JP2005042045A - ポリエステル樹脂組成物、およびそれを成形してなる成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリ乳酸の結晶化と結晶性の安定化を図り、実質的にポリ乳酸の耐熱性を上げるものである。しかも、結晶化速度を速めることで、成型時の製品の取りだし時間を短くできる等、生産面での取り扱いも向上させ、ポリ乳酸の結晶化による耐熱性の向上と、成型時の取り扱いに優れた樹脂組成物および成型体を提供することにある。
【解決手段】 生分解性ポリエステル樹脂(A)50〜90質量%と、ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)50〜10質量%とからなるポリエステル(AB)100質量部と(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)0.01〜20質量部とを含有するポリエステル樹脂組成物。および、この樹脂組成物に、さらに層状珪酸塩(D)を配合してなるポリエステル樹脂組成物。また、これらを成形してなる成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は、生分解性ポリエステル樹脂と、ポリブチレンテレフタレート樹脂とからなる樹脂組成物およびこれを成形してなる成形体に関するものであり、機械的強度や耐熱性、成形加工性に優れる石油系製品への依存度の低い樹脂組成物およびそれを用いて成形した成形体に関するものである。
一般的に、成形用の原料としてはポリプロピレン(PP)、ABS、ポリアミド(PA6、PA66)、ポリエステル(PET、PBT)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂が使用されている。しかしながら、このような樹脂から製造された成形物は成形性、機械的強度に優れているが、廃棄する際、ゴミの量を増すうえに、自然環境下で殆ど分解されないために、埋設処理しても、半永久的に地中に残留する。またこれらの樹脂は石油を出発原料とした石油系の樹脂であり、製造時の環境負荷が大きい。
一方、近年、環境保全の見地からポリ乳酸をはじめとする生分解性ポリエステル樹脂が注目されている(例えば、特許文献1、2など)。生分解性樹脂のうちでポリ乳酸は最も耐熱性が高い樹脂の1つであり、大量生産可能なためコストも安く、有用性が高い。さらに、ポリ乳酸はトウモロコシやサツマイモ等の植物を原料として製造可能で、石油等の枯渇資源の節約に貢献できる。
特開平04−220456号公報 特開平08−193165号公報
しかし、生分解性樹脂の中でも耐熱性の高いポリ乳酸であっても、ABS、ポリエステル等と比べると、実使用には耐え得る耐熱性を有していなかった。通常、屋内では、50〜70℃、車等の車載用途では、90℃の温度の耐熱性が求められており、使用時の安全性を考慮すると、雰囲気温度100℃に対する耐久性が現実的に必要であった。ところで、一般的にポリ乳酸は、結晶性樹脂でありながらも、結晶化速度は遅く、通常の成形物では、結晶性は高くなく、したがって耐熱性は60℃近傍であった。耐熱性を向上させるには、(1)結晶核剤をポリ乳酸に添加し、ポリ乳酸の結晶性を上げる、(2)無機フィラー、ガラス繊維の充填により、補強するがあるが、(1)においては成形サイクルが長くなる、結晶性の安定化が難しい等の問題があり、実用には至っていない。また、(2)においては比重の高いフィラーの充填によって、見かけ上の剛性は上がり、それに伴ない、ある程度耐熱性の向上は確認されるものの、マトリクスのポリ乳酸自体の耐熱性は上がっておらず、耐熱性のレベルとしては不十分である。
本発明は、上記の問題点を解決しようとするものであり、ポリ乳酸の結晶化と結晶性の安定化を図り、実質的にポリ乳酸の耐熱性を上げるものである。しかも、結晶化速度を速めることで、成形時の製品の取りだし時間を短く出来る等、生産面での取扱いも向上させ、ポリ乳酸の結晶化による耐熱性の向上と、成形時の取扱いに優れた樹脂組成物および成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、生分解性ポリエステル樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを特定範囲で混合した樹脂組成物が、耐熱性と、成形時の取扱い性に優れることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)生分解性ポリエステル樹脂(A)50〜90質量%と、ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)50〜10質量%とからなるポリエステル(AB)100質量部と(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)0.01〜20質量部とを含有するポリエステル樹脂組成物。
(2)混合ポリエステル(AB)100質量部あたり、さらに、層状珪酸塩(D)0.1〜20質量部を含有してなる前記(1)に記載のポリエステル樹脂組成物。
(3)生分解性ポリエステル樹脂(A)がポリ乳酸であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のポリエステル樹脂組成物。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形体。
本発明によれば、優れた機械特性および耐熱性、成形性を有する、石油系製品への依存度の低い樹脂組成物が提供される。この樹脂組成物は各種成形体に適用することができ、天然物由来の生分解性樹脂を利用しているので、石油等の枯渇資源の節約に貢献できる。

以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂組成物は生分解性ポリエステル樹脂(A)50〜90質量%および、ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)50〜10質量%からなるポリエステル(AB)を含有し、好ましい混合範囲は、ポリエステル(A)/ポリブチレンテレフタレート(B)=60〜80質量%/40〜20質量%である。ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)の配合量が50質量%を超えると、天然物由来の原料より石油系原料の割合が多いため、石油等の枯渇資源の節約に貢献できるとはいいがたい。また、生分解性ポリエステル樹脂の配合量が90質量%を超え、ポリブチレンテレフタレート樹脂の配合量が10質量%未満であると、十分な耐熱性と成形性を得ることができない。
本発明の生分解性ポリエステル樹脂としては、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、ポリグルコール酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート等が挙げられる。なかでも耐熱性、成形性の面からポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、およびこれらの混合物または共重合体を用いることができるが、生分解性の観点からは、ポリ(L−乳酸)を主体とすることが好ましい。
また、ポリ(L−乳酸)を主体とするポリ乳酸の融点は、光学純度によってその融点が異なるが、本発明においては、成形体の機械的特性や耐熱性を考慮すると、融点を160℃以上とすることが好ましい。ポリ(L−乳酸)を主体とするポリ乳酸において融点を160℃以上とするためには、D−乳酸成分の割合を約3モル%未満とすればよい。
生分解性ポリエステル樹脂の190℃、荷重21.2Nにおけるメルトフローレートは0.1〜50g/10分、好ましくは0.2〜20g/10分、さらに好ましくは0.5〜10g/10分である。メルトフローレートが50g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎて成形物の機械的特性や耐熱性が劣る。メルトフローレートが0.1g/10分未満の場合は成形加工時の負荷が高くなりすぎ操業性が低下する場合がある。
生分解性ポリエステル樹脂は通常公知の溶融重合法で、あるいはさらに固相重合法を併用して製造される。また、生分解性ポリエステル樹脂のメルトフローレートを所定の範囲に調節する方法として、メルトフローレートが大きすぎる場合は、少量の鎖長延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、ビスオキサゾリン化合物、エポキシ化合物、酸無水物等を用いて樹脂の分子量を増大させる方法が挙げられる。逆に、メルトフローレートが小さすぎる場合はメルトフローレートの大きな生分解性ポリエステル樹脂や低分子量化合物と混合する方法が挙げられる。
本発明におけるポリブチレンテレフタレート樹脂(B)は、テレフタル酸成分と1,4−ブタンジオール成分とからなる熱可塑性ポリエステル樹脂である。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)には、本発明の効果を損なわない範囲で、さらにイソフタル酸、オルトフタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、メチルテレフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(4ーカルボキシフェノキシ)エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、オクタデカンジカルボン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等が共重合されていてもよい。
また、ジオール成分として、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、ビスフェノールAやビスフェノールS等のビスフェノール類又はそれらのエチレンオキサイド付加体、ハイドロキノン、レゾルシノール等の芳香族ジオール等が共重合されていても構わない。
さらに、ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)には、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、6−ヒドロキシカプロン酸等のヒドロキシカルボン酸や、δ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン化合物が共重合されていても構わない。また、難燃性を付与するために有機リン化合物が共重合されていてもよい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)には、他のポリエステル樹脂、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリポリエチレンテレフタレート/シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、シクロヘキシレンジメチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリ(p-ヒドロキシ安息香酸/エチレンテレフタレート)、植物由来の原料である1,3−プロパンジオールからなるポリテトラメチレンテレフタレート等が混合されていても構わない。
また、耐衝撃性を改良する目的でスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマーを使用する事もできるが、耐熱性が一番良好であることから
ポリエステル系エラストマーが好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)の極限粘度は0.50dl/g以上であることが好ましく、0.70〜1.20dl/gであることがより好ましい。この極限粘度が 0.50dl/g未満のものでは、成形品にしたときの機械的強度が低下する。一方、この相対粘度が 1.20dl/gを超えるものでは、成形性が低下するので好ましくない。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)の融点は、230℃以下であることが、生分解性ポリエステル樹脂(A)との混合において好ましく、融点190〜225℃のポリブチレンテレフタレート樹脂は、混練の加工温度を下げることができ、良好な混合物を得ることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、上記(A)、(B)のほかに、さらに(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)を含有する必要がある。この成分により、ポリエステル樹脂成分が架橋され、機械的強度、耐熱性が向上するほか、寸法安定性も向上する。(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、生分解性樹脂との反応性が高くモノマーが残りにくく、毒性が比較的少なく、樹脂の着色も少ないことから、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、又は1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する化合物が好ましい。具体的な化合物としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、またこれらのアルキレングリコール部が様々な長さのアルキレンの共重合体でもよく、さらにブタンジオールメタクリレート、ブタンジオールアクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)の配合量は、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)との混合ポリエステル(AB)100質量部に対して、0.01〜20質量部であり、好ましくは0.05〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)を配合するにあたっては、過酸化物を併用すると、架橋反応が促進されるので好ましい。過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ビス(ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ブチルビス(ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキシン、ブチルパーオキシクメン等が挙げられる。過酸化物の配合量は、混合ポリエステル(AB)100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜10質量部である。20質量部を超えても使用できるが、コスト面では不利となる。なお、こうした過酸化物は、樹脂との混合の際に分解するため、たとえ配合時に使用されても、得られた樹脂組成物中には含まれていない場合がある。
混合ポリエステル(AB)に、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)を配合する手段としては、一般的な押出機を用いて溶融混練する方法を挙げることができる。混練状態をよくする意味で二軸の押出機を使用することが好ましい。混練温度は(生分解性ポリエステル樹脂(A)の融点+5℃)〜(生分解性ポリエステル樹脂(A)の融点+100℃)の範囲が、また、混練時間は20秒〜30分が好ましい。この範囲より低温や短時間であると、混練や反応が不充分となり、また高温や長時間であると樹脂の分解や着色が起きることがある。配合に際しては、(メタ)アクリル酸エステル化合物や、固体状であればドライブレンドや粉体フィーダーを用いて供給する方法が好ましく、液体状の場合は、加圧ポンプを用いて、押出機の途中から注入する方法が好ましい。同様の方法で過酸化物を配合することもできる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物と過酸化物を併用する場合の好ましい方法として、(メタ)アクリル酸エステル化合物及び/または過酸化物を媒体に溶解又は分散して混練機に注入する方法が挙げられ、操業性を格段に改良することができる。すなわち、混合ポリエステル樹脂成分と過酸化物とを溶融混練中に、(メタ)アクリル酸エステル化合物の溶解液又は分散液を注入したり、前記ポリエステル樹脂を溶融混練中に、(メタ)アクリル酸エステル化合物と過酸化物の溶解液又は分散液を注入して溶融混練することできる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物及び/または過酸化物を溶解又は分散させる媒体としては一般的なものが用いられ、特に限定されないが、本発明のポリエステル樹脂組成物との相溶性に優れた可塑剤が好ましい。例えば、脂肪族多価カルボン酸エステル誘導体、脂肪族多価アルコールエステル誘導体、脂肪族オキシエステル誘導体、脂肪族ポリエーテル誘導体、脂肪族ポリエーテル多価カルボン酸エステル誘導体などから選ばれた1種以上の可塑剤などが挙げられる。具体的な化合物としては、ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、トリエチレングリコールジアセテート、アセチルリシノール酸メチル、アセチルトリブチルクエン酸、ポリエチレングリコール、ジブチルジグリコールサクシネートなどが挙げられる。可塑剤の使用量としては、混合ポリエステル樹脂(AB)100質量部に対し30質量部以下が好ましく、0.1〜20質量部が更に好ましい。架橋剤の反応性が低い場合、可塑剤を使用量しなくてもよいが、反応性が高い場合には0.1質量部以上用いることが好ましい。なお、この媒体は、樹脂との混合時に揮発することがあるため、たとえ製造時に使用しても、得られた樹脂組成物中にはこの媒体が含まれていない場合がある。
本発明のポリエステル樹脂組成物には、層状珪酸塩(D)を含有させることにより、さらに機械的強度や耐熱性を向上させることができる。その配合量は混合ポリエステル樹脂(AB)100質量部に対して0.1〜20質量部とすることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜10質量部である。層状珪酸塩の具体的としては、スメクタイト、バーミキュライト、および膨潤性フッ素雲母等が挙げられる。スメクタイトの例としては、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイトが挙げられる。膨潤性フッ素雲母の例としては、Na型フッ素四ケイ素雲母、Na型テニオライト、Li型テニオライト等が挙げられ、また上記の他に、カネマイト、マカタイト、マガディアイト、ケニアイト等のアルミニウムやマグネシウムを含まない層状珪酸塩を使用することもできる。これらの層状珪酸塩は、天然品でも合成品でもよい。合成品の製造方法は、溶融法、インターカレーション法、水熱法等のいずれの方法であってもよい。これらの層状珪酸塩は単独で使用しても良いが、鉱物の種類、産地、製法、粒径等が異なるものを2種類以上組み合わせて使用してもよい。
前記の層状珪酸塩は、予め有機カチオン処理しておくことが好ましい。有機カチオンとしては、1級ないし3級アミンのプロトン化によって生成するアンモニウムイオン、4級アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン等のオニウムイオンが挙げられる。1級アミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン等が挙げられる。2級アミンとしては、ジオクチルアミン、メチルオクタデシルアミン、ジオクタデシルアミン等が挙げられる。3級アミンとしては、トリオクチルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジドデシルモノメチルアミン等が挙げられる。4級アンモニウムイオンとしては、テトラエチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウム、ジヒドロキシエチルメチルオクタデシルアンモニウム、メチルドデシルビス(ポリエチレングリコール)アンモニウム、メチルジエチル(ポリプロピレングリコール)アンモニウム等が挙げられる。さらに、ホスホニウムイオンとしては、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、ヘキサデシルトリブチルホスホニウム、テトラキス(ヒドキシメチル)ホスホニウム、2−ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウム等が挙げられる。これらのうち、ジヒドロキシエチルメチルオクタデシルアンモニウム、メチルドデシルビス(ポリエチレングリコール)アンモニウム、メチルジエチル(ポリプロピレングリコール)アンモニウム、2−ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウム等の、分子内に水酸基を1つ以上有するアンモニウムイオンで処理した層状珪酸塩は、ポリエステル樹脂、とりわけ生分解性ポリエステル樹脂との親和性が高く、層状珪酸塩の分散性が向上するため特に好ましい。これらのカチオンは単独で使用してもよいが2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、層状珪酸塩を上記有機カチオンで処理する方法としては、まず層状珪酸塩を水またはアルコール中に分散させ、ここへ上記有機カチオンを塩の形で添加して撹拌混合することにより、層状珪酸塩の無機イオンを有機オニウムイオンとイオン交換させた後、濾別・洗浄・乾燥する方法が挙げられる。
層状珪酸塩を用いる場合には、ポリエステル樹脂への分散性を向上させるために、相溶化剤を用いてもよい。その添加量は、混合ポリエステル樹脂(AB)100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.02〜5質量部である。10質量部を超えると生分解性ポリエステル樹脂組成物の耐熱性や機械的強度が低下する場合がある。相溶化剤としては、ポリエステル樹脂、とりわけ生分解性ポリエステル樹脂と、層状珪酸塩の双方と親和性があるポリアルキレンオキシド、脂肪族ポリエステル、多価アルコールエステル、多価カルボン酸エステル等の化合物が用いられる。ポリアルキレンオキシドの例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、およびこれらの共重合体が挙げられ、末端水酸基の1つまたは2つはアルコキシ封鎖されていてもよく、モノカルボン酸またはジカルボン酸によりエステル化されていてもよい。脂肪族ポリエステルの例としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(3−ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(3−ヒドロキシカプロン酸)等のポリヒドロキシカルボン酸、ポリ(ε−カプロラクトン)やポリ(δ−バレロラクトン)に代表されるポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート−co−ブチレンアジペート)等に代表されるジオールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル等が挙げられる。これらの脂肪族ポリエステルは、末端カルボキシル基がアルコールによりエステル化されていてもよく、ジオールにより水酸基置換されていてもよい。多価アルコールエステルの例としては、グリセリンと脂肪酸のエステルであるモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド等のグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル等が挙げられる。多価カルボン酸エステルの例としては、クエン酸トリブチルやクエン酸トリブチルアセテート等のクエン酸エステル等が挙げられる。
上記の相溶化剤は、沸点が250℃以上のものであることが好ましい。沸点が250℃未満では成形時のガス発生や得られる成形物からのブリードアウトを起こすことがある。また数平均分子量は200〜50,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは500〜20,000である。分子量が200未満であると成形時のガス発生や得られる成形物からのブリードアウトしやすくなり、また、成形体の機械的強度や耐熱性を損ねることがある。また、分子量が50,000を超えると、層状珪酸塩の分散性向上の効果が小さくなる傾向がある。
相溶化剤の添加方法としては、予め層状珪酸塩に直接上記化合物を含浸処理する方法、水または有機溶剤存在下で上記化合物を混合した後に濾過等により水または有機溶剤を除去する方法、ポリエステル樹脂と層状珪酸塩の溶融混錬時に添加する方法、ポリエステル樹脂の合成時に層状珪酸塩と共に添加する方法等が挙げられるが、ポリエステルとの混合に先立って、予め層状珪酸塩に混合処理しておく方法が好ましく用いられる。
本発明のポリエステル樹脂組成物に層状珪酸塩を添加した場合、その好ましい分散状態としては、層状珪酸塩の層が1枚1枚剥離した完全層間剥離型、あるいは層間に樹脂分子が挿入した層間挿入型、あるいはこれらの混合型がある。定量的には、透過型電子顕微鏡で観察される層状珪酸塩の単層あるいは積層の平均厚みが1〜100nmであることが好ましく、より好ましくは1〜50nm、さらに好ましくは1〜20nmである。あるいは、X線回折で観察される層状珪酸塩の層間距離が2.5nm以上であることが好ましく、より好ましくは3nm以上であり、さらに好ましくは4nm以上、最も好ましくは、層間距離に由来するピークが観測されないことである。このような層状珪酸塩の分散性を制御する方法としては、混練法においては、混練条件の変更、前記した相溶化剤の使用、樹脂への極性基の導入等が挙げられる。また一般に、ポリエステルの重合時に層状珪酸塩を添加すると、より分散性を高めることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物には、機械的強度や耐熱性の向上を目的として層状珪酸塩以外に、ガラス繊維を使用してもよい。その配合量は混合ポリエステル樹脂(AB)100質量部に対し、1〜50質量部とすることが好ましく、1〜20質量部がより好ましく、1〜10質量部がさらに好ましい。ガラス繊維は、樹脂との密着性を高めるために、表面処理を施しても良い。添加の方法としては、押出機において、ホッパーから、あるいはサイドフィーダーを用いて混練の途中から添加することができる。また、ガラス繊維をマスターバッチ加工することで、成形時にベース樹脂で希釈し、使用することもできる。
本発明のポリエステル樹脂組成物にはその特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、充填材、結晶核材等を添加することができる。熱安定剤や酸化防止剤としては、たとえばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物が挙げられる。難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤が使用できるが、環境を配慮した場合、非ハロゲン系難燃剤の使用が望ましい。非ハロゲン系難燃剤としては、リン系難燃剤、水和金属化合物(水酸化アルミ、水酸化マグネシウム)、N含有化合物(メラミン系、グアニジン系)、無機系化合物(硼酸塩、Mo化合物)が挙げられる。無機充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維等が挙げられる。有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品が挙げられる。無機結晶核材としては、タルク、カオリン等が挙げられ、有機結晶核材としては、ソルビトール化合物、安息香酸およびその化合物の金属塩、燐酸エステル金属塩、ロジン化合物等が挙げられる。なお、本発明のポリエステル樹脂組成物にこれらを混合する方法は特に限定されない。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、押出成形、インフレーション成形、およびシート加工後の真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の成形方法により、各種成形体とすることができる。とりわけ、射出成形法を採ることが好ましく、一般的な射出成形法のほか、ガス射出成形、射出プレス成形等も採用できる。本発明の樹脂組成物に適した射出成形条件の一例を挙げれば、シリンダ温度をポリエステル樹脂組成物のTm(ポリエステル樹脂(A)または(B)の最高値)または流動開始温度以上、好ましくは190〜280℃、より好ましくは210〜270℃の範囲とし、また、金型温度はポリエステル樹脂組成物の(Tm−20℃)以下とするのが適当である。成形温度が低すぎると成形品にショートが発生するなど操業性が不安定になったり、過負荷に陥りやすく、逆に成形温度が高すぎるとポリエステル樹脂組成物が分解し、得られる成形体の強度が低下したり、着色する等の問題が発生しやすい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、結晶化を促進させることにより、その耐熱性を高めることができる。このための方法としては、例えば、射出成形時に金型内での冷却にて結晶化を促進させる方法があり、その場合には、金型温度をポリエステル樹脂組成物の(Tg+20℃)以上、(Tm−20℃)以下で所定時間保った後、Tg以下に冷却することが好ましい。また、成形後に結晶化を促進させる方法としては、直接Tg以下に冷却した後、再度Tg以上、(Tm−20℃)以下で熱処理することが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物をもちいた成形体の具体例としては、パソコン、携帯電話、その他OA機器筐体等の電化製品用樹脂部品、バンパー、インストルメントパネル、コンソールボックス、ガーニッシュ、ドアトリム、天井、フロア、エンジン周りのパネル等の自動車用樹脂部品等が挙げられる。また、フィルム、シート、中空成形品などとすることもできる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。実施例および比較例の樹脂組成物の評価に用いた測定法は次のとおりである。
(1)メルトフローレート(MFR):
JIS規格K−7210(試験条件4)に従い、190℃、荷重21.2Nで測定した。
(2)極限粘度(IV):
フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶媒(質量比6/4)を用い、温度20℃で測定した。
(3)成形性:
射出成形機にて、シリンダ温度220℃、金型温度105℃として、ASTM試験ダンベル片(厚さ3mmt)を成形し、金型からの取り出し時に、変形を伴わず、容易に抜き取りが可能なものを良、変形するものを不良とした。この時の成形サイクルは、最長でも250秒とし、それ以上の時間をかけないと成型品の固化、抜き取りが出来ないものは、成形性不良とした。
(4)成形サイクル:
成形時、成形品を金型から抜き取る際に、成形品が変形を伴わずに抜き取ることのできる最短の時間を測定した。最長でも250秒までのサイクルとし、それ以上の時間をかけても、成型品の固化、抜き取りのできないものは、不可とした。
(5)熱変形温度:
ASTM規格D−648に従い、荷重0.45MPaで熱変形温度を測定した。
(6)衝撃強度:
ASTM規格D−256に従い、ノッチ(V字型切込み)付き試験片を用いてアイゾット衝撃強度を測定した。
(7)曲げ弾性率:
ASTM規格D−790に従い、変形速度1mm/分で荷重をかけ、曲げ弾性率を測定した。
また、実施例、比較例に用いた各種原料は次の通りである。
・ポリ乳酸(PLA):
カーギルダウ社製NatureWorks4030D;MFR=3.0,融点166℃
・ポリブチレンテレフタレート(PBT):
三菱エンジニアリングプラスチックス社製5010R5;IV=0.85、融点225℃
・ポリエチレンテレフタレート(PET)
ユニチカ社製MA−2101;IV=0.64、融点255℃
・層状珪酸塩(MEE):
層間がジヒドロキシエチルメチルドデシルアンモニウム塩で置換された膨潤性合成フッ素雲母(コープケミカル社製ソマシフMEE)
・メタクリル酸エステル化合物(PEGDM):
ポリエチレングリコールジメタクリレート(日本油脂製)
・過酸化物(DBPO):
ジ−t−ブチルパーオキサイド(日本油脂製)
・可塑剤(ATBC):
アセチルトリブチルクエン酸
・ポリエステル系エラストマー(ELAS)
ハイトレル4057(東レ・デュポン社製)
・ガラス繊維(GF)
GF−T187H(日本電気硝子社製)
実施例1(樹脂組成物A)
二軸押出機(池貝製PCM−30、ダイス直径;4mm×3孔、押出ヘッド温度;250℃、ダイ出口温度;240℃)を用い、PLA70質量部、PBT30質量部を供給し、溶融混練押出しを行い、その際、混練機途中からポンプを用いてPEGDM1.0質量部とDBPO1.0質量部をATBC2.5質量部に溶解した溶液を注入した。そして、吐出された樹脂をペレット状にカッティングして樹脂組成物Aとした。
実施例2(樹脂組成物B)
混練機途中から注入する溶液の組成を、PEGDMを0.5質量部、DBPO0.5質量部、ATBC1.25質量部とした他は、実施例1と同様の操作を行い、樹脂組成物Bを得た。
実施例3(樹脂組成物C)
混練機途中から注入する溶液の組成を、PEGDMを4.0質量部、DBPO4.0質量部、ATBC10質量部とした他は、実施例1と同様の操作を行い、樹脂組成物Cを得た。
実施例4(樹脂組成物D)
PLA70質量部、PBT30質量部とともにMEE1.0質量部を供給する他は実施例1と同様の操作を行い、樹脂組成物Dを得た。
実施例5(樹脂組成物E)
PLA70質量部、PBT30質量部のほかに、MEE4.0質量部供給しほかは、実施例1と同様の操作を行い、樹脂組成物Eを得た。
実施例6(樹脂組成物F)
PLAを50質量部、PBTを50質量部とした以外は実施例1と同様に溶融混練押出しを行い、樹脂組成物Fを得た。
実施例7(樹脂組成物G)
PLAを90質量部、PBTを10質量部とした以外は実施例1と同様に溶融混練押出しを行い、樹脂組成物Gを得た。
実施例8(樹脂組成物H)
PLAを70質量部、PBTを30質量部のほかに、さらにELASを10質量部供給した以外は実施例1と同様に溶融混練押出しを行い、樹脂組成物Hを得た。
実施例9(樹脂組成物I)
PLAを70質量部、PBTを30質量部のほかに、さらにELAS5質量部、GF5質量部を供給した以外は実施例1と同様に溶融混練押出しを行い、樹脂組成物Iを得た。
実施例1〜9の評価結果をまとめて表1に示す。
Figure 2005042045
比較例1(樹脂組成物J)
二軸押出機(池貝製PCM−30、ダイス直径;4mm×3孔、押出ヘッド温度;260℃、ダイ出口温度;240℃)を用い、PLA70質量部、PBT30質量部を供給した。溶融混練押出した後、ペレット状に加工し、樹脂組成物Jを得た。
比較例2(樹脂組成物K)
PLAとPBTのほかに、さらにMEE1質量部を用いた以外は比較例1と同様の操作を行って樹脂組成物Kを得た。
比較例3(樹脂組成物L)
原料としてPLAを95質量部、PBTを5質量部を用い、混練機途中からポンプを用いてPEGDMを1.0質量部、DBPO1.0質量部、ATBC2.5質量部供給した以外は、比較例1と同様に溶融混練押出しを行い、樹脂組成物Lを得た。
比較例4(樹脂組成物M)
PLAを40質量部、PBTを60質量部、MEE1質量部を用いた以外は、比較例1と同様に溶融混練押出しを行い、樹脂組成物Mを得た。
比較例5(樹脂組成物N)
原料として使用するPLAを70質量部、PBTに代えて、PETを30質量部供給した他は、実施例1と同様の操作を行って、樹脂組成物Nを得た。
比較例1〜5の結果を表1に示す。
実施例1〜9および比較例1〜5で得られた樹脂組成物A〜Nを、射出成形機(東芝機械製IS−80G型)を用いて成形し、各種試験片を得た。このとき、シリンダ設定温度220℃で溶融して射出圧力100MPa、射出時間20秒で105℃の金型に充填し、60秒間冷却した。ただし、比較例1については、金型温度105℃では冷却サイクル250秒でも成形できなかったため、金型温度を20℃として成形した。また、比較例5については、シリンダ温度を250℃とした。
また、実施例1〜9で得られた樹脂組成物A〜Iについては、上記の同様の成形条件を用いてパソコン用筐体を作製した。得られた筐体は実用上問題のないものであった。
実施例1〜9ではいずれも成形性に優れ、成形サイクルが短縮され、耐熱性、衝撃強度、曲げ弾性率などに優れたポリ乳酸/ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物が得られ、これらは、ポリ乳酸成分を主体としているため、環境に対する貢献度の高い組成物であると言える。
これに対して、比較例1では、(メタ)アクリル酸エステル化合物を用いなかったため、成形性、成形サイクル、耐熱性におとり、衝撃強度も不十分であった。また、比較例2は、比較例1の組成物に層状珪酸塩を配合した場合であるが、成形性が改良されたが、成形サイクルや耐熱性は不十分であった。比較例3は、ポリ乳酸の配合量が多かったため、成形性は良かったが、成形サイクルの非常に長いものとなり、耐熱性も不十分であった。比較例4は、加工適性、耐熱性ともに良好であったが、ポリ乳酸の割合が樹脂成分の50質量%以下であるため、環境に対して、十分貢献度の高い材料とはいいがたい。比較例5は、PBTに代えてPETを用いたが、耐熱性がやや向上したが、成形性は劣っており、成形サイクルも長く、物性も不十分であった。

Claims (4)

  1. 生分解性ポリエステル樹脂(A)50〜90質量%と、ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)50〜10質量%とからなるポリエステル(AB)100質量部と(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)0.01〜20質量部とを含有するポリエステル樹脂組成物。
  2. ポリエステル(AB)100質量部あたり、さらに、層状珪酸塩(D)0.1〜20質量部を含有してなる請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 生分解性ポリエステル樹脂(A)がポリ乳酸であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形体。
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