JPH07253503A - 車両用反射防止光学フィルター - Google Patents

車両用反射防止光学フィルター

Info

Publication number
JPH07253503A
JPH07253503A JP6045699A JP4569994A JPH07253503A JP H07253503 A JPH07253503 A JP H07253503A JP 6045699 A JP6045699 A JP 6045699A JP 4569994 A JP4569994 A JP 4569994A JP H07253503 A JPH07253503 A JP H07253503A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
saw blade
optical filter
filter
sawtooth
antireflection
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6045699A
Other languages
English (en)
Inventor
Masato Shinoda
真人 篠田
Yasuaki Kai
康朗 甲斐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP6045699A priority Critical patent/JPH07253503A/ja
Publication of JPH07253503A publication Critical patent/JPH07253503A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車などの車両室内に存在する表示機器及
び表示パネル用の車両用反射防止光学フィルターを提供
すること。 【構成】 透明基板の表面上に断面が鋸刃形状の微細な
三角柱突起が同一方向に連続して配置された車両用反射
防止光学フィルターにおいて、隣接する三角柱突起の間
隔が10〜100μmの範囲にあり、かつ鋸刃の頂角以
外の角度がそれぞれ5〜50°又は90〜120°の範
囲にあることを特徴とする車両用反射防止光学フィルタ
ー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両用反射防止光学フ
ィルターに関し、特に、自動車などの車両室内に存在す
る表示機器及び表示パネル用の車両用反射防止光学フィ
ルターに関する。
【0002】
【従来技術】従来、自動車などの車両の室内には、スピ
ードメーター、時計及び各種警告灯などの多くの表示機
器が使用されている。近年では、これらの表示機器に加
えて、室内空調、オーディオの集中制御、テレビ及びナ
ビゲーションシステムの一部として自動車の現在位置や
目的地などの地図情報表示のために、CRTや液晶ディ
スプレイなどの表示パネルが導入されるようになってき
ている。
【0003】上記表示機器や表示パネルには、通常、機
器の保護及びデザイン的に統一感を出すためなどから、
フラット、2次元又は3次元に湾曲した透明基板から成
るフィルターがカバーとして設けられている。自動車な
どの車両は屋外で使用されるために太陽光が直接このフ
ィルター表面に当たる場合が多い。従って特別な工夫を
施さなければ、表示機器や表示パネルからの表示情報を
含んだ光と表面の反射光とが同時に運転者の目に入って
きて、結果として表示機器や表示パネルからの表示情報
を含んだ光のコントラストの低下を招き、表示情報の認
識度合いが著しく阻害されてしまうという問題があっ
た。
【0004】このような問題を解決するために、通常は
表面の反射光が直接運転者の目に入らないようにフード
を設け、かつフィルターの取り付け角度を適当な大きさ
にしたり、又はフィルター表面にいわゆる反射防止処理
を施したりして対応している。例えば、スピードメータ
やタコメータなどが一体化されたメータクラスタにおい
ては、文字盤を保護し、ほこりなどが入らないようにア
クリル樹脂製のカバーフロントが取り付けられている。
現在ではこのカバーフロントでの反射光がドライバーの
目に入るのを防止するために、カバーフロントを湾曲さ
せた上で傾斜させ、更にメータ上方に前方へ突出したフ
ードを設けている。
【0005】一方、CRTや液晶ディスプレイなどのス
ペース及び外観上の問題からフードを設け難い部位につ
いては、各種の反射防止処理を施す試みが行われてい
る。反射防止処理には大きく分類して、光の干渉を利用
した反射防止膜により反射率を実質的に低減する方法
(特開昭60−29702号公報、特開平2−2915
01号公報等)、微粒子を含んだ膜の形成やイオンビー
ムエッチングによる表面の粗面化による散乱を利用した
ノングレア処理方法(特開昭56−84729号公報、
特開平2−167501号公報、特開平2−25603
2号公報、特開昭62−96902号公報等)、断面が
鋸刃形状のスリットを連続的に設けて反射光を視野外に
逃がす方法(特開昭55−36036号公報、特開昭5
6−133701号公報等)などがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】入射光を遮るフードを
設けたり、カバーフロントを傾斜させて反射防止を行う
方法では、奥行きが大きくなりメータ後方のダクトスペ
ースを圧迫すると共に、ヘッドアップディスプレイなど
の機器を搭載する上でスペース上の制約が極めて大きく
なるという問題点を有している。また、フードを前方へ
かなり大きく突出させる必要があるため、運転者を含め
た乗員に圧迫感を与える原因にもなっている。
【0007】干渉膜による反射防止膜を用いて反射防止
を行う方法では、膜界面での反射光と透過光との光の打
ち消し合いにより反射光強度を低減する原理を利用して
いるため、可視領域の特定波長の反射率を0%にできる
が、それ以外の波長領域では必ずしも低反射率とはなら
ず、全体の反射率を十分に低下することができない。太
陽光強度が極めて強いので、直射太陽下で使用される車
両用の光学フィルターへの反射防止処理法としては性能
的に不十分であるという問題点がある。
【0008】ノングレア処理により反射防止処理を行う
方法では、表面を粗面化し過ぎると透過光も散乱されて
しまうため反射率低減には限界があり、また強力な直射
太陽光がこのような粗面に入射して反射すると表面全体
が白濁して内部からの表示情報を認識することができな
くなるという問題点がある。
【0009】表面に断面が鋸刃形状三角柱連続突起を設
けて反射防止処理を行う方法では、反射光を運転者の視
野外へ除去しているため、反射光そのものは運転者の目
に入らず問題無いことに加えて、運転者の視線に直角に
配置してもカバーフロントを斜めに配置したのと同等の
反射特性が得られるのでメータークラスタの奥行きを小
さくすることができ、かつフードも短くできるので周囲
の内装部材との段差がなくなり意匠性に優れるというメ
リットを有する反面、従来のものは表示透過像以外に多
重像が現れて、視認性が大幅に損なわれるという問題点
がある。
【0010】従って本発明の目的は、十分な反射防止性
を有し、かつ多重像が発生しない車両用反射防止光学フ
ィルターを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
透明基板の表面上に断面が鋸刃形状の微細な三角柱突起
が同一方向に連続して配置された車両用反射防止光学フ
ィルターにおいて、隣接する三角柱突起の間隔が10〜
100μmの範囲にあり、かつ鋸刃の頂角以外の角度が
それぞれ5〜50°又は90〜120°の範囲にあるこ
とを特徴とする車両用反射防止光学フィルターにより達
成された。
【0012】以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0013】図1は従来からのメータクラスタの断面図
である。図1(a)に示されるように、文字盤1を保護
するために設けられているカバーフロント2の表面での
反射光が運転者の視点4に入ることを防止するために、
カバーフロント2を傾斜させた上でフード3が設けられ
ている。この方法ではフード3が極端に長くなってしま
うので、現在では図1(b)に示されるように、カバー
フロント自体を湾曲させてフード3を少しでも短くする
ように工夫されている。しかしながら、この方法ではフ
ード自体を短くすることができる反面、メータクラスタ
全体の奥行きD2 は未だ大きな問題であり、またフード
も前方へ突出しているので乗員に圧迫感を与える原因に
もなっている。
【0014】図2は断面が鋸刃形状の三角柱連続突起を
表面に設けた従来の反射防止光学フィルターの断面部分
拡大図である。図3はこのフィルターを通して見た透過
像が多重になる原因を説明するための図である。図3
(a) に示すように仮想表示ポイントからの光のうち実像
光は鋸刃傾斜面で屈折して視点方向にくる。一方、図3
(b)に示すように同時に鋸刃傾斜面の裏面側で反射した
光は鋸刃垂直面を通過して下の鋸刃傾斜面表面で再び反
射して視点方向にくる。
【0015】図4はフィルターから距離Lだけ離れた任
意の点X(L,y)で実像に加えて多重像が視認される
ことを説明する図である。また、視点をEP(L,O)
とした。表示ポイントと同一表示ポイントEから水平方
向より上方へ角度θ0 でフィルター裏面に入射する光が
実像光となる。一方、表示ポイントEから水平方向より
下方へ角度θ1 でフィルター裏面に入射する光が多重像
光となる。このようにフィルター上では実像光と多重像
光が出てゆく位置がずれているので、表示ポイントEと
視点EPとを結ぶ直線がフィルターと交差する点を原点
O(O,O)にとりフィルターと表示ポイントの距離を
仮に10mmとすれば、フィルター上で実像光の出て行
く位置はP(0,10tanθ0 )、多重像光の出てゆ
く位置はU(O,−10tanθ1 )となる。任意の点
X(L,y)で上記の実像光に加えて多重像光が認識さ
れるためには、3点P,U,Xが三角形の各頂点になる
ことが必要である。
【0016】まず、実像の方からは幾何学的に
【数1】 X(L,y)=(L,A)=(L,10tanθ0 −Ltan(R−90)) と表せ、また多重像の方からは同様に、
【数2】 X(L,y)=(L,B)=(L,−10tanθ1 +Ltan(90−I)) と表せる。従って、任意の点Xで実像と共に多重像が認
識されるためには両方からの表示が一致する場合、即ち
【数3】 −Ltan(R−90)=−10tanθ1 +Ltan(90−I) (1) が満足される場合であり、逆に(1)式以外の条件、つ
まり
【数4】 A>B または A<B (2) であるならば点Xで多重像は認識されないことになる。
視点EPで多重像が認識されないためには多重像出現位
置がy=0の下方にあること、つまりB<0であること
が必要である。
【0017】鋸刃垂直面をフィルター面に対して垂直と
した場合には必ずB=0なる条件を満足してしまうの
で、多重像出現は回避不可能である。多重像は透過像の
視認性を極めて損なうものであり、特に車両用光学フィ
ルターとして使用する場合には大きな問題となる。
【0018】図5は鋸刃垂直面を傾斜面下方向に角度φ
ほど食い込ませた本発明の反射防止光学フィルターの断
面部分拡大図である。図5(a) は透明基板5の表面に鋸
刃形状三角柱を直接連続に配置したものであり、図5
(b) は表面に鋸刃形状三角柱を連続に配置した透明フィ
ルム7を、透明基板5上に接着剤層6を挟んで積層した
ものである。図5(c) ,(d) はそれぞれ図5(a) ,(b)
の表面に必要に応じてハードコート層12を設けたもの
である。
【0019】鋸刃垂直面を食い込ませると垂直とした図
3の場合と比較して多重像光が実像光に対してより下方
に逃げるので、φの値によっては視点で実像出現位置に
多重像が現れないようにすることができる。各界面での
光の入射角、屈折角をそれぞれθ0 、θ1 、θ2
θ3 、θ4 とし、また実像、多重像の垂直方向に対する
出現角度をそれぞれR,Iとすれば、R,Iはθ1 、θ
2 、θ3 、θ4 の関数として幾何光学的に求められる。
その結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】表1中、nは鋸刃フィルムの屈折率、ψは
鋸刃傾斜面の傾斜角、φは鋸刃垂直面の食い込み角を示
す。なお、表1は図6を得るための計算に使用した値で
ある。また、R,Iから実像、多重像の出現位置A,B
が求められる。図6、図7、図8及び図9には傾斜角度
Ψを10°、20°、30°、40°の時に鋸刃垂直面
の食い込み角度φを0°、10°、20°、30°と変
化させた場合に、実像及び多重像出現位置A,Bを計算
した結果を示すものである。y=0mm線上が視点IP
の位置である。実像出現位置を示す曲線Aはψ、φの値
にかかわらず必ずこの線を横切っている一方で、多重像
出現位置を示す曲線Bはφの増加と共に下方へ移動して
ゆく。
【0022】φ=10°でψ=40°以上、φ=20°
でψ=20°以上、φ=30°でψ=10°以上とする
ことにより曲線Bはy=0mmの下方に現われるように
なるので、この条件にすれば多重像となる光が視点の下
方に逃げ、多重像として認識されないのである。このよ
うな観点から鋸刃の頂角以外の1つの角度は90〜12
0°の範囲にあることが望ましい。
【0023】また、表面上に断面が鋸刃形状の微細な三
角柱突起が同一方向に連続して配置されたフィルターを
カバーフロントに用いた場合には、鋸刃傾斜面の傾斜角
度に対応して光が反射するので文字盤に平行にフィルタ
ーを配置したとしてもカバーフロントを傾斜させたのと
同様な効果がある。鋸刃の傾斜面の傾斜角度が5〜50
°の範囲内にあれば上記効果が現われる。
【0024】断面が鋸刃形状の微細な三角柱突起の間隔
が10μmより小さいと透過像の品質の低下を招き、逆
に100μmより大きいと鋸刃の頂角部分が欠けやす
く、かつ透き間にゴミが混入すると容易に除去すること
ができない。
【0025】また、本発明の上記の目的は、透明基板の
表面上に断面が鋸刃形状の微細な三角柱突起が同一方向
に連続して配置された車両用反射防止光学フィルターに
おいて、隣接する三角柱突起の間隔が10〜100μm
の範囲にあり、かつ鋸刃の頂角の角度が30〜80°の
範囲にあり、かつ鋸刃の垂直面が粗面化されていて10
点平均粗さRzで0.1〜10μmの範囲にあることを
特徴とする車両用反射防止光学フィルターにより達成さ
れた。
【0026】以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0027】図10,11は従来からのメータクラスタ
の断面図である。文字盤1を保護するために設けられて
いるカバーフロント2を傾斜させた上でフード3を設け
ている。この方法ではフード長D1 が極端に長くなって
しまうので、現在では図11に示されるようにカバーフ
ロント自体を湾曲させてD1 を少しでも短くするように
工夫している。しかしながら、この方法ではフードその
ものは短くできる反面、メータクラスタ全体の奥行きD
2 は未だ大きく問題であり、またフードも前方へ突出し
ているので乗員に圧迫感を与える原因ともなっている。
【0028】図12は断面が鋸刃形状の三角柱連続突起
を表面に設けた反射防止光学フィルター9をカバーフロ
ントとして用いた場合の図である。例えば、このフィル
ターの鋸刃傾斜面を上向きにして設置すれば、表面の反
射光は鋸刃傾斜面の傾斜角度に対応して反射するので、
図11でカバーフロント自体を湾曲させているのと同等
な効果を期待することができる。しかも図11の場合と
異なりカバーフロント自体は平板なので、フード長L3
及びメータクラスタ全体の奥行きD3 とも小さくするこ
とができる。
【0029】図13はこのフィルターを通して見た透過
像が多重になる原因を説明するための図である。仮想表
示ポイント10からの光のうち実像光は鋸刃傾斜面で屈
折して視点4方向にくる。一方、同時に鋸刃傾斜面の裏
面側で反射した光は鋸刃垂直面を通過して下の鋸刃傾斜
面表面で再び反射して視点4方向にくる。この光が多重
像として認識される。
【0030】図14(a) は本発明の車両用反射防止光学
フィルター11の断面部分拡大図であり、図14(b) は
本発明の車両用反射防止光学フィルター11の効果を説
明する図である。鋸刃垂直面を粗面化すれば鋸刃垂直面
を通過する際に多重像に起因する光が散乱して視点まで
到達せず、結果として視点で多重像が認識されなくな
る。
【0031】図14(c) は表面に鋸刃形状三角柱を連続
に配置した透明フィルムを透明基板5上に接着剤層6を
挟んで積層したものである。図14(d) ,(e) はそれぞ
れ図14(a) ,(c) の表面に必要に応じてハードコート
層12を設けたものである。
【0032】鋸刃垂直面の粗面化の程度は10点平均粗
さRzで0.1〜10μmの範囲であることが好まし
い。0.1μmより小さい場合には光が十分に散乱され
ず多重像防止の効果がほとんど無くなってしまい、逆に
10μmより大きいと凹凸の大きさが大きくなりかえっ
て十分な光の散乱性を得ることが困難となる。
【0033】断面が鋸刃形状の微細な三角柱突起の間隔
は10μmより小さいと透過像の品質低下を招き、逆に
100μmより大きいと鋸刃の頂角部分が欠けやすく、
更に透き間にゴミが混入すると容易に除去することがで
きない。
【0034】本発明において用いられる透明基板として
は、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート
(PMMA)、ポリスチレンなどの透明樹脂やガラスなどから
任意に選択することができる。また、フィルムを用いる
場合のフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート
(PET) 、ポリイミド(PI)を始めとして、ポリプロピレン
(PP)、ポリスチレン(PS)、塩化ビニル、ナイロン、トリ
アセテート、セロハンなどが好適に用いられるが、機械
的性質、熱的性質及び電気特性のすべてにバランスが取
れていることから、特にPETが好ましい。
【0035】透明基板の表面に直接鋸刃形状三角柱の突
起を連続的に設ける方法としては、機械加工、ワイヤー
カット放電加工などにより予め表面に所望の鋸刃形状三
角柱連続突起を形成した金型を用い、射出成形や加圧成
形法などにより金型表面の形状を直接転写することによ
り形成することができる。
【0036】鋸刃垂直面を粗面化する方法としては、金
型表面へ鋸刃形状三角柱連続突起を機械加工した後に鋸
刃垂直面も機械加工、サンドブラストなどにより粗面化
することにより成形と同時に転写してしまう方法と、表
面へ鋸刃形状三角柱連続突起を機械加工した金型を用い
て成形、転写した透明基板の表面の鋸刃垂直面をサンド
ブラストなどにより粗面化する方法とがある。
【0037】また、フィルム表面に鋸刃形状三角柱の突
起を連続的に設ける方法としては、機械加工、放電加工
及びフォトリソグラフィによる異方性エッチングなどに
より予め表面に鋸刃形状三角柱連続突起を形成したロー
ルを用いて、ロール間にフィルムを連続的に通過、プレ
スして転写することにより形成することができる。
【0038】この際、フィルムを直接プレスして鋸刃形
状を転写したり、又は予め紫外線や電子線などの活性光
線や熱により硬化可能な硬化性組成物を塗布したフィル
ムにプレスして鋸刃形状を転写した後に、硬化性樹脂組
成物に活性光線や熱をさらして硬化したりする方法があ
る。
【0039】紫外線硬化樹脂としては、光重合性プレポ
リマー、光重合性モノマー及び光開始剤を主成分として
成る「ソーラプレン」(三井東圧化学株式会社の商標
名)や「アデカオプト2」(旭電化株式会社の商標名)
などがある。これらの硬化性樹脂組成物の膜厚は500
μm以下であることが好ましいが、転写精度を考慮する
と100μm程度であることが好ましい。
【0040】表面に鋸刃形状三角柱の連続突起を設けた
フィルムと透明基板とを接着するに際しては、透明基板
の表面に接着剤を塗布してフィルムを貼り合わせること
が一般的である。この際、用いられる接着剤としては、
一般的な熱可塑性接着剤、エラストマー接着剤及び熱硬
化性接着剤などを単独で使用しても良く、また必要に応
じて2種以上を混合して使用しても良い。
【0041】例えば、主剤である液状エポキシ樹脂と硬
化剤である芳香族アミンを主成分として成る熱硬化性の
エポキシ系接着剤(市販品としては「セメダインCS−
2340−5」:セメダイン株式会社の商品番号)など
を用いれば良い。接着剤の膜厚は1μm以下であること
が好ましい。
【0042】鋸刃垂直面を粗面化する方法としては、透
明基板の表面に直接鋸刃形状三角柱の突起を連続的に設
ける方法のところで述べた方法と同様にして行うことが
できる。
【0043】一般に自動車用表示機器や表示パネルに使
用されるフィルターは、運転者及び同乗者の手に直接触
れる場所にあるため、表面はある程度の機械的強度を有
することが必要とされる。表面の強度が要求される場合
には、鋸刃形状の表面にハードコート層を設けても差し
支えない。このハードコート層としては熱硬化性樹脂な
どがあり、例えばシリコーン系コーティング液を塗布、
硬化したものなどが好適に用いられる。
【0044】シリコーン系コーティング液としては、従
来よりプラスチックの表面硬化層として使用されている
シロキサン結合を有するものが使用可能である。このよ
うなシリコーン系コーティング層は、一般式RnSi
(OR1 4-n (式中、nは1〜3の整数、Rは炭素数
1〜6の炭化水素基、R1 は炭素数1〜4のアルキル基
を示す。)で示される化合物と、四アルコキシ珪素の共
部分加水分解物、又はこれらの分解物との混合物を主成
分として成るコーティング剤(特開昭57−17702
8号公報、「スミユニ」:住友化学工業株式会社の商標
名)、又はメチルシルセスシロキサン及びコロイダル状
シリカの混合物を主成分として成るコーティング剤
(「トスガード」:東芝シリコーン株式会社の商標名)
などを塗布することにより形成される。塗布の方法とし
ては、流し塗り法、スプレー法、ディッピング法及びス
ピンコート法などを使用することができる。
【0045】次に、本発明の車両用反射防止光学フィル
ターの製造方法について説明する。鋸刃垂直面を粗面化
した、又は粗面化していない鋸刃形状三角柱の突起を連
続的に透明基板の表面に直接形成する場合には、まず射
出成形や加圧成形法で用いる金型表面を機械加工、ワイ
ヤーカット放電加工により精密加工し、所望の鋸刃形状
三角柱連続突起を形成する。
【0046】射出成形法では、透明基板の原料となる樹
脂又はガラスを加熱して溶融させたものをこの金型中へ
圧力を加えて導入した後に溶融温度以下で所定時間維持
して成形し、表面に鋸刃形状三角柱連続突起を転写す
る。加圧成形法では透明基板を予め軟化温度以上に加熱
した後に金型にセットし、次いで圧力を加えながら所定
時間維持し、表面に鋸刃形状三角柱連続突起を転写す
る。
【0047】表面に形成した鋸刃形状三角柱連続突起の
機械的強度が十分でない場合にハードコート層を設ける
場合には、射出成形、加圧成形により表面に鋸刃形状三
角柱連続突起を転写した後にシリコーン系コーティング
液を表面に塗布する。膜厚は5〜10μmの範囲である
ことが好ましい。塗布した後、20分間放置して風乾さ
せ、続いて120℃で60分間保持してハードコート層
を形成する。
【0048】フィルム表面に鋸刃形状三角柱の突起を連
続的に形成し、透明基板と接着するに際しては、まずフ
ィルムをイソプロピルアルコールによる脱脂処理をした
後、純水リンス及び窒素ブロー乾燥して洗浄する。直接
フィルム表面に加工する場合にはフィルム又はロールを
所定温度まで加熱しておく。また、硬化性樹脂組成物を
用いる場合には、まず硬化性樹脂組成物を所定の厚さに
塗布した後に紫外線、電子線又は熱を僅かに加えて、硬
化性樹脂組成物を半硬化させた状態にする。
【0049】紫外線硬化樹脂の場合には紫外線露光装置
にて紫外線を10秒間、電子線硬化樹脂の場合には電子
線照射装置にて電子線を約20秒間、熱硬化樹脂の場合
には80℃で1分間処理する。次に、鋸刃形状三角柱の
連続突起が表面に加工されたロールの間にこのフィルム
を通過させてプレスし、鋸刃形状三角柱連続突起をフィ
ルム上の半硬化させた硬化性樹脂組成物へ転写する。そ
して再び所定の方法により硬化性樹脂組成物を完全に硬
化させて、鋸刃形状三角柱連続突起を固定化する。紫外
線及び電子線硬化樹脂の場合には照射時間3分間以上、
熱硬化樹脂の場合には100℃で10分間以上処理すれ
ば完全に硬化する。
【0050】次に、透明基板の表面へ接着剤を所定厚さ
に塗布した後に、接着剤が乾燥しないうちにフィルムを
端から皺にならないように順に貼り付ける。表面に形成
した鋸刃形状三角柱連続突起の機械的強度が十分でない
場合にハードコート層を設ける場合には、フィルムと透
明基体とを接着したフィルターの鋸刃形状表面へシリコ
ン系コーティング液を塗布する。膜厚は5〜10μmの
範囲にあることが好ましい。塗布した後、20分間放置
して風乾させ、続いて120℃で60分間保持してハー
ドコート層を形成する。
【0051】以上のようにして成形した、表面に鋸刃形
状三角柱の連続突起が形成された車両用反射防止光学フ
ィルターの評価を以下のように行った。実際に走行可能
な自動車のメータにおいて、反射光をカットしているフ
ードを取り去り、従来からあるアクリル製カバーフロン
トを今回作製したフィルターに交換して晴天下で様々な
モードで走行し、直接入射する太陽光のフィルター表面
での反射光がメータの視認性を損なうか、また透過多重
像が発生しているかなどを調べた。
【0052】どの条件下でもメータからの表示が問題な
く認識することができれば、本発明の車両用反射防止光
学フィルターの反射防止効果はあると判断された。
【0053】以上、鋸刃傾斜面を上向きにした場合につ
いて説明してきたが、鋸刃傾斜面を下向きとした場合に
も以下のような理由で反射防止性能及び多重像発生防止
性能共に全く問題がない。反射防止性能については鋸刃
垂直面食い込むこと及び鋸刃垂直面粗面化処理には無関
係であり、鋸刃傾斜面の傾斜角のみで決定されるので、
鋸刃傾斜面を下向きに設置した場合にはカバーフロント
を逆スラントさせたのと同様となり、カバーフロント表
面での反射光はすべて視点下方へ逃げて問題はない。多
重像発生防止性能については鋸刃垂直面食い込み処理を
施したものは多重像となる光は視点の上方へ逃げてしま
うので視点では多重像は認識されないし、鋸刃垂直面を
粗面化処理したものは垂直面での散乱性能は上下に関係
がないのでやはり問題とはならない。従って、鋸刃傾斜
面は上下どちらにしても差し支えない。
【0054】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳述する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0055】実施例1 頂角を除く2つの角度がそれぞれ30°、100°であ
り、かつ間隔20μmの鋸刃形状三角柱連続突起を縦型
NCフライス加工盤により表面に形成した金型を用い
て、射出成形法により厚さ2mmのアクリル製透明基板
を形成した。このようにして作製した、表面に断面が鋸
刃形状の三角柱連続突起を有する車両用反射防止光学フ
ィルターの反射防止性能を鋸刃傾斜面を上向きにしてメ
ータ部分にカバーフロントとして取付けて評価した結
果、視点においては直接太陽光のフィルター表面での反
射光はいかなる走行条件下でもいっさい認識されず、ま
た視点において多重像もいっさい認識されず、メーター
表示部の視認性が損なわれることは全くなかった。
【0056】実施例2 頂角を除く2つの角度がそれぞれ40°、120°であ
り、かつ間隔80μmの鋸刃形状三角柱連続突起をワイ
ヤーカット放電加工盤により表面に形成した金型を用い
て、射出成形法により厚さ2mmのポリカーボネート製
透明基板を形成した。このようにして作製した、表面に
断面が鋸刃形状の三角柱連続突起を有する車両用反射防
止光学フィルターの反射防止性能を鋸刃傾斜面を上向き
にしてメータ部分にカバーフロントとして取付けて評価
した結果、視点においては直接太陽光のフィルター表面
での反射光はいかなる走行条件下でもいっさい認識され
ず、また視点において多重像もいっさい認識されず、メ
ータ表示部の視認性が損なわれることは全くなかった。
【0057】実施例3 厚さ150μmのPETフィルム上へ紫外線硬化性樹脂
組成物「ソーラプレン」(三井東圧化学株式会社の商標
名)を約100μm塗布した後、頂角を除く2つの角度
がそれぞれ10°、110°であり、かつ間隔60μm
の鋸刃形状三角柱連続突起を転写し、紫外線照射装置に
より紫外線を2分間照射して紫外線硬化性樹脂組成物を
硬化させた。続いて大きさ150mm×450mm×2
mmtのアクリル製透明基板とフィルムとを接着剤とし
て熱硬化性エポキシ系接着剤「セメダインCS−234
0−5」(セメダイン株式会社の商品番号)を用いて接
着した。このようにして作製した、表面に断面が鋸刃形
状の三角柱連続突起を有する車両用反射防止光学フィル
ターの反射防止性能を鋸刃傾斜面を上向きにしてメータ
部分にカバーフロントとして取付けて評価した結果、視
点においては直接太陽光のフィルター表面での反射光は
いかなる走行条件下でもいっさい認識されず、また視点
において多重像もいっさい認識されず、メータ表示部の
視認性が損なわれることは全くなかった。
【0058】実施例4 頂角を除く2つの角度がそれぞれ10°、100°であ
り、かつ間隔100μmとした他は、実施例3と全く同
様にして車両用反射防止光学フィルターを作製した。こ
のようにして作製した、表面に断面が鋸刃形状の三角柱
連続突起を有する車両用反射防止光学フィルターの反射
防止性能を鋸刃傾斜面を上向きにしてメータ部分にカバ
ーフロントとして取付けて評価した結果、視点において
は直接太陽光のフィルター表面での反射光はいかなる走
行条件下でもいっさい認識されず、また視点において多
重像もいっさい認識されず、メータ表示部の視認性が損
なわれることは全くなかった。
【0059】実施例5 頂角を除く2つの角度がそれぞれ40°、120°とし
た他は、実施例4と全く同様にして車両用反射防止光学
フィルターを作製した。このようにして作製した、表面
に断面が鋸刃形状の三角柱連続突起を有する車両用反射
防止光学フィルターの反射防止性能を鋸刃傾斜面を上向
きにしてメータ部分にカバーフロントとして取付けて評
価した結果、視点においては直接太陽光のフィルター表
面での反射光はいかなる走行条件下でもいっさい認識さ
れず、また視点において多重像もいっさい認識されず、
メータ表示部の視認性が損なわれることは全くなかっ
た。
【0060】実施例6 表面に更にハードコート層として「トスガード」(東芝
シリコーン株式会社の商標名)を1μmになるように塗
布した他は、実施例3と全く同様な方法により車両用反
射防止光学フィルターを作製した。このようにして作製
した、表面に断面が鋸刃形状の三角柱連続突起を有する
車両用反射防止光学フィルターの反射防止性能を鋸刃傾
斜面を上向きにしてメータ部分にカバーフロントとして
取付けて評価した結果、視点においては直接太陽光のフ
ィルター表面での反射光はいかなる走行条件下でもいっ
さい認識されず、また視点において多重像もいっさい認
識されず、メータ表示部の視認性が損なわれることは全
くなかった。
【0061】実施例7 縦型NCフライス加工盤により表面に頂角35°、間隔
20μm、鋸刃垂直面の10点平均粗さ0.2μmの鋸
刃形状三角柱連続突起を形成した金型を用いて、射出成
形法により厚さ2mmのアクリル製透明基板を形成し
た。このようにして作製した、表面に鋸刃形状の三角柱
連続突起を有する車両用反射防止光学フィルターの反射
防止性能を鋸刃傾斜面を上向きにしてメータ部分にカバ
ーフロントとして取付けて評価した結果、いかなる走行
条件下でも直接太陽光のフィルター表面での反射光はい
っさい認識されず、また透過多重像の発生もなくメータ
の視認性は全く阻害されなかった。
【0062】実施例8 ワイヤーカット放電加工盤により表面に頂角40°、間
隔40μm、鋸刃垂直面の10点平均粗さ0.6μmの
鋸刃形状三角柱連続突起を形成した金型を用いて、射出
成形法により厚さ2mmのポリカーボネート製透明基板
を形成した。このようにして作製した、表面に鋸刃形状
三角柱連続突起を有する車両用反射防止光学フィルター
の反射防止性能を鋸刃傾斜面を上向きにしてメータ部分
にカバーフロントとして取付けて評価した結果、いかな
る走行条件下でも直接太陽光のフィルター表面での反射
光はいっさい認識されず、また透過多重像の発生もなく
メータの視認性は全く阻害されなかった。
【0063】実施例9 頂角を除く2つの角度がそれぞれ10°、110°であ
り、かつ間隔60μmの鋸刃形状三角柱連続突起に代え
て頂角60°、間隔70μm、鋸刃垂直面の10点平均
粗さ1.5μmの鋸刃形状三角柱連続突起を用いた他
は、実施例3と全く同様な方法により車両用反射防止光
学フィルターを作製した。このようにして作製した、表
面に鋸刃形状の三角柱連続突起を有する車両用反射防止
光学フィルターの反射防止性能を鋸刃傾斜面を上向きに
してメータ部分にカバーフロントとして取付けて評価し
た結果、いかなる走行条件下でも直接太陽光のフィルタ
ー表面での反射光はいっさい認識されず、また透過多重
像の発生もなくメータの視認性は全く阻害されなかっ
た。
【0064】実施例10 頂角75°、間隔100μm、鋸刃垂直面の10点平均
粗さ5μmの鋸刃形状三角柱連続突起を用いた他は、実
施例9と全く同様な方法により車両用反射防止光学フィ
ルターを作製した。このようにして作製した、表面に鋸
刃形状の三角柱連続突起を有する車両用反射防止光学フ
ィルターの反射防止性能を鋸刃傾斜面を上向きにしてメ
ータ部分にカバーフロントとして取付けて評価した結
果、いかなる走行条件下でも直接太陽光のフィルター表
面での反射光はいっさい認識されず、また透過多重像の
発生もなくメータの視認性は全く阻害されなかった。
【0065】実施例11 頂角50°、間隔10μm、鋸刃垂直面の10点平均粗
さ9μmの鋸刃形状三角柱連続突起を用いた他は、実施
例9と全く同様な方法により車両用反射防止光学フィル
ターを作製した。このようにして作製した、表面に鋸刃
形状の三角柱連続突起を有する車両用反射防止光学フィ
ルターの反射防止性能を鋸刃傾斜面を上向きにしてメー
タ部分にカバーフロントとして取付けて評価した結果、
いかなる走行条件下でも直接太陽光のフィルター表面で
の反射光はいっさい認識されず、また透過多重像の発生
もなくメータの視認性は全く阻害されなかった。
【0066】実施例12 表面に更にハードコート層として「トスガード」(東芝
シリコーン株式会社の商標名)を1μmになるように塗
布した他は、実施例9と全く同様な方法により車両用反
射防止光学フィルターを作製した。このようにして作製
した、表面に鋸刃形状三角柱連続突起を有する車両用反
射防止光学フィルターの反射防止性能を鋸刃傾斜面を上
向きにしてメータ部分にカバーフロントとして取付けて
評価した結果、いかなる走行条件下でも直接太陽光のフ
ィルター表面での反射光はいっさい認識されず、また透
過多重像の発生もなくメータの視認性は全く阻害されな
かった。
【0067】実施例13 実施例2で用いた車両用反射防止光学フィルターを鋸刃
傾斜面を下向きにしてセンターコンソール中央部分に設
置されているCRTディスプレー表面に取付けて評価し
た結果、いかなる走行条件下でも直接太陽光のフィルタ
ー表面での反射光はいっさい認識されず、また透過多重
像の発生もなくディスプレーの視認性は全く阻害されな
かった。
【0068】実施例14 実施例6で用いた車両用反射防止光学フィルターを鋸刃
傾斜面を下向きにしてセンターコンソール中央部分に設
置されているアナログ時計表面に取付けて評価した結
果、いかなる走行条件下でも直接太陽光のフィルター表
面での反射光はいっさい認識されず、また透過多重像の
発生もなく時計の視認性は全く阻害されなかった。
【0069】実施例15 実施例8で用いた車両用反射防止光学フィルターを鋸刃
傾斜面を下向きにしてセンターコンソール中央部分に設
置されているアナログ時計表面に取付けて評価した結
果、いかなる走行条件下でも直接太陽光のフィルター表
面での反射光はいっさい認識されず、また透過多重像の
発生もなく時計の視認性は全く阻害されなかった。
【0070】実施例16 実施例12で用いた車両用反射防止光学フィルターを鋸
刃傾斜面を下向きにしてセンターコンソール中央部分に
設置されているCRTディスプレー表面に取付けて評価
した結果、いかなる走行条件下でも直接太陽光のフィル
ター表面での反射光はいっさい認識されず、また透過多
重像の発生もなくディスプレーの視認性は全く阻害され
なかった。
【0071】比較例1 断面が鋸刃形状で頂角以外の角度がそれぞれ42°、9
0°であり、かつ間隔が233μmの三角柱連続突起を
表面に形成した反射防止フィルター「Nexy」(日照技研
株式会社の商標名)を車両用反射防止光学フィルターと
して用いた結果、反応性能は十分であったが、特に透過
多重像が発生しているため透過像の視認性が著しく損な
われ、車両用反射防止光学フィルターとして使用するこ
とができなかった。
【0072】比較例2 表面に頂角42°、ピッチ233μm(0.233m
m)のスリットを連続に形成した反射防止フィルター
「Nexy」(日照技研株式会社の商標名)を車両用反射防
止光学フィルターとして用いた結果、反応性能は十分で
あったが、方向によっては透過多重像が発生して車両用
反射防止光学フィルターとして使用することができなか
った。
【0073】
【発明の効果】本発明の車両用反射防止光学フィルター
は、いかなる走行条件下でも直接太陽光のフィルター表
面での反射光はいっさい認識されず、また透過多重像の
発生もなくメータの視認性は全く阻害されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来からのメータクラスタの断面図である。
【図2】従来の表面鋸刃形状反射防止光学フィルターの
断面部分拡大図である。
【図3】従来の表面鋸刃形状反射防止光学フィルターを
通して透過像を見た場合に多重像が発生する原因を説明
する図である。
【図4】視点で実像に加えて多重像が認識されるための
条件を説明する図である。
【図5】本発明の車両用反射防止光学フィルターの断面
部分拡大図である。
【図6】本発明の車両用反射防止光学フィルターを通し
て透過像を見た場合に視点で多重像を認識されないこと
を説明する図である。
【図7】本発明の車両用反射防止光学フィルターを通し
て透過像を見た場合に視点で多重像を認識されないこと
を説明する図である。
【図8】本発明の車両用反射防止光学フィルターを通し
て透過像を見た場合に視点で多重像を認識されないこと
を説明する図である。
【図9】本発明の車両用反射防止光学フィルターを通し
て透過像を見た場合に視点で多重像を認識されないこと
を説明する図である。
【図10】従来からのメータクラスタの断面図である。
【図11】従来からのメータクラスタの断面図である。
【図12】表面に鋸刃形状三角柱を連続的に配置した従
来の反射防止光学フィルターをメータクラスタへ適用し
た場合の効果を説明する図である。
【図13】表面に鋸刃形状三角柱を連続的に配置した従
来の反射防止光学フィルターを通して透過像を見た場合
に多重像が発生することを説明する図である。
【図14】(a) ,(c) ,(d) ,(e) は本発明の車両用反
射防止光学フィルターの断面部分拡大図である。(b) は
本発明の車両用反射防止光学フィルターを通して透過像
を見た場合に多重像が認識されないことを説明する図で
ある。
【符号の説明】
1 文字盤 2 カバーフロント 3 フード 4 視点 5 透明基板 6 接着剤層 7 表面鋸刃形状フィルム 8 アイレンジ 9 表面鋸刃形状フィルター 10 仮想表示ポイント 11 本発明の車両用反射防止光学フィルター 12 ハードコート層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板の表面上に断面が鋸刃形状の微
    細な三角柱突起が同一方向に連続して配置された車両用
    反射防止光学フィルターにおいて、隣接する三角柱突起
    の間隔が10〜100μmの範囲にあり、かつ鋸刃の頂
    角以外の角度がそれぞれ5〜50°又は90〜120°
    の範囲にあることを特徴とする車両用反射防止光学フィ
    ルター。
  2. 【請求項2】 透明基板の表面上に断面が鋸刃形状の微
    細な三角柱突起が同一方向に連続して配置された車両用
    反射防止光学フィルターにおいて、隣接する三角柱突起
    の間隔が10〜100μmの範囲にあり、かつ鋸刃の頂
    角の角度が30〜80°の範囲にあり、かつ鋸刃の垂直
    面が粗面化されていて10点平均粗さRzで0.1〜1
    0μmの範囲にあることを特徴とする車両用反射防止光
    学フィルター。
  3. 【請求項3】 断面が鋸刃形状の微細な三角柱突起が同
    一方向に連続して透明フィルム表面に形成され、かつこ
    の透明フィルムが透明基板上にされてなることを特徴と
    する請求項1又は2記載の車両用反射防止光学フィルタ
    ー。
  4. 【請求項4】 断面が鋸刃形状の微細な三角柱状突起の
    形状を維持したままで、その表面にハードコート層が設
    けられていることを特徴とする請求項1、2、又は3に
    記載の車両用反射防止光学フィルター。
JP6045699A 1994-03-16 1994-03-16 車両用反射防止光学フィルター Pending JPH07253503A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6045699A JPH07253503A (ja) 1994-03-16 1994-03-16 車両用反射防止光学フィルター

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6045699A JPH07253503A (ja) 1994-03-16 1994-03-16 車両用反射防止光学フィルター

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07253503A true JPH07253503A (ja) 1995-10-03

Family

ID=12726629

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6045699A Pending JPH07253503A (ja) 1994-03-16 1994-03-16 車両用反射防止光学フィルター

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07253503A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007264594A (ja) * 2006-03-01 2007-10-11 Nissan Motor Co Ltd 反射防止微細構造、反射防止成形体及びその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007264594A (ja) * 2006-03-01 2007-10-11 Nissan Motor Co Ltd 反射防止微細構造、反射防止成形体及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107735717B (zh) 平视显示装置
KR100196296B1 (ko) 차량용 리어윈도 스톱램프
EP3385788A1 (en) Transparent screen sheet, transparent screen, and video display system
US20050212994A1 (en) Liquid crystal display apparatus
KR20090046774A (ko) 광 확산층 형성용 도포액 및 광 확산판
EP3567407A1 (en) Backlight module, display module and display device
KR20170100561A (ko) 전자 장치에서 잉크 스텝 베젤을 대체하기 위한 접착제
EP3258340A1 (en) A display structure with a flush appearance for a vehicle-based implementation
JPH07253503A (ja) 車両用反射防止光学フィルター
WO2018110335A1 (ja) 表示部材、ヘッドアップディスプレイ装置及び表示部材の製造方法
KR100447801B1 (ko) 백라이트유닛용 광학필름 및 그 제조방법
CN108761618B (zh) 光学膜片及制作方法、挡风玻璃、驾驶设备
JPH0792303A (ja) 車両用反射防止光学フィルター
JPH08146206A (ja) 車両用窓映り防止光学フィルター
JPH07181306A (ja) ノングレア層並びにそのシート、偏光板及び楕円偏光板
WO2017204133A1 (ja) 表示部材の製造方法、表示部材及びヘッドアップディスプレイ装置
JPH08248205A (ja) 反射防止光学フィルター
US8646923B2 (en) Rear view mirror for a motor vehicle and method for the production of a rear view mirror
CN102072433B (zh) 背光模组及其光学板
JPH07318704A (ja) 車両用窓映り防止光学フィルター
JPH0727920A (ja) 防湿性および防眩性を有する偏光板
JP2002341138A (ja) 偏光板の製造方法及び液晶表示装置
JP4191498B2 (ja) 光学素子、その製造方法及び液晶表示装置
JP3953801B2 (ja) 拡散フィルム及びその製造方法、面光源装置及び液晶表示装置
JP3206855B2 (ja) ホログラフィック表示装置