JP2010077553A - フィラメント糸の製造装置および方法 - Google Patents

フィラメント糸の製造装置および方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010077553A
JP2010077553A JP2008245424A JP2008245424A JP2010077553A JP 2010077553 A JP2010077553 A JP 2010077553A JP 2008245424 A JP2008245424 A JP 2008245424A JP 2008245424 A JP2008245424 A JP 2008245424A JP 2010077553 A JP2010077553 A JP 2010077553A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
filament yarn
yarn
airflow
traveling
air flow
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008245424A
Other languages
English (en)
Inventor
Masakazu Kodera
将一 小寺
Seiji Mizukami
誠二 水上
Shoji Funakoshi
祥二 船越
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2008245424A priority Critical patent/JP2010077553A/ja
Publication of JP2010077553A publication Critical patent/JP2010077553A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Abstract

【課題】糸の太さや物性等の均斉性や強度・伸度等の品質に優れたマルチフィラメント糸を、安定して製造することが可能なフィラメント糸の製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】紡糸口金1に穿設された複数の吐出孔の配列が、非穿設部によって少なくとも2群に分割され、非穿設部に対応してフィラメント糸の走行経路方向に沿ってフィラメント糸の非走行領域を設ける。紡糸口金から紡出されたフィラメント糸を、外周側から内向きに気流を吹き付けて冷却する環状の気流吹き出し面を有する内吹き環状冷却手段8を配設すると共に、前記2群以上に分割されたフィラメント糸の走行経路の内側非走行領域と外側非走行領域とを連結する連結部非走行領域および該連結部非走行領域の外側近傍と内側近傍の少なくとも一部に、フィラメント糸の走行経路方向に沿って延在する、通気性を持った気流整流手段5を配設する。
【選択図】図1

Description

本発明は、フィラメント糸の製造装置および方法に関する。
ポリエステルやポリアミド等の熱可塑性ポリマーから構成されるマルチフィラメント糸は、一般に溶融紡糸、即ち、紡糸パックに供給された溶融した熱可塑性ポリマーを紡糸パックに装備された紡糸口金からマルチフィラメント糸として紡出し、空気流を吹付ける冷却手段により冷却、固化させた後、油剤付与等を施され、同工程あるいは別工程で必要に応じ延伸されて巻き取られ、得られている。
上記した様な熱可塑性ポリマーから構成されるフィラメント糸は、衣料用分野、産業用分野等の非常に幅広い分野で活用されており、例えば衣料用分野においては、ソフトな風合い等を付与する狙いで、単糸細繊度化・多フィラメント化の試みがなされている。さらに近年、高い生産効率と低生産コストを実現するため、1つの紡糸口金から複数のフィラメント糸を得る多糸条化の試みがなされている。
しかし、単糸細繊度化・多フィラメント化すると、溶融紡糸工程で次の様な問題が発生することが知られており、品質向上や生産性向上、延いては拡販や用途拡大の妨げとなっている。主な問題としては、多フィラメント化すると、溶融紡糸で実施される冷却を、マルチフィラメント糸の各単糸に対して均一に行うことが困難となり、冷却斑や糸揺れ等が発生し、糸の太さ斑等が極めて悪化する問題が挙げられる。
そこで従来から、これら問題を解決するため、冷却手段等の改良を試みた様々な方法が提案されている。
一般に溶融紡糸において、冷却手段としては、円形の紡糸口金から紡出されるマルチフィラメント糸を一方向からの空気流を吹き付けて冷却する手段が知られている。この冷却手段を以下ユニフロ冷却手段と呼ぶこととする。このユニフロ冷却手段は極めて構造が単純で、最も溶融紡糸の冷却に適用されている冷却手段である。しかし、マルチフィラメント糸の内、空気流吹き出し面に近い側の単糸は充分冷却されるが、遠い側の単糸は充分に冷却され難い。また、空気流吹き出し面に対向する反対側の面が開放されているため、現場雰囲気の外乱を受け易い。そのため、特に多フィラメント化すると、冷却斑や糸揺れ等が発生し、糸の太さ斑等が極めて悪化する問題があった。
これに対し、均一な冷却を行うため、マルチフィラメント糸の各単糸を紡出する吐出孔を、紡糸口金中心を中心として紡糸口金に円周状に配列し、更に円筒状の空気流吹き出し部を設けて、マルチフィラメント糸を、内周側から、あるいは外周側から、空気流を吹き付けて冷却する手段が知られている。マルチフィラメント糸を内周側から空気流を吹き付けて冷却する手段を、外吹き環状冷却手段、外周側から空気流を吹き付けて冷却する手段を内吹き環状冷却手段と以下呼ぶこととする。これら手段によれば、マルチフィラメント糸を円周状に配列し、内周側あるいは外周側からの空気流で、全円周にわたって冷却できるため、ユニフロ冷却手段に対し、冷却斑や糸揺れ等の抑制が期待できるポテンシャルの高い手段と考えられる。しかしながら、外吹き環状冷却手段は、円周状に配列されたマルチフィラメント糸の内周側から空気流を吹き付けて冷却するため、空気流はマルチフィラメント糸の外周側に向かって放射状に拡散し減速されるため、冷却能力が低く多品種対応等の汎用性に欠ける問題がある。また、上記した様に空気流が外周側に向かって放射状に拡散し減速され、且つ開放系である結果、ユニフロ冷却手段と同様に現場雰囲気の外乱を受け易い問題もある。これに対し、本発明者らの知見によれば、内吹き環状冷却手段は、円周状に配列されたマルチフィラメント糸の外周側から空気流を吹き付けて冷却するため、空気流はマルチフィラメント糸の内周側に向かって合流、増速されるため、冷却能力が高く多品種対応等の汎用性に富み、またマルチフィラメント糸の外周側に空気流吹き出し部が配置されるため、現場雰囲気の外乱を受け難い。従って、内吹き環状冷却手段は、均一冷却、冷却能力、汎用性等に優れたポテンシャルの高い冷却手段と考えられるのである。
また、多糸条化についても、さまざまな問題が発生することが知られており、紡糸口金に穿設されるフィラメント糸の各単糸を紡出する吐出孔の配列を少なくとも2群に分割するために設けられる吐出孔非穿設部に対応して、フィラメント糸の走行経路方向に沿ってフィラメント糸の非走行領域を有するため、このフィラメント糸の非走行領域内であって、2群以上に分割されたフィラメント糸の走行経路の内側非走行領域と外側非走行領域とを連結する連結部非走行領域を通過する気流の風速が、フィラメント糸の走行領域を通過する気流の風速よりも大きくなり、周方向の風速斑が大きくなる。また、上記連結部非走行領域付近の単糸が急冷されるため、各単糸間の冷却斑が大きくなる。これらにより冷却斑や糸揺れ等が発生し、糸の太さ斑等が極めて悪化する問題が挙げられる。さらに、上記連結部非走行領域を通過する気流の風温は、上記フィラメント糸の走行領域を通過しフィラメント糸から熱量を受け取った気流の風温よりも低く、またフィラメント糸の非走行領域においてはフィラメント糸の走行経路方向への随伴気流の規模が小さいため、この連結部非走行領域を通過した気流がそのままショートカットする形で紡糸口金直下への上昇気流となりやすく、紡糸口金の下面温度の低下や温度斑、製糸安定性の劣化、各単糸間の冷却斑の増大を引き起こしやすいという問題があった。
これについて図を用いて説明する。図3(a)は従来用いられる溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した、フィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面の概略図および好ましくない流れの形態の一例であり、図3(b)は従来用いられる溶融紡糸の構成に係る紡糸口金周辺に形成される流れの形態の一例を模式的に例示した図3(a)のD−D断面の概念図であり、図3(c)は従来用いられる溶融紡糸の構成に係る紡糸口金周辺に形成される流れの形態の一例を模式的に例示した図3(a)のE−E断面の概念図である。
図3(a)に示すように、連結部非走行領域17を通過する気流19の風速が、フィラメント糸の走行領域16を通過する気流20の風速よりも大きくなるため、周方向の風速斑が大きくなる。また、上記連結部非走行領域17付近の単糸18が急冷されるため、各単糸間の冷却斑が大きくなる。さらに上記連結部非走行領域17を通過する気流19の風温は、上記フィラメント糸の走行領域16を通過しフィラメント糸から熱量を受け取った気流20の風温よりも低いため、各単糸間の冷却斑が大きくなる。ところで、紡糸口金1直下の領域から随伴気流としてフィラメント糸の走行経路方向の下流側に持ち出される空気量に応じて、フィラメント糸12の走行経路方向の下流側から上流側への空気の吸込み、すなわち上昇気流が発生し、例えば図3(b)に示すような流れが紡糸口金1の近傍に形成される。しかし、例えば、連結部非走行領域17を通る図3(a)のE−E断面においては、フィラメント糸の走行経路方向への随伴気流の規模が小さいため、上記連結部非走行領域17を通過する気流19がそのまま上述した上昇気流となりやすいため、例えば図3(c)に示すような流れが紡糸口金1の近傍に形成される。この結果、紡糸口金1の下面温度の低下や温度斑、製糸安定性の劣化、各単糸間の冷却斑の増大を引き起こしやすいという問題があった。
なお、以下、フィラメント糸の走行経路方向の下流側から上流側への空気の吸い込みにより発生する気流を上昇気流と呼ぶこととする。
そこで、本発明者らの知見によれば、これら問題を解決するため、従来、特許文献1、2のような技術が提案されている。特許文献1では外吹き環状冷却手段を用いた溶融紡糸において、冷却風の上流側への進入を遮断する冷却風遮断手段を設け、紡糸口金面が冷却され温度斑が生じることを抑制する溶融紡糸装置が提案されている。また、特許文献1の明細書中の図1には、本発明者らの知見によれば、板状の冷却風遮断手段が図示されている。つまり本発明者らの知見によれば、冷却装置より上流側のフィラメント糸の非走行領域に、フィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向に延在する板状の冷却風遮断手段を配設する方法である。しかしながら、本発明者らの知見によると、この方法では、紡糸口金直下への上昇気流の通り道のほとんどが遮断されており、空気流の通路を確保できないため、フィラメント糸の走行領域と干渉する領域においても上昇気流が発生するなど、安定的な気流を形成することができないため、各単糸間の冷却斑や糸揺れ等が発生し、糸の太さ斑等が極めて悪化する問題が挙げられる。さらに、上述したような外吹き環状手段における、冷却能力が低く多品種対応等の汎用性に欠ける問題、現場雰囲気の外乱を受け易い等の問題は解決されていない。また、本発明者らの知見によると、仮にこの板状の冷却風遮断手段を内吹き環状冷却手段に適用した場合、フィラメント糸の走行領域の外周側からショートカットする形で紡糸口金直下への上昇気流が発生する等、安定的な気流を形成することができないため、冷却斑や糸揺れ等が発生し、糸の太さ斑の悪化や強度・伸度等の物性が低下するなどの問題がある。
また、特許文献2では外吹き環状冷却手段を用いた溶融紡糸において、紡出フィラメント糸の走行方向に沿って紡糸口金より紡出されたフィラメント糸の各糸条群を仕切る冷却仕切り部材を設け、糸揺れを抑制しつつ冷却風を各単糸に均一に行き渡らせることにより、糸質の斑を抑制することができる溶融紡糸装置が提案されている。また、特許文献2の図1には、本発明者らの知見によれば、板状の冷却仕切り部材が図示されている。つまり本発明者らの知見によれば、フィラメント糸の走行経路方向に沿って板状の冷却仕切り部材を配設することにより、各糸条群の走行領域のそれぞれを仕切る方法である。しかしながら、本発明者らの知見によると、この方法では、上述したような外吹き環状手段における、冷却能力が低く多品種対応等の汎用性に欠ける等の問題は解決されていない。さらに特許文献2では、気流吹き出し筒上部に断熱仕切り部材を設けることにより、冷却風が紡糸口金直下の領域に進入し、雰囲気温度が低下することを妨げ、紡糸口金面の温度斑を抑制できる溶融紡糸装置が提案されている。また、特許文献2の明細書中の図1には、本発明者らの知見によれば、気流吹き出し筒上部に板状の断熱仕切り部材が図示されている。しかしながら、本発明者らの知見によると、特許文献2の断熱仕切り部材を設ける方法は、上記した特許文献1と同様な提案であるため、上記したような問題が同様に発生する。
特開2004−84134号公報 特開2006−241611号公報
本発明の目的は、上記した問題点を解決し、紡糸口金面の温度斑を抑制し、かつ紡出フィラメント糸の糸揺れを抑制することにより、糸の太さ斑や物性斑等の均斉性や強度・伸度等の品質に優れた単糸細繊度・多フィラメントである、熱可塑性ポリマーから構成されるマルチフィラメント糸を、製糸安定性、汎用性良好の下、製造することが可能なフィラメント糸の製造装置および製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、熱可塑性ポリマーを溶融紡糸し、フィラメント糸を製造する装置であって、以下の(1)〜(3)の要件を満足することを特徴とするフィラメント糸の製造装置を提供する。
(1)紡糸口金に穿設された前記フィラメント糸の各単糸を紡出する複数の吐出孔の配列が、吐出孔が穿設されていない非穿設部に対応してフィラメント糸の走行経路方向に沿ってフィラメント糸の非走行領域を有するように前記非穿設部によって少なくとも2群に分割されていること。
(2)前記紡糸口金から紡出された前記フィラメント糸を、前記フィラメント糸の走行経路の外周側から内向きに気流を吹き付けて冷却する気流吹き出し面を有する内吹き冷却手段を配設すること。
(3)前記フィラメント糸の非走行領域内であって、前記2群以上に分割された前記フィラメント糸の走行経路の内側非走行領域と外側非走行領域とを連結する連結部非走行領域および該連結部非走行領域の外側近傍と内側近傍の少なくとも一部に、前記フィラメント糸の走行経路方向に沿って延在する、通気性を持った気流整流手段を配設すること。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記気流整流手段に気流加熱手段を配設したことを特徴とするフィラメント糸の製造装置を提供する。
また、本発明の別の形態によれば、熱可塑性ポリマーを溶融紡糸し、フィラメント糸を製造する方法であって、穿設された前記フィラメント糸の各単糸を紡出する複数の吐出孔の配列が、吐出孔が穿設されていない非穿設部に対応してフィラメント糸の走行経路方向に沿ってフィラメント糸の非走行領域を有するように前記非穿設部によって少なくとも2群に分割された紡糸口金から前記フィラメント糸を紡出し、前記紡糸口金から紡出された前記フィラメント糸を、前記フィラメント糸の走行経路の外周側から内向きに気流を吹き付けて冷却する気流吹き出し面を有する内吹き冷却手段を用いて冷却し、前記フィラメント糸の非走行領域内であって、前記2群以上に分割された前記フィラメント糸の走行経路の内側非走行領域と外側非走行領域とを連結する連結部非走行領域および該連結部非走行領域の外側近傍と内側近傍の少なくとも一部に、前記フィラメント糸の走行経路方向に沿って延在する、通気性を持った気流整流手段により前記フィラメント糸に吹き付ける気流を整流することを特徴とするフィラメント糸の製造方法を提供する。
本発明において、「非穿設部」とは、紡糸口金面においてフィラメント糸の各単糸を紡出する複数の吐出孔の配列を少なくとも2群に分割するために設けられる、各単糸を紡出する吐出孔が穿設されない領域をいう。
また、本発明において、「フィラメント糸の走行経路」とは、フィラメント糸の各単糸の走行経路を合わせたものを示し、フィラメント糸の走行経路の最外周面とフィラメント糸の走行経路の最内周面に囲まれた領域をいう。ここで、フィラメント糸の走行経路の最外周面とフィラメント糸の走行経路の最内周面に囲まれた領域を、「フィラメント糸の走行領域」と呼ぶ場合もある。また、「フィラメント糸の走行経路の最外周面」とは、フィラメント糸の走行経路からみて最外周を走行するフィラメント糸の単糸の走行経路を通り、フィラメント糸の走行経路を外周側から囲う面をいう。また、「フィラメント糸の走行経路の最内周面」とは、フィラメント糸の走行経路からみて最内周を走行するフィラメント糸の単糸の走行経路を通り、フィラメント糸の走行経路を内周側から囲う面をいう。
また、本発明において、「フィラメント糸の非走行領域」とは、フィラメント糸の各単糸が走行しない領域を合わせたものをいう。フィラメント糸の走行経路の内側非走行領域と外側非走行領域、およびそれらを連結する連結部非走行領域に分けられる。
また、本発明において、「フィラメント糸の走行経路の内側非走行領域」とは、フィラメント糸の走行経路からみて、気流吹き出し面とは反対側の非走行領域をいう。
また、本発明において、「フィラメント糸の走行経路の外側非走行領域」とは、フィラメント糸の走行経路からみて、気流吹き出し面側の非走行領域をいう。
また、本発明において、「フィラメント糸の走行経路方向」とは、紡糸口金から紡出されたフィラメント糸が走行する方向をいう。フィラメント糸の走行経路方向は、紡糸口金面に対して垂直、あるいは糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段の配設等による僅かな傾斜を伴っても良い。
本発明によれば、以下に説明するとおり、紡糸口金面の温度斑を抑制し、かつ紡出フィラメント糸の糸揺れを抑制することにより、糸の太さ斑や物性斑等の均斉性や強度・伸度等の品質に優れた単糸細繊度・多フィラメントである熱可塑性ポリマーから構成されるマルチフィラメント糸を、製糸安定性、汎用性良好の下、製造することが可能なフィラメント糸の製造装置および製造方法を得ることができる。
以下、本発明の最良の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細を説明する。
図1は本実施形態の好ましい溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した概略図である。
また、図2(a)は本実施形態の一実施例に係る紡糸口金周辺の溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した、図1のA−A矢視図および好ましい流れの概略図である。図2(b)は本実施形態の一実施例に係る紡糸口金周辺に形成される流れの形態の一例を模式的に例示した図2(a)のB−B断面の概念図である。図2(c)は本実施形態の一実施例に係る紡糸口金周辺に形成される流れの形態の一例を模式的に例示した図2(a)のC−C断面の概念図である。
また、図3(a)は従来用いられる溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した、フィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面の概略図および好ましくない流れの形態の一例である。図3(b)は従来用いられる溶融紡糸の構成に係る紡糸口金周辺に形成される流れの形態の一例を模式的に例示した図3(a)のD−D断面の概念図である。図3(c)は従来用いられる溶融紡糸の構成に係る紡糸口金周辺に形成される流れの形態の一例を模式的に例示した図3(a)のE−E断面の概念図である。
図1〜図3において、1は紡糸口金、2は紡糸パック、3はスピンブロック、4は加熱装置や加熱筒、5は気流整流手段、6は気流吹き出し部、7は気流吹き出し面から吹き出される気流、8は内吹き環状冷却手段、9は気流室、10は環状の気流吹き出し面(気流吹き出し部6の気流が吹き出されるフィラメント糸側の面)、11は気流供給口、12はフィラメント糸、13は糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段、14は糸引取手段、15は糸巻取手段、16はフィラメント糸の走行領域、17は連結部非走行領域、18は連結部非走行領域付近の単糸、19は連結部非走行領域を通過する気流、20はフィラメント糸の走行領域を通過する気流、21は気流整流手段を通過する気流、22は気流整流手段の配設範囲である。また、QTDは冷却開始距離である。
図1において、紡糸口金1より紡出されたフィラメント糸12は、気流供給口11、気流室9、気流吹き出し部6を経て、気流吹き出し面10から吹き出された気流7により冷却されて、固化した後、糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段13、糸引取手段14を経て、糸巻取手段15によりパッケージとして巻き取られる。また、巻き取られたフィラメント糸12は、この後、必要に応じ、図示しない別工程において熱処理や延伸等の処理が施される。
なお、図1〜図3において、フィラメント糸を構成する熱可塑性ポリマーを供給する押出機やポンプ、フィルター配管等や、紡糸口金に穿設される吐出孔等の図示をしていないが、無論、設けられても良い。また、紡糸パックを加熱・保温する紡糸パック加熱器や断熱部材、保温部材等や、気流を供給するファンやブロワ等の気流発生手段、気流配管、気流フィルター、気流の成分や温度、湿度、流速、流量、流れ方向等やそれらの分布等の気流調整手段等の図示をしていないが、設けられても良い。また、一般に溶融紡糸において、現場雰囲気等の外乱影響を防止する等の狙いから、紡糸パック、スピンブロック、冷却手段や、フィラメント糸の高強力化等を狙って徐冷等の目的で設けられる加熱装置や加熱筒、保温筒等の周辺でシールが行われる場合が多いが、これも図1〜図3では図示をしていないが、行われても良い。
また、図1〜図3において、図示されていない断熱部材や保温部材、加熱部材や冷却部材、加熱手段や冷却手段、温度等の計測手段、加熱装置や加熱筒、保温筒等、糸交絡手段や、加熱ローラーや加熱チューブ等の糸加熱手段、糸加湿手段、糸リラックス手段、糸道ダクト、延伸ローラー等の糸延伸手段、サクションガン等の糸吸引手段、フィラメント糸を気流で送り出す糸送出手段、コンベヤ等の糸搬送手段、冷却手段を移動させる移動手段等や、あるいはフィラメント糸から発生するモノマー等による紡糸口金の下面の汚れを抑制する狙いで希ガス、窒素等の不活性気体やスチーム、空気、水分を含む空気等を紡糸口金の下面近傍に供給するモノマー抑制手段や、モノマー等を吸引除去するモノマー吸引手段等が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても良い。なお、本実施形態において、「固化」とは、熱可塑性ポリマーから構成されるフィラメント糸やその各単糸がガラス転移温度以下となった状態を示すものとする。
では、本発明の第1の実施形態について説明する。本発明の第1の実施形態は、例えば図1、図2(a)に示すように、溶融した熱可塑性ポリマーをフィラメント糸として紡出する紡糸口金と、前記フィラメント糸の走行経路の外周側から内向きに気流を吹き付けてフィラメント糸を冷却する環状の気流吹き出し面を設けた内吹き環状冷却手段とを少なくとも有するフィラメント糸の製造装置であって、紡糸口金に穿設された前記フィラメント糸の各単糸を紡出する複数の吐出孔の配列が、吐出孔が穿設されていない非穿設部に対応してフィラメント糸の走行経路方向に沿ってフィラメント糸の非走行領域を有するように前記非穿設部によって少なくとも2群に分割されており、前記フィラメント糸の非走行領域内であって、前記2群以上に分割された前記フィラメント糸の走行経路の内側非走行領域と外側非走行領域とを連結する連結部非走行領域および該連結部非走行領域の外側近傍と内側近傍の少なくとも一部に、前記フィラメント糸の走行経路方向に沿って延在する、通気性を持った気流整流手段を配設することを特徴とするフィラメント糸の製造装置である。
この本発明の第1の実施形態の特長や効果等について説明する。連結部非走行領域17および該連結部非走行領域の外側近傍と内側近傍の少なくとも一部に、フィラメント糸12の走行経路方向に沿って延在する、通気性を持った気流整流手段5を配設することにより、例えば図2(a)に示すように、気流整流手段5を通過する気流21の風速を、フィラメント糸12の走行領域16を通過する気流20の風速と同等とすることにより、フィラメント糸12の走行領域16の内周側に導入される気流の風速を周方向に均一とし、図2(b)、図2(c)に示すように、フィラメント糸12の走行領域を通過する気流と、気流整流手段5を通過する気流が、フィラメント糸12の走行経路方向においても同様の形態となり安定的な気流を形成することが出来るため、フィラメント糸12の糸揺れ等を抑制することが出来る。ここで気流整流手段の配設範囲は、例えば図2(a)の22に示す領域である。ここで、気流整流手段5を気流が通過するときの圧力損失と、フィラメント糸12の走行領域16を気流が通過するときの圧力損失を同等とすることが好ましい。また、連結部非走行領域17付近の単糸18が急冷されることを抑制し、各単糸間の冷却斑を抑制することが出来る。さらに、図3(a)の従来用いられる溶融紡糸の構成における連結部非走行領域17を通過する気流19の風速に対して、気流整流手段5を通過する気流21の風速が小さくなるため、フィラメント糸12の走行領域16の内周側に導入される気流の風温が平均して高くなり、フィラメント糸の走行領域16の内周側に発生する上昇気流による紡糸口金1の下面温度の低下や温度斑、製糸安定性の劣化、各単糸間の冷却斑の増大を抑制することが出来る。
次に本発明の第2の実施形態について説明する。本発明の第2の実施形態は、前記気流整流手段に気流加熱手段を設けたことを特徴とするフィラメント糸の製造装置である。
この本発明の第2の実施形態の特長や効果等について説明する。前記気流整流手段5に気流加熱手段を設けることにより、連結部非走行領域17付近の単糸18が急冷されることを抑制し、各単糸間の冷却斑を抑制することが出来、また、気流整流手段5を通過する風温を、フィラメント糸12の走行領域16を通過する気流20の風温と同等とすることにより、フィラメント糸12の走行領域16の内周側に導入される気流の風温を周方向に均一とし、フィラメント糸12の各単糸間の冷却斑を抑制することが出来る。さらに、フィラメント糸12の走行領域16の内周側に発生する上昇気流による紡糸口金1の下面温度の低下や温度斑、製糸安定性の劣化、各単糸間の冷却斑の増大を抑制することが出来る。
では次に、本発明の第1,第2の実施形態の他の形態について説明する。
本実施形態は通気性を持った気流整流手段5により特に限られない。様々な気流整流手段に好適であり、その個数、外形形状、取付方向、取付位置、外形寸法、断面形状、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。気流整流手段の外形形状は特に限られないが、好ましくはフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かう気流の抵抗とならないように、またフィラメント糸の糸当たりや引っかかりによる毛羽等の発生を引き起こさないように、例えば図2(c)に示す円錐形状のように、フィラメント糸走行経路方向の上流側に向かって、フィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面積が減少する滑らかな流線型とすると良い。気流整流手段の支持部材についても同様に、三角柱、丸断面、あるいは楕円断面などの流線型とするのが好ましい。本実施形態において「フィラメント糸の走行経路方向の上流側」とは、フィラメント糸の走行経路からみて、紡糸口金側のことをいい、「フィラメント糸の走行経路方向の下流側」とは、フィラメント糸の走行経路からみて、糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段側のことをいう。気流整流手段の取付方向は特に限られないが、好ましくは図1に示すように紡糸口金面に対して垂直、さらに好ましくは糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段の配設によるフィラメント糸の傾斜に沿って延在するように配設するのが良い。気流整流手段の取付位置は特に限られないが、少なくともフィラメント糸の走行経路方向においては、気流吹き出し面10の上端、すなわち冷却開始位置付近からフィラメント糸の走行経路方向の下流側に沿って延在するように配設するのが好ましい。あるいは冷却開始位置より上流側における上昇気流の整流化の観点から、気流整流手段の上端を紡糸口金面に出来るだけ近づけても良い。また、フィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向における気流整流手段の取付位置について、例えば図2(a)に示すように、連結部非走行領域17を通過してフィラメント糸の走行領域16の内周側に導入される気流を充分に整流できる位置に配設するのが好ましい。すなわちフィラメント糸の走行領域内周側の気流整流化の観点から、フィラメント糸の走行領域の最内周面に気流整流手段の内周側の面を合わせるのが良く、またフィラメント糸の走行領域外周側の気流整流化の観点から、フィラメント糸の走行領域の最外周面に気流整流手段の外周側の面を合わせるのが良い。また、フィラメント糸の走行領域気流外周側に発生する上昇気流抑制の観点から、気流整流手段の外周側の面を気流吹き出し面に出来るだけ近づけても良い。あるいは、連結部非走行領域付近の単糸18の急冷を抑制する観点から、気流整流手段の配設範囲22内の外側部分、すなわち気流吹き出し面に近い側にのみ配設しても良い。気流整流手段の個数は特に限られないが、フィラメント糸の走行領域に発生する随伴流の整流化の観点から、あるいは、本発明の第2の実施形態における連結部非走行領域付近の単糸18の均一加熱の観点から、単一の部材からなる構成とするのが良い。また、気流整流手段を気流が通過するときの圧力損失を微調整しやすいという観点から、複数枚の板状の部材としても良い。また、例えば吐出孔の配列が図2(a)に示すような複数列の環状配列の場合には、環状配列の列数に合わせて複数枚の板状の部材を用いても良い。気流整流手段の外形寸法は特に限られないが、好ましくは、連結部非走行領域17を通過した気流19が上昇気流となり、紡糸口金1の下面温度の低下や温度斑、製糸安定性の劣化等を抑制できるように、気流整流手段のフィラメント糸の走行経路方向の長さを、図2(b)、図2(c)に示す上昇気流の下端位置においても気流を整流できるような長さとするのが良い。さらに好ましくは、内吹き環状冷却手段8の気流吹き出し領域全般において、気流の周方向の風速斑によるフィラメント糸の冷却斑や糸揺れ等の増大を抑制できるように、フィラメント糸の走行経路方向に延在する気流整流手段の長さを、気流吹き出し部6のフィラメント糸の走行経路方向の長さと同等とするのが良く、この時、気流整流手段の下端は気流吹き出し部の下端よりも上流側にあっても良く、下流側にあっても良い。気流整流手段および気流整流手段の支持部材の外形寸法は特に限られないが、好ましくはフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面積を、フィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に流れる気流の抵抗とならないように、本発明の効果を損なわない範囲でなるべく小さくすると良い。気流整流手段の断面形状は特に限られないが、好ましくは図2(a)に示すように気流整流手段を通過して内周側に導入される気流を周方向に均等に整流できるような形状とすると良い。また、フィラメント糸の糸当たりや引っかかりによる毛羽等の発生を引き起こさないように、気流整流手段断面のコーナー部の形状を本発明の効果を損なわない範囲で滑らかにしても良い。気流整流手段のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面積は特に限られないが、フィラメント糸走行領域を気流が通過する際の圧力損失が、フィラメント糸の変形・固化に伴い下流側に沿って減少するという観点から、フィラメント糸の走行経路方向に沿ってフィラメント糸の断面積変化に合わせて気流整流手段の断面積を小さくしても良い。気流整流手段の部材は特に限られず、複数本の針金・糸等の線状体をフィラメント糸の密度と同等にして配設しても良く、穴やオリフィス、スリット等から構成される部材や、金網、パンチングメタル、ハニカム等の整流格子、粒子や繊維、板等から構成される多孔部材、不織布、繊維等を織ったり編んだりして構成される多孔部材、多孔を有する多孔質部材、セルロースのシートやリング、リボン等を積層して構成される多孔部材、スリット状の溝を有する金属シートや薄板、リング、リボン等を積層して構成される多孔部材、金属粒子や金属繊維等を積層して構成される多孔部材、金属線状体や金属リボン等を巻き付けて構成される多孔部材等やこれらに近い部材であっても好適であり、あるいは単数あるいは複数あるいは複数種の部材から構成されても本実施形態は好適である。また、気流整流手段の材質は特に限られず、アルミ、銅、青銅、真鍮、鉄、炭素鋼、ボンデ鋼、ステンレス、ステンレス合金、タングステン、タングステン合金等の金属や、セメント、合成樹脂、天然樹脂、繊維、化学繊維、天然繊維、紙、木材、セルロース、セラミック、カーボン等であっても好適であり、単数あるいは複数あるいは複数種の材質から構成されても本実施形態は好適である。
また、本発明の第2の実施形態において気流整流手段に設けられる、気流加熱手段の加熱方式は特に限られない。電気式、熱媒式、遠赤外線式、誘導加熱式等々、様々な加熱方式が利用できる。電気式は特に限られるものではない。例えば、電熱線やヒータ等の発熱源が、アルミ、銅、青銅、真鍮、鉄、炭素鋼、ステンレス、ステンレス合金、タングステン、タングステン合金等の金属に鋳込まれたり、埋め込まれたり、内蔵、装備されていても良く、セメントや合成樹脂、セラミック、カーボン等に固められたり、埋め込まれたり、内蔵、装備されていても良い。発熱源はニクロム線等の電熱線やシーズヒータ、バンドヒータ、スペースヒータ、カートリッジヒータ、フレキシブルシーズヒータ等々でも良く、材質としては、アルミ、銅、青銅、真鍮、鉄、炭素鋼、ボンデ鋼、ステンレス、ステンレス合金、タングステン、タングステン合金、セラミック、カーボン等々でも良い。ステンレスとしては、SUS304、SUS304L、SUS310S、SUS316、SUS316L、SUS321、SUS430、SUS630等々でも良い。ステンレス合金としては、ニクロム、”インコネル(登録商標)”、”ハステロイ(登録商標)”等々でも良い。熱媒式は特に限られるものではない。例えば、熱媒が”ダウサム(登録商標)”等々の熱媒でも良い。また、断熱部材や保温部材、温度や圧力、流速等の計測手段、気流調整手段等が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても好適である。
本実施形態は溶融紡糸の構成により特に限られない。溶融紡糸工程で低配向未延伸糸(以下UDY:Un Drawn Yarn)を得る構成や、部分配向糸(以下POY:Partially Oriented Yarn)を得る構成、紡糸と延伸を直結して延伸糸(以下FOY:Full Oriented Yarn)を1工程で得る紡糸直延伸(以下DSD:Direct Spin Draw)の構成、紡糸速度が高速で延伸を必要としないOSY(One Step Yarn)に対応した構成にも好適である。なお、図1では、UDYやPOY、OSYに対応した構成の図示となっているが、本実施形態がこれに限定されるものではない。また、本実施形態は紡糸速度により特に限られず、300〜10000m/分程度の範囲であっても好適である。なお、ポリエステルフィラメント糸において、一般に紡糸速度はUDYに対応した構成で300〜1800m/分程度、POYに対応した構成で1800〜5000m/分程度、DSDの構成で300〜1800m/分程度(なお、巻取速度は2000〜5000m/分程度)、OSYに対応した構成で3000〜10000m/分程度であるが、上記はあくまで一例を示したものであり、ポリエステルやその他の熱可塑性ポリマーから構成されるフィラメント糸において、紡糸速度が上記速度の範囲を超えるUDY、POY、DSD、OSYであっても好適である。なお、本実施形態において、「紡糸速度」とは、フィラメント糸が紡糸口金から紡出されて初めて固化した際の糸速度、あるいは初めて通過する糸引取手段での糸速度を示すものとする。
本実施形態はフィラメント糸12を構成する熱可塑性ポリマーにより特に限られず、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリケトンや、可塑剤を含有したセルロースエステル系熱可塑性ポリマー等にも好適であり、溶融紡糸により溶融紡糸される合成繊維や半合成繊維等の化学繊維等に好適である。本実施形態に好適なポリエステルの一例を挙げれば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート等が挙げられる。また、ポリアミドの一例を挙げれば、ナイロン6、ナイロン66等が挙げられる。また、本実施形態は、共重合されたポリアミドにも好適である。また、ポリフェニレンとしてはポリフェニレンサルファイド、ポリオレフィンとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンとしてはポリスチレン等が挙げられる。
また、本実施形態は熱可塑性ポリマーに製糸安定性等を損なわない範囲で他の共重合成分が含まれていても好適である。ポリエステルで一例を挙げれば、鮮明性に優れた染色が可能なポリエステルカチオン可染糸において、一般的に共重合されるソジウムソルホネートイソフタル酸やポリエチレングリコール等が含まれたものでも本実施形態は好適である。また、製糸安定性等を損なわない範囲で二酸化チタン等の艶消し剤、酸化ケイ素、カオリン、着色防止剤、安定剤、抗酸化剤、消臭剤、難燃剤、糸摩擦低減剤、着色顔料、表面改質剤等の各種機能性粒子や有機化合物等の添加剤が含有されていても好適である。
また、本実施形態はフィラメント糸12の各単糸の成分構成により特に限られない。各単糸を構成する成分が単数でも複数でも良く、例えば、芯鞘型複合や海島型複合、サイドバイサイド型複合等の複合の構成であっても好適である。また、複数成分が混合されたアロイやブレンド等の構成でも好適である。また、複合の各成分がアロイやブレンド等の複数成分から構成されても好適である。
本実施形態はフィラメント糸12の単糸数により特に限られず、モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸にも好適である。また、ステープルの分野の様に単糸数が数千本、例えば2000本程度のフィラメント糸にも好適である。なお、フィラメント糸の単糸数あるいは紡糸口金から紡出される総単糸数が多ければ多いほど、従来の技術との差異が明確となる。また、ステープル以外の衣料用、産業用の分野では、単糸数が1〜1000本あるいは1〜600本程度までの範囲のフィラメント糸が多い。また、本実施形態はフィラメント糸12の各単糸の単糸繊度により特に限られず、0.1〜数百dtex程度の範囲であっても好適である。なお、dtexはデシテックスを示す。例えば、溶融紡糸後の単糸繊度が0.1〜16dtex、あるいは0.1〜10dtex、0.1〜3.5dtex程度の範囲のフィラメント糸にも好適である。なお、単糸繊度が小さければ小さいほど、従来の技術との差異が明確となる。また、得られたフィラメント糸は溶融紡糸の後に、必要に応じ、更に同工程あるいは別工程にて、1.7〜6倍、あるいは1.2〜2倍程度に延伸あるいは延伸・仮撚加工等され、単糸繊度0.1〜2.6dtex、あるいは0.1〜1.6dtex、0.1〜1.1dtex程度の範囲のフィラメント糸とされる。また、本実施形態はフィラメント糸12の各単糸の断面形状により特に限られず、丸断面、楕円、三角形等の多角形断面、六葉等の多葉断面、楕円八葉等の楕円多葉断面、C型、Y型、十字型等の文字型断面等や、中空部を有する断面等や、これらに近い断面等であっても好適である。
本実施形態は紡糸口金1から紡出されるフィラメント糸12の糸条数により特に限られず、単数あるいは複数であっても好適である。例えば、糸条数が1〜8糸条、1〜6糸条あるいは1〜4糸条であっても好適である。また、上記したフィラメント糸や単糸に関連する各形態が組み合わされたフィラメント糸や単糸が紡出されても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の紡糸口金から、単数あるいは複数あるいは複数種のフィラメント糸や単糸が紡出されても本実施形態は好適である。
本実施形態は紡糸口金1により特に限られない。様々な紡糸口金に好適であり、紡糸口金の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、紡糸口金1に穿設される吐出孔により特に限られない。様々な吐出孔に好適であり、吐出孔の個数、外形形状、外形寸法、孔径、孔長、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。なお、本実施形態において、紡糸口金の下面は、紡糸口金のフィラメント糸の走行経路方向の下流側の、フィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面である、紡糸口金の下面を全体的に示すものであり、仮に紡糸口金の下面に凹凸があったり、曲面があったりしても、それらを含めて紡糸口金の下面を全体的に示すものとする。
本実施形態は紡糸口金1に穿設される吐出孔の配列により特に限られない。各単糸の均一冷却の観点から、環状配列が好ましいが、その他の様々な配列にも好適であり、格子状配列、千鳥格子状配列等の様々な配列においても本実施形態は好適である。また、品質や製糸安定性等を損なわない範囲で、部分的に吐出孔が穿設されない非穿設部が設けられる配列や、吐出孔の穿設数の分布に疎密が設けられる配列等にも好適である。また、非穿設部、穿設数の疎密が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても良い。なお、図1〜図3等において、フィラメント糸12を数本の直線で図示しているが、これはフィラメント糸が紡出されるさまを単に示したものであり、フィラメント糸の単糸数や糸条数、フィラメント糸の集束形態、たわみ状態等や、吐出孔の配列数や配列形態等の形態を限定するものではなく、本実施形態はこれに限定されない。なお、本実施形態は紡糸口金1に穿設される吐出孔の配列により特に限られないが、例えば、特に、一つの紡糸口金から紡出される単糸数が複数の場合は、好ましくは、フィラメント糸の走行経路の最外周面が、フィラメント糸の紡出や走行等を妨げない範囲で、気流吹き出し面10や内吹き環状冷却手段8の上流側部材の内側面等に、フィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向に近接する様に、紡糸口金1に穿設される吐出孔を配列すると良い。また、本実施形態は紡糸口金1に穿設される吐出孔の配列により特に限られないが、好ましくは、フィラメント糸の走行経路からみた最内周面の内側のフィラメント糸の非走行領域が出来るだけ大きくなる様に、紡糸口金1に穿設される吐出孔を配列すると良い。さらに好ましくは、フィラメント糸の走行経路からみた最外周面の外側のフィラメント糸の非走行領域が出来るだけ小さくなる様に、紡糸口金1に穿設される吐出孔を配列すると良い。
本実施形態は紡糸パック2により特に限られない。様々な紡糸パックに好適であり、紡糸パックの個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。
本実施形態はスピンブロック3により特に限られない。様々なスピンブロックに好適であり、スピンブロックの個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、図1〜図3等では図示をしていないが、スピンブロックに通常配設される紡糸パックを加熱・保温する紡糸パック加熱器や熱可塑性ポリマーの供給配管、断熱部材、保温部材等や、ポンプ等や追加の加熱部材、加熱手段等が設けられても良く、また、本実施形態はこれらにより特に限られない。なお、図1〜図3等における紡糸口金1、紡糸パック2、スピンブロック3の図示は、あくまで一例であり、紡糸口金1、紡糸パック2、スピンブロック3の外形形状等の形態を限定するものではなく、本実施形態はこれに限定されない。
加熱装置や加熱筒4により特に限られない。様々な加熱装置や加熱筒に好適であり、その個数、外形形状、外形寸法、取付位置、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。加熱装置や加熱筒の加熱方式は特に限られない。電気式、熱媒式、遠赤外線式、誘導加熱式等々、様々な加熱方式が利用できる。電気式は特に限られるものではない。例えば、電熱線やヒータ等の発熱源が、アルミ、銅、青銅、真鍮、鉄、炭素鋼、ステンレス、ステンレス合金、タングステン、タングステン合金等の金属に鋳込まれたり、埋め込まれたり、内蔵、装備されていても良く、セメントや合成樹脂、セラミック、カーボン等に固められたり、埋め込まれたり、内蔵、装備されていても良い。発熱源はニクロム線等の電熱線やシーズヒータ、バンドヒータ、スペースヒータ、カートリッジヒータ、フレキシブルシーズヒータ等々でも良く、材質としては、アルミ、銅、青銅、真鍮、鉄、炭素鋼、ボンデ鋼、ステンレス、ステンレス合金、タングステン、タングステン合金、セラミック、カーボン等々でも良い。ステンレスとしては、SUS304、SUS304L、SUS310S、SUS316、SUS316L、SUS321、SUS430、SUS630等々でも良い。ステンレス合金としては、ニクロム、”インコネル(登録商標)”、”ハステロイ(登録商標)”等々でも良い。熱媒式は特に限られるものではない。例えば、熱媒が”ダウサム(登録商標)”等々の熱媒でも良い。また、断熱部材や保温部材、温度や圧力、流速等の計測手段等が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても好適である。
本実施形態は気流吹き出し部の気流が吹き出されるフィラメント糸側の面である気流吹き出し面10により特に限られない。様々な気流吹き出し面に好適であり、気流吹き出し面の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。なお、内吹き環状冷却手段において、気流吹き出し面の外形形状は一般に環状が多い。フィラメント糸の各単糸を、フィラメント糸の走行経路を囲う環状方向に、均一に冷却し易く、また、環状方向に、均一に気流を供給し易い等の理由からである。従って、気流吹き出し面の外形形状は環状が好ましいが特に限られず、例えば、気流吹き出し面のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面の形状が環状を逸脱しない範囲で楕円や多角形形状、あるいはそれに近い形状であっても本実施形態は好適である。なお、気流吹き出し面のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面の形状が環状を逸脱しない範囲で楕円や多角形形状、あるいはそれに近い形状である場合、気流吹き出し面のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の内径は、気流吹き出し面のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面の内接円あるいは外接円の直径が適用される。また、気流吹き出し面の外形形状がフィラメント糸の走行経路方向に沿って変化しても好適であり、また、フィラメント糸の走行経路方向に沿って、気流吹き出し面とフィラメント糸との距離が変化しても好適である。また、その変化が単数あるいは複数あるいは複数種あっても本実施形態は好適である。
本実施形態は気流吹き出し部6により特に限られない。様々な気流吹き出し部に好適であり、気流吹き出し部の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、気流吹き出し部の気流吹き出し面の外形形状に関しては、上記気流吹き出し面の外形形状に関する記載の通りであり、また、気流吹き出し部の全体としての外形形状に関しても上記記載が全般的に当てはまる。なお、気流吹き出し部の気流吹き出し面以外の面の外形形状は特に限られず、また、気流吹き出し部の気流が供給される気流吹き出し面の対向面の形状は特に限られず、例えば、対向面のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面の形状が環状を多少逸脱した形状であっても本実施形態は好適である。なお、内吹き環状冷却手段において、気流吹き出し部の外形形状や気流吹き出し部の気流が供給される気流吹き出し面の対向面の形状は一般に環状が多い。フィラメント糸の各単糸を、フィラメント糸の走行経路を囲う環状方向に、均一に冷却し易く、また、環状方向に、均一に気流へ圧力損失を与え易く、また、環状方向に、均一に気流を供給し易い等の理由からである。また、気流吹き出し部のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面の形状が部分的に異なる形状であっても本実施形態は好適であり、異なる部分が単数あるいは複数あるいは複数種あっても好適である。また、気流吹き出し部のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面の形状が、フィラメント糸の走行経路方向に沿って、単数あるいは複数あるいは複数種変化しても本実施形態は好適である。また、気流吹き出し部の長さは特に限られないが、各単糸の固化位置付近における糸応力は強度・伸度等の品質と深い相関があり、各単糸間の冷却斑が増大すると品質低下につながることが知られている理由から、少なくとも固化位置付近まで気流による整流が出来るような長さとするのが好ましい。また、気流吹き出し部の部材は特に限られず、穴やオリフィス、スリット等から構成される部材や、金網、パンチングメタル、ハニカム等の整流格子、粒子や繊維、板等から構成される多孔部材、不織布、繊維等を織ったり編んだりして構成される多孔部材、多孔を有する多孔質部材、セルロースのシートやリング、リボン等を積層して構成される多孔部材、スリット状の溝を有する金属シートや薄板、リング、リボン等を積層して構成される多孔部材、金属粒子や金属繊維等を積層して構成される多孔部材、金属線状体や金属リボン等を巻き付けて構成される多孔部材等やこれらに近い部材であっても好適であり、あるいは単数あるいは複数あるいは複数種の部材から構成されても本実施形態は好適である。また、気流吹き出し部の材質は特に限られず、アルミ、銅、青銅、真鍮、鉄、炭素鋼、ボンデ鋼、ステンレス、ステンレス合金、タングステン、タングステン合金等の金属や、セメント、合成樹脂、天然樹脂、繊維、化学繊維、天然繊維、紙、木材、セルロース、セラミック、カーボン等であっても好適であり、単数あるいは複数あるいは複数種の材質から構成されても本実施形態は好適である。また、断熱部材や保温部材、加熱部材、冷却部材、加熱手段、冷却手段、温度等の計測手段等が設けられても本実施形態には好適である。また、気流吹き出し部が単数あるいは複数あるいは複数種の気流吹き出し部から構成されても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の気流吹き出し部が冷却手段に設けられても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の紡糸口金あるいは紡糸パックに対し、単数あるいは複数あるいは複数種の気流吹き出し部が設けられても本実施形態は好適である。
本実施形態は気流吹き出し部から吹き出される気流7により特に限られない。様々な気流に好適であり、気流の成分や温度、湿度、流速、流量、流れ方向等や、それらの分布等により特に限られない。気流の成分は例えば、空気や通常の空気に含まれる酸素等の成分、水分を含む空気や、希ガス、窒素等の不活性気体、スチーム等や、これらの混合物であっても本実施形態は好適である。なお、一般には空気や乾燥空気が用いられる場合が多い。気流の温度は例えば、一般に数℃あるいは10℃程度から20℃あるいは30℃程度が用いられる場合が多いが、特に限られない。例えば、徐冷等の目的で上記温度以上の高温の気流が用いられても本実施形態は好適である。気流の流速は例えば、一般に1〜5m/分程度から100〜200m/分程度が用いられる場合が多いが、特に限られない。フィラメント糸の単糸数、単糸繊度、紡糸速度や、冷却開始距離QTD等により、上記範囲内かそれ以外の範囲の流速が用いられても本実施形態は好適である。気流の流れ方向は特に限られず、例えば、水平方向、水平方向よりフィラメント糸の走行経路方向に対し上流側上方向、下流側下方向や、フィラメント糸やその各単糸の走行方向に対し垂直な方向、あるいはそれより上流側上方向、下流側下方向や、フィラメント糸やその各単糸の走行方向等であっても本実施形態は好適である。なお、特に限られないが、好ましくは、気流の流れ方向は、フィラメント糸やその各単糸の走行方向に対し垂直な方向、あるいはそれより下流側下方向が良い。気流の流れ方向をフィラメント糸やその各単糸の走行方向に対し垂直な方向より上流側上方向とすると、フィラメント糸やその各単糸に働く空気抵抗等が増加する等の理由からである。気流の成分や温度、湿度、流速、流量、流れ方向等の分布は特に限られず、様々な分布に本実施形態は好適である。気流のフィラメント糸の走行方向や走行経路方向の流速分布は特に限られず、製糸安定性等を損なわない範囲で、フィラメント糸の走行方向や走行経路方向に沿って変化の殆どない分布や、フィラメント糸の走行方向や走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸増、漸減する分布、あるいはフィラメント糸の走行方向や走行経路方向の上流側から下流側に向かって増加と減少が単数あるいは複数あるいは複数種ある分布等であっても好適である。気流のフィラメント糸の走行経路を囲う環状方向の流速分布についても特に限られず、同様に製糸安定性等を損なわない範囲で様々な分布に本実施形態は好適である。なお、特に限られないが、内吹き環状冷却手段において、気流のフィラメント糸の走行経路を囲う環状方向の流速分布は一般に均一になるようにすることが多く、その様にすることが好ましい。フィラメント糸の各単糸を環状方向に均一に冷却し易い等の理由からである。なお、気流の成分や温度、湿度、流速、流量、流れ方向、動圧、静圧等やそれらの分布等は一般に調整、制御、管理されることが多い。また、フィラメント糸の品種により、調整されることも多い。また、図1〜図3等において、気流吹き出し部から吹き出される気流7を多数の矢印で図示しているが、これは気流が吹き出されるさまを単に示したものであり、気流の流速や流量、流れ方向等の形態を限定するものでなく、本実施形態はこれに限られない。
本実施形態は内吹き環状冷却手段8により特に限られない。様々な内吹き環状冷却手段に好適であり、その個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、内吹き環状冷却手段やその周辺に、断熱部材、保温部材、加熱部材、加熱手段、冷却部材、冷却手段、温度等の計測手段等の部材や、内吹き環状冷却手段の気流流路内にラビリンス構造やハニカム等の整流格子の構造、圧力損失部材等や上記気流吹き出し部の部材で記載した様な部材、断熱部材、保温部材、加熱部材、加熱手段、冷却部材、冷却手段、温度等の計測手段等の部材が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても好適である。また、本実施形態は内吹き環状冷却手段の上流側部材や上流側部材の内側面等により特に限られない。特に限られないが、内吹き環状冷却手段の上流側部材の内側面のフィラメント糸の走行経路方向の下流側の下端における内吹き環状冷却手段の上流側部材の内側面のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の内径は、好ましくは、気流吹き出し面の上端における気流吹き出し面のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の内径と同じになるように、あるいは小さくなるように設けるのが良い。内吹き環状冷却手段の上流側部材で、気流吹き出し面10や気流吹き出し部6等を、より確実に支持、保持あるいはシール等できるためである。また、内吹き環状冷却手段の上流側部材の内側面のフィラメント糸の走行経路方向の下流側の下端における内吹き環状冷却手段の上流側部材の内側面のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の内径を、気流吹き出し面の上端における気流吹き出し面のフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の内径と同じになるように、あるいは小さくなるように内吹き環状冷却手段の上流側部材を配設することで、フィラメント糸の走行経路の最外周面と内吹き環状冷却手段の上流側部材の内側面が更に近接して、フィラメント糸の走行経路の最外周面と内吹き環状冷却手段の上流側部材の内側面との間の流路が更に狭くなり、フィラメント糸の走行経路からみた最外周面の外側のフィラメント糸の非走行領域に、糸揺れ・冷却斑等を引き起こす原因となる上昇気流が形成され難くなり、これら問題を更に発生し難くすることができるためである。また、上記した気流吹き出し面、気流吹き出し部、気流室、気流供給口等の各形態含め、内吹き環状冷却手段に関する上記した各形態が組み合わされた内吹き環状冷却手段であっても本実施形態は好適である。また、単数あるいは複数あるいは複数種の紡糸口金あるいは紡糸パックに対し、単数あるいは複数あるいは複数種の内吹き環状冷却手段が設けられても本実施形態は好適である。なお、図1〜図3等における気流吹き出し面10、気流吹き出し部6、気流室9、気流供給口11、内吹き環状冷却手段8等の図示は、あくまで一例であり、これらの外形形状等の形態を限定するものではなく、本実施形態はこれに限定されない。また、図1における気流供給口11に記載の矢印は、気流が流れるさまを単に示したものであり、気流の流速や流量、流れ方向等の形態を限定するものではなく、本実施形態はこれに限られない。
本実施形態は気流室9、気流供給口11により特に限られない。様々な気流室、気流供給口に好適であり、その個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、ラビリンス構造やハニカム等の整流格子の構造、圧力損失部材等や上記気流吹き出し部の部材で記載した様な部材、断熱部材、保温部材、加熱部材、冷却部材、加熱手段、冷却手段、温度や圧力、流速等の計測手段、気流調整手段等が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても好適である。また、気流吹き出し面から吹き出される気流7のフィラメント糸の走行経路を囲う環状方向の流速分布が均一になるように、気流室9や内吹き環状冷却手段8内の気流流路等に圧力損失部材等が設けられても良い。また、気流室9や内吹き環状冷却手段8内の気流流路等の大きさ等が、フィラメント糸の走行方向や走行経路方向に沿って殆ど変化しない構成や、フィラメント糸の走行方向や走行経路方向の上流側から下流側に向かって拡大、縮小する構成、あるいはフィラメント糸の走行方向や走行経路方向の上流側から下流側に向かって拡大と縮小が単数あるいは複数あるいは複数種ある構成等であっても好適である。また、単数あるいは複数あるいは複数種の冷却手段や気流吹き出し部に対し、単数あるいは複数あるいは複数種の気流室、気流供給口が設けられても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の気流室、気流供給口に、単数あるいは複数あるいは複数種の気流、例えば、気流の物質や組成、温度、流速、流量等が異なる気流が供給されても本実施形態は好適である。
本実施形態は糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段13により特に限られない。様々な手段に好適であり、手段の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、糸油剤付与手段はガイド給油方式でもローラー給油方式であっても好適であり、糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段は非回転手段でも回転手段でも本実施形態は好適である。また、上記手段は設けなくても設けても良く、設ける場合は糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段であれば良く、あるいはそれらの何れかが一つが設けられても良く、あるいはそれらが単数あるいは複数あるいは複数種設けられても、上記各形態が組み合わされた手段が同様に設けられても良く、特に限られず好適である。
本実施形態は糸引取手段14、糸巻取手段15により特に限られない。様々な糸引取手段、糸巻取手段に好適であり、手段の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られず、例えば、糸引取手段は、ローラーやサクションガン等の糸吸引手段、フィラメント糸を気流で送り出す糸送出手段、コンベヤ等の糸搬送手段等であっても好適であり、例えば、糸巻取手段は、フィラメント糸を巻き取るワインダー方式や、フィラメント糸を籠の様な容器で受け取るキャン方式等の糸巻取手段であっても本実施形態は好適である。また、糸引取手段のローラーに複数回フィラメント糸が掛けられても好適であり、糸引取手段が延伸手段を兼ねても好適である。また、糸引取手段や糸巻取手段に、糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段や、加熱ローラー、加熱チューブ等の糸加熱手段、糸加湿手段、糸リラックス手段、糸延伸手段、糸吸引手段、糸送出手段、糸搬送手段等が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても好適である。また、糸引取手段や糸巻取手段が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても、上記各形態が組み合わされた糸引取手段や糸巻取手段が同様に設けられても好適である。
本発明は、極めて汎用性の高い発明であり、溶融紡糸によって得られる多くのフィラメント糸に好適である。特に、糸の太さ斑や品質等の均斉性や、強度・伸度等の品質、毛羽等の品位に優れた単糸細繊度化・多フィラメント化されたフィラメント糸や単糸異形断面化されたフィラメント糸、あるいは熱可塑性ポリマーが改質されたフィラメント糸やガラス転移温度が高い等の特殊な熱可塑性ポリマーから構成されるフィラメント糸等の難紡糸フィラメント糸を製造するに好適である。また、本発明は、フィラメント糸の溶融紡糸の構成により特に限られるものではなく、UDYあるいはPOYに対応した溶融紡糸の構成に限らず、DSDやOSYに対応した溶融紡糸の構成にも応用できるが、その応用範囲がこれらに限られるものではない。
本実施形態の好ましい溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した概略図である。 本実施形態の一実施例に係る紡糸口金周辺の溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した、図1のA−A矢視図および好ましい流れの概略図である。 本実施形態の一実施例に係る紡糸口金周辺に形成される流れの形態の一例を模式的に例示した図2(a)のB−B断面の概念図である。 本実施形態の一実施例に係る紡糸口金周辺に形成される流れの形態の一例を模式的に例示した図2(a)のC−C断面の概念図である。 従来用いられる溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した、フィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面の概略図および好ましくない流れの形態の一例である。 従来用いられる溶融紡糸の構成に係る紡糸口金周辺に形成される流れの形態の一例を模式的に例示した図3(a)のD−D断面の概念図である。 従来用いられる溶融紡糸の構成に係る紡糸口金周辺に形成される流れの形態の一例を模式的に例示した図3(a)のE−E断面の概念図である。
符号の説明
1 紡糸口金
2 紡糸パック
3 スピンブロック
4 加熱装置や加熱筒
5 気流整流手段
6 気流吹き出し部
7 気流吹き出し部から吹き出される気流
8 内吹き環状冷却手段
9 気流室
10 気流吹き出し面
11 気流供給口
12 フィラメント糸
13 油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段
14 引取手段
15 巻取手段
16 フィラメント糸の走行領域
17 連結部非走行領域
18 連結部非走行領域付近の単糸
19 連結部非走行領域を通過する気流
20 フィラメント糸の走行領域を通過する気流
21 気流整流手段を通過する気流
22 気流整流手段の配設範囲
QTD 冷却開始距離

Claims (3)

  1. 熱可塑性ポリマーを溶融紡糸し、フィラメント糸を製造する装置であって、以下の(1)〜(3)の要件を満足することを特徴とするフィラメント糸の製造装置。
    (1)紡糸口金に穿設された前記フィラメント糸の各単糸を紡出する複数の吐出孔の配列が、吐出孔が穿設されていない非穿設部に対応してフィラメント糸の走行経路方向に沿ってフィラメント糸の非走行領域を有するように前記非穿設部によって少なくとも2群に分割されていること。
    (2)前記紡糸口金から紡出された前記フィラメント糸を、前記フィラメント糸の走行経路の外周側から内向きに気流を吹き付けて冷却する気流吹き出し面を有する内吹き冷却手段を配設すること。
    (3)前記フィラメント糸の非走行領域内であって、前記2群以上に分割された前記フィラメント糸の走行経路の内側非走行領域と外側非走行領域とを連結する連結部非走行領域および該連結部非走行領域の外側近傍と内側近傍の少なくとも一部に、前記フィラメント糸の走行経路方向に沿って延在する、通気性を持った気流整流手段を配設すること。
  2. 前記気流整流手段に気流加熱手段を配設したことを特徴とする請求項1に記載のフィラメント糸の製造装置。
  3. 熱可塑性ポリマーを溶融紡糸し、フィラメント糸を製造する方法であって、穿設された前記フィラメント糸の各単糸を紡出する複数の吐出孔の配列が、吐出孔が穿設されていない非穿設部に対応してフィラメント糸の走行経路方向に沿ってフィラメント糸の非走行領域を有するように前記非穿設部によって少なくとも2群に分割された紡糸口金から前記フィラメント糸を紡出し、前記紡糸口金から紡出された前記フィラメント糸を、前記フィラメント糸の走行経路の外周側から内向きに気流を吹き付けて冷却する気流吹き出し面を有する内吹き冷却手段を用いて冷却し、前記フィラメント糸の非走行領域内であって、前記2群以上に分割された前記フィラメント糸の走行経路の内側非走行領域と外側非走行領域とを連結する連結部非走行領域および該連結部非走行領域の外側近傍と内側近傍の少なくとも一部に、前記フィラメント糸の走行経路方向に沿って延在する、通気性を持った気流整流手段により前記フィラメント糸に吹き付ける気流を整流することを特徴とするフィラメント糸の製造方法。
JP2008245424A 2008-09-25 2008-09-25 フィラメント糸の製造装置および方法 Pending JP2010077553A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008245424A JP2010077553A (ja) 2008-09-25 2008-09-25 フィラメント糸の製造装置および方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008245424A JP2010077553A (ja) 2008-09-25 2008-09-25 フィラメント糸の製造装置および方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010077553A true JP2010077553A (ja) 2010-04-08

Family

ID=42208292

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008245424A Pending JP2010077553A (ja) 2008-09-25 2008-09-25 フィラメント糸の製造装置および方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010077553A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102912459A (zh) * 2012-11-02 2013-02-06 江阴中绿化纤工艺技术有限公司 圆周吹风式圆形氨纶纺丝甬道
CN103328700A (zh) * 2011-01-22 2013-09-25 欧瑞康纺织有限及两合公司 用于冷却大量合成丝线的装置
CN103820869A (zh) * 2014-03-11 2014-05-28 江苏恒科新材料有限公司 侧吹风箱装置
KR20140072747A (ko) * 2012-12-05 2014-06-13 도레이케미칼 주식회사 메타아리미드 제조용 건식방사장치
WO2014118080A1 (en) * 2013-02-04 2014-08-07 Nv Bekaert Sa Quench tube for polymer fiber extrusion
JP2016511799A (ja) * 2012-11-01 2016-04-21 ヒョソン コーポレーション 複合機能性ポリエステル繊維の製造方法及びそれによって製造された複合機能性ポリエステル繊維
CN107090602A (zh) * 2016-02-17 2017-08-25 日本Tmt机械株式会社 丝线冷却装置
CN108754651A (zh) * 2018-09-07 2018-11-06 福建锦江科技有限公司 仿羊毛锦纶长丝的无人自动化生产设备
CN114517343A (zh) * 2022-03-11 2022-05-20 新创碳谷控股有限公司 一种温度场均匀的碳纤维预氧化炉

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103328700A (zh) * 2011-01-22 2013-09-25 欧瑞康纺织有限及两合公司 用于冷却大量合成丝线的装置
CN103328700B (zh) * 2011-01-22 2016-08-31 欧瑞康纺织有限及两合公司 用于冷却大量合成丝线的装置
JP2016511799A (ja) * 2012-11-01 2016-04-21 ヒョソン コーポレーション 複合機能性ポリエステル繊維の製造方法及びそれによって製造された複合機能性ポリエステル繊維
CN102912459A (zh) * 2012-11-02 2013-02-06 江阴中绿化纤工艺技术有限公司 圆周吹风式圆形氨纶纺丝甬道
KR20140072747A (ko) * 2012-12-05 2014-06-13 도레이케미칼 주식회사 메타아리미드 제조용 건식방사장치
KR101967477B1 (ko) * 2012-12-05 2019-04-09 도레이케미칼 주식회사 메타아라미드 제조용 건식방사장치
CN104919096A (zh) * 2013-02-04 2015-09-16 贝卡尔特公司 用于聚合物纤维挤出的冷却管
WO2014118080A1 (en) * 2013-02-04 2014-08-07 Nv Bekaert Sa Quench tube for polymer fiber extrusion
CN104919096B (zh) * 2013-02-04 2017-04-26 贝卡尔特公司 用于聚合物纤维挤出的冷却管
CN103820869A (zh) * 2014-03-11 2014-05-28 江苏恒科新材料有限公司 侧吹风箱装置
CN107090602A (zh) * 2016-02-17 2017-08-25 日本Tmt机械株式会社 丝线冷却装置
CN107090602B (zh) * 2016-02-17 2020-07-14 日本Tmt机械株式会社 丝线冷却装置
CN108754651A (zh) * 2018-09-07 2018-11-06 福建锦江科技有限公司 仿羊毛锦纶长丝的无人自动化生产设备
CN108754651B (zh) * 2018-09-07 2019-12-13 福建锦江科技有限公司 仿羊毛锦纶长丝的无人自动化生产设备
CN114517343A (zh) * 2022-03-11 2022-05-20 新创碳谷控股有限公司 一种温度场均匀的碳纤维预氧化炉

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2010077553A (ja) フィラメント糸の製造装置および方法
JP2010106393A (ja) マルチフィラメント糸の製造装置および製造方法
JP2008231607A (ja) 紡糸用環状冷却装置および溶融紡糸方法
US6705852B2 (en) Melt spinning apparatus
JP2007063690A (ja) 糸条冷却装置
JP2007284857A (ja) ポリエステルの溶融紡糸方法および溶融紡糸装置
JP5428979B2 (ja) 紡糸パックおよびフィラメント糸の製造方法
JP2006241611A (ja) 合成繊維の溶融紡糸装置
JP5585469B2 (ja) 合成繊維の溶融紡糸装置
JP2015014071A (ja) 糸条冷却装置
JP2007247121A (ja) 糸条冷却装置
JP2011102448A (ja) フィラメント糸の製造装置および製造方法
JP2010070887A (ja) 紡糸用冷却装置および溶融紡糸方法
JP5332253B2 (ja) フィラメント糸の製造装置および製造方法
JP4988318B2 (ja) 多錘の溶融紡糸装置およびそれから得られる極細マルチフィラメント糸条
JP2016050375A (ja) フィラメント糸の製造装置および製造方法
KR100502397B1 (ko) 용융방사 감음 장치
JP2007063689A (ja) 糸条冷却装置
JP2009097119A (ja) 熱可塑性繊維の溶融紡糸装置
JP2007186810A (ja) 溶融紡糸装置及び溶融紡糸方法
JP4904943B2 (ja) ポリエステル繊維の溶融紡糸装置
JP2009068154A (ja) 糸条冷却装置
JP2010047880A (ja) フィラメント糸の製造装置および製造方法
JP2006528283A (ja) 溶融紡糸、冷却及び巻取り装置
JP2007031892A (ja) 糸条冷却装置