JP2010106393A - マルチフィラメント糸の製造装置および製造方法 - Google Patents

マルチフィラメント糸の製造装置および製造方法 Download PDF

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誠二 水上
Shoji Funakoshi
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Abstract

【課題】均斉性や、品質、品位に優れた単糸細繊度化等された難紡糸マルチフィラメント糸を、生産性、汎用性良好の下、製造する装置および方法を提供すること。
【解決手段】熱可塑性ポリマーを溶融紡糸し、マルチフィラメント糸を製造する装置であって、環状の徐冷気流吹き出し面を設けた内吹き環状徐冷手段と、環状の急冷気流吹き出し面を設けた内吹き環状急冷手段とを、前記マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって順に配設し、且つ、前記マルチフィラメント糸の走行経路の内側に、前記マルチフィラメント糸の前記各単糸を通過した気流を内向きに排気する環状の気流排気面を設けた内向き環状排気手段を配設し、更に、前記気流排気面を、前記マルチフィラメント糸の走行経路方向において、前記徐冷気流吹き出し面と前記急冷気流吹き出し面とにまたがるように配設する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マルチフィラメント糸の製造装置および製造方法に関する。
ポリエステルやポリアミド等の熱可塑性ポリマーから構成されるマルチフィラメント糸は、一般に溶融紡糸、即ち、スピンブロックに配設される紡糸パックに供給された溶融した熱可塑性ポリマーを、紡糸パックに装備された紡糸口金からマルチフィラメント糸として紡出し、気流等により冷却、固化させた後、必要に応じ集束や油剤付与等を施して、ローラー等で一旦引き取り、更に必要に応じ加熱ローラー等で延伸や熱処理等を行った後、巻き取る等の過程を経て製造される。なお、上記した延伸や熱処理等は、紡糸口金から紡出されたマルチフィラメント糸を、気流等により冷却、固化させた後に、加熱チューブ等を通過させて行う場合や、一旦引き取り、巻き取った後に別工程で行う場合もある。また、本明細書において、固化とは、熱可塑性ポリマーから構成されるフィラメント糸やその各単糸がガラス転移温度以下となった状態を示すものとする。
上記した様な熱可塑性ポリマーから構成されるマルチフィラメント糸は、衣料用分野、産業用分野等の極めて幅広い分野で活用され、ニーズの多様化から様々な改良が加えられた特品糸が開発・上市されている。衣料用分野では、ソフトな風合い等を付与する狙いで単糸細繊度化・多フィラメント化、吸水・速乾性の向上や光沢感を変更する等の狙いで単糸異形断面化、また鮮明性に優れた染色の実現等の新たな機能性付与の狙いで熱可塑性ポリマーを改質する等の改良が行われている。また、産業用分野では、同様に単糸細繊度化・多フィラメント化や単糸異形断面化の他、高強度化、高弾性化や、耐候性、難燃性等の新たな機能性付与を狙った熱可塑性ポリマーの改質等の改良が行われている。更にここ数年、上記した様な機能性を複数組み合わせて付与する試みも盛んに行われ始めている。
しかしながら、上記した様な特品糸は優れた機能性を有する高機能品種である一方、溶融紡糸が極めて難しい難紡糸品種でもあり、溶融紡糸工程で発生する以下に示す問題が、上記した様な特品糸の均斉性向上や、高品質化、高品位化、生産性向上、延いては拡販や用途拡大の妨げとなっている。
この溶融紡糸工程で発生する問題を、単糸細繊度化・多フィラメント化した場合を一例に説明する。第1に挙げられる問題は、多フィラメント化すると、溶融紡糸で行う冷却を、マルチフィラメント糸の各単糸に対して均一に行うことが困難となり、冷却斑や糸揺れ等が発生して、糸の太さ斑等が極めて悪化する問題である。第2に挙げられる問題は、単糸細繊度化すると、マルチフィラメント糸の各単糸が紡糸口金の近傍で固化して、紡出してから一旦ほぼ固化するまでにマルチフィラメント糸の各単糸に働く張力をそのほぼ固化する位置での各単糸の走行方向に垂直な方向の断面の断面積で除して求められる応力が大きくなって、マルチフィラメント糸の各単糸の分子配向度が高くなり、紡出させ一旦固化させて引き取ったマルチフィラメント糸の強度と伸度を掛け合わせた強伸度や特に伸度等の品質が極めて悪化する問題である。また、紡出させ一旦固化させて引き取ったマルチフィラメント糸の強伸度や伸度等が低くなるため、この紡出させ一旦固化させて引き取ったマルチフィラメント糸を同工程あるいは別工程で延伸させる際には次の様な問題がある。即ち、延伸後のマルチフィラメント糸の伸度を高く維持する狙いで延伸倍率を低くすると、延伸後のマルチフィラメント糸において充分な強度が得られなかったり、延伸後のマルチフィラメント糸の強度を高くする狙いで延伸倍率を高くすると、延伸後のマルチフィラメント糸において充分な伸度が得られなかったりする問題である。なお、紡出してから一旦ほぼ固化するまでにマルチフィラメント糸の各単糸に働く張力をそのほぼ固化する位置での各単糸の走行方向に垂直な方向の断面の断面積で除して求められる応力と、紡出させ一旦固化させて引き取ったマルチフィラメント糸の各単糸の分子配向度の代表値である複屈折率との間には、密接な相関関係があることが一般に知られている。
これら問題は、上記の通り、マルチフィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性や、強伸度や、強度、伸度等の品質を悪化させるのは勿論のこと、斑が欠陥となってフィラメント糸の強伸度や、強度、伸度等の品質を更に悪化させたり、糸揺れ等と相俟って、紡糸工程や延伸工程あるいはその後の高次加工工程等において、毛羽や糸切れを引き起こして、マルチフィラメント糸の品位や生産性を悪化させたりする大きな問題となっている。
また、これら問題は、単糸異形断面化されたマルチフィラメント糸や、改質された熱可塑性ポリマーから構成されるマルチフィラメント糸等においても、同様に大きな問題となる。例えば、単糸異形断面化されたマルチフィラメント糸では、単糸の表面積や空気抵抗等が丸断面と比べて大きくなるため、マルチフィラメント糸の各単糸は紡糸口金の近傍で固化してしまう。また、単糸断面が異形であることから、マルチフィラメント糸の各単糸に対して均一な冷却を行うことが困難となる。また、熱可塑性ポリマーの改質方法の一例として、共重合が挙げられるが、一般に共重合を行うと、分子構造が乱されるため、マルチフィラメント糸の強度や伸度等が低くなり易い。そのため、多くの場合において、熱可塑性ポリマーの溶融粘度を高くする対応が採られるが、そうすると、紡糸口金から紡出されたマルチフィラメント糸の各単糸は紡糸口金の近傍で固化してしまう。また、熱可塑性ポリマーの中には、一般に広く活用されているポリエステルやポリアミド等と比べ、ガラス転移温度が高いものもあり、この様な特殊な熱可塑性ポリマーから構成されるマルチフィラメント糸においては、マルチフィラメント糸の各単糸は紡糸口金の極めて近傍で固化してしまう。
更に、上記した様な機能性を複数組み合わせる場合、例えば、単糸細繊度化・多フィラメント化と単糸異形断面化、あるいは単糸細繊度化・多フィラメント化と熱可塑性ポリマーの改質を組み合わせる等の場合には、これら問題は更に大きな問題となる。
この様に、上記した様な難紡糸品種を製造するにおいて、紡糸口金のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側でのマルチフィラメント糸の各単糸の変形挙動の制御や各単糸廻りの気流挙動の制御、また、これらの制御手段としての冷却手段は、マルチフィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性向上や、強伸度や、強度、伸度等の品質向上、品位向上、生産性向上の上で、極めて重要な要素である。
そこで、従来から、これら問題を解決するため、冷却手段等の改良を試みた様々な提案が行われている。
(1)均一冷却について
溶融紡糸における冷却手段としては、平面状の気流吹き出し面を設けて、円形の紡糸口金から紡出されるマルチフィラメント糸に一方向の気流を吹き付けて冷却する手段が知られている。この冷却手段を以下ユニフロ冷却手段と呼ぶこととする。このユニフロ冷却手段は構造が単純で糸掛け作業性も良く、溶融紡糸において広く適用されている冷却手段である。しかしながら、マルチフィラメント糸の各単糸の内、気流吹き出し面に近い側の単糸は充分冷却されるが、遠い側の単糸は充分に冷却され難く、冷却をマルチフィラメント糸の各単糸に対して均一に行うことが困難となり易い。そのため、特に多フィラメント化等を行うと、冷却斑や糸揺れ等が発生し、糸の太さ斑等が極めて悪化する問題があった。また、気流吹き出し面以外のマルチフィラメント糸の走行経路の外周側が開放されているため、現場雰囲気の外乱を受け易い問題もあった。
これに対し、均一な冷却等を狙って、マルチフィラメント糸の各単糸を紡出する吐出孔を、紡糸口金中心を中心として紡糸口金に円周状に配列し、更に円筒状の気流吹き出し面を設けて、マルチフィラメント糸を、マルチフィラメント糸の走行経路の内周側から外向き、あるいはマルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内向きに、気流を吹き付けて冷却する手段が知られている。なお、以下、マルチフィラメント糸の各単糸を紡出する吐出孔を紡糸口金に円周状に配列するさまを、環状に配列、また、円筒状の気流吹き出し面を、環状の気流吹き出し面と称する。また、以下、マルチフィラメント糸をマルチフィラメント糸の走行経路の内周側から外向きに気流を吹き付けて冷却する手段を外吹き環状冷却手段、マルチフィラメント糸をマルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内向きに気流を吹き付けて冷却する手段を内吹き環状冷却手段と呼び、更に、これら冷却手段を総称して環状冷却手段と呼ぶこととする。これら環状冷却手段は、マルチフィラメント糸の走行経路の内周側あるいは外周側からの気流で、全円周にわたってマルチフィラメント糸を冷却できるため、ユニフロ冷却手段に対し、冷却斑や糸揺れ等の抑制が期待できるポテンシャルの高い手段であると考えられる。
しかしながら、本発明者らの知見によれば、外吹き環状冷却手段は、紡糸口金に環状に配列された吐出孔から紡出されるマルチフィラメント糸の各単糸を、マルチフィラメント糸の走行経路の内周側から外向きに気流を吹き付けて冷却するため、気流はマルチフィラメント糸の走行経路の外周側に向かうにつれて流路の拡大により減速され易い。このため、冷却能力が比較的低く、多品種対応等の汎用性に課題があった。また、上記した様に気流が外周側に向かって減速され易く、且つマルチフィラメント糸の走行経路の外周側が開放されているため、ユニフロ冷却手段と同様に現場雰囲気の外乱を受け易い問題もあった。
これに対し、本発明者らの知見によれば、内吹き環状冷却手段は、紡糸口金に環状に配列された吐出孔から紡出されるマルチフィラメント糸の各単糸を、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内向きに気流を吹き付けて冷却するため、気流はマルチフィラメント糸の走行経路の内周側に向かうにつれて合流、増速され易い。このため、冷却能力が比較的高く、多品種対応等の汎用性にも優れる。また、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側に気流吹き出し面を配設するため、マルチフィラメント糸は現場雰囲気の乱れ等の影響を受け難い。従って、本発明者らの知見によれば、内吹き環状冷却手段は、均一冷却、冷却能力、汎用性等に優れたポテンシャルの高い冷却手段と考えられる。
(2)徐冷について
他方、紡出させ一旦固化させて引き取ったマルチフィラメント糸の強伸度や伸度等の品質を向上させる狙いで、紡出させ一旦固化させて引き取ったマルチフィラメント糸の各単糸の分子配向度を低く、また、紡出してから一旦ほぼ固化するまでにマルチフィラメント糸の各単糸に働く張力をそのほぼ固化する位置での各単糸の走行方向に垂直な方向の断面の断面積で除して求められる応力を小さく抑制するため、紡糸口金から紡出されたマルチフィラメント糸の各単糸を徐々に冷却、即ち、徐冷することが知られている。つまり、紡糸口金から紡出されたマルチフィラメント糸の各単糸を徐冷することにより、各単糸が紡糸口金の近傍で固化することを抑制して、紡出してから一旦ほぼ固化するまでにマルチフィラメント糸の各単糸に働く張力をそのほぼ固化する位置での各単糸の走行方向に垂直な方向の断面の断面積で除して求められる応力を緩和し、マルチフィラメント糸の各単糸の分子配向度を低く抑え、紡出させ一旦固化させて引き取ったマルチフィラメント糸の強伸度や伸度等の品質を向上させるというものである。
なお、紡糸口金から紡出されたマルチフィラメント糸の各単糸に対して、マルチフィラメント糸の走行経路方向に沿って長く徐冷、例えば、各単糸が固化するまで徐冷を行うと、装置が大型化する他、マルチフィラメント糸の各単糸を、紡糸口金から紡出された後、マルチフィラメント糸の走行経路方向に沿ってかなり長い距離に亘って、未固化の溶融状態で維持することとなるため、僅かな糸揺れ等でマルチフィラメント糸の単糸と単糸が接触する等して、単糸に傷等ができて欠陥となり、マルチフィラメント糸の強度や伸度等の品質が大きく低下したり、毛羽が発生してマルチフィラメント糸の品位が悪化したり、あるいは、糸切れが発生して生産性が劣化したりする等の問題が発生し易くなるため、紡糸口金から紡出されたマルチフィラメント糸の各単糸に徐冷を行う場合は、紡糸口金から紡出されたマルチフィラメント糸の各単糸を徐冷した後、急冷するのが一般的である。
この徐冷、急冷の構成について、従来、紡糸口金のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に、徐冷手段として加熱ヒーター等を装備した加熱筒と、急冷手段としての内吹き環状冷却手段とを順に配設する構成や、紡糸口金のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に、徐冷手段として比較的温度の高い気流をマルチフィラメント糸に吹き付けて徐冷する内吹き環状冷却手段と、急冷手段として比較的温度の低い気流をマルチフィラメント糸に吹き付けて急冷する内吹き環状冷却手段とを順に配設する構成等が提案されている。なお、以下、マルチフィラメント糸に吹き付けられてマルチフィラメント糸を徐冷する比較的温度の高い気流を徐冷気流、マルチフィラメント糸に吹き付けられてマルチフィラメント糸を急冷する比較的温度の低い気流を急冷気流、また、徐冷気流を吹き出す環状の気流吹き出し面を環状の徐冷気流吹き出し面、急冷気流を吹き出す環状の気流吹き出し面を環状の急冷気流吹き出し面と呼び、徐冷気流をマルチフィラメント糸に吹き付けて徐冷する環状の徐冷気流吹き出し面を設けた内吹き環状冷却手段を内吹き環状徐冷手段、急冷気流をマルチフィラメント糸に吹き付けて急冷する環状の急冷気流吹き出し面を設けた内吹き環状冷却手段を内吹き環状急冷手段と呼ぶこととする。
しかしながら、本発明者らの知見によれば、前者の加熱筒と内吹き環状冷却手段とを順に配設する構成には、次の様な問題があった。即ち、加熱筒を走行するマルチフィラメント糸の各単糸廻りには、加熱筒によって徐冷されているとは言え、加熱筒のマルチフィラメント糸の走行経路方向の長さ全長で考えれば、それなりに大きな規模の随伴流が形成される。なお、徐冷を充分に行う狙い等で、加熱筒のマルチフィラメント糸の走行経路方向の長さを充分に長くすると、益々大きな規模の随伴流が形成される。しかしながら、この加熱筒を走行するマルチフィラメント糸の各単糸廻りに形成される随伴流への気流供給は、加熱筒に気流供給機能がなく、加熱筒から直接気流供給を行うことができないため、加熱筒よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の内吹き環状冷却手段から吹き出された気流が、マルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側から上流側に向かって、加熱筒内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域内に流入する形で行われる。このため、流入した気流の影響で、加熱筒でマルチフィラメント糸の各単糸を充分に徐冷することが難くなり、マルチフィラメント糸の強伸度や伸度等の品質を充分に向上させ難い、あるいは、寧ろ低下させてしまう問題があった。また、流入した気流の影響で、加熱筒内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域や、内吹き環状冷却手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側における、マルチフィラメント糸の各単糸廻りの気流が乱されて、糸揺れ等が発生し、マルチフィラメント糸の糸の太さ斑等の均斉性が悪化する問題もあった。更に、本発明者らの知見によれば、この加熱筒を走行するマルチフィラメント糸の各単糸廻りに形成される随伴流はそれなりに大きな規模となるため、この随伴流、特に加熱筒を走行するマルチフィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸廻りに形成される随伴流への気流供給は、内吹き環状冷却手段から吹き出された気流がマルチフィラメント糸の走行経路の外周側をマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側から上流側に向かって流入、上昇する形で行われ易くなる。このため、このマルチフィラメント糸の走行経路の外周側から流入、上昇してきた気流により、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸が特に冷やされて、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸と内周側の各単糸とで大きな冷却斑が発生し易い問題もあった。また、このマルチフィラメント糸の走行経路の外周側から流入、上昇してきた気流により、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸は特に空気抵抗を受け易く、上記した大きな冷却斑と相俟って、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸と内周側の各単糸とで分子配向度の大きな差、大きな斑が発生して、その斑が欠陥となってマルチフィラメント糸の強伸度や伸度等の品質を充分に向上させ難い、あるいは寧ろ低下させてしまう問題もあった。なお、本発明者らの知見によれば、上記した様な難紡糸マルチフィラメント糸では、マルチフィラメント糸の各単糸が紡糸口金の近傍で固化してしまうので、紡糸口金の近傍からマルチフィラメント糸の各単糸廻りに大きな随伴流が形成され易く、これら問題は益々大きな問題となる。
一方、本発明者らの知見によれば、後者の内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段とを順に配設する構成では、マルチフィラメント糸の各単糸を、内吹き環状徐冷手段から比較的温度の高い気流を吹き付けて徐冷するので、マルチフィラメント糸の各単糸の徐冷と共に、内吹き環状徐冷手段を走行するマルチフィラメント糸の各単糸廻りに形成される随伴流への気流供給も同時に行うことができる。このため、内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段とを順に配設する構成では、上記した加熱筒と内吹き環状冷却手段とを順に配設する構成で確認される急冷手段から徐冷手段への気流流入や、これに纏わる諸問題が発生し難い。更に、本発明者らの知見によれば、内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段とを順に配設する構成では、内吹き環状徐冷手段から比較的温度の高い気流を吹き付けてマルチフィラメント糸の各単糸を徐冷するので、紡糸口金の近傍で固化して、紡糸口金の近傍からマルチフィラメント糸の各単糸廻りに大きな随伴流が形成され易い難紡糸マルチフィラメント糸にも対応し易い。従って、本発明者らの知見によれば、内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段とを順に配設する構成は、難紡糸マルチフィラメント糸に対応した徐冷、急冷の優れた構成と考えられる。なお、本発明者らの知見によれば、上記した加熱筒と内吹き環状急冷手段とを順に配設する構成で確認される、内吹き環状急冷手段から吹き出された気流が加熱筒内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域内に流入する現象は、特許文献1でも指摘されている。
(3)冷却斑について
しかしながら、本発明者らの知見によれば、この内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段とを順に配設する構成には、次の様な問題があった。即ち、内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段とを順に配設する構成では、紡糸口金から紡出されたマルチフィラメント糸の各単糸は、先ず、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに、内吹き環状徐冷手段の環状の徐冷気流吹き出し面から吹き出された徐冷気流により徐冷されるが、この過程で、マルチフィラメント糸の各単糸は、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に沿って、内吹き環状徐冷手段の環状の徐冷気流吹き出し面から次々と吹き出される徐冷気流により徐冷されることとなる。このため、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かうにつれて、環状の徐冷気流吹き出し面から吹き出されてマルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側へ向かって内向きに流れる徐冷気流の方向は、内向きで、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく傾いた方向、即ち、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側向きを上向き、下流側向きを下向きと表現すれば、下向きに大きく傾いた方向となり易く、これに伴い、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かうにつれて、マルチフィラメント糸の各単糸廻りの気流の方向も、内向きで、下向きに大きく傾いた方向となり易い。この様にマルチフィラメント糸の各単糸廻りの気流の方向が、内向きで、下向きに大きく傾いた方向となるのは、勿論、徐冷されているとは言え、内吹き環状徐冷手段を走行するマルチフィラメント糸の各単糸廻りに形成される随伴流の影響もある。しかしながら、これにも増して、内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段等の内吹き環状冷却手段には、環状の気流吹き出し面から吹き出された気流の出口が、内吹き環状冷却手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の開口部しかなく、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に沿って、内吹き環状徐冷手段の環状の徐冷気流吹き出し面から次々と吹き出される徐冷気流が、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側へ向かって内向きに流れるに従い、より狭い流路で合流して、特にマルチフィラメント糸の走行経路の内周側を中心として、下向きに大きく増速された流れを形成し、この流れに引き摺られる形で、マルチフィラメント糸の各単糸廻りの気流の方向が、内向きで、下向きに大きく傾いた方向となり易い。また、内吹き環状急冷手段を走行するマルチフィラメント糸の各単糸廻りの気流の方向は、上記内吹き環状徐冷手段の気流の影響も受けて、益々下向きに大きく傾いた方向となり易い。
この結果、マルチフィラメント糸の各単糸は、この、内向きで、下向きに大きく傾いた方向の気流により、この方向に沿って冷却されるため、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸と内周側の各単糸との間で大きな冷却斑が発生して、マルチフィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性を悪化させてしまう、あるいは、その斑が欠陥となってマルチフィラメント糸の強伸度や伸度等の品質を充分に向上させ難い、あるいは寧ろ低下させてしまう問題があった。
また、内吹き環状徐冷手段から比較的温度の高い気流、即ち、徐冷気流を吹き付けてマルチフィラメント糸の各単糸の徐冷を行うので、この徐冷気流がマルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに流れるに伴って、マルチフィラメント糸の各単糸から熱を貰って更に高温化し、特にマルチフィラメント糸の走行経路の内周側を中心として、下向きに大きく増速された流れを形成して、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に沿ってかなり長い距離に亘って、特にマルチフィラメント糸の走行経路の内周側の各単糸の冷却を妨げ、上記したマルチフィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸と内周側の各単糸との間の冷却斑を更に拡大させてしまう問題があった。
更に、上記した大きな冷却斑により、特にマルチフィラメント糸の走行経路の内周側の各単糸を急冷させ難くなり、各単糸を固化させるためには装置が大型化する問題がある他、マルチフィラメント糸の走行経路の内周側の各単糸を、紡糸口金から紡出された後、マルチフィラメント糸の走行経路方向に沿ってかなり長い距離に亘って、未固化の溶融状態で維持することとなるため、僅かな糸揺れ等でマルチフィラメント糸の単糸と単糸が接触し易く、接触等によって、単糸に傷等ができて欠陥となり、更にマルチフィラメント糸の強度や伸度等の品質が大きく低下したり、毛羽が発生してフィラメント糸の品位が悪化したり、あるいは、糸切れが発生して生産性が劣化したりする等の問題もあった。
本発明者らの知見によれば、これら問題の解決に関連する従来の提案として、次の2つの提案が挙げられる。第1の提案は、例えば、特許文献2の提案である。特許文献2では、紡糸口金(ダイ)から紡出(押出)されたマルチフィラメント糸の各単糸(多数の溶融フィラメント)を冷却手段(冷却装置)から吹き出す気流(冷却風)によって冷却し、ドラフトをかけて巻き取るようにした紡糸装置において、気流の温度もしくは温度と風量が異なる冷却手段を複数連結して冷却がマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側(下流)に向かって段階的に強く行われるようにし、しかも排気用(排風用)の送風機を設けて各冷却手段から排気するようにした冷却手段等が提案されている。また、特許文献2中の第1図には、特許文献2の提案に係る冷却手段を備えた紡糸装置の概略図が図示されており、この図について概略のみ記すと、紡糸口金のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に、比較的温度の高い気流を吹き出してマルチフィラメント糸の各単糸を徐冷する内吹き環状徐冷手段(冷却装置)と、比較的温度の低い気流を吹き出してマルチフィラメント糸の各単糸を急冷する内吹き環状急冷手段(冷却装置)とを、マルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に向かって、順に連結して配設した図が図示されている。また、この特許文献2中の第1図には、排気用の送風機も図示されており、本発明者らの知見によれば、この第1図を含めた特許文献2中の図において、排気用の送風機に繋がる排気配管と考えられる線が、何れも内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段等の各内吹き環状冷却手段の気流吹き出し面よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側で、且つ、各内吹き環状冷却手段の外周側の側壁から延びていることから、特許文献2において、各内吹き環状冷却手段で行われる排気は、各内吹き環状冷却手段の気流吹き出し面よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側で、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から行われるものと考えられる。更に、特許文献2には、冷却手段から吹き出す気流の温度もしくは温度と風量を吹き出し位置によって変えて、冷却が上流側では弱く、下流側では強く行われるようにし、しかも冷却ゾーンの少なくとも中間部の一か所から排気することにより、上下流の気流が混ざり合うのが防止されるため、マルチフィラメント糸の各単糸にドラフトをかけて延伸させる上流側と、マルチフィラメント糸の各単糸を冷却固化する下流側とで最適な冷却を行うことが容易かつ確実にでき、これにより、装置の大型化をもたらすことなく、弾性率や引張強度などのマルチフィラメント糸の物性が向上するとともに、溶融切れが起こり難くなり、しかもマルチフィラメント糸の各単糸同士の付着が防止される等と記載されている。なお、上記特許文献2の説明において、括弧内に特許文献2中での語句表記を参考までに付記したが、以下の特許文献2に関する説明においては、括弧外の語句で表記する。
しかしながら、本発明者らの知見によれば、特許文献2では、各内吹き環状冷却手段における排気が、各内吹き環状冷却手段の気流吹き出し面よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側で、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から行われるので、例えば、内吹き環状徐冷手段で行われる排気により、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側から吹き出された徐冷気流と、内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から吹き出された急冷気流とが、両方とも排気されてしまう。このため、気流が乱れて、糸揺れ等が発生し、マルチフィラメント糸の糸の太さ斑等の均斉性が悪化する問題があった。また、急冷気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から吹き出された急冷気流が、内吹き環状徐冷手段の排気へとマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側から上流側に向かって導かれることにより、特にマルチフィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸の空気抵抗が増加して、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸と内周側の各単糸とで分子配向度の大きな差、大きな斑が発生し、その斑が欠陥となってマルチフィラメント糸の強伸度や伸度等の品質を充分に向上させ難い、あるいは寧ろ低下させてしまう問題もあった。更に、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から排気を行うので、マルチフィラメント糸の各単糸廻りの内向きで、特に下向きに大きく傾いた方向の気流を是正することが難しく、また、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側へと更に高温化しつつ流れる徐冷気流を排気することも難しい。このため、上記したマルチフィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸と内周側の各単糸との間の冷却斑を解消することが難しく、この冷却斑に纏わる諸問題も残った。
次に、第2の従来の提案は、例えば、特許文献3の提案である。特許文献3では、合成繊維からなるマルチフィラメント糸(マルチフィラメント糸条)を紡出するために、同心円状に穿設された吐出孔群を有する紡糸口金、該紡糸口金から同心円状に紡出されたマルチフィラメント糸の最外周列を囲繞して、該紡糸口金の直下に設けられた加熱筒(遅延冷却手段)、該加熱筒の直下に配され、かつ紡出されたマルチフィラメント糸の外周列から内周列へと気流(冷却風)を供給する内吹き環状冷却手段(冷却手段)、及び同心円状に紡出されたマルチフィラメント糸の中心部に配され、かつ該内吹き環状冷却手段の上端から下流方向に0〜50mm離れた位置に配された気流の排気手段からなり、その際該排気手段の有効排気長が、該内吹き環状冷却手段の有効冷却長に対して10〜50%の長さであることを特徴とする合成繊維の溶融紡糸装置等が提案されている。また、特許文献3には、この排気手段が奏する最大の効果は、高速で走行するマルチフィラメント糸に随伴して、加熱筒部から持ち込まれる高温の気流を、内吹き環状冷却手段への入り側において積極的に排出できることにあり、しかも、このようにすることにより、高速で走行するマルチフィラメント糸に随伴する高温気流の持ち込み量を少なくでき、排気手段より下流側で供給される気流の温度を低く維持することができる等と記載されている。なお、上記特許文献3の説明において、括弧内に特許文献3中での語句表記を参考までに付記したが、以下の特許文献3に関する説明においては、括弧外の語句で表記する。
しかしながら、特許文献3で提案されている溶融紡糸装置の構成は、排気手段が配設されてはいるものの、基本的に、紡糸口金のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に加熱筒と内吹き環状冷却手段とを順に配設する構成であり、本発明者らの知見によれば、特許文献3においても、上記した加熱筒と内吹き環状冷却手段とを順に配設する構成における問題が同様にあった。
また、本発明者らの知見によれば、仮に、特許文献3の提案を、内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段とを順に配設する構成に適用すること、即ち、要点のみ述べれば、仮に、内吹き環状急冷手段の上端から下流方向に0〜50mm離れた位置に、その有効排気長が内吹き環状急冷手段の有効冷却長に対して10〜50%の長さである気流の排気手段を設けることを考えても、排気手段を内吹き環状急冷手段の上端から下流方向に0〜50mm離れた位置に設けるのでは、特に、排気手段よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側を走行する、例えば、内吹き環状徐冷手段を走行するマルチフィラメント糸の各単糸の廻りの、内向きで、特に下向きに大きく傾いた方向の気流を是正することは難しい。このため、特に、排気手段よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側を走行するマルチフィラメント糸において、上記したマルチフィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸と内周側の各単糸との間の冷却斑を解消することが難しく、この冷却斑に纏わる諸問題も残った。
以上の様に、冷却手段は、マルチフィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性向上や、強伸度や、強度、伸度等の品質向上、品位向上、生産性向上の上で、極めて重要な要素であるが、上記した様に、特に、冷却斑の問題が残されており、難紡糸品種製造の大きな妨げとなっていた。従って、上記した冷却斑の問題を解決することは、工業上、極めて重要な意味を有するのである。
特開平4−41711号公報 特許第2674656号公報 特開2000−212824号公報
本発明の目的は、上記した問題を解決し、糸の太さ斑や品質斑等の均斉性や、強伸度や、強度、伸度等の品質、毛羽等の品位に優れた単糸細繊度化・多フィラメント化されたマルチフィラメント糸や単糸異形断面化されたマルチフィラメント糸、あるいは熱可塑性ポリマーが改質されたマルチフィラメント糸やガラス転移温度が高い等の特殊な熱可塑性ポリマーから構成されるマルチフィラメント糸等の難紡糸マルチフィラメント糸を、生産性、汎用性良好の下、製造する装置および方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明によれば、熱可塑性ポリマーを溶融紡糸し、マルチフィラメント糸を製造する装置であって、以下の(1)〜(4)の要件を満足することを特徴とするマルチフィラメント糸の製造装置が提供される。
(1)前記マルチフィラメント糸の各単糸を紡出する複数の吐出孔を環状に配列した紡糸口金を配設すること。
(2)前記紡糸口金の前記マルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に、前記マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内向きに徐冷気流を吹き付けて前記マルチフィラメント糸を徐冷する環状の徐冷気流吹き出し面を設けた内吹き環状徐冷手段と、前記マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内向きに急冷気流を吹き付けて前記マルチフィラメント糸を急冷する環状の急冷気流吹き出し面を設けた内吹き環状急冷手段とを、前記マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって、前記内吹き環状徐冷手段、前記内吹き環状急冷手段の順で配設すること。
(3)前記マルチフィラメント糸の走行経路方向からみて前記マルチフィラメント糸の走行経路の内側に、前記マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在し、前記マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって前記マルチフィラメント糸の前記各単糸を通過した前記徐冷気流および前記急冷気流を内向きに排気する環状の気流排気面を設けた内向き環状排気手段を配設すること。
(4)前記マルチフィラメント糸の走行経路方向において、前記マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在する前記内向き環状排気手段の前記気流排気面を、前記内吹き環状徐冷手段の前記徐冷気流吹き出し面と、前記内吹き環状急冷手段の前記急冷気流吹き出し面とにまたがるように配設すること。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記内向き環状排気手段の前記マルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の端面に、前記マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって第2の急冷気流を吹き出す急冷気流吹き出し面を設けたことを特徴とするマルチフィラメント糸の製造装置が提供される。
また、本発明の別の形態によれば、上記のマルチフィラメント糸の製造装置を用い、熱可塑性ポリマーを溶融紡糸し、マルチフィラメント糸を製造することを特徴とするマルチフィラメント糸の製造方法が提供される。
本発明において、「徐冷」とは、比較的温度の高い雰囲気にマルチフィラメント糸を通過させる、あるいは比較的温度の高い気流をマルチフィラメント糸に吹き付ける等して、マルチフィラメント糸を徐々に冷却することを示し、より具体的には、マルチフィラメント糸を構成する熱可塑性ポリマーのガラス転移温度より温度の高い雰囲気にマルチフィラメント糸を通過させる、あるいはガラス転移温度より温度の高い気流をマルチフィラメント糸に吹き付ける等して、マルチフィラメント糸を徐々に冷却することを示す。
また、本発明において、「徐冷気流」とは、マルチフィラメント糸を徐冷するための比較的温度の高い気流を示し、より具体的には、マルチフィラメント糸を構成する熱可塑性ポリマーのガラス転移温度より温度の高い気流を示す。
また、本発明において、「徐冷気流吹き出し面」とは、徐冷気流を吹き出す気流吹き出し面を示すものとする。
また、本発明において、「急冷」とは、比較的温度の低い雰囲気にマルチフィラメント糸を通過させる、あるいは比較的温度の低い気流をマルチフィラメント糸に吹き付ける等して、マルチフィラメント糸を急激に冷却することを示し、より具体的には、マルチフィラメント糸を構成する熱可塑性ポリマーのガラス転移温度以下の温度の低い雰囲気にマルチフィラメント糸を通過させる、あるいはガラス転移温度以下の温度の低い気流をマルチフィラメント糸に吹き付ける等して、マルチフィラメント糸を急激に冷却することを示す。
また、本発明において、「急冷気流」とは、マルチフィラメント糸を急冷するための比較的温度の低い気流を示し、より具体的には、マルチフィラメント糸を構成する熱可塑性ポリマーのガラス転移温度以下の温度の低い気流を示す。
また、本発明において、「急冷気流吹き出し面」とは、急冷気流を吹き出す気流吹き出し面を示すものとする。
本発明によれば、糸の太さ斑や品質斑等の均斉性や、強伸度や、強度、伸度等の品質、毛羽等の品位に優れた単糸細繊度化・多フィラメント化されたマルチフィラメント糸や単糸異形断面化されたマルチフィラメント糸、あるいは熱可塑性ポリマーが改質されたマルチフィラメント糸やガラス転移温度が高い等の特殊な熱可塑性ポリマーから構成されるマルチフィラメント糸等の難紡糸マルチフィラメント糸を、生産性、汎用性良好の下、製造することができる。
以下、本発明の最良の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細を説明する。
図1は本実施形態の好ましい溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。また、図2(a)〜図2(c)は本実施形態の一実施例に係る紡糸口金や冷却手段周辺の溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図であり、図1において点線で囲まれた紡糸口金や冷却手段周辺の領域を凡そ拡大した図となっている。なお、図1では、後述する内向き環状排気手段の支持、保持等を行う部材である支持部材や、後述する内向き環状排気手段の環状の気流排気面へと排気される排気気流の系外への排気口である気流排気口等の図示を省略しているが、図2(a)〜図2(c)では、支持部材や気流排気口等を図示している。また、図1では、後述するマルチフィラメント糸等を図示しているが、図2(a)〜図2(c)では、マルチフィラメント糸等の図示を省略している。これを踏まえて、図2(a)〜図2(c)について、更に説明を付け加えると、図2(a)は本実施形態の一実施例に係る紡糸口金や冷却手段周辺の溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図、図2(b)は本実施形態の一実施例に係る紡糸口金や冷却手段周辺の溶融紡糸の構成の別の一例を模式的に例示した縦断面の概略図、図2(c)は本実施形態の一実施例に係る紡糸口金や冷却手段周辺の溶融紡糸の構成の更に別の一例を模式的に例示した縦断面の概略図であり、図2(a)は内向き環状排気手段の環状の気流排気面へと排気される排気気流が、内向き環状排気手段からマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向へと排気される様に、気流排気口を配設した場合の一例を模式的に例示した縦断面の概略図、図2(b)は内向き環状排気手段の環状の気流排気面へと排気される排気気流が、内向き環状排気手段からマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側へと排気される様に、気流排気口を配設した場合の一例を模式的に例示した縦断面の概略図、図2(c)は内向き環状排気手段の環状の気流排気面へと排気される排気気流が、内向き環状排気手段からマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側へと排気される様に、気流排気口を配設した場合の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。
図1、図2(a)〜図2(c)において、1は紡糸口金、2は紡糸パック、3はスピンブロック、4aは内吹き環状徐冷手段、4bは内吹き環状急冷手段、5aは環状の徐冷気流吹き出し面(後述する内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し部の徐冷気流が吹き出されるマルチフィラメント糸側の面)、5bは環状の急冷気流吹き出し面(後述する内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し部の急冷気流が吹き出されるマルチフィラメント糸側の面)、6aは内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し部(図1等においてマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の線で塗り潰された部分。なお、後述する内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し部も、図1等においてマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の線で塗り潰されている)、6bは内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し部、7aは内吹き環状徐冷手段の気流室、7bは内吹き環状急冷手段の気流室、8aは内吹き環状徐冷手段の気流供給口、8bは内吹き環状急冷手段の気流供給口、9aは徐冷気流吹き出し面から吹き出される徐冷気流(図1等において内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し部6aを横切る複数の矢印群で図示されている)、9bは急冷気流吹き出し面から吹き出される急冷気流(図1等において内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し部6bを横切る複数の矢印群で図示されている)、10はマルチフィラメント糸、11は糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段、12は糸引取手段、13は糸巻取手段であり、14は内向き環状排気手段、15は環状の気流排気面、16は気流排気部(図1等においてドットで塗り潰された部分)、17は内向き環状排気手段の排気気流室、18は気流排気面へと排気される排気気流(図1等において内向き環状排気手段の気流排気部16を横切る複数の矢印群で図示されている)であり、19は内向き環状排気手段の環状の気流排気面へと排気される排気気流の系外への排気口である気流排気口、20は内向き環状排気手段の支持、保持等を行う部材である支持部材(図2(a)〜図2(c)等において斜線で塗り潰された部分)であり、図2(a)〜図2(c)、また、後述する図4(a)、図4(b)においては、支持部材20の一部に内向き環状排気手段の気流排気口19が配設された構成で図示されている。なお、後述する図4(a)、図4(b)においては、支持部材20の一部に後述する内向き環状排気手段の気流供給口25が更に配設された構成で図示されている。
また、QTDは冷却開始距離であり、マルチフィラメント糸を紡出する紡糸口金のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面(以下、これを紡糸口金の下面と呼ぶこととする)から、紡糸口金から紡出されたマルチフィラメント糸をマルチフィラメント糸の走行経路方向の最も上流側から気流を吹き付けて冷却する冷却手段の、気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側の上端(以下、気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側の上端を気流吹き出し面の上端と呼ぶこととする。また、徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側の上端をそれぞれ、徐冷気流吹き出し面の上端、急冷気流吹き出し面の上端と呼ぶこととする)までの、マルチフィラメント糸の走行経路方向の距離を示す。また、紡糸口金から紡出されたマルチフィラメント糸をマルチフィラメント糸の走行経路方向の最も上流側から気流を吹き付けて冷却する冷却手段の気流吹き出し面の上端の、紡糸口金の下面からのマルチフィラメント糸の走行経路方向の位置を、冷却開始位置と呼ぶこととする。なお、本実施形態において、紡糸口金から紡出されたマルチフィラメント糸をマルチフィラメント糸の走行経路方向の最も上流側から気流を吹き付けて冷却する冷却手段とは、即ち、内吹き環状徐冷手段であり、図1、図2(a)〜図2(c)、また、後述する図3、図4(a)、図4(b)等において、冷却開始距離QTDは、紡糸口金の下面から内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面の上端までのマルチフィラメント糸の走行経路方向の距離で図示されている。また、紡糸口金の下面から、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面の上端、あるいは内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面の上端までのマルチフィラメント糸の走行経路方向の距離や、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面の上端、あるいは内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面の上端の、紡糸口金の下面からのマルチフィラメント糸の走行経路方向の位置等を個々に述べる場合等には、必要に応じて、紡糸口金の下面から、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面の上端、あるいは内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面の上端までのマルチフィラメント糸の走行経路方向の距離をそれぞれ、内吹き環状徐冷手段の冷却開始距離、内吹き環状急冷手段の冷却開始距離、また、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面の上端、あるいは内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面の上端の、紡糸口金の下面からのマルチフィラメント糸の走行経路方向の位置をそれぞれ、内吹き環状徐冷手段の冷却開始位置、内吹き環状急冷手段の冷却開始位置等と呼ぶこととする。また、内向き環状排気手段の気流排気面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側の上端を気流排気面の上端と呼ぶこととし、また、気流吹き出し面や、徐冷気流吹き出し面、急冷気流吹き出し面、気流排気面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の下端をそれぞれ、気流吹き出し面の下端、徐冷気流吹き出し面の下端、急冷気流吹き出し面の下端、気流排気面の下端と呼ぶこととする。
なお、図1、図2(a)〜図2(c)、また、後述する図3、図4(a)、図4(b)等において、徐冷気流吹き出し面から吹き出される徐冷気流9aや、急冷気流吹き出し面から吹き出される急冷気流9b、また、後述する内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し面から吹き出される第2の急冷気流23は、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し部6aや、内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し部6b、また、後述する内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し部22を横切る複数の矢印群で図示されているが、これは、徐冷気流吹き出し面や、急冷気流吹き出し面、また、後述する内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し面から、徐冷気流や急冷気流等の気流が吹き出されるさまを単に示したものであり、気流の流速や流量、流れ方向等の形態を特に限定するものでなく、本実施形態はこれに限られない。また、図1、図2(a)〜図2(c)、また、後述する図3、図4(a)、図4(b)等において、気流排気面へと排気される排気気流18は、内向き環状排気手段の気流排気部16を横切る複数の矢印群で図示されているが、これは、気流排気面へと排気気流が排気されるさまを単に示したものであり、排気気流の流速や流量、流れ方向等の形態を特に限定するものでなく、本実施形態はこれに限られない。また、図1、また、後述する図3、図5(a)、図5(b)、図6等において、マルチフィラメント糸10を数本の直線で図示しているが、これはマルチフィラメント糸が紡糸口金から紡出され、走行するさまを単に示したものであり、マルチフィラメント糸の単糸数や糸条数、マルチフィラメント糸の集束形態、たわみ状態等や、吐出孔の配列数や配列形態等の形態を特に限定するものではなく、本実施形態はこれに限定されない。また、図1、図2(a)〜図2(c)、また、後述する図3、図4(a)、図4(b)等において、内吹き環状徐冷手段の気流供給口8aや、内吹き環状急冷手段の気流供給口8b、また、内向き環状排気手段の気流供給口25に記載の矢印は、気流供給口を通って気流が内吹き環状徐冷手段や、内吹き環状急冷手段、また、後述する内向き環状排気手段へと気流が流れ込むさまを単に示したものであり、気流の流速や流量、流れ方向等の形態を特に限定するものではなく、本実施形態はこれに限られない。また、図2(a)〜図2(c)、また、後述する図4(a)、図4(b)等において、内向き環状排気手段の気流排気口19に記載の矢印は、気流排気口を通って排気気流が内向き環状排気手段から流れ出すさまを単に示したものであり、排気気流の流速や流量、流れ方向等の形態を特に限定するものでなく、本実施形態はこれに限られない。
図1において、マルチフィラメント糸10は、紡糸口金1から紡出され、内吹き環状徐冷手段の気流供給口8a、気流室7a、徐冷気流吹き出し部6aを経て、徐冷気流吹き出し面5aから吹き出された気流、徐冷気流9aにより徐冷され、次いで、内吹き環状急冷手段の気流供給口8b、気流室7b、急冷気流吹き出し部6bを経て、急冷気流吹き出し面5bから吹き出された気流、急冷気流9bにより急冷されて、固化した後、糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段11、糸引取手段12を経て、糸巻取手段13により巻き取られる。また、巻き取られたマルチフィラメント糸10は、この後、必要に応じ、図示しない別工程において延伸や熱処理等が施される。なお、徐冷気流9aや急冷気流9bは、徐冷気流吹き出し面5aや、急冷気流吹き出し面5bから吹き出されるまでの供給過程、例えば、気流吹き出し面5a、5b、気流吹き出し部6a、6b、気流室7a、7b、気流供給口8a、8b、あるいは、気流供給口8a、8bよりも気流供給方向の上流側の図示しない気流の供給過程等において、その温度等の調整等が施される。また、徐冷気流吹き出し面5aや、急冷気流吹き出し面5bから吹き出された徐冷気流9aや急冷気流9b等の気流の一部は、排気気流18として内向き環状排気手段の気流排気面15へと排気され、この後、排気気流18は、内向き環状排気手段の気流排気部16、気流室17、また、図1では図示していない気流排気口19を経て、系外に排気される。
なお、図1、図2(a)〜図2(c)、また、後述する図3、図4(a)、図4(b)等において、マルチフィラメント糸を構成する熱可塑性ポリマーを供給する押出機やポンプ、フィルター、配管等や、紡糸口金に穿設、配列される吐出孔等の図示をしていないが、無論、設けられても良い。また、紡糸パックを加熱・保温する紡糸パック加熱器や断熱部材、保温部材等や、気流を供給するファンやブロワ等の気流発生手段、気流配管、気流フィルター、気流の成分や温度、湿度、流速、流量、流れ方向等やそれらの分布等の気流調整手段等の図示をしていないが、設けられても良い。なお、図1、また、後述する図3、図5(a)、図5(b)等では、内向き環状排気手段の支持、保持等を行う部材である支持部材や、内向き環状排気手段の環状の気流排気面へと排気される排気気流の系外への排気口である気流排気口等の図示、また、図2(a)〜図2(c)、また、後述する図4(a)、図4(b)等では、マルチフィラメント糸等の図示を省略している。また、一般に溶融紡糸において、現場雰囲気等の乱れ等の影響を防止する等の狙いから、紡糸パック、スピンブロックや、冷却手段等の周辺でシールが行われる場合が多いが、これも、図1、図2(a)〜図2(c)、また、後述する図3、図4(a)、図4(b)等では図示をしていないが、行われても良い。また、図1、図2(a)〜図2(c)、また、後述する図3、図4(a)、図4(b)等において、紡糸口金と、紡糸パックとの間や、紡糸パックと、スピンブロックとの間、紡糸口金や紡糸パック、スピンブロック、また、それらの部材あるいはそれらに接続されるその他部材等と、内吹き環状徐冷手段との間、内吹き環状徐冷手段と、内吹き環状急冷手段との間、徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面、内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段の気流吹き出し部と、内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段との間、気流排気面や気流排気部と、内向き環状排気手段との間、支持部材と、内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段、内向き環状排気手段との間、支持部材と、気流排気面や気流排気部との間、あるいは、支持部材と、内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し面や内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し部との間等で、シール等について特に図示をしていないが、上記した各間で行われても良い。また、上記した各間に、各間をシールするためのシール部材や接続等するための接続部材等が設けられても良い。
また、図1、図2(a)〜図(b)、また、後述する図3、図4(a)、図4(b)等において、図示されていない断熱部材や保温部材、加熱部材や冷却部材、加熱手段や冷却手段、温度等の計測手段、加熱装置や冷却装置等、糸交絡手段や、加熱ローラーや加熱チューブ等の糸加熱手段、糸加湿手段、糸リラックス手段、糸道ダクト、延伸ローラー等の糸延伸手段、サクションガン等の糸吸引手段、マルチフィラメント糸を気流で送り出す糸送出手段、コンベヤ等の糸搬送手段、冷却手段を移動させる移動手段等や、あるいはマルチフィラメント糸から発生するモノマー等による紡糸口金の下面の汚れを抑制する狙いで希ガス、窒素等の不活性気体やスチーム、空気、水分を含む空気等を紡糸口金の下面近傍に供給するモノマー抑制手段等や、あるいはシール部材や接続部材、案内部材、固定部材等の部材等が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても良い。
では、本実施形態の第1の重要な実施形態について説明する。本実施形態の第1の重要な実施形態は、例えば、図1、図2(a)〜図2(c)に示す様に、熱可塑性ポリマーを溶融紡糸し、マルチフィラメント糸を製造する装置であって、以下の(1)〜(4)の要件を満足することを特徴とするマルチフィラメント糸の製造装置である。
(1)前記マルチフィラメント糸の各単糸を紡出する複数の吐出孔を環状に配列した紡糸口金を配設すること。
(2)前記紡糸口金の前記マルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に、前記マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内向きに徐冷気流を吹き付けて前記マルチフィラメント糸を徐冷する環状の徐冷気流吹き出し面を設けた内吹き環状徐冷手段と、前記マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内向きに急冷気流を吹き付けて前記マルチフィラメント糸を急冷する環状の急冷気流吹き出し面を設けた内吹き環状急冷手段とを、前記マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって、前記内吹き環状徐冷手段、前記内吹き環状急冷手段の順で配設すること。
(3)前記マルチフィラメント糸の走行経路方向からみて前記マルチフィラメント糸の走行経路の内側に、前記マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在し、前記マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって前記マルチフィラメント糸の前記各単糸を通過した前記徐冷気流および前記急冷気流を内向きに排気する環状の気流排気面を設けた内向き環状排気手段を配設すること。
(4)前記マルチフィラメント糸の走行経路方向において、前記マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在する前記内向き環状排気手段の前記気流排気面を、前記内吹き環状徐冷手段の前記徐冷気流吹き出し面と、前記内吹き環状急冷手段の前記急冷気流吹き出し面とにまたがるように配設すること。
なお、本実施形態の第1の重要な実施形態において、「(3)前記マルチフィラメント糸の走行経路方向からみて前記マルチフィラメント糸の走行経路の内側に、前記マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在し、前記マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって前記マルチフィラメント糸の前記各単糸を通過した前記徐冷気流および前記急冷気流を内向きに排気する環状の気流排気面を設けた内向き環状排気手段を配設すること。」と記載しているが、環状の気流排気面を設けた内向き環状排気手段が排気する気流は、内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段の徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面から吹き出されて、マルチフィラメント糸の各単糸を通過した徐冷気流や急冷気流に特に限られない。例えば、紡糸口金に穿設される、マルチフィラメント糸の各単糸を紡出する吐出孔の配列において、紡糸口金から紡出される複数のマルチフィラメント糸を各糸条に分離するための分離帯が設けられる場合等、内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段の徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面から吹き出された徐冷気流や急冷気流が、上記分離帯等に対応したマルチフィラメント糸の各単糸が走行していない領域を通って、マルチフィラメント糸の各単糸を通過せずに、環状の気流排気面を設けた内向き環状排気手段に排気されても良い。
また、本実施形態において、マルチフィラメント糸の走行経路方向とは、マルチフィラメント糸やその各単糸の大局的な走行方向を示し、例えば、図1等で言えば、図中の上から下に向かう方向を示す。また、本実施形態において、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側、下流側とは、例えば、図1等で言えば、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側が図中の上方向側、フィラメント糸の走行経路方向の下流側が図中の下方向側を示し、例えば、紡糸口金のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側とは、図1等で言えば、図中の紡糸口金の下方向側を示す。また、本実施形態において、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かう方向、例えば、図1等で言えば、図中で上から下に向かう方向を強調する場合に、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって等と記載する場合がある。また、本実施形態において、マルチフィラメント糸やその各単糸の走行方向とは、マルチフィラメント糸やその各単糸の実際の走行方向や糸道等から予測される走行方向等を示し、例えば、図1等で言えば、マルチフィラメント糸やその各単糸が紡糸口金1から、糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段11に向かって、斜め下方向に走行しているが、例えば、その様な方向を示す。更に、各単糸の走行経路とは、各単糸の具体的な走行経路、例えば、各単糸の糸道等を示す。また、本実施形態において、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面とは、マルチフィラメント糸の走行経路からみて最外周を走行するマルチフィラメント糸の単糸の走行経路を通り、マルチフィラメント糸の走行経路を外周側から囲う面を示すものとする。また、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面とは、マルチフィラメント糸の走行経路からみて最内周を走行するマルチフィラメント糸の単糸の走行経路を通り、マルチフィラメント糸の走行経路を内周側から囲う面を示すものとする。また、本実施形態において、マルチフィラメント糸の走行経路とは、マルチフィラメント糸の各単糸の走行経路を合わせたもの示し、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面とマルチフィラメント糸の走行経路の最内周面に囲まれた領域を大局的に示す。なお、本実施形態において、マルチフィラメント糸の走行経路方向からみてマルチフィラメント糸の走行経路の内側とは、言い換えれば、フィラメント糸の走行経路の最内周面の内側を示す。また、本実施形態において、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面とマルチフィラメント糸の走行経路の最内周面に囲まれた領域を、マルチフィラメント糸の走行領域と呼ぶ場合もある。
本実施形態の第1の重要な実施形態では、冷却手段に、均一冷却、冷却能力、汎用性等に優れたポテンシャルの高い内吹き環状冷却手段である内吹き環状徐冷手段、内吹き環状急冷手段を採用する。また、徐冷、急冷の構成として、内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段とをマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって順に配設する構成を採用するので、マルチフィラメント糸の各単糸の徐冷と共に、各単糸廻りに形成される随伴流への気流供給も同時に行うことができる。更に、マルチフィラメント糸の走行経路方向からみてマルチフィラメント糸の走行経路の内側に、内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段に対応して、マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在し、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かってマルチフィラメント糸の各単糸を通過した徐冷気流および急冷気流を内向きに排気する環状の気流排気面を設けた内向き環状排気手段を配設し、且つ、マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在する内向き環状排気手段の気流排気面を、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面と内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面とにまたがるように配設するので、徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面から吹き出されてマルチフィラメント糸の各単糸を通過した徐冷気流や急冷気流、特に、徐冷気流吹き出し面から吹き出されてマルチフィラメント糸の各単糸を通過した徐冷気流を、効果的に排気でき、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に沿って、徐冷気流や急冷気流が徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面から次々と吹き出されることで、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって、マルチフィラメント糸の各単糸廻りの気流の方向が、内向きで、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく傾いた方向となり、この方向に沿ってマルチフィラメント糸の各単糸が冷却されることや、徐冷気流や急冷気流、特に、徐冷気流が、徐冷気流吹き出し面から吹き出されて、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに流れるに伴って、マルチフィラメント糸の各単糸から熱を貰って更に高温化し、特にマルチフィラメント糸の走行経路の内周側を中心として、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かう方向に大きく増速された流れを形成することで、特にマルチフィラメント糸の走行経路の内周側の各単糸の冷却が、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に沿って、かなり長い距離に亘って、妨げられること等により、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸と内周側の各単糸との間で発生する大きな冷却斑を抑制することができる。このため、この大きな冷却斑やこれに纏わる諸問題を解消でき、難紡糸マルチフィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性の向上や、強伸度や、強度、伸度等の品質のより充分な向上、更には、毛羽等の品位の向上や、生産性の向上等も図ることができる。
では、本実施形態の第1の重要な実施形態の特長や効果等について詳細を説明する。第1に、本実施形態の第1の重要な実施形態では、内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段等の内吹き環状冷却手段を採用する。このため、本実施形態の第1の重要な実施形態では、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに、環状の気流吹き出し面からマルチフィラメント糸に気流を吹き付けて冷却するので、マルチフィラメント糸の各単糸を均一に冷却し易い。結果、本実施形態の第1の重要な実施形態は、常法、例えば、ユニフロ冷却手段等と比べて、冷却斑や糸揺れ等を抑制することができ、マルチフィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性を向上させることができる。また、本実施形態の第1の重要な実施形態では、環状の気流吹き出し面から吹き出された気流が、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かうにつれて合流、増速され易い。結果、本実施形態の第1の重要な実施形態は、冷却能力が比較的高く、多品種対応等の汎用性にも優れる。更に、本実施形態の第1の重要な実施形態では、環状の気流吹き出し面が、マルチフィラメント糸をマルチフィラメント糸の走行経路の外周側から包囲する様に設けられる。結果、本実施形態の第1の重要な実施形態は、マルチフィラメント糸への現場雰囲気の乱れ等の影響を抑制することができ、マルチフィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性等を更に向上させることができる。従って、本実施形態の第1の重要な実施形態は、均一冷却、冷却能力、汎用性等に優れる。また、本実施形態の第1の重要な実施形態では、上記の通り、マルチフィラメント糸の各単糸を均一に冷却し易いので、例えば、多フィラメント化されたマルチフィラメント糸に対しても、無論、極めて有効であり、常法、例えば、ユニフロ冷却手段等と比べて、冷却斑や糸揺れ等を抑制することができ、マルチフィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性を向上させることができる。なお、本実施形態の第1の重要な実施形態では、冷却手段に、均一冷却、冷却能力、汎用性等に優れたポテンシャルの高い内吹き環状冷却手段である内吹き環状徐冷手段、内吹き環状急冷手段を採用するので、単糸細繊度化・多フィラメント化されたマルチフィラメント糸や単糸異形断面化されたマルチフィラメント糸、あるいは熱可塑性ポリマーが改質されたマルチフィラメント糸やガラス転移温度が高い等の特殊な熱可塑性ポリマーから構成されるマルチフィラメント糸等の難紡糸マルチフィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性向上等に極めて有効であるが、後述する環状の気流排気面を設けた内向き環状排気手段やその実施形態等により、本実施形態の第1の重要な実施形態によるマルチフィラメント糸、更には難紡糸マルチフィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性向上や、強伸度や、強度、伸度等の品質のより充分な向上、更には、毛羽等の品位向上や、生産性向上の効果は、より確実なものとなる。
第2に、本実施形態の第1の重要な実施形態では、徐冷、急冷の構成として、紡糸口金のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に、内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段とをマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって順に配設する構成を採用する。このため、本実施形態の第1の重要な実施形態では、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面から比較的温度の高い気流、徐冷気流をマルチフィラメント糸に吹き付けて徐冷するので、マルチフィラメント糸の各単糸の徐冷と共に、各単糸廻りに形成される随伴流への気流供給も同時に行うことができる。結果、紡糸口金のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に、徐冷手段として加熱筒、急冷手段として内吹き環状冷却手段とを順に配設する構成で確認される様な、急冷手段から徐冷手段への気流流入や、これに纏わる諸問題、例えば、流入した気流により、マルチフィラメント糸の各単糸の徐冷が不充分となったり、大きな冷却斑が発生したりする等してマルチフィラメント糸の強伸度や、強度、伸度等の品質を充分に向上させ難い、あるいは寧ろ低下させてしまう問題や、気流乱れ、糸揺れ等が発生してマルチフィラメント糸の糸の太さ斑等の均斉性を悪化させてしまう問題なく、マルチフィラメント糸の各単糸の分子配向度を小さく抑制することができ、マルチフィラメント糸の強伸度や、強度、伸度等の品質を向上させることができる。また、急冷手段として、内吹き環状徐冷手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に、内吹き環状急冷手段を、内吹き環状徐冷手段に続けて配設するので、紡糸口金から紡出された後に、マルチフィラメント糸の各単糸を、マルチフィラメント糸の走行経路方向に沿ってかなり長い距離に亘って、未固化の溶融状態で維持し難くすることができ、僅かな糸揺れ等でマルチフィラメント糸の単糸と単糸が接触する等して、単糸に傷等ができて欠陥となり、マルチフィラメント糸の強度や伸度等の品質が大きく低下したり、毛羽が発生してフィラメント糸の品位が悪化したり、あるいは、糸切れが発生して生産性が劣化したりする等の問題も発生し難い。なお、本実施形態の第1の重要な実施形態では、徐冷、急冷の構成として、紡糸口金のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に、内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段とをマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって順に配設する構成を採用するので、上記した様に、マルチフィラメント糸の各単糸を効果的に徐冷、急冷でき、紡糸口金から紡出された後に、紡糸口金の近傍で各単糸が固化し易く、各単糸の分子配向度が高くなり、マルチフィラメント糸の強伸度や、強度、伸度等の品質が悪化し易い、単糸細繊度化・多フィラメント化されたマルチフィラメント糸や単糸異形断面化されたマルチフィラメント糸、あるいは熱可塑性ポリマーが改質されたマルチフィラメント糸やガラス転移温度が高い等の特殊な熱可塑性ポリマーから構成されるマルチフィラメント糸等の難紡糸マルチフィラメント糸の強伸度や、強度、伸度等の品質向上等に極めて有効であるが、後述する環状の気流排気面を設けた内向き環状排気手段やその実施形態等により、本実施形態の第1の重要な実施形態によるマルチフィラメント糸、更には難紡糸マルチフィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性向上や、強伸度や、強度、伸度等の品質のより充分な向上、更には、毛羽等の品位向上や、生産性向上の効果は、より確実なものとなる。
また、第3に、本実施形態の第1の重要な実施形態では、マルチフィラメント糸の走行経路方向からみてマルチフィラメント糸の走行経路の内側に、マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在し、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かってマルチフィラメント糸の各単糸を通過した徐冷気流および急冷気流を内向きに排気する環状の気流排気面を設けた内向き環状排気手段を配設し、且つ、マルチフィラメント糸の走行経路方向において、マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在する内向き環状排気手段の気流排気面を、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面と、内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面とにまたがるように配設する。このため、本実施形態の第1の重要な実施形態では、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって、マルチフィラメント糸の各単糸廻りの気流の方向が、内向きで、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく傾いた方向となることが抑制されて、また、この方向に沿ってマルチフィラメント糸の各単糸が冷却されることも抑制することができる。また、本実施形態の第1の重要な実施形態では、特に徐冷気流が、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに流れるに伴って、マルチフィラメント糸の各単糸から熱を貰って更に高温化し、特にマルチフィラメント糸の走行経路の内周側を中心として、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かう方向に大きく増速された流れを形成することが抑制され、また、それがマルチフィラメント糸の走行経路の内周側周辺に滞留することで、特にマルチフィラメント糸の走行経路の内周側の各単糸の冷却が、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に沿って、かなり長い距離に亘って、妨げられることも抑制することができる。これらの結果、本実施形態の第1の重要な実施形態では、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸と内周側の各単糸との間で発生する大きな冷却斑を抑制することができる。そして、この大きな冷却斑やこれに纏わる諸問題なく、マルチフィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性や、強伸度や、強度、伸度等の品質のより充分に向上させることができ、更には、毛羽等の品位や、生産性等も向上させることができるのである。
では、本実施形態の第1の重要な実施形態において極めて重要な実施要件である、この環状の気流排気面を設けた内向き環状排気手段やその実施形態等の特長や効果等について、紡糸口金の下面や紡糸パックのマルチフィラメント糸の走行経路を囲う内側面(以下、紡糸パックの内側面と呼ぶこととする)、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面や内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面等に囲まれた領域に形成される流れの観点から、図5(a)、図6を用いて、更に詳細を説明する。図5(a)は本実施形態の一実施例に係る紡糸口金の下面や紡糸パックの内側面、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面や内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面等に囲まれた領域に形成される流れの形態の一例を模式的に例示した縦断面の概念図であり、図1の縦断面の概略図において点線で囲まれた領域に模式的に例示している、本実施形態の一実施例に係る紡糸口金や冷却手段周辺の溶融紡糸の構成の一例に対応した、紡糸口金の下面や紡糸パックの内側面、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面や内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面等に囲まれた領域に形成される流れの形態の一例を模式的に例示した縦断面の概念図となっている。また、図6は従来の紡糸口金の下面や紡糸パックの内側面、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面や内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面等に囲まれた領域に形成される流れの形態の一例を模式的に例示した縦断面の概念図であり、本実施形態の様に、マルチフィラメント糸の走行経路方向において、マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在し、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面と、内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面とにまたがるように配設され、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かってマルチフィラメント糸の各単糸を通過した徐冷気流や急冷気流を内向きに排気する環状の気流排気面を設けた内向き環状排気手段を、マルチフィラメント糸の走行経路方向からみてマルチフィラメント糸の走行経路の内側に配設しない、従来の溶融紡糸の構成の一例に対応した従来の紡糸口金の下面や紡糸パックの内側面、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面や内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面等に囲まれた領域に形成される流れの形態の一例を模式的に例示した縦断面の概念図となっている。また、E1は内向き環状排気手段よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の領域に形成される場合がある渦であり、図5(a)、図6、また、後述する図5(b)における、矢印付きの各点線は、各図において形成される気流の流れ方向を示し(矢印がその方向を示す)、各点線上の各点での気流の速度ベクトルの方向が各点での各点線の接線方向とほぼ一致する様に各点線を図示している。なお、図5(a)、図6、また、後述する図5(b)においては、流れの形態を判り易く図示するため、図1や後述する図3と同様に、内向き環状排気手段の支持、保持等を行う部材である支持部材や、内向き環状排気手段の環状の気流排気面へと排気される排気気流の系外への排気口である気流排気口等の図示を省略している。また、図5(a)、図6、また、後述する図5(b)における各記号は、図1、図2(a)〜図2(c)、後述する図3、図4(a)、図4(b)に準ずるが、図5(a)、図6、また、後述する図5(b)においては、図1、図2(a)〜図2(c)、後述する図3、図4(a)、図4(b)等では示した部位や記号等の図示を一部省略している。なお、図5(b)については、本実施形態の別の重要な実施形態の説明において後述する。
では先ず、従来の技術の問題点について、図6を用いて、紡糸口金の下面や紡糸パックの内側面、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面や内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面等に囲まれた領域に形成される流れの観点から説明する。紡糸口金から紡出されたマルチフィラメント糸の各単糸は、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって走行する過程で、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面や内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面から次々と吹き出される徐冷気流や急冷気流等の気流により冷却される。ここで、一般に、溶融紡糸においては、現場雰囲気等の乱れ等の影響を防止する等の狙いから、紡糸パックやスピンブロック、内吹き環状冷却手段等の周辺でシールが行われる場合が多いので、内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段等の内吹き環状冷却手段には、環状の気流吹き出し面から吹き出された気流の出口が、実質的に内吹き環状冷却手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の開口部しかない。このため、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面や内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面から、徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面等に囲まれた内吹き環状冷却手段や内吹き環状急冷手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域へと吹き出された徐冷気流や急冷気流等の気流は、内吹き環状冷却手段や内吹き環状急冷手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域を、総じてマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって流れる。また、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面や内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面から次々と吹き出され、供給される徐冷気流や急冷気流等の気流により、内吹き環状冷却手段や内吹き環状急冷手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域を流れる気流の流量は、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって増大し、また、内吹き環状冷却手段や内吹き環状急冷手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域を流れる気流のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かう方向の流速も、総じてマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって増大する。ここで、特に徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面からマルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに、徐冷気流や急冷気流等の気流が吹き出されることから、特に、マルチフィラメント糸の走行経路の内周側の領域を中心に、マルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく増速された流れが形成される。そして、この流れに引き摺られる形で、徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面から吹き出されてマルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに流れる徐冷気流や急冷気流等の気流の方向は、内向きで、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かうにつれて、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく傾いた方向となり易い。また、これに伴い、図6に示す様に、マルチフィラメント糸の各単糸廻りの気流の方向も、内向きで、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かうにつれて、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく傾いた方向となり易くなる。この結果、従来の技術では、第1に、この、内向きで、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく傾いた方向の気流により、この方向に沿ってマルチフィラメント糸の各単糸が冷却されること、また、第2に、徐冷気流や急冷気流、特に、徐冷気流が、徐冷気流吹き出し面から吹き出されて、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに流れるに伴い、マルチフィラメント糸の各単糸から熱を貰って更に高温化し、上記した様に、特に、マルチフィラメント糸の走行経路の内周側の領域を中心に、マルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく増速された流れを形成して、特にマルチフィラメント糸の走行経路の内周側の各単糸の冷却が、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に沿って、かなり長い距離に亘って、妨げられること等により、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸と内周側の各単糸との間で大きな冷却斑が発生してしまう。そして、この大きな冷却斑により、マルチフィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性が悪化したり、その斑が欠陥となってマルチフィラメント糸の強伸度や、強度、伸度等の品質が充分に向上しない、あるいは低下したりするのである。また、この大きな冷却斑により、特にマルチフィラメント糸の走行経路の内周側の各単糸を急冷させ難くなり、特にマルチフィラメント糸の走行経路の内周側の各単糸を、紡糸口金から紡出された後、マルチフィラメント糸の走行経路方向に沿ってかなり長い距離に亘って、未固化の溶融状態で維持することとなって、僅かな糸揺れ等でマルチフィラメント糸の単糸と単糸が接触し易くなり、接触等によって単糸に傷等ができて欠陥となり、マルチフィラメント糸の強度や伸度等の品質が更に大きく低下したり、あるいは、毛羽が発生してフィラメント糸の品位が悪化したり、更には、糸切れが発生して生産性が劣化したりするのである。
なお、上記の通り、一般に溶融紡糸においては、現場雰囲気等の乱れ等の影響を防止する等の狙いから、紡糸パックやスピンブロック、冷却手段等(今回の場合で言えば、内吹き環状冷却手段。また、徐冷等の目的で加熱筒や保温筒等が設けられる場合は、それらについても)の周辺でシールが行われて、冷却手段内等のマルチフィラメント糸の走行可能な領域、例えば、内吹き環状冷却手段で言えば、気流吹き出し面等に囲まれた領域、あるいは、その領域内のマルチフィラメント糸の走行領域やその周辺の領域等に、冷却手段等からの気流以外の、例えば、外気等が流入することを防止する措置が行われる場合が多い。
また、内吹き環状冷却手段の気流吹き出し面には、そのマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面形状が円形で、且つ、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に沿って、その垂直な方向の断面形状、例えば、断面の内径等が大きく変化しない、円筒状の、環状の気流吹き出し面が用いられるのが一般的である。マルチフィラメント糸の各単糸を、マルチフィラメント糸の走行経路を囲う円周方向、言い換えれば、環状方向に、均一に冷却し易く、また、マルチフィラメント糸の各単糸に、環状方向に、均一に気流を供給し易い等の理由からである。
また、特に図示等して説明はしないが、上記背景技術において従来の技術の一つとして記載した特許文献2の提案では、本発明者らの知見によれば、各内吹き環状冷却手段排気における排気を、各内吹き環状冷却手段の気流吹き出し面よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側で、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から行う。このため、紡糸口金のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に、内吹き環状徐冷手段と、内吹き環状急冷手段とを順に配設する構成において、特に、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面から吹き出されて、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに流れて、マルチフィラメント糸の各単糸から熱を貰って高温化し、マルチフィラメント糸の各単糸を通過した徐冷気流を、図5(a)に示す本実施形態の第1の重要な実施形態の様に効果的に排気することは無論困難であり、また、排気を行うことすら困難である。この結果、特許文献2の提案では、マルチフィラメント糸の走行経路の内周側の領域を中心に形成される、高温で、マルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく増速された流れや、この流れによりマルチフィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸と内周側の各単糸との間で発生する大きな冷却斑を抑制できない。また、そればかりか、内吹き環状徐冷手段において、徐冷気流吹き出し面よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側で、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から行われる排気により、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側から吹き出された徐冷気流と、内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から吹き出された急冷気流とが、両方とも排気されてしまい、上記背景技術において記載した様な問題もあった。
また、同様に図示等して説明はしないが、上記背景技術において従来の技術の一つとして記載した特許文献3の提案では、徐冷、急冷の構成に、紡糸口金のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に、加熱筒と内吹き環状冷却手段とを順に配設する構成を採用しており、本発明者らの知見によれば、上記背景技術にて記載した様に加熱筒と内吹き環状冷却手段とを順に配設する構成特有の問題がある。また、本発明者らの知見によれば、仮に、この特許文献3の提案を、紡糸口金のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に、内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段とを順に配設する構成に適用することを考えても、排気手段を、内吹き環状急冷手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側の上端を含む、上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に設けるのでは、特に、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面から吹き出されて、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに流れて、マルチフィラメント糸の各単糸から熱を貰って高温化し、マルチフィラメント糸の各単糸を通過した徐冷気流を、図5(a)に示す本実施形態の第1の重要な実施形態の様に効果的に排気することは困難である。この結果、特許文献3の提案では、マルチフィラメント糸の走行経路の内周側の領域を中心に形成される、高温で、マルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく増速された流れや、この流れによりマルチフィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸と内周側の各単糸との間で発生する大きな冷却斑を充分に抑制できず、この大きな冷却斑やこれに纏わる諸問題もあった。
一方、本実施形態の第1の重要な実施形態では、図5(a)にも示す様に、マルチフィラメント糸の走行経路方向からみてマルチフィラメント糸の走行経路の内側に、マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在し、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かってマルチフィラメント糸の各単糸を通過した徐冷気流および急冷気流を内向きに排気する環状の気流排気面を設けた内向き環状排気手段を配設し、また、そのマルチフィラメント糸の走行経路方向に延在する内向き環状排気手段の気流排気面を、マルチフィラメント糸の走行経路方向において、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面と内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面とにまたがるように配設する。このため、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面や、内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面、特に、徐冷気流吹き出し面から吹き出されて、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに流れて、マルチフィラメント糸の各単糸から熱を貰って高温化してマルチフィラメント糸の各単糸を通過した徐冷気流を、環状の気流排気面を設けた内向き環状排気手段で効果的に排気できる。また、徐冷気流や急冷気流等の気流、特に、徐冷気流が、徐冷気流吹き出し面から吹き出されて、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに流れるに伴い、マルチフィラメント糸の各単糸から熱を貰って更に高温化し、特に、マルチフィラメント糸の走行経路の内周側の領域を中心に、高温で、マルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく増速された流れを形成することを抑制できる。この結果、本実施形態の第1の重要な実施形態では、この流れにより、マルチフィラメント糸の各単糸廻りの気流の方向が、内向きで、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく傾いた方向となること、また、特に、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かうにつれて、各単糸廻りの気流の方向が、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく傾いた方向となることが、図5(a)に示す様に抑制される。また、マルチフィラメント糸の走行経路の内周側の各単糸の冷却がこの流れにより、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に沿って、かなり長い距離に亘って、妨げられ難くなる。
以上により、本実施形態の第1の重要な実施形態では、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸と内周側の各単糸との間で発生する大きな冷却斑が抑制され、上記した大きな冷却斑やそれに纏わる諸問題が解消されて、マルチフィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性が向上したり、強伸度や、強度、伸度等の品質がより充分に向上したり、更には、毛羽等の品位や、生産性等も向上したりするのである。
また、本実施形態の第1の重要な実施形態では、特に、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面から吹き出されて、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに流れて、マルチフィラメント糸の各単糸から熱を貰って高温化してマルチフィラメント糸の各単糸を通過した徐冷気流を、環状の気流排気面を設けた内向き環状排気手段で上記した様に効果的に排気できるので、マルチフィラメント糸の各単糸の徐冷に引き続いて行う、マルチフィラメント糸の各単糸の急冷もより効果的に行うことができる。この結果、本実施形態の第1の重要な実施形態では、マルチフィラメント糸の各単糸が、紡糸口金から紡出された後、マルチフィラメント糸の走行経路方向に沿ってかなり長い距離に亘って、未固化の溶融状態で維持されて、僅かな糸揺れ等でマルチフィラメント糸の単糸と単糸が接触する等して、単糸に傷等できて欠陥となり、マルチフィラメント糸の強度や伸度等の品質が大きく低下したり、毛羽が発生してフィラメント糸の品位が悪化したり、あるいは、糸切れが発生して生産性が劣化したりする等の問題も発生し難い。
更には、本実施形態の第1の重要な実施形態では、上記した様に、効果的な排気により、徐冷や急冷を、常法、例えば、紡糸口金のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に、加熱筒と内吹き環状冷却手段とを順に配設する徐冷、急冷の構成や、紡糸口金のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に、内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段とを順に配設する徐冷、急冷の構成、あるいは、上記背景技術で記載した、その他の徐冷、急冷の構成等と比べて、より、極めて効果的に行うことができるので、紡糸口金から紡出された後に、紡糸口金の近傍で各単糸が固化し易く、各単糸の分子配向度が高くなり、マルチフィラメント糸の強伸度や、強度、伸度等の品質が悪化し易い、単糸細繊度化・多フィラメント化されたマルチフィラメント糸や単糸異形断面化されたマルチフィラメント糸、あるいは熱可塑性ポリマーが改質されたマルチフィラメント糸やガラス転移温度が高い等の特殊な熱可塑性ポリマーから構成されるマルチフィラメント糸等の難紡糸マルチフィラメント糸の強伸度や、強度、伸度等の品質向上や、糸の太さ斑や品質斑等の均斉性向上、更には、毛羽等の品位向上や、生産性向上等にも極めて有効である。
この本実施形態の第1の重要な実施形態は、本発明者らが、紡糸口金のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の、紡糸口金の下面や紡糸パックの内側面、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面や内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面等に囲まれた領域に形成される流れについては勿論のこと、紡糸口金から紡出されたマルチフィラメント糸の各単糸の紡出後の変形挙動や、各単糸と気流との間の相互作用や相互影響についても鋭意検討を重ねた末に導き出されたものである。では、本実施形態の第1に重要な実施形態の第3の特長や効果等について更に説明する。
本発明者らは、紡糸口金のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の、紡糸口金の下面や紡糸パックの内側面、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面や内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面等に囲まれた領域に形成される流れの観点から、マルチフィラメント糸の強伸度や、強度、伸度等の品質向上等に有効な、徐冷、急冷の優れた構成である、紡糸口金のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に、内吹き環状徐冷手段と、内吹き環状急冷手段とを、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって、内吹き環状徐冷手段、内吹き環状急冷手段の順で配設する構成において発生する上記した様な大きな冷却斑を抑制するには、特に、比較的温度の高い気流である徐冷気流が、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面から吹き出されて、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに流れて、マルチフィラメント糸の各単糸から熱を貰って更に高温化し、特に、マルチフィラメント糸の走行経路の内周側の領域を中心に、高温で、マルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく増速された流れを形成することを、効果的に抑制する必要があると考えた。また、そのためには、特に、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面から吹き出されて、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに流れて、マルチフィラメント糸の各単糸から熱を貰って高温化し、マルチフィラメント糸の各単糸を通過した徐冷気流を、効果的に排気する必要があると考えた。また、一方、本発明者らは、紡糸口金から紡出されて、紡糸口金のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の、徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面等に囲まれた内吹き環状冷却手段や内吹き環状急冷手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域等を、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって走行する、マルチフィラメント糸の各単糸の変形挙動についても鋭意検討を重ねた。その結果、比較的温度の高い気流である徐冷気流が徐冷気流吹き出し面から吹き出される、徐冷気流吹き出し面等に囲まれた内吹き環状徐冷手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域等では、徐冷気流が徐冷気流吹き出し面から吹き出されるので、マルチフィラメント糸の各単糸廻りの雰囲気温度が比較的高く、また、マルチフィラメント糸の各単糸の糸温度も、紡出された後、低下し難く、比較的高温に保たれ易く、更に、マルチフィラメント糸の各単糸の糸速度も、紡出された後、上昇し難く、比較的低速に保たれ易いので、内吹き環状徐冷手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域等を走行するマルチフィラメント糸の各単糸廻りに形成される随伴流の規模は、比較的小さくなり易く、また、内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面から吹き出される急冷気流により、糸温度が低下し易く、また、糸速度も上昇し易い、急冷気流吹き出し面等に囲まれた内吹き環状急冷手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域等を走行するマルチフィラメント糸の各単糸廻りに形成される随伴流の規模と比べて、圧倒的に小さくなり易いことが判った。そして、内吹き環状徐冷手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域等では、その領域を走行するマルチフィラメント糸の各単糸が、その随伴流のために、比較的にそれ程多くの気流供給を必要としないため、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面からマルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに吹き出された徐冷気流は、マルチフィラメント糸の各単糸を、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに流れ、マルチフィラメント糸の走行経路の内周側を中心に形成されるマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく増速された流れの影響が仮になければ、各単糸廻りに形成される随伴流の影響も比較的に小さいので、随伴流の影響でマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく傾くこともなく、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面の外側から走行経路の最内周面の内側へと流出し易いことが判った。
しかしながら、マルチフィラメント糸の走行経路の内周側を中心に形成されるマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく増速された流れの影響が仮になくなったとしても、流石に、徐冷気流吹き出し面等に囲まれた内吹き環状徐冷手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側を走行するマルチフィラメント糸の各単糸廻りには、そこまで徐冷されてきているとは言え、糸温度も徐々に低下、糸速度も徐々に上昇し続けてきているため、上流側より大きい、それ相応に大きい規模の随伴流が形成される。そのため、内吹き環状徐冷手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側を走行するマルチフィラメント糸の各単糸廻りに形成される随伴流と共に、その随伴流のために必要とされる気流供給の規模も大きくなり、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面、特に、徐冷気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側から、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに吹き出された徐冷気流は、マルチフィラメント糸の各単糸を、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに流れる過程で、随伴流の影響を受けて、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに傾き易い。よって、特に、徐冷気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側から、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに吹き出された徐冷気流は、仮にマルチフィラメント糸の走行経路の内周側を中心に形成されるマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく増速された流れの影響がなくなったとしても、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに傾いて、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面の外側から走行経路の最内周面の内側へと流出し易いことも判った。
これら鋭意検討の結果、特に、比較的温度の高い気流である徐冷気流が、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面から吹き出されて、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに流れて、マルチフィラメント糸の各単糸から熱を貰って更に高温化し、特に、マルチフィラメント糸の走行経路の内周側の領域を中心に、高温で、マルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく増速された流れを形成することを効果的に抑制するには、また、特に、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面から吹き出されて、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに流れて、マルチフィラメント糸の各単糸から熱を貰って高温化し、マルチフィラメント糸の各単糸を通過した徐冷気流を効果的に排気するには、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面からマルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに吹き出された徐冷気流が、比較的に随伴流の影響を受けることなく、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく傾くこともなく、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面の外側から走行経路の最内周面の内側へと流出し易い内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面で囲まれた領域から、マルチフィラメント糸の走行経路方向からみてマルチフィラメント糸の走行経路の内側に、マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在する環状の気流排気面を設けた内向き環状排気手段を配設して、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側へと流出した気流を排気し、徐冷気流吹き出し面で囲まれた領域から着実に、徐冷気流吹き出し面からマルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに次々吹き出されてマルチフィラメント糸の各単糸を通過した徐冷気流を逐次排気することで、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に沿って、特に、徐冷気流吹き出し面から次々と吹き出されてマルチフィラメント糸の各単糸を通過した徐冷気流がマルチフィラメント糸の走行経路の内周側周辺で合流して、マルチフィラメント糸の走行経路の内周側周辺を中心に高温でマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく増速された流れを形成することを抑制し、更に、上記したマルチフィラメント糸の走行経路方向に延在する内向き環状排気手段の環状の気流排気面を、マルチフィラメント糸の走行経路方向において、内吹き環状徐冷手段の環状の徐冷気流吹き出し面のみならず、内吹き環状徐冷手段の環状の徐冷気流吹き出し面と内吹き環状急冷手段の環状の急冷気流吹き出し面とにまたがるように、マルチフィラメント糸の各単糸を間に挟んで、環状の徐冷気流吹き出し面や環状の急冷気流吹き出し面に対向して配設して排気を行うことで、特に、徐冷気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側から吹き出されてマルチフィラメント糸の各単糸を通過して各単糸から熱を貰って更に高温化した徐冷気流についても確実に排気を行って、そもそも比較的温度の高い徐冷気流がマルチフィラメント糸の各単糸を通過して各単糸から熱を貰って更に高温化してマルチフィラメント糸の走行経路の内周側へと流出、滞留することを確実に抑制することが、最も効果的であるとの結論に至った。即ち、マルチフィラメント糸の走行経路方向からみてマルチフィラメント糸の走行経路の内側に、マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在し、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かってマルチフィラメント糸の各単糸を通過した徐冷気流および急冷気流を内向きに排気する環状の気流排気面を設けた内向き環状排気手段を配設し、且つ、マルチフィラメント糸の走行経路方向において、マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在する内向き環状排気手段の気流排気面を、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面と、内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面とにまたがるように配設することを考案するに至ったのである。
では、本実施形態の第1の重要な実施形態のその他の特長や効果、メリット等について詳細を更に説明する。第4に、本実施形態の第1の重要な実施形態では、マルチフィラメント糸の走行経路方向からみてマルチフィラメント糸の走行経路の内側に、マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在し、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かってマルチフィラメント糸の各単糸を通過した徐冷気流および急冷気流を内向きに排気する環状の気流排気面を設けた内向き環状排気手段を配設し、且つ、マルチフィラメント糸の走行経路方向において、マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在する内向き環状排気手段の気流排気面を、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面と、内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面とにまたがるように配設する。このため、紡糸口金から紡出されたマルチフィラメント糸の各単糸から発生する分解ガスや昇華物、モノマー、オリゴマー等についても排気することができ、この結果、それらが滞留等して、紡糸口金の下面に付着、堆積し、マルチフィラメント糸の各単糸の吐出を妨げて糸切れ等が頻発する等の生産性が低下することを抑制できるばかりか、更には、短時間でそれらが付着、堆積が進行することも抑制できるので、紡糸口金の下面の清掃周期を長くとることができ、清掃に伴う多くの糸切替ロスや作業負荷を低減できるというメリットまでも有する。なお、一般に、紡糸口金の下面は、マルチフィラメント糸から発生する分解ガスや昇華物、モノマー、オリゴマー等が付着、堆積し、マルチフィラメント糸の各単糸の吐出を妨げて糸切れ等が頻発する等の問題を回避するため、一定の周期で清掃が行われるが、清掃に伴い、多くの糸切替ロスや作業負荷を必要とするため、溶融紡糸の、特に操業性に関する大きな問題として認識されている。
また、第5に、本実施形態の第1の重要な実施形態では、上記した様に、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸と内周側の各単糸との間で発生する大きな冷却斑を抑制できるので、紡糸口金から紡出されたマルチフィラメント糸の各単糸を、徐冷の後に、マルチフィラメント糸の走行経路の内周側の各単糸を含めて、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に沿って、短い距離で急冷でき、特に、内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の長さを短くすることができる。この結果、特に、内吹き環状急冷手段等をコンパクト化し易いメリットがある他、コンパクト化し易いことから、小スペースでの溶融紡糸や溶融紡糸装置等(例えば、溶融紡糸が行われる場所や溶融紡糸装置が設置される場所の建屋の階高が低い)に対応し易い等のメリットまでも有する。また、マルチフィラメント糸の各単糸を、マルチフィラメント糸の走行経路の内周側の各単糸を含めて、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に沿って、短い距離で急冷でき、また、特に、内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の長さを短くすることができるので、マルチフィラメント糸の各単糸の急冷に必要な、特に、内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面から吹き出される急冷気流の流量を小さくすることができるというメリットをも有する。
本実施形態はマルチフィラメント糸の走行経路方向に延在する内向き環状排気手段の環状の気流排気面を、マルチフィラメント糸の走行経路方向において、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面と内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面とにまたがるように配設する形態により、上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、特に限られず、様々な配設形態に本実施形態は好適である。例えば、製糸安定性等を損なわない範囲で、気流排気面が徐冷気流吹き出し面と急冷気流吹き出し面とにまたがるように配設される限り、気流排気面の上端を徐冷気流吹き出し面の上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側や下流側、あるいはマルチフィラメント糸の走行経路方向に同じ位置に合わせて配設しても良く、また、気流排気面の下端を急冷気流吹き出し面の下端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側や下流側、あるいはマルチフィラメント糸の走行経路方向に同じ位置に合わせて配設しても良い。なお、本実施形態において、“マルチフィラメント糸の走行経路方向において、マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在する内向き環状排気手段の気流排気面を、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面と、内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面とにまたがるように配設する”形態とは、マルチフィラメント糸の走行経路方向において、マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在する内向き環状排気手段の気流排気面の上端を、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面の下端を含む下端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側に配設し、且つ、気流排気面の下端を、内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面の上端を含む上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に配設した形態を示すものとする。
マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在する気流排気面を、マルチフィラメント糸の走行経路方向において、徐冷気流吹き出し面と急冷気流吹き出し面とにまたがるように配設する形態は、上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、特に限られないが、好ましくは、気流排気面の上端を、徐冷気流吹き出し面の上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に配設すると良い。
気流排気面の上端を、徐冷気流吹き出し面の上端を含む上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側に配設すると、徐冷気流吹き出し面の、特に徐冷気流吹き出し面の上端周辺から、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに吹き出された徐冷気流は、気流排気面により、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側向きに指向され易くなり、また、徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面から直接気流供給を受け難い、紡糸口金の近傍の、徐冷気流吹き出し面の上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側を走行するマルチフィラメント糸の各単糸への気流供給は、徐冷気流吹き出し面の上端周辺から吹き出された徐冷気流が、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面の外側の領域を通って、直接マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側に向かって、マルチフィラメント糸の走行方向と逆行して、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面に極めて近接して上昇する形で行われ易くなる。この結果、徐冷気流吹き出し面の上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側を走行するマルチフィラメント糸の各単糸において、特に、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面周辺の各単糸に働く空気抵抗が、その他のマルチフィラメント糸の走行経路の最外周面周辺よりもマルチフィラメント糸の走行経路からみて内側の各単糸に働く空気抵抗よりも大きくなり、また、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面周辺の各単糸の分子配向度が、その他のマルチフィラメント糸の走行経路の最外周面周辺よりもマルチフィラメント糸の走行経路からみて内側の各単糸の分子配向度よりも高くなって、マルチフィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性が悪化したり、また、その糸の太さ斑や品質斑等の斑が欠陥となって、マルチフィラメント糸の強伸度や、強度、伸度等の品質が低下したり、更には毛羽や糸切れ等が発生して、マルチフィラメント糸の品位や生産性が悪化したりする等の問題が発生し易くなる。
一方、気流排気面の上端を、徐冷気流吹き出し面の上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に配設すると、徐冷気流吹き出し面の、特に徐冷気流吹き出し面の上端周辺から、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに吹き出された徐冷気流は、気流排気面により、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに指向され難くなり、また、徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面から直接気流供給を受け難い、紡糸口金の近傍の、徐冷気流吹き出し面の上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側を走行するマルチフィラメント糸の各単糸への気流供給は、徐冷気流吹き出し面の上端周辺から吹き出された徐冷気流が、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面の外側の領域を通って、直接マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側に向かって、マルチフィラメント糸の走行方向と逆行して、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面に極めて近接して上昇する形で行われ難くなる。そして、図5(a)にも示す様に、徐冷気流吹き出し面の上端周辺からマルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに吹き出された徐冷気流が、各単糸廻りの随伴流の影響も小さいのでマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく傾くこともなく、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面の外側から走行経路の最内周面の内側へと、マルチフィラメント糸の各単糸から熱を貰って更に高温化して流出し、その後、そのマルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側の領域を通って、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側に向かって、上昇する形で行われ易くなる。この結果、徐冷気流吹き出し面の上端周辺から吹き出された徐冷気流が、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面の外側の領域を通って、直接マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側に向かって、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面に極めて近接して上昇することを抑制でき、また、上記した様な、この上昇流に纏わる諸問題も発生し難くすることができる。
また、徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面から直接気流供給を受け難い、紡糸口金の近傍の、徐冷気流吹き出し面の上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側を走行するマルチフィラメント糸の各単糸への気流供給が、徐冷気流吹き出し面の上端周辺からマルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに吹き出された比較的温度の高い徐冷気流が、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに大きく傾くこともなく、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面の外側から走行経路の最内周面の内側へと流出、その過程でマルチフィラメント糸の各単糸から熱を貰って更に高温化し、次いで、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側の領域を通って、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側に向かって上昇する形で行われるので、紡糸口金の下面や紡糸口金の下面のマルチフィラメント糸の各単糸のための吐出孔が穿設、配列される領域の周辺等を、より高温に保ち易く、また一方、より高温に保ち易いので、紡糸口金の下面や紡糸口金の下面のマルチフィラメント糸の各単糸のための吐出孔が穿設、配列される領域の周辺等を冷やすことなく、冷却開始距離を更に短縮し易い。そのため、冷却開始距離を更に短縮することで、マルチフィラメント糸の各単糸が急激に固化して、紡出してから一旦ほぼ固化するまでにマルチフィラメント糸の各単糸に働く張力をそのほぼ固化する位置での各単糸の走行方向に垂直な方向の断面の断面積で除して求められる応力が大きくなり易く、また、気流の乱れ等の影響を受け易く、気流の乱れ等の影響を受けて乱れ易い、繊細で、敏感な、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側の領域の更に上流側から、マルチフィラメント糸の各単糸を徐冷したり、各単糸廻りの気流を整流化したりすること等ができる。結果、紡糸口金から紡出された後、紡糸口金の近傍で急激に固化し易く、紡出してから一旦ほぼ固化するまでにマルチフィラメント糸の各単糸に働く張力をそのほぼ固化する位置での各単糸の走行方向に垂直な方向の断面の断面積で除して求められる応力が大きくなり易い、単糸細繊度化・多フィラメント化されたマルチフィラメント糸や単糸異形断面化されたマルチフィラメント糸、あるいは熱可塑性ポリマーが改質されたマルチフィラメント糸やガラス転移温度が高い等の特殊な熱可塑性ポリマーから構成されるマルチフィラメント糸等の難紡糸マルチフィラメント糸に対して、更に有効に対応し易いというメリットをも有する。
また、気流排気面の上端を、徐冷気流吹き出し面の上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に配設する形態において、マルチフィラメント糸の走行経路方向における気流排気面の上端と徐冷気流吹き出し面の上端との間の距離は特に限られない。例えば、マルチフィラメント糸の単糸数や単糸繊度等の品種や、紡糸速度等の紡糸条件、あるいは冷却開始距離QTD等にもよるが、マルチフィラメント糸の走行経路方向における気流排気面の上端と徐冷気流吹き出し面の上端との間の距離を、冷却開始距離QTDより大きくしても、小さくしても良く、あるいは同程度としても良く、特に限られない。なお、マルチフィラメント糸の単糸数や単糸繊度等の品種や、紡糸速度等の紡糸条件、あるいは冷却開始距離QTD等にもよるが、基本的に徐冷気流吹き出し面の上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側の領域を走行するマルチフィラメント糸の各単糸廻りに形成される随伴流の規模は比較的小さい。従って、上記した様な気流排気面の上端を徐冷気流吹き出し面の上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に配設する形態における効果を得るに当り、マルチフィラメント糸の走行経路方向における気流排気面の上端と徐冷気流吹き出し面の上端との間の距離は、特に限られないが、数mmから十数mm程度の範囲で設けると好ましく、上記効果を充分に得ることができる。なお、これは、徐冷気流吹き出し面の上端周辺からマルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって内向きに吹き出されて、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面の外側から走行経路の最内周面の内側へと流出する徐冷気流が、マルチフィラメント糸の各単糸を通過する過程で各単糸から熱を貰って更に高温化し、膨張して体積流量が増加し易い面も影響しているものと考える。
マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在する気流排気面を、マルチフィラメント糸の走行経路方向において、徐冷気流吹き出し面と急冷気流吹き出し面とにまたがるように配設する形態は、上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、特に限られないが、好ましくは、気流排気面の下端を、急冷気流吹き出し面の下端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側に配設すると良い。気流排気面の下端を、急冷気流吹き出し面の下端を含む下端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に配設すると、内吹き環状急冷手段により急冷されて、各単糸の糸速度も大きく上昇し、また、各単糸廻りに形成される随伴流の規模も大きく、多くの気流供給を必要とする、急冷気流吹き出し面等に囲まれた内吹き環状急冷手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側を走行するマルチフィラメント糸からも積極的に排気を行う格好となり、マルチフィラメント糸の各単糸廻りに形成される随伴流に必要な気流供給が不足がちとなって、気流が乱れたり、あるいは、不足を外部からの外気流入で賄おうとして、外気の吸い込み等が発生して、気流等が更に乱れて、マルチフィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性が悪化する場合があるためである。
また、気流排気面の下端を、急冷気流吹き出し面の上端を含む上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に配設する形態は特に限られない。また、気流排気面の下端を、急冷気流吹き出し面の上端を含む上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に配設する形態において、マルチフィラメント糸の走行経路方向における気流排気面の下端と急冷気流吹き出し面の上端との間の距離は特に限られない。例えば、マルチフィラメント糸の単糸数や単糸繊度等の品種や、紡糸速度等の紡糸条件、あるいは冷却開始距離QTD等にもよるが、マルチフィラメント糸の走行経路方向における気流排気面の下端と急冷気流吹き出し面の上端との間の距離を、冷却開始距離QTDより大きくしても、小さくしても良く、あるいは同程度としても良く、特に限られない。
また、本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等において、特に限られないが、好ましくは、例えば、紡糸口金の下面の中心周辺を避けて紡糸口金の下面の中心からみて紡糸口金の下面の外周側の領域に吐出孔を配列する、あるいは紡糸口金の下面の中心周辺に吐出孔を配列しない非配列領域を設け、紡糸口金の下面の中心からみて紡糸口金の下面の外周側の領域に吐出孔を配列すること等により、マルチフィラメント糸の走行経路方向からみてマルチフィラメント糸の走行経路の内側に、言い換えれば、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側に、マルチフィラメント糸の非走行領域ができるように紡糸口金に穿設される吐出孔を配列すると良い。中央部材をマルチフィラメント糸の走行経路方向からみてマルチフィラメント糸の走行経路の内側に、言い換えれば、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側に、配設し易い等の理由からである。また、特に限られないが、好ましくは、例えば、紡糸口金の下面の中心周辺に吐出孔を配列しない非配列領域を設け、この領域が大きくなる様に、紡糸口金の下面の中心からみて紡糸口金の下面のより外周側の領域に吐出孔を配列する、あるいは紡糸口金の下面の中心からみて最内周に配列される吐出孔の紡糸口金の下面の中心からの距離が大きくなる様に、紡糸口金の下面の中心からみて紡糸口金の下面のより外周側の領域に吐出孔を配列する、あるいは紡糸口金の下面の中心からみて最内周に配列される吐出孔を通る紡糸口金の下面の中心を中心とした最内周列の半径あるいは直径が大きくなる様に、紡糸口金の下面の中心からみて紡糸口金の下面のより外周側の領域に吐出孔を配列すること等により、マルチフィラメント糸の走行経路方向からみてマルチフィラメント糸の走行経路の内側のマルチフィラメント糸の非走行領域、言い換えれば、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側のマルチフィラメント糸の非走行領域が大きくなる様に、紡糸口金に穿設される吐出孔を配列すると良い。中央部材をマルチフィラメント糸の走行経路方向からみてマルチフィラメント糸の走行経路の内側に、言い換えれば、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側に、充分な大きさで配設し易く、また、特に徐冷気流吹き出し面の上端周辺から吹き出されてマルチフィラメント糸の各単糸を通過し、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側に流出した徐冷気流が、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側の領域を通って、マルチフィラメント糸の走行経路の上流側に向かって上昇する際の流路が拡大する等の理由からである。
本実施形態は内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面等の気流吹き出し面と、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面との間のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の距離の形態により、上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、特に限られず、様々な形態に本実施形態は好適である。例えば、気流吹き出し面とマルチフィラメント糸の走行経路の最外周面との間のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の距離を、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって、殆ど一定としても良く、あるいは、あるいは漸増あるいは漸減させても良く、あるいはマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって増加と減少が単数あるいは複数あるいは複数種ある様にしても良い。また、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸増、漸減、あるいは増加、減少を連続的に、あるいは段階的に行っても良く、あるいはマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸増、漸減、あるいは増加、減少させる過程において、漸増、漸減、あるいは増加、減少の程度を部分的に変化させても良い。気流吹き出し面と、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面との間のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の距離は、特に限られないが、好ましくは、気流吹き出し面とマルチフィラメント糸の走行経路の最外周面とが、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向に近接する様に、気流吹き出し面をマルチフィラメント糸の走行経路の最外周面に近接する様に配設するか、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面を気流吹き出し面に近接する様にマルチフィラメント糸の各単糸を紡出する吐出孔を紡糸口金に穿設、配列する等して、気流吹き出し面と、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面との間のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の距離が小さくなる様にすると良い。気流吹き出し面と、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面との間のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の距離を小さくすると、気流吹き出し面から吹き出された気流でマルチフィラメント糸の各単糸廻りの気流を整流化し易くできるためである。また、特に限られないが、好ましくは、徐冷気流吹き出し面とマルチフィラメント糸の走行経路の最外周面との間のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の距離を、特に、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側において、小さくなる様にすると良い。徐冷気流吹き出し面とマルチフィラメント糸の走行経路の最外周面との間のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の距離をマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側で小さくすると、徐冷気流吹き出し面とマルチフィラメント糸の走行経路の最外周面との間の流路が狭くなり、徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面から直接気流供給を受け難い、紡糸口金の近傍の、徐冷気流吹き出し面の上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側を走行するマルチフィラメント糸の各単糸への気流供給を、徐冷気流吹き出し面の上端周辺から吹き出された徐冷気流が、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面の外側の領域を通って、直接マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側に向かって、マルチフィラメント糸の走行方向と逆行して、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面に極めて近接して上昇する形で行われ難くでき、この上昇流を抑制できる結果、気流排気面の上端に関する形態で記載した様な、この上昇流に纏わる諸問題を発生し難くできるためである。また、本実施形態は内吹き環状徐冷手段の上流側部材の内側面と、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面との間のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の距離の形態により、上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、特に限られず、様々な形態に本実施形態は好適である。特に限られないが、好ましくは、上記徐冷気流吹き出し面とマルチフィラメント糸の走行経路の最外周面との間のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の距離と同様に、内吹き環状徐冷手段の上流側部材の内側面とマルチフィラメント糸の走行経路の最外周面との間のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の距離が小さくなる様にすると良い。上記徐冷気流吹き出し面とマルチフィラメント糸の走行経路の最外周面との間のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の距離と同様に、上記上昇流を抑制でき、これに纏わる諸問題を発生し難くできるためである。なお、内吹き環状徐冷手段の上流側部材とは、内吹き環状徐冷手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側の部材を示し、図1で言えば、徐冷気流吹き出し面5aや徐冷気流吹き出し部6aよりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側の内吹き環状徐冷手段4aの部材等を示し、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から徐冷気流吹き出し面5aや徐冷気流吹き出し部6a等を支持、保持あるいはシールする部材等であり、また、内吹き環状徐冷手段の上流側部材の内側面とは、内吹き環状徐冷手段の上流側部材のマルチフィラメント糸の走行経路を外周側から囲う内側の面を示す。
本実施形態はマルチフィラメント糸の走行経路の最外周面や、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面等により特に限られず、様々な形態の最外周面、最内周面に好適である。特に限られないが、好ましくは、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面を、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向に、マルチフィラメント糸の紡出や走行等を妨げない範囲で、徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面等の気流吹き出し面や内吹き環状徐冷手段の上流側部材の内側面等に近接させて配設すると良い。これは、上記した様に、第1に、特に、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面を気流吹き出し面に近接させて配設することで、気流吹き出し面から吹き出された気流でマルチフィラメント糸の各単糸廻りの気流を整流化し易くできるためである。また、第2に、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面を気流吹き出し面や内吹き環状徐冷手段の上流側部材の内側面等、特に、徐冷気流吹き出し面や内吹き環状徐冷手段の上流側部材の内側面等に近接させて配設することで、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面とこれらとの間の流路が狭くなり、徐冷気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から吹き出された徐冷気流が、この流路を通って、紡糸口金の下面の近傍領域に、マルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側から上流側に向かって上昇、流入し難くなり、この上昇流に纏わる諸問題を発生し難くできる等の理由からである。また、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面も、特に限られないが、上記マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面と同様に取り扱うと良い。これは、第1に、特にマルチフィラメント糸の走行経路の最内周面を徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面等の気流吹き出し面等に近接させて配設することで、気流吹き出し面からの気流でマルチフィラメント糸の各単糸廻りの気流を整流化し易くなるためである。また、第2に、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面を気流吹き出し面等に近接させて配設することで、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸と内周側の各単糸との間の冷却斑等の問題を発生し難くできるためである。また、第3に、上記した様に、内向き環状排気手段を、マルチフィラメント糸の走行経路方向からみてマルチフィラメント糸の走行経路の内側に、言い換えれば、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側に、内向き環状排気手段を配設し易く、また、充分な大きさで内向き環状排気手段を配設し易くできるためである。更に、第4に、特に徐冷気流吹き出し面の上端周辺から吹き出されてマルチフィラメント糸の各単糸を通過し、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側に流出した徐冷気流が、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側の領域を通って、マルチフィラメント糸の走行経路の上流側に向かって上昇する際の流路が拡大する等の理由からである。
本実施形態は徐冷気流吹き出し部や急冷気流吹き出し部の徐冷気流や急冷気流が吹き出されるマルチフィラメント糸側の面であり、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内向きに徐冷気流や急冷気流を吹き付けてマルチフィラメント糸を徐冷、急冷する徐冷気流吹き出し面5aや急冷気流吹き出し面5b等の気流吹き出し面により、上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、特に限られない。上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、様々な気流吹き出し面に好適であり、気流吹き出し面の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。なお、内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段等の内吹き環状冷却手段において、気流吹き出し面の外形形状は一般に環状が多い。マルチフィラメント糸の各単糸を、マルチフィラメント糸の走行経路を囲う環状方向に、均一に冷却し易く、また、環状方向に、均一に気流を供給し易い等の理由からである。従って、気流吹き出し面の外形形状は環状が好ましいが特に限られず、例えば、気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面の形状が環状を逸脱しない範囲で楕円や多角形形状、あるいはそれに近い形状であっても本実施形態は好適である。なお、気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面の形状が環状を逸脱しない範囲で楕円や多角形形状、あるいはそれに近い形状である場合、気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の内径は、気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面の内接円あるいは外接円の直径が適用される。また、気流吹き出し面の外形形状は環状が好ましいが特に限られず、例えば、気流吹き出し面の外径形状や、気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面の形状、例えば、垂直な方向の内径が環状を逸脱しない範囲で、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって、漸増、漸減、あるいは増減しても、あるいは増減が単数あるいは複数あるいは複数種あっても本実施形態は好適である。また、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸増、漸減、あるいは増加、減少が連続的に、あるいは段階的にあっても良く、あるいはマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸増、漸減、あるいは増加、減少の程度が部分的に変化しても本実施形態は好適である。また、本実施形態は気流吹き出し面とマルチフィラメント糸の走行経路の最外周面との近接具合により特に限られず、様々な形態に本実施形態は好適である。特に限られないが、気流吹き出し面とマルチフィラメント糸の走行経路の最外周面との間のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の距離が小さくなる様に、気流吹き出し面をマルチフィラメント糸の走行経路の最外周面に近接する様に配設すると良い。気流吹き出し面から吹き出された気流でマルチフィラメント糸の各単糸廻りの気流を整流化し易くできるためである。また、マルチフィラメント糸の走行経路方向に沿って、気流吹き出し面とマルチフィラメント糸との距離が変化しても好適であり、また、その変化が単数あるいは複数あるいは複数種あっても本実施形態は好適である。また、本実施形態は内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段の徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面等の気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の長さにより特に限られず、様々な形態に本実施形態は好適である。特に限られないが、気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の長さは、好ましくは、マルチフィラメント糸の各単糸がほぼ固化あるいは固化するまでを充分網羅できる長さとするのが良い。言い換えれば、内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面の下端を、マルチフィラメント糸の各単糸がほぼ固化あるいは固化する位置よりも、マルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に配設する様にすると良い。急冷気流吹き出し面の下端を、マルチフィラメント糸の各単糸がほぼ固化あるいは固化する位置よりも、マルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に設け、マルチフィラメント糸の各単糸がほぼ固化あるいは固化する位置を捉えて、急冷気流吹き出し面を配設することで、マルチフィラメント糸の各単糸を確実に急冷し、マルチフィラメント糸の均斉性や品質、品位、あるいは生産性をより確実に向上させるためである。なお、本実施形態では、上記した様に、効果的な排気、また、それによる効果的な徐冷、急冷により、紡糸口金から紡出されたマルチフィラメント糸の各単糸を、マルチフィラメント糸の走行経路の内周側の各単糸を含めて、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に沿って、短い距離で急冷でき、特に、内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の長さを短くすることができる。また、上記した気流吹き出し面に関する各形態が単数あるいは複数あるいは複数種組み合わされた気流吹き出し面でも好適であり、また、気流吹き出し面が単数あるいは複数あるいは複数種の気流吹き出し面から構成されても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の気流吹き出し面が内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段に設けられても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の紡糸口金あるいは紡糸パックに対し、単数あるいは複数あるいは複数種の気流吹き出し面が設けられても本実施形態は好適である。
本実施形態は内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段の徐冷気流吹き出し部6aや急冷気流吹き出し部6b等の気流吹き出し部により、上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、特に限られない。上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、様々な気流吹き出し部に好適であり、気流吹き出し部の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、気流吹き出し部の気流が吹き出されるマルチフィラメント糸側の面である気流吹き出し面の外形形状については、上記気流吹き出し面の外形形状に関する記載の通りであり、また、気流吹き出し部の全体としての外形形状に関しても上記記載が全般的に当てはまる。なお、気流吹き出し部の気流吹き出し面以外の面の外形形状は特に限られず、また、気流吹き出し部の気流が供給される気流吹き出し面の対向面の形状は特に限られない。例えば、気流吹き出し面の対向面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の内径は、特に限られず、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって殆ど変化しなくても良く、また、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸増あるいは漸減しても良く、また、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって増加と減少が単数あるいは複数あるいは複数種あっても良い。また、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸増、漸減、あるいは増加、減少が連続的に、あるいは段階的に行われても良く、あるいは、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸増、漸減、あるいは増加、減少する過程において、漸増、漸減、あるいは増加、減少の程度が部分的に変化しても良い。なお、気流吹き出し部のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の厚みや、気流吹き出し部の圧損についても、上記気流吹き出し面の対向面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の内径に関する記載が同様に当て嵌まる。また、本実施形態は気流吹き出し部のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の厚みや、気流吹き出し部の圧損により特に限られない。上記した様に様々な形態に好適である。特に限られないが、好ましくは、徐冷気流吹き出し面から吹き出される徐冷気流のマルチフィラメント糸の走行経路方向の流速分布や流量分布(特に体積流量分布)が、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸増する分布となる様に、徐冷気流吹き出し部のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の厚みをマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸減させる等して、徐冷気流吹き出し部の圧損をマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸減させると良い。本実施形態では、特に、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面から次々と吹き出されてマルチフィラメント糸の各単糸を通過した徐冷気流を、環状の気流排気面を設けた内向き環状排気手段で逐次排気する。即ち、徐冷気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向のある位置から吹き出された徐冷気流は、内向き環状排気手段に逐次排気されてしまうので、それよりもマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の、徐冷気流吹き出し面等に囲まれた内吹き環状徐冷手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域に、余り残存しない。そのため、特に、内吹き環状徐冷手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域において、徐冷気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向のそれぞれの位置から吹き出される徐冷気流の流速が、マルチフィラメント糸の走行経路方向のそれぞれの位置を走行するマルチフィラメント糸の各単糸の、各単糸廻りに形成される随伴流に必要とされる気流供給量と対応し易くなる。一方、内吹き環状徐冷手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域を走行するマルチフィラメント糸の各単糸の糸速度は、徐冷されているとは言え、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって、徐々に上昇して行き、これに伴って、各単糸廻りに形成される随伴流の規模も徐々に大きくなる。そこで、このマルチフィラメント糸の各単糸廻りに形成される随伴流の規模の変化に合わせて、徐冷気流吹き出し面からマルチフィラメント糸の各単糸に徐冷気流を吹き付ける、これが狙いであり、これにより、気流乱れや糸揺れ等を抑制することができる。なお、徐冷気流吹き出し部の圧損をマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸減させる方法は特に限られない。上記した様に、徐冷気流吹き出し部のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の厚みをマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸減させても良く、あるいは、徐冷気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側に圧損の大きい部材、下流側に圧損の小さい部材を用いても良く、特に限られない。また、同様に、好ましくは、徐冷気流吹き出し面と急冷気流吹き出し面について、マルチフィラメント糸の走行経路方向において、内向き環状排気手段の気流排気面が徐冷気流吹き出し面と急冷気流吹き出し面とにまたがるように設けられる範囲の、徐冷気流吹き出し面と急冷気流吹き出し面から吹き出される徐冷気流と急冷気流のマルチフィラメント糸の走行経路方向の流速分布や流量分布(特に体積流量分布)が、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸増する分布となる様に、徐冷気流吹き出し部や急冷気流吹き出し部のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の厚みをマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸減させる等して、徐冷気流吹き出し部や急冷気流吹き出し部の圧損をマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸減させると良い。理由は上記徐冷気流吹き出し面から吹き出される徐冷気流のマルチフィラメント糸の走行経路方向の流速分布や流量分布の形態と同じである。また、気流吹き出し面の対向面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面形状は特に限られない。例えば、円形を多少逸脱した形状であっても本実施形態は好適である。なお、特に限られないが、気流吹き出し面の対向面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面形状は、環状が好ましい。気流吹き出し面から吹き出される気流に対し、マルチフィラメント糸の走行経路を囲う環状方向に、均一に圧損を与え易く、また、マルチフィラメント糸の各単糸を、環状方向に、均一に冷却し易く、更に、マルチフィラメント糸の各単糸に、環状方向に、均一に気流を供給し易い等の理由からである。また、気流吹き出し部のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面形状が、部分的に異なる形状であっても本実施形態は好適であり、異なる部分が単数あるいは複数あるいは複数種あっても好適である。また、気流吹き出し部のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面形状が、マルチフィラメント糸の走行経路方向に沿って、単数あるいは複数あるいは複数種変化しても本実施形態は好適である。また、気流吹き出し部の部材は特に限られず、穴やオリフィス、スリット等から構成される部材や、金網、パンチングメタル、ハニカム等の整流格子、粒子や繊維、板等から構成される多孔部材、不織布、繊維等を織ったり編んだりして構成される多孔部材、多孔を有する多孔質部材、セルロースのシートやリング、リボン等を積層して構成される多孔部材、スリット状の溝を有する金属シートや薄板、リング、リボン等を積層して構成される多孔部材、金属粒子や金属繊維等を積層して構成される多孔部材、金属線状体や金属リボン等を巻き付けて構成される多孔部材等やこれらに近い部材であっても好適であり、あるいは単数あるいは複数あるいは複数種の部材から構成されても本実施形態は好適である。気流吹き出し部は、特に限られないが、好ましくは、気流吹き出し面から吹き出される気流を整流化し易い、気流整流部材から構成されると良い。なお、気流整流部材としては、上記した様な部材が一例として挙げられる。また、気流吹き出し部の材質は特に限られず、アルミ、銅、青銅、真鍮、鉄、炭素鋼、ボンデ鋼、ステンレス、ステンレス合金、タングステン、タングステン合金等の金属や、セメント、合成樹脂、天然樹脂、繊維、化学繊維、天然繊維、紙、木材、セルロース、セラミック、カーボン等であっても好適であり、単数あるいは複数あるいは複数種の材質から構成されても本実施形態は好適である。なお、気流吹き出し部の材質は特に限られないが、好ましくは、比較的温度の高い徐冷気流を吹き出す内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し部には、耐熱性の良好な部材や材質を用いると良い。また、断熱部材や保温部材、加熱部材、冷却部材、加熱手段、冷却手段、温度等の計測手段等が気流吹き出し部に設けられても本実施形態には好適である。また、気流吹き出し部が単数あるいは複数あるいは複数種の気流吹き出し部から構成されても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の気流吹き出し部が内吹き環状冷却手段に設けられても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の紡糸口金あるいは紡糸パックに対し、単数あるいは複数あるいは複数種の気流吹き出し部が設けられても本実施形態は好適である。
本実施形態は内吹き環状徐冷手段の気流室7aや内吹き環状急冷手段の気流室7b、内吹き環状徐冷手段の気流供給口8aや内吹き環状急冷手段の気流供給口8bにより特に限られない。様々な気流室、気流供給口に好適であり、その個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、ラビリンス構造やハニカム等の整流格子の構造、圧損部材等や上記気流吹き出し部の部材で記載した様な部材、断熱部材、保温部材、加熱部材、冷却部材、加熱手段、冷却手段、温度や圧力、流速等の計測手段、気流調整手段等が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても好適である。また、気流吹き出し面から吹き出される気流のマルチフィラメント糸の走行経路を囲う環状方向の流速分布が均一になるように、気流室や内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段等の内吹き環状冷却手段内の気流流路等に圧損部材等が設けられても良い。また、気流室や内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段等の内吹き環状冷却手段内の気流流路等の大きさ等が、マルチフィラメント糸の走行方向や走行経路方向に沿って殆ど変化しない構成や、マルチフィラメント糸の走行方向や走行経路方向の上流側から下流側に向かって拡大、縮小する構成、あるいはマルチフィラメント糸の走行方向や走行経路方向の上流側から下流側に向かって拡大と縮小が単数あるいは複数あるいは複数種ある構成等であっても好適である。また、単数あるいは複数あるいは複数種の内吹き環状冷却手段や気流吹き出し部に対し、単数あるいは複数あるいは複数種の気流室、気流供給口が設けられても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の気流室、気流供給口に、単数あるいは複数あるいは複数種の気流、例えば、気流の物質や組成、温度、流速、流量等が異なる気流が供給されても本実施形態は好適である。なお、後述する内向き環状排気手段の供給気流室や内向き環状排気手段の気流排気口の形態についても、内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し面から吹き出される第2の急冷気流の方向がマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かう方向ではあるが、概ね上記内吹き環状冷却手段の気流室や内吹き環状冷却手段の気流供給口の形態が当て嵌まる。
本実施形態は内吹き環状徐冷手段4aや内吹き環状急冷手段4b等の内吹き環状冷却手段により、上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、特に限られない。上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、様々な内吹き環状冷却手段に好適であり、その個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、内吹き環状冷却手段やその周辺に、断熱部材、保温部材、加熱部材、加熱手段、冷却部材、冷却手段、温度等の計測手段等の部材や、内吹き環状冷却手段内の気流流路内にラビリンス構造やハニカム等の整流格子の構造、圧損部材等や上記気流吹き出し部の部材で記載した様な部材、断熱部材、保温部材、加熱部材、加熱手段、冷却部材、冷却手段、温度等の計測手段等の部材、あるいは内吹き環状冷却手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側や下流側等に、マルチフィラメント糸の走行経路を外周側から囲う内側の内側面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面形状が円形やそれに近い形状であるマルチフィラメント糸の走行経路方向に延在する部材等が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても好適である。また、本実施形態は内吹き環状冷却手段の上流側部材や上流側部材の内側面等により特に限られない。特に限られないが、内吹き環状冷却手段の上流側部材の内側面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の下端におけるマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の内径は、好ましくは、気流吹き出し面の上端における気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の内径と同じになる様に、あるいは小さくなる様に設けるのが良い。内吹き環状冷却手段の上流側部材で、気流吹き出し面や気流吹き出し部等を、より確実に支持、保持あるいはシール等できるためである。また、内吹き環状冷却手段の上流側部材の内側面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の下端におけるマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の内径を、気流吹き出し面の上端における気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の内径と同じになる様に、あるいは小さくなる様に冷却手段の上流側部材を配設すると、特に、内吹き環状徐冷手段においては、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面と内吹き環状徐冷手段の上流側部材の内側面が近接して、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面と内吹き環状徐冷手段の上流側部材の内側面との間の流路が狭くなり、徐冷気流吹き出し面の特にマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から吹き出された徐冷気流が、この流路を通って、紡糸口金の下面の近傍領域に、マルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側から上流側に向かって上昇、流入し難くなり、この上昇流に纏わる諸問題を発生し難くできるためである。また、上記した気流吹き出し面、気流吹き出し部、気流室、気流供給口等の各形態含め、内吹き環状冷却手段に関する上記した各形態が組み合わされた内吹き環状冷却手段であっても本実施形態は好適である。また、単数あるいは複数あるいは複数種の紡糸口金あるいは紡糸パックに対し、単数あるいは複数あるいは複数種の内吹き環状冷却手段が設けられても本実施形態は好適である。なお、図1等における気流吹き出し面5a、5b、気流吹き出し部6a、6b、気流室7a、7b、気流供給口8a、8b、内吹き環状冷却手段4a、4b等の図示は、あくまで一例であり、これらの外形形状等の形態を限定するものではなく、本実施形態は上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲でこれに限定されない。
本実施形態は徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面等の気流吹き出し面から吹き出される徐冷気流9aや急冷気流9b等の気流により上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、特に限られない。上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、様々な気流に好適であり、気流の成分や温度、湿度、流速、流量、流れ方向等や、それらの分布等により特に限られない。気流の成分は例えば、空気や通常の空気に含まれる酸素等の成分、水分を含む空気や、希ガス、窒素等の不活性気体、スチーム等や、これらの混合物であっても本実施形態は好適である。なお、一般には空気や乾燥空気が用いられる場合が多い。また、気流の温度に関しては、本実施形態においては、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面から吹き出される徐冷気流の温度を、マルチフィラメント糸を構成する熱可塑性ポリマーのガラス転移温度より高い温度、また、内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面から吹き出される急冷気流の温度を、マルチフィラメント糸を構成する熱可塑性ポリマーのガラス転移温度以下の温度とする。なお、気流の温度は、上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、特に限られない。例えば、徐冷気流の温度はマルチフィラメント糸を構成する熱可塑性ポリマーのガラス転移温度より高い温度であれば特に限られず、マルチフィラメント糸を構成する熱可塑性ポリマーのガラス転移温度より高い温度から、マルチフィラメント糸の各単糸を紡糸口金から紡出する際の熱可塑性ポリマーの吐出温度やその前後程度までの範囲の温度であっても良く、特に限られない。徐冷気流の温度は特に限られないが、マルチフィラメント糸を構成する熱可塑性ポリマーのガラス転移温度より高い温度から、紡糸口金からマルチフィラメント糸の各単糸を紡出する際の熱可塑性ポリマーの吐出温度以下の範囲の温度とすると良い。徐冷気流の温度を紡糸口金からマルチフィラメント糸の各単糸を紡出する際の熱可塑性ポリマーの吐出温度より高い温度とすると、紡糸口金から紡出されたマルチフィラメント糸の各単糸の変形挙動や走行状態が不安定になり易いためである。また、例えば、急冷気流の温度はマルチフィラメント糸を構成する熱可塑性ポリマーのガラス転移温度以下の温度であれば特に限られず、マルチフィラメント糸を構成する熱可塑性ポリマーのガラス転移温度以下の温度から、数℃あるいは常温やその前後程度の範囲の温度であっても良い。なお、気流の温度は、一般に数℃あるいは10℃程度から20℃あるいは30℃程度が用いられる場合が多い。また、マルチフィラメント糸の各単糸を構成する熱可塑性ポリマーのガラス転移温度は、熱可塑性ポリマーの詳細な組成等によっても変化するが、一般に、ポリエステルで60℃〜90℃前後、ナイロン6、ナイロン66等で40℃〜50℃前後である。気流の流速は例えば、一般に1〜5m/分程度から100〜200m/分程度が用いられる場合が多いが、特に限られない。マルチフィラメント糸の単糸数、単糸繊度、紡糸速度や、冷却開始距離QTD等により、上記範囲内かそれ以外の範囲の流速が用いられても本実施形態は好適である。気流の吹き出される流れ方向は特に限られず、例えば、水平方向、水平方向よりマルチフィラメント糸の走行経路方向に対し上流側上方向、下流側下方向や、マルチフィラメント糸やその各単糸の走行経路方向あるいは走行方向に対し垂直な方向、あるいはそれより上流側上方向、下流側下方向や、マルチフィラメント糸やその各単糸の走行方向等であっても本実施形態は好適である。なお、特に限られないが、好ましくは、気流の流れ方向は、マルチフィラメント糸やその各単糸の走行方向に対し垂直な方向、あるいはそれより下流側下方向が良い。気流の流れ方向をマルチフィラメント糸やその各単糸の走行方向に対し垂直な方向より上流側上方向とすると、マルチフィラメント糸やその各単糸に働く空気抵抗等が増加し易い等の理由からである。気流の成分や温度、湿度、流速、流量、流れ方向等の分布は特に限られず、様々な分布に本実施形態は好適である。気流のマルチフィラメント糸の走行経路方向の流速分布や流量分布は特に限られず、製糸安定性等を損なわない範囲で、マルチフィラメント糸の走行経路方向に沿って変化の殆どない分布や、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸増あるいは漸減する分布、あるいはマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって増加と減少が単数あるいは複数あるいは複数種ある分布等であっても好適である。気流のマルチフィラメント糸の走行経路方向の流速分布や流量分布は特に限られないが、好ましくは、徐冷気流吹き出し面から吹き出される徐冷気流のマルチフィラメント糸の走行経路方向の流速分布や流量分布(特に体積流量分布)を、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸増する分布とすると良い。また、同様に、好ましくは、徐冷気流吹き出し面と急冷気流吹き出し面について、マルチフィラメント糸の走行経路方向において、内向き環状排気手段の気流排気面が徐冷気流吹き出し面と急冷気流吹き出し面とにまたがるように設けられる範囲の、徐冷気流吹き出し面と急冷気流吹き出し面から吹き出される徐冷気流と急冷気流のマルチフィラメント糸の走行経路方向の流速分布や流量分布(特に体積流量分布)を、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸増する分布とすると良い。理由は上記気流吹き出し部に関する形態で記載した通りである。また、気流のマルチフィラメント糸の走行経路方向の温度分布も特に限られず、製糸安定性等を損なわない範囲で、上記した気流のマルチフィラメント糸の走行経路方向の流速分布と同様な分布等であっても好適である。なお、特に限られないが、気流のマルチフィラメント糸の走行経路方向の温度分布において、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸減する分布が好ましい。マルチフィラメント糸の各単糸の走行状態が安定化し易い等の理由からである。また、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって温度が漸減する分布は特に限られず、製糸安定性等を損なわない範囲で、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって連続的に、あるいは段階的に温度が漸減する分布、あるいはマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって温度が漸減し、その過程で温度の漸減の程度が部分的に異なる分布等であっても好適である。更に、気流のフィラメント糸の走行経路を囲う環状方向の流速、温度分布についても特に限られず、同様に製糸安定性等を損なわない範囲で様々な分布に本実施形態は好適である。なお、特に限られないが、一般に、内吹き環状冷却手段において、気流のマルチフィラメント糸の走行経路を囲う環状方向の流速、温度分布は均一になる様にすることが多く、その様にすることが本実施形態でも好ましい。マルチフィラメント糸の各単糸を環状方向に均一に冷却し易い等の理由からである。なお、気流の成分や温度、湿度、流速、流量、流れ方向、動圧、静圧等やそれらの分布等は一般に調整、制御、管理されることが多く、マルチフィラメント糸の品種等により、調整されることも多い。また、気流配管等の気流の供給系統に設けられたファンやブロワ等の気流発生手段や、気流フィルター、温調手段や湿調手段、バルブ、弁等の流量調整手段等の気流調整手段等により、調整、制御、管理されることも多い。なお、特に限られないが、気流の成分や温度、湿度、流速、流量、流れ方向、動圧、静圧等やそれらの分布等は、例えば、気流吹き出し面から吹き出されるまでの気流の供給系統等において、調整、制御、管理されることが本実施形態でも好ましい。また、特に限られないが、気流の成分や温度、湿度、流速、流量、流れ方向、動圧、静圧等やそれらの分布等が、例えば、気流配管等の気流の供給系統に設けられたファンやブロワ等の気流発生手段や、気流フィルター、気流調整手段等により、調整、制御、管理された上で、気流吹き出し面や気流吹き出し部、あるいは内吹き環状冷却手段に供給されることも好ましい。また、気流の成分や温度、湿度、流速、流量、流れ方向、動圧、静圧等やそれらの分布等が、例えば、気流配管等の気流の供給系統に設けられたファンやブロワ等の気流発生手段や、気流フィルター、気流調整手段等により、調整、制御、管理された上で、気流吹き出し面や気流吹き出し部、あるいは内吹き環状冷却手段に供給され、更に内吹き環状冷却手段に設けられた気流調整手段等により、調整、制御、管理されることも好ましい。例えば、気流の温度で言えば、気流は、気流配管等の気流の供給系統に設けられた、加熱手段や冷却手段等を備えた温調手段あるいは温調機能付き気流発生手段等で、ある程度の温度に温調された上で、内吹き環状冷却手段に供給されて、更に、内吹き環状冷却手段に設けられた加熱手段や冷却手段等を備えた温調手段等により、更に温調されても良い。また、気流の成分や温度、湿度、流速、流量、流れ方向、動圧、静圧等やそれらの分布等が、内吹き環状冷却手段に設けられた気流発生手段や気流調整手段等により、調整、制御、管理されることも好ましい。気流の斑や変動、現場雰囲気の乱れ等の影響等で、フィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性等が悪化することを防止するため等の理由からである。なお、後述する内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し面から吹き出される第2の急冷気流の形態についても、気流のマルチフィラメント糸の走行経路方向の流速や流量、温度の分布に関する形態等が一部当て嵌まらないが、概ね上記内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面から吹き出される急冷気流の形態が当て嵌まる。また、内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し面から吹き出される第2の急冷気流は、特に限られず、例えば、内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面から吹き出される急冷気流と、温度等が同じ形態であっても良く、また、一部同じ形態であっても良く、全て異なる形態であっても良く、特に限られない。
本実施形態は内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段とを、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって、内吹き環状徐冷手段、内吹き環状急冷手段の順で配設する形態により、上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、特に限られず、様々な形態に本実施形態は好適である。例えば、内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段とを完全に繋いで固定し、離れない様にしても良い。あるいは、内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段とを必要に応じて自在に連結したり、離したりできる様に配設しても良い。なお、その際、内吹き環状徐冷手段に対して内吹き環状急冷手段を脱着自在に配設しても良く、また、内吹き環状急冷手段に対して内吹き環状徐冷手段を脱着自在に配設しても良い。なお、後者の様に、内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段とを必要に応じて自在に連結したり、離したりできる様に配設すると、例えば、内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段へマルチフィラメント糸を通糸したり、糸掛けしたりする際に便利である。内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段とを順に配設する形態は特に限られるものではなく、順に配設すると同時に、内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段との間でシールを行っても良く、また、内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段との間をシールするためのシール部材や接続等するための接続部材等が設けられても良い。特に限られないが、好ましくは、内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段との間でシールを行うと良い。徐冷気流吹き出し面等に囲まれた内吹き環状徐冷手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域や急冷気流吹き出し面等に囲まれた内吹き環状急冷手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域と、外部の雰囲気とが連通、繋がっていると、気流の行き来が発生したり、外気が徐冷気流吹き出し面に囲まれた領域等に流入したりする等して、マルチフィラメント糸の各単糸廻りの気流が乱れたり、糸揺れ等が発生したりして、マルチフィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性等が悪化する場合があるためである。また、後述する内向き環状排気手段を、気流排気面等を有する排気機能部と、急冷気流吹き出し面を有する給気機能部とに分割して設け、上記内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段とを順に配設する形態と同様に、排気機能部と給気機能部とを脱着自在に設けたり、その間でシールを行ったりしても良い。また、内向き環状排気手段の排気機能部や給気機能部を、内吹き環状徐冷手段あるいは内吹き環状急冷手段のいずれかに接続して設けても良い。例えば、内吹き環状徐冷手段に内向き環状排気手段の排気機能部、また、内吹き環状急冷手段に内向き環状排気手段の給気機能部を接続して設けても良く、また、その逆に設けても良く、あるいは、内吹き環状急冷手段に内向き環状排気手段の排気機能部と給気機能部を接続して設けても良い。
本実施形態は冷却開始距離QTDにより特に限られず、様々な冷却開始距離に好適である。特に限られないが、例えば、徐冷気流吹き出し面の上端を、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側に向かって、紡糸口金の下面に近接させて配設すること等により、冷却開始距離を短縮すると、マルチフィラメント糸の走行経路方向の更に上流側から、マルチフィラメント糸の各単糸を徐冷したり、各単糸廻りの気流を整流化したりすること等ができるので好ましい。冷却開始距離を短縮することで、特にマルチフィラメント糸の各単糸が急激に固化して、紡出してから一旦ほぼ固化するまでにマルチフィラメント糸の各単糸に働く張力をそのほぼ固化する位置での各単糸の走行方向に垂直な方向の断面の断面積で除して求められる応力が大きくなり易く、また、気流の乱れ等の影響を受け易く、気流の乱れ等の影響を受けて乱れ易い、繊細で、敏感な、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側の領域の更に上流側から、マルチフィラメント糸の各単糸を徐冷したり、各単糸廻りの気流を整流化したりすること等ができるためである。これは、紡糸口金から紡出された後、紡糸口金の近傍で急激に固化し易く、紡出してから一旦ほぼ固化するまでにマルチフィラメント糸の各単糸に働く張力をそのほぼ固化する位置での各単糸の走行方向に垂直な方向の断面の断面積で除して求められる応力が大きくなり易い、単糸細繊度化・多フィラメント化されたマルチフィラメント糸や単糸異形断面化されたマルチフィラメント糸、あるいは熱可塑性ポリマーが改質されたマルチフィラメント糸やガラス転移温度が高い等の特殊な熱可塑性ポリマーから構成されるマルチフィラメント糸等の難紡糸マルチフィラメント糸に対して特に有効である。なお、本実施形態においては、紡糸口金から紡出されたマルチフィラメント糸をマルチフィラメント糸の走行経路方向の最も上流側から気流を吹き付けて冷却する冷却手段が、内吹き環状徐冷手段であり、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面から吹き出される気流が比較的温度の高い徐冷気流であることから、本実施形態は冷却開始距離を短縮し易い特長をも有している。また、上記した様に、気流排気面の上端を、徐冷気流吹き出し面の上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に配設すると、紡糸口金の下面周辺をより高温に保ち易くなるため、更に冷却開始距離を短縮し易い。また、本実施形態は徐冷気流吹き出し面の上端や内吹き環状徐冷手段の上流側部材の内側面の上端等をマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側に向かって、紡糸口金の下面等に近接させる形態により特に限られない。本実施形態は特に限られないが、徐冷気流吹き出し面の上端や内吹き環状徐冷手段の上流側部材の内側面の上端等をマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側に向かって、紡糸口金の下面等に近接させるに際し、徐冷気流吹き出し面の上端、内吹き環状徐冷手段の上流側部材の内側面の上端等、あるいは徐冷気流吹き出し部の上端(徐冷気流吹き出し部のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側の上端)や内吹き環状徐冷手段の上流側部材等を、紡糸口金や紡糸パック、スピンブロックやそれらの部材あるいはそれらに接続されるその他部材等に接触させても良く、また、接触させてそこでシール等を行っても良く、特に限られない。冷却手段の上流側部材の内側面等に近接させて配設すると良い。
本実施形態は内向き環状排気手段の気流排気部の排気気流が排気されるマルチフィラメント糸側の面である環状の気流排気面15により、上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、特に限られない。上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、様々な気流排気面に好適であり、気流排気面の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。なお、気流排気面の外形形状は、内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段等の内吹き環状冷却手段の気流吹き出し面の外形形状が一般に環状が多く、マルチフィラメント糸の各単糸を、マルチフィラメント糸の走行経路を囲う環状方向に、均一に冷却し易く、また、環状方向に、均一に排気気流を排気し易い等の理由から、環状が好ましいが特に限られず、例えば、気流排気面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面の形状が環状を逸脱しない範囲で楕円や多角形形状、あるいはそれに近い形状であっても本実施形態は好適である。なお、気流排気面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面の形状が環状を逸脱しない範囲で楕円や多角形形状、あるいはそれに近い形状である場合、気流排気面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の内径は、気流排気面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面の内接円あるいは外接円の直径が適用される。また、気流排気面の外形形状は環状が好ましいが特に限られず、例えば、気流排気面の外径形状や、気流排気面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面の形状、例えば、垂直な方向の内径が環状を逸脱しない範囲で、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって、漸増、漸減、あるいは増減しても、あるいは増減が単数あるいは複数あるいは複数種あっても本実施形態は好適である。また、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸増、漸減、あるいは増加、減少が連続的に、あるいは段階的にあっても良く、あるいはマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸増、漸減、あるいは増加、減少の程度が部分的に変化しても本実施形態は好適である。また、本実施形態は気流排気面とマルチフィラメント糸の走行経路の最内周面との近接具合により特に限られず、様々な形態に本実施形態は好適である。また、マルチフィラメント糸の走行経路方向に沿って、気流排気面とマルチフィラメント糸との距離が変化しても好適であり、また、その変化が単数あるいは複数あるいは複数種あっても本実施形態は好適である。また、本実施形態は気流排気面のマルチフィラメント糸の走行経路方向の長さにより、上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、特に限られず、様々な形態に本実施形態は好適である。また、上記した気流排気面に関する各形態が単数あるいは複数あるいは複数種組み合わされた気流排気面でも好適であり、また、気流排気面が単数あるいは複数あるいは複数種の気流排気面から構成されても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の気流排気面が内向き環状排気手段に設けられても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の紡糸口金あるいは紡糸パックに対し、単数あるいは複数あるいは複数種の気流排気面が設けられても本実施形態は好適である。
本実施形態は内向き環状排気手段の気流排気部16により、上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、特に限られない。上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、様々な気流排気部に好適であり、気流排気部の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、気流排気部の気流が排気されるマルチフィラメント糸側の面である気流排気面の外形形状については、上記気流排気面の外形形状に関する記載の通りであり、また、気流排気部の全体としての外形形状に関しても上記記載が全般的に当てはまる。なお、気流排気部の気流排気面以外の面の外形形状は特に限られず、また、気流排気部の気流排気面の対向面の形状は特に限られない。例えば、気流排気面の対向面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の内径は、特に限られず、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって殆ど変化しなくても良く、また、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸増あるいは漸減しても良く、また、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって増加と減少が単数あるいは複数あるいは複数種あっても良い。また、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸増、漸減、あるいは増加、減少が連続的に、あるいは段階的に行われても良く、あるいは、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって漸増、漸減、あるいは増加、減少する過程において、漸増、漸減、あるいは増加、減少の程度が部分的に変化しても良い。なお、気流排気部のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の厚みや、気流排気部の圧損についても、上記気流排気面の対向面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の内径に関する記載が同様に当て嵌まる。また、本実施形態は気流排気部のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の厚みや、気流吹き出し部の圧損により特に限られず、上記した様に様々な形態に好適である。例えば、気流吹き出し面から吹き出される気流の流速や流量に合わせて、厚みや圧損を変化させたり、調整したりしても良い。また、気流排気部に気流吹き出し部より小さい圧損の部材を用いても良い。なお、気流排気部の圧損を変化させる方法は特に限られず、異なる圧損の気流排気部を複数あるいは複数種組み合わせて用いても良い。また、気流排気面の対向面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面形状は特に限られない。例えば、円形を多少逸脱した形状であっても本実施形態は好適である。なお、特に限られないが、気流排気面の対向面のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面形状は、環状が好ましい。気流排気面から排気される排気気流に対し、マルチフィラメント糸の走行経路を囲う環状方向に、均一に圧損を与え易く、また、マルチフィラメント糸の各単糸から、環状方向に、均一に排気気流を排気し易い等の理由からである。また、気流排気部のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面形状が、部分的に異なる形状であっても本実施形態は好適であり、異なる部分が単数あるいは複数あるいは複数種あっても好適である。また、気流排気部のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面形状が、マルチフィラメント糸の走行経路方向に沿って、単数あるいは複数あるいは複数種変化しても本実施形態は好適である。また、気流排気部の部材は特に限られず、上記気流吹き出し部の形態で記載した様な部材であっても好適であり、あるいは単数あるいは複数あるいは複数種の部材から構成されても本実施形態は好適である。気流排気部は、特に限られないが、好ましくは、気流排気面から排気される排気気流を整流化し易い、気流整流部材から構成されると良い。なお、気流整流部材としては、上記した様な部材が一例として挙げられる。また、気流吹き出し部の材質は特に限られず、上記気流吹き出し部の形態で記載した様な材質であっても好適であり、単数あるいは複数あるいは複数種の材質から構成されても本実施形態は好適である。なお、気流排気部の材質は特に限られないが、好ましくは、徐冷気流吹き出し面に対向する、気流排気部のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側には、耐熱性の良好な部材や材質を用いると良い。また、断熱部材や保温部材、加熱部材、冷却部材、加熱手段、冷却手段、温度等の計測手段等が気流排気部に設けられても本実施形態には好適である。また、特に限られないが、気流排気部に加熱手段や加熱部材等を設けても良い。紡糸口金から紡出されたマルチフィラメント糸の各単糸から発生する分解ガスや昇華物、モノマー、オリゴマー等を含む排気気流を排気するに際し、気流排気部を加熱しておくと、これらが析出して周辺の部位に付着、堆積することを抑制し易いためである。また、気流排気部が単数あるいは複数あるいは複数種の気流排気部から構成されても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の気流排気部が内向き環状排気手段に設けられても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の紡糸口金あるいは紡糸パックに対し、単数あるいは複数あるいは複数種の気流排気部が設けられても本実施形態は好適である。
本実施形態は内向き環状排気手段の排気気流室17、気流排気口19により、上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、特に限られない。上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、様々な排気気流室、気流排気口に好適であり、その個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、排気気流室や気流排気口に、ラビリンス構造やハニカム等の整流格子の構造、圧損部材等や上記気流吹き出し部の部材で記載した様な部材、断熱部材、保温部材、加熱部材、冷却部材、加熱手段、冷却手段、温度や圧力、流速等の計測手段、気流調整手段等が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても好適である。例えば、排気気流中の分解ガスや昇華物、モノマー、オリゴマー等が析出して、周辺部位に付着、堆積することを抑制する狙いで加熱手段や加熱部材等を設けても良い。また、気流排気面から排気される排気気流のマルチフィラメント糸の走行経路を囲う環状方向の流速分布が均一になるように、排気気流室や内向き環状排気手段内の気流流路等に圧損部材等が設けられても良い。また、排気気流室や内向き環状排気手段内の気流流路等の大きさ等が、マルチフィラメント糸の走行方向や走行経路方向に沿って殆ど変化しない構成や、マルチフィラメント糸の走行方向や走行経路方向の上流側から下流側に向かって拡大、縮小する構成、あるいはマルチフィラメント糸の走行方向や走行経路方向の上流側から下流側に向かって拡大と縮小が単数あるいは複数あるいは複数種ある構成等であっても好適である。
気流排気口の排気気流の抜き出し位置の形態は特に限られない。例えば、図2(a)の様に、排気気流が、マルチフィラメント糸の走行経路方向において、内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段との間を通って外部に排出される様に、気流排気口の排気気流の抜き出し位置を、マルチフィラメント糸の走行経路方向において、内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段との間に設けても良い。また、例えば、図2(b)の様に、内吹き環状急冷手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に気流排気口の排気気流の抜き出し位置を設けても良く、また、図2(c)の様に、内吹き環状徐冷手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側に気流排気口の排気気流の抜き出し位置を設けても良い。図2(a)の様に、排気気流の抜き出し方向をマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向とすると、例えば、紡糸口金に穿設される吐出孔の配列に、紡糸口金から紡出される複数のマルチフィラメント糸を各糸条に分離するための分離帯が設けられる場合等に好適である。また、図2(b)や図2(c)の様に、排気気流の抜き出し方向をマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向き、あるいは上流側向きとすると、マルチフィラメント糸の多フィラメント化に有利である。また、気流排気口の排気気流の抜き出し位置の形態は、図2(a)〜図2(c)の形態に特に限られず、例えば、内吹き環状徐冷手段や、その徐冷気流吹き出し部、あるいは内吹き環状急冷手段や、その急冷気流吹き出し部、また、気流吹き出し面に設けられた非吹き出し部等や、紡糸口金、紡糸パック、スピンブロック、糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段等やその周辺部材に設けられても良い。なお、上記気流排気口の抜き出し位置の形態は、後述する内向き環状排気手段の気流供給口の供給位置の形態にも同様に当て嵌まる。また、排気気流の抜き出し方向と、後述する内向き環状排気手段への第2の急冷気流の供給方向は特に限られず、例えば、後述する図4(a)の様に、排気気流の抜き出し方向と第2の急冷気流の供給方向をマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向としても良く、また、後述する図4(b)の様に、排気気流の抜き出し方向と第2の急冷気流の供給方向をマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側向きとしても良く、また、後述する図4(a)の様に、第2の急冷気流の供給方向をマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向とし、排気気流の抜き出し方向を後述する図4(b)の様にマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側向きとしても良く、また、後述する図4(a)の様に、排気気流の抜き出し方向をマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向とし、第2の急冷気流の供給方向をマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きとしても良く、また、後述する図4(a)の様に、排気気流の抜き出し方向をマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向とし、第2の急冷気流の供給方向をマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側向きとしても良く、また、後述する図4(a)の様に、第2の急冷気流の供給方向をマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向とし、排気気流の抜き出し方向をマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きとしても良く、特に限られない。
気流排気口の配設形態は特に限られない。例えば、単数あるいは複数あるいは複数種の気流排気口が設けられても良く、例えば、マルチフィラメント糸の走行経路方向からみて、放射状に複数あるいは複数種の気流排気口が設けられても良く、また、放射状且つマルチフィラメント糸の走行経路方向を中心に対称に複数あるいは複数種の気流排気口が設けられても良い。なお、放射状に設けると、紡糸口金に環状に配列される吐出孔の配列に合わせて気流排気口を設け易い。気流排気口の外形形状は特に限られない。図2(a)〜図2(c)の形態に特に限られず、例えば、断面形状が円形であっても矩形であっても良く、あるいは長方形の様な形状であっても良い。なお、上記気流排気口の配設形態や外形形状の形態は、後述する内向き環状排気手段の気流供給口の配設形態にも同様に当て嵌まる。
気流排気口の機能は特に限られない。例えば、図2(a)〜図2(c)の様に、内向き環状排気手段の支持、保持等を行う部材である支持部材に設けられても良く、あるいは内向き環状排気手段の支持や保持等と無関係に設けられても良い。また、内向き環状排気手段の支持、保持等の機能を有していても有していなくても良い。特に限られないが、好ましくは、例えば、図2(a)〜図2(c)の様に、内向き環状排気手段の支持部材に設けられる等して、内向き環状排気手段の支持、保持等の機能も有していると良い。装置をコンパクト化し易いためである。なお、上記気流排気口の機能に関する形態は、後述する内向き環状排気手段の気流供給口の機能の形態にも同様に当て嵌まる。また、単数あるいは複数あるいは複数種の内向き環状排気手段や気流排気部に対し、単数あるいは複数あるいは複数種の排気気流室、気流排気口、内向き環状排気手段の供給気流室、内向き環状排気手段の気流供給口が設けられても本実施形態は好適である。
本実施形態は支持部材により、上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、特に限られない。上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、様々な支持部材に好適であり、様々な排気気流室、気流排気口に好適であり、その個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。支持部材の配設形態は特に限られない。例えば、支持部材は、図2(a)の様に、マルチフィラメント糸の走行経路方向において、内吹き環状徐冷手段と内吹き環状急冷手段との間から設けても良い。また、例えば、図2(b)の様に、内吹き環状急冷手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側から設けても良く、また、図2(c)の様に、内吹き環状徐冷手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側から設けても良い。図2(a)の様に、支持部材をマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向に設けると、例えば、紡糸口金に穿設される吐出孔の配列に、紡糸口金から紡出される複数のマルチフィラメント糸を各糸条に分離するための分離帯が設けられる場合等に好適である。また、図2(b)や図2(c)の様に、支持部材をマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側から、あるいはマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から設けると、マルチフィラメント糸の多フィラメント化に有利である。また、支持部材は、図2(a)〜図2(c)の形態に特に限られず、例えば、内吹き環状徐冷手段や、その徐冷気流吹き出し部、あるいは内吹き環状急冷手段や、その急冷気流吹き出し部、紡糸口金、紡糸パック、スピンブロック、糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段等やその周辺部材から設けられても良い。また、例えば、単数あるいは複数あるいは複数種の支持部材が設けられても良く、例えば、マルチフィラメント糸の走行経路方向からみて、放射状に複数あるいは複数種の支持部材が設けられても良く、また、放射状且つマルチフィラメント糸の走行経路方向を中心に対称に複数あるいは複数種の支持部材が設けられても良い。なお、放射状に設けると、紡糸口金に環状に配列される吐出孔の配列に合わせて支持部材を設け易い。支持部材の外形形状は特に限られない。図2(a)〜図2(c)の形態に特に限られず、例えば、断面形状が円形であっても矩形であっても良く、あるいは長方形の様な形状であっても良い。支持部材の機能は特に限られない。例えば、図2(a)〜図2(c)の様に、内向き環状排気手段の気流排気口が設けられても良く、また、後述する図4(a)、図4(b)の様に、内向き環状排気手段の気流供給口が設けられても良く、あるいは内向き環状排気手段の気流排気口と無関係に設けられても良く、また、内向き環状排気手段の気流供給口と無関係に設けられても良い。また、排気気流の排気機能を有していても有していなくても良く、また、第2の急冷気流の給気機能を有していても有していなくても良い。特に限られないが、好ましくは、例えば、図2(a)〜図2(c)や、図4(a)、図4(b)の様に、内向き環状排気手段の気流排気口や、内向き環状排気手段の気流供給口が設けられる等して、排気気流の排気機能や第2の急冷気流の給気機能も有していると良い。装置をコンパクト化し易いためである。また、特に限られないが、内向き環状排気手段の気流排気口や気流供給口、あるいは支持部材を、内向き環状排気手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側向きに設ける場合は、気流排気口や気流供給口、あるいは支持部材のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面形状を小さくしても良い。この様にすると、特に徐冷気流吹き出し面の上端周辺から吹き出されてマルチフィラメント糸の各単糸を通過し、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側に流出した徐冷気流が、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側の領域を通って、マルチフィラメント糸の走行経路の上流側に向かって上昇する際の流路が拡大する等の理由からである。また、特に限られないが、内向き環状排気手段の気流排気口や気流供給口、あるいは支持部材を、内向き環状排気手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側向きに設ける場合は、気流排気口や気流供給口、あるいは支持部材のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面形状を、例えば、内向き環状排気手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面と同程度に大きくしても良い。この様にすると、内向き環状排気手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の下端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側における、急冷気流吹き出し面等に囲まれた内吹き環状急冷手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域の、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面積の、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かっての変化を緩やかにでき、気流乱れ等の抑制の点で好ましい等の理由からである。また、単数あるいは複数あるいは複数種の内向き環状排気手段や気流排気部に対し、単数あるいは複数あるいは複数種の支持部材が設けられても本実施形態は好適である。
本実施形態は内向き環状排気手段により、上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、特に限られない。上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、様々な内向き環状排気手段に好適であり、その個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、内向き環状排気手段やその周辺に、断熱部材、保温部材、加熱部材、加熱手段、冷却部材、冷却手段、温度等の計測手段等の部材や、内吹き環状冷却手段内の気流流路内にラビリンス構造やハニカム等の整流格子の構造、圧損部材等や上記気流吹き出し部の部材で記載した様な部材、断熱部材、保温部材、加熱部材、加熱手段、冷却部材、冷却手段、温度等の計測手段等の部材等が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても好適である。また、内向き環状排気手段の気流排気面の上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側の部材や、気流排気面の下端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の部材は特に限られない。例えば、気流排気面の上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側の部材を、そのマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面形状がマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側から上流側に向かって縮小するテーパー形状の部材としても良い。なお、これは、内向き環状排気手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側の上端を、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側に向かって突き出して設ける場合、例えば、内向き環状排気手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側の上端を、徐冷気流吹き出し面の上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側や内吹き環状徐冷手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側の上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側に設ける場合に特に好ましい。特に徐冷気流吹き出し面の上端周辺から吹き出されてマルチフィラメント糸の各単糸を通過し、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側に流出した徐冷気流が、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側の領域を通って、マルチフィラメント糸の走行経路の上流側に向かって上昇する際の流路が拡大する等の理由からである。なお、内向き環状排気手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側の上端は、特に限られないが、好ましくは、内吹き環状徐冷手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側の上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に設けると良い。また、更に好ましくは、徐冷気流吹き出し面の上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に設けると良い。なお、上記において、内向き環状排気手段の気流排気口や気流供給口、支持部材等が、内向き環状排気手段よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から設けられる場合、例えば、図2(c)の様に紡糸口金等から設けられる場合は、気流排気口や支持部材等を除いた内向き環状排気手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側の上端を、内吹き環状徐冷手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側の上端や徐冷気流吹き出し面の上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に設けると良い。理由は上記と同様に、流路が拡大する等の理由からである。また、例えば、気流排気面の下端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の部材を、そのマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面形状がマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって縮小するテーパー形状の部材としても良い。なお、気流排気面の下端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の部材を、そのマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面形状がマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって縮小するテーパー形状の部材とすると、気流排気面の下端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側における、急冷気流吹き出し面等に囲まれた内吹き環状急冷手段内のマルチフィラメント糸の走行可能な領域のマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面積の、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かっての変化を緩やかにでき、気流乱れ等の抑制の点で好ましい。また、上記した部材に気流吹き出し面が設けられても良く、特に限られない。また、上記した気流排気面、気流排気部、排気気流室、気流排気口、支持部材、また、後述する内向き環状排気手段の気流室、気流供給口、急冷気流吹き出し面、急冷気流吹き出し部等の各形態含め、内向き環状排気手段に関する上記した各形態が組み合わされた内向き環状排気手段であっても本実施形態は好適である。また、単数あるいは複数あるいは複数種の紡糸口金あるいは紡糸パックに対し、単数あるいは複数あるいは複数種の内向き環状排気手段が設けられても本実施形態は好適である。なお、図1等における気流排気面15、気流排気部16、排気気流室17、気流排気口19、支持部材20等の図示は、あくまで一例であり、これらの外形形状等の形態を限定するものではなく、本実施形態は上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲でこれに限定されない。
本実施形態は内向き環状排気手段の環状の気流排気面から排気される排気気流により上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、特に限られない。上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、様々な排気気流に好適であり、気流の成分や温度、湿度、流速、流量、流れ方向等や、それらの分布等により特に限られない。また、排気気流の抜き出し方向は特に限られず、図2(a)の様に、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向に抜き出しても良く、また、図2(b)の様に、マルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に抜き出しても良く、図2(c)の様に、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側に抜き出しても良く、特に限られない。また、排気気流は、その排出の過程で、加熱されても良く、特に限られない。
では、次に、本実施形態の第2の重要な実施形態について説明する。本実施形態の第2の重要な実施形態は、例えば、図3、図4(a)、図4(b)に示す様に、第1の重要な実施形態のマルチフィラメント糸の製造装置の内向き環状排気手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の端面に、前記マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって第2の急冷気流を吹き出す急冷気流吹き出し面を設けたマルチフィラメント糸の製造装置である。
この本実施形態の第2の重要な実施形態について、図3、図4(a)、図4(b)、図5(b)等を用いて詳細を説明する。図3は本実施形態の好ましい溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。また、図4(a)、図4(b)は本実施形態の一実施例に係る紡糸口金や冷却手段周辺の溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図であり、図3において点線で囲まれた紡糸口金や冷却手段周辺の領域を凡そ拡大した図となっている。なお、図3では、内向き環状排気手段の支持、保持等を行う部材である支持部材や、内向き環状排気手段の環状の気流排気面へと排気される排気気流の系外への排気口である気流排気口、内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し面へと第2の急冷気流を供給する気流供給口等の図示を省略しているが、図4(a)、図4(b)では、支持部材や気流排気口、内向き環状排気手段の気流供給口等を図示している。また、図3では、後述するマルチフィラメント糸等を図示しているが、図4(a)、図4(b)では、マルチフィラメント糸等の図示を省略している。これを踏まえて、図4(a)、図4(b)について、更に説明を付け加えると、図4(a)は本実施形態の一実施例に係る紡糸口金や冷却手段周辺の溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図、図4(b)は本実施形態の一実施例に係る紡糸口金や冷却手段周辺の溶融紡糸の構成の別の一例を模式的に例示した縦断面の概略図であり、図4(a)は内向き環状排気手段の環状の気流排気面へと排気される排気気流が、内向き環状排気手段からマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向へと排気される様に、また、内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し面へと供給される第2の急冷気流が、内向き環状排気手段にマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向から供給される様に、気流排気口と内向き環状排気手段の気流供給口を配設した場合の一例を模式的に例示した縦断面の概略図、図4(b)は内向き環状排気手段の環状の気流排気面へと排気される排気気流が、内向き環状排気手段からマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側へと排気される様に、また、内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し面へと供給される第2の急冷気流が、内向き環状排気手段にマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側から供給される様に、気流排気口と内向き環状排気手段の気流供給口を配設した場合の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。また、図5(b)は本実施形態の一実施例に係る紡糸口金の下面や紡糸パックの内側面、内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段の徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面等に囲まれた領域に形成される流れの形態の一例を模式的に例示した縦断面の概念図であり、図3の縦断面の概略図において点線で囲まれた領域に模式的に例示している、本実施形態の一実施例に係る紡糸口金や冷却手段周辺の溶融紡糸の構成の一例に対応した、紡糸口金の下面や紡糸パックの内側面、内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段の徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面等に囲まれた領域に形成される流れの形態の一例を模式的に例示した縦断面の概念図となっている。図3、図4(a)、図4(b)において、21は内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し面(後述する内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し部の第2の急冷気流が吹き出される側の面)、22は内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し部(図3等においてマルチフィラメント糸の走行経路方向の線で塗り潰された部分)、23は内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し面から吹き出される第2の急冷気流(図4(a)等において内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し部22を横切る複数の矢印群で図示されている)、24は内向き環状排気手段の供給気流室、25は内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し面へと第2の急冷気流を供給する気流供給口である。
本実施形態の第2の重要な実施形態では、例えば、図3、図4(a)、図4(b)に示す様に、内向き環状排気手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の端面に、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって第2の急冷気流を吹き出す急冷気流吹き出し面を設ける。この様に、内向き環状排気手段のマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の端面に設けた急冷気流吹き出し面から、内向き環状排気手段よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の領域に、マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって、第2の急冷気流を吹き出すことで、本実施形態の第2の重要な実施形態では、本実施形態の第1の重要な実施形態において形成される場合がある、内向き環状排気手段よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の領域の渦の形成を抑制して、紡糸口金の下面や紡糸パックの内側面、内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段の徐冷気流吹き出し面や急冷気流吹き出し面等に囲まれた領域に形成される流れの形態を、図5(a)から図5(b)へとすることができ、渦に関連する気流乱れや糸揺れ等を更に抑制することができる。また、本実施形態の第2の重要な実施形態では、内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し面から第2の急冷気流を吹き出すことで、内吹き環状急冷手段により急冷されて、各単糸の糸速度も大きく上昇し、また、各単糸廻りに形成される随伴流の規模も大きく、多くの気流供給を必要として、排気によってマルチフィラメント糸の走行経路の最内周面周辺の各単糸の急冷を促進し難い、急冷気流吹き出し面の上端よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側を走行するマルチフィラメント糸の各単糸を、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面周辺の各単糸も含めて更に充分に急冷することができる。これらの結果、本実施形態の第2の重要な実施形態では、本実施形態の第1の重要な実施形態よりも、マルチフィラメント糸の糸の太さ斑や品質斑等の均斉性や、強伸度や、強度、伸度等の品質、毛羽等の品位や生産性を更に向上させることができる。
本実施形態は内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し部の第2の急冷気流が吹き出される側の面である急冷気流吹き出し面21により、上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、特に限られない。上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、様々な気流吹き出し面に好適であり、気流吹き出し面の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し面の形状は、特に限られず、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の平面に限定されない。第2の急冷気流がマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって吹き出されれば良く、例えば、急冷気流吹き出し面は、そのマルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の断面形状がマルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって縮小するテーパー形状であっても良い。また、急冷気流吹き出し面は特に限られず、例えば、急冷気流吹き出し面のマルチフィラメント糸の走行経路方向からみて外側に、内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し面から吹き出された第2の急冷気流が、内向き環状排気手段の気流排気面に排気されることを防止する、環状のカバーが設けられても良い。また、上記した気流吹き出し面に関する各形態が単数あるいは複数あるいは複数種組み合わされた気流吹き出し面でも好適であり、また、気流吹き出し面が単数あるいは複数あるいは複数種の気流吹き出し面から構成されても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の気流吹き出し面が内吹き環状徐冷手段や内吹き環状急冷手段に設けられても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の紡糸口金あるいは紡糸パックに対し、単数あるいは複数あるいは複数種の気流吹き出し面が設けられても本実施形態は好適である。
本実施形態は内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し部23により、上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、特に限られない。上記した本実施形態の第1の重要な実施形態や後述する本実施形態の第2の重要な実施形態等を満足する範囲で、様々な気流吹き出し部に好適であり、気流吹き出し部の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、気流吹き出し部の部材は特に限られず、上記内吹き環状冷却手段の気流吹き出し部の部材の形態で記載した内容がほぼ当て嵌まる。また、気流吹き出し部の材質も特に限られず、上記内吹き環状冷却手段の気流吹き出し部の材質の形態で記載した内容がほぼ当て嵌まる。また、その他の形態についても上記内吹き環状冷却手段の気流吹き出し部の形態で記載した内容が概ね当て嵌まる。また、気流吹き出し部が単数あるいは複数あるいは複数種の気流吹き出し部から構成されても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の気流吹き出し部が内向き環状排気手段に設けられても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の紡糸口金あるいは紡糸パックに対し、単数あるいは複数あるいは複数種の気流吹き出し部が設けられても本実施形態は好適である。
また、本実施形態の第3の重要な実施形態では、上記した本実施形態の第1の重要な実施形態または本実施形態の第2の重要な実施形態に記載のマルチフィラメント糸の製造装置を用い、熱可塑性ポリマーを溶融紡糸し、マルチフィラメント糸を製造することを特徴とするマルチフィラメント糸の製造方法が提供される。
では次に、その他の実施形態について説明する。本実施形態は溶融紡糸の構成により特に限られない。溶融紡糸工程で低配向未延伸糸(以下UDY:Un Drawn Yarn)を得る構成や、部分配向糸(以下POY:Partially Oriented Yarn)を得る構成、紡糸と延伸を直結して延伸糸(以下FOY:Full Oriented Yarn)を1工程で得る紡糸直延伸(以下DSD:Direct Spin Draw)の構成、紡糸速度が高速で延伸を必要としないOSY(One Step Yarn)に対応した構成にも好適である。なお、図1や、図3等では、UDYやPOY、OSYに対応した構成の図示となっているが、本実施形態がこれに限定されるものではない。また、本実施形態は紡糸速度により特に限られず、300〜10000m/分程度の範囲であっても好適である。なお、ポリエステルマルチフィラメント糸において、一般に紡糸速度はUDYに対応した構成で300〜1800m/分程度、POYに対応した構成で1800〜5000m/分程度、DSDの構成で300〜1800m/分程度(なお、巻取速度は2000〜5000m/分程度)、OSYに対応した構成で3000〜10000m/分程度であるが、上記はあくまで一例を示したものであり、ポリエステルやその他の熱可塑性ポリマーから構成されるマルチフィラメント糸において、紡糸速度が上記速度の範囲を超えるUDY、POY、DSD、OSYであっても、本実施形態は好適である。なお、紡糸速度とは、マルチフィラメント糸が紡糸口金から紡出されて初めて固化した際の糸速度、あるいはマルチフィラメント糸がローラー等の糸引取手段で初めて引き取られる際の糸速度を示すものとする。
本実施形態はマルチフィラメント糸10を構成する熱可塑性ポリマーにより特に限られず、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリケトンや、可塑剤を含有したセルロースエステル系熱可塑性ポリマー等にも好適であり、溶融紡糸により溶融紡糸される合成繊維や半合成繊維等の化学繊維等に好適である。本実施形態に好適なポリエステルの一例を挙げれば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート等が挙げられる。また、ポリアミドの一例を挙げれば、ナイロン6、ナイロン66等が挙げられる。また、本実施形態は、共重合されたポリアミドにも好適である。また、ポリフェニレンとしてはポリフェニレンサルファイド、ポリオレフィンとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンとしてはポリスチレン等が挙げられる。
また、本実施形態は熱可塑性ポリマーに製糸安定性等を損なわない範囲で他の共重合成分が含まれていても好適である。ポリエステルで一例を挙げれば、鮮明性に優れた染色が可能なポリエステルカチオン可染糸において、一般的に共重合されるソジウムソルホネートイソフタル酸やポリエチレングリコール等が含まれたものでも本実施形態は好適である。また、製糸安定性等を損なわない範囲で二酸化チタン等の艶消し剤、酸化ケイ素、カオリン、着色防止剤、安定剤、抗酸化剤、消臭剤、難燃剤、糸摩擦低減剤、着色顔料、表面改質剤等の各種機能性粒子や有機化合物等の添加剤が含有されていても好適である。
また、本実施形態はマルチフィラメント糸10の各単糸の成分構成により特に限られない。各単糸を構成する成分が単数でも複数でも良く、例えば、芯鞘型複合や海島型複合、サイドバイサイド型複合等の複合の構成であっても好適である。また、複数成分が混合されたアロイやブレンド等の構成でも好適である。また、複合の各成分がアロイやブレンド等の複数成分から構成されても好適である。
本実施形態はマルチフィラメント糸10の単糸数により特に限られず、様々な単糸数のマルチフィラメント糸に好適である。また、ステープルの分野の様に単糸数が数千本、例えば2000本程度のフィラメント糸にも好適である。なお、マルチフィラメント糸の単糸数あるいは紡糸口金から紡出される総単糸数が多ければ多いほど、常法、例えば、ユニフロ冷却手段等の従来の技術との差異が明確となり易い。また、本実施形態は、基本的に、その単糸数が複数のマルチフィラメント糸を対象とするが、上記の通り、紡糸口金から紡出される総単糸数が多ければ多いほど、本実施形態と従来の技術との差異が明確となり易いことから、単糸数が単数のモノフィラメント糸であっても、紡糸口金から紡出される単糸数、糸条数が複数の場合は、本実施形態に含まれるものとする。なお、ステープル以外の衣料用、産業用の分野では、単糸数が数本〜1000本あるいは数本〜600本程度までの範囲のマルチフィラメント糸が多い。また、本実施形態はマルチフィラメント糸10の各単糸の繊度、即ち、単糸繊度により特に限られず、単糸繊度が0.1〜数百dtex程度の範囲であっても好適である。なお、dtexはデシテックスを示す。例えば、溶融紡糸後の単糸繊度が0.1〜16dtex、あるいは0.1〜10dtex、0.1〜3.5dtex程度の範囲のマルチフィラメント糸にも好適である。なお、単糸繊度が小さければ小さいほど、常法、例えば、ユニフロ冷却手段等の従来の技術との差異が明確となり易い。また、溶融紡糸により得られたマルチフィラメント糸は、溶融紡糸の後に、必要に応じ、更に同工程あるいは別工程にて、1.7〜6倍、あるいは1.2〜2倍程度に延伸あるいは延伸・仮撚加工等され、単糸繊度0.1〜2.6dtex、あるいは0.1〜1.6dtex、0.1〜1.1dtex程度の範囲のマルチフィラメント糸とされる。また、本実施形態はマルチフィラメント糸10の各単糸の断面形状により特に限られず、丸断面、楕円、三角形等の多角形断面、六葉等の多葉断面、楕円八葉等の楕円多葉断面、C型、Y型、十字型等の文字型断面等や、中空部を有する断面等や、これらに近い断面等であっても好適である。
本実施形態は紡糸口金1から紡出されるマルチフィラメント糸10の糸条数により特に限られず、単数あるいは複数であっても好適である。例えば、糸条数が1〜8糸条、1〜6糸条あるいは1〜4糸条であっても好適である。また、上記したマルチフィラメント糸や単糸に関連する各形態が組み合わされたマルチフィラメント糸や単糸が紡出されても好適であり、また、単数あるいは複数あるいは複数種の紡糸口金から、単数あるいは複数あるいは複数種のマルチフィラメント糸や単糸が紡出されても本実施形態は好適である。
本実施形態は紡糸口金1により特に限られない。様々な紡糸口金に好適であり、紡糸口金の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、紡糸口金1に穿設される吐出孔により特に限られない。様々な吐出孔に好適であり、吐出孔の個数、外形形状、外形寸法、孔径、孔長、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。なお、本実施形態において、紡糸口金の下面は、紡糸口金のフィラメント糸の走行経路方向の下流側の、フィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向の面である、紡糸口金の下面を全体的に示すものであり、仮に紡糸口金の下面に凹凸があったり、曲面があったりしても、それらを含めて紡糸口金の下面を全体的に示すものとする。
本実施形態は紡糸口金1に穿設される吐出孔の配列により特に限られない。様々な配列に好適であり、環状配列、格子状配列、千鳥格子状配列等の様々な配列に好適である。また、品質や製糸安定性等を損なわない範囲で、部分的に吐出孔が穿設、配列されない非配列領域が設けられる配列や、紡糸口金から紡出される複数のマルチフィラメント糸を各糸条に分離するための分離帯が設けられる配列、吐出孔の穿設数、配列数の分布に疎密が設けられる配列等にも好適である。また、非配列領域、分離帯、配列領域の吐出孔の穿設数、配列数の疎密が内向き環状排気手段の支持部材や、気流排気口、気流供給口等の配置に合わせて設けられた配列等にも好適である。また、非配列領域、分離帯、吐出孔の穿設数、配列数の疎密が単数あるいは複数あるいは複数種設けられた配列等にも好適である。なお、図1等において、マルチフィラメント糸10を数本の直線で図示しているが、これはマルチフィラメント糸が紡出されるさまを単に示したものであり、マルチフィラメント糸の単糸数や糸条数、マルチフィラメント糸の集束形態、たわみ状態等や、吐出孔の配列数や配列形態等の形態を限定するものではなく、本実施形態はこれに限定されない。なお、本実施形態は紡糸口金に穿設される吐出孔の配列により特に限られないが、好ましくは、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面やマルチフィラメント糸の走行経路の最内周面が、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向に、マルチフィラメント糸の紡出や走行等を妨げない範囲で、気流吹き出し面や内吹き環状徐冷手段の上流側部材の内側面等に近接する様に、紡糸口金に穿設される吐出孔を配列すると良い。これは、例えば、紡糸口金の下面の中心からみて最外周に配列される吐出孔や最内周に配列される吐出孔を、紡糸口金の下面の中心からみて紡糸口金の下面のより外周側に配列する、あるいは紡糸口金の下面の中心からみて最外周に配列される吐出孔や最内周に配列される吐出孔の紡糸口金の下面の中心からの距離が大きくなる様に配列する、あるいは紡糸口金の下面の中心からみて最外周に配列される吐出孔を通る紡糸口金の下面の中心を中心とした最外周列の半径あるいは直径や、最内周に配列される吐出孔を通る紡糸口金の下面の中を中心とした最内周列の半径あるいは直径が大きくなる様に配列すること等により行われる。また、本実施形態は紡糸口金に穿設される吐出孔の配列により特に限られないが、好ましくは、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側にマルチフィラメント糸の非走行領域ができるように紡糸口金に穿設される吐出孔を配列すると良い。これは、例えば、紡糸口金の下面の中心周辺を避けて紡糸口金の下面の中心からみて紡糸口金の下面の外周側の領域に吐出孔を配列する、あるいは紡糸口金の下面の中心周辺に吐出孔を配列しない非配列領域を設け、紡糸口金の下面の中心からみて紡糸口金の下面の外周側の領域に吐出孔を配列すること等により行われる。また、本実施形態は紡糸口金に穿設される吐出孔の配列により特に限られないが、好ましくは、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側のマルチフィラメント糸の非走行領域が大きくなる様に、紡糸口金に穿設される吐出孔を配列すると良い。これは、例えば、紡糸口金の下面の中心周辺に吐出孔を配列しない非配列領域を設け、この領域が大きくなる様に、紡糸口金の下面の中心からみて紡糸口金の下面のより外周側の領域に吐出孔を配列する、あるいは紡糸口金の下面の中心からみて最内周に配列される吐出孔の紡糸口金の下面の中心からの距離が大きくなる様に、紡糸口金の下面の中心からみて紡糸口金の下面のより外周側の領域に吐出孔を配列する、あるいは紡糸口金の下面の中心からみて最内周に配列される吐出孔を通る紡糸口金の下面の中心を中心とした最内周列の半径あるいは直径が大きくなる様に、紡糸口金の下面の中心からみて紡糸口金の下面のより外周側の領域に吐出孔を配列すること等により行われる。上記した様に、マルチフィラメント糸の走行経路の最外周面やマルチフィラメント糸の走行経路の最内周面を、マルチフィラメント糸の走行経路方向に垂直な方向に、気流吹き出し面等に近接させて配設すると、気流吹き出し面から吹き出された気流でマルチフィラメント糸の各単糸廻りの気流を整流化し易くでき、また、マルチフィラメント糸の走行経路の外周側の各単糸と内周側の各単糸との間の冷却斑等も抑制でき、更に、内向き環状排気手段をマルチフィラメント糸の走行経路方向からみてマルチフィラメント糸の走行経路の内側に、言い換えれば、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側に、配設し易く、また、充分な大きさで内向き環状排気手段を配設し易くできる他、特に徐冷気流吹き出し面の上端周辺から吹き出されてマルチフィラメント糸の各単糸を通過し、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側に流出した徐冷気流が、マルチフィラメント糸の走行経路の最内周面の内側の領域を通って、マルチフィラメント糸の走行経路の上流側に向かって上昇する際の流路が拡大する等の理由からである。
本実施形態は紡糸パック2により特に限られない。様々な紡糸パックに好適であり、紡糸パックの個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。
本実施形態はスピンブロック3により特に限られない。様々なスピンブロックに好適であり、スピンブロックの個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、図1等では図示をしていないが、スピンブロックに通常配設される紡糸パックを加熱・保温する紡糸パック加熱器や熱可塑性ポリマーの供給配管、断熱部材、保温部材等や、ポンプ等や、追加の加熱部材、加熱手段等が設けられても良く、また、本実施形態はこれらにより特に限られない。なお、図1等における紡糸口金1、紡糸パック2、スピンブロック3の図示は、あくまで一例であり、紡糸口金、紡糸パック、スピンブロックの外形形状等の形態を限定するものではなく、本実施形態はこれに限定されない。
本実施形態は糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段11により特に限られない。様々な手段に好適であり、手段の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られない。また、糸油剤付与手段はガイド給油方式でもローラー給油方式であっても好適であり、糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段は非回転手段でも回転手段でも本実施形態は好適である。また、上記手段は設けなくても設けても良く、設ける場合は糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段であれば良く、あるいはそれらの何れかが一つが設けられても良く、あるいはそれらが単数あるいは複数あるいは複数種設けられても、上記各形態が組み合わされた手段が同様に設けられても良く、特に限られず好適である。
本実施形態は糸引取手段12、糸巻取手段13により特に限られない。様々な糸引取手段、糸巻取手段に好適であり、手段の個数、外形形状、外形寸法、取付位置・向き、表面形状、表面仕上げ、表面処理、構造、部材構成、材質等により特に限られず、例えば、糸引取手段は、ローラーやサクションガン等の糸吸引手段、マルチフィラメント糸を気流で送り出す糸送出手段、コンベヤ等の糸搬送手段等であっても好適であり、例えば、糸巻取手段は、マルチフィラメント糸を巻き取るワインダー方式や、マルチフィラメント糸を籠の様な容器で受け取るキャン方式等の糸巻取手段であっても本実施形態は好適である。また、糸引取手段のローラーに複数回マルチフィラメント糸が掛けられても好適であり、糸引取手段が延伸手段を兼ねても好適である。また、糸引取手段や糸巻取手段に、糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段や、加熱ローラー、加熱チューブ等の糸加熱手段、糸加湿手段、糸リラックス手段、糸延伸手段、糸吸引手段、糸送出手段、糸搬送手段等が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても好適である。また、糸引取手段や糸巻取手段が単数あるいは複数あるいは複数種設けられても、上記各形態が組み合わされた糸引取手段や糸巻取手段が同様に設けられても好適である。
本発明は、極めて汎用性の高い発明であり、溶融紡糸によって得られる多くのマルチフィラメント糸に好適である。特に、糸の太さ斑や品質等の均斉性や、強度・伸度等の品質、毛羽等の品位に優れた単糸細繊度化・多フィラメント化されたマルチフィラメント糸や単糸異形断面化されたマルチフィラメント糸、あるいは熱可塑性ポリマーが改質されたマルチフィラメント糸やガラス転移温度が高い等の特殊な熱可塑性ポリマーから構成されるマルチフィラメント糸等の難紡糸マルチフィラメント糸を製造するに好適である。また、本発明は、マルチフィラメント糸の溶融紡糸の構成により特に限られるものではなく、UDYあるいはPOYに対応した溶融紡糸の構成に限らず、DSDやOSYに対応した溶融紡糸の構成にも応用できるが、その応用範囲がこれらに限られるものではない。
本実施形態の好ましい溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。 本実施形態の一実施例に係る紡糸口金や冷却手段周辺の溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。 本実施形態の一実施例に係る紡糸口金や冷却手段周辺の溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。 本実施形態の一実施例に係る紡糸口金や冷却手段周辺の溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。 本実施形態の好ましい溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。 本実施形態の一実施例に係る紡糸口金や冷却手段周辺の溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。 本実施形態の一実施例に係る紡糸口金や冷却手段周辺の溶融紡糸の構成の一例を模式的に例示した縦断面の概略図である。 本実施形態の一実施例に係る紡糸口金の下面や紡糸パックの内側面、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面や内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面等に囲まれた領域に形成される流れの形態の一例を模式的に例示した縦断面の概念図である。 本実施形態の一実施例に係る紡糸口金の下面や紡糸パックの内側面、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面や内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面等に囲まれた領域に形成される流れの形態の一例を模式的に例示した縦断面の概念図である。 従来の紡糸口金の下面や紡糸パックの内側面、内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し面や内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し面等に囲まれた領域に形成される流れの形態の一例を模式的に例示した縦断面の概念図である。
符号の説明
1:紡糸口金
2:紡糸パック
3:スピンブロック
4a:内吹き環状徐冷手段
4b:内吹き環状急冷手段
5a:環状の徐冷気流吹き出し面
5b:環状の急冷気流吹き出し面
6a:内吹き環状徐冷手段の徐冷気流吹き出し部
6b:内吹き環状急冷手段の急冷気流吹き出し部
7a:内吹き環状徐冷手段の気流室
7b:内吹き環状急冷手段の気流室
8a:内吹き環状徐冷手段の気流供給口
8b:内吹き環状急冷手段の気流供給口
9a:徐冷気流吹き出し面から吹き出される徐冷気流
9b:急冷気流吹き出し面から吹き出される急冷気流
10:マルチフィラメント糸
11:糸油剤付与・集束・ガイド・案内等の手段
12:糸引取手段
13:糸巻取手段
14:内向き環状排気手段
15:環状の気流排気面
16:内向き環状排気手段の気流排気部
17:内向き環状排気手段の排気気流室
18:気流排気面へと排気される排気気流
19:内向き環状排気手段の気流排気口
20:内向き環状排気手段の支持部材
21:内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し面
22:内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し部
23:内向き環状排気手段の急冷気流吹き出し面から吹き出される第2の急冷気流
24:内向き環状排気手段の供給気流室
25:内向き環状排気手段の気流供給口
QTD:冷却開始距離
E1:内向き環状排気手段よりマルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の領域に形成される場合がある渦

Claims (3)

  1. 熱可塑性ポリマーを溶融紡糸し、マルチフィラメント糸を製造する装置であって、以下の(1)〜(4)の要件を満足することを特徴とするマルチフィラメント糸の製造装置。
    (1)前記マルチフィラメント糸の各単糸を紡出する複数の吐出孔を環状に配列した紡糸口金を配設すること。
    (2)前記紡糸口金の前記マルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側に、前記マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内向きに徐冷気流を吹き付けて前記マルチフィラメント糸を徐冷する環状の徐冷気流吹き出し面を設けた内吹き環状徐冷手段と、前記マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内向きに急冷気流を吹き付けて前記マルチフィラメント糸を急冷する環状の急冷気流吹き出し面を設けた内吹き環状急冷手段とを、前記マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって、前記内吹き環状徐冷手段、前記内吹き環状急冷手段の順で配設すること。
    (3)前記マルチフィラメント糸の走行経路方向からみて前記マルチフィラメント糸の走行経路の内側に、前記マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在し、前記マルチフィラメント糸の走行経路の外周側から内周側に向かって前記マルチフィラメント糸の前記各単糸を通過した前記徐冷気流および前記急冷気流を内向きに排気する環状の気流排気面を設けた内向き環状排気手段を配設すること。
    (4)前記マルチフィラメント糸の走行経路方向において、前記マルチフィラメント糸の走行経路方向に延在する前記内向き環状排気手段の前記気流排気面を、前記内吹き環状徐冷手段の前記徐冷気流吹き出し面と、前記内吹き環状急冷手段の前記急冷気流吹き出し面とにまたがるように配設すること。
  2. 前記内向き環状排気手段の前記マルチフィラメント糸の走行経路方向の下流側の端面に、前記マルチフィラメント糸の走行経路方向の上流側から下流側に向かって第2の急冷気流を吹き出す急冷気流吹き出し面を設けたことを特徴とする請求項1に記載のマルチフィラメント糸の製造装置。
  3. 請求項1または2に記載のマルチフィラメント糸の製造装置を用い、熱可塑性ポリマーを溶融紡糸し、マルチフィラメント糸を製造することを特徴とするマルチフィラメント糸の製造方法。
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