JP2007246624A - 耐熱性に優れた脂肪族ポリエステル樹脂押し出し成型シート及び容器 - Google Patents

耐熱性に優れた脂肪族ポリエステル樹脂押し出し成型シート及び容器 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性に優れた脂肪族ポリエステル樹脂シート及びその成型体を得る。
【解決手段】下記1)2)3)成分より構成されることを特徴とする樹脂組成物を押し出し成型することによって得られるシート。
1)脂肪族ポリエステル樹脂組成物
2)非イオン性界面活性剤
3)タルク
【選択図】なし

Description

本発明は、結晶化速度に優れた脂肪族ポリエステル樹脂押し出し成型シート及びそれから得られる成型容器に関する。
最近、環境保全の観点から、土中や水中に存在する微生物によって分解される生分解性を持つ脂肪族ポリエステル樹脂が注目されている。特に食品包装分野、農業資材分野においては、脂肪族ポリエステルのフィルムやシート及びそれから得られる成型容器の有用性が高まっている。
これらの脂肪族ポリエステル樹脂の中でも、ポリ乳酸はとうもろこし等の再生可能な植物資源から製造でき、大量生産も可能なためコストも安く、溶融成形も可能なため、最も有用性が高い。しかしながら、ポリエチレン、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等の非生分解性の汎用樹脂に比べて、ポリ乳酸の結晶化速度は著しく遅いために、実際には非晶性樹脂に近い挙動を示す。すなわち、ガラス転移温度付近で急激に且つ極度に軟化するため、電子レンジ等での加熱食品を入れるような成型容器や熱湯用の容器には使用できなかった。また、ポリ乳酸系のシートやその成形容器を保管や輸送する場合、保管時や輸送中のトラック、列車、船の内部で変形や融着等の問題が発生することが多々認められている。
これらの問題点を解決するために、ポリ乳酸に代表される脂肪族ポリエステル樹脂の結晶化速度を向上させる取り組みがなされてきた。
古くからの公知技術として、タルク、マイカ、ガラス繊維等の無機充填剤を添加することが知られているが、無機充填剤を多量に添加しないと効果が発現しないため、樹脂自身の透明性がそこなわれると共に、比重が高くなるという問題があった。
そこで、特許文献1においては、ポリ乳酸に高級脂肪酸のビスアミドを添加することによって、ブロッキングを防止し成形性を付与すること、特許文献2においては、ポリ乳酸を主成分とする熱可塑性ポリマー組成物に脂肪酸アミドを添加することによって離型性と成型加工性を付与すること、また、特許文献3においては、水酸基を有する有機オニウム塩で有機化された層状粘土鉱物を生分解樹脂に添加することで、弾性率や結晶化速度に優れた生分解樹脂複合材料を提供する技術が開示されている。また、特許文献4には、乳酸系樹脂とTgが0度以下の脂肪族(又は芳香族)ポリエステル、無機充填剤、及び加水分解防止剤を含有する樹脂組成物から得られる自動車部品、及び家電部品が、物性及びリサイクル性に優れることが開示されている。また、特許文献5には、生分解性ポリエステル樹脂と、メタアクリル酸エステル化合物、層状ケイ酸塩を含むことによって耐熱性、機械強度、発泡加工適性に優れる組成物が得られる事が示されている。また、特許文献6には、ポリ乳酸に有機オニウム塩で変性された層状ケイ酸塩、アミド化合物、及びタルクを含有させることによって、結晶化速度が高く成型品の耐熱温度の高い組成物が得られることが示されている。
しかしながら、上記の従来技術の場合、ある程度の結晶化速度の向上は認められるものの、その効果は未だ十分ではなく、このため十分な結晶化度を有する成形体を得るためには、成形時間を著しく長く取るか成形後に熱処理する必要があるなどの問題点があった。成型時間を長く取ることは著しい生産性低下を引き起こすため、工業的には致命的な欠点となる。一方、成型後に熱処理する場合は、熱処理時に成型体が変形してしまうという問題等があり、実用化されないのが実情である。
特開平6−299054号公報 特開平8−27363号公報 特開2003−73538号公報 特開2003−128900号公報 国際公開第04/099315号パンフレット 特開2004−51667号公報
本発明は耐熱性に優れた脂肪族ポリエステル樹脂押し出し成型シート及び成型容器を得ることを目的とする。
これらの問題点を解決する技術として、本発明者らは下記3成分を含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物が結晶化速度に優れ、射出成型等において、非常に短い成形時間で非常に高い耐熱性を持つ成型体を作成できることを見出した。
1.脂肪族ポリエステル
2.タルク
3.非イオン性界面活性剤
これらの組成物から押し出し成型によって得られるシートを更にプレス成型、真空成型、圧空成型、真空圧空成型によって容器を成型すると、非常に短いサイクル時間で、高い耐熱性を示す容器が得られることを見出した。更にその際に、(1)非イオン性界面活性剤として特定の構造の材料を用いること(2)柔軟樹脂として特定のガラス転移点(Tg)を持つポリエステル系樹脂を添加することによって、シート、成形体の耐衝撃性、及び成形加工性にも優れ、かつ真空圧空成型等によって得られる容器が優れた耐熱性を示すことを見出し本発明に至った。
すなわち本発明は、下記の通りである。
1.脂肪族ポリエステル60.0〜99.9重量%、タルク0.05〜20重量%、及び非イオン性界面活性剤0.05〜20重量%からなる混合組成物を含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物からなる押し出し成型シート。
2.前記混合組成物100重量部に対して、更に、層状ケイ酸塩を有機オニウム塩によって処理して得られる有機化層状ケイ酸塩0.01〜10重量部を添加した脂肪族ポリエステル樹脂組成物からなる1に記載の押し出し成型シート。
3.前記混合組成物100重量部に対して、更に、ガラス転移点(Tg)が0℃以下の柔軟樹脂を0.01〜30重量部含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物からなる1または2に記載の押し出し成型シート。
4.前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ジ脂肪酸ポリオキシエチレングリコール、モノ脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、及び脂肪酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である1〜3のいずれかに記載の押し出し成型シート。
5.前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である1〜3のいずれかに記載の押し出し成型シート。
6.前記非イオン性界面活性剤が、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルである1〜3のいずれかに記載の押し出し成型シート。
7.前記脂肪族ポリエステルがポリ乳酸である1〜6のいずれかに記載の押し出し成型シート。
8.前記脂肪族ポリエステル樹脂組成物が、脂肪族ポリエステルのカルボキシル基末端封鎖剤を含有する1〜7のいずれかに記載の押し出し成型シート。
9.請求項1〜8のいずれかに記載の押し出し成型シートをプレス成型、真空成型、圧空成型、真空圧空成型のいずれかの方法で成型することによって得られる容器。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物から得られるシートを真空圧空等の手法で成型した場合、非常に短い成型サイクルで非常に耐熱性に優れた容器を得ることができる。
本発明について、特にその好ましい形態を中心に、以下具体的に説明する。
本発明における脂肪族ポリエステル樹脂は特に限定はないが、生分解性を有する脂肪族ポリエステル樹脂が好適に用いられる。そのような脂肪族ポリエステルとしては、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネートカーボネート、ポリグリコール酸、ポリビニルアルコール、ポリエステルアミド、ポリエステルカーボネート、ポリケトン、澱粉等の多糖類等が挙げられる。本発明においては、これらの樹脂は単独で用いてもよく、複数の樹脂成分を共重合又は混合することで組み合わせて使用してもよい。
本発明においては、上述の脂肪族ポリエステル樹脂の中でも機械強度や透明性に優れ、汎用性に富むポリ乳酸が好適に用いられる。ポリ乳酸の重量平均分子量は特に制限されないが、好ましくは50,000以上であり、さらに好ましくは100,000以上である。また、ポリ乳酸がD体乳酸原料とL体乳酸原料との共重合体である場合、D体乳酸原料又はL体乳酸原料のうちの一方の含有割合が90mol%以上であることが好ましく、95mol%以上であることがより好ましく、98mol%以上であることがさらに好ましい。当該ポリ乳酸はD体、L体、DL体のいずれの重合体であってもよい。また、構成成分の主体がD体乳酸であるポリ乳酸と、構成成分の主体がL体乳酸であるポリ乳酸とが任意の割合でブレンドされたものを用いてもよい。
ポリ乳酸樹脂の融点は、特に限定されるものではないが、120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがさらに好ましく、160℃以上であることが特に好ましい。ポリ乳酸樹脂の融点は、通常乳酸成分の光学純度を高くすることにより高くなり、融点が120℃以上のポリ乳酸樹脂は、L体が90mol%以上含まれるか、又はD体が90mol%以上含まれることにより、また融点が150℃以上のポリ乳酸樹脂は、L体が95mol%以上含まれるか、又はD体が95mol%以上含まれることにより、得ることができる。
これらポリ乳酸の具体的な例としては、Nature Works社製、商品名、NatureWorks、三井化学社製、商品名、レイシア、トヨタ自動車社製、商品名、U’zなどが挙げられる。
次に、本発明におけるタルクについて説明する。タルクの種類に特に限定はないが、平均粒径は小さいほど好ましい。好ましくは15ミクロン以下で、より好ましくは5ミクロン以下、更に好ましくは2ミクロン以下である。粒子径が15ミクロン以下のタルクの例として、富士タルク社製、商品名、LMP100、LMP200、松村産業社製、商品名、HiFiller5000PJなどがあり、中でもHiFiller5000PJは粒子径が小さく本発明における脂肪族ポリエステル樹脂組成物の結晶化速度を高める効果が強い。また、このようなタルクは、樹脂との接着性を向上させるために表面処理を施していてもよい。このようなタルクは、市販されており、日本タルク(株)、富士タルク工業(株)等から販売されている。
本発明における非イオン性界面活性剤は、親水部と疎水部とから構成される。疎水部の構造としては、ラウリル基、セチル基、オレイル基、イソステアリル基、ステアリル基等に代表される飽和又は不飽和炭化水素基が挙げられ、該炭化水素は直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、エポキシ化されていてもよい。また、牛脂やヤシ油に代表されるような天然物から精製した脂肪酸から誘導したものであってもよい。また構造中にロジンやラノリンのようなシクロアルカン構造や、ベンゼンやフェノール類などの芳香族構造、又はアクリレートやメタクリレートなどのエステル構造を有していてもよい。またベタイン類のようにカルボン酸を有していてもよい。親水部の構造としては、水酸基、ヒドロキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、ポリグリセリン構造、カルボキシル、エステル、アミン、アミド、アルカノールのうちいずれかを有していることが好ましい。より好ましくはヒドロキシアルキレン、ポリオキシアルキレン構造である。
このような条件を満たす非イオン性界面活性剤の例としてポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラノリンエーテル、ポリオキシエチレンロジンエステル、ポリオキシエチレンステアリン酸エステル、ジ脂肪酸ポリオキシエチレングリコール、モノ脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリル(ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル)、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ステアリルジエタノールアミン、ドデシルジエタノールアミン等が挙げられる。このような範囲の構造を有する非イオン性界面活性剤の具体例として、日本エマルジョン社製、商品名、エマレックス602、エマレックス703、エマレックス805、エマレックス1605、エマレックス600di−S、エマレックスET−8020、エマレックスGWIS-120などのエマレックスシリーズ、理研ビタミン社製、商品名、リケマール、ポエムシリーズ等が挙げられる。
これらの非イオン性界面活性剤の中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ジ脂肪酸ポリオキシエチレングリコール、モノ脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルが本発明における脂肪族ポリエステル樹脂組成物の結晶化速度を向上させる効果が高い。
更にこれらの中でポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。これらのポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリグリセリン脂肪酸エステルについて更に詳しく説明する。
下記式(1)に示すようなポリオキシエチレンアルキルエーテルの中でも、アルキル基Rの炭素鎖長が炭素数12〜18であるポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。炭化水素部分(R)の構造としては、飽和、不飽和の両方が使用できる。炭素鎖長としては、炭素数18のポリオキシエチレンステアリルエーテルが更に好ましい。これらの例として、商品名、エマレックス602、エマレックス610、エマレックス620、エマレックス630、エマレックス640などが挙げられる。親水部については、ポリオキシエチレンの付加モル数(n)は2以上50以下程度が好ましい。より好ましくは5〜25程度、更に好ましくは、20程度である。また、末端の水酸基は封鎖されてない方が良い。この非イオン性界面活性剤の例としては、商品名、エマレックス620が挙げられる。
R−O−(CHCHO)H (1)
下記式(2)に示す脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルについて説明する。脂肪酸の炭化水素部分(R)の構造としては、飽和、不飽和の両方が使用できる。脂肪酸の炭素鎖長(R)は11〜17のものが好ましく、特に炭素数が17であるステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルが好ましい。この場合、ステアリン酸はイソ構造になっていても良い。また、3つの水酸基の中で、全てが脂肪酸エステル化されているトリ脂肪酸ポリオキシエチレングリセリル、或いは2つが脂肪酸エステル化されているジ脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルも用いることができるが、2つの水酸基がそのまま残っている、モノ脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルが好ましい。また、ポリオキシエチレンの付加モル(a+b+c)としては、3以上60以下くらいのものが好ましく用いられるが、より好ましくは、5以上30以下であり、更により好ましくは20程度である。この例として、エマレックスGWIS−120などが挙げられる。
Figure 2007246624
下記式(3)に示すポリグリセリン脂肪酸エステルについては、脂肪酸の炭化水素部分(R)の構造としては、飽和、不飽和の両方が使用できる。脂肪酸の炭素鎖長(R)は11〜17のものが好ましく、特に炭素数が17であるポリグリセリンステアリン酸エステルが好ましい。ポリグリセリンの重合度nについては、1〜30程度が好ましい。より好ましくは10〜20である。この構造の例として理研ビタミン社製、商品名、ポエムJ−0081HV等が挙げられる。
Figure 2007246624
これらのポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、結晶化促進効果が高いだけではなく、押し出しシート成型や、更に得られたシートの真空圧空成型のプロセス適性にも優れるので、本発明に好適に用いられる。中でも脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルが好ましい。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物中における各成分の比としては、脂肪族ポリエステル、タルク及び非イオン性界面活性剤の合計量に対して、脂肪族ポリエステル樹脂60〜99.9重量%、非イオン性界面活性剤0.05〜20重量%、タルク0.05〜20重量%とすることが好ましい。より好ましくは脂肪族ポリエステル樹脂80〜98.0重量%、非イオン性界面活性剤1.0〜10重量%、タルク1.0〜10.0量%であり、更に好ましくは脂肪族ポリエステル樹脂90.0〜95.0重量%、非イオン性界面活性剤2.0〜4.0重量%、タルク3.0〜6.0重量%である。
非イオン性界面活性剤が0.05重量%未満の場合は、結晶化速度が向上せず、最終的に得られる脂肪族ポリエステル樹脂組成物の耐熱性は低い。一方、非イオン性界面活性剤が20重量%より多い場合は、成型体から非イオン性界面活性剤がブリードアウトして外観が損なわれたりすることもある。タルクが0.05重量%未満の場合は、結晶化速度が向上せず、最終的に得られる脂肪族ポリエステル樹脂組成物の耐熱性は低い。一方、タルクが20重量%より多い場合は、得られる脂肪族ポリエステル樹脂組成物が脆化し、衝撃強度が弱くなる場合がある。
本発明における層状ケイ酸塩の例として、ピロフィライト、スメクタイト、バーミキュライト、マイカなどの粘土鉱物が挙げられるが、これらは天然に存在するものを精製したものであっても、水熱法など公知の方法で合成したものであってもよい。本発明において用いられる層状ケイ酸塩の具体例としては、モンモリロナイト、ヘクトライト、バイデライト、サポナイト、合成フッ素化マイカなどが挙げられる。例えば、モンモリロナイトの例としては、SouthernClay社製、商品名、CloisiteNa、クニミネ工業社製、商品名、クニピアRGなどが、合成フッ素化マイカの例としてはコープケミカル社製、商品名、ソマシフME100などが挙げられる。
本発明における有機化層状ケイ酸塩とは、層状ケイ酸塩の層間に存在する陽イオンを有機オニウム塩と交換処理することによって層状ケイ酸塩を有機化したものである。有機オニウム塩とは、有機物成分とルイス塩基が配位結合をつくることによって生成された塩を指し、4級アンモニウム塩、有機ホスホニウム塩、有機スルホニウム塩等がこれに相当する。また、酸性の極性溶媒に溶解させた際に陽イオン性を呈する有機アミン化合物や、両性イオン化合物などもこれに相当するが、下記式(4)に示すような4級アンモニウム塩、又は陽イオン化した有機アミン化合物が好適に用いられる。
Figure 2007246624
式中、R1、R2、R3、及びR4はそれぞれ、水素、又はメチル、エチル、ラウリル、セチル、オレイル、イソステアリル、ステアリル等に代表される飽和若しくは不飽和炭化水素である。該炭化水素は直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、エポキシ化されていてもよい。また炭化水素鎖は、牛脂やヤシ油に代表されるような天然物から誘導したものであってもよい。またシクロアルカンや芳香環、エステル構造を有していてもよく、ベタイン類のようにカルボン酸を有していてもよい。また、R1〜R4の炭化水素鎖のうち少なくとも一つは、10以上の炭素数を有することが好ましい。最長の炭化水素鎖を構成する炭素数が10未満である場合、有機化層状ケイ酸塩と脂肪族ポリエステルとの親和性が不十分であり、十分な物性の改善が得られない場合がある。Xは陰イオンを示し、特に限定されないが、主に塩化物イオンや臭化物イオンなどのハロゲン化物イオンが該当する。
有機化層状ケイ酸塩の中でも有機オニウム塩が水酸基を含んでいることが好ましい。水酸基はヒドロキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基等の形で存在してもよい。本発明における有機オニウム塩中の水酸基の位置は特に限定はないが、有機オニウム塩としてアンモニウム塩、アミンなどを用いる場合は窒素原子近傍に水酸基が結合したものが好適に用いられる。これらの例としては硬化タロウジエタノールアミンやドデシルジエタノールアミン、メチルオクタデシルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、メチルドデシルジヒドロキシプロピルアンモニウムクロリドが挙げられる。またポリオキシアルキレン基を含んだ有機アンモニウム化合物の例としては、ポリオキシエチレンオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、メチルジポリオキシプロピレンオクタデシルアンモニウムクロリド等が挙げられる。これらポリオキシアルキレン基の付加モル数については任意のものを使用することができる。
このような構造を有する有機アミン又は有機オニウム塩の一例としては、青木油脂工業社製、商品名、ブラウノンS−202、ブラウノンS−204、ブラウノンS−205T、ブラウノンL−202、ライオンアクゾ社製、商品名、エソミンC/12、エソミンHT/12、エソミン18/12、エソカードC/25、エソカードC/12、エソカード、花王社製、商品名、アンヒトール20BS、アンヒトール24B、アンヒトール86Bなどが挙げられる。
これらの水酸基を含有する有機オニウム塩で処理することで得られる有機化層状ケイ酸塩を含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、結晶化処理を施した際に脂肪族ポリエステル樹脂の結晶化を促進して、結晶化度を向上させる効果(Template効果)があり、結果として得られる成型体の耐熱性は向上する。また、これらの有機化層状ケイ酸塩を含有することにより、成型体の剛性が向上するという効果もある。
本発明において、有機化層状ケイ酸塩を合成する方法としては特に制限はなく、公知の手法を用いることができる。これらの有機化層状ケイ酸塩の具体例として、SouthernClay社製、商品名、Cloisite15A、Cloisite20A、Cloisite25A、コープケミカル社製、商品名、ソマシフMAE、MTEなどが挙げられる。また、水酸基を含有する有機オニウム塩で処理された有機化層状ケイ酸塩の具体例としては、SouthernClay社製、商品名、Cloisite30B、コープケミカル社製、商品名、ソマシフMEE、ソマシフMPEなどが挙げられる。
これらの有機化層状ケイ酸塩の添加量としては、脂肪族ポリエステル、タルク及び非イオン性界面活性剤からなる混合組成物100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましい。有機化層状ケイ酸塩が0.01重量部よりも少ないと、得られる脂肪族樹脂組成物の結晶化度向上効果は小さくなる傾向にある。一方10重量部より多い場合は、得られる脂肪族ポリエステル樹脂組成物が脆化し、衝撃強度が弱くなる場合がある。
本発明では、(1)シート成型時のプロセス適性向上(2)得られるシート及びその成形体の耐衝撃性及び成形加工性向上のために、特定のガラス転移温度(Tg)及び融点(Tm)を有する柔軟樹脂を脂肪族ポリエステル樹脂組成物に添加することが好ましい。特に組成物において主たる成分である脂肪族ポリエステルがポリ乳酸の場合、その効果は大きい。
本発明における柔軟樹脂のガラス転移温度(Tg)は0℃以下であり、より好ましくは−20℃以下である。ガラス転移温度が0℃より高いと、耐衝撃性の改良効果が不十分となる傾向がある。主たる成分である脂肪族ポリステルのTgが0℃以上の場合は、柔軟樹脂添加の効果が大きくなる。
また、この柔軟樹脂の融点としては、脂肪族ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)より高く、融点(Tm)より低いことが好ましい。脂肪族ポリエステル樹脂がポリ乳酸の場合について説明すると、柔軟樹脂の好ましい融点範囲は80℃以上180℃以下である。この温度より低いと、成形体の耐熱性が不十分となる場合がある。
このような条件を満たす柔軟樹脂は数多く存在するが、本発明においては、主たる成分である脂肪族ポリエステル同様に生分解性を有する柔軟樹脂を用いることが好ましい。より好ましくは、生分解性を有するポリエステル樹脂である。生分解性熱可塑性樹脂とは、JIS K6950(2000)又はJIS K6951(2000)又はJIS K6953(2000)又はOECD 301C又はISO 17556の少なくともどれか1つに準拠して測定した生分解度が各試験法記載期間内で60%(理論値)以上である熱可塑性樹脂である。これらの具体例としては、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートカーボネート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレート、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)系樹脂があげられる。特に好ましくはポリブチレンアジペートテレフタレート及びポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレートが用いられる。
これらの柔軟樹脂は、脂肪族ポリエステル、タルク及び非イオン性界面活性剤からなる混合組成物100重量部に対して、0.01〜30重量部含有することが好ましい。0.01重量部より少ないと成型性向上の効果が少なく、逆に30重量部より多いと、シート及び容器の耐熱性が損なわれることがある。
本発明の組成物においては、脂肪族ポリエステルのカルボキシル基末端封鎖剤を配合することが好ましい。脂肪族ポリエステルのカルボキシル基末端を封鎖することによって、得られる成型体の分子量低下を抑制し、耐久性を向上させることができる。また、シート成型時の加水分解、エステル交換反応等を抑制することによって、成型安定性を高める効果もある。本発明で使用するカルボキシル基末端封鎖剤としては、本発明における脂肪族ポリエステル、特にポリ乳酸などのカルボキシル末端基を封鎖することのできる化合物であれば特に限定されるものではない。本発明においてかかるカルボキシル基末端封鎖剤は、脂肪族ポリエステル樹脂の末端を封鎖するだけでなく、脂肪族ポリエステル又は非イオン性界面活性剤などの有機充填剤の熱分解や加水分解などで生成する乳酸やギ酸などの酸性低分子化合物のカルボキシル基も封鎖することができる。また、上記末端封鎖剤は、熱分解により酸性低分子化合物が生成する水酸基末端も封鎖できる化合物であることがさらに好ましい。
このようなカルボキシル基末端封鎖剤としては、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、カルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を使用することが好ましく、なかでもエポキシ化合物及び/又はカルボジイミド化合物が好ましい。
本発明にカルボキシル基末端封鎖剤として用いることのできるエポキシ化合物としては、グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、グリシジルアミン化合物、グリシジルイミド化合物、脂環式エポキシ化合物を好ましく使用することができる。その他のエポキシ化合物として、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化鯨油などのエポキシ変性脂肪酸グリセリド、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などを用いることができる。具体的なエポキシ系末端封鎖剤の例としては東亞合成社製、商品名、ARUFON、日本油脂社製、商品名、ブレンマーCP50S(BLCPS)、ナガセ化成社製、商品名、デナコールEX−711などが挙げられる。
本発明におけるカルボキシル基末端封鎖剤として用いることのできるオキサゾリン系末端封鎖剤の例としては日本触媒社製、商品名、エポクロスRPS1005、武田薬品社製2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)などが挙げられる。
本発明でカルボキシル基末端封鎖剤として使用することのできるカルボジイミド化合物とは、分子内に少なくとも一つの、(−N=C=N−)で表されるカルボジイミド基を有する化合物であり、例えば適当な触媒の存在下に、有機イソシアネートを加熱し、脱炭酸反応で製造できる。カルボジイミド系末端封鎖剤の例としては日清紡社製、商品名、カルボジライトLA1、HMV−8CAなどが挙げられる。
上記カルボキシル基末端封鎖剤は1種又は2種以上の化合物を任意に選択して使用することができるが、エポキシ化合物及び/又はカルボジイミド化合物を含む組み合わせが好ましく用いられる。本発明におけるカルボキシル基末端封鎖剤は、用途に応じて適量、脂肪族ポリエステル樹脂組成物に添加すればよいが、おおよそ脂肪族ポリエステル、タルク及び非イオン性界面活性剤からなる混合組成物を100重量部としたときに、0.01〜10重量部が好ましく、0.05〜5重量部がさらに好ましく、0.1重量部〜3重量部が更に好ましい。添加法としては、脂肪族ポリエステル樹脂と共に二軸押し出し機で混練することが好ましい。
また、本発明の組成物には、所望により当該技術分野において用いられる公知の添加剤、すなわち可塑剤、熱安定化剤、酸化防止剤、結晶化促進剤、難燃剤、離型剤、更に下記のような有機充填剤(籾殻、木材チップ、おから、古紙粉砕材、衣料粉砕材、綿繊維、麻繊維、竹繊維、木材繊維、ケナフ繊維、ヘンプ繊維、ジュート繊維、バナナ繊維、ココナッツ繊維などの植物繊維、及び絹、羊毛、アンゴラ、カシミヤ、ラクダなどの動物繊維、紙粉、木粉、竹粉、セルロース粉末、籾殻粉末、果実殻粉末、キチン粉末、キトサン粉末、タンパク質、澱粉など)を添加することができる。
また、本発明における脂肪族ポリエステル樹脂組成物には、当該分野において用いられる耐衝撃性向上剤を添加することで、得られる成型体の衝撃強度を向上させることができる。例えば下記の各種耐衝撃改良剤などから選ばれる少なくとも1種のものを用いることができる。すなわち、ポリエチレン、ポリプロプレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、各種アクリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体及びそのアルカリ金属塩(いわゆるアイオノマー)、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体(たとえば、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体)、酸変性エチレン−プロピレン共重合体、ジエンゴム(たとえばポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン)、ジエンとビニル単量体との共重合体(たとえばスチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエンにスチレンをグラフト共重合せしめたもの、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体)、ポリイソブチレン、イソブチレンとブタジエン又はイソプレンとの共重合体、天然ゴム、チオコールゴム、多硫化ゴム、ポリウレタンゴム、ポリエーテルゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなどが挙げられる。エラストマーをマレイン酸変性したもの、又はアミン変性もの等も好ましく用いることができる。これらのエラストマーの例として、旭化成ケミカルズ社の水添スチレン系熱可塑性エラストマー、商品名、「タフテックM1911」「タフテックM1913」「タフテックM1943」、又は、同じく旭化成ケミカルズ社製の末端アミン変性エラストマーである、商品名、「TDM19」、三菱レーヨン社製、商品名、「メタブレン」シリーズ、住友化学社製、商品名、「ボンドファーストE」、「ボンドファースト7M」などが挙げられる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の調製法に特に限定はなく、公知の脂肪族ポリエステル混錬技術、すなわち、脂肪族ポリエステル、非イオン性界面活性剤、タルク及び必要に応じて有機化層状ケイ酸塩を溶融混練することによって調製することができる。中でも混錬時に効率的にせん断応力をかけることで分散性を高められる二軸押出機による混錬方法が好適に用いられる。ペレット状の全ての材料は、あらかじめペレットを混合しておくドライブレンド法も好適に用いることが出来る。
本発明における押し出し成型とは、特に限定はなく、一般的に用いられるあらゆる押し出し成型法を意味する。ダイとしては、Tダイや丸ダイが好ましく用いられる。押し出し温度にも特に制限はないが、脂肪族ポリエステルの融点より以上であることが好ましい。具体的には170〜230℃くらいが好ましい。押し出し温度が高すぎると、脂肪族ポリエステル樹脂が分解しやすい。
シートの厚みにも特に制限はないが、3μm〜3mmが好ましく、50〜1mmがより好ましく、100〜500μmがさらに好ましい。また得られたシートを同時2軸延伸、逐次2軸延伸などによって延伸処理を施すことも可能であるし、フイードブロックやマルチマニホールドダイを有する共押出設備等を用い、積層構成とすることも可能である。
また、化学発泡剤、物理発泡剤、又はその両方を添加することによって、発泡シートを作成することもできる。発泡剤は当該分野で一般的に用いられるものを使用することができる。例えば無機化合物としては、炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩、炭酸アンモニウムなどが挙げられる。有機化合物としては、例えば、ポリカルボン酸、アゾ化合物、スルホンヒドラジド化合物、ニトロソ化合物、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、イソシアネート化合物などが挙げられる。ポリカルボン酸としては、例えば、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、フタル酸などが挙げられる。アゾ化合物としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)などが挙げられる。また、これらを数種類組み合わせたものも挙げられる。一方物理発泡剤としては、炭酸ガス、窒素ガス、炭化水素、ネオン、ヘリウム、酸素、水、フロンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明におけるプレス成型、真空成形、圧空成形、真空圧空成型とは、特に制限は無く、当該分野で用いられる一般的な成型法を用いることが出来る。また、本発明における容器にも全く限定はなく、カップ、トレイ、ポット、ブリスターパック容器、コンテナー状、どんぶり状容器等あらゆるものを意味する。
ここで、耐熱性の高い脂肪族ポリエステル樹脂容器を得るためには、金型温度は脂肪族ポリエステルのガラス転移点(Tg)より20℃以上高く、かつ融点の20℃程度低い温度に設定する事が好ましい。最適な金型温度は組成物の種類、組成比、シート厚み等によって若干異なるが、脂肪族ポリエステル樹脂がポリ乳酸の場合は、80℃〜140℃が好ましく、更に好ましくは100℃〜130℃、より更に好ましくは110〜120℃である。
本発明における脂肪族ポリエステル樹脂組成物は結晶化速度が著しく高いために、金型内での結晶化時間、すなわち成型サイクル時間を著しく短くする事で生産効率を向上させる事ができる。
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。実施例及び比較例の評価に用いた測定法及び成形方法を以下に示す。
ソリッドトレイ成型
実施例1〜6及び比較例1〜3で示す樹脂組成となるように、樹脂原料を同方向2軸押出機に投入し溶融混練後にペレタイズした。そのペレットをスクリュー系30mmの単軸押し出し機を用いて、Tダイから樹脂温度180℃で押出し、45℃のキャスティングロールにて非晶質で厚さ約500μmのシートを作成した。シートを110〜120℃で約10秒〜30秒予備加熱した後、真空成型機を用いて直径200mm、深さ20mmのトレイ状に成型した。金型温度は110℃である。成形時間は5秒から200秒まで5秒ごとに40点変えて成型試験を実施した。離型できたトレイの中で最も成型時間が短いサンプルを100℃〜140℃のオーブンに入れ10分放置した。
この成型工程において、下記の3種類の評価を行った。
離型時間:
成形時間を変えて真空成型を実施した際、トレイが変形無く離型した最も短い成形時間を表記した。
真空成型安定性:
真空成型によって得られたトレイの表面平滑性が良好でかつ全く「ひび割れ」「しわ」等が認められないものを◎、「ひび割れ」等は認められないものの、若干成型斑が認められるものを○、「ひび割れ」がかなり認められるものを△、真空成型時にシートが割れて成型できないものを×とした。
耐熱性:
100℃から140℃のオーブンにトレイを10分間入れた際、トレイの変形が全くないものを◎、トレイの変形が1%未満の場合を○、1%−5%の場合を△、5%より大きいものを×と評価した。
[実施例1]
ポリ乳酸(Nature Works社製、商品名、NatureWorks4032D)、タルク(HiFiller5000PJ、松村産業社製)、非イオン性界面活性剤としてイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20E.O.)(日本エマルジョン製、商品名、EmalexGWIS−120)を、表1に示すような組成比になるようにスクリュー径30mmの同方向二軸押し出し機に投入して溶融混練し、脂肪族ポリエステル樹脂組成物ペレットを得た。混練温度は200℃であった。このペレットを上述するソリッドトレイ成型に用いた。その評価結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1の組成物に更に有機化層状ケイ酸塩としてコープケミカル社製、商品名MEEを表1に示す組成比で添加すること以外は実施例1と同様の条件でソリッドトレイ成型を実施した。その評価結果を表1に示す。
[実施例3]
非イオン性界面活性剤をEmalexGWIS120からジステアリン酸ポリオキシエチレングリコール(日本エマルジョン製、商品名、Emalexdi−S)に代える以外は実施例1と同様の条件でソリッドトレイ成型を実施した。その評価結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例2の組成物に脂肪族ポリエステルのカルボキシル基末端封鎖剤としてエポキシ系化合物(東亞合成社製、商品名ARUFON−UG4040)を表1に示す組成比で添加すること以外は実施例1と同様の条件でソリッドトレイ成型を実施した。その評価結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例2の組成物に柔軟樹脂としてポリブチレンアジペートテレフタレート(BASF社製、商品名:エコフレックス)を表1に示す組成比で添加すること以外は実施例1と同様の条件でソリッドトレイ成型を実施した。その評価結果を表1に示す。
[比較例1]
ポリ乳酸(Nature Works社製、商品名、NatureWorks4032D)のみを実施例1と同様の条件でソリッドトレイ成型を実施した。その評価結果を表1に示す。
[比較例2]
ポリ乳酸(Nature Works社製、商品名、NatureWorks4032D)とタルク(HiFiller5000PJ、松村産業社製)を表1に示す組成比になるように2軸混練した。その組成物について実施例1と同様の条件でソリッドトレイ成型を実施した。その評価結果を表1に示す。
[比較例3]
ポリ乳酸(Nature Works社製、商品名、NatureWorks4032D)とタルク(HiFiller5000PJ、松村産業社製)とポリブチレンアジペートテレフタレート(BASF社製、商品名:エコフレックス)を表1に示す組成比になるように2軸混練した。その組成物について、実施例1と同様の条件でソリッドトレイ成型を実施した。その評価結果を表1に示す。
実施例1〜5と比較例1〜3の比較から、総じて本発明における脂肪族ポリエステル樹脂組成物シートを真空成型した場合、非常に離型性が良い(離型時間が短い)ことがわかる。これは、本発明の組成物の結晶化速度が非常に高く、短い時間で剛性が向上することに基づいている。また、得られたトレイの耐熱性も非常に優れていることがわかる。中でも有機化層状ケイ酸塩を含有した場合はその効果が大きい。具体的には5秒程度のサイクル時間で離型し、かつ140℃の耐熱性を示している。一方比較例は一般的な結晶核剤であるタルクを10重量%も添加しても、離型性が非常に悪いことがわかる。
一方、真空成型安定性については、非イオン性界面活性剤の中でも脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルを用いた場合に優れた成型結果が得られていることがわかる。更にカルボキシ末端封鎖剤或いは柔軟樹脂を添加することで著しく良好な結果が得られている。加えて、これらの組成物は離型性、耐熱性共に良好である。すなわち本系においてカルボキシ末端封鎖剤及び柔軟樹脂を添加しても本発明の特徴である高い結晶化速度を阻害することは無い。
結論として、本発明における脂肪族ポリエステル樹脂組成物から得られるシートは、真空成型における成型性と得られる成型体の耐熱性を両立できる非常にバランスの取れたシートであることがわかる。
Figure 2007246624
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂押し出しシートは、成型性と耐熱性の両方に優れるため、食品用容器、飲料用容器、薬品用容器、化粧品用容器等様々な用途の成型容器を製造することができる。

Claims (9)

  1. 脂肪族ポリエステル60.0〜99.9重量%、タルク0.05〜20重量%、及び非イオン性界面活性剤0.05〜20重量%からなる混合組成物を含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物からなる押し出し成型シート。
  2. 前記混合組成物100重量部に対して、更に、層状ケイ酸塩を有機オニウム塩によって処理して得られる有機化層状ケイ酸塩0.01〜10重量部を添加した脂肪族ポリエステル樹脂組成物からなる請求項1に記載の押し出し成型シート。
  3. 前記混合組成物100重量部に対して、更に、ガラス転移点(Tg)が0℃以下の柔軟樹脂を0.01〜30重量部含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物からなる請求項1または2に記載の押し出し成型シート。
  4. 前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ジ脂肪酸ポリオキシエチレングリコール、モノ脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、及び脂肪酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の押し出し成型シート。
  5. 前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の押し出し成型シート。
  6. 前記非イオン性界面活性剤が、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルである請求項1〜3のいずれかに記載の押し出し成型シート。
  7. 前記脂肪族ポリエステルがポリ乳酸である請求項1〜6のいずれかに記載の押し出し成型シート。
  8. 前記脂肪族ポリエステル樹脂組成物が、脂肪族ポリエステルのカルボキシル基末端封鎖剤を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の押し出し成型シート。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の押し出し成型シートをプレス成型、真空成型、圧空成型、真空圧空成型のいずれかの方法で成型することによって得られる容器。
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