JP2009068154A - 糸条冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】円筒状の糸条冷却装置において、銘柄に対応した、特に繊度の太い銘柄に対応した吹出し長を変更することができる糸条冷却装置を提供する。
【解決手段】溶融した熱可塑性ポリマーを吐出してマルチフィラメンと糸条として紡出するために、多重円同心円上に穿設された紡糸孔群を有する紡糸口金1の下方に配設され、更に、その内部を走行する紡出糸条2を冷却するための冷却風を糸条の外周側から内周側へ向って放射状に吹き出す円筒状の冷却風吹出面を備えた糸条冷却装置3において、冷却風吹出面から吹き出す冷却風の吹出長を調節自在の冷却長調節部材11を円筒状冷却風吹出面の内壁面および/または外壁面に沿って下端から嵌挿し、前記冷却風吹出面の冷却長を調節自在とする。
【選択図】図1
【解決手段】溶融した熱可塑性ポリマーを吐出してマルチフィラメンと糸条として紡出するために、多重円同心円上に穿設された紡糸孔群を有する紡糸口金1の下方に配設され、更に、その内部を走行する紡出糸条2を冷却するための冷却風を糸条の外周側から内周側へ向って放射状に吹き出す円筒状の冷却風吹出面を備えた糸条冷却装置3において、冷却風吹出面から吹き出す冷却風の吹出長を調節自在の冷却長調節部材11を円筒状冷却風吹出面の内壁面および/または外壁面に沿って下端から嵌挿し、前記冷却風吹出面の冷却長を調節自在とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの熱可塑性ポリマーからなる合成繊維を溶融紡糸する際に用いる糸条冷却装置に関する。
熱可塑性ポリマーを吐出口金から溶融押し出しした後、糸条を冷却する方法は合成繊維を生産する一般的なプロセスである。合成繊維の冷却プロセスは高品質な糸を得る上で重要な役割を果たしており、特に衣料用長繊維の溶融紡糸プロセスでは紡糸後の糸強度や伸度、染織性に非常に大きな影響を与えることは従来から知られていることである。
特に近年は、一つの口金から多数本の細い単繊維(フィラメント)を紡出するようになってきており、単繊維繊度が0.3デシテックス以下の繊維も生産が可能になってきている。このように、一つの口金から多数本の細い糸を紡糸するプロセスにおいては、糸条の繊度斑を制御することが非常に重要であり、均質な糸条を安定して生産するための技術が必要である。
そこで、従来の技術においても、特許文献1(特開平7−97709号公報)や特許文献2(特開2000−34615号公報)に開示されているように、単繊維の細繊度化と単繊維数の多数本化にともなう課題を解決するための技術が数多く提案されてきた。
しかし、これらの従来技術では、走行糸条に対して横側から一方向に冷却風を供給するための冷却装置を口金直下に配置し、糸条の走行方向に沿って一定長さの冷却風の吹き出し長さを設定し、均一且つ一定風速を有する冷却風の供給、走行する糸条周りの随伴気流の制御、そして、糸条冷却装置から供給される冷却風の乱れの制御等を中心に対策が採られてきた。
更には、吹き出し面全体に渡って、一定風速となるよう、また冷却風に乱れが発生しないように、冷却装置の吹き出し面に金網やパンチングプレート、多孔質金属等を設置し、冷却風の供給元が有している気流乱れを様々な圧力抵抗低体を用いて制御し、更には冷却装置と糸条との間に整流装置を設置し、均一な気流を糸条に供給する等の方法が古くから利用されている。
以上に述べた従来技術では、冷却装置から紡出された糸条を冷却するために供給される冷却風を均一且つ一定風速に設定し、且つ気流が供給された後に様々な整流装置等を用いて制御している。それにもかかわらず、特に極細の多フィラメント糸の溶融紡糸において、繊度斑や染着斑といった問題を改善することができず、それ故に、溶融紡糸工程における冷却プロセスを更に改善することが求められている。
そこで、この問題を解決するために、特開2004−300614号公報、特開2003−253522号公報などにおいて提案されている技術を用いる方法がある。この方法は、独立した円筒形状を有する冷却風吹出装置の円筒内に多数の単繊維群からなる紡出糸条を導入し、円筒状の冷却風吹出面から冷却風を放射状に吹き出して紡出糸条を冷却するものである。
この技術は、は従来からステープルファイバーや工業用繊維の原糸を溶融紡糸するプロセスとして使用されてきた経緯がある。しかし、衣料用長繊維のように染色や風合いといった物性を重要視する工程においては、前述の円筒状の糸条冷却装置が利用されるようになってきたのは近年である。
確かに、円筒状の糸条冷却装置を使用することにより、冷却対象である紡出糸条と冷却風吹出面との間の距離を小さく保つことができ、しかも、単繊維繊度が非常に小さく、かつ単繊維数が非常に多い紡出糸条であっても、この紡出糸条に対して包み込むように放射状に冷却風を供給することができる。このため、冷却風と紡出糸条との間の熱交換効率が大きく向上するので、冷却風の流速を大きく上げる必要がなくなり、冷却風による糸揺れなどに起因する冷却斑や繊度斑が大きく改善される。
しかしながら、この円筒状の糸条冷却装置を衣料用長繊維の紡糸プロセスに適用しようとすると、未だ解決しなければならない問題が幾つかある。例えば、この円筒状の糸条冷却装置は、極細繊維用途として開発されてきた経緯があって、一般的には冷却風の吹出長が短いという問題がある。このため、銘柄の多様化を行なおうとして、繊度の大きな太い繊維径を有する銘柄を溶融紡糸する際には冷却長が不足するという問題が生じる。
以上に説明した従来技術が有する諸問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、紡出された糸条を取囲んで外側から放射状に冷却風を供給する円筒状の糸条冷却装置を適用して高品位な糸条を生産に際して、多銘柄化に伴って、単繊維径が細いものから太いものまで溶融紡糸する必要が生じても、柔軟かつ容易に糸条冷却装置の変更が可能な生産効率に優れた糸条冷却装置を提供することにある。
ここに、上記課題を解決するための発明として、「溶融した熱可塑性ポリマーを吐出してマルチフィラメンと糸条として紡出するために、多重円同心円上に穿設された紡糸孔群を有する紡糸口金の下方に配設され、更に、その内部を走行する前記紡出糸条を冷却するための冷却風を前記糸条の外周側から内周側へ向って放射状に吹き出す円筒状の冷却風吹出面を備えた糸条冷却装置において、
前記冷却風吹出面から吹き出す冷却風の吹出長を調節自在の冷却長調節部材を前記円筒状冷却風吹出面の内壁面および/または外壁面に沿って下端から嵌挿し、前記冷却風吹出面の冷却長を調節自在としたことを特徴とする糸条冷却装置。」が提供される。
前記冷却風吹出面から吹き出す冷却風の吹出長を調節自在の冷却長調節部材を前記円筒状冷却風吹出面の内壁面および/または外壁面に沿って下端から嵌挿し、前記冷却風吹出面の冷却長を調節自在としたことを特徴とする糸条冷却装置。」が提供される。
円筒状の糸条冷却装置を用いた合成繊維生産設備では、特に極細マルチフィラメント糸条の冷却において、錘間物性差の小さな糸条を得ることが可能であるが、極細以外のマルチフィラメント糸条を冷却しようとする場合には、糸条冷却装置の大幅な設備改造を必要としていた。
しかし、本発明に係る円筒状の糸条冷却装置では、このような大幅な設備改造を行なわなくとも、冷却風の吹出長を簡単かつ容易に変更することができる仕様としている。このため、1台の円筒状の糸条冷却装置で、繊度の小さい(単繊維径の細い)銘柄から繊度の大きい(単繊維径の太い)銘柄まで多銘柄にわたって柔軟に対応できる。そして、その結果として、生産性向上と生産コストの低減が可能となるという格別顕著な効果を奏する。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る糸条冷却装置を適用した溶融紡糸装置の一実施形態を例示した概略の全体構成図である。この図1において、溶融紡糸装置には口金1が装着され、この口金1からポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの熱可塑性ポリマーからなる合成繊維であるマルチフィラメント糸条2(以下、単に「糸条2」と言う)が紡出される。
図1は、本発明に係る糸条冷却装置を適用した溶融紡糸装置の一実施形態を例示した概略の全体構成図である。この図1において、溶融紡糸装置には口金1が装着され、この口金1からポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの熱可塑性ポリマーからなる合成繊維であるマルチフィラメント糸条2(以下、単に「糸条2」と言う)が紡出される。
このとき、前記口金1の下方には、紡出された糸条2を冷却するための円筒状の糸条冷却装置3が配設されており、この糸条冷却装置3の上端部には、紡出された糸条2が通過する通過孔が穿設された仕切り板5が設けられており、更に、この仕切り板5と口金1との間には、シール構造体4が設けられている。したがって、これらシール構造体4と仕切り板5が互いに協働することによって、口金1の直下の紡糸領域(冷却風による強制冷却を伴わない徐冷領域である)へ冷却風などが進入しないようにされている。
その際、前記糸条冷却装置3には、冷却風を吹き出すための円筒形状を有する冷却風吹出面6が設けられており、この冷却風吹出面6には、冷却風の吹出方向を放射方向に整流しながら吹出流速も均一化するための円筒状整流体6が設けられている。したがって、冷却風は、円筒状の冷却風吹出面6から、均一な流速で円筒中心に向かって放射状に吹き出される。なお、吹き出された冷却風は、既に説明した仕切り板5の作用によって、紡糸口金直下の徐冷ゾーン(冷却風による強制冷却ではなく、紡出糸条がそのままの雰囲気温度で冷却されるゾーン)への進入が妨げられることは言うまでもない。
なお、本発明に用いる口金1としては、2重〜3重の同心円群からなる多重の同心円群上に、多数のポリマー吐出孔(紡糸孔)が穿孔されたものを用いることが望ましい。何故ならば、本発明に係る糸条冷却装置3においては、円筒状の冷却風吹出面6から放射状に冷却風が吹き出されるからである。その結果として、口金1から多重円筒状に紡出された単繊維群からなるマルチフィラメント糸条2の冷却過程において、各単繊維間に冷却斑が生じず、より均一な冷却が可能となるからである。
以上に説明したような状況下で、口金1から多重円筒状に紡出された単繊維群からなるマルチフィラメント糸条2は、糸条冷却装置3へと導入されると、前述の円筒形状を有する冷却風吹出面6から放射状に吹き出された冷却風によって、例えばポリエステル繊維であれば、ガラス転移点以下まで冷却されることになる。このようにして冷却が完了すると、引き続いて糸条冷却装置3の下方に配設された油剤付与装置7によって油剤を付与される。
その後に、必要に応じてマルチフィラメント糸条2を構成する単繊維群を互いに交絡させる市場交絡装置(図示せず)を経て、第1引取ローラ8、第2引取ローラ9によって所定の紡糸速度で引き取られ、最終的に巻取機10にて糸条パッケージとして巻き取られる。
以上に説明したように構成される本発明の糸条冷却装置3の内部に設けられる円筒状の冷却風吹出面6は、冷却風を整流しながら吹き出す整流効果を備えており、従って、ハニカムや平行積層板などからなる整流構造体としての機能を備えている。また、周知の焼結多孔体や多孔板などからなる冷却風の均圧化手段としての機能を備えていることは言うまでもない。
したがって、冷却風吹出面6から放射状に吹き出される冷却風によって、その内部を走行するマルチフィラメント糸条2は効果的に冷却される。なお、このとき行われる冷却過程は、従来の横吹式冷却装置による冷却方法と比較すると、以下に説明するような極めて優れた作用効果を発揮する。
つまり、従来の1.0デシテックス以下の単繊維群からなる極細マルチフィラメント糸条2の溶融紡糸では、単繊維の繊度が小さいが故に、冷却風の風圧による糸揺れ、あるいは、冷却風の吹付け面と反吹付け面での冷却斑の発生に対して細心の注意を払わなければならなかった。しかも、このような細心の注意を払っても単繊維の繊度がより小さくなり、糸条2を構成する単繊維(フィラメント)の数が100本以上のハイマルチとなると、その冷却方法に限界が生じていたことは既に述べたとおりである。
これに対して、円筒状の冷却風吹出面6の内部に前記糸条2を通過させて冷却する本発明に係る糸条冷却装置3では、一錘ごとの各糸条に対して独立に一対一で対応する円筒状の冷却風吹出面6の全周面から放射状に吹き出される冷却風によって、口金1から紡出されて走行する糸条2に対して、近接した位置から糸条2の外周側から内周側へと各糸条2を包み込むように冷却風を作用させることができる。このため、一方方向からのみ冷却風を吹きつける横吹冷却方式のように、冷却風の吹出面側と反吹出面側での冷却斑の発生がない。
しかも、冷却風の風速を上げることなく、比較的弱い冷却風であっても、単繊維群間へ冷却風を容易に貫流させることができ、極めて効率の良い冷却が可能となる。このため、単繊維の繊度が小さな極細繊維であっても、従来のような大きな糸揺れかぜ発生することがないため、冷却斑の抑制をより効果的に行なうことができる。したがって、本発明の糸条冷却装置3は、0.1デシテックス以下で100フィラメント以上の単繊維群からなるマルチフィラメント糸条2の溶融紡糸に極めて適合している。
ところが、糸条冷却装置3を前述のような極細繊維の溶融紡糸装置専用に設計してしまっては、高付加価値や銘柄の差別化に対応して、種々の銘柄の繊維を紡糸しなければならないという極めて今日的な要求に対して対応が困難となる。そこで、溶融紡糸する銘柄の種類や繊度に柔軟に対応できる糸条冷却装置3が要求されるのである。以下、本発明の糸条冷却装置3が有するこの一大特徴について、図1を参照しながら詳細に説明する。
本発明に係る糸条冷却装置では、糸条2の冷却能力に関して、単繊維の繊度が最も大きい糸条、即ち、単繊維径が最も太い糸条2を基準に設計する。そして、これより単繊維の繊度が小さい糸条2については、極めて容易かつ簡単に着脱自在の冷却能力の調整部材を設けることによって対応する。
具体的には、図1に例示したように、円筒状の冷却風吹出面6に対して、底板12を取り外して、その下端から円筒状の冷却長調節部材11を冷却風吹出面6の外壁に沿うように嵌挿した後に、前記底板12を元に戻す。その結果、冷却長調節部材11が嵌挿された冷却風吹出面6の部分は遮られて冷却風は最早吹き出されなくなる。
以上は、円筒状の冷却長調節部材11を冷却風吹出面6の外壁に沿うように嵌挿した場合の実施例である。しかし、本発明では、この実施例に限定されることなく、冷却長調節部材11’を冷却風吹出面6の外壁にではなく内壁に沿うように嵌挿しても良い。なお、この場合は、底板12を取り外す必要がないため、冷却長の調節がより簡単且つ容易にできることとなる。
そうすると、冷却長調節部材11を嵌挿した部分の距離Lだけ冷却風の吹出長が短くなるので、この短くなった分Lだけ、冷却能力を調節する(冷却能力を低下させる)ことができるから、細い単繊維径を有する糸条2の冷却条件に対しても容易に適合させることができる。このようにして、本発明に係る糸条冷却装置3では、溶融紡糸する糸条の銘柄毎に冷却風吹出面6の吹出長を容易かつ簡易に変更することができので、より柔軟な生産計画を行なうことができる。
その結果として、1台の糸条冷却装置3だけで単繊維径の細い銘柄から太い銘柄まで容易かつ柔軟に対応でき、これによって、1台の糸条冷却装置3を微調整するだけで複数銘柄の生産を可能とし、生産効率向上と生産コストの低減に大きく寄与できる。また、単一種ポリマーからなる繊維の溶融紡糸だけでなく、複数種ポリマーからなる複合繊維、あるいは、単繊維繊度やフィラメント数などの異なる仕様の複数錘の糸条を紡糸混戦する場合にも柔軟に対応することができる。
1:口金
2:マルチフィラメント糸条
3:糸条冷却装置
4:シール構造体
5:仕切り板
6:円筒状の冷却風吹出面
7:油剤付与装置
8:第1引取ローラ
9:第2引取ローラ
10:巻取り装置
11,11’:冷却長調節部材
12:底板
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Claims (1)
- 溶融した熱可塑性ポリマーを吐出してマルチフィラメンと糸条として紡出するために、多重円同心円上に穿設された紡糸孔群を有する紡糸口金の下方に配設され、更に、その内部を走行する前記紡出糸条を冷却するための冷却風を前記糸条の外周側から内周側へ向って放射状に吹き出す円筒状の冷却風吹出面を備えた糸条冷却装置において、
前記冷却風吹出面から吹き出す冷却風の吹出長を調節自在の冷却長調節部材を前記円筒状冷却風吹出面の内壁面および/または外壁面に沿って下端から嵌挿し、前記冷却風吹出面の冷却長を調節自在としたことを特徴とする糸条冷却装置。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103820867A (zh) * | 2014-03-11 | 2014-05-28 | 江苏恒科新材料有限公司 | 一种制取超细旦丝的环吹风冷却装置 |
CN109594138A (zh) * | 2019-01-16 | 2019-04-09 | 湖北天运消音防振新材料有限公司 | 一种中空涤纶纤维生产线循环冷却装置 |
CN113174644A (zh) * | 2021-03-06 | 2021-07-27 | 浙江恒优化纤有限公司 | 半消光圆孔poy合股丝的纺丝设备及纺丝工艺 |
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2007
- 2007-09-18 JP JP2007240933A patent/JP2009068154A/ja active Pending
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