆障害に罹患している被験体における疾患の進行と同等である。
「免疫学的試薬」という用語は、本明細書で定義されるところの1種若しくはそれ以上の免疫グロブリン、抗体、抗体フラグメント若しくは抗体鎖、またはそれらの組合せを含んでなるか若しくはそれらよりなる剤を指す。「免疫学的試薬」という用語は、免疫グロブリン、抗体、抗体フラグメント若しくは抗体鎖をコードする核酸もまた包含する。こうした核酸はDNA若しくはRNAであり得る。免疫グロブリンをコードする核酸は、典型的には、適切な細胞若しくは組織中での該核酸の発現を可能にするプロモーターおよびエンハンサーのような調節エレメントに連結される。
特定の1モノクローナルAβ抗体の名称を参照する(例えばそれにより先行される)場合、「免疫学的試薬」という用語は、参照されるモノクローナル抗体の1種若しくはそれ以上の特徴を有する免疫学的試薬を指す。Aβモノクローナル抗体の特徴は、例えば、Aβペプチドへの特異的結合、可溶性オリゴマーAβに対する優先的結合、被験体におけるアミロイド形成障害と関連する斑負荷量を減少させるおよびADの動物モデルでの認知を改善する能力を包含し得る。ある局面において、免疫学的試薬は、参照されるモノクローナル抗体と保存された構造上の特徴、例えば保存された抗原結合ドメイン若しくは領域(例えば参照されるモノクローナル抗体の1個若しくはそれ以上のCDR)を有する。例示的免疫学的試薬は、モノクローナル抗体、前記抗体のヒト化バージョン、前記抗体のキメラバージョン、前記抗体の一本鎖、前記抗体の二特異性バージョン、前記抗体のフラグメント、バリアント(例えば親和性成熟させた抗体バリアントおよびFc抗体バリアント)、またはそれらの組合せを包含する。特定の1モノクローナルAβ抗体の名称を参照する(例えばそれにより先行される)場合、「免疫学的試薬」という用語は、いかなる抗体(例えばヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、二特異性抗体)、抗体フラグメント、または参照される抗体由来の最低1ドメイン、領域若しくはフラグメントを含んでなる抗体鎖、前記抗体のフラグメント若しくは前記抗体の鎖もまた包含する。
「免疫治療試薬」という用語は、治療的使用に適する免疫学的試薬を指す。
「免疫グロブリン」若しくは「抗体」(本明細書で互換性に使用される)という用語は、抗原を特異的に結合する能力を有する、2本のHおよび2本のL鎖よりなる基本的4ポリペプチド鎖構造を有するタンパク質を指し、前記鎖は例えば鎖間ジスルフィド結合により安定化される。「抗体」という用語はいかなる供給源(例えば、例示的態様において、ヒトおよびヒト以外の霊長類、ならびに付加的な態様においてげっ歯類、ウサギ目、ヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジなど)から得られるいかなるIgクラス若しくはいかなるIgサブクラス(例えばIgGのIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4サブクラス)も包含することを意図している。
本明細書で使用されるところの「Igクラス」若しくは「免疫グロブリンクラス」とい
う用語は、ヒトおよび高等哺乳動物で同定された免疫グロブリンの5クラス、すなわちIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEを指す。「Igサブクラス」という用語は、ヒトおよび高等哺乳動物で同定されたIgMの2サブクラス(HおよびL)、IgAの3サブクラス(IgA1、IgA2および分泌型IgA)、ならびにIgGの4サブクラス(IgG、IgG、IgGおよびIgG)を指す。
「IgGサブクラス」という用語は、免疫グロブリンのγ H鎖(それぞれγ〜γ)によりヒトおよび高等哺乳動物で同定された、免疫グロブリンクラスIgGの4サブクラスすなわちIgG、IgG、IgGおよびIgGを指す。
「一本鎖免疫グロブリン」若しくは「一本鎖抗体」(本明細書で互換性に使用される)という用語は、抗原を特異的に結合する能力を有する、1本のHおよび1本のL鎖よりなる2ポリペプチド鎖構造を有するタンパク質を指し、前記鎖は例えば鎖間ペプチドリンカーにより安定化される。
「ドメイン」という用語は、例えばβ−プリーツシートおよび/若しくは鎖内ジスルフィド結合により安定化されたペプチドループを含んでなる(例えば3ないし4個のペプチドループを含んでなる)H若しくはL鎖ポリペプチドの球状領域を指す。ドメインは、「定常」ドメインの場合には多様なクラスのメンバーのドメイン内の配列変動の相対的欠如、若しくは「可変」ドメインの場合は多様なクラスのメンバーのドメイン内の有意の変動に基づき「定常」若しくは「可変」と本明細書でさらに称される。抗体若しくはポリペプチド「ドメイン」は、しばしば、抗体若しくはポリペプチドの「領域」と当該技術分野で互換性に称される。抗体L鎖の「定常」ドメインは、「L鎖定常領域」、「L鎖定常ドメイン」、「CL」領域若しくは「CL」ドメインと互換性に称される。抗体H鎖の「定常」ドメインは、「H鎖定常領域」、「H鎖定常ドメイン」、「CH」領域若しくは「CH」ドメインと互換性に称される)。抗体L鎖の「可変」ドメインは、「L鎖可変領域」、「L鎖可変ドメイン」、「VL」領域若しくは「VL」ドメインと互換性に称される)。抗体H鎖の「可変」ドメインは、「H鎖定常領域」、「H鎖定常ドメイン」、「VH」領域若しくは「VH」ドメインと互換性に称される)。
「領域」という用語は、抗体鎖若しくは抗体ドメインの一部若しくは一部分(例えば本明細書で定義されるところのH若しくはL鎖の一部若しくは一部分、または定常若しくは可変ドメインの一部若しくは一部分)、ならびに前記鎖若しくはドメインのより離れた一部若しくは一部分もまた指すことができる。例えば、LおよびH鎖若しくはLおよびH鎖可変ドメインは、本明細書で定義されるところの「フレームワーク領域」すなわち「FR」の間に散在された「相補性決定領域」すなわち「CDR」を包含する。
本明細書で使用されるところの「抗原結合部位」という用語は、抗原(例えば細胞表面若しくは可溶性抗原)を特異的に結合する(それと免疫反応する)部位を指す。本発明の抗体は、好ましくは最低2個の抗原結合部位を含んでなる。抗原結合部位は、一般に、免疫グロブリンH鎖およびL鎖CDRを包含し、そしてこれらのCDRにより形成される結合部位が該抗体の特異性を決定する。「抗原結合領域」若しくは「抗原結合ドメイン」は、上で定義されたところの抗体結合部位を包含する領域若しくはドメイン(例えば抗体領域若しくはドメインである。
免疫グロブリンすなわち抗体は単量体若しくは多量体の形態で存在し得る(例えば、五量体の形態で存在するIgM抗体および/または単量体、二量体若しくは多量体の形態で存在するIgA抗体)。「フラグメント」という用語は、無傷のすなわち完全な抗体若しくは抗体鎖より少ないアミノ酸残基を含んでなる抗体若しくは抗体鎖の一部若しくは一部分を指す。フラグメントは、無傷のすなわち完全な抗体若しくは抗体鎖の化学的若しくは
酵素的処理を介して得ることができる。フラグメントは組換え手段によってもまた得ることができる。例示的フラグメントはFab、Fab’、F(ab’)2、Fabcおよび/若しくはFvフラグメントを包含する。「抗原結合フラグメント」という用語は、抗原を結合するすなわち抗原結合(すなわち特異的結合)について無傷の抗体と(すなわちそれらが由来した無傷の抗体と)競合する免疫グロブリンすなわち抗体のポリペプチドフラグメントを指す。結合フラグメントは、組換えDNA技術により、または無傷の免疫グロブリンの酵素的若しくは化学的切断により製造される。結合フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)、Fabc、Fv、一本鎖および一本鎖抗体を包含する。「二特異性」若しくは「二官能性」免疫グロブリンすなわち抗体以の免疫グロブリンすなわち抗体は、同一のその抗原結合部位のそれぞれを有すると理解される。「二特異性」若しくは「二官能性抗体」は、2種の異なるH/L鎖対および2個の異なる抗原結合部位を有する人工的ハイブリッド抗体である。二特異性抗体は、ハイブリドーマの融合若しくはFab’フラグメントの連結を包含する多様な方法により製造し得る。例えば、SongsivilaiとLachmann、Clin.Exp.Immunol.79:315−321(1990);Kostelnyら、J.Immunol.148、1547−1553(1992)を参照されたい。
本明細書で使用されるところの「モノクローナル抗体」という用語は、構造および抗原特異性が均一である、抗体産生細胞(例えばBリンパ球すなわちB細胞)の1クローン集団由来の抗体を指す。「ポリクローナル抗体」という用語は、それらの構造およびエピトープ特異性が不均一であるがしかし共通抗原を認識する、抗体産生細胞の多様なクローン集団に由来する複数の抗体を指す。モノクローナルおよびポリクローナル抗体は、体液内に粗生成物として存在しうるか、若しくは本明細書に記述されるとおり精製しうる。
「ヒト化免疫グロブリン」若しくは「ヒト化抗体」という用語は、最低1本のヒト化免疫グロブリンすなわち抗体鎖(すなわち、最低1本のヒト化L若しくはH鎖)を包含する免疫グロブリンすなわち抗体を指す。「ヒト化免疫グロブリン鎖」若しくは「ヒト化抗体鎖」(すなわち、「ヒト化免疫グロブリンL鎖」若しくは「ヒト化免疫グロブリンH鎖」)という用語は、実質的にヒト免疫グロブリンすなわち抗体からの可変フレームワーク領域および実質的にヒト以外の免疫グロブリンすなわち抗体からの相補性決定領域(CDR)(例えば最低1個のCDR、好ましくは2個のCDR、より好ましくは3個のCDR)を包含する可変領域を有し、かつ、定常領域(例えばL鎖の場合は最低1個の定常領域若しくはその一部分、およびH鎖の場合は好ましくは3個の定常領域)をさらに包含する免疫グロブリンすなわち抗体鎖(すなわちそれぞれ1本のL若しくはH鎖)を指す。「ヒト化可変領域」(例えば「ヒト化L鎖可変領域」若しくは「ヒト化H鎖可変領域」)という用語は、本質的にヒト免疫グロブリンすなわち抗体からの可変フレームワーク領域および本質的にヒト以外の免疫グロブリンすなわち抗体からの相補性決定領域(CDR)を包含する可変領域を指す。例えば、Queenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:10029−10033(1989)、米国特許第5,530,101号、同第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762号明細書、Selickら、第WO 90/07861号、およびWinter、米国特許第5,225,539号明細書(全部の目的上そっくりそのまま引用することにより組み込まれる)を参照されたい。
本発明の「ヒト化免疫グロブリン」若しくは「ヒト化抗体」は、本明細書に記述される方法若しくは当該技術分野で公知であるもののいずれを使用しても作成し得る。
「実質的にヒト免疫グロブリンすなわち抗体から」若しくは「実質的にヒト」という句は、ヒト免疫グロブリンすなわち抗体のアミノ酸配列と比較の目的上整列する場合に、該領域が例えば保存的置換、コンセンサス配列置換、生殖系列置換、戻し突然変異などを見
込んで、ヒトフレームワーク若しくは定常領域配列と最低80〜90%、90〜95%、若しくは95〜99%の同一性(すなわち局所配列同一性)を共有することを意味している。保存的置換、コンセンサス配列置換、生殖系列置換、戻し突然変異などの導入はしばしばヒト化抗体若しくは鎖の「至適化」と称される。「実質的にヒト以外の免疫グロブリンすなわち抗体から」若しくは「実質的にヒト以外」という句は、ヒト以外の生物体、例えばヒト以外の哺乳動物のものに最低80〜95%、好ましくは最低90〜95%、より好ましくは96%、97%、98%若しくは99%同一の免疫グロブリンすなわち抗体配列を有することを意味している。
従って、ヒト化免疫グロブリンすなわち抗体、若しくはヒト化免疫グロブリンすなわち抗体鎖の全領域若しくは残基は、おそらくCDRを除き、1種若しくはそれ以上の天然のヒト免疫グロブリン配列の対応する領域若しくは残基に実質的に同一である。「対応する領域」若しくは「対応する残基」という用語は、第一および第二の配列を比較の目的上至適に整列する場合に、第一のアミノ酸若しくはヌクレオチド配列上の1領域若しくは残基と同一の(すなわち同等の)位置を占有する第二のアミノ酸若しくはヌクレオチド配列上の領域若しくは残基を指す。
アミノ酸の各ドメインへの割り当ては、Kabat、Sequences of Proteins of Immunological Interest(国立保健研究所(National Institutes of Health)、メリーランド州ベセスダ、1987および1991)の定義に従う。代替の構造の定義は、Chothiaら、J.Mol.Biol.196:901(1987);Nature 342:878(1989);およびJ.Mol.Biol.186:651(1989)(下で「Chothiaら」と集合的に称され、かつ、全部の目的上そっくりそのまま引用することにより組み込まれる)により提案された。
「有意の同一性」という用語は、2ポリペプチド配列を、デフォルトのギャップ重み(gap weight)を使用するプログラムGAP若しくはBESTFITによるように至適に整列する場合に、最低50〜60%の配列同一性、好ましくは最低60〜70%の配列同一性、より好ましくは最低70〜80%の配列同一性、より好ましくは最低80〜90%の同一性、なおより好ましくは最低90〜95%の同一性、およびなおより好ましくは最低95%の配列同一性若しくはそれ以上(例えば99%の配列同一性若しくはそれ以上)を共有することを意味している。「実質的同一性」という用語は、2ポリペプチド配列を、デフォルトのギャップ重みを使用するプログラムGAP若しくはBESTFITによるように至適に整列する場合に、最低80〜90%の配列同一性、好ましくは最低90〜95%の配列同一性、およびより好ましくは最低95%の配列同一性若しくはそれ以上(例えば99%の配列同一性若しくはそれ以上)を共有することを意味している。配列の比較のため、典型的には1配列がそれと試験配列を比較する参照配列として作用する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験および参照配列をコンピュータに入力し、必要な場合は下位配列座標を指定し、そして配列アルゴリズムプログラムのパラメータを指定する。配列比較アルゴリズムがその後、指定されたプログラムパラメータに基づき、参照配列に関しての試験配列(1種若しくは複数)の配列同一性パーセントを計算する。
比較のための配列の至適のアルゴリズムは、例えば、SmithとWaterman、Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムにより、NeedlemanとWunsch、J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アライメントアルゴリズムにより、PearsonとLipman、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性検索方法により、これらのアルゴリズムのコンピュータ化実装(Wisconsin Geneticsソフトウェアパッケージ、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、ウィスコンシン州マディソン中のGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)により、若しくは目視により実施し得る(全般として、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biologyを参照されたい)。配列同一性および配列類似性パーセントを決定するのに適するアルゴリズムの一例は、Altschulら、J.Mol.Biol.215:403(1990)に記述されているBLASTアルゴリズムである。BLAST解析を実行するためのソフトウェアは、国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(国立保健研究所(National Institutes of Health)のNCBIインターネットサーバを通じて公的にアクセス可能)を通じて公的に入手可能である。典型的には、デフォルトのプログラムパラメータを使用して配列比較を実施し得るとは言え、カスタマイズしたパラメータもまた使用し得る。アミノ酸配列については、BLASTPプログラムは、デフォルトとして3の語長(wordlength)(W)、10の期待値(expectation)(E)およびBLOSUM62スコアリングマトリックスを使用する(HenikoffとHenikoff、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915(1989)を参照されたい)。
好ましくは、同一でない残基位置は保存的アミノ酸置換により異なる。アミノ酸置換を保存的若しくは非保存的と分類する目的上、アミノ酸を後に続くとおりグループ分けする。すなわち、グループI(疎水性側鎖):leu、met、ala、val、leu、ile;グループII(中性親水性側鎖):cys、ser、thr;グループIII(酸性側鎖):asp、glu;グループIV(塩基性側鎖):asn、gln、his、lys、arg;グループV(鎖の向きに影響する残基):gly、pro;およびグループVI(芳香族側鎖):trp、tyr、phe。保存的置換は同一分類中のアミノ鎖間の置換を伴う。非保存的置換は、これらの分類の1つの1メンバーについて別のもののメンバーと交換することを構成する。
好ましくは、ヒト化免疫グロブリンすなわち抗体は、対応するヒト化されていない抗体の親和性の3、4若しくは5の係数内である親和性で抗原を結合する。例えば、ヒト化されていない抗体が10−1の結合親和性を有する場合、ヒト化抗体は最低3×10−1、4×10−1若しくは5×10−1の結合親和性を有することができる。免疫グロブリンすなわち抗体鎖の結合特性を記述する場合、該鎖は「抗原(例えばAβ)結合を指図する」その能力に基づき記述し得る。鎖は、それが特異的結合特性若しくは結合親和性を無傷の免疫グロブリンすなわち抗体(若しくはそれらの抗原結合フラグメント)に賦与する場合に「抗原結合を指図する」と言われる。突然変異(例えば戻し突然変異)は、それが、前記鎖を含んでなる無傷の免疫グロブリンすなわち抗体(若しくはそれらの抗原結合フラグメント)の結合親和性に、前記突然変異を欠く同等の鎖を含んでなる抗体(若しくはその抗原結合フラグメント)のものに比較して最低1桁だけ影響を及ぼす(例えば低下させる)場合に、結合結合を指図するH若しくはL鎖の能力に実質的に影響を及ぼすと言われる。突然変異は、それが前記鎖を含んでなる無傷の免疫グロブリンすなわち抗体(若しくはそれらの抗原結合フラグメント)の結合親和性に、前記突然変異を欠く同等の鎖を含んでなる該抗体(若しくはその抗原結合フラグメント)のものの2、3若しくは4の係数のみ影響を及ぼす(例えば低下させる)場合に、「抗原結合を指図する鎖の能力に実質的に影響を及ぼさ(例えば低下させ)ない」。
「キメラ免疫グロブリン」すなわち抗体という用語は、可変領域が第一の種に由来しかつ定常領域が第二の種に由来する免疫グロブリンすなわち抗体を指す。キメラ免疫グロブリンすなわち抗体は、例えば、異なる種に属する免疫グロブリン遺伝子セグメントから遺伝子工学により構築し得る。「ヒト化免疫グロブリン」若しくは「ヒト化抗体」という用語は、下で定義されるところのキメラ免疫グロブリンすなわち抗体を包含することを意図
していない。ヒト化免疫グロブリンすなわち抗体はそれらの構築がキメラである(すなわちタンパク質の1以上の種からの領域を含んでなる)とは言え、それらは、本明細書で定義されるところのキメラ免疫グロブリンすなわち抗体中で見出されない付加的な特徴(すなわちドナーCDR残基およびアクセプターフレームワーク残基を含んでなる可変領域)を包含する。
「コンホメーション」という用語は、タンパク質若しくはポリペプチド(例えば抗体、抗体鎖、それらのドメイン若しくは領域)の三次構造を指す。例えば、「L(若しくはH)鎖のコンホメーション」という句はL(若しくはH)鎖可変領域の三次構造を指し、また、「抗体のコンホメーション」若しくは「抗体フラグメントのコンホメーション」という句は抗体若しくはそのフラグメントの三次構造を指す。
抗体の「特異的結合」は、抗体が特定の1抗原若しくはエピトープに対する認識可能な親和性を表し、かつ、一般的には有意の交差反応性を表さないことを意味している。例示的態様において、抗体は交差反応性を表さない(例えば、Aβ以外のペプチド若しくはAβ上の離れたエピトープと交差反応しない)。「認識可能な」すなわち好ましい結合は、最低10、10、10、10−1若しくは1010−1の親和性もつ結合を包含する。10−1以上、好ましくは10−1以上の親和性がより好ましい。本明細書に示されるものの中間の値もまた本発明の範囲内にあることを意図しており、そして、好ましい結合親和性は、親和性のある範囲、例えば10ないし1010−1、好ましくは10ないし1010−1、より好ましくは10ないし1010−1として示し得る。「有意の交差反応性を表さない」抗体は、望ましくない実体(例えば望ましくないタンパク質性の実体)に認識可能に結合することができないものである。例えば、Aβに特異的に結合する抗体はAβを認識可能に結合することができるが、しかし、Aβ以外のタンパク質若しくはペプチド(例えば斑中に包含されるAβ以外のタンパク質若しくはペプチド)と有意に反応することができない。特定の1エピトープに特異的な抗体は、例えば同一タンパク質若しくはペプチド上の離れたエピトープと有意に交差反応することができない。特異的結合は、こうした結合を測定するためのいずれかの技術に認識された手段に従って測定し得る。好ましくは、特異的結合はスキャッチャード分析および/若しくは競合結合アッセイに従って測定する。
本明細書で使用されるところの「親和性」という用語は、単一の抗原を結合する部位の抗原決定基との結合の強さを指す。親和性は、抗体結合部位と抗原決定基の間の立体化学的適合の近接度、それらの間の接触の面積の大きさ、荷電したおよび疎水性の基の分布などに依存する。抗体親和性は平衡透析若しくは速度論的BIACORETM法により測定し得る。BIACORETM法は、表面プラスモン波が金属/液体界面で励起される場合に発生する表面プラスモン共鳴(SPR)の現象に頼る。サンプルと接触していない表面の側面に光を向け、そして光はそれから反射され、そしてSPRは角度および波長の特定の組合せで反射光強度の低下を引き起こす。生体分子結合事象は表面層で屈折率の変化を引き起こし、それがSPRシグナルの変化として検出される。
解離定数KDおよび会合定数KAは親和性の量的尺度である。平衡では、遊離抗原(Ag)および遊離抗体(Ab)は抗原−抗体複合体(Ag−Ab)と平衡状態にあり、そして速度定数kaおよびkdは個々の反応の速度を定量する。
平衡では、ka=[Ab][Ag]=kd[Ag−Ab]。解離定数KDは:KD=kd/ka=[Ag][Ab]/[Ag−Ab]により与えられる。KDは濃度の単位、最も典型的にはM、mM、μM、nM、pMなどを有する。KDとして表される抗体親和性を比較する場合、Aβに対するより大きい親和性を有することはより小さい値により示される。会合定数KAは:KA=KA/KD=[Ag−Ab]/[Ag][Ab]により与えられる。KAは濃度の逆数の単位、最も典型的にはM−1、mM−1、μM−1、nM−1、pM−1などを有する。本明細書で使用されるところの「親和性(avidity)」という用語は、可逆性複合体の形成後の抗原−抗体結合の強さを指す。
「Fc免疫グロブリンバリアント」若しくは「Fc抗体バリアント」という用語は、変えられたFc領域を有する免疫グロブリンすなわち抗体(例えばヒト化免疫グロブリン、キメラ免疫グロブリン、一本鎖抗体、抗体フラグメントなど)を包含する。例えば、免疫グロブリンが変えられたエフェクター機能を有するようなFc領域が変えられることができる。アミノ酸変化は、免疫グロブリンの、例えば免疫グロブリンのFc領域の1個若しくはそれ以上のアミノ酸のアミノ酸置換、付加、欠失および/若しくは修飾を包含する。いくつかの態様において、本発明の免疫グロブリンはFc領域の1個若しくはそれ以上の突然変異を包含する。いくつかの態様において、Fc領域は、ヒンジ領域、例えばEU番号付けの位置234、235、236および/若しくは237に1個若しくはそれ以上のアミノ酸変化を包含する。アミノ酸位置234、235、236および/若しくは237の1個若しくはそれ以上にヒンジ突然変異を包含する抗体は、例えば米国特許第5,624,821号および米国特許第5,648,260号明細書(引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されるとおり作成し得る。
「エフェクター機能」という用語は、抗体(例えばIgG抗体)のFc領域に存する活性を指し、そして、例えば、エフェクター細胞活性、溶解、補体媒介性の活性、抗体消失および抗体半減期のような抗体の数種の免疫機能を制御し得る、補体および/若しくはFc受容体のようなエフェクター分子を結合する該抗体の能力を包含する。
「エフェクター分子」という用語は、限定されるものでないが補体タンパク質若しくはFc受容体を挙げることができる、抗体(例えばIgG抗体)のFc領域に結合することが可能である分子を指す。
「エフェクター細胞」という用語は、限定されるものでないがリンパ球、例えば抗原提示細胞およびT細胞を挙げることができるエフェクター細胞の表面上で発現されるFc受容体を典型的に介して抗体(例えばIgG抗体)のFc部分に結合することが可能な細胞を指す。
「Fc領域」という用語は、IgG抗体のC末端領域、とりわけ前記IgG抗体のH鎖(1本若しくは複数)のC末端領域を指す。IgG H鎖のFc領域の境界はわずかに変動し得るとは言え、Fc領域は、典型的にはヒトIgG H鎖(1本若しくは複数)のほぼアミノ酸残基Cys226からカルボキシル末端までにわたると定義される。
「アグリコシル化」抗体という用語は、化学的若しくは酵素的過程、1個若しくはそれ以上のグリコシル化部位の突然変異、細菌中での発現などによって1個若しくはそれ以上の炭水化物を欠く抗体を指す。アグリコシル化抗体は、Fcの炭水化物が例えば化学的若しくは酵素的に除去された抗体である脱グリコシル化抗体でありうる。あるいは、アグリコシル化抗体は、例えば、グリコシル化パターンをコードする1個若しくはそれ以上の残基の突然変異、またはタンパク質に炭水化物を結合しない生物体、例えば細菌中での発現によりFc炭水化物を伴わず発現された抗体である、非グリコシル化若しくは未グリコシ
ル化抗体でありうる。
別の方法で述べられない限り、「Kabatの番号付け」は、Kabatら(Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版 国立保健研究所公衆衛生局(Publick Health Service、National Institutes of Health)、メリーランド州ベセスダ(1991))(引用することによりに本明細書に明らかに組み込まれる)に教示されるとおりである。別の方法で述べられない限り、「EU番号付け」もまた、Kabatら(Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版 国立保健研究所公衆衛生局(Publick Health Service、National Institutes of Health)、メリーランド州ベセスダ(1991))に教示され、そして、例えば、本明細書に記述されるところのEU指標(EU index)を使用するH鎖抗体配列中の残基の番号付けを指す。この番号付け体系はEdelmanら、63(1):78−85(1969)に記述されるEu抗体の配列に基づく。
「Fc受容体」若しくは「FcR」という用語は、抗体のFc領域に結合する受容体を指す。抗体(例えばIgG抗体)のFc領域に結合する典型的なFc受容体は、限定されるものでないが、これらの受容体のアレルバリアントおよび選択的にスプライスされた形態を包含する、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIサブクラスの受容体を挙げることができる。他のFc受容体は、抗体の半減期を調節する新生児Fc受容体(FcRn)を包含する。Fc受容体は、RavetchとKinet、Annu.Rev.Immunol 9:457−92(1991);Capelら、Immunomethods 4:25−34(1994);およびde Haasら、J.Lab.Clin.Med.126:330−41(1995)に総説されている。
「抗原」は、免疫グロブリンすなわち抗体(若しくはそれらの抗原結合フラグメント)が特異的に結合する実体(例えばタンパク質性の実体若しくはペプチド)である。
「エピトープ」若しくは「抗原決定基」という用語は、免疫グロブリンすなわち抗体(若しくはそれらの抗原結合フラグメント)が特異的に結合する抗原上の1部位を指す。エピトープは、連続するアミノ酸、若しくはタンパク質の三次フォールディングにより並置される連続しないアミノ酸双方から形成され得る。連続するアミノ酸から形成されるエピトープは典型的に変性溶媒への曝露に際して保持される一方、三次フォールディングにより形成されるエピトープは変性溶媒での処理に際して典型的に喪失される。エピトープは、典型的には独特な空間的コンホメーションに最低3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15アミノ酸を包含する。エピトープの空間的コンホメーションの決定方法は、例えばx線結晶学および二次元核磁気共鳴を包含する。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology、Vol.66、G.E.Morris編(1996)を参照されたい。
同一エピトープを認識する抗体は、標的抗原への別の抗体の結合を阻害する一抗体の能力を示す単純なイムノアッセイ、すなわち競合結合アッセイで同定し得る。競合結合は、Aβのような共通の抗原への参照抗体の特異的結合を試験中の免疫グロブリンが阻害するアッセイで測定する。多数の型の競合結合アッセイ、例えば固相直接若しくは間接ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接若しくは間接エンザイムイムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(Stahliら、Methods in Enzymology 9:242(1983)を参照されたい);固相直接ビオチン−アビジンEIA(Kirklandら、J.Immunol.137:3614(1986)を参照されたい):固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(HarlowとLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press(1988)を参照されたい);I−125標識を使用する固相直接標識RIA(Morelら、Mol.Immunol.25(1):7(1988)を参照されたい);固相直接ビオチン−アビジンEIA(Cheungら、Virology 176:546(1990));および直接標識RIA(Moldenhauerら、Scand.J.Immunol.32:77(1990))が既知である。典型的には、こうしたアッセイはこれらすなわち未標識の試験免疫グロブリンおよび標識した参照免疫グロブリンのいずれかを担持する固体表面若しくは細胞に結合した精製抗原の使用を必要とする。競合阻害は、試験免疫グロブリンの存在下で固体表面若しくは細胞に結合した標識の量を測定することにより測定する。通常、試験免疫グロブリンは過剰で存在する。通常は、競合する抗体が過剰に存在する場合、それは共通の抗原への参照抗体の特異的結合を最低50〜55%、55〜60%、60〜65%、65〜70%、70〜75%若しくはそれ以上阻害することができる。
エピトープは免疫学的細胞、例えばB細胞および/若しくはT細胞によってもまた認識される。エピトープの細胞認識は、H−チミジン取り込み、サイトカイン分泌、抗体分泌若しくは抗原依存性の死滅(細胞傷害性Tリンパ球アッセイ)により測定されるような抗原依存性の増殖を測定するin vitroアッセイにより測定し得る。
本発明の抗体が結合する例示的エピトープすなわち抗原決定基は、ヒトアミロイド前駆体タンパク質(APP)内に見出し得るが、しかし好ましくはAPPのAβペプチド内に見出される。本明細書に記述されるところのAβ内の例示的エピトープすなわち抗原決定基は、AβのN末端、中央領域若しくはC末端内に位置する。
「N末端エピトープ」は、AβペプチドのN末端内に位置する残基を含んでなるエピトープすなわち抗原決定基である。例示的N末端エピトープは、Aβのアミノ酸1−10若しくは1−12内、好ましくはAβ42の残基1−3、1−4、1−5、1−6、1−7、2−6、3−6若しくは3−7からの残基を包含する。他の例示的N末端エピトープはAβの残基1−3で開始しかつ7−11で終了する。付加的な例示的N末端エピトープは、Aβの残基2−4、5、6、7若しくは8、Aβの残基3−5、6、7、8若しくは9、またはAβ42の残基4−7、8、9若しくは10を包含する。
「中央エピトープ」は、Aβペプチドの中央(central)すなわち中央(mid)部分内に位置する残基を含んでなるエピトープすなわち抗原決定基である。例示的中央エピトープは、Aβのアミノ酸13−28、好ましくは16−21、16−22、16−23、16−24、18−21、19−21、19−22、19−23若しくは19−24内の残基を包含する。
「C末端エピトープ」は、AβペプチドのC末端内(例えばAβのほぼアミノ酸30−40若しくは30−42内)に位置する残基を含んでなるエピトープすなわち抗原決定基である。付加的な例示的エピトープすなわち抗原決定基はAβの残基33−40若しくは33−42を包含する。こうしたエピトープを「C末端エピトープ」と称し得る。
抗体が、Aβ3−7のような指定された残基内の1エピトープに結合すると言われる場合、意味しているものは、該抗体が指定された残基(すなわちこの一例ではAβ3−7)を含有するポリペプチドに特異的に結合することである。こうした抗体はAβ3−7内のすべての残基と必ずしも接触しない。また、Aβ3−7内のすべての単一アミノ酸置換若しくは欠失は、結合親和性に必ずしも有意に影響を及ぼさない。
「Aβ抗体」および「抗Aβ」という用語は、Aβタンパク質内の1個若しくはそれ以上のエピトープすなわち抗原決定基に結合する抗体を指すのに本明細書で互換性に使用する。例示的Aβ抗体は、N末端Aβ抗体、中央Aβ抗体およびC末端Aβ抗体を包含する。本明細書で使用されるところの「N末端Aβ抗体」という用語は、最低1個のN末端エピトープすなわち抗原決定基を認識するAβ抗体を指す。本明細書で使用されるところの「中央Aβ抗体」という用語は、最低1個の中央のエピトープすなわち抗原決定基を認識するAβ抗体を指す。本明細書で使用されるところの「C末端Aβ抗体」という用語は、最低1個のC末端エピトープすなわち抗原決定基を認識するAβ抗体を指す。
「免疫学的」若しくは「免疫」応答という用語は、被験体において抗原に向けられた体液性(抗体媒介性)および/または細胞性(抗原特異的T細胞若しくはそれらの分泌生成物により媒介される)の発生である。こうした応答は免疫原の投与により誘導される能動的応答、または抗体若しくは予め刺激されたT細胞の投与により誘導される受動的応答であり得る。細胞性免疫応答は、クラスI若しくはクラスII MHC分子とともにのポリペプチドエピトープの提示により導き出されて抗原特異的CD4 Tヘルパー細胞および/若しくはCD8 細胞傷害性T細胞を活性化する。該応答は、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー(「NK」)細胞、好塩基球、樹状細胞、星状細胞、小膠細胞、抗酸球若しくは自然免疫の他の成分の活性化もまた伴いうる。細胞媒介性の免疫学的応答の存在は、増殖アッセイ(CD4 T細胞)若しくはCTL(細胞傷害性Tリンパ球)アッセイにより測定し得る(Burke、REF;Tigges、REFを参照されたい)。免疫原の保護すなわち治療効果への体液性および細胞性応答の相対的寄与は、免疫した動物若しくは個体から抗体およびT細胞を別個に単離すること、ならびに保護若しくは治療効果を第二の被験体で測定することにより識別し得る。
本明細書で使用されるところの「免疫療法」という用語は、免疫応答(例えば能動若しくは受動免疫応答)を意図しておりかつ/若しくはそれを生じる、疾患若しくは障害の処置、例えば治療的若しくは予防的処置を指す。
「免疫原剤」若しくは「免疫原」は、場合によってはアジュバントとともにの患者への投与に際してそれ自身に対する免疫学的応答を誘導することが可能である。「免疫原組成物」は免疫原剤を含んでなるものである。
「アジュバント」という用語は、抗原とともに投与される場合に該抗原に対する免疫応答を増強するがしかし単独で投与される場合に該抗原に対する免疫応答を生成しない化合物を指す。アジュバントは、リンパ球動員、Bおよび/若しくはT細胞の刺激ならびにマクロファージの刺激を包含するいくつかの機構により免疫応答を増強し得る。
本明細書で使用されるところの「キット」という用語は、サンプルの分析を容易にする試薬および他の物質の組合せに関して使用する。いくつかの態様において、本発明のイムノアッセイキットは、適する抗原、検出可能な部分を含んでなる結合剤および検出試薬を包含する。検出可能な部分により生じられるシグナルを増幅するための系もまたキットに包含しても若しくはしなくてもよい。さらに、他の態様において、キットは、限定されるものでないがサンプル収集のための装置、サンプル管、ホルダ、トレイ、ラック、皿、プレート、キット使用者への説明書、溶液若しくは他の化学的試薬、ならびに標準化、正規化に使用すべきサンプル、および/または対照サンプルを包含する。
本発明の多様な方法論は、値、レベル、特徴(feature)、特徴(chracteristic)、特性などを、「適切な対照」と本明細書で互換性に称される「適する対照」と比較することを伴う段階を包含する。「適する対照」若しくは「適切な対照」は、比較の目的上有用な当業者になじみのあるいかなる対照若しくは標準でもある。一態様において、「適する対照」若しくは「適切な対照」は、本明細書に記述されるところの本発明の方法論を実施する前に測定される値、レベル、特徴(feature)、特徴(characteristic)、特性などである。別の態様において、「適する対照」若しくは「適切な対照」は、被験体、例えば、対照若すなわち例えば正常な特質を表す正常被験体で測定される値、レベル、特徴(feature)、特徴(chracteristic)、特性などである。なお別の態様において、「適する対照」若しくは「適切な対照」は、予め定義された値、レベル、特徴(feature)、特徴(characteristic)、特性などである。
II.免疫学的および治療的試薬
本発明の免疫学的および治療的試薬は、本明細書で定義されるところの免疫原若しくは抗体、またはそれらの機能的若しくは抗原結合フラグメントを含んでなるか若しくはそれらよりなる。基本的な抗体構造単位はサブユニットの四量体を含んでなることが既知である。各四量体はポリペプチド鎖の2個の同一の対から構成され、各対は1本の「L」(約25kDa)および1本の「H」鎖(約50〜70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識を主として司る約100ないし110若しくはそれ以上のアミノ酸の可変領域を包含する。各鎖のカルボキシ末端部分はエフェクター機能を主として司る定常領域を定義する。
L鎖はκ若しくはλいずれかに分類され、そして長さ約230残基である。H鎖はγ、μ、α、δ若しくはεに分類され、長さ約450〜600残基であり、そして抗体のアイソタイプをそれぞれIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEと規定する。HおよびL鎖双方はドメインにフォールディングされている。「ドメイン」という用語は、タンパク質、例えば免疫グロブリンすなわち抗体の球状領域を指す。免疫グロブリンすなわち抗体のドメインは、例えばβ−プリーツシートおよび1個の鎖間ジスルフィド結合により安定化された3若しくは4個のペプチドループを包含する。無傷のL鎖は例えば2ドメイン(VおよびC)を有し、また、無傷のH鎖は例えば4若しくは5ドメイン(V、C1、C2およびC3)を有する。
LおよびH鎖内で、可変および定常領域は約12若しくはそれ以上のアミノ酸の「J」領域により結合され、H鎖は約10より多いアミノ酸の「D」領域もまた包含する(全般として、Fundamental Immunology(Paul,W.編、第2版 Raven Press、ニューヨーク(1989)、第7章(全部の目的上そっくりそのまま引用することにより組み込まれる)を参照されたい)。
各L/H鎖対の可変領域は抗体結合部位を形成する。従って無傷の抗体は2個の結合部位を有する。二官能性若しくは二特異性抗体でを除き、該2結合部位は同一である。該鎖は全部、相補性決定領域すなわちCDRともまた呼ばれる3個の超可変領域により結合された、比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の同一の一般構造を表す。天然に存在する鎖、若しくは組換えで製造される鎖はリーダー配列とともに発現され得、リーダー配列は細胞のプロセシングの間に除去されて成熟鎖を生じる。成熟鎖はまた、例えば目的の特定の鎖の分泌を高めるか若しくはプロセシングを変えるために、天然に存在しないリーダー配列を有して組換えで産生もし得る。
各対の2本の成熟鎖のCDRはフレームワーク領域により整列されて、特定の1エピトープに結合することを可能にする。N末端からC末端まで、LおよびH鎖双方はドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含んでなる。「FR4」は可変H鎖のD/J領域および可変L鎖のJ領域ともまた当該技術分野で称される。各ドメインへのアミノ酸の割り当てはKabatの定義に従う。
A.Aβ抗体
本発明の治療薬はAβに特異的に結合する抗体を包含する。好ましい抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの態様において、受動免疫療法での使用のための本発明の抗体は、単量体の可溶性および/若しくはオリゴマーの可溶性Aβポリペプチド(例えば可溶性Aβ二量体、三量体など)を包含する可溶性Aβペプチドを結合する。他の態様において、該抗体は、単量体の可溶性ならびにオリゴマーの可溶性Aβポリペプチド(例えば可溶性Aβ二量体、三量体など)を包含する可溶性Aβを捕捉し、かつ、Aβの蓄積を予防しかつ/若しくはCNSからのAβの除去を促進することが可能である。とりわけ好ましい一態様において、本発明の抗体は可溶性および不溶性双方のAβペプチド若しくはそれらのフラグメントに結合することが可能であり、ならびに、既存のアミロイド斑の大きさおよび密度もまた減少させつつ付加的なアミロイド斑の形成を予防することが可能である。他の例示的態様において、Aβ関連の認知障害の適切な動物モデルで有効性を示す抗体を、本発明の治療方法での使用のための試薬として選択する。
上の活性に加え、本発明の方法論での使用に選択される数種の抗体は凝集型Aβに結合する。数種は可溶性Aβに結合する。数種かは凝集型および可溶性双方の形態に結合する。数種の抗体は斑中のAβを結合する。数種の抗体は血液脳関門を横断し得る。数種の抗体は被験体のアミロイド負荷量を低下させ得る。数種の抗体は被験体で神経炎性ジストロフィーを低下させ得る。数種の抗体はシナプス構造を維持し得る(例えばシナプトフィジン)。数種の抗体は1種若しくはそれ以上の向神経活性の形態のAβを中和し得る。
本発明のある態様において、抗体は、斑中に沈着した凝集型すなわち不溶性Aβを結合してアミロイド斑の大きさ若しくは密度を低下させることが可能である。斑消失が望ましい場合は、無傷の定常領域、若しくはFc受容体と相互作用するのに少なくとも十分な定常領域を有する抗体を選択し得る。例示的抗体は斑中のAβのFc媒介性の食作用の刺激で有効なものである。ヒトアイソタイプIgG1は、食細胞上(例えば脳常在性マクロファージ若しくは小膠細胞上の)FcRI受容体に対するヒトアイソタイプの最高の親和性を有するそれのため、本発明のヒト化抗体で使用し得る。ヒトIgG1はマウスIgG2aの同等物であり、後者は従ってアルツハイマー病の動物(例えばマウス)モデルでin vivo有効性を試験するのに適する。抗体の一方のアームがAβおよび他方がFc受容体に対する特異性を有する二特異性Fabフラグメントもまた使用し得る。好ましい抗体は、約10、10、10、10若しくは1010−1(これらの値の中間の親和性を包含する)以上(若しくはそれらに等しい)結合親和性でAβに結合する。
本発明の抗体は、被験体のCNS若しくは脳中の可溶性Aβを結合かつ/若しくは消失することが可能である抗体もまた包含する。例示的抗体は、例えば被験体の血流中の可溶性Aβを捕捉することが可能である抗体もまた包含する。好ましい抗体は、例えば可溶性Aβの消失および/若しくは捕捉を介して被験体における認知を迅速に改善することが可能である。
モノクローナル抗体は、コンホメーション若しくは非コンホメーションエピトープであり得るAβ内の特定の1エピトープに結合する。抗体の予防的および治療的有効性は、実施例に記述されるトランスジェニック動物モデル手順を使用して試験し得る。例示的モノクローナル抗体は、Aβの残基1−10(天然のAβの最初のN末端残基を1と呼称する)内の1エピトープ、例えばAβの残基3−7内の1エピトープに結合する。他の例示的モノクローナル抗体はAβの残基13−28内の1エピトープ、例えばAβの残基16−24内の1エピトープに結合する。いくつかの方法において、多様なエピトープに対する結合特異性を有する複数のモノクローナル抗体を使用し、例えば、Aβの残基3−7内の1エピトープに特異的な抗体を、Aβの残基3−7の外側の1エピトープに特異的な抗体(例えばAβの残基16−24内の1エピトープに特異的な抗体)と共投与し得る。こうした抗体は連続して若しくは同時に投与し得る。Aβ以外のアミロイド成分に対する抗体もまた使用(例えば投与若しくは共投与)し得る。
抗体のエピトープ特異性は、例えば、多様なメンバーがAβの異なる配列を表すファージディスプレイライブラリーを形成することにより決定し得る。該ファージディスプレイライブラリーをその後、試験中の抗体に特異的に結合するメンバーについて選択する。一群の配列を単離する。典型的には、こうした一群は、共通の中核配列および多様なメンバーでの隣接配列の変動する長さを含有する。抗体に対する特異的結合を示す最短の中核配列が該抗体により結合されるエピトープを規定する。抗体は、エピトープ特異性が既に決定された抗体との競合アッセイでもまたエピトープ特異性について試験し得る。
Aβの他領域に結合することなくAβの好ましい1セグメントに特異的に結合する抗体は、他領域に結合するモノクローナル抗体若しくは無傷のAβに対するポリクローナル血清に関して多数の利点を有する。第一に、等質量の投薬量について、好ましいセグメントに特異的に結合する抗体の投薬量は、アミロイド斑の消失において有効な抗体のより高いモル投薬量を含有する。第二に、好ましいセグメントに特異的に結合する抗体は、無傷のAPPポリペプチドに対する消失応答を誘導することなくアミロイド沈着物に対する消失応答を誘導して、それにより潜在的副作用を低下させ得る。
1.ヒト以外の抗体の製造
本発明はヒト以外の抗体、例えば本発明の好ましいAβエピトープに対する特異性を有する抗体を特徴とする。こうした抗体は、本発明の多様な治療的組成物の処方において使用し得るか、または、好ましくはヒト化若しくはキメラ抗体(詳細に下述される)の製造のための相補性決定領域を提供し得る。ヒト以外のモノクローナル抗体、例えばマウス、モルモット、霊長類、ウサギ若しくはラットの製造は、例えばAβで動物を免疫することにより達成し得る。Aβ若しくはAβの免疫原性フラグメントを含んでなるより長いポリペプチド、またはAβに対する抗体に対する抗イディオタイプ抗体もまた使用し得る。HarlowとLane、上記(全部の目的上引用することにより組み込まれる)を参照されたい。こうした免疫原は天然の供給源から、ペプチド合成若しくは組換え発現により得ることができる。場合によっては、免疫原は下述されるとおり担体タンパク質に融合若しくは別の方法で複合体形成して投与し得る。場合によっては、免疫原はアジュバントともに投与し得る。「アジュバント」という用語は、抗原とともに投与される場合に該抗原に対する免疫応答を増強するが、しかし単独で投与される場合に該抗原に対する免疫応答を生成しない化合物を指す。アジュバントは、リンパ球動員、Bおよび/若しくはT細胞の刺激、ならびにマクロファージの刺激を包含する数種の機構により免疫応答を増強し得る。数種の型のアジュバントを下述されるとおり使用し得る。フロイントの完全アジュバント、次いで不完全アジュバントが実験動物の免疫化に好ましい。
ポリクローナル抗体を作成するためにウサギ若しくはモルモットを典型的に使用する。例えば受動的保護のためのポリクローナル抗体の例示的調製は後に続くとおり実施し得る。125匹の非トランスジェニックマウスを100μgのAβ1−42およびCFA/IFAアジュバントで免疫し、そして4〜5か月で安楽死させる。免疫したマウスから血液を収集する。IgGを他の血液成分から分離する。免疫原に特異的な抗体をアフィニティークロマトグラフィーにより部分的に精製してもよい。平均約0.5〜1mgの免疫原特異的抗体がマウスあたりで得られ、合計60〜120mgを生じる。
モノクローナル抗体を作成するのに典型的にマウスを使用する。モノクローナル抗体は、Aβのフラグメント若しくはより長い形態をマウスに注入すること、ハイブリドーマを調製すること、およびAβに特異的に結合する抗体についてハイブリドーマをスクリーニングすることにより、あるフラグメントに対し製造し得る。場合によっては、抗体はAβの他の重ならないフラグメントへの結合を伴わないAβの特定の1領域若しくは所望のフラグメントへの結合についてスクリーニングする。後者のスクリーニングは、Aβペプチドの欠失変異体の集合物への抗体の結合を測定すること、およびどの欠失変異体が該抗体に結合するかを決定することにより達成し得る。結合は例えばウエスタンブロット若しくはELISAにより評価し得る。抗体への特異的結合を示す最小フラグメントが該抗体のエピトープを規定する。あるいは、エピトープ特異性は、試験および参照抗体がAβへの結合について競合する競合アッセイにより決定し得る。試験および参照抗体が競合する場合には、それらは、同一のエピトープ、若しくは一方の抗体の結合が他方の結合を妨害するような十分に近位のエピトープに結合する。こうした抗体の好ましいアイソタイプはマウスアイソタイプIgG2a若しくは他の種の同等のアイソタイプである。マウスアイソタイプIgG2aはヒトアイソタイプIgG1(例えばヒトIgG1)の同等物である。
2.キメラおよびヒト化抗体
本発明は、βアミロイドペプチドに特異的なキメラおよび/若しくはヒト化抗体(例えばキメラおよび/若しくはヒト化免疫グロブリン)もまた特徴とする。キメラおよび/若しくはヒト化抗体は、キメラ若しくはヒト化抗体の構築のための出発原料を提供するマウス若しくは他のヒト以外の抗体と同一若しくは類似の結合特異性および親和性を有する。
a.キメラ抗体の製造
「キメラ抗体」という用語は、そのLおよびH鎖遺伝子が典型的には遺伝子工学により、異なる種に属する免疫グロブリン遺伝子セグメントから構築された抗体を指す。例えば、マウスモノクローナル抗体からの遺伝子の可変(V)セグメントを、IgG1およびIgG4のようなヒト定常(C)セグメントに結合しうる。ヒトアイソタイプIgG1およびIgG4が例示的である。典型的なキメラ抗体は、従って、マウス抗体からのVすなわち抗原結合ドメインおよびヒト抗体からのCすなわちエフェクタードメインよりなるハイブリッドタンパク質である。
b.ヒト化抗体の製造
「ヒト化抗体」という用語は、実質的にヒト抗体鎖(アクセプター免疫グロブリンすなわち抗体と称される)からの可変領域フレームワーク残基、および実質的にマウス抗体(ドナー免疫グロブリンすなわち抗体と称される)からの最低1個の相補性決定領域を含んでなる最低1本の鎖を含んでなる抗体を指す。Queenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:10029−10033(1989)、米国特許第5,530,101号、同第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762号、Selickら、第WO 90/07861号、およびWinter、米国特許第5,225,539号明細書(全部の目的上そっくりそのまま引用することにより組み込まれる)を参照されたい。定常領域(1個若しくは複数)もまた、存在する場合、実質的に若しくは完全にヒト免疫グロブリンからである。
マウスCDRのヒト可変ドメインフレームワークへの置換は、該CDRが発したマウス可変フレームワークに同一若しくは類似のコンホメーションを該ヒト可変ドメインフレームワークが採用する場合に、それらの正しい空間的向きの保持をもたらすことが最もありそうである。これは、CDRが由来したマウス可変フレームワークドメインと高程度の配列同一性をそのフレームワーク配列が表すヒト抗体からのヒト可変ドメインを得ることにより達成される。HおよびL鎖可変フレームワーク領域は同一若しくは異なるヒト抗体配列由来であり得る。ヒト抗体配列は天然に存在するヒト抗体の配列であり得るか、若しくは数種のヒト抗体のコンセンサス配列であり得る。Kettleboroughら、Protein Engineering 4:773(1991);Kolbingerら、Protein Engineering 6:971(1993)およびCarterら、第WO 92/22653号明細書を参照されたい。
マウスドナー免疫グロブリンの相補性決定領域および適切なヒトアクセプター免疫グロブリンを同定したら、次の段階は、生じるヒト化抗体の特性を至適化するのにこれらの成分からのどの残基(あれば)を置換すべきであるかを決定することである。一般に、マウスでのヒトアミノ酸残基の置換は最低限にすべきである。マウス残基の導入は、ヒトにおいてヒト抗マウス抗体(HAMA)応答を導き出す抗体の危険を増大させるためである。技術に認識された免疫応答測定方法を実施して、特定の患者での若しくは臨床試験の間のHAMA応答をモニターし得る。ヒト化抗体を投与した患者に、前記治療の投与の開始時およびその間、免疫原性評価を与え得る。HAMA応答は、例えば、表面プラスモン共鳴技術(BIACORE)および/若しくは固相ELISA分析を包含する当業者に既知の方法を使用して、患者からの血清サンプル中の該ヒト化治療試薬に対する抗体を検出することにより評価する。
ヒト可変領域フレームワーク残基からのある種のアミノ酸を、CDRのコンホメーションおよび/若しくは抗原への結合に対するそれらの可能な影響に基づき、置換のため選択する。マウスCDR領域のヒト可変領域フレームワーク領域との非天然の並置は非天然のコンホメーションの拘束をもたらし得、それはあるアミノ酸残基の置換により補正されない限り、結合親和性の喪失につながる。
置換のためのアミノ酸残基の選択は部分的にコンピュータモデル化により決定する。免疫グロブリン分子の三次元像を生じるためのコンピュータのハードウェアおよびソフトウェアが本明細書に記述される。一般に、分子モデルは、免疫グロブリン鎖若しくはそれらのドメインの解明された構造から出発して製造する。モデル化されるべき鎖を、解明された三次元構造の鎖若しくはドメインとアミノ酸配列の類似性について比較し、そして最大の配列類似性を示す鎖若しくはドメインを該分子モデルの構築のための出発点として選択する。最低50%の配列同一性を共有する鎖若しくはドメインをモデル化に選択し、そして、好ましくは最低60%、70%、80%、90%の配列同一性若しくはそれ以上を共有するものをモデル化に選択する。モデル化されている免疫グロブリン鎖若しくはドメイン中の実際のアミノ酸と出発構造中のものの間の差違を見込むように、解明された出発構造を改変する。改変した構造をその後混成免疫グロブリンに集成する。最後に、エネルギー最小化、ならびに相互からの適切な距離内に全原子があることならびに結合長さおよび角が化学的に許容できる限界内にあることを確認することにより、該モデルを改良する。
置換のためのアミノ酸残基の選択は、部分的に、特定の位置のアミノ酸の特徴の検査、または特定のアミノ酸の置換若しくは突然変異誘発の影響の経験的観察によってもまた決定し得る。例えば、アミノ酸がマウス可変領域フレームワーク残基と選択したヒト可変領域フレームワーク残基の間で異なる場合、該ヒトフレームワークアミノ酸は、該アミノ酸が:
(1)抗原を直接非共有結合するか、
(2)CDR領域に隣接するか、
(3)CDR領域と別の方法で相互作用する(例えばコンピュータモデル化により決定されるところのCDR領域の約3〜6Å以内である)か、若しくは
(4)VL−VH界面に参画する
ことが合理的に期待される場合に、マウス抗体からの同等のフレームワークアミノ酸により、通常は置換すべきである。
「抗原を直接非共有結合する」残基は、確立された化学力により、例えば水素結合、ファンデルワールス力、疎水性相互作用などにより抗原上のアミノ酸と直接相互作用する十分な確率を有するフレームワーク領域中の位置のアミノ酸を包含する。
CDRおよびフレームワーク領域はKabatら若しくはChothiaら、上記により定義されるとおりである。Kabatら、上記により定義されるところのフレームワーク領域がChothiaら、上記により定義されるところの構造ループ残基を構成する場合、マウス抗体に存在するアミノ酸をヒト化抗体中での置換に選択しうる。「CDR領域に隣接」する残基は、例えば、Kabatにより定義されるところのCDR若しくはChothia(例えばChothiaとLesk JMB 196:901(1987)を参照されたい)により定義されるところのCDRにすぐ隣接する位置のヒト化免疫グロブリン鎖の一次配列中のCDRの1個若しくはそれ以上にすぐ隣接する位置のアミノ酸残基を包含する。これらのアミノ酸は、とりわけ、CDR中のアミノ酸と相互作用し、かつ、アクセプターから選ばれる場合はドナーCDRを歪ませかつ親和性を低下させることがありそうである。さらに、該隣接アミノ酸は抗原と直接相互作用することができ(Amitら、Science、233:747(1986)(引用することにより本明細書に組み込まれる))、そして、ドナーからこれらのアミノ酸を選択することは、元の抗体中で親和性を提供する全部の抗原接触を保つのに望ましいことができる。
「CDR領域と別の方法で相互作用する」残基は、CDR領域に影響を及ぼすのに十分な空間的向きにあることが二次構造分析により決定されるものを包含する。一態様において、「CDR領域と別の方法で相互作用する」残基は、ドナー免疫グロブリンの三次元モデル(例えばコンピュータ生成モデル)を解析することにより同定する。典型的には元のドナー抗体の三次元モデルは、CDRの外側のあるアミノ酸がCDRに近接し、そして水素結合、ファンデルワールス力、疎水性相互作用などによりCDR中のアミノ酸と相互作用する十分な確率を有することを示す。それらのアミノ酸位置ではアクセプター免疫グロブリンアミノ酸よりむしろドナー免疫グロブリンアミノ酸を選択しうる。この基準によるアミノ酸は、一般に、CDR中の何らかの原子の約3オングストローム単位(Å)以内に側鎖原子を有することができ、そして、上に列挙されたもののような確立した化学力によりCDR原子と相互作用し得る原子を含有しなければならない。
水素結合を形成しうる原子の場合には、3Åがそれらの核間で測定されるが、しかし、結合を形成しない原子については、3Åはそれらのファンデルワールス表面間で測定される。これ故に、後者の場合、核は相互作用することが可能と考えられる原子について約6Å(3Å+ファンデルワールス半径の総和)以内になければならない。多くの場合、核は4若しくは5から6Åまで離れていることができる。あるアミノ酸がCDRと相互作用し得るかどうかの決定において、H鎖CDR2の最後の8アミノ酸をCDRの一部とみなさないことが好ましい。構造の見地からはこれら8アミノ酸はフレームワークの一部としてより多く挙動するためである。
CDR中のアミノ酸と相互作用することが可能であるアミノ酸をなお別の方法で同定しうる。各フレームワークアミノ酸の溶媒到達可能な表面積は2方法、すなわち(1)無傷の抗体、および(2)そのCDRを除去した抗体よりなる仮想分子で計算する。約10平方オングストローム若しくはそれ以上のこれらの数の間の差違は、フレームワークアミノ酸の溶媒への到達がCDRにより少なくとも部分的に阻害されること、および従って該アミノ酸はCDRと接触していることを示す。アミノ酸の溶媒到達可能な表面積は、当該技術分野で既知のアルゴリズム(例えばConnolly、J.Apply.Cryst.16:548(1983)およびLeeとRichards、J.Mol.Biol.55:379(1971)(それらの双方は引用することにより本明細書に組み込まれる))を使用して、抗体の三次元モデルに基づき計算しうる。フレームワークアミノ酸は、ときに、別のフレームワークアミノ酸(CDRに順に接触する)のコンホメ―ションに影響を及ぼすことにより、CDRと間接的にもまた相互作用しうる。
フレームワーク中の数個の位置のアミノ酸は、多くの抗体でCDRコンホメーションを
決定するのに重要(例えばCDRと相互作用することが可能)であることが既知である(ChothiaとLesk、上記、Chothiaら、上記およびTramontanoら、J.Mol.Biol.215:175(1990)(それらの全部は引用することにより本明細書に組み込まれる))。これらの著者らは、数種の既知の抗体の構造の分析によりCDRコンホメーションに重要な保存されたフレームワーク残基を同定した。分析した抗体は、CDRのコンホメーションに基づき、制限された数の構造若しくは「正準」分類に属した。正準分類のメンバー内の保存されたフレームワーク残基は「正準」残基と称される。正準残基は、L鎖の残基2、25、29、30、33、48、64、71、90、94および95、ならびにH鎖の残基24、26、29、34、54、55、71および94を包含する。付加的な残基(例えばCDR構造決定残基)は、MartinとThorton(1996)J.Mol.Biol.263:800の方法論に従って同定し得る。注目すべきことに、L鎖の位置2、48、64および71ならびにH鎖の26−30、71および94のアミノ酸(Kabatによる番号付け)は、多くの抗体中でCDRと相互作用することが可能であることが既知である。L鎖の位置35ならびにH鎖の93および103のアミノ酸もまたCDRと相互作用することがありそうである。CDRのコンホメーションを遂げうる付加的な残基は、FooteとWinter(1992)J.Mol.Biol.224:487の方法論に従って同定し得る。こうした残基は「バーニア」残基と命名され、そしてCDRのすぐ下の(すなわちその下の「基盤」を形成する)フレームワーク領域中の残基である。全部のこれらの番号付けられた位置で、ヒト化免疫グロブリン中にあるべきアクセプターアミノ酸よりむしろドナーアミノ酸(それらが異なる場合)の選択が好ましい。他方、L鎖の最初の5アミノ酸のようなCDR領域と相互作用することが可能なある残基を、ときに、ヒト化免疫グロブリンでの親和性の喪失を伴わずにアクセプター免疫グロブリンから選ぶことができる。
「VL−VH界面に参画する」残基若しくは「充填残基」は、例えばNovotnyとHaber、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82:4592−66(1985)若しくはChothiaら、上記により定義されるところのVLとVHの間の界面の残基を包含する。一般に、まれな充填残基は、それらがヒトフレームワーク中のものと異なる場合はヒト化抗体中で保持されなければならない。
一般に、上の基準を満足するアミノ酸の1個若しくはそれ以上を置換し得る。いくつかの態様において、上の基準を満足するアミノ酸の全部若しくは大部分を置換する。ときに、特定の1アミノ酸が上の基準を満足するかどうかについて若干のあいまいさが存在し、そして、代替のバリアント免疫グロブリンが製造され、その一方はその特定の置換を有し、その他方は有しない。そのように製造された代替のバリアント免疫グロブリンを、本明細書に記述されるアッセイのいずれかで所望の活性について試験し得、そして好ましい免疫グロブリンを選択し得る。
通常、ヒト化抗体中のCDR領域は、ドナー抗体の対応するCDR領域に実質的に同一、そしてより通常は同一である。しかしながら、ある態様において、抗体の抗原結合特異性を改変しかつ/若しくは該抗体の免疫原性を低下させるように、1個若しくはそれ以上のCDR領域を改変することが望ましいことができる。典型的には、理想化された結合定数が達成されるような、より好都合な結合オン速度(on−rate of binding)、より好都合な結合オフ速度(off−rate of binding)、若しくは双方を達成するように結合を改変するようにCDRの1個若しくはそれ以上の残基を変える。この戦略を使用して、例えば1010−1若しくはそれ以上の超高結合親和性を有する抗体を達成し得る。簡潔には、ドナーCDR配列は基礎配列と称され、それから1個若しくはそれ以上の残基をその後変える。本明細書に記述されるところの親和性成熟技術を使用してCDR領域(1個若しくは複数)を変えることができ、次いで生じる結合分子を結合の所望の変化についてスクリーニングし得る。該方法は、潜在的なヒト抗マウ
ス抗体(HAMA)応答が最小化若しくは回避されるようなより少なく免疫原性であるようにドナーCDR、典型的にはマウスCDRを変えるのにもまた使用しうる。従って、CDR(1個若しくは複数)が変えられる際に、最良の組合せられた結合および低免疫原性について至適化された抗体が達成されるような、結合親和性ならびに免疫原性の変化をモニターかつ評価し得る(例えば、米国特許第6,656,467号および米国特許公開第US20020164326A1号明細書を参照されたい)。
別のアプローチにおいて、抗体のCDR領域を分析して、ドナーCDRのそれぞれをヒト対照物で系統的に置換することにより、各個々のCDRの抗体結合および/若しくは免疫原性への寄与を決定する。ヒト化抗体の得られた一団をその後、各CDRの抗原親和性および潜在的免疫原性について評価する。こうして、候補の結合分子の2種の臨床上重要な特性すなわち抗原結合および低免疫原性を測定する。対応するマウス若しくはCDRグラフト(ヒト化)形態の抗体に対する患者血清が入手可能である場合には、系統的ヒトCDR交換を表す抗体の一団全体をスクリーニングして、各ドナーCDRに対する患者の抗イディオタイプ応答を決定し得る(技術的詳細については、例えばIwashiら、Mol.Immunol.36:1079−91(1999)を参照されたい。こうしたアプローチは、必須でないドナーCDRから必須のドナーCDR領域を同定することを見込む。必須でないドナーCDR領域をその後ヒト対照物CDRと交換しうる。機能の許容できない喪失を伴わずに必須のCDR領域を交換し得ない場合は、CDRの特異性決定残基(SDR)の同定を、例えば部位特異的突然変異誘発により実施する。こうして、CDRをその後、SDRのみ保持しかつCDR全体の残存するアミノ酸位置でヒトおよび/若しくは最小限に免疫原性であるように再工作し得る。ドナーCDRの一部分のみがグラフトされるこうしたアプローチはまた簡略化CDRグラフトとも称される(前述の技術に関する技術的詳細については、例えばTamuraら、J.of Immunology 164(3):1432−41.(2000);Gonzalesら、Mol.Immunol 40:337−349(2003);Kashmiriら、Crit.Rev.Oncol.Hematol.38:3−16(2001);およびDe Pascalisら、J.of Immunology 169(6):3076−84.(2002)を参照されたい。
さらに、生じるヒト化免疫グロブリンの結合親和性に認識可能に影響を及ぼすことなくCDR残基の1個若しくはそれ以上の保存的アミノ酸置換を行うことがときに可能である。保存的置換により、gly、ala;val、ile、leu;asp、glu;asn、gln;ser、thr;lys、arg;およびphe、tyrのような組合せを意図している。
置換の付加的な候補は、その位置でヒト免疫グロブリンに「まれ」であるアクセプターヒトフレームワークアミノ酸である。これらのアミノ酸は、マウスドナー抗体の同等の位置、若しくはより典型的なヒト免疫グロブリンの同等の位置からのアミノ酸で置換し得る。例えば、アクセプター免疫グロブリンのヒトフレームワーク領域中のアミノ酸がその位置にまれでありかつドナー免疫グロブリン中の対応するアミノ酸がヒト免疫グロブリン配列中のその位置に普遍的である場合;または、アクセプター免疫グロブリン中のアミノ酸がその位置にまれでありかつドナー免疫グロブリン中の対応するアミノ酸もまた他のヒト配列に関してまれである場合は、置換が望ましいことがある。残基がアクセプターヒトフレームワーク配列にまれであるかどうかは、戻し突然変異のための残基をCDRコンホメーションへの寄与に基づき選択する場合にもまた考慮すべきである。例えば、戻し突然変異がアクセプターヒトフレームワーク配列にまれである残基の置換をもたらす場合、ヒト化抗体を活性についてを伴いおよび伴わず試験しうる。戻し突然変異が活性に必要でない場合は、免疫原性の懸念を低下させるためにそれを除外しうる。例えば、以下の残基での戻し突然変異は、アクセプターヒトフレームワーク配列中でまれである残基を導入しうる;vl=V2(2.0%)、L3(0.4%)、T7(1.8%)、Q18(0.2%)、L83(1.2%)、I85(2.9%)、A100(0.3%)およびL106(1.1%);ならびにvh=T3(2.0%)、K5(1.8%)、I11(0.2%)、S23(1.5%)、F24(1.5%)、S41(2.3%)、K71(2.4%)、R75(1.4%)、I82(1.4%)、D83(2.2%)およびL109(0.8%)。これらの基準は、ヒトフレームワーク中の異常なアミノ酸が抗体構造を破壊しないことを確実にするのに役立つ。さらに、まれなヒトアクセプターアミノ酸をヒト抗体にたまたま典型的であるドナー抗体からのアミノ酸で置換することにより、ヒト化抗体をより少なく免疫原性にしうる。
本明細書で使用されるところの「まれな」という用語は、配列の代表的なサンプル中の配列の約20%未満、好ましくは約10%未満、より好ましくは約5%未満、なおより好ましくは約3%未満、なおより好ましくは約2%未満、およびなおより好ましくは約1%未満でその位置に存在するアミノ酸を示し、また、本明細書で使用されるところの「普遍的な」という用語は、代表的サンプル中の配列の約25%以上、しかし通常は約50%以上に存在するアミノ酸を示す。例えば、ヒトアクセプター配列中のあるアミノ酸が「まれ」であるか若しくは「普遍的」であるかを決定する場合、ヒト可変領域配列のみを、また、あるマウスアミノ酸が「まれ」であるか若しくは「普遍的」であるかを決定する場合はマウス可変領域配列のみを考えることがしばしば好ましいことができる。さらに、全部のヒトLおよびH鎖可変領域配列はそれぞれ、相互にとりわけ相同でありかつある決定的な位置で同一アミノ酸を有する、配列の「サブグループ」にグループ分けされる(Kabatら、上記)。ヒトアクセプター配列中のあるアミノ酸がヒト配列のなかで「まれ」であるか若しくは「普遍的」であるかを決定する場合、同一サブグループ中のそれらのヒト配列のみをアクセプター配列とみなすことがしばしば好ましいことができる。
置換の付加的な候補は、Chothiaら、上記により提案された代替の定義のもとでCDR領域の一部と同定されるとみられるアクセプターヒトフレームワークアミノ酸である。置換の付加的な候補は、AbMおよび/若しくは接触の定義のもとでCDR領域の一部と同定されるとみられるアクセプターヒトフレームワークアミノ酸である。
置換の付加的な候補は、まれなドナーフレームワーク残基に対応するアクセプターフレームワーク残基である。まれなドナーフレームワーク残基は、その位置でマウス抗体に(本明細書で定義されるところの)まれであるものである。マウス抗体について、サブグループをKabatに従って決定し得、そしてコンセンサスと異なる残基位置を同定し得る。これらのドナー特異的な差違は、活性を高めるマウス配列中の体細胞突然変異を指摘しうる。結合に影響を及ぼすことが予測されるまれな残基(例えば充填正準および/若しくはバーニア残基)は保持される一方、結合に重要でないことが予測される残基は置換し得る。
置換の付加的な候補は、アクセプターフレームワーク領域に存在する非生殖系列残基である。例えば、アクセプター抗体鎖(すなわちドナー抗体鎖と有意の配列同一性を共有するヒト抗体鎖)を生殖系列抗体鎖(同様にドナー鎖と有意の配列同一性を共有する)と整列する場合、アクセプター鎖のフレームワークと生殖系列鎖のフレームワークの間で一致しない残基を、生殖系列配列からの対応する残基で置換し得る。
例示的態様において、本発明のヒト化抗体(例えば下の下位節c〜gを参照されたい)は、(i)マウスVL CDRおよびヒトアクセプターフレームワーク(該フレームワークは最低1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくはそれ以上の残基を戻し突然変異(すなわち対応するマウス残基で置換)されており、該戻し突然変異(1個若しくは複数)は正準、充填および/若しくはバーニア残基でである)を含んでなる可変領域を含んでなるL鎖、ならびに(ii)マウスVH CDRおよびヒトアクセプターフレームワーク(該フレームワークは最低1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくはそれ以上の残基を戻し突然変異されており、該戻し突然変異(1個若しくは複数)は正準、充填および/若しくはバーニア残基でである)を含んでなるH鎖を含有する。ある態様において、戻し突然変異は充填および/若しくは正準残基でのみであるか、または主として正準および/若しくは充填残基でである(例えば、ドナーとアクセプター配列間で異なるバーニア残基の1のみ若しくは2個のバーニア残基が戻し突然変異されている)。
他の態様において、ヒト化抗体は、ドナー抗体(若しくはそのキメラバージョン)の結合親和性に匹敵する結合親和性を保持しつつ可能な最少数の戻し突然変異を包含する。こうしたバージョンに到着するため、戻し突然変異の多様な組合せを除外し得、そして生じる抗体を有効性(例えば結合親和性)について試験し得る。例えば、バーニア残基での戻し突然変異(例えば1、2、3若しくは4個の戻し突然変異)を除外し得るか、または、バーニアおよび充填、バーニアおよび正準、若しくは充填および正準残基の組合せでの戻し突然変異を除外し得る。
上で論考された特定のアミノ酸置換以外に、ヒト化免疫グロブリンのフレームワーク領域は、それらが由来したヒト抗体のフレームワーク領域に通常は実質的に同一、およびより通常は同一である。もちろん、フレームワーク領域中のアミノ酸の多くは、抗体の特異性若しくは親和性に対する直接の寄与をほとんど若しくはまったくなさない。従って、フレームワーク残基の多くの個別の保存的置換は、生じるヒト化免疫グロブリンの特異性若しくは親和性の認識可能な変化を伴わずに耐えら得る。従って、一態様において、ヒト化免疫グロブリンの可変フレームワーク領域は、ヒト可変フレームワーク領域配列若しくはこうした配列のコンセンサスに対する最低85%の配列同一性を共有する。別の態様において、ヒト化免疫グロブリンの可変フレームワーク領域は、ヒト可変フレームワーク領域配列若しくはこうした配列のコンセンサスに対する最低90%、好ましくは95%、より好ましくは96%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を共有する。しかしながら一般にこうした置換は望ましくない。
例示的態様において、本発明のヒト化抗体は最低10、10、10若しくは1010−1の抗原に対する特異的結合親和性を表す。他の態様において、本発明の抗体は最低1010、1011若しくは1012−1の結合親和性を有し得る。通常、抗原に対するヒト化抗体の結合親和性の上限は、ドナー免疫グロブリンのものの3、4若しくは5の係数内である。しばしば、結合親和性の下限もまたドナー免疫グロブリンのものの3、4若しくは5の係数内にある。あるいは、結合親和性は、置換を有しないヒト化抗体(例えばドナーCDRおよびアクセプターFRを有するがしかしFR置換を有しない抗体)のものと比較し得る。こうした場合は、(置換で)至適化された抗体の結合は、好ましくは未置換の抗体のものより最低2ないし3倍より大きいか、若しくは3ないし4倍より大きい。比較を行うため、多様な抗体の活性を例えばBIACORE(すなわち未標識試薬を使用する表面プラスモン共鳴)若しくは競合結合アッセイにより測定し得る。
一態様において、本発明の開示のヒト化抗体は、ヒト化される対応するヒト以外の抗体(例えばマウス)の正準CDR構造型に同一若しくは類似である1種若しくはそれ以上のCDR構造型を包含する、ヒト抗体遺伝子(例えば生殖系列抗体遺伝子セグメント)から選択された可変領域フレームワーク配列を包含する。米国特許第6,881,557号明細書およびTanら、Journal of Immunol 169:1119−1125(2002)(全部の目的上そっくりそのまま引用することにより組み込まれる)を参照されたい。
例えば米国特許第6,300,064号明細書(全部の目的上そっくりそのまま引用す
ることにより本明細書に組み込まれる)に記述されるところのコンセンサスアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含んでなるヒト化抗体もまた特徴とする。以下の表は、本明細書に記述されるヒト化抗体でフレームワーク領域として使用し得る多様なコンセンサス配列を列挙する。従って、下に示されるコンセンサス配列のいずれか1つを、本明細書に記述される1個若しくはそれ以上のCDRと組合せでのように使用して、それにより本発明のヒト化免疫グロブリンすなわちヒト化抗体をもたらし得る。
本発明のヒト化抗体を製造するためのなお別の戦略は、ヒト化されるべきマウス抗体からのCDRを受領するフレームワークとして最も近いヒト生殖配列を選択することである。Merckenら、第US 2005/0129695号明細書(全部の目的上そっくりそのまま引用することにより組み込まれる)を参照されたい。生殖系列配列は、再配列されない免疫グロブリン遺伝子から発し、そして従って潜在的に免疫原性である体細胞高頻度変異を提示しない。このアプローチは最も近いヒト生殖系列配列の検索に基づく。とりわけ、マウスVLおよびVHフレームワーク領域との高程度の配列同一性を表す生殖系列配列からの可変ドメインを、V−Baseおよび/若しくはIMGTデータベース(それぞれ、医学研究協議会タンパク質工学センター(Medical Research Council Center for Protein Engineering)のインターネットサーバおよび欧州生物情報学研究所(European Bioinformatics Institute)のインターネットサーバを通じ公的にアクセス可能)を使用して同定し得る。マウスCDRをその後、選ばれたヒト生殖系列可変領域アクセプター配列にグラフトする。
本発明の免疫グロブリンをヒト化するのに使用し得る付加的な例示的ヒト化技術は、例えば、Prestaら、JImmunol.、151:2623−2632(1993);Carterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.、89:4285−4289(1992);Coutoら、Cancer Res.、55:5973s−77s(1995);O’Connerら、Protein Eng.、11:321−328(1998);およびLoによるAntibody Engineering−Methods and Protocols、Vol.248(2004)に記述されている。
加えて、上述されたところの技術のいずれかを使用してフレームワーク残基を分析して、生じるヒト化抗体の特性を至適化するためにどの残基(あれば)を置換すべきかを決定し得る。例えば、コンピュータモデル化を使用して、抗原結合に直接若しくは間接的に影響する十分な確率を有する残基を同定し得る。
c.ヒト化3D6抗体の製造
本発明の例示的局面において、本明細書に記述される治療および/若しくは診断の方法論での使用のためのヒト化3D6抗体を特徴とする。3D6はAβのN末端に特異的であ
り、そしてアミロイド斑の食作用を媒介(すなわち食作用を誘導)することが示されている(実施例1〜2を参照されたい)。3D6は可溶性オリゴマーAβを優先的に結合することもまた示されており、そして哺乳動物被験体における認知の迅速な改善に有効である(実施例12および13を参照されたい)。
マウス3D6のヒト化での使用のための適するヒトアクセプター抗体配列は、マウス可変領域のアミノ酸配列の既知のヒト抗体の配列とのコンピュータ比較により同定する。該比較はHおよびL鎖について別個に実施するが、しかし原理はそれぞれについて同様である。とりわけ、フレームワーク配列がマウスVLおよびVHフレームワーク領域との高程度の配列同一性を表すヒト抗体からの可変ドメインを、それぞれのマウスフレームワーク配列でのNCBI BLAST(国立保健研究所(Natioanl Institute of Health)のNCBIインターネットサーバを通じ公的にアクセス可能)を使用するKabatデータベースのクエリにより同定する。一態様において、マウスドナー配列と50%以上の配列同一性を共有するアクセプター配列を選択する。好ましくは、60%、70%、80%、90%以上若しくはそれ以上の配列同一性を共有するアクセプター抗体配列を選択する。
マウス3D6抗体HおよびL鎖可変領域をコードするcDNAのクローニングおよび配列決定を実施例3に記述する。ヒト可変配列とのマウス3D6のコンピュータ比較は、3D6 L鎖がサブタイプκIIのヒトL鎖に対し最大の配列同一性を示すこと、および、3D6 H鎖がKabatら、上記により定義されるところのサブタイプIIIのヒトH鎖に対し最大の配列同一性を示すことを示した。従って、LおよびHヒトフレームワーク領域は、好ましくはこれらのサブタイプのヒト抗体、若しくはこうしたサブタイプのコンセンサス配列に由来する。3D6からの対応する領域に対する最大の配列同一性を示す好ましいL鎖ヒト可変領域は、Kabat ID番号019230、005131、005058、005057、005059、U21040およびU41645を有する抗体からであり、019230がより好ましい。3D6からの対応する領域に対する最大の配列同一性を示す好ましいH鎖ヒト可変領域は、Kabat ID番号045919、000459、000553、000386およびM23691を有する抗体からであり、045919がより好ましい。
残基を次に、後に続くとおり置換のため選択する。3D6可変フレームワーク領域と同等のヒト可変フレームワーク領域の間でアミノ酸が異なる場合、ヒトフレームワークアミノ酸は、通常、該アミノ酸が:
(1)抗原を直接非共有結合するか、
(2)CDR領域に隣接するか、Chothiaら、上記により提案された代替の定義のもとでCDR領域の一部であるか、若しくはCDR領域と別の方法で相互作用する(例えば、CDR領域のほぼ3A以内にある)(例えば3D6の位置L2、H49およびH94のアミノ酸)か、または
(3)VL−VH界面に参画する(例えば3D6の位置L36、L46およびH93のアミノ酸)ことが合理的に期待される場合は、同等のマウスアミノ酸により置換すべきである。
3D6抗体のHおよびL鎖可変領域のコンピュータモデル化ならびに3D6抗体のヒト化を実施例6に記述する。簡潔には、HおよびL鎖について最も近い解明されたマウス抗体構造に基づき三次元モデルを生成した。この目的上、1CR9と呼称される抗体(タンパク質データバンク(Protein Data Bank)(PDB)ID:1CR9、Kanyoら、J.Mol.Biol.293:855(1999))を、3D6 L鎖をモデル化するための鋳型として選び、また、1OPG(PDB ID:1OPG、Kodandapaniら、J.Biol.Chem.270:2268(1995))を、H鎖をモデル化するための鋳型として選んだ。該モデルを、不都合な原子接触を軽減しかつ静電およびファンデルワールス相互作用を至適化するための一連のエネルギー最小化段階によりさらに改良した。1qkz(PDB ID:1QKZ、Derrickら、J.Mol.Biol.293:81(1999))の解明された構造をH鎖のCDR3をモデル化するための鋳型として選んだ。3D6および1OPGは、比較の目的上整列した場合にこの領域で有意の配列相同性を表さなかったためである。
本明細書に記述される抗体の三次元構造情報は、例えば構造バイオインフォマティクス共同機構(Research Collaboratory for Structural Bioinformatics)のタンパク質データバンク(PDB)から公的に入手可能である。該PDBはワールドワイドウェブのインターネットを介して無料でアクセス可能であり、そしてBermanら(2000)Nucleic Acids Research、28:235により記述される。コンピュータモデル化はCDRと相互作用する残基の同定を見込む。3D6の構造のコンピュータモデルは、順に、ヒトフレームワーク構造中で置換される3D6の相補性決定領域を含有する抗体の三次元構造を予測するための出発点としてはたらき得る。さらなるアミノ酸置換が導入される際の構造を表す付加的なモデルを構築し得る。
一般に、上の基準を満足するアミノ酸の1個、大部分若しくは全部の置換が望ましい。従って、本発明のヒト化抗体は、通常、以下の位置すなわちL1、L2、L36およびL46の最低1、2若しくは3、およびより通常は4個での対応する3D6残基でのヒトL鎖フレームワーク残基の置換を含有することができる。該ヒト化抗体は通常、以下の位置すなわちH49、H93およびH94の最低1、2およびときに3個での対応する3D6残基でのヒトH鎖フレームワーク残基の置換もまた含有する。ヒト化抗体は、以下の位置すなわちH74、H77およびH89の最低1、2およびときに3個での対応する生殖系列残基でのH鎖フレームワーク残基の置換もまた含有し得る。
しかしながら、ときに、特定のアミノ酸が上の基準に合致するかどうかについて若干のあいまいさが存在し、そして代替のバリアント免疫グロブリンが製造され、その一方はその特定の置換を有し、その他方は有しない。マウス残基での置換が、特定の一位置にヒト免疫グロブリンでまれである残基を導入するとみられる場合は、該抗体を該特定の置換を伴い若しくは伴わず活性について試験することが望ましいことができる。活性(例えば結合親和性および/若しくは結合特異性)が置換を伴い若しくは伴わずほぼ同一である場合は、置換を伴わない抗体が好ましいことができる。本明細書に記述されるとおりより少ないHAHA応答を導き出すことが期待されるとみられるためである。
置換の他の候補は、その位置でヒト免疫グロブリンにまれであるアクセプターヒトフレームワークアミノ酸である。これらのアミノ酸を、より典型的なヒト免疫グロブリンの同等の位置からのアミノ酸で置換し得る。あるいは、マウス3D6中の同等の位置からのアミノ酸を、こうしたアミノ酸が該同等の位置でヒト免疫グロブリンに典型的である場合に、ヒトフレームワーク領域に導入し得る。
付加的な態様において、ヒトL鎖フレームワークアクセプター免疫グロブリンがKabat ID番号019230である場合、該L鎖は、以下の位置すなわちL7、L10、L12、L15、L17、L39、L45、L63、L78、L83、L85、L100若しくはL104の最低1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12若しくはより通常は13個に置換を含有する。付加的な態様において、ヒトH鎖フレームワークアクセプター免疫グロブリンがKabat ID番号045919である場合、該H鎖は、以下の位置すなわちH3、H5、H13、H16、H19、H40、H41、H42、H44、H72、H77、H82A、H83、H84若しくはH108の最低1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくはより通常は15個に置換を含有する。これらの位置は、より典型的なアミノ酸残基を有するヒト免疫グロブリンの同等の位置からのアミノ酸で置換される。置換するための適切なアミノ酸の例を図1および2に示す。
置換の他の候補はフレームワーク領域中に存在する非生殖系列残基である。既知の生殖系列配列との3D6のコンピュータ比較は、最大の程度の配列同一性を示すH鎖が、生殖系列可変領域配列VH3−48、VH3−23、VH3−7、VH3−21およびVH3−11を包含し、VH3−23がより好ましいことを示した。Kabat ID 045919のVH3−23とのアライメントは、残基H74、H77および/若しくはH89を、対応する生殖系列残基(例えばKabat ID 045919およびVH3−23を比較する場合に残基H74、H77および/若しくはH89)での置換に選択しうることを示す。同様に、3D6 L鎖に対する最大の程度の同一性を有する生殖系列配列はA1、A17、A18、A2およびA19を包含し、A19が最も好ましい。選択したL鎖アクセプターフレームワークと、これらの生殖系列配列の1種の間で一致しない残基を、対応する生殖系列残基での置換に選択し得る。
表1は3D6のVHおよびVL領域の配列分析を要約する。3D6抗体および付加的なヒト抗体のコンピュータモデル化に使用し得る付加的なマウスおよびヒト構造、ならびにアミノ酸置換の選択において使用し得る生殖系列配列を示す。まれなマウス残基もまた表1に示す。まれなマウス残基は、ドナーVLおよび/若しくはVH配列を、該ドナーVLおよび/若しくはVH配列が属するサブグループ(Kabatによる)の他メンバーの配列と比較すること、ならびにコンセンサスと異なる残基位置を同定することにより同定する。これらのドナー特異的差違は活性を高める体細胞突然変異を指摘しうる。結合部位に近接のまれな残基はおそらく抗原を接触することができ、マウス残基を保持することを望ましくする。しかしながら、該まれなマウス残基が結合に重要でない場合は、該マウス残基はヒト化抗体中の免疫原性新エピトープ(neoepitope)を創製しうるため、対応するアクセプター残基の使用が好ましい。ドナー配列中のまれな残基が、対応するアクセプター配列中で実際には普遍的な残基である状況では、好ましい残基は明らかに該アクセプター残基である。
本明細書で参照されるKabat ID配列は、例えば、ノースウェスタン大学生物医学工学部(Northwestern University Biomedical Engineering Department)のKabatの免疫学的に興味深いタンパク質配列データベース(Kabat Database of Sequences
of Proteins of Immunological Interest)から公的に入手可能である。本明細書に記述される抗体の三次元構造情報は、例えば構造バイオインフォマティクス共同機構(Research Collaboratory for Structural Bioinformatics)のタンパク質データバンク(PDB)から公的に入手可能である。該PDBはワールドワイドウェブのインターネットを介して無料でアクセス可能であり、そしてBermanら(2000)Nucleic Acids Research、p235−242に記述されている。本明細書で参照される生殖系列遺伝子配列は、例えば、国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)のIgh、IgκおよびIgλ生殖系列V遺伝子の集合物中の配列のデータベース(国立保健研究所(NIH)の国立医学図書館(National Library of Medicine)(NLM)の一部門として)から公的に入手可能である。NCBIの「Ig生殖系列遺伝子」データベースの相同性検索はIgG BLASTTMにより提供される。
好ましい一態様において、本発明のヒト化抗体は、(i)マウス3D6 VL CDRおよびヒトアクセプターフレームワーク(該フレームワークはL1、L2、L36およびL46よりなる群から選択される最低1、好ましくは2、3若しくは4残基が対応する3D6残基で置換されている)を含んでなる可変ドメインを含んでなるL鎖、ならびに(ii)3D6 VH CDRおよびヒトアクセプターフレームワーク(該フレームワークはH49、H93およびH94よりなる群から選択される最低1、好ましくは2若しくは3残基が対応する3D6残基で置換されている)を含んでなるH鎖を含有し、ならびに、場合によっては、H74、H77およびH89よりなる群から選択される最低1、好ましくは2若しくは3残基が対応するヒト生殖系列残基で置換されている。
より好ましい一態様において、本発明のヒト化抗体は、(i)マウス3D6 VL CDRおよびヒトアクセプターフレームワーク(該フレームワークは、残基1がtyr(Y)で置換され、残基2がval(V)で置換され、残基36がleu(L)で置換され、かつ/若しくは残基46がarg(R)で置換されている)を含んでなる可変ドメインを含んでなるL鎖、ならびに(ii)3D6 VH CDRおよびヒトアクセプターフレームワーク(該フレームワークは、残基49がala(A)で置換され、残基93がval(V)で置換され、かつ/若しくは残基94がarg(R)で置換され、ならびに、場合によっては、残基74がser(S)で置換され、残基77がthr(T)で置換され、かつ/若しくは残基89がval(V)で置換されている)を含んでなるH鎖を含有する。
とりわけ好ましい一態様において、本発明のヒト化抗体は本明細書に記述されるところの構造の特徴を有し、かつ、以下の活性すなわち(1)凝集型Aβ1−42を結合する(例えばELISAにより測定されるとおり);(2)斑中のAβを結合する(例えばADおよび若しくは/PDAPP斑の染色);(3)キメラ3D6(例えばマウス可変領域配列およびヒト定常領域配列を有する3D6)に比較して2ないし3倍より高い結合親和性でAβを結合する;(4)Aβの食作用を媒介する(例えば本明細書に記述されるところのex vivo食作用アッセイで);ならびに(5)血液脳関門を横断する(例えば、例えば本明細書に記述されるところのPDAPP動物モデルで短期の脳局在化を示す)の最低1つ(好ましくは2、3、4若しくは全部)をさらに有する。
別の態様において、本発明のヒト化抗体は、本明細書に記述されるところの構造の特徴を有し、かつさらに以下のin vivo効果、すなわち(1)Aβ斑負荷量を低下させる;(2)斑形成を予防する;(3)可溶性Aβ(例えば可溶性オリゴマーAβ)の濃度を低下させる;(4)アミロイド形成障害と関連する神経炎性の病理を低下させる;(5)アミロイド形成障害と関連する最低1種の生理学的症状を減じる若しくは改善する;ならびに/または(6)認知機能を改善する(例えば迅速な改善)の最低1種を導き出すのに十分な様式で若しくは親和性を伴いAβを結合する。
別の態様において、本発明のヒト化抗体は本明細書に記述されるところの構造の特徴を有し、そしてAβの残基1−5若しくは3−7を含んでなる1エピトープに特異的に結合する。
d.ヒト化12B4抗体の製造
本発明のさらなる例示的例において、本明細書に記述される治療的および/若しくは診断の方法論での使用のためのヒト化12B4抗体を特徴とする。12B4はAβのN末端に特異的でありかつアミロイド斑の食作用を媒介する(例えば食作用を誘導する)ことが示されている。12B4は可溶性Aβを認識可能に捕捉することもまた示されている。12B4抗体HおよびL鎖可変領域をコードするcDNAのクローニングおよび配列決定を実施例5に記述する。
12B4のヒト化のための適するヒトアクセプター抗体配列の同定は上の下位節cに記述されると同一である。
12B4のコンピュータ比較は、12B4 L鎖がKabatら、上記により定義されるところのサブタイプκIIのヒトL鎖に対する最大の配列同一性を示すこと、また、12B4 H鎖がサブタイプIIのヒトH鎖に対する最大の配列同一性を示すことを示した。従って、LおよびHのヒトフレームワーク領域は、好ましくはこれらのサブタイプのヒト抗体、若しくはこうしたサブタイプのコンセンサス配列に由来する。12B4からの対応する領域に対する最大の配列同一性を示す好ましいL鎖ヒト可変領域は、Kabat ID番号005036を有する抗体からである。12B4からの対応する領域に対する最大の配列同一性を示す好ましいH鎖ヒト可変領域は、Kabat ID番号000333を有する抗体、GenBank受託番号AAB35009を有する抗体、およびGenBank受託番号AAD53816を有する抗体からであり、Kabat ID番号000333を有する抗体がより好ましい。
次に、後に続くとおり残基を置換のため選択する。アミノ酸が12B4可変フレームワーク領域と同等のヒト可変フレームワーク領域の間で異なる場合、ヒトフレームワークアミノ酸は通常、該アミノ酸が:
(1)抗原を直接非共有結合するか、
(2)CDR領域に隣接するか、Chothiaら、上記により提案された代替の定義のもとでCDR領域の一部であるか、若しくはCDR領域と別の方法で相互作用する(例えばCDR領域の約3A以内である)か、または
(3)VL−VH界面に参画する
ことが合理的に期待される場合は、同等のマウスアミノ酸により置換すべきである。
12B4抗体HおよびL鎖可変領域のコンピュータモデル化、ならびに12B4抗体のヒト化を実施例5に記述する。簡潔には、HおよびL鎖に最も近い解明されたマウス抗体構造に基づき三次元モデルを生成する。該モデルを、不都合な原子接触を軽減しかつ静電およびファンデルワールス相互作用を至適化するための一連のエネルギー最小化段階によりさらに改良する。
コンピュータモデル化はCDRと相互作用する残基の同定を見込む。12B4の構造のコンピュータモデル化は、順に、ヒトフレームワーク構造中で置換された12B4の相補性決定領域を含有する抗体の三次元構造を予測するための出発点としてはたらき得る。さらなるアミノ酸置換が導入される際の構造を表す付加的なモデルを構築し得る。
一般に、上の基準を満たすアミノ酸の1個、大部分若しくは全部の置換が望ましい。従って、本発明のヒト化抗体は、通常、ヒトL鎖フレームワーク残基の選ばれた位置の最低1、2、3個若しくはそれ以上に、対応する12B4残基での置換を含有することができる。ヒト化抗体は、通常、ヒトH鎖フレームワーク残基の選ばれた位置の最低1、2、3個若しくはそれ以上に、対応する12B4残基での置換もまた含有する。
ときに、特定の1アミノ酸が上の基準に合致するかどうかについてのあいまいさを、上の下位節cに記述されるとおり扱い得る。
置換の他の候補は、その位置でヒト免疫グロブリンにまれであるアクセプターヒトフレームワークアミノ酸である。これらのアミノ酸は、より典型的なヒト免疫グロブリンの同等の位置からのアミノ酸で置換し得る。あるいは、マウス12B4中の同等の位置からのアミノ酸を、こうしたアミノ酸が該同等の位置でヒト免疫グロブリンに典型的である場合に、ヒトフレームワーク領域に導入し得る。
置換の他の候補はフレームワーク領域に存在する非生殖系列残基である。既知の生殖系列配列との12B4のコンピュータ比較を実施することにより、H若しくはL鎖に対する最大の程度の配列同一性をもつ生殖系列配列を同定し得る。フレームワーク領域および生殖系列配列のアライメントは、対応する生殖系列残基での置換にどの残基を選択しうるかを示すことができる。選択したL鎖アクセプターフレームワークとこれらの生殖系列配列の1種の間で一致しない残基を、対応する生殖系列残基での置換に選択し得る。
表2は12B4のVHおよびVL領域の配列分析を要約する。12B4抗体および付加的なヒト抗体のコンピュータモデル化に使用し得る付加的なマウスおよびヒト構造、ならびにアミノ酸置換の選択において使用し得る生殖系列配列を示す。まれなマウス残基もまた表2に示す。まれなマウス残基は、ドナーVLおよび/若しくはVH配列を、該ドナーVLおよび/若しくはVH配列が属する(Kabatにより)サブグループの他メンバーの配列と比較すること、ならびにコンセンサスと異なる残基位置を同定することにより同定される。これらのドナー特異的差違は、活性を高める体細胞突然変異を指摘しうる。結合部位に近接のまれな残基はおそらく抗原と接触することができ、マウス残基を保持することを望ましくする。しかしながら、該まれなマウス残基が結合に重要でない場合は、該マウス残基はヒト化抗体中で免疫原性の新エピトープを創製しうるため、対応するアクセプター残基の使用が好ましい。ドナー配列中のまれな残基が対応するアクセプター配列中で実際には普遍的な残基である状況では、好ましい残基は明らかにアクセプター残基である。
好ましい一態様において、本発明のヒト化抗体は、(i)マウス12B4 VL CDRおよびヒトアクセプターフレームワーク(該フレームワークは最低1残基が対応する12B4残基で置換されている)を含んでなる可変ドメインを含んでなるL鎖、ならびに(ii)12B4 VH CDRおよびヒトアクセプターフレームワーク(該フレームワークは、最低1、2、3、4、5、6、7、8若しくは9残基が対応する12B4残基で置換され、かつ、場合によっては最低1、2若しくは3残基が対応するヒト生殖系列残基で置換されている)を含んでなるH鎖を含有する。
別の好ましい態様において、本発明のヒト化抗体は、本明細書に記述されるところの構造の特徴を有し、かつ、以下の活性、すなわち(1)可溶性Aβを結合する;(2)凝集型Aβ1−42を結合する(例えばELISAにより測定されるとおり);(3)斑中のAβを結合する(例えばADおよび/若しくはPDAPP斑の染色);(4)キメラ12B4(例えばマウス可変領域配列およびヒト定常領域配列を有する12B4)に比較して2ないし3倍より高い結合親和性でAβを結合する;(5)Aβの食作用を媒介する(例えば本明細書に記述されるところのex vivo食作用アッセイにおいて);ならびに(6)血液脳関門を横断する(例えば、例えば本明細書に記述されるところのPDAPP動物モデルにおいて短期の脳局在化を示す)の最低1つ(好ましくは2,3、4若しくは全部)をさらに有する。
別の好ましい態様において、本発明のヒト化抗体は、本明細書に記述されるところの構造の特徴を有し、かつ、さらに、以下すなわち(1)Aβ斑負荷量を低下させる;(2)
斑形成を予防する;(3)可溶性Aβのレベルを低下させる;(4)アミロイド形成障害と関連する神経炎性の病理を低下させる;(5)アミロイド形成障害と関連する最低1種の生理学的症状を減じる若しくは軽減する;および/または認知機能を改善する、の最低1種およびさらなるin vivo効果を導き出すのに十分な様式で若しくは親和性を伴いAβを結合する。
別の好ましい態様において、本発明のヒト化抗体は、本明細書に記述されるところの構造の特徴を有し、かつ、Aβの残基3−7を含んでなる1エピトープに特異的に結合する。
別の好ましい態様において、本発明のヒト化抗体は、本明細書に記述されるところの構造の特徴を有し、Aβ内のN末端エピトープに結合し(例えばAβのアミノ酸3−7内の1エピトープに結合し)、そして(1)Aβペプチドレベル;(2)Aβ斑負荷量;および(3)アミロイド形成障害と関連する神経炎性負荷若しくは神経炎性ジストロフィーを低下させることが可能である。
e.ヒト化12A11抗体の製造
本発明のさらなる例示的局面において、本明細書に記述される治療および/若しくは診断の方法論での使用のための12A11ヒト化抗体を特徴とする。12A11はAβのN末端に特異的であり、そして(1)凝集型A1−42に対する高親和性を有する、(2)可溶性Aβを捕捉する能力を有する、および(3)アミロイド斑の食作用を媒介(例えば食作用を誘導)することが示された(実施例9および11を参照されたい)。12A11抗体のin vivo有効性を実施例10に記述する。12A11はまた可溶性オリゴマーAβを優先的に結合することも示され、そして哺乳動物被験体での認知の迅速な改善に有効である(実施例12、13および14を参照されたい)。12A11抗体HおよびL鎖可変領域をコードするcDNAのクローン化および配列決定を実施例15に記述する。
適するヒトアクセプター抗体配列の同定は上の下位節cに記述されると同一である。12A11のコンピュータ比較は、12A11 L鎖(マウスサブグループII)が、Kabatら、上記により定義されるところのサブタイプκIIのヒトL鎖に対する最大の配列同一性を示すこと、および12A11 H鎖(マウスサブグループIb)が、サブタイプIIのヒトH鎖に対する最大の配列同一性を示すことを示した。LおよびHヒトフレームワーク領域は、これらのサブタイプのヒト抗体若しくはこうしたサブタイプのコンセンサス配列に由来し得る。第一のヒト化の試みにおいて、L鎖可変フレームワーク領域はヒトサブグループII抗体に由来した。ヒトサブグループII抗体由来のH鎖可変フレームワーク領域を有するヒト化抗体の高レベルの発現を達成するよう設計された以前の実験に基づき、こうした抗体の発現レベルがときに低かったことが発見された。従って、Saldanhaら(1999)Mol Immunol.36:709−19に記述される論法に基づき、ヒトサブグループIIよりむしろヒトサブグループIII抗体由来のフレームワーク領域を選んだ。
ヒトサブグループII抗体K64(AIMS4)(受託番号BAC01733)は、12A11のL鎖可変領域内で有意の配列同一性を有するNCBIの非重複性データベースから同定した。ヒトサブグループIII抗体M72(受託番号AAA69734)は、12A11のH鎖可変領域内で有意の配列同一性を有するNCBIの非重複性データベースから同定した(SchroederとWang(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.872:6146−6150もまた参照されたい。
代替のL鎖アクセプター配列は、例えば、PDB受託番号1KFA(gi24158782)、PDB受託番号1KFA(gi24158784)、EMBL受託番号CAE75574.1(gi38522587)、EMBL受託番号CAE75575.1(gi38522590)、EMBL受託番号CAE84952.1(gi39838891)、DJB受託番号BAC01734.1(gi21669419)、DJB受託番号BAC01730.1(gi21669411)、PIR受託番号S40312(gi481978)、EMBL受託番号CAA51090.1(gi3980118)、GenBank受託番号AAH63599.1(gi39794308)、PIR受託番号S22902(gi106540)、PIR受託番号S42611(gi631215)、EMBL受託番号CAA38072.1(gi433890)、GenBank受託番号AAD00856.1(gi4100384)、EMBL受託番号CAA39072.1(gi34000)、PIR受託番号S23230(gi284256)、DBJ受託番号BAC01599.1(gi21669149)、DBJ受託番号BAC01729.1(gi21669409)、DBJ受託番号BAC01562.1(gi21669075)、EMBL受託番号CAA85590.1(gi587338)、GenBank受託番号AAQ99243.1(gi37694665)、GenBank受託番号AAK94811.1(gi18025604)、EMBL受託番号CAB51297.1(gi5578794)、DBJ受託番号BAC01740.1(gi21669431)およびDBJ受託番号BAC01733.1(gi21669417)を包含する。代替のH鎖アクセプター配列は、例えば、GenBank受託番号AAB35009.1(gi1041885)、DBJ受託番号BAC01904.1(gi21669789)、GenBank受託番号AAD53816.1(gi5834100)、GenBank受託番号AAS86081.1(gi46254223)、DBJ受託番号BAC01462.1(gi21668870)、GenBank受託番号AAC18191.1(gi3170773)、DBJ受託番号BAC02266.1(gi21670513)、GenBank受託番号AAD56254.1(gi5921589)、GenBank受託番号AAD53807.1(gi5834082)、DBJ受託番号BAC02260.1(gi21670501)、GenBank受託番号AAC18166.1(gi3170723)、EMBL受託番号CAA49495.1(gi33085)、PIR受託番号S31513(gi345903)、GenBank受託番号AAS86079.1(gi46254219)、DBJ受託番号BAC01917.1(gi21669815)、DBJ受託番号BAC01912.1(gi21669805)、GenBank受託番号AAC18283.1(gi3170961)、DBJ受託番号BAC01903(gi21669787)、DBJ受託番号BAC01887.1(gi21669755)、DBJ受託番号BAC02259.1(gi21370499)、DBJ受託番号BAC01913.1(gi21669807)、DBJ受託番号BAC01910.1(gi21669801)、DJB受託番号BAC02267.1(gi21670515)、GenBank受託番号AAC18306.1(gi3171011)、GenBank受託番号AAD53817.1(gi5834102)、PIR受託番号E36005(gi106423)、EMBL CAB37129.1(gi4456494)およびGenBank AAA68892.1(gi186190)を包含する。
例示的態様において、12A11 CDRおよび本発明のヒト化抗体は上に列挙されるアクセプター配列からのFRを包含する。本明細書に記述されるところのCDRのコンホメーションおよび/若しくは活性に重要なフレームワーク領域内の残基を戻し突然変異に選択する(ドナー配列とアクセプター配列の間で異なる場合)。
次に、後に続くとおり残基を置換のため選択する。アミノ酸が12A11可変フレームワーク領域と同等のヒト可変フレームワーク領域の間で異なる場合、ヒトフレームワークアミノ酸は、通常、該アミノ酸が:
(1)抗原を直接非共有結合するか、
(2)CDR領域に隣接するか、Chothiaら、上記により提案された代替の定義の
もとでCDR領域の一部であるか、若しくはCDR領域と別の方法で相互作用する(例えばCDR領域の約3A以内である)か、または
(3)VL−VH界面に参画する
ことが合理的に期待される場合は、同等のマウスアミノ酸により置換すべきである。
12A11抗体HおよびL鎖可変領域の構造解析、ならびに12A11抗体のヒト化を実施例5に記述する。簡潔には、L鎖について解明されたマウス抗体構造1KTRならびにH鎖について1JRHおよび1ETZの三次元モデルを研究した。CDRコンホメーションに重要な残基(例えばバーニア残基)の同定のため研究し得る代替の三次元モデルは、L鎖について、PDB受託番号2JEL(gi3212688)、PDB受託番号1TET(gi494639)、PDB受託番号IJP5(gi16975307)、PDB受託番号1CBV(gi493917)、PDB受託番号2PCP(gi4388943)、PDB受託番号1I9I(gi2050118)、PDB受託番号1CLZ(gi1827926)、PDB受託番号1FL6(gi17942615)およびPDB受託番号1KEL(gi1942968)、ならびにH鎖についてPDB 1GGI(gi442938)、PDB受託番号1GGB(gi442934)、PDB受託番号1N5Y(gi28373913)、PDB受託番号2HMI(gi3891821)、PDB受託番号1FDL(gi229915)、PDB受託番号1KIP(gi1942788)、PDB受託番号1KIQ(gi1942791)およびPDB受託番号1VFA(gi576325)を包含する。
解明された三次元構造の研究は12A11内のCDRと相互作用する残基の同定を見込む。あるいは、コンピュータモデル化ソフトウェアを使用して、12A11のVHおよびVL鎖の三次元モデルを生成し得る。簡潔には、HおよびL鎖について最も近い解明されたマウス抗体構造に基づき三次元モデルを生成する。この目的上、1KTRを12A11
L鎖をモデル化するための鋳型として使用し得、また、1ETZおよび1JRHをH鎖をモデル化するための鋳型として使用し得る。モデルは、不都合な原子接触を軽減しかつ静電およびファンデルワールス相互作用を至適化するための一連のエネルギー最小化段階によりさらに改良し得る。付加的な三次元分析および/若しくはモデル化を、これらの解明されたマウス構造とそれぞれの12A11鎖の間の類似性に基づき、L鎖について2JEL(2.5Å)および/若しくは1TET(2.3Å)ならびにH鎖(または上で示された他の抗体)について1GGI(2.8Å)を使用して実施し得る。
12A11の構造のコンピュータモデルは、さらに、ヒトフレームワーク構造で置換した12A11相補性決定領域を含有する抗体の三次元構造を予測するための出発点としてはたらき得る。さらなるアミノ酸置換が導入される際に該構造を表す付加的なモデルを構築し得る。
一般に、上の基準を満たすアミノ酸の1個、大部分若しくは全部の置換が望ましい。従って、本発明のヒト化抗体は、通常、選ばれた位置の最低1、2、3個若しくはそれ以上に、対応する12A11残基でのヒトL鎖フレームワーク残基の置換を含有することができる。ヒト化抗体は、通常、選ばれた位置の最低1、2、3個若しくはそれ以上に、対応する12A11残基でのヒトH鎖フレームワーク残基の置換もまた含有する。
特定の1アミノ酸が上の基準に合致するかどうかについてのあいまいさは、上の下位節cで記述されたとおり扱い得る。
置換の他の候補は、その位置でヒト免疫グロブリンにまれであるアクセプターヒトフレームワークアミノ酸である。これらのアミノ酸は、より典型的なヒト免疫グロブリンの同等の位置からのアミノ酸で置換し得る。あるいは、マウス12A11中の同等の位置からのアミノ酸を、こうしたアミノ酸が該同等の位置でヒト免疫グロブリンに典型的である場合にヒトフレームワーク領域に導入し得る。
置換の他の候補はフレームワーク領域に存在する非生殖系列残基である。既知の生殖系列配列との12A11のコンピュータ比較を実施することにより、H若しくはL鎖に対する最大の程度の配列同一性をもつ生殖系列配列を同定し得る。フレームワーク領域および生殖系列配列のアライメントは、対応する生殖系列残基での置換にどの残基を選択しうるかを示すことができる。選択したL鎖アクセプターフレームワークとこれらの生殖系列配列の1種の間で一致しない残基を、対応する生殖系列残基での置換に選択し得る。
まれなマウス残基は、ドナーVLおよび/若しくはVH配列が属する(Kabatによる)サブグループの他メンバーの配列と該ドナーVLおよび/若しくはVH配列を比較すること、ならびにコンセンサスと異なる残基位置を同定することにより同定する。これらのドナー特異的差違が、活性を増強する体細胞突然変異を指摘しうる。結合部位に近接のまれな残基はおそらく抗原を接触することができ、該マウス残基を保持することを望ましくする。しかしながら、該まれなマウス残基が結合に重要でない場合、対応するアクセプター残基の使用が好ましい。該マウス残基がヒト化抗体中に免疫原性の新エピトープを創製しうるためである。ドナー配列中のまれな残基が対応するアクセプター配列中で実際には普遍的な残基である状況では、好ましい残基は明らかにアクセプター残基である。
表3は12A11のVHおよびVL領域の配列分析を要約する。
アミノ酸置換の選択において使用し得る生殖系列配列を示す。
例示的一態様において、本発明のヒト化抗体は、(i)マウス12A11 VL CDRおよびヒトアクセプターフレームワーク(該フレームワークは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくはそれ以上の残基が対応する12A11残基で置換されている)を含んでなる可変ドメインを含んでなるL鎖、ならびに(ii)12A11 VH CDRおよびヒトアクセプターフレームワーク(該フレームワークは、最低1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくはそれ以上の残基が対応する12A11残基で置換され、また、場合によっては最低1、好ましくは2若しくは3残基が対応するヒト生殖系列残基で置換されている)を含んでなるH鎖を含有する。
別の態様において、本発明のヒト化抗体は、本明細書に記述されるところの構造の特徴を有し、かつ、以下の活性、すなわち(1)可溶性Aβを結合する;(2)凝集型Aβ1−42を結合する(例えばELISAにより測定されるとおり);(3)可溶性Aβを捕捉する;(4)斑中のAβを結合する(例えばADおよび/若しくはPDAPP斑の染色);(5)キメラ12A11(例えばマウス可変領域配列およびヒト定常領域配列を有する12A11)よりせいぜい2ないし3倍より低い親和性でAβを結合する;(6)Aβの食作用を媒介する(例えば、本明細書に記述されるところのex vivo食作用アッセイにおける);ならびに(7)血液脳関門を横断する(例えば、例えば本明細書に記述されるところのPDAPP動物モデルにおいて短期の脳局在化を示す)の最低1つ(好ましくは2、3、4若しくは全部)をさらに有する。
別の態様において、本発明のヒト化抗体は、本明細書に記述されるところの構造の特徴を有し、その結果、それは以下のin vivo効果、すなわち(1)Aβ斑負荷量を低下させる;(2)斑形成を予防する;(3)可溶性Aβのレベルを低下させる(例えば可溶性オリゴマーAβ);(4)アミロイド形成障害と関連する神経炎性の病理を低下させる;(5)アミロイド形成障害と関連する最低1種の生理学的症状を減じるか若しくは改善する;および/または(6)認知機能を改善する(例えば迅速な改善)の最低1種を導き出すのに十分な様式若しくは親和性でAβを結合する。
別の態様において、本発明のヒト化抗体は、本明細書に記述されるところの構造の特徴を有し、そしてAβの残基3−7を含んでなる1エピトープに特異的に結合する。
なお別の態様において、本発明のヒト化抗体は、本明細書に記述されるところの構造の特徴を有し、その結果、それはAβ内のN末端エピトープに結合し(例えばAβのアミノ酸3−7内の1エピトープに結合し)、かつ、(1)Aβペプチドレベル;(2)Aβ斑負荷量;および(3)アミロイド形成障害と関連する神経炎性負荷若しくは神経炎性ジストロフィーを低下させることが可能である。
一態様において、本発明のヒト化抗体は、下に配列番号88に示されるところの、IgG1定常領域に連結された12A11v.1 VH領域を包含する。
別の態様において、本発明のヒト化抗体は、下に配列番号89に示されるところの、IgG4定常領域に連結された12A11v.1 VH領域を包含する。
なお別の態様において、本発明のヒト化抗体は、下にそれぞれ配列番号90および91で示されるところの、IgG1若しくはIgG4定常領域に連結された12A11v3.1 VH領域を包含する。
いくつかの態様において、カッコ内に示されるところの末端のリシンは場合によっては発現される。
f.ヒト化10D5および15C11抗体の製造
本発明のさらなる例示的例において、本明細書に記述される治療および/若しくは診断の方法論での使用のためのヒト化10D5および15C11抗体を特徴とする。10D5および15C11はそれぞれAβのN末端および中央領域に特異的である。
10D5および15C11の抗体HおよびL鎖可変領域をコードするcDNAのクローニングおよび配列決定をそれぞれ実施例4および16に記述する。
マウス10D5および15C11のヒト化のための適するヒトアクセプター抗体配列の同定は、上の下位節cに記述されるとおり実施し得る。簡潔には、配列分析を実施して、マウスL鎖が最大の配列同一性を表すヒトL鎖を同定し得る。LおよびHヒトフレームワーク領域は、好ましくはこれらのサブタイプのヒト抗体、若しくはこうしたサブタイプのコンセンサス配列に由来する。
次に、後に続くとおり残基を置換のため選択する。アミノ酸が10D5および15C11可変フレームワーク領域と同等のヒト可変フレームワーク領域の間で異なる場合、該ヒトフレームワークアミノ酸は、通常、該アミノ酸が:
(1)抗原を直接非共有結合するか、
(2)CDR領域に隣接するか、Chothiaら、上記により提案された代替の定義のもとでCDR領域の一部であるか、若しくはCDR領域と別の方法で相互作用する(例えばCDR領域の約3A以内にある)か、または
(3)VL−VH界面に参画する
ことが合理的に期待される場合は同等のマウスアミノ酸により置換すべきである。
10D5および15C11抗体HおよびL鎖可変領域のコンピュータモデル化、ならびに110D5および15C11のヒト化は、上の下位節cでと同一の様式で実施し得る。簡潔には、HおよびL鎖の最も近い解明されたマウス抗体構造に基づき三次元モデルを生成する。該モデルを、不都合な原子接触を軽減しかつ静電およびファンデルワールス相互作用を至適化するための一連のエネルギー最小化段階によりさらに改良する。
コンピュータモデル化はCDRと相互作用する残基の同定を見込む。10D5若しくは15C11の構造のコンピュータモデルは、順に、ヒトフレームワーク構造中で置換された10D5若しくは15C11相補性決定領域を含有する抗体の三次元構造を予測するための出発点としてはたらき得る。さらなるアミノ酸置換が導入される際に構造を表す付加的なモデルを構築し得る。
一般に、上の基準を満たすアミノ酸の1個、大部分若しくは全部の置換が望ましい。従って、本発明のヒト化抗体は、しばしば、選ばれた位置の最低1、2、3個若しくはそれ以上に、対応する10D5若しくは15C11残基でのヒトL鎖フレームワーク残基の置換を含有することができる。該ヒト化抗体は、しばしば、選ばれた位置の最低1、2、3個若しくはそれ以上に、対応する10D5若しくは15C11残基でのヒトH鎖フレームワーク残基の置換もまた含有する。
ときに、特定の1アミノ酸が上の基準に合致するかどうかについてのあいまいさを、上の下位節cに記述されるとおり扱い得る。
置換の他の候補は、その位置でヒト免疫グロブリンにまれであるアクセプターヒトフレームワークアミノ酸である。これらのアミノ酸は、より典型的なヒト免疫グロブリンの同等の位置からのアミノ酸で置換され得る。あるいは、マウス10D5若しくは15C11中の同等の位置からのアミノ酸を、こうしたアミノ酸が該同等の位置でヒト免疫グロブリンに典型的である場合はヒトフレームワーク領域に導入し得る。
置換の他の候補はフレームワーク領域中に存在する非生殖系列残基である。10D5若しくは15C11の既知の生殖系列配列とのコンピュータ比較を実施することにより、H若しくはL鎖に対する最大の程度の配列同一性をもつ生殖系列配列を同定し得る。フレームワーク領域および生殖系列配列のアライメントは、対応する生殖系列残基での置換にどの残基を選択しうるかを示すことができる。選択したL鎖アクセプターフレームワークとこれらの生殖系列配列の1種の間で一致しない残基を、対応する生殖系列残基での置換に選択し得る。
10D5若しくは15C11抗体のコンピュータモデル化に使用し得るマウスおよびヒト構造、ならびにアミノ酸置換の選択において使用し得る生殖系列配列は、上の下位節cで記述された方法を使用して得ることができる。マウスおよびヒトサブグループ、ならびにマウス10D5若しくは15C11抗体の緊密に関係したホモログの同定方法もまた上述されている。まれなマウス残基は、ドナーVLおよび/若しくはVH配列が属する(Kabatによる)サブグループの他メンバーの配列とドナーVLおよび/若しくはVH配列を比較すること、ならびにコンセンサスと異なる残基位置を同定することにより同定しうる。これらのドナー特異的差違は活性を高める体細胞突然変異を指摘しうる。結合部位に近接のまれな残基はおそらく抗原と接触することができ、マウス残基を保持することを望ましくする。しかしながら、該まれなマウス残基が結合に重要でない場合、対応するアクセプター残基の使用が好ましい。該マウス残基がヒト化抗体中に免疫原性の新エピトープを創製しうるためである。ドナー配列中のまれな残基が対応するアクセプター配列中で実際には普遍的な残基である状況では、好ましい残基は明らかにアクセプター残基である。
好ましい態様において、本発明のヒト化抗体は、(i)マウス10D5若しくは15C11 VL CDRおよびヒトアクセプターフレームワーク(該フレームワークは、最低1残基が対応する10D5若しくは15C11残基で置換されている)を含んでなる可変ドメインを含んでなるL鎖、ならびに(ii)10D5若しくは15C11 VH CDRおよびヒトアクセプターフレームワーク(該フレームワークは、最低1、好ましくは2,3、4、5、6、7、8若しくは9残基が対応する10D5若しくは15C11残基で置換され、かつ、場合によっては、最低1、好ましくは2若しくは3残基が対応するヒト生殖系列残基で置換されている)を含んでなるH鎖を含有する。
他の好ましい態様において、本発明の10D5若しくは15C11ヒト化抗体は、本明細書に記述されるところの構造の特徴を有し、かつ、以下の活性、すなわち(1)可溶性Aβを結合する;(2)凝集型Aβ1−42を結合する(例えばELISAにより測定されるとおり);(3)斑中のAβを結合する(例えばADおよび/若しくはPDAPP斑の染色);(4)キメラ10D5若しくは15C11(例えば、マウス可変領域配列およびヒト定常領域配列を有する10D5若しくは15C11)と比較して2ないし3倍より高い結合親和性でAβを結合する;(5)Aβの食作用を媒介する(例えば本明細書に記述されるところのex vivo食作用アッセイにおいて);ならびに(6)血液脳関門を横断する(例えば、例えば本明細書に記述されるところPDAPP動物モデルにおいて短期の脳局在化を示す)の最低1種(好ましくは2、3、4若しくは全部)をさらに有する。
別の好ましい態様において、本発明の10D5若しくは15C11ヒト化抗体は、本明細書に記述されるところの構造の特徴を有し、かつ、さらに、以下のin vivo効果、すなわち(1)Aβ斑負荷量を低下させる;(2)斑形成を予防する;(3)可溶性Aβのレベルを低下させる;(4)アミロイド形成障害と関連する神経炎性の病理を低下させる;(5)アミロイド形成障害と関連する最低1種の生理学的症状を減じるか若しくは改善する;および/または(6)認知機能を改善する、の最低1種を導き出すのに十分な様式若しくは親和性でAβを結合する。
別の好ましい態様において、本発明の10D5ヒト化抗体は本明細書に記述されるところの構造の特徴を有し、かつ、Aβの残基3−6を含んでなる1エピトープに特異的に結合する。別の好ましい態様において、本発明の15C11ヒト化抗体は本明細書に記述されるところの構造の特徴を有し、かつ、Aβの残基19−22を含んでなる1エピトープに特異的に結合する。
別の好ましい態様において、本発明の10D5ヒト化抗体は本明細書に記述されるところの構造の特徴を有し、かつ、さらに、Aβ内のN末端エピトープに結合し(例えばAβのアミノ酸3−6内の1エピトープに結合し)、かつ、(1)Aβペプチドレベル;(2)Aβ斑負荷量;および(3)アミロイド形成障害と関連する神経炎性負荷若しくは神経炎性ジストロフィーを低下させることが可能である。
別の好ましい態様において、本発明の15C11ヒト化抗体は本明細書に記述されるところの構造の特徴を有し、かつ、さらに、Aβ内の中央のエピトープに結合し(例えばAβのアミノ酸19−22内のエピトープに結合し)、かつ、(1)Aβペプチドレベル;(2)Aβ斑負荷量;および(3)アミロイド形成障害と関連する神経炎性負荷若しくは神経炎性ジストロフィーを低下させることが可能である。
g.例示的ヒト化抗体
本発明は、Aβ関連疾患若しくは障害を処置するための、とりわけ、Aβ関連疾患若しくは障害を有する若しくはその危険性がある患者で認知の迅速な改善を遂げるための免疫学的試薬および改良された方法を特徴とする。とりわけ、該試薬および方法は、AD若しくは他のアミロイド形成疾患を有する若しくはその危険性がある患者の処置において有用である。本発明は、少なくとも部分的に、とりわけin vitroおよび/若しくはin vivo活性アッセイで測定されるところの特徴的な生物学的活性を有する多様なモノクローナル免疫グロブリンの同定および特徴付けに基づく。例示的態様において、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβを優先的に結合する(若しくはそれに対する増大された親和性を有する)抗体を、本発明の治療方法での使用のため試薬として選択する。他の例示的態様において、Aβ関連の認知障害の適切な動物モデルで有効性を示す抗体を、本発明の治療方法での使用のため試薬として選択する。抗体は、以下の活性、すなわち、βアミロイドタンパク質(Aβ)の結合(例えば可溶性および/若しくは凝集型Aβの結合)、(例えば凝集型Aβの)食作用の媒介、斑負荷量の低下、神経炎性ジストロフィーの低下および/または認知の改善(例えば被験体における)で有効の最低1種をさらに有しうる。
好ましい局面において、本発明は免疫学的試薬、とりわけAβ抗体を包含する組成物を特徴とする。ある態様において、該組成物は被験体で認知を迅速に改善させるのに有効な量の抗体を包含し、該抗体はAβ内の1エピトープに特異的であり、かつ、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合する。他の態様において、該組成物は被験体で認知を迅速に改善させるのに有効な量の抗体を包含し、該抗体はAβ内の1エピトープに特異的であり、かつ、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合するが、但し該抗体は266抗体でない。他の態様において、該組成物は被験体で認知を迅
速に改善させるのに有効な量の抗体を包含し、該抗体はAβ内の1エピトープに特異的であり、かつ、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合するが、但し該抗体は266抗体若しくは3D6抗体でない。他の態様において、該組成物は被験体で認知を迅速に改善させるのに有効な量の抗体を包含し、該抗体はAβ内の1エピトープに特異的であり、かつ、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合し、該抗体は、6時間未満若しくは3時間未満若しくは1時間未満に認知の改善を遂げることが可能である(すなわち、極めて迅速な様式で認知の改善を遂げる)。他の態様において、該組成物は被験体で認知を迅速に改善させるのに有効な量の抗体を包含し、該抗体はAβの残基1−5、2−7、3−6若しくは3−7、またはAβの16−23、16−24、19−22若しくは19−23内の1エピトープに特異的であり、かつ、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合する。ある態様において、該抗体は、本明細書に記述される3D6、6C6、2H3、10D5、12A11、2B1、1C2若しくは15C11抗体、または被験体で認知の迅速な改善を遂げることが可能である本明細書に記述されるいずれかの他の抗体と同一エピトープに結合する。目的の他の抗体は、例えば米国特許出願第10/789,273号、および国際特許出願第WO01/62801A2号明細書に記述されている。
ある態様において、該組成物は被験体で認知を迅速に改善させるのに有効な量のAβ抗体を包含し、該抗体はAβの残基1−10内の1エピトープに特異的であり、かつ、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合する。他の態様において、該組成物は被験体で認知を迅速に改善させるのに有効な量のAβ抗体を包含し、該抗体はAβの残基1−10内の1エピトープに特異的であり、かつ、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイで測定されるところのAβ関連障害の動物モデルでの認知の迅速な改善を遂げる。付加的な態様において、該組成物は被験体で認知を迅速に改善させるのに有効な量のAβ抗体を包含し、該抗体はAβの残基1−10内の1エピトープに特異的であり、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合し、かつ、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイで測定されるところのAβ関連障害の動物モデルでの認知の迅速な改善を遂げる。ある態様において、Aβ抗体はAβの残基3−7内の1エピトープに結合する。他の態様において、該免疫学的試薬は、3D6免疫学的試薬、6C6免疫学的試薬、10D5免疫学的試薬および12A11免疫学的試薬よりなる群から選択される。他の態様において、Aβ抗体は、3D6抗体、6C6抗体、10D5抗体および12A11抗体よりなる群から選択される。他の態様において、Aβ抗体は3D6抗体でない。
一態様において、該抗体は3D6抗体若しくはそのバリアント、または10D5抗体若しくはそのバリアントであることができ、それらの双方は米国特許公開第20030165496A1号、米国特許公開第20040087777A1号、国際特許公開第WO02/46237A3号明細書に記述されている。3D6および10D5の記述は、例えば国際特許公開第WO02/088306A2号および国際特許公開第WO02/088307A2号明細書にもまた見出し得る。なお別の態様において、該抗体は、米国特許出願第10/858,855号および国際特許出願第PCT/US04/17514号明細書に記述されるところの12A11抗体若しくはそのバリアントでありうる。
ある態様において、組成物は被験体で認知を迅速に改善させるのに有効な量のAβ抗体を包含し、該抗体はAβの残基13−28内の1エピトープに特異的であり、かつ、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合する。他の態様において、該組成物は被験体で認知を迅速に改善させるのに有効な量のAβ抗体を包含し、該抗体はAβの残基13−28内の1エピトープに特異的であり、かつ、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイで測定されるところのAβ関連障害の動物モデルでの認知の迅速な改善を遂げる。付加的な態様において、該組成物は被験体で認知を迅速
に改善させるのに有効な量のAβ抗体を包含し、該抗体はAβの残基13−28内の1エピトープに特異的であり、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合し、かつ、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイで測定されるところのAβ関連障害の動物モデルでの認知の迅速な改善を遂げる。ある態様において、Aβ抗体はAβの残基16−24内の1エピトープに結合する。他の態様において、免疫学的試薬は、2B1免疫学的試薬、1C2免疫学的試薬、15C11免疫学的試薬および9G8免疫学的試薬よりなる群から選択される。他の態様において、Aβ抗体は、2B1抗体、1C2抗体、15C11抗体および9G8抗体よりなる群から選択される。他の態様において、Aβ抗体は266抗体でない。ある態様において、抗体は、それと同日付に出願されかつ“Humanized Antibodies that Recognize Beta Amyloid Peptide(βアミロイドペプチドを認識するヒト化抗体)”と題された代理人整理番号ELN−055−1に対応する米国特許出願に記述されるところの15C11若しくは9G8抗体またはそれらのバリアントでありうる。
なお他の態様において、Aβ抗体は1種若しくはそれ以上の向神経活性Aβ種を中和する。他の態様において、Aβ抗体は斑を消失する。ある態様において、本発明の組成物は単一用量投与のため処方される。他の態様において、本発明の組成物は複数用量投与のため処方される。
本発明は、前述の免疫学的試薬のいずれかの組合せを包含する組成物、ならびに、有効量のこうした免疫学的試薬の組合せを投与することによる被験体での認知の迅速な改善を遂げる方法もまた特徴とする。ある態様において、抗体の組合せを投与し(例えば、抗体の組合せを包含する組成物、若しくは個別の投与のため処方された各抗体を包含する組成物)、各抗体はAβ内の1エピトープに特異的であり、かつ、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合する。他の態様において、各抗体は、6時間未満、3時間未満若しくは1時間未満で被験体での認知の改善を遂げることが可能である(すなわち極めて迅速な様式で認知の改善を遂げる)。他の態様は、有効量のAβのN末端エピトープに特異的である抗体およびAβの中央エピトープに特異的である抗体の投与を特徴とし、各抗体は被験体での認知の迅速な改善を遂げることが可能である。なお他の態様は、有効量のAβの残基1−10、1−5、2−7、3−6若しくは3−7内の1エピトープに特異的な抗体およびAβの16−23、16−24、19−22若しくは19−23内の1エピトープに特異的な抗体の投与を特徴とする。本発明の他の態様は、3D6免疫学的試薬、6C6免疫学的試薬、10D5免疫学的試薬、12A11免疫学的試薬、2B1免疫学的試薬、1C2免疫学的試薬、15C11免疫学的試薬、9G8免疫学的試薬および266免疫学的試薬よりなる群から選択される免疫学的試薬の組合せを特徴とする。なお他の態様は、各抗体が3D6、6C6、2H3、10D5、12A11、2B1、1C2、15C11若しくは266抗体と同一のエピトープに結合する抗体の組合せを特徴とする。ある態様において、各抗体が3D6抗体、6C6抗体、10D5抗体、12A11抗体、2B1抗体、1C2抗体、15C11抗体、9G8抗体および266抗体よりなる群から選択される抗体の組合せが投与される。
本発明はさらに、選択された免疫グロブリンの可変LおよびH鎖の一次および二次構造の決定および構造の特徴付け、ならびに活性および免疫原性に重要な残基の同定に基づく。
本明細書に記述されるモノクローナル免疫グロブリンの可変Lおよび/若しくは可変H鎖を包含する免疫グロブリンを特徴とする。ヒト化可変Lおよび/若しくはヒト化可変H鎖を包含する好ましい免疫グロブリン、例えば治療的免疫グロブリンを特徴とする。好ましい可変Lおよび/若しくは可変H鎖は選択免疫グロブリン(例えばドナー免疫グロブリ
ン)からの相補性決定領域(CDR)およびヒトアクセプター免疫グロブリンから若しくは実質的にそれからの可変フレームワーク領域を包含する。「実質的にヒトアクセプター免疫グロブリンから」という句は、大多数の若しくは重要なフレームワーク残基がヒトアクセプター配列からであるが、しかしながらヒト化免疫グロブリンの活性を向上させる(例えばそれがドナー免疫グロブリンの活性をより緊密に模倣するような活性を変える)よう選択された、若しくはヒト化免疫グロブリンの免疫原性を低下させるよう選択された残基での、ある位置の残基の置換を見込むことを意味している。
一態様において、本発明は、マウスモノクローナル抗体可変領域の相補性決定領域(CDR)を包含し(すなわち、それぞれ、配列番号2、14、18、28若しくは57として示されるL鎖可変領域配列からの1、2若しくは3個のCDRを包含し、かつ/または配列番号4、16、20、30若しくは59として示されるH鎖可変領域配列からの1、2若しくは3個のCDRを包含する)、ならびに、場合によってはフレームワーク残基の最低1残基が対応するマウス残基に戻し突然変異されている(前記戻し突然変異はAβ結合を指図する該鎖の能力に実質的に影響を及ぼさない)、ヒトアクセプター免疫グロブリンL若しくはH鎖配列からの可変フレームワーク領域を包含する、ヒト化免疫グロブリンL若しくはH鎖を特徴とする。
一態様において、本発明は、マウスモノクローナル抗体可変領域の相補性決定領域(CDR)を包含し(すなわち、それぞれ、配列番号2、14、18、28若しくは57として示されるL鎖可変領域配列からの1、2若しくは3個のCDRを包含し、かつ/または配列番号4、16、20、30若しくは59として示されるH鎖可変領域配列からの1、2若しくは3個のCDRを包含する)、ならびに、場合によってはフレームワーク残基の最低1残基が対応するマウス残基に戻し突然変異されている(前記戻し突然変異はAβ結合を指図する該鎖の能力に実質的に影響を及ぼさない)、実質的にヒトアクセプター免疫グロブリンL若しくはH鎖配列からの可変フレームワーク領域を包含する、ヒト化免疫グロブリンL若しくはH鎖を特徴とする。
別の態様において、本発明は、マウスモノクローナル抗体可変領域の相補性決定領域(CDR)を包含し(例えば、それぞれ、配列番号2、14、18、28若しくは57として示されるL鎖可変領域配列からの1、2若しくは3個のCDRを包含し、かつ/または配列番号4、16、20、30若しくは59として示されるH鎖可変領域配列からの1、2若しくは3個のCDRを包含する)、ならびに、場合によっては最低1個のフレームワーク残基がマウスL若しくはH鎖可変領域配列からの対応するアミノ酸残基で置換されている、実質的にヒトアクセプター免疫グロブリンL若しくはH鎖配列からの可変フレームワーク領域を包含する、ヒト化免疫グロブリンL若しくはH鎖を特徴とし、該フレームワーク残基は、(a)抗原を直接非共有結合する残基;(b)CDRに隣接する残基;(c)CDRと相互作用する残基(例えば相同な既知の免疫グロブリン鎖の解明された構造でL若しくはH鎖をモデル化することにより同定される);および(d)VL−VH界面に参画する残基よりなる群から選択される。
別の態様において、本発明はマウスモノクローナル抗体の可変領域CDR、ならびに場合によっては最低1個のフレームワーク残基がマウスL若しくはH鎖可変領域配列からの対応するアミノ酸残基で置換されている、ヒトアクセプター免疫グロブリンL若しくはH鎖配列からの可変フレームワーク領域を包含する、ヒト化免疫グロブリンL若しくはH鎖を特徴とし、該フレームワーク残基は、可変領域の三次元モデルの解析により同定されるところのL鎖可変領域のコンホメーション若しくは機能に影響を及ぼすことが可能な残基、例えば抗原と相互作用することが可能な残基、抗原結合部位に近接した残基、CDRと相互作用することが可能な残基、CDRに隣接する残基、CDR残基の6Å以内の残基、正準残基、バーニア領域(verier zone)残基、鎖間充填残基、まれな残基、若しくは構造モデルの表面上のグリコシル化部位残基である。
別の態様において、本発明は、上述された置換に加え最低1個のまれなヒトフレームワーク残基の置換を特徴とする。例えば、まれな残基を、その位置でヒト可変鎖配列に共通であるアミノ酸残基で置換し得る。あるいは、まれな残基は、相同な生殖系列可変鎖配列からの対応するアミノ酸残基で置換し得る。
他の態様において、本発明の方法は、前記ポリペプチドをコードするのに適するポリヌクレオチド試薬、ベクターおよび宿主細胞を包含する、本明細書で特徴とされるモノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)を含んでなるポリペプチドを特徴とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記述されるところのヒト化免疫グロブリンおよび製薬学的担体を包含する製薬学的組成物を特徴とする。本明細書に記述される免疫グロブリンまたは免疫グロブリンフラグメント若しくは鎖を製造するための単離された核酸分子、ベクターおよび宿主細胞、ならびに前記免疫グロブリン、免疫グロブリンフラグメント若しくは免疫グロブリン鎖の製造方法もまた特徴とする。
本発明はさらに、本発明のヒト化免疫グロブリンを製造する場合に置換の影響を受けやすい残基の同定方法を特徴とする。例えば、置換の影響を受けやすい可変フレームワーク領域残基の同定方法は、解明された相同な免疫グロブリン構造上で選択されたマウスモノクローナル抗体可変領域の三次元構造をモデル化すること、および、置換の影響を受けやすい残基が同定されるように、免疫グロブリン可変領域のコンホメーション若しくは機能に影響を及ぼすことが可能な残基について前記モデルを分析することを必要とする。本発明はさらに、免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖若しくはそれらのドメインの三次元像の作製における、配列番号2、14、18、28若しくは37または配列番号4、16、20、30若しくは59として示される可変領域配列、あるいはそれらのいずれかの部分の使用を特徴とする。
上述された抗体の活性は、本明細書若しくは当該技術分野で記述される多様なアッセイのいずれか1種(例えば結合アッセイ、食作用アッセイなど)を利用して測定し得る。活性は、in vivo(例えば標識したアッセイ成分および/若しくは画像化技術を使用して)またはin vitro(例えば被験体由来のサンプル若しくは試料を使用して)のいずれでもアッセイし得る。活性は直接若しくは間接のいずれでもアッセイし得る。ある好ましい態様において、神経学的エンドポイント(例えばアミロイド負荷量、神経炎性負荷など)をアッセイする。こうしたエンドポイントは、非侵襲的検出の方法論を使用して生存被験体で(例えばアルツハイマー病の動物モデル若しくは例えば免疫療法を受けているヒト被験体で)アッセイし得る。あるいは、こうしたエンドポイントは死後の被験体でアッセイし得る。動物モデルおよび/若しくは死後のヒト被験体でこうしたエンドポイントをアッセイすることは、類似の免疫療法の応用で利用されるべき多様な剤(例えばヒト化抗体)の有効性の評価において有用である。他の好ましい態様において、上の神経病理学的活性若しくはエンドポイントの指標として行動若しくは神経学的パラメータを評価し得る。
3.可変領域の製造
ヒト化免疫グロブリンのCDRおよびフレームワーク成分を概念的に選択したら、多様な方法がこうした免疫グロブリンを製造するのに利用可能である。一般に、抗体のHおよび/若しくはL鎖のマウスの相補性決定領域(CDR)の1個若しくはそれ以上をヒト化、例えばプライマーに基づくポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して1種若しくはそれ以上のヒトフレームワーク領域の情況に置くことができる。簡潔には、ヒトフレームワーク領域に重なりかつそれとアニーリングし得る配列もまた含有する標的マウスCDR領域(1個若しくは複数)にアニーリングすることが可能であるプライマーを設計する。従って、適切な条件下で、プライマーはマウスCDRをマウス抗体鋳型核酸から増幅しかつ増幅した鋳型にヒトフレームワーク配列の一部分を付加し得る。同様に、これらのプライマーを使用するPCR反応が増幅されたヒトフレームワーク領域(1種若しくは複数)をもたらす標的ヒトフレームワーク領域(1種若しくは複数)にアニーリングすることが可能であるプライマーを設計し得る。各増幅産物をその後変性し、組合せかつ他の産物にアニーリングさせる場合、増幅されたヒトフレームワーク配列と重なるヒトフレームワーク配列を有するマウスCDR領域を遺伝子的に連結し得る。従って、1種若しくはそれ以上のこうした反応で、1個若しくはそれ以上のマウスCDR領域を介在するヒトフレームワーク領域に遺伝子的に連結し得る。
いくつかの態様において、プライマーは、結果として生じたPCR増幅配列の、より大きな遺伝子セグメント、例えば可変L若しくはH鎖セグメント、H鎖またはベクターへの遺伝子工作を容易にするための所望の制限酵素認識配列もまた含みうる。加えて、マウスCDR領域若しくはヒトフレームワーク領域いずれかを増幅するのに使用されるプライマーも、異なるコドンがマウスCDR若しくはヒトフレームワーク領域に導入されているような、所望の不適正を有しうる。典型的な不適正は、本明細書に記述されるとおり、マウスCDRの構造の向きおよび従ってその結合親和性を保存若しくは改良する変化をヒトフレームワーク領域に導入する。
前述のアプローチを使用して、1、2若しくは全3個のマウスCDR領域を介在するヒトフレームワーク領域の情況に導入し得ることが理解されるべきである。プライマーに基づくPCRを使用する多様な配列の増幅および連結方法は、例えば、Sambrook、FritschとManiatis、Molecular Cloning:Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989);DNA
Cloning、Vol.1および2、(D.N.Glover編 1985);PCR Handbook Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry、Beaucage編、John Wiley & Sons(1999)(編者);Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編、John Wiley & Sons(1992)に記述されている。
暗号の縮重により、多様な核酸配列が各免疫グロブリンアミノ酸配列をコードすることができる。所望の核酸配列は、所望のポリヌクレオチドの以前に調製されたバリアントの新規固相DNA合成若しくはPCR突然変異誘発により製造し得る。オリゴヌクレオチド媒介性の突然変異誘発は、標的ポリペプチドDNAの置換、欠失および挿入バリアントの好ましい製造方法である。Adelmanら、DNA 2:183(1983)を参照されたい。簡潔には、標的ポリペプチドDNAを、所望の突然変異をコードするオリゴヌクレオチドを一本鎖DNA鋳型にハイブリダイズさせることにより変える。ハイブリダイゼーション後に、DNAポリメラーゼを使用して、該オリゴヌクレオチドプライマーを組み込みかつ標的ポリペプチドDNA中で選択された変化をコードする鋳型の完全な第二の相補鎖を合成する。
4.定常領域の選択
上述されたとおり製造した抗体の可変セグメント(例えばキメラ若しくはヒト化抗体のHおよびL鎖可変領域)は、典型的には免疫グロブリン定常領域(Fc領域)(典型的にはヒト免疫グロブリンのもの)の少なくとも一部分に連結する。ヒト定常領域のDNA配列は多様なヒト細胞、しかし好ましくは不死化B細胞から公知の手順に従って単離し得る(Kabatら、上記、およびLiuら、第W087/02671号明細書(それらのそれぞれは全部の目的上そっくりそのまま引用することにより組み込まれる)を参照された
い)。通常、抗体はL鎖およびH鎖双方の定常領域を含有することができる。H鎖定常領域は通常CH1、ヒンジ、CH2、CH3およびCH4領域を包含する。本明細書に記述される抗体は、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEを包含する全部の型の定常領域、ならびにIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を包含するいかなるアイソタイプも有する抗体を包含する。抗体(例えばヒト化抗体)が細胞傷害活性を表すことが望ましい場合、定常ドメインは通常相補固定定常ドメインであり、かつ、クラスは典型的にIgG1である。ヒトアイソタイプIgG1およびIgG4が例示的である。L鎖定常領域はλ若しくはκであり得る。ヒト化抗体は、1種以上のクラス若しくはアイソタイプからの配列を含みうる。抗体は、2本のLおよび2本のH鎖を含有する四量体として、別個のH鎖、L鎖として、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvとして、若しくはHおよびL鎖可変ドメインがスペーサーにより連結されている一本鎖抗体として発現し得る。
いくつかの態様において、本明細書に記述されるヒト化抗体は、例えば米国特許第6,946,292号明細書(その内容全体は本明細書に引用することにより組み込まれる)に記述されるもののような技術を使用して、それらの抗原依存性細胞傷害(ADCC)活性を高めるよう改変する。抗体のADCC活性は、一般に、例えばキラー細胞、ナチュラルキラー細胞および活性化型マクロファージのようなエフェクター細胞の表面上に存在する抗体受容体への抗体のFc領域の結合を必要とすると考えられる。ヒト化抗体(すなわちFc領域中)の炭水化物構造のフコシル化を変える(例えば減少若しくは除外する)ことにより、抗体のADCC活性は、in vitroで、未修飾のヒト化抗体に関して例えば10倍若しくは20倍若しくは30倍若しくは40倍若しくは50倍若しくは100倍高め得る。増大されたADCC活性のため、こうした修飾された抗体は、それらの未修飾の対照物より低投薬量で使用し得、そして一般に患者でより少ない若しくは低下された副作用を有し得る。
いくつかの態様において、こうした抗体がアグリコシル化された定常領域を包含する、ヒト化抗体のアグリコシルバージョンを特徴とする。Asn−297のオリゴ糖が正常なヒトIgG抗体の特徴的特徴である(Kabatら、1987、Sequence of
Proteins of Immunological Interest、米国保健福祉省刊行物(U.S.Department of Health Human Services Publication)を参照されたい)。IgG分子中の2本のH鎖のそれぞれは、例えば位置297のアスパラギン残基のアミド基に連結されている単一の分枝状鎖炭水化物基を有する。例えばアスパラギンのアラニンでの置換は、例えば米国特許第6,706,265号明細書(引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されるとおり抗体のグリコシル化を予防する。特定の一態様において、位置297のアミノ酸残基Asnをアラニンに突然変異する。
5.組換え抗体の発現
キメラおよびヒト化抗体は典型的に組換え発現により製造する。場合によっては定常領域に連結されたLおよびH鎖可変領域をコードする核酸を発現ベクターに挿入する。LおよびH鎖は同一若しくは異なる発現ベクターにクローン化し得る。免疫グロブリン鎖をコードするDNAセグメントは、免疫グロブリンポリペプチドの発現を確実にする、発現ベクター(1種若しくは複数)中の制御配列に作動可能に連結される。発現制御配列は、限定されるものでないが、プロモーター(例えば天然に関連する若しくは異種のプロモーター)、シグナル配列、エンハンサー要素および転写終止配列を挙げることができる。好ましくは、発現制御配列は、真核生物宿主細胞(例えばCOS若しくはCHO細胞)を形質転換若しくはトランスフェクトすることが可能なベクター中の真核生物プロモーター系である。ベクターが適切な宿主に一旦組み込まれれば、該宿主を、ヌクレオチド配列の高レベル発現、ならびに交差反応性抗体の収集および精製に適する条件下で維持する。
これらの発現ベクターは、典型的に、エピソーム若しくは宿主染色体DNAの一体部分のいずれかとして宿主生物体中で複製可能である。一般に、発現ベクターは、所望のDNA配列で形質転換した細胞の検出を可能にするための選択マーカー(例えば、アンピシリン耐性、ハイグロマイシン耐性、テトラサイクリン耐性、カナマイシン耐性若しくはネオマイシン耐性)を含有する(例えば、Itakuraら、米国特許第4,704,362号明細書を参照されたい)。
大腸菌(E.coli)は本発明のポリヌクレオチド(例えばDNA配列)をクローン化するのにとりわけ有用な1種の原核生物宿主である。使用に適する他の細菌宿主は、枯草菌(Bacillus subtilis)のような桿菌、ならびにサルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)および多様なシュードモナス属(Pseudomonas)スピーシーズのような他の腸内細菌科を包含する。これらの原核生物宿主中で、該宿主細胞と適合性の発現制御配列(例えば複製起点)を典型的に含有することができる発現ベクターもまた作成し得る。加えて、乳糖プロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、β−ラクタマーゼプロモーター系、若しくはファージλからのプロモーター系のようないずれかの数の多様な公知のプロモーターが存在することができる。プロモーターは、典型的には、場合によってはオペレーター配列を伴い発現を制御することができ、また、転写および翻訳を開始および終了させるためのリボソーム結合部位配列などを有することができる。
酵母のような他の微生物もまた発現に有用である。サッカロミセス属(Saccharomyces)は好ましい酵母宿主であり、適するベクターは発現制御配列(例えばプロモーター)、複製起点、終止配列などを所望のとおり有する。典型的なプロモーターは3−ホスホグリセリン酸キナーゼおよび他の解糖酵素を包含する。誘導可能な酵母プロモーターは、とりわけ、アルコール脱水素酵素、イソチトクロームC、ならびに麦芽糖およびガラクトース利用を司る酵素からのプロモーターを包含する。
微生物に加え、哺乳動物組織細胞培養物もまた本発明のポリペプチドを発現かつ製造するのに使用しうる(例えば免疫グロブリン若しくはそれらのフラグメントをコードするポリヌクレオチド)。Winnacker、From Genes to Clones、VCH Publishers、ニューヨーク州ニューヨーク(1987)を参照されたい。真核生物細胞は、異種タンパク質(例えば無傷の免疫グロブリン)を分泌することが可能な多数の適する宿主細胞株が当該技術分野で開発されているため実際に好ましく、そしてCHO細胞株、多様なCos細胞株、HeLa細胞、好ましくは骨髄腫細胞株、若しくは形質転換B細胞またはハイブリドーマを包含する。好ましくは細胞はヒト以外である。これらの細胞のための発現ベクターは、複製起点、プロモーターおよびエンハンサー(Queenら、Immunol.Rev.89:49(1986))のような発現制御配列、ならびにリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位および転写終止配列のような必要なプロセシング情報部位を包含し得る。好ましい発現制御配列は、免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、サイトメガロウイルスなど由来のプロモーターである。Coら、J.Immunol.148:1149(1992)を参照されたい。
あるいは、抗体をコードする配列は、トランスジェニック動物のゲノムへの導入および該トランスジェニック動物の乳中でのその後の発現のため、導入遺伝子に組み込み得る(例えば、Deboerら、米国特許第5,741,957号、Rosen、米国特許第5,304,489号、およびMeadeら、米国特許第5,849,992号明細書を参照されたい)。適する導入遺伝子は、カゼイン若しくはβ−ラクトグロブリンのような乳腺特異的遺伝子からのプロモーターおよびエンハンサーとの操作可能な連結にあるLおよび/若しくはH鎖のコーディング配列を包含する。
あるいは、本発明の抗体(例えばヒト化抗体)はトランスジェニック植物(例えばタバコ、トウモロコシ、ダイズおよびアルファルファ)中で製造し得る。改良された「プランティボディ(plantibody)」ベクター(Hendyら(1999)J.Immunol.Methods 231:137−146)、および形質転換可能な作物種の増大と結合された精製戦略が、こうした方法を、ヒトおよび動物の治療のみならずしかし同様に工業的応用のためにも組換え免疫グロブリンの実際的かつ効率的な製造手段にする。さらに、植物で産生される抗体は安全かつ有効であることが示されており、また、動物由来材料の使用、および従って伝染性海綿状脳症(TSE)の病原体での汚染の危険を回避する。さらに、植物および哺乳動物細胞で産生される抗体のグリコシル化パターンの差違は抗原結合若しくは特異性にほとんど若しくは全く影響を有しない。加えて、毒性すなわちHAMAの証拠は、植物由来の分泌型二量体IgA抗体の局所経口適用を受領する患者で観察されていない(Larrickら(1998)Res.Immunol.149:603−608を参照されたい)。
トランスジェニック植物で組換え抗体を発現するのに多様な方法を使用しうる。例えば、抗体HおよびL鎖を発現ベクター(例えばアグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ベクター)に独立にクローン化し得、次いで該組換え細菌で植物組織をin vitroで形質転換するか、若しくは例えば該ベクターで被覆した粒子(その後例えば遺伝子銃を使用して植物組織に物理的に導入する)を使用して直接形質転換する。その後、個々の鎖を発現する全植物を再構成し、次いでそれらを性的交雑し、最終的に完全に集成されかつ機能的な抗体の産生をもたらす。類似のプロトコルが、タバコ植物で機能的抗体を発現するのに使用されている(Hiattら(1989)Nature 342:76−87を参照されたい)。多様な態様において、シグナル配列を利用して、未集成の抗体鎖を適切な植物環境(例えばアポプラズマまたは根茎、果実若しくは種子を包含する他の特定の植物組織の水性環境)に向けることにより該鎖の発現、結合およびフォールディングを促進しうる(Fiedlerら(1995)Bio/Technology 13:1090−1093を参照されたい)。植物バイオリアクターもまた、抗体収量を増大させかつ費用を大きく低減させるのに使用し得る。
目的のポリヌクレオチド配列(例えばHおよびL鎖をコードする配列および発現制御配列)を含有するベクターは、細胞宿主の型に依存して変動する公知の方法により宿主細胞に移入し得る。例えば、塩化カルシウムトランスフェクションは原核生物細胞に一般に利用される一方、リン酸カルシウム処理、電気穿孔法、リポフェクション、遺伝子銃若しくはウイルスに基づくトランスフェクションを他の細胞宿主に使用しうる(全般として、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Press、第2版、1989)(全部の目的上そっくりそのまま引用することにより組み込まれる)を参照されたい)。哺乳動物細胞を形質転換するのに使用される他の方法は、ポリブレン、プロトプラスト融合、リポソーム、電気穿孔法および微小注入法の使用を包含する(全般として、Sambrookら、上記を参照されたい)。トランスジェニック動物の製造のためには、導入遺伝子を受精卵母細胞に微小注入し得るか、若しくは胚性幹細胞のゲノムに組み込み得、そしてこうした細胞の核を除核卵母細胞に移入し得る。
HおよびL鎖を別個の発現ベクターにクローン化する場合、該ベクターをコトランスフェクトして無傷の免疫グロブリンの発現および集成を得る。一旦発現されれば、全抗体、それらの二量体、個々のLおよびH鎖、若しくは本発明の他の免疫グロブリンの形態を、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、HPLC精製、ゲル電気泳動などを包含する当該技術分野の標準的手順に従って精製し得る(全般として、Scopes、Protein Purification(Springer−Verlag、ニューヨーク(1982)を参照されたい)。製薬学的使用には、最低約90ないし95%均一な実質的に純粋な免疫グロブリンが好ましく、そして98ないし99%若しくはそれ以上の均一性が最も好ましい。
6.抗体フラグメント
抗体フラグメントもまた本発明の範囲内で企図している。一態様において、ヒト以外のおよび/若しくはキメラの抗体のフラグメントが提供される。別の態様において、ヒト化抗体のフラグメントが提供される。典型的には、これらのフラグメントは最低10、およびより典型的には10若しくは10−1の親和性での抗原への特異的結合を表す。ヒト化抗体フラグメントは、別個のH鎖、L鎖、Fab、Fab’、F(ab’)2、FabcおよびFvを包含する。フラグメントは組換えDNA技術、または無傷の免疫グロブリンの酵素的若しくは化学的分離により製造する。
いくつかの態様において、抗体フラグメント(例えばFab若しくはFab’)の一般に短い半減期がペグ化により延長される。これは一般に、例えばLeongら Cytokine 16、106−119(2001)により記述されるとおりポリエチレングリコール(PEG)への融合により達成される。ペグ化は、所望の場合はFc受容体に媒介される機能を排除しかつ/若しくは免疫原性を低下させるという付加された利点を有する。例示的態様において、2〜20kDaのPEG分子を、例えば、K−リンカー−Cを介して抗体H鎖ヒンジ領域に共有結合する(例えば、Choyら、Rheumatol.41:1133−1137(2002)を参照されたい)。
7.エピトープマッピング
エピトープマッピングを実施して、Aβのどの抗原決定基すなわちエピトープが該抗体により認識されるかを決定し得る。一態様において、エピトープマッピングは置換NET(rNET)分析に従って実施する。rNETエピトープ地図アッセイは、該抗体の全体的結合活性への該エピトープ内の個々の残基の寄与についての情報を提供する。rNET分析は合成された体系的単一置換ペプチドアナログを使用する。試験されている抗体の結合を、天然のペプチド(天然の抗原)および19種の代替の「単一置換」ペプチド(各ペプチドは第一の位置でその位置の19種の非天然のアミノ酸の1種で置換されている)に対し測定する。多様な非天然の残基でのその位置の置換の影響を反映したプロファイルが生成される。プロファイルは同様に、抗原ペプチドに沿った連続する位置でも生成される。組み合わせたプロファイル、すなわちエピトープ地図(全19種の非天然のアミノ酸での各位置の置換を反映する)をその後、第二の抗体について同様に生成した地図と比較し得る。実質的に類似若しくは同一の地図は、比較されている抗体が同一若しくは類似のエピトープ特異性を有することを示す。
8.動物モデルでの治療的有効性(例えば斑消失活性)についての抗体の試験
7〜9月齢のPDAPPマウスの群それぞれに、PBS中0.5mgのポリクローナル抗Aβ若しくは特異的抗Aβモノクローナル、ヒト化またはキメラ抗体を注入する。全抗体調製物は低エンドトキシンレベルを有するように精製する。モノクローナル抗体は、Aβのフラグメント若しくはより長い形態をマウスに注入すること、ハイブリドーマを調製すること、およびAβの他の重ならないフラグメントに結合することなくAβの所望の1フラグメントに特異的に結合する抗体について該ハイブリドーマをスクリーニングすることにより、1フラグメントに対し製造し得る。ヒト化および/若しくはキメラ抗体は本明細書に記述されるとおり製造する。
Aβ42若しくは他の免疫原に対するELISAにより定義される1/1000以上の
ELISA力価により測定される循環抗体濃度を維持ため、マウスに4か月間にわたり必要とされるように腹腔内注入する。力価をモニターし、そしてマウスを6か月の注入の終了時に安楽死させる。組織化学、Aβレベルおよび毒物学を死後に実施する。10匹のマウスを1群あたりに使用する。
9.可溶性オリゴマーAβへの結合についての抗体の試験
本発明はまた、生化学的アッセイでの可溶性のオリゴマーAβに結合する抗体の能力の試験方法も提供する。該生化学的アッセイは、少なくとも部分的に、単量体Aβへの抗体の結合に比較した1種若しくはそれ以上の形態の可溶性オリゴマーAβ(例えばAβ二量体、Aβ三量体、Aβ四量体、Aβ五量体など)への該抗体の結合の比較に基づく。この比較を使用して、単量体Aβに比較しての可溶性オリゴマーAβへの抗体の相対的結合を決定し得る。多様な態様において、この相対的結合を、単量体Aβに対する1種若しくはそれ以上の可溶性オリゴマーAβへの対照試薬の対応する相対的結合と比較する。他の局面において、1種若しくはそれ以上のオリゴマーAβ種に対する抗体の親和性を、Aβ調製物中の単量体Aβに対する該抗体の親和性と比較する。可溶性オリゴマーAβ種を優先的に結合するAβ抗体の能力と、詳細に下述されるところの適切なモデル動物でのCFCアッセイにより評価されるところの認知を迅速に改善する該抗体の能力の間に、強い相関が存在することが発見された。CFCアッセイでの認知を改善する抗体の能力は、該抗体の最終的なヒト治療の有効性(とりわけ患者での認知の迅速な改善における有効性)の強力な指標若しくは予測因子であるとさらに考えられる。従って、Aβ抗体結合の優先性および/若しくは親和性の比較は、本発明の治療法での使用、とりわけ患者で認知の迅速な改善を遂げる方法での使用のための候補としてのある種の抗体の同定に至る。
候補抗体は、単量体Aβに比較して1種若しくはそれ以上の可溶性オリゴマーAβ種への優先的なすなわちより大きい結合を表す。単量体Aβに比較して例えばAβ二量体、三量体および四量体に優先的に結合する抗体は、患者で認知の迅速な改善を遂げる方法での使用のための好ましい候補である。例えば、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβ種への2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍若しくはそれ以上大きい結合を表す候補抗体を、治療方法での使用に選択する。
1種若しくはそれ以上の可溶性オリゴマーAβ種または単量体Aβへの抗体の結合は、定性的、定量的、若しくは双方の組合せで測定し得る。一般に、該種を含んでなるAβ調製物中の単量体AβとオリゴマーAβ種を識別することが可能ないかなる技術も使用し得る。例示的態様において、免疫沈降法、電気泳動分離およびクロマトグラフィー分離(例えば液体クロマトグラフィー)の1種若しくはそれ以上を使用して、該種を含んでなるAβ調製物中の単量体AβとオリゴマーAβ種を識別し得る。
好ましい態様において、1種若しくはそれ以上の可溶性のオリゴマーAβ種または単量体Aβへの抗体の結合は、Aβ種を調製物から免疫沈降させることにより測定する。免疫沈降物をその後電気泳動分離(例えばSDS−PAGE)にかけて、オリゴマー種を沈殿物中の単量体Aβと識別する。電気泳動バンド中に存在するオリゴマーAβ種および単量体Aβの量は、例えば電気泳動ゲルのイムノブロッティング、若しくは電気泳動ゲルのバンド中のそれぞれの種の直接定量により可視化し得る。1Aβ種の沈殿物の量は、例えば対応する電気泳動バンド、イムノブロットのバンド若しくは双方の組合せの強度から測定し得る。強度の測定は定性的、定量的若しくは双方の組み合わせであり得る。
バンド強度の評価は、例えば、走査し得る適切なフィルム露光、およびソフトウェア、例えばAlphaEaseTMソフトウェア(AlphaInnotechTM)で測定されるバンドの強度を使用して実施し得る。バンド強度の評価は、例えば抗体、画像化試薬(例えばイムノブロットで使用される抗体)若しくは双方に取り込まれる多数の標識の
いずれを使用しても実施し得る。適する標識は、限定されるものでないが、蛍光標識、放射活性標識、常磁性標識、若しくはそれらの組合せを挙げることができる。
多様な態様において、抗体に結合する1種若しくはそれ以上のオリゴマーAβ種および/若しくは単量体Aβの量は、例えばそれを抗体と接触させた適する時間後のAβ調製物それ自身、あるいは、Aβ調製物から抽出された抗体に結合した単量体Aβおよび/または1種若しくはそれ以上の可溶性オリゴマーAβ種での質量分析を使用して評価し得る。
ある局面において、1種若しくはそれ以上のオリゴマーAβ種に対する抗体の親和性を単量体Aβに対する該抗体の親和性と比較して、本発明の治療方法での使用、とりわけ患者での認知の迅速な改善を遂げる方法での使用の候補として該抗体を同定する。単量体Aβに比較してのオリゴマーAβに対する試験抗体(例えばAβ抗体)の親和性を、対照試薬の結合親和性と比較し得る。標識を使用して単量体Aβ、オリゴマーAβ若しくは双方に対する抗体の親和性を評価し得る。多様な態様において、Aβに対する親和性をもつ一次試薬は未標識であり、そして二次標識剤を使用して一次試薬に結合する。適する標識は、限定されるものでないが蛍光標識、常磁性標識、放射活性標識およびそれらの組合せを挙げることができる。
ある局面において、本発明の方法は、被験体での免疫治療の有効性を適して予測するアッセイの使用において抗Aβ抗体が同定される、被験体での認知を迅速に改善することが可能である抗Aβ抗体の投与を特徴とする。例示的態様において、該アッセイは、試験免疫治療薬へのAβ調製物中の1種若しくはそれ以上のAβオリゴマーの結合の、試験免疫治療薬へのAβ調製物中のAβ単量体の結合との比較に少なくとも部分的に基づく生化学的アッセイである。1種若しくはそれ以上のAβオリゴマーは、例えばAβ二量体、Aβ三量体、Aβ四量体およびAβ五量体の1種若しくはそれ以上を包含し得る。多様な態様において、試験免疫治療薬は、試験免疫治療薬へのAβ調製物中の1種若しくはそれ以上のAβオリゴマーの結合が試験免疫治療薬へのAβ調製物中Aβ単量体の結合より大きい場合に同定される。試験免疫学的試薬に結合するAβ調製物中のAβ単量体および1種若しくはそれ以上のAβオリゴマー種の量は、生化学的方法を使用して、例えば試験免疫学的試薬に結合されたAβ単量体および1種若しくはそれ以上のAβオリゴマー種をAβ調製物から沈殿させるための免疫沈降法、次いで免疫沈降物の電気泳動分離を使用して評価し得る。こうした生化学的アッセイは、本明細書、ならびに双方とも“AN IMMUNOPRECIPITATION−BASED ASSAY FORPREDICTING IN VIVO EFFICACY OF BETA−AMYLOID ANTIBODIES(βアミロイド抗体のin vivo有効性を予測するための免疫沈降に基づくアッセイ)”と題された、2004年12月15日出願の米国仮出願第60/636,687号および2005年11月10日出願の同第60/736,045号明細書(それぞれの内容全体は本明細書に引用することにより組み込まれる)にさらに論考されている。
10.消失活性についての抗体のスクリーニング
本発明は、消失活性が望ましいアミロイド沈着物若しくはいずれかの他の抗原、または関連する生物学的実体の消失における活性についての抗体のスクリーニング方法もまた提供する。アミロイド沈着物に対する活性についてスクリーニングするため、アルツハイマー病を伴う患者、若しくは特徴的なアルツハイマーの病理学を有する動物モデルの脳からの組織サンプルを、小膠細胞のようなFc受容体を担持する食細胞および試験中の抗体と媒体中でin vitroで接触させる。食細胞は初代培養物若しくは細胞株であり得、そしてマウス(例えばBV−2若しくはC8−B4細胞)またはヒト起源(例えばTHP−1細胞)のものであり得る。いくつかの方法において、顕微鏡モニタリングを容易にするために成分を顕微鏡用スライドガラス上で組合せる。いくつかの方法において、複数の反応をマイクロタイター皿のウェル中で同時に実施する。こうした形式では、別個の小型顕微鏡用スライドガラスを別個のウェルにマウントし得るか、若しくはAβのELISA検出のような非顕微鏡的検出形式を使用し得る。好ましくは、一連の測定は、反応が進行する前の基礎値から出発するin vitro反応混合物中のアミロイド沈着物の量、および反応中の1個若しくはそれ以上の試験値から構成される。抗原は、例えばAβ若しくはアミロイド斑の他成分に対する蛍光標識抗体での染色により検出し得る。染色に使用する抗体は、消失活性について試験されている抗体と同一であってももしくはなくてもよい。アミロイド沈着物の反応中の基礎に関しての低下は、試験中の抗体が消失活性を有することを示す。こうした抗体はアルツハイマー病および他のアミロイド形成疾患の予防若しくは処置において有用であることがありそうである。アルツハイマー病および他のアミロイド形成疾患を予防若しくは処置するためのとりわけ有用な抗体は、稠密および拡散双方のアミロイド斑を消失させることが可能なもの、例えば本発明の12A11抗体、またはそのキメラ若しくはヒト化バージョンを包含する。
類似の方法を使用して、他の型の生物学的実体の消失における活性について抗体をスクリーニングし得る。該アッセイを使用して、事実上いかなる種類の生物学的実体に対しても消失活性を検出し得る。典型的には、生物学的実体はヒト若しくは動物の疾患において何らかの役割を有する。生物学的実体は組織サンプルとして若しくは単離された形態で提供し得る。組織サンプルとして提供される場合、該組織サンプルは、好ましくは、該組織サンプルの成分への容易な到達を可能にしかつ固定に偶発する成分のコンホメーションの破壊を回避するために固定しない。本アッセイで試験し得る組織サンプルの例は、癌組織、前癌組織、疣贅若しくは母斑のような良性増殖を含有する組織、病原性微生物に感染した組織、炎症細胞に浸潤された組織、細胞間に病理学的マトリックスを担持する組織(例えば線維素性心外膜炎)、異常な抗原を担持する組織、および瘢痕組織を包含する。使用し得る単離された生物学的実体の例は、Aβ、ウイルス抗原若しくはウイルス、プロテオグリカン、他の病原性微生物の抗原、腫瘍抗原および接着分子を包含する。こうした抗原は、とりわけ天然の供給源、組換え発現若しくは化学合成から得ることができる。組織サンプル若しくは単離された生物学的実体を、単球若しくは小膠細胞のようなFc受容体を担持する食細胞、および試験されるべき抗体と媒体中で接触させる。抗体は、試験中の生物学的実体若しくは該実体と関連する抗原に向けることができる。後者の状況での目的は生物学的実体が抗原とともに貪食されるかどうかを試験することである。通常、とは言え必ずではなく、抗体および生物学的実体(ときに関連抗原を伴う)は食細胞を添加する前に相互と接触させる。生物学的実体および/若しくは媒体中に残存する関連抗原(存在する場合)の濃度をその後モニターする。媒体中の抗原若しくは関連する生物学的実体の量若しくは濃度の低下は、該抗体が食細胞とともに抗原および/若しくは関連する生物学的実体に対する消失応答を有することを示す。
11.CFCアッセイにおけるに認知の迅速な若しくは長期の改善についての抗体の試験
多様な局面において、本発明の抗体は、認知を改善する能力について適切な動物モデルで試験し得る。例えば、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイを介して評価されるところのADの動物モデルで認知を改善する抗体の能力を使用して、本発明の治療方法、とりわけ患者での認知の迅速な改善を遂げる方法での使用のための候補として該抗体を選択し得る。
コンテクチュアル・フィアー・コンディショニングは、大部分の動物、例えば哺乳動物で例外的に信頼できかつ迅速に取得される学習の普遍的な一形態である。試験動物は、有害経験とのその関連により以前は中立の刺激および/若しくは環境を恐れることを学習する(例えばFanselow、Anim.Learn.Behav.18:264−270(1990);Wehnerら、Nature Genet.17:331−334.(1997);Caldaroneら、Nature Genet.17:335−337(1997)を参照されたい)。
コンテクチュアル・フィアー・コンディショニングは、例えば神経変性疾患若しくは障害、Aβ関連疾患若しくは障害、アミロイド形成疾患若しくは障害のような疾患若しくは障害の結果としての認知機能若しくは機能低下、認知機能に影響を及ぼす不都合な遺伝子変化の存在(例えば遺伝子突然変異、遺伝子破壊若しくは望ましくない遺伝子型)、および/または認知能力に対する剤、例えば免疫学的試薬の有効性を決定するのにとりわけ有用である。従って、CFCアッセイは、認知疾患若しくは障害、およびとりわけ脳の1種若しくはそれ以上の領域、例えば海馬、鉤状回、帯状皮質、前頭葉前皮質、鼻周囲皮質、感覚皮質および側頭葉内側部を冒す疾患若しくは障害を予防若しくは処置するための剤の治療効果の独立の試験および/若しくは検証方法を提供する。
典型的には、CFCアッセイは、標準的動物室、ならびに聴覚(例えばある期間の85dbホワイトノイズ)、嗅覚(例えばアーモンド若しくはレモン抽出物)、触覚(例えば床ケージの質感)および/または視覚刺激(光点滅)と対にした軽度ショック(例えば0.35mAの足ショック)を含んでなる条件付け訓練の使用を使用して実施する。あるいは、条件付け訓練は対にした刺激(すなわち文脈を伴うショック)のないショックの投与を含んでなる。嫌悪経験(ショック)に対する応答は、典型的にはフリージング(呼吸を除く動きの非存在)の1種であるが、しかし、選択した試験動物に依存して瞬き若しくは瞬膜反射の変化もまた包含しうる。嫌悪応答は通常、訓練の第一日に特徴付け、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニングとして特徴づけられるその後の試験日の嫌悪応答結果(例えば、同一情況しかし嫌悪刺激の非存在下でのフリージング、および/若しくは刺激の存在下しかし嫌悪経験の非存在下でのフリージング)を伴う未条件付け恐怖の基礎を決定する。向上された信頼性のため、試験動物は、典型的には独立の技術者により長期にわたり個別に試験しかつ記録する。付加的な実験デザインの詳細は、当該技術分野、例えばCrawley,JN、What’s Wrong with my Mouse;Behavioral Phenotyping of Transgenic and Knockout Mice、Wiley−Liss、ニューヨーク(2000)に見出し得る。
例示的試験動物(例えばモデル動物)は、アルツハイマー病のようなアミロイド形成障害に特徴的である顕著な症状若しくは病理学を表す哺乳動物(例えばげっ歯類若しくはヒト以外の霊長類)を包含する。モデル動物は、所望のについて選択的に同系交配することにより創製しうるか、または、それらは、痴呆障害と関連づけらている遺伝子中の標的とされた遺伝子変化(例えば遺伝子突然変異、遺伝子破壊)が、標的とされた遺伝子の異常な発現若しくは機能につながるような、当該技術分野で公知であるトランスジェニック技術を使用して遺伝子工作しうる。例えば、アルツハイマー病に特徴的であるAPPを過剰発現しかつアミロイド斑の病理学を発生しかつ/若しくは認知障害を発症する数種のトランスジェニックマウス系統が入手可能である(例えば、Gamesら、上記、Johnson−Woodら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:1550(1997);Masliah EとRockenstein E.(2000)J Neural Transm Suppl.;59:175−83を参照されたい)。
あるいは、モデル動物は、アミロイド形成障害の特徴的な症状若しくは病理学と関連する解剖学的脳領域(例えば海馬、扁桃体、鼻周囲皮質、内側中隔核、青斑核、乳頭体(mammalary bodies))または特定のニューロン(例えばセロトニン作動性、コリン作動性若しくはドーパミン作動性ニューロン)の正常機能を除去若しくは別の方法で妨害する化合物(例えば神経毒、麻酔薬)若しくは外科的手技(例えば定位切除、軸索切断、切離、吸引)を使用して創製し得る。ある好ましい態様において、動物モデルは、アミロイド形成障害と関連する神経変性の病理に加え、学習若しくは記憶と関連する顕著な認知障害を表す。より好ましくは、認知障害は、モデル動物での疾患の進行がアミロイド形成障害に罹患している被験体での疾患の進行と平行するような、齢とともに進行的に悪化する。
本明細書に記述される抗体の機能性を試験するためのコンテクチュアル・フィアー・コンディショニングおよび他のin vivoアッセイは、野性型マウス、または損なわれた記憶につながるある種の遺伝子変化を有するマウス、あるいは脳脊髄液(CSF)若しくは血漿中の可溶性Aβの上昇したレベルを表すマウスモデルを包含する神経変性疾患例えばアルツハイマー病のマウスモデルを使用して実施しうる。例えば、アルツハイマー病の動物モデルは、年齢依存性の記憶障害および斑を示すヒトアミロイド前駆体タンパク質の「スウェーデン型」突然変異(hAPPswe:Tg2576)を過剰発現するトランスジェニックマウス(Hsiaoら(1996)Science 274:99−102)を包含する。本明細書に記述される抗体のin vivo機能性は、若齢で変異体の形態のヒトAPP(APPV71F)を発現しかつアルツハイマー病を発症するPDAPPトランスジェニックマウス(Bardら(2000)Nature Medicine 6:916−919;Masliah Eら(1996)J Neurosci.15;16(18):5795−811)を使用してもまた試験し得る。アルツハイマー病の他のマウスモデルは、Duffら(1996)Nature 383、710−713に記述されるPS−1変異体マウス、ならびにHolcombら(1998)Nature Medicine 4:97−110に記述されるPSAPPマウス、すなわち変異体APP(例えばスウェーデン型変異体APP(hAPPswe))およびPS1導入遺伝子を過剰発現する二重トランスジェニックマウス(PSAPP)を包含する。PSAPPマウスモデルはADで観察されるものに類似であるアミロイド斑の齢に関連した発生を表す(Kumar−Singhら、Am J Pathol.(2005)、167(2):527−43)。3月齢くらい早期のPSAPPマウスの前頭皮質および海馬でのAβの沈着は、12月齢で脳のこれらの領域の大きな部分を覆うように進行する(Takachiら、Am.J.Pathol.(2000)、157(1):331−9;McGowanら、Neurobiol Dis.(1999)、6(4):231−44)。PSAPPマウスは、それらが10月齢以上である場合、例えばそれらがおよそ20月齢である場合にCFCで評価し得る。とりわけ、20月齢のPSAPPマウスはとりわけ顕著な文脈的記憶障害および斑の密な蓄積を有し、そして従って本発明の方法の例示的モデル動物である。アルツハイマー病の他の遺伝子的に変えられたトランスジェニックモデルがMasliah EとRockenstein E.(2000)J Neural Transm Suppl.59:175−83に記述されている。
ある態様において、モデル動物が該疾患の症状(例えば記憶障害)を表すがしかし疾患の病理学(例えば斑形成)を欠く齢で、本発明の方法を使用してそれらを評価する。例示的態様において、モデル動物がおよそ10週齢若しくはそれ以上である場合、より好ましくはそれらがおよそ20週齢若しくはそれ以上である場合に、本発明の方法を使用してそれらを評価する。とりわけ、およそ20週齢のトランスジェニックADマウスは、とりわけ顕著な文脈的記憶障害を有し、そして従って本発明の方法の好ましいモデル動物である。
他の態様において、モデル動物が該疾患の症状(例えば記憶障害)および疾患の病理学の双方を表す齢で、本発明の方法を使用してそれらを評価する。例示的態様において、モデル動物は、それらがおよそ10月齢若しくはそれ以上である場合、若しくはそれらが15月齢若しくはそれ以上である場合若しくはそれ以上である場合に評価する。好ましい一態様において、およそ18〜20月齢のトランスジェニックADマウスを本発明の方法を使用して評価する。18〜20月齢のトランスジェニックADマウスは比較的老齢の動物であり、そしてそれらの脳中の密な斑形成ならびに顕著な記憶障害を有することがありそうである。
多様な局面において、本発明の方法は、被験体で認知を迅速に改善することが可能である抗Aβ抗体の投与を含んでなり、抗Aβ抗体は被験体での免疫療法の有効性を適して予測するアッセイを使用して同定されている。例示的態様において、該アッセイは、適する対照と比較して、動物への試験免疫学的試薬の投与後の動物のコンテクチュアル・フィアー・コンディショニング研究から決定されるところの認知を比較することに少なくとも部分的に基づくモデル動物アッセイである。CFCアッセイは、潜在的治療的化合物での処置に際しての動物(典型的にはマウス若しくはラット)の認知の変化を評価する。ある態様において、評価される認知の変化は記憶障害状態の改善若しくは記憶障害の逆転である。従って、CFCアッセイは、認知疾患、およびとりわけ脳の1種若しくはそれ以上の領域、例えば海馬、鉤状回、帯状皮質、前頭葉前皮質、鼻周囲皮質、感覚皮質および側頭葉内側部を冒す疾患若しくは障害を予防若しくは処置するための剤の治療効果の直接測定方法を提供する。こうしたCFCアッセイは、本明細書、ならびに2004年12月15日出願の米国仮出願第60/636,842号、2004年12月16日出願の同第60/637,253号、および2005年11月10日出願の同第60/736,119号明細書(それらのそれぞれの内容全体は本明細書に引用することにより組み込まれる)でさらに論考されている。
12.変えられたエフェクター機能を有するキメラ/ヒト化抗体
定常領域(Fc領域)を含んでなる本発明の上述された抗体について、該分子のエフェクター機能を変えることもまた望ましいことがある。一般に、抗体のエフェクター機能は、多様なエフェクター分子、例えば補体タンパク質若しくはFc受容体への結合を媒介し得る該分子の定常すなわちFc領域に存する。Fc領域への補体の結合は、例えば細胞病原体の捕食および溶解ならびに炎症応答の活性化で重要である。例えばエフェクター細胞の表面上のFc受容体への抗体の結合は、例えば抗体で被覆された病原体若しくは粒子の貪食および破壊、免疫複合体の消失、キラー細胞による抗体で被覆された標的細胞の溶解(すなわち抗体依存性の細胞媒介性細胞傷害すなわちADCC)、炎症メディエーターの放出、抗体の胎盤通過、ならびに免疫グロブリン産生の制御を包含する多数の重要かつ多彩な生物学的応答を誘発し得る。
従って、特定の治療若しくは診断の応用に依存して、上で挙げられた免疫機能、若しくは選択された免疫機能のみが望ましいことがある。抗体のFc領域を変えることにより、診断および治療における有益な効果を伴う免疫系の多様な反応を高める若しくは抑制することを包含する該分子のエフェクター機能の多様な局面が達成される。
ある型のFc受容体とのみ反応する本発明の抗体を製造し得、例えば、本発明の抗体は、該抗体のFc領域に位置するFc受容体結合部位の欠失若しくは変化により、あるFc受容体のみに結合するか、若しくは所望の場合はFc受容体結合を全く欠くように改変し得る。本発明の抗体のFc領域の他の所望の変化を下に列記する。典型的には、EU番号付け体系(すなわちKabatら、上記のEUインデックス)を使用して、エフェクター機能の所望の変化を達成するためにFc領域(例えばIgG抗体の)のどのアミノ酸残基(1個若しくは複数)が(例えばアミノ酸置換により)変えられるかを示す。該番号付け体系は、例えばマウス抗体中で観察される所望のエフェクター機能がその後本発明のヒト、ヒト化若しくはキメラ抗体に系統的に工作され得るような、種を横断して抗体を比較するのにもまた使用される。
例えば、抗体(例えばIgG抗体)を、Fc受容体(例えばヒト単球上のFc受容体(FcγRI))への強固の、中間の若しくは弱い結合を表すことが見出されるものにグループ分けし得ることが観察された。これらの異なる親和性群のアミノ酸配列の比較により、ヒンジ結合領域の単球結合部位(EU番号付け体系によりLeu234−Ser239)が同定された。さらに、ヒトFcγRI受容体は単量体としてのヒトIgG1およびマウスIgG2aを結合するが、しかしマウスIgG2bの結合は100倍より弱い。ヒンジ結合領域のこれらのタンパク質の配列の比較は、強結合体のEU番号付けの位置234ないし238、すなわちLeu−Leu−Gly−Gly−Pro(配列番号71)からの配列がマウスγ2bすなわち弱結合体でLeu−Glu−Gly−Gly−Pro(配列番号72)になることを示す。従って、低下されたFcγI受容体結合が望ましい場合は、ヒト抗体ヒンジ配列中の対応する変化を作成し得る。同一若しくは類似の結果を達成するために他の変化を作成し得ることが理解される。例えば、FcγRI結合の親和性は、その側鎖に不適切な官能基を有する残基で指定された残基を置換することにより、あるいは荷電した官能基(例えばGlu若しくはAsp)または例えば芳香族非極性残基(例えばPhe、Tyr若しくはTrp)を導入することにより、変えることができる。
これらの変化は、多様な免疫グロブリン間の配列相同性を考えれば、マウス、ヒトおよびラットの系に等しく適用し得る。ヒトFcγRI受容体に結合するヒトIgG3について、EU位置235のLeuをGluに変えることは該受容体に対する変異体の相互作用を破壊することが示された。この受容体の結合部位は、従って、適切な突然変異を作成することによりスイッチを入れ若しくは切ることができる。
ヒンジ結合領域の隣接若しくは近接部位の突然変異(例えば、EU位置234、236若しくは237の残基をAlaにより置換すること)は、少なくとも残基234、235、236および237の変化がFcγRI受容体に対する親和性に影響を及ぼすことを示す。従って、本発明の抗体はまた、改変されない抗体と比較してFcγRIに対する変えられた結合親和性をもつ変えられたFc領域も有し得る。こうした抗体は、便宜的に、EUアミノ酸位置234、235、236若しくは237に改変を有する。いくつかの態様において、本発明の抗体は、1個若しくはそれ以上のEU位置234、235、236および237にアミノ酸変化を包含するヒト化抗体である。本発明の特定の一態様において、ヒト化抗体は、IgG1由来のヒンジ結合領域のEU位置234および237にアミノ酸変化(すなわちL234AおよびG237A)を包含する。
他のFc受容体に対する親和性は、多様な方法で免疫応答を制御するための類似のアプローチにより変えることができる。
さらなる一例として、補体のC1成分の結合後のIgG抗体の溶解特性を変えることができる。
補体系の第一の成分C1は、一緒に強固に結合するC1q、C1rおよびC1sとして既知の3種のタンパク質を含んでなる。C1qが該3タンパク質複合体の抗体への結合の原因であることが示されている。
従って、抗体のC1q結合活性は、H鎖のEUアミノ酸位置318、320および322のアミノ酸残基の最低1個が異なる側鎖を有する残基に変えられている、変えられたCH 2ドメインをもつ抗体を提供することにより変えることができる。抗体への特異的C1q結合を変える、例えば低下若しくは廃止するための他の適する変化は、EU位置318(Glu)、320(Lys)および322(Lys)の残基のいずれか1個をAlaに変えることを包含する。
さらに、これらの残基で突然変異を行うことにより、残基318が水素結合する側鎖を有しかつ残基320および322双方が正に荷電した側鎖を有する限りはC1q結合が保持されることが示された。
C1q結合活性は、該3個の指定された残基のいずれか1個を不適切な官能性をその側鎖に有する残基で置換することにより廃止し得る。C1q結合を廃止するためにイオン性残基をAlaでのみ置換することは必要でない。C1q結合を廃止するために、該3残基のいずれか1個の代わりにGly、Ile、Leu若しくはValのような他のアルキル置換非イオン性残基、またはPhe、Tyr、TypおよびProのような芳香族非極性残基を使用することもまた可能である。加えて、C1q結合活性を廃止するために、残基320および322(しかし318でなく)の代わりにSer、Thr、CysおよびMetのような極性の非イオン性残基を使用することもまた可能である。
イオン性若しくは非イオン性極性残基上の側鎖は、Glu残基により形成される結合に類似の様式で水素結合を形成することが可能であろうこともまた注目される。従って、極性残基による318(Glu)残基の置換はC1q結合活性を改変しうるがしかし廃止しないことができる。
残基297(Asn)をAlaで置換することが、C1qに対する親和性をわずかにのみ低下させる(約3倍より弱い)一方で溶解活性の除去をもたらすこともまた既知である。この変化は、グリコシル化部位および補体活性化に必要とされる炭水化物の存在を破壊する。この部位のいかなる他の置換もまたグリコシル化部位を破壊することができる。
本発明は、抗体が改変されたヒンジ領域を有する、変えられたエフェクター機能を有する抗体もまた提供する。改変されたヒンジ領域は、CH1ドメインのものと異なる抗体クラス若しくはサブクラスの抗体由来の完全なヒンジ領域を含みうる。例えば、クラスIgG1抗体の定常ドメイン(CH1)をクラスIgG4抗体のヒンジ領域に結合し得る。あるいは、新たなヒンジ領域は、天然のヒンジの一部、若しくは反復の各単位が天然のヒンジ領域由来である反復単位を含みうる。一例において、天然のヒンジ領域は、1個若しくはそれ以上のシステイン残基をアラニンのような中性残基に変換すること、若しくは適して配置された残基をシステイン残基に変換することにより変えられる。こうした変化は、技術に認識されたタンパク質化学、および好ましくは本明細書に記述されるところの遺伝子工学技術を使用して実施する。
本発明の一態様において、抗体のヒンジ領域のシステイン残基の数は、例えば1システイン残基まで減少させる。この改変は、抗体、例えば二特異性抗体分子、およびFc部分がエフェクター若しくはレポーター分子により置換された抗体分子の集成を容易にするという利点を有する。単一のジスルフィド結合を形成することのみが必要であるためである。この改変は、例えば化学的手段により直接若しくは間接的のいずれかで別のヒンジ領域またはエフェクター若しくはレポーター分子いずれかにヒンジ領域を結合するための特定の標的もまた提供する。
逆に、抗体のヒンジ領域のシステイン残基の数を、例えば、天然に存在するシステイン残基の数より最低1個、増加させる。システイン残基の数を増やすことは、隣接するヒンジ間の相互作用を安定化するのに使用し得る。この改変の別の利点は、それが変えられた抗体にエフェクター若しくはレポーター分子、例えば放射標識を結合するためのシステインのチオール基の使用を容易にすることである。
従って、本発明は、変えられたエフェクター機能を達成するための、抗体クラス、とりわけIgGクラス間のヒンジ領域の交換、および/またはヒンジ領域のシステイン残基の数の増大若しくは減少を提供する(例えば米国特許第5,677,425号明細書(明らかに本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。変えられた抗体のエフェクター機能の決定は、本明細書に記述されるアッセイ若しくは他の技術に認識される技術を使用して行う。
なお別の局面において、抗体のアイソタイプはIgG4である。別の局面において、本発明の抗体は、低下されたエフェクター機能(例えば低下されたFc媒介性食作用、斑をオプソニン化する低下された能力など)を有するアイソタイプを有するように工作する。特定の一態様において、本発明の抗体はIgG4アイソタイプを有するヒト化12A11抗体(例えばヒト化12A11 v.1)である。
重要なことには、結果として生じる抗体は、出発抗体に比較しての生物学的活性のいかなる変化も評価するため1種若しくはそれ以上のアッセイにかけることができる。例えば、補体若しくはFc受容体を結合する変えられたFc領域をもつ抗体の能力は、本明細書に開示されるアッセイならびにいずれかの技術に認識されるアッセイを使用して評価し得る。
本発明の抗体の製造は、本明細書に記述される技術ならびに当業者に既知の技術を包含するいずれかの適する技術により実施する。例えば、例えば抗体の関連する定常ドメイン、例えばFc領域の一部若しくは全部、すなわちCH2および/若しくはCH3ドメイン(1個若しくは複数)を形成しかつ適切に変えられた残基(1個若しくは複数)を包含する適切なタンパク質配列を合成し得、そしてその後抗体分子中の適切な場所に化学結合し得る。
好ましくは、変えられた抗体を製造するために遺伝子工学技術を使用する。好ましい技術は、例えば、IgG H鎖の少なくとも一部分、例えばFcまたは定常領域(例えばCH2および/若しくはCH3)をコードするDNA配列が1個若しくはそれ以上の残基で変えられているような、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)での使用のための適するプライマーを調製することを包含する。該セグメントはその後、抗体の残存部分、例えば抗体の可変領域、および細胞中での発現のための必要とされる調節エレメントに作動可能に連結し得る。
本発明は、細胞株を形質転換するのに使用されるベクター、形質転換ベクターの製造で使用されるベクター、形質転換ベクターで形質転換した細胞株、調製ベクターで形質転換した細胞株、およびそれらの製造方法もまた包含する。
好ましくは、変えられたFc領域をもつ(すなわち変えられたエフェクター機能の)抗体を製造するため形質転換される細胞株は不死化哺乳動物細胞株(例えばCHO細胞)である。
変えられたFc領域をもつ抗体を製造するのに使用される細胞株は好ましくは哺乳動物細胞株であるとは言え、細菌細胞株若しくは酵母細胞株のようないずれかの他の適する細胞株をあるいは使用しうる。
13.親和性成熟
本発明の抗体(例えばヒト化抗体)は、多数の親和性成熟技術のいずれかを使用して、改良された機能のため改変し得る。典型的には、所定の標的分子に対する結合親和性をもつ候補分子を同定し、そしてその後、標的分子とのより望ましい結合相互作用を有する1種若しくはそれ以上の関係する候補をもたらす突然変異誘発技術を使用してさらに改良すなわち「成熟」させる。典型的には、それは改変される抗体の親和性(affinity)(若しくは親和性(avidity)、すなわち標的抗原に対する抗体の結合した親和性)であるが、しかしながら、安定性、エフェクター機能、消失、分泌若しくは輸送機能のような該分子の他の特性もまた、親和性成熟技術を使用して別個に若しくは親和性と同時にのいずれかで改変しうる。
例示的態様において、抗体(例えば本発明のヒト化抗体)の親和性が増大される。例えば、最低10−1、10−1若しくは10−1の結合親和性を有する抗体を、それらの親和性が最低10−1、1010−1若しくは1012−1となるように成熟させ得る。
結合分子を親和性成熟するための1アプローチは、所望の変化(1種若しくは複数)をコードする、結合分子若しくはその部分をコードする核酸を合成することである。オリゴヌクレオチド合成は当該技術分野で公知であり、そしていかなる所望のコドン変化(1個若しくは複数)を有する1種若しくはそれ以上の核酸も製造するように容易に自動化される。制限部位、サイレント突然変異および好都合なコドン使用頻度もまたこうして導入しうる。あるいは、1種若しくはそれ以上のコドンを、特定のアミノ酸の1サブセット、例えばジスルフィド結合を形成し得るシステインを除外しかつ規定された領域、例えばCDR領域若しくはその一部分に制限されるサブセットを表すように変えることができる。あるいは、該領域は部分的に若しくは完全に無作為な一組のアミノ酸により表しうる(付加的な詳細については、例えば、米国特許第5,830,650号;同第5,798,208号;同第5,824,514号;同第5,817,483号;同第5,814,476号;同第5,723,323号;同第4,528,266号;同第4,359,53号;同第5,840,479号;および同第5,869,644号明細書を参照されたい)。
上のアプローチは、当該技術分野で公知であるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して部分的若しくは完全に実施し得、かつ、例えば所望の変化(1個若しくは複数)を有するオリゴヌクレオチド、例えばプライマー若しくは一本鎖核酸を二本鎖核酸にかつ適切な発現若しくはクローニングベクターへの遺伝子工作のような他の操作に適する増幅された量で組み込むという利点を有することが理解される。こうしたPCRは、増幅されている核酸に付加的な変動性をそれにより導入するためのヌクレオチドの誤取り込みを見込む条件下でもまた実施し得る。PCRを実施するための実験の詳細ならびに関連するキット、試薬およびプライマー設計は、例えば米国特許第4,683,202号;同第4,683,195号;同第6,040,166号;および同第6,096,551号明細書に見出し得る。プライマーに基づくPCRを使用する抗体フレームワーク領域へのCDR領域の導入方法は、例えば米国特許第5,858,725号明細書に記述されている。抗体分子のより大きくかつ多彩な組を効率的に増幅し得るような、抗体分子のより大きな組との配列相同性を見出すことが可能な最小のプライマー組を使用する抗体ライブラリー(および方法に従って作成したライブラリー)のプライマーに基づくPCR増幅方法は、例えば米国特許第5,780,225号;同第6,303,313号;および同第6,479,243号明細書に記述されている。部位特異的突然変異誘発のPCRに基づかない実施方法もまた使用し得、そして、一本鎖のウラシル含有鋳型、および、ハイブリダイズしかつ特定株の大腸菌(E.coli)株を通過する場合に突然変異を導入するプライマーを使用する「Kunkel」突然変異誘発を包含する(例えば米国特許第4,873,192号明細書を参照されたい)。
抗体配列若しくはその一部分の付加的な変動方法は、至適でない(すなわち変異性)条件下での核酸合成若しくは核酸のPCR、こうした核酸の変性および再生(アニーリング)、エキソヌクレオアーゼおよび/若しくはエンドヌクレアーゼ消化、次いでライゲーション若しくはPCRによる再集成(核酸シャッフリング)、または例えば米国特許第6,440,668号;同第6,238,884号;同第6,171,820号;同第5,965,408号;同第6,361,974号;同第6,358,709号;同第6,352,842号;同第4,888,286号;同第6,337,186号;同第6,165,793号;同第6,132,970号;同第6,117,679号;同第5,830,721号;および同第5,605,793号明細書に記述されるところの前述の技術の1種若しくはそれ以上の組合せを包含する。
ある態様において、候補抗体分子のある部分、例えば1個若しくはそれ以上のCDR領域(若しくはその一部分)、1個若しくはそれ以上のフレームワーク領域、および/または1個若しくはそれ以上の定常領域(例えばエフェクター機能を有する定常領域)の多様性を有する候補抗体分子の一群を含んでなる抗体ライブラリー(若しくは親和性成熟ライブラリー)を、技術に認識された技術を使用して発現させ得かつ所望の特性についてスクリーニングし得る(例えば米国特許第6,291,161号;同第6,291,160号;同第6,291,159号;および同第6,291,158号明細書を参照されたい)。例えば、多様なCDR3配列を有する抗体可変ドメインの発現ライブラリー、ならびに、突然変異誘発により多様なCDR3配列を導入すること、および該ライブラリーを回収することによる多様なCDR3配列を有するヒト抗体ライブラリーの製造方法を構築し得る(例えば米国特許第6,248,516号明細書を参照されたい)。
他の抗体工作技術は、Kalobios,Inc.により第WOO 2004/072266号明細書に記述されるところの連続エピトープガイド相補性置換(serial epitope guided complementarity replacement)による抗体親和性工作を包含する。
最後に、親和性成熟させた抗体を発現するために、候補抗体分子をコードする核酸を、標準的ベクターおよび細胞トランスフェクション/形質転換技術を使用して、適切な発現形式、例えば完全長の抗体HおよびL鎖(例えばIgG)、抗体Fabフラグメント(例えばFab、F(ab’))若しくは一本鎖抗体(scFv)として細胞に導入し得る(例えば米国特許第6,331,415号;同第6,103,889号;同第5,260,203号;同第5,258,498号;および同第4,946,778号明細書を参照されたい)。
B.免疫学的剤および治療薬をコードする核酸
アミロイド沈着物に対する免疫応答は、受動免疫に使用される抗体およびそれらの成分鎖をコードする核酸の投与によってもまた導入し得る。こうした核酸はDNA若しくはRNAであり得る。免疫原をコードする核酸セグメントは、典型的には、患者の意図される標的細胞中での該DNAセグメントの発現を可能にするプロモーターおよびエンハンサーのような調節エレメントに連結する。免疫応答の誘導のため望ましいところの血液細胞中での発現のためには、例示的プロモーターおよびエンハンサー要素は、L若しくはH鎖免疫グロブリン遺伝子ならびに/またはCMV主要前初期プロモーターおよびエンハンサー(Stinski、米国特許第5,168,062号および同第5,385,839号明細書)からのものを包含する。連結した調節エレメントおよびコーディング配列はしばしばベクターにクローン化される。二本鎖抗体の投与のためには、2本の鎖を同一若しくは別個のベクターにクローン化し得る。
レトロウイルス系(例えばLawrieとTumin、Cur.Opin.Genet.Develop.3:102−109(1993)を参照されたい);アデノウイルスベクター(例えばBettら、J.Virol.67:5911(1993)を参照されたい);アデノ随伴ウイルスベクター(例えばZhouら、J.Exp.Med.179:1867(1994)を参照されたい)、ワクシニアウイルスおよび鶏痘ウイルスを包含するポックス族(pox family)からのウイルスベクター、シンドビスウイルスおよびセムリキ森林ウイルス由来のもののようなアルファウイルス属からのウイルスベクター(例えばDubenskyら、J.Virol.70:508(1996)を参照されたい)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(Johnstonら、米国特許第5,643,576号明細書を参照されたい)ならびに水疱性口内炎ウイルス(Rose、第6,168,943号明細書を参照されたい)のようなラブドウイルス、ならびにパピローマウイルス(Oheら、Human Gene Therapy 6:325(1995);Wooら、第WO 94/12629号明細書およびXiaoとBrandsma、Nucleic Acids.Res.24、2630−2622(1996))を包含する多数のウイルスベクター系が利用可能である。
免疫原をコードするDNA若しくはそれを含有するベクターはリポソームに充填し得る。適する脂質および関連類似物は、Eppsteinら、米国特許第5,208,036号、Felgnerら、米国特許第5,264,618号、Rose、米国特許第5,279,833号およびEpandら、米国特許第5,283,185号明細書により記述されている。免疫原をコードするベクターおよびDNAは、微粒子担体に吸着若しくはそれらと会合もまたし得、それらの例はポリメチルメタクリレートポリマーならびにポリラクチドおよびポリ(ラクチドコグリコリド)を包含する。例えばMacGeeら、J.Micro Encap.(1996)を参照されたい。
遺伝子治療ベクター若しくは裸のポリペプチド(例えばDNA)は、個々の患者への投与、典型的には全身投与(例えば静脈内、腹腔内、鼻、胃、皮内、筋肉内、皮下若しくは頭蓋内注入)または局所適用(例えばAndersonら、米国特許第5,399,346号明細書を参照されたい)によりin vivo送達し得る。「裸のポリヌクレオチド」という用語は、トランスフェクション促進剤とともに送達されないポリヌクレオチドを指す。裸のポリヌクレオチドはときにプラスミドベクターにクローン化される。こうしたベクターは、ブピバカイン(Weinerら、米国特許第5,593,972号明細書)のような促進剤をさらに包含し得る。DNAは遺伝子銃を使用してもまた投与し得る。XiaoとBrandsma、上記を参照されたい。免疫原をコードするDNAを微細な金属ビーズの表面上に沈殿させる。微小発射体をショック波若しくは膨張ヘリウムガスで加速し、そして数細胞層の深さまで組織に浸透する。例えば、Agricetus,Inc.、ウィスコンシン州ミドルトンにより製造されるAccelTM遺伝子送達装置が適する。あるいは、裸のDNAは、単純に該DNAを化学的若しくは機械的刺激を伴い皮膚上にスポットすることにより血流中まで皮膚を通過させ得る(Howellら、第WO 95/05853号明細書を参照されたい)。
さらなる一変形において、免疫原をコードするベクターは、個々の患者から外植した細胞(例えばリンパ球、骨髄吸引液、組織生検)若しくは普遍的ドナー造血幹細胞のような細胞にex vivoで送達し得、次いで、通常はベクターを取り込んだ細胞について選択後に患者に該細胞を再移植し得る。
II.予防および治療方法
本発明は、とりわけ、可溶性Aβを特徴とするアミロイド形成障害および疾患(例えばアルツハイマー病)を包含するAβ関連疾患若しくは障害の処置に向けられる。本発明は、Aβ関連疾患若しくは障害またはアミロイド形成疾患若しくは障害の処置若しくは予防のための医薬品の製造における開示される免疫学的試薬(例えばヒト化免疫グロブリン)の使用にもまた向けられる。本発明の処置方法は、例えば、Aβ関連疾患若しくは障害またはアミロイド形成疾患若しくは障害の予防若しくは処置のための患者における、患者で有益な治療応答(例えば認知の迅速な改善、Aβの食作用の誘導、斑負荷量の減少、斑形成の阻害、神経炎性ジストロフィーの低減、および/または認知低下の逆転、処置若しくは予防)を生成させる条件下での患者への開示される免疫学的試薬(例えばAβ内の特定のエピトープに対するヒト化免疫グロブリン)の投与を含んでなる。こうした疾患は、アルツハイマー病、ダウン症候群および軽度認知障害を包含する。後者はアミロイド形成疾患の他の特徴を伴い若しくは伴わずに発生し得る。
本発明の免疫学的試薬を使用して、前記免疫学的試薬での処置が該障害に罹患している
患者に治療上の利益を提供することが示されているいかなる障害も処置しうることが、当業者により認識されるであろう。例えば、障害はいかなる認知障害、例えば痴呆障害でもありうる。こうした認知障害は、多数の起源、すなわち、機能的機序(不安、うつ)、生理学的加齢(加齢による記憶障害)、薬物若しくは解剖学的病変を有しうる。本発明の免疫治療薬が有用であり得る適応症は、毒物曝露による学習障害若しくは記憶障害、健忘に至る脳傷害、加齢、統合失調症、癲癇、精神遅滞、アルコール性ブラックアウト、コルサコフ症候群、薬物誘発性健忘(例えばハルシオン)、脳底動脈偏頭痛、若しくは単純ヘルペス脳炎と関連する記憶喪失を包含する。
ある態様において、本発明の方法は、認知の迅速な改善が達成されるような、Aβ抗体を含んでなる免疫学的試薬の投与を必要とし、該Aβ抗体はAβの残基1−10内の1エピトープに特異的であり、かつ、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合する。例示的態様において、該免疫学的試薬は、Aβの残基1−10内の1エピトープに特異的であり、かつ、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイで測定されるところのAβ関連障害の動物モデルでの認知の迅速な改善を遂げるAβ抗体である。他の例示的態様において、該免疫学的試薬は、Aβの残基1−10内の1エピトープに特異的であり、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合し、かつ、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイで測定されるところのAβ関連障害の動物モデルでの認知の迅速な改善を遂げるAβ抗体である。
他の例示的態様において、Aβ抗体はAβの残基3−7内の1エピトープに結合する。例示的Aβ抗体は、3D6抗体、3A3抗体、6C6抗体、10D5抗体および12A11抗体よりなる群から選択される。一態様において、Aβ抗体は3D6抗体でない。
他の例示的態様において、本発明の方法は、認知の迅速な改善が達成されるような、Aβ抗体を含んでなる免疫学的試薬の投与を必要とし、該Aβ抗体はAβの残基13−28内の1エピトープに特異的であり、かつ、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合する。他の態様において、該免疫学的試薬は認知の迅速な改善が達成されるようなAβ抗体を含んでなり、該Aβ抗体は、Aβの残基13−28内の1エピトープに特異的であり、かつ、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイで測定されるところのAβ関連障害の動物モデルでの認知の迅速な改善を遂げる。なお他の態様において、該免疫学的試薬は認知の迅速な改善が達成されるようなAβ抗体であり、該Aβ抗体は、Aβの残基13−28内の1エピトープに特異的であり、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合し、かつ、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイで測定されるところのAβ関連障害の動物モデルでの認知の迅速な改善を遂げる。
ある例示的態様において、Aβ抗体はAβの残基16−24内の1エピトープに結合する。例示的Aβ抗体は、2B1抗体、1C2抗体、15C11抗体および9G8抗体よりなる群から選択される。好ましい一態様において、Aβ抗体は266抗体でない。
ある態様において、本発明の方法は、Aβ関連疾患若しくは障害を有するか若しくはその危険性がある被験体で認知を迅速に改善するための前記被験体への免疫学的試薬の投与を含んでなる。他の態様において、本発明の方法は、アミロイド沈着物が実質的にない被験体への免疫学的試薬の投与を含んでなる。他の態様において、本発明の方法は、被験体での実質的な斑沈着前の該被験体への免疫学的試薬の投与を含んでなる。一態様において、Aβ関連疾患若しくは障害は可溶性Aβと関連するか若しくはそれを特徴とする。別の態様において、Aβ関連疾患若しくは障害は不溶性Aβと関連するか若しくはそれを特徴とする。別の態様において、Aβ関連疾患若しくは障害はアミロイド形成疾患である。別の態様において、Aβ関連疾患若しくは障害はアルツハイマー病である。別の態様において、Aβ関連疾患若しくは障害は、例えば軽度認知障害のようなAβ関連認知障害である。
ある態様において、本発明の方法は、単一用量としての被験体への免疫学的試薬(例えばAβ抗体)の投与を含んでなる。他の態様において、本発明の方法は、複数用量での被験体への免疫学的試薬(例えばAβ抗体)の投与を含んでなる。一態様において、Aβ抗体の用量は約100μg/kgから100mg/kg患者体重までである。別の態様において、Aβ抗体の用量は約300μg/kgから30mg/kg患者体重までである。なお別の態様において、Aβ抗体の用量は約1mg/kgから10mg/kg患者体重までである。
有効用量の免疫学的試薬(例えば抗体若しくはその抗原結合フラグメント)を、ヒト患者での認知の迅速な改善を遂げるために前記患者に投与する場合、有効用量は、適切な動物モデルで認知の迅速な改善を達成するのに必要な用量に同等の用量でありうる。例えば、ヒト患者に、ADの動物モデルでの認知の迅速な改善(本明細書に記述されるところのCFCアッセイで測定されるところの)を達成するのに必要な用量に同等の用量を投与し得る。投与される用量はモデル動物に投与されると同一のg/kg体重用量である必要はない。むしろ、ヒト投与のための用量は、適切な動物モデルで見られる効果と同等の処置効果を達成するのに十分なものである。
ある態様において、本発明は、抗体の投与後1か月以内に迅速な改善が達成されるような被験体への免疫学的試薬の投与を含んでなる、被験体での認知の迅速な改善を遂げる方法を提供する。他の態様において、認知の迅速な改善は抗体の投与後1週以内に達成される。他の態様において、認知の迅速な改善は抗体の投与後1日以内に達成される。なお他の態様において、認知の迅速な改善は抗体の投与後12時間以内に達成される。
ある態様において、被験体で認知の迅速な改善を遂げる方法は、認知の迅速な改善が達成されるような、有効用量のAβ抗体を被験体に投与することを含んでなり、該抗体はAβの残基13−28内の1エピトープに特異的であり、かつ、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合する。他の態様において、被験体で認知の迅速な改善を遂げる方法は、認知の迅速な改善が達成されるような、有効用量のAβ抗体を被験体に投与することを含んでなり、該抗体はAβの残基13−28内の1エピトープに特異的であり、かつ、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイで測定されるところのAβ関連障害の動物モデルでの認知の迅速な改善を遂げる。なお他の態様において、被験体での認知の迅速な改善を遂げる方法は、認知の迅速な改善が達成されるような、有効用量のAβ抗体を被験体に投与することを含んでなり、該抗体はAβの残基13−28内の1エピトープに特異的であり、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合し、かつ、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイで測定されるところのAβ関連障害の動物モデルでの認知の迅速な改善を遂げる。一態様において、Aβ抗体はAβの残基16−24内の1エピトープに結合する。別の態様において、Aβ抗体は、2B1抗体、1C2抗体、15C11抗体および9G8抗体よりなる群から選択される。別の態様において、Aβ抗体は266抗体でない。
該方法は、無症状の患者および疾患の症状を現在示している者双方で使用し得る。Aβ関連疾患若しくは障害またはアミロイド形成疾患若しくは障害を伴うヒト被験体の受動免疫若しくは免疫療法にで使用される抗体は、ヒト、ヒト化、キメラ若しくはヒト以外の抗体またはそれらのフラグメント(例えば抗原結合フラグメント)であり得、かつ、本明細書に記述されるところのモノクローナル若しくはポリクローナルであり得る。別の局面において、本発明は、製薬学的担体を伴う抗体を製薬学的組成物として投与することを特徴
とする。あるいは、抗体は最低1本の抗体鎖をコードするポリヌクレオチドを投与することにより患者に投与し得る。該ポリヌクレオチドが患者中で発現されて抗体鎖を産生する。場合によっては、該ポリヌクレオチドは抗体のHおよびL鎖をコードする。該ポリヌクレオチドが患者中で発現されてHおよびL鎖を産生する。例示的態様において、患者の血中の投与された抗体のレベルについて該患者をモニターする。
別の局面において、本発明は製薬学的担体を伴う抗体を製薬学的組成物として投与することを特徴とする。あるいは、該抗体は最低1本の抗体鎖をコードするポリヌクレオチドを投与することにより患者に投与し得る。該ポリヌクレオチドが患者中で発現されて抗体鎖を産生する。場合によっては、該ポリヌクレオチドは抗体のHおよびL鎖をコードする。該ポリヌクレオチドが患者中で発現されてHおよびL鎖を産生する。例示的態様において、患者の血中の投与された抗体のレベルについて該患者をモニターする。
本発明は、かように、Aβ関連疾患若しくは障害またはアミロイド形成疾患若しくは障害(例えばAD)と関連する神経病理学、および若干の患者では認知障害を予防若しくは改善するための治療レジメンに対する長年の必要性を満足する。
A.認知の迅速な改善
本発明は、Aβ関連疾患若しくは障害またはアミロイド形成疾患若しくは障害(例えばAD)を有するか若しくはその危険性がある患者での認知の迅速な改善を遂げる方法を提供する。好ましい局面において、該方法は、認知の迅速な改善が達成されるような有効用量の免疫学的試薬(例えばAβ抗体)を投与することを特徴とする。本発明の例示的局面において、患者での1種若しくはそれ以上の認知障害(例えば手続き学習および/若しくは記憶障害)の改善が達成される。認知障害は、意識に利用可能でありかつ従って言語により表現され得る特定の情報を保存かつ想起する能力(例えば特定の事実若しくは事象を思い出す能力)と定義される顕在記憶(「陳述」若しくは「作業」記憶としてもまた知られる)の障害であり得る。あるいは、認知障害は、意識に利用可能でなくかつ表現されるために技術、連合、習慣若しくは複雑な反射の学習を必要とする、一般情報若しくは知識を取得、保持および想起する能力、例えば特殊な課題をどのように実行するかを思い出す能力と定義される手続記憶(「潜在」若しくは「文脈」記憶としてもまた知られる)の障害であり得る。手続記憶障害に罹患している個体は正常に機能する彼らの能力がはるかにより損なわれている。であるから、手続記憶の障害の改善において有効である処置が高度に望ましくかつ有利である。
B.処置に従いやすい患者
処置に従いやすい患者は、Aβ関連疾患若しくは障害またはアミロイド形成疾患若しくは障害の危険性があるがしかし症状を示していない個体、ならびに現在症状を示している患者を包含する。アルツハイマー病の場合、事実上誰でも彼若しくは彼女が十分に長く生きる場合にアルツハイマー病に罹患する危険性がある。従って、本方法は、主題の患者の危険性のいかなる評価に対する必要性も伴わずに一般集団に予防的に投与し得る。
本方法は、ADの危険性がある個体、例えばADの危険因子を表す者にとりわけ有用である。ADの主な危険因子は増大した年齢である。集団が加齢する際に、ADの頻度は増大し続ける。現在の推定は、65歳以上の集団の10%まで、および85歳以上の集団の50%までがADを有することを示す。
まれとは言え、ある種の個体はADを発症する遺伝的傾向があると若齢で同定され得る。「家族性AD」若しくは「早発型AD」として知られる遺伝可能な形態のADを保有する個体は、変異される場合にADを賦与することが既知である遺伝子、例えばAPP若しくはプレセニリン遺伝子の分析の、ADの十分に報告された家族歴から同定され得る。十分に特徴づけられたAPP突然変異は、APP770のコドン716および717の「ハーディ型」突然変異(例えば、バリン717からイソロイシン(Goateら、(1991)、Nature 349:704);バリン717からグリシン(Chartierら(1991)Nature 353:844;Murrellら(1991)、Science 254:97);バリン717からフェニルアラニン(Mullanら(1992)、Nature Genet.1:345−7))、APP770のコドン670および671の「スウェーデン型」突然変異、ならびにAPP770のコドン692の「フランダース型」突然変異を包含する。こうした突然変異は、APPのAβへの増大された若しくは変えられたプロセシング、とりわけ増大された量の長い形態のAβ(すなわちAβ1−42およびAβ1−43)へのAPPのプロセシングによりアルツハイマー病を引き起こすと考えられる。プレセニリン遺伝子PS1およびPS2のような他の遺伝子中の突然変異は、増大された量の長い形態のAβを生成させるAPPのプロセシングに影響を及ぼすと間接的に考えられる(Hardy、TINS 20:154(1997);Kowalskaら、(2004)、Polish J.Pharmacol.、56:171−8を参照されたい)。ADに加えて、APPの770アミノ酸のアイソフォームのアミノ酸692若しくは683の突然変異は、オランダ型のアミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(HCHWA−D)と呼ばれる脳のアミロイド形成障害に関与している。
より一般的には、ADは患者により遺伝されないが、しかし多様な遺伝因子の複雑な相互作用により発症する。これらの個体は、診断することがはるかにより困難である一形態「散発性AD」(「晩発型AD」としてもまた知られる)を有すると言われる。にもかかわらず、患者集団は、ADを引き起こさないがしかし一般集団より高頻度でADで分離することが既知である感受性アレル若しくは形質、例えばアポリポタンパク質Eのε2、ε3およびε4アレル(Corderら(1993)、Science、261:921−923)の存在についてスクリーニングし得る。とりわけ、好ましくはADの何らかの他のマーカーに加えてε4アレルを欠く患者はADの「危険性がある」と同定しうる。例えば、ADを有するまたは高コレステロール血症若しくはアテローム硬化症に罹患している親族を有する、ε4アレルを欠く患者は、ADの「危険性がある」と同定しうる。別の潜在的生体マーカーは、脳脊髄液(CSF)のAβ42およびτのレベルの複合評価である。低いAβ42および高いτレベルはADの危険性がある患者の同定において予測的値を有する。
ADの危険性がある患者の他の指標は、in vivoの動的神経病理学的データ、例えば脳βアミロイドのin vivo検出、脳活性化のパターンなどを包含する。こうしたデータは、例えば三次元磁気共鳴画像化(MRI)、陽電子断層撮影法(PET)走査およびシングルフォトンエミッションCT(SPECT)を使用して得ることができる。可能なADを有する患者の指標は、限定されるものでないが(1)痴呆を有する、(2)40〜90歳の、(3)例えば2個若しくはそれ以上の認知領域での認知障害、(4)6か月以上の障害の進行、(5)意識平静、および/若しくは(6)他の合理的診断の非存在の患者を挙げることができる。
散発性若しくは家族性いずれの形態のADに罹患している個体も、しかしながら、通常はADの1種若しくはそれ以上の特徴的症状の提示後に診断される。ADの一般的症状は、慣例の技術若しくは課題の成績に影響を及ぼす認知障害、言語での問題、時間若しくは場所に対する失見当、不十分若しくは低下した判断、抽象的思考の障害、運動調節の喪失、気分若しくは行動の変化、人格変化または自発性の喪失を包含する。患者により表される数障害若しくは認知障害の程度は通常、疾患が進行した程度を反映する。例えば、患者は、該患者が記憶(例えば文脈記憶)で問題を表すがしかしそれ以外は十分に機能することが可能であるような軽度認知障害のみを表しうる。
本方法はAβ関連認知障害、例えばAβ関連痴呆を有する個体にもまた有用である。とりわけ、本方法は、中枢神経系(CNS)、例えば脳若しくはCSF中の可溶性オリゴマーAβの存在により引き起こされるか若しくはそれに起因する認知障害若しくは異常を有する個体にとりわけ有用である。Aβにより引き起こされるか若しくはそれに関連する認知障害は、(1)脳中でのβアミロイド斑の発生;(2)Aβの合成、プロセシング、分解若しくは消失の異常な速度;(3)(例えば脳中の)可溶性オリゴマーAβ種の形成若しくは活性;および/または(4)異常な形態のAβの形成により引き起こされるか若しくはそれらに関連するものもまた包含する。実際の因果関係が特定の患者でAβ異常と認知障害の間で確立されることは必要でないが、しかしながら、若干の関連が、例えば、Aβ免疫治療薬での処置が有効であると期待されないとみられる非Aβ関連認知障害に罹患している患者を識別するための、ADの上述されたマーカーの1つにより示されるはずである。
ヒト被験体、例えば痴呆障害(例えばAD)の症状若しくは病理学の危険性があるか若しくはそれらを有する被験体での認知技能若しくは能力を評価するための数種の検査が開発された。認知障害はこれらの検査の損なわれた成績により同定され得、そして、多くの処置がこれらの検査での成績を改善させるそれらの能力に基づいて提案されている。いくつかの課題が被験体の行動若しくは運動機能を評価したとは言え、大部分の課題は学習若しくは記憶を検査するために設計された。
ヒトでの認知は限定されるものでないが以下の検査を挙げることができる多様な検査を使用して評価しうる。ADAS−Cog(アルツハイマー病認知評価尺度(Alzheimer Disease Assessment Scale−Cognitive)は終了するのに30分かかる11部分の検査である。ADAS−Cogは言語および記憶技能の研究のための好ましい簡易検査である。Rosenら(1984)Am J Psychiatry.141(11):1356−64;Ihlら(2000)Neuropsychobiol.41(2):102−7;およびWeyerら(1997)Int
Psychogeriatr.9(2):123−38を参照されたい。
Blessed検査は、日常生活動作および記憶、集中ならびに見当識を評価する認知の別の短時間(約10分)の検査である。Blessedら(1968)Br J Psychiatry 114(512):797−811を参照されたい。
ケンブリッジ神経心理学自動検査(Cambridge Neuropsychological Test Automated Battery)(CANTAB)は神経変性疾患若しくは脳損傷を伴うヒトの認知障害の評価に使用される。それは、記憶、注意および実行機能の13の相互に関連づけられたコンピュータ化検査よりなり、そしてパーソナルコンピュータからタッチスクリーンを介して実施する。この検査は言語およびほとんど文化によらず、そしてアルツハイマー病の早期検出および慣例のスクリーニングで高度に感受性であることが示された。Swainsonら(2001)Dement Geriatr Cogn Disord.12:265−280;およびFrayとRobbins(1996)Neurotoxicol Teratol.18(4):499−504.Robbinsら(1994)Dementia 5(5):266−81を参照されたい。
アルツハイマー病レジストリ確立協会(The Consortium to Establish a Registry for Alzheimer’s Disease)(CERAD)の臨床および神経心理学検査は、言語の流暢さの検査、ボストン命名検査(Boston Naming Test)、ミニメンタルステート検査(MMSE)、10項目語想起、構造練習(constructional praxis)、および練習項目の遅延想起を包含する。該検査は典型的に20〜30分かかり、そして認知低下の評価および追跡で便宜的かつ有効である。Morrisら(1988)Psychopharmacol Bull.24(4):641−52;Morrisら(1989)Neurology 39(9):1159−65;およびWelshら(1991)Arch Neurol.48(3):278−81を参照されたい。
1975年にFolesteinらにより開発されたミニメンタルステート検査(MMSE)は精神状態および認知機能の簡易検査である。それは他の精神現象を評価せず、そして従って完全な精神状態検査の代用でない。それは痴呆のスクリーニングにおいて有用であり、また、その評価体系は進行の長期にわたる追跡において有用である。ミニメンタルステート検査MMSEは、年齢および教育について基準を補正して広範に使用されている。それは認知障害をスクリーニングするため、所定の時点の認知障害の重症度を推測するため、1個体の認知変化の経過を長期にわたり追跡するため、および処置に対する1個体の応答を報告するために使用し得る。被験体の認知評価は、9か月若しくはそれ以上(ヒトにおいて)分離された経過観察検査を伴う、公式の神経心理学検査を必要としうる。Folsteinら(1975)J Psychiatr Res.12:196−198;CockrellとFolstein(1988)Psychopharm Bull.24(4):689−692;およびCrumら(1993)J.Am.Med.Association 18:2386−2391を参照されたい。
Seven−Minute Screenは、アルツハイマー病について評価すべきである患者を同定するのを助けるスクリーニングツールである。該スクリーニングツールは、多様な型の知的機能性を評価するための一連の質問を使用し、ADの早期徴候に高度に感受性である。該検査は、見当識、記憶、視覚空間技能および表現言語を焦点とする4組の質問よりなる。それは正常な加齢過程による認知変化と痴呆による認知障害を識別し得る。SolomonとPendlebury(1998)Fam Med.30(4):265−71、Solomonら(1998)Arch Neurol.55(3):349−55を参照されたい。
アルツハイマー病に現在罹患している個体は、特徴的な痴呆ならびに上述された危険因子の存在から認識され得る。加えて、多数の診断検査が、ADを有する個体を同定するために利用可能である。これらはCSFのτおよびAβ42レベルの測定を包含する。上昇したτおよび低下したAβ42レベルはADの存在を意味する。アルツハイマー病に罹患している個体は、実施例の節で論考されるところのADRDA基準によってもまた診断し得る。
C.処置レジメンおよび投薬量
予防的応用において、製薬学的組成物若しくは医薬品を、アルツハイマー病に感受性の、若しくは別の方法でその危険性がある患者に、該危険を排除もしくは低下、重症度を低下、または、該疾患の生化学的、組織学的および/若しくは行動的症状、その合併症、ならびに該疾患の発症の間に現れる中間の病理学的表現型を包含する該疾患の発症を遅らせるのに十分な量で投与する。治療的応用においては、組成物若しくは医薬品を、こうした疾患に感受性の、若しくはすでに罹患している患者に、その合併症および該疾患の発症での中間の病理学的表現型を包含する該疾患の症状(生化学的、組織学的および/若しくは行動的)を治癒若しくは少なくとも部分的に抑止するのに十分な量で投与する。
いくつかの方法において、免疫学的試薬(例えばAβ抗体)の投与は、特徴的なアルツハイマー病の病理を未だ発生していない患者において筋認識(myocognitive)障害を低下若しくは排除する。治療的若しくは予防的処置を達成するのに十分な量は、治療的若しくは予防的有効用量と定義する。予防的および治療的双方のレジメンで、試薬は通常、十分な免疫応答が達成されるまで数投薬量で投与する。「免疫応答」若しくは「免疫学的応答」という用語は、レシピエント被験体中の抗原に向けられた体液性(抗体媒介性)および/または細胞性(抗原特異的T細胞若しくはそれらの分泌産物により媒介される)応答の発生を包含する。こうした応答は、能動的応答(すなわち免疫原の投与により誘導される)または受動的応答(すなわち免疫グロブリン若しくは抗体または予め刺激されたT細胞の投与により誘導される)であり得る。典型的には、免疫応答をモニターし、そして免疫応答が弱まり始める場合に反復投薬量を与える。
上述された状態の処置のための本発明の組成物の有効用量は、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態、患者がヒトであるか若しくは動物であるか、投与される他の医薬品、および処置が予防的であるか若しくは治療的であるかを包含する多くの多様な因子に依存して変動する。通常、患者はヒトであるが、しかしトランスジェニック哺乳動物を包含するヒト以外の哺乳動物もまた処置し得る。処置投薬量は安全性および有効性を至適化するように滴定される必要がある。
抗体での受動免疫については、投薬量は約0.0001から10mg/kgまで、およびより通常は0.01ないし5mg/kg(例えば0.02mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1mg/kg、2mg/kgなど)宿主体重の範囲にわたる。例えば、投薬量は1mg/kg体重若しくは10mg/kg体重、または1〜10mg/kgの範囲内、好ましくは最低1mg/kgであり得る。別の例において、投薬量は0.5mg/kg体重若しくは15mg/kg体重、または0.5〜15mg/kgの範囲内、好ましくは最低1mg/kgであり得る。別の例において、投薬量は0.5mg/kg体重若しくは20mg/kg体重、または0.5〜20mg/kgの範囲内、好ましくは最低1mg/kgであり得る。別の例において、投薬量は0.5mg/kg体重若しくは30mg/kg体重、または0.5〜30mg/kgの範囲内、好ましくは最低1mg/kgであり得る。好ましい一例において、投薬量は約30mg/kgであり得る。とりわけ好ましい一例において、Aβ抗体はおよそ0.3mg/kgからおよそ30mg/kgまでの用量範囲で腹腔内投与される。
上の範囲の中間の用量もまた本発明の範囲内にあることを意図している。被験体は、こうした用量を毎日、隔日、週1回、若しくは経験的分析により決定されるいずれかの他の計画に従って投与され得る。例示的一処置は、例えば最低6か月の長期にわたる複数の投薬量での投与を必要とする。付加的な例示的処置レジメンは、2週ごとあたり1回若しくは月1回若しくは3ないし6か月ごとに1回の投与を必要とする。例示的投薬スケジュールは、連日1〜10mg/kg若しくは15mg/kg、隔日30mg/kg、または週1回60mg/kgを包含する。いくつかの方法において、異なる結合特異性をもつ2種若しくはそれ以上のモノクローナル抗体を同時に投与し、この場合、投与される各抗体の投薬量は示される範囲内にある。
抗体は通常、複数の機会に投与する。単一投薬量の間の間隔は週、月若しくは年であり得る。間隔は患者のAβに対する抗体の血液濃度を測定することにより示されるとおり不規則でもまたあり得る。いくつかの方法においては、投薬量を1〜1000μg/mlの血漿抗体濃度、およびいくつかの方法では25〜300μg/mlを達成するように調節する。あるいは、抗体は除放製剤として投与し得、この場合より少なく頻繁な投与が必要とされる。投薬量および頻度は患者での抗体の半減期に依存して変動する。一般に、ヒト化抗体は最長の半減期を示し、次いでキメラ抗体およびヒト以外の抗体である。
投薬量および投与頻度は、処置が予防的であるか若しくは治療的であるかに依存して変動し得る。予防的応用において、本抗体若しくはそれらのカクテルを含有する組成物を未だ疾患状態にない患者に投与して該患者の抵抗性を高める。こうした量は「予防的有効用
量」であると定義する。この使用において、正確な量は、再度、患者の健康状態および全般的な免疫に依存するが、しかし一般に投与あたり0.1から25mgまで、とりわけ投与あたり0.5ないし2.5mgの範囲にわたる。比較的低投薬量を長期にわたり比較的頻繁でない間隔で投与する。若干の患者は彼らの生涯の残りの間処置を受領し続ける。
無症状の患者においては、処置はいずれの齢(例えば10、20、30)でも開始し得る。通常は、しかしながら、患者が40、50、60若しくは70歳に達するまで処置を開始することは必要でない。処置は、典型的には長期にわたる複数投薬量を必要とする。処置は長期にわたり抗体濃度をアッセイすることによりモニターし得る。応答が下落する場合は追加刺激投薬量が指示される。潜在的ダウン症候群患者の場合、処置は治療試薬を母親に投与することにより出生前に、若しくは出生直後に開始し得る。
治療的応用においては、疾患の進行を低下若しくは終了させるまで、および好ましくは患者が疾患の症状の部分的若しくは完全な改善を示すまで、比較的短い間隔で比較的高投薬量(例えば投与あたり約1から200mgまでの抗体、5から25mgのまで投薬量をより一般的に使用する)がときに必要とされる。その後、本特許は予防的レジメンを投与し得る。
抗体をコードする核酸の用量は、患者あたり約10ngから1gまで、100ngないし100mg、1μgないし10mg、若しくは30〜300μgのDNAの範囲にわたる。感染性ウイルスベクターの用量は、投与あたり10〜100個若しくはそれ以上のビリオンまで変動する。
治療的試薬は、予防的および/若しくは治療的処置のため非経口、局所、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、腹腔内、鼻内若しくは筋肉内手段により投与し得る。免疫原剤の最も典型的な投与経路は皮下であるとは言え、他の経路が等しく有効であり得る。次の最も一般的な経路は筋肉内注入である。この型の注入は、最も典型的には腕若しくは脚の筋肉で実施する。いくつかの方法においては、沈着物が蓄積した特定の組織に試薬を直接注入する(例えば頭蓋内注入)。筋肉内注入若しくは静脈内注入が抗体の投与に好ましい。いくつかの方法において、特定の治療的抗体を頭蓋中に直接注入する。いくつかの方法においては、抗体を徐放性組成物若しくはMedipadTM装置のような装置として投与する。
本発明の免疫学的試薬は、場合によっては、アミロイド形成疾患の処置で少なくとも部分的に有効である他の剤とともに投与し得る。ある態様において、本発明のヒト化抗体(例えばヒト化Aβ抗体)を、第二の免疫原性若しくは免疫学的試薬とともに投与する。例えば、本発明のヒト化Aβ抗体を別のヒト化Aβ抗体とともに投与し得る。他の態様において、ヒト化Aβ抗体を、Aβワクチンを受領した若しくは受領している患者に投与する。アミロイド沈着物が脳に存在するアルツハイマー病およびダウン症候群の場合には、本発明の剤は、血液脳関門を横断する本発明の剤の通過を増大させる他の剤とともにもまた投与し得る。本発明の剤は、標的細胞若しくは組織への該治療薬の到達を高める他の剤、例えばリポソームなどとともにもまた投与し得る。こうした剤を共投与することは、所望の効果を達成するのに必要とされる治療薬(例えば治療的抗体若しくは抗体鎖)の投薬量を減少させ得る。
D.製薬学的組成物
本発明の免疫学的試薬はしばしば有効成分、すなわち、および多様な他の製薬学的に許容できる成分を含んでなる製薬学的組成物として投与される。Remington’s Pharmaceutical Science(第15版、Mack Publishing Company、ペンシルバニア州イーストン(1980))を参照されたい。
好ましい剤形は意図される投与様式および治療的応用に依存する。組成物は、所望の製剤に依存して、製薬学的に許容できる非毒性の担体若しくは希釈剤(動物若しくはヒト投与のために製薬学的組成物を処方するのに一般に使用されるベヒクルと定義される)もまた包含し得る。希釈剤は該組合せの生物学的活性に影響を及ぼさないように選択する。こうした希釈剤の例は、蒸留水、生理学的リン酸緩衝生理的食塩水、リンゲル液、D−ブドウ糖溶液およびハンクス液である。加えて、製薬学的組成物若しくは製剤は他の担体、補助物質、若しくは非毒性の非治療的非免疫原性安定剤などもまた包含しうる。
製薬学的組成物は、タンパク質、キトサンのような多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびコポリマー(ラテックス官能性化セファロース(TM)、アガロ―ス、セルロースなど)、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、ならびに脂質凝集物(油滴若しくはリポソームのような)のような大型のゆっくりと代謝される巨大分子もまた包含し得る。加えて、これらの担体は免疫刺激剤(すなわちアジュバント)としても機能し得る。
非経口投与のためには、本発明の剤は、水、油、生理的食塩水、グリセロール若しくはエタノールのような無菌の液体であり得る製薬学的担体を含む生理学的に許容できる希釈在中の該物質の溶液若しくは懸濁液の注入可能な投薬量として投与し得る。加えて、湿潤剤若しくは乳化剤、界面活性剤、pH緩衝物質などのような補助物質が組成物中に存在し得る。製薬学的組成物の他の成分は、石油、動物、植物若しくは合成起源のもの、例えばラッカセイ油、ダイズ油および鉱物油である。一般に、プロピレングリコール若しくはポリエチレングリコールのようなグリコールは、とりわけ注入可能な溶液の好ましい液体担体である。抗体は、有効成分の持続放出を可能にするような様式で処方し得るデポー注射剤若しくは植込物製剤の形態で投与し得る。例示的組成物は、HClでpH6.0に調節した50mM L−ヒスチジン、150mM NaClよりなる水性緩衝液中で処方した5mg/mLのモノクローナル抗体を含んでなる。
典型的には、組成物は液体の溶液若しくは懸濁液いずれかとしての注入可能物として製造され;注入前の液体ベヒクル中の溶液若しくは懸濁液に適する固体の形態もまた製造し得る。該製剤は、上で論考されたところの高められたアジュバント効果のためのリポソーム、またはポリラクチド、ポリグリコリド若しくはコポリマーのような微粒子中に乳化若しくは被包化もまたされ得る(Langer、Science 249:1527(1990)およびHanes、Advanced Drug Delivery Reviews 28:97(1997)を参照されたい)。本発明の剤は、有効成分の持続性若しくはパルス放出を可能にするような様式で処方し得るデポー注射剤若しくは植込物製剤の形態で投与し得る。
他の投与様式に適する付加的な製剤は、経口、鼻内および肺製剤、坐剤、ならびに経皮適用を包含する。坐剤については、結合剤および担体は、例えばポリアルキレングリコール若しくはトリグリセリドを包含し;こうした坐剤は0.5%ないし10%、好ましくは1%〜2%の範囲の有効成分を含有する混合物から成形し得る。経口製剤は、製薬学的等級のマンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロースおよび炭酸マグネシウムのような賦形剤を包含する。これらの組成物は、溶液、懸濁剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、除放製剤若しくは散剤の形態を取り、そして10%〜95%、好ましくは25%〜70%の有効成分を含有する。
局所適用は経皮若しくは皮内送達をもたらし得る。局所投与は、コレラ毒素またはその無毒化誘導体若しくはサブユニット、あるいは他の類似の細菌毒素との該剤の共投与により助長し得る(Glennら、Nature 391、851(1998)を参照されたい)。共投与は成分を混合物として、または化学的架橋若しくは融合タンパク質としての発現により得られる結合された分子として使用することにより達成し得る。
あるいは、経皮送達は皮膚貼付剤を使用して、若しくはトランスフェロソーム(Paulら、Eur.J.Immunol.25:3521(1995);Cevcら、Biochem.Biophys.Acta 1368:201−15(1998))を使用して達成し得る。
E.処置の経過のモニタリング
本発明は、アルツハイマー病に罹患しているか若しくはそれに感受性の患者における処置のモニター方法、すなわち患者に投与されている処置の経過のモニター方法を提供する。該方法を使用して、症候性患者での治療的処置および無症候性患者での予防的処置の双方をモニターし得る。とりわけ、該方法は受動免疫をモニターする(例えば投与された抗体のレベルを測定する)のに有用である。
いくつかの方法は、例えば、1投薬量の剤を投与する前の患者での抗体レベル若しくはプロファイルの基礎値を測定すること、およびこれを処置後の該プロファイル若しくはレベルの値と比較することを必要とする。レベル若しくはプロファイルの値の有意の増大(すなわち、こうした測定値の平均からの1標準偏差として表される、同一サンプルの反復測定での実験誤差の典型的範囲より大きい)は正の処置の結果(すなわち、該剤の投与が所望の応答を達成したこと)を知らせる。免疫応答の値が有意に変化しないか若しくは減少する場合は、負の処置結果を示す。
他の方法において、レベル若しくはプロファイルの対照値(すなわち平均および標準偏差)を対照集団について測定する。典型的には、対照集団の個体は以前の治療を受領していない。治療薬を投与した後の患者でのレベル若しくはプロファイルの測定値をその後該対照値と比較する。対照値に関しての有意の増大(例えば平均から1標準偏差より大きい)は正のすなわち十分な処置結果を知らせる。有意の増大の欠如若しくは減少は負のすなわち不十分な処置結果を知らせる。剤の投与は、一般に該レベルが対照値に関して増大している間継続する。前のとおり、対照値に関してのプラトーの到達は、処置の投与が中断または投薬量および/若しくは頻度を低下され得ることの指標である。
他の方法において、レベル若しくはプロファイルの対照値(例えば平均および標準偏差)を、治療薬での処置を受けかつそのレベル若しくはプロファイルが処置に応答してプラトーに達した個体の対照集団から決定する。患者でのレベル若しくはプロファイルの測定値を該対照値と比較する。患者での測定レベルが対照値と有意に異ならない(例えば1標準偏差より大きくない)場合は、処置を中断し得る。患者でのレベルが対照値より有意に下である場合は、剤の継続投与が保証される。患者でのレベルが対照値より下に存続する場合には、処置の変更を示しうる。
他の方法において、現在処置を受領していないがしかし以前の1クールの処置を受けた患者を、抗体レベル若しくはプロファイルについてモニターして、処置の再開が必要とされるかどうかを決定する。該患者での測定されたレベル若しくはプロファイルを、以前の1クールの処置後に該患者で以前に達成された値と比較し得る。以前の測定値に関しての有意の減少(すなわち同一サンプルの反復測定での誤差の典型的範囲より大きい)は、処置を再開し得ることの指示である。あるいは、患者で測定された値を、1クールの処置を受けた後の患者の集団で測定された対照値(平均および標準偏差)と比較し得る。あるいは、患者での測定値を、疾患の症状がないままである予防的に処置した患者の集団、若しくは疾患の特徴の改善を示す治療的に処置した患者の集団での対照値と比較し得る。これらの場合の全部において、対照値に関しての有意の減少(すなわち1標準偏差より大きい)は、処置を患者で再開すべきであることの指標である。
分析のための組織サンプルは、典型的には患者からの血液、血漿、血清、粘液若しくは脳脊髄液である。サンプルを、例えばAβペプチドに対する抗体のレベル若しくはプロファイル、例えばヒト化抗体のレベル若しくはプロファイルについて分析する。Aβに特異的な抗体のELISA検出方法を実施例の節に記述する。いくつかの方法において、投与された抗体のレベル若しくはプロファイルを、消失アッセイを使用して、例えば本明細書に記述されるところのin vitro食作用アッセイで測定する。こうした方法において、試験されている患者からの組織サンプルを(例えばPDAPPマウスからの)アミロイド沈着物およびFc受容体をもつ食細胞と接触させる。アミロイド沈着物のその後の消失をその後、モニターする。消失応答の存在および程度は、試験中の患者の組織サンプル中のAβを消失させるのに有効な抗体の存在およびレベルの指示を提供する。
受動免疫後の抗体プロファイルは、典型的には抗体濃度の即座のピーク、次いで指数的減衰を示す。さらなる投薬量がなければ、該減衰は、投与された抗体の半減期に依存して数日ないし数ヶ月の期間内に治療前のレベルに近づく。
いくつかの方法においては、患者中のAβに対する抗体の基礎測定を投与前に行い、第二の測定をその後まもなく行ってピーク抗体レベルを決定し、そして1回若しくはそれ以上のさらなる測定をときどき行って抗体レベルの減衰をモニターする。抗体のレベルが基礎若しくは基礎より低いピークの予め決められたパーセント(例えば50%、25%若しくは10%)まで減少した場合は、さらなる1投薬量の抗体の投与を投与する。いくつかの方法においては、ピーク若しくはバックグラウンドより低いその後の測定レベルを、他の患者での有益な予防的若しくは治療的処置レジメンを構成するために、以前に測定した参照レベルと比較する。測定した抗体レベルが参照レベルより有意により低い(例えば、処置の利益を得る患者の集団での参照値の平均−1標準偏差より低い)場合は、付加的な1投薬量の抗体の投与が指示される。
付加的な方法は、アミロイド形成疾患(例えばアルツハイマー病)を診断若しくはモニターするために研究者若しくは医師により慣例に頼られているいずれかの技術に認識された生理学的症状(例えば身体若しくは精神症状)を処置の経過にわたりモニターすることを包含する。例えば認知障害をモニターし得る。後者はアルツハイマー病およびダウン症候群の症状であるが、しかしこれらの疾患のいずれの他の特徴を伴わずにもまた発生し得る。例えば、認知障害は、処置の経過を通じ、規約に従ってミニメンタルステート検査で患者のスコアを決定することによりモニターし得る。
F.キット
本発明は上述されたモニタリング方法を実施するためのキットをさらに提供する。典型的には、こうしたキットはAβに対する抗体に特異的に結合する剤を含有する。該キットは標識もまた包含し得る。Aβに対する抗体の検出のため、標識は典型的には標識された抗イディオタイプ抗体の形態にある。抗体の検出のため、該剤は、マイクロタイター皿のウェルへのような固相に予め結合して供給し得る。キットは、典型的には該キットの使用のための指示を提供するラベルもまた含有する。該ラベルは、測定された標識のレベルをAβに対する抗体のレベルと相関させる図若しくは他の対応する型(regime)もまた包含しうる。ラベルという用語は、その製造、輸送、販売若しくは使用の間のいずれかの時点でキットに貼付されるか若しくは別の方法で付随するいかなる文書若しくは記録資料も指す。例えば、ラベルという用語は、広告用パンフレットおよび小冊子、包装資材、説明書、音声若しくはビデオカセット、コンピュータディスク、ならびにキットに直接刻印された文言を包含する。
本発明は、診断キット、例えば研究、検出および/若しくは診断キット(例えばin vivo画像化を実施するための)もまた提供する。こうしたキットは、典型的に、好ま
しくは残基1−10内のAβの1エピトープに結合するための抗体を含有する。好ましくは、該抗体は標識されているか、若しくは二次標識試薬がキットに包含される。好ましくは、キットは意図している応用を実施するため、例えばin vivo画像化アッセイを実施するための説明書で区別される。例示的抗体は本明細書に記述されるものである。
G.in vivo画像化
本発明は患者中のアミロイド沈着物のin vivo画像化方法を提供する。こうした方法はアルツハイマー病若しくはそれに対する感受性を診断若しくはその診断を確認するのに有用である。例えば、該方法を痴呆の症状で診察を受ける患者で使用し得る。患者が異常なアミロイド沈着物を有する場合には、該患者はアルツハイマー病に罹患していることがありそうである。該方法は無症状の患者でもまた使用し得る。アミロイドの異常な沈着物の存在は将来の症候性疾患に対する感受性を示す。該方法は、以前にアルツハイマー病と診断された患者での疾患の進行および/若しくは処置に対する応答をモニターするのにもまた有用である。
該方法は、Aβに結合する抗体のような試薬を患者に投与すること、およびその後該剤が結合した後にそれを検出することにより作用する。好ましい抗体は、完全長のAPPポリペプチドに結合することなく患者中のAβ沈着物に結合する。アミノ酸1−10内のAβの1エピトープに結合する抗体がとりわけ好ましい。いくつかの方法において、抗体はAβのアミノ酸7−10内の1エピトープに結合する。こうした抗体は、典型的には実質的な消失応答を誘導することなく結合する。他の方法において、抗体はAβのアミノ酸1−7内の1エピトープに結合する。こうした抗体は、典型的にAβに結合しかつそれに対する消失応答を誘導する。しかしながら、消失応答はFabのような完全長の定常領域を欠く抗体フラグメントを使用することにより回避し得る。いくつかの方法においては、同一の抗体が処置および診断双方の試薬としてはたらき得る。一般に、Aβの残基10に対しC末端のエピトープに結合する抗体は、おそらく該C末端エピトープがアミロイド沈着物中で到達不可能であるため、残基1−10内のエピトープに結合する抗体ほど強いシグナルを示さない。従ってこうした抗体はより少なく好ましい。
診断試薬は、患者の体内への静脈内注入により、または頭蓋内注入により若しくは頭蓋を通る孔を開けることにより脳中に直接投与し得る。試薬の投薬量は処置方法についてと同一範囲内にあるべきである。典型的には試薬は標識されるとは言え、いくつかの方法においては、Aβに対する親和性をもつ一次試薬は未標識であり、そして一次試薬に結合するために二次標識剤を使用する。標識の選択は検出手段に依存する。例えば、蛍光標識は光学的検出に適する。常磁性標識の使用は外科的介入を伴わない断層撮影検出に適する。放射活性標識はPET若しくはSPECTを使用してもまた検出し得る。
診断は、標識された場所の数、大きさおよび/若しくは強度を対応する基礎値と比較することにより実施する。基礎値は疾患に罹っていない個体の集団での平均レベルを表し得る。基礎値は同一患者で測定された以前のレベルもまた表し得る。例えば、基礎値をある患者で処置を開始する前に測定し得、そしてその後測定した値を該基礎値と比較し得る。基礎に関しての値の減少は処置に対する正の応答を知らせる。
H.臨床試験
単回投与第I相試験をヒトでの安全性を決定するため実施し得る。治療薬(例えば本発明の抗体)を、想定される有効性のレベルの約0.01から開始しかつ有効なマウス投薬量の約10倍のレベルに達するまで3の係数により増大させる、増大する投薬量で多様な患者に投与する。
第II相試験は治療上の有効性を決定するためにさらに実施し得る。可能なADについ
てアルツハイマー病・関連障害協会(Alzheimer’s disease and
Related Disorders Association)(ADRDA)の基準を使用して定義される早期ないし中期アルツハイマー病を伴う患者を選択する。適する患者は、ミニメンタルステート検査(MMSE)で12〜26の範囲で得点する。他の選択基準は、患者が試験の期間中生存しかつ妨害しうる付随する医薬品の使用のような複雑にする問題を欠くことがありそうであることである。患者機能の基礎評価は、MMSE、およびADAS(アルツハイマー病の状態および機能を伴う患者を評価するための包括的尺度である)のような古典的精神測定尺度を使用して行う。これらの精神測定尺度はアルツハイマー病の状態の進行の尺度を提供する。適する質的生活尺度もまた処置をモニターするのに使用し得る。疾患の進行はMRIによってもまたモニターし得る。免疫原特異的抗体およびT細胞応答のアッセイを包含する患者の血液プロファイルもまたモニターし得る。
基礎測定後に、患者は処置を受領し始める。彼らを無作為化し、そして盲検化様式で治療薬若しくはプラセボいずれかで処置する。患者は最低6か月ごとにモニターする。有効性は、プラセボ群に関する処置群の進行の有意の減少により測定する。
第二の第II相試験は、ときに加齢による記憶障害(AAMI)若しくは軽度認知障害(MCI)と称されるアルツハイマー病以外の早期記憶障害から、ADRDA基準によるように定義されるところの可能なアルツハイマー病への患者の転換を評価するために実施し得る。アルツハイマー病への転換の高危険度を伴う患者は、記憶障害、若しくは前アルツハイマー病の症候学に関連した他の困難の早期徴候、アルツハイマー病の家族歴、遺伝的危険因子、齢、性別、およびアルツハイマー病に対し高危険度と予測することが見出された他の特徴について参照集団をスクリーニングすることにより、非臨床集団から選択する。より正常な集団を評価するよう設計された他の数的指標と一緒の、MMSEおよびADASを包含する適する数的指標の基礎スコアを収集する。これらの患者集団を、該剤を含む投薬代替に対するプラセボ比較を伴う適する群に分割する。これらの患者集団を約6か月の間隔で追跡し、そして、各患者のエンドポイントは、彼若しくは彼女が観察の終了時にADRDA基準により定義されるところの可能なアルツハイマー病に転換するかどうかである。
本発明は以下の制限しない実施例によりより完全に記述されるであろう。
[実施例]
免疫グロブリン鎖可変領域のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を指すために、実施例の節を通じて以下の配列識別子を使用する。
本明細書で使用されるところの、配列番号1〜59のいずれか1つで示されるようなVLおよび/もしくはVH配列を含んでなる抗体すなわち免疫グロブリン配列は、完全な配列を含み(若しくはコードし)得るか、または成熟配列(すなわちシグナル若しくはリーダーペプチドを含まない成熟ペプチド)を含み得るかのいずれかである。
抗Aβ抗体mAb 3D6および10D5のin vivoおよびex vivo有効性
3D6および10D5抗体をアミロイドーシスで重要な多様な活性について試験した。実験の詳細は第WO 02/46237号明細書(その内容全体は引用することにより本明細書に組み込まれる)に見出し得る。
第一の実験で、10D5がヘテロ接合性PDAPPマウス(8.5ないし10.5月齢)の脳中のAβ蓄積を阻害することが示された。mAb 266、21F12および2H3、ならびにAβ1−42に向けられたマウスポリクローナル抗体(pab)を比較の目的上包含した。試験抗体は腹腔内投与した(週1回約10mg/kgの用量で)。対照マウスは希釈剤単独(PBS)を受領した。抗体力価をモニターし、そして全力価は2H3を除き有意であり、2H3は試験から除外した。処置を6か月間にわたり継続し、6か月の時点で生化学的および病理学的研究を実施するためマウスを安楽死させた。
AβおよびAPPレベルを、該動物の脳の海馬、皮質および小脳領域からのグアニジン抽出物でのELISAによりアッセイした。pAbおよびmAb 10D5は皮質中のAβを有意に低下させた(それぞれ65%、p<0.05および55%、p=0.0433)。pAbならびにmAb 10D5および266は海馬のAβもまた低下させた(それぞれ50%、p=0.0055、33%、p=0.0543および21%、p=0.0990)。小脳では、pAbおよびmAb 266は全Aβのレベルの有意の低下を示し(それぞれ43%、p=0.0033および46%、p=0.0184)、また、10D5は有意近くの低下(29%、p=0.0675)を示した。要約すれば、Aβレベルは、Aβ1−42に対し生じさせたポリクローナル抗体で処置した動物の皮質、海馬および小脳中で有意に低下した。より少ない程度まで、Aβ1−42のアミノ末端および中央領域(具体的にはアミノ酸1−16および13−28)に対し生じさせたモノクローナル抗体もまた、有意の処置効果を示した。APPレベルは対照動物(またELISAにより測定した)と比較して処置動物の全部で事実上変化しなかったため、該効果はAβに特異的であった。
該動物の脳中のAβ免疫反応性斑の程度に対する抗体投与の影響を決定するため、脳切片(海馬、皮質および小脳領域)の免疫組織化学分析もまた実施した。対照処置動物に関して、pAbおよびmAb 10D5は斑負荷量をそれぞれ93%および81%(p<0.005)低下させた。21F12もまた斑負荷量に対する比較的限られた効果を有するようであった。
第二の試験で10D5、3D6および16C11での処置を比較した。対照群はPBS若しくは無関係なアイソタイプを一致させた抗体(TM2a)いずれかを受領した。マウスは前の試験より高齢(11.5〜12月齢のヘテロ接合性)であったが、それ以外は実験デザインは同一であった。mAb 10D5は再度、斑負荷量を対照に比較して80%以上(p=0.003)低下させた。さらに、mAb 3D6は斑負荷量の86%(p=0.003)低下を生じた一方、mAb 16C11は斑負荷量に対するいかなる影響を有することにも失敗した。類似の知見がAβ42のELISA測定で得られた。これらの結果は、N末端Aβ抗体3D6および10D5の受動的投与が、アルツハイマー病のマウスモデルで斑沈着の程度を低下させることを示す。
末梢投与した抗体が、血清中の抗体濃度の0.1%に相当する脳実質中の抗体の濃度を伴いCNSに進入したことがさらに示され、該抗体が脳に進入し得、そこでそれらはアミロイド消失を直接誘発し得ることを示す。斑消失はFc受容体媒介性の食作用の機構を介してであることが示された。抗体は第WO 02/46237号明細書(Bardら(2000)Nat.Med.6:916−919もまた参照されたい)に詳細に記述されるex vivo食作用アッセイでアッセイした。簡潔には、新生DBA/2Nマウス(1〜3日)の大脳皮質から得た初代小膠細胞を、ポリリシン被覆した円形ガラス製カバーガラスにマウントしたPDAPPマウス若しくはヒトAD脳(死後間隔<3時間)いずれかの未固定クライオスタット切片とともに24ウェルプレート中で培養した。抗体は最終5μg/mlの濃度で細胞の添加前に1時間添加した。24時間のインキュベーション後に培養物を固定し、浸透化しかつAβペプチドについて免疫染色した。外因性小膠細胞を核染色(DAPI)により可視化した。Aβ定量のため、培養物を尿素抽出し、そしてAβ1−42 pAbを使用してタンパク質をイムノブロットした。
ex vivoアッセイからのデータは、Aβの残基1−7内のエピトープに結合する
抗体(例えばmAb 3D6(1−5)、10D5(3−7)および22C8(3−7))がアミロイド沈着物を結合かつ消失の双方をする一方で、アミノ酸4−10内のエピトープに結合する抗体(例えばmAb 6E10(5−10)および14A8(4−10))はアミロイド沈着物を消失することなく結合することを示した。残基10に対しC末端のエピトープに結合する抗体(例えばmAb 18G11(10−18)、266(16−24)、22D12(18−21)、2G3(−40)、16C11(−40/−42)および21F12(−42))はアミロイド沈着物を結合も消失もしない。
ex vivoアッセイで食作用を誘導するAβ抗体の数種の能力を、受動移入(passive transfer)研究でin vivo斑負荷量を低下させるそれらの能力とさらに比較した。16C11および21F12は凝集させた合成Aβペプチドに高親和性で結合したとは言え、これらの抗体は未固定の脳切片中のβアミロイド斑と反応せず、ex vivoアッセイで食作用を誘発せず、そしてin vivoでの斑消失で有効でなかった。mAb 10D5および3D6ならびにpAbは全3種の尺度により活性であった。これらの結果は、in vivoでの有効性がCNS内の斑の直接の抗体媒介性の消失に少なくとも部分的によること、およびex vivoアッセイがこのin vivo有効性を予測することを示す。
PDAPPマウスにおける多様な神経病理学的エンドポイントに対するmAb 3D6、10D5および12B4の有効性
PDAPPマウスをmAb 12B4若しくはmAb 3D6(双方ともIgG1アイソタイプのもの)いずれかで受動免疫した。12B4は10mg/kgで試験した。mAb 3D6は3種の異なる用量すなわち10mg/kg、1mg/kgおよび10mg/kg月1回(1×4)で試験した。無関係のIgG1抗体(TY 11/15)およびPBS注入が対照としてはたらいた。Aβペプチドでの能動免疫が比較としてはたらいた。20と35の間の動物を各群で分析した。アッセイした神経病理学的エンドポイントはアミロイド負荷量および神経炎性負荷を包含する。
アミロイド沈着物により占有される前頭皮質の程度を、3D6で免疫染色すること、次いで定量的画像解析により測定した。免疫療法(すなわち12B4、3D6(試験した全用量)およびAβペプチドの投与)のそれぞれは、前頭皮質のアミロイド負荷量の有意の低下に至った(すなわち、対照Abに比較して12%低下を表した)。
以前に、10D5が神経炎性負荷を有意に低下させることが不可能であったことが観察され、IgG1アイソタイプの抗体はアルツハイマー病の動物モデルで神経炎性負荷を低下させることが可能であるが、しかし他のアイソタイプは可能でないことを示唆した(データは示されない)。12B4対3D6(双方ともIgG1アイソタイプのもの)での受動免疫後の神経炎性負荷を、従って、抗APP抗体8E5での脳切片の免疫染色、次いで定量的画像解析によりPDAPPマウスで測定した。神経炎性ジストロフィーは、アミロイド斑のすぐ近傍に位置するジストロフィー型神経突起(例えば球状の外観をもつ神経突起)の出現により示される。この分析の結果は、12B4での処置が神経炎性負荷を最も有意に低下させたことを示した。対照的に3D6は神経炎性負荷を有意に低下させなかった。
12B4および3D6抗体を上述されたex vivo食作用アッセイで試験した場合、双方の抗体はPDAPP脳切片中のアミロイド沈着物を消失させ、そして小膠細胞はAβを含有する多数の貪食胞を示した。類似の結果がADの脳切片で得られ;3D6(ヒト化バージョン)およびキメラ12B4がAD斑の食作用を誘導した一方、対照IgG1は無効であった。
マウス3D6可変領域配列
ハイブリドーマ細胞からの3D6のVLおよびVH領域を、ハイブリドーマ細胞からのmRNAおよび標準的なクローニングの方法論を使用してRT−PCRおよび5’RACEによりクローン化した。3D6のVLおよびVH領域をコードするヌクレオチド配列をそれぞれ配列番号1および3として(ならびにそれぞれ表5および7に)示す。3D6のVLおよびVH領域のアミノ酸配列をそれぞれ配列番号2および4として(ならびにそれぞれ表6および8ならびにそれぞれ図1および2に)示す。N末端からC末端へ、LおよびH鎖双方はドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含んでなる。各ドメインへのアミノ酸の割り当てはKabatら、上記の番号付け規約に従う。
キメラ3D6抗体の発現のため、可変HおよびL鎖領域をそれぞれのVDJ若しくはVJ結合部の下流のスプライスドナー配列をコードするように再工作し、そしてH鎖について哺乳動物発現ベクターpCMV−hγ1(配列番号91および92)、ならびにL鎖についてpCMV−hκ1(配列番号93および94)にクローン化した(例えばMaedaら(1991)Hum.Antibod.Hybridomas.2:124−134を参照されたい)。これらのベクターは、ヒトγ1およびCk定常領域を、挿入された可変領域カセットの下流のエキソンフラグメントとしてコードする。配列確認後に、H鎖およびL鎖発現ベクターをCOS細胞にコトランスフェクトした。馴化培地をトランスフェクション48時間後に収集し、そして抗体産生についてウエスタンブロット分析若しくはAβ結合についてELISAによりアッセイした。キメラ3D6は、マウス3D6により示されたものに類似の高親和性でAβに結合することが見出された。さらに、ELISAに基づく競合阻害アッセイは、キメラ3D6およびマウス3D6抗体がAβに結合するビオチニル化3D6と等しく競合したことを示した。さらに、マウスおよびキメラ双方の3D6は、上述されたex vivoアッセイにおいてAβ斑の消失で有効であった。
マウス10D5可変領域配列
ハイブリドーマ細胞からの10D5のVLおよびVH領域を、5’RACE手順を使用するRT−PCRによりクローン化した。10D5のVLおよびVH領域をコードするヌクレオチド配列をそれぞれ配列番号13および15として(ならびにそれぞれ表9および11に)示す。10D5のVLおよびVH領域のアミノ酸配列をそれぞれ配列番号14および16として(ならびにそれぞれ表10および12ならびにそれぞれ図3および4に)示す。N末端からC末端へ、LおよびH鎖双方はドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含んでなる。各ドメインへのアミノ酸の割り当てはKabatら、上記の番号付け規約に従う。
キメラ10D5抗体発現ベクターは上で3D6について記述されたとおり工作し得、そしてCOS細胞にコトランスフェクトし得る。馴化培地を、抗体産生についてウエスタンブロット分析、若しくはAβ結合についてELISAによりアッセイする。
マウス12B4可変領域配列
ハイブリドーマ細胞からの12B4のVLおよびVH領域を、ハイブリドーマ細胞からのmRNAおよび標準的なクローニングの方法論を使用してRT−PCRおよび5’RACEによりクローン化した。12B4のVLおよびVH領域をコードするヌクレオチド配列をそれぞれ配列番号17および19として(ならびにそれぞれ表13および15に)示す。12B4のVLおよびVH領域のアミノ酸配列をそれぞれ配列番号18および20として(ならびにそれぞれ表14および16ならびにそれぞれ図5および6に)示す。N末端からC末端へ、LおよびH鎖双方はドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含んでなる。各ドメインへのアミノ酸の割り当てはKabatら、上記の番号付け規約に従う。
キメラ12B4抗体発現ベクターは、上で3D6について記述されたとおり工作し、そしてCOS細胞にコトランスフェクトした。馴化培地を、抗体産生についてウエスタンブロット分析、若しくはAβ結合についてELISAによりアッセイした。キメラ12B4は、キメラ3D6により示されたものに類似の高親和性でAβに結合することが見出された。さらに、ELISAに基づく競合阻害アッセイは、キメラ12B4およびマウス12B4抗体が、Aβへの結合においてビオチニル化したマウスおよびキメラ3D6ならびに10D5と等しく競合したことを示した。
3D6ヒト化
マウス3D6抗体中の重要な構造フレームワーク残基を同定するために、HおよびL鎖について最も近いマウス抗体に基づき三次元モデルを生成した。この目的上、1CR9と呼称される抗体を3D6 L鎖をモデル化するための鋳型として選び(PDB ID:1CR9、Kanyoら、上記)、また、1OPGと呼称される抗体をH鎖をモデル化するための鋳型として選んだ(PDB ID:1OPG Kodandapaniら、上記)。これらの抗体のL鎖およびH鎖との3D6のアミノ酸配列アライメントは、H鎖のCDR3を除き、1CR9および1OPG抗体が3D6と有意の配列相同性を共有することを示した。加えて、選択した抗体のCDRループは、再度H鎖のCDR3を除き、3D6のCDRループが属すると同一の正準Chothia構造分類に属する。従って、1CR9および1OPGを、3D6の相同性モデル化のための解明された構造の抗体として最初に選択した。
上で示された抗体に基づく3D6可変領域の初回通過相同性モデルを、Look & SegMod Modules GeneMine(v3.5)ソフトウェアパッケージを使用して構築した。このソフトウェアはMolecular Applications Group(カリフォルニア州パロアルト)から永久ライセンスの下に購入した。Michael LevittおよびChris Lee両博士による著作のこのソフトウェアパッケージは、配列相同性に基づき既知の構造の鋳型での一次配列の構造モデル化に関与する段階を自動化することにより、分子モデル化の過程を容易にする。UNIX環境下でSilicon Graphics IRISワークステーションで作業して、不都合な原子接触を軽減しかつ静電およびファンデルワールス相互作用を至適化するための一連のエネルギー最小化段階により、モデル構造を自動的に改良する。
さらなる改良したモデルを、QUANTA(R)のモデル化機能を使用して構築した。3D6のH鎖のCDR3でのPDBデータベースのクエリは、3D6に最も相同かつそれと同一数の残基を有するとして1qkzを同定した。これ故に、1qkzの結晶構造を鋳型として使用して3D6のH鎖のCDR3をモデル化した。
適するヒトアクセプター抗体配列は、マウス可変領域のアミノ酸配列の既知のヒト抗体の配列とのコンピュータ比較により同定した。該比較は3D6 HおよびL鎖について別個に実施した。とりわけ、そのフレームワーク配列がマウスVLおよびVHフレームワーク領域と高程度の配列同一性を表したヒト抗体からの可変ドメインを、それぞれのマウスフレームワーク配列でのNCBI BLAST(国立保健研究所のNCBIインターネットサーバを通じて公的にアクセス可能)を使用するKabatデータベースのクエリにより同定した。
以下の基準、すなわち(1)主題の配列との相同性;(2)ドナー配列と正準CDR構造を共有すること;および(3)フレームワーク領域中のいかなるまれなアミノ酸残基も含有しないことに基づき、2種の候補配列をアクセプター配列として選んだ。VLの選択されたアクセプター配列はKabat ID番号(KABID)019230(Genbank受託番号S40342)であり、また、VHについてはKABID 045919(Genbank受託番号AF115110)である。ヒト化3D6抗体の第一のバージョンはこれらの選択されたアクセプター抗体配列を利用する。
上で示されたとおり、本発明のヒト化抗体は、実質的にヒト免疫グロブリン(アクセプター免疫グロブリン)からの可変フレームワーク領域および実質的に3D6と命名されたマウス免疫グロブリン(ドナー免疫グロブリン)からの相補性決定領域を含んでなる。3D6の相補性決定領域および適切なヒトアクセプター免疫グロブリンを同定したら、次の段階は、生じるヒト化抗体の特性を至適化するためにこれらの成分からのどの残基(あれ
ば)を置換するかを決定することであった。
図1および2は、ヒト化配列、対応するヒトフレームワークアクセプター配列、および最後にヒトフレームワークアクセプター配列に対する最高の相同性を示すヒト生殖系列V領域配列のそれぞれのバージョン1とのそれぞれ元のマウス3D6 VLおよびVHのアライメントを描く。影を付けた残基は正準(黒地白抜き)、バーニア(点線囲み)、充填(太字)およびまれなアミノ酸(太字斜体)を示しかつ図上に示す。*印はヒトアクセプターフレームワーク配列中のマウス残基に戻し突然変異された残基を示し、そしてCDR領域は上線を付けて示す。3D6のVL領域で、以下の残基を戻し突然変異の候補として選択した。すなわち、残基1−まれなマウス、おそらくCDRに接触する;残基2−正準/CDR接触残基;ならびに残基36および46−充填残基。3D6 VH領域では、以下の残基を戻し突然変異若しくは置換の候補として選択した。すなわち、残基40および42−マウスについてまれ、ヒトで置換する;残基49、CDR接触、バーニア;残基93−充填残基;ならびに残基94−正準残基。
図1および2に示す置換のそれぞれを有するヒト化3D6の第一のバージョン(h3D6 v1)を生成した。PCR媒介性の集成を使用してヒト化VLおよびVH鎖を生成した。h3D6 v1 VLおよびVH領域をコードするヌクレオチド配列をそれぞれ配列番号5および7として示す。h3D6 v1 VLおよびVH領域のアミノ酸配列をそれぞれ配列番号6および8として示す。ヒト化3D6 VHおよびVLのバージョン1に組み込まれた変化の要約を表17に提示する。
残基1でのD→Y置換を除きバージョン1について示された置換のそれぞれを有するヒト化3D6の第二のバージョンを創製した。この残基はCDRと相互作用する残基と同定されたため、該残基での置換をバージョン1で実施した。しかしながら、置換はその位置でヒト免疫グロブリンにまれであった残基を欠失した。これ故に、置換を伴わない1バージョンを創製した。さらに、H鎖フレームワーク領域中の非生殖系列残基を生殖系列残基で置換した(すなわちH74=S、H77=TおよびH89=V)。h3D6 v2のVLおよびVH領域をコードするヌクレオチド配列をそれぞれ配列番号9および11として示す。h3D6 v2のVLおよびVH領域のアミノ酸配列をそれぞれ配列番号10および12として示す。
12B4ヒト化
マウス12B4抗体中の重要な構造フレームワーク残基を同定するため、HおよびL鎖について最も近いマウス抗体に基づき三次元モデルを生成した。この目的上、2PCPと呼称される抗体を12B4 L鎖をモデル化するための鋳型として選び(PDB ID:2PCP、Limら(1998)J.Biol.Chem.273:28576)、また
、1ETZと呼称される抗体をH鎖をモデル化するための鋳型として選んだ(PDB ID:1ETZ、Guddatら(2000)J.Mol.Biol.302:853)。これらの抗体のL鎖およびH鎖との12B4のアミノ酸配列アライメントは、2PCPおよび1ETZ抗体が12B4と有意の配列相同性を共有することを示した。加えて、選択した抗体のCDRループは、12B4のCDRループが属すると同一の正準Chothia構造分類に属する。従って、2PCPおよび1ETZを、12B4の相同性モデル化のための解明された構造の抗体として最初に選択した。
相同性モデル化およびアクセプター配列の選択は上で3D6について記述されたとおり実施した。VLの選択されたアクセプター配列はKabat ID番号(KABID)005036(Genbank受託番号X67904)であり、また、VHについてはKABID 000333(Genbank受託番号X54437)であった。ヒト化12B4抗体の第一のバージョンはこれらの選択されたアクセプター抗体配列を利用する。
上で示されたとおり、本発明のヒト化抗体は、実質的にヒト免疫グロブリン(アクセプター免疫グロブリン)からの可変フレームワーク領域、および実質的に12B4と命名されたマウス免疫グロブリン(ドナー免疫グロブリン)からの相補性決定領域を含んでなる。12B4の相補性決定領域および適切なヒトアクセプター免疫グロブリンを同定したら、次の段階は、生じるヒト化抗体の特性を至適化するためにこれらの成分からのどの残基(あれば)を置換するかを決定することであった。
再形成したL鎖V領域のアミノ鎖アライメントを図5A−Bに示す。アクセプターフレームワーク(KABID 005036)の選択は同一のヒトサブグループからである。マウスV領域に対応するものはまれなフレームワーク残基を有さず、また、該CDRは同一のChothia正準構造グループに属するからである。単一の戻し突然変異(I2V)が指図される。この残基が正準分類に属するためである。再形成したVLのバージョン1は完全に生殖系列である。
再形成したH鎖V領域のアミノ酸アライメントを図6A−Bに示す。アクセプターフレームワーク(KABID 000333)の選択は同一のヒトサブグループからである。マウスV領域に対応するものはまれなフレームワーク残基を有さず、そして該CDRは同一のChothia正準グループに属するからである。マウス配列へのKABID 000333のアミノ酸アライメントとともにのマウスVH鎖の構造モデル化は、再形成されたH鎖のバージョン1(v1)中の9個の戻し突然変異、すなわちL2V、V24F、G27F、I29L、I48L、G49A、V67L、V71KおよびF78V(Kabatの番号付け)を指図する。該戻し突然変異は図6A−Bに示されるアミノ酸アライメント中で*印により強調されている。
該9種の戻し突然変異のうち4種が該モデルにより指図される。該残基は正準残基(V24F、G27F、I29LおよびV71K、黒地白抜きにより示される)、すなわちCDR残基への近接によって抗原結合に寄与しうるフレームワーク残基であるためである。残基の次の最も重要な分類、すなわちVH−VL充填相互作用に関与する界面残基(囲みにより示される)に必要な戻し突然変異は存在しない。戻し突然変異の標的とされる残存する5残基(L2V、I48L、G49A、V67L、F78V、Kabatの番号付け)は全部バーニア分類(CDRコンホメーションへの間接的寄与、図6A−Bの太点線囲み)に属する。
バージョン2は最小数の非CDRマウス残基を保持するよう設計した。L2V戻し突然変異は非生殖系列の変化(VH4−61を生殖系列参照として使用する場合)を導入し、そしてこの戻し突然変異はH鎖のバージョン2ではそれを生殖系列に復帰させるように除
外されている。残存する4個のバーニア分類の戻し突然変異もまたH鎖のバージョン2で復帰されている(I48L、G49A、V67L、F78V)。バージョン2は従って合計5個の非CDRマウス残基(VL中1個およびVH中4個)を含有する。バージョン3は5個のバーニア残基のうち2個を復帰させるよう設計し(I48LとF78V)、該モデルが示すそれはより重要なバーニア残基でありうる。これ故にバージョン3は合計7個の非CDRマウス残基を含有する。
ヒト化12B4のバージョン1、2および3に組み込まれた変化の要約を表18に提示する。
12B4 VLおよびVH鎖のKabatの番号付けをそれぞれ図5および6に示す。ヒト化12B4VL(バージョン1)および12B4VH(バージョン1)をコードするヌクレオチド配列をそれぞれ配列番号21および23として示す。ヒト化12B4VL(バージョン1)および12B4VH(バージョン1)のアミノ酸配列をそれぞれ配列番号22および24として示す。h12B4 v2 VHおよびh12B4 v3 VHのアミノ酸配列をそれぞれ配列番号25および26として示す。
ヒト化3D6抗体の機能的活性
ヒト化3D6v1の機能試験を、完全にキメラの抗体で一過性にトランスフェクトしたCOS細胞からの馴化培地、キメラH鎖+ヒト化L鎖若しくはキメラL鎖+ヒト化H鎖いずれかの混合物、および最後に完全にヒト化した抗体を使用して実施した。馴化培地をELISAアッセイにより凝集型Aβ1−42への結合について試験した。ヒト化抗体は実験誤差内の良好な活性を示し、また、キメラ3D6参照サンプルと識別不可能な結合特性を表した。ヒト化3D6v2の類似の試験は、該抗体が3D6v1のものにほぼ同一のAβ結合特性を有したことを示した。3D6v2はマウス3D6抗体と比較して事実上同一のエピトープ地図を有することもまた示された。ヒト化3D6v1抗体はPDAPPマウスから調製したクライオスタット脳切片中のAβを認知した(上述されたとおり実施した免疫組織化学)。同一の実験で、h3D6v2は、3D6v1に類似の様式で(例えば高度に装飾された斑)PDAPPおよびAD脳切片を染色した。
マウス3D6と競合するh3D6抗体v1およびv2の能力を、ビオチニル化3D6抗体を使用するELISAにより測定した。競合結合分析は、h3D6v1、h3D6v2およびキメラ3D6全部がAβに結合するためにm3D6と競合したことを示した。h3D6v1およびh3D6v2はAβに対し3D6と競合するそれらの能力が同一であった。10D5抗体は3D6と異なる結合エピトープを有するため、それを陰性対照として使用した。BIAcore分析もまたAβに対するh3D6v1およびh3D6v2の高親和性を示した。0.88nMのKdを有する3D6に比較して、h3D6v1およびh3D6v2双方が、h3D6v1およびh3D6v2についてそれぞれ2.06nMおよび2.24nMで測定される約2ないし3倍より低い結合親和性を有した。ELISA競合結合アッセイは、h3D6v1およびh3D6v2についておよそ6倍より低い結合親和性を示した。典型的に、ヒト化抗体はそれらのマウス対照物に関して結合親和性の約3〜4倍を喪失する。従って、h3D6v1およびh3D6v2について約3倍(ELISAおよびBIAcoreの結果の平均)の喪失は許容される範囲内である。
小膠細胞を刺激するh3D6v2の能力をex vivo食作用アッセイ(上述される)で試験した。h3D6v2は、PDAPPマウス脳組織からのAβ凝集物の食作用の誘導でキメラ3D6と同じくらい有効であった。IgGはAβを結合することが不可能でありかつ従って食作用を誘導し得ないため、それを陰性対照として使用した。
125I標識したh3D6v2、m3D6および抗体DAE13を、それぞれ別個の実験で14匹の個別のPDAPPマウスにIV注入した。マウスを第7日後に殺し、そしてさらなる分析のため灌流した。それらの脳領域を解剖し、そして特定の脳領域の125I活性について測定した。脳中の放射標識活性を血清サンプル中の活性と比較した。該データは、h3D6v2が脳に局在化し、そしてAβが凝集することが既知である海馬領域にとりわけ濃縮されたことを示した。m3D6およびDAE13についての脳のカウントはh3D6v2に匹敵した。全3種の抗体は、in vivoでのAβ斑結合により示されるとおり血液関門を横断することが可能であった。
多様なN末端Aβ抗体の有効性
凝集させた合成Aβ1−42へのモノクローナル抗体6C6、10D5、2C1、12B4、3A3および12A11の結合を、Schenkら(Nature 400:173(1999))に記述されるとおりELISAにより実施した。可溶性Aβ1−42(本実施例において)はジメチルスルホキシド(DMSO)中で超音波処理した合成Aβ1−42ペプチドを指す。20μg/mlの抗体の連続希釈を50,000cpmの[125I]Aβ1−42(190μCi/μmol;IodogenTM試薬、Pierceで標識)とともに室温で一夜インキュベートした。75mg/mlプロテインAセファロース(Amersham Pharmacia)および200μgのウサギ抗マウスIgG(H+L)(Jackson ImmunoResearch)を含有する50マイクロリットルのスラリーを、希釈した抗体とともに室温で1時間インキュベートし、2回洗浄し、そしてWallacガンマカウンター(Perkin−Elmer)でカウントした。全段階は、10mMトリス、0.5M NaCl、1mg/mlゼラチンおよび0.5%Nonidet P−40、pH8.0よりなるRIA緩衝液中で実施した。親和性試験からの結果を下の表19に示す。
試験した抗体の全部が、凝集型Aβ1−42に対する高親和性(<1nM)を表した。さらに、抗体12B4および12A11は20μg/mlの抗体濃度で可溶性Aβ1−42を認識可能に捕捉した。表19に示されるとおり、IgG1抗体12A11はIgG2a抗体12B4より効率的にAβ1−42を捕捉した一方、IgG1抗体6C6および10D5、IgG2a抗体2C1ならびにIgG2b抗体3A3は可溶性Aβを認識可能に捕捉しなかった。
Fc媒介性の斑消失を誘発するそれらの能力の尺度として、抗体を上述されたところのPDAPPマウスからの脳組織の切片を使用するex vivo食作用アッセイでもまた比較した。Aβ若しくは該アッセイの他の成分に対する反応性を有しない無関係のIgG1およびIgG2a抗体を、アイソタイプを一致させた陰性対照として使用した。2種のIgG2a抗体12B4および2C1はAβレベルを効率的に(12B4について73%および2C1について69%;P<0.001)低下させ、12A11および3A3はいくぶんより小さいがにもかかわらず統計学的に有意の効率(12A11について48%、P<0.05および3A3について59%、P<0.001)を示した。10D5および6C6抗体はAβレベルを有意に低下させなかった。ex vivo食作用アッセイでの12A11の成績は、小膠細胞の食作用に好ましい1アイソタイプであるIgG2aアイソタイプへの転換に際して改善されうる。
多様なN末端抗体のin vivo有効性:ADの神経病理学の低減
多様なN末端Aβ抗体のin vivo有効性を決定するために、12A11、12B4および10D5を、Bardら(2000)Nat.Med.6:916に記述されたとおり、別個のマウス群に10mg/kgで週1回腹腔内注入により6か月間投与した。試験の終了時に皮質のAβの総レベルをELISAにより測定した。抗体のそれぞれは総AβレベルをPBS対照と比較して有意に低下させた(P<0.001)。すなわち、12B4は69%の低下を示し、10D5は52%の低下を示し、そして12A11は31%の低下を示した。
神経炎性ジストロフィーのレベルをその後、上述のマウスからの脳組織の切片で検査して、斑消失と神経保護の間の関連を決定した。神経炎性ジストロフィーにより占有される前頭皮質の比率を検査する脳画像解析を個々の動物について決定し、そして対照の平均(100%に設定する)に関しての神経炎性ジストロフィーの比率として表した。該データは、抗体10D5および12A11が神経炎性ジストロフィーの低減で有効でなかった一方、12B4は神経炎性ジストロフィーを有意に低下させた(12B4、P<0.05;ANOVA、次いでpost hoc Dunnett検定)ことを示した。抗体12A11の結合特性およびin vivo有効性を示す実験はBardら PNAS 100:2023(2003)(引用することにより本明細書に組み込まれる)にもまた記述されている。
要約すれば、全抗体は凝集型Aβに対する有意の親和性を有し、かつ、ex vivoアッセイで斑消失を誘発した。IgG2aアイソタイプ(Fc受容体、とりわけFcγRIに対する親和性)が、Aβの消失および神経炎性ジストロフィーに対する保護の双方のための重要な属性であるようである。抗体12A11(IgG1)は可溶性単量体Aβ1−42を12B4(IgG2a)若しくは10D5(IgG1)より効率的に捕捉したが、しかし神経炎性ジストロフィーの低減で同じくらい有効でなかった。斑負荷量の減少および神経炎性ジストロフィーの低減における高められた有効性は、食作用を最大限に支援するアイソタイプを有するように抗体を工作することにより達成しうる。とりわけ有効な抗体はAβのN末端内のエピトープに結合する。
さらなる一研究において、12A11 IgG2aアイソタイプ抗体を、PDAPPマウスでAD様神経病理学を低下させる能力について試験した。12〜13月齢のPDAPPマウスに3mg/kgの12A11抗体を週1回6か月間注入した。6か月の終了時に動物を殺し、そして、Aβ負荷量、神経炎性負荷およびシナプトフィジンレベルを包含する多様なエンドポイントについて脳サンプルを分析した。12A11抗体の投与はPDAPPの脳サンプル中のアミロイド負荷量のレベルを有意に低下させた。12A11抗体の投与は神経炎性ジストロフィー(斑を囲む異常な神経突起)の程度もまた有意に低下させた。同様に、12A11投与はシナプトフィジン(シナプスの完全性の尺度)の喪失に対し有意に保護した。
さらなる実験において、12A11 IgG2aアイソタイプ抗体をアミロイドを消失させる能力についてex vivo食作用アッセイで試験した。12A11抗体投与は脳実質の斑沈着の完全消失をもたらし、かつ、血管アミロイドの部分的消失もまたもたらした。該結果は用量依存性であった。
多様なAβ抗体の捕捉能力
以前の研究は、ex vivoで(例えばPDAPP若しくはAD脳切片で)斑を結合するおよび/若しくはex vivo食作用アッセイで斑消失を誘発する抗体の能力により、AD関連の神経病理学(例えば斑負荷量)の低減における多様なAβ抗体のin vivo有効性を予測することが可能であることを示した(Bardら(2000)Nat.Med.6:916−919)。該相関は、小膠細胞および/若しくはマクロファージによるFc依存性の食作用がin vivoでの斑消失の過程に重要であるという概念を裏付ける。しかしながら、抗体の有効性はFc相互作用に依存しない機構によりin vivoでもまた得ることができることもまた報告された(Bacskaiら(2002)J.Neurosci.22:7873−7878)。研究は、アミロイド斑を認識し得ない、Aβの中央部分に向けられた抗体が、可溶性Aβに結合しかつ斑沈着を低下させるようであることを示した(DeMattosら(2001)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:8850−8855)。
可溶性Aβを捕捉する多様な抗体の能力を後に続くとおりさらにアッセイした。多様な濃度の抗体(10μg/mlまで)を50,000CPMの125I−Aβ1−42(若しくは125I−Aβ1−40)とともにインキュベートした。放射活性カウントの25%を結合するのに十分な抗体の濃度を捕捉ラジオイムノアッセイで測定した。ある種の抗体は試験した最高濃度(すなわち10μg/ml)でカウントの25%を結合しなかった。こうした抗体については、10μg/mlで結合されるカウントの比率を決定した。12A11は10μg/mlで放射活性カウント(すなわち125I−Aβ)の20%を結合した。これは試験した2種の他のAβ3−7抗体すなわち12B4および10D5(それぞれ10μg/mlで7%および2%を結合する)により結合される量より大きかった。従って、試験したN末端(エピトープAβ3−7)のうち、12A11はAβを捕捉する最も認識可能な能力を表した。3μg/mlで、15C11は放射活性カウント(すなわち125I−Aβ)の25%を結合した。この捕捉は、中央Aβフラグメント(例えばAβ13−28若しくはAβ17−28)に対し生じさせた他のモノクローナル抗体に比較して有意であった。こうした抗体についての標識したAβの25%を捕捉するのに必要な濃度の範囲は約0.1μg/mlから10μg/mlまでであり、数種の抗体は10μg/mlでアッセイした場合に25%未満の標識Aβ(例えば10〜20%)を捕捉する。
多様なAβ抗体のin vitro有効性:可溶性オリゴマーAβの結合
本実施例では、Aβ調製物は、実質的に後に続くとおり合成Aβオリゴマーに由来した。
(1)凍結乾燥したAβ1−42ペプチドを100%ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に1mMまで溶解し(混合し、その後室温で1時間インキュベートし)、そして微小遠心管中でアリコートに分離し(各チューブは0.5mgのAβ1−42ペプチドを含有した);
(2)HFIPを蒸発により除去し、次いで凍結乾燥して残余のHFIPを除去し;
(3)生じるAβペプチド薄膜/残渣を−20℃で乾燥保存し;
(4)Aβペプチド残渣を5mMのペプチドの最終濃度までDMSOに再懸濁し、その後氷冷ハムF12(フェノールレッド不含)培地に添加して、ペプチドを100μMの最終濃度にし;
(5)ペプチドを4℃で24時間インキュベートして、およそ100μM濃度の合成Aβオリゴマーを生じ;ならびに
(6)合成Aβオリゴマーをペルオキシ亜硝酸で処理した。
Aβ調製物の一部分をその後、それぞれ試験免疫学的試薬(この場合は抗体)およびAβ単量体と接触させ、そして、試験免疫学的試薬に結合した1種若しくはそれ以上のAβオリゴマーを免疫沈降によりAβ調製物から抽出した。多様な免疫沈降物をゲル電気泳動により分離し、そして実質的に後に続くとおり3D6抗体でイムノブロットした。図7〜8の免疫沈降物サンプルをサンプル緩衝液で希釈し、そして16%トリシンゲル上でのSDS−PAGEにより分離した。タンパク質をニトロセルロースメンブレンに移し、該メンブレンをPBS中で沸騰させ、そしてその後TBS/Tween/5%カーネーション粉乳の溶液中4℃で一夜ブロッキングした。メンブレンをその後3D6(残基1−5に対するマウスモノクローナルAβ抗体)とともにインキュベートした。検出のため、メンブレンを抗マウスIg−HRPとともにインキュベートし、ECL Plusを使用して発色させ、そしてフィルムを使用して可視化した。分子量はSeeBlueTM Plus2分子量マーカーにより推定した。
図7〜8は、Aβ調製物中のAβ単量体、二量体、三量体、四量体、五量体などへの結合を測定するための多様なAβ抗体と上のAβ1−42調製物のサンプルを接触した結果を描く。図7〜8は、多様なAβ抗体と接触させたペルオキシ亜硝酸処理したオリゴマーAβ1−42調製物の免疫沈降物のウエスタンブロット(3D6を用いて画像化した)を描く。Aβ1−42単量体、二量体、三量体および四量体のバンドのおよその位置を各図の左側に示す。該抗体により認識されるAβエピトープおよび該抗体についてのCFCアッセイの結果(実施例13を参照されたい)を各Aβ抗体の下に示す。「+」表記は該抗体での処置に際しての増大した認知の観察結果を示し、「−」表記は該抗体での処置に際しての認知の変化なしという観察結果を示し、そして「+/−」表記は、該抗体での処置に際しての増大した認知の傾向、しかし増大した認知という観察結果として示されるのに十分に統計学的に有意でない観察結果を示す。
図7〜8で、Aβ調製物中のAβ単量体に対するAβ抗体の結合に関してAβ調製物中のAβ二量体もしくはより高次のオリゴマーに対するAβ抗体の増大された結合は、該Aβ抗体がアルツハイマー病の処置について治療的有効性を有することを予測する。注目すべきは、Aβ抗体3D6、3A3、15C11、10D5、12A11および266は、単量体Aβに比較してオリゴマーAβ種に対する優先的結合を表し、12A11がオリゴマーAβへの最も有意な優先的結合を表した。従って、これらの抗体は、処置認知障害、例えばADに関連するものにおいて治療的有効性を有すると予測される。
多様なAβ抗体のin vivo有効性:ADのTg2576マウスモデルにおける認知の迅速な改善
野性型およびTg2576マウスに、腹腔内注入により単一用量のリン酸緩衝生理的食塩水(PBS)若しくは処置抗体を投与した。処置抗体はAβペプチドのN末端、中央およびC末端部分に対し生じさせた抗体を包含した。認知(すなわち文脈的および手掛かり依存的記憶)の迅速な改善を評価するため、各マウスにCFC訓練活動を処置直後に、およびCFC試験活動を処置24時間以内(すなわち処置後第1日)に実施した。治療的有効性は、記憶障害の逆転および記憶障害状態双方に関して表した。「記憶障害の逆転」は、mAb対PBS対照処置Tg2576動物のフリージング行動を比較することにより決定した。「記憶障害状態」は野性型対Tg2576 mAb処置動物のフリージング行動を比較することにより決定した。
AβのN末端に対し生じさせた数種のmAbの治療的有効性を表20に表にする。処置後第1日に実施したCFC試験活動の結果は、mAb 3D6、10D5および12A11が対照処置に関してTg2576マウスの文脈的記憶の迅速かつ有意の(**)改善を引き起こした(p値<0.05)ことを示す。さらに、mAb 3D6、10D5および12A11で処置したTg2576マウスは、野性型マウスに関して有意の記憶障害(##)を表さなかった(p値>0.1)。3A3(表20に列挙されない)と呼称される付加的なN末端mAbもまた、CFCアッセイでTg2576マウスでの認知記憶障害の逆転において有効であることが見出された。加えて、抗体6C6、10D5および12B4は、記憶障害の逆転()若しくは記憶障害なし(#)いずれかへの傾向を表した(0.1>p値>0.05)。
Tg2576マウスは、12A11と呼称されるN末端のマウスIgG2a mAbを投与した場合に、文脈的記憶のとりわけ顕著な、有意のかつ迅速な改善を表した。例えば、12A11は試験したすべての用量(0.3、1、10若しくは30mg/kg)で記憶障害の逆転をもたらした(図9Aおよび9Bを参照されたい)。対照的に、未処置の(PBS)Tg2576マウスは、野性型マウスと比較して文脈依存的記憶の有意の障害()を表した(図9A)。しかしながら、Tg2576マウスは、1、10若しくは30mg/kg(i.p.)の12A11を投与した場合に完全なかつ有意の記憶障害の逆転(#)を表した。認知能力の改善は、より低用量(0.1および1mg/kg i.p.)の12A11をマウスに投与した場合に持続した(図9B)。
観察された応答がアミロイド結合によったことを確認するため、Tg2576マウスに、鶏コクシジウム(E.tennela)からの無関係の抗原に対し生じさせたIgG2aアイソタイプの対照mAb30mg/kgを投与した。期待されたとおり、該対照抗体で処置したTg2576マウスは、野性型マウスに関して文脈的記憶の顕著な障害を表した。
別の実験で、N末端抗体3D6、12A11および12B4の効果をTg2576マウスを用いるCFCアッセイで直接比較した(図2を参照されたい)。前の結果に一致して、12A11は1、10若しくは30mg/kgで顕著なかつ有意の記憶障害の逆転を誘導した(^)。さらに、3D6は30mg/kgで有意の記憶障害の逆転を誘導した。対照的に、12B4抗体および無関係のIgG1抗体(TY 11/15)は有意の記憶障害の逆転を誘導することに失敗した。
Aβの中央のアミノ酸配列に対し生じさせた数種のmAbの治療的有効性を表21に表にする。処置後第1日に実施したCFC試験活動の結果は、mAb 266および15C
11が、対照処置に関してTg2576マウスの文脈的記憶の有意の改善(**)を引き起こし(p値<0.05)、かつ、野性型マウスに関して有意の記憶障害を引き起こさなかった(##)(p値>0.1)ことを示す。さらに、抗体1C2および2B1は記憶障害の逆転への傾向()を表した(0.1>p値>0.05)。
Aβのカルボキシ末端アミノ酸配列に対し生じさせた数種のmAbの治療的有効性を表22に表にする。処置後第1日に実施したCFC試験活動の結果は、AβのC末端に対し生じさせた大部分の抗体が、試験した単一用量(30mg/kg)で認知障害の処置において比較的無効であったことを示す。試験した4種のモノクローナル抗体のいずれも、対照処置に関してTg2576マウスの文脈的記憶のいかなる改善も生じなかった(p値>0.1)とは言え、3種(2G3、14C2および16C11)は野性型マウスに関して障害なしへの傾向(#)を表した(0.1>p値>0.05)。
上の研究において、記憶障害の逆転を表すマウスは短期間内に表わした。多様な有効なAβ抗体を投与したマウスでの認知のこの迅速な改善は、血液中の可溶性Aβの捕捉およびCNSから血漿へのAβのその後の除去を伴う作用機序を示唆する。
マウス12A11抗体のin vivo有効性:Tg2576マウスの認知の長期改善
N末端のマウス12A11抗体(「mu12A11」)での処置後24時間以内に観察された認知改善の持続期間を、第二の長時間CFC試験で評価した。Tg2575および野性型マウスに、再度、PBS対照若しくは低用量の12A11抗体(1mg/kg ip)を投与し、そしてそれらの認知状態を、処置後第0〜1、9〜10および16〜17日のCFCアッセイにより評価した(すなわち、CFC訓練活動を第0、9、16日に実施しかつCFC試験活動を第1、10および17日に実施した)。
実施例13で観察されたとおり、Tg2576マウスは再度、mu12A11での処置後第1日に文脈的記憶の顕著な有意のかつ迅速な改善を表した(図11Aを参照されたい)。例えば、mu12A11で処置したTg2576は、野性型マウスのものと同等に近づいた有意の記憶障害の逆転(PBS処置したTg2576マウスと比較した場合)および記憶障害状態を表した。文脈的記憶のこれらの改善は持続し、かつ、処置後第10日に評価した場合になおより顕著であった。さらに、処置後第17日に評価した場合、mu12A11は記憶障害なしへの傾向を表し続けた。これらの結果は、単一の低用量のmu12A11 N末端抗体が、ADのマウスモデルで認知能力の永続的かつ長期の改善をもたらし得ることを示した。
マウス266抗体およびマウス12A11抗体のin vivo有効性の比較:Tg2576マウスの認知の長期改善
N末端のマウス12A11抗体(「mu12A11」)での処置後24時間以内に観察された認知改善の持続期間を、中央領域のマウス266抗体(「mu266」)を用いる比較長時間CFC試験で評価した。Tg2575および野性型マウスに、再度、PBS対照若しくは低用量の12A11抗体(1mg/kg ip)を投与し、そしてそれらの認知状態を処置後第0〜1、4〜5、9〜10および16〜17日のCFCアッセイにより
評価した(すなわち、CFC訓練活動を第0、4、9、16日に実施しかつCFC試験活動を第1、5、10および17日に実施した)。
Tg2575および野性型マウスの第二の群にPBS対照若しくは低用量の266抗体(3mg/kg ip)を投与し、そしてそれらの認知状態を処置後第0〜1、4〜5、9〜10および16〜17日のCFCアッセイにより評価した(すなわち、CFC訓練活動を第0、4、9、16日に実施しかつCFC試験活動を第1、5、10および17日に実施した)。
実施例4に記述されるとおり、mu12A11およびmu266双方で処置したTg2576マウスは、立派な抗体での処置後第5日に文脈的記憶の顕著な有意のかつ迅速な改善を表した[図11Bを参照されたい]。例えば、mu12A11およびmu266で処置したTg2576の双方の群は、有意の記憶障害の逆転(PBS処置したTg2576マウスと比較した場合)、および野性型マウスのものと同等に近づいた記憶障害状態を表した。双方の群は文脈的記憶の改善を表し、この改善は持続しかつ処置後第10日に評価した場合になおより顕著であった。さらに、処置後第17日に評価した場合、mu12A11およびmu266双方の群は記憶障害なしへの傾向を表し続けた。これらの結果は、単一の低用量のmu12A11 N末端抗体およびmu266中央末端抗体双方が、別個に、ADのマウスモデルの認知能力の永続的かつ長期の改善をもたらし得ることを示した。
最後の実験で、野性型マウスおよび二重トランスジェニックADマウスに、単一用量のリン酸緩衝生理的食塩水(PBS)若しくは処置抗体(C末端266抗体若しくはN末端12A11抗体)をCFCの訓練期前24時間に腹腔内注入により投与した。該実験で使用した二重トランスジェニックADマウスはおよそ18〜20月齢であり、そして顕著な認知障害ならびに斑の密な蓄積を表した。
二重トランスジェニックADマウスは、12A11と呼称されるN末端マウスIgG2a mAbを投与した場合に文脈的記憶障害の顕著なかつ有意の逆転を表し、そしてこのmAbは数種の低用量(3および10mg/kg)で有効な処置であった。(図12を参照されたい)。266と呼称される中央末端抗体での低用量処置もまた、二重トランスジェニックマウスで文脈的記憶障害の有意の逆転をもたらした。対照的に、未処置の(PBS)二重トランスジェニックマウスは、野性型マウスと比較して文脈依存的記憶の有意の障害を表した(すなわち有意の記憶障害状態)()。これらの結果は、文脈的記憶障害の急性の逆転が、顕著なアルツハイマー病の病理学(AD)を表す加齢マウスで維持されることを示す。
マウス12A11可変領域配列
ハイブリドーマ細胞からのmu12A11のVLおよびVH領域を、ハイブリドーマ細胞からのmRNAおよび標準的なクローニングの方法論を使用してRT−PCRおよび5’RACEによりクローン化した。12A11のVLおよびVH領域をコードするヌクレオチド配列をそれぞれ配列番号27および29として(ならびにそれぞれ表23および25に)示す。12A11のVLおよびVH領域のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号28および30として(ならびにそれぞれ表24および26ならびにそれぞれ図13および14に)示す。
12A11のVLおよびVH配列は、それらが開始メチオニンからC領域までの1個の連続するORFを含有しかつ免疫グロブリンV領域遺伝子の保存された残基の特徴を共有する限りは、機能的V領域の基準に合致する。N末端からC末端へ、LおよびH鎖双方はドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含んでなる。
可変HおよびL鎖発現ベクターは3D6および12B4について上述されたとおり工作し、そしてCOS細胞にコトランスフェクトした。馴化培地を、抗体産生についてウエスタンブロット分析、若しくはAβ結合についてELISAによりアッセイした。キメラ12A11は、キメラおよびヒト化3D6により示されるものに類似の高親和性でAβに結合することが見出された。結合親和性もまた、キメラおよびヒト化12B4により示されるものに類似であった。
マウス15C11可変領域配列
ハイブリドーマ細胞からの15C11のVLおよびVH領域は、ハイブリドーマ細胞からのmRNAおよび標準的なクローニングの方法論を使用してRT−PCRおよび5’RACEによりクローン化した。15C11のVLおよびVH領域をコードするヌクレオチド配列はそれぞれ配列番号39および41として(ならびにそれぞれ表27および29に)示す。15C11のVLおよびVH領域のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号40および42として(ならびにそれぞれ表28および30ならびにそれぞれ図15および16に)示す。N末端からC末端へ、LおよびH鎖双方は、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含んでなる。N末端からC末端へ、LおよびH鎖双方は、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含んでなる。エピトープ地図アッセイを実施し、15C11のエピトープとしてAβの残基19−22を同定した。
12A11ヒト化
マウス12A11抗体中の重要な構造フレームワーク残基を同定するため、12A11
HおよびL鎖に対する相同性を有する解明されたマウス抗体の三次元モデルを研究した。12A11 L鎖に対する緊密な相同性を有する1KTRと呼称される抗体を選び、また、12A11 H鎖に対する緊密な相同性を有する1ETZおよび1JRHと呼称される2種の抗体を選んだ。これらのマウス抗体は12A11との強い配列保存を示す(Vkについて112アミノ酸で94%の同一性およびVhについてそれぞれ126アミノ酸で83%の同一性および121アミノ酸で86%の同一性)。1ETZのH鎖構造を1KTRのものに重ねた。加えて、Vkについて、選択した抗体のCDRループは、12A11 VLのCDRループが属すると同一の正準Chothia構造分類に属する。これらの抗体の結晶構造を、抗体の機能に重要であると予測される残基(例えばCDRのコンホメーションに重要なFR残基など)について、および比較して類似の12A11抗体の機能を検査した。
適するヒトアクセプター抗体配列は上述されたとおり同定した。VLについて選択したアクセプター配列はNCBI Ig非重複性データベースのBAC01733である。VHについて選択したアクセプター配列はNCBI Ig非重複性データベースのAAA69734である。AAA69734は(サブグループIIよりむしろ)ヒトサブグループIII抗体であるが、しかしSaldanhaら(1999)Mol.Immunol.36:709での論法に少なくとも部分的に基づいて最初のアクセプター抗体として選択した。ヒト化12A11抗体の第一のバージョンはこれらの選択されたアクセプター抗体配列を利用する。該抗体はSchroederとWang(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 872:6146に記述されている。
上に示されたとおり、本発明のヒト化抗体は、実質的にヒト免疫グロブリン(アクセプター免疫グロブリン)からの可変フレームワーク領域および実質的に12A11と命名されたマウス免疫グロブリン(ドナー免疫グロブリン)からの相補性決定領域を含んでなる。12A11の相補性決定領域および適切なヒトアクセプター免疫グロブリンを同定したら、次の段階は、生じるヒト化抗体の特性を至適化するためにこれらの成分からのどの残基(あれば)を置換するかを決定することであった。
再形成したL鎖V領域のアミノ酸アライメントを図13に示す。アクセプターフレームワーク(BAC01733)の選択は同一のヒトサブグループからである。マウスV領域に対応するものはまれなフレームワーク残基を有さず、また、該CDRは同一のChothia正準構造グループに属するからである。戻し突然変異はヒト化12A11のバージョン1で行わなかった。
再形成したH鎖V領域のアミノ鎖アライメントを図14に示す。アクセプターフレームワーク(AAA69734)の選択は(以前に記述されたところの)ヒトサブグループIIIからであり、そしてまれなフレームワーク残基を有しない。マウス配列へのAAA69734のアミノ酸アライメントとともにのマウスVH鎖(1ETZおよび1JRH)の構造解析は、再形成されたH鎖のバージョン1(v1)中の9個の戻し突然変異、すなわちA24F、T28S、F29L、V37I、V48L、F67L、R71K、N73T、L78V(Kabatの番号付け)を指図する。該戻し突然変異は図14に示されるアミノ酸アライメント中で*印により強調されている。
該9種の戻し突然変異のうち3種が該モデルにより指図される。該残基は正準残基(A24F、F29LおよびR71K、黒地白抜き)、すなわちCDR領域への近接によって抗原結合に寄与しうるフレームワーク残基であるためである。残基の次の最も重要な分類、すなわちVH−VL充填相互作用に関与する界面残基(下線)に1個の戻し突然変異すなわちV37Iが存在する。N73T突然変異は結合部位の縁のバーニア残基(点線で囲まれる)であり、おそらくCDR1に隣接するS30と相互作用する。戻し突然変異の標的とされる残存する4残基(T28S、V48L、F67L、L78V、Kabatの番号付け)もまたバーニア分類(CDRコンホメーションへの間接的寄与、図14の点線囲み)に属する。
ヒト化12A11のバージョン1に組み込まれた変化の要約を表31に提示する。
12A11 LおよびH鎖のKabatの番号付けはそれぞれ図13および14に示す。H鎖アクセプター配列AAA69734および生殖系列配列567123のKabatの番号付けは、技術に認識された方法(例えばKabat、Sequences of Proteins of Immunological Interest、上記を参照されたい)を使用して決定し得る。ヒト化12A11 VH(バージョン1)をコードするヌクレオチド配列は配列番号33として示し、また、ヒト化12A11(バージョン1)のアミノ酸配列は配列番号34として示す。L鎖中の以下の残基を戻し突然変異の候補として同定した:V2、I48、G64およびF71、正準;M4、P40、L47、Y49、G66、G68およびT69、バーニア;Y36、Q38、P44、L46、Y87およびF98、充填。しかしながら、これらの残基のいずれもドナーとアクセプターの間で異ならなかったため、戻し突然変異はヒト化12A11の第一のバージョンで行わなかった。
適切なオリゴヌクレオチドプライマーを使用するPCR媒介性の集成を使用してh12A11v1を生成した。ヒト化12A11VL(バージョン1)および12A11VH(バージョン1)のヌクレオチド配列をそれぞれ配列番号31および32として示す。可変L鎖にはA19生殖系列配列(受託番号X63397)によりコードされるリーダーペプチドを使用した。可変H鎖には、リーダーペプチドはM72アクセプター配列(受託番号AAA69734)由来であった。
バーニア残基(例えばS28T、V48L、F67L、L78V)はCDRのコンホメーションに間接的に寄与し、そしてコンホメーションの混乱に最小に重要であると仮定した。標的とした残基は、部位特異的突然変異誘発、および突然変異誘発鋳型としてのpCRSプラスミド中のh12A11 VHv1により変異させて、バージョン2に対応するクローンを生じさせた。バージョン2の配列を確認したV領域挿入物を、H鎖発現ベクターpCMV−Cγ1(配列番号91および92)のBamHI/HindIII部位にサブクローニングして、組換えh12A11v2抗体を生じさせた。位置T73Nの突然変異に加えて上のバーニア残基突然変異(すなわち戻し突然変異の除外)のそれぞれを有するバージョン2.1抗体を同様に創製した。バージョン3の抗体は、同様に、位置K71Rの突然変異に加えて上の突然変異すなわちT28S、L48V、L67F、V87Lのそれぞれを有した。
正準および充填残基に戻し突然変異を保持したがしかし1(バージョン4.1ないし4.4)、2(バージョン5.1ないし5.6)若しくは3(バージョン6.1ないし6.4)個のバーニア残基の戻し突然変異を除外した付加的なヒト化12A11バージョンを設計した。部位特異的突然変異誘発およびクローン構築を上の下位区分Cで記述されたとおり実施した。組換え抗体をCOS細胞中で発現させ、そしてCOS細胞上清から精製した。ヒト化12A11抗体のバージョン4.1ないし6.4のアミノ酸配列を配列番号40〜53として示す。上の組合せ、例えば、最低1個の充填および/若しくは正準残基(例えば位置28、37、48、67、71および78のヒト残基、若しくは位置28、37、48、67、71、73および78のヒト残基)と組合せで1、2、3、4若しくは5個のバーニア残基にヒト残基を包含する付加的なバージョンを企図している。例えば、1個の充填残基および2個の正準残基(すなわち位置28、48、67、71、73および78のヒト残基)と組合せで1個のバーニア残基にヒト残基を有するバージョン3.1抗体を創製した。21%のマウス可変領域残基(VL+VH)を有するバージョン1に比較して、バージョン3.1はわずか17%のマウス可変領域残基を有する(すなわちより低いマウス含量を有する)。ヒト化12A11バージョン3.1のH鎖可変領域のヌクレオチドおよびアミノ酸配列をそれぞれ配列番号38および39として示す。
残基28(バーニア)のT→S戻し突然変異、および残基37(充填)のV→I戻し突然変異を除きバージョン1について示された戻し突然変異のそれぞれを有するヒト化12A11の第七のバージョンを創製する。残基73(バーニア)のN→T戻し突然変異を除きバージョン1について示された戻し突然変異のそれぞれを有するヒト化12A11の第八のバージョンを創製する。ヒト化12A11のバージョン7および8のH鎖のアミノ酸配列をそれぞれ配列番号54および55として示す。図15A−Cはh12A11 v1
ないしv8のアミノ酸配列を描く。
バージョン1に比較して、バージョン7は7個の戻し突然変異のみ含有する。T28S戻し突然変異は保存的でありかつH鎖のバージョン7で排除されている。充填残基V37Iの戻し突然変異もまたバージョン7で排除されている。バージョン1に比較して、バージョン7は8個の戻し突然変異のみ含有する。バージョン8ではN73T(バーニア)戻し突然変異が排除されている。
付加的なバージョンは、上の組合せ、例えば、場合によっては最低1個の充填残基(例えば位置37)および/若しくは最低1個の正準残基での戻し突然変異の排除と組合せの、位置28、48、78および73から選択される1、2、3、4(若しくは5)残基でのヒト残基(例えば戻し突然変異の排除)を包含しうる。
ヒト化12A11抗体の機能試験
全部のヒト化12A11バージョンを適切な発現ベクターにクローン化した。各抗体のコーディング配列を生殖系列リーダー配列に作動可能に連結して細胞外分泌を助長した。抗体を、下述される機能試験で使用される抗体の分析的量の製造のためCOS細胞中で一過性に発現させた。CHOおよびHEK293細胞株を安定にトランスフェクトしかつ懸濁液中で培養してin vivo使用のための抗体の産生レベルを提供した。抗体は技術に認識される方法論に従って精製した。
いくつかの実験で、一過性にトランスフェクトしたCOS細胞中でのh12A11v3.1の発現をH鎖イントロンの操作により増大させた。他の実験では、安定にトランスフェクトしたプールでのh12A11v3.1の発現を、H鎖イントロン含量(すなわちCH1とヒンジ領域の間のイントロン、ヒンジ領域とCH2との間のイントロン、およびCH2とCH3の間のイントロンの欠失)の操作ならびにシグナル配列(すなわち包括的シグナル配列MGWSCIILFLVATGAHS(配列番号87)の使用)により増大させた。
ヒト化12A11のバージョン1を、2種の特性すなわち抗原結合(定量的Aβ ELISA)および相対親和性について、そのマウスおよびキメラの対照物とさらに比較した。h12A11v1の結合活性は定量的Aβ ELISAで示され、そしてマウスおよびキメラの形態の12A11と識別可能であることが見出された。
h12A11v1抗体の親和性もまた、競合的Aβ ELISAによりマウスおよびキメラ12A11抗体と比較した。競合結合アッセイのため、ビオチン結合組換えマウス12A11Cγ2a(アイソタイプスイッチ12A11)を使用した。凝集物Aβ 1−42に対するビオチニル化m12A11 Cγ2aの結合活性は元のCγ1マウス抗体のものに匹敵した。ヒト化12A11v1はそのマウスおよびキメラの対照物と2×IC50値以内で競合した。このデータは、マウスCγ2aおよびh12A11v1についてそれぞれ38nMおよび23nMというKD値を示したBiacore技術を使用する親和性測定と矛盾しない。要約すれば、該知見は、h12A11v1がその元のマウス対照物の抗原結合特性および親和性を保持することを示唆する。定量的Aβ ELISAアッセイで試験される場合、h12A11v2、v2.1およびv3は抗原結合についてh12A11v1およびキメラ12A11に匹敵する。さらに、バージョン5.1〜5.6および6.1〜6.3は、この結合アッセイで試験される場合に類似の結合活性を表す。バージョン6.4は該アッセイで活性の若干の喪失を示したが、しかし活性はv2で顕著に復帰された。
マウス12A11および多様なヒト化12A11抗体の結合特性もまたBIAcore技術を使用して比較した。表32は、多様なヒト化12A11抗体のAβ結合の反応速度解析の要約を包含する。
該データは、ヒト化12A11 v1およびヒト化12A11 v3.1が、親マウス12A11と比較した場合にAβペプチドに対する類似の親和性を有することを示す(h12A11v1>m12A11>chi12A11>h12A11v3.1>h12A11v2.1>h12A11v2>h12A11v3.1)。注目すべきことに、ヒト化12A11 v1およびヒト化12A11 v3.1の親和性は、競合結合および/若しくはBIAcore分析により測定されるとおり、キメラ12A11抗体のものの2〜3倍以内である。
類似の結果が、上述されたとおり実施した競合結合研究で見られた。注目すべきことに、VH中のバーニア残基48の戻し突然変異(V48L)の復帰は、h12A11v3.1の親和性をh12A11v1のもの近くまで増大させる。
ヒト化12A11 v1およびヒト化12A11v3を、斑を結合しかつ斑を消失させる能力についてex vivoアッセイでさらに試験した。免疫組織化学をPDAPPおよびヒトAD脳からのクライオスタット切片で実施した。ヒト化12A11 v1およびヒト化12A11v3をキメラ12A11と比較し、そして試験した全濃度(すなわち0.3μg/ml、1μg/mlおよび3μg/ml)でPDAPPおよびヒトクライオスタット切片双方で斑を染色することが見出された。Fc媒介性の斑消失を誘発するそれらの能力の尺度として、ヒト化12A11 v1およびヒト化12A11v3を、斑を消失させるそれらの能力について、初代マウス小膠細胞およびPDAPPマウスからの脳組織の切片でのex vivo食作用アッセイでもまた試験した。Aβ若しくはアッセイの他の成分に対する反応性を有しない無関係のIgG1抗体を陰性対照として使用した。ヒト化12A11 v1、ヒト化12A11v3およびキメラ12A11抗体のそれぞれが、0.3μg/mlの濃度で試験した場合にAβレベルを効率的に低下させた。
キメラ12A11、ヒト化12A11 v1およびヒト化12A11v3の結合特異性を、上述されたところの置換NET(rNET)分析により比較した。注目すべきことに、ヒト化12A11 v1およびヒト化12A11v3.1の特異性は親マウス12A11抗体と同一若しくは同様であった。
12A11抗体のさらなる記述は、米国特許出願第10/858,855号、国際特許出願第PCT/US04/17514号、“HUMANIZED Aβ ANTIBODIES FOR USE IN IMPROVING COGNITION(認知の改善における使用のためのヒト化Aβ抗体)”と題された2004年12月15日出願(代理人整理番号ELN−060−1をもつ)の米国特許出願第60/636,776号明細書に見出し得る。
ヒト化12A11抗体のin vivo有効性:Tg2576マウスにおける認知の迅速な改善
マウス12A11(mu12A11)、キメラ12A11(chi12A11)およびヒト化形態の12A11(v3.1 hu12A11)抗体の治療的有効性をCFCアッセイで比較した。実施例18でのとおり、野性型およびTg2576双方のマウスに、単一用量のリン酸緩衝生理的食塩水(PBS)若しくは処置抗体を腹腔内注入により投与した。
認知(すなわち文脈的および手掛かり依存的記憶)のいかなる迅速な改善も評価するため、各マウスに、処置直後にCFC訓練活動、および処置の24時間以内(すなわち処置後第1日)にCFC試験活動を実施した。CDCアッセイの結果を図16に描く。該データは、mu12A11、chi12A11およびv3.1 hu12A11が認知の迅速な改善において類似の効力を有することを明瞭に示す。例えば、3mg/kg用量若しくはそれ以上のchi12A11若しくはv3.1 hu12A11いずれも、1mg/kg用量のmu12A11で得られた結果に大きさが類似であった記憶障害の逆転をもたらした。ヒト化12A11抗体v1.0からv3.1、とりわけv1.0、v3.0およびv3.1もまたCFCアッセイで有効と判明し、v1.0およびv3.1はマウス12A11のものに類似の有効性を有し、また、v3.0は有意の有効性をさらに表した。さらに、h12A11 v1.0は、二重トランスジェニックADマウスを試験した(MED=3mg/kg)CFCアッセイで有効であり、受動的に投与した抗体の有効性がこれらのマウスでの斑結合により滴定されなかったことを示した。マウス抗体266(斑結合しない)を陽性対照(MED=3mg/kg)として包含した。IgGアイソタイプh12A11 v1.0抗体の能力もまたCFCで試験し、そしてMED 0.1mg/kgで有効であることが判明した。アイソタイプスイッチはFc媒介性の活性を大きく低下させた(しかし排除しなかった)ことが示され、有効性がFc機能にのみ依存しないことを示す。
それぞれATCC受託番号PTA−5129およびPTA−5130を有する抗体3D6および10D5を産生する細胞株は、ブダペスト条約の規約のもとで2003年4月8日に寄託され、また、それぞれATCC受託番号_______、______、______および______を有する抗体1C2、2B1、6C6および9G8を産生する細胞株は、ブダペスト条約の規約のもとで2005年10月31日に寄託された。また、ATCC受託番号______、______、______および______を有する抗体2H3、12A11、15C11および3A3を産生する細胞株は、ブダペスト条約の規約のもとで2005年12月12日に寄託された。
前述から、本発明は多数の用途を提供することが明らかであろう。例えば、本発明は、アミロイド形成疾患の処置、予防若しくは診断、またはそれらでの使用のための医薬品若しくは診断組成物の製造における上述されたAβに対する抗体のいずれの使用も提供する。前述の発明は理解の明確さの目的上詳細に記述されたとは言え、付随する請求の範囲の範囲内である種の改変を実施しうることが明らかであろう。本明細書で引用される全部の刊行物および特許文書、ならびに図面および配列表中に現れる文章は、これにより、それぞれがそのように個々に示される場合と同一の程度まで、全部の目的上、そっくりそのまま引用することにより組み込まれる。
マウス3D6(配列番号2)、ヒト化3D6バージョン1(配列番号6)、Kabat ID 109230(配列番号60)および生殖系列A19(配列番号61)抗体のL鎖のアミノ酸配列のアライメントを描く。CDR領域は矢印により示す。太字斜体はまれなマウス残基を示す。太字は充填(VH+VL)残基を示す。黒地白抜きは正準/CDR相互作用残基を示す。*印はヒト化3D6、バージョン1中の戻し突然変異に選択した残基を示す。 マウス3D6(配列番号4)、ヒト化3D6バージョン1(配列番号8)、Kabat ID 045919(配列番号62)および生殖系列VH3−23(配列番号63)抗体のH鎖のアミノ酸配列のアライメントを描く。注釈は図1についてと同一である。 マウス10D5 VL(配列番号14)および3D6 VL(配列番号2)のアミノ酸配列のアライメントを描く。太字斜体は10D5に正確に一致する残基を示す。CDRは囲まれている。番号付けはKabatに従う。 マウス10D5 VH(配列番号16)および3D6 VH(配列番号4)アミノ酸配列のアライメントを描く。注釈は図3についてと同一である。 マウス12B4(成熟ペプチド、配列番号18)、ヒト化12B4バージョン1(成熟ペプチド、配列番号22)、Kabat ID 005036(成熟ペプチド、配列番号64)および生殖系列A19(X63397、成熟ペプチド、配列番号61)抗体のL鎖のアミノ酸配列のアライメントを描く。CDR領域は点描かつ上線を付ける。ヒト→マウス残基の単一戻し突然変異を*印により示す。陰を付けた残基の重要性を説明に示す。番号付けはKabatに従う。 マウス12B4(成熟ペプチド、配列番号20)、ヒト化12B4(バージョン1)(成熟ペプチド、配列番号24)、Kabat ID 000333(成熟ペプチド、配列番号65)ならびに生殖系列VH4−39およびVH4−61抗体(成熟ペプチド、それぞれ配列番号66および67)のH鎖のアミノ酸配列のアライメントを描く。注釈は図5についてと同一である。 多様なAβ抗体(3D6、6C6、12A11、12B4、3A3、266、9G8、15C11および6H9)とともに沈殿させかつ3D6とともに画像化した、ペルオキシ亜硝酸塩処理したオリゴマーAβ1−42調製物の免疫沈降物のウエスタンブロットを描く。Aβ1−42単量体、二量体、三量体および四量体バンドのおおよその位置を図の左側に示す。抗体により認識されるAβエピトープ、および該抗体についてのコンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイの結果を各Aβ抗体の下に示し、「+」表記は該抗体での処置に際しての増大した認知の観察結果を示し、「−」表記は該抗体での処置に際して認知の変化なしという観察結果を示し、そして「+/−」表記は、該抗体での処置に際しての増大した認知の傾向の観察結果を示すが、しかし該観察された傾向が増大した認知の観察結果として示されるのに十分統計学的に有意でなかった。 多様なAβ抗体(3D6、6C6、12A11、12B4、10D5、3A3、266および6H9)とともに沈殿させかつ3D6とともに画像化した、ペルオキシ亜硝酸塩処理したオリゴマーAβ1−42調製物の免疫沈降物のウエスタンブロットを描く。注釈は図7についてと同一である。 Tg2576マウスへの単一用量のマウス12A11(1、10および30mg/kg)の投与後に認知の迅速な改善が観察されるCFCアッセイの結果を描く。 Tg2576マウスへの単一の低用量のマウス12A11(0.3および1mg/kg)の投与後に認知の迅速な改善が観察されるCFCアッセイの結果を描く。 コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイにより測定されるところの、野性型およびTg2576マウスにおける文脈依存的記憶に対する3種のN末端抗Aβ抗体(3D6、12A11および266)の効果を描く。 単一用量のマウス12A11(1mg/kg)の投与後の改善された認知の持続期間を、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイで投与後1、10および17日に評価する試験の結果を描く。 単一用量のマウス266(3mg/kg)の投与後の改善された認知の持続期間を、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイで投与後1、5、10および17日に評価する試験の結果を描く。 コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイにより測定されるところの、野性型および二重トランスジェニックADマウスモデルでの文脈依存的記憶に対する抗Aβ抗体(12A11および266)の効果を描く。 マウス(若しくはキメラ)12A11(配列番号28)、ヒト化12A11バージョン1(成熟ペプチド、配列番号32)、GenBank BAC01733(配列番号68)および生殖系列A19(X63397、配列番号61)抗体のL鎖のアミノ酸配列のアライメントを描く。CDR領域が囲まれている。充填残基に下線を付ける。番号付けはKabatに従う。 マウス(若しくはキメラ)12A11(配列番号30)、ヒト化12A11(バージョン1)(成熟ペプチド、配列番号34)、GenBank AAA69734(配列番号69)および生殖系列GenBank 567123抗体(配列番号70)のH鎖のアミノ酸配列のアライメントを描く。充填残基に下線を付け、正準残基は黒地白抜きであり、バーニア残基は点線で囲まれている。番号付けはKabatに従う。 ヒト化12A11 v1(配列番号34)、v2(配列番号35)、v2.1(配列番号36)、v3(配列番号37)、v3.1(配列番号39)、v4.1(配列番号40)、v4.2(配列番号41)、v4.3(配列番号42)、v4.4(配列番号43)、v5.1(配列番号44)、v5.2(配列番号45)、v5.3(配列番号46)、v5.4(配列番号47)、v5.5(配列番号48)、v5.6(配列番号49)、v6.1(配列番号50)、v6.2(配列番号51)、v6.3(配列番号52)、v6.4(配列番号53)、v7(配列番号54)およびv8(配列番号55)のH鎖のアミノ酸配列のアライメントを描く。 ヒト化12A11 v1ないしv8で行われた戻し突然変異を示す。 単一用量のヒト化12A11抗体v3.1 h12A11(1、10および30mg/kg)のTg2576マウスへの投与後に認知の迅速な改善が観察されるCFCアッセイの結果を描く。 15C11、9G8、266および6H9抗Aβ抗体のH鎖可変ドメインのアライメントである。15C11のアミノ酸のKabatの番号付けを配列の上に示す。リーダー配列は小文字で示し、また、CDRは太字である。 15C11、9G8および266抗Aβ抗体のL鎖可変ドメインのアライメントである。15C11のアミノ酸のKabatの番号付けを配列の上に示す。リーダー配列は小文字で示し、また、CDRは太字である。

Claims (60)

  1. 認知の迅速な改善が達成されるような、有効用量のAβ抗体を被験体に投与すること(該抗体はAβの残基1−10内の1エピトープに特異的であり、かつ、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合する)を含んでなる、被験体における認知の迅速な改善を遂げる方法。
  2. 認知の迅速な改善が達成されるような、有効用量のAβ抗体を被験体に投与すること(該抗体はAβの残基1−10内の1エピトープに特異的であり、かつ、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイで測定されるところのAβ関連障害の動物モデルにおける認知の迅速な改善を遂げる)を含んでなる、被験体における認知の迅速な改善を遂げる方法。
  3. 認知の迅速な改善が達成されるような、有効用量のAβ抗体を被験体に投与すること(該抗体はAβの残基1−10内の1エピトープに特異的であり、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合し、かつ、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイで測定されるところのAβ関連障害の動物モデルにおける認知の迅速な改善を遂げる)を含んでなる、被験体における認知の迅速な改善を遂げる方法。
  4. Aβ抗体がAβの残基3−7内の1エピトープに結合する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
  5. Aβ抗体が、3D6抗体、6C6抗体、10D5抗体および121A11抗体よりなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法であるが、但しAβ抗体が3D6抗体でない、上記方法。
  7. 認知の迅速な改善が達成されるような、有効用量のAβ抗体を被験体に投与すること(該抗体はAβの残基13−28内の1エピトープに特異的であり、かつ、単量体のAβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合する)を含んでなる、被験体における認知の迅速な改善を遂げる方法。
  8. 認知の迅速な改善が達成されるような、有効用量のAβ抗体を被験体に投与すること(該抗体はAβの残基13−28内の1エピトープに特異的であり、かつ、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイで測定されるところのAβ関連障害の動物モデルにおける認知の迅速な改善を遂げる)を含んでなる、被験体における認知の迅速な改善を遂げる方法。
  9. 認知の迅速な改善が達成されるような、有効用量のAβ抗体を被験体に投与すること(該抗体はAβの残基13−28内の1エピトープに特異的であり、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合し、かつ、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイで測定されるところのAβ関連障害の動物モデルにおける認知の迅速な改善を遂げる)を含んでなる、被験体における認知の迅速な改善を遂げる方法。
  10. Aβ抗体がAβの残基16−24内の1エピトープに結合する、請求項7〜9のいずれか1つに記載の方法。
  11. Aβ抗体が、2B1抗体、1C2抗体および15C11抗体よりなる群から選択される、請求項7〜9のいずれか1つに記載の方法。
  12. 請求項7〜9のいずれか1つに記載の方法であるが、但しAβ抗体が266抗体でない、上記方法。
  13. 動物モデルでの認知の改善が、記憶障害状態の改善若しくは記憶障害の逆転である、先行する請求項のいずれか1つに記載の方法。
  14. 被験体がAβ関連疾患若しくは障害を有するか若しくはその危険性がある、先行する請求項のいずれか1つに記載の方法。
  15. Aβ関連疾患若しくは障害が可溶性Aβと関連するか若しくはそれを特徴とする、請求項14に記載の方法。
  16. Aβ関連疾患若しくは障害が不溶性Aβと関連するか若しくはそれを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  17. Aβ関連疾患若しくは障害がアミロイド形成疾患である、請求項15に記載の方法。
  18. Aβ関連疾患若しくは障害がアルツハイマー病である、請求項17に記載の方法。
  19. Aβ関連疾患若しくは障害がAβ関連認知障害である、請求項15に記載の方法。
  20. Aβ関連認知障害が軽度認知障害である、請求項19に記載の方法。
  21. 被験体にアミロイド沈着物が実質的にない、先行する請求項のいずれか1つに記載の方法。
  22. Aβ抗体が被験体での実質的斑沈着前に該被験体に投与される、先行する請求項のいずれか1つに記載の方法。
  23. 被験体がアルツハイマー病を伴うと診断されている、先行する請求項のいずれか1つに記載の方法。
  24. Aβ抗体が被験体での実質的斑沈着後に該被験体に投与される、請求項1〜21のいずれか1つに記載の方法。
  25. Aβ抗体が単一用量として被験体に投与される、先行する請求項のいずれか1つに記載の方法。
  26. Aβ抗体が複数用量で被験体に投与される、請求項1〜24のいずれか1つに記載の方法。
  27. Aβ抗体の用量が患者体重1kg当り約100μgから100mgまでである、先行する請求項のいずれか1つに記載の方法。
  28. Aβ抗体の用量が患者体重1kg当り約300μgから30mgまでである、請求項1〜26のいずれか1つに記載の方法。
  29. Aβ抗体の用量が患者体重1kg当り約1mgから10mgまでである、請求項1〜26のいずれか1つに記載の方法。
  30. 認知の迅速な改善が抗体の投与後1か月以内に達成される、先行する請求項のいずれか1つに記載の方法。
  31. 認知の迅速な改善が抗体の投与後1週以内に達成される、先行する請求項のいずれか1つに記載の方法。
  32. 認知の迅速な改善が抗体の投与後1日以内に達成される、請求項1〜30のいずれか1つに記載の方法。
  33. 認知の迅速な改善が、抗体の投与後12時間以内に達成される、請求項1〜30のいずれか1つに記載の方法。
  34. 被験体がヒトである、先行する請求項のいずれか1つに記載の方法。
  35. 被験体で認知を迅速に改善させるのに有効な量のAβ抗体を含んでなる組成物であって、該抗体がAβの残基1−10内の1エピトープに特異的であり、かつ、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合する、上記組成物。
  36. 被験体で認知を迅速に改善させるのに有効な量のAβ抗体を含んでなる組成物であって、該抗体がAβの残基1−10内の1エピトープに特異的であり、かつ、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイで測定されるところのAβ関連障害の動物モデルにおける認知の迅速な改善を遂げる、上記組成物。
  37. 被験体で認知を迅速に改善させるのに有効な量のAβ抗体を含んでなる組成物であって、該抗体がAβの残基1−10内の1エピトープに特異的であり、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合し、かつ、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイで測定されるところのAβ関連障害の動物モデルにおける認知の迅速な改善を遂げる、上記組成物。
  38. Aβ抗体がAβの残基3−7内の1エピトープに結合する、請求項35〜37のいずれか1つに記載の組成物。
  39. Aβ抗体が、3D6抗体、6C6抗体、10D5抗体および12A11抗体よりなる群から選択される、請求項35〜37のいずれか1つに記載の組成物。
  40. 請求項35〜37のいずれか1つに記載の組成物であるが、但しAβ抗体が3D6抗体でない、上記組成物。
  41. 認知の迅速な改善が達成されるような、有効用量のAβ抗体を含んでなる、被験体での認知の迅速な改善を遂げるための組成物であって、該抗体はAβの残基13−28内の1エピトープに特異的であり、かつ、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合する、上記組成物。
  42. 認知の迅速な改善が達成されるような、有効用量のAβ抗体を含んでなる、被験体での認知の迅速な改善を遂げるための組成物であって、該抗体はAβの残基13−28内の1エピトープに特異的であり、かつ、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイで測定されるところのAβ関連障害の動物モデルにおける認知の迅速な改善を遂げる、上記組成物。
  43. 認知の迅速な改善が達成されるような、有効用量のAβ抗体を含んでなる、被験体での認知の迅速な改善を遂げるための組成物であって、該抗体はAβの残基13−28内の1エピトープに特異的であり、単量体Aβに比較して可溶性オリゴマーAβに優先的に結合し、かつ、コンテクチュアル・フィアー・コンディショニング(CFC)アッセイで測定されるところのAβ関連障害の動物モデルにおける認知の迅速な改善を遂げる、上記組成物。
  44. Aβ抗体がAβの残基16−24内の1エピトープに結合する、請求項41〜43のいずれか1つに記載の組成物。
  45. Aβ抗体が、2B1抗体、1C2抗体および15C11抗体よりなる群から選択される、請求項41〜43のいずれか1つに記載の組成物。
  46. 請求項41〜43のいずれか1つに記載の組成物であるが、但しAβ抗体が266抗体でない、上記組成物。
  47. 動物モデルでの認知の改善が、記憶障害状態の改善若しくは記憶障害の逆転である、請求項41〜46のいずれか1つに記載の組成物。
  48. 抗体が1種若しくはそれ以上の向神経活性Aβ種を中和する、請求項41〜47のいずれか1つに記載の組成物。
  49. Aβ抗体が斑を消失させる、請求項41〜48のいずれか1つに記載の組成物。
  50. 単一用量投与のため処方された、請求項41〜49のいずれか1つに記載の組成物。
  51. 複数用量投与のため処方された、請求項41〜49のいずれか1つに記載の組成物。
  52. 相補性決定領域(CDR)を含んでなるヒト化免疫グロブリン6C6、すなわちATCC受託番号_______を有する細胞株により産生される抗体。
  53. ATCC受託番号_______を有する細胞株により産生されるモノクローナル抗体6C6のヒト化バージョン。
  54. 相補性決定領域(CDR)を含んでなるヒト化免疫グロブリン2B1、すなわちATCC受託番号_______を有する細胞株により産生される抗体。
  55. ATCC受託番号_______を有する細胞株により産生されるモノクローナル抗体2B1のヒト化バージョン。
  56. 相補性決定領域(CDR)を含んでなるヒト化免疫グロブリン1C2、すなわちATCC受託番号_______を有する細胞株により産生される抗体。
  57. ATCC受託番号_______を有する細胞株により産生されるモノクローナル抗体1C2のヒト化バージョン。
  58. 相補性決定領域(CDR)を含んでなるヒト化免疫グロブリン9G8、すなわちATCC受託番号_______を有する細胞株により産生される抗体。
  59. ATCC受託番号_______を有する細胞株により産生されるモノクローナル抗体9G8のヒト化バージョン。
  60. 認知の迅速な改善が達成されるような、有効用量の請求項52〜59のいずれか1つに記載の抗体を被験体に投与することを含んでなる、被験体における認知の迅速な改善を遂げる方法。
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