JP2015113442A - ポリ乳酸系樹脂組成物およびそれからなる成形体 - Google Patents

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成明 石井
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憲一 川田
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Abstract

【課題】環境負荷を低減可能であり、透明性、耐熱性に優れた成形体を得ることが可能で、成形加工性にも優れたポリ乳酸系樹脂組成物、更に、該ポリ乳酸系樹脂組成物からなる成形体の提供。【解決手段】ポリ乳酸樹脂、アジピン酸エステル系可塑剤及び水酸基を有するアミド系結晶核剤を含有する樹脂組成物であって、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、アジピン酸エステル系可塑剤を0.1〜3質量部、水酸基を有するアミド系結晶核剤を0.1〜2質量部含有するポリ乳酸系樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、特定の可塑剤と結晶核剤を含有することにより、透明性と耐熱性に優れるポリ乳酸系樹脂組成物、該ポリ乳酸系樹脂組成物より得られる成形体に関するものである。
近年、環境保全に関する社会的要求の高まりに伴い、微生物などにより分解される生分解性ポリマーが注目されている。生分解性ポリマーの具体例としては、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルや、テレフタル酸/1,4−ブタンジオール/アジピン酸の共重合体などの脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルが共重合したポリエステル等のように、射出成形や押出成形が可能なポリステルが挙げられる。
上述のような射出成形や押出成形が可能なポリエステルの中でも、ポリ乳酸樹脂は、光学異性体比率が7質量%以下の範囲である場合に高融点(例えば、140〜175℃程度の融点)を示し、高い耐熱性を有するものである。さらに、ポリ乳酸樹脂は、比較的安価に入手可能であるため、生分解性樹脂として幅広い範囲での応用が期待されている。
ポリ乳酸樹脂は、結晶化を十分進行させることにより耐熱性が向上するため、広い用途に適用可能となる。しかしながら、ポリ乳酸樹脂を単独で用いると、一般的に結晶化速度は遅い場合がある。このため、ポリ乳酸樹脂を溶融させて結晶を完全に溶解させた後、押出成形に付してシートを製造し、該シートを通常のロール冷却に付した場合において、このシートを熱成形しても成形工程中にポリ乳酸樹脂の結晶化が十分に進まない場合がある。その結果、得られた成形品はポリ乳酸樹脂のガラス転移温度である57℃以上になると熱変形してしまい、耐熱性に劣るものとなる。
そこで、ポリ乳酸樹脂から得られたシートからなる成形体に耐熱性を付与することを目的として、熱処理を行うことや、延伸配向を行うこと、若しくは熱処理と延伸配向を併用することで結晶化を促進させる方法が検討されている。
ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進するために熱処理を行う方法として、ポリ乳酸樹脂にタルクなどの結晶核剤を添加して結晶化速度の速いシートを製造し、このシートを、加熱された金型により短時間に成形させる製造方法が知られている(特許文献1)。しかしながら、この場合は透明性に劣るものであり、成形前のシートにおいても透明性が低い。しかも、成形を行う場合に、樹脂成分がポリ乳酸樹脂単独であれば加工性が良好であるが、耐衝撃性などを向上させることを目的として他の生分解性樹脂を配合すると、成形サイクルが極端に長く(例えば、数倍の長さ)なり、実用的な加工性が得られない場合がある。
また、脂肪族ポリエステルに、脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコール、脂肪族カルボン酸エステルなどの透明核剤を添加して樹脂組成物を得、この樹脂組成物から得られたシートを、成形時または成形後に熱処理する方法が知られている(引用文献2)。しかしながら、この場合は、成形前のシートは透明性が高いものの、成形後は結晶化により透明性が低下する場合がある。しかも昇温時の結晶化速度が十分ではなく結晶化に必要な熱処理時間が長いため、実用性に劣るという問題があった。
また、ポリ乳酸樹脂にポリ乳酸系共重合ポリマーを添加し、成形サイクル時間の加熱により結晶化させ、透明性および耐熱性に優れたシートを製造する方法が知られている(特許文献3)また、ポリ乳酸系ポリマーに結晶化促進剤や有機結晶核剤を添加して結晶の大きさを制御することにより、加熱処理で結晶化させて透明性および耐熱性に優れたシートを製造する方法が知られている(特許文献4)。しかしながら、これらの場合においては、透明性には優れているものの結晶化速度が十分ではないため、短時間の熱処理では十分に結晶化されず耐熱性に劣るという問題点がある。
ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進するために延伸配向を行う方法として、ポリ乳酸系樹脂に脂肪族カルボン酸アミドなどの透明剤を添加し、その後成形時の延伸により配向させることにより、結晶化速度を向上させて、結晶化後の透明性を維持する方法が知られている(特許文献5)。しかしながら、一般に成形体の延伸倍率はその部位により大きく異なるため、低倍率の部位が存在する成形体や、全体が低倍率の成形体においては、成形体全体の耐熱性を向上させることが困難である場合があった。
特開2003−253009号公報 特開平09−278991号公報 国際公開第2007/142106号パンフレット 国際公開第2006/121056号パンフレット 特開2004−345150号公報
本発明は、前記の問題点を解決しようとするものであり、環境負荷を低減することが可能であり、透明性、耐熱性に優れた成形体を得ることが可能で、成形加工性にも優れたポリ乳酸系樹脂組成物を提供することを目的とするものである。さらに、該ポリ乳酸系樹脂組成物からなる成形体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリ乳酸樹脂と特定の可塑剤および特定の結晶核剤を含有したポリ乳酸系樹脂組成物は前記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)ポリ乳酸樹脂、アジピン酸エステル系可塑剤及び水酸基を有するアミド系結晶核剤を含有する樹脂組成物であって、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、アジピン酸エステル系可塑剤を0.1〜3質量部、水酸基を有するアミド系結晶核剤を0.1〜2質量部含有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
(2)示差走査熱量測定において、融点以上に溶融させた後、500℃/分の降温速度で0℃に冷却し、冷却後、500℃/分の昇温速度で75℃に加熱し、75℃を保持したときの等温結晶化曲線の発熱ピークがピークトップを示すまでの時間tmax75が2分以下である(1)記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(3)(1)又は(2)に記載のポリ乳酸系樹脂組成物にて形成されていることを特徴とする成形体。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物によれば、実用性の高い成形サイクル時間での加熱により、結晶化が可能で、結晶化後の透明性や耐熱性に優れた成形体を、成形加工性よく得ることができる。本発明のポリ乳酸系樹脂組成物より各種の成形体を得ることができ、得られた成形体を電気製品の筐体などに用いることで、低環境負荷材料であるポリ乳酸樹脂の使用範囲を大きく広げることができ、産業上の利用価値は極めて高いものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」と称する場合がある)は、ポリ乳酸樹脂、アジピン酸エステル系可塑剤、および水酸基を有するアミド系結晶核剤を含有するものである。
ポリ乳酸樹脂としては、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、およびこれらの混合物または共重合体を用いることができる。
本発明においては、得られる成形体の機械的特性や耐熱性を考慮して、ポリ乳酸樹脂の融点は150℃以上であることが好ましい。融点が150℃未満であると、耐熱性に劣る場合がある。ポリ乳酸樹脂の融点は、L−乳酸とD−乳酸との共重合比率によって異なる。
ポリ乳酸樹脂の中でも、ポリ(L−乳酸)を主体とするポリ乳酸樹脂は実用化が進んでいるものであるが、このポリ(L−乳酸)を主体とするポリ乳酸樹脂は光学純度によってその融点が異なる。ポリ乳酸樹脂の融点を150℃以上とするためには、D−乳酸成分の割合を5.0モル%以下とすることが好ましく、中でもD−乳酸成分の割合が2.0モル%以下であることが好ましく、さらに、D−乳酸成分の割合が1.0モル%以下であることが好ましい。なお、通常、ポリ乳酸樹脂の融点の上限は190℃程度である。
ポリ乳酸樹脂の残留ラクチド量は、0.5質量%未満であることが好ましい。残留ラクチド量が0.5質量%以上であると、加工中の発煙が大きいなど加工性に悪影響を及ぼす可能性があるだけでなく、得られた成形体の加水分解が促進される場合がある。
ポリ乳酸樹脂の質量平均分子量(Mw)は、10万〜30万であることが好ましく、より好ましくは12万〜20万である。ポリ乳酸樹脂のMwが10万未満であると、溶融粘度が低すぎるため、得られる成形体は機械的特性に劣るものになりやすい。一方、Mwが30万を超えると、溶融粘度が高くなりすぎて、成形体を得る際に、溶融押出が困難となりやすい場合がある。なお、ポリ乳酸樹脂のMwは後述のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物中には、ポリ乳酸樹脂以外の他の熱可塑性樹脂が含有されていてもよいが、樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂の含有量は、ポリ乳酸系樹脂組成物全体に対して90〜99.8質量%であることが好ましく、95〜99.5質量%であることがより好ましい。
ポリ乳酸樹脂は市販品を好適に用いることができ、例えば、ネイチャーワークス社製、商品名「4032D」、「3001D」、「4042D」等が挙げられる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂の結晶化速度を高め、ポリ乳酸樹脂が結晶化したときの透明性を維持することを目的として、アジピン酸エステル系可塑剤を含有するものである。アジピン酸エステル系可塑剤は、ポリ乳酸樹脂との相溶性に優れる可塑剤である。そのため、アジピン酸エステル系可塑剤を用いた場合には、他の可塑剤を用いた場合と比較して、結晶化が速く、透明性が高いという利点がある。
アジピン酸エステル系可塑剤としては、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アジペート、ビス(ブチルジグリコール)アジペート、ベンジル[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アジペート、ジ−n−ブチルアジペート、ジオクチルアジペート、メチルジグリコールブチルジグリコールアジペート、ベンジルメチルグリコールアジペート、ベンジルブチルジグリコールアジペートなどが挙げられる。このなかでも、ポリ乳酸との相溶性の観点から、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アジペート、ビス(ブチルジグリコール)アジペート、ベンジル[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アジペートを好適に用いることができる。これらのアジピン酸エステル系可塑剤は、単独で使用してもよいし、複数組み合わせて使用してもよい。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物におけるアジピン酸エステル系可塑剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.1〜3質量部であることが必要であり、0.2〜2.5質量部であることが好ましく、0.3〜1.5質量部であることがより好ましい。含有量が0.1質量部未満では結晶化促進効果に乏しい。一方、含有量が3質量部を超えると、ポリ乳酸系樹脂組成物の耐熱性や耐湿熱性を低下させる。
本発明においては、ポリ乳酸樹脂の結晶化速度を高め、ポリ乳酸樹脂が結晶化したときの透明性を維持することを目的として、水酸基を有するアミド系結晶核剤(以下、単に「アミド系結晶核剤」と称する場合がある)を、上記アジピン酸エステル系可塑剤とともに用いることが必要である。アミド系結晶核剤はポリ乳酸樹脂との相溶性に優れる結晶核剤である。そのため、アミド系結晶核剤を用いた場合には、他の結晶核剤を用いた場合と比較して、透明性が高くなるという利点がある。
アミド系結晶核剤としては、具体的には以下のような化合物が挙げられる。N,N´−エチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリルアミド、リシノール酸アミド、リシノステアロール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N−ヒドロキシエチル−リシノール酸アミド、N−ヒドロキシエチル−12−ヒドロキシステアリルアミド、N,N´−エチレン−ビス−リシノール酸アミド、N,N´−ヘキサメチレン−ビス−リシノール酸アミド、N,N´−ヘキサメチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリルアミド、N,N´−キシリレン−ビス−12−ヒドロキシステアリルアミドなどが挙げられる。なかでも、結晶化の速さ、透明性の観点から、N,N´−エチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリルアミド、N,N´−ヘキサメチレン−ビス−リシノール酸アミド、N,N´−ヘキサメチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリルアミド、N,N´−キシリレン−ビス−12−ヒドロキシステアリルアミドを好適に用いることができる。これらのアミド系結晶核剤は、単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物におけるアミド系結晶核剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.1〜2質量部であることが必要であり、中でも0.2〜1.5質量部であることが好ましく、0.3〜1.0質量部であることがより好ましい。0.1質量部未満では結晶化を促進する効果に乏しい。一方、2質量%を超える場合は、ポリ乳酸系樹脂組成物の透明性を低下させやすい。
本発明においては、ポリ乳酸樹脂に、上述のようなアジピン酸エステル系可塑剤とアミド系結晶核剤を組み合わせて用いることにより、ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する効果に優れ(結晶化速度が速く)、これにより耐熱性に優れた成形体を得ることができる。さらに両者を組み合わせて用いることにより、透明性も格段に向上させるという効果が奏される。アジピン酸エステル系可塑剤とアミド系結晶核剤の組み合わせとしては、アジピン酸エステル系可塑剤と水酸基を有する脂肪族アミド化合物が特に好ましく、ベンジル[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アジペートとN,N’−エチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリルアミドの組み合わせが最も好ましい。この組み合わせが好ましい理由は、両者の相溶性が特に良好であり、アジピン酸エステル系可塑剤でポリ乳酸樹脂が可塑化され、そのポリ乳酸樹脂中でアミド系結晶核剤が効果的に作用するためであると推測される。
ポリ乳酸樹脂の結晶化度をより促進するために、本発明の効果を損なわない範囲において、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物には、上記のアミド系結晶核剤以外の結晶核剤を配合することも可能である。このような結晶核剤としては、有機系結晶核剤や無機系結晶核剤が挙げられる。有機系結晶核剤としては、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミドなどの脂肪酸アミド;トリシクロヘキシルトリメシン酸アミド、トリシクロへキシルトリメリト酸アミド、トリシクロへキシルヘミメリット酸アミド、メロファン酸アミド、プレニト酸アミド、ピロメリト酸アミドなどの芳香族アミドなどが挙げられる。無機系結晶核剤としては、タルク、スメクタイト、マイカ、バーミキュライト、膨潤性フッ素雲母などの層状珪酸塩などが挙げられる。
本発明においては、ポリ乳酸樹脂の結晶化速度をより促進するために、必要に応じて架橋剤を併用し、ポリ乳酸樹脂に架橋を施してもよい。
架橋剤としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物、シラン化合物、無水多価カルボン酸、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、有機過酸化物、金属錯体などが挙げられる。これらの架橋剤は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、グリセロールジメタクリレート、ヒドロキシプロピルモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。
シラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。無水多価カルボン酸としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水アジピン酸、無水トリメリット酸などが挙げられる。
エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステルなどが挙げられる。イソシアネート化合物としては、ジイソシアネート、トリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
有機過酸化物としては、n−ブチル−4,4−ビス−t−ブチルパーオキシバリレート、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカルボネート、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパ−オキソナンなどが挙げられる。なお、有機過酸化物は樹脂との混合の際に分解して消費されるため、得られたポリ乳酸系樹脂組成物中には残存しない場合がある。金属錯体としては、蟻酸リチウム、ナトリウムメトキシド、プロピオン酸カリウム、マグネシウムエトキシドなどが挙げられる。
上記の架橋剤の含有量は、透明性、成形体への加工性の観点から、ポリ乳酸系樹脂組成物全体に対して、0.01〜1.0質量%であることが好ましく、0.01〜0.5質量%であることがより好ましい。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物には、耐湿熱性向上の観点から、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物およびオキサゾリン化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の末端封鎖剤を配合してもよい。末端封鎖剤の配合量は、結晶化速度の阻害の観点から、ポリ乳酸系樹脂組成物全量に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物には、その特性を損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、植物繊維、強化繊維、耐候剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、耐衝撃剤、相溶化剤等の添加剤を添加することができる。
上述のような成分を含有する本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、成形加工性、結晶性の観点から、tmax75が2分以下であることが好ましい。tmax75とは、示差走査熱量測定において、融点以上に溶融させた後、500℃/分の降温速度で0℃に冷却し、冷却後、500℃/分の昇温速度で75℃に加熱し、75℃を保持したときの等温結晶化曲線の発熱ピークがピークトップを示すまでの時間である。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物において、tmax75が2分を超える場合には、結晶化速度が遅すぎるため、成形加工の実用性に劣るものとなりやすい。
なお、示差走査熱量測定においては、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製、DSC装置「DSC7」)を用いるものである。ポリ乳酸系樹脂組成物7mgを20℃から250℃まで500℃/分の昇温速度で加熱し、250℃で5分間保持した後、250℃から0℃まで500℃/分の降温速度で0℃に冷却し、5分間保持する。さらに500℃/分の昇温速度で0℃から75℃まで加熱し、75℃で保持したときの等温結晶化曲線の発熱ピークがピークトップを示すまでの時間tmax75を測定する。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を得る方法としては、溶融混練などの公知の方法により、ポリ乳酸系樹脂、アジピン酸エステル系可塑剤、およびアミド系結晶核剤を混練する方法が挙げられる。溶融混練に際しては、単軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ブラベンダーなどの一般的な混練機を用いることができるが、ポリ乳酸樹脂に対する各成分の分散性向上のためには、二軸押出機を用いることが好ましい。
上記のように、溶融混練してポリ乳酸系樹脂組成物を得る方法においては、ポリ乳酸樹脂とアミド系結晶核剤をドライブレンドしてホッパーから投入してもよいし、アミド系結晶核剤を押出機の途中からフィーダーなどを利用して供給してもよい。また、アジピン酸エステル系可塑剤は室温では液体のため、加熱定量送液装置などを利用して混練の途中から供給する方法がより好ましい。その後、得られたポリ乳酸系樹脂組成物をストランド状に引き取り冷却した後、ペレット状にカッティングして、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得ることができる。
次に、本発明の成形体について説明する。本発明の成形体は、上記した本発明のポリ乳酸系樹脂組成物にて形成されているものである。本発明の成形体としては、射出成形、押出成形、ブロー成形、発泡成形等の種々の方法にて得られたものが挙げられる。一旦押出成形にて成形体(シート状物)を得た後、再度加熱加工を行い、成形体としたものであってもよい。また、一旦射出成形にて成形体(プリフォーム)を得た後、ブロー成形を行い、成形体としたものであってもよい。つまり、最終的な成形体及びその成形体を得るために使用される成形体(中間体)ともに本発明の成形体に含まれる。
中でも、本発明の成形体としては、押出成形によりシート状にしたもの(以下、「ポリ乳酸系シート」と称する場合がある)を得た後、再度加熱加工を行い成形体としたものが好ましい。
このとき、ポリ乳酸系シートの製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、Tダイ法、インフレーション法、カレンダー法などが挙げられる。なかでも、汎用性の観点から、Tダイを用いて材料を溶融混練して押出すTダイ法が好ましい。
Tダイ法により、ポリ乳酸系シートを製造する場合には、予め溶融混練などの公知の方法で、ポリ乳酸系樹脂、アジピン酸エステル系可塑剤、およびアミド系結晶核剤を混練して樹脂組成物を得、該樹脂組成物をペレット化したものを成形機に供給することが好ましい。また、アジピン酸エステル系可塑剤や、アミド系結晶核剤のマスターバッチを用いてポリ乳酸系シートを作製してもよい。
ポリ乳酸系シートの製造方法の一例を以下に示す。例えば、樹脂組成物ペレットを、一軸押出機あるいは二軸押出機のホッパーに供給し、該二軸押出機を、例えば、シリンダー温度180〜230℃、Tダイ温度200〜230℃に加熱し、樹脂組成物ペレットを溶融混練して押出し、30〜50℃の温度範囲に設定されたキャストロールにて冷却することで、ポリ乳酸系シートを得ることができる。
ポリ乳酸系シートの厚みは、特に限定されるものではなく、用途や要求される性能等によって適宜設定すればよい。一般には、80〜500μm程度の厚みが適当である。
上記のようなポリ乳酸系シートを成形加工して成形体を得る方法について、以下に述べる。
ポリ乳酸系シートを成形加工する方法は、特に限定されるものではないが、汎用性の観点から、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、プレス成形のうちのいずれかの成形加工方法が好適である。成形加工に先立って、熱板もしくは熱風によりポリ乳酸系シートを加熱しておくことが好ましい。熱板方式では、ポリ乳酸系シートと熱板が直接接触するため、熱板の表面状態がポリ乳酸系シートに転写して成形体の透明性を損なう場合があるため、間接的な熱風方式により加熱を行うことがより好ましい。
ポリ乳酸系シートを加熱する方法の具体的な例を以下に説明する。まず、(ポリ乳酸系樹脂組成物のガラス転移温度+20)℃〜(ポリ乳酸系樹脂組成物のガラス転移温度+60)℃の範囲で、シートを熱板もしくは熱風にて5〜60秒加熱し、ポリ乳酸系シートを軟化させ、加えて一部を結晶化させる。その後、真空または圧空の方法で賦型する。このとき、加熱温度が低すぎたり加熱時間が短すぎたりすると、軟化が不十分であり賦型できない。一方、加熱温度が高すぎたり加熱時間が長すぎたりすると、ポリ乳酸系シートの結晶化が進行しすぎて、賦型性が低下する。
成形加工の際の金型温度は、ポリ乳酸系樹脂組成物のガラス転移温度以下に設定して、賦型後速やかに離型しても良いが、金型温度を実質的にポリ乳酸系樹脂組成物が最も結晶化しやすい温度である80〜130℃の範囲内で、金型内で結晶化させることが好ましく、90〜120℃で結晶化させることがより好ましい。金型温度が130℃を超えると、ポリ乳酸樹脂の結晶化速度が極端に遅くなるとともに、ポリ乳酸樹脂の融点に近づくため結晶が融解してしまう恐れがあり、結果的に結晶化による硬化が遅れ、離型に必要な剛性を得るのに時間がかかる場合がある。一方、金型温度が80℃未満であると、結晶化が遅くなり、未結晶な部分が残り、耐熱性が不十分となる場合がある。なお、成形にかかる時間(成形サイクル)は、60秒以下であることが好ましく、中でも30秒以下であることが好ましい。
上記のような方法で得られた本発明の成形体の一例を以下に示す。例えば、従来耐熱性が不足するために使用が困難であった滅菌容器、熱湯を注ぐような容器、レトルト容器、電子レンジ内でも使用可能な容器、弁当箱などの各種容器やトレイ等に使用でき、さらに透明性が必要とされる容器蓋、ブリスターパック、クリアケースなどに好適に使用できる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。実施例および比較例の評価に用いた測定法は次の通りである。
(1)ポリ乳酸樹脂の質量平均分子量(Mw)
示差屈折率検出器(島津製作所社製、商品名「RID−10A」)を備えたゲル浸透クロマトグラフィ装置(島津製作所社製)を用い、テトラヒドロフラン(THF)を溶離液として、流速1.0ml/分、40℃で測定した。カラムは、SHODEX KF−805L、KF−804L(昭和電工社製)を用いた。サンプルは、樹脂組成物10mgをクロロホルム0.5mlに溶解後、THF5mlで希釈し、0.45μmのフィルターでろ過してから測定に供した。分子量は、ポリスチレン(Waters社製)を標準試料として換算した。
(2)ポリ乳酸樹脂の残留ラクチド量
測定用試料溶液は、試料0.5g、ジクロロメタン10ml、100ppm内部標準液を0.5ml加えてシェーカー(150rpm×40分)により攪拌し溶解させた。そこへシクロヘキサンを添加し、ポリマーを析出させ、HPLC用ディスクフィルター(孔径0.45μm)で濾過し、ガスクロマトグラフィーで測定した。標準物質は東京化成工業社製のL−ラクチドを用い、内部標準物質は2,6−ジメチル−γ−ピロンを用いた。
ガスクロマトグラフィー(Hewlwtt Packard社製、商品名「HP−6890」)は、ヘリウムをキャリアガスとして、流速2.5ml/分で、オーブンプログラムは80℃で1分間保持し、20℃/分で200℃まで昇温し、30℃/分で280℃まで昇温し、5分間保持する条件で行った。カラムは、J&W社製のDB−17(30m×0.25mm×0.25μm)を用い、検出器は水素炎イオン検出器(温度300℃)を用い、内部標準法で測定した。
(3)ポリ乳酸樹脂のD体含有量
ポリ乳酸樹脂(A)または樹脂組成物の約0.3gを1N−水酸化カリウム/メタノール溶液6mLに加え、65℃にて充分撹拌した後、硫酸450μLを加えて、65℃にて撹拌し、ポリ乳酸を分解させた。このサンプル5mL、純水3mL、および、塩化メチレン13mLを混合して振り混ぜた。静置分離後、下部の有機層を約1.5mL採取し、孔径0.45μmのHPLC用ディスクフィルターでろ過後、HewletPackard製HP−6890SeriesGCsystemでGC測定した。乳酸メチルエステルの全ピーク面積に占めるD−乳酸メチルエステルのピーク面積の割合(%)を算出し、これをD体含有量(%)とした。
(4)ポリ乳酸系樹脂組成物のtmax75
前記の方法により測定、算出した。
(5)成形サイクル
得られたシートを用いて容器を得る工程において、金型に張り付くことなく、良好な成形体(容器)が得られるまでの金型保持時間(予熱時間の5秒を足したものとする)を成形サイクルとした。成形サイクルは30秒以下であることが好ましく、20秒以下であることがさらに好ましい。
(6)成形体の耐熱性
・耐熱温度
得られた成形体(容器)を5℃毎に加熱温度を設定可能なオイルバスに1分間浸漬し、1分後に取り出した成形体に変形が生じているか否かを目視にて確認した。変形が見られなかった最も高い温度を耐熱温度とした。耐熱温度は120℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましい。
・寸法変化率
得られた成形体(容器)を用い、ASTM D1204−94に従って、成形体の1%熱収縮温度を測定した。1%熱収縮温度は100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましい。
(7)成形体のヘイズ
得られたシート、成形体(容器)を用い、JIS K−7105に従ってヘイズを測定して透明性を評価した。ヘイズは、10以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましく、5以下であることが更に好ましい。
また、実施例および比較例に用いた各種原料は次の通りである。
・ポリ乳酸樹脂
(A−1):トヨタ自動車社製、「S−06」(D体含有量:0.2モル%、残留ラクチド量:0.1質量%、Mw=150000)
(A−2):ネイチャーワークス社製、「4032D」(D体含有量:1.4モル%、残留ラクチド量:0.2質量%、Mw:160000)
(A−3):ネイチャーワークス社製、「4042D」(D体含有量:4.0モル%、残留ラクチド量:0.2質量%、Mw=160000)
・可塑剤
(B−1):ベンジル[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アジペート
大八化学社製、「DAIFATTY−101」
(B−2):アセチルクエン酸トリブチル
田岡化学社製、「ATBC」
・有機結晶核剤
(C−1):N,N’−エチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリルアミド
伊藤製油社製、「A−S−A T−530SF」
(C−2):エチレンビスステアリン酸アミド
日本油脂社製、「アルフローH50S」
実施例1
ポリ乳酸樹脂(A−1)を100質量部に対して、アジピン酸エステル系可塑剤(B−1)を0.5質量部、水酸基を有するアミド系結晶核剤(C−1)を0.3質量部用い、これらを二軸押出機(東芝機械社製TEM26SS型)に供給し、押出温度190℃、スクリュー回転数150rpm、吐出量15kg/hで溶融混練を行い、押出し、ペレット状に加工した。その後、得られたペレットを、60℃、40時間真空乾燥させた。
乾燥させたペレットを、幅1000mmのTダイを装着したスクリュー径90mmの単軸押出機を用いて、押出温度215℃にて溶融押出し、40℃に設定されたキャストロールにて厚み500μmのシートを作製した。
得られたシートを連続真空・圧空成形機(浅野研究所製FLPD−141−W型)に供給し、予熱温度250℃、予熱時間5秒、金型温度110℃でプレスを行い、容器〔開口部内径=150mm、底部内径=60mm、容器の絞り比(L/D)=0.5、どんぶり型のもの〕を成形した。
実施例2〜9
ポリ乳酸樹脂の種類、アジピン酸エステル系可塑剤(B−1)と水酸基を有するアミド系結晶核剤(C−1)の配合量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてシートを作製した。
そして、実施例1と同様にして、得られたシートから容器を得た。
実施例10
ポリ乳酸樹脂(A−1)を100質量部に対して、アジピン酸エステル系可塑剤(B−1)を5質量部、水酸基を有するアミド系結晶核剤(C−1)を3質量部用い、これらを二軸押出機(東芝機械社製TEM26SS型)に供給し、押出温度190℃、スクリュー回転数150rpm、吐出量15kg/hで溶融混練を行い、押出し、ペレット状に加工した。その後、得られたペレットを、60℃、40時間真空乾燥させたものをマスターバッチペレットとした。
そして、マスターバッチペレットとポリ乳酸樹脂(A−1)とを、得られる樹脂組成物が表1の組成となるようにブレンドして用いた以外は、実施例1と同様にしてシートを作製した。
そして、実施例1と同様にして、得られたシートから容器を得た。
比較例1〜7
可塑剤及び結晶核剤の種類と配合量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてシートを作製した。
そして、実施例1と同様にして、得られたシートから容器を得た。
実施例1〜10、比較例1〜7で得られたポリ乳酸系樹脂組成物、シート及び容器の特性値及び評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜10のポリ乳酸系樹脂組成物は、tmax75が2分以下であり、結晶化速度が速く、成形加工性に優れるものであった。そして、該樹脂組成物より得られたシートは、透明性に優れるものであった。さらに、シートを成形加工して得られた容器は、短い成形サイクルで得ることができるものであり、耐熱性、透明性に優れ、外観も良好なものであった。
中でも、中でもD体含有量が少ないポリ乳酸樹脂を用いた実施例1〜4では、tmax75が低く、より短い成形サイクルで、より透明性に優れた容器を得ることができた。
一方、比較例1のポリ乳酸系樹脂組成物は、アジピン酸エステル系可塑剤、アミド系結晶核剤ともに含有していなかったため、tmax75が20分を超えており、結晶化速度が著しく遅かった。このため、成形サイクルも実用的な成形サイクルである30秒よりも大幅に長く、得られた成形体は透明性に劣っており、耐熱性にも著しく劣っていた。
比較例2のポリ乳酸系樹脂組成物は、アミド系結晶核剤を含有していなかったため、また、比較例3のポリ乳酸系樹脂組成物は、アジピン酸エステル系可塑剤を含有していなかったため、tmax75が2分を超えるものであり、結晶化速度が遅いものであった。このため、成形サイクルも実用的な成形サイクルである30秒よりも長く、得られた成形体は耐熱性、透明性に劣るものであった。
比較例4のポリ乳酸系樹脂組成物は、結晶核剤の量が所定範囲よりも多かった。そのため、結晶化速度は早かったが、得られた成形体は、透明性に劣るものであった。
比較例5のポリ乳酸系樹脂組成物は、アジピン酸エステル系可塑剤の含有量が所定の範囲よりも多かった。そのため、結晶化速度は早かったが、得られた成形体は耐熱性に劣るものであった。
比較例6のポリ乳酸系樹脂組成物は、可塑剤としてアジピン酸エステル系可塑剤を用いたものではなかったため、tmax75が2分を超えるものであり、結晶化速度が遅いものであった。このため、成形サイクルは実用的な成形サイクルである30秒よりも長く、得られた成形体は耐熱性に劣るものであった。
比較例7のポリ乳酸系樹脂組成物は、結晶核剤として水酸基を有するアミド系結晶核剤ではないものを用いたため、tmax75が2分を超えるものであり、結晶化速度が遅いものであった。このため、成形サイクルは実用的な成形サイクルである30秒よりも長く、得られた成形体は耐熱性、透明性に劣るものであった。

Claims (3)

  1. ポリ乳酸樹脂、アジピン酸エステル系可塑剤及び水酸基を有するアミド系結晶核剤を含有する樹脂組成物であって、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、アジピン酸エステル系可塑剤を0.1〜3質量部、水酸基を有するアミド系結晶核剤を0.1〜2質量部含有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
  2. 示差走査熱量測定において、融点以上に溶融させた後、500℃/分の降温速度で0℃に冷却し、冷却後、500℃/分の昇温速度で75℃に加熱し、75℃を保持したときの等温結晶化曲線の発熱ピークがピークトップを示すまでの時間tmax75が2分以下である請求項1記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のポリ乳酸系樹脂組成物にて形成されていることを特徴とする成形体。
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