JP2008037630A - エレベータの群管理制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動復旧までの時間を短縮化でき、また、一部のエリアが走行不能でも運転を再開可能とする。
【解決手段】地震検出部12によって地震が検出された際に、運転制御部13では、エリア割当て制御部13aにより各号機のエレベータ20a,20b,20c…にチェック走行を行う階床エリアを個別に割り当る。そして、チェック走行制御部13bにより各号機をチェック走行させ、復旧運転制御部13cにより各号機の走行結果に基づいて走行可能なエリアの運転を再開する。このように、各号機で分担してチェック走行を行うことで、自動復旧までの時間を短縮化でき、また、一部のエリアが走行不能でも運転を再開できる。
【選択図】 図1
【解決手段】地震検出部12によって地震が検出された際に、運転制御部13では、エリア割当て制御部13aにより各号機のエレベータ20a,20b,20c…にチェック走行を行う階床エリアを個別に割り当る。そして、チェック走行制御部13bにより各号機をチェック走行させ、復旧運転制御部13cにより各号機の走行結果に基づいて走行可能なエリアの運転を再開する。このように、各号機で分担してチェック走行を行うことで、自動復旧までの時間を短縮化でき、また、一部のエリアが走行不能でも運転を再開できる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、エレベータの群管理制御装置に係り、特に地震発生時における自動復旧機能を備えたエレベータの群管理制御装置に関する。
通常、エレベータでは、一定レベル以上の地震が発生すると、安全のために運転が停止するようになっている。ところが、エレベータの運転を再開するためには、保守員による点検作業が必要であり、その間、利用者に多大な迷惑を掛けることになる。
従来、このような問題を回避するため、地震発生によってエレベータが停止した際に、自動的にチェック走行を行って、異常がないことが確認された場合に運転を再開するといった自動復旧の技術が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2003−321171号公報
特開2003−146552号公報
しかしながら、従来から知られている自動復旧の技術は、基本的に1台のエレベータがビルの全階床を1階床ずつチェック走行することで行っている。このため、階床数が多いビルの場合、すべての階床をチェック走行するのに時間を要し、結果的に運転を再開するまでに時間がかかるといった問題がある。さらに、チェック走行の結果、一部のエリアだけが走行不能であった場合でも運転が再開されないといった問題がある。
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、自動復旧までの時間を短縮化でき、また、一部のエリアが走行不能でも運転を再開できるエレベータの群管理制御装置を提供することを目的とする。
本発明のエレベータの群管理制御装置は、複数号機のエレベータの運転を統括的に制御するエレベータの群管理制御装置において、地震の発生を検出する地震検出手段と、この地震検出手段によって地震が検出された場合に、上記各号機に対し、チェック走行を行う階床エリアを個別に割り当てるエリア割当て制御手段と、このエリア割当て制御手段による割り当てに従って上記各号機をチェック走行させるチェック走行制御手段と、このチェック走行制御手段による上記各号機の走行結果に基づいて走行可能な階床エリアの運転を再開する復旧運転制御手段とを具備して構成される。
本発明によれば、地震発生時にチェック走行を行う階床エリアを各号機で分担して行うことで、自動復旧までの時間を短縮化でき、また、一部のエリアが走行不能でも運転を再開できる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るエレベータの群管理制御装置の全体構成を示す図である。
図1は本発明の第1の実施形態に係るエレベータの群管理制御装置の全体構成を示す図である。
群管理制御装置11は、例えばビル最上部に設けられた機械室内に設置され、複数号機のエレベータ20a,20b,20c…の運転を統括的に制御するためのコンピュータである。なお、以下の説明において、「エレベータ」と言った場合に基本的には「乗りかご」ことを示しているものとする。
この群管理制御装置11には、地震検出部12、運転制御部13、インターフェイス部14が備えられている。地震検出部12は、地震の発生を検出する。具体的には、上記機械室などに設置された地震感知センサから出力される信号を受信することで地震の発生を検出する。
運転制御部13は、例えば乗場呼びに対する最適号機の割り当てなどを行う。また、本実施形態において、この運転制御部13は、地震検出部12によって地震が検出された場合に各号機のエレベータ20a,20b,20c…の運転を停止した後、本発明の「群管理による自動復旧運転」を行う。この「群管理による自動復旧運転」を実現する機能として、運転制御部13にはエリア割当て制御部13a、チェック走行制御部13b、復旧運転制御部13cが設けられている。
エリア割当て制御部13aは、各号機のエレベータ20a,20b,20c…にチェック走行を行う階床エリア(以下、チェック走行エリアと称す)を個別に割り当てるための制御を行う。なお、チェック走行とは、乗りかごを所定レベル以下で低速運転して異常の有無を確認する走行のことである。
チェック走行制御部13bは、このエリア割当て制御部13aによって割り当てられたチェック走行エリアに基づいて各号機のエレベータ20a,20b,20c…をチェック走行させるための制御を行う。復旧運転制御部13cは、復旧運転制御部13cによる各号機の走行結果に基づいて走行可能なエリアの運転を再開するための制御を行う。
また、この群管理制御装置11には、インターフェイス部14を介して号機制御装置21a,21b,21c…が接続されている。これらの号機制御装置21a,21b,21c…は、群管理制御装置11の制御の下で各号機のエレベータ20a,20b,20c…の運転制御を行うものであり、群管理制御装置11と同様にコンピュータによって構成される。
図1の例では、号機制御装置21aはA号機のエレベータ20a、号機制御装置21bはB号機のエレベータ20b、号機制御装置21cはC号機のエレベータ20cに対応して設けられている。A号機のエレベータ20aは、巻上機22aと、この巻上機22aの回転によりロープ23aを介して昇降内を昇降動作する乗りかご24aとカウンタウェイト25aなどを備える。乗りかご24aには、行先階ボタンや戸開釦、戸閉ボタンなどを有する操作盤26aが設けられており、これらのボタン操作による各種信号は号機制御装置21aを介して群管理制御装置11に伝送される。
B号機のエレベータ20b、C号機のエレベータ20cについても同様である。すなわち、B号機のエレベータ20bは、巻上機22b、ロープ23b、乗りかご24b、カウンタウェイト25bなどを備える。乗りかご24bには、行先階ボタンや戸開釦、戸閉ボタンなどを有する操作盤26bが設けられており、これらのボタン操作による各種信号は号機制御装置21bを介して群管理制御装置11に伝送される。
C号機のエレベータ20cは、巻上機22c、ロープ23c、乗りかご24c、カウンタウェイト25cなどを備える。乗りかご24cには、行先階ボタンや戸開釦、戸閉ボタンなどを有する操作盤26cが設けられており、これらのボタン操作による各種信号は号機制御装置21cを介して群管理制御装置11に伝送される。
なお、ここではA〜Cの3号機分のエレベータの構成しか図示されていないが、さらに多数のエレベータが存在するものとする。
一方、各階の乗場31a,31b,31c…には、乗場呼びボタン32a,32b,32c…が設けられている。これらのボタン操作により、「乗場呼び」と称される呼び信号が群管理制御装置11に伝送される。群管理制御装置11では、この呼び信号を受信すると、エレベータ20a,20b,20c…の中で最も早く応答可能な乗りかごを選出して当該階床に向かわせる。
なお、図1の例では、乗場呼びボタン32a,32b,32c…が各階床で1つしか設けられていないが、各号機のエレベータ20a,20b,20c…に対応させて複数設けることでも良い。
このような構成において、地震が発生して、各号機のエレベータ20a,20b,20c…が停止したとする。この状態から自動復旧する場合において、群管理制御装置11は、群管理下にある各号機のエレベータ20a,20b,20c…にチェック走行エリアを割り当て、その情報を号機制御装置21a,21b,21c…に伝送する。これにより、各号機のエレベータ20a,20b,20c…は、自分に与えられた階床エリアのみを対象にチェック走行を行う。その結果、走行可能であれば、そのエリアに対する通常の運転サービスを再開する。一方、何らかの異常があり、走行不可能であった場合には停止状態のままとする。この場合、復旧後の運転サービスにおいて、利用者が各号機を乗り継いで移動できるように、その乗り継ぎ階を考慮してチェック走行エリアを各号機に割り当てることが望ましい。
以下に、このような「群管理による自動復旧運転」の動作について詳しく説明する。
なお、以下の各フローチャートで示される各処理は、コンピュータである群管理制御装置11が所定のプログラムを読み込むことで実行される。このプログラムは、コンピュータ上のROMなどに予め記憶されている。他の実施形態についても同様である。
なお、以下の各フローチャートで示される各処理は、コンピュータである群管理制御装置11が所定のプログラムを読み込むことで実行される。このプログラムは、コンピュータ上のROMなどに予め記憶されている。他の実施形態についても同様である。
図2は同実施形態における群管理制御装置による自動復旧運転の処理動作を示すフローチャートである。また、図3はその処理動作に含まれるエリア割当て制御に関するフローチャート、図4はその処理動作に含まれる復旧運転制御に関するフローチャートである。
図2に示すように、地震検出部12により地震が検出されると(ステップA11)、運転制御部13は、所謂「管制運転モード」に切り替えて、各号機のエレベータ20a,20b,20c…(詳しくは、各号機毎の乗りかご24a,24b,24c…)を最寄階まで移動させて、そこで停止させる(ステップA12)。
通常は、この状態で保守員の到着を待たなければならないが、ここでは、以下のような手順にて「群管理による自動復旧運転」が実行される。
(1)エリア割当て制御
まず、運転制御部13に設けられたエリア割当て制御部13aによりチェック走行エリアの割当て制御が行なわれる(ステップA13)。
まず、運転制御部13に設けられたエリア割当て制御部13aによりチェック走行エリアの割当て制御が行なわれる(ステップA13)。
図3を参照して詳しく説明すると、エリア割当て制御部13aは、チェック走行を行うエレベータの号機数を取得する(ステップB11)。この号機数は、予め固定的に決めておいても良いし、任意に設定可能としても良い。
次に、エリア割当て制御部13aは、ビルの全階床を上記号機数で等分したエリアをチェック走行エリアとして設定し(ステップB12)、各号機にそのチェック走行エリアを個別に割り当てる(ステップB13)。
図5に具体例を示す。この例では、1F〜30Fまでのビルにおいて、A号機、B号機、C号機の3台がチェック走行を行う場合を示している。A号機には1F〜10Fの階床エリアがチェック走行エリアとして割り当てられている。B号機には11F〜20Fの階床エリアがチェック走行エリアとして割り当てられている。C号機には21F〜30Fの階床エリアがチェック走行エリアとして割り当てられている。
なお、図6に示すように、各号機のチェック走行エリアを一部重複させて設定することでも良い。図6の例では、A号機のチェック走行エリアを1F〜10Fとして設定しているのに対し、B号機のチェック走行エリアを8F〜20Fとして一部重複設定している。また、C号機のチェック走行エリアを18F〜30Fとして一部重複設定している。
このように、チェック走行エリアを一部重複させておけば、復旧後の運転サービスで各号機を乗り継ぐときの階床数が増えるので便利である。ただし、重複範囲を大きく取り過ぎると、各号機で分担チェックすることの利点が損なわれるため、重複範囲は例えば2階床分くらいまでが好ましい。
(2)チェック走行制御
次に、運転制御部13に設けられたチェック走行制御部13bによりチェック走行制御が行なわれる(ステップA14)。これは、上記(1)のエリア割当て制御によって各号機に割り当てられたチェック走行エリアの情報をそれぞれに対応した号機制御装置21a,21b,21c…に伝送することで、そのチェック走行エリアを各号機毎に走行させることである。
次に、運転制御部13に設けられたチェック走行制御部13bによりチェック走行制御が行なわれる(ステップA14)。これは、上記(1)のエリア割当て制御によって各号機に割り当てられたチェック走行エリアの情報をそれぞれに対応した号機制御装置21a,21b,21c…に伝送することで、そのチェック走行エリアを各号機毎に走行させることである。
これにより、図5に示すように、A号機のエレベータ20aでは、乗りかご24aが1F〜10Fの間をチェック走行する。また、B号機、C号機でも同様であり、乗りかご24b,24cがそれぞれに割り当てられたチェック走行エリアをチェック走行する。
(3)復旧運転制御部
次に、運転制御部13に設けられた復旧運転制御部13cにより復旧運転制御が行なわれる(ステップA15)。これは、上記(2)のチェック走行制御により各号機毎にチェック走行した結果に基づいて運転を再開できるか否かを判断するものである。
次に、運転制御部13に設けられた復旧運転制御部13cにより復旧運転制御が行なわれる(ステップA15)。これは、上記(2)のチェック走行制御により各号機毎にチェック走行した結果に基づいて運転を再開できるか否かを判断するものである。
すなわち、図4に示すように、復旧運転制御部13cでは、号機制御装置21a,21b,21c…からチェック走行結果を受け、これらに個別に与えられたチェック走行エリアを正常に走行できたか否かを確認する(ステップC11)。そして、正常に走行できた場合には(ステップC11のYes)、復旧運転制御部13cは当該エリアの運転サービスを再開可能と判断する(ステップC12)。例えば、図5において、A号機がチェック走行エリアである1F〜10Fを正常に走行できたとしたら、そのエリアに関する運転サービスを再開可能とする。
一方、何らかの異常があって正常に走行できなかった場合には(ステップC11のNo)、復旧運転制御部13cは、当該エリアに対しては運転停止状態のままとする(ステップC13)。
このように、地震発生後に、各号機のエレベータがチェック走行を行う階床エリアを分担することで、階床数の多いビルであっても短時間でチェックを完了することができ、自動復旧に要する時間を大幅に短縮化できる。また、一部のエリアに異常があったとしても、完全停止とせずに走行可能なエリアの運転を再開することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、ある号機に与えたチェック走行エリアが走行不能と判定された場合に、そのチェック走行エリアを他の号機に割り当て変更するようにしたものである。
基本的な装置構成は図1と同様である。ただし、運転制御部13に設けられたエリア割当て制御部13aが走行不能と判定されたチェック走行エリアを他の号機に割当て変更する機能を備える。
図7は本発明の第2の実施形態に係るエレベータの群管理制御装置による自動復旧運転の処理動作を示すフローチャートである。ステップD11〜D14までの処理は、上記第1の実施形態における図2のステップA11〜A14と同様である。
すなわち、地震検出部12によって地震が検出されると(ステップD11)、運転制御部13では、各号機のエレベータ20a,20b,20c…の運転を一旦停止する(ステップD12)。そして、停止後の自動復旧運転として、以下のような処理を実行する。
まず、群管理下にある各号機のエレベータ20a,20b,20c…にチェック走行エリアを個別に割り当て、その情報を号機制御装置21a,21b,21c…に伝送する(ステップD13)。これにより、各号機のエレベータ20a,20b,20c…は、自分に与えられた階床エリアのみを対象にチェック走行を行う(ステップD14)。
ここで、ある号機に与えられたチェック走行エリアが走行不能であった場合(ステップD15のYes)、エリア割当て制御部13aによって当該号機のチェック走行エリアを他の号機に割り当て変更する(ステップD16)。その際の割り当て変更の対象号機としては、チェック走行の対象外であった号機とする。
具体的に説明すると、今、図8に示すように、1F〜30Fまでのビルにおいて、A号機、B号機、C号機の3台にチェック走行エリアが割り当てられたとする。A号機には1F〜10Fの階床エリアがチェック走行エリアとして割り当てられている。B号機には11F〜20Fの階床エリアがチェック走行エリアとして割り当てられている。C号機には21F〜30Fの階床エリアがチェック走行エリアとして割り当てられている。
ここで、A号機、B号機、C号機がそれぞれにチェック走行を行った結果、例えばB号機のチェック走行エリア(11F〜20F)が走行不能であった場合には、そのチェック走行エリアをD号機に割り当てる。
上記D号機は、A号機、B号機、C号機と同じ群管理に属するエレベータであるが、チェック走行の対象外として存在していたものである。なお、このような予備の号機が多数存在する場合には、これらの中の任意の号機を割り当て変更の対象号機として選定するものとする。
また、別の方法として、図9に示すように、チェック走行エリアが与えられていた号機に割り当て変更を行うことでも良い。図9の例では、A号機にB号機のチェック走行エリア(11F〜20F)を割り当て変更した場合を示している。
ただし、チェック走行エリアが与えられていた号機に割り当て変更する場合には、その号機のチェック走行エリアがその変更対象エリアと連続性を有することを条件とする。したがって、例えばC号機のチェック走行エリア(21F〜30F)が走行不能であった場合には、そのチェック走行エリアをA号機に割り当てることは禁止する。これは、チェック走行エリアに連続性がないと、無駄な移動時間が増え、チェックに時間がかかるためである。
以後は、それぞれの判定結果に基づいて走行可能なエリアの運転を再開する(ステップD17)。この場合、上記ステップD16にて他の号機に割り当て変更がなされていたならば、当該エリアの運転はその変更後の号機が行うことになる。つまり、図8の例では、D号機が11F〜20Fの運転を受け待つ。また、図9の例では、A号機が当初の1F〜10Fに加え、11F〜20Fの運転を受け待つことになる。
このように、各号機にチェック走行エリアを割り当ててチェック走行を行った結果、走行不能と判定されたチェック走行エリアがあった場合に、そのエリアを他の号機に割り当変更することで、復旧後に運転されないエリアを極力減らすことができる。
なお、上記ステップD16において、走行不能と判定されたチェック走行エリアを他の号機に割り当て変更しても再び走行不能となった場合には、さらに別の号機に割り当てることでも良い。ただし、このような割り当て変更を何度も繰り返していては復旧までに時間がかかってしまい、さらに、すべての号機に割り当て変更して試したとしても結果が変わらない可能性もある。よって、割り当て変更の回数を例えば2回までといったように制限することが好ましい。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態では、自動復旧運転のためのチェック走行エリアの割り当てを行う際に、地震発生後の各号機の停止位置を考慮するようにしたものである。
図10は本発明の第3の実施形態に係るエレベータの群管理制御装置の全体構成を示す図である。なお、図1の構成と同じ場合には同一符号を付して、その説明は省略するものとする。
図1の構成と異なる点は、群管理制御装置11に停止位置検出部15が備えられていることである。この停止位置検出部15は、地震発生時に各号機のエレベータ20a,20b,20c…が停止した位置を検出するものである。この停止位置の検出は、地震発生後の管制運転によって各号機のエレベータ20a,20b,20c…が最寄階で停止した階床を示す位置情報を号機制御装置21a,21b,21c…から取得することで行う。また、エリア割当て制御部13aは、この停止位置検出部15によって検出された各号機のエレベータ20a,20b,20c…の停止位置に基づいて、自動復旧運転のためのチェック走行エリアの割り当てを制御する。
以下に、そのエリア割当制御について説明する。
図11は同実施形態におけるエレベータの群管理制御装置のエリア割当制御に関するフローチャートである。
図11は同実施形態におけるエレベータの群管理制御装置のエリア割当制御に関するフローチャートである。
今、地震検出部12によって地震が検出され、管制運転により各号機のエレベータ20a,20b,20c…が最寄階で停止した状態にあるとする。
ここで、停止後の自動復旧運転において、運転制御部13は、エリア割当て制御部13aを通じて以下のような処理を実行する。
すなわち、まず、運転制御部13は、n=1として(ステップE11)、n号機の停止位置を停止位置検出部15から取得することにより(ステップE12)、その停止位置に近いチェック走行エリアを優先的に割り当てる(ステップE13)。このようにして、上記nを更新しながら、全エリアの割り当てを完了するまで繰り返す(ステップE14,E15)。
図12を参照して具体的に説明する。
今、1F〜30Fまでのビルにおいて、A号機、B号機、C号機の3台にチェック走行エリアを割り当てるものとする。A号機は30F、B号機は1F、C号機は15Fに停止していたとすると、それぞれの停止位置を基準にしてチェック走行エリアが割り当てられる。この場合、図3で説明したように、号機台数によって全階床を分割してチェック走行エリアを設定するとしたならば、1F〜10F、11F〜20F、21F〜30Fがチェック走行エリアとなる。
今、1F〜30Fまでのビルにおいて、A号機、B号機、C号機の3台にチェック走行エリアを割り当てるものとする。A号機は30F、B号機は1F、C号機は15Fに停止していたとすると、それぞれの停止位置を基準にしてチェック走行エリアが割り当てられる。この場合、図3で説明したように、号機台数によって全階床を分割してチェック走行エリアを設定するとしたならば、1F〜10F、11F〜20F、21F〜30Fがチェック走行エリアとなる。
ここで、A号機は30Fで停止しているので、その停止位置に最も近い21F〜30Fがチェック走行エリアとして与えられることになる。また、B号機は1Fで停止しているので、その停止位置に最も近い1F〜10Fがチェック走行エリアとして与えられ、C号機は15Fで停止しているので、その停止位置に最も近い11F〜20Fがチェック走行エリアとして与えられることになる。
このように、各号機の停止位置を考慮してチェック走行エリアを割り当てることで、各号機がそれぞれのチェック走行エリアに移動するまでの時間を短縮して、さらに効率的な復旧運転を実現できる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
上記第2の実施形態では、ある号機に与えたチェック走行エリアが走行不能であった場合に他の号機に割り当てを変更したが、第4の実施形態では、所定レベルを超える地震が発生した場合にその割り当て変更を禁止制御するようにしたものである。
基本的な装置構成は図1と同様である。ただし、上記第2の実施形態と同様に、運転制御部13に設けられたエリア割当て制御部13aが走行不能と判定されたチェック走行エリアを他の号機に割当て変更する機能を備える。
図13は本発明の第4の実施形態に係るエレベータの群管理制御装置の自動復旧運転の処理動作を示すフローチャートである。ステップF11〜F14までの処理は、上記第1の実施形態における図2のステップA11〜A14と同様である。
すなわち、地震検出部12によって地震が検出されると(ステップF11)、運転制御部13では、各号機のエレベータ20a,20b,20c…の運転を一旦停止する(ステップF12)。そして、停止後の自動復旧運転として、以下のような処理を実行する。
まず、群管理下にある各号機のエレベータ20a,20b,20c…にチェック走行エリアを個別に割り当て、その情報を号機制御装置21a,21b,21c…に伝送する(ステップF13)。これにより、各号機のエレベータ20a,20b,20c…は、自分に与えられた階床エリアのみを対象にチェック走行を行う(ステップF14)。
ここで、ある号機に与えられたチェック走行エリアが走行不能であった場合(ステップF15のYes)、地震検出部12によって検出された地震のレベルが所定レベルを超えているか否かを確認する(ステップF16)。地震のレベルが所定レベル以下であったならば(ステップF16のNo)、上記第2の実施形態と同様に、エリア割当て制御部13aによって当該号機のチェック走行エリアを他の号機に割り当て変更する(ステップF17)。他の号機とは、チェック走行対象外であった予備の号機(図8参照)、あるいは、チェック走行エリアが与えられていた各号機の中で変更対象エリアと連続性を有する号機である(図9参照)。
一方、地震のレベルが所定レベルを超えていた場合には(ステップF16のYes)、当該号機のチェック走行エリアを他の号機に割り当て変更することを禁止するものとする(ステップF18)。これは、所定レベルを超える地震が発生した場合には、他の号機に変更したとしても同じように走行不能となる可能性が非常に高いからである。
具体的に説明すると、今、図14に示すように、1F〜30Fまでのビルにおいて、A号機、B号機、C号機の3台にチェック走行エリアが割り当てられたとする。A号機には1F〜10Fの階床エリアがチェック走行エリアとして割り当てられている。B号機には11F〜20Fの階床エリアがチェック走行エリアとして割り当てられている。C号機には21F〜30Fの階床エリアがチェック走行エリアとして割り当てられている。
ここで、A号機、B号機、C号機がそれぞれにチェック走行を行った結果、例えばB号機のチェック走行エリア(11F〜20F)が走行不能であった場合において、そのときの地震レベルが所定レベルを超えていれば、D号機を含め他の号機のすべてに対して、上記走行不能と判定されたチェック走行エリア(11F〜20F)を割り当てないように制御する。
以後は、それぞれの判定結果に基づいて走行可能なエリアの運転を再開する(ステップF19)。この場合、上記ステップF17にて他の号機に割り当て変更がなされていたならば、当該エリアの運転はその変更後の号機が行うことになる。また、上記ステップF18にて他の号機に割り当て変更がなされていない場合には、当該エリアの運転は停止となる。
このように、走行不能と判定されたチェック走行エリアを他の号機に割り当て変更する際に、そのときの地震レベルが非常に大きければ、他の号機に割り当変更することを禁止する。これにより、不用意に割り当てを変更して無駄なチェック時間を費やすことを防ぐことができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
第5の実施形態では、地震の影響でカウンタウェイトがガイドレールから外れている可能性があるため、各号機にチェック走行エリアを割り当てる際に、乗りかごがガイドレールとすれ違う階床を除外するようにしたものである。
具体的に説明すると、今、図15に示すように、1F〜30Fまでのビルにおいて、A号機、B号機、C号機の3台にチェック走行エリアを割り当てる場合を想定する。A号機の乗りかご24aは、カウンタウェイト25aと共に昇降路内をつるべ式に昇降動作する。同様に、B号機の乗りかご24bはカウンタウェイト25bと共に昇降路内をつるべ式に昇降動作する。C号機の乗りかご24cはカウンタウェイト25cと共に昇降路内をつるべ式に昇降動作する。
ここで、1F〜30Fまでのビルであれば、その中央階である15階付近で各号機の乗りかご24a,24b,24cは、カウンタウェイト25a,25b,25cとすれ違うことになる。この場合、カウンタウェイト25a,25b,25cは図示せぬガイドレールに支持されているが、地震の影響でガイドレールから外れると、15階付近で乗りかご24a,24b,24cとすれ違ったときに衝突する可能性がある。
そこで、運転制御部13のエリア割当て制御部13aに、予め各号機の乗りかごがガイドレールと擦れ違う階床を登録しておき、図3に示したようなエリア割当て制御を行う際に、上記登録階床を除いてチェック走行エリアを各号機に割り当てるようにする。これにより、図15の例では、15階を除いて各号機にチェック走行エリアが割り当てられることになる。
このように、乗りかごがガイドレールと擦れ違う可能性のある階床を除外してチェック走行エリアの割り当てを行うことで、チェック走行時に乗りかごとガイドレールが衝突して二次災害を引き起こすことを未然に防ぐことができる。
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
第6の実施形態では、復旧後の各号機の運転情報を乗場および乗りかごに対して通知するようにしたものである。
図16は本発明の第6の実施形態に係るエレベータの群管理制御装置の全体構成を示す図である。なお、図1の構成と同じ場合には同一符号を付して、その説明は省略するものとする。
図1の構成と異なる点は、群管理制御装置11に通知部16が備えられていることである。この通知部16は、各階の乗場31a,31b,31c…や各号機の乗りかご24a,24b,24c…に復旧後の各号機の運転情報を通知するものである。上記運転情報には、号機別の運転階や乗り継ぎ階などの情報が含まれている。
一方、各階の乗場31a,31b,31c…には、上記通知部16からの情報を表示するための表示器41a,41b,41c…が設置されている。乗場31aを代表として、その設置例を図17に示す。
エレベータの乗場31aには乗場ドア42aと乗場呼びボタン32aが設けられており、その乗場呼びボタン32の近くに、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などからなる小型の表示器41aが設置されている。なお、この表示器41aの設置場所については特に限定されるものではなく、乗場31aにいる利用者が容易に視認可能な場所であれば、どこでも良い。
また、各号機の乗りかご24a,24b,24c…にも、上記通知部16からの情報を表示するための表示器51a,51b,51c…が設置されている。乗りかご24aを代表として、その設置例を図18に示す。
エレベータの乗りかご24aにはかごドア52aと行先階ボタンや戸開釦、戸閉ボタンなどを有する操作盤26aが設けられており、その操作盤26aの近くに、例えばLCDなどからなる小型の表示器51aが設置されている。なお、この表示器51aの設置場所については特に限定されるものではなく、乗りかご24aに乗車している利用者が容易に視認可能な場所であれば、どこでも良い。
このような構成において、各号機のエレベータの運転が再開されると、運転制御部13は通知部16を通じて各階の乗場31a,31b,31c…や各号機の乗りかご24a,24b,24c…に対して復旧後の運転情報を通知する。
具体的には、各階の乗場31a,31b,31c…に対しては、図19の例のように、現在復旧運転中であることと、各号機がどの階床を運転するかなどを通知する。また、各号機の乗りかご24a,24b,24c…に対しては、図20の例のように、現在復旧運転中であることと、どの階を運転しているのか、さらに、別の号機への乗り換え階などを通知する。
このように、各号機のエレベータの運転が復旧したときに、復旧後の運転情報を乗場や乗りかごに知らせることで、利用者は迷わずに各号機のエレベータを乗り継いで移動することができる。
なお、通知方法としては、表示に限らず、音声であっても良いし、その両方を用いることでも良い。この場合、乗場や乗りかごに表示器とは別に音声出力装置を設置することで実現できる。
その他、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の形態を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
11…群管理制御装置、12…地震検出部、13…運転制御部、13a…エリア割当て制御部、13b…チェック走行制御部、13c…復旧運転制御部、14…インターフェイス部、15…停止位置検出部、16…通知部、20a,20b,20c…エレベータ、21a,21b,21c…号機制御装置、22a,22b,22c…巻上機、23a,23b,23c…ロープ、24a,24b,24c…乗りかご、25a,25b,25c…カウンタウェイト、26a,26b,26c…操作盤、31a,31b,31c…乗場、32a,32b,32c…乗場呼びボタン、41a,41b,41c…表示器、51a,51b,51c…表示器。
Claims (9)
- 複数号機のエレベータの運転を統括的に制御するエレベータの群管理制御装置において、
地震の発生を検出する地震検出手段と、
この地震検出手段によって地震が検出された場合に、上記各号機に対し、チェック走行を行う階床エリアを個別に割り当てるエリア割当て制御手段と、
このエリア割当て制御手段による割り当てに従って上記各号機をチェック走行させるチェック走行制御手段と、
このチェック走行制御手段による上記各号機の走行結果に基づいて走行可能な階床エリアの運転を再開する復旧運転制御手段と
を具備したことを特徴とするエレベータの群管理制御装置。 - 上記エリア割当て制御手段は、復旧後に利用者が上記各号機を乗り継いで移動できるように、その乗り継ぎ階を考慮して階床エリアの割り当てを行うことを特徴とする請求項1記載のエレベータの群管理制御装置。
- 上記エリア割当て制御手段は、走行不能と判定された階床エリアを他の号機に割り当て変更することを特徴とする請求項1記載のエレベータの群管理制御装置。
- 上記エリア割当て制御手段は、上記他の号機として、チェック走行の対象外であった号機に割り当て変更を行うことを特徴とする請求項3記載のエレベータの群管理制御装置。
- 上記エリア割当て制御手段は、上記他の号機として、事前に与えられた階床エリアが上記走行不能と判定された階床エリアと連続性を有する号機に割り当て変更を行うことを特徴とする請求項3記載のエレベータの群管理制御装置。
- 上記エリア割当て制御手段は、上記地震検出手段によって所定レベルを超える地震が検出された場合には、上記走行不能と判定された階床エリアの割り当て変更を禁止することを特徴とする請求項3記載のエレベータの群管理制御装置。
- 上記各号機の停止位置を検出する停止位置検出手段を備え、
上記エリア割当て制御手段は、上記停止位置検出手段によって検出された上記各号機の停止位置に基づいて上記各号機に階床エリアの割り当てを行うことを特徴とする請求項1記載のエレベータの群管理制御装置。 - 上記エリア割当て制御手段は、乗りかごとカウンタウェイトとがすれ違う階床を除外して上記各号機に階床エリアの割り当てを行うことを特徴とする請求項1記載のエレベータの群管理制御装置。
- 上記復旧運転制御手段による復旧後の上記各号機の運転情報を乗場および乗りかごに通知する通知手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のエレベータの群管理制御装置。
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