JP5142488B2 - インクジェット用インク、インクジェット用インクの製造方法、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、及びシアンインク - Google Patents

インクジェット用インク、インクジェット用インクの製造方法、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、及びシアンインク Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット用インク、インクジェット用インクの製造方法、インクジェット記録方法インクカートリッジ、及びシアンインクに関する。
インクジェット記録方法は、インクを普通紙や光沢メディア等の記録媒体に付与して画像を形成する記録方法であり、その低価格化、記録速度の向上により、急速に普及が進んでいる。又、その記録物の高画質化が進んだことに加えて、デジタルカメラの急速な普及に伴い、銀塩写真と同等の画像を出力する方法として広く一般的になっている。このような環境の中で、時代のニーズに合った記録物を提供するために、インクジェット記録方法に用いられるインクの特性は勿論のこと、色材の特性を工夫することが行われている。
インクジェット用のシアンインクに用いる色材は、発色性に優れた染料、又は耐水性や耐光性及び耐ガス性等に優れた顔料が用いられている。しかし、色材として染料を用いたインクで画像を形成する場合、顔料を用いたインクで形成した画像と比較して、画像の耐水性や耐光性が劣る場合がある。このような問題に対して、色材として染料及び顔料を併用することについての提案がある(特許文献1及び2参照)。これによれば、染料の優れた発色性を維持しながら、耐水性や耐光性、更には、多孔質のインク受容層を有する記録媒体に形成した画像の耐ガス性を向上できるとされている。
特公昭60−45668号公報 特開2001−323196公報
しかし、本発明者らの検討の結果、色材として染料及び顔料を併用した従来のインクを用いて画像を形成する場合に、特定の染料及び顔料の組み合わせにおいて問題が起こる場合があることを認識した。特に、シアンの色相を有する染料と銅フタロシアニン骨格を有する顔料を共に用いた従来のインクジェット用インクを、光沢を有する記録媒体に付与して画像を形成すると、以下のような問題が起こる場合がある。即ち、得られた画像の反射光が赤色に見える現象(ブロンズ現象)が起こり、画質が著しく悪化する場合があった。本発明者らは、銀塩写真と同等の画像を求めるユーザーにとっては、このような現象が発生することにより、得られた記録物に対して満足し得ない場合があると考えた。そこで、本発明者らは、従来のインクジェット用インクよりも上記現象の発生を抑制することができ、更には発色性にも優れた画像を提供することが重要であると認識した。
以上のようなことから、本発明が解決すべき第1の課題は、画像の反射光が赤色に見える現象を抑制し、更に、光沢を有する記録媒体(光沢紙とも言う)だけではなく、普通紙においても発色性に優れた画像を与える新規なインクジェット用インクを提供することである。より好ましくは、例えば、ブラックインクで形成する画像に隣接して画像を形成する場合等に、ブリーディングが抑制された画像を与える新規なインクジェット用インクを提供することである。又、本発明が解決すべき第2の課題は、画像の反射光が赤色に見える現象を抑制し、更には発色性にも優れた画像を与えるインクジェット用インクを、経済的に且つ環境保護の点からも好ましい手段で製造する方法を提供することである。更に、本発明が解決すべき第3の課題は、画像の反射光が赤色に見える現象を抑制し、発色性にも優れ、ブリーディングが抑制された画像を与えるインクジェット用インクを用いたインクジェット記録方法及びインクカートリッジを提供することである。
本発明者らは、前記したような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に至ったものである。即ち、第1の課題を解決するための手段は、水、色材、及び水溶性有機溶剤を含有してなるインクジェット用インクであって、記色材が、C.I.ダイレクトブルー199、C.I.ダイレクトブルー86、及びC.I.アシッドブルー9からなる群から選択される1種以上の染料、並びに、銅フタロシアニン骨格を有する顔料であり、記水溶性有機溶剤が、前記顔料に対する貧溶媒を含み、前記インク中における前記顔料の含有量(質量%)が、前記インクの全質量を基準として、1質量%未満であり、前記顔料の含有量A(質量%)と、前記インクの全質量を基準とした前記染料の含有量D(質量%)が、7%≦A/D×100%≦24.3%の関係を満たすことを特徴とするインクジェット用インクである。
又、第1の課題を解決するための別の手段は、水、カーボンブラック、及び水溶性有機溶剤を含有してなるブラックインクと共に用いられるシアンインクであって、水、色材、及び水溶性有機溶剤を含有してなり、前記色材として、C.I.ダイレクトブルー199、C.I.ダイレクトブルー86及びC.I.アシッドブルー9からなる群から選択される1種以上の染料、並びに、銅フタロシアニン骨格を有する顔料を含有し、記水溶性有機溶剤として、前記顔料に対する貧溶媒を含み、記インク中における前記顔料の含有量A(質量%)が、前記インク全質量を基準として1質量%未満であり、前記顔料の含有量A(質量%)と、前記インクの全質量を基準とした前記染料の含有量D(質量%)が、7%≦A/D×100%≦24.3%の関係を満たすことを特徴とするシアンインクである。
又、第2の課題を解決するための手段は、記した構成のインクジェット用インクを得るインクジェット用インクの製造方法であって、銅フタロシアニン骨格を有する顔料、及び前記顔料に対する貧溶媒を含有してなるインクを収納するインクカートリッジに、色材として、C.I.ダイレクトブルー199、C.I.ダイレクトブルー86、及びC.I.アシッドブルー9からなる群から選択される1種以上の染料を含有してなるインクを注入する工程を有することを特徴とするインクジェット用インクの製造方法である。
又、第3の課題を解決するための手段は、前記インクジェット用インク、前記シアンインク、又は前記のインクジェット用インクの製造方法により得られたインクジェット用インクの何れかを用いるインクジェット記録方法、及び、記何れかのインクジェット用インクを収容するインクカートリッジである。
本発明によれば、画像の反射光が赤色に見える現象を抑制し、発色性にも優れ、更に、ブリーディングが抑制された画像を与えることができるインクジェット用インク及びシアンインクを提供することができる。又、かかるインクを、インクカートリッジに残留しているインクジェット用インク等を再利用することで、経済的に且つ環境保護の点からも好ましい手段で製造することができるインクジェット用インクの製造方法を提供することができる。更に、特に光沢を有する記録媒体における画像の反射光が赤色に見える現象が抑制され、特に普通紙におけるブリーディングを抑制し、光沢を有する記録媒体及び普通紙の何れにおいても発色性に優れた画像を与えることができるインクジェット記録方法及びインクカートリッジを提供することができる。
以下、好適な実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。以下、本発明においては、インクジェット用インクのことを「インク」、又、銅フタロシアニン骨格を有する顔料のことを単に「シアン顔料」と称することがある。
本発明にかかるインクは、シアンの色相を有するインクである。色材としてシアンの色相を有する染料と、銅フタロシアニン骨格を有する顔料、例えば、C.I.ピグメントブルー15:3、を共に含有するインクで光沢を有する記録媒体に形成した画像の反射光が赤色に見える現象について説明する。これは、記録媒体の表面上で凝集したC.I.ピグメントブルー15:3(シアン顔料の1種である)に反射した光が、シアン顔料の本来の色と補色をなす色に近い色が観察されるブロンジング(ブロンズ現象)を生じているためである。そこで、本発明者らは、このブロンズ現象を引き起こす原因であるシアン顔料について検討を行った。その結果、インク中のシアン顔料の含有量を1質量%未満として、更に、該シアン顔料に対する貧溶媒を含有する構成とすることが有効であり、特に、インク中におけるシアン顔料に対する貧溶媒の含有量を特定量とした場合に、ブロンズ現象をより効果的に抑制できることを見出した。このようなインクの構成によってブロンズ現象を抑制できる理由は明確ではないが、本発明者らは以下のように推測している。
前記したように、ブロンズ現象はインク中のシアン顔料に起因する現象であることから、光沢を有する記録媒体に付与するシアン顔料を少なくするほど、ブロンズ現象の発生を抑制できることは予測できる。そこで、本発明者らは、インク中のシアン顔料の含有量とブロンズ現象の関係について検討を行った。この結果、シアン顔料の種類やインクの特性、更には記録方法によって多少異なるが、その多くの場合に、インク中のシアン顔料の含有量を1質量%未満とすると、ブロンズ現象の発生に関してある程度良好な結果が得られることが解った。しかし、インク中のシアン顔料の含有量を1質量%未満とすることだけでは、ブロンズ現象の発生を十分に満足できるレベルに抑制できない場合があることがわかった。
そこで、本発明者らは、記録媒体に付与したシアン顔料の凝集状態に着目して、更に詳細な検討を行った。この結果、記録媒体の表面上に存在するシアン顔料の凝集物に反射する光の正反射率を低減することで、ブロンズ現象の発生を抑制できることを見出した。即ち、記録媒体に付与したシアン顔料を急速に凝集させることにより、シアン顔料の凝集物に反射した光を適度に乱反射させることが、ブロンズ現象の発生を効果的に抑制する有効な手段となり得ることを見出した。
本発明者らは、本発明のように、インク中のシアン顔料の含有量が1質量%未満と少ない場合であっても、記録媒体の表面上で急速にシアン顔料を凝集させることが効果的であることを知見した。更に、本発明者らは、前記した効果を得るためには、インクがシアン顔料に対する貧溶媒を含有することが必要であることを知見した。即ち、インクが貧溶媒を含有することで、光沢を有する記録媒体に該インクを付与した後に、インク中の水分の蒸発や浸透に伴うシアン顔料の凝集が急速に起こる。そして、シアン顔料の凝集物そのものの凹凸、及び記録媒体とシアン顔料の凝集物との凹凸が増加する。この結果、記録媒体に反射した光が適度に乱反射することになり、ブロンズ現象を効果的に抑制できることがわかった。
更に、インク中に、シアン顔料に対する貧溶媒を含有させることにより、上記したブロンズ現象を抑制する効果に加えて、別の効果が得られることもわかった。即ち、本発明にかかるインクを普通紙に付与した場合に、優れた発色性が得られ、又、異なる色の領域との境界において色が滲むことやインクが不均一に混合することによって画像の品位が低下する現象(以降「ブリーディング」と称する)を抑制できる。このように、本発明にかかるインクを使用し、記録媒体として普通紙に記録を行った場合に、優れた発色性が得られ、又、ブリーディングを抑制できる理由を、本発明者らは次のように推測している。
本発明にかかるインクを記録媒体、特に普通紙に付与した場合、インク中の染料は、インクが記録媒体に付着した後に従来のインクと同じように繊維に沿って広がる。一方で、インク中のシアン顔料は、インクが記録媒体に付着した直後の水の蒸発に伴い、インク中におけるシアン顔料及び貧溶媒の比率が急激に上昇するため、凝集物が生成する(図3(a)及び(b)参照)。
この凝集物は、インク中における貧溶媒の比率が高くなるのにつれて急速に生成するため、ドットの中心部ではなくドットの外縁部分に、あたかもシアン顔料の土手を形成するかのように生成する。この結果、染料の横方向への広がりを抑制できる(図3(c)参照)。
このようなメカニズムにより、本発明にかかるインクで形成したドット(画像)に隣接して他のインクが付与された場合でも、色材として染料及びシアン顔料を共に含有する従来のインクと比較してブリーディングの発生が抑制できたものと考えている。
このとき、以下の構成とすることで、より効果的にブリーディングを抑制できると考えられる。即ち、ブラックインクの色材として、カーボンブラックを用い、これと併用するシアンインクとして上記で説明した本発明にかかるインクを用いる。このとき、ブラックインクとしては、インク中にカーボンブラックに対する貧溶媒を含有させたものとすることが好ましい。更には、かかるブラックインクと共に用いる本発明のシアンインク中の銅フタロシアニン骨格を有する顔料に対する貧溶媒が、ブラックインク中のカーボンブラックに対する貧溶媒と同様である構成とすることが好ましい。このように構成すると、特に効果的にブリーディングを抑制できるようになるため、特に好ましい。上記したような構成とすることで、特に効果的にブリーディングを抑制できる理由は以下のようなことであると考えられる。即ち、上記のように構成すると、各インクが、記録媒体上、又は記録媒体の内部(深さ方向)に浸透した箇所で互いの色材が接触した際に、急速に凝集体が形成されるためであると推測している。本発明では、使用するカーボンブラックが、カーボンブラック粒子の表面に少なくとも1つのイオン性基が直接又は他の原子団を介して結合している自己分散型カーボンブラックである構成とした場合に、特に好ましい効果が得られる。又、シアンインク及びブラックインクが含有する貧溶媒が、これらのインクに含まれる水溶性有機溶剤のそれぞれのKa値のうち、最大のKa値を示すものであることが特に好ましい。
ここで、ブリストウ法によって求められるKa値について説明する。この値は、液体の記録媒体への浸透性を表わす尺度として用いられる。以下、インクを例に挙げて説明する。インクの浸透性を1m2あたりのインク量Vで表わすと、インクを吐出してから所定時間tが経過した後における、インクの記録媒体への浸透量V(mL/m2=μm)は、下記に示すブリストウの式(式(1))によって示される。
V=Vr+Ka(t−tw)1/2 式(1)
記録媒体に付与された直後のインクは、そのほとんどが記録媒体表面の凹凸部分(記録媒体表面の粗さの部分)に吸収され、記録媒体の内部(深さ方向)へはほとんど浸透していない。この間の時間がコンタクトタイム(tw)であり、コンタクトタイムに記録媒体の凹凸部に吸収されたインク量がVrである。そして、インクが記録媒体に付与された後に、コンタクトタイムを超えると、このコンタクトタイムを超えた時間、即ち、(t−tw)の1/2乗に比例するインクが記録媒体の内部(深さ方向)へ浸透し、浸透量が増加する。Kaは、この増加分の比例係数であり、浸透速度に応じた値となる。尚、Ka値は、ブリストウ法による液体の動的浸透性試験装置(例えば、商品名:動的浸透性試験装置S;東洋精機製作所製)等を用いて測定することが可能である。
尚、本発明におけるブリストウ法によるKa値は、普通紙を記録媒体として用いて測定した値である。前記普通紙の具体例は、例えば、電子写真方式を用いた複写機やページプリンタ(レーザビームプリンタ)やインクジェット記録方式を用いたプリンタ用のPB紙(キヤノン製)、電子写真方式を用いた複写機用のPPC用紙等が挙げられる。又、測定環境は、通常のオフィス等の環境、例えば、温度20℃乃至25℃、湿度40%乃至60%を想定している。
本発明の効果のひとつであるブリーディングを抑制することは、インク中に、銅フタロシアニン骨格を有する顔料に対する貧溶媒を含有させることで達成することは可能である。しかし、本発明の効果をより効率よく得るためには、以下の構成とすることが好ましい。即ち、本発明にかかるインク中の、銅フタロシアニン骨格を有する顔料の含有量A(質量%)、貧溶媒の含有量B(質量%)との関係が、Aに対するBの割合(B/A)を1以上4以下となるように構成することが好ましい。尚、上記A及び上記Bは、インク全質量を基準とした含有量(質量%)をそれぞれ示す。Aに対するBの割合(B/A)を1以上とすることで、記録媒体の表面近傍により大きなシアン顔料の凝集物を形成することができる。この結果、光沢を有する記録媒体に画像を形成する場合のブロンズ現象の抑制、更には、普通紙に画像を形成する場合のブリーディングを容易に抑制できるようになる。又、Aに対するBの割合(B/A)を4以下とすることで、インクを長期保存する場合にも、保存安定性に優れたインクとすることができる。具体的には、このように構成することで、インク中におけるシアン顔料の平均粒径の変化率が小さく、インクが実質的に増粘しないことや、インク中にゲル状の沈降物が生じない等の効果を得ることができる。
又、本発明にかかるインクを普通紙に付与する場合に、より優れた発色性を得るためには、以下の構成とすることが好ましい。本発明にかかるインク中の貧溶媒の含有量B(質量%)、良溶媒の含有量C(質量%)における、C:Bを10:5〜10:30とするとよい。つまり、Cを10としたときに、Bが5以上30以下(つまり、C/Bが0.3以上2以下)とすることが好ましい。尚、上記B及び上記Cは、インク全質量を基準とした含有量(質量%)をそれぞれ示す。インク中における貧溶媒と良溶媒の含有量の比を上記した範囲にすることで、記録媒体として特に普通紙を用いる場合に、記録媒体の表面近傍にシアン顔料の凝集物がより形成しやすくなる。その結果、優れた発色性を得ることができる。尚、本発明における貧溶媒及び良溶媒の定義やその選択の方法は後述する。
更に、上記したように優れた発色性を得るためには、本発明にかかるインクの表面張力は、25℃において、34.0mN/m以上、更には38.0mN/m以上とすることが好ましい。インクの表面張力が34.0mN/m未満である場合、シアン顔料の凝集速度よりもインクの記録媒体への浸透速度の方が大きくなる。このため、ブリーディングは抑制できても、十分に優れた発色性を得ることができない場合があるためである。又、本発明にかかるインクの表面張力は41.0mN/m以下とすることが好ましい。インクの表面張力が41.0mN/mを超える場合、インクの記録媒体での定着性が十分に得られない場合や、ブリーディングが十分に抑制できない場合がある。尚、本発明においては、表面張力を測定する際の温度は25℃、又、表面張力の測定には、協和CBVP−2式表面張力計(協和科学製)を用いた。
<色材の含有量>
本発明にかかるインク中のシアン顔料の含有量(質量%)Aは、インク中の染料の含有量(質量%)Dに対して、即ち、A/D×100%の値を、7%以上25%未満とすることが好ましい。尚、上記A及び上記Dは、インク全質量を基準とした含有量(質量%)をそれぞれ示す。インク中におけるシアン顔料と染料の含有量の比を7%以上にすることで、記録媒体における染料の横方向への広がりを抑制するのに十分な量の凝集体が形成されることによって、ブリーディングをより効果的に抑制できるためである。又、インク中におけるシアン顔料と染料の含有量の比を25%未満にすることで、光沢を有する記録媒体における、染料を付与した部分とシアン顔料を付与した部分の光沢の差(以後「光沢ムラ」と称する)が目視ではほとんど観察できない程度とすることができる。
本発明にかかるインク中のシアン顔料の含有量(質量%)の下限は、インク全質量を基準として0.2質量%以上、更には0.7質量%以上とすることが好ましい。シアン顔料の含有量が0.2質量%未満であっても、本発明の効果のひとつである、光沢を有する記録媒体におけるブロンズ現象を抑制できる。しかし、本発明の別の効果である、記録媒体として普通紙を用いる場合に、優れた発色性が得られず、又、ブリーディングを抑制するという効果が十分に得られない場合がある。これは、シアン顔料の含有量が0.2質量%未満である場合、普通紙にインクを付与した後に、インク中の染料が広がる現象を抑制できない場合があるためである。尚、シアン顔料の含有量(質量%)の上限は、これまでにも述べてきたように、インク全質量を基準として、1質量%未満とすることが必要である。又、本発明にかかるインク中の染料の含有量(質量%)の下限は、インク全質量を基準として2.0質量%以上、更には3.0質量%以上とすることが好ましい。染料の含有量が2.0質量%未満である場合、優れた発色性が得られない場合があるためである。又、本発明にかかるインク中の染料の含有量(質量%)の上限は、インク全質量を基準として5.0質量%以下、更には3.7質量%以下とすることが好ましい。染料の含有量が5.0質量%を超えると、インクの信頼性が得られない場合がある。
<貧溶媒及び良溶媒の定義>
本発明にかかるインクは、銅フタロシアニン骨格を有する顔料を水性媒体に分散した状態で含有してなる。前記銅フタロシアニン骨格を有する顔料は、以下のものを用いることができる。例えば、顔料粒子の表面に少なくとも1つのイオン性基が直接又は他の原子団を介して結合している自己分散型顔料、分散剤や界面活性剤等により水性媒体に分散している樹脂分散型顔料等が挙げられる。本発明においては、前記したような状態でインク中に存在する銅フタロシアニン骨格を有する顔料分散体の分散状態を安定に保つことができる水溶性有機溶剤を良溶媒、分散状態を安定に保つことができない水溶性有機溶剤を貧溶媒と定義する。
より具体的には、下記のようにして、銅フタロシアニン骨格を有する顔料分散体に対して、用いる水溶性有機溶剤が貧溶媒又は良溶媒になっているかの判定を行う。先ず、下記に挙げた、判定対象の水溶性有機溶剤を含有する、銅フタロシアニン骨格を有する顔料分散体の分散液X、及び該顔料分散体の水分散液Y、の2種類の分散液を調製する。
分散液X:判定対象としての水溶性有機溶剤が50質量%、銅フタロシアニン骨格を有する顔料、又は該銅フタロシアニン骨格を有する顔料及びその分散に寄与する物質の総量が5質量%、水が45質量%である組成の分散液。
水分散液Y:銅フタロシアニン骨格を有する顔料、又は該銅フタロシアニン骨格を有する顔料及びその分散に寄与する物質の総量が5質量%、水が95質量%である組成の水分散液。
次に、分散液Xを60℃で48時間保存した後の銅フタロシアニン骨格を有する顔料の平均粒径を測定する。又、同様にして水分散液Yの銅フタロシアニン骨格を有する顔料の平均粒径を測定する。そして、分散液X及び水分散液Yのそれぞれの銅フタロシアニン骨格を有する顔料の平均粒径を、粒径(A)、粒径(B)とする。このときに、粒径(A)が粒径(B)よりも大きい場合、前記水溶性有機溶剤を貧溶媒、粒径(A)が粒径(B)と同等又はそれ以下の場合には良溶媒と判定する。
尚、上記では、銅フタロシアニン骨格を有する顔料分散体に対する貧溶媒及び良溶媒の判定方法として説明を行ったが、顔料がカーボンブラックである場合も上記と同様の方法により、貧溶媒及び良溶媒の判定を行うことができる。本発明で用いた銅フタロシアニン骨格を有する顔料に対する貧溶媒である水溶性有機溶剤の具体例は、ポリエチレングリコール1000(平均分子量1,000のポリエチレングリコール)、2−ピロリドン、1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。又、銅フタロシアニン骨格を有する顔料に対する良溶媒である水溶性有機溶剤の具体例は、グリセリン、エチレングリコール等が挙げられる。勿論、本発明で用いることができる貧溶媒及び良溶媒はこれらに限られるものではない。
<インクジェット用インク>
次に、本発明にかかるインクを構成する各成分について、それぞれ説明する。
[色材]
本発明にかかるインクは色材として、銅フタロシアニン骨格を有する顔料を含有することが必要である。色材として銅フタロシアニン骨格を有する顔料を含有するインクを用いて形成した画像のブロンズ現象は、他の色材を含有するインクを用いる場合と比較して非常に顕著に表れる。このことから、本発明は、前記したブロンズ現象という課題を解決することを目的のひとつとしている。本発明にかかるインクに用いることができる銅フタロシアニン骨格を有する顔料は、以下のものが挙げられる。具体的には、例えば、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー16等が挙げられる。上記した銅フタロシアニン骨格を有する顔料の中でも特に、本発明においては、C.I.ピグメントブルー15:3を用いることが特に好ましい。
更に、本発明にかかるインクは上記した銅フタロシアニン骨格を有する顔料に加えて、特定の染料を含有することが必要である。ここで特定の染料とは、C.I.ダイレクトブルー199、C.I.ダイレクトブルー86、及びC.I.アシッドブルー9からなる群から選択される1種以上の染料のことである。これらの染料を用いることで本発明の効果が得られる理由は明確ではない。しかし、本発明者らは、以下のように推測している。上記した染料は発色性に優れる等の特性を有する。このため、本発明のようにシアン顔料の含有量が少ない場合であっても、発色性が高い画像を形成できることに加えて、銅フタロシアニン骨格を有する顔料に対する貧溶媒と組み合わせて用いることによって、何らかの相乗効果が発揮されたものと考えられる。
(銅フタロシアニン骨格を有する顔料)
本発明にかかるインクが含有する銅フタロシアニン骨格を有する顔料は、その分散方法にかかわらずに用いることができる。例えば、分散剤を用いて分散する樹脂分散タイプの顔料(樹脂分散型顔料)や、界面活性剤によって分散する界面活性剤分散タイプの顔料を用いることができる。又、顔料粒子の表面にイオン性基を導入して分散剤等を用いることなく分散可能とした自己分散タイプの顔料(自己分散型顔料)を用いることができる。更には、顔料粒子の表面を有機高分子類で被覆すること等により分散性を高めたマイクロカプセル型顔料や、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基を化学的に結合して改質したポリマー結合型自己分散型顔料を用いることができる。勿論、本発明においては、上記に挙げた分散方法の異なる顔料を組み合わせて用いることもできる。以下、本発明で用いることができる顔料について説明する。
〔樹脂分散タイプの顔料〕
本発明にかかるインクが含有する銅フタロシアニン骨格を有する顔料には、先に述べたように、樹脂分散タイプの顔料を用いることができる。この場合には、疎水性である顔料を分散剤や界面活性剤等を用いて水性媒体に分散することが好ましい。この際に用いる分散剤又は界面活性剤は特に限定されるものではなく、以下に挙げるようなものを用いることができる。
界面活性剤は、アニオン系界面活性剤又はノニオン系界面活性剤を用いることができる。
アニオン系界面活性剤は、以下のものを用いることができる。具体的には、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、
ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、又はこれらの置換誘導体等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤は、以下のものを用いることができる。具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、
ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、又はこれらの置換誘導体等が挙げられる。
分散剤は、以下のものを用いることができる。具体的には、例えば、スチレン又はその誘導体、ビニルナフタレン又はその誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル、
アクリル酸又はその誘導体、マレイン酸又はその誘導体、イタコン酸又はその誘導体、フマール酸又はその誘導体、
酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリルアミド、又はその誘導体等から選ばれた少なくとも2つの単量体(このうち少なくとも1つは親水性単量体)で構成されるブロック共重合体、ランダム共重合体及びグラフト共重合体、
又はこれらの塩等が挙げられる。更に、ブロック共重合体及びランダム共重合体等を組み合わせて用いることもできる。
〔マイクロカプセル型顔料〕
本発明にかかるインクが含有する銅フタロシアニン骨格を有する顔料には、先に述べたように、顔料粒子の表面を有機高分子類で被覆すること等により分散性を高めたマイクロカプセル型顔料を用いることができる。
〔自己分散型顔料〕
本発明にかかるインクが含有する銅フタロシアニン骨格を有する顔料には、先に述べたように、顔料粒子の表面にイオン性基を導入して分散剤等を用いることなく分散可能とした自己分散型顔料を用いることができる。自己分散型顔料は、顔料粒子の表面にイオン性基が直接又は他の原子団を介して結合しているものが挙げられる。例えば、顔料粒子の表面に導入したイオン性基が、−COOM、−SO3M及び−PO3H(M)2(式中のMは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである)からなる群から選ばれるもの等であることが好ましい。更に、前記他の原子団が、炭素原子数1乃至12のアルキレン基、置換若しくは未置換のフェニレン基、又は置換若しくは未置換のナフチレン基等であることが好ましい。その他にも、顔料を次亜塩素酸ソーダや水中オゾン処理で酸化する方法、オゾン処理を施した後に酸化剤により湿式酸化して顔料粒子の表面を改質する方法等によって得られる、表面酸化処理タイプの自己分散型顔料を用いることができる。
〔ポリマー結合型自己分散型顔料〕
本発明にかかるインクが含有する銅フタロシアニン骨格を有する顔料には、先に述べたように、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基を化学的に結合して改質したポリマー結合型自己分散型顔料を用いることができる。ポリマー結合型自己分散型顔料は、顔料粒子の表面に、直接又は他の原子団を介して化学的に結合した官能基と、イオン性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体との反応物を含有するものを用いることが好ましい。これは、表面を改質する際に用いる共重合体の材料であるイオン性モノマー及び疎水性モノマーとの共重合比率を適宜に変えることができ、これによって改質した顔料のイオン性を任意に調整することができるためである。又、イオン性モノマー及び疎水性モノマーの種類や、両者の組み合わせを任意に変えることができるため、顔料粒子の表面に様々な特性を付与することができるためである。
[水性媒体]
本発明にかかるインクは、上記したように、特定の含有量の銅フタロシアニン骨格を有する顔料、特定の染料、及び、該顔料に対する貧溶媒を含有してなることを特徴とする。それ以外のインクの成分は、従来のインクジェット用インクに使用するものを何れも用いることができる。例えば、インクが含有する上記した顔料及び染料を溶解又は分散するための水性媒体は、前記顔料に対する貧溶媒を含有することを満たしていれば、下記に挙げるようなものを何れも用いることができる。
水性媒体は、水、又は、水溶性有機溶剤と水との混合媒体を用いることが好ましい。本発明にかかるインク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として3.0質量%以上50.0質量%以下とすることが好ましい。水溶性有機溶剤は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等の炭素原子数1乃至4のアルカノール;
N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;
アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;
テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;
グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、
1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
ジチオグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、
アセチレングリコール誘導体、トリメチロールプロパン等のような多価アルコール類;
エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類;
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリン等の複素環類;
ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物、尿素及び尿素誘導体等。
又、水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。本発明にかかるインク中の水の含有量(質量%)は、インクを安定して吐出するために適切な粘度を有し、且つ、ノズル先端における目詰まりを抑制するために、インク全質量を基準として50.0質量%以上90.0質量%以下とすることが好ましい。
[添加剤]
本発明にかかるインクには、上記した成分以外にも、界面活性剤、pH調整剤、キレート剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、消泡剤、及び、水溶性ポリマー等の種々の添加剤を含有してもよい。
界面活性剤は、例えば、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等が挙げられる。
アニオン界面活性剤は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。
アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸又はその塩、N−アシルメチルタウリン塩、
アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、
アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン塩酸、
ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸ジオクチルスルホ琥珀酸塩等。
カチオン界面活性剤は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。
2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等がある。両性界面活性剤は、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、
2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等。
ノニオン界面活性剤は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、
ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアリルキルアルキルエーテル等のエーテル系、
ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、
ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系、
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール系
(例えば、川研ファインケミカル製アセチレノールEH、日信化学製サーフィノール104、82、465、オルフィンSTG等)等。
<インクジェット用インクの製造方法>
本発明にかかるインクは、本発明において必須である以下の構成要件を満足するものであればよい。即ち、色材が、特定の染料、及び、銅フタロシアニン骨格を有する顔料であることが必要である。特定の染料とは、C.I.ダイレクトブルー199、C.I.ダイレクトブルー86、及びC.I.アシッドブルー9からなる群から選択される1種以上の染料のことである。又、水溶性有機溶剤として上記シアン顔料に対する貧溶媒を含有し、更に、該シアン顔料のインク中の含有量が1質量%未満であることが必要である。本発明にかかるインクは、前記した構成要件を満足するものであればよく、その作製方法やその実施形態については特に限定されない。
本発明のインクジェット用インクは、上記した各成分を用いて常法に従って製造することができる。本発明のインクジェット用インクは、下記に説明するように、インクカートリッジに残留しているインク等を再利用することで、経済的に且つ環境保護の点からも好ましい手段による本発明にかかるインクの製造方法によっても得ることができる。
具体的には、銅フタロシアニン骨格を有する顔料、及び該顔料に対する貧溶媒を含有してなるインクを収納するインクカートリッジに、特定の染料を含有するインクを注入する工程を有するインクの製造方法である。上記特定の染料とは、C.I.ダイレクトブルー199、C.I.ダイレクトブルー86及びC.I.アシッドブルー9からなる群から選択される1種以上の染料のことである。
本発明にかかるインクが含有する銅フタロシアニン骨格を有する顔料及び該顔料に対する貧溶媒は、これまでに述べてきたように、その含有量が少ない場合であっても本発明の効果を十分に得ることができる。このため、上記したような実施形態によっても本発明にかかるインクを製造することができる。上記した方法でインクを製造することで、優れた性能を有する銅フタロシアニン骨格を有する顔料及び該顔料に対する貧溶媒を含有してなるインクカートリッジを再利用することが可能となり、コストの削減が可能となる。更に、上記した方法によれば、一度インクを含有したインクカートリッジや該インクを収容するインク収容部を有するインクカートリッジへのインクの充填が容易となるという効果も更に得ることができる。
<ブラックインク>
本発明にかかるインクは、水、カーボンブラック、及び水溶性有機溶剤を含有してなるブラックインクと共に用いるシアンインクとすることが特に好ましい。このような構成とすることで、より効果的にブリーディングを抑制できると考えられる。以下、ブラックインクを構成する各成分について説明する。
[色材]
ブラックインクが含有するカーボンブラックは、その分散方法にかかわらずに用いることができる。上記銅フタロシアン骨格を有する顔料の分散方法と同様に、例えば、分散剤を用いて分散する樹脂分散タイプのカーボンブラック(樹脂分散型カーボンブラック)や、界面活性剤によって分散する界面活性剤分散タイプのカーボンブラックを用いることができる。又、カーボンブラック粒子の表面にイオン性基を導入して分散剤等を用いることなく分散可能とした自己分散タイプのカーボンブラック(自己分散型カーボンブラック)を用いることができる。又、カーボンブラック粒子の表面を有機高分子類で被覆すること等により分散性を高めたマイクロカプセル型カーボンブラックを用いることができる。更に、カーボンブラック粒子の表面に高分子を含む有機基を化学的に結合して改質したポリマー結合型自己分散型カーボンブラックを用いることができる。勿論、本発明においては、上記に挙げた分散方法の異なるカーボンブラックを組み合わせて用いることもできる。
本発明にかかるインクと共に用いるブラックインクに用いることができるカーボンブラックは、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラックを用いることができる。具体的には、以下の市販品等を用いることができる。
レイヴァン(Raven):1170、1190ULTRA−II、1200、1250、1255、1500、2000、3500、5000ULTRA、5250、5750、7000、(以上、コロンビア製);
ブラックパールズ(Black Pearls)L;
リーガル(Regal):330R、400R、660R;
モウグル(Mogul)L;
モナク(Monarch):700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、2000;
ヴァルカン(Valcan)XC−72R(以上、キャボット製)。
カラーブラック(Color Black)FW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170;
プリンテックス(Printex):35、U、V、140U、140V;
スペシャルブラック(Special Black):4、4A、5、6(以上、デグッサ製)。
No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300;
MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学製)。
又、本発明のために別途新たに調製されたカーボンブラックを用いることもできる。しかし、本発明は、これらに限定されるものではなく、従来公知のカーボンブラックを何れも用いることができる。尚、マグネタイト、フェライト等の磁性体微粒子や、チタンブラック等をカーボンブラックと併用することもできる。ブラックインク中のカーボンブラックの含有量(質量%)は、ブラックインク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下、更には1.0質量%以上10.0質量%以下とすることが好ましい。
[水性媒体]
本発明に使用するブラックインクに用いられる水性媒体としては、水、又は、水溶性有機溶剤と水との混合媒体を用いることが好ましい。そして、このブラックインクには、先に説明したカーボンブラックに対する貧溶媒を含有することが好ましい。尚、この際のカーボンブラックは、樹脂分散型のカーボンブラックや自己分散型のカーボンブラック等の分散体を含むものとする。上記のような構成とすることで、より効果的にブリーディングを抑制できるようになる。かかるブラックインクと共に用いる本発明のシアンインク中の銅フタロシアニン骨格を有する顔料に対する貧溶媒が、上記ブラックインク中のカーボンブラックに対する貧溶媒である場合、特に効果的にブリーディングを抑制できるので、特に好ましい。本発明にかかるインクと共に用いるブラックインク中の水性媒体を構成する成分は、上記した好ましい構成を満たすものであれば、特に限定されるものではなく、先に説明したインクに含有させる水性媒体と同様のものを用いることができる。
[添加剤]
ブラックインクには、上記した成分以外にも、界面活性剤、pH調整剤、キレート剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、消泡剤、及び、水溶性ポリマー等の種々の添加剤を含有してもよい。かかる添加剤は、先に説明した本発明のインクに用いるものと同様のものを用いることができる。
<インクジェット記録方法>
本発明にかかるインクは、特に、インクを記録信号に応じて吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法に用いる場合に良好な結果が得られる。この場合の好ましいインクジェット記録方式は、インクに熱エネルギーを作用させて記録媒体に記録を行う方式が挙げられる。
<インクカートリッジ>
本発明にかかるインクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジは、これらのインクを収容するインク収容部を有するインクカートリッジが挙げられる。以下に本発明にかかるインクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジの具体例を示す。
図1は、本発明にかかるインクを用いて記録を行うのに好適に利用できるインクカートリッジの概略説明図であり、断面図である。図1に示すように、インクカートリッジは、上部で大気連通口112を介して大気に連通し、下部でインク供給口に連通している。インクカートリッジの内部は、負圧発生部材を収容する負圧発生部材収納室134と液体のインクを収容する実質的に密閉された液体収納室136とに仕切壁138で仕切られている。負圧発生部材収納室134及び液体収納室136は、インクカートリッジの底部付近で、仕切壁138に形成された連通孔140及び液体供給動作時に液体収納室への大気の導入を促進するための大気導入溝(大気導入路)150のみを介して連通している。負圧発生部材収納室134を構成するインクカートリッジの上壁には、内部に突出する形態で複数個のリブが一体に成形され、負圧発生部材収納室134に圧縮状態で収容される負圧発生部材と当接している。このリブにより、上壁と負圧発生部材の上面との間にエアバッファ室が形成されている。又、液体供給口114を備えたインク供給筒には、負圧発生部材より毛管力が高く且つ物理的強度の強い圧接体146が設けられており、負圧発生部材と圧接している。
図示した例では、負圧発生部材収納室内に、負圧発生部材として、ポリエチレン等オレフィン系樹脂の繊維で構成される第一の負圧発生部材132B、及び第二の負圧発生部材132Aの2つの毛管力発生型負圧発生部材が収納されている。132Cは、この2つの負圧発生部材の境界層であり、境界層132Cの仕切壁138との交差部分は、連通部を下方にしたインクカートリッジの使用時の姿勢において大気導入溝(大気導入路)150の上端部より上方に存在している。又、負圧発生部材内に収容されているインクは、インクの液面Lで示されるように、上記境界層132Cよりも上方まで存在している。
ここで、第一の負圧発生部材と第二の負圧発生部材の境界層は圧接しており、負圧発生部材の境界層近傍は他の部位と比較して圧縮率が高く、毛管力が強い状態となっている。即ち、第一の負圧発生部材の毛管力をP1、第二の負圧発生部材の持つ毛管力をP2、負圧発生部材同士の界面の持つ毛管力をPSとすると、P2<P1<PSとなっている。
図2は、本発明にかかるインクを用いて記録を行うのに好適な、別のインクカートリッジの概略説明図であり、断面図である。図2に示すように、インクカートリッジは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色のインクをそれぞれ収容する容器41と、容器41を覆う蓋部材42とを有する。
容器41の内部は、3色のインクを収容するために、互いに平行に配置された2つの仕切板411、412により、容量がほぼ等しい3つの空間に仕切られている。これら3つの空間は、互いにインクカートリッジホルダへカラーインクカートリッジを装着する際のカラーインクカートリッジの挿入方向に沿って並んでいる。又、これら各空間に、それぞれイエローのインクを吸収して保持するインク吸収体44Y、マゼンタのインクを吸収して保持するインク吸収体44M、及びシアンのインクを吸収して保持するインク吸収体44Cが収納されている。又、負圧発生部材であるインク吸収体44Y、インク吸収体44M、インク吸収体44C内に収容されているインクは、インクの液面Lで示されるように、それぞれのインク吸収体の上部まで存在している。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をより具体的に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、下記実施例によって限定されるものではない。尚、以下の記載で、「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
<インクの評価>
ここでは、本発明の実施態様のひとつであるインクについて下記のような手順で調製し、得られたインクについて下記のようにして評価を行った。
[ブロンズ現象、光沢ムラ、及び保存安定性の評価]
(シアン顔料分散液の調製)
顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)10部、分散剤20部、イオン交換水70部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散した。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去した。更に、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、シアン顔料分散体を調製した。その後、顔料濃度が10%となるように水で調整してシアン顔料分散液を得た。尚、分散剤には、酸価200、重量平均分子量10,000のスチレン−アクリル酸共重合体を、10%水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより得られた水溶液を用いた。
(各水溶性有機溶剤の貧溶媒及び良溶媒の判定)
上記で得られたシアン顔料分散体に対して貧溶媒及び良溶媒として作用する水溶性有機溶剤を選択するために以下の実験を行った。先ず、上記で得られたシアン顔料分散液の固形分濃度10%水溶液を調製し、これと各水溶性有機溶剤とを用いて、以下の配合比にて貧溶媒及び良溶媒の判定用分散液X、判定用水分散液Yを調製した。
〔判定用分散液X〕
・シアン顔料分散液 50部
・表1に記載の各水溶性有機溶剤 50部
〔判定用水分散液Y〕
・シアン顔料分散液 50部
・純水 50部
次に、上記のようにして調製した判定用分散液X及び判定用水分散液Y各10gを、それぞれ透明なガラス製蓋つきサンプルビンに入れ、蓋をした後、充分に撹拌し、これを60℃で48時間静置した。その後、静置した分散液を測定用サンプルとして、当該分散液中の顔料の平均粒径を、濃厚系粒径アナライザー(商品名:FPAR−1000;大塚電子製)を用いて測定した。60℃、48時間保存後の判定用分散液X及び判定用水分散液Y中の顔料の平均粒径が、判定用分散液Xの方が判定用水分散液Yより大きくなる水溶性有機溶剤を貧溶媒と判定した。又、60℃、48時間保存後の判定用分散液Xの平均粒径が、判定用水分散液Yと同等又はそれ以下になる水溶性有機溶剤を良溶媒と判定した。
上記のようにして平均粒径を測定することで、表1に示した2種類の水溶性有機溶剤について、先に調製したシアン顔料分散液中の顔料分散体に対して貧溶媒及び良溶媒の何れに該当するかについて判定した。評価結果を表1に示す。表1中の結果は、良溶媒と判定された場合を○とし、貧溶媒と判定された場合を×として示した。
(水溶性有機溶剤のKa値の測定)
先ず、表1に挙げた各水溶性有機溶剤のKa値の測定にあたり、下記に示す組成を有する染料の含有量が0.5%の染料水溶液をそれぞれ調製した。かかる染料水溶液を用いるのは、無色透明の水溶液を着色することにより可視化して、Ka値の測定を容易にするためである。
・C.I.ダイレクトブルー199 0.5部
・純水 99.5部
次いで、この0.5%の染料水溶液と、測定対象の各水溶性有機溶剤により、下記に示す組成を有する、着色された水溶性有機溶剤の20%水溶液をそれぞれ調製した。
・上記0.5%の染料水溶液 80部
・表1に記載の水溶性有機溶剤 20部
上記で調製した各水溶性有機溶剤の20%水溶液を測定用の試料として、動的浸透性試験装置(商品名:動的浸透性試験装置S;東洋精機製作所製)を用いて、ブリストウ法により各水溶性有機溶剤の20%水溶液のKa値をそれぞれ求めた。上記のようにして測定した、インクに用い得る各水溶性有機溶剤の20%水溶液におけるKa値の測定結果を表1に示した。
Figure 0005142488
(インクの調製)
表2及び表3に示した各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過を行い、参考例1〜3、6、7、実施例4、5、8〜11及び比較例1〜7のインクを調製した。又、上記で得られたインクについて、協和CBVP−2式表面張力計(協和科学)を用いて、25℃におけるインクの表面張力を測定した。測定したインクの表面張力を表2及び表3中に示した。尚、表2及び表3には、各インク中における、顔料の含有量A(%)、貧溶媒の含有量B(%)、良溶媒の含有量C(%)、染料の含有量D(%)、及び、B/A、C/B、A/D×100(%)、の値を示した。
Figure 0005142488
Figure 0005142488
(記録物の作製)
参考例1〜3、6、7、実施例4、5、8〜11、並びに、比較例1〜5及び7の各インクを用いて、記録物を作製した。記録物の作製には、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名:PIXUS 950i;キヤノン製)を用いた。具体的には、図1の構成を有するインクカートリッジに、上記で得られた各インクを充填して、このインクカートリッジを前記インクジェット記録装置に搭載して画像を形成した。そして、各インクを用いて、プロフェッショナルフォトペーパーPR−101(キヤノン製)に、10cm×10cmのベタ画像を形成した記録物を作製した。プリンタドライバは、プロフォトペーパーモードを選択した。プロフォトペーパーモードの設定条件は下記の通りである。
・用紙の種類:プロフォトペーパー
・印刷品質:きれい
・色調整:自動
(ブロンズ現象)
上記で得られた各記録物を白色蛍光灯を照射した机の上に置き、記録物に対する視線を変化することで、様々な角度から記録物を目視して、ブロンズ現象の発生を確認して評価を行った。ブロンズ現象の評価基準は下記の通りである。評価結果を表4に示す。
A:角度を変化しても、記録物における反射光の色の変化は見られなかった。
B:角度を変化することで、記録物における反射光の色の変化が確認されたが、比較例の記録物における反射光の色の変化に比べて目立たないレベルであった。
C:比較例の記録物における反射光の色の変化と同レベルで、角度を変化することでの記録物における反射光の色の変化が確認された。
Figure 0005142488
上記の結果、参考例6〜7、実施例8のインクを使用した場合の記録物は、ブロンズ現象発生の評価において何れもBと判定されたが、実施例8のインクを使用した場合は、参考例6及び7のインクを使用した場合よりも若干劣っていた。
(光沢ムラ)
上記で得られた記録物を目視して、光沢ムラの発生を確認して評価を行った。その結果、インク中の顔料と染料との含有比率(A/D×100%)が高い参考例6及び7が、他のインクで作製した記録物に比べて、光沢ムラの発生が見られた。
(保存安定性)
先に調製した参考例1〜3、6、7、実施例4、5、8〜11の各インクをそれぞれショット瓶に入れて密栓し、60℃のオーブンで2週間保存した。60℃での保存前後における、顔料の平均粒径、及びインクの粘度をそれぞれ測定して、平均粒径の変化率及び粘度の変化率を求め、得られた各変化率により評価を行った。保存安定性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表5に示す。
A:顔料の平均粒径の変化率又はインクの粘度の変化率が、60℃での保存前後で5%以下である。
B:顔料の平均粒径の変化率又はインクの粘度の変化率が、60℃での保存前後で5%を超えて10%以下である。
C:60℃での保存後に、インクがゲル状に変化している、インクの上部が透明に変化している、又はインクが明らかに増粘している。
Figure 0005142488
[普通紙に形成した画像の発色性及びブリーディングの評価]
先に調製した1〜3、6、7、実施例4、5、8〜11、並びに、比較例1〜4及び6〜7の各インク、更に下記に示すブラックインクを用いて、下記の評価を行った。
(ブラック顔料分散液1の調製)
比表面積210m2/g、DBP吸油量74ml/100gのカーボンブラック10部、分散剤20部、イオン交換水70部を混合し、サンドグラインダーを用いて1時間分散した。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去した。更に、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、ブラック顔料分散体1を調製した。その後、顔料濃度が10%となるように水で調整してブラック顔料分散液1を得た。尚、分散剤には、酸価200、重量平均分子量10,000のスチレン−アクリル酸共重合体を、10%水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより得られた水溶液を用いた。
(ブラック顔料分散液2の調製)
5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で4−アミノフタル酸1.5gを加えた。次に、この溶液が入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに5℃の水9gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かした溶液を加えた。この溶液を更に15分間撹拌後、比表面積が220m2/gでDBP吸油量が105mL/100gであるカーボンブラック6gを撹拌下で加えた。その後、更に15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(商品名:標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥して、自己分散型カーボンブラックを調製した。その後、該カ−ボンブラックの濃度が10%となるように水で調整してブラック顔料分散液2を得た。
(各水溶性有機溶剤の貧溶媒及び良溶媒の判定)
シアン顔料分散液に対する水溶性有機溶剤の貧溶媒及び良溶媒の判定と同様の方法により、上記で得られたブラック顔料分散液1及び2に対して貧溶媒及び良溶媒として作用する水溶性有機溶剤を選択するための実験を行った。表6に示した2種類の水溶性有機溶剤について、ブラック顔料分散液中の顔料分散体に対して貧溶媒及び良溶媒の何れに該当するかについて判定した。評価結果を表6に示す。表6中の結果は、良溶媒と判定された場合を○とし、貧溶媒と判定された場合を×として示した。
Figure 0005142488
(ブラックインクの調製)
下記表7に示した各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過を行い、ブラックインク1及び2を調製した。
Figure 0005142488
(記録物の作製)
記録物の作製には、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名:PIXUS 950i;キヤノン製)を用いた。具体的には、図1の構成を有するインクカートリッジに、上記で得られた各インクを充填して、このインクカートリッジを前記インクジェット記録装置に搭載して画像を形成した。そして、参考例1〜3、6、7、実施例4、5、8〜11、並びに、比較例1〜4及び6〜7の各インク、更にはブラックインク1を用いて、下記の4種類のコピー用紙(普通紙)に、シアンインク及びブラックインク1が隣接した状態の2cm×2cmのベタ画像を形成した記録物を作製した。
プリンタドライバは、デフォルトモードを選択した。デフォルトモードの設定条件は下記の通りである。
・用紙の種類:普通紙
・印刷品質:標準
・色調整:自動
記録媒体は、下記の4種類のコピー用紙(普通紙)を用いた。
・PPC用紙PB(キヤノン製)
・PPC用紙4024(ゼロックス製)
・PPC用紙プローバーボンド(フォックスリバー製)
・キヤノン用PPC用紙(ノイジドラ製)
(発色性及びブリーディング)
記録物を作製した直後に、ブラックインク1で形成した画像と実施例及び参考例のインクで形成した画像が隣接した部分におけるブリーディングの程度を、目視により観察した。又、同様にして、ブラックインク1で形成した画像と比較例のインクで形成した画像が隣接した部分におけるブリーディングの程度を、目視により観察して、実施例及び参考例の記録物と比較して評価を行った。更に、記録物を作製した1日後に、シアンの画像における光学濃度を、マクベスRD915(マクベス製)を用いて測定した。発色性及びブリーディングの評価基準は下記の通りである。評価結果を表8に示す。尚、表8中の評価結果は、何れの記録媒体を用いた場合においても共通のものであった。
A:比較例のインクで形成した画像と比べて、発色性及びブリーディングの抑制の何れも明らかに優れている。
B:比較例のインクで形成した画像と比べて、発色性又はブリーディングの抑制の何れか一方で優れている。
C:比較例のインクで形成した画像と比べて、発色性及びブリーディングの抑制に差がない。
Figure 0005142488
表8から明らかなように、参考例1〜3、6、7、実施例4、5、8〜11は何れも、顔料に対する貧溶媒を含有しない比較例1〜4、色材が染料のみの比較例6、色材が顔料のみの比較例7、と比べて、発色性又はブリーディングの抑制の少なくとも1つの効果が得られることがわかった。尚、参考例6は、実施例4及び5と比べて、発色性及びブリーディングの抑制の何れにおいても、より優れた結果となった。又、参考例7、実施例8〜9は比較例と比べて、インク中の染料の含有量が多いため、発色性が良好となった。しかし、実施例8は参考例7及び実施例9と比べて、顔料の含有量Aに対する貧溶媒の含有量Bの割合が小さいため、発色性及びブリーディングの抑制がやや劣っていた。
ブラックインク1に代えてブラックインク2を用いて、上記と同様の方法により、参考例1のシアンインク及びブラックインク2が隣接した状態の2cm×2cmのベタ画像を形成した記録物を作製した。該記録物を作製した直後に、ブラックインク2で形成した画像と参考1のインクで形成した画像が隣接した部分におけるブリーディングの程度を、目視により観察して、上記の参考例1のシアンインクとブラックインク1で作製した記録物と比較して評価を行った。その結果、ブラックインク2を用いて作製した記録物は、上記の同様の評価基準のBランクであった。しかし、ブラックインク1を用いて作製した記録物と比較してややブリーディングの抑制がよい結果となった。
<インクジェット用インクの製造方法の評価>
ここでは、本発明の別の実施態様であるインクジェット用インクの製造方法により得られたインクについての評価を行った。
下記表9に示した各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過を行い、インクAを調製した。このインクAは、銅フタロシアニン顔料と、該銅フタロシアニン顔料に対する貧溶媒を含有してなる。
Figure 0005142488
図1の構成を有するインクカートリッジに、表9に示す処方で調製したインクAを14.5g注入した。その後、前記インクカートリッジから12.5gのインクを排出した。その後更に、先に調製した比較例1〜3のインクを、前記インクカートリッジを各々用意し、それぞれ10.0g充填して、実施例12〜14のインクを調製した。これらのインクをインクカートリッジから抜き取り、組成を分析したところ、下記表10に示す組成であることがわかった。又、上記で得られた実施例12〜14のインクについて、協和CBVP−2式表面張力計(協和科学)を用いて、25℃におけるインクの表面張力を測定した。測定したインクの表面張力を表10に示す。
Figure 0005142488
(記録物の作製)
実施例12〜14の各インクを用いて、記録物を作製した。記録物の作製には、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名:PIXUS 950i;キヤノン製)を用いた。具体的には、上記で得られたインクカートリッジを前記インクジェット記録装置に搭載して画像を形成した。そして、実施例12〜14の各インクを用いて、プロフェッショナルフォトペーパーPR−101(キヤノン製)に、10cm×10cmのベタ画像を形成した記録物を作製した。プリンタドライバは、プロフォトペーパーモードを選択した。プロフォトペーパーモードの設定条件は下記の通りである。
・用紙の種類:プロフォトペーパー
・印刷品質:きれい
・色調整:自動
(ブロンズ現象)
上記で得られた記録物を白色蛍光灯を照射した机の上に置き、記録物に対する視線を変化することで、様々な角度から記録物を目視して、ブロンズ現象の発生を確認して評価を行った。ブロンズ現象の評価基準は下記の通りである。評価結果を表11に示す。尚、下記の評価基準における比較例は、比較例1〜5及び7のインクである。
A:角度を変化しても、記録物における反射光の色の変化は見られなかった。
B:角度を変化することで、記録物における反射光の色の変化が確認されたが、比較例の記録物における反射光の色の変化に比べて目立たないレベルであった。
C:比較例の記録物における反射光の色の変化と同レベルで、角度を変化することでの記録物における反射光の色の変化が確認された。
Figure 0005142488
本発明の活用例は、色材として銅フタロシアニン骨格を有する顔料と、該顔料に対する貧溶媒とを含有してなるインクジェット用インクを収納していたインクカートリッジを有効活用することができるインクジェット用インクの製造方法が挙げられる。この製造方法によれば、有用なインクを収納していたインクカートリッジをそのまま再利用することができ、製造コストの削減が可能となる。更に、かかる製造方法では、一度インクを収納したインクカートリッジや該インクを収容するインク収容部を有するインクカートリッジを用いるために、インクの充填が容易であり、この点でも製造効率の向上を図ることができる。
本発明にかかるインクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジの概略説明図である。 本発明にかかるインクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジの概略説明図である。 記録媒体にインクが付与されてから定着するまでの概略説明図である。
符号の説明
41:容器
42:蓋部材
43Y、43M、43C:インク供給口
44Y、44M、44C:インク吸収体
45Y、45M、45C:インク供給部材
46:抜け止め爪
47:ラッチレバー
47c:根元斜面
48:ラッチ爪
49:段差部
112:大気連通口
114:液体供給口
132A:第二の負圧発生部材
132B:第一の負圧発生部材
132C:第一の負圧発生部材と第二の負圧発生部材の境界層
134:負圧発生部材収納室
136:液体収納室
138:仕切壁
140:連通孔
146:圧接体
150:大気導入溝(大気導入路)
411、412:仕切板
L:液体−気体界面
1300:記録媒体
1301:フタロシアニン骨格を有する顔料
1302:染料
1303:フタロシアニン骨格を有する顔料の凝集物

Claims (15)

  1. 水、色材、及び水溶性有機溶剤を含有してなるインクジェット用インクであって、
    前記色材が、C.I.ダイレクトブルー199、C.I.ダイレクトブルー86、及びC.I.アシッドブルー9からなる群から選択される1種以上の染料、並びに、銅フタロシアニン骨格を有する顔料であり、
    前記水溶性有機溶剤が、前記顔料に対する貧溶媒を含み、
    前記インク中における前記顔料の含有量A(質量%)が、前記インクの全質量を基準として、1質量%未満であり、
    前記顔料の含有量A(質量%)と、前記インクの全質量を基準とした前記染料の含有量D(質量%)が、7%≦A/D×100%≦24.3%の関係を満たすことを特徴とするインクジェット用インク。
  2. 前記インク中の、前記顔料の含有量A(質量%)に対する、前記貧溶媒の含有量B(質量%)の割合(B/A)が、1以上4以下である請求項1に記載のインクジェット用インク。
  3. 前記顔料のインク中における含有量(質量%)が、前記インクの全質量を基準として、0.2質量%以上である請求項1又は2に記載のインクジェット用インク。
  4. 前記水溶性有機溶剤が、前記顔料に対する良溶媒を含み、
    前記インク中の、前記貧溶媒の含有量B(質量%)に対する、前記良溶媒の含有量C(質量%)の割合(C/B)が、0.3以上2以下である請求項1乃至3の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
  5. 前記貧溶媒が、平均分子量1,000のポリエチレングリコール、2−ピロリドン、及び1,5−ペンタンジオールから選択される少なくとも1種である請求項1乃至4の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
  6. 前記貧溶媒が、平均分子量1,000のポリエチレングリコールである請求項1乃至4の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
  7. 前記良溶媒が、グリセリン及びエチレングリコールから選択される少なくとも1種である請求項4乃至6の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
  8. 前記銅フタロシアニン骨格を有する顔料が、イオン性基の作用によって分散されている請求項1乃至7の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
  9. 前記貧溶媒が、平均分子量1,000のポリエチレングリコールであり、前記インク中の、前記顔料の含有量A(質量%)に対する、前記貧溶媒の含有量B(質量%)の割合(B/A)が、1以上4以下である請求項1に記載のインクジェット用インク。
  10. 請求項1乃至の何れか1項に記載のインクを得るインクジェット用インクの製造方法であって、
    銅フタロシアニン骨格を有する顔料、及び前記顔料に対する貧溶媒を含有してなるインクを収納するインクカートリッジに、色材として、C.I.ダイレクトブルー199、C.I.ダイレクトブルー86、及びC.I.アシッドブルー9からなる群から選択される1種以上の染料を含有してなるインクを注入する工程を有することを特徴とするインクジェット用インクの製造方法。
  11. 請求項10に記載のインクジェット用インクの製造方法により得られてなることを特徴とするインクジェット用インク。
  12. インクジェット方式でインクを吐出するインクジェット記録方法において、前記インクに、請求項1乃至及び11の何れか1項に記載のインクジェット用インクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
  13. インクを収容するインク収容部を備えてなるインクカートリッジにおいて、前記インク収容部に、請求項1乃至及び11の何れか1項に記載のインクジェット用インクを収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
  14. 水、カーボンブラック、及び水溶性有機溶剤を含有してなるブラックインクと共に用いられるシアンインクであって、
    水、色材、及び水溶性有機溶剤を含有してなり、前記色材として、C.I.ダイレクトブルー199、C.I.ダイレクトブルー86及びC.I.アシッドブルー9からなる群から選択される1種以上の染料、並びに、銅フタロシアニン骨格を有する顔料を含有し、
    前記水溶性有機溶剤として、前記顔料に対する貧溶媒を含み、
    前記インク中における前記顔料の含有量A(質量%)が、前記インクの全質量を基準として1質量%未満であり、
    前記顔料の含有量A(質量%)と、前記インクの全質量を基準とした前記染料の含有量D(質量%)が、7%≦A/D×100%≦24.3%の関係を満たすことを特徴とするシアンインク。
  15. 前記貧溶媒が、共に用いる前記ブラックインク中の前記カーボンブラックに対する貧溶媒でもある請求項1に記載のシアンインク。
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