JP2008087271A - 液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】異物による目詰まり等の吐出不良を確実に防止することができ、歩留まり及び信頼性を向上してコストを低減する。
【解決手段】絶縁膜53を貫通部51を封止するように形成する工程と、流路形成基板に圧電素子を形成すると共に、絶縁膜53上に隔離層190を形成して突出部191を形成する工程と、リザーバ形成基板30を流路形成基板に接合する工程と、流路形成基板をウェットエッチングすることにより、圧力発生室及び連通部13を形成すると共に、絶縁膜53を露出して突出部191を露出する工程と、連通部13側に露出された絶縁膜53を除去する工程と、流路形成基板の前記圧力発生室、連通部13の内面及び隔離層190上に、耐液体性を有する材料からなる保護膜16を形成する工程と、隔離層190上の保護膜16を剥離して除去する工程と、隔離層190を除去することによりリザーバ部31と前記連通部13とを連通させる工程とを具備する。
【選択図】図9

Description

本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法に関し、特に液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドの製造方法に関する。
液体噴射ヘッドであるインクジェット式記録ヘッドとしては、例えば、ノズル開口に連通すると共に隔壁により区画された圧力発生室と、延設された隔壁により区画された圧力発生室に連通するインク供給路及びインク供給路に連通する連通路と、連通路に連通すると共に複数の圧力発生室に連通する連通部とが形成された流路形成基板と、この流路形成基板の一方面側に形成される圧電素子と、流路形成基板の圧電素子側の面に接合され連通部と共にリザーバの一部を構成するリザーバ部を有するリザーバ形成基板とを具備するものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、インクジェット式記録ヘッドの製造方法としては、流路形成基板の一方面にボロンドープ層(本発明の隔離層)を形成後、この流路形成基板の一方面側にリザーバ部を有するリザーバ形成基板を接合し、その後、流路形成基板を他方面側から異方性エッチングすることにより圧力発生室及び連通部を形成した後、ボロンドープ層を貫通してリザーバ部と連通部とを連通させてリザーバを形成するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。このような製造方法によりインクジェット式記録ヘッドを形成することにより、流路形成基板に圧力発生室及び連通部を形成する際に、隔離層によりエッチング液が連通部及びリザーバ部を介してリザーバ形成基板側に流れ出て、リザーバ形成基板がエッチングされるのを防止している。
さらに、流路形成基板の圧力発生室等の内面に酸化タンタルからなる耐液体性を有する保護膜を設けたインクジェット式記録ヘッドが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2004−186527号公報(第2〜4図、第6〜7頁) 特開2005−219243号公報(第3〜5図、第6〜8頁) 特開2004−262225号公報(第2図、第12〜13頁)
しかしながら、隔離層上に形成された保護膜は、圧力発生室側から面方向に延設されて設けられることになるため、保護膜を連通部とリザーバ部とを連通する振動板の貫通部の境界で破断させるのが困難で、保護膜の一部が貫通部内に庇状に突出した残渣が発生したり、破断不良により保護膜にクラック等が発生してしまうという問題がある。
そして、このような保護膜の残渣は、剥がれ落ちやすく、剥がれ落ちた保護膜の残渣によってノズル開口の目詰まり等が発生してしまうため、歩留まり及び信頼性が低下してしまうという問題がある。
また、隔離層としては、流路形成基板をウェットエッチングすることにより圧力発生室及び連通部を形成する際に、耐エッチング特性に優れた材料を用いなくてはならず、高コストになってしまうという問題がある。
なお、このような問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドの製造方法だけでなく、勿論、インク以外の液体を吐出する他の液体噴射ヘッドの製造方法においても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、異物による目詰まり等の吐出不良を確実に防止することができ、歩留まり及び信頼性を向上してコストを低減した液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と、複数の圧力発生室に連通して該圧力発生室の共通の液体室となるリザーバの一部を構成する連通部とが設けられる流路形成基板の一方面側に振動板を形成すると共に、該振動板の前記連通部に相対向する領域に開口する貫通部を形成し、且つ前記流路形成基板の前記貫通部に相対向する領域に凹部を形成する工程と、前記流路形成基板をウェットエッチングする際に耐エッチング特性を有する絶縁膜を、前記流路形成基板の前記一方面側に前記貫通部を封止するように形成する工程と、
前記流路形成基板の前記振動板上の前記圧力発生室に対応する領域に下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子を形成すると共に、前記絶縁膜上に隔離層を形成することにより、前記連通部の形成される領域に前記絶縁膜及び前記隔離層が前記連通部側に突出した突出部を形成する工程と、前記連通部と連通して前記リザーバの一部を構成するリザーバ部が形成されたリザーバ形成基板を前記流路形成基板の前記一方面側に接合する工程と、前記流路形成基板を他方面側からウェットエッチングすることにより、前記圧力発生室及び前記連通部を形成すると共に、前記絶縁膜を露出して前記突出部を露出する工程と、前記連通部側に露出された前記絶縁膜を除去して、前記隔離層で前記突出部を形成する工程と、前記流路形成基板の前記圧力発生室、前記連通部の内面及び前記隔離層上に、耐液体性を有する材料からなる保護膜を形成する工程と、前記隔離層上の前記保護膜を剥離して除去する工程と、前記隔離層を除去することにより前記リザーバ部と前記連通部とを連通させて前記リザーバを形成する工程とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第1の態様では、流路形成基板をウェットエッチングする際に、貫通部を耐エッチング特性を有する絶縁膜と、隔離層とで封止するようにしたため、エッチング液が貫通部を介してリザーバ形成基板側に流れ出るのを確実に防止することができると共に、リザーバ部と連通部とを連通させる際に、加工カス等の異物が発生することがないため、加工カス等の異物によるノズル詰まり等の吐出不良を防止することができる。特に突出部に沿って屈曲された領域を有する保護膜を剥離するため、保護膜を屈曲された領域で容易に且つ確実に破断することができ、クラックや貫通部側に庇状に突出する残渣が発生するのを防止して、残渣の剥がれによるノズル開口の目詰まりを防止することができる。
また、絶縁膜が耐エッチング特性を有するため、隔離層として耐エッチング特性に優れた材料を用いる必要がなく、コストを低減することができる。さらに、隔離層が絶縁膜を補強する役割を有するため、絶縁膜がエッチング液によって破れるのを確実に防止することができる。
本発明の第2の態様は、前記流路形成基板がシリコン単結晶基板からなると共に、前記振動板を形成する工程では、前記流路形成基板を熱酸化することにより前記流路形成基板側に二酸化シリコンからなる弾性膜を有する前記振動板を形成し、前記絶縁膜を形成する工程では、前記流路形成基板を熱酸化することにより前記弾性膜と一体的に設けられた二酸化シリコンからなる当該絶縁膜を形成することを特徴とする第1の態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第2の態様では、弾性膜を有する振動板を容易に且つ高精度に形成することができると共に、絶縁膜を容易に形成することができる。
本発明の第3の態様は、前記保護膜を形成する工程では、当該保護膜を前記突出部上に形成することにより、前記保護膜に前記貫通部の周縁部近傍に前記振動板上から前記連通部側に屈曲した第1の屈曲部と、前記貫通部の中心側に屈曲した第2の屈曲部とを形成すると共に、前記隔離層上の前記保護膜を剥離して除去する工程では、当該保護膜の前記第1の屈曲部又は前記第2の屈曲部で破断することを特徴とする第1又は2の態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第3の態様では、第1の屈曲部又は第2の屈曲部で保護膜を破断することができ、残渣の発生を確実に防止できる。
本発明の第4の態様は、前記凹部を形成する工程では、当該凹部を前記流路形成基板の前記貫通部に相対向する領域に亘って形成することを特徴とする第1〜3の何れかの態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第4の態様では、隔離層に所望の形状の突出部が形成されて、保護膜に屈曲した領域を形成することができ、保護膜を屈曲した領域で容易に且つ確実に破断することができる。
本発明の第5の態様は、前記凹部を形成する工程では、前記貫通部を有する前記振動板をマスクとして、前記流路形成基板を異方性エッチングすることにより形成することを特徴とする第1〜4の何れかの態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第5の態様では、凹部を容易に且つ高精度に形成することができ、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。
本発明の第6の態様は、前記保護膜の材料として、酸化物又は窒化物を用いたことを特徴とする第1〜5の何れかの態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第6の態様では、圧力発生室、連通部等の内面が、供給された液体によって浸食されるのを確実に防止することができる。
本発明の第7の態様は、前記保護膜を剥離する工程では、前記保護膜上に内部応力が圧縮応力である剥離層を形成した後、該剥離層を剥離することで当該剥離層と共に前記隔離層上の前記保護膜を剥離することを特徴とする第1〜6の何れかの態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第7の態様では、剥離層によって隔離層上の保護膜をさらに容易に且つ確実に除去することができる。
本発明の第8の態様は、前記剥離層の前記保護膜との密着力が、前記保護膜と前記隔離層との密着力より大きいことを特徴とする第7の態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第8の態様では、剥離層と保護膜とが良好に密着するため、隔離層上の保護膜を剥離層と共にさらに容易且つ確実に除去することができる。
本発明の第9の態様は、前記剥離層の材料として、チタンタングステンを用いたことを特徴とする第7又は8の態様の液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第9の態様では、剥離層を所定の材料で形成することで、隔離層上の保護膜を剥離層と共にさらに容易且つ確実に除去することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図、そのA−A′断面図であり、図3は、図2の要部拡大断面図である。
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では結晶面方位が(110)面のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化によって二酸化シリコンからなる厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12がその幅方向(短手方向)に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向一端部側には、インク供給路14と連通路15とが隔壁11によって区画されている。また、連通路15の一端には、各圧力発生室12の共通のインク室(液体室)となるリザーバ100の一部を構成する連通部13が形成されている。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路が設けられている。
インク供給路14は、圧力発生室12の長手方向一端部側に連通し且つ圧力発生室12より小さい断面積を有する。例えば、本実施形態では、インク供給路14は、リザーバ100と各圧力発生室12との間の圧力発生室12側の流路を幅方向に絞ることで、圧力発生室12の幅より小さい幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、このように、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。さらに、各連通路15は、インク供給路14の圧力発生室12とは反対側に連通し、インク供給路14の幅方向(短手方向)より大きい断面積を有する。本実施形態では、連通路15を圧力発生室12と同じ断面積で形成した。
すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12と、圧力発生室12の短手方向の断面積より小さい断面積を有するインク供給路14と、このインク供給路14に連通すると共にインク供給路14の短手方向の断面積よりも大きい断面積を有する連通路15とが複数の隔壁11により区画されて設けられている。
ここで、流路形成基板10の圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15の内壁表面には、耐インク性を有する材料、例えば、五酸化タンタル(Ta)等の酸化タンタルからなる保護膜16が、約50nmの厚さで設けられている。なお、ここで言う耐インク性とは、アルカリ性のインクに対する耐エッチング特性のことである。
なお、このような保護膜16の材料は、酸化タンタルに限定されず、使用するインク(液体)のpH値によっては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)等を用いてもよい。ただし、酸性の液体を用いる場合には、もちろん耐酸性の保護膜を用いることになる。
また、本実施形態では、振動板を構成する弾性膜50には、連通部13と、詳しくは後述するリザーバ形成基板30のリザーバ部31とを連通する貫通部51が設けられている。そして、図3に示すように、この弾性膜50上に設けられた保護膜16は、弾性膜50の貫通部51の開口近傍で破断されて設けられており、保護膜16の破断された破断面16aは、連通部13側を向いて設けられている。このように保護膜16の破断面16aが連通部13側を向いているため、保護膜16を破断した際に、破断面16aに保護膜16が突出するように残留したとしても、リザーバ部31からのインクの流れによって残留した保護膜16が剥がれ落ちることがなく、ノズル開口21の目詰まりを防止することができる。
なお、貫通部51の内面と、弾性膜50の流路形成基板10側の表面との角度が、鋭角となるように、貫通部51の内面は傾斜した傾斜面で形成されている。この貫通部51の傾斜面は、流路形成基板10側が貫通部51内に突出して尖がる方向に傾斜して設けられている。このように、貫通部51の内面をリザーバ部31側よりも連通部13側が貫通部51に突出するように傾斜した傾斜面とすることで、詳しくは後述する製造方法によって、隔離層上の保護膜16を剥離層と共に良好に且つ確実に除去することができる。
また、図1及び図2に示すように、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス鋼等からなる。
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、二酸化シリコンからなり厚さが例えば、約1.0μmの弾性膜50が形成されており、この弾性膜50上には、酸化ジルコニウム(ZrO)等からなり厚さが例えば、約0.4μmの絶縁体膜55が積層形成されている。また、この絶縁体膜55上には、厚さが約0.1〜0.5μmの下電極膜60と、圧電体膜の一例であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなり厚さが例えば、約1.1μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部320が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエータ装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用するが、絶縁体膜55を設けずに、弾性膜50と下電極膜60とを振動板としてもよい。
また、このような各圧電素子300の上電極膜80には、密着層91及び金属層92からなる隔離層190で構成されるリード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。
また、詳しくは後述するが、連通部13の開口周縁部に対応する領域の振動板、すなわち、弾性膜50上にも、リード電極90や下電極膜60とは不連続の隔離層190が存在している。
さらに、流路形成基板10の圧電素子300側の面には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有するリザーバ形成基板30が接合されている。本実施形態では、流路形成基板10とリザーバ形成基板30とを接着剤35を用いて接合した。リザーバ形成基板30のリザーバ部31は、弾性膜50に設けられた貫通部51を介して連通部13と連通され、これらリザーバ部31及び連通部13によってリザーバ100が形成されている。
また、リザーバ形成基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子300は、この圧電素子保持部32内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。なお、圧電素子保持部32は、密封されていてもよいし密封されていなくてもよい。このようなリザーバ形成基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、リザーバ形成基板30上には、並設された圧電素子300を駆動するための駆動回路200が固定されている。この駆動回路200としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路200とリード電極90とは、ボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる接続配線210を介して電気的に接続されている。
さらに、リザーバ形成基板30のリザーバ部31に対応する領域上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路200からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、圧電素子300及び振動板をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインクが吐出する。
以下、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図4〜図10を参照して説明する。なお、図4〜図10は、インクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す圧力発生室の長手方向の断面図である。
まず、図4(a)に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ110を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、その表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン膜57を形成する。なお、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110として、厚さが約625μmと比較的厚く剛性の高いシリコンウェハを用いている。
次に、図4(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜57)の流路形成基板用ウェハ110の連通部13が形成される領域に相対向する領域に貫通部51を形成した後、流路形成基板用ウェハ110の貫通部51により露出された領域に、凹部52を形成する。
貫通部51は、弾性膜50をウェットエッチング又はドライエッチングすることにより形成することができる。本実施形態では、二酸化シリコン膜57をイオンミリングすることにより貫通部51を形成するようにした。このような方法で形成した貫通部51は、その内面が流路形成基板用ウェハ110の表面に対して傾斜した傾斜面で形成される。
凹部52は、本実施形態では、貫通部51が設けられた弾性膜50をマスクとして、流路形成基板用ウェハ110をウェットエッチング又はドライエッチングすることにより形成することができる。本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110を弾性膜50をマスクとしてイオンミリングすることにより凹部52を形成するようにした。すなわち、本実施形態では、弾性膜50の貫通部51と凹部52とをイオンミリングにより同時に形成した。このように形成された凹部52は、その内側面が、貫通部51の傾斜した内面と平面状に連続して形成される。
なお、本実施形態では、凹部52をイオンミリングにより形成するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、流路形成基板用ウェハ110をウェットエッチングすることにより凹部52を形成してもよいし、流路形成基板用ウェハ110を反応性ドライエッチング(RIE)等のその他のドライエッチングすることにより凹部52を形成するようにしてもよい。なお、弾性膜50を反応性イオンエッチング(RIE)することにより貫通部51を形成する場合には、ガスを変更して流路形成基板用ウェハ110を反応性イオンエッチングすることにより凹部52を形成することができる。勿論、貫通部51及び凹部52は、上述した何れのエッチング方法を組み合わせても形成することができる。
次に、図4(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110と弾性膜50とを熱酸化することにより、凹部52の表面に絶縁膜53を形成する。このように熱酸化により形成された絶縁膜53は、比較的薄膜で、且つ弾性膜50と一体的に形成される。また、絶縁膜53は、貫通部51によって露出された流路形成基板用ウェハ110の表面に亘って形成されるため、絶縁膜53は、凹部52の表面に亘って連通部13が形成される領域に突出して形成される。
次に、図4(d)に示すように、絶縁膜53上に隔離層190を形成する。これにより、絶縁膜53と隔離層190とが連通部13が形成される領域に連通部13側に突出した突出部191が形成される。隔離層190は、詳しくは後述するが、流路形成基板用ウェハ110をウェットエッチングすることにより連通部13を形成した際に、エッチング液が貫通部51を介してリザーバ形成基板用ウェハ130側に流出しないようにする絶縁膜53を補強するためのものである。このため、隔離層190の材料としては、特に限定されず、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、金(Au)、銀(Ag)などの貴金属及びニッケル(Ni)、クロム(Cr)、ニッケルクロム(NiCr)等の金属材料や、樹脂材料などが挙げられる。なお、隔離層190として、貴金属やニッケル、クロム、ニッケルクロム等の耐エッチング特性に優れた金属材料を用いることで、流路形成基板用ウェハ110をウェットエッチングする際のエッチング液がリザーバ形成基板用ウェハ130側に流れ出るのをさらに確実に防止することができる。
次に、図4(e)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜57)上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成すると共に絶縁体膜55を所定形状にパターニングする。具体的には、弾性膜50(二酸化シリコン膜57)上に、例えば、スパッタ法等によりジルコニウム(Zr)層を形成後、このジルコニウム層を、例えば、500〜1200℃の拡散炉で熱酸化することにより酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜55を形成する。また、絶縁体膜55をウェットエッチング又はドライエッチングすることにより、弾性膜50の貫通部51が形成される領域に、貫通部51よりも大きな開口面積となる開口部56を形成する。
次いで、図5(a)に示すように、例えば、白金とイリジウムとを流路形成基板用ウェハ110上(絶縁体膜55上、弾性膜50及び絶縁膜53上を含む)に積層することにより下電極膜60を形成した後、この下電極膜60を所定形状にパターニングする。次に、図5(b)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば、イリジウムからなる上電極膜80とを流路形成基板用ウェハ110の全面に形成し、これら圧電体層70及び上電極膜80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。
なお、圧電素子300を構成する圧電体層70の材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料や、これにニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等が用いられる。その組成は、圧電素子300の特性、用途等を考慮して適宜選択すればよいが、例えば、PbTiO(PT)、PbZrO(PZ)、Pb(ZrTi1−x)O(PZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O−PbTiO(PMN−PT)、Pb(Zn1/3Nb2/3)O−PbTiO(PZN−PT)、Pb(Ni1/3Nb2/3)O−PbTiO(PNN−PT)、Pb(In1/2Nb1/2)O−PbTiO(PIN−PT)、Pb(Sc1/2Ta1/2)O−PbTiO(PST−PT)、Pb(Sc1/2Nb1/2)O−PbTiO(PSN−PT)、BiScO−PbTiO(BS−PT)、BiYbO−PbTiO(BY−PT)等が挙げられる。
また、圧電体層70の形成方法は、特に限定されないが、例えば、本実施形態では、金属有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成した。なお、圧電体層70の製造方法は、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal-Organic Decomposition)法やスパッタリング法等を用いてもよい。
次に、図5(c)に示すように、リード電極90を形成する。具体的には、まず流路形成基板用ウェハ110の全面に亘って密着層91を介して金属層92を形成し、密着層91と金属層92とからなる隔離層190を形成する。そして、この隔離層190上に、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を形成し、このマスクパターンを介して金属層92及び密着層91を圧電素子300毎にパターニングすることによりリード電極90を形成する。
ここで、金属層92の主材料としては、比較的導電性の高い材料であれば特に限定されず、例えば、金(Au)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)が挙げられ、本実施形態では金(Au)を用いている。また、密着層91の材料としては、金属層92の密着性を確保できる材料であればよく、具体的には、チタン(Ti)、チタンタングステン化合物(TiW)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)又はニッケルクロム化合物(NiCr)等が挙げられ、本実施形態ではチタンタングステン化合物(TiW)を用いている。
次に、図6(a)に示すように、リザーバ形成基板用ウェハ130を、流路形成基板用ウェハ110上に接着剤35によって接着する。ここで、このリザーバ形成基板用ウェハ130には、リザーバ部31、圧電素子保持部32等が予め形成されている。なお、リザーバ形成基板用ウェハ130は、例えば、数百μm程度の厚さを有するシリコンウェハであり、リザーバ形成基板用ウェハ130を接合することで流路形成基板用ウェハ110の剛性は著しく向上することになる。
次いで、図6(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110を所定の厚みにするまで薄くする。次いで、図6(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110上にマスク膜54を新たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、図7(a)に示すように、このマスク膜54を介して流路形成基板用ウェハ110を異方性エッチング(ウェットエッチング)して、流路形成基板用ウェハ110に液体流路、本実施形態では、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15等を形成する。具体的には、流路形成基板用ウェハ110を、例えば、水酸化カリウム(KOH)水溶液等のエッチング液によって弾性膜50が露出するまでエッチングすることにより、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15を同時に形成する。なお、本実施形態では、連通部13を、その振動板(弾性膜50)側の開口縁部が、貫通部51の開口縁部よりも外側に位置するように形成している。すなわち、連通部13は、振動板側の開口が貫通部51よりも大きく形成されている。
また、このように圧力発生室12等の液体流路を形成する際、貫通部51は、絶縁膜53及び隔離層190で封止されているため、貫通部51を介してリザーバ形成基板用ウェハ130側にエッチング液が流れ込むことがない。これにより、リザーバ形成基板用ウェハ130の表面に設けられている接続配線(図示なし)にエッチング液が付着することがなく、断線等の不良の発生を防止することができる。また、リザーバ部31内にエッチング液が浸入してリザーバ形成基板用ウェハ130がエッチングされる虞もない。
さらに、本実施形態では貫通部51が、耐エッチング特性に優れた絶縁膜53と隔離層190とで封止されているため、隔離層190に耐エッチング特性の低い材料を用いたとしても、絶縁膜53によってエッチング液がリザーバ形成基板用ウェハ130側に流れ込むのを確実に防止することができる。このため、隔離層190の材料が限定されることがなく、コストの低い材料を用いることができるため、製造コストを低減することができる。また、隔離層190は、薄膜で形成された絶縁膜53を補強する役割を有し、耐エッチング特性に優れた絶縁膜53がエッチング液の圧力等により破れるのを確実に防止することができる。
なお、このような圧力発生室12等を形成する際、リザーバ形成基板用ウェハ130の流路形成基板用ウェハ110側とは反対側の表面を、耐アルカリ性を有する材料、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPTA(ポリパラフェニレンテレフタルア
ミド)等からなる封止フィルムでさらに封止するようにしてもよい。これにより、リザーバ形成基板用ウェハ130の表面に設けられた配線の断線等の不良をより確実に防止することができる。
このように流路形成基板用ウェハ110に圧力発生室12等の液体流路を形成すると、絶縁層53及び隔離層190の連通部13側に突出した突出部191が露出される。
次に、図7(b)及び図9(a)に示すように、連通部13内に露出された絶縁膜53を除去する。すなわち、突出部191の絶縁膜53を除去することで、突出部191を隔離層190のみで形成する。絶縁膜53の除去方法は、特に限定されず、例えば、ウェットエッチングやドライエッチングなどが挙げられる。本実施形態では、絶縁膜53をドライエッチングすることにより除去した。
次に、流路形成基板用ウェハ110表面のマスク膜54を除去し、図8(a)に示すように、例えば、酸化物又は窒化物等の耐液体性(耐インク性)を有する材料からなる保護膜16を、CVD法等によって形成する。
このとき、図9(b)に示すように、連通部13には、隔離層190の突出部191が露出されているため、保護膜16は、弾性膜50の圧力発生室12側の一方面から、露出された隔離層190の突出部191上に亘って連続して設けられる。これにより、弾性膜50の連通部13側の面上に形成された保護膜16には、隔離層190の突出部191に沿って貫通部51の周縁部側で弾性膜50の面内方向から連通部13側に屈曲した第1の屈曲部192と、連通部13側に向かう保護膜16が貫通部51の中心側に屈曲した第2の屈曲部193とが設けられる。
このように保護膜16を形成する際に、貫通部51は隔離層190によって封止されているため、貫通部51を介してリザーバ形成基板用ウェハ130の外面等に保護膜16が形成されることがない。したがって、接続配線等が形成されたリザーバ形成基板用ウェハ130の表面(流路形成基板用ウェハ110と接合する面とは反対側の表面)に保護膜16が形成されることなく、駆動回路200などの接続不良等の発生を防止することができると共に、余分な保護膜16を除去する工程が不要となって製造工程を簡略化して製造コストを低減することができる。
次に、図8(b)に示すように、保護膜16上に高応力材料からなる剥離層17を、例えば、CVD法によって形成する。この剥離層17は、その内部応力が圧縮応力であることが好ましく、特に、80MPa以上の圧縮応力であることが望ましい。また、剥離層17は、保護膜16との密着力が保護膜16と隔離層190との密着力よりも大きな材料を用いるのが好ましい。本実施形態では、剥離層17の材料としてチタンタングステン化合物(TiW)を用いている。
このように高応力材料からなると共に保護膜16との密着力が高い剥離層17を保護膜16上に形成すると、剥離層17の応力によって隔離層190上に形成された保護膜16が剥がれ始める。そして、図10(a)に示すように、この剥離層17をウェットエッチングにより除去することで、隔離層190上の保護膜16を剥離層17と共に完全に除去する。本実施形態では、隔離層190に突出部191を設け、この突出部191上に亘って保護膜16を形成することで、保護膜16に貫通部51の周縁部近傍で弾性膜50の面内方向から連通部13側に屈曲する第1の屈曲部192と、連通部13側に向かう保護膜16が貫通部51の中心側に屈曲する第2の屈曲部193とを設けるようにしたため、隔離層190上の保護膜16を剥離層17と共に除去する際に、保護膜16の屈曲した領域、すなわち、本実施形態では、第1の屈曲部192で破断することができる。
すなわち、保護膜16が平面状に設けられて屈曲されていない領域を破断しようとすると、保護膜16にクラックが発生したり、庇状に突出した残渣が発生してしまう。そして、このように保護膜16の庇状に突出した残渣は、特にインク流入時などに剥がれ易く、剥がれた残渣によってノズル開口21の目詰まり等が発生してしまう。しかしながら、本発明のように、保護膜16を屈曲された領域で破断することにより、庇状に突出した残渣やクラック等が発生するのを防止して、剥がれ落ちた残渣によるノズル開口21の目詰まり等を防止することができ、歩留まりを向上すると共に信頼性を向上することができる。
また、このように保護膜16を屈曲された領域で破断することにより、その破断面16aは、連通部13側を向いて形成される。このため、庇状の微小な残渣が発生したとしても、この残渣は連通部13側に向かって突出するため、インク流入時に剥がれ難く、ノズル開口21の目詰まり等をさらに確実に防止することができる。
さらに、本実施形態では、保護膜16を形成する前に、突出部191上の絶縁膜53を除去するようにしたため、隔離層190上に形成された保護膜16を容易に除去することができる。
また、本発明では、連通部13は、その振動板(弾性膜50)側の開口縁部が、貫通部51の開口縁部よりも外側となるように形成されている。そして、貫通部51の流路形成基板用ウェハ110側の開口縁部が、振動板(弾性膜50)のみ、すなわち、酸化物のみで構成されるようにしている。本実施形態では、連通部13の開口縁部が実質的に弾性膜50のみで構成されるようにしている。このため、連通部13等の内面に形成されている保護膜16は、剥離層17と共に剥離されて除去される際、この連通部13の開口縁部に沿って良好に分離され、隔離層190上の保護膜16のみが確実に剥離して除去される。したがって、いわゆる剥離残渣がほとんど生じることがなく、この剥離残渣によるノズル詰まり等の発生を確実に防止することができる。
また、このように隔離層190上の保護膜16を良好に剥離させるためには、貫通部51の内面(弾性膜50の端面)と振動板の表面(弾性膜50の表面)との角度が10〜90°程度の鋭角であることが好ましい(図9(a)参照)。さらに、貫通部51は、その周縁部に沿って角部が存在しないような開口形状で形成されていることが好ましい。例えば、貫通部51を略矩形の開口形状で形成する場合、その四隅を全てR形状とするのが好ましい。これにより、隔離層190上の保護膜16を剥離層17と共にさらに良好且つ確実に剥離させることとができる。
なお、本実施形態では、隔離層190上の保護膜16を剥離層17と共に除去する際に、保護膜16を第1の屈曲部192で破断する例を示したが、保護膜16は、剥離層17の除去条件などによって、第2の屈曲部193で破断される場合もある。
このように隔離層190上の保護膜16を除去した後は、図10(b)に示すように、隔離層190を連通部13側からウェットエッチングすることによって除去して貫通部51を開口させる。このとき隔離層190上には保護膜16が形成されていないため、保護膜16が隔離層190のウェットエッチングを邪魔することはない。
したがって、隔離層190を容易且つ確実にウェットエッチングにより除去して貫通部51を開口させることができる。すなわち、このような本発明の製造方法によれば、従来の機械的な加工とは異なり加工カス等の異物が発生することはない。したがって、圧力発生室12、連通部13等のインク流路内に加工カスが残留し、残留した加工カスによってノズル詰まり等の吐出不良が発生するのを確実に防止することができる。また、保護膜16が隔離層190側に庇状に突出して残渣するのを防止することができるため、隔離層190のエッチングを良好に行って、確実に隔離層190を除去することができる。
その後は、流路形成基板用ウェハ110及びリザーバ形成基板用ウェハ130の不要部分、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ110のリザーバ形成基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、リザーバ形成基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、これら流路形成基板用ウェハ110等を、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって上述した構造のインクジェット式記録ヘッドが製造される。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態1を説明したが、本発明の基本的構成は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、隔離層190として、金属材料又は樹脂材料を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、隔離層190としてリード電極90を構成する密着層91及び金属層92と同一層で、且つリード電極90とは不連続な層を用いるようにしてもよい。このような場合には、隔離層190を別途形成する工程を簡略化することができる。なお、隔離層190として、リード電極90と同一の密着層91及び金属層92を用いた場合には、保護膜16を形成する前に、密着層91の連通部13側の一部をライトエッチングするのが好ましい。これにより、保護膜16を隔離層190から剥離し易くすることができる。
また、上述した実施形態1では、隔離層190を形成した後、絶縁体膜55及び圧電素子300を形成するようにしたが、隔離層190は、リザーバ形成基板用ウェハ130を流路形成基板用ウェハ110に接合する前であれば、何れのタイミングで形成するようにしてもよい。
さらに、上述した実施形態1では、流路形成基板用ウェハ110の貫通部51により露出された表面に、貫通部51に亘って1つの凹部52を形成するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、凹部は、貫通部51に、例えば、V字形状に設けられていてもよい。また、凹部の形状も上述した実施形態1に限定されるものではなく、凹部の内側面が流路形成基板用ウェハ110の表面に対して垂直に形成されていてもよい。
また、上述した実施形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの要部拡大断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す拡大断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す拡大断面図である。
符号の説明
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 16 保護膜、 16a 破断面、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 リザーバ形成基板、 31 リザーバ部、 32 圧電素子保持部、 35 接着剤、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 51 貫通部、 52 凹部、 53 絶縁膜、 55 絶縁体膜、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 90 リード電極、 91 密着層、 92 金属層、 100 リザーバ、 110 流路形成基板用ウェハ、 130 リザーバ形成基板用ウェハ、 190 隔離層、 191 突出部、 192 第1の屈曲部、 193 第2の屈曲部、 200 駆動回路、 210 接続配線、 300 圧電素子

Claims (9)

  1. 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と、複数の圧力発生室に連通して該圧力発生室の共通の液体室となるリザーバの一部を構成する連通部とが設けられる流路形成基板の一方面側に振動板を形成すると共に、該振動板の前記連通部に相対向する領域に開口する貫通部を形成し、且つ前記流路形成基板の前記貫通部に相対向する領域に凹部を形成する工程と、
    前記流路形成基板をウェットエッチングする際に耐エッチング特性を有する絶縁膜を、前記流路形成基板の前記一方面側に前記貫通部を封止するように形成する工程と、
    前記流路形成基板の前記振動板上の前記圧力発生室に対応する領域に下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子を形成すると共に、前記絶縁膜上に隔離層を形成することにより、前記連通部の形成される領域に前記絶縁膜及び前記隔離層が前記連通部側に突出した突出部を形成する工程と、
    前記連通部と連通して前記リザーバの一部を構成するリザーバ部が形成されたリザーバ形成基板を前記流路形成基板の前記一方面側に接合する工程と、
    前記流路形成基板を他方面側からウェットエッチングすることにより、前記圧力発生室及び前記連通部を形成すると共に、前記絶縁膜を露出して前記突出部を露出する工程と、
    前記連通部側に露出された前記絶縁膜を除去して、前記隔離層で前記突出部を形成する工程と、
    前記流路形成基板の前記圧力発生室、前記連通部の内面及び前記隔離層上に、耐液体性を有する材料からなる保護膜を形成する工程と、
    前記隔離層上の前記保護膜を剥離して除去する工程と、
    前記隔離層を除去することにより前記リザーバ部と前記連通部とを連通させて前記リザーバを形成する工程とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  2. 前記流路形成基板がシリコン単結晶基板からなると共に、前記振動板を形成する工程では、前記流路形成基板を熱酸化することにより前記流路形成基板側に二酸化シリコンからなる弾性膜を有する前記振動板を形成し、前記絶縁膜を形成する工程では、前記流路形成基板を熱酸化することにより前記弾性膜と一体的に設けられた二酸化シリコンからなる当該絶縁膜を形成することを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  3. 前記保護膜を形成する工程では、当該保護膜を前記突出部上に形成することにより、前記保護膜に前記貫通部の周縁部近傍に前記振動板上から前記連通部側に屈曲した第1の屈曲部と、前記貫通部の中心側に屈曲した第2の屈曲部とを形成すると共に、前記隔離層上の前記保護膜を剥離して除去する工程では、当該保護膜の前記第1の屈曲部又は前記第2の屈曲部で破断することを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  4. 前記凹部を形成する工程では、当該凹部を前記流路形成基板の前記貫通部に相対向する領域に亘って形成することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  5. 前記凹部を形成する工程では、前記貫通部を有する前記振動板をマスクとして、前記流路形成基板を異方性エッチングすることにより形成することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  6. 前記保護膜の材料として、酸化物又は窒化物を用いたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  7. 前記保護膜を剥離する工程では、前記保護膜上に内部応力が圧縮応力である剥離層を形成した後、該剥離層を剥離することで当該剥離層と共に前記隔離層上の前記保護膜を剥離することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  8. 前記剥離層の前記保護膜との密着力が、前記保護膜と前記隔離層との密着力より大きいことを特徴とする請求項7記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  9. 前記剥離層の材料として、チタンタングステンを用いたことを特徴とする請求項7又は8記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
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