JP2008143502A - 車両用助手席エアバッグドア - Google Patents

Abstract

【課題】作動時に本来の破断箇所でない部位での破断による破片の飛び散りがなく、成型が容易な車両用助手席エアバッグドアを提供する。
【解決手段】クラッシュパッドのエアバッグ展開領域上に位置するパッド展開部と、パッド展開部の下側面に位置するエアバッグドア部と、エアバッグドア部の端部から下側に延設され、エアバッグハウジングと連設されるシュート部とで構成され、パッド展開部は、その中央下側面に位置する切開溝と、切開溝の両側にあって上側に凹む段差部と、段差部における切開溝から遠い端部に位置し、パッド展開部の上側に凹んで、エアバッグの作動時にパッド展開部が外側に回動することを可能にする第１ヒンジ部とが形成され、エアバッグドア部は、パッド展開部と一体に接合されて射出成型され、さらに第１ヒンジ部と一体に接合されて第２ヒンジ部が形成され、シュート部は第２ヒンジ部と一体に形成される。
【選択図】図１

Description

本発明は、車両用助手席エアバッグドア、詳しくは、エアバッグ作動時にドアカバーが本来の破断箇所以外の部位で破断して破片が飛散することなく、かつ容易に成型することができる車両用助手席エアバッグドアに関する。

車の安全に対する意識の向上と、これに伴う法規制の強化によって運転席及び助手席のエアバッグに対する関心が高くなっている。
運転席エアバッグは、車両の衝突発生時に運転手の頭部がハンドルにぶつかる被害を防止するためにハンドル内部に設けられるが、助手席の搭乗客を保護するためには助手席エアバッグドアとして助手席前方のクラッシュパッドの内側に別途のエアバッグを設けて使用している。

従来の助手席前方に設けられるエアバッグは、クラッシュパッドの内側にエアバッグが備えられたエアバッグハウジングと、エアバッグハウジングの前方でクラッシュパッド上に、回転部を備えたドアプレートと、エアバッグハウジングをクラッシュパッドに結合させるためのシュートと、クラッシュパッドの前面に備えられるドアカバーを含めて構成される。そして前記シュートはドアプレートの端部にボルト固定される。

上記の構成による従来のエアバッグは、エアバッグが展開作動しながらドアプレートに圧力を加え、ドアカバーに形成された裂け目（Ｔｅａｒ Ｌｉｎｅ）を破ってエアバッグが展開作動する構造となっている〔例えば、特許文献１参照〕

助手席に設けられた乗客用エアバッグについては多くの提案があり、例えば、エアバッグドアがスライド方式のヒンジを介して開放されるように構成して、エアバッグの円滑な開放を確保する提案〔特許文献２参照〕がある。

しかし、エアバッグの展開作動中、回転部が短いか厚くてドアプレートの回転が十分に拡張できないと、ドアカバーの端部が破断し、その破片が助手席にいる搭乗客に向かって飛ぶという問題点が発生した。従って、この問題点を防止するために、回転部を長くするか、ドアカバーの回転する部分近くに他の構成要素を置かないようにレイアウトを再配置しなければならなかった。この観点から、エアバッグ作動時におけるインストルメントパネルカバー部の破損によるシャープなエッジの発生や破片の飛散を防止する助手席用エアバッグ装置の提案〔特許文献３参照〕がある。

特開２００５−１７０３７３号公報 特開２００５−１５３８５８号公報 特開平１１−１９８７５２号公報

上記問題点を解決すべく本発明の目的は、エアバック作動時にエアバック構成部材の本来の破断箇所でない部位での破断による破片の飛び散りがなく、かつ、成型が容易である車両用助手席エアバッグドアを提供することにある。

前記目的を達成するために本発明による車両用助手席エアバッグドアは、クラッシュパッドのエアバッグ展開領域上に位置するパッド展開部と、パッド展開部の下側面に位置するエアバッグドア部と、エアバッグドア部の端部から下側に延設され、エアバッグハウジングと連設されるシュート部とを含んで構成され、パッド展開部は、その中央下側面に位置する切開溝と、切開溝の両側にあって上側に凹む段差部と、段差部における切開溝から遠い端部に位置し、パッド展開部の上側に凹んで、エアバッグの作動時にパッド展開部が外側に回動することを可能にする第１ヒンジ部とが形成され、エアバッグドア部は、パッド展開部と一体に接合されて射出成型され、さらに第１ヒンジ部と一体に接合されて第２ヒンジ部が形成され、シュート部は、第２ヒンジ部と一体に形成されている。

さらに好ましくは、切開溝は、断面形状が「Ｖ」形状または「Ｈ」形状に形成され、
エアバッグドア部は、段差部と第１ヒンジ部との間でだけパッド展開部と一体に接合されて射出成型され、１ヒンジ部は、第２ヒンジ部より厚く形成され、シュート部は、エアバッグハウジングの外側に形成された係止部と結合されるように装着孔が形成される。

本発明による車両用助手席エアバッグドアは、エアバッグ作動時にエアバッグドア部の本来の破断箇所でない部位での破断が生じず、破片による搭乗客への傷害を防止でき、搭乗客を安全に保護することができる効果がある。
また、エアバッグドア部とパッド展開部とが一体に接合されて射出成型され、金型一本化によるコスト節減と組み立て時に発生したギャップ及び段差の発生などの問題点を解消し、成型が容易になる効果がある。さらに、従来の金属プレートやリングなどの部品が不要になって部品数減少による原価節減ができ、荷重を減らせる効果もある。

以下、本発明による車両用助手席エアバッグドアに係る実施の形態を図面を参照して説明する。しかし、以下の実施の形態は、本発明を説明するためのものであって本発明を限定するものではない。

図１は本発明による車両用助手席エアバッグドアを示した図であり、図２〜図４は本発明による車両用助手席エアバッグドア構造の成型過程を示した図である。

図１を参照すれば、本発明の車両用助手席エアバッグドアは、クラッシュパッド２０のエアバッグ展開領域上にパッド展開部１００と、パッド展開部１００の下側面にエアバッグドア部２００と、エアバッグドア部２００の端部から下側に延設され、エアバッグハウジング１０と連設されるシュート部３００とから構成されている。

各部をさらに詳細に述べると、パッド展開部１００は、その中央下側面に位置する切開溝１１０と、切開溝１１０の両側にあって上側に凹む段差部１２０と、段差部における切開溝１１０から遠い端部に位置し、パッド展開部の上側に凹んで、エアバッグの作動時に前記パッド展開部が外側に回動することを可能にする第１ヒンジ部１３０と、がそれぞれ形成されている。
エアバッグドア部２００は、パッド展開部１００の下側面にパッド展開部１００と一体に接合されて射出成型され、第１ヒンジ部１３０と一体に接合された第２ヒンジ部２１０が形成されている。
シュート部３００は、第２ヒンジ部２１０から下側に折り曲げられた形状に形成されている。

切開溝１１０は、断面形状が「Ｖ」形状または「Ｈ」形状に形成されるように構成されるのが好ましい。「Ｖ」形状は、上に尖って下に開く逆Ｖ字となる。この形状にすることにより、エアバッグ２の膨張力によってパッド展開部１００の切開溝１１０がスムーズに破れるようになる。

切開溝１１０は、エアバッグ２が作動した時、エアバッグ２の膨張力によってパッド展開部１００がスムーズに破断することが出来る深さに形成される。

パッド展開部１００の材料は、フィラー入りポリプロピレン（ＰＰＦ）樹脂で、エアバッグドア部２００の材料は、軟性のポリオレフィン系軟質（ＴＰＯ）樹脂であるのが好ましい。エアバッグドア部２００がＴＰＯ樹脂で形成されることにより、温度変化に対する物性変化が少なく、温度が変化してもエアバッグドア部２００の作動性能を変えずに一定に維持することが可能である。

エアバッグドア部２００は、第１ヒンジ部１３０と段差部１２０間の区間にだけパッド展開部１００と一体に接合されて形成されるようにする。
第１ヒンジ部１３０は、第２ヒンジ部２１０より厚く形成されるようにする。
シュート部３００は、エアバッグドア部の端部から下側に延設され、その延設部の端部近くにエアバッグハウジング装着孔３１０が形成される。エアバッグハウジング装着孔３１０は、エアバッグハウジング１０外側に形成された係止部と結合し、これによりシュート部３００にエアバッグハウジング１０が保持される。

本発明の助手席エアバッグドアの作動状態を、図面を参照して詳しく説明する。
図１を参照すれば、車が走行している途中、前方で衝突したとき、車体に備えられた衝撃感知センサー（図示せず）がこれを感知してエアバッグ２を展開作動させる。

エアバッグ２は、別に備えられたインフレータ（図示せず）によって膨張し、エアバッグハウジング１０の前方に展開されながらエアバッグドア部２００とパッド展開部１００の下側に力を加え始める。

エアバッグドア部２００とパッド展開部１００の下側面にエアバッグ２の膨張力が加えられると、パッド展開部１００の切開溝１１０部分に破断が生じ、エアバッグドア部２００は変形してエアバッグドア部２００とパッド展開部１００全体が外側に回動作動する。

パッド展開部１００の第１ヒンジ部１３０とエアバッグドア部２００の第２ヒンジ部２１０は、それぞれヒンジの役割をし、パッド展開部１００とエアバッグドア部２００が車両の室内に向けて開くようになる。このとき、第１ヒンジ部１３０の厚さｔは、エアバッグドア部２００の第２ヒンジ部２１０の厚さｔ’より厚くすることにより、エアバッグ２が作動されたときパッド展開部１００とエアバッグドア部２００の内側両端部が破断なく円滑に開き、助手席にいる搭乗客にその破片をぶつけて傷害を与える事故が起きず、車両の衝突による衝撃とともに安全に搭乗客を保護するようになる。

上記のように構成される本発明の車両用助手席エアバッグドアの成型過程を，図面を参照して説明する。
図２を参照すると、図面に示されたようにパッド展開部１００とエアバッグドア部２００（図１参照）を成型するため、上、下部金型３、４が結合された状態で別に備えられた射出機（図示せず）を通じてパッド展開部１００の樹脂が注入されてパッド展開部１００の成型が行われる。このとき、パッド展開部１００の第１ヒンジ部１３０の領域には、第１、２スライド金型５ａ、５ｂが密着されているのでＰＰＦ樹脂の浸透が抑制できる。

図３を参照すれば、図２に示されたようにパッド展開部１００となる部分に樹脂が注入されて一定時間経過後に、第２スライド金型５ｂをエアバッグドア部２００が成型される距離だけ図の矢印方向に後退させる。この状態でエアバッグドア部２００とシュート部３００の樹脂を注入してエアバッグドア部２００とシュート部３００がそれぞれ成型される。

パッドドア部１００の樹脂とエアバッグドア部２００及びシュート部３００の樹脂とが時間差を置いて上、下部金型３、４上に注入されると、パッドドア部１００とエアバッグドア部２００との面接触された境界部分の接合ラインが外側から見えない程度に一体に接合して成型され、堅固な状態で接合される。また、第１、２スライド金型５ａ、５ｂの方向と金型引き抜き角が一致して成型が容易である。

図４を参照すれば、図３のようにエアバッグドア部２００及びシュート部３００の成型が完了した状態で、上、下部金型３、４をそれぞれ成型品から離し、第１、２スライド金型５ａ、５ｂを図の矢印方向に前進させると、シュート部３００の側面アンダーカット部位が滑らかに処理されて製品が取り出される。

本発明は、発明の要旨を脱することなく、当業者であれば誰でも多様な変更実施が可能であろう。

本発明による車両用助手席エアバッグドアを示した図である。 本発明による車両用助手席エアバッグドア構造の成型過程を示し、パッド展開部１００の樹脂注入を説明する図である。 本発明による車両用助手席エアバッグドア構造の成型過程を示し、エアバッグドア部２００とシュート部３００の樹脂注入を説明する図である。 本発明による車両用助手席エアバッグドア構造の成型過程を示し、金型を離脱させる工程を説明する図である。

符号の説明

２： エアバッグ
３： 上部金型
４： 下部金型
５ａ： 第１スライド金型
５ｂ： 第２スライド金型
１０： エアバッグハウジング
２０： クラッシュパッド
１００： パッド展開部
１１０： 切開溝
１２０： 段差部
１３０： 第１ヒンジ部
２００： エアバッグドア部
２１０： 第２ヒンジ部
３００： シュート部
３１０： エアバッグハウジング装着孔

Claims (5)

1. クラッシュパッドのエアバッグ展開領域上に位置するパッド展開部と、前記パッド展開部の下側面に位置するエアバッグドア部と、前記エアバッグドア部の端部から下側に延設され、エアバッグハウジングと連設されるシュート部とを含んで構成され、
   前記パッド展開部は、その中央下側面に位置する切開溝と、前記切開溝の両側にあって上側に凹む段差部と、前記段差部における前記切開溝から遠い端部に位置し、パッド展開部の上側に凹んで、エアバッグの作動時に前記パッド展開部が外側に回動することを可能にする第１ヒンジ部とが形成され、
   前記エアバッグドア部は、前記パッド展開部と一体に接合されて射出成型され、さらに前記第１ヒンジ部と一体に接合されて第２ヒンジ部が形成され、
   前記シュート部は、前記第２ヒンジ部と一体に形成されていることを特徴とする車両用助手席エアバッグドア。
2. 前記切開溝は、断面形状が「Ｖ」形状または「Ｈ」形状に形成されることを特徴とする請求項１に記載の車両用助手席エアバッグドア。
3. 前記エアバッグドア部は、前記段差部と前記第１ヒンジ部との間でだけ前記パッド展開部と一体に接合されて射出成型されることを特徴とする請求項１に記載の車両用助手席エアバッグドア。
4. 前記第１ヒンジ部は、前記第２ヒンジ部より厚く形成されることを特徴とする請求項１に記載の車両用助手席エアバッグドア。
5. 前記シュート部は、エアバッグハウジングの外側に形成された係止部と結合されるように装着孔が形成されることを特徴とする請求項１に記載の車両用助手席エアバッグドア。

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