JPH08248205A - 反射防止光学フィルター - Google Patents

反射防止光学フィルター

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Publication number
JPH08248205A
JPH08248205A JP7049553A JP4955395A JPH08248205A JP H08248205 A JPH08248205 A JP H08248205A JP 7049553 A JP7049553 A JP 7049553A JP 4955395 A JP4955395 A JP 4955395A JP H08248205 A JPH08248205 A JP H08248205A
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JP
Japan
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light
filter
optical filter
antireflection optical
shielding filter
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JP7049553A
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English (en)
Inventor
Masato Shinoda
真人 篠田
Yasuaki Kai
康朗 甲斐
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光学的に十分な反射防止性を有し、かつ多重
像が発生しない反射防止光学フィルターを提供する。 【構成】 断面が三角形状の微細な三角柱突起を表面上
に同一方向に連続して配置させた鋸歯フィルターと、光
を吸収する着色板と光を透過する透明板とを周期的に積
層してルーバー構造とした遮光フィルターとから成るこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、反射防止光学フィルタ
ーに関し、特に自動車等の車両室内に存在する表示機器
及び表示パネル用の反射防止光学フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車等の車両の室内には、スピ
ードメーター、時計及び各種警告灯などの多くの表示機
器が使用されており、近年では、これらの表示機器に加
えて、室内空調、オーディオの集中制御、テレビ及びナ
ビゲーションシステムの一部として自動車の現在位置や
目的地などの地図情報表示のためのCRTや液晶ディス
プレイなどの表示パネルが導入されるようになってきて
いる。上記表示機器や表示パネルには、機器及びパネル
を保護し並びにデザイン的な統一感を案出するため、フ
ラット、2次元又は3次元的に湾曲した透明基体から成
るフィルターがカバーとして設けてあるのが一般的であ
る。
【0003】また、自動車等の車両は屋外で使用される
ために、太陽光が直接前記フィルター表面にあたる場合
が多く、特別な工夫を施さなければ、表示機器及び表示
パネルからの表示情報を含んだ光とフィルター表面から
の反射光とが同時にドライバーの視点に入り、その結
果、表示機器及び表示パネルからの表示情報を含んだ光
のコントラストの低下を招き、表示情報の認識度合が著
しく阻害されてしまうという問題点があった。
【0004】このような問題点を克服するために、図1
に示すように、通常はフィルター表面の反射光が直接ド
ライバーの視点に入らないように、フードを設けかつフ
ィルターの取り付け角度を適当な大きさにしたり、フィ
ルター表面にいわゆる反射防止処理を施したりすること
により対応している。
【0005】更に、スピードメーターやタコメーター等
が一体化されたメータークラスターにおいては、文字盤
を保護し、ほこり等が入らないようにアクリル樹脂製の
カバーフロントが取り付けられているが、現在ではこの
カバーフロントでの反射光がドライバーの視点に入るの
を防止するために、図2に示すように、カバーフロント
を湾曲させた上で傾斜させ、かつメーター上方に前方へ
突出したフードを設けている。また、CRTや液晶ディ
スプレイ等は、スペースおよび外観上の問題からフード
を設け難く、これらの部位については、各種の反射防止
処理を施す試みが行われている。
【0006】反射防止処理には大きく分類して、特開昭
60−29702号公報及び特開平2−291501号
公報等に開示されたような光の干渉を利用した反射防止
膜により反射率を実質的に低減する方法、特開昭56−
84729号公報,特開平2−167501号公報,特
開平2−256032号公報及び特開昭62−9690
2号公報等に開示されたような微粒子を含んだ膜の形成
やイオンビームエッチングによる反射防止光学フィルタ
ー表面の粗面化による散乱を利用したノングレア処理方
法、並びに特開昭55−36036号公報及び特開昭5
6−133701号公報等に開示されたような断面が鋸
歯形状のスリットを反射防止光学フィルター表面に連続
的に設けて反射光を視野外に逃がす方法等がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、入射光
を遮るフードを設けたり、カバーフロントを傾斜させて
反射防止を行う方法では、奥行きが大きくなりメーター
後方のダクトスペースを圧迫すると共に、ヘッドアップ
ディスプレイ等の機器を搭載する上でスペース上の制約
が極めて大きくなるという欠点があった。また、フード
を前方へかなり大きく突出させる必要があるため、ドラ
イバーを含めた乗員に圧迫感を与える原因にもなってい
る。
【0008】また、干渉膜による反射防止膜を設けて反
射防止を行う方法では、膜界面での反射光と透過光との
光の打ち消し合いにより反射光強度を低減する原理を利
用しているため、可視領域の特定波長の反射率は0%に
することができるが、それ以外の波長領域では必ずしも
低反射率とはならず、全体の反射率を十分に低くするこ
とができないという欠点があった。従って、太陽光の強
度が極めて強い日中では、直射太陽光下で使用される光
学フィルターへの反射防止処理法としては性能的に不十
分であるという問題点があった。
【0009】また、ノングレア処理により反射防止処理
を行う方法では、表面を粗面化し過ぎると透過光も散乱
されてしまうため反射率低減には限界があり、また強力
な直射太陽光がこのような粗面に入射して反射すると、
表面全体が白濁して内部からの表示情報が認識できなく
なるという欠点があった。
【0010】更にまた、反射防止光学フィルターの表面
に、断面が鋸歯形状三角柱連続突起を設けて反射防止処
理を行う方法では、反射光をドライバーの視野外へ除去
しているため、反射光そのものはドライバーの目に入ら
ず、ドライバーの視線に直角に機器等を配置してもカバ
ーフロントを斜めに配置したのと同等の反射特性が得ら
れるのでメータークラスターの奥行きを小さくでき、か
つフードも短くできるので周囲の内装部材との段差がな
くなり意匠性に優れるというメリットを有する反面、従
来のものは表示透過像以外に多重像が現われて、視認性
が大幅に損なわれるという欠点があった。
【0011】従って、本発明の目的は、光学的に十分な
反射防止性を有し、かつ多重像が発生しない反射防止光
学フィルターを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段及び作用】上記課題を解決
するため、請求項1に記載された発明は、断面が三角形
状の微細な三角柱突起を表面上に同一方向に連続して配
置させた鋸歯フィルターと、光を吸収する着色板と光を
透過する透明板とを周期的に積層してルーバー構造とし
た遮光フィルターとから成ることを特徴とする。
【0013】また、請求項2に記載された発明は、鋸歯
フィルター表面に連続して形成された微細な三角柱突起
の間隔が50μm〜500μm、三角柱突起断面の三角
形の頂角を除く2つの角がそれぞれ10°〜45°、7
0°〜100°、遮光フィルターの着色板の傾斜角度が
当該遮光フィルターの面方向に対して50°〜80°、
透明板の幅が50μm〜300μm、遮光フィルターの
厚さが75μm以上で、着色板の厚さが1μm〜50μ
mであることを特徴とする。
【0014】更に、請求項3に記載された発明は、鋸歯
フィルターは、断面が三角形状の微細な三角柱突起を表
面上に同一方向に連続して配置させた鋸歯フィルムと、
鋸歯フィルムの三角柱突起が設けられた面と反対側の面
に積層させた透明基体とから成ることを特徴とする。
【0015】また、請求項4に記載された発明は、遮光
フィルターは、光を吸収する着色板と光を透過する透明
板とを周期的に積層させてルーバー構造とした遮光フィ
ルムと、透明基板とを積層して成ることを特徴とする。
以下、本発明を図面を参照しながら更に説明する。
【0016】図1及び2は、従来のメータークラスター
の断面図である。図1は、文字盤1の保護のために設け
られているカバーフロント2の表面での反射光がドライ
バーのアイレンジ4に入るのを防止するために、カバー
フロント2を傾斜させた上でフード3を設けている。当
該方法によると、フード長L1が極端に長くなり、メー
タークラスター全体の奥行きD1も大きくなってしまう
ので、現在では図2のようにカバーフロント自体を湾曲
させてL1を少しでも短くする様に設定している。しか
し、この方法ではフードそのものは短くできる反面、メ
ータークラスター全体の奥行きD2はやはり大きくなっ
てしまい、またフードも前方へ突出しているので乗員に
圧迫感を付与する原因となっている。
【0017】図3は、断面が鋸歯形状の三角柱連続突起
を表面に設けた反射防止光学フィルター5をカバーフロ
ントとして用いた場合の図である。図3に示すように、
当該フィルターの鋸歯傾斜面を上にして設置すると、当
該フィルター表面の反射光は鋸歯傾斜面の傾斜角度に対
応して反射するので、図2でカバーフロント自体を湾曲
させているのと同等な効果が期待でき、更に図2の場合
と異なりカバーフロント自体は平板なので、フード長L
3、メータークラスター全体の奥行きD3ともに小さく
することができる。
【0018】図4は、図3の反射防止光学フィルターを
通して見た透過像が多重になる原因を説明するための図
である。光源6は拡散光なのであらゆる方向に光が発散
している。光源6と視点7とを結ぶ直線の上方に入射す
る光の一つは実像光Rとして、図4中の実線で示すよう
に鋸歯傾斜面で屈折した後に視点7方向に進行してく
る。一方、光源6と視点7とを結ぶ直線の下方に入射す
る光の一つは多重像光R´として、図4中の破線で示す
ように鋸歯傾斜面の裏面側で反射した後に鋸歯垂直面を
通過して、下の鋸歯傾斜面表面で再び反射して視点7方
向に進行してくる。これらの結果として、視点7では実
像Rの下側に多重像R´が認識されることになるのであ
る。
【0019】図5(a)は、本発明の反射防止光学フィ
ルター8(a)の断面部分拡大図であり、図5(b)
は、本発明の反射防止光学フィルター8(a)の効果を
説明する図である。光源6から発せられる光は拡散光で
あり、基本的に180°の方向に均等に発光している。
この光源6の前面には、遮光フィルター10を設置す
る。当該遮光フィルター10は、光を吸収する着色板1
0(b)と光を透過する透明板10(a)とが周期的に
積層されたルーバー構造を構成しており、この着色板1
0(b)は遮光フィルターの面方向に対して所定角度で
傾斜しているものである。従って、前記ルーバーの傾斜
角度に対応して透過する光の出射領域が制限され、図5
(b)中の斜線で示すように、視点7からみて、光源6
と視点7とを結ぶ直線の上方になる。さらにこの上に鋸
歯フィルター9を設置すれば、視点7からみて、光源6
と視点7とを結ぶ直線より下方の領域には多重像を引き
起こす光源6からの光が存在していないので、視点7で
多重像は認識されないのである。図6(a)は、鋸歯フ
ィルター9が鋸歯フィルム11と透明基体12とから成
る本発明の反射防止光学フィルター8(b)の断面部分
拡大図、図6(b),(c),(d)図は、遮光フィル
ター10が遮光フィルム13と透明基体12とから成る
本発明の反射防止光学フィルター8(c),8(d),
8(e)の断面部分拡大図をそれぞれ示している。
【0020】隣接する三角柱突起の間隔は、50μmよ
り小さいと、光の回折により光が散乱してしまい透過像
の品質低下を招き、逆に500μmより大きいと断面が
三角形の頂角部分が欠けやすく、透き間にゴミが混入す
ると容易に除去できず、好ましくない。
【0021】三角柱突起断面の三角形の頂角を除く2つ
の角のうち、1つの頂角は10°〜45°の範囲にあ
り、これが10°より小さいと突起表面での反射光を異
方向に積極的に向けることが出来ず、逆に45°よりも
大きいと実像光の屈折が大きくなってしまい好ましくな
い。また、残るもう一つの頂角は70°〜100°の範
囲にあり、これが70°より小さいとこの突起表面での
光の屈折も顕著に現れてしまい、また100°よりも大
きいと突起面が食い込んだ形状となるために製造が難し
くなることから好ましくない。よって、三角柱突起断面
の三角形の頂角を除く2つの角はそれぞれ10°〜45
°,70°〜100°の角度範囲にあることが好まし
い。
【0022】遮光フィルターの着色板の傾斜角度範囲に
ついては以下のように規定する。図7に示すように、鋸
歯フィルターの三角柱突起断面の三角形の頂角を除く2
つの角のうちの1つを角度をφ、着色板の傾斜角度を
ψ、透明板の幅をp、遮光フィルターの厚さをdとすれ
ば、鋸歯フィルターを透過した光は鋸歯フィルターの法
線方向に対して下方に角度θo で出射される。幾何光学
的にd/pはψの関数として以下の式で表わされる。
【数1】 ただし、n1 ,n2 はそれぞれ鋸歯フィルターおよび遮
光フィルターの透明板の屈折率を示す。
【0023】図8は実車レイアウトの概略を模式的に示
したものである。アイレンジ4の下端から本発明の反射
防止光学フィルターを通してメーター文字盤1の上端が
認識できなければならず、この角度は様々な車種を平均
して約10°であり、例えば、代表的な値としてθ0
10、n1 =1.48、n2 =1.50とすると、d/
pとψの関係は図9に示すようになる。基本的にはルー
バーの傾斜角ψとd/pが上記数1に示す関係を満足し
ていれば良いのであるが、製造上ルーバーを極端に傾斜
させることが極めて困難なので、実際の着色板の傾斜角
度ψは50°〜80°の範囲内にあることが好ましい。
この場合には、図9からは、d/pは約1.5〜8.5
の値の範囲となることがわかる。
【0024】透明板の幅pは50μmより小さいと光の
回折作用が顕著に現れてしまい、実像の品質低下を招
き、また300μmより大きい場合には、特にd/p=
8.5の値の際に高さdが約3mmと比較的厚くなって
しまい、製造上好ましくない。従って、透明板の幅は5
0μm〜300μmの範囲内にあることが好ましい。ま
た、このことより遮光フィルターの厚さdは、75μm
〜2550μm(2.55mm)の範囲内に入る。
【0025】遮光フィルター単体では剛性が不足して形
状維持ができない場合には、適当な厚さの透明基体と積
層して遮光フィルターとしても良く(図6(c),6
(d),6(e))、使用する透明基体の厚さは用途に
よって任意に選択可能であり、実際には遮光フィルター
の厚さは75μm以上であれば良い。
【0026】着色板の厚さは1μmより小さいと光の遮
断機能が不十分であり、50μmより大きいと全体の透
過率が低下するので、1μm〜50μmの範囲にあるこ
とが好ましい。
【0027】本発明において用いられる透明基体として
は、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレ
ート(PMMA)、ポリスチレン等の透明樹脂、ガラス
及びフィルム等から任意に選択することができる。
【0028】また、フィルムを透明基体として用いる場
合の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、
ポリスチレン(PS)、塩化ビニル、ナイロン、トリア
セテート及びセロハン等が好適に用いられるが、機械的
性質、熱的性質、電気特性のすべてにバランスが取れて
いることから、特にポリエチレンテレフタレート(PE
T)が好ましい。
【0029】鋸歯フィルターは、透明基体表面に直接三
角柱突起を同一方向に連続的に設ける方法(図5
(a))と、フィルム表面に三角柱突起を同一方向に連
続的に設けた後に透明基体と接着する方法(図6
(a))とにより製造することができる。
【0030】前者の方法においては、機械加工、ワイヤ
ーカット放電加工などにより予め表面に所望の三角柱連
続突起を形成した金型を用い、射出成形、加圧成形法等
により金型表面の形状を直接転写することにより鋸歯フ
ィルターを連続的に形成することができる。
【0031】また、後者の方法においては、まず、機械
加工、放電加工、フォトリソグラフィーによる異方性エ
ッチング等により予め表面に三角柱連続突起を形成した
ロールを用いて、ロール間にフィルムを連続的に通過さ
せ、プレスして転写することにより鋸歯フィルムを形成
することができる。
【0032】この際、フィルムを直接プレスして突起形
状を転写したり、又は予め紫外線や電子線等の活性光線
や熱により硬化可能な硬化性組成物を塗布したフィルム
にプレスして鋸歯形状を転写した後に、硬化性樹脂組成
物に活性光線や熱を照射して硬化したりする方法があ
る。
【0033】紫外線硬化樹脂としては、光重合性プレポ
リマー、光重合性モノマー、光開始剤を主成分として成
る「ソーラプレン」(三井東圧化学(株)製、商標名)
及び「アデカオプト2」(旭電化(株)製、商標名)等
がある。これらの硬化性樹脂組成物の膜厚は500μm
以下が好ましいが、転写精度が良好であることから10
0μm程度の厚さが好適である。
【0034】鋸歯フィルムと透明基体とを接着するに際
しては、透明基体の表面に接着剤を塗布して鋸歯フィル
ムを貼り合わせるのが一般的でる。この際使用する接着
剤としては、一般的な熱可塑性接着剤、エラストマー性
接着剤、熱硬化性接着剤等を単独で使用してもよく、ま
た必要に応じて2種以上を混合して使用してもよい。例
えば、主剤である液状エポキシ樹脂と硬化剤である芳香
族アミンとを主成分として成る熱硬化性のエポキシ系接
着剤(市販品としては「セメダインCS−2340−
5」、セメダイン(株)製の商品番号)等がある。接着
剤の膜厚は1μm以下が好ましい。
【0035】着色板が傾斜した遮光フィルターは、光を
吸収する着色板と光を透過する透明板とを交互に積層し
て所定の大きさの立体ブロックを形成した後に、斜めに
切断することにより製造することができる。着色板およ
び透明板の材質としてはセルロース及びシリコンゴム等
があり、いずれのものも好適に用いられる。この遮光フ
ィルターと透明基体と積層するには、鋸歯フィルムと透
明基体とを接着するのと同様な方法で行うことができ
る。ルーバー未傾斜の遮光フィルターとしては信越ポリ
マー(株)製のものや住友3M(株)製のものが使用で
きる。鋸歯フィルターと遮光フィルターとの接着方法
は、上記の各接着方法と同様にして行うことができる。
【0036】次に、本発明の反射防止光学フィルターの
製造方法について説明する。三角柱突起を同一方向に連
続的に透明基体表面に直接形成する場合には、まず射出
成形や加圧成形法で用いる金型表面を機械加工、ワイヤ
ーカット放電加工により精密加工し、所望の三角柱連続
突起を形成する。
【0037】射出成形法では透明基体の原料となる樹脂
又はガラスを加熱して溶融させたものをこの金型中へ圧
力を加えて導入した後に、溶融温度以下で所定時間維持
して成形し、表面に三角柱連続突起を転写する。加圧成
形法では透明基体を予め軟化温度以上に加熱した後に金
型にセットし、次いで圧力を加えながら所定時間維持
し、表面に三角柱連続突起を転写する。
【0038】フィルム表面に三角柱突起を同一方向に連
続的に設けた後に透明基体と接着する場合には、まずフ
ィルムをイソプロピルアルコールにより脱脂処理をした
後に、純水リンスおよび窒素ブロー乾燥して洗浄する。
直接フィルム表面に加工する場合には、フィルム又はロ
ールを所定温度まで加熱しておく。また、硬化性樹脂組
成物を用いる場合には、まず硬化性樹脂組成物を半硬化
させた状態にする。紫外線硬化樹脂の場合には、紫外線
露光装置にて紫外線を10秒間照射し、電子線硬化樹脂
の場合には、電子線照射装置にて電子線を約20秒間照
射し、、熱硬化樹脂の場合には、温度80℃で1分間処
理する。
【0039】次に三角柱連続突起が表面に加工されたロ
ールの間に、このフィルムを通過させてプレスし、三角
柱連続突起を、フィルム上の半硬化させた硬化性樹脂組
成物へ転写する。次いで再び所定の方法により硬化性樹
脂組成物を完全に硬化させて、三角柱連続突起を固定化
する。紫外線および電子線硬化樹脂の場合には照射を3
分間以上行ない、熱硬化樹脂の場合には温度100℃で
10分間以上処理すれば完全に硬化する。
【0040】次いで、透明基体表面へ接着剤を所定厚さ
に塗布した後に、接着剤が乾燥しない間にフィルムを端
から皺にならないように順に貼り付ける。
【0041】このようにして形成した、断面が三角形状
の微細な三角柱突起を表面上に同一方向に連続して配置
させた鋸歯フィルターと、光を吸収する着色板と光を透
過する透明板とを周期的に積層してルーバー構造を構成
した遮光フィルターとから成る反射防止光学フィルター
を、以下のようにして評価した。実際に走行可能な自動
車のメーターから、反射光をカットしているフードを取
り去り、従来から存在するアクリル製のカバーフロント
を本発明の反射防止光学フィルターに交換して晴天下で
様々なモードで走行し、直接入射する太陽光の当該フィ
ルター表面での反射光がメーターの視認性を損なうか、
また透過多重像が発生しているか等を調べて評価した。
【0042】いずれの条件下においてもメーターからの
表示が問題なく認識できれば、本発明の反射防止光学フ
ィルターの反射防止効果はあると判断し、以下の実施例
及び比較例中に、各々その結果を記載した。
【0043】
【実施例】本発明を実施例及び比較例により説明する
が、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0044】実施例1 三角柱突起の間隔が100μm、三角柱突起断面の三角
形の頂角を除く2つの角がそれぞれ30°、90°の鋸
歯フィルターを作製した後に、着色板の傾斜角度が60
°、透明板の幅が100μm、着色板の厚さが10μ
m、全体の厚さが300μmの遮光フィルターと当該鋸
歯フィルターとを熱硬化性エポキシ系接着剤「セメダイ
ンCS−2340−5」(セメダイン(株)製、商標
名)を用いて接着し、反射防止光学フィルターを作製し
た。このようにして作製した反射防止光学フィルターの
反射防止性能を上記したように評価した結果、いかなる
走行条件下でも、当該フィルター表面での直接太陽光の
反射光はいっさい認識されず、また透過多重像の発生も
なくメーターの視認性は全く阻害されなかった。
【0045】実施例2 三角柱突起の間隔が400μm、三角柱突起断面の三角
形の頂角を除く2つの角がそれぞれ42°、80°の鋸
歯フィルターを作製した後に、三角柱突起を形成した面
と反対側の面に、着色板の傾斜角度が52°、透明板の
幅が200μm、着色板の厚さが25μm、全体の厚さ
が800μmの遮光フィルターと当該鋸歯フィルターと
を熱硬化性エポキシ系接着剤「セメダインCS−234
0−5」(セメダイン(株)製、商標名)を用いて接着
し、反射防止光学フィルターを作製した。このようにし
て作製した反射防止光学フィルターの反射防止性能を上
記したように評価した結果、いかなる走行条件下でも、
当該フィルター表面での直接太陽光の反射光はいっさい
認識されず、また透過多重像の発生もなくメーターの視
認性は全く阻害されなかった。
【0046】実施例3 三角柱突起の間隔が250μm、三角柱突起断面の三角
形の頂角を除く2つの角がそれぞれ42°、95°の鋸
歯フィルターを作製した後に、三角柱突起を形成した面
と反対側の面に、着色板の傾斜角度が75°、透明板の
幅が150μm、着色板の厚さが35μm、全体の厚さ
が1000μmである遮光フィルターと当該鋸歯フィル
ターとを熱硬化性エポキシ系接着剤「セメダインCS−
2340−5」(セメダイン(株)製、商標名)を用い
て接着し、反射防止光学フィルターを作製した。このよ
うにして作製した反射防止光学フィルターの反射防止性
能を上記したように評価した結果、いかなる走行条件下
でも、当該フィルター表面での直接太陽光の反射光はい
っさい認識されず、また透過多重像の発生もなくメータ
ーの視認性は全く阻害されなかった。
【0047】実施例4 三角柱突起の間隔が250μm、三角柱突起断面の三角
形の頂角を除く2つの角がそれぞれ42°、95°の鋸
歯フィルムと厚さ2mmのアクリル製透明基体とから成
る鋸歯フィルターを用いた以外は、実施例1と同様にし
て、反射防止光学フィルターを作製した。このようにし
て作製した反射防止光学フィルターの反射防止性能を上
記したように評価した結果、いかなる走行条件下でも、
当該フィルター表面での直接太陽光の反射光はいっさい
認識されず、また透過多重像の発生もなくメーターの視
認性は全く阻害されなかった。
【0048】実施例5 三角柱突起の間隔が400μm、三角柱突起断面の三角
形の頂角を除く2つの角がそれぞれ42°、80°の鋸
歯フィルムと厚さ3mmのポリカボネート製透明基体と
から成る鋸歯フィルターを用いた以外は、実施例2と同
様にして、反射防止光学フィルターを作製した。このよ
うにして作製した反射防止光学フィルターの反射防止性
能を上記したように評価した結果、いかなる走行条件で
も、当該フィルター表面での直接太陽光の反射光はいっ
さい認識されず、また透過多重像の発生もなくメーター
の視認性は全く阻害されなかった。
【0049】実施例6 着色板の傾斜角度が75°、透明板の幅が150μm、
着色板の厚さが35μm、全体の厚さが1000μmで
ある遮光フィルムを厚さ2mmのアクリル製透明基体で
挟み込んだ構造の遮光フィルターを用いて、反射防止光
学フィルターを作製した。このようにして作製した反射
防止光学フィルターの反射防止性能を上記したように評
価した結果、いかなる走行条件でも、当該フィルター表
面での直接太陽光の反射光はいっさい認識されず、また
透過多重像の発生もなくメーターの視認性は全く阻害さ
れなかった。
【0050】比較例1 表面に頂角42°、ピッチ233μm(0.233m
m)のスリットを連続的に形成した反射防止フィルター
「Nexy」(日照技研(株)製、商標名)を反射防止
光学フィルターとして用いて、上記したように評価した
結果、反射性能は十分であったが、方向によっては透過
多重像を発生して反射防止光学フィルターとして使用で
きなかった。
【0051】
【発明の効果】本発明の反射防止光学フィルターは、光
学的に十分な反射防止性を有し、表示透過像以外に多重
像が発生することがなく、視認性に優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は従来のメータークラスターの断面図であ
る。
【図2】図2は従来のメータークラスターの断面図であ
る。
【図3】図3は表面に鋸歯形状三角柱を連続的に配置し
た従来の反射防止光学フィルターをメータークラスター
へ適用した場合の効果を説明する図である。
【図4】図4は図3の反射防止光学フィルターを通して
透過像を見た場合に多重像が発生することを説明する図
である。
【図5】図5は本発明の反射防止光学フィルターの断面
拡大図である。
【図6】図6は本発明の他の反射防止光学フィルターの
断面拡大図である。
【図7】図7は本発明の反射防止光学フィルターの遮光
フィルター内の着色板の傾斜角度範囲を規定する方法を
説明する図である。
【図8】図8は実車レイアウト概略図である。
【図9】図9は遮光フィルター内の着色板の傾斜角度と
遮光フィルターの厚さ/透明板幅比との関係を示す線図
である。
【符号の説明】 1 文字盤 2 カバーフロント 3 フード 4 アイレンジ 5 表面鋸歯形状フィルター 6 光源 7 視点 8(a)〜8(e) 反射防止光学フィルター 9 鋸歯フィルター 10 遮光フィルター 11 鋸歯フィルム 12 透明基体 13 遮光フィルム

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面が三角形状の微細な三角柱突起を表
    面上に同一方向に連続して配置させた鋸歯フィルター
    と、光を吸収する着色板と光を透過する透明板とを周期
    的に積層してルーバー構造とした遮光フィルターとから
    成ることを特徴とする反射防止光学フィルター。
  2. 【請求項2】 鋸歯フィルター表面に連続して形成され
    た微細な三角柱突起の間隔が50μm〜500μm、三
    角柱突起断面の三角形の頂角を除く2つの角がそれぞれ
    10°〜45°、70°〜100°、遮光フィルターの
    着色板の傾斜角度が当該遮光フィルターの面方向に対し
    て50°〜80°、透明板の幅が50μm〜300μ
    m、遮光フィルターの厚さが75μm以上で、着色板の
    厚さが1μm〜50μmであることを特徴とする請求項
    1記載の反射防止光学フィルター。
  3. 【請求項3】 鋸歯フィルターは、断面が三角形状の微
    細な三角柱突起を表面上に同一方向に連続して配置させ
    た鋸歯フィルムと、鋸歯フィルムの三角柱突起が設けら
    れた面と反対側の面に積層させた透明基体とから成るこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の反射防止光学フィ
    ルター。
  4. 【請求項4】 遮光フィルターは、光を吸収する着色板
    と光を透過する透明板とを周期的に積層させてルーバー
    構造とした遮光フィルムと、透明基板とを積層して成る
    ことを特徴とする請求項1〜3いずれか1つの項記載の
    反射防止光学フィルター。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007264594A (ja) * 2006-03-01 2007-10-11 Nissan Motor Co Ltd 反射防止微細構造、反射防止成形体及びその製造方法
CN106772711A (zh) * 2017-01-20 2017-05-31 四川龙华光电薄膜股份有限公司 光学膜片

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