JP2007264594A - 反射防止微細構造、反射防止成形体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】可視光線の波長よりも短いピッチで配列された無数の微細凸部1pから成る反射防止微細構造において、上記微細凸部1pを円錐台状又は角錐台状とし、その底面形状を直径Dの円又は直径Dの円に内接する多角形(但し、100nm<D<380nm)とすると共に、上面形状を直径dの円又は直径dの円に内接する多角形(但し、5nm<d<50nm)とする。
【選択図】図1
Description
すなわち、例えば波形あるいは三角形をなす無数の微細凹凸が表面に形成されていることによって、凹凸の最表面では透明性素材の存在割合が限りなく0%に近いものとなって、実質的に空気の屈折率に等しくなる一方、凹凸の底部では逆に空気の存在割合が限りなく0%に近いものとなって透明性素材の屈折率と等しくなり、中間部ではその断面における透明性素材の占める断面積に応じた屈折率となる結果、光の屈折率が当該反射防止構造の厚み方向に、空気の屈折率から透明性素材の屈折率の間で連続的に変化するようになることから、屈折率の異なる複数の薄膜から成る多層反射防止膜(この場合の屈折率は段階的に変化する)と同様の原理によって、当該反射防止膜よりも優れた反射防止性能を発揮させることができる。
したがって、当該反射防止微細構造の厚み方向の各段面における当該微細構造素材と空気の存在比率によって定まる各断面における光の屈折率が、厚み方向に向けて空気の屈折率から素材の屈折率まで、連続的に変化するようになることによって、光の反射防止特性が発揮される一方、各微細凸部1pの先端部が後述する数値範囲で平坦化されているので、他の部材と擦れ合ったり、ぶつかったりしても損傷を受けにくく、反射防止性能に対する影響を最小限のものとして、光の反射防止機能を耐傷付き性とを両立させることができる。
また、微細凸部1pの形状が図2(b)に示すように、角錐台状(図においては、典型例として四角錘台の場合を示している)の場合には、底面を形成する多角形に外接する円の径をD、上面を形成する多角形に外接する円の径をdとするとき、同様に、それぞれ100nm<D<380nm、5nm<d<50nmの範囲内とすることが必要となる。
一方、底面寸法Dの下限値については、反射防止機能を確保するためには、当該微細凸部1pの側面をある程度傾斜させることによって、厚み方向断面における光の屈折率を連続的に変化させることが必要であることから、底面寸法Dが100nm以下になると、後述する上面寸法dの上限値50nmとの兼ね合いによっては、側面の傾斜が不十分となって、十分な反射防止機能が得られなくなることによる。
なお、このような微細構造については、電子線リソグラフィなどを用いたとしても、微細凸部1pの上面寸法dを5nm以下に成形するのは極めて難しく、これが限界値と言うことができる。
a>〔{(d2−dD)/(4H)}2+(d/2)2〕1/2
すなわち、上記算出式の右辺は、底面形状の外接円の中心点を通る法線から、微細構造先端の稜線に下ろした垂線の長さであって、この垂線の長さは先端面の曲率半径を表わす。微細凸部1pにおける先端面の曲率半径aが算出値以下の場合には、先端の形状が鋭利になり、引っかかりによる傷付の原因となる傾向がある。
X=(D/2)×{1−(Z/h)n}・・・(1)
Z={h/(D/2)n}×Xn ・・・(2)
このような観点から、方向性のない円形や、平面上に隙間なく敷き詰めることができる正三角形、正方形、正六角形とすることが望ましい。
また、自動車を始めとする各種の部品、例えば、ウインドウ屋ルーフのガラス、メーターフロントカバー、ヘッドランプ、リヤフィニッシャー、液晶などの表示装置の最前面に用いるフィルムなど適用することによって、同様の反射防止効果を得ることができる。
また、上記成形型と基材の間に、活性エネルギー線硬化性樹脂を介在させた状態で活性エネルギー線を照射し、当該樹脂を硬化させることによって、当該基材の表面に上記のような反射防止微細構造1を成形し、反射防止成形体とすることができる。
なお、ここで用いられる活性エネルギー線としては、代表的には、紫外線やX線、その他電子線、電磁波などが挙げられるが特に限定されるものではない。
なお、必要に応じて、溶融した無機系透明材料を流し込んだのち、冷却しないうちに同様の反射防止構造を有する第2の型を押し当てる、または両面に型を押し当てた無機系透明材料を軟化点まで加熱し、圧力をかけて形状を転写することによって、基材の両面に微細構造を形成することができる。
市販の電子線描画装置で作成した金型を使用して、この金型を150℃に加熱したのち、ポリメチルメタクリレート基材の両面に10MPaの圧力で1時間押し当てた後、70℃以下まで冷却することによって、円錘台状をなし、底面の直径Dが200nm、上面の直径dが20nm、高さHが400nmであって、先端の曲率半径aが10.25nmの微細凸部1pが六方細密状態(ピッチ:200nm)に配列された反射防止微細構造1を両面に備えた反射防止成形体を作成した。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面の直径Dが250nm、上面の直径dが25nm、高さHが750nmの円錘台状をなし、先端が平面である微細凸部1pが六方細密状態(ピッチ:250nm)に配列された反射防止微細構造1を備えた反射防止成形体を作成した。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用し、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面の直径Dが250nm、上面の直径dが25nm、高さHが250nmの円錘台状をなし、先端の曲率半径aが13.71nmの微細凸部1pが六方細密状態(ピッチ:250nm)に配列された反射防止微細構造1を備えた反射防止成形体を作成した。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面を形成する正方形に外接する円の直径Dが250nm、上面を形成する正方形に外接する円の直径dが50nm、高さHが500nmの正四角錘台状をなし、先端の曲率半径aが25.50nmである微細凸部1pが六方細密状態(ピッチ:177nm)に配列された反射防止微細構造1を備えた反射防止成形体を作成した。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返し、ポリメチルメタクリレート基材の裏面側に、底面の直径Dが300nm、上面の直径dが50nm、高さHが600nmの円錘台状をなし、先端の曲率半径aが25.54nmの微細凸部1pが六方細密状態(ピッチ:300nm)に配列された反射防止微細構造1を備えた反射防止成形体を作成した。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面が正方形であって、これに外接する円の直径Dが250nm、上面を形成する正方形に外接する円の直径dが30nm、頂点までの高さhが640mm、高さHが550nmの正四角錘台状をなし、先端が平面をなすと共に、先端面外周部分から底面外周部分に至る稜線が、次数n=1.2の線形式(1)で表される微細凸部1pが六方細密状態(ピッチ:177nm)に配列された反射防止微細構造1を備えた反射防止成形体を作成した。
X=(D/2)×{1−(Z/h)n}・・・(1)
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面が正方形をなし、これに外接する円の直径Dが250nm、上面を形成する正方形に外接する円の直径dが50nm、頂点までの高さhが720mm、高さHが550nmの正四角錘台状をなし、先端面の曲率半径aが50nmであって、先端面外周部分から底面外周部分に至る稜線が、次数n=1.2の上記線形式(1)で表される微細凸部1pが六方細密状態(ピッチ:177nm)に配列された反射防止微細構造1を備えた反射防止成形体を作成した。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、正方形の底面を有し、これに外接する円の直径Dが300nm、上面を形成する正方形に外接する円の直径dが40nm、頂点までの高さhが400mm、高さHが300nmの正四角錘台状をなし、先端面の曲率半径aが45nmであって、先端面外周部分から底面外周部分に至る稜線が、次数n=2の線形式(2)で表される微細凸部1pが六方細密状態(ピッチ:212nm)に配列された反射防止微細構造1を備えた反射防止成形体を作成した。
Z={h/(D/2)n}×Xn ・・・(2)
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面が正方形であって、これに外接する円の直径Dが200nm、上面を形成する正方形に外接する円の直径dが10nm、頂点までの高さhが555mm、高さHが500nmの正四角錘台状をなし、先端面の曲率半径aが15nmであって、先端面外周部分から底面外周部分に至る稜線が、次数n=2の上記線形式(2)で表される微細凸部1pが六方細密状態(ピッチ:141nm)に配列された反射防止微細構造1を備えた反射防止成形体を作成した。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用し、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面径が250nmで、高さが750nmの円錐状をなす微細凸部が六方細密状態(ピッチ:250nm)に配列された反射防止構造を備えた反射防止成形体を作成した。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返し、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面の直径Dが400nm、上面の直径dが25nm、高さHが800nmの円錘台状をなし、先端の曲率半径aが12.84nmの微細凸部が六方細密状態(ピッチ:400nm)に配列された反射防止構造を備えた反射防止成形体を作成した。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返し、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面の直径Dが250nm、上面の直径dが100nm、高さHが500nmの円錘台状をなし、先端の曲率半径aが50.56nmの微細凸部が六方細密状態(ピッチ:250nm)に配列された反射防止構造を備えた反射防止成形体を作成した。
上記実施例及び比較例によって得られた各反射防止成形体について、以下の要領によって、平均反射率、耐傷付き性について評価を行った。
その結果を各反射防止成形体の諸元と共に、表1に示す。
変角分光光度計(大塚電子製)を用いて、光の入射角度0度、測定角度0度における各反射防止成形体の反射率を波長380〜780nmの範囲で10nmごとに測定し、その平均値を平均反射率とした。
JIS K5600−5−4に規定された鉛筆硬度試験に基づいて、HBの鉛筆を用いて1kg荷重で引っ掻き、目視によって傷が確認できたものを「×」、できないものを「○」と評価した。
以上の結果を反射防止微細構造の諸元と共に、表1にまとめて示す。
これに対し、円錐形状の微細凸部から成る微細構造を備えた比較例1の反射防止成形体においては、反射防止性能には優れるものの、傷が付き易くて実用的ではなく、微細凸部の形状が円錐台状であるものの、底面寸法が大きくて凸部間のピッチが可視光線の最短波長よりも大きい比較例2、さらには上面寸法が大きすぎる比較例3の反射防止成形体においては、耐傷付き性に波優れるものの、反射防止機能に劣る結果となった。
1p 微細凸部
Claims (8)
- 無数の微細凸部が可視光線の波長よりも短いピッチで配列されて成る反射防止微細構造において、上記微細凸部が円錐台状又は角錐台状をなし、その底面形状が直径Dの円又はこの円に内接する多角形であると共に、上面形状が直径dの円又はこの円に内接する多角形であって、上記直径D及びdが次式の範囲内であることを特徴とする反射防止微細構造。
100nm<D<380nm
5nm<d<50nm - 上記微細凸部の先端面が曲面を有し、該曲面の曲率半径aが次式を満足することを特徴とする請求項1に記載の反射防止微細構造。
a≧〔{(d2−dD)/(4H)}2+(d/2)2〕1/2 - 隣接する微細凸部の底面同士が接触状態に配列されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の反射防止微細構造。
- 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の反射防止微細構造を少なくとも一方の面に備えていることを特徴とする反射防止成形体。
- 透明であることを特徴とする請求項4に記載の反射防止成形体。
- 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の反射防止微細構造を備えた成形型と、基材の少なくとも一方を加熱した状態で両者を相対的に押し当て、基材表面に上記微細構造を形成することを特徴とする反射防止成形体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の反射防止微細構造を備えた成形型と基材の間に活性エネルギー線硬化性樹脂を介在させた状態で活性エネルギー線を照射し、基材表面に上記微細構造を形成することを特徴とする反射防止成形体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の反射防止微細構造を備えていることを特徴とする自動車用部品。
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