JP2008001891A - 水性インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

水性インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 インク滴の体積が小さくても、記録媒体の種類によらずに、画像濃度及び定着性が共に優れ、更に、高速記録を行う際にも画像に白すじが生じないという優れた特性を有する水性インクを提供すること。
【解決手段】 少なくとも、水、水溶性有機溶剤、水不溶性色材、界面活性剤、及び、前記水不溶性色材に対する貧溶媒及び/又は塩を含有する水性インクであって、最大泡圧法による寿命時間50m秒における前記水性インクの動的表面張力が、47mN/mより高く、且つ、最大泡圧法による寿命時間5000m秒における動的表面張力が、38mN/m以下であることを特徴とする水性インク。
【選択図】 図1

Description

本発明は水性インクに関する。特には、インクジェット記録方式を用いた記録方法や記録装置に好適な水性インクに関する。
インクジェット記録方式に用いるインクは、高画質を達成するために、画像濃度(OD値)が高いインクが求められている。又、記録の高速化を達成するために、連続して記録を行う場合でも記録媒体の汚れがない、即ち定着性に優れたインクが求められている。更に、高速に記録を行う際には、キャリッジの各回の走査によって記録される各1ライン分の画像の境目に白すじ(つなぎすじ)が発生し、画質低下につながる場合があり、改善が求められている。
これまでに、画像濃度の向上を目的として種々の技術が提案されている。例えば、発色性に優れた色材を用いる技術、インク組成を工夫することにより、色材の会合性や凝集性を高め、記録媒体の表面により多くの色材を残す技術が挙げられる。
従来から、色材として顔料等の水不溶性色材を含有するインク(顔料インク)は、耐水性や耐光性等の堅牢性に優れた画像を与えることが知られている。近年、このようなインクによって形成されてなる画像における画像濃度をより一層向上することを目的として種々の技術が提案されている。例えば、自己分散型カーボンブラックと特定の塩とを含有するインクを用いることにより、画像濃度を向上することが提案されている(特許文献1参照)。この技術では、インク中に分散状態で存在している顔料を記録媒体の表面で強制的に凝集させることによって、記録媒体への顔料の浸透を抑制し、従来の顔料インクにより得られる画像に対して、より高い画像濃度を得ている。
しかし、上記で挙げたような従来の技術では、記録媒体の表面で顔料粒子を凝集させているため、インク滴の体積に比較して、記録媒体の表面を顔料で被覆することのできる面積(所謂、エリアファクター)が充分でない場合があることがわかった。このことは、前記した技術では、分散剤等によって顔料を分散させた従来の顔料インクと比較して、同じ画像濃度を得るために必要となるインクの付与量が多くなることを意味しており、この点で改善の余地があった。
又、上記で挙げたような従来の技術では、インクの付与量が多く、乾燥に時間がかかるため、高速で連続して記録を行う場合においては、以下に述べる連続記録時の裏移りのような問題が起きる場合がある。即ち、1枚目の記録物を形成した後2枚目の記録物がインクジェット記録装置から排出されるまでの間に、1枚目の記録物のインクが充分に乾燥(定着)していないため、1枚目の記録物のインクが2枚目の記録媒体の裏面に付着する場合がある。更に、インクジェット記録装置の高解像度化に対して、前記エリアファクターでは充分ではない場合があり、この点でも改善の余地があった。尚、インクの記録媒体に対する浸透性を高めることにより、小さい体積のインク滴でも大きなエリアファクターを得る方法は存在する。しかし、インクの浸透性を高めると、インクは記録媒体の表面だけでなく、記録媒体の深さ方向へも浸透するため、充分な画像濃度が得られない場合があった。
このような課題に対して、次のような提案がある。例えば、複数の水溶性有機溶剤及び水不溶性色材を含有するインクが以下のような構成を有することで、小さい体積のインク滴でも、記録媒体の表面近傍に色材を凝集させて、画像濃度を向上することに関する提案がある(特許文献2参照)。具体的には、前記複数の水溶性有機溶剤が自己分散型顔料に対する良溶媒及び貧溶媒であり、ブリストウ法により求められる、前記複数の水溶性有機溶剤の各々のKa値のうち最大のKa値を示す水溶性有機溶剤が貧溶媒である、という構成のインクである。
更に、記録媒体へのインクの浸透やにじみをコントロールする技術として、インクの動的表面張力に着目した提案がある。例えば、〔寿命0m秒の動的表面張力(dyne/cm)+粘度(cp)〕=42乃至49という構成のインクにより、乾燥性を向上することに関する提案がある(特許文献3参照)。又、動的表面張力の時間変化率の最大値が0.2mN/m/s以上0.4mN/m/s以下であるインクに関する提案がある(特許文献4参照)。更に、寿命時間10m秒における動的表面張力が25乃至50mN/mであり、且つ、動的表面張力の最大値と最小値の差が5mN/m以下であるインクに関する提案がある(特許文献5参照)。又更に、乾燥粘度が100mPa・s以下であり、寿命時間10m秒における動的表面張力が45mN/m以上であり、寿命時間1000m秒における動的表面張力が35mN/m以下であるインクに関する提案がある(特許文献6参照)。
又、水や水溶性有機溶剤等を含有する顔料インクを蒸発させたときの、顔料の粒径の変化や分散安定性について、以下のような提案がある。例えば、顔料インクの30質量%を蒸発させたインクにおける、顔料の平均粒径の増加率を25%以下とすることに関する提案がある(特許文献7参照)。更に、顔料インクの50質量%を蒸発させた際にも分散安定性が得られるインクに関する提案がある(特許文献8参照)。
特開2000−198955公報 特開2005−206615公報 特登録2516218号公報 特開2003−238851号公報 特開2005−200566号公報 特開2003−231838号公報 特開2002−167534号公報 特開2004−143290号公報
本発明者らが、従来のインクの利点や課題を追求し、該インクを用いて得られる画像の特徴について解析した。その結果、記録ヘッドから吐出されたインクが記録媒体に付着した後にインクが記録媒体に浸透する速度、及びインクの状態変化(色材の凝集等)の様子が、記録媒体の種類により異なることを見出した。尚、前記したインクが記録媒体に浸透する速度とは、記録媒体の内部で拡散する間の速度ではなく、インクを記録媒体に付与した後、インクが記録媒体の表面から深さ方向へ浸透を開始してから、記録媒体の表面にインクが存在しなくなるまでの速度のことである。更に、インクの浸透速度が大きい記録媒体、即ち、目が粗く空隙が多い記録媒体であるほど充分な画像濃度が得られないという傾向があることを見出した。
つまり、高い画像濃度を得るための従来の技術では、色材の状態をコントロールすることを主たる目的としている。このため、記録媒体への浸透と共に色材が凝集するインクを浸透速度が大きい記録媒体に付与すると、インクが記録媒体に浸透する間に色材の凝集が充分に起きないため、充分な画像濃度が得られない場合があった。従って、様々な種類の記録媒体に対して、記録媒体の表面により多くの色材を存在させることで、高い画像濃度を得ることがひとつの課題として挙げられる。
又、記録媒体へのインクの浸透速度を低く抑えて、色材を記録媒体の表面に多く存在させることで、画像濃度を高めるという技術がある。しかし、特に目が細かく、空隙が少ない記録媒体を用いる場合、上記で述べたような技術を用いても、インクの定着性は満足できるものではなかった。つまり、様々な種類の記録媒体に対して、インクの定着性を向上することが他の課題として挙げられる。
インクの浸透速度が大きい記録媒体に対しては、インクの組成を工夫して記録媒体へのインクの浸透を抑えることで、高い画像濃度を得ることはできる。しかし、このような組成のインクを用いる場合、インクの浸透速度が小さい記録媒体に画像を形成する場合に、インクが乾燥(定着)するまでに長い時間が必要になり、高速で連続して記録を行うこと等に対応できない場合がある。
一方で、前記とは逆に、インクの浸透速度は大きく保ちながら、インク中の色材の凝集速度を大きくすることで、記録媒体の表面に色材を存在させる方法もある。しかし、この方法では、浸透速度が大きい記録媒体に対しては、インクが記録媒体に浸透する間に色材の凝集が充分に行われないため、充分な画像濃度が得られない場合がある。又、インクを記録媒体に付与した直後から記録媒体へのインクの浸透が開始しているために、記録媒体の深さ方向に浸透する色材は減少するものの、記録媒体の内部へ色材が拡散するため、高い画像濃度が得られない場合がある。
これらに対して、前記特許文献2のように、水不溶性色材と複数の水溶性有機溶剤を特定の関係とすること、具体的には、ブリストウ法によって求められるKa値が最大の水溶性有機溶剤を水不溶性色材に対する貧溶媒とすることが行われている。これにより、小さい体積のインク滴でも、記録媒体の表面近傍に色材を効果的に拡散及び凝集させて、充分な画像濃度を得ることができるとされている。
しかし、この技術では、インクを記録媒体に付与した後に、記録媒体の表面近傍で色材を拡散させながら凝集させている。このため、拡散の初期では色材の凝集が不完全となり、インクが拡散を開始する時点で凝集を起こしていない色材は記録媒体の深さ方向に拡散する。その結果、インクの浸透速度が大きい記録媒体を用いると、高い画像濃度が得られない場合があった。このことは、記録媒体において、その表面の状態やインクに対する濡れ性が異なる場合には、記録媒体に対するインクの浸透速度及び拡散速度が異なることを意味する。そして、インクの浸透速度が大きい記録媒体に画像を形成する際には、インクの浸透及び拡散に色材の凝集が追いつかなくなり、インク中の色材が記録媒体の深さ方向へ浸透する。この結果、記録媒体の種類によっては、充分な画像濃度が得られないという課題が生じる。
本発明者らは、画像を形成する際のメカニズムを解析することで、前記課題を解決することができる支配的な技術要素を見出すことに注力した。その結果、記録媒体における色材の凝集と、インクが記録媒体に付与されてから浸透が終了するまでの挙動を適切にコントロールすることが重要であることがわかった。つまり、画像の形成に色材を効率的に用いることで、様々な記録媒体、特に、目が粗く、空隙が多い、即ち、浸透速度が大きい記録媒体に対しても、高い画像濃度を得るための、新規なインク物性の条件を見出すことが重要である。
従って、本発明の目的は、インク滴の体積が小さくても、記録媒体の種類によらずに、画像濃度及び定着性が共に優れ、更に、高速記録を行う際にも画像に白すじが生じないという優れた特性を有する水性インクを提供することにある。又、本発明の別の目的は、前記水性インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明者らが記録媒体上におけるインクの蒸発や浸透の挙動について検討を行った結果、記録媒体の表面に効果的に色材を存在させるためには、以下のことが必要であることを見出した。即ち、インクが記録媒体に付与されてから、画像濃度を高めることができる程度のインクの状態変化(インク粘度の上昇、色材の会合や凝集)が起きるまで、インクの動的表面張力を高く保ち、インクを記録媒体に浸透させないことが必要である。そして、そのためには、寿命時間50m秒において、インクの動的表面張力を47mN/mより高く保てば良いことを見出した。本発明者らは更に、画像濃度及び定着性を共に優れたものとするためには、寿命時間の変化と共にインクの動的表面張力を大きく下げる、具体的には、寿命時間50m秒及び5000m秒における動的表面張力の値が大きく変化すれば良いことを見出した。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかる水性インクは、少なくとも、水、水溶性有機溶剤、水不溶性色材、界面活性剤、及び、前記水不溶性色材に対する貧溶媒及び/又は塩を含有する水性インクであって、最大泡圧法による寿命時間50m秒における前記水性インクの動的表面張力が、47mN/mより高く、且つ、最大泡圧法による寿命時間5000m秒における動的表面張力が、38mN/m以下であることを特徴とする。
又、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録方法は、インクをインクジェット方法で吐出するインクジェット記録方法において、前記インクが、上記の水性インク又は上記のインクセットを構成するインクであることを特徴とする。
又、本発明の別の実施態様にかかるインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、前記インク収容部に収容されたインクが、上記の水性インク又は上記のインクセットを構成するインクであることを特徴とする。
又、本発明の別の実施態様にかかる記録ユニットは、インクを収容するインク収容部と、インクを吐出する記録ヘッドとを備えた記録ユニットにおいて、前記インク収容部に収容されたインクが、上記の水性インク又は上記のインクセットを構成するインクであることを特徴とする。
又、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録装置は、インクを収容するインク収容部と、インクを吐出する記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置において、前記インク収容部に収容されたインクが、上記の水性インク又は上記のインクセットを構成するインクであることを特徴とする。
本発明によれば、インク滴の体積が小さくても、記録媒体の種類によらずに、画像濃度及び定着性が共に優れ、更に、高速記録を行う際にも画像に白すじが生じないという優れた特性を有する水性インクを提供することができる。又、本発明の別の実施態様によれば、前記水性インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置を提供することができる。
以下に、発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。尚、以下の記載において、水性インクのことを「インク」と呼ぶことがある。又、水不溶性色材に対する貧溶媒を単に「貧溶媒」と呼ぶことがある。又、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。更に、本発明における浸透速度とは、インクを記録媒体に付与した後、インクが記録媒体の表面から深さ方向へ浸透を開始してから、記録媒体の表面にインクが存在しなくなるまでの時間を意味する。これは、記録媒体の内部においてインクの拡散が完了するまでの時間ではなく、記録媒体の表面にインクが存在する時間についての現象を示している。かかる現象は、インク(1つのドット)が記録ヘッドより吐出されてから記録媒体に付着して、記録媒体の表面にインクの液滴が存在しなくなるまでの様子を、記録媒体の横方向から高速度カメラ等を用いて観察すること等により確認することができる。
<本発明の技術思想及び従来技術との相違>
本発明の第1の技術思想は、インクを記録媒体に付与してから、インクの蒸発等によりインク中の貧溶媒及び/又は塩がインクの状態変化(インクの粘度の上昇、色材の会合や凝集)を起こすまでの時間に、インクの動的表面張力を一定値以上に保つことにある。これにより、記録媒体へのインクの浸透が抑制され、且つその間に色材の凝集をコントロールすることで、色材を記録媒体の表面に効果的に存在させることができる。
又、本発明の第2の技術思想は、インクを記録媒体に付与してからある程度の時間が経過した後までに、インクの表面張力を一定値まで下げることである。これにより、インクの定着性を向上することができる。
又、本発明の第3の技術思想は、インクを記録媒体に付与してから、インクの状態変化が起こるまでの時間に、インクの動的表面張力を一定値以下とすることにある。これにより、インクの表面張力が過剰に高く保たれ、記録媒体中にインクが適度に拡散する前に水不溶性色材の凝集が過度に進行するのを抑制することができる。その結果、記録媒体の表面を色材が被覆する面積(所謂、エリアファクター)が不充分となることによって生じる白すじ、特には、高速記録(1パス記録等)を行う際に顕著に生じる白すじを抑制することができる。尚、1パス記録とは、インクを吐出するための複数の吐出口を記録媒体の紙送り方向(副走査方向)に配列してなる記録ヘッドを用いて、記録動作方向(主走査方向)の往方向又は復方向の1回の主走査により画像を形成する記録方法のことである。更に、必要に応じて、前記記録ヘッドに加えて、異なる複数のインク(例えば、カラーインク)を吐出するための複数の吐出口群を記録動作方向(主走査方向)に配列してなる記録ヘッドを組み合わせて用いて、1パス記録を行うこともできる。1パス記録を行い、1回の主走査で副走査方向に配列した吐出口できるだけ多く用いることで、少ない走査回数で、即ち、高速で記録を行うことができる。
これまでにも、特許文献3乃至6のように、動的表面張力に着目したインクに関する提案がいくつかなされている。しかし、これら何れの技術も、インクが記録媒体に付与されてから浸透するまでの過程において、色材がどのような状態変化を起こしているかについては全く検討していない。つまり、特許文献3乃至6に記載の発明においては、記録媒体において起きている現象を考慮していないため、これらの文献におけるインク物性の規定だけでは、本発明者らが求める高い画像濃度を得ることはできない。
例えば、特許文献3及び4に記載の発明は、短い寿命時間の間に、いかにインクの表面張力を下げ、浸透性を高めるかということに関する技術である。しかし、これらの技術においては、インクが記録媒体に付与された直後の動的表面張力の値が、画像形成にどのような影響を与えているかということについては全く考慮していない。特に、特許文献4に記載の発明においては、動的表面張力の時間変化率が小さいため、様々な種類の記録媒体に対して画像濃度及び定着性を両立することが困難である。そのため、特許文献3及び4に記載のインクを用いても、本発明の目的を達成することは不可能であると言える。
一方、特許文献5及び6に記載の発明では、寿命時間10m秒における動的表面張力、及び動的表面張力が変化する値を規定している。そこで、本発明者らは、特許文献5及び6の条件を満たすインクを調製して、該インクにより得られる画像濃度について検討を行った。その結果、本発明者らが求めるレベルの画像濃度が得られないことがわかった。これは、寿命時間10m秒ではインクの蒸発がほとんど起こらず、記録媒体上で画像濃度を高めることができる程度のインクの状態変化(インクの粘度の上昇、色材の会合や凝集)が起きていないためであると考えられる。つまり、特許文献5及び6の技術は、記録媒体上におけるインクの状態変化を全く考慮していないため、寿命時間10m秒におけるの動的表面張力の値は、画像濃度を高めるということに関しては何の意味もなさない値であると言える。
又、特許文献4における、寿命時間10m秒における動的表面張力が45mN/mという値も、特に、目が粗く空隙が多い記録媒体においてインクの浸透を抑制するには低いものである。この点からしても、特許文献4に記載の技術は、インクの浸透速度をコントロールし、にじみ過ぎず適度な浸透を目的としたものであり、高い画像濃度を得ることはできないと言える。
<解決手段>
本発明のインクは、少なくとも、水、水溶性有機溶剤、水不溶性色材、界面活性剤、及び、前記水不溶性色材に対する貧溶媒及び/又は塩を含有するインクであって、以下の動的表面張力の特性を有することを特徴とする。即ち、最大泡圧法による寿命時間50m秒における前記インクの動的表面張力が、47mN/mより高く、且つ、最大泡圧法による寿命時間5000m秒における動的表面張力が、38mN/m以下であることを特徴とする。
尚、本発明において動的表面張力の測定に用いている最大泡圧法とは、以下のものである。具体的には、測定する液体中に浸したプローブ(細管)の先端部分で形成された気泡を放出するために必要な最大圧力を測定して、該最大圧力から表面張力を求める方法である。又、寿命時間は、最大泡圧法において、プローブの先端部分で気泡を形成する際に、気泡が先端部分から離れた後に新しい気泡の表面が形成された時点から、最大泡圧時(気泡の曲率半径とプローブ先端部分の半径が等しくなる時点)までの時間である。
本発明のポイントは、水不溶性色材の凝集、及び記録媒体へのインクの浸透、というふたつの現象のバランスを的確にコントロールすることで、画像濃度及び定着性を両立することにある。このためには、インクの蒸発や記録媒体がインクで濡れることによるインク中の成分の比率の変化により起こる水不溶性色材の凝集、及び、インクの動的表面張力の変化により起こる浸透の開始時間、のバランスを取ることが重要である。
寿命時間50m秒におけるインクの動的表面張力の値が、画像濃度及びインクの定着性等の画像特性にどのような影響を与えているかを以下に述べる。
図1は、インクの動的表面張力が変化する状態の一例を示す図である。図1において、(1)は時間変化を通して47mN/mより高い動的表面張力を維持するインクである。(2)及び(3)は寿命時間50m秒における動的表面張力が47mN/mより高く、時間変化と共に動的表面張力が低下するインクである。ここで、(3)のインクの動的表面張力は時間変化と共に更に大きく変化し、寿命時間5000m秒における動的表面張力が38mN/m以下となる。(4)は、極短い寿命時間における動的表面張力は47mN/mより高いが、時間変化と共に動的表面張力が大きく変化し、寿命時間50m秒における動的表面張力は47mN/m以下となり、その後も時間変化と共に動的表面張力が低下するインクである。(5)は極短い寿命時間からすでに動的表面張力が低く、その後も時間変化と共に動的表面張力が低下するインクである。(6)は、水不溶性色材に対する貧溶媒及び塩を含有しないインクである。
上記で挙げたような動的表面張力の変化の特性を有するインクは、寿命時間50m秒の時点での記録媒体におけるインクの状態がそれぞれ異なる。図1の(1)、(2)及び(3)のインクは、寿命時間50m秒における動的表面張力が47mN/mより高くなっている。ここで、寿命時間50m秒における動的表面張力を47mN/mより高くすることで、目が粗く空隙が多い記録媒体、即ち、浸透速度が大きい記録媒体であっても、記録媒体へのインクの浸透開始を抑制することができる。又、このとき、インクが水不溶性色材に対する貧溶媒及び/又は塩を含有することにより、インク中の水分の蒸発に伴う水不溶性色材の凝集等のインクの状態変化が起こることで、高い画像濃度を得ることができる。本発明者らの検討によると、これは以下のようなメカニズムによるものと考えられる。つまり、画像濃度を高めることができる程度のインクの状態変化(インク粘度の上昇)が起きる時間、即ち、インクが記録媒体に付与されてから50m秒経った時点で、インクの動的表面張力を47mN/mより高く保つ。このことにより、記録媒体上においてインク中の水分が蒸発することでインクの状態変化(インクの粘度の上昇)が起き、インクの組成が変化する。その結果、インク中における水不溶性色材に対する貧溶媒及び/又は塩の濃度が変化することにより、水不溶性色材の凝集等が起こる。これにより、記録媒体の表面に水不溶性色材を効果的に存在させることができる。前記したメカニズムにより、(1)、(2)及び(3)のような特性を有するインクは、目が粗く空隙が多い記録媒体、即ち、浸透速度が大きい記録媒体であっても、高い画像濃度を得ることができる。
一方、(4)及び(5)のインクは、インクが記録媒体に付与されてから50m秒が経過する以前に、動的表面張力が47mN/m以下となっている。ここで、このような特性を有するインクを浸透速度が小さい記録媒体へ付与する場合、インクが記録媒体にゆっくり浸透するため、浸透と共に水不溶性色材の凝集が起こり、記録媒体の表面近傍に水不溶性色材を存在させることができる。しかし、このような特性を有するインクを、目が粗く、空隙が多い、即ち、浸透速度が大きい記録媒体に付与する場合、インクの状態変化(インクの粘度の上昇、色材の会合や凝集)が起きる前に記録媒体へのインクの浸透が開始する。その結果、記録媒体の表面に水不溶性色材を効果的に存在させることができない。つまり、(4)及び(5)のような特性を有するインクは、目が粗く空隙が多い記録媒体、即ち、浸透速度が大きい記録媒体を用いる場合、浸透速度が凝集速度よりも大きいため、水不溶性色材が記録媒体へと浸透することになり、画像濃度が低くなる。
尚、(6)のインクは、水不溶性色材に対する貧溶媒及び塩を含有しない。このようなインクを、目が粗く、空隙が多い、即ち、浸透速度が大きい記録媒体に付与する場合、高い画像濃度を得るためには、寿命時間50m秒における動的表面張力が49mN/m以上であるインクとすることが必要である。
上記で述べたように、インクが水不溶性色材に対する貧溶媒及び/又は塩を含有しない場合に、目が粗く空隙が多い記録媒体、即ち、浸透速度が大きい記録媒体であっても、高い画像濃度を得るためには、インクの動的表面張力を以下のようにする必要がある。即ち、寿命時間50m秒におけるインクの動的表面張力を49mN/m以上とすることが必要である。一方、インクが水不溶性色材に対する貧溶媒及び/又は塩を含有する場合、寿命時間50m秒におけるインクの動的表面張力を47mN/mより高くすれば良い。このような構成のインクとすることで、目が粗く空隙が多い記録媒体、即ち、浸透速度が大きい記録媒体であっても、高い画像濃度を得ることができる。これは、貧溶媒及び/又は塩を含有するインクは、これを含有しないインクと比較して、最大泡圧法による寿命時間50m秒におけるインクの動的表面張力を低くしても高い画像濃度が得られことを意味する。
又、インクの定着性を向上する、つまり、定着速度を高めるためには、時間変化と共にインクの動的表面張力が低下することが好ましい。具体的には、最大泡圧法による寿命時間5000m秒における動的表面張力が38mN/m以下であることが必要である。これは、寿命時間5000m秒における動的表面張力が38mN/m以下であれば、目が細かく、空隙が少ない記録媒体であっても、記録媒体の表面に存在する余剰の液体成分が記録媒体へ浸透する速度を高くすることができ、定着速度を高められるためである。従って、図1における、高い画像濃度を得ることができる(1)、(2)及び(3)のインクについて、定着速度を高くするためには、寿命時間5000m秒における動的表面張力が38mN/m以下である(3)のインクとすることが必要である。
尚、寿命時間5000m秒における動的表面張力が低すぎると、記録媒体の内部(記録媒体の厚さの方向)へインクが容易に浸透するため、記録媒体の裏面までインクが抜ける、即ち、裏抜けが発生する場合がある。このため、寿命時間5000m秒における動的表面張力は、28mN/m以上、更には32mN/m以上とすることが好ましい。勿論、本発明はこれに限られるものではない。
更に、高い画像濃度が得られ、且つ、白すじが発生しない高品質な画像を得るためには、寿命時間50m秒におけるインクの動的表面張力を53mN/m以下とすることが好ましい。寿命時間50m秒におけるインクの動的表面張力が53mN/mを上回る場合、インクが記録媒体に付着した直後から記録媒体へのインクの浸透が開始するまでの短い時間に、記録媒体上でインクが充分に広がることができない場合がある。このため、インクが記録媒体を効率的に覆うことができないため、白すじ(つなぎすじ)が発生する場合がある。この白すじ(つなぎすじ)とは、上記で述べた通り、1パス記録におけるN走査目とN+1走査目の記録部分のつなぎ目において発生する白いすじのことであり、従来から知られている吐出不良等による着弾位置のずれに起因して生じる白すじとは異なる。寿命時間50m秒におけるインクの動的表面張力を53mN/m以下とすることで、白すじを抑制できる理由は明確には定かではないが、本発明者らは以下のふたつの要因が白すじの発生の原因となると推測している。
先ず、寿命時間50m秒における動的表面張力が53mN/mより高いインクは、記録媒体に隣接して付与された複数のインク滴が互いに寄り集まる傾向がある。このため、初めの記録パスで記録した部分の端部に存在するインクが、インクがリッチな中央部の領域に引き寄せられる。同様にして、次の記録パスで記録した部分の端部に存在するインクも、インクがリッチな中央部に引き寄せられる。その結果、初めの記録パスで記録した部分の端部と、次の記録パスで記録した部分の端部との間に白すじが生じるものと考えられる。このため、寿命時間50m秒におけるインクの動的表面張力を53mN/m以下とすることが好ましい。
又、インクが記録媒体に付与されてから浸透するまでには50m秒以上の時間がかかると考えられる。この間に、水不溶性色材の凝集やインクの粘度の上昇が過度に進行することで、記録媒体上における水不溶性色材の拡散が過度に抑制され、充分なエリアファクターが得られなくなる。この結果、複数の記録パスで記録する部分のつなぎ目において、記録が行われていない部分が局部的に生じ、白すじが生じるものと考えられる。
<インク>
本発明のインクは、上記で説明した動的表面張力の特性を有すること、及び、インクが水不溶性色材に対する貧溶媒及び/又は塩を含有することを主たる特徴とする。インクの動的表面張力の調整は、例えば、インク中の浸透剤、例えば、界面活性剤や水溶性有機溶剤の種類及び含有量を適切に組み合わせて行うことができる。本発明のインクは、上記で挙げたこと以外は、従来のインクと同様の構成とすればよい。下記に、本発明のインクを構成する各成分について説明する。
(界面活性剤)
界面活性剤は、本発明のインクが上記で説明したような動的表面張力の変化を示すように調節されてなるものであれば、特に限定されるものではない。インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上0.75質量%以下であることが好ましい。含有量が0.10質量%未満であると、寿命時間5000m秒における動的表面張力を38mN/m以下とするのが難しい場合がある。又、含有量が0.75質量%を上回ると、寿命時間50m秒における動的表面張力を47mN/mより高くするのが難しい場合がある。更に、界面活性剤の含有量が多すぎると、水不溶性色材として顔料を用いる場合に、インク中に過剰に存在する界面活性剤が、顔料の分散特性や凝集特性に影響を与え、蒸発等によるインクの状態変化が起こる場合がある。界面活性剤は、具体的には、例えば以下のものを用いることができる。
〔ノニオン性界面活性剤〕
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体等。脂肪酸ジエタノールアミド、アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物、アセチレングリコール系界面活性剤等。
〔アニオン性界面活性剤〕
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルフォン酸塩等。アルファスルホ脂肪酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルフェノールスルフォン酸塩、アルキルナフタリンスルフォン酸塩、アルキルテトラリンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等。
〔カチオン性界面活性剤〕
アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド等。
〔両性界面活性剤〕
アルキルカルボキシベタイン等。
〔その他の界面活性剤〕
フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等。
本発明のインクが上記で説明した動的表面張力の特性を有するようにするためには、上記に挙げた界面活性剤の1種又は2種以上を用いて動的表面張力を調整することで行うことができる。本発明においては、上記の界面活性剤の中でもノニオン性界面活性剤を用いることが好ましく、更にはポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いることが好ましい。特には、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルにおけるアルキル基の炭素原子の数が12乃至18であることが好ましく、中でも特に、前記アルキル基が、ラウリル基、セチル基、又はオレイル基であることが好ましい。
又、本発明においては、グリフィン法により求められる界面活性剤のHLB値が、8.0以上15.5以下、更には9.0以上14.0以下、特には9.0以上13.6以下である界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤のHLB値が8.0未満であると、水に対する界面活性剤の溶解性が低いため、インクに溶けにくく、インク滴の表面に界面活性剤が偏在する場合がある。又、界面活性剤のHLB値が15.5を上回ると、インクの動的表面張力の変化が小さくなり、本発明の効果を充分に得られない場合がある。
(水性媒体)
本発明のインクには、水及び水溶性有機溶剤との混合溶媒である水性媒体を用いることができる。尚、本発明においては、水溶性有機溶剤を選択する際には、後述する方法で、水不溶性色材に対する貧溶媒を判別した後に、水溶性有機溶剤を選択して適宜に配合し、インクを調製することが好ましい。水溶性有機溶剤は、本発明のインクが上記で説明したような動的表面張力の変化を示すように調節されてなるものであれば、特に限定されるものではない。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、後述する貧溶媒としての挙動を示す水溶性有機溶剤を含めて、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%未満であることが好ましい。水溶性有機溶剤は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。
エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等の炭素原子数1乃至6のアルカノール。N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド。アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン。ケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル。グリセリン。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール等のグリコール類。1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価アルコール類。エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類。2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリン等の複素環類。ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物類。
上記の中でも、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ピロリドンを用いることが特に好ましい。又、浸透性が高い水溶性有機溶剤である、エタノール、2−プロパノール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類、アルキレングリコール類を用いることが特に好ましい。
本発明のインクが、上記で説明した動的表面張力の特性を有するようにするためには、上記に挙げた水溶性有機溶剤の1種又は2種以上を用いてインクの動的表面張力を調整することでも行うことができる。
更に、本発明においては、後述する方法で、水不溶性色材に対する貧溶媒及び良溶媒を判別した後に、インク中の、良溶媒の含有量の合計(質量%)をX、貧溶媒の含有量の合計(質量%)をYとしたときに、X及びYの比率を以下のようにすることが好ましい。即ち、XとYとの質量比率[良溶媒の含有量の合計(質量%):貧溶媒の含有量の合計(質量%)]が、X:Y=10:5以上10:30以下の範囲内となるように、インクを構成する水溶性有機溶剤の種類と含有量とを調整することが好ましい。尚、「X:Yの比率が、X:Y=10:5以上10:30以下」とは、Xを10としたときにYが5以上30以下ということを意味する。
又、水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。又、インク中の水の含有量(質量%)は、インクを安定して吐出するために適切な粘度を有し、且つ、ノズル先端における目詰まりが抑制されたインクとするために、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
(水不溶性色材に対する貧溶媒及び/又は塩)
本発明のインクは、水不溶性色材に対する貧溶媒及び/又は塩を凝集促進剤として含有することが必要である。本発明における凝集促進剤は、インクの蒸発や濡れ性の変化が起きない状態ではインク中に安定に存在するが、インクの蒸発や濡れ性の変化が起きた際に水不溶性色材の凝集を促進する作用を有するものである。具体的には、貧溶媒や塩は、インクを吐出した後の蒸発や、インクを記録媒体に付与した後に記録媒体の濡れ性が変化することにより、インクを構成する成分の比率の変化が起きた際に、水不溶性色材の凝集を促進する作用を有する。
本発明においては、動的表面張力が寿命時間と共に変化するインクが凝集促進剤を含有することで、以下に述べるようなメカニズムにより高い画像濃度を得ることができる。本発明のインクを記録媒体に付与する場合、目が粗く、空隙が多い、即ち、浸透速度が大きい記録媒体であっても、凝集促進剤の作用により水不溶性色材が凝集することで、インクの状態変化が起こり、記録媒体へのインクの浸透を抑制することができる。つまり、インクを記録媒体に付与してからインクの浸透が起こるまでの間に、凝集促進剤の作用により水不溶性色材が凝集する、即ち、インクの状態が変化する。この結果、目が粗く、空隙が多い、即ち、浸透速度が大きい記録媒体であっても、記録媒体へのインクの浸透速度を抑制することが可能となる。そして、インク中の水不溶性色材を記録媒体の表面で凝集させた後に、記録媒体へのインクの浸透が開始することで、インク中の水不溶性色材をより効率的に記録媒体の表面に存在させることが可能となる。つまり、インクを記録媒体に付与してからインクの浸透が起こるまでの間、即ち、インクが記録媒体の表面に存在する間に、確実に水不溶性色材の凝集を開始させるための凝集促進剤を用いることが、本発明のポイントとなる。
本発明で用いる凝集促進剤の具体例は、水不溶性色材に対する貧溶媒、及び塩が挙げられる。上記で述べたように、インクの蒸発や濡れ性の変化が起きない状態では水不溶性色材がインク中に安定して存在することができるが、インクの蒸発や濡れ性の変化が起きた際に水不溶性色材の凝集を促進する作用を有するものである。以下に水不溶性色材に対する貧溶媒及び塩について説明する。
〔水不溶性色材に対する貧溶媒〕
本発明における貧溶媒とは、水不溶性色材の分散方法に関わらず、当該水溶性有機溶剤に対して水不溶性色材の分散状態を安定に保つことができないもののことをいう。本発明においては、上記で説明した貧溶媒としての挙動を示す水溶性有機溶剤を水不溶性色材の凝集促進剤として用い、インク中(蒸発の伴わない状態)の貧溶媒の含有量を、水不溶性色材が安定に分散することができるように設定する。そして、かかるインクを記録媒体に付与すると、インクが蒸発する過程において貧溶媒の濃度が相対的に増加する。インク中の貧溶媒の含有量は、この際に水不溶性色材が凝集を開始することができる程度とすることが好ましい。本発明においては、水不溶性色材に対して貧溶媒として作用する水溶性有機溶剤は、下記のようにして、対象となる水不溶性色材に対する分散安定性を判定して用いる。尚、貧溶媒ではない水溶性有機溶剤を、本発明においては良溶媒と呼ぶ。
より具体的には、下記の方法で、ある水不溶性色材に対して用いる水溶性有機溶剤が、良溶媒となっているか、又は貧溶媒となっているかの判定を行った。先ず、下記に挙げた、判定対象の水溶性有機溶剤を含有する、ある水不溶性色材の分散液A、及び前記水不溶性色材の水分散液B、の2種類の分散液を調製する。
A:判定対象の水溶性有機溶剤の含有量が50質量%、水不溶性色材の含有量、又は水不溶性色材及びその分散に寄与する物質の総量の含有量が5質量%、水の含有量が45質量%である組成の水不溶性色材の分散液。
B:水不溶性色材の含有量、又は水不溶性色材及びその分散に寄与する物質の総量の含有量が5質量%、水の含有量が95質量%である組成の水不溶性色材の水分散液。
次に、前記分散液Aを60℃で48時間保存した後に常温に冷ました分散液Aの水不溶性色材の平均粒径を、濃厚系粒径アナライザー(商品名:FPAR−1000;大塚電子製)等を用いて測定する。又、前記水分散液Bも、上記と同様に60℃で48時間保存した後に常温に冷ました水分散液Bの水不溶性色材の平均粒径を、濃厚系粒径アナライザー等を用いて測定する。そして、前記分散液A及び水分散液Bにおける各水不溶性色材の平均粒径の値を、粒径(A)及び粒径(B)とする。このときに、粒径(A)が粒径(B)よりも大きい場合、前記水溶性有機溶剤を貧溶媒、粒径(A)が粒径(B)と同等又はそれ以下の場合、前記水溶性有機溶剤を良溶媒、と判定する。
このようにして判定した貧溶媒を用いて本発明で規定する構成を有するインクを調製したところ、前記したような優れた効果が得られることが確認された。
又、以下に述べる方法を用いれば、組成が未知のインクであっても、該インクが本発明に該当するか否かを容易に確認することができる。先ず、組成が未知のインク中に含有されている水溶性有機溶剤の種類やその含有量を、ガスクロマトグラフィ(GC/MS)等により分析する。具体的には、例えば、組成が未知のインク1gを分取して、メタノールで所定の倍率に希釈したサンプルを、GC/MS(商品名:TRACE DSQ;ThermoQuest製)等を用いて分析する。これにより、水性媒体中に含有される水溶性有機溶剤の種類やその含有量を同定することができる。
次に、同定した水溶性有機溶剤が良溶媒となっているか、又は貧溶媒となっているかの判定を行う必要がある。上記で述べた貧溶媒及び良溶媒の判定方法では、水溶性有機溶剤及び水を含有する液体中に自己分散顔料を分散した分散液を調製する。インクからこのような分散液を調製する際には、インクから水不溶性色材、又は、水不溶性色材及びその分散に寄与する物質を抽出する必要がある。しかし、この場合には、抽出処理を行う過程で、水不溶性色材、又は、水不溶性色材及びその分散に寄与する物質が変質等を起こす可能性がある。
そこで、本発明者らは、組成が未知のインクそのものを用いた貧溶媒及び良溶媒の判定方法であって、且つ、上記で説明した貧溶媒及び良溶媒の判定方法と判定結果が整合する方法について検討を行った。その結果、下記の方法を、組成が未知のインクそのものを用いた貧溶媒及び良溶媒の判定方法として適用できることを見出した。
上記のように同定したインク中の水溶性有機溶剤を、該インク中における前記水溶性化合物の含有量と等しい量で加えた希釈液を調製する。そして、この希釈液を60℃で48時間保存した後に常温に冷ました希釈液の水不溶性色材の平均粒径を、濃厚系粒径アナライザー(商品名:FPAR−1000;大塚電子製)等を用いて測定する。又、60℃で48時間の保存をしない状態のインクの水不溶性色材の平均粒径も、上記と同様に測定する。そして、60℃で48時間保存した希釈液、及び60℃で48時間の保存をしない状態のインクにおける各水不溶性色材の平均粒径の値を、粒径(A)及び粒径(B)とする。このときに、粒径(A)が粒径(B)よりも大きい場合、前記水溶性有機溶剤を貧溶媒、粒径(A)が粒径(B)と同等又はそれ以下の場合、前記水溶性有機溶剤を良溶媒、と判定する。
インク中の貧溶媒の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%未満、更には10.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。含有量が3.0質量%を下回ると、貧溶媒による水不溶性色材を凝集する効果が得られず、記録媒体の表面により多くの水不溶性色材を存在させることができない場合がある。又、含有量が50.0質量%以上であると、インクの保存安定性が得られない場合がある。尚、前記インクの保存安定性とは、一般に水の蒸発の伴わない状態での保存安定性のことである。
本発明で用いることができる貧溶媒である水溶性有機溶剤の具体例は、イソプロパノール、トリエチレングリコール、2−ピロリドン、平均分子量が200以上のポリエチレングリコール、少なくとも主鎖の両末端に水酸基を有するジオール類等が挙げられる。中でも特に、2−ピロリドン、1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール600(平均分子量600)、ポリエチレングリコール1000(平均分子量1000)等を用いることが好ましい。勿論、本発明で用いることができる貧溶媒はこれらに限られるものではない。
〔塩〕
本発明で用いる塩は、インク中で電解質として作用するものであれば、何れのものも用いることができる。本発明においては、塩を水不溶性色材の凝集促進剤として用い、インク中(蒸発の伴わない状態)の塩の含有量を、水不溶性色材が安定に分散することができるように設定する。そして、かかるインクを記録媒体に付与すると、インクが蒸発する過程において塩、即ち電解質の濃度が相対的に増加する。インク中の塩の含有量は、この際に水不溶性色材が凝集を開始することができる程度とすることが好ましい。
本発明においては、インク中における塩の形態は、その一部が解離した状態、又は完全に解離した状態の何れの形態であってもよい。本発明においては、これらの状態のことを何れも、インクが「塩」を含有する、と表現する。本発明のインクに用いることができる塩は、下記の陽イオンと、これらの陽イオンに結合する陰イオンで構成される塩のことであり、塩の少なくとも一部が水に可溶であることが好ましい。塩を形成するための陽イオンは、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。Li、Na、K等の1価の金属イオン、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+等の2価の金属イオン、Al3+、Fe3+、Cr3+、Y3+等の3価の金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン等。又、前記した陽イオンに結合する陰イオンは、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。Cl、Br、I、ClO、ClO 、ClO 、ClO 、NO 、NO 、SO 2−、CO 2−、HCOO、CHCOO、C(COO、CCOO、C(COO等。勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明のインクにおいては、陽イオンがアンモニウムである場合、優れた耐水性が得られるために、好ましい。特に、NHNO、C(COONH、C(COONH、(NHSO等は比較的短い時間で耐水性が発現するため、特に好ましい。
尚、本発明においては、水不溶性色材の分散状態を不安定化することができる水溶性染料やイオン性基を有するポリマー等も塩として用いることができる。
インク中の塩の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.01質量%以上10.0質量%以下、更には、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。含有量が0.01質量%を下回ると、本発明の効果が得られない場合があり、10.0質量%を上回ると、インクの保存安定性等が得られない場合がある。尚、前記インクの保存安定性とは、一般に水の蒸発の伴わない状態での保存安定性のことである。
〔貧溶媒及び塩の併用〕
本発明のインクは、貧溶媒及び塩を共に含有してもよい。本発明においては、貧溶媒及び塩を水不溶性色材の凝集促進剤として用い、インク中(蒸発の伴わない状態)の貧溶媒の含有量及び塩の含有量を、水不溶性色材が安定に分散することができるように設定する。そして、かかるインクを記録媒体に付与すると、インクが蒸発する過程において貧溶媒の濃度及び塩(電解質)の濃度が相対的に増加する。インク中の貧溶媒の含有量及び塩の含有量は、この際に水不溶性色材が凝集を開始することができる程度とすることが好ましい。
貧溶媒及び塩を併用する場合の、貧溶媒の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上40.0質量%以下、更には、3.0質量%以上20.0質量%以下とすることが好ましい。又、貧溶媒及び塩を併用する場合の、塩の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.01質量%以上5.0質量%以下、更には、0.1質量%以上5.0質量%以下とすることが好ましい。更に、貧溶媒及び塩を併用する場合の、インク中の貧溶媒の含有量及び塩の含有量の比(貧溶媒/塩)は、0.6以上200以下とすることが好ましい。貧溶媒の含有量及び塩の含有量の比を上記範囲とすることで、本発明の効果をより効率的に得ることが可能となる。
(水不溶性色材)
本発明のインクに用いる色材は、カーボンブラックや有機顔料等の水不溶性色材である。水不溶性色材は、その分散方式にかかわらず、何れのものも用いることができる。例えば、分散剤や界面活性剤を用いる樹脂分散タイプの色材(樹脂分散型色材)や、色材粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの色材(自己分散型色材)を用いることができる。又、色材の分散性を高めて分散剤等を用いることなく分散可能としたマイクロカプセル型色材や、色材粒子の表面に高分子を含む有機基を化学的に結合した色材(ポリマー結合型自己分散色材)を用いることができる。勿論、これらの分散方法の異なる水不溶性色材を組み合わせて用いることも可能である。インク中の水不溶性色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下、更には、1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
〔カーボンブラック〕
カーボンブラックは、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラックを用いることができる。具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。
レイヴァン:1170、1190ULTRA−II、1200、1250、1255、1500、2000、3500、5000、5250、5750、7000(以上、コロンビア製)。ブラックパールズL、リーガル:330R、400R、660R、モウグルL。モナク:700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、ヴァルカンXC−72R(以上、キャボット製)。カラーブラック:FW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリンテックス:35、U、V、140U、140V、スペシャルブラック:4、4A、5、6(以上、デグッサ製)。No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学製)。
しかし、本発明はこれらに限定されるものではなく、公知のカーボンブラックを用いることができる。又、マグネタイトやフェライト等の磁性体微粒子や、チタンブラック等を顔料として用いることもできる。
〔有機顔料〕
有機顔料は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。
トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッド等の水不溶性アゾ顔料。リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の水溶性アゾ顔料。アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体。フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料。キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系顔料。ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系顔料。イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系顔料。ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッド等のイミダゾロン系顔料。ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系顔料。インジゴ系顔料。
縮合アゾ系顔料。チオインジゴ系顔料。フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等のその他の顔料等。
又、有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで示すと、例えば、以下のものを用いることができる。
C.I.ピグメントイエロー:12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、151、153、154、166、168等。C.I.ピグメントオレンジ:16、36、43、51、55、59、61、71等。C.I.ピグメントレッド:9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240等。C.I.ピグメントバイオレット:19、23、29、30、37、40、50等。C.I.ピグメントブルー:15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64等。C.I.ピグメントグリーン:7、36等。C.I.ピグメントブラウン:23、25、26等。
〔分散剤〕
本発明においては、水不溶性色材をインク中に分散するために分散剤を用いることもできる。分散剤は、少なくとも一部が水溶性を有する樹脂であれば何れのものも用いることができる。樹脂の重量平均分子量は、1,000以上30,000以下、更には、3,000以上15,000以下のものであることが好ましい。インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。又、インク中の水不溶性色材の含有量及び樹脂の含有量の比率(P/B比)は、0.02以上150以下であることが好ましい。
分散剤は、具体的には、例えば、以下の群から選ばれる少なくとも2種の単量体(そのうち少なくとも1種は親水性単量体)で構成されるブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩等を用いることができる。これらの樹脂は、塩基を溶解した水溶液に可溶、即ち、アルカリ可溶型樹脂である。スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体等。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びその誘導体等。又、ロジン、シェラック、デンプン等の天然樹脂を用いることもできる。
〔自己分散型顔料〕
本発明においては、自己分散タイプの色材(自己分散型色材)を用いることが特に好ましい。本発明者らは、特定の凝集挙動を示す自己分散型色材(以下、自己分散型顔料と呼ぶことがある)が、優れた画像濃度を得るために特に効果的であることを見出した。
一般に、自己分散型顔料と、前記自己分散型顔料に対する貧溶媒及び/又は塩(凝集促進剤)とを含有するインクを記録媒体に付与すると、下記の現象が起こる。即ち、記録媒体上においてインク中の水分が蒸発することや、インク中の水溶性有機溶剤と自己分散型顔料等の固形分との固液分離が起こるによって、急激にインク中の自己分散型顔料の分散状態が不安定化して、自己分散型顔料の凝集が起こる。この凝集の際には、インク中の凝集促進剤の濃度が相対的に高くなることが、顔料の分散状態の不安定化に多大な影響を及ぼすと考えられる。実際に、凝集促進剤を含有するインクと、凝集促進剤を含有しないインクとでは、凝集促進剤を含有するインクを用いた場合の方が、記録媒体の表面に存在する自己分散型顔料が多くなり、画像濃度が高くなる。
本発明者らの検討の結果、上記で説明した動的表面張力の特性を有するインクは、凝集促進剤の種類が同じであっても、自己分散型顔料の種類が異なると、得られる画像濃度に大きく差が生じることがわかった。
そこで本発明者らは、種々の自己分散型顔料を含有するインクについて、記録媒体上でインク中の水分が蒸発すること等により、インク中の塩濃度が相対的に増加したときの自己分散型顔料の凝集挙動をモデル的に観察するために、以下のような検討を行った。具体的には、種々の自己分散型顔料を含有するインクを調製し、これに分散状態を安定に保つことができる程度の塩化ナトリウムをそれぞれ添加した。そして、かかるインクを蒸発させることによりインク中の塩化ナトリウムの濃度を相対的に増加させ、塩化ナトリウムの濃度と自己分散型顔料の平均粒径との関係を調べた。次に、自己分散型顔料の平均粒径が増大する最小量の塩化ナトリウムを添加したインクを基準として、そこからのインクの蒸発率(%)を横軸、平均粒径の増加率を縦軸として、グラフを作成した(図2)。尚、以下の記載において、「蒸発率」とは、自己分散型顔料の平均粒径が増加する最小の塩化ナトリウムを添加したインクを基準(初期のインク)として、該インクを蒸発させる場合に、以下の式で求められる値を蒸発率とする。即ち、蒸発率は、蒸発率(%)={(初期のインクの質量−蒸発後のインクの質量)/初期のインクの質量}×100、として求める値とする。
その結果、自己分散型顔料は、大きく3つのタイプ(図2における(A)、(B)、(C))の曲線に大別されることがわかった。更に、これらの自己分散型顔料をそれぞれ含有するインクを用いて画像を形成したところ、得られる画像濃度に差が生じることがわかった。即ち、図2における(A)の凝集挙動を示す自己分散型顔料を含有するインクは、特に優れた画像濃度を与えた。又、図2における(B)の凝集挙動を示す自己分散型顔料を含有するインクは、(A)のインクよりは劣るが、優れた画像濃度を与えた。又、図2における(C)の凝集挙動を示す自己分散型顔料を含有するインクは、(B)のインクと比較して、いくつかの記録媒体では画像濃度が若干低いものの、概して高い画像濃度を与えた。以上のことから、本発明者らは、図2における曲線の接線の傾き、即ち、インクの蒸発に伴う自己分散型顔料の平均粒径の変化が、画像濃度と何らかの相関を有することを見出した。
図2における曲線の接線の傾きと画像濃度との関係について、以下に説明する。蒸発率が30%であるときの平均粒径の増加率が大きい自己分散型顔料は、凝集速度が大きい自己分散型顔料であると考えることができる。ここで、蒸発率が30%であるときの平均粒径の増加率Aがある一定値以上である自己分散型顔料(例えば、前記した(A)及び(B)の場合)は、記録媒体上において、以下のような凝集挙動を示すと考えられる。即ち、インク中の水分の蒸発等により、自己分散型顔料の分散状態が不安定となった後に、速やかに自己分散型顔料の凝集が起こると考えられる。本発明のインクのように、インクが記録媒体に付与されてから、動的表面張力がある期間一定値以上に保たれるインクにおいては、記録媒体へのインクの浸透が抑制されている間に、凝集促進剤の効果も相まって、自己分散型顔料の凝集が特に速やかに起こる。このような理由により、自己分散型顔料を記録媒体の表面に特に効果的に存在させることができるため、優れた画像濃度が得られるものと考えられる。
一方、蒸発率が30%であるときの平均粒径の増加率Aがある一定値未満である自己分散型顔料(例えば、前記した(C)の場合)は、記録媒体上において、以下のような凝集挙動を示すと考えられる。即ち、インク中の水分の蒸発等により、自己分散型顔料の分散状態が不安定となった後に、緩やかに自己分散型顔料の凝集が起こると考えられる。このため、前記した(A)及び(B)の場合と比較すると、インクが記録媒体に付与されてから、動的表面張力がある期間一定値以上に保たれている間における自己分散型顔料の凝集の進行は相対的に遅くなる。この結果、記録媒体の表面に存在する自己分散型顔料が相対的に少なくなり、目が粗く空隙が多い記録媒体、即ち、浸透速度が大きい記録媒体を用いると画像濃度が相対的に低下すると考えられる。
本発明者らは、本発明で規定する動的表面張力の特性を有するインク中に種々の自己分散型顔料を添加して得られた各インクにおける蒸発率と、画像濃度との関係について検討を行った。その結果、蒸発率30%における自己分散型顔料の凝集速度と、画像濃度に大きな相関があることを見出した。即ち、蒸発率が30%に達するまでに、平均粒径が初期の液体の15倍以上となる凝集速度を有する自己分散型顔料を用いることで、特に優れた画像濃度が得られることを知見した。本発明者らはこの理由を以下のように推測している。
本発明で規定する動的表面張力の特性を有するインクは、インクが記録媒体に付与されてから、動的表面張力がある期間一定値以上に保たれ、記録媒体へのインクの浸透が抑制される。この間にインク滴の表面近傍で水分等の蒸発が起こり、インク滴の表面近傍における自己分散型顔料の分散状態が次第に不安定化し、自己分散型顔料の凝集が始まる。その後、記録媒体に付与されたインクは時間の経過に伴い記録媒体への浸透を開始する。このとき、記録媒体へのインクの浸透が開始する時間と、記録媒体に付与されたインク滴の表面近傍での水分等の蒸発率が30%に達する時間とのスケールがほぼ同じである。このことから、蒸発率が30%における顔料の凝集速度が、画像濃度に大きく相関すると考えられる。
上記で述べたことから、本発明においては、特に優れた画像濃度を得るためには、具体的には、蒸発率30%における平均粒径の増加率Aの値が15以上である自己分散型顔料を用いることが特に好ましい。
具体的には、以下の条件を満足する自己分散型顔料を用いることが特に好ましい。インクに自己分散型顔料の平均粒径が変化する最小量の塩化ナトリウムを添加した液体(「初期の液体」とする)を調製する。そして、{(初期の液体の質量−蒸発後の液体の質量)/初期の液体の質量}×100、として求められる蒸発率30%における自己分散型顔料の平均粒径の増加率Aを、以下の式(1)により求める。このとき、A≧15の条件を満たす自己分散型顔料を用いることで、特に優れた画像濃度を得ることができる。
Figure 2008001891
尚、平均粒径の増加率を実際に求める際には、以下の手順で行うことが好ましい。先ず、インク中の自己分散型顔料の平均粒径(Rとする)を測定する。次に、前記と同様のインクに、塩化ナトリウムの添加量を0.1g、0.2g、・・・Ngと0.1g単位で加え、総量を100.0gに調整した複数の液体を調製する。そして、これらの各液体中における、自己分散型顔料の平均粒径(R0.1、R0.2、・・・、Rとする)をそれぞれ測定する。このとき、自己分散型顔料の平均粒径Rが、塩化ナトリウムを含まない液体中における自己分散型顔料の平均粒径Rよりも大きくなるときの塩化ナトリウムの添加量を、「自己分散型顔料の平均粒径が変化する最小量」とする。
水溶性有機溶剤や界面活性剤は、その種類や含有量によっては、自己分散型顔料の分散状態、即ち自己分散型顔料の平均粒径に影響を及ぼす場合があることが知られている。しかし、本発明者らの検討の結果、水性インクとして通常用いる範囲であれば、水溶性有機溶剤や界面活性剤等は、自己分散型顔料の平均粒径が変化した後の平均粒径の増加率に対してほとんど影響を与えないことがわかった。従って、上記で述べた平均粒径の増加率の算出方法は、自己分散型顔料を含有するインクであれば、その他に、染料、水溶性有機溶剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、キレート化剤等の添加剤を含有するインクにも同様に適用できる。
本発明者らの更なる検討の結果、前記液体の蒸発率が30%の状態から更に蒸発が進んだ、蒸発率50%における自己分散型顔料の凝集速度も、画像濃度に大きな相関があることがわかった。即ち、蒸発率50%における平均粒径の増加率Aが、蒸発率30%における平均粒径の増加率Aに対して、ある一定値より大きい自己分散型顔料(例えば、前記した(A)の場合)は、記録媒体上において、以下のような凝集挙動を示すと考えられる。即ち、蒸発率が30%から50%に達するまでの自己分散型顔料の凝集は、蒸発率が0%(初期)から30%に達するまでの自己分散型顔料の凝集と比較して、更に速やかに起こると考えられる。このような自己分散型顔料の記録媒体上における凝集速度を考えると、インク中の水分等の蒸発が進めば進むほど自己分散型顔料の凝集が加速度的に起こる。このような理由により、自己分散型顔料を記録媒体の表面に極めて効果的に存在させることができるため、極めて優れた画像濃度が得られるものと考えられる。
一方、蒸発率50%における平均粒径の増加率Aが、蒸発率30%における平均粒径の増加率Aに対して、ある一定値以下である自己分散型顔料(例えば、前記した(B)の場合)は、記録媒体上において、以下のような凝集挙動を示すと考えられる。即ち、蒸発率が30%から50%に達するまでの自己分散型顔料の凝集は、蒸発率が0%(初期)から30%に達するまでの凝集挙動と比較して、緩やかに起こると考えられる。
このような自己分散型顔料の凝集速度の違いが画像性能に影響を与えるため、前記した(A)のような凝集速度を有する自己分散型顔料を含有するインクは、極めて優れた画像濃度を与える。これは、かかるインクが記録媒体に付与されてから、動的表面張力がある期間一定値以上に保たれ、記録媒体へのインクの浸透が抑制されている間に、凝集促進剤の効果も相まって、自己分散型顔料の凝集が極めて速やかに起こるためである。
本発明者らは、本発明で規定する動的表面張力の特性を有するインク中に種々の自己分散型顔料を添加して得られた各インクにおける蒸発率と、画像濃度との関係について検討を行った。その結果、蒸発率30%及び50%における自己分散型顔料の凝集速度と、画像濃度に特に大きな相関があることがわかった。具体的には、上記で述べたように、蒸発率が30%に達するまでに、平均粒径が初期の液体の15倍以上となる凝集速度を有する自己分散型顔料が、更に以下の凝集速度を有することで、極めて優れた画像濃度が得られることを知見した。即ち、蒸発率50%における平均粒径の増加率が、蒸発率30%における平均粒径の増加率に対して、5/3より大きい前記自己分散型顔料を用いることで、極めて優れた画像濃度が得られることを知見した。
具体的には、以下の条件を満足する自己分散型顔料を用いることが特に好ましい。先ず、上記と同様に、インクに自己分散型顔料の平均粒径が変化する最小量の塩化ナトリウムを添加した液体(「初期の液体」とする)を調製する。そして、{(初期の液体の質量−蒸発後の液体の質量)/初期の液体の質量}×100、として求められる蒸発率50%における自己分散型顔料の平均粒径の増加率Aを、以下の式(2)により求める。このとき、A>(5/3)×Aの条件を満たす自己分散型顔料を用いることで、特に優れた画像濃度を得ることができる。
Figure 2008001891
本発明者らは、A>(5/3)×Aの条件を満たす自己分散型顔料を用いることで、特に優れた画像濃度を得ることができる理由を以下のように推測している。上記で述べたように、インクが記録媒体に付与されてから、インク滴の表面近傍での蒸発率が30%に達する時間のスケールと、記録媒体中へのインクの浸透が開始する時間のスケールとは、ほぼ同じである。更に時間が経過すると、記録媒体へのインクの浸透が急速に進む。この過程において、インク滴の表面近傍では引き続き水分等の蒸発が起こり、自己分散型顔料の凝集はよりいっそう進行する。このとき、自己分散型顔料の凝集の進行が速いと、記録媒体へのインクの浸透が急速に進む過程においても、自己分散型顔料の多くは記録媒体の表面上に残ることができる。一方で、自己分散型顔料の凝集の進行が遅いと、記録媒体へのインクの浸透が急速に進むことによって、自己分散型顔料が記録媒体の表面上に残る割合が小さくなる。インク滴の表面近傍での水分等の蒸発が50%に達するときには、記録媒体へのインクの浸透はほぼ終了している。つまり、蒸発率50%における自己分散型顔料の凝集速度が、画像濃度に特に大きく相関すると考えられる。
このようにして、記録媒体の表面上に自己分散型顔料を非常に効果的に存在させることができるため、極めて優れた画像濃度が得られると考えられる。即ち、蒸発率30%における凝集速度よりも、蒸発率30%から50%に達するまでの凝集速度の方が大きい自己分散型顔料を用いることで、極めて優れた画像濃度を得ることができる。つまり、蒸発率30%におけるAの値が15以上であり、且つ、蒸発率50%におけるAの値がAの値に対して5/3倍より大きい自己分散型顔料を用いることが特に好ましい。
具体的には、以下の条件を満足する自己分散型顔料を用いることが特に好ましい。即ち、前記したように、前記液体の蒸発率30%における自己分散型顔料の平均粒径の増加率Aが、A≧15の条件を満たす自己分散型顔料を用いることで、優れた画像濃度を得ることができる。尚、Aの上限は特に限られるものではないが、50以下、更には30以下とすることが好ましい。即ち、15≦A≦50、更には15≦A≦30とすることが好ましい。更に、前記液体の蒸発率50%における自己分散型顔料の平均粒径の増加率Aが、A>(5/3)×Aの条件を満たす自己分散型顔料を用いることで、極めて優れた画像濃度を得ることができる。
自己分散型顔料は、上記で述べた凝集速度の特性を有するものであれば、何れのものも用いることができる。本発明においては、顔料粒子の表面に−R−(COOM)基が直接又は他の原子団を介して結合した自己分散型顔料を用いることが特に好ましい。尚、前記式中、Rはアルキレン基又は芳香環であり、Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムであり、nは1乃至3の整数である。前記アルキレン基は、炭素数1乃至6であることが好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンテン基、ヘキシレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。前記芳香環は、ベンゼン環及びナフチレン環等が挙げられる。前記アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、及びカリウムが挙げられる。前記有機アンモニウムは、アセトアミド、ベンズアミド、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、及びフェニルアミノ等が挙げられる。本発明においては特に、ジアゾカップリング法等により得られる、−R−(COOM)基を少なくとも有する化合物を顔料粒子の表面に結合した自己分散型顔料を用いることが好ましい。
前記−R−(COOM)基の顔料粒子表面への導入量は、顔料粒子の単位表面積当たりの導入量を多くすることが、本発明の効果を得るためには好ましい。具体的には、顔料粒子の単位表面積当たりのイオン性基密度が1.0μmol/m以上、更には2.5μmol/m以上であることが好ましい。尚、イオン性基密度は、例えば、顔料分散液中のナトリウム等のアルカリ金属イオン濃度を、イオンメーター等を用いて測定し、得られた値からイオン性基密度に換算することによって求めることができる。
本発明のインクに用いる自己分散型顔料は、上記で述べた蒸発率と平均粒径の増加率の関係を満たすものであれば、1種又は2種以上を用いることができる。更に、色調等を整えるために、自己分散型顔料に加えて、他の色材を組み合わせて用いることができる。但し、他の色材を用いる場合は、これを用いることによる効果が得られ、且つ、本発明の目的効果を損なわない範囲で用いることが好ましい。
<水不溶性色材、塩、及び浸透剤の関係>
インク中の水不溶性色材、塩、及び浸透剤の関係について説明する。上記で述べた通り、本発明においては、水不溶性色材として自己分散型顔料を用いることが特に好ましい。自己分散型顔料のイオン性基密度と、塩、浸透剤(特には界面活性剤)の含有量との間には密接な関係があり、本発明の効果を効率的に得るためには、塩や界面活性剤の含有量を後述するように調整することが好ましい。
自己分散型顔料のイオン性基密度は分散安定性に大きく関係し、イオン性基密度が高いほど自己分散型顔料の分散状態は安定となる傾向がある。イオン性基密度が低い自己分散型顔料を含有するインクは、前記インクが記録媒体に付与されてから50m秒が経過した時点で、記録媒体上においてインク中の水分が蒸発することにより自己分散型顔料の分散状態は相対的に容易に不安定化する。このとき、イオン性基密度が低い自己分散型顔料を含有するインクは、自己分散型顔料の分散状態の安定性が相対的に低いため、相対的に少ない塩を用いることで、記録媒体の表面に自己分散型顔料を効果的に存在させることができる。一方、イオン性基密度が高い自己分散型顔料を含有するインクは、前記インクが記録媒体に付与されてから50m秒が経過した時点で、記録媒体上においてインク中の水分は蒸発するものの、自己分散型顔料は依然として安定した分散状態を保っている。このため、記録媒体の表面に効果的に水不溶性色材を存在させるためには、塩のような凝集促進剤を用いることが必要である。
上記で述べたように、自己分散型顔料のイオン性基密度とインク中の塩の含有量には密接な関係があり、イオン性基密度が高いほど、記録媒体の表面に効果的に水不溶性色材を存在させるために必要な塩の含有量は大きくなる傾向がある。イオン性基密度と自己分散型顔料の分散状態とは、以下のような関係になっている。イオン性基密度が相対的に低い自己分散型顔料を用いる場合、寿命時間50m秒におけるインクの表面張力が49mN/m以上であると、上記で述べたように、自己分散型顔料の分散状態の安定性が相対的に低い。このため、イオン性基密度が1.0μmol/m以上2.5μmol/m未満である自己分散型顔料を用いる場合、本発明で規定する動的表面張力の特性を有するインクには塩を添加しなくとも、優れた画像濃度を得ることができる。一方で、イオン性基密度が相対的に高い自己分散型顔料を用いる場合、寿命時間50m秒におけるインクの表面張力が49mN/m未満であると、上記で述べたように、自己分散型顔料の分散状態が相対的に高い。このため、本発明の動的表面張力の特性を有するインクの色材として、イオン性基密度が2.5μmol/m以上4.0μmol/m以下である自己分散型顔料を用いる場合、優れた画像濃度を得るためには、塩を含有するインクを用いることが好ましい。
又、自己分散型顔料のイオン性基密度は、浸透剤、特に界面活性剤の含有量にも大きく関係する。即ち、自己分散型顔料のイオン性基密度が高いほど、界面活性剤が自己分散型顔料に吸着するサイトが相対的に少なくなるため、インク中の界面活性剤の含有量は小さくすることができる。一方、自己分散型顔料のイオン性基密度が低いほど、界面活性剤が自己分散型顔料に吸着するサイトが相対的に多くなるため、インク中の界面活性剤の含有量を大きくする必要がある場合がある。
(その他の成分)
本発明のインクは、上記で挙げた成分の他に、保湿性維持のために、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の保湿性固形分を含有してもよい。インク中における保湿性固形分の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上20.0質量%以下、更には、3.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
本発明のインクは、上記で挙げた成分以外にも本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、種々の添加剤を含有してもよい。添加剤は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。尿素又はエチレン尿素等の含窒素化合物、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤等を用いることができる。
<インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置>
次に、インクジェット記録装置の一例について以下に説明する。上記で説明した本発明の水性インクは、インクジェット用として用いることが特に好ましい。先ず、熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置の主要部である記録ヘッドの構成の一例を図3及び図4に示す。図3は、インク流路に沿った記録ヘッド13の断面図であり、図4は図3のA−B線での切断面図である。記録ヘッド13はインクを通す流路(ノズル)14を有するガラス、セラミック、シリコン又はプラスチック板等と発熱素子基板15とを接着して得られる。
発熱素子基板15は、保護層16、電極17−1及び17−2、発熱抵抗体層18、蓄熱層19、基板20より構成される。前記保護層16は、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン等で形成される。前記電極17−1及び17−2は、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金等で形成される。前記発熱抵抗体層18は、HfB、TaN、TaAl等の高融点材料等で形成される。前記蓄熱層19は、熱酸化シリコン、酸化アルミニウム等で形成される。又、前記基板20は、シリコン、アルミニウム、窒化アルミニウム等の放熱性のよい材料等で形成される。
上記記録ヘッド13の電極17−1及び17−2にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板15のnで示される領域が急速に発熱し、この表面に接しているインク21に気泡が発生する。そして、気泡の圧力でメニスカス23が突出し、インク21が記録ヘッドのノズル14を通して吐出し、吐出オリフィス22よりインク滴24となり、記録媒体25に向かって飛ぶ。
図5は、図3に示した記録ヘッドを多数並べたマルチヘッドの一例の外観図である。このマルチヘッドは、マルチノズル26を有するガラス板27と、図1に説明したものと同じような発熱ヘッド28を接着して作られている。
図6に、この記録ヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例である。図6において、ワイピング部材であるブレード61の一端はブレード保持部材によって保持固定されており、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は、記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、又、図示した例の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。62は記録ヘッド65の吐出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配置され、記録ヘッド65の移動方向と垂直方向に移動して、インク吐出口面と当接して、キャッピングを行う構成を備える。更に、63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。ブレード61、キャップ62、及びインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及びインク吸収体63によって、吐出口面の水分、塵埃等の除去が行われる。65は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。51は記録媒体を挿入するための給紙部、52は不図示のモーターにより駆動される紙送りローラーである。これらの構成により、記録ヘッド65の吐出口面と対向する位置へ記録媒体が給紙され、記録の進行につれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙される。以上の構成において、記録が終了して記録ヘッド65がホームポジションへ戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。その結果、記録ヘッド65の吐出口がワイピングされる。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は上記したワイピングのときの位置と同じ位置に存在する。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。上記で述べた記録ヘッド65のホームポジションへの移動は記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
図7は、記録ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジの一例を示す図である。ここで40は供給用インクを収納したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクを記録ヘッドに供給可能にする。44は廃インクを受容するインク吸収体である。
インクジェット記録装置は、上記で述べたように記録ヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図8に示すように、記録ヘッドとインクカートリッジが一体になったものにも好適に用いられる。図8において、記録ユニット70の中にはインクを収容するインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数の吐出口を有する記録ヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。又、インク吸収体を用いないで、インク収容部がその内部にバネ等を有するインク袋であるような構造でもよい。72はカートリッジ内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は図6に示す記録ヘッド65に換えて用いられるものであって、キャリッジ66に対して着脱自在になっている。
尚、本発明にいては、インクジェット記録装置の記録ヘッドから吐出するインク滴の吐出量は、インク1ドットあたり5.0ng以上30ng以下、更にはインク1ドットあたり10.0ng以上25.0ng以下であることが特に好ましい。インク1ドットあたりの吐出量が5.0ng未満であると、エリアファクターが充分に得られず、白すじが発生する場合がある。又、インク1ドットあたりの吐出量が30.0ngを上回ると、インク滴が大きすぎるため、記録媒体へのインクの浸透に時間がかかり、定着性が低下する場合がある。
次に、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の好ましい一例は、以下の構成のオンデマンド型インクジェット記録ヘッドを有するものが挙げられる。具体的には、インクジェット記録装置は、複数のノズルを有するノズル形成基板、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料で構成される圧力発生素子を有する。そして、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インク滴をノズルから吐出する。上記したインクジェット記録装置の主要部である記録ヘッドの構成の一例を図9に示す。記録ヘッドは、インク流路80、オリフィスプレート81、振動板82、圧電素子83、オリフィスプレート81、振動板82等を支持固定するための基板84とから構成されている。インクは、インク室(不図示)に連通したインク流路80から、オリフィスプレート81を通じて所望の体積のインク滴となり吐出される。このとき、インクは、圧力を加える振動板82、この振動板82に接合されて電気信号により変位する圧電素子83の作用により吐出される。前記インク流路80は、感光性樹脂等で形成される。前記オリフィスプレート81においては、ステンレス、ニッケル等の金属を電鋳やプレス加工による穴あけ等により吐出口85が形成される。前記振動板82は、ステンレス、ニッケル、チタン等の金属フィルム及び高弾性樹脂フィルム等で形成される。又、前記圧電素子83は、チタン酸バリウム、PZT等の誘電体材料で形成される。上記したような構成を有する記録ヘッドは、圧電素子83にパルス状の電圧を与えることにより歪み応力を発生させる。そして、そのエネルギーが圧電素子83に接合された振動板を変形させ、インク流路80内のインクを垂直に加圧しインク滴(不図示)をオリフィスプレート81の吐出口85より吐出して記録を行うように動作する。このような記録ヘッドは、図6に示したものと同様のインクジェット記録装置に組み込んで用いることができる。又、インクジェット記録装置の細部の動作は、上記したものと同様とすることができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記実施例によって限定されるものではない。尚、文中「部」、及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液Aの調製)
pH3.0の酸性カーボンブラック(商品名:MA−77;三菱化成製)300gを、水1000mlに添加してよく混合した。これに、次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)450gを滴下して、温度を100℃乃至105℃として10時間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(商品名:標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を充分に水洗して、顔料ウェットケーキを得た。得られた顔料ウェットケーキを水3000mlに分散して、電導度が0.2μsとなるまで逆浸透膜を用いて脱塩して、pH8乃至10の顔料分散液を得た。得られた顔料分散液を、顔料濃度が10質量%となるまで濃縮して、分散液を調製した。上記の方法により、カーボンブラック粒子表面に−COONa基が導入されてなる自己分散型カーボンブラックAが水中に分散された状態の顔料分散液Aを得た。
(顔料分散液Bの調製)
5.5gの水に2.5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態でp−アミノ安息香酸0.8gを加えた。次に、この溶液が入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態にし、これに5℃の水9gに亜硝酸ナトリウム0.9gを溶かした溶液を加えた。この溶液を更に15分間撹拌後、比表面積が220m/gでDBP吸油量が105mL/100gであるカーボンブラック9gを撹拌下で加えた。その後、更に15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(商品名:標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を充分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、自己分散型カーボンブラックを調製した。更に、上記で得られた自己分散型カーボンブラックに水を加えて顔料濃度が10質量%となるように分散させ、分散液を調製した。上記の方法により、カーボンブラック粒子表面に−C−COONa基が導入されてなる自己分散型カーボンブラックBが水中に分散された状態の顔料分散液Bを得た。
上記で調製した自己分散型カーボンブラックBのイオン性基密度を測定したところ、1.0μmol/mであった。この際に用いたイオン性基密度の測定方法は、上記で調製した顔料分散液中のナトリウムイオン濃度をイオンメーター(DKK製)を用いて測定し、その値から自己分散型カーボンブラックのイオン性基密度に換算した。
(顔料分散液Cの調製)
5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態でp−アミノ安息香酸1.55gを加えた。次に、この溶液が入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに5℃の水9gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かした溶液を加えた。この溶液を更に15分間撹拌後、比表面積が220m/gでDBP吸油量が105mL/100gであるカーボンブラック6gを撹拌下で加えた。その後、更に15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(商品名:標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を充分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、自己分散型カーボンブラックを調製した。更に、上記で得られた自己分散型カーボンブラックに水を加えて顔料濃度が10質量%となるように分散させ、分散液を調製した。上記の方法により、カーボンブラック粒子表面に−C−COONa基が導入されてなる自己分散型カーボンブラックC(顔料C)が水中に分散された状態の顔料分散液Cを得た。上記で調製した自己分散型カーボンブラックCのイオン性基密度を、自己分散型カーボンブラックBと同様の方法で測定したところ、2.6μmol/mであった。
(顔料分散液Dの調製)
5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で4−アミノ−1,2−ベンゼンジカルボン酸1.5gを加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態にし、これに5℃の水9gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かした溶液を加えた。この溶液を更に15分間撹拌後、比表面積が220m/gでDBP吸油量が105mL/100gであるカーボンブラック6gを撹拌下で加えた。その後、更に15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(商品名:標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を充分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、自己分散型カーボンブラックを調製した。更に、上記で得られた自己分散型カーボンブラックに水を加えて顔料濃度が10質量%となるように分散させ、分散液を調製した。上記の方法により、カーボンブラック粒子表面に−C−(COONa)基が導入されてなる自己分散型カーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散液を得た。
尚、上記で調製した自己分散型カーボンブラックのイオン性基密度を測定したところ、3.1μmol/mであった。この際に用いたイオン性基密度の測定方法は、上記で調製した顔料分散液中のナトリウムイオン濃度をイオンメーター(東亜DKK製)を用いて測定し、その値から自己分散型カーボンブラックのイオン性基密度に換算した。
<インクの調製>
下記表1に示す各成分を混合し、充分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過を行い、インク1〜4を調製した。
Figure 2008001891
<自己分散型顔料の凝集速度の検証>
(自己分散型顔料の平均粒径が変化する塩化ナトリウムの最小量の検証)
上記で得られた各インクについて、自己分散型顔料の平均粒径が変化する塩化ナトリウムの最小量を検証した。ここでは、インク4を例に挙げて、検証方法を具体的に記載する。
下記表2の上段に示す各成分を混合して、塩化ナトリウムの添加量がそれぞれ異なる各液体を調製した。そして、各液体中の自己分散型顔料の平均粒径を、濃厚系粒径アナライザー(商品名:FPAR−1000;大塚電子製)を用いて測定した。得られた結果を表2の下段に示す。
Figure 2008001891
表2から明らかであるように、液体a〜eの塩化ナトリウムの添加量では自己分散型顔料の平均粒径が変化しなかった。一方、液体fの塩化ナトリウムの添加量(0.8g)としたときに、自己分散型顔料の平均粒径が変化することがわかった。この結果、インク4において自己分散型顔料の平均粒径が変化する塩化ナトリウムの最小量を含有する液体には、液体eが該当すると判断した。この液体eを、インク4の自己分散型顔料の平均粒径が変化する塩化ナトリウムの最小量を含有する液体4とした。
インク1〜3についても、上記と同様にして検証を行い、自己分散型顔料の平均粒径が変化する塩化ナトリウムの最小量を含有する液体1〜3をそれぞれ得た。液体1〜3中の塩化ナトリウムの含有量は、液体1が0.2g、液体2が0.5g、液体3が1.1gであった。尚、液体の番号は、インクの番号と対応している。
(蒸発による自己分散型顔料の平均粒径の変化)
上記で得られた液体1〜4(「初期の液体」とする)を、温度30℃、相対湿度10%の環境で静置して、液体中の水分を蒸発させた。そして、下記の式(A)により求められる蒸発率(%)が、30%、及び50%となった時点で、各液体中の自己分散型顔料の平均粒径を測定した。
Figure 2008001891
更に、初期の液体(即ち、蒸発率0%)、及び蒸発率30%の液体における自己分散型顔料の平均粒径の値から、下記式(1)により、平均粒径の増加率(A)を求めた。又、初期の液体(即ち、蒸発率0%)、及び蒸発率50%の液体における自己分散型顔料の平均粒径の値から、下記式(2)により、平均粒径の増加率(A)を求めた。
Figure 2008001891
Figure 2008001891
上記で得られた各値から、Aの値、Aの値、及び(5/3)×Aの値を求めた。又、各液体が、A≧15、及び、A>(5/3)×A、の関係を満たすか否かを調べた。得られた結果を表3に示す。尚、表3中の結果は、各関係を満たす場合を○とし、満たさない場合を×として示した。
Figure 2008001891
<各水溶性有機溶剤の貧溶媒及び良溶媒の判定>
上記顔料分散液A〜D中の顔料に対して貧溶媒又は良溶媒として作用する水溶性有機溶剤を選択するために、以下の実験を行った。先ず、上記顔料分散液A〜D(顔料濃度10質量%)を用いて、以下の配合比にて貧溶媒及び良溶媒の判定用の、分散液A及び水分散液Bを調製した。
(分散液の配合比)
〔分散液A〕
・各顔料分散液(顔料濃度10質量%) 50部
・表4に記載の各水溶性有機溶剤 50部
〔水分散液B〕
・各顔料分散液(顔料濃度10質量%) 50部
・純水 50部
(判定方法及び判定結果)
次に、上記のようにして調製した分散液A及び水分散液B各10gを、それぞれ透明なガラス製フタつきサンプルビンに入れ、蓋をした後、充分撹拌し、これを60℃で48時間静置した。その後、常温に冷ました各分散液Aを測定用サンプルとして、分散液A中の顔料の平均粒径を、濃厚系粒径アナライザー(商品名:FPAR−1000;大塚電子製)を用いて測定した。又、常温に冷ました各水分散液B中の顔料の平均粒径も、上記と同様にして測定した。60℃、48時間保存後の分散液A及び水分散液B中の顔料の平均粒径が、分散液Aの方が水分散液Bより大きくなる水溶性有機溶剤を貧溶媒と判定した。又、60℃、48時間保存後の分散液Aの平均粒径が、水分散液Bと同等又はそれ以下になる水溶性有機溶剤を貧溶媒でない、即ち良溶媒と判定した。
表4に、上記のようにして顔料の平均粒径を測定することで、各水溶性有機溶剤について、貧溶媒又は良溶媒の何れか該当するかについての判定した結果を示した。表4中の結果は、顔料の平均粒径の増大が認められ、貧溶媒と判定された場合を○とし、顔料の平均粒径の増大が認められず、良溶媒と判定された場合を×として示した。
Figure 2008001891
<界面活性剤のHLB値及び構造>
界面活性剤のHLB値を求めた。具体的には、各界面活性剤の主成分について、グリフィン法(下記式(3))及びデイビス法(下記式(4))を用いて、HLB値を計算した。結果を表5に示す。
ここで、グリフィン法及びデイビス法について説明する。グリフィン法によるHLB値は、界面活性剤の親水基の式量と分子量を元に、下記式(3)で求める。又、デイビス法によるHLB値は界面活性剤の官能基に固有の基数を定め、下記式(4)で求める。
Figure 2008001891
尚、表5中、エマルミン CC−100、エマルミン CC−200、エマルミン NL90、エマルミン NL80、エマルミン CO−50、エマルミン CO−200、エマルミン L380は全て三洋化成工業製の界面活性剤である。又、アセチレノール E100は川研ファインケミカル製の界面活性剤である。
又、表5には、各界面活性剤の主成分の構造、及び、かかる界面活性剤の構造がポリオキシエチレンアルキルエーテルである場合には、アルキル基の炭素原子の数及びアルキル基の名称も併せて示した。
Figure 2008001891
<インクの調製>
下記表6〜表9に示した各成分を混合し、充分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過を行い、実施例1〜16、比較例1〜10、及び参考例1〜3のインクを調製した。尚、表6〜表9中、エマルミン CC−100、エマルミン CC−200、エマルミン NL90、エマルミン NL80、エマルミン CO−50、エマルミン CO−200、エマルミン L380は全て三洋化成工業製の界面活性剤である。又、アセチレノール E100は川研ファインケミカル製の界面活性剤である。
Figure 2008001891
Figure 2008001891
Figure 2008001891
Figure 2008001891
<評価>
(動的表面張力の測定)
上記で得られた各インクについて、最大泡圧法により動的表面張力の測定を行う装置(BP−D4;協和界面化学製)を用いて、(1)寿命時間50m秒及び(2)5000m秒におけるインクの動的表面張力を測定した。動的表面張力の評価結果を表10に示す。
(画像濃度、定着性、及び白すじの評価)
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填して、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置iP3100(キヤノン製)を改造したものに搭載した。その後、下記の記録媒体に画像(詳細は後述する)を形成した。尚、インク1ドットあたりの吐出量は、24ng±10%以内である。
プリンタドライバはデフォルトモードを選択した。
・用紙の種類:普通紙
・印刷品質:標準
・色調整:自動
記録媒体は、下記のコピー用普通紙4紙を用いた。
・キヤノン製、PPC用紙オフィスプランナー
・ゼロックス製、PPC用紙4024
・ヒューレッドパッカード製、PPC用紙ブライトホワイト
・インターナショナルペーパー製 PPC用紙ハンマーミルジェットプリント
〔画像濃度〕
上記で得られた各インクを用いて、2cm×2cmのベタ画像(記録デューティ100%の画像)を形成した。得られた記録物を1日放置した後、ベタ画像の画像濃度を、反射濃度計(商品名:マクベスRD−918;マクベス製)を用いて測定して、画像濃度の評価を行った。画像濃度の評価基準は以下の通りである。評価結果を表10に示す。
AAA:4紙の画像濃度の平均値が1.40以上であり、更に2紙以上の画像濃度が1.50以上であり、且つ4紙のうち画像濃度の最低値が1.35以上である。
AA:4紙の画像濃度の平均値が1.40以上であり、更に1紙の画像濃度が1.50以上であり、且つ4紙のうち画像濃度の最低値が1.35以上である。
A:4紙の画像濃度の平均値が1.40以上であり、更に1紙の画像濃度が1.50以上であり、且つ4紙のうち画像濃度の最低値が1.30以上1.35未満である。
B:4紙の画像濃度の平均値が1.40以上であり、且つ4紙の画像濃度の最低値が1.30以上1.35未満である。
C:4紙の画像濃度の平均値が1.40以上であり、且つ4紙の画像濃度の最低値が1.25以上、1.30未満である。
D:4紙の画像濃度の平均値が1.40未満であり、且つ4紙の画像濃度の最低値が1.25未満である。
〔定着性〕
上記で得られた各インクを用いて、1cm×1cmのベタ画像(記録デューティ100%の画像)を形成した。画像の形成から10秒が経過した後、ベタ画像の部分を40g/cmの重りを載せたシルボン紙で擦り、汚れの程度を目視で確認して、定着性の評価を行った。定着性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表10に示す。
A:3紙共に汚れが認められない。
B:1紙のみに汚れが認められる。
C:2紙又は3紙で汚れが認められる。
〔白すじ〕
上記で得られた各インクを用いて、5cm×15cmのベタ画像(記録デューティ100%の画像)を形成した。その後、記録物の画像の部分における白すじの状態を目視で確認して、白すじの評価を行った。白すじの評価基準は以下の通りである。評価結果を表10に示す。
A:3紙ともに白すじがない
B:1紙又は2紙に白すじがある。
Figure 2008001891
表10より、寿命時間50m秒における動的表面張力が高く、又、寿命時間5000m秒における動的表面張力が低く、且つ、水不溶性色材に対する貧溶媒及び/又は塩を含有する実施例1〜16のインクは、画像濃度及び定着性に優れることがわかった。又、寿命時間50m秒における動的表面張力が53以下である実施例4〜16のインクは、白すじがない画像が得られることがわかった。一方、寿命時間50m秒における動的表面張力が低い比較例1〜4、8、及び9のインクは、画像濃度が低いことがわかった。又、寿命時間5000m秒における動的表面張力が高い比較例1、3、5、及び8のインクは、定着性が低いことがわかった。又、水不溶性色材に対する貧溶媒及び/又は塩を含有しない比較例6〜9のインクは、動的表面張力の値に関わらずに、画像濃度が低いことがわかった。
インクの動的表面張力が変化する状態の一例を示す図である。 液体の蒸発率と平均粒径の増加率の関係を示す図である。 インクジェット記録装置ヘッドの縦断面図である。 インクジェット記録装置ヘッドの縦横面図である。 図2に示したヘッドをマルチ化した記録ヘッドの外観斜視図である。 インクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。 インクカートリッジの縦断面図である。 記録ユニットの一例を示す斜視図である。 記録ヘッドの構成の一例を示す図である。
符号の説明
13 記録ヘッド
14 ノズル
15 発熱素子基板
16 保護層
17−1、17−2 電極
18 発熱抵抗体層
19 蓄熱層
20 基板
21 インク
22 吐出オリフィス(微細孔)
23 メニスカス
24 インク滴
25 記録媒体
26 マルチノズル
27 ガラス板
28 発熱ヘッド
40 インク袋
42 栓
44 インク吸収体
45 インクカートリッジ
51 給紙部
52 紙送りローラー
53 排紙ローラー
61 ブレード
62 キャップ
63 インク吸収体
64 吐出回復部
65 記録ヘッド
66 キャリッジ
67 ガイド軸
68 モーター
69 ベルト
70 記録ユニット
71 記録ヘッド部
72 大気連通口
80 インク流路
81 オリフィスプレート
82 振動板
83 圧電素子
84 基板
85 吐出口

Claims (15)

  1. 少なくとも、水、水溶性有機溶剤、水不溶性色材、界面活性剤、及び、前記水不溶性色材に対する貧溶媒及び/又は塩を含有する水性インクであって、
    最大泡圧法による寿命時間50m秒における前記水性インクの動的表面張力が、47mN/mより高く、
    且つ、最大泡圧法による寿命時間5000m秒における動的表面張力が、38mN/m以下であることを特徴とする水性インク。
  2. 最大泡圧法による寿命時間50m秒における前記水性インクの動的表面張力が、53mN/m以下である請求項1に記載の水性インク。
  3. 前記水不溶性色材が、自己分散型顔料である請求項1又は2記載の水性インク。
  4. 前記自己分散型顔料が、前記水性インクを用いて前記自己分散型顔料の平均粒径が変化する最小量の塩化ナトリウムを含有する液体を調製して、前記液体を蒸発させていったときの蒸発率30%における、下記式(1)により求められる平均粒径の増加率Aが、A≧15の条件を満たす自己分散型顔料である請求項3に記載の水性インク。
    Figure 2008001891
  5. 前記液体を蒸発させていったときの蒸発率50%における、下記式(2)により求められる平均粒径の増加率Aが、A>(5/3)×Aの条件を満たす自己分散型顔料である請求項4に記載の水性インク。
    Figure 2008001891
  6. 前記界面活性剤のグリフィン法により求められるHLB値が、8.0以上15.5以下である請求項1乃至5の何れか1項に記載の水性インク。
  7. 前記界面活性剤の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.10質量%以上0.75質量%以下である請求項1乃至6の何れか1項に記載の水性インク。
  8. 前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテルである請求項1乃至7の何れか1項に記載の水性インク。
  9. 前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルにおけるアルキル基の炭素原子の数が、12乃至18である請求項8に記載の水性インク。
  10. 前記水性インクが、インクジェット用である請求項1乃至9の何れか1項に記載の水性インク。
  11. インクをインクジェット方法で吐出するインクジェット記録方法において、前記インクが、請求項1乃至10の何れか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  12. 前記インクジェット方法が、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録方法である請求項11に記載のインクジェット記録方法。
  13. インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、前記インク収容部に収容されたインクが、請求項1乃至10の何れか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  14. インクを収容するインク収容部と、インクを吐出する記録ヘッドとを備えた記録ユニットにおいて、前記インク収容部に収容されたインクが、請求項1乃至10の何れか1項に記載の水性インクであることを特徴とする記録ユニット。
  15. インクを収容するインク収容部と、インクを吐出する記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置において、前記インク収容部に収容されたインクが、請求項1乃至10の何れか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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