JPWO2006030859A1 - 耐熱性に優れた脂肪族ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

耐熱性に優れた脂肪族ポリエステル樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

脂肪族ポリエステル、層状ケイ酸塩を有機オニウム塩で処理することで得られる有機化層状ケイ酸塩、タルク、及び非イオン性界面活性剤を含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物。

Description

本発明は、結晶化速度に優れた脂肪族ポリエステル樹脂組成物に関する。
最近、環境保全の観点から、土中や水中に存在する微生物によって分解される生分解性を持つ脂肪族ポリエステル樹脂が注目されている。特に自動車などの輸送機器分野、食品包装分野、農業資材分野ではその有用性が高まっている。
これらの脂肪族ポリエステル樹脂の中でも、ポリ乳酸はとうもろこし等の再生可能な植物資源から製造でき、大量生産も可能なためコストも安く、溶融成形も可能なため、最も有用性が高い。しかしながら、ポリエチレン、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等の非生分解性の汎用樹脂に比べて、ポリ乳酸の結晶化速度は著しく遅いために、実際には非晶性樹脂に近い挙動を示す。すなわち、ガラス転移温度付近で急激に且つ極度に軟化するため、耐熱性、成形性、離型性、耐衝撃性などの点で十分な特性を得ることが困難であった。
これらのポリ乳酸に代表される脂肪族ポリエステル樹脂の結晶化速度を向上させる方法として、タルク、マイカ、ガラス繊維等の無機充填剤の添加が従来から報告されているが、無機充填剤を多量に添加しないと効果が発現しないため、樹脂自身の透明性がそこなわれると共に、比重が高くなるという問題があった。そこで、これらの問題点を改善すべく、特開平6−299054号公報(特許文献1)においては、ポリ乳酸に高級脂肪酸のビスアミドを添加することによって、ブロッキングを防止し成形性を付与すること、特開平8−27363号公報(特許文献2)においては、ポリ乳酸を主成分とする熱可塑性ポリマー組成物に脂肪酸アミドを添加することによって離型性と成型加工性を付与すること、また、特開2003−73538号公報(特許文献3)においては、水酸基を有する有機オニウム塩で有機化された層状粘土鉱物を生分解樹脂に添加することで、弾性率や結晶化速度に優れた生分解樹脂複合材料を提供する技術が開示されている。また、特開2003−128900号公報(特許文献4)には、乳酸系樹脂とTgが0度以下の脂肪族(又は芳香族)ポリエステル、無機充填剤、及び加水分解防止剤を含有する樹脂組成物から得られる自動車部品、及び家電部品が、物性及びリサイクル性に優れることが開示されている。また、WO04/099315(特許文献5)には、生分解性ポリエステル樹脂と、メタアクリル酸エステル化合物、層状ケイ酸塩を含むことによって耐熱性、機械強度、発泡加工適性に優れる組成物が得られる事が示されている。また、特開2004−51667号公報(特許文献6)には、ポリ乳酸に有機オニウム塩で変性された層状ケイ酸塩、アミド化合物、及びタルクを含有させることによって、結晶化速度が高く成型品の耐熱温度の高い組成物が得られることが示されている。
しかしながら、上記の従来技術の場合、ある程度の結晶化速度の向上は認められるものの、その効果は未だ十分ではなく、このため十分な結晶化度を有する成形体を得るためには、成形時間を著しく長く取るか成形後に熱処理する必要があるなどの問題点があった。成型時間を長く取ることは著しい生産性低下を引き起こすため、工業的には致命的な欠点となる。一方。成型後に熱処理する場合は、熱処理時に成型体が変形してしまうという問題等があり、実用化されないのが実情である。
特開平6−299054号公報 特開平8−27363号公報 特開2003−73538号公報 特開2003−128900号公報 WO04/099315 特開2004−51667
本発明は結晶化速度に優れた脂肪族ポリエステル樹脂組成物の提供を目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記4成分を含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物が結晶化速度に優れるため、短い成形時間で非常に高い耐熱性を持つ成型体を作成できることを見出し、本発明を完成するに至った。更にこの組成物にカルボキシ末端封鎖剤を添加することによって、得られる成型品が耐熱性、及び耐衝撃性、耐久性に優れるだけでなく、成型安定性も向上することを見出した。
1.脂肪族ポリエステル
2.層状ケイ酸塩を有機オニウム塩によって処理することで得られる有機化層状ケイ酸塩
3.タルク
4.非イオン性界面活性剤
すなわち本発明は、下記の通りである。
(1)脂肪族ポリエステル、層状ケイ酸塩を有機オニウム塩で処理することで得られる有機化層状ケイ酸塩、タルク、及び非イオン性界面活性剤を含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
(2)前記脂肪族ポリエステル40.0〜99.85重量%に対し、前記有機化層状ケイ酸塩0.05〜10重量%、前記タルク0.05〜30重量%、及び前記非イオン性界面活性剤0.05〜20重量%を含有する(1)に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
(3)前記有機オニウム塩が極性基を有する(1)に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
(4)前記極性基が水酸基である(3)に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
(5)前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ジ脂肪酸ポリオキシエチレングリコール、モノ脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、及び脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である(1)に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
(6)前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はジ脂肪酸ポリオキシエチレングリコールである(1)に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
(7)前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテルである(1)に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
(8)前記脂肪族ポリエステルがポリ乳酸である(1)に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
(9)前記脂肪族ポリエステルのカルボキシル基末端封鎖剤を含有する(1)に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
(10)(1)〜(9)のいずれか一項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を成型することによって得られる成型体。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は結晶化速度が高いため、耐熱性に優れた成型体を短い成形時間で得ることができる。
本発明について、特にその好ましい形態を中心に、以下具体的に説明する。
本発明における層状ケイ酸塩としては、ピロフィライト、スメクタイト、バーミキュライト、マイカなどの粘土鉱物が挙げられるが、これらは天然に存在するものを精製したものであっても、水熱法など公知の方法で合成したものであってもよい。本発明において用いられる層状ケイ酸塩の具体例としては、モンモリロナイト、ヘクトライト、バイデライト、サポナイト、合成フッ素化マイカなどが挙げられる。例えば、モンモリロナイトの例としては、SouthernClay社製、商品名、CloisiteNa、クニミネ工業社製、商品名、クニピアRGなどが、合成フッ素化マイカの例としてはコープケミカル社製、商品名、ソマシフME100などが挙げられる。
本発明における有機化層状ケイ酸塩とは、層状ケイ酸塩の層間に存在する陽イオンを有機オニウム塩と交換処理することによって層状ケイ酸塩を有機化したものである。
本発明における有機オニウム塩とは、有機物成分とルイス塩基が配位結合をつくることによって生成された塩を指し、4級アンモニウム塩、有機ホスホニウム塩、有機スルホニウム塩等がこれに相当する。また、酸性の極性溶媒に溶解させた際に陽イオン性を呈する有機アミン化合物や、両性イオン化合物などもこれに相当するが、下記式(1)に示すような4級アンモニウム塩、又は陽イオン化した有機アミン化合物が好適に用いられる。

式中、R1、R2、R3、及びR4はそれぞれ、水素、又はメチル、エチル、ラウリル、セチル、オレイル、イソステアリル、ステアリル等に代表される飽和若しくは不飽和炭化水素である。該炭化水素は直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、エポキシ化されていてもよい。また炭化水素鎖は、牛脂やヤシ油に代表されるような天然物から誘導したものであってもよい。またシクロアルカンや芳香環、エステル構造を有していてもよく、ベタイン類のようにカルボン酸を有していてもよい。また、R1−R4の炭化水素鎖のうち少なくとも一つは、10以上の炭素数を有することが好ましい。最長の炭化水素鎖を構成する炭素数が10未満である場合、有機化層状ケイ酸塩と脂肪族ポリエステルとの親和性が不十分であり、十分な物性の改善が得られない場合がある。Xは陰イオンを示し、特に限定されないが、主に塩化物イオンや臭化物イオンなどのハロゲン化物イオンが該当する。
本発明における極性基とは、水酸基や、カルボン酸基、カルボン酸誘導体、カルボン酸無水物、ニトロ基、イミド基などの極性を持つ官能基を意味する。中でも水酸基を有するものが好ましい。以下詳細に説明する。
水酸基はヒドロキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基等の形で存在してもよい。本発明における有機オニウム塩中の水酸基の位置は特に限定はないが、有機オニウム塩としてアンモニウム塩、アミンなどを用いる場合は窒素原子近傍に水酸基が結合したものが好適に用いられる。これらの例としては硬化タロウジエタノールアミンやドデシルジエタノールアミン、メチルオクタデシルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、メチルドデシルジヒドロキシプロピルアンモニウムクロリドが挙げられる。またポリオキシアルキレン基を含んだ有機アンモニウム化合物の例としては、ポリオキシエチレンオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、メチルジポリオキシプロピレンオクタデシルアンモニウムクロリド等が挙げられる。これらポリオキシアルキレン基の付加モル数については任意のものを使用することができる。
このような構造を有する有機アミン又は有機オニウム塩の一例としては、青木油脂工業社製、商品名、ブラウノンS−202、ブラウノンS−204、ブラウノンS−205T、ブラウノンL−202、ライオンアクゾ社製、商品名、エソミンC/12、エソミンHT/12、エソミン18/12、エソカードC/25、エソカードC/12、エソカード、花王社製、商品名、アンヒトール20BS、アンヒトール24B、アンヒトール86Bなどが挙げられる。
本発明において、有機化層状ケイ酸塩を合成する方法としては特に制限はなく、公知の手法を用いることができる。例えば有機オニウム塩を用いる場合には、次のような方法により層状ケイ酸塩の有機化を行うことができる。ミキサー等を用いて層状ケイ酸塩の粉末を水中に分散させ層状粘土鉱物の水分散物を得る。これとは別に、有機オニウム塩の水溶液を調製する。この水溶液を上記層状粘土鉱物の水分散物に加え混合することにより、層状粘土鉱物中の無機イオンが有機オニウム塩から生じた有機オニウムイオンによりイオン交換される。この混合物から水を除去することにより有機化された層状粘土鉱物を得ることができる。有機アンモニウム塩や層状粘土鉱物の分散媒体としては、水以外にもメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール及びこれらの混合物、並びにこれらと水との混合物を使用することができる。有機化剤としてアミン化合物や両性イオン化合物を用いる場合においては、塩酸等により親水性溶媒を酸性にしてアミン化合物や両性イオン化合物を陽イオン化した上でイオン交換を行う方法を用いることができる。
これらの有機化層状ケイ酸塩の具体例として、SouthernClay社製、商品名、Cloisite15A、Cloisite20A、Cloisite25A、コープケミカル社製、商品名、ソマシフMAE、MTEなどが挙げられる。また、水酸基を含有する有機オニウム塩で処理された有機化層状ケイ酸塩の具体例としては、SouthernClay社製、商品名、Cloisite30B、コープケミカル社製、商品名、ソマシフMEE、ソマシフMPEなどが挙げられる。
これらの水酸基を含有する有機オニウム塩で処理することで得られる有機化層状ケイ酸塩を含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、結晶化処理を施した際に脂肪族ポリエステル樹脂の結晶化を促進して、結晶化度を向上させる効果(Template効果)があり、結果として得られる成型体の耐熱性は向上する。また、これらの有機化層状ケイ酸塩を含有することにより、成型体の剛性が向上するという効果もある。
本発明における非イオン性界面活性剤は、親水部と疎水部とから構成される。
疎水部の構造としては、ラウリル基、セチル基、オレイル基、イソステアリル基、ステアリル基等に代表される飽和又は不飽和炭化水素基が挙げられ、該炭化水素は直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、エポキシ化されていてもよい。また、牛脂やヤシ油に代表されるような天然物から精製した脂肪酸から誘導したものであってもよい。また構造中にロジンやラノリンのようなシクロアルカン構造や、ベンゼンやフェノール類などの芳香族構造、又はアクリレートやメタクリレートなどのエステル構造を有していてもよい。またベタイン類のようにカルボン酸を有していてもよい。
親水部の構造としては、ヒドロキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、カルボキシル、エステル、アミン構造のうちいずれかを有していることが好ましい。より好ましくはヒドロキシアルキレン、ポリオキシアルキレン構造である。
このような条件を満たす非イオン性界面活性剤の例として、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラノリンエーテル、ポリオキシエチレンロジンエステル、ポリオキシエチレンステアリン酸エステル、ジ脂肪酸ポリオキシエチレングリコール、モノ脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、ジ脂肪酸ポリオキシエチレングリセリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ステアリルジエタノールアミン、ドデシルジエタノールアミン等が挙げられる。このような範囲の構造を有する非イオン性界面活性剤の具体例として、日本エマルジョン社製、商品名、エマレックス602、エマレックス703、エマレックス805、エマレックス1605、エマレックス600di−S、エマレックスET−8020などのエマレックスシリーズが挙げられる。
これらの非イオン性界面活性剤の中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ジ脂肪酸ポリオキシエチレングリコール、モノ脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルが本発明における脂肪族ポリエステル樹脂組成物の結晶化速度を向上させる効果が高い。
これらの中でポリオキシエチレンアルキルエーテル、ジ脂肪酸ポリオキシエチレングリコールが更に好ましい。これらのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ジ脂肪酸ポリオキシエチレングリコールについて更に詳しく説明する。ポリオキシエチレンアルキルエーテルの中でも、アルキル基の炭素鎖長が12−18であるポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、炭素鎖長が18のポリオキシエチレンステアリルエーテルが更に好ましい。これらの例として、エマレックス602、エマレックス610、エマレックス620、エマレックス630、エマレックス640などが挙げられる。親水部については特に限定はないが、ポリオキシエチレンの付加モル数は2以上が好ましく、より好ましくは5以上であり、更に好ましくは20程度である。これらの界面活性剤の例としては、エマレックス620、エマレックス610、エマレックス602などが挙げられる。
ジ脂肪酸ポリオキシエチレングリコールについては、脂肪酸の炭素鎖長は12−18のものが好ましく、特に炭素数が18であるジステアリン酸ポリオキシエチレングリコールが好ましい。この場合、ステアリン酸はイソ構造になっていてもよい。このジイソステアリン酸ポリオキシエチレングリコールを含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物から得られる成型品は、耐熱性に優れるだけでなく耐衝撃性にも優れるという特徴がある。これらの例として、エマレックス600di−Sなどが挙げられる。
本発明の非イオン性界面活性剤を選定する際、インターカレーションパラメーター(IP)が性能向上のための指標となる。このIPの値をある値以上に設定することが望ましい。好ましいIPの値は13.0以上であり、より好ましくは20.0以上である。さらにより好ましくは25.0以上である。上限は特に無い。
インターカレーションパラメーター(IP)は、以下のように算出する。
IP= hf−h0 (1)
hf:有機化層状ケイ酸塩/非イオン性界面活性剤複合体中の有機化層状ケイ酸塩の層間距離
h0:有機化層状ケイ酸塩の層間距離
ここで、hf、h0は、それぞれ以下の式から算出される。
h0(オングストローム)=d0(オングストローム)−9.5 (2)
hf(オングストローム)=df(オングストローム)−9.5 (3)
ここで、9.5オングストロームは、層状ケイ酸塩のシート1枚の厚みで、どの層状ケイ酸塩を用いても値は殆ど変わらない。d0は原料である有機化層状ケイ酸塩をX線回折測定した結果、有機化層状ケイ酸塩の001面の底面反射に相当するピーク位置(2θ)からBraggの式を用いて算出することができる。
d0=0.154/2sinθ (4)
dfは、後述する方法を用いて複合化した、有機化層状ケイ酸塩/非イオン性界面活性剤複合体を、X線回折測定し、d0と同様に、含まれる有機化層状ケイ酸塩の001面の底面反射に相当するピーク位置(2θ)から算出することができる。IP算出の際は、有機化層状ケイ酸塩/非イオン性界面活性剤は1/1(重量比)で混合するものとする。
本発明におけるIPの値が高い非イオン性界面活性剤複合体を含む脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、有機化層状ケイ酸塩の層間に非イオン性界面活性剤が侵入することで層間距離が増大し、更に脂肪族ポリエステル樹脂と溶融混練した際に脂肪族ポリエステル樹脂が層間に進入しやすくなる。そのことで脂肪族ポリエステル樹脂、有機化層状ケイ酸塩、及び非イオン性界面活性剤3成分の相互作用が著しく大きくなる。そのことによって、脂肪族ポリエステル樹脂組成物の可塑化効果、結晶化速度が高まり、ひいては耐熱性を向上させることができる。
本発明におけるIPの値を高くするためには、有機化層状ケイ酸塩と非イオン性界面活性剤の組み合わせを適正に選ぶことが必要である。例えば、水酸基を含有した有機化層状ケイ酸塩に対しては、ポリオキシエチレン鎖を含有する非イオン性界面活性剤を使用し、両者の水素結合相互作用を発生させることなどが好ましい。また、非イオン性界面活性剤と有機化層状ケイ酸塩の組成比も重要である。好ましくは有機化層状ケイ酸塩100重量部に対して、非イオン性界面活性剤の量は、5重量部以上がよく、より好ましくは20重量部以上、更に好ましくは50重量部以上である。上限については特に制限は無いが、脂肪族ポリエステル樹脂組成物全体の物性のバランスを考慮して決定する必要がある。
次に、本発明におけるタルクについて説明する。タルクの種類に特に限定はないが、その平均粒径は小さいほど好ましい。好ましくは15ミクロン以下で、より好ましくは5ミクロン以下、更に好ましくは2ミクロン以下である。粒子径が15ミクロン以下のタルクの例として、富士タルク社のLMP100、LMP200、松村産業社製のHiFiller5000PJなどがあり、中でもHiFiller5000PJは粒子径が小さく本発明における脂肪族ポリエステル樹脂組成物の結晶化速度を高める効果が強い。また、このようなタルクは、樹脂との接着性を向上させるために表面処理を施していてもよい。このようなタルクは、市販されており、日本タルク、富士タルク工業等から販売されている。
本発明における脂肪族ポリエステル樹脂は特に限定はないが、生分解性を有する脂肪族ポリエステル樹脂が好適に用いられる。そのような脂肪族ポリエステルとしては、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネートカーボネート、ポリグリコール酸、ポリビニルアルコール、ポリエステルアミド、ポリエステルカーボネート、ポリケトン、澱粉等の多糖類等が挙げられる。本発明においては、これらの樹脂は単独で用いてもよく、複数の樹脂成分を共重合又は混合することで組み合わせて使用してもよい。
本発明においては、上述の脂肪族ポリエステル樹脂の中でも機械強度や透明性に優れ、汎用性に富むポリ乳酸が好適に用いられる。ポリ乳酸の重量平均分子量は特に制限されないが、好ましくは50,000以上であり、さらに好ましくは100,000以上である。また、ポリ乳酸がD体原料とL体原料との共重合体である場合、D体原料又はL体原料のうちの一方の含有割合が90mol%以上であることが好ましく、95mol%以上であることがより好ましく、98mol%以上であることがさらに好ましい。当該ポリ乳酸はD体、L体、DL体のいずれであってもよい。また、構成成分の主体がD体であるポリ乳酸と、構成成分の主体がL体であるポリ乳酸とが任意の割合でブレンドされたものを用いてもよい。
ポリ乳酸樹脂の融点は、特に限定されるものではないが、120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがさらに好ましく、160℃以上であることが特に好ましい。ポリ乳酸樹脂の融点は、通常乳酸成分の光学純度を高くすることにより高くなり、融点が120℃以上のポリ乳酸樹脂は、L体が90%以上含まれるか、又はD体が90%以上含まれることにより、また融点が150℃以上のポリ乳酸樹脂は、L体が95%以上含まれるか、又はD体が95%以上含まれることにより、得ることができる。
これらポリ乳酸の具体的な例としては、Nature Works社製、商品名、NatureWorks、三井化学社製、商品名、レイシア、トヨタ自動車社製U’zなどが挙げられる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物中における各成分の比としては、脂肪族ポリエステル樹脂40〜99.85重量%に対して、有機化層状ケイ酸塩0.05〜10重量%、非イオン性界面活性剤0.05〜20重量%、タルク0.05〜30重量%とすることが好ましい。より好ましくは脂肪族ポリエステル樹脂60〜99.3重量%に対して有機化層状ケイ酸塩0.1〜10重量%、非イオン性界面活性剤0.5〜10重量%、タルク0.1〜20重量%であり、更に好ましくは脂肪族ポリエステル樹脂82.0〜94.0重量%に対して有機化層状ケイ酸塩1.0〜5.0重量%、非イオン性界面活性剤2.0〜5.0重量%、タルク3.0〜8.0重量%とする。有機化層状ケイ酸塩が上記下限値よりも少ないと、得られる脂肪族樹脂組成物の結晶化度は向上しない。一方上限値より多い場合は、得られる脂肪族ポリエステル樹脂組成物が脆化し、衝撃強度が弱くなる場合がある。非イオン性界面活性剤が上記下限値未満の場合は、結晶化速度が向上せず、最終的に得られる脂肪族ポリエステル樹脂組成物の耐熱性は低い。一方、非イオン性界面活性剤が上記上限値より多い場合は、成型体から非イオン性界面活性剤がブリードアウトして外観が損なわれたりすることもある。タルクが上記下限値未満の場合は、結晶化速度が向上せず、最終的に得られる脂肪族ポリエステル樹脂組成物の耐熱性は低い。一方、タルクが上記上限値より多い場合は、得られる脂肪族ポリエステル樹脂組成物が脆化し、衝撃強度が弱くなる場合がある。
本発明の組成物においては、脂肪族ポリエステルのカルボキシル基末端封鎖剤を配合することが好ましい。脂肪族ポリエステルのカルボキシ基末端を封鎖することによって、得られる成型体の分子量低下を抑制し、耐久性を向上させることができる。また、溶融成型時の加水分解、エステル交換反応等を抑制することによって、成型安定性を高める効果もある。本発明で使用するカルボキシル基末端封鎖剤としては、本発明における脂肪族ポリエステル、特にポリ乳酸などのカルボキシル末端基を封鎖することのできる化合物であれば特に限定されるものではない。本発明においてかかるカルボキシル基末端封鎖剤は、脂肪族ポリエステル樹脂の末端を封鎖するだけでなく、脂肪族ポリエステル又は非イオン性界面活性剤などの有機充填剤の熱分解や加水分解などで生成する乳酸やギ酸などの酸性低分子化合物のカルボキシル基も封鎖することができる。また、上記末端封鎖剤は、熱分解により酸性低分子化合物が生成する水酸基末端も封鎖できる化合物であることがさらに好ましい。
このようなカルボキシル基末端封鎖剤としては、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、カルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を使用することが好ましく、なかでもエポキシ化合物及び/又はカルボジイミド化合物が好ましい。
本発明にカルボキシル基末端封鎖剤として用いることのできるエポキシ化合物としては、グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、グリシジルアミン化合物、グリシジルイミド化合物、脂環式エポキシ化合物を好ましく使用することができる。その他のエポキシ化合物として、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化鯨油などのエポキシ変性脂肪酸グリセリド、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などを用いることができる。具体的なエポキシ系末端封鎖剤の例としては東亜合成社製のARFON、日本油脂社製のブレンマーCP50S(BLCPS)、ナガセ化成社製デナコールEX−711などが挙げられる。
本発明で用いるカルボキシル基末端封鎖剤として用いることのできるオキサゾリン系末端封鎖剤の例としては日本触媒社製のエポクロスRPS1005、武田薬品社製2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)などが挙げられる。
本発明でカルボキシル基末端封鎖剤として使用することのできるカルボジイミド化合物とは、分子内に少なくとも一つの、(−N=C=N−)で表されるカルボジイミド基を有する化合物であり、例えば適当な触媒の存在下に、有機イソシアネートを加熱し、脱炭酸反応で製造できる。カルボジイミド系末端封鎖剤の例としては日清紡社製のカルボジライトLA1、HMV−8CAなどが挙げられる。
上記カルボキシル基末端封鎖剤は1種又は2種以上の化合物を任意に選択して使用することができるが、エポキシ化合物及び/又はカルボジイミド化合物を含む組み合わせが好ましく用いられる。本発明におけるカルボキシル基末端封鎖剤は、用途に応じて適量、脂肪族ポリエステル樹脂組成物に添加すればよいが、おおよそ脂肪族ポリエステル樹脂組成物を100重量部としたときに、0.01〜10重量部が好ましく、0.05〜5重量部がさらに好ましく、0.1重量部〜3重量部が更に好ましい。添加法としては、脂肪族ポリエステル樹脂と共に二軸押し出し機で混練することが好ましい。
また、本発明の組成物には、所望により当該技術分野において用いられる公知の添加剤、すなわち可塑剤、熱安定化剤、酸化防止剤、結晶化促進剤、難燃剤、離型剤、更に下記のような有機充填剤(籾殻、木材チップ、おから、古紙粉砕材、衣料粉砕材、綿繊維、麻繊維、竹繊維、木材繊維、ケナフ繊維、ヘンプ繊維、ジュート繊維、バナナ繊維、ココナッツ繊維などの植物繊維、及び絹、羊毛、アンゴラ、カシミヤ、ラクダなどの動物繊維、紙粉、木粉、竹粉、セルロース粉末、籾殻粉末、果実殻粉末、キチン粉末、キトサン粉末、タンパク質、澱粉など)を添加することができる。
また、本発明における脂肪族ポリエステル樹脂組成物には、当該分野において用いられる耐衝撃性向上剤を添加することで、得られる成型体の衝撃強度を向上させることができる。例えば下記の各種耐衝撃改良剤などから選ばれる少なくとも1種のものを用いることができる。すなわち、ポリエチレン、ポリプロプレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、各種アクリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体及びそのアルカリ金属塩(いわゆるアイオノマー)、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体(たとえば、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体)、酸変性エチレン−プロピレン共重合体、ジエンゴム(たとえばポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン)、ジエンとビニル単量体との共重合体(たとえばスチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエンにスチレンをグラフト共重合せしめたもの、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体)、ポリイソブチレン、イソブチレンとブタジエン又はイソプレンとの共重合体、天然ゴム、チオコールゴム、多硫化ゴム、ポリウレタンゴム、ポリエーテルゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなどが挙げられる。エラストマーをマレイン酸変性したもの、又はアミン変性もの等も好ましく用いることができる。これらのエラストマーの例として、旭化成ケミカルズ社の水添スチレン系熱可塑性エラストマー「タフテックM1911」「タフテックM1913」「タフテックM1943」、又は、同じく旭化成ケミカルズ社製の末端アミン変性エラストマーである「TDM19」などが挙げられる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の調製法に特に限定はなく、公知の脂肪族ポリエステル混錬技術、すなわち、脂肪族ポリエステル、有機化層状ケイ酸塩、非イオン性界面活性剤、タルクを溶融混練することによって調製することができる。中でも混錬時に効率的にせん断応力をかけることで分散性を高められる二軸押出機による混錬方法が好適に用いられる。
その際、有機化層状ケイ酸塩、非イオン性界面活性剤、タルクの添加の方法及び順序にも特に限定は無いが、有機化層状ケイ酸塩と非イオン性界面活性剤は前もって複合化する方法が好適に用いられる。有機化層状ケイ酸塩と非イオン性界面活性剤の複合化方法には下記の2種類がある。
(甲)非イオン性界面活性剤を融点以上に加熱し、溶融させた上で有機化層状ケイ酸塩と混合して複合化させる方法
(乙)非イオン性界面活性剤を溶媒に溶解し、有機化層状ケイ酸塩を同様の溶媒に分散させた溶液と混合して複合化させた後、溶媒を除去する方法
どちらの方法を用いてもよいが、廃棄物が少ない点から(甲)の方法が好ましく用いられる。以下に(甲)の方法による複合材料の製法について具体的に説明する。
まず非イオン性界面活性剤を融点以上に加熱して溶融状態としたものに、真空乾燥によって十分乾燥させた有機化層状ケイ酸塩を投入して混錬操作を行う。このような方法で複合化を行うと、有機化層状ケイ酸塩の層間に、非イオン性界面活性剤が取り込まれ、有機化層状ケイ酸塩を膨潤させることができる。
本発明における脂肪族ポリエステル樹脂組成物を成型することによって得られる成型体とは、一般的に用いられるあらゆる成型法によって得られるものを意味する。すなわち、射出成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形、異形押出成形、射出ブロー成形、真空圧空成形、紡糸、押し出し発泡成型などのいずれにも好適に使用することができる。フィルム、シート状に成形する場合は、同時2軸延伸、逐次2軸延伸などによって延伸処理を施すことも可能である。
射出成型について詳しく説明する。射出成型法としては、一般的な射出成型法に加えて、ガス射出成型、射出プレス成型などあらゆる射出成型法を用いることができる。本発明における脂肪族ポリエステル樹脂組成物から十分な耐熱性を兼ね備えた成形体を得るためには、1)樹脂組成物の溶融物を金型内に充填し、金型内でそのまま結晶化させる方法、2)冷却して成形体を取り出した後、結晶化温度で一定時間保持(アニール)して結晶化させる方法等が考えられる。1)の場合の金型温度は、脂肪族ポリエステルのガラス転移点(Tg)より20℃以上高く、かつ融点の20℃程度低い温度に設定することが好ましい。具体的に、脂肪族ポリエステル樹脂がポリ乳酸の場合は、80℃−140℃が好ましく、更に好ましくは100℃−130℃、より更に好ましくは110−120℃である。本発明における脂肪族ポリエステル樹脂組成物は結晶化速度が著しく高いために、金型内での結晶化時間、すなわち成型サイクル時間を著しく短くすることで生産効率を向上させることができる。2)の場合の結晶化温度(アニール温度)は、ポリ乳酸の場合、融点以下ガラス転移点以上の温度で、約60℃−120℃が好ましく、更に好ましくは、70℃から100℃、より更に好ましくは、80℃から90℃である。本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を用いた場合、結晶化速度が高いために、後アニール時間を短くすると同時にアニール時の成型体の変形を著しく抑制することができる。
シート成型で得られたシートなどをトレイやカップにする場合は、一般的な押出成型で得られるシートを真空圧空成型機等を用いて成型することができる。また、化学発泡剤、物理発泡剤、又はその両方を添加することによって、発泡シートを作成し、それをカップやトレイ状に成型することもできる。発泡剤は当該分野で一般的に用いられるものを使用することができる。例えば無機化合物としては、炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩、炭酸アンモニウムなどが挙げられる。有機化合物としては、例えば、ポリカルボン酸、アゾ化合物、スルホンヒドラジド化合物、ニトロソ化合物、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、イソシアネート化合物などが挙げられる。ポリカルボン酸としては、例えば、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、フタル酸などが挙げられる。アゾ化合物としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)などが挙げられる。また、これらを数種類組み合わせたものも挙げられる。一方物理発泡剤としては、炭酸ガス、窒素ガス、炭化水素、ネオン、ヘリウム、、酸素、水、フロンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらシート成型加工、特に発泡シート成型の際、本発明におけるカルボキシル基末端封鎖剤を併用することで、溶融押出し加工性を著しく向上させることができる。
トレイやカップに電子レンジ耐熱などの耐熱性を持たせるためには、上述の射出成型同様、真空圧空成型における金型温度を1)脂肪族ポリエステルの結晶化温度近傍に設定して成型時に結晶化させる方法、2)脂肪族ポリエステルのTg以下に設定した後、成型体を結晶化温度で一定時間保持(アニール)して結晶化させる方法等が考えられる。金型温度、又は後アニール温度は射出成型の際とほぼ同様である。本発明における脂肪族ポリエステル樹脂組成物を用いた場合の効果は上述の射出成型と同様で、1)の場合はサイクル時間の短縮、2)の場合は後アニール時の変形の抑制が挙げられる。
本発明における脂肪族ポリエステル樹脂成型体の用途としては、自動車分野、電気・電子分野、包装分野、農業分野、漁業分野、医療分野、その他一般雑貨等各種分野に利用できる。自動車分野では、バンパー、シートファブリック、ドアハンドル、フロアマットなどの内外装部品に利用することができる。家電・電子用途では、パソコンのハウジング及び内部部品、CRTディスプレイ及びLCDのハウジング及び内部部品、プリンターハウジング及び内部部品、携帯電話、モバイルパソコン、ハンドヘルド型などの携帯端末ハウジング及び内部部品、記録媒体(CD、DVD、MD、FDDなど)ドライブのハウジング及び内部部品、コピー機、ファクシミリなどのハウジング及び内部部品、更にVTR、デジタルカメラ、テレビ、冷蔵庫、エアコンなど電子・家電機器のハウジング、内部部品に有用に用いることができ、包装分野では、発泡緩衝剤、包装用フィルム、シートとして、各種包装が可能で、また、医療分野では、医療用材料、生理用品などの衛生材料として利用できる。その他、レジャー用品、ICカード等のカード類、トレイ、プラスチック缶、コンテナー、タンク、カゴなどの容器・食器類、鞄、椅子、テーブル、等にも有用である。
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。実施例及び比較例の評価に用いた測定法及び成形方法を以下に示す。
(1)DSC実験1
後述する方法で作成したシートから、5〜10mgの試料を採取してアルミニウム製パンに挟み、熱示差分析装置(パーキンエルマー社製、商品名PYRIS Diamond DSC)を用いて結晶化に伴う発熱量(H1)を測定し、結晶化速度の指標とした。測定は窒素雰囲気下で行い、測定の際には以下のステップの順で温度を変化させた。
ステップ1:昇温速度10℃/minで30℃から200℃まで昇温
ステップ2:200℃で2minの定温保持
ステップ3:降温速度30℃/minで200℃から30℃まで降温
図1に代表的なDSCプロファイルとして、実施例1、比較例2のステップ3のチャートを示す。発熱量H1は、ベースラインを引いた後のピーク面積から算出した。実施例1のH1は29.3(J/g)、比較例2のH1は0(J/g)である。実施例1−7、比較例1−7のH1、ピーク温度を表1にそれぞれ示す。
(2)DSC実験2(等温結晶化測定)
後述する方法で作成したシートから、5〜10mgの試料を採取してアルミニウム製パンに挟み、熱示差分析装置(パーキンエルマー社製、商品名PYRIS Diamond DSC)を用いて結晶化に要する時間(t)及び結晶化に伴う発熱量(H2)を測定した。また、tとH2を用いて下式(5)から求められる結晶化パラメーター(CP)を算出し、結晶化速度の指標とした。
CP=H2/(tx2) (5)
尚、測定は窒素雰囲気下で行い、測定の際には以下のステップの順で温度を変化させた。
ステップ1:昇温速度10℃/minで30℃から200℃まで昇温
ステップ2:200℃で2minの定温保持
ステップ3:降温速度100℃/minで200℃から100℃まで降温
ステップ4:100℃で15min定温保持
図2に代表的なDSCプロファイルとして、実施例1、比較例1のステップ4のチャートを示す。H2は、ベースラインを引いた後のピーク面積から算出した。結晶化時間tはステップ4を開始してから、DSC曲線がピークとなるまでの時間を意味する。実施例、比較例に対する発熱量、結晶化時間t、結晶化パラメータCPを表1にそれぞれ示す。ここで、H2が大きいほど結晶化度が高いことを意味し、tが小さい程結晶化速度が高いことを意味する。すなわちCPが大きいほど、短い時間に高い結晶化度の組成物が得られることを意味する。
(3)射出成型
クロックナー社製の射出成型機F−85を用いてダンベル試験片(ASTMD638Type1試験片)及び短冊試験片(127mmx13mmxt1.6mmt)を作成した。これらの試験片を後述する曲げ弾性率測定及び荷重たわみ温度(HDT)測定に用いた。基本となる射出成型条件は下記の通りである。シリンダー温度:160−180℃、金型温度120℃、射出圧力:100MPa、保持圧力:60MPa、Screw回転数:100rpm、射出時間:2秒、保持時間:5〜20秒、冷却時間:20秒〜100秒。離型性の評価は下記の指標に基づき行った。
○:殆ど変形せず射出成型機から取り出すことができる
△:少し変形する
×:大きく変形し、物性測定が不可能になる
(4)荷重たわみ温度(HDT):ASTMD−648規格に従い熱変形温度を測定した。尚、
試験片に与える曲げ応力は0.45MPaの条件で測定した。
(5)曲げ弾性率:
ASTM規格D−790に従い曲げ弾性率を測定した。
(6)カップ成型
実施例13−16及び比較例11−12で示す樹脂組成となるように、樹脂原料を同方向2軸押出機を用いて溶融混練後ペレタイズした。そのペレットをスクリュー系30mmの単軸押し出し機を用いて、Tダイから樹脂温度180℃で押出し、45℃のキャスティングロールにて非晶質で厚さ約2mmの発泡シートを作成した。化学発泡剤として重曹/クエン酸の混合物を、脂肪族ポリエステル樹脂組成物ペレットと同時に1重量%の濃度になるように単軸押し出し機に投入した。この発泡シートを100℃で約20秒−30秒予備加熱した後、真空圧空成型機を用いて縦180mm、横120mm深さ30mmのカップに成型した。成型後のカップを80℃のオーブンに入れ5分アニールした後、最後にこのカップに90℃の熱水を注いだ。以上の工程の中で、下記3項目の評価を行った。
1.シート成型安定性:発泡シート作成の際に問題なく成型できた場合を○、厚み斑やドローダウンによりうまく成型できなかった場合を×で表示した。
2.アニール時の変形:80℃のオーブンでカップを5分間アニールした際、カップの変形が1%未満の場合を○、1%−5%の場合を△、5%より大きいものを×と評価した。
3.耐熱性:90℃の熱水をカップの容量の80%程度まで注ぎ、5分経過する間のカップの変形が1%未満の場合を○、1%−5%の場合を△、5%より大きいものを×を評価した。
[実施例1]
非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(日本エマルジョン社製、商品名、Emalex602 ポリオキシエチレンの付加モル数は2)を120℃において加熱溶融したものに、有機化層状ケイ酸塩(コープケミカル社製、商品名MEE)を加え、乳鉢で混合することで複合材料を得た。混合した重量比は、有機化層状ケイ酸塩100gに対して、ポリオキシエチレンステアリルエーテルを133gとした。次いで、東洋精機製、商品名、ラボプラストミルを用いてポリ乳酸88.7g(Nature Works社製、商品名、NatureWorks4032D)を200℃において溶融し、タルク(LPM100、富士タルク社製)を2g、上記の有機化層状ケイ酸塩/非イオン性界面活性剤複合体を9.3g(有機化層状ケイ酸塩成分が4g、ポリオキシエチレンステアリルエーテルが5.3g)となるように加えて混練を行うことで脂肪族ポリエステル樹脂組成物を得た。混練時間は5分間とし、ローラーの回転速度は50rpmとした。この組成物を熱プレス機によって200℃で加熱し、1mmの厚みにプレス成形したものを、冷却水を循環させた低温プレス機により30℃付近まで急冷することでシート成形した。
[実施例2]
ポリ乳酸90.7g(Nature Works社製、商品名、NatureWorks4032D)を200℃において溶融し、タルク(HiFiller5000PJ、松村産業社製)を2g、有機化層状ケイ酸塩としてコープケミカル社製、商品名MEE)を2.0g、非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンステアリルエーテル(日本エマルジョン社製、商品名、Emalex602、ポリオキシエチレンの付加モル数は2)を5.3g加えて混練を行い、脂肪族ポリエステル樹脂組成物を得た。混練条件は実施例1と同様である。また、この脂肪族ポリエステル樹脂組成物から、実施例1と同様の方法でシートを作成した。
[実施例3]
非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(日本エマルジョン製、商品名、Emalex620、ポリオキシエチレンの付加モル数は20)を用いる以外は全く実施例2と同様の方法でシートを作成した。
[実施例4]
非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(日本エマルジョン製、商品名、Emalex610、ポリオキシエチレンの付加モル数は10)を用いる以外は全く実施例2と同様の方法でシートを作成した。
[実施例5]
有機化層状ケイ酸塩として、コープケミカル社製、商品名MAEを用いる以外は全く実施例3と同様の方法でシートを作成した。
[実施例6]
非イオン性界面活性剤として、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(日本エマルジョン製、商品名、EmalexET8020、ポリオキシエチレンの付加モル数は20)を用いる以外は全く実施例2と同様の方法でシートを作成した。
[実施例7]
非イオン性界面活性剤として、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(日本エマルジョン製、商品名、EmalexGWIS−120ポリオキシエチレンの付加モル数は20)を用いる以外は全く実施例2と同様の方法でシートを作成した。
[比較例1]
ポリ乳酸(Nature Works社製、商品名、NatureWorks4032D)のみを実施例1と同様の条件下で混練操作、シート成形操作に付し、シートを作成した。
[比較例2]
タルク、非イオン性界面活性剤を添加しないということを除いては実施例1と同様の操作を行いシートを得た。但し、有機化層状ケイ酸塩の添加量は、脂肪族ポリエステル94gに対して6gとした。
[比較例3]
非イオン性界面活性剤を用いないということを除いては実施例1と同様の操作を行いシートを得た。
[比較例4]
ポリ乳酸98gにタルクを2g添加して実施例2と同様の混練操作を行い、脂肪族ポリエステル樹脂組成物を得た。また、それから実施例1と同様の操作でシートを得た。
[比較例5]
非イオン性界面活性剤の代わりにエチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド(伊藤製油製社製、商品名ITOWAX J−530)を加えること以外は実施例2と同様の操作を行い、脂肪族ポリエステル樹脂組成物を得た。また、それから実施例2と同様の操作でシートを得た。
[比較例6]
非イオン性界面活性剤の代わりに多価カルボン酸であるクエン酸トリブチルアセテート(田岡化学工業社製、商品名ATBC)を加えること以外は実施例2と同様の操作を行い、脂肪族ポリエステル樹脂組成物を得た。また、それから実施例2と同様の操作でシートを得た。
[比較例7]
非イオン性界面活性剤の代わりにポリカプロラクトンジオール(ダイセル化学社製、商品名:プラクセルL220AL)を加えること以外は実施例2と同様の操作を行い、脂肪族ポリエステル樹脂組成物を得た。また、それから実施例2と同様の操作でシートを得た。
表1のDSC実験1に示すように、実施例1では30℃/minという高い速度で降温しても結晶化が起こっており、結晶化速度に優れた脂肪族ポリエステル樹脂組成物が得られた。一方比較例1、すなわち何も添加されていないポリ乳酸の場合は、全く結晶化が起こっていない。比較例2においても、結晶化は殆ど起こっていない。比較例3では若干結晶化は起こっているものの、その程度は小さい。これらのことから、本発明において有機化層状ケイ酸塩、タルク、及び非イオン性界面活性剤の3成分を脂肪族ポリエステルに混合することの効果が明確に示された。また、実施例5−7からわかるように、本発明における非イオン性界面活性剤の代わりに一般的な可塑剤ATBC、アミド基含有化合物、PCLなどを添加しても、結晶化ピークが殆ど認められなかったことから、本発明における非イオン性界面活性剤が著しい結晶化促進効果を示すことがわかる。
またDSC実験2の等温結晶化実験からも同様の考察が得られる。すなわち、本発明における脂肪族ポリエステル樹脂組成物の場合だけ、結晶化パラメーターCPが高い値を示している。このことは、本発明における脂肪族ポリエステル樹脂組成物に結晶化処理を施した場合、非常に短い時間で高い結晶化度の成型体が得られることを意味する。
[実施例8]
ポリ乳酸(Nature Works社製、商品名、NatureWorks4032D)、タルク(HiFiller5000PJ、松村産業社製)、有機化層状ケイ酸塩としてコープケミカル社製、商品名MEE、非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンステアリルエーテル(日本エマルジョン製、商品名、Emalex620ポリオキシエチレンの付加モル数は20)を、下記表2に示すような組成比になるようにスクリュー径30mmの同方向二軸押し出し機に投入し、溶融混練して脂肪族ポリエステル樹脂組成物ペレットを得た。混練温度は200℃であった。このペレットを上述する射出成型条件で成型した。冷却時間は20秒である。その評価結果を表2に示す。
[実施例9]
射出成型の冷却時間を35秒にすること以外は実施例8と同様の条件で二軸混練、射出成型を行い、その評価結果を表2に示す。
[実施例10]
射出成型の冷却時間を50秒にすること以外は実施例8と同様の条件で二軸混練、射出成型を行い、その評価結果を表2に示す。
[実施例11]
実施例8の非イオン性界面活性剤をEmalex620からEmalex600di−Sに代える以外は全く実施例10と同様の条件で二軸混練、射出成型を行い、その評価結果を表2に示す。
[実施例12]
ポリ乳酸(Nature Works社製、商品名、NatureWorks4032D)、タルク(HiFiller5000PJ、松村産業社製)、有機化層状ケイ酸塩としてコープケミカル社製、商品名MEE、非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンステアリルエーテル(日本エマルジョン製、商品名、Emalex620ポリオキシエチレンの付加モル数は20)、衝撃強度改良剤としてマレイン酸変性水添スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成ケミカルズ社製、商品名:タフテックM1943)を、表2に示すような組成比になるようにスクリュー系30mmの同方向二軸押し出し機に投入し、溶融混練して脂肪族ポリエステル樹脂組成物ペレットを得た。溶融温度は200℃である。このペレットを上述する射出成型条件で成型した。但し冷却時間は50秒である。その評価結果を表2に示す。
[比較例8]
ポリ乳酸(Nature Works社製、商品名、NatureWorks4032D)のみを実施例8と同様の条件で射出成型を行い、その評価結果を表2に示す。
[比較例9]
ポリ乳酸(Nature Works社製、商品名、NatureWorks4032D)とタルク(HiFiller5000PJ、松村産業社製)のみを表2に示す組成比になるように二軸混練し、そのペレットを射出成型した。押し出し条件、射出成型条件は実施例10と同様である。その評価結果を表2に示す。
[比較例10]
射出成型時の冷却時間を100秒にする以外は全く比較例9と同様の条件で射出成型した。その評価結果を表2に示す。
実施例8−11から、本発明における脂肪族ポリエステルは、冷却時間20秒という非常に短い時間内で結晶化することにより、高い耐熱温度(HDT)、弾性率を示す成型体を与えていることがわかる。また、同時に離型性も優れている。更に実施例12から、衝撃強度改良剤としてエラストマーを10%添加しても、耐熱温度はあまり影響を受けないことがわかる。このことは耐熱性、耐衝撃性を両立した組成物が得られる事を意味する。一方、一般的な結晶核剤であるタルクのみを含む組成物(比較例9、比較例10)の場合は、100秒という非常に長い時間結晶化処理を行ってもHDT、曲げ弾性率が向上しないことがわかる。
[実施例13]
ポリ乳酸(Nature Works社製、商品名、NatureWorks4032D)、タルク(HiFiller5000PJ、松村産業社製)、有機化層状ケイ酸塩としてコープケミカル社製、商品名MEE、非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンステアリルエーテル(日本エマルジョン製、商品名、Emalex620、ポリオキシエチレンの付加モル数は20)、カルボキシル基末端封鎖剤としてカルボジイミド化合物(日清紡社製、商品名:カルボジライトLA1)を、表3に示すような組成比になるようにスクリュー系30mmの同方向二軸押し出し機に投入し、溶融混練して脂肪族ポリエステル樹脂組成物ペレットを得た。溶融温度は200℃である。このペレットを上述するカップ成型条件でカップ状に成型した。その評価結果を表3に示す。
[実施例14]
実施例13の非イオン性界面活性剤をEmalex620からEmalex600di−Sに代える以外は実施例13と全く同様の方法でカップを成型し、その評価結果を表3に示す。
[実施例15]
実施例13の非イオン性界面活性剤をEmalex620からEmalexGWIS−120に代える以外は実施例13と全く同様の方法でカップを成型し、その評価結果を表3に示す。
[実施例16]
カルボジイミド化合物を用いない事以外は実施例13と全く同様の方法でカップを成型し、その評価結果を表3に示す。
[比較例11]
組成物としてポリ乳酸のみを用いること以外は実施例13と全く同様の方法でカップを成型し、その評価結果を表3に示す。
[比較例12]
ポリ乳酸とタルクを表3に示す組成比で混練して得られた組成物を用いる以外は実施例13と全く同様の方法でカップを成型し、その評価結果を表3に示す。
実施例13〜16から、カルボキシル基末端封鎖剤を含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物は発泡シート成型性も良く、アニール時の変形が無く、耐熱性が高いことがわかり、全ての評価結果が良好であった。一方、ポリ乳酸のみ、あるいは一般的な結晶核剤のみを含有する組成物は全ての評価結果が悪くなった。これらのことから、本発明におけるカルボキシル基末端封鎖剤を含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、成型性、耐熱性を両立できる非常にバランスの取れた組成物であることがわかる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は結晶化速度に優れるため、それから得られる成型体は短い成形時間でも高い耐熱性を示す。
DSC実験1における実施例1及び比較例2のステップ3のDSCチャート。 DSC実験2における実施例1及び比較例1のステップ3のDSCチャート。

Claims (10)

  1. 脂肪族ポリエステル、層状ケイ酸塩を有機オニウム塩で処理することで得られる有機化層状ケイ酸塩、タルク、及び非イオン性界面活性剤を含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
  2. 前記脂肪族ポリエステル40.0〜99.85重量%に対し、前記有機化層状ケイ酸塩0.05〜10重量%、前記タルク0.05〜30重量%、及び前記非イオン性界面活性剤0.05〜20重量%を含有する請求項1に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
  3. 前記有機オニウム塩が極性基を有する請求項1又は2記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
  4. 前記極性基が水酸基である請求項3記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
  5. 前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ジ脂肪酸ポリオキシエチレングリコール、モノ脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、及び脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である請求項1記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
  6. 前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はジ脂肪酸ポリオキシエチレングリコールである請求項1記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
  7. 前記非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエーテルである請求項1記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
  8. 前記脂肪族ポリエステルがポリ乳酸である請求項1記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
  9. 前記脂肪族ポリエステルのカルボキシル基末端封鎖剤を含有する請求項1記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を成型することによって得られる成型体。
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