JP2008252301A - 無線通信装置及び送信方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】伝送効率を劣化せずにIQインバランスを補償する無線通信装置を提供する。
【解決手段】受信したOFDM信号を直交復調して得られる直交復調信号に含まれる伝搬路推定用の既知信号から、サブキャリア毎の伝搬路応答を推定し、前記直交復調信号をフーリエ変換してサブキャリア毎の受信信号を得る。複数のサブキャリアのうちで伝搬路推定精度が相対的に低い第1のサブキャリアとOFDM信号の周波数帯域の中心周波数を軸に第1のサブキャリアと対称な位置に配置されている第2のサブキャリアの前記受信信号と、複数のサブキャリアのうちで伝搬路推定精度が相対的に高い該第1のサブキャリア近傍に配置されている第3のサブキャリア及び前記中心周波数を軸に第3のサブキャリアと対称な位置に配置されている第4のサブキャリアとの伝搬路応答とを用いて、第1及び第2のサブキャリアで送信された信号を復調する。
【選択図】図11
【解決手段】受信したOFDM信号を直交復調して得られる直交復調信号に含まれる伝搬路推定用の既知信号から、サブキャリア毎の伝搬路応答を推定し、前記直交復調信号をフーリエ変換してサブキャリア毎の受信信号を得る。複数のサブキャリアのうちで伝搬路推定精度が相対的に低い第1のサブキャリアとOFDM信号の周波数帯域の中心周波数を軸に第1のサブキャリアと対称な位置に配置されている第2のサブキャリアの前記受信信号と、複数のサブキャリアのうちで伝搬路推定精度が相対的に高い該第1のサブキャリア近傍に配置されている第3のサブキャリア及び前記中心周波数を軸に第3のサブキャリアと対称な位置に配置されている第4のサブキャリアとの伝搬路応答とを用いて、第1及び第2のサブキャリアで送信された信号を復調する。
【選択図】図11
Description
本発明は、無線通信装置に関する。
無線通信を高速化することを目的として通信に用いる周波数帯域幅を拡張するとマルチパス伝搬路の伝搬遅延時間差が無視できなくなる。このような伝搬遅延時間が異なる信号が到来する環境では、符号間干渉による波形歪みが通信品質を劣化させる大きな要因となる。このような環境において、直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:OFDM)伝送方式は、伝搬遅延時間の異なる信号を受信しても符号間干渉に起因する波形歪みを補償することができる方式として知られている。
OFDM伝送方式では信号が複素信号になるため、送信機では直交変調器、受信機では直交復調器を用いる必要がある。この時、直交変調器および直交復調器における同相成分と直交成分の振幅に差が生じたり、90°位相器に位相誤差が生じると、OFDM信号の複数のサブキャリアのうち、中心周波数に関し周波数軸上で互いに対称な位置にある2つのサブキャリア(当該2つのサブキャリアのうち、中心周波数より高周波数帯のサブキャリアを「上側波帯のサブキャリア」、中心周波数より低周波数帯のサブキャリアを「下側波帯のサブキャリア」と呼ぶことがある)の信号が相互に干渉し、伝送性能が大きく制限されてしまう。
このような環境下において、上下のサブキャリア間の干渉量を推定し、上下のサブキャリアで受信した両信号を用いて最尤推定や空間フィルタリングで信号を判定する手法が提案されている。
A.Tarighat, R.Bagheri, and A.H.Sayed, "Compensation Schemes and Performance Analysis of IQ Imbalances in OFDM Receivers," IEEE Trans. Signal Processing, vol.8, no.8, pp.3257-3268, Aug.2005. 鎌田裕之,阪口啓,荒木純道,"MIMO-OFDMにおける時間軸IQインバランス補償法,"電子情報通信学会技術報告,A・P2005-94,pp.55-60,Oct.2005.
A.Tarighat, R.Bagheri, and A.H.Sayed, "Compensation Schemes and Performance Analysis of IQ Imbalances in OFDM Receivers," IEEE Trans. Signal Processing, vol.8, no.8, pp.3257-3268, Aug.2005. 鎌田裕之,阪口啓,荒木純道,"MIMO-OFDMにおける時間軸IQインバランス補償法,"電子情報通信学会技術報告,A・P2005-94,pp.55-60,Oct.2005.
非特許文献1の手法を用いると、直交変復調器による歪みを高い精度で補償することができる。しかし、中心周波数に対して対称な上下のサブキャリア間で相互に干渉する信号の伝搬路応答を行う必要がある。そのため、通常のOFDM伝送方式で要求される伝搬路推定用既知信号の2倍の長さの信号が必要となり、伝送効率が劣化するという問題点があった。
これに対し、非特許文献2の手法では、中心周波数に対して対称な上下のサブキャリア間で干渉する信号の伝搬路応答を時間領域でインパルス応答を推定することによって実現している。
非特許文献2は、従来のOFDM伝送と同じ長さの伝搬路推定用既知信号しか必要としないため伝送効率の劣化はない。しかし、この手法では伝搬路推定の精度が伝搬路推定用既知信号の信号系列に依存してしまう。従って信号系列によっては伝搬路推定精度が悪くなってしまい、このような伝搬路推定結果を波形ひずみの補正に用いると大幅に伝送特性が劣化してしまう。また、無線通信システムによっては伝搬路推定結果を送信側へフィードバックすることにより送信側でスループットや通信品質の向上を図る手段を講じることが可能であるが、精度の悪い伝搬路推定結果を用いると大幅に伝送特性が劣化してしまう。
このように従来の無線通信装置においては、直交変復調器の振幅・位相の精度によって伝送性能が大きく制限されるという問題点があった。
また、従来の無線通信装置には直交変復調器の不完全性に起因する波形ひずみの補償を行う際に、通常よりも長い伝搬路推定用既知信号が必要となり、伝送効率が劣化してしまうという問題点があった。
その他、短い伝搬路推定用既知信号を用いて伝搬路応答を推定しようとすると、伝搬路推定精度が伝搬路推定用既知信号の系列に依存して、信号系列によっては精度の悪い伝搬路推定結果が得られてしまう。このような伝搬路推定結果を波形ひずみの補正や送信側へのフィードバックに用いると大幅に伝送特性が劣化してしまう場合があった。
そこで本発明は、上記問題点を鑑み、直交変復調器の不完全性により中心周波数を軸として周波数軸上で互いに対称な位置にある2つのサブキャリア間(上側波帯・下側波帯のサブキャリア間)で生じる干渉を伝送効率を劣化させずに補償し、伝送特性を高めることができる無線通信装置を提供することを目的とする。
無線通信装置は、(a)複数のサブキャリアを含むOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を受信する受信手段と、(b)前記OFDM信号を直交復調し、直交復調信号を得る直交復調手段と、(c)前記直交復調信号に含まれる伝搬路推定用の既知信号から、サブキャリア毎の伝搬路応答を推定する伝搬路推定手段と、(d)前記直交復調信号をフーリエ変換し、サブキャリア毎の受信信号を得るフーリエ変換手段と、(e)前記複数のサブキャリアのうちで伝搬路推定精度が相対的に低い第1のサブキャリアと前記OFDM信号の周波数帯域の中心周波数を軸に該第1のサブキャリアと対称な位置に配置されている第2のサブキャリアとの前記受信信号と、前記複数のサブキャリアのうちで前記伝搬路推定精度が相対的に高い該第1のサブキャリア近傍に配置されている第3のサブキャリアと前記中心周波数を軸に該第3のサブキャリアと対称な位置に配置されている第4のサブキャリアとの前記伝搬路応答とを用いて、前記第1及び第2のサブキャリアで送信された信号を復調する復調手段とを含む。
本発明によれば、直交変復調器の不完全性により中心周波数を軸として周波数軸上で互いに対称な位置にある2つのサブキャリア間で生じる干渉を、伝送効率を劣化させずに補償する。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる送信装置の構成例を示したものである。図1において送信信号は、図2に示すように、符号器181が、送信すべき情報信号に伝搬路符号化を適用することによって生成される。このように伝搬路符号化を施すことによって信号に冗長性が付加されるため、情報信号の伝送速度は劣化するものの、誤り訂正によって通信品質が向上するため、結果として高いスループット特性が得られることが期待される。
図1は、第1の実施形態にかかる送信装置の構成例を示したものである。図1において送信信号は、図2に示すように、符号器181が、送信すべき情報信号に伝搬路符号化を適用することによって生成される。このように伝搬路符号化を施すことによって信号に冗長性が付加されるため、情報信号の伝送速度は劣化するものの、誤り訂正によって通信品質が向上するため、結果として高いスループット特性が得られることが期待される。
符号器181で用いる符号化方式は、無線受信装置が既知な符号化方式であれば、リード・ソロモン符号や畳み込み符号、ターボ符号やLDPC(Low Density Parity Check Codes)など、いかなる符号化方式であってもよい。また、複数の符号化方式を実装し、送信するフレーム毎に符号化方式を変更してもよい。なお、符号器181で用いる符号化方式によっては隣接する符号間の相関が高くなるため、図3に示すようにインターリーバー191を用いて信号を並び替えるとよい。このとき、インターリーバー191は、無線受信装置が既知の並び替え方法であれば、いかなる規則で並び替えを行ってもよい。
以上のようにして生成された送信信号は変調器101においてサブキャリア毎に変調が施される。変調器101で用いられる変調方式はBPSKやQPSK、8PSKなどの位相変調や16QAM、64QAM、256QAMなどの直交振幅変調などがあげられる。但し、本実施形態では、変調部101での変調方式を上述の方式に制限するものではない。変調部101では、無線受信装置で既知の変調方式であれば、上述の変調方式のうちのいずれかを用いてもよいし、これら以外の変調方式を用いてもよい。
一般に、OFDM伝送では送信装置と受信装置間のローカル周波数のずれや位相のずれや伝搬路変動を補正するために、全てのサブキャリアで情報を送信するのではなく、一部のサブキャリアでは受信装置が既知の信号を送信する。当該サブキャリアをここではパイロットサブキャリアと呼び、情報を送信するサブキャリアをデータサブキャリアと呼ぶ。
パイロット生成部111では、パイロットサブキャリアで送信するための予め定められた系列の信号を生成する。
逆フーリエ変換部121は、以上のデータサブキャリアの信号とパイロットサブキャリアの信号を時間領域の信号にそれぞれ変換する。ここで逆フーリエ変換部121における逆フーリエ変換はIDFT(Inverse Digital Fourier Transform)を用いてもIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)を用いても構わない。各サブキャリア用に生成した送信シンボルに対して離散逆フーリエ変換が適用されればいかなる方式を用いても構わない。また、時間領域で信号を巡回シフトさせ、ずらして出力しても、1つのフレーム内で同一のシフト量であれば構わない。
逆フーリエ変換部121で逆フーリエ変換を行うことにより得られる、同相成分(I成分あるいはIチャネル信号)の信号と直交成分(Q成分あるいはQチャネル信号)の信号のそれぞれは、GI(Guard Interval,ガードインターバル)付加部131に入力され、OFDMシンボル毎にガードインターバルまたはサイクリックプレフィックスと呼ばれる信号が付加する。これは、伝搬遅延時間の異なるマルチパス信号が到来した時に、信号の周期性を保ち、周波数領域において符号間干渉が生じないようにするためにOFDM伝送において一般的に用いられる手法なので、詳細な説明は省略する。
以上の信号情報の他に、無線通信では一般に同期や伝搬路推定のための既知信号が送信される。このような既知信号を送信する通信システムの一例として、IEEE802.11aにおけるフレームフォーマットを図13を用いて説明する。図13においてフレーム先頭部のSP(ショートプリアンブル)411が同期用の既知信号となり、続くLP(ロングプリアンブル)421が伝搬路推定用の既知信号となる。このような既知信号を送信する際は、GI付加部131と既知信号生成部121とのいずれか一方を無線部151へ接続するスイッチで、既知信号生成部121と無線部151を接続することにより、無線部151は既知信号生成部121で生成された既知信号を送信する。
以上、IEEE802.11aのフレームフォーマットを例に、既知信号の送信について説明したが、本実施形態に係る無線通信装置が受信できる信号はIEEE802.11aに制限されるものではない。
以上の情報信号および既知信号を含むI成分の信号とQ成分の信号は、無線部151に入力される。
図15は無線部151の構成例を示したもので、ディジタル―アナログ変換器(digital to analog converter:DAC)151a、ローパスフィルタ(LPF)151b、直交変調器151c、周波数変換器151d、増幅器151eを含む。
DAC151aは、入力されたI成分の信号とQ成分の信号のそれぞれをアナログ信号に変換し、LPF151bで得られたI成分とQ成分のアナログ信号から不要な高周波数成分を除去した後、直交変調器151cで直交変調し、直交変調信号を生成する。さらに、直交変調信号は、周波数変換器151dで無線周波数の信号に変換された後、増幅器151e及び送信アンテナ161を介して送信される。
送信アンテナ161は、所望の周波数帯域の信号を送信することができればいかなるアンテナを用いても構わない。
図11は、図1の送信装置から送信された信号を受信する、第1の実施形態に係る受信装置の構成例を示したものである。
図11の受信装置は、受信アンテナ261、無線部251、GI除去部201、伝搬路推定部221、フーリエ変換部211、受信信号結合部231、位相補正部241、及び復調部251を含む。
受信アンテナ261は、所望の周波数帯域の信号を受信することができるアンテナであればいかなるアンテナを用いても構わない。
図16は、無線部251の構成例を示したものである。無線部251は、増幅器251a、周波数変換器251b、直交復調器251c、ローパスフィルタ(LPF)251d、アナログ―ディジタル変換器(analog to digital converter:ADC)251eを含む。
受信アンテナ261で受信した無線周波数の信号は、増幅器251aを介して、周波数変換器251bに入力し、中間周波数の信号に変換された後、直交復調器251cで直交復調されて、ベースバンド信号(I成分とQ成分のアナログ信号)を得る。得られたI成分とQ成分のアナログ信号は、LPF251dで不要な高周波数成分が除去された後に、ADC251eでI成分とQ成分のデジタル信号に変換される。
無線部251からは、I成分とQ成分のデジタル信号が出力される。
なお、図16では、受信した無線周波数の信号を、一旦中間周波数の信号に変換してから複素表現のベースバンド信号に変換しているが、この場合に限らず、受信した無線周波数の信号を複素表現のベースバンド信号に変換することができれば、中間周波数を介せず、無線周波数の信号を直接ベースバンド信号に変換してもよい。この場合には、周波数変換器251bは不要となる。
また、図16では、アナログで直交復調を行っているが、この場合に限らず、先に、ADCでデジタル信号に変換した後に直交復調を行ってもよい。
以上のようにして、無線部251から出力されたI成分信号とQ成分信号は、それぞれGI除去部201に入力される。送信装置の説明で述べたように、OFDM伝送では一般的にガードインターバルが付加される。図11のGI除去部201では、入力されたI成分信号とQ成分信号のそれぞれから、送信時に付加されたガードインターバル長の信号を除去する。
ガードインターバルが除去されたI成分信号とQ成分信号は、フーリエ変換部211に入力される。OFDM伝送では複数のサブキャリアを用いて信号が送信されており、離散フーリエ変換を適用することによって、各サブキャリアで送信された信号を抽出することができきる。図11のフーリエ変換部211はガードインターバルが除かれたI成分信号とQ成分信号に対し、1OFDMシンボル長の信号毎に離散フーリエ変換を適用する。ここで、離散フーリエ変換はDFT(Digital Fourier Transform)を用いて演算してもよいし、FFT(Fast Fourier Transform)を用いて演算してもよい。1OFDMシンボル毎に離散フーリエ変換することができればいかなる手法を用いても構わない。
次に、フーリエ変換部211から出力される信号について説明する。
図1の送信装置から送信される信号では、無線部151の直交変調器151cでI成分(Iチャネル)とQ成分(Qチャネル)のアナログ信号を直交変調した後に周波数変換器151eで無線周波数の信号に変換して送信するが、直交変調器151cをアナログ回路で構成した場合、一般にIチャネルとQチャネルの利得を同一に保つことは困難である。また、Iチャネルのデジタル−アナログ変換器とQチャネルのデジタル−アナログ変換器に個体差が生じると、IチャネルとQチャネルに異なる利得が付加されているのと等価になる。さらに、直交変調器においてIチャネルの信号とQチャネルの信号を生成する際に正確に90度の位相差を発生することは困難である。この結果、直交変調器151cの出力において、IチャネルとQチャネルは振幅が異なり、位相差も90度からずれてしまう。
以上の現象は、図17に示すようにモデル化できる。図17において、ui(t)とuq(t)はIチャネルとQチャネルで送信するベースバンド信号をそれぞれ表している。
乗算部531、532はこれらのベースバンド信号に対して、発信器511から発生されるローカル周波数信号と、該ローカル周波数信号の位相を90度ずらしたローカル周波数信号とをそれぞれ乗算する。
図17では、先に説明したようにDACの個体差を含めたIチャネル信号とQチャネル信号の利得の差を、Iチャネル信号とQチャネル信号とにそれぞれ異なる利得Gi (t)とGq (t)を乗算することによって表現している。また、図17では、先に説明したIチャネル信号とQチャネル信号との位相差が90度にならない現象をQチャネルに位相がθ(t)ずれた正弦波を乗算することによって表現している。
ただし、mi(t)、mq(t)はそれぞれIチャネル、Qチャネルの送信信号を表し、IQインバランスの影響を考慮した等価低域系の複素送信信号
m(t)=mi(t)+jmq(t) (ただし、j2=−1)
は次式(3)、(4)、(5)、(6)で表すことができる。
m(t)=mi(t)+jmq(t) (ただし、j2=−1)
は次式(3)、(4)、(5)、(6)で表すことができる。
このように、送信信号u(t)の複素共役u*(t)を用いることによって、IQインバランスの影響で直交性が崩れた環境下においても信号を複素表記することができる。なお、式(3)から明らかなように、IQインバランスの影響で送信信号はα(t)の歪みが生じるだけでなく、複素共役信号u*(t)が不要放射されていることがわかる。後述するようにこの複素共役信号が干渉となり、OFDM伝送の性能を制限してしまう(例えば、式(19)〜式(21))。
次に、受信装置における直交復調器251cでのIQインバランスについて考える。図18は、直交復調器251cで生じるIQインバランスを直交復調部251cの不完全性でモデル化したものである。
直交復調器251cでは、入力された受信信号に位相が90度異なる二つの正弦波(発信器512から発生されるローカル周波数信号と、該ローカル周波数信号の位相を90度ずらしたローカル周波数信号)をそれぞれ乗算し、LPF251dを適用することによって、Iチャネル信号及びQチャネル信号を得る。
しかし、直交復調器251cも、直交変調器151cと同様に、90度の位相差を正確に発生させる事は困難であり、フィルタの利得やアナログ−デジタル変換器の個体差によってIチャネルとQチャネルの利得も一般に異なってしまう。
図18において、帯域信号を、
yi(t)cos(2πft)−yq(t)sin(2πft)
とおくと、直交復調部251cら出力されるIチャネル信号ri(t)とQチャネル信号rq(t)は次式(7)で表すことができる。
yi(t)cos(2πft)−yq(t)sin(2πft)
とおくと、直交復調部251cら出力されるIチャネル信号ri(t)とQチャネル信号rq(t)は次式(7)で表すことができる。
このように、直交復調器においても直交変調器と同様に直交性が崩れた環境下における等価低域系信号を複素表記することができる。また、送信装置と同様に受信装置においても、IQインバランスの影響で受信信号に式(10)で示されるα(r)の歪みが生じるだけでなく式(8)で示されるように複素共役信号y*(t)が付加されることがわかる。
式(14)より、直交変調器や直交復調器の歪みを示したときと同様に、伝搬路応答の影響を加味してもIQインバランスの影響は送信信号u(t)とu*(t)の線形和で表せることがわかる。
最後にOFDM伝送を行う場合にIQインバランスが与える影響について説明する。
OFDM伝送の場合、式(14)で表される受信信号をフーリエ変換し、周波数領域の信号に変換した後、復調を行う。フーリエ変換の時間移動則および複素共役信号のフーリエ変換には、次式(17)、(18)の関係がなりたつ。
ここで、h(k)、h(-k)は、IQインバランスの影響を含まないk番目、−k番目のサブキャリアの伝搬路応答をそれぞれ表す。s(k)、s(-k)は、k番目、−k番目のサブキャリアで送信した変調信号をそれぞれ表している。
以上説明したように、OFDM伝送においてIQインバランスが生じると、受信装置におけるフーリエ変換部が出力する信号は、中心周波数を軸として対称な位置にあるサブキャリアの信号が干渉した信号を出力することがわかる。図19は、この現象を示したものである。
k番目のサブキャリアの受信信号に、−k番目のサブキャリアの受信信号が干渉し、−k番目のサブキャリアでも同様にk番目のサブキャリアの信号が干渉している。このことから、k番目のサブキャリアの受信信号と−k番目のサブキャリアの受信信号には、k番目と−k番目の2つのサブキャリアで送信された信号が含まれるため、2つのサブキャリアの受信信号を用いて2つのサブキャリアで送信された信号を同時に推定することにより、IQインバランスによるひずみが生じている環境下においても復調を行うことができる。
ただし、n(k)、n(−k)は、k番目のサブキャリアと−k番目のサブキャリアにおける雑音ベクトルを結合したベクトルを表している。
式(22)は空間多重数が「2」、受信アンテナ数が「2」のMIMO (Multiple Input Multiple Output)信号と等価であり、伝搬路応答を推定することができれば、2つのサブキャリアで受信した信号を用いて2つのサブキャリアで送信された信号を同時に推定する事ができる。このとき、受信アルゴリズムは従来のMIMOで用いられる方式と同一のアルゴリズムが適用可能であり、このようにして信号を推定することによって、IQインバランスの影響を補償できる。
しかし、伝搬路推定用既知信号は、図13に示したIEEE802.11aのフレームフォーマットのように、一般にk番目のサブキャリアと−k番目のサブキャリアの信号が干渉することを想定して設計されてはいない。よって、他のサブキャリアから干渉する信号の伝搬路応答と当該サブキャリアで送信された信号の伝搬路応答を区別することができず、2つのサブキャリアの信号を同時に推定することはできない。
ここで、式(14)に示したフーリエ変換部211でフーリエ変換を施す前の時間領域の信号について考える。ここで、IQインバランスの影響を含めた伝搬路応答で推定すべき信号は(l=0〜L−1)のL個であり、ガードインターバルのサンプル数がパイロットサブキャリアも含めたOFDM伝送に用いるサブキャリア数の半分以下であり、マルチパス伝搬路のパス数Lがガードインターバルのサンプル数よりも少なければ時間領域で、伝搬路推定用既知信号(伝搬路推定用既知信号421)とその複素共役信号のインパルス応答hl ´とhl ´´を推定することができる。
伝搬路推定部221では伝搬路推定用既知信号421が送信されている区間の受信信号を1OFDMシンボル分(1OFDMシンボルはN個のサンプルr(0)〜r(N−1)を含む)蓄積し、次式(23)に示すように受信ベクトルを求める。
さらに、ガードインターバルのサンプル数をNgとおき、伝搬路推定用既知信号を送信している区間の信号u(t)をLp(t)とおくことにより、式(14)を用いて式(23)は次式(24)のように表すことができる。
以上のようにして求められたhl ´とhl ´´をフーリエ変換することにより、各サブキャリアの伝搬路応答hα (k)とhβ (k)を推定することができる。
すなわち、hl ´をフーリエ変換することにより、図19に示すように、k番目のサブキャリアで送信され、k番目のサブキャリアで受信される信号の伝搬路応答hα (k)が得られる。また、hl ´´をフーリエ変換することにより、図19に示すように、−k番目のサブキャリアで送信され、k番目のサブキャリアで受信される信号の伝搬路応答hβ (k)が得られる。
ここで、フーリエ変換は式(30)、(31)に従って離散フーリエ変換を適用しても構わないし、OFDMシンボルのサンプル数と同数になるまで「0」を埋めて、高速フーリエ変換を適用しても構わない。得られたhl ´とhl ´´から各サブキャリアの伝搬路応答hα (k)とhβ (k)を求めることができればいかなる手法を用いても構わない。
以上、伝搬路推定部221の伝搬路応答推定法として最小二乗法を用いる方式で説明したが、本発明における伝搬路推定部を最小二乗法に制限するものではない。雑音電力を推定し、平均二乗誤差最小法を用いて推定を行っても構わないし、時間領域の信号を用いて周波数領域の伝搬路応答を推定することができるのであればいかなる手法を用いても構わない。
一方、送信装置の直交変調器151cで用いられる発信器511(図17)と受信装置の直交復調器251cで用いられる発信器512(図18)のそれぞれ発生するローカル周波数を正確に同一の周波数に設定することは困難であり、一般に送信装置と受信装置には周波数オフセットが存在する。また、送信端装置の無線部151と受信装置の無線部251それぞれで異なる位相雑音が生じる。これらの周波数オフセットおよび位相雑音の影響で、受信信号はシンボル毎に異なる位相誤差を受けている。
伝搬路推定部221で伝搬路推定が正しく推定されているとすると、式(39)の右辺第1項の括弧でくくられた部分はエルミート形式になるため、実数となる。また、右辺第2項の雑音成分が無視できるとすると、式(39)の偏角を求めることによってΨを推定することができる。
このように、1つのパイロットサブキャリアのみを用いて位相誤差を推定することができるが、雑音の影響を軽減するため複数のパイロットサブキャリアを用いて推定を行っても構わない。この場合、各パイロットサブキャリアで求めた式(39)の和の偏角を求めることにより位相誤差を推定できる。
以上、OFDMシンボル毎に位相誤差を推定し、補正を行う方式について説明したが、過去に推定した位相誤差やレプリカ信号と受信信号の内積を忘却係数を用いて再帰的に加算することによって推定を行っても構わない。
このように、位相補正部241で、例えば、式(40)に示すように、各サブキャリアで受信する信号の位相誤差を補正した後に、位相誤差が補正された信号に対して、復調部251が復調を行う。
例えば、復調方式としてZF(zero forcing criterion)基準の復調方式(以下ZF方式と呼ぶ)を用いる場合、次式(41)に示すように、伝搬路推定部221で求めた各サブキャリアの伝搬路応答(式(30)及び式(31))の行列Hの逆行列を位相補正後の受信信号xk ’に乗算することによりk番目のサブキャリアで送信された信号と−k番目のサブキャリアで送信された信号が分離できる。
復調部251における復調方式としてZF方式を例に説明したが、その他いかなる方式を用いて復調を行っても構わない。MMSE基準(minimum mean square error)で復調を行っても構わないし、最尤推定法に基づいて復調を行っても構わない。k番目のサブキャリアで送信された信号と−k番目のサブキャリアで送信された信号が分離できるのであればいかなる方式を用いても構わない。
以上のようにして時間領域の信号を用いて伝搬路応答を推定することによって、IQインバランスの影響でサブキャリア間の干渉が生じる状況でも復調を行うことができる。
しかし、時間領域の信号を用いて伝搬路推定を行う方式は送信される伝搬路推定用既知信号の系列に推定精度が依存してしまう問題点がある。式(25)で示した行列Aの最大固有値と最小固有値の比(以下、条件数と呼ぶ)が小さい場合は推定精度の劣化は生じないが、条件数は信号系列に依存して変化し、条件数が大きい場合は雑音強調などにより特性が著しく劣化する。
また、このような伝搬路推定精度の劣化は各サブキャリアに等しく生じるのではなく、信号に不連続点が生じる箇所で顕著に現れる特徴がある。一般にOFDM伝送では隣接チャネルとの干渉を防ぐため、帯域両端の数サブキャリアは伝送に用いないことが多い。よって、両端のサブキャリアにおいて不連続点が生じ、当該サブキャリアの伝搬路応答推定精度が他のサブキャリアに比べ大きく劣化してしまう場合がある。
各サブキャリアの伝搬路推定精度を求めた一例を図20に示す。図20において、横軸はサブキャリアの番号を示し、縦軸が伝搬路応答の平均電力で規格化した各サブキャリアの伝搬路応答の推定誤差の二乗平均値を表す。このように、両端のサブキャリアの推定誤差が他のサブキャリアに比べ著しく大きくなっていることがわかる。このような伝搬路推定精度特性を持った伝搬路推定用既知信号を用いると、当該サブキャリアで受信した信号は伝搬路推定精度が低いため、受信電力が高くて一般に復調精度が高くなる環境下においても復調精度が低くなり、復調精度も十分得られず伝送特性が劣化してしまう。
そこで、復調部251では、伝搬路推定の精度が劣化するサブキャリア(例えば第i番目と第−i番目のサブキャリア)の伝搬路推定結果は使わずに、その代替として伝搬推定精度が高く伝搬路相関を有するサブキャリアの伝搬路推定結果を選択する。そして、式(41)に示すように、選択されたサブキャリアの伝搬路応答(式(30)及び式(31))の行列Hの逆行列を位相補正後の第i番目と第−i番目のサブキャリアの受信信号xi ’に乗算することによりi番目のサブキャリアで送信された信号と−i番目のサブキャリアで送信された信号を得る。
伝搬路の推定誤差を通信時に計測することは困難であるが、伝搬路推定用既知信号はあらかじめ定められた系列なので、装置を構成する前にあらかじめ伝搬路推定の精度を見積もることは簡易に行える。例として、図20のような伝搬路推定誤差が得られるような伝搬路推定用既知信号を用いている場合は、帯域両端の−28番目と28番目のサブキャリアの伝搬路推定精度は極端に悪く、さらに−27番目と27番目のサブキャリアの伝搬路推定精度も悪いので、当該サブキャリアの伝搬路推定結果は使用しない。次式(42)及び(43)に示すように、−28番目と−27番目のサブキャリアの伝搬路推定値には例えば伝搬路推定精度が高く伝搬路相関を有する−26番目のサブキャリアの伝搬路推定結果を選択する。同様に28番目と27番目のサブキャリアの伝搬路推定値には伝搬路推定精度が高く伝搬路相関を有する26番目のサブキャリアの伝搬路推定結果を選択する。また、次式(44)に示すように、その他のサブキャリアの伝搬路推定結果はそのまま使用する。
この結果、伝搬路推定精度の低いサブキャリアで得られた伝搬路推定結果が復調に与える影響が小さくなるため、受信性能の劣化を緩和することができる。また伝搬路推定用既知信号により事前にわかる伝搬路推定精度の悪いサブキャリアについては、わざわざ伝搬路推定を行わなくてもよいため演算削減が可能である。
以上説明したように、OFDM伝送でIQインバランスのひずみが生じると中心周波数を軸として対称な位置にある2つのサブキャリアが相互に干渉する。この干渉を含めた伝搬路応答を推定することによってIQインバランスの影響は補正できるが、一般に干渉成分を推定できるようにプリアンブルは設計されていない。時間領域の信号を用いてインパルス応答を推定することによってこの伝搬路応答を推定することができるが、伝搬路推定用既知信号の系列やガードバンドの存在により周波数帯域両端のサブキャリアの推定精度が低くなる特徴がある。よって、伝搬路推定の精度が劣化するサブキャリアの伝搬路推定結果は使わずに、その代替として伝搬推定精度が高く伝搬路相関を有するサブキャリアの伝搬路推定結果を使用することで復調後の性能劣化を緩和することができる。
また、伝搬路推定用既知信号と伝搬路推定法が定まると必然的にサブキャリア毎の伝搬路推定精度が求まるため、あらかじめ求まった伝搬路推定精度により、推定精度の低いサブキャリアの推定結果は使用せずに、推定精度が高く伝搬路相関の有するサブキャリアの推定結果を代替として用い、復調に与える影響を削減する。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について説明する。
本発明の第2の実施形態について説明する。
OFDM伝送を行う際にIQインバランスの影響が無視できず、中心周波数を軸として対称な位置にあるサブキャリアが干渉するときに、時間領域の信号を用いて干渉信号の成分も含めて伝搬路応答を推定し、伝搬路推定精度の悪いサブキャリアに関しては伝搬路推定精度が高く伝搬路相関を有する他のサブキャリアの伝搬路推定結果と、相互に干渉する2つのサブキャリアで受信した信号とを用いて、該2つのサブキャリアで送信された信号を復調する点は第1の実施形態と同一である。第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、送信装置が複数のアンテナを用いて空間多重を行って信号を送信し、受信装置が複数の受信アンテナを用いて受信を行う点である。
図4は、第2の実施形態にかかる送信装置の構成例であって、アンテナが2つである場合を示している。なお、図4において、図1と同一部分には同一符号を付している。
図4において送信信号は送信すべき情報信号に伝搬路符号化を適用することによって生成される。このとき送信信号1および送信信号2を生成する手法の一例として、図5に示すように、符号器181で送信する情報信号に符号化を施した後、直列変換部171で並列信号に変換し、複数の送信信号を生成する手法がある。ここで、直並列変換は1ビットずつ変換しても構わないし、変調器101、102で適用される変調多値数に応じたビット単位で変換しても構わない。また、OFDMシンボルに含まれるビット数毎に変換しても、その他の単位で変換しても構わない。予め定められたビット数であり、無線受信装置が既知であればいかなる単位で変換しても構わない。
また、第1の実施形態で説明したように、符号器181で適用される符号化方式次第で隣接する符号語間の相関が高い符号化方式があり、このような信号を同一サブキャリア、または隣接するサブキャリアに割り当てると、サブキャリアの伝搬路応答によっては連続した誤りを発生してしまう可能性がある。このような誤りを防ぐため、図6に示すようにインターリーバー191及び192を用いて信号の並べ替えを行っても構わない。このとき、インターリーバー191および192では無線通信装置が既知の順序であればいかなる規則で並べ替えを行っても構わないし、191と192で同一の規則で並べ替えを行っても構わないし、異なる規則で並べ替えを行っても構わない。
その他、図7や図8に示すように、情報信号をまず直並列変換部171で直並列変換してから複数の符号器(例えば、2つのアンテナに対応する2つの符号器181及び182)を用いて信号を符号化しても構わない。このとき、符号器181と182で同一の符号化方式で符号化を行っても構わないし、異なる符号化方式を用いても構わない。なお、送信信号1と送信信号2は空間多重を行うことによりそれぞれ異なる伝搬路を通過して無線通信装置で受信されるため、図9や図10に示すように各符号器で符号化された信号がそれぞれの空間多重信号に含まれるように信号入替部172を用いて各符号器の信号を混ぜて送信信号1や2として出力しても構わない。
図4の説明に戻り、このようにして生成された送信信号1及び送信信号2をそれぞれ変調器101と変調器102でサブキャリア毎に変調を行う。変調器101と102で適用される変調方式については第1の実施形態と同様であるため詳細な説明は省略する。なお、変調器101と102では同一の変調方式を用いても構わないし、異なる変調方式を用いても構わない。
パイロット生成部112では第1の実施形態で説明したように、パイロットサブキャリアの信号を生成する。このとき、空間多重する信号1と空間多重する信号2で同一のパイロット信号を送信しても構わないし、異なる信号を送信しても構わない。また、1つの空間多重する信号だけでパイロット信号を送信しても構わない。無線通信装置が既知の信号を送信するのであればいかなる送信手段を用いても構わない。
逆フーリエ変換部121及び122、GI付加部131及び132、無線部151及び152、アンテナ161及び162については第1の実施形態と同様であり、詳細な説明は省略する。なお、アンテナ161と162はそれぞれ同一の性能を示すアンテナを用いても構わないし、異なる性能を示すアンテナを用いても構わない。所望の周波数の信号を送信することができればいかなる送信アンテナを用いても構わない。
既知信号生成部142は、受信装置との間でMIMO-OFDM伝送を行うために必要な既知信号を生成する。MIMO-OFDM伝送におけるフレームフォーマットの一例を図14に示す。
図14のフレームは、図13に示したIEEE802.11aと共存するためのフレーム構成になっており、図14のL−STF411、L−LTF421、L−SIG431はそれぞれ図13に示したSP411、LP421、SIG431と同一の信号を送信する。また、HT−SIG451はMIMO-OFDM復調を行うために必要な情報が含まれており、変調方式、符号化方式、符号化率、空間多重数、信号長などが含まれる。なお、L−STF412、L−LTF422、L−SIG432、HT−SIG452については送信しなくても構わないし、L−STF411、L−LTF421、L−SIG431、HT−SIG451とそれぞれ同一の信号を送信しても構わないし、巡回シフトさせた信号を送信しても構わない。
その他、HT−LTF471〜473はMIMO-OFDMの伝搬路応答を推定するための伝搬路推定用既知信号であり、各サブキャリア毎に空間多重された各信号の伝搬路応答を推定できるように設計される。ここで、ヘッダ信号の一例として図15のフォーマットを用いて説明したが、本発明におけるフレームフォーマットを図15のフォーマットに制限するものではないし、ヘッダ信号のフォーマットも図15のフォーマットに制限されるものではない。また、復調に必要な情報として上記の信号を例としてあげたが、受信装置が復調できるのであればこれらの信号全てを必ずヘッダ信号として送信する必要は無く、また、他の信号をヘッダ信号に含めて送信しても構わない。
次に、第2の実施形態に係る受信装置の構成例を図12に示す。図12の受信装置は、複数(ここでは例えば2つ)のアンテナ261及び262と、これらアンテナ261及び262それぞれに接続された複数(ここでは例えば2つ)の無線部251及び252と、無線部151及び152それぞれに接続された複数(ここでは例えば2つ)のGI(ガードインターバル)除去部201及び202と、GI除去部201及び202それぞれに接続された複数(ここでは例えば2つ)のフーリエ変換部211及び212と、GI除去部201及び202に接続された伝搬路推定部222と、フーリエ変換器211及び212に接続された受信信号結合部232と、伝搬路推定部222に接続されたMIMO復調前処理部311と、受信信号結合部232と伝搬路推定部222に接続された位相補正部242と、位相補正部242とMIMO復調前処理部311に接続されたMIMO復調部301を含む。
ここで、アンテナ161及び162、無線部151及び152、GI除去部201及び202、フーリエ変換部211及び212は、第1の実施形態と同様であり、詳細な説明は省略する。
次に、第1の実施形態と同様に、送信装置および受信装置の無線部における直交変調器151c、直交復調器251cそれぞれの不完全性によりIQインバランスが生じる際の受信装置におけるフーリエ変換部211及び212の出力について考える。
まず、アンテナ261で受信される信号について考える。第1の実施形態で示したOFDM伝送の場合は、式(19)のような出力が得られることを示したが、MIMO-OFDM伝送の場合、空間多重で送信された信号が加わるだけである。ここで、空間多重される信号毎に異なる直交変調器、伝搬路を経過して受信されるため、直交変調器のひずみの値や伝搬路応答値は異なるものの、中心周波数を軸として対称な位置にあるサブキャリア間の信号が干渉する特徴は同一である。また、受信アンテナ262で受信される信号についても空間多重された信号がそれぞれ加算されるだけなので、伝搬路応答、直交復調器のひずみの値が異なる点を除いて、大きな性質上の違いはない。
ただし、式(47)においてx(k)は各フーリエ変換部211、212が出力するk番目のサブキャリアの受信信号を要素とする受信ベクトルを表す。Hα (k)は、そのi行j列の成分が、k番目のサブキャリアでj番目の空間多重された信号がi番目のフーリエ変換部から出力されるk番目のサブキャリアの伝搬路応答となる伝搬路行列を表す。Hβ (k)は、そのi行j列の成分が、−k番目のサブキャリアでj番目の空間多重された信号がi番目のフーリエ変換部から出力されるk番目のサブキャリアの伝搬路応答となる伝搬路行列を表す。s(k)はk番目のサブキャリアで空間多重される各信号を要素とする送信ベクトルを表し、s(-k)は−k番目のサブキャリアで空間多重される各信号を要素とする送信ベクトルを表している。
式(48)は第1の実施形態における式(22)における各要素をベクトルまたは行列に拡張したもので、要素数が増えただけである。よって、空間多重された信号および干渉となるサブキャリアからの信号の伝搬路応答を求めることができれば、第1の実施形態と同様にMIMO-OFDM伝送においてもIQインバランスによるひずみを補償することができる。
伝搬路推定部222で適用されるMIMO-OFDM伝送における伝搬路推定について考える。図14に示すような伝搬路推定用既知信号が送信されているとする。ここで、伝搬路推定用プリアンブル(HT−LTF)471〜474は同一の系列の信号を送信しており、伝搬路推定用プリアンブル473のみ伝搬路推定用プリアンブル471の符号を反転した信号を送信する。このような伝搬路推定用プリアンブル(伝搬路推定用既知信号)が送信されている場合、伝搬路変動や周波数オフセットの影響が小さい場合、伝搬路推定用プリアンブル471が送信されている区間の受信信号と伝搬路推定用プリアンブル473が送信されている受信信号の和を求めると、伝搬路推定用プリアンブル471と伝搬路推定用プリアンブル473は符号が反転しているので相殺され、空間多重される2番目の信号のみが受信信号に残留することがわかる。一方、当該区間の受信信号の差を計算すると、空間多重された信号1の信号が同相加算され、空間多重された信号2は相殺されることがわかる。このように、伝搬路推定用既知信号として直交系列が送信されている場合、間多重された信号を簡易に分離することが可能となる。
よって、GI除去部201、202が出力する信号それぞれで、伝搬路推定用既知信号を受信している区間の信号の和や差を求めることにより、それぞれ単一の既知信号が送信されたOFDM信号を抽出することができる。この結果、第1の実施形態と全く同様に式(23)、(28)、(30)、(31)の手順でi番目のGI除去部が出力するj番目の空間多重された信号の伝搬路応答を干渉となるサブキャリアの成分も含めて求めることができるため、MIMO-OFDM伝送の場合もOFDM伝送の場合と同様に時間領域の信号から各サブキャリアの伝搬路応答を推定できる。
位相補正部242では、第1の実施形態で説明した、OFDM伝送の場合の式(33)〜(36)を、次式(49)〜(51)に示すように、MIMO-OFDM伝送に拡張し、第1の実施形態と同様に、式(37)、式(39)に従い位相誤差を推定することができる。
位相補正部242は、第1の実施形態と同様にして、以上のようにして推定された位相誤差の逆特性e-jΨを、式(40)に示したように、全データサブキャリアに乗算することによって位相誤差の補正を行う。
MIMO復調部301は、位相補正部242で位相誤差を補正した信号に対して復調を行う。復調は第1の実施形態における復調部251における復調に対し、受信ベクトルやチャネル行列、送信ベクトルの要素数が増えただけであり、式(41)に示したように、同一の手法で復調することができるので、詳細な説明は省略する。
また、伝搬路推定部222における伝搬路推定はMIMO伝搬路の各要素を1つずつ推定することになり、第1の実施形態で述べたOFDM伝送の場合と同一の問題が生じ、同一の現象が得られる。よって、第1の実施形態で説明した方式と同様に、伝搬路推定精度をあらかじめ求めることができ、式(42)、(43)に示したように、伝搬路推定精度が悪くなるサブキャリアについては、伝搬路推定精度が高く伝搬路相関を有するサブキャリアの伝搬路推定結果を用いて、相互に干渉する2つのサブキャリアで受信した信号を用いて2つのサブキャリアで送信された信号を復調する。
なお、第2の実施形態ではMIMO-OFDM伝送として空間多重数が「2」、受信アンテナ数が「2」の場合を例に説明したが、本発明における空間多重数や受信アンテナ数をこれらの数に制限するものではない。式(49)〜(51)のベクトルや行列の要素数が増加するだけであり、基本的には同一の方式で受信を行うことができる。
以上説明したように上記第2の実施形態によれば、直交変調器および直交復調器の不完全性などによりIQインバランスが発生し、上側波帯と下側波帯のサブキャリアの信号が相互に干渉する環境下でMIMO-OFDM伝送を行う場合において、時間領域の信号を用いて干渉成分も含めた伝搬路応答を推定し、各サブキャリアの受信信号両者を用いて両サブキャリアで送信された信号を復調する際に、伝搬路推定用既知信号シンボルの系列によって生じる受信性能の劣化を緩和することができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について説明する。
本発明の第3の実施形態について説明する。
本実施形態ではOFDM伝送やMIMO-OFDM伝送においてIQインバランスの影響が無視できず、中心周波数を軸として対称な位置にあるサブキャリアが干渉するときに、時間領域の信号を用いて干渉信号の成分も含めて伝搬路応答を推定し、伝搬路推定精度の悪いサブキャリアに関しては、伝搬路推定精度が高く伝搬路相関を有するサブキャリアの伝搬路推定結果と、相互に干渉する2つのサブキャリアで受信した信号とを用いて、該2つのサブキャリアで送信された信号を復調する点は、第1及至第2の実施形態と同一である。第3の実施形態が第1及至第2の実施形態と異なる点は、帯域両端付近のサブキャリアだけでなく、中心サブキャリア周辺のサブキャリアの尤度も影響が小さくなるように重み係数を乗算する点である。
第1の実施形態において、時間領域の信号を用いて干渉信号も含めた伝搬路応答を推定する場合は伝搬路推定用既知信号の系列に依存して伝搬路応答の推定精度が劣化し、かつ不連続なサブキャリアの近傍の推定精度が劣化する現象について説明した。式(25)に示した行列の条件数が小さい場合は、このような伝搬路推定精度の劣化はそれほど生じないが、条件数が大きくなるにつれ複数のサブキャリアを利用していない帯域両端付近のサブキャリアの伝搬路推定精度の劣化が顕著に現れる。
OFDM伝送では無線部のローカル周波数のもれ込みや直流成分の不要信号の影響で、サブキャリア番号「0」の信号は他のサブキャリアに比べ不要信号の影響が大きく、一般に伝送には用いられない。よって、式(25)の条件数が大きくなると中心周波数近傍のサブキャリアの伝搬路推定精度も劣化してくる。このような信号系列を用いた際の伝搬路推定の推定精度の一例を図21に示す。
図21では、図20と同様に横軸がサブキャリア番号を示しており、縦軸は伝搬路の平均電力で規格化した伝搬路推定の誤差の二乗平均値である。なお、図20の伝搬路推定用既知信号を用いた際の式(25)の条件数は約「30」であるのに対し、図21の伝搬路推定用既知信号を用いた場合の式(25)の条件数は約「200」であり、7倍程度大きい値になっている。
この結果、帯域両端のサブキャリア近傍の伝搬路推定精度の劣化が大きくなるのは、図20と同様であるが、さらに中心周波数近傍のサブキャリアの伝搬路推定精度の劣化も大きくなっていることがわかる。このような伝搬路推定用既知信号を用いている場合、帯域両端近傍のサブキャリアだけでなく、中心周波数近傍のサブキャリアの伝搬路推定値は、伝搬路推定精度が高く伝搬路相関を有するサブキャリアの伝搬路推定結果を用いることにより伝送特性の劣化を緩和することができる。
例えば、図21のような伝搬路推定誤差が得られるような伝搬路推定用既知信号を用いている場合は、中心周波数近傍の−1番目と1番目のサブキャリアの伝搬路推定精度は極端に悪く、さらに−2番目と2番目のサブキャリアの伝搬路推定精度も悪いので、当該サブキャリアの伝搬路推定結果は使用しない。次式(53)、(54)に示すように、−1番目と−2番目のサブキャリアの伝搬路推定値には例えば伝搬路推定精度が高く伝搬路相関を有する−3番目のサブキャリアの伝搬路推定結果を用い、同様に1番目と2番目のサブキャリアの伝搬路推定値には伝搬路推定精度が高く伝搬路相関を有する3番目のサブキャリアの伝搬路推定結果を用いる。
また、帯域両端の−58番目と58番目のサブキャリアの伝搬路推定精度は極端に悪く、さらに−57番目と57番目のサブキャリアの伝搬路推定精度も悪いので、当該サブキャリアの伝搬路推定結果は使用しない。−58番目と−57番目のサブキャリアの伝搬路推定値には例えば伝搬路推定精度が高く伝搬路相関を有する−56番目のサブキャリアの伝搬路推定結果を用い、同様に58番目と57番目のサブキャリアの伝搬路推定値には伝搬路推定精度が高く伝搬路相関を有する56番目のサブキャリアの伝搬路推定結果を用いる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、帯域両端近傍のサブキャリアだけではなく中心サブキャリア近傍のサブキャリアの伝搬路推定値は、伝搬路推定精度が高く伝搬路相関を有するサブキャリアの伝搬路推定結果を用いることにより、伝送特性の劣化を緩和することができる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態について説明する。
本発明の第4の実施形態について説明する。
MIMO-OFDM方式においてIQインバランスの影響が無視できず、中心周波数を軸として対称な位置にあるサブキャリアが干渉するときに、時間領域の信号を用いて干渉信号の成分も含めて伝搬路応答を推定すると特定のサブキャリアでは伝搬路推定精度が悪いため伝搬路推定結果が劣化してしまうという問題に着目する点は、第2の実施形態と同様である。第4の実施形態が第2の実施形態と異なる点は、無線通信装置が伝搬路推定結果に基づいてサブキャリア毎にウェイトベクトルを決定し、ウェイトベクトルにより生成される指向性ビームを用いて伝送を行う点である。
図22は、第4の実施形態にかかる無線通信装置の送信部の構成例を示したものである。なお、図22において、図4と同一部分には同一符号を付し、異なる点について説明する。すなわち、図22では、ウェイト行列生成部601とウェイト行列乗算部602が追加されている。なお、図22には省略されているが、第4の実施形態に係る無線通信装置は、図12と同じ構成の受信部を含む。この場合、受信部と送信部のアンテナは共用されていてもよい。
ウェイト行列乗算部602は、逆フーリエ変換部121及び122の前段に設けられ、ウェイト行列生成部601から供給されるウェイト行列を変調器101、102から出力される信号に乗算する処理を行う。
以下、ウェイト行列生成部601とウェイト行列乗算部602に関して、送信アンテナ数2本、受信アンテナ数2本の場合を例に説明する。
ウェイト行列生成部601は、送信装置と受信装置との間の伝搬路応答推定結果に基づいてウェイトを生成する。この伝搬路応答推定結果は、例えば、図12に示した構成を有する通信相手の他の無線通信装置の伝搬路推定部222で求めたサブキャリア毎の伝搬路応答行列H(k)を用いて行われても良い。当該他の無線通信装置は、図4と同じ構成の送信部を含むので、この送信部を通じて、求めたサブキャリア毎の伝搬路応答行列を送信する。図23の無線通信装置は、このサブキャリア毎の伝搬路応答行列H(k)を受信して、ウェイト行列生成部601で用いるようにすればよい。
変調器101及び102のそれぞれは、サブキャリア毎に変調された信号(サブキャリア毎の変調信号)を生成し、ウェイト行列乗算部602へ出力する。
ウェイト行列乗算部602は、変調器101及び102より出力されるサブキャリア毎の変調信号が入力され、変調信号毎にウェイト行列生成部601で得られるウェイトを乗算する。
ウェイト行列生成部601で生成されるウェイト行列は、上記伝搬路応答行列を特異値分解(Singular Value Decomposition:以下SVDと称する)することによって最適化することが知られており、第k番目のサブキャリアの伝搬路応答行列H(k)は特異値分解することにより、次式(101)で表すことができる。
式(101)において、上付の添え字Hは複素共役転置、diag[ ]は対角行列を表している。また、v1 (k)、v2 (k) は、次式(102)を満たす直交するベクトルであり、u1 (k)、u2 (k)は、次式(103)を満たす直交するベクトルである。
ウェイト行列生成部601は、第k番目のサブキャリアの伝搬路応答行列H(k)、式(101)〜(104)から、第k番目のサブキャリアに対応するウェイト行列V(k)を算出する。
ウェイト行列乗算部602は、サブキャリア信号毎にサブキャリア毎のウェイト行列V(k)を乗算する。変調器101から出力された第k番目のサブキャリア信号をs1 (k)、変調器102から出力された第k番目のサブキャリア信号をs2 (k)とすると、ウェイト行列乗算部602から出力される第k番目のサブキャリア信号は次式(105)で表すことができる。
受信側のMIMO復調部で受信信号から送信された信号を抽出する手法として、伝搬路推定結果の一般化逆行列を乗じるZF方式や自乗平均値を最小にするウェイト行列を乗じるMMSE方式、レプリカ信号を用いて最尤判定を行う方式などを用いてもよいし、伝搬路推定結果Hを特異値分解することにより求まるウェイト行列Uを乗じる方式を用いても構わない。
第4の実施形態では受信手段を特定の手法に制限するものではなく、上記または上記以外のいかなる手法用いても構わない。以上のように、伝搬路推定結果の特異値分解により求まるウェイト行列Vを送信信号に乗積し指向性ビームを形成して伝送を行う方式は理論上最適な伝送方式として知られている。
第2、第3の実施形態で説明したように、時間領域の信号を用いて干渉信号も含めた伝搬路応答推定法を用いると伝搬路推定用既知信号の系列依存性や通信を行わないサブキャリアの存在により特定のサブキャリアの伝搬路推定精度が劣化してしまう。そのため上述した伝搬路推定結果を特異値分解することにより求まるウェイト行列V(k)を送信信号に乗積して伝送を行う方式の場合、精度の悪い伝搬路推定結果をそのまま特異値分解してウェイト行列Vとして用いると最適な指向性ビームを形成できず、ストリーム間干渉の原因となって伝送特性が劣化してしまう。
そこで、第4の実施形態では、伝搬路推定の精度が劣化するサブキャリアの伝搬路推定結果は使わずに、その代替として伝搬推定精度が高く伝搬路相関を有するサブキャリアの伝搬路推定結果を用いる。伝搬路の推定誤差を通信時に計測することは困難であるが、伝搬路推定用既知信号はあらかじめ定められた系列なので、装置を構成する前にあらかじめ伝搬路推定の精度を見積もることは簡易に行える。図20のような伝搬路推定誤差が得られるような伝搬路推定用既知信号を用いている場合は、帯域両端の−28番目、28番目のサブキャリアの伝搬路推定精度は極端に悪く、それに次いで、−27番目、27番目のサブキャリアの伝搬路推定精度も悪い。
そこで、ウェイト行列生成部601は、当該伝搬路推定精度が悪いサブキャリアの伝搬路推定結果は使用せずに、−28番目と−27番目のサブキャリアに対応するウェイト行列は、例えば伝搬路推定精度が高く伝搬路相関を有する−26番目のサブキャリアの伝搬路応答行列を特異値分解して求める。すなわち、第−28番目、第−27番目のサブキャリアに対応するウェイト行列V(-28)、V(-27)は、伝搬路応答行列H(-26)を特異値分解して求める。
同様に28番目と27番目のサブキャリアに対応するウェイト行列は、伝搬路推定精度が高く伝搬路相関を有する26番目のサブキャリアの伝搬路応答行列を特異値分解して求める。すなわち、第28番目、第27番目のサブキャリアに対応するウェイト行列V(28)、V(27)は、伝搬路応答行列H(26)を特異値分解して求める。
上記以外の伝搬路推定精度の良好なサブキャリアについては、それぞれの伝搬路推定結果H(k)をそのまま特異値分解してウェイト行列V(k)を算出する。
この結果、伝搬路推定精度の劣化に対する補償効果が、装置規模の増大なしに簡易に行え、ストリーム干渉を低減または解消できる。
また、上述の説明の例のように例えば27番目、28番目のサブキャリアで用いるウェイト行列V(28)、V(27)は26番目で用いるウェイト行列V(26)と全く同じになるため、伝搬路推定精度の低い27番目、28番目のサブキャリアに関してはSVD演算を省略することができ、演算量削減、消費電力削減が可能となる。
なお、第3の実施形態で説明したように、式(25)の条件数が大きくなると、例えば、図21に示したように、中心周波数近傍のサブキャリアの伝搬路推定精度も劣化してくる。そこで、このような場合、帯域両端近傍のサブキャリアのウェイト行列だけでなく、中心周波数近傍のサブキャリアのウェイト行列を算出する際にも、当該中心周波数近傍のサブキャリア自信の伝搬路行列を用いずに、伝搬路推定精度が高く伝搬路相関を有するサブキャリアの伝搬路行列を用いて、上述同様にしてウェイト行列を算出することにより、伝送特性の劣化を緩和することができる。
すなわち、図21において、伝搬路推定精度の悪い−1番目と−2番目のサブキャリアのウェイト行列として、V(-1)、V(-2)を求める場合には、式(101)のH(k)に、第−3番目のサブキャリアの伝搬路行列H(-3)を用いて、式(101)〜(104)から、ウェイト行列V(-1)、V(-2)を算出する。1番目と2番目のサブキャリアのウェイト行列V(1)、V(2)を求める場合にも、式(101)のH(k)に、第3番目のサブキャリアの伝搬路行列H(3)を用いて、式(101)〜(104)から、ウェイト行列V(1)、V(2)を算出する。あるいは、伝搬路推定精度の悪い−1番目と−2番目のサブキャリアのウェイト行列の計算は省略して、第−3番目のサブキャリアに対し求めたウェイト行列を−1番目と−2番目のサブキャリアのウェイト行列として用いても良い。
また、図21において、伝搬路推定精度の悪い−58番目と−57番目のサブキャリアのウェイト行列V(-58)、V(-57)を求める場合には、式(101)のH(k)に、第−56番目のサブキャリアの伝搬路行列H(-56)を用いて、式(101)〜(104)から、ウェイト行列V(-58)、V(-57)を算出する。また、58番目と57番目のサブキャリアのウェイト行列V(58)、V(57)を求める場合には、式(101)のH(k)に、第56番目のサブキャリアの伝搬路行列H(56)を用いて、式(101)〜(104)から、ウェイト行列V(58)、V(57)を算出する。あるいは、伝搬路推定精度の悪い−58番目と−57番目のサブキャリアのウェイト行列の計算は省略して、第−56番目のサブキャリアに対し求めたウェイト行列を−58番目と−57番目のサブキャリアのウェイト行列として用いても良い。
なお、通信相手の他の無線通信装置は、全てのサブキャリアに対する伝搬路応答行列を送信するようにしてもよいが、上述したように、伝送路推定精度の低いサブキャリアの伝搬路応答行列は使用しないため、フィードバックをわざわざする必要が無い。そこで、全サブキャリアのうち、伝搬路推定精度の高いサブキャリアに対する伝搬路応答行列のみを送信するようにしてもよい。この結果、受信側からのフィードバック量を軽減でき、スループットの向上が望める。
また、図23に示すように、上記通信相手の他の無線通信装置は、図22のウェイト行列生成部601と同じ機能を有するウェイト行列生成部701を備え、伝搬路推定部222で求めたサブキャリア毎の伝搬路応答行列H(k)を用いて、上述同様に、サブキャリア毎のウェイト行列を生成するようにしてもよい。図23には示していないが、上記通信相手の他の無線通信装置は、図4と同じ構成の送信部を含む。そして、この送信部を通じて、求めたサブキャリア毎のウェイト行列を送信する。前述したように、ウェイト行列乗算部602では、伝送路推定精度の悪いサブキャリアの伝搬路応答行列を特異値分解して求めたウェイト行列は使用しないため、そのようなウェイト行列のフィードバックをわざわざする必要が無い。そこで、伝搬路推定精度の低いサブキャリアの伝搬路応答行列を特異値分解して得られるウェイト行列は送信せずに、伝搬路推定精度の低いサブキャリアの伝搬路応答行列を特異値分解して得られるウェイト行列のみを送信するようにしてもよい。この結果フィードバック量を軽減でき、スループットの向上が望める。
以上説明したように、送信側で伝搬路情報が既知の場合、伝搬路応答を特異値分解することにより得られるウェイトを送信信号に乗積することで直交ビームを形成し、MIMOで最適伝送であるビームフォーミング伝送が行える。しかしながら伝搬路推定用既知信号と伝搬路推定法によっては特定のサブキャリアの伝搬路推定精度が極端に低くなるという問題があり、このような伝搬路推定結果を特異値分解して求めたウェイトを用いると直交ビームが形成されず、その結果ストリーム干渉の原因となり伝送特性が劣化してしまう。そこで、伝搬路推定用既知信号と伝搬路推定法により決まる伝搬路推定精度に基づいて、推定精度の低いサブキャリアの伝搬路推定結果は使用せずに、伝搬路推定精度が高くまた伝搬路相関が高いサブキャリアの伝搬路推定結果を使用する。これによりストリーム間干渉を低減または解消し、伝送特性の向上を図ることができる。
本発明の実施の形態に記載した本発明の手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することもできる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
251…無線部、201…GI除去部、211…フーリエ変換部、221…伝搬路推定部、231…受信信号結合部、241…位相補正部、251…復調部。
Claims (12)
- 複数のサブキャリアを含むOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を受信する受信手段と、
前記OFDM信号を直交復調し、直交復調信号を得る直交復調手段と、
前記直交復調信号に含まれる伝搬路推定用の既知信号から、サブキャリア毎の伝搬路応答を推定する伝搬路推定手段と、
前記直交復調信号をフーリエ変換し、サブキャリア毎の受信信号を得るフーリエ変換手段と、
前記複数のサブキャリアのうちで伝搬路推定精度が相対的に低い第1のサブキャリアと前記OFDM信号の周波数帯域の中心周波数を軸に該第1のサブキャリアと対称な位置に配置されている第2のサブキャリアとの前記受信信号と、前記複数のサブキャリアのうちで前記伝搬路推定精度が相対的に高い該第1のサブキャリア近傍に配置されている第3のサブキャリアと前記中心周波数を軸に該第3のサブキャリアと対称な位置に配置されている第4のサブキャリアとの前記伝搬路応答とを用いて、前記第1及び第2のサブキャリアで送信された信号を復調する復調手段と、
を具備したことを特徴とする無線通信装置。 - 複数のアンテナで、複数のサブキャリアをそれぞれ含む空間多重された複数のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を受信する受信手段と、
前記複数のOFDM信号を直交復調し、複数の直交復調信号を得る直交復調手段と、
前記複数の直交復調信号のそれぞれに含まれる伝搬路推定用の既知信号から、サブキャリア毎の伝搬路応答を推定する伝搬路推定手段で、
前記複数の直交復調信号のそれぞれをフーリエ変換し、各直交復調信号からサブキャリア毎の受信信号を得るフーリエ変換手段と、
各直交変調信号から得られた前記複数のサブキャリアのうちで伝搬路推定精度が相対的に低い第1のサブキャリアと前記OFDM信号の周波数帯域の中心周波数を軸に該第1のサブキャリアと対称な位置に配置されている第2のサブキャリアとの前記受信信号と、前記複数のサブキャリアのうちで前記伝搬路推定精度が相対的に高い該第1のサブキャリア近傍に配置されている第3のサブキャリアと前記中心周波数を軸に該第3のサブキャリアと対称な位置に配置されている第4のサブキャリアとの前記伝搬路応答とを用いて、前記第1及び第2のサブキャリアで送信された信号を復調する復調手段と、
を具備したことを特徴とする無線通信装置。 - 前記第1及び前記第2のサブキャリアは前記周波数帯域の両端近傍に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の無線通信装置。
- 前記第1及び前記第2のサブキャリアは、前記中心周波数近傍に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の無線通信装置。
- 前記伝搬路推定手段は、
前記複数の直交復調信号から、各直交復調信号に含まれる伝搬路推定用の既知信号を分離し、該既知信号からサブキャリア毎の伝搬路応答を推定することを特徴とする請求項2記載の無線通信装置。 - 前記伝搬路推定手段は、
(a)前記OFDM信号中の伝搬路推定用の既知信号のインパルス応答をフーリエ変換することにより、各サブキャリアで送信され該サブキャリアで受信される信号の伝搬路応答を求めるとともに、(b)前記既知信号の複素共役信号のインパルス応答をフーリエ変換することにより、各サブキャリアで送信され、前記中心周波数を軸に該サブキャリアと対称な位置に配置されている他のサブキャリアで受信される信号の伝搬路応答を求めることを特徴とする請求項1または2記載の無線通信装置。 - 複数のサブキャリアをそれぞれ含む複数のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を送受信する無線通信装置であって、
サブキャリア毎の伝搬路応答行列を取得する手段と、
前記複数のサブキャリアのうちで伝搬路推定精度が相対的に低いサブキャリアに対しては、前記複数のサブキャリアのうちで前記伝搬路推定精度が相対的に高い該サブキャリア近傍の他のサブキャリアの前記伝搬路応答行列を特異値分解することによりウェイト行列を計算し、前記複数のサブキャリアのうちで前記伝搬路推定精度が相対的に高いサブキャリアに対しては、該サブキャリアの前記伝搬路応答行列を特異値分解することによりウェイト行列を計算し、前記複数のサブキャリアのそれぞれに対応する複数のウェイト行列を求める計算手段と、
サブキャリア毎の複数の変調信号を生成する生成手段と、
サブキャリア毎の変調信号を該サブキャリアに対応する前記ウェイト行列を乗算する乗算手段と、
前記ウェイト行列を乗じたサブキャリア毎の変調信号を逆フーリエ変換する逆フーリエ変換手段と、
を含む無線通信装置。 - 複数のサブキャリアをそれぞれ含む複数のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を送受信する無線通信装置であって、
サブキャリア毎の伝搬路応答行列を取得する手段と、
前記複数のサブキャリアのうちで伝搬路推定精度が相対的に高い各サブキャリアの前記伝搬路応答行列を特異値分解することにより、前記伝搬路推定精度が相対的に高い各サブキャリアに対応するウェイト行列を求める計算手段と、
サブキャリア毎の複数の変調信号を生成する生成手段と、
前記複数のサブキャリアのうちで伝搬路推定精度が相対的に低いサブキャリアの前記変調信号に対しては、前記複数のサブキャリアのうちで前記伝搬路推定精度が相対的に高い該サブキャリア近傍の他のサブキャリアに対応する前記ウェイト行列を乗算し、前記複数のサブキャリアのうちで前記伝搬路推定精度が相対的に高いサブキャリアの前記変調信号に対しては、該サブキャリアに対応するウェイト行列を乗算する乗算手段と、
前記ウェイト行列を乗じたサブキャリア毎の変調信号を逆フーリエ変換する逆フーリエ変換手段と、
を含む無線通信装置。 - 前記取得手段は、前記複数のサブキャリアのうち前記伝搬路推定精度が相対的に高いサブキャリアの前記伝搬路行列を取得する請求項9記載の無線通信装置。
- 複数のサブキャリアを含むOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を受信する受信ステップと、
前記OFDM信号を直交復調し、直交復調信号を得る直交復調ステップと、
前記直交復調信号に含まれる伝搬路推定用の既知信号から、サブキャリア毎の伝搬路応答を推定する伝搬路推定ステップで、
前記直交復調信号をフーリエ変換し、サブキャリア毎の受信信号を得るフーリエ変換ステップと、
前記複数のサブキャリアのうちで伝搬路推定精度が相対的に低い第1のサブキャリアと前記OFDM信号の周波数帯域の中心周波数を軸に該第1のサブキャリアと対称な位置に配置されている第2のサブキャリアとの前記受信信号と、前記複数のサブキャリアのうちで前記伝搬路推定精度が相対的に高い該第1のサブキャリア近傍に配置されている第3のサブキャリアと前記中心周波数を軸に該第3のサブキャリアと対称な位置に配置されている第4のサブキャリアとの前記伝搬路応答とを用いて、前記第1及び第2のサブキャリアで送信された信号を復調する復調ステップと、
を含む受信方法。 - 複数のサブキャリアをそれぞれ含む複数のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を送信する送信方法であって、
サブキャリア毎の伝搬路応答行列を取得する取得ステップと、
前記複数のサブキャリアのうちで伝搬路推定精度が相対的に低いサブキャリアに対しては、前記複数のサブキャリアのうちで前記伝搬路推定精度が相対的に高い該サブキャリア近傍の他のサブキャリアの前記伝搬路応答行列を特異値分解することによりウェイト行列を計算し、前記複数のサブキャリアのうちで前記伝搬路推定精度が相対的に高いサブキャリアに対しては、該サブキャリアの前記伝搬路応答行列を特異値分解することによりウェイト行列を計算し、前記複数のサブキャリアのそれぞれに対応する複数のウェイト行列を求める計算ステップと、
サブキャリア毎の複数の変調信号を生成する生成ステップと、
サブキャリア毎の変調信号を該サブキャリアに対応する前記ウェイト行列を乗算する乗算ステップと、
前記ウェイト行列を乗じたサブキャリア毎の変調信号を逆フーリエ変換する逆フーリエ変換ステップと、
を含む送信方法。 - 複数のサブキャリアをそれぞれ含む複数のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を送信する送信方法であって、
サブキャリア毎の伝搬路応答行列を取得する取得ステップと、
前記複数のサブキャリアのうちで伝搬路推定精度が相対的に高い各サブキャリアの前記伝搬路応答行列を特異値分解することにより、前記伝搬路推定精度が相対的に高い各サブキャリアに対応するウェイト行列を求める計算ステップと、
サブキャリア毎の複数の変調信号を生成する生成ステップと、
前記複数のサブキャリアのうちで伝搬路推定精度が相対的に低いサブキャリアの前記変調信号に対しては、前記複数のサブキャリアのうちで前記伝搬路推定精度が相対的に高い該サブキャリア近傍の他のサブキャリアに対応する前記ウェイト行列を乗算し、前記複数のサブキャリアのうちで前記伝搬路推定精度が相対的に高いサブキャリアの前記変調信号に対しては、該サブキャリアに対応するウェイト行列を乗算する乗算ステップと、
前記ウェイト行列を乗じたサブキャリア毎の変調信号を逆フーリエ変換する逆フーリエ変換ステップと、
を含む送信方法。
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JP2007088833A JP2008252301A (ja) | 2007-03-29 | 2007-03-29 | 無線通信装置及び送信方法 |
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