JP4821982B2 - 液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法に関し、特に、液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドの製造方法に関する。
液体噴射ヘッドであるインクジェット式記録ヘッドとしては、例えば、ノズル開口に連通すると共に隔壁により区画された圧力発生室と、延設された隔壁により区画された圧力発生室に連通するインク供給路及びインク供給路に連通する連通路と、連通路に連通すると共に複数の圧力発生室に連通する連通部とが形成された流路形成基板と、この流路形成基板の一方面側に形成される圧電素子と、流路形成基板の圧電素子側の面に接合され連通部と共にリザーバの一部を構成するリザーバ部を有するリザーバ形成基板とを具備するものがある(例えば、特許文献1参照)。
さらに、インクジェット式記録ヘッドの製造方法としては、流路形成基板の一方面にボロンドープ層(本発明の配線層)を形成後、この流路形成基板の一方面側にリザーバ部を有するリザーバ形成基板を接合し、その後、流路形成基板を他方面側から異方性エッチングにより圧力発生室及び連通部を形成した後、ボロンドープ層を貫通してリザーバ部と連通部とを連通させてリザーバを形成している(例えば、特許文献3参照)。このような製造方法によりインクジェット式記録ヘッドを形成することにより、流路形成基板に圧力発生室及び連通部を形成する際に、隔離層によりエッチング液が連通部及びリザーバ部を介してリザーバ形成基板側に流れ出てリザーバ形成基板がエッチングされるのを防止している。
また、流路形成基板の圧力発生室等の内面に酸化タンタルからなる耐液体性を有する保護膜を設けたインクジェット式記録ヘッドがある(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2のインクジェット式記録ヘッドの製造方法を用いて、特許文献3の保護膜を設ける場合、流路形成基板の連通部とリザーバ形成基板のリザーバ部とを貫通した後に保護膜を形成する場合は、リザーバ形成基板の上面側にも保護膜が形成され、保護膜がリザーバ形成基板上に設けられた駆動回路の配線などを覆ってしまい、駆動回路と配線との接続不良が発生してしまうという問題や、保護膜を除去する工程が必要となり、製造コストが増大してしまうという問題がある。
このため、流路形成基板の連通部とリザーバ形成基板のリザーバ部とを配線層が隔離した状態で保護膜を形成すると、配線層を貫通させる前に連通部とリザーバ部とを隔離する配線層上の保護膜を剥離する必要がある。このとき、圧力発生室を画成する隔壁の端部とリザーバ部の端部との間の距離が離れていると、振動板が変形し、配線層上の保護膜を剥離することができず、リザーバ部と連通部との間に保護膜が庇状に突出した残渣が発生するという問題がある。そして、このような保護膜の残渣は、剥がれ落ちやすく、剥がれ落ちた保護膜の残渣によってノズル詰まり等が発生してしまう虞がある。
なお、このような問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドの製造方法だけでなく、勿論、インク以外の液体を吐出する他の液体噴射ヘッドの製造方法においても同様に存在する。
特開2005−186527号公報(第2〜4図、第6〜7頁) 特開2005−219243号公報(第3〜5図、第6〜8頁) 特開2004−262225号公報(第2図、第12〜13頁)
本発明はこのような事情に鑑み、異物によるノズル詰まり等の吐出不良を確実に防止することができる液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通すると共に複数の隔壁で区画された圧力発生室を有する液体流路と、該液体流路に連通して前記圧力発生室の共通の液体室となるリザーバの一部を構成する連通部とが形成される流路形成基板の一方面側に振動板を介して下電極、圧電体層及び上電極を有する圧電素子を形成すると共に前記連通部となる領域の前記振動板を除去して貫通部を形成する工程と、前記圧電素子から引き出されるリード電極を形成すると共に前記リード電極と同一の層からなるが当該リード電極とは不連続の配線層で前記貫通部を封止する工程と、前記連通部と連通してリザーバの一部を構成するリザーバ部が形成されたリザーバ形成基板を前記流路形成基板の前記一方面側に接合する工程と、前記流路形成基板を他方面側から前記振動板及び前記配線層が露出するまでウェットエッチングして複数の隔壁により区画された前記液体流路と、前記連通部とを前記隔壁の前記リザーバ部側の端部であって当該隔壁が前記振動板と接している面の端部と前記リザーバ部との間の距離が5〜200μmとなるように形成する工程と、前記流路形成基板に形成された前記液体流路及び前記連通部の内面に耐液体性を有する材料からなる保護膜を形成すると共に該保護膜上に当該保護膜とはエッチングの選択性を有する材料からなる剥離層を形成する工程と、前記剥離層をウェットエッチングによって除去すると同時に前記配線層上の前記保護膜を選択的に除去する工程と、前記連通部側からウェットエッチングすることにより前記配線層を除去して前記リザーバ部と前記連通部とを連通させて前記リザーバを形成する工程とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第1の態様では、隔壁のリザーバ部側の端部であって当該隔壁が振動板と接している面の端部とリザーバ部との間の距離を200μm以下とすることで、隔壁によって振動板を拘束して変形量を減少させ、保護膜を除去する際に保護膜の残渣が発生するのを防止することができる。また、隔壁のリザーバ部側の端部であって当該隔壁が振動板と接している面の端部とリザーバ部との間の距離を5μm以上とすることで、流路形成基板とリザーバ形成基板とを接合した際の位置決めの誤差により、隔壁がリザーバ部側に突出するのを防止して、保護膜を除去した際に保護膜の残渣が発生するのを防止することができる。さらに、液体流路と連通部(リザーバ)との間の空間、具体的には、流路形成基板のみで構成され圧力発生室の幅方向に広がる空間を隔壁によって区画して小さくでき、且つ液体流路のリザーバ側の開口をリザーバ形成基板のリザーバ部に近づけることができるため、液体流路からの液体の流出を拡散して、隣り合う液体流路から流出する液体同士の干渉を低減でき、クロストークの発生を防止することができる。
本発明の第2の態様は、前記液体流路を形成する工程では、前記圧力発生室と、当該圧力発生室に連通して前記圧力発生室の幅方向の断面積より小さい断面積を有する液体供給路と、この液体供給路に連通すると共に前記液体供給路の幅方向の断面積より大きい断面積を有する連通路とからなる前記液体流路を複数の前記隔壁で区画して設けることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第2の態様では、圧力発生室、液体供給路及び連通部の寸法を変更することなく、隔壁のリザーバ部側の端部とリザーバ部との間の距離を所望の距離にすることができ、液体吐出特性が悪化するのを防止できる。
本発明の第3の態様は、前記保護膜の材料として、酸化物又は窒化物を用いたことを特徴とする第1又は2の態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第3の態様では、流路形成基板の液体による侵食を確実に防止することができると共に、所望の厚さで高精度に保護膜を形成することができる。
本発明の第4の態様は、前記保護膜の材料として、酸化タンタルを用いたことを特徴とする第3の態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第4の態様では、流路形成基板の液体による侵食を確実に防止することができると共に、所望の厚さで高精度に保護膜を形成することができる。
本発明の第5の態様は、前記剥離層の前記保護膜との密着力が、前記保護膜と前記配線層との密着力より大きいことを特徴とする第1〜4の何れかの態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第5の態様では、剥離層と保護膜とが良好に密着するため、配線層上の保護膜を剥離層と共にさらに容易且つ確実に除去することができる。
本発明の第6の態様は、前記剥離層の内部応力が圧縮応力であることを特徴とする第1〜5の何れかの態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第6の態様では、剥離層の内部応力によって配線層上の保護膜が実質的に剥離されるため、剥離層を除去する際に保護層をより確実に選択的に除去することができる。
本発明の第7の態様は、前記剥離層の材料として、チタンタングステンを用いたことを特徴とする第1〜6の何れかの態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第7の態様では、所定応力の剥離層を用いることで配線層上の保護膜がより確実に剥離される。
本発明の第8の態様は、前記保護膜を形成する工程の前に、前記連通部内に露出した前記配線層の厚さ方向の一部を除去する工程をさらに有することを特徴とする第1〜7の何れかの態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第8の態様では、配線層と保護膜との密着力が弱められるため、配線層上の保護膜をさらに良好且つ確実に除去することができる。
本発明の第9の態様は、前記配線層が、密着層と該密着層上に形成される金属層とからなり、前記保護膜を形成する工程の前に、前記配線層の表面をライトエッチングして前記密着層を少なくとも除去することを特徴とする第8の態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第9の態様では、配線層をライトエッチングすることにより密着層と共に密着層が拡散した金属層の一部が除去されることで、配線層と保護膜との密着力がより確実に弱められ、配線層上の保護膜をさらに良好且つ確実に除去することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る製造方法によって製造されるインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及び断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化によって二酸化シリコンからなる厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向一端部側には、圧力発生室12と共に液体流路を構成するインク供給路14と連通路15とが隔壁11によって区画されている。また、連通路15の一端には、各圧力発生室12の共通のインク室(液体室)となるリザーバ100の一部を構成する連通部13が形成されている。
インク供給路14は、圧力発生室12の長手方向一端部側に連通し且つ圧力発生室12より小さい断面積を有する。例えば、本実施形態では、インク供給路14は、リザーバ100と各圧力発生室12との間の圧力発生室12側の流路を幅方向に絞ることで、圧力発生室12の幅より小さい幅で形成されている。なお、このように、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。さらに、各連通路15は、圧力発生室12の幅方向両側の隔壁11を連通部13側に延設してインク供給路14と連通部13との間の空間を区画することで形成されている。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12の幅方向の断面積より小さい断面積を有するインク供給路14と、このインク供給路14に連通すると共にインク供給路14の幅方向の断面積よりも小さい断面積を有する連通路15とからなる液体流路が複数の隔壁11により区画されて設けられている。なお、流路形成基板10の液体流路については、詳しくは後述する。
ここで、流路形成基板10の圧力発生室12、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路と、連通部13との内壁表面には、耐インク性を有する材料、例えば、五酸化タンタル(Ta)等の酸化タンタルからなる保護膜16が、約50nmの厚さで設けられている。なお、ここで言う耐インク性とは、アルカリ性のインクに対する耐エッチング性のことである。また、本実施形態では、流路形成基板10の圧力発生室12等が開口する側の表面、すなわち、ノズルプレート20が接合される接合面にも保護膜16が設けられている。勿論、このような領域には、インクが実質的に接触しないため、保護膜16は設けられていなくてもよい。
なお、このような保護膜16の材料は、酸化タンタルに限定されず、使用するインクのpH値によっては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)等を用いてもよい。
流路形成基板10の保護膜16が形成された面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス鋼等からなる。
一方、このような流路形成基板10のノズルプレート20とは反対側の面には、上述したように、厚さが例えば約1.0μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、厚さが例えば、約0.4μmの絶縁体膜51が形成されている。さらに、この絶縁体膜51上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1.0μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本実施形態では、下電極膜60を圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。
また、このような各圧電素子300の上電極膜80には、密着層91及び金属層92からなる配線層190で構成されるリード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。また、詳しくは後述するが、連通部13の開口周縁部に対応する領域の振動板、すなわち、弾性膜50及び絶縁体膜51上にも、密着層91及び金属層92からなるがリード電極90とは不連続の配線層190が存在している。
さらに、流路形成基板10の圧電素子300側の面には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有するリザーバ形成基板30が接合されている。本実施形態では、このリザーバ形成基板30と流路形成基板10とは接着剤35によって接合されている。リザーバ形成基板30のリザーバ部31は、弾性膜50及び絶縁体膜51に設けられた貫通部52を介して連通部13と連通され、これらリザーバ部31及び連通部13によってリザーバ100が形成されている。
ここで、連通部13が設けられた流路形成基板10には、連通部13に連通する圧力発生室12、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路が隔壁11により区画されて形成されている。すなわち、圧力発生室12、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路は、各圧力発生室12毎に独立して設けられ、各圧力発生室12とリザーバ100との間の個別の流路を構成している。
詳しくは、流路形成基板10の圧力発生室12、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路を画成する隔壁11は、流路形成基板10のリザーバ形成基板30との接合部分のリザーバ部31側の端部近傍まで延設されて設けられている。このように連通路15を設けることにより、インク吐出の際、隣接するインク供給路14からリザーバ100側へ流出するインク同士が干渉することがなく、クロストークの発生を防止できる。したがって、隣接するノズル開口21からインク滴を吐出させるか否かに関係なく、安定したインク吐出特性を得ることができる。また、クロストークを発生させることなくインク供給路14を短くすることができ、メニスカスの減衰特性を実質的に高めてヘッドの高速駆動を実現することも可能となる。
また、液体流路を画成する隔壁11のリザーバ部31側の端部であって当該隔壁11が振動板を構成する弾性膜50と接している面側の端部は、流路形成基板10とリザーバ形成基板30とが接合される接合部分に対向する領域内、すなわち、連通部13とリザーバ部31とを連通する貫通部52よりも内側に配置されている。これは、例えば、隔壁11のリザーバ部31側の弾性膜50と接している面側の端部がリザーバ100側に突出すると、後述する製造工程において、連通部13とリザーバ部31とを隔離する配線層上の保護膜16を剥離した際に、保護膜16が連通部13とリザーバ部31との間に庇状に残留した残渣が発生してしまうからである。すなわち、隔壁11の弾性膜50と接している面側の端部が、リザーバ部31側に突出して設けられた場合、隔壁11が連通部13とリザーバ部31とを隔離する配線層を拘束するため、配線層上の保護膜16を剥離する際に、配線層の変形を阻害して、配線層上の保護膜16を完全に剥離することができなくなるからである。
また、詳しくは後述する製造工程で、流路形成基板10とリザーバ形成基板30とを位置決めして接合する際に、流路形成基板10とリザーバ形成基板30との位置決めでは、約±3μmの誤差が生じるため、流路形成基板10の隔壁11のリザーバ部31側の弾性膜50と接している面側の端部と、リザーバ部31との間の距離Sをゼロにすると、隔壁11がリザーバ部31側に突出してしまう虞がある。このため、流路形成基板10の隔壁11のリザーバ部31側の弾性膜50と接している面側の端部と、リザーバ部31(貫通部52)との間の距離Sは、5μm以上とするのが好ましい。
さらに、液体流路を画成する隔壁11のリザーバ部31側の端部と、リザーバ部31との間の距離Sは200μm以下で形成されている。これは、例えば、隔壁11のリザーバ部31側の弾性膜50と接している面側の端部とリザーバ部31との間の距離Sを離し過ぎると、詳しくは後述する製造工程で、連通部13とリザーバ部31とを隔離する配線層上の保護膜16を剥離する際に、隔壁11による配線層の拘束が減少するため、配線層の変形量が増大し、配線層上の保護膜16を完全に剥離することができなくなるからである。
すなわち、液体流路を画成する隔壁11のリザーバ部31側の弾性膜50と接している面側の端部と、リザーバ部31との間の距離Sを5μm〜200μmとすることで、製造工程時に保護膜16の残渣の発生を減少させることができる。そして、このような保護膜16の残渣が剥がれ落ちて、剥がれ落ちた保護膜16の残渣によるノズル開口21の目詰まり等の吐出不良を防止することができる。
また、液体流路を画成する隔壁11のリザーバ部31側の弾性膜50と接している面側の端部と、リザーバ部31との間の距離を5μm〜200μmとすることで、インク供給路14と連通部13(リザーバ100)との間の空間、具体的には、流路形成基板10のみで構成され圧力発生室12の幅方向に広がる空間を隔壁11によって区画して小さくでき、且つ隔壁11のリザーバ100側の開口、すなわち、連通路15のリザーバ100側の開口をリザーバ形成基板30のリザーバ部31に近づけることができるため、連通路15からのインクの流出を拡散して、隣り合う連通路15から流出するインク同士の干渉を低減でき、クロストークの発生を防止できる。
また、リザーバ形成基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子300は、この圧電素子保持部32内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。なお、圧電素子保持部32は、密封されていてもよいし密封されていなくてもよい。このようなリザーバ形成基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料であるシリコン単結晶基板を用いている。
また、リザーバ形成基板30上には、所定パターンで形成された接続配線200が設けられ、この接続配線200上には圧電素子300を駆動するための駆動回路210が実装されている。駆動回路210としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、各圧電素子300から圧電素子保持部32の外側まで引き出された各リード電極90の先端部と、駆動回路210とが駆動配線220を介して電気的に接続されている。
さらに、リザーバ形成基板30のリザーバ部31に対応する領域上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが数μm程度のポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが数十μm程度のステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路210からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、圧電素子300及び振動板をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインクが吐出する。
以下、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図3〜図10を参照して説明する。
まず、図3(a)に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ110を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、その表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン膜53を形成する。なお、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110として、厚さが約625μmと比較的厚く剛性の高いシリコンウェハを用いている。
次に、図3(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜53)上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜51を形成する。具体的には、弾性膜50(二酸化シリコン膜53)上に、例えば、スパッタ法等によりジルコニウム(Zr)層を形成後、このジルコニウム層を、例えば、500〜1200℃の拡散炉で熱酸化することにより酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜51を形成する。
次いで、図3(c)に示すように、例えば、白金(Pt)とイリジウム(Ir)とを絶縁体膜51上に積層することにより下電極膜60を形成した後、この下電極膜60を所定形状にパターニングする。次に、図3(d)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば、イリジウムからなる上電極膜80とを流路形成基板用ウェハ110の全面に形成し、これら圧電体層70及び上電極膜80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。また、圧電素子300を形成後に、絶縁体膜51及び弾性膜50をパターニングして、流路形成基板用ウェハ110の連通部(図示なし)が形成される領域に、これら絶縁体膜51及び弾性膜50を貫通して流路形成基板用ウェハ110の表面を露出させた貫通部52を形成する。
なお、圧電素子300を構成する圧電体層70の材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料や、これにニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等が用いられる。その組成は、圧電素子300の特性、用途等を考慮して適宜選択すればよいが、例えば、PbTiO(PT)、PbZrO(PZ)、Pb(ZrTi1−x)O(PZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O−PbTiO(PMN−PT)、Pb(Zn1/3Nb2/3)O−PbTiO(PZN−PT)、Pb(Ni1/3Nb2/3)O−PbTiO(PNN−PT)、Pb(In1/2Nb1/2)O−PbTiO(PIN−PT)、Pb(Sc1/2Ta1/2)O−PbTiO(PST−PT)、Pb(Sc1/2Nb1/2)O−PbTiO(PSN−PT)、BiScO−PbTiO(BS−PT)、BiYbO−PbTiO(BY−PT)等が挙げられる。また、圧電体層70の形成方法は、特に限定されないが、例えば、本実施形態では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成した。
次に、図4(a)に示すように、リード電極90を形成する。具体的には、まず流路形成基板用ウェハ110の全面に亘って密着層91を介して金属層92を形成し、密着層91と金属層92とからなる配線層190を形成する。そして、この配線層190上に、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を形成し、このマスクパターンを介して金属層92及び密着層91を圧電素子300毎にパターニングすることによりリード電極90を形成する。またこのとき、貫通部52に対向する領域に、リード電極90とは不連続の配線層190を残して、この配線層190によって貫通部52が封止されるようにする。
ここで、金属層92の主材料としては、比較的導電性の高い材料であれば特に限定されず、例えば、金(Au)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)が挙げられ、本実施形態では金(Au)を用いている。また、密着層91の材料としては、金属層92の密着性を確保できる材料であればよく、具体的には、チタン(Ti)、チタンタングステン化合物(TiW)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)又はニッケルクロム化合物(NiCr)等が挙げられ、本実施形態ではチタンタングステン化合物(TiW)を用いている。
次に、図4(b)に示すように、リザーバ形成基板用ウェハ130を、流路形成基板用ウェハ110上に接着剤35によって接着する。ここで、このリザーバ形成基板用ウェハ130には、リザーバ部31、圧電素子保持部32等が予め形成されており、リザーバ形成基板用ウェハ130上には、上述した接続配線200が予め形成されている。なお、リザーバ形成基板用ウェハ130は、例えば、400μm程度の厚さを有するシリコンウェハである。
次いで、図4(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110をある程度の厚さとなるまで研磨した後、さらにフッ硝酸によってウェットエッチングすることにより流路形成基板用ウェハ110を所定の厚みにする。例えば、本実施形態では、研磨及びウェットエッチングによって、流路形成基板用ウェハ110を、約70μmの厚さとなるように加工した。次いで、図5(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110上に、例えば、窒化シリコン(SiN)からなるマスク膜54を新たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、図5(b)に示すように、このマスク膜54を介して流路形成基板用ウェハ110を異方性エッチング(ウェットエッチング)して、流路形成基板用ウェハ110に圧力発生室12、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路と、連通部13とをを形成する。具体的には、流路形成基板用ウェハ110を、例えば、水酸化カリウム(KOH)水溶液等のエッチング液によって弾性膜50及び密着層91が露出するまでエッチングすることより、圧力発生室12、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路と、連通部13とを同時に形成する。
このとき、流路形成基板用ウェハ110の液体流路を画成する隔壁11のリザーバ部31側の弾性膜50と接している面側の端部は、流路形成基板用ウェハ110とリザーバ形成基板用ウェハ130とが接合される接合部分に対向する領域内、すなわち、連通部13とリザーバ部31とを連通する貫通部52よりも内側となるように形成する。これは、例えば、隔壁11のリザーバ部31側の弾性膜50と接している面側の端部がリザーバ100側に突出すると、後の工程で、連通部13とリザーバ部31とを隔離する配線層190上の保護膜16を剥離した際に、保護膜16が連通部13とリザーバ部31との間に庇状に残留した残渣が発生してしまうからである。すなわち、隔壁11のリザーバ部31側の弾性膜50と接している面側の端部が、リザーバ部31側に突出して設けられた場合、隔壁11が連通部13とリザーバ部31とを隔離する配線層190を拘束するため、配線層190上の保護膜16を剥離する際に、配線層190の変形を阻害して、配線層190上の保護膜16を完全に剥離することができなくなるからである。
また、流路形成基板用ウェハ110とリザーバ形成基板用ウェハ130とを位置決めして接合する際に、流路形成基板用ウェハ110とリザーバ形成基板用ウェハ130との位置決めでは、約±3μmの誤差が生じるため、流路形成基板用ウェハ110の隔壁11のリザーバ部31側の弾性膜50と接している面側の端部と、リザーバ部31との間の距離Sをゼロにすると、隔壁11がリザーバ部31側に突出してしまう虞がある。このため、流路形成基板用ウェハ110の隔壁11のリザーバ部31側の弾性膜50と接している面側の端部と、リザーバ部31(貫通部52)との間の距離Sは、5μm以上とするのが好ましい。
さらに、液体流路を画成する隔壁11のリザーバ部31側の弾性膜50と接している面側の端部と、リザーバ部31との間の距離Sが200μm以下となるように形成する。これは、詳しくは後述するが、例えば、隔壁11のリザーバ部31側の弾性膜50と接している面側の端部とリザーバ部31との間の距離Sを離し過ぎると、後の工程で、連通部13とリザーバ部31とを隔離する配線層190上の保護膜16を剥離する際に、隔壁11による振動板(弾性膜50)の拘束が減少するため、振動板の変形量が増大し、配線層190上の保護膜16を完全に剥離することができなくなるからである。すなわち、液体流路を画成する隔壁11のリザーバ部31側の弾性膜50と接している面側の端部と、リザーバ部31との間の距離Sを5μm〜200μmとすることで、後の工程で、配線層190上の保護膜16を剥離した際に、隔壁11によって振動板(弾性膜50)を拘束させ、振動板の変形量を抑えて、保護膜16の残渣が発生するのを減少させることができる。そして、このような保護膜16の残渣が剥がれ落ちて、剥がれ落ちた保護膜16の残渣によるノズル開口21の目詰まり等の吐出不良を防止することができる。
また、液体流路を画成する隔壁11のリザーバ部31側の弾性膜50と接している面側の端部と、リザーバ部31との間の距離Sを5μm〜200μmとすることで、インク供給路14と連通部13(リザーバ100)との間の空間、具体的には、流路形成基板用ウェハ110のみで構成され圧力発生室12の幅方向に広がる空間を隔壁11によって区画して小さくでき、且つ隔壁11のリザーバ100側の開口、すなわち、連通路15のリザーバ100側の開口をリザーバ形成基板用ウェハ130のリザーバ部31に近づけることができるため、連通路15からのインクの流出を拡散して、隣り合う連通路15から流出するインク同士の干渉を低減でき、クロストークの発生を防止できる。
なお、流路形成基板用ウェハ110に液体流路を形成する際、リザーバ形成基板用ウェハ130の流路形成基板用ウェハ110側とは反対側の表面を、耐アルカリ性を有する材料、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPTA(ポリパラフェニレンテレフタルアミド)等からなる封止フィルムでさらに封止するようにしてもよい。これにより、リザーバ形成基板用ウェハ130の表面に設けられた配線の断線等の不良をより確実に防止することができる。
次に、図6(a)に示すように、貫通部52内の配線層190の一部を連通部13側からウェットエッチング(ライトエッチング)することにより除去する。すなわち、連通部13側に露出されている密着層91と、この密着層91が拡散している金属層92の一部の領域とをエッチングにより除去する。詳しくは後述するが、これにより、後の工程で配線層190上に形成される保護膜16と配線層190との密着力が弱められ、配線層190上の保護膜16が剥離し易くなる。
次に、流路形成基板用ウェハ110表面のマスク膜54を除去し、図6(b)に示すように、液体流路内及び連通部13内、すなわち、圧力発生室12、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路と、連通部13との内面に保護膜16を形成する。なお、保護膜16は、上述したように、例えば、酸化物又は窒化物等の耐液体性(耐インク性)を有する材料からなり、本実施形態では、五酸化タンタルからなる。また、保護膜16の形成方法は、特に限定されないが、例えば、CVD法によって形成することができる。
このとき、貫通部52は配線層190によって封止されているため、貫通部52を介してリザーバ形成基板用ウェハ130の外面等に保護膜16が形成されることはない。したがって、接続配線200等が形成されたリザーバ形成基板用ウェハ130の表面に保護膜16が形成されて駆動回路210などの接続不良等が発生するのを防止することができる。また同時に、余分な保護膜16を除去する工程が不要となって製造工程を簡略化して製造コストを低減することができる。
次に、図6(c)に示すように、保護膜16上に、保護膜16とはエッチングの選択性を有する材料からなる剥離層17を、例えば、CVD法等によって形成する。ここで、保護膜16とはエッチングの選択性を有する材料とは、その材料をウェットエッチングするためのエッチング液によって保護膜16がエッチングされ難く、実質的にエッチングされない材料のことをいう。また、剥離層17は、その内部応力が圧縮応力であることが好ましく、特に、80MPa以上の圧縮応力であることが望ましい。さらに剥離層17は、保護膜16との密着力が保護膜16と配線層190との密着力よりも大きな材料を用いるのが好ましい。例えば、本実施形態では、剥離層17の材料として、以上の条件を満たすチタンタングステン化合物(TiW)を用いている。
次に、図7(a)に示すように、この剥離層17をウェットエッチングによって完全に除去すると同時に、配線層190上の保護膜16を選択的に除去する。ここで、保護膜16の金(Au)からなる金属層92との密着力は、保護膜16の二酸化シリコン(SiO)からなる弾性膜50との密着力よりも弱く、剥離層17の内部応力が圧縮応力であるため、保護膜16上に剥離層17を形成することで、剥離層17の内部応力によって保護膜16は配線層190からある程度剥離された状態となる。そして、剥離層17をウェットエッチングにより除去することで、配線層190上の保護膜16も同時に選択的に除去される。
このとき、上述のように、液体流路を画成する隔壁11のリザーバ部31側の弾性膜50と接している面側の端部と、リザーバ部31との距離Sが5〜200μmとなっているため、振動板である弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が適宜変位され、配線層190上の保護膜16のみを選択的に除去することができる。これにより、保護膜16が庇状に残留した残渣が発生するのを防止して、この残渣が剥がれ落ちてノズル開口21の目詰まりによるインク吐出不良が発生するのを防止することができる。
すなわち、図8(a)及び図9(a)に示すように、隔壁11のリザーバ部31側の弾性膜50と接している面側の端部とリザーバ部31との間の距離Sを離し過ぎると、配線層190上の保護膜16を剥離する際に、隔壁11による配線層190の拘束が減少するため、振動板(弾性膜50)の変形量が増大し、配線層190上の保護膜16を完全に剥離することができなり、連通部13とリザーバ部31との間に保護膜16が庇状に残留した大きな残渣16aが発生する。このような保護膜16の残渣16aは、剥がれ落ちることで、ノズル開口21の目詰まり等の吐出不良が発生する。
これに対して、液体流路を画成する隔壁11のリザーバ部31側の弾性膜50と接している面側の端部と、リザーバ部31との距離Sを5〜200μmとした場合には、図8(b)及び図9(b)に示すように、隔壁11が振動板(弾性膜50)を拘束するため、振動板の変形量を抑えて保護膜16に大きな残渣16aが発生するのを防止することができる。そして、図8(a)及び図9(a)に示すような保護膜16の大きな残渣16aによるノズル開口21の目詰まり等の吐出不良を防止することができる。
なお、図8は、距離Sを変化させた際の拡大断面図であり、図9は、距離Sを変化させた際の画像である。
このように配線層190上の保護膜16を除去した後は、図7(b)に示すように、配線層190(金属層92)を連通部13側からウェットエッチングすることによって除去して貫通部52を開口させる。このとき配線層190上には保護膜16が形成されていないため、保護膜16が配線層190のウェットエッチングを邪魔することはない。したがって、配線層190を容易且つ確実にウェットエッチングにより除去して貫通部52を開口させることができる。
また、このような方法でリザーバ100を形成した場合、リザーバ100内に露出している配線層190の表面には保護膜16が形成されないことになる。このため、配線層190がインクによって浸食される虞はあるが、その量は非常に少なく、ヘッドの寿命としては全く問題ない程度のものである。また、図示しないが、リザーバ部31の内面には、リザーバ形成基板用ウェハ130を熱酸化することによって二酸化シリコン膜が形成されているため、保護膜16は設けられていなくてもよい。
その後は、リザーバ形成基板用ウェハ130に形成されている接続配線200上に駆動回路210を実装すると共に、駆動回路210とリード電極90とを駆動配線220によって接続する(図2参照)。そして、流路形成基板用ウェハ110及びリザーバ形成基板用ウェハ130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ110のリザーバ形成基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、リザーバ形成基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、これら流路形成基板用ウェハ110等を、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって上述した構造のインクジェット式記録ヘッドが製造される。
(実施例1)
上述した実施形態1と同様の製造方法によって、流路形成基板に圧力発生室及び圧電素子を2列設け、圧力発生室の列の一方側にそれぞれの圧力発生室の列に連通する連通路を設けたインクジェット式記録ヘッドを2つ形成した。また、実施例1では、各インクジェット式記録ヘッドの液体流路を画成する隔壁のリザーバ部側の弾性膜と接している面側の端部と、リザーバ部との距離Sが33μmとなるようにした。
(実施例2)
実施例1と同様に、圧力発生室及び圧電素子が2列設けられたインクジェット式記録ヘッドを2つ形成し、各インクジェット式記録ヘッドの液体流路を画成する隔壁のリザーバ部31側の弾性膜と接している面側の端部と、リザーバ部との距離Sが192μmとなるようにした。
(比較例1)
比較のため、上述した実施形態1と同様の製造方法によって、流路形成基板に圧力発生室及び圧電素子を2列設け、圧力発生室の列の一方側にそれぞれの圧力発生室の列に連通する連通路を設けたインクジェット式記録ヘッドを2つ形成した。また、比較例1では、各インクジェット式記録ヘッドの液体流路を画成する隔壁のリザーバ部側の弾性膜と接している面側の端部と、リザーバ部との距離Sが242μmとなるようにした。
(比較例2)
比較のため、上述した実施形態1と同様の製造方法によって、流路形成基板に圧力発生室及び圧電素子を2列設け、圧力発生室の列の一方側にそれぞれの圧力発生室の列に連通する連通路を設けたインクジェット式記録ヘッドを2つ形成した。また、比較例2では、各インクジェット式記録ヘッドの液体流路を画成する隔壁のリザーバ部側の弾性膜と接している面側の端部と、リザーバ部との距離Sが271μmとなるようにした。
(試験例)
各実施例1、2及び比較例1、2のそれぞれの2つのインクジェット式記録ヘッドの保護膜の残渣発生数を計測した。これらの結果を図10に示す。なお、図10は、距離Sと保護膜の残渣の発生数を示すグラフである。また、図10に示すグラフのA列、B列は、並設された圧力発生室の列を示すものである。
図10に示す結果から、実施例1及び2の距離Sを5〜200μmとした場合には、保護膜の残渣が発生してないのに比べ、距離Sを大きくした比較例1及び2では、保護膜の残渣が発生していることが分かる。また、図10から、距離Sが離れるほど、残渣の発生数が増大していることが分かった。
以上の結果から、液体流路を画成する隔壁のリザーバ部側の弾性膜と接している面側の端部と、リザーバ部との間の距離Sを5〜200μmにすることで、保護膜の残渣の発生を減少させて、残渣が剥がれ落ちることによるノズル開口の目詰まり等のインク吐出不良を防止することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、もちろん上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、密着層及び金属層で構成される配線層を例示したが、配線層の層構造は、特に限定されず、配線層は、例えば、金属層のみで形成されていてもよし、三層以上で形成されていてもよい。
また、上述した実施形態1では、液体流路として、圧力発生室12とインク供給路14と連通路15とを設けるようにしたが、圧力と容積との関係やクロストークの関係などにより、連通路15を設けない場合であっても、隔壁11のリザーバ部31側の弾性膜50と接している面側の端部とリザーバ部31との間の距離Sを5〜200μmとするのが好ましい。
さらに、上述した実施形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 距離Sを変化させた際の拡大断面図である。 距離Sを変化させた際の画像である。 試験例の結果を示すグラフである。
符号の説明
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 15 連通路、 16 保護膜、 16a 残渣、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 リザーバ形成基板、 31 リザーバ部、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 51 絶縁体膜、 52 貫通部、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 90 リード電極、 91 密着層、 92 金属層、 100 リザーバ、 110 流路形成基板用ウェハ、 130 リザーバ形成基板用ウェハ、 190 配線層、 200 接続配線、 210 駆動回路、 220 駆動配線、 300 圧電素子

Claims (9)

  1. 液体を噴射するノズル開口に連通すると共に複数の隔壁で区画された圧力発生室を有する液体流路と、該液体流路に連通して前記圧力発生室の共通の液体室となるリザーバの一部を構成する連通部と、が形成される流路形成基板の一方面側に振動板を介して下電極、圧電体層及び上電極を有する圧電素子を形成すると共に前記連通部となる領域の前記振動板を除去して貫通部を形成する工程と、
    前記圧電素子から引き出されるリード電極を形成すると共に前記リード電極と同一の層からなるが当該リード電極とは不連続の配線層で前記貫通部を封止する工程と、
    前記連通部と連通してリザーバの一部を構成するリザーバ部が形成されたリザーバ形成基板を前記流路形成基板の前記一方面側に接合する工程と、
    前記流路形成基板を他方面側から前記振動板及び前記配線層が露出するまでウェットエッチングして複数の隔壁により区画された前記液体流路と、前記連通部と、を前記隔壁の前記リザーバ部側の端部であって当該隔壁が前記振動板と接している面の端部と前記リザーバ部との間の距離が5〜200μmとなるように形成する工程と、
    前記流路形成基板に形成された前記液体流路及び前記連通部の内面に耐液体性を有する材料からなる保護膜を形成すると共に該保護膜上に当該保護膜とはエッチングの選択性を有する材料からなる剥離層を形成する工程と、
    前記剥離層をウェットエッチングによって除去すると同時に前記配線層上の前記保護膜を選択的に除去する工程と、
    前記連通部側からウェットエッチングすることにより前記配線層を除去して前記リザーバ部と前記連通部とを連通させて前記リザーバを形成する工程と、を具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  2. 前記液体流路を形成する工程では、前記圧力発生室と、当該圧力発生室に連通して前記圧力発生室の幅方向の断面積より小さい断面積を有する液体供給路と、この液体供給路に連通すると共に前記液体供給路の幅方向の断面積より大きい断面積を有する連通路とからなる前記液体流路を複数の前記隔壁で区画して設けることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  3. 前記保護膜の材料として、酸化物又は窒化物を用いたことを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  4. 前記保護膜の材料として、酸化タンタルを用いたことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  5. 前記剥離層の前記保護膜との密着力が、前記保護膜と前記配線層との密着力より大きいことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  6. 前記剥離層の内部応力が圧縮応力であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  7. 前記剥離層の材料として、チタンタングステンを用いたことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  8. 前記保護膜を形成する工程の前に、前記連通部内に露出した前記配線層の厚さ方向の一部を除去する工程をさらに有することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  9. 前記配線層が、密着層と該密着層上に形成される金属層とからなり、前記保護膜を形成する工程の前に、前記配線層の表面をライトエッチングして前記密着層を少なくとも除去することを特徴とする請求項8記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
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