JP6408826B2 - エアバッグを有する車両 - Google Patents
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Description
なお、図1(A)及び図1(B)は、図面左方がフロント側であり、図面右方がリヤ側である。また、図1(A)及び図1(B)に示す車両1は、進行方向に向かって左側に運転席及びステアリングホイールが設けられている。
更に、図2は、エアバッグが収容されるダッシュボードの一部を拡大した斜視図である。
また、図1(B)に示すように、車両1における助手席4には、乗員保護装置8が配設されている。なお、図1(A)及び図1(B)に示す乗員保護装置8は、第1エアバッグ9及び第2エアバッグ10が展開状態であり、展開前状態については、図3を参照しつつ後述する。
なお、ダッシュボード6は、乗員室の前方の内装を形成する部材の一つであり、本発明における内装部材の一例である、
第1エアバッグ9は、ダッシュボード6の裏側に配置され、正規の乗車姿勢の乗員M側に向かって正対するように、ダッシュボード6を開いて乗員室内に展開可能な袋体である。第2エアバッグ10は、第1エアバッグ9に設けられ、第1エアバッグ9から展開して突出可能な袋体である。収容部11は、ダッシュボード6の裏側に配置され、展開前の第1エアバッグ9及び第2エアバッグ10を収容する筐体である。インフレータ12は、適宜のガス噴射部材であり、第1エアバッグ9及び第2エアバッグ10の内部にガスを圧入することによって、第1エアバッグ9及び第2エアバッグ10を膨張させて展開することができる。
なお、第1エアバッグ9は本発明における第1エアバッグの一例であり、第2エアバッグ10は本発明における第2エアバッグの一例である。
本実施形態において、内装部材が開く形態としては、例えば第1エアバッグ及び第2エアバッグから受ける力によって破断して開く形態、及び、内装部材の配置箇所から押し退けられて開く形態等を挙げることができる。本実施形態においては、蓋部13の周囲が破断することによって蓋部13が開き、結果としてダッシュボード6の一部が開いたことになる。
図2に示す破線部分には蓋部13の裏面に破断し易いように溝部131が形成されている。乗員保護装置8の展開時に蓋部13が破線で示す溝部131に沿って破断することになる。
特に図1(A)に示すように、運転席3の前側から車両前後方向に対して斜め方向への衝突、つまり白抜き矢印で示す方向からの衝突が生じた場合、助手席4側の乗員Mは、ダッシュボード6の中央部及びセンターコンソール62に向かって倒れ込もうとする。この場合、第1エアバッグ9及び第2エアバッグ10を有する乗員保護装置8は、乗員Mが特に硬質部材が多く使用されるセンターコンソール62に直接当接することを防止可能である。
このように、従来用いられていたエアバッグの一部から特定の方向に突出する部位を有する乗員保護装置8は、フルラップ衝突及びオフセット衝突等だけでなく、斜めからの衝突にも乗員Mを保護することができる。
なお、スペーサ15は、本発明における充填部材の一例である。
仮に、本実施形態の展開前の第1エアバッグ9及び第2エアバッグ10の配置は維持しつつ、スペーサ15を設けないこととすると、乗員保護装置8の展開形態が従来のように安定しなくなる可能性がある。
従来のように第1エアバッグ9のみが設けられる場合は、第1エアバッグ9がその展開の際に蓋部13の裏面に当接することにより、蓋部13が開くために受ける力は、第1エアバッグ9のみに起因するので、基本的に蓋部13全体において均一である。
これに対して、第2エアバッグ10が追加で設けられる場合は、第2エアバッグ10が蓋部13の裏面に対して直接的に、又は第1エアバッグ9を介して間接的に当接することにより、蓋部13が開くために受ける力は、第2エアバッグ10が当接する部位が他の部位よりも大きくなる又は小さくなると考えられる。換言すると、蓋部13が開くために受ける力は、蓋部13の部位によってバラつきが生じ、不均一となる。
該展開軌道に関する不具合として、具体的には例えば蓋部13は従来通り破断して開くが、蓋部13において力が大きく作用していた部位が優先的に開くので、第1エアバッグ9及び第2エアバッグ10の部位毎に比較すると、乗員室内での展開完了までに従来では生じ得なかった時間差が生じる不具合が考えられる。
仮に、乗員保護装置8が図4(A)に示す展開軌道を描くと、乗員Mが前方に倒れ込むときには展開が完了していない可能性がある。更に、展開途中で乗員Mが前方に倒れ込んで第1エアバッグ9に当接したとすると、遅れて展開している第1エアバッグ9の右側部分によって、乗員Mが右側に流されつつ倒れ込むことも考えられる。これでは、本来意図していた正常な乗員Mの保護が実現することができない。
つまり、第1エアバッグ9及び第2エアバッグ10が完全に展開しないので、図1に白抜き矢印で示すような斜め前方からの衝突だけでなく、フルラップ衝突等の従来から想定されることの多い衝突形態に対しても、乗員Mの保護性能を十分に発揮することができない可能性がある。
なお、本実施形態において充填部材は、スペーサ15に代えて、例えば蓋部13と共に一体成形され、蓋部13の裏面から第1エアバッグ9及び第2エアバッグ10に向かって突出する凸部であっても良い。
結果として、均一に力が作用した蓋部13は、第1エアバッグ9及び第2エアバッグ10により、溝部131において一様に破断して、一挙に開くことになる。これにより、上述したように、開く力の不均一化によって生じ得る不具合は起こらない。
第1エアバッグ及び第2エアバッグが内装部材をそれぞれ開く時機を揃えるには、図3に示したスペーサ15等の本実施形態における充填部材が好適である。
これにより、蓋部13は部位によって偏り無く一様に破断する。よって、図3に示す実施形態においては、従来のように第1エアバッグ9のみを設けた場合と同様の蓋部13の破断形態を実現することができ、エアバッグの安定した展開が可能となる。
まず図3に示す実施形態においてスペーサ15を設けないこととした場合に、インフレータ12から第1エアバッグ9及び第2エアバッグ10に対してガスが圧入されると、先行当接部81は最も早い時機に蓋部13に当接する部位であり、後行当接部82は先行当接部81より遅れて蓋部13に当接する部位である。
第1エアバッグ9及び第2エアバッグ10が折り畳まれた状態にあるとき、図3に示す実施形態においては第2エアバッグ10が第1エアバッグ9よりも蓋部13に近接しているので、第2エアバッグ10における蓋部13の裏面に面している部位が先行当接部81となる。また、第1エアバッグ9における蓋部13の裏面に面している部位が後行当接部82となる。
本実施形態を既存のエアバッグに適用する場合、内装部材に向かって膨張する際の第1エアバッグと第2エアバッグとの速度差は、第1エアバッグ及び第2エアバッグの形状及び容量、折り畳んだ状態での第1エアバッグ及び第2エアバッグの配置等に応じて変化する。よって、各袋体の性状に鑑みて、凸部又はスペーサ等の充填部材の大きさ及び配置が決定されるのが良い。
実際には、例えば折り畳まれた状態で第2エアバッグと第1エアバッグとが略面一に配置され、内装部材との距離に差異が生じない場合、又は、第1エアバッグに第2エアバッグが包まれて配置され、第1エアバッグの方が内装部材に近接する場合等が考えられる。
これらの場合であっても、従来のように単に第1エアバッグのみを設けた場合と比べると、第2エアバッグを設けたことに起因して、膨張形態に変化が生じる。例えば、従来は第1エアバッグのみが膨張していたのに対して、第2エアバッグの膨張も同時に進むようになり、場合によっては第2エアバッグが先行して展開するようになるので、乗員保護装置8の展開方向及び展開姿勢等が第2エアバッグの展開方向等に偏ることが考えられる。
なお、第1エアバッグのみを設けた場合の膨張形態に比べて展開の偏りが特に大きく生じると考えられるのは、例えば折り畳まれた状態で第2エアバッグの少なくとも一部が第1エアバッグと蓋部との間に配置され、更に蓋部側から収容部内を見たときに第2エアバッグが第1エアバッグの一部に重複するように配置されている場合である。この場合は、スペーサ15等の充填部材を設けない場合は、第1エアバッグと第2エアバッグとがそれぞれ独立して展開しようとするので、蓋部に当接する時機に時間差が生じる可能性が大きい。
更に例えば、第2エアバッグが第1エアバッグにより包まれた状態で折り畳まれる場合も考えられる。この場合、各エアバッグの展開の際に、内装部材の裏面に対して第2エアバッグが直接当接することはない。よって、第2エアバッグの膨張分が付加されて大きく膨張する第1エアバッグの一部が先行当接部となり、第1エアバッグのみの膨張で内装部材に当接する部位が後行当接部となる。この場合であっても、上記スペーサ15等の充填部材を第1エアバッグの後行当接部に面して設ければ良い。
Claims (4)
- 乗員室の内装を形成する内装部材と、
内装部材に配置され、裏側からの圧力により周囲が破断又は押し退けられて開口するように形成された蓋部と、
蓋部の裏側に配置され、蓋部を開いて乗員室内に展開可能な第1エアバッグと、
第1エアバッグに設けられると共に第1エアバッグよりも蓋部の裏面に近接して配置され、第1エアバッグから展開して突出可能な第2エアバッグと、
第1エアバッグ及び第2エアバッグの展開の際に開かれる蓋部の裏側に設けられ、第1エアバッグ及び第2エアバッグから蓋部が受ける力を均一化するために、第1エアバッグのみが蓋部の裏面に到達する時間と第2エアバッグが蓋部の裏面に到達する時間のうち到達時間が長い部分のみに到達時間の差に応じた距離だけ蓋部の裏面側に張り出すように配置された充填部材と、を備える、
エアバッグを有する車両。 - 充填部材は、蓋部の裏面から第1エアバッグ及び第2エアバッグの少なくとも一方に向かって突出する凸部、又は蓋部の裏面に固定的に取付けられるスペーサである、
請求項1に記載のエアバッグを有する車両。 - 車両幅方向において、第2エアバッグは第1エアバッグの一部に設けられ、
充填部材は、蓋部が第1エアバッグ及び第2エアバッグから受ける力において車両幅方向に沿った力のバラつきを均一化するために、車両幅方向の到達時間の差に応じた距離だけ蓋部の裏面側に張り出すように配置される、
請求項1又は2に記載のエアバッグを有する車両。 - 展開前の第2エアバッグは、展開前の第1エアバッグよりも蓋部に到達する到達時間が短くなるように形成され、
充填部材は第1エアバッグに面して蓋部の裏面側に張り出すように配置される、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のエアバッグを有する車両。
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