JP2008062451A - 液体噴射ヘッドの製造方法及び液体噴射ヘッド並びに液体噴射装置 - Google Patents

液体噴射ヘッドの製造方法及び液体噴射ヘッド並びに液体噴射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】異物による目詰まりを防止でき、歩留まり及び信頼性を向上した液体噴射ヘッドの製造方法及び液体噴射ヘッド並びに液体噴射装置を提供。
【解決手段】振動板50の貫通部51側の端面をその断面が円形状となるように形成し、流路形成基板10の連通部13に対向する領域の一方面が、振動板の貫通部の深さ方向の間となるよう形成する工程と、振動板上に圧電素子300を形成する工程と、リード電極90を形成すると共に配線層190で貫通部を封止する工程と、リザーバ形成基板30を流路形成基板の一方面側に接合する工程と、流路形成基板に圧力発生室12及び連通部を形成すると共に貫通部の連通部側の一部を露出させる工程と、流路形成基板の内面及び露出された貫通部の内面に保護膜16を形成する工程と、配線層上の保護膜を除去する工程と、配線層を除去することによりリザーバ部31と連通部を連通させてリザーバ100を形成する工程を具備する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法及び液体噴射ヘッド並びに液体噴射装置に関し、特に液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドの製造方法及びインクジェット式記録ヘッド並びにインクジェット式記録装置に関する。
液体噴射ヘッドであるインクジェット式記録ヘッドとしては、例えば、ノズル開口に連通すると共に隔壁により区画された圧力発生室と、延設された隔壁により区画された圧力発生室に連通するインク供給路及びインク供給路に連通する連通路と、連通路に連通すると共に複数の圧力発生室に連通する連通部とが形成された流路形成基板と、この流路形成基板の一方面側に形成される圧電素子と、流路形成基板の圧電素子側の面に接合され連通部と共にリザーバの一部を構成するリザーバ部を有するリザーバ形成基板とを具備するものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、インクジェット式記録ヘッドの製造方法としては、流路形成基板の一方面にボロンドープ層(本発明の隔離層)を形成後、この流路形成基板の一方面側にリザーバ部を有するリザーバ形成基板を接合し、その後、流路形成基板を他方面側から異方性エッチングすることにより圧力発生室及び連通部を形成した後、ボロンドープ層を貫通してリザーバ部と連通部とを連通させてリザーバを形成するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。このような製造方法によりインクジェット式記録ヘッドを形成することにより、流路形成基板に圧力発生室及び連通部を形成する際に、隔離層によりエッチング液が連通部及びリザーバ部を介してリザーバ形成基板側に流れ出て、リザーバ形成基板がエッチングされるのを防止している。
さらに、流路形成基板の圧力発生室等の内面に酸化タンタルからなる耐液体性を有する保護膜を設けたインクジェット式記録ヘッドが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2004−186527号公報(第2〜4図、第6〜7頁) 特開2005−219243号公報(第3〜5図、第6〜8頁) 特開2004−262225号公報(第2図、第12〜13頁)
しかしながら、特許文献2のインクジェット式記録ヘッドの製造方法を用いて、特許文献3の保護膜を設ける際に、連通部とリザーバ部とを貫通した後に保護膜を形成する場合は、リザーバ形成基板の上面側にも保護膜が形成され、保護膜がリザーバ形成基板上に設けられた駆動回路の配線などを覆ってしまい、駆動回路と配線との接続不良が発生してしまうという問題や、保護膜を除去する工程が必要となり、製造コストが増大してしまうという問題がある。
このため、流路形成基板の連通部とリザーバ形成基板のリザーバ部とを隔離層によって隔離した状態で保護膜を形成すると、配線層を貫通させる前に配線層上の保護膜を剥離する必要がある。
しかしながら、隔離層上に形成された保護膜は、圧力発生室側から面方向に延設されて設けられることになるため、保護膜を連通部とリザーバ部とを連通する振動板の貫通部の境界で破断させるのが困難で、保護膜の一部が貫通部内に庇状に突出した残渣が発生したり、破断不良により保護膜にクラック等が発生してしまうという問題がある。
そして、このような保護膜の残渣は、剥がれ落ちやすく、剥がれ落ちた保護膜の残渣によってノズル開口の目詰まり等が発生してしまうため、歩留まり及び信頼性が低下してしまうという問題がある。
なお、このような問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドの製造方法だけでなく、勿論、インク以外の液体を吐出する他の液体噴射ヘッドの製造方法においても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、異物による目詰まり等の吐出不良を確実に防止することができ、歩留まり及び信頼性を向上した液体噴射ヘッドの製造方法及び液体噴射ヘッド並びに液体噴射装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と、複数の圧力発生室に連通して該圧力発生室の共通の液体室となるリザーバの一部を構成する連通部とが設けられる流路形成基板の一方面側に、前記連通部に相対向する領域に開口する貫通部を有する振動板を形成すると共に、該振動板の前記貫通部側の端面をその断面が円形状となるように形成し、且つ前記流路形成基板の前記連通部に相対向する領域の一方面が、前記振動板の前記貫通部の深さ方向の間となるように形成する工程と、前記振動板上に下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子を形成する工程と、前記流路形成基板の前記一方面側に前記貫通部を封止する隔離層を形成する工程と、前記連通部と連通して前記リザーバの一部を構成するリザーバ部が形成されたリザーバ形成基板を前記流路形成基板の前記一方面側に接合する工程と、前記流路形成基板を他方面側から前記振動板及び前記隔離層が露出するまでウェットエッチングすることにより前記圧力発生室及び前記連通部を形成すると共に、前記貫通部の前記連通部側の一部を露出させる工程と、前記流路形成基板の前記圧力発生室、前記連通部及び露出された前記貫通部の内面に耐液体性を有する材料からなる保護膜を形成する工程と、前記隔離層上の前記保護膜を剥離して除去する工程と、前記隔離層を除去することにより前記リザーバ部と前記連通部とを連通させて前記リザーバを形成する工程とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第1の態様では、リザーバ部と連通部とを連通させる際に、加工カス等の異物が発生することがないため、加工カス等の異物によるノズル詰まり等の吐出不良を防止することができる。特に、保護膜の貫通部の内面への付き回りを向上すると共に、保護膜に貫通部の内面と隔離層上との境界で屈曲させることができるため、隔離層上に平面状に設けられた保護膜のみを容易に除去することができる。そして、保護膜を除去した際に、庇状に突出した残渣が発生するのを防止することができ、液体流入時などに残渣が剥離して、剥離した残渣によるノズル開口の目詰まりが発生するのを防止することができる。
本発明の第2の態様は、前記隔離層を形成する工程では、前記流路形成基板の前記一方面側に前記圧電素子から引き出されるリード電極を形成すると共に、前記リード電極と同一の層からなるが当該リード電極とは不連続の配線層からなる当該隔離層を形成する工程とを具備することを特徴とする第1の態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第2の態様では、リード電極と配線層からなる隔離層とを同時に形成することができるため、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。
本発明の第3の態様は、前記保護膜を形成する工程では、当該保護膜を前記貫通部の内面と前記隔離層との境界で屈曲させて形成すると共に、前記保護膜を除去する工程では、前記保護膜の屈曲した境界で破断することを特徴とする第1又は2の態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第3の態様では、隔離層上に平面状に設けられた保護膜のみを容易に除去することができる。
本発明の第4の態様は、前記流路形成基板がシリコン単結晶基板からなると共に、前記振動板を形成する工程では、前記流路形成基板の前記貫通部が設けられる領域に窒化シリコン膜を形成し、前記流路形成基板を熱酸化することにより酸化シリコンからなる前記振動板を形成することを特徴とする第1〜3の何れかの態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第4の態様では、振動板の貫通部側の端面を断面が円形状となるように容易に且つ確実に形成することができる。
本発明の第5の態様は、前記保護膜の材料として、酸化物又は窒化物を用いたことを特徴とする第1〜4の何れかの態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第5の態様では、圧力発生室、連通部等の内面が、供給された液体によって浸食されるのを確実に防止することができる。
本発明の第6の態様は、前記保護膜の材料として、酸化タンタルを用いたことを特徴とする第5の態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第6の態様では、圧力発生室、連通部等の内面が、供給された液体によって浸食されるのを確実に防止することができる。
本発明の第7の態様は、前記保護膜を剥離する工程では、前記保護膜上に内部応力が圧縮応力である剥離層を形成した後、該剥離層を剥離することで当該剥離層と共に前記隔離層上の前記保護膜を剥離することを特徴とする第1〜6の何れかの態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第7の態様では、剥離層によって隔離層上の保護膜をさらに容易に且つ確実に除去することができる。
本発明の第8の態様は、前記剥離層の前記保護膜との密着力が、前記保護膜と前記隔離層との密着力より大きいことを特徴とする第7の態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第8の態様では、剥離層と保護膜とが良好に密着するため、隔離層上の保護膜を剥離層と共にさらに容易且つ確実に除去することができる。
本発明の第9の態様は、前記剥離層の材料として、チタンタングステンを用いたことを特徴とする第6〜8の何れかの態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第9の態様では、剥離層を所定の材料で形成することで、隔離層上の保護膜を剥離層と共にさらに容易且つ確実に除去することができる。
本発明の第10の態様は、前記保護膜を形成する工程の前に、前記連通部内に露出した前記隔離層の厚さ方向の一部を除去する工程をさらに有することを特徴とする第1〜9の何れかの態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第10の態様では、隔離層と保護膜との密着力が弱められるため、隔離層上の保護膜をさらに良好且つ確実に除去することができる。
本発明の第11の態様は、前記隔離層が、密着層と該密着層上に形成される金属層とからなり、前記保護膜を形成する工程の前に、前記隔離層の表面をライトエッチングして前記密着層を少なくとも除去することを特徴とする第10の態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第11の態様では、隔離層をライトエッチングすることにより、密着層と共に密着層が拡散した金属層の一部が除去されることで、隔離層と保護膜との密着力がより確実に弱められるため、隔離層上の保護膜をさらに良好且つ確実に除去することができる。
本発明の第12の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と、複数の圧力発生室の共通の液体室となる連通部とが設けられた流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に設けられた振動板と、該振動板上に設けられた下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子と、前記流路形成基板の前記圧電素子側に接合されて前記連通部と連通して共通の液体室の一部を構成するリザーバ部が設けられたリザーバ形成基板とを具備し、前記振動板には、前記連通部と前記リザーバ部とを連通する貫通部が設けられていると共に、当該振動板の前記貫通部側の端面の断面が円形状となっていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第12の態様では、保護膜の貫通部の内面への付き回りを向上することができ、保護膜が庇状に突出した残渣が発生するのを防止することができ、液体流入時などに残渣が剥離して、剥離した残渣によるノズル開口の目詰まりが発生するのを防止することができる。
本発明の第13の態様は、前記流路形成基板の前記圧力発生室及び前記連通部の内壁表面には、耐液体性を有する保護膜が設けられていると共に、該保護膜が、前記振動板の前記圧力発生室側の面から前記貫通部の内面の前記連通部側の一部まで連続して設けられていることを特徴とする第12の態様の液体噴射ヘッドにある。
かかる第13の態様では、流路形成基板と振動板との境界部分を保護膜で覆うことができ、この境界部分が液体により侵食されるのを確実に防止することができる。
本発明の第14の態様は、第12又は13の態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる第14の態様では、信頼性を向上した液体噴射装置を実現できる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図、そのA−A′断面図及び要部拡大断面図である。
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では結晶面方位が(110)面のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化によって二酸化シリコンからなる厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12がその幅方向(短手方向)に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向一端部側には、インク供給路14と連通路15とが隔壁11によって区画されている。また、連通路15の一端には、各圧力発生室12の共通のインク室(液体室)となるリザーバ100の一部を構成する連通部13が形成されている。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路が設けられている。
インク供給路14は、圧力発生室12の長手方向一端部側に連通し且つ圧力発生室12より小さい断面積を有する。例えば、本実施形態では、インク供給路14は、リザーバ100と各圧力発生室12との間の圧力発生室12側の流路を幅方向に絞ることで、圧力発生室12の幅より小さい幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、このように、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。さらに、各連通路15は、インク供給路14の圧力発生室12とは反対側に連通し、インク供給路14の幅方向(短手方向)より大きい断面積を有する。本実施形態では、連通路15を圧力発生室12と同じ断面積で形成した。
すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12と、圧力発生室12の短手方向の断面積より小さい断面積を有するインク供給路14と、このインク供給路14に連通すると共にインク供給路14の短手方向の断面積よりも大きい断面積を有する連通路15とが複数の隔壁11により区画されて設けられている。
ここで、流路形成基板10の圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15の内壁表面には、耐インク性を有する材料、例えば、五酸化タンタル(Ta)等の酸化タンタルからなる保護膜16が、約50nmの厚さで設けられている。なお、ここで言う耐インク性とは、アルカリ性のインクに対する耐エッチング性のことである。
なお、このような保護膜16の材料は、酸化タンタルに限定されず、使用するインクのpH値によっては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)等を用いてもよい。
また、本実施形態では、振動板である弾性膜50には、連通部13と、詳しくは後述するリザーバ形成基板30のリザーバ部31とを連通する貫通部51が設けられている。弾性膜50の貫通部51側の端面は、その断面が円形状に設けられており、貫通部51の連通部13側の内面には、保護膜16が設けられている。すなわち、保護膜16は、弾性膜50の圧力発生室12側の一方面から貫通部51の連通部13側の内面まで連続して設けられている。このように保護膜16は、弾性膜50の貫通部51の内面に設けられているが、弾性膜50の貫通部51側の端面はその断面が円形状に設けられているため、保護膜16の付き回りがよく、保護膜16の剥離が発生するのを防止することができる。また、保護膜16は、流路形成基板10と弾性膜50との境界を覆うように設けられているため、この境界部分にインクが接触して流路形成基板10がインクにより侵食されるのを確実に防止することができる。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス鋼等からなる。
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、二酸化シリコンからなり厚さが例えば、約1.0μmの弾性膜50が形成されている。また、この弾性膜50上には、厚さが約0.1〜0.5μmの下電極膜60と、圧電体膜の一例であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなり厚さが例えば、約1.1μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部320が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエータ装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50が振動板として作用するが、弾性膜50上にその他の膜、例えば、酸化ジルコニウム等からなる絶縁体膜を設け、この弾性膜50と絶縁体膜とを振動板としてもよい。
また、このような各圧電素子300の上電極膜80には、密着層91及び金属層92からなる配線層190で構成されるリード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。
また、詳しくは後述するが、連通部13の開口周縁部に対応する領域の振動板、すなわち、弾性膜50上にも、密着層91及び金属層92からなるがリード電極90とは不連続の配線層190が存在している。
さらに、流路形成基板10の圧電素子300側の面には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有するリザーバ形成基板30が接合されている。本実施形態では、流路形成基板10とリザーバ形成基板30とを接着剤35を用いて接合した。リザーバ形成基板30のリザーバ部31は、弾性膜50に設けられた貫通部51を介して連通部13と連通され、これらリザーバ部31及び連通部13によってリザーバ100が形成されている。
また、リザーバ形成基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子300は、この圧電素子保持部32内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。なお、圧電素子保持部32は、密封されていてもよいし密封されていなくてもよい。このようなリザーバ形成基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、リザーバ形成基板30上には、並設された圧電素子300を駆動するための駆動回路200が固定されている。この駆動回路200としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路200とリード電極90とは、ボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる接続配線210を介して電気的に接続されている。
さらに、リザーバ形成基板30のリザーバ部31に対応する領域上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路200からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、圧電素子300及び振動板をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインクが吐出する。
以下、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図3〜図7を参照して説明する。なお、図3〜図7は、インクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す圧力発生室の長手方向の断面図である。
まず、図3(a)に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ110の貫通部51が形成される領域に、例えば、窒化シリコン(Si)からなる窒化シリコン膜52を形成する。本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110の全面に亘って窒化シリコンを形成後、所定形状にパターニングすることで窒化シリコン膜52を形成したが、特にこれに限定されず、例えば、流路形成基板用ウェハ110の表面に所望の領域に開口するマスクを設け、このマスクの開口部により露出された領域のみを熱窒化するようにしてもよい。
次に、図3(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、流路形成基板用ウェハ110の表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン膜53を形成する。このとき、流路形成基板用ウェハ110の表面の一部は窒化シリコン膜52により覆われているため、弾性膜50は、窒化シリコン膜52以外の領域に形成される。その後、図3(c)に示すように、窒化シリコン膜52を除去することにより、貫通部51が形成された弾性膜50(二酸化シリコン膜53)を形成する。すなわち、本実施形態では、弾性膜50をLOCOS(Local Oxidation of Silicon)によって形成する。
このようにして形成された弾性膜50は、貫通部51側の端面の断面が円形状に形成され、且つ流路形成基板用ウェハ110の表面が弾性膜50の厚さ方向の間(貫通部51の深さ方向の間)となるように形成される。すなわち、貫通部51は、その内面が開口側の深さ方向の途中まで露出された状態で形成される。
なお、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110として、厚さが約625μmと比較的厚く剛性の高いシリコンウェハを用いている。
次いで、図4(a)に示すように、例えば、白金とイリジウムとを弾性膜50上に積層することにより下電極膜60を形成した後、この下電極膜60を所定形状にパターニングする。次に、図4(b)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば、イリジウムからなる上電極膜80とを流路形成基板用ウェハ110の全面に形成し、これら圧電体層70及び上電極膜80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。
なお、圧電素子300を構成する圧電体層70の材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料や、これにニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等が用いられる。その組成は、圧電素子300の特性、用途等を考慮して適宜選択すればよいが、例えば、PbTiO(PT)、PbZrO(PZ)、Pb(ZrTi1−x)O(PZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O−PbTiO(PMN−PT)、Pb(Zn1/3Nb2/3)O−PbTiO(PZN−PT)、Pb(Ni1/3Nb2/3)O−PbTiO(PNN−PT)、Pb(In1/2Nb1/2)O−PbTiO(PIN−PT)、Pb(Sc1/2Ta1/2)O−PbTiO(PST−PT)、Pb(Sc1/2Nb1/2)O−PbTiO(PSN−PT)、BiScO−PbTiO(BS−PT)、BiYbO−PbTiO(BY−PT)等が挙げられる。
また、圧電体層70の形成方法は、特に限定されないが、例えば、本実施形態では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成した。なお、圧電体層70の製造方法は、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal-Organic Decomposition)法やスパッタリング法等を用いてもよい。
次に、図4(c)に示すように、リード電極90を形成する。具体的には、まず流路形成基板用ウェハ110の全面に亘って密着層91を介して金属層92を形成し、密着層91と金属層92とからなる配線層190を形成する。そして、この配線層190上に、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を形成し、このマスクパターンを介して金属層92及び密着層91を圧電素子300毎にパターニングすることによりリード電極90を形成する。またこのとき、貫通部51に対向する領域に、リード電極90とは不連続の配線層190を残し、この配線層190によって貫通部51が封止されるようにする。すなわち、本実施形態では、リザーバ部31と連通部13とを隔離する隔離層として、リード電極90と同一層からなるが、リード電極90とは不連続の独立した配線層190を形成する。これにより、リード電極90と同時に隔離層である配線層190を形成することができ、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。なお、隔離層は、特にこれに限定されず、例えば、リード電極90を形成した後、金属材料、樹脂材料等の隔離層を別途形成するようにしてもよい。
このように隔離層である配線層190を形成すると、配線層190は、弾性膜50の一方面側と、貫通部51の露出された内面と、貫通部51内の流路形成基板用ウェハ110の一方面とに連続して設けられる。すなわち、配線層190は、貫通部51の深さ方向の途中までしか設けられておらず、詳しくは後述するが、流路形成基板用ウェハ110に連通部13を形成した際に、貫通部51の連通部13側の一部は露出される。
ここで、金属層92の主材料としては、比較的導電性の高い材料であれば特に限定されず、例えば、金(Au)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)が挙げられ、本実施形態では金(Au)を用いている。また、密着層91の材料としては、金属層92の密着性を確保できる材料であればよく、具体的には、チタン(Ti)、チタンタングステン化合物(TiW)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)又はニッケルクロム化合物(NiCr)等が挙げられ、本実施形態ではチタンタングステン化合物(TiW)を用いている。
次に、図5(a)に示すように、リザーバ形成基板用ウェハ130を、流路形成基板用ウェハ110上に接着剤35によって接着する。ここで、このリザーバ形成基板用ウェハ130には、リザーバ部31、圧電素子保持部32等が予め形成されている。なお、リザーバ形成基板用ウェハ130は、例えば、400μm程度の厚さを有するシリコンウェハであり、リザーバ形成基板用ウェハ130を接合することで流路形成基板用ウェハ110の剛性は著しく向上することになる。
次いで、図5(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110をある程度の厚さとなるまで研磨した後、さらにフッ硝酸によってウェットエッチングすることにより流路形成基板用ウェハ110を所定の厚みにする。例えば、本実施形態では、研磨及びウェットエッチングによって、流路形成基板用ウェハ110を、約70μmの厚さとなるように加工した。次いで、図5(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110上に、例えば、窒化シリコン(Si)からなるマスク膜54を新たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、図6(a)に示すように、このマスク膜54を介して流路形成基板用ウェハ110を異方性エッチング(ウェットエッチング)して、流路形成基板用ウェハ110に液体流路、本実施形態では、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15等を形成する。具体的には、流路形成基板用ウェハ110を、例えば、水酸化カリウム(KOH)水溶液等のエッチング液によって弾性膜50及び密着層91(金属層92)が露出するまでエッチングすることより、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15を同時に形成する。
また、このように圧力発生室12等の液体流路を形成する際、貫通部51は、密着層91及び金属層92からなる配線層190によって封止されているため、貫通部51を介してリザーバ形成基板用ウェハ130側にエッチング液が流れ込むことがない。これにより、リザーバ形成基板用ウェハ130の表面に設けられている接続配線(図示なし)にエッチング液が付着することがなく、断線等の不良の発生を防止することができる。また、リザーバ部31内にエッチング液が浸入してリザーバ形成基板用ウェハ130がエッチングされる虞もない。
なお、このような圧力発生室12等を形成する際、リザーバ形成基板用ウェハ130の流路形成基板用ウェハ110側とは反対側の表面を、耐アルカリ性を有する材料、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPTA(ポリパラフェニレンテレフタルア
ミド)等からなる封止フィルムでさらに封止するようにしてもよい。これにより、リザーバ形成基板用ウェハ130の表面に設けられた配線の断線等の不良をより確実に防止することができる。
このように流路形成基板用ウェハ110に圧力発生室12等を形成すると、上述のように、貫通部51を封止する配線層190は、貫通部51の深さ方向の途中までしか設けられていないため、流路形成基板用ウェハ110の弾性膜50側には、貫通部51の連通部13側の一部が露出される。なお、貫通部51の露出された内面は、その断面が円形状に設けられている。
次に、図6(b)に示すように、貫通部51内の配線層190の一部を連通部13側からウェットエッチング(ライトエッチング)することにより除去する。すなわち、連通部13側に露出されている密着層91と、この密着層91が拡散している金属層92の一部の領域とをエッチングにより除去する。詳しくは後述するが、これにより、後の工程で配線層190上に形成される保護膜16と配線層190との密着力が弱められ、配線層190上の保護膜16が剥離し易くなる。
次に、流路形成基板用ウェハ110表面のマスク膜54を除去し、図6(c)に示すように、例えば、酸化物又は窒化物等の耐液体性(耐インク性)を有する材料、本実施形態では、五酸化タンタルからなる保護膜16を、CVD法等によって形成する。
このとき、連通部13の弾性膜50側には、貫通部51の深さ方向の一部が露出されているため、保護膜16は、弾性膜50の圧力発生室12側の一方面から、露出された貫通部51の内面及び配線層190上まで連続して設けられる。これにより、保護膜16は、弾性膜50の圧力発生室12側の一方面と貫通部51の内面との境界で屈曲し、且つ貫通部51の内面と配線層190との境界で屈曲して設けられる。
また、貫通部51の露出された内面は、その断面が円形状に設けられているため、保護膜16の付き回りが向上される。
このように保護膜16を形成した際に、貫通部51は配線層190によって封止されているため、貫通部51を介してリザーバ形成基板用ウェハ130の外面等に保護膜16が形成されることがない。したがって、接続配線等が形成されたリザーバ形成基板用ウェハ130の表面に保護膜16が形成されることなく、駆動回路200などの接続不良等の発生を防止することができると共に、余分な保護膜16を除去する工程が不要となって製造工程を簡略化して製造コストを低減することができる。
次に、図7に示すように、保護膜16上に高応力材料からなる剥離層17を、例えば、CVD法によって形成する。この剥離層17は、その内部応力が圧縮応力であることが好ましく、特に、80MPa以上の圧縮応力であることが望ましい。また、剥離層17は、保護膜16との密着力が保護膜16と配線層190との密着力よりも大きな材料を用いるのが好ましい。本実施形態では、剥離層17の材料としてチタンタングステン化合物(TiW)を用いている。
このように高応力材料からなると共に保護膜16との密着力が高い剥離層17を保護膜16上に形成すると、剥離層17の応力によって配線層190上に形成された保護膜16が剥がれ始める。そして、図8(a)に示すように、この剥離層17をウェットエッチングにより除去することで、配線層190上の保護膜16を剥離層17と共に完全に除去する。
このとき、保護膜16は、貫通部51の断面が円形状に設けられた内面への付き回りがよく、保護膜16は貫通部51の内面と配線層190上の平面状に設けられた領域との境界で屈曲されて設けられているため、保護膜16はこの屈曲された領域で破断されて、配線層190上の保護膜16のみを確実に除去することができる。
すなわち、保護膜16が平面状に設けられて屈曲されていない領域を破断しようとすると、保護膜16にクラックが発生したり、庇状に突出した残渣が発生してしまう。そして、このように保護膜16の庇状に突出した残渣は、特にインク流入時などに剥がれ易く、剥がれた残渣によってノズル開口21の目詰まり等が発生してしまう。しかしながら、本発明のように、保護膜16を屈曲された領域で破断することにより、庇状に突出した残渣やクラック等が発生するのを防止して、ノズル開口21の目詰まり等を防止することができ、歩留まりを向上すると共に信頼性を向上することができる。
なお、本実施形態では、前述した工程で貫通部51に設けられた配線層190の連通部13側の一部、すなわち、密着層91及び密着層91が拡散した金属層92が除去されているため、配線層190と保護膜16との密着力が弱く、保護膜16を配線層190からさらに容易に剥離することができる。
なお、このように配線層190上の保護膜16を除去した後は、図8(b)に示すように、配線層190を連通部13側からウェットエッチングすることによって除去して貫通部51を開口させる。このとき配線層190上には保護膜16が形成されていないため、保護膜16が配線層190のウェットエッチングを邪魔することはない。
したがって、配線層190を容易且つ確実にウェットエッチングにより除去して貫通部51を開口させることができる。すなわち、このような本発明の製造方法によれば、従来の機械的な加工とは異なり加工カス等の異物が発生することはない。したがって、圧力発生室12、連通部13等のインク流路内に加工カスが残留し、残留した加工カスによってノズル詰まり等の吐出不良が発生するのを確実に防止することができる。また、保護膜16が配線層190側に庇状に突出して残渣するのを防止することができるため、配線層190のエッチングを良好に行って、確実に配線層190を除去することができる。
その後は、流路形成基板用ウェハ110及びリザーバ形成基板用ウェハ130の不要部分、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ110のリザーバ形成基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、リザーバ形成基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、これら流路形成基板用ウェハ110等を、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって上述した構造のインクジェット式記録ヘッドが製造される。
以上説明したように、本実施形態の製造方法によれば、弾性膜50の貫通部51側の端面をその断面が円形状に形成することで、保護膜16の貫通部51内面への付き回りを向上すると共に、保護膜16に屈曲された領域を形成することで、貫通部51を封止する配線層190上の不要な保護膜16を除去する際に、保護膜16を屈曲された領域で破断することができ、保護膜16のクラックや残渣を防止することができる。したがって、インク流入時などに残渣が剥離されて、ノズル開口21の目詰まり等の吐出不良が発生するのを確実に防止することができ、歩留まりを向上することができると共に信頼性を向上することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態1を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、流路形成基板10の一方面側に弾性膜50と下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80からなる圧電素子300を形成し、弾性膜50が振動板として機能するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、弾性膜50上に酸化ジルコニウム(ZrO)等からなり厚さが例えば、約0.4μmの絶縁体膜を形成し、弾性膜50と絶縁体膜とが振動板として機能するようにしてもよい。このような絶縁体膜には、貫通部51と連通する厚さ方向に貫通する連通孔が設けられていればよく、絶縁体膜の連通孔の端面形状は特に限定されない。
また、例えば、上述した実施形態1では、密着層91及び金属層92で構成される配線層190を例示したが、配線層190の構成はこれに限定されず、例えば、配線層を金属層のみで構成させるようにしてもよい。また、上述した実施形態では、貫通部51内に形成した配線層190上の保護膜16を高応力材料の剥離層17によって除去するようにしたが、配線層190上の保護膜16の除去方法は、特に限定されるものではない。何れの除去方法によっても、保護膜16の貫通部51の内面への付き回りを向上することができると共に保護膜16を屈曲して設けることができるため、保護膜16を屈曲された領域で破断してクラック及び残渣を防止することができる。
さらに、上述した実施形態1のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図9は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図9に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
また、上述した実施形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す拡大断面図である。 一実施形態に係るインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 16 保護膜、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 リザーバ形成基板、 31 リザーバ部、 32 圧電素子保持部、 35 接着剤、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 51 貫通部、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 90 リード電極、 91 密着層、 92 金属層、 100 リザーバ、 110 流路形成基板用ウェハ、 130 リザーバ形成基板用ウェハ、 190 配線層、 200 駆動回路、 210 駆動配線、 300 圧電素子

Claims (14)

  1. 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と、複数の圧力発生室に連通して該圧力発生室の共通の液体室となるリザーバの一部を構成する連通部とが設けられる流路形成基板の一方面側に、前記連通部に相対向する領域に開口する貫通部を有する振動板を形成すると共に、該振動板の前記貫通部側の端面をその断面が円形状となるように形成し、且つ前記流路形成基板の前記連通部に相対向する領域の一方面が、前記振動板の前記貫通部の深さ方向の間となるように形成する工程と、
    前記振動板上に下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子を形成する工程と、
    前記流路形成基板の前記一方面側に前記貫通部を封止する隔離層を形成する工程と、
    前記連通部と連通して前記リザーバの一部を構成するリザーバ部が形成されたリザーバ形成基板を前記流路形成基板の前記一方面側に接合する工程と、
    前記流路形成基板を他方面側から前記振動板及び前記隔離層が露出するまでウェットエッチングすることにより前記圧力発生室及び前記連通部を形成すると共に、前記貫通部の前記連通部側の一部を露出させる工程と、
    前記流路形成基板の前記圧力発生室、前記連通部及び露出された前記貫通部の内面に耐液体性を有する材料からなる保護膜を形成する工程と、
    前記隔離層上の前記保護膜を剥離して除去する工程と、
    前記隔離層を除去することにより前記リザーバ部と前記連通部とを連通させて前記リザーバを形成する工程とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  2. 前記隔離層を形成する工程では、前記流路形成基板の前記一方面側に前記圧電素子から引き出されるリード電極を形成すると共に、前記リード電極と同一の層からなるが当該リード電極とは不連続の配線層からなる当該隔離層を形成する工程とを具備することを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  3. 前記保護膜を形成する工程では、当該保護膜を前記貫通部の内面と前記隔離層との境界で屈曲させて形成すると共に、前記保護膜を除去する工程では、前記保護膜の屈曲した境界で破断することを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  4. 前記流路形成基板がシリコン単結晶基板からなると共に、前記振動板を形成する工程では、前記流路形成基板の前記貫通部が設けられる領域に窒化シリコン膜を形成し、前記流路形成基板を熱酸化することにより酸化シリコンからなる前記振動板を形成することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  5. 前記保護膜の材料として、酸化物又は窒化物を用いたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  6. 前記保護膜の材料として、酸化タンタルを用いたことを特徴とする請求項5記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  7. 前記保護膜を剥離する工程では、前記保護膜上に内部応力が圧縮応力である剥離層を形成した後、該剥離層を剥離することで当該剥離層と共に前記隔離層上の前記保護膜を剥離することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  8. 前記剥離層の前記保護膜との密着力が、前記保護膜と前記隔離層との密着力より大きいことを特徴とする請求項7記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  9. 前記剥離層の材料として、チタンタングステンを用いたことを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  10. 前記保護膜を形成する工程の前に、前記連通部内に露出した前記隔離層の厚さ方向の一部を除去する工程をさらに有することを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  11. 前記隔離層が、密着層と該密着層上に形成される金属層とからなり、前記保護膜を形成する工程の前に、前記隔離層の表面をライトエッチングして前記密着層を少なくとも除去することを特徴とする請求項10記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  12. 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と、複数の圧力発生室の共通の液体室となる連通部とが設けられた流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に設けられた振動板と、該振動板上に設けられた下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子と、前記流路形成基板の前記圧電素子側に接合されて前記連通部と連通して共通の液体室の一部を構成するリザーバ部が設けられたリザーバ形成基板とを具備し、
    前記振動板には、前記連通部と前記リザーバ部とを連通する貫通部が設けられていると共に、当該振動板の前記貫通部側の端面の断面が円形状となっていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  13. 前記流路形成基板の前記圧力発生室及び前記連通部の内壁表面には、耐液体性を有する保護膜が設けられていると共に、該保護膜が、前記振動板の前記圧力発生室側の面から前記貫通部の内面の前記連通部側の一部まで連続して設けられていることを特徴とする請求項12記載の液体噴射ヘッド。
  14. 請求項12又は13記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
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