JP2007186810A - 溶融紡糸装置及び溶融紡糸方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】合成繊維の単糸デニールの小さな銘柄に対して、繊度斑を抑制するために、口金面の温度を均一に保ち、糸揺れが少ない紡糸を可能とする溶融紡糸装置を提供する。
【解決手段】熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント糸条群2をそれぞれ紡出するために並列に設けられた複数の紡糸口金1の下方にそれぞれ設けられた糸条冷却装置3と紡糸口金1との間にそれぞれ徐冷ゾーンが形成されたマルチフィラメント糸条の多錘溶融紡糸装置において、徐冷ゾーンからの気体の流出を防止するシール材4を設けて、シール材4を均熱体とするヒートパイプ5をシール材4中に埋設し、各口金1から紡出された各マルチフィラメント糸条2に対して糸条冷却装置3が有する円筒状の各冷却風吹出面からそれぞれ独立放射状の冷却風を各紡出糸条の外周から紡出糸条の中心へ近接した位置から冷却風を吹き付けることを特徴とする溶融紡糸装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエステル、ポリアミドなどの熱可塑性重合体を溶融紡糸する際に用いる溶融紡糸装置に関する。
ポリエステル、ポリアミドなどからなる熱可塑性重合体(以下、単に“ポリマー”ともいう)を紡糸口金から紡出した後、糸条を冷却する方法は熱可塑性合成繊維を生産するための溶融紡糸において一般的に行われているプロセスである。この溶融紡糸における冷却プロセスは、得られる糸の強度や伸度、染織性などに非常に大きな影響を与えることが知られている。したがって、高品質な熱可塑性合成繊維を得る上で冷却プロセスは、重要な役割を果たしている。
特に、近年においては、一つの紡糸口金(以下、単に「口金」という)から単糸繊度が小さいフィラメント群を紡出するようになってきている。例えば、単糸繊度が0.6デシテックス以下、特に0.3デシテックス以下の極細マルチフィラメント糸条の生産が行われるようになっている。
このように、一つの口金から多数本の極細フィラメント群を溶融紡糸においては、各フィラメント間に生じる繊度斑を制御することが非常に重要であり、このためには冷却プロセスを良好に行うことが必要であることが分かっている。したがって、繊度斑を解消して、均質なフィラメント群を安定して生産するための冷却技術が要求される。
一方、近年において、製糸効率を向上するために一台の溶融紡糸装置において、多数の口金を並列に設けて、これら口金群から多数本のマルチフィラメント糸条群を同時かつ並列に溶融紡糸する多錘糸条の溶融紡糸が行われるようになってきた。しかも、生産性を更に向上させるために、紡糸速度の高速化も図られるようになってきている。
このような状況にあるにも拘らず、衣料用長繊維の溶融紡糸に慣用されている従来の横吹き冷却装置によって、紡出糸条を冷却しようとすると、以下に述べるような問題が生じる。
すなわち、従来の横吹冷却装置を使用して、紡出されたフィラメント群を横切るように一方向から冷却風を走行糸条に対して垂直に吹き付けると、冷却風の吹付形態の違いに起因する冷却斑が発生する。つまり、冷却風が最初に到着する側(吹付側)に位置するフィラメント群と反吹付側に位置するフィラメント群との間で冷却状態が異なり、これによって冷却斑が発生する。
まず、紡出糸条と冷却風との間の熱交換性能は、糸条に吹き付ける冷却風の吹出流速を大きくすることによって改善される。しかし、冷却風の吹出流速を大きくすると、これに比例して風圧も増大する。このため、糸条の走行位置が冷却風に押されて反吹付側へ大きく膨らんでしまう。
そうすると、せっかく冷却風の速度を上げたにも拘らず、冷却効果が減少してしまう。また、冷却風の風速を上げれば上げるほど、冷却風の流動状態はますます乱され、その影響を受けて糸揺れが大きくなる。一般に、熱可塑性合成繊維の溶融紡糸において、糸揺れが発生すると、繊度斑が助長されることが知られている。したがって、このような状況が生じることは好ましいことではない。
そこで、紡出されたマルチフィラメント糸条に冷却斑が生じないようにするために、紡出された糸条に大きな糸揺れが生じない状態で効率よく冷却するように、冷却風を制御することが極めて重要となる。このような従来技術としては、例えば、特許文献1(特開平7−97709号公報)や特許文献2(特開2000−34615号公報)において、紡出糸条に吹き付ける冷却風を供給する冷却装置を口金直下に配置すると共に、紡出された糸条走の行方向に沿って一定長に渡って冷却風を均一かつ一定の風速で吹き出して、紡出糸条を冷却することが提案されている。
また、近年においてますます高速化する紡糸速度に伴って、走行糸条の周りに形成される随伴気流が糸揺れを惹起したり、冷却効率を低下させたりすることが知られている。そこで、前記従来技術においても、走行糸条の周りに生成される随伴気流を抑制する技術が提案されている。すなわち、これらの従来技術では、冷却装置から吹き出される冷却風を均一かつ一定風速に設定すると共に、様々な整流手段を用いて随伴気流の制御を行ったり、紡出糸条に吹き付ける気流の整流制御を行ったりしている。
それにもかかわらず、これらの従来技術においても、まだ充分に満足できる程度の繊度斑の改善ができていないのが現状である。特に、多錘の極細マルチフィラメント糸条の溶融紡糸工程における冷却プロセスにおいて、この問題がより深刻になっている。何故ならば、単糸繊度が小さくなればなるほど、口金を出たポリマーは、より急激に冷却固化されるからである。
そうすると、口金から紡出されたポリマーが冷却固化される位置が、ますます口金側に近づき、これに伴って、冷却風の吹出位置もより口金に近い位置となる。また、多錘化に伴って、隣接錘の影響を受けて錘間差が生じる。その結果、冷却風の影響や口金下方に設けた冷却装置の影響を受けて、口金のポリマー吐出面に温度分布斑が生じ、これによってポリマーの吐出斑を惹起し、繊度斑が引き起こされるという問題が生じる。
更に、以上に述べたような問題と共に、近年の高付加価値化や銘柄の差別化などの要求に応じて、一つの口金から紡出するフィラメントの数が90本以上のハイマルチの極細繊維も製造されるようになってきた。そうするとと、紡出されたフィラメント群間への冷却風の貫流性にも問題が生じて冷却効率が低下し、紡出されたフィラメント群をより均一に冷却することが困難となる。
この問題を解決するために、従来から種々の検討がなされている。例えば、特許文献3(特開平4−18107号公報)には、口金に穿設するポリマー吐出孔の配列を工夫して、冷却風の吹出し側と反吹出し側の紡出糸条2の冷却差を解消することが提案されている。また、冷却風が紡出フィラメント群間を容易に貫流できるように、冷却風の通過性を向上させることによって、冷却の不均一吹付けを解消することも提案されている。
しかしながら、この方法では、多ホール化や高速化による随伴気流の増大と、これによって誘起される糸揺れが原因となる繊度斑の発生については何等の考慮も払われていない。このため、特に、90ホール(90フィラメント)以上の多ホール紡糸や2500m/分以上の高速紡糸において、前記の糸揺れが顕著となる。
以上に述べたような背景から、多錘極細マルチフィラメント糸条の溶融紡糸においては、従来技術よりもより精密な冷却プロセスが要求されている。
特開平7−97709号公報 特開2000−34615号公報 特開平4−18107号公報
以上に述べた従来技術が有する問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、多錘極細マルチフィラメント糸条群2を溶融紡糸する際に、フィラメント群間や錘間において冷却斑が生じずに、均繊性に優れた良好な品質を安定して得ることができる溶融紡糸装置を提供することにある。
本発明は、前記課題を解決するために、本発明者等が鋭意検討した結果なされたものであって、下記の(1)〜(4)に述べるような構成を有する溶融紡糸装置と溶融紡糸方法である。
(1) 熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント糸条群をそれぞれ紡出するために並列に設けられた複数の紡糸口金の下方にそれぞれ設けられた糸条冷却装置と前記紡糸口金との間にそれぞれ徐冷ゾーンが形成されたマルチフィラメント糸条の多錘溶融紡糸装置において、
前記徐冷ゾーンからの気体の流出を防止するシール材を設けて、前記シール材を均熱体とするヒートパイプを前記シール材中に埋設し、前記各口金から紡出された各マルチフィラメント糸条に対して前記糸条冷却装置が有する円筒状の各冷却風吹出面からそれぞれ独立放射状の冷却風を各紡出糸条の外周から紡出糸条の中心へ近接した位置から冷却風を吹きつけることを特徴とする溶融紡糸装置。
(2) 前記シール材の上端部分又は下端部分が断熱材で形成された(1)に記載の溶融紡糸装置。
(3) 前記シール材が隣接する各錘を個別に仕切る仕切部材を兼ねる(1)又は(2)に記載の溶融紡糸装置。
(4) 円筒状の前記冷却風吹出面が冷却風の吹出風速と吹出方向を均一化する整流部材で構成された(1)に記載の溶融紡糸装置。
(5) (1)〜(4)の何れかに記載の溶融紡糸装置によって、単糸繊度が0.01〜0.6デシテックス、フィラメント数が90〜300フィラメントのポリエステルからなる極細マルチフィラメント糸条を溶融紡糸する溶融紡糸方法。
従来方式の冷却装置を用いた熱可塑性合成繊維の溶融紡糸装置では、特に極細糸の冷却において繊度斑の小さな糸条を得ることが困難とされていた。しかしながら、本発明に係る溶融紡糸装置では、円筒状整流体を有する冷却装置を用いて、従来よりも小さな風速を有する冷却風を紡出糸条により近接した位置から放射状に前記円筒状整流体から吹き付けることができる。
このとき、円筒状整流体は紡出されたフィラメント群の全外周側から中心側へと整流された冷却風を紡出糸条に近接した位置から狙い通りの方向へ風速を上げることなく吹き付けることができる。このため、冷却風の紡出フィラメント群間への貫流性が向上して冷却効率も上げることが出来る。その上、紡出糸条には大きな糸揺れが生じないから、糸揺れを抑制しながら紡出フィラメント群を良好に冷却できる。
以上に述べたように、本発明に係る溶融紡糸装置によれば、紡出糸条をより口金に近い上流側で熱交換効率よく良好に冷却することが可能となる。その結果として、冷却斑を惹起させることなく、紡出された糸条の冷却固化位置が口金側に近づけることができ、単糸繊度が0.01〜0.6デシテックス、より好ましくは0.01〜0.3デシテックスと小さく、しかも、フィラメント数が90〜300本のハイマルチフィラメントの極細繊維であっても、熱可塑性合成繊維を得ることを可能としたものである。
また、従来方式の冷却装置を用いた溶融紡糸装置では、冷却装置をより口金に近い位置に移動させることができると、冷却装置から吹き出される冷却風の影響によって口金のポリマー吐出面が冷却されてしまうという問題が生じる。さらに、多錘のマルチフィラメント糸条群を並列かつ同時に溶融紡糸しようとすると、隣接錘同士の干渉によって錘間差が生じるという問題もある。
しかし、本発明に係る溶融紡糸装置では、ヒートパイプを内部に組み込んで均熱化したシール材を使用して、冷却装置と口金部との間から気体が流出しないようにシールした密閉空間とするために、シール材を口金部と冷却装置との間に介在させている。このため、冷却風が口金面附近から流出して口金のポリマー吐出面を冷却してしまうことがない。また、シール材が口金のポリマー吐出面の温度分布を悪くするという問題も解消することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明に係る溶融紡糸装置の一実施形態例を模式的に示した概略構成図(一部に断面を含む)である。なお、この図1の例は、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの熱可塑性ポリマーからなる長繊維を溶融紡糸するための装置に係る実施形態を示したものである。
図1において、各参照符号について説明すると、1は紡糸パックに組み込まれた口金、2はマルチフィラメント糸条(フィラメント群)、3は糸条冷却装置、4はシール材、5はヒートパイプ、6は円筒状整流体、7は油剤付与装置、8と9は一対の引取ロ−ラ、そして、10は巻取機をそれぞれ示す。
ここで、本発明に係わる前記糸条冷却装置3は、図1に示したように、紡出糸条2の走行方向に沿って、円筒状の冷却風吹出面(円筒状整流体6)を有する。このとき、図1において矢印で示したように、冷却風は送風機などの冷却風供給手段(図示せず)によって円筒状整流体6へ送られる。そして、この円筒状整流体6の冷却風吹出面である内周面からその内部を走行するフィラメント群2に対して整流された均一かつ一定速度を有する冷却風が吹き出される。なお、このとき、冷却風は、走行糸条2の全外周側から内部(中心部)に向かって吹き出される。
このようにして、口金1より紡出された多錘のマルチフィラメント糸条2群は、糸条冷却装置3より放射状に吹き付けられる冷却風により充分な冷却固化が得られる温度以下にまでそれぞれ冷却される。そして、前記糸条冷却装置3の下方に設置された油剤付与装置7によって油剤が付与された後に、必要に応じて交絡処理などを施した後、引取ロ−ラ8及び9に引き取られて巻取機10に巻き取られる。
図1に示すように、本発明に係る糸条冷却装置では、その内部に設けた円筒状整流体6の内周面(冷却風の吹出面)から放射状に整流された一定風速の冷却風を均一に吹き出す。しかも、冷却風の吹出面と糸条群2との間の距離を短く設定することができるため、至近距離から冷却風を紡出糸条2に吹き付けることができる。
そうすると、紡出フィラメント群2の全外周からその中心へと風速が小さい冷却風を良好に貫通させることが可能である。このため、円周方向から均一に吹き付けられた冷却風により、フィラメント群2には大きな糸揺れが発生することがない。したがって、良好かつ均一に紡出糸条2を冷却斑の発生を抑制しながら冷却することができる。
また、単糸繊度の小さな銘柄においては、口金1に近い位置で極力急冷し、固化点を上流側に形成することによって、紡糸張力を増大させて紡出糸条の揺れを少なくすることが溶融紡糸技術として重要である。したがって、本発明に係る糸条冷却装置3を用いることで糸揺れを抑制しながら急冷することが可能である。
ところが、本発明に係る糸条冷却装置3によって、紡出糸条2をより口金1に近い上流側で熱交換効率よく良好に冷却することが可能となると、逆に、口金1のポリマー吐出面が冷却風の影響を受け易くなる。また、口金1の下方に設置する糸条冷却装置3が口金1の温度に干渉するという事態が生じる。
すなわち、従来方式の冷却装置を用いた溶融紡糸装置では、冷却装置をより口金に近い位置に移動させることができると、冷却装置から吹き出される冷却風の影響によって口金のポリマー吐出面が冷却されてしまうという問題が生じる。さらに、多錘のマルチフィラメント糸条2群を並列かつ同時に溶融紡糸しようとすると、隣接錘同士の干渉によって錘間差が生じるという問題もある。
このような問題は、口金1が装着された紡糸パックの下端と糸条冷却装置3の上端部との間に隙間があるときに深刻となる。何故ならば、糸条冷却装置3の上端側から吹き出された冷却風が口金1と糸条冷却装置3との間に生じた隙間から流出し、その結果、口金1のポリマー吐出面を冷却してしまうからである。
そうすると、口金1に生じた温度差に起因してポリマーの吐出斑が発生し、単糸繊度斑が発生することとなる。更に、酷い場合には、断糸が発生するなど紡糸調子を極めて悪化させる。したがって、口金1と糸条冷却装置3との間の隙間を閉塞する必要があり、シール材4を使用することで密閉構造とする必要がある。
そこで、本発明に係る溶融紡糸装置では、図1に示すように、糸条冷却装置3の上端部と紡糸パックの下端部との間にシール材4設けて、このシール材4と完全に接触させ密閉化する。しかしながら、この密閉化をシール材4によって実施すると、紡糸パックに当接する接触圧力と、糸条冷却装置3に当接する接触圧力とを均一にすることが難しい。
また、当然のことながら、口金1の温度と糸条冷却装置3の温度との間には大きな温度差がある。したがって、シール材4を介して、紡糸パック(口金1)から糸条冷却装置3側への熱移動(熱流)が生じる。
もし、この熱流が良好に制御されなければ、紡糸パック(口金1)からシール材4を通して不均等に熱が逃げてしまい、口金1のポリマー吐出面に大きな温度斑分布が生じる原因となる。その結果、ポリマーの吐出不良が生じ、断糸や口金1面の温度斑による物性の錘間差を誘発して、糸物性のばらつきが発生する。
そこで、本発明においては、シール材4の内部に図2に例示したようなヒートパイプ5を組み込み、積極的に熱的に均一なシール材4を実現する。なお、このシール材4の材質としては、少なくともお互いに温度差が大きな接触部分(特に、シール材4と糸条冷却装置3との接触部)については、断熱性の高い材料とすることが好ましい。
ここで、ヒートパイプについて簡単に説明すると、ヒートパイプ5は、管の内壁に毛細管構造の網目状材料(図2に示した「ウィック材」が相当する)を内張りした金属製のパイプであり、内部は真空にされており、少量の熱媒が封入された構造となっている。
なお、前記ウィック材としてはパイプの内面に内張りされたガラス繊維、セラミックス繊維、網状の銅線等が使用される。また、ヒートパイプ5の管材としては、熱膨張率の小さなステンレス材や熱伝導性が良く且つ安価な銅材やアルミニウム合金を用いることができる。
更に、ヒートパイプ5に封入する熱媒としては、紡糸温度条件に対応させて、水、アンモニア、フレオン、ペンタン、アセトン、メタン、メタノール、エタノールなどを使用することができ、また、これらの熱媒を2種以上組み合わせて使用することもできる。
溶融紡糸プロセスにおいては、口金1の直下部には、徐冷ゾーン(この領域は所定の温度に加熱された雰囲気にされているので「ホットゾーン」とも言われる)が設けられ、この部分に本発明に係る前記シール材4が設けられる。したがって、この徐冷ゾーンは均一な加熱温度に維持されていることが好ましいことはいうまでもない。したがって、この点からもシール材4を均熱化することが好ましい。
このヒートパイプ5では、図2に示すように、その一方端を加熱すると、内部の液体が蒸発して気化し、潜熱(気化熱)として熱が熱媒に取り込まれる。ついで、加熱された熱媒は、低温部へほぼ音速で移動し、そこで冷やされてまた液体に戻り、凝縮潜熱による熱放出をする。そして、凝縮した液体は重力あるいは毛細管構造のウィックを通って元の場所へ戻る。
なお、図2では、ヒートパイプの受熱部と放熱部は、その一方端が常に受熱部で他方端が放熱部であるということはなく、受熱部と放熱部は互いに入れ違ってもよい。すなわち、図2に例示した受熱部と放熱部とがそれぞれ放熱部と受熱部に入れ替わってもその機能を発揮する。
したがって、ヒートパイプ5を使用することによって、温度分布差があっても高温側から低温側へと連続的に効率よく熱を移動させることができる。このように、ヒートパイプ5という閉ループの電熱素子を使用すると、液体の蒸発と凝縮の潜熱を利用して、小さな温度差が生じても高温側から低音側へと大量の熱輸送が可能となる。
その結果、シール材4に僅かな温度分布斑が発生したとしても、きわめて効果的に温度分布差を解消して、均熱化することができる。なお、ヒートパイプ5は、例えば1℃の温度差が生じていても作動する。したがって、ヒートパイプ5をシール材4の内部に組み込むことによりシール材4の全体の温度差が1℃以内の均熱体とすることができる。このとき、ヒートパイプ5の形状としては、紡出されるマルチフィラメント糸条のそれぞれに対して、これを取り囲むような円弧形状に内部空間が潰れてしまわないように曲げて、シール材4中に埋設することが好ましい。
また、設置するヒートパイプ5の数としては、各口金1のポリマー吐出面の温度分布差がなくなるように、シール材4の均熱化が十分に達成される数であることが必要である。したがって、通常、一つの口金当り1〜8本程度のヒートパイプを、徐冷領域を取り囲むように温度分布差が生じる箇所に対してその受熱部と放熱部とがそれぞれ位置するように円弧状に曲げられた状態で設ければ充分である。
以上に述べたように、ヒートパイプ5によって、口金1のポリマー吐出面からシート材4への不均等な熱移動を防止するためにシール材4全体を均熱化する。そして、このようにしてシール材4を均熱化すると、口金1のポリマー吐出面の温度分布が均一なものとなる。更に、前述の糸条冷却装置3からの小さな風速を持つ冷却風とを併用することで、より糸揺れを抑制しながら急冷を実現できる。その結果、断糸や各フィラメント間あるいは錘間において生じていたマルチフィラメント糸条2の冷却斑を解消することができる。
このようにして、糸条冷却装置3の上端部と口金1を組み込んだ紡糸パックの下端部とに設けたシール材4の内部に熱輸送装置としてヒートパイプ5を組み込み、シール材4を積極的に均熱化する。その結果、口金1のポリマー吐出面の温度分布斑を抑制することができ、紡出糸条2の急冷を実現しながら均一な冷却を行うことができるようになった。
以上に述べたように、徐冷ゾーンからの気流の流出を防止するためのシール材4の均熱化が実現できる。その結果として、各紡出糸条2の徐冷ゾーンを各錘毎に個別に独立して仕切る仕切部材をシール材4に兼用させても、口金1のポリマー吐出面の温度分布斑を悪化させることがない。また、シール材4を各錘毎に個別に独立して設けることなく、少なくとも2錘を一組として一体物として、多錘紡糸装置に取付けることができる。
また、徐冷ゾーンと冷却風吹付ゾーンでの糸揺れを極限迄抑制する技術に加え、油剤付与装置6を上流側に移動させ、紡出糸条2が初めて接触支持される糸条集束位置をより短くすることも可能とした。したがって、紡出糸条2がフリー走行する距離を短縮できるため、糸揺れ防止をより効果的なものにすることができる。
糸条2の固化が遅い場合、油剤付与装置7と糸条2との摩擦抵抗が大きくなり、擦過による単糸切れ、または断糸を誘発することが分かっている。本発明に係る糸条冷却装置3を用いた場合、従来装置に対して、糸条2の固化点を上流側、つまり口金1側に移行することが可能であるため、油剤付与装置7の上流側への移動も実現できる。
また、図1に例示した糸条冷却装置3に使用する円筒状整流体6については、最も重要なパーツであるが、本パーツを構成する材料としては、市販されている紙を素材とした多孔質体や焼結金属を材料とした多孔質体、また市販の金網を積層した整流体、更には市販のパンチングプレートを数枚積層し、金網との組み合せなどにより任意の圧力抵抗を発生させるように設定しても良い。
一般的にはコスト低減のために紙を素材とした市販の多孔質体を用いることが望ましいが、高温における耐久性、また圧力抵抗に対する固体差などを考慮すると焼結金属体や金網とパンチングプレートを組み合わせた整流体を用いる方が効果的である。このように、本発明に係る溶融紡糸装置を通じて得られた合成繊維は高品位な物性を得られる他、特に染織性に富んだ均質な製品となる。
なお、本発明においては、以上に述べた溶融紡糸装置を使用することによって従来の方法と比較して繊度斑が抑制される。したがって、その結果として、単糸繊度が0.01〜0.6デシテックス(好ましくは0.01〜0.3デシテックス)、フィラメント数が90〜300フィラメントのポリエステルからなる極細マルチフィラメント糸条であっても良好に溶融紡糸することができる。
本発明に係る熱可塑性合成繊維の溶融紡糸装置の一例を示す概要図である。 ヒートパイプを模式的に例示した斜視図である。
符号の説明
1:紡糸口金
2:マルチフィラメント糸条
3:糸条冷却装置
4:シール材
5:ヒートパイプ
6:円筒状整流体
7:油剤付与装置
8:引取ローラ
9:引取ローラ
10:巻取機

Claims (5)

  1. 熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント糸条群をそれぞれ紡出するために並列に設けられた複数の紡糸口金の下方にそれぞれ設けられた糸条冷却装置と前記紡糸口金との間にそれぞれ徐冷ゾーンが形成されたマルチフィラメント糸条の多錘溶融紡糸装置において、
    前記徐冷ゾーンからの気体の流出を防止するシール材を設けて、前記シール材を均熱体とするヒートパイプを前記シール材中に埋設し、前記各口金から紡出された各マルチフィラメント糸条に対して前記糸条冷却装置が有する円筒状の各冷却風吹出面からそれぞれ独立放射状の冷却風を各紡出糸条の外周から紡出糸条の中心へ近接した位置から冷却風を吹きつけることを特徴とする溶融紡糸装置。
  2. 前記シール材の上端部分又は下端部分が断熱材で形成された請求項1に記載の溶融紡糸装置。
  3. 前記シール材が隣接する各錘を個別に仕切る仕切部材を兼ねる請求項1又は請求項2に記載の溶融紡糸装置。
  4. 円筒状の前記冷却風吹出面が冷却風の吹出風速と吹出方向を均一化する整流部材で構成された請求項1に記載の溶融紡糸装置。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の溶融紡糸装置によって、単糸繊度が0.01〜0.6デシテックス、フィラメント数が90〜300フィラメントのポリエステルからなる極細マルチフィラメント糸条を溶融紡糸する溶融紡糸方法。
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