JP2007187773A - 反射防止構造、反射防止成形体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】入射光の絶対量が多い場合であっても、反射像の映り込みを防止することができ、さらに優れた視認性を確保できる反射防止構造と共に、このような構造を備えた反射防止成形体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】可視光線の波長よりも短いピッチで配列された無数の微細凸部2p(微細構造)を備えた微細周期構造2の中に、可視光線の波長よりも長い寸法を備えた粗大構造3を望ましくは1〜10%の面積率で散在させる。
【選択図】図1
【解決手段】可視光線の波長よりも短いピッチで配列された無数の微細凸部2p(微細構造)を備えた微細周期構造2の中に、可視光線の波長よりも長い寸法を備えた粗大構造3を望ましくは1〜10%の面積率で散在させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、光の反射防止機能(アンチリフレクション)と共に、反射光を散乱させる機能(アンチグレア)をも発揮させることができ、入射光量が大きい場合でも像の映り込みを防止することができる反射防止構造と、このような反射防止構造を備え、無反射パネルとして、例えば、自動車を始めとする車両や、船舶、航空機などの各種メーター類や、ディスプレイ装置などに好適に使用することができる反射防止成形体、さらには、当該反射防止成形体の製造方法に関するものである。
液晶ディスプレイやCRTディスプレイなど各種のディスプレイ装置、身近な例では、家庭用テレビの画面に外光や室内の照明などの影が映り込むと、本来の映像の視認性が著しく低下することがある。
また、例えば自動車の運転席には、スピードメータや燃料計などの各種計器類をまとめて収納したディスプレイ部の前面にメーターフロントカバーが嵌め込まれているが、このカバーに、フロントウインドウやサイドウインドウを通して車外の景色が映り込むことによって、ディスプレイ部の各種表示が見づらくなることがある。そこで、外光を遮るべく、ディスプレイの上方にメーターフードを配置するようにしている。
このような光の反射を防止するための構造としては、屈折率の異なる複数の薄膜から成る多層反射防止膜が知られているが、このような多層反射防止膜よりもさらに反射率を低下できるものとして、微細構造を用いた反射防止構造の提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−267815号公報
上記特許文献1には、透明性成形品の表面に、透明性素材から成る無数の微細凹凸を光の波長以下のピッチで形成することによって、光の屈折率が厚み方向に変化するようにした反射防止構造が記載されている。
すなわち、例えば波形あるいは三角形をなす無数の微細凹凸が表面に形成されていることによって、凹凸の最表面では透明性素材の存在割合が限りなく0%に近いものとなって、実質的に空気の屈折率に等しくなる一方、凹凸の最底部では逆に空気の存在割合が限りなく0%に近いものとなって成形品の屈折率と等しくなり、中間部ではその断面における透明性素材の占める断面積に応じた屈折率となる結果、光の屈折率が当該反射防止構造の厚み方向に、空気の屈折率から透明性素材の屈折率の間で連続的に変化するようになることから、屈折率の異なる複数の薄膜から成る多層反射防止膜(屈折率は段階的に変化することになる)と同様の原理によって、当該反射防止膜よりも優れた反射防止性能を備えたものとなる。
すなわち、例えば波形あるいは三角形をなす無数の微細凹凸が表面に形成されていることによって、凹凸の最表面では透明性素材の存在割合が限りなく0%に近いものとなって、実質的に空気の屈折率に等しくなる一方、凹凸の最底部では逆に空気の存在割合が限りなく0%に近いものとなって成形品の屈折率と等しくなり、中間部ではその断面における透明性素材の占める断面積に応じた屈折率となる結果、光の屈折率が当該反射防止構造の厚み方向に、空気の屈折率から透明性素材の屈折率の間で連続的に変化するようになることから、屈折率の異なる複数の薄膜から成る多層反射防止膜(屈折率は段階的に変化することになる)と同様の原理によって、当該反射防止膜よりも優れた反射防止性能を備えたものとなる。
しかしながら、上記特許文献1に記載の反射防止構造においては、反射率は著しく低下するものの、光の反射を完全に無くすことはできず、例えば太陽光のように入射光の絶対量が多い場合には、反射量もそれに応じて多くなることから、像の映り込みを完全に防止することはできず、輪郭など反射像が部分的に見えてしまい、表示や映像の視認性が損なわれるという問題があった。
本発明は、光の波長以下のピッチに形成した微細凹凸から成る従来の反射防止構造における上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的とするところは、入射光の絶対量が多い場合であっても、反射像の映り込みを防止することができ、さらに優れた視認性を確保できる反射防止構造と共に、このような構造を備えた反射防止成形体及びその製造方法、さらには、上記反射防止構造を備えた自動車用部品、例えばメーターフロントカバーやウインドウガラスを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、上記のような光の波長よりも小さい微細構造から成る反射防止構造(アンチリフレクション)と、光の波長よりも大きい粗大構造による反射光の散乱構造(アンチグレア)とを混在させることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は上記知見に基づくものであって、本発明の反射防止構造は、可視光線の波長よりも短いピッチで配列された無数の微細構造を備えた微細周期構造の中に、可視光線の波長よりも長い寸法を備えた粗大構造が、望ましくは1〜10%の面積率で散在していることを特徴としている。
また、本発明の反射防止成形体は、本発明の上記反射防止構造を当該成形体の少なくとも片面に備えていることを特徴とし、当該反射防止成形体の製造方法においては、上記の反射防止構造を備えた成形型を用意し、当該成形型及び基材の一方又は双方を加熱した状態で両者を相対的に押し当てたり、上記成形型と基材の間に活性エネルギー線硬化性樹脂を介在させた状態で活性エネルギー線を照射したりすることによって、当該基材の表面に上記した本発明の反射防止構造を形成するようにしている。
さらに、本発明の自動車用部品は、上記反射防止構造を備えていることを特徴とするものである。
本発明によれば、無数の凸部あるいは凹部から成る微細構造が可視光線の波長よりも短いピッチで配列され、アンチリフレクション機能を有する微細周期構造の中に、可視光線の波長よりも長い寸法を備え、アンチグレア機能を有する粗大構造が散在するようにしたため、上記微細周期構造によって優れた反射防止機能が発揮される一方、所々に散在している粗大構造からの散乱光が存在するため、これによって反射像の結像が阻害されることから、入射光量が大きい場合であっても反射像の映り込みを大幅に低減させることができる。
また、本発明の反射防止成形体は、その表面に上記反射防止構造を備えたものであるから、入射光量が極めて大きいような場合にも反射像の映り込みをほとんど防止することが可能であって、自動車を始めとする各種の部品に適用することができ、例えばメーターフロントカバーに適用した場合には、外光を遮断するためのフードを廃止したフードレスメーターの実現が可能になる。
以下、本発明の反射防止構造やこれを適用した反射防止成形体について、その製造方法や実施形態などと共に、さらに詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明の反射防止構造における実施形態の一例を示すものであって、本発明の反射防止構造1は、図1(a)及び、その拡大図である図1(b)に示すように、この実施形態では、微細構造として、この例ではピラミッド形(正四角錘)をなす無数の微細凸部2pが可視光線の波長よりも短いピッチAで配列されて成る微細周期構造2(アンチリフレクション構造)を備え、当該微細周期構造2の中に、可視光線の波長よりも大きい長さBの対角線を有する正方形の底面を備えたピラミッド形の粗大構造3(アンチグレア構造)が不規則に散在した構造を有している。
ここで、上記粗大構造3については、図2(a)に示すように表面上に突出した凸形状であっても、図2(b)に示すように窪んだ凹形状であってもよい。
なお、このような反射防止構造を成形するための金型作製時の容易性や、コストを考慮すると、上記粗大構造3は、図2(a)に示したような凸形状のものとし、微細周期構造2を構成する微細凸部2pの高さと実質的に同じ高さとすることが望ましい。
なお、このような反射防止構造を成形するための金型作製時の容易性や、コストを考慮すると、上記粗大構造3は、図2(a)に示したような凸形状のものとし、微細周期構造2を構成する微細凸部2pの高さと実質的に同じ高さとすることが望ましい。
隣接する微細凸部2p間のピッチAについては、50nmを超え、380nm未満とすることが望ましい。すなわち、ピッチAが50nm以下となるような微細構造を工業的に製造することは極めて困難である一方、ピッチAが可視光線の最短波長である380nm以上となると、目的とする反射防止効果が得られなくなることによる。
なお、図1(a)及び(b)においては、微細凸部2pの底面形状が正方形のものを例示しているが、本発明において微細凸部2pの形状は正四角錘のみに限定される訳ではなく、円錐や多角錘など種々の形状を採用することができるが、平面部分を極力減らして反射率をより低減させる観点から、隣接する微細凸部2pの底面同士が離間することなく、接触した状態に配置されていることが望ましい。
このような観点から、微細凸部2pの底面形状について、代表的には、形状に異方性のない円形や、平面上に隙間なく敷き詰めることができる正三角形、正方形、正六角形とすることが望ましい。
このような観点から、微細凸部2pの底面形状について、代表的には、形状に異方性のない円形や、平面上に隙間なく敷き詰めることができる正三角形、正方形、正六角形とすることが望ましい。
一方、微細周期構造2の中に散在する粗大構造3の大きさについては、その底面形状が図1(a)及び(b)に示したような正方形の場合には、これに外接する円の直径B(この場合、対角線の長さに一致する)について、780nmを超え、10μm未満とすることが望ましい。すなわち、外接円径(対角線長さ)Bが可視光線の最長波長である780nm以下となると、特定の波長を可視光のみを回折して、全ての可視光を拡散することができなくなることがあり、10μm以上になると、このような粗大構造3の存在が人の目に見えてしまう可能性があることによる。
また、当該粗大構造3の底面形状についても、上記のような正方形のみに限定される訳ではなく、円形や多角形など種々の形状を採用することができる。
このときの粗大構造3の大きさとしては、円形の場合にはその径B、多角形の場合にはその外接円の径Bを上記範囲内とすることになる。なお、底面形状が矩形、正六角形、正八角形などの場合には、外接円の径は、その対角線の長さと一致することになる。
このときの粗大構造3の大きさとしては、円形の場合にはその径B、多角形の場合にはその外接円の径Bを上記範囲内とすることになる。なお、底面形状が矩形、正六角形、正八角形などの場合には、外接円の径は、その対角線の長さと一致することになる。
図3(a)〜(d)は、本発明の反射防止構造1の微細周期構造2中における粗大構造3の配置パターン例を示す平面図であって、これらの図に示すように、無数の微細凸部2pから成る微細周期構造2(アンチリフレクション構造)中に、正方形や長方形、円形などの底面形状を有する粗大構造3(アンチグレア構造)がランダムに配置されている。
ここで、反射防止構造全面中に占める上記粗大構造3の合計面積率としては、1〜10%の範囲となるようにすることが望ましい。すなわち、粗大構造3の占有面積率が1%に満たない場合には、当該粗大構造3からの散乱光が十分に得られなくなって、反射像の結像を防止することができなくなり、入射光量が多い場合の反射像の映り込みを十分に減らすことができなくなることがあり、逆に10%を超えると、粗大構造3からの散乱光が多くなって、反射防止構造1の表面が白濁した状態に見えるようになる傾向があることによる。
ここで、反射防止構造全面中に占める上記粗大構造3の合計面積率としては、1〜10%の範囲となるようにすることが望ましい。すなわち、粗大構造3の占有面積率が1%に満たない場合には、当該粗大構造3からの散乱光が十分に得られなくなって、反射像の結像を防止することができなくなり、入射光量が多い場合の反射像の映り込みを十分に減らすことができなくなることがあり、逆に10%を超えると、粗大構造3からの散乱光が多くなって、反射防止構造1の表面が白濁した状態に見えるようになる傾向があることによる。
なお、図3においては、微細周期構造2を構成する微細凸部2pの形状が全て正四角錘のものを示したが、微細凸部2pの形状が限定されないことは前述した通りであり、粗大構造3の底面形状についても矩形や円形のみに限定されないことは言うまでもない。
また、以上の説明では、微細凸部2pから成る微細周期構造2を例示したが、微細周期構造2を微細な凹部から成るものであってもよいことは言うまでもない。
また、以上の説明では、微細凸部2pから成る微細周期構造2を例示したが、微細周期構造2を微細な凹部から成るものであってもよいことは言うまでもない。
本発明の上記反射防止構造を基材、代表的には透明基材の片面、望ましくは両面に成形することによって、反射防止成形体とすることができ、このような成形体を各種ディスプレイ装置のパネルや、ショウウインドウや展示ケースなどの透明パネルに適用することによって、外光や室内照明の反射を低減し、反射像の映り込みを効果的に防止して、映像や表示、内部展示物の視認性を向上させることができる。
また、自動車を始めとする各種の部品、例えば、ウインドウやルーフのガラス、メーターフロントカバー、ヘッドランプ、リヤフィニッシャー、液晶などの表示装置の最前面に用いるフィルムなど適用することによって、同様の反射防止効果を得ることができる。
また、自動車を始めとする各種の部品、例えば、ウインドウやルーフのガラス、メーターフロントカバー、ヘッドランプ、リヤフィニッシャー、液晶などの表示装置の最前面に用いるフィルムなど適用することによって、同様の反射防止効果を得ることができる。
本発明の反射防止成形体においては、その片面側に本発明の上記反射防止構造を成形する一方、他面側に多層反射防止膜を形成することもでき、これによって反射防止構造を両面に形成したものに較べれば、反射防止機能に若干劣ることになるものの、多層反射防止膜を外面側に向けることによって、傷つき易さという反射防止構造の有する弱点をカバーすることができるようになる。
本発明の上記反射防止成形体を製造するに際しては、上記のような無数の微細凸部2pから成る微細周期構造2と、この中に散在する粗大構造3を備えた成形型を用意し、この成形型と基材の一方、又は双方を加熱した状態で両者を相対的に押し当てることによって、あるいは上記成形型と基材の間に、活性エネルギー線硬化性樹脂を介在させた状態で活性エネルギー線を照射し、当該樹脂を硬化させることによって、当該基材の表面に上記のような反射防止構造1を成形するようになすことができる。
上記基材の材料としては、代表的には透明性があるものが望ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニール、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ガラス強化ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶性ポリマー、フッ素樹脂、ポリアレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアミドビスマレイミド、ポリビスアミドトリアゾール等の熱硬化性樹脂、及びこれらを2種以上ブレンドした材料を用いることができる。
また、例えば紫外線などの照射によって重合を開始し、硬化する活性エネルギー線硬化樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン計樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂などを挙げることができ、必要に応じて活性エネルギー線を照射することによってラジカルを発生する重合開始剤を用いることもでき、より強固に固めるためイソシアネートのような硬化剤を加えることもできる。
なお、ここで用いられる活性エネルギー線としては、代表的には、紫外線やX線、その他電子線、電磁波などが挙げられ、特に限定されるものではないが、安全性や作業の簡便さから、可視光線や紫外線が用いられることが多い。
なお、ここで用いられる活性エネルギー線としては、代表的には、紫外線やX線、その他電子線、電磁波などが挙げられ、特に限定されるものではないが、安全性や作業の簡便さから、可視光線や紫外線が用いられることが多い。
また、ガラス等の無機系透明材料を用いることも可能であり、この場合には、電子ビーム等によってガラス表面を切削することにより上記のような反射防止構造を形成する方法や、本発明の反射防止構造を備えた型に溶融した無機系透明材料を流し込む方法によって基材表面に当該反射防止構造を形成することができる。
なお、必要に応じて、溶融した無機系透明材料を流し込んだのち、冷却しないうちに同様の反射防止構造を有する第2の型を押し当てる、または両面に型を押し当てた無機系透明材料を軟化点まで加熱し、圧力をかけて形状を転写することによって、基材の両面に微細構造を形成することができる。
なお、必要に応じて、溶融した無機系透明材料を流し込んだのち、冷却しないうちに同様の反射防止構造を有する第2の型を押し当てる、または両面に型を押し当てた無機系透明材料を軟化点まで加熱し、圧力をかけて形状を転写することによって、基材の両面に微細構造を形成することができる。
以下に、実施例に基づいて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されることはない。
(実施例1)
市販の電子線描画装置で作成した金型を使用して、この金型を150℃に加熱したのち、10MPaの圧力でポリメチルメタクリレート基材の両面に1時間押し当てた後、70℃以下まで冷却することによって、底面径が350nmで、高さが900nmの円錐形をなす微細凸部2pが六方細密状態(ピッチA=350nm)に配列された微細周期構造2の中に、外接円の径B(対角線の長さ)が1000nmで、高さが同様に900nmの四角錘形をなす粗大構造3が2%の占有面積率でランダムに配置された反射防止構造1を両面に備えた反射防止成形体を成形した。
市販の電子線描画装置で作成した金型を使用して、この金型を150℃に加熱したのち、10MPaの圧力でポリメチルメタクリレート基材の両面に1時間押し当てた後、70℃以下まで冷却することによって、底面径が350nmで、高さが900nmの円錐形をなす微細凸部2pが六方細密状態(ピッチA=350nm)に配列された微細周期構造2の中に、外接円の径B(対角線の長さ)が1000nmで、高さが同様に900nmの四角錘形をなす粗大構造3が2%の占有面積率でランダムに配置された反射防止構造1を両面に備えた反射防止成形体を成形した。
(実施例2)
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返し、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面径が250nmで、高さが750nmの円錐形をなす微細凸部2pが六方細密状態(ピッチA=250nm)に配列された微細周期構造2の中に、径Bが1000nmで、高さが同様に750nmの円錘形をなす粗大構造3が5%の占有面積率でランダムに配置された反射防止構造1を成形した。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返し、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面径が250nmで、高さが750nmの円錐形をなす微細凸部2pが六方細密状態(ピッチA=250nm)に配列された微細周期構造2の中に、径Bが1000nmで、高さが同様に750nmの円錘形をなす粗大構造3が5%の占有面積率でランダムに配置された反射防止構造1を成形した。
(実施例3)
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用し、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面径が250nmで、高さが500nmの円錐形をなす微細凸部2pが六方細密状態に配列された微細周期構造2の中に、径Bが1000nmで、深さが500nmの凹型ドーム形をなす粗大構造3が5%の占有面積率でランダムに配置された反射防止構造1を成形した。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用し、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面径が250nmで、高さが500nmの円錐形をなす微細凸部2pが六方細密状態に配列された微細周期構造2の中に、径Bが1000nmで、深さが500nmの凹型ドーム形をなす粗大構造3が5%の占有面積率でランダムに配置された反射防止構造1を成形した。
(実施例4)
同様の電子線描画装置で作成した金型に、表面に紫外線硬化アクリル樹脂をスピンコートによって塗布したポリカーボネート基材を密着させ、この状態で紫外線を照射することによって、ポリカーボネート基材の両面に、底面径が250nmで、高さが500nmの円錐形をなす微細凸部2pが六方細密状態に配列された微細周期構造2を成形した。
次いで、この上からレーザ光を照射することによって、上記微細周期構造2の中に、底面径200nm、深さ500nmの不定形状の凹形をなす粗大構造3が10%の占有面積率でランダムに配置された反射防止構造1を成形した。
同様の電子線描画装置で作成した金型に、表面に紫外線硬化アクリル樹脂をスピンコートによって塗布したポリカーボネート基材を密着させ、この状態で紫外線を照射することによって、ポリカーボネート基材の両面に、底面径が250nmで、高さが500nmの円錐形をなす微細凸部2pが六方細密状態に配列された微細周期構造2を成形した。
次いで、この上からレーザ光を照射することによって、上記微細周期構造2の中に、底面径200nm、深さ500nmの不定形状の凹形をなす粗大構造3が10%の占有面積率でランダムに配置された反射防止構造1を成形した。
(実施例5)
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返し、ポリメチルメタクリレート基材の裏面側に、底面径が250nmで、高さが500nmの円錐形をなす微細凸部2pが六方細密状態に配列された微細周期構造2の中に、径Bが1000nmで、深さが750nmの凹型円錐状をなす粗大構造3が3%の占有面積率でランダムに配置された反射防止構造1を成形した。
次いで、当該基材の表面側に、基材に近い側から、膜厚が181.9nmであって屈折率が1.38の第1層、膜厚が12.8nmであって屈折率が2.5の第2層、膜厚が34.9nmであって屈折率が1.45の第3層、膜厚が37.4nmであって屈折率が2.5の第4層、膜厚が22.3nmであって屈折率が1.45の第5層、膜厚が28.6nmであって屈折率が2.5の第6層、及び膜厚が97.1nmであって屈折率が1.38の第7層をそれぞれ順次蒸着することによって、都合7層から成る多層反射防止膜を形成した。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返し、ポリメチルメタクリレート基材の裏面側に、底面径が250nmで、高さが500nmの円錐形をなす微細凸部2pが六方細密状態に配列された微細周期構造2の中に、径Bが1000nmで、深さが750nmの凹型円錐状をなす粗大構造3が3%の占有面積率でランダムに配置された反射防止構造1を成形した。
次いで、当該基材の表面側に、基材に近い側から、膜厚が181.9nmであって屈折率が1.38の第1層、膜厚が12.8nmであって屈折率が2.5の第2層、膜厚が34.9nmであって屈折率が1.45の第3層、膜厚が37.4nmであって屈折率が2.5の第4層、膜厚が22.3nmであって屈折率が1.45の第5層、膜厚が28.6nmであって屈折率が2.5の第6層、及び膜厚が97.1nmであって屈折率が1.38の第7層をそれぞれ順次蒸着することによって、都合7層から成る多層反射防止膜を形成した。
(実施例6)
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用し、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面径が350nm、上面径が50nmで、高さが900nmの円錐台形状をなす微細凸部2pが六方細密状態(ピッチA=350nm)に配列された微細周期構造2の中に、外接円の径B(対角線の長さ)が1000nmで、高さが500nmの四角錘形をなす粗大構造3が2%の占有面積率でランダムに配置された反射防止構造1を成形した。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用し、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面径が350nm、上面径が50nmで、高さが900nmの円錐台形状をなす微細凸部2pが六方細密状態(ピッチA=350nm)に配列された微細周期構造2の中に、外接円の径B(対角線の長さ)が1000nmで、高さが500nmの四角錘形をなす粗大構造3が2%の占有面積率でランダムに配置された反射防止構造1を成形した。
(比較例1)
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返し、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面径が250nmで、高さが750nmの円錐形をなす微細凸部2pが六方細密状態に配列された微細周期構造2を成形した。
そして、当該微細周期構造のみから成る反射防止成形体について、同様の評価試験を実施した。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返し、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面径が250nmで、高さが750nmの円錐形をなす微細凸部2pが六方細密状態に配列された微細周期構造2を成形した。
そして、当該微細周期構造のみから成る反射防止成形体について、同様の評価試験を実施した。
(比較例2)
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返し、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面径が250nmで、高さが500nmの円錐形をなす微細凸部2pが六方細密状態に配列された微細周期構造2の中に、径Bが600nmで、高さが500nmの円錐形をなす粗大構造3が30%の占有面積率でランダムに配置された反射防止構造を成形した。
そして、得られた反射防止成形体について、同様の評価試験を行った。
同様の電子線描画装置で作成した金型を使用して、上記実施例1と同様の操作を繰り返し、ポリメチルメタクリレート基材の両面に、底面径が250nmで、高さが500nmの円錐形をなす微細凸部2pが六方細密状態に配列された微細周期構造2の中に、径Bが600nmで、高さが500nmの円錐形をなす粗大構造3が30%の占有面積率でランダムに配置された反射防止構造を成形した。
そして、得られた反射防止成形体について、同様の評価試験を行った。
〔評価試験方法〕
上記実施例及び比較例によって得られた各反射防止成形体について、以下の要領によって、平均反射率、白濁度及び映り込みについて評価を行った。
その結果を各反射防止成形体の諸元と共に、表1に示す。
上記実施例及び比較例によって得られた各反射防止成形体について、以下の要領によって、平均反射率、白濁度及び映り込みについて評価を行った。
その結果を各反射防止成形体の諸元と共に、表1に示す。
(1)平均反射率
変角分光光度計(大塚電子製)を用いて、光の入射角度0度、測定角度0度における各反射防止成形体の反射率を波長380〜780nmの範囲で10nmごとに測定し、その平均値を平均反射率とした。
変角分光光度計(大塚電子製)を用いて、光の入射角度0度、測定角度0度における各反射防止成形体の反射率を波長380〜780nmの範囲で10nmごとに測定し、その平均値を平均反射率とした。
(2)白濁度の測定
ヘイズメータ(日本電色株式会社製ヘイズメータ「NDH2000」)を使用し、JIS K7361に準拠して、各各反射防止成形体の白濁度を測定した。
ヘイズメータ(日本電色株式会社製ヘイズメータ「NDH2000」)を使用し、JIS K7361に準拠して、各各反射防止成形体の白濁度を測定した。
(3)映り込み試験
各反射防止成形体の中心部に立てた法線に対して60度の角度をなし、成形体の中心部からの距離が100cmとなる場所に20Wの蛍光灯の中心をセットし、当該反射防止成形体の表面を蛍光灯から正反射方向であって、成形体の中心部からの距離が100cmになる位置で観察した場合に、蛍光灯の像が映っているものを「×」、蛍光灯の輪郭が全く確認できないものを「○」と評価した。
各反射防止成形体の中心部に立てた法線に対して60度の角度をなし、成形体の中心部からの距離が100cmとなる場所に20Wの蛍光灯の中心をセットし、当該反射防止成形体の表面を蛍光灯から正反射方向であって、成形体の中心部からの距離が100cmになる位置で観察した場合に、蛍光灯の像が映っているものを「×」、蛍光灯の輪郭が全く確認できないものを「○」と評価した。
この結果、粗大構造のない反射防止構造を備えた比較例1の成形体においては、蛍光灯による反射像の映り込みが観察され、粗大構造の底面径が可視光の最大波長より小さい比較例2による成形体においても、蛍光灯の映り込みが観察されたのに対し、所定の形状及び寸法を備えた微細周期構造2の中に、所定サイズの粗大構造を備えた実施例1〜6の反射防止成形体においては、平均反射率及びヘイズ値(白濁度)が低く、反射像の映り込みも認められない結果となることが確認された。
1 反射防止構造
2 微細周期構造
2p 微細凸部(微細構造)
3 粗大構造
2 微細周期構造
2p 微細凸部(微細構造)
3 粗大構造
Claims (14)
- 無数の微細構造が可視光線の波長よりも短いピッチで配列されて成る微細周期構造の中に、可視光線の波長よりも長い寸法を有する粗大構造が散在していることを特徴とする反射防止構造。
- 上記粗大構造の底面形状が円形又は多角形であって、上記微細周期構造における微細凸部間のピッチをA、上記粗大構造の底面を形成する円又は底面を形成する多角形の外接円の径をBとするとき、
50nm<A<380nm
780nm<B<10μm
であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止構造。 - 上記粗大構造の全体に占める面積率が1〜10%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の反射防止構造。
- 上記粗大構造が凸形状又は凹形状をなしていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の反射防止構造。
- 上記微細周期構造の微細凸部が円錐又は多角錘であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の反射防止構造。
- 上記微細周期構造における隣接する微細凸部の底面同士が接触状態に配列されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の反射防止構造。
- 上記粗大構造が凸形状をなし、微細周期構造における微細凸部と略同一の高さを備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の反射防止構造。
- 上記微細周期構造中に、粗大構造体がランダムに散在していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の反射防止構造。
- 請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の反射防止構造を少なくとも一方の面に備えていることを特徴とする反射防止成形体。
- 透明であることを特徴とする請求項9に記載の反射防止成形体。
- 他方の面に多層反射防止膜を備えていることを特徴とする請求項10に記載の反射防止成形体。
- 請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の反射防止構造を備えた成形型と、基材の少なくとも一方を加熱した状態で両者を相対的に押し当て、基材表面に上記反射防止構造を形成することを特徴とする反射防止成形体の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の反射防止構造を備えた成形型と基材の間に活性エネルギー線硬化性樹脂を介在させた状態で活性エネルギー線を照射し、基材表面に上記反射防止構造を形成することを特徴とする反射防止成形体の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の反射防止構造を備えていることを特徴とする自動車用部品。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006004450A JP2007187773A (ja) | 2006-01-12 | 2006-01-12 | 反射防止構造、反射防止成形体及びその製造方法 |
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Cited By (2)
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JP2012073487A (ja) * | 2010-09-29 | 2012-04-12 | Dainippon Printing Co Ltd | 反射防止物品および表示装置 |
CN108345056A (zh) * | 2018-05-17 | 2018-07-31 | 浙江彩丞照明科技有限公司 | 一种具有不同底角棱锥的防眩光板 |
-
2006
- 2006-01-12 JP JP2006004450A patent/JP2007187773A/ja active Pending
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